JP6746383B2 - 物質精製方法及び装置、高純度物質の連続精製システム - Google Patents

物質精製方法及び装置、高純度物質の連続精製システム Download PDF

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Description

本発明は金属等の物質の精製方法及び装置、高純度物質の連続精製システムに関し,更に詳しく言えば、偏析凝固法の原理を利用して共晶不純物を含むアルミニウム、ケイ素、マグネシウム、鉛、亜鉛等の物質から、共晶不純物の含有量を元の物質よりも少なくし,高純度の物質を製造する方法及び装置に関し、さらには高純度物質の連続精製システムに関する。
金属等の物質中に共晶を生成するFe、Si、Cu等の不純物が含まれている場合、これらの不純物を除去して高純度の物質を得るためには、この物質を溶融し、これを冷却して凝固させる際の初晶を選択的に取り出すことが効果的であるという原理は周知である。
従来から上記原理を利用した種々の精製法が提案されている。例えば、特許文献1には、冷却体の外周部と溶融アルミニウムとの相対速度が1600mm/s〜8000mm/sとなるように冷却体を回転させることによって、凝固界面近傍の不純物の濃縮層を薄くし、精製アルミニウムの純度を高くすることが提案されている。
また、特許文献2には、冷却体の回転に伴い溶融アルミニウムが同方向に流れることを防止し、冷却体と溶融アルミニウムの相対速度を確保する方法が提案されている。それは、溶融アルミニウム保持用のるつぼ内周面に複数の溶融アルミニウム流速低下用邪魔板を円周方向に配置し、邪魔板の上端がアルミニウム溶湯表面より下に来るように設けるというものである。
また、特許文献3には、るつぼ内の溶融金属の存在部分におけるるつぼの内周面と冷却体外周面との最短距離を、るつぼ内周面と冷却体外周面との最長距離の1/2以下に設定して精製を行うことで、溶湯の流路の狭い箇所、広い箇所を意図的に設定し、溶湯の周方向の流速を遅くし、相対速度を高めることが提案されている。
特公昭61−3385号公報 特公昭62−235433号公報 特開2008−163420号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載された技術においては、得られる物質の不純物を十分に除去できておらず、また操業上の不具合があった。
即ち、特許文献1に記載のような方法では、冷却体の回転に伴って溶融金属も同方向に流れるために、不純物濃縮層を薄くするには限界があり、また高い精製効率を得るために冷却体の回転速度を速くし過ぎると、溶融物質の跳ねや飛びも起こりやすくなるという問題がある。
特許文献2に記載の方法では、邪魔板により溶湯全体の流速を抑制、または乱流を生じさせる効果があるものの、その効果の範囲はるつぼ内周面から邪魔板の長さ分だけ内側の範囲の外周部分に限られてしまう。その効果を冷却体外周面付近にまで及ぼすには、邪魔板を冷却体外周面付近にまで延ばす必要があるが、その状態では冷却体外周面に付着、成長した金属塊が邪魔板と接触し、邪魔板が破損してしまう恐れがある。また、内周面に邪魔板が存在するるつぼを得るためには、るつぼ内周面に邪魔板を別部品で接着する、あるいは最初から邪魔板が存在するようなるつぼを製作する等の方法があるが、いずれも製作、メンテナンスの面で手間がかかるという問題がある。
また、特許文献3に記載された方法では、流路の狭い箇所において流速が速くなることにより、遠心力による局部的な湯面上昇が発生し、湯跳ねが起こるというトラブルが発生しやすいという問題がある。
この発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、精製効率が高く、湯跳ねを抑制でき、エネルギーコストに優れ設備化の難易度も高くない物質精製法及び装置、高純度物質の連続精製システムを提供することを課題とする。
上記課題は以下の手段によって解決される。
(1)溶湯保持容器に収容した精製すべき溶融物質中に冷却体を浸漬し、この冷却体を回転させながら冷却体表面に前記物質の結晶を晶出させる物質精製方法において、前記溶湯保持容器の溶湯上面における内周面と前記冷却体の外周面との水平方向の最短距離L1が150mm以上で、かつ溶湯保持容器内の溶融物質の存在部分全域において、溶湯保持容器の内周面と冷却体の最下端における水平方向の距離L2が100mm以上であることを特徴とする物質精製方法。
(2)前記溶湯保持容器の溶湯上面における内周面と前記冷却体の外周面との水平方向の最短距離L1が200mm以上500mm以下であり、溶湯保持容器の内周面と冷却体の最下端における水平方向の距離L2が150mm以上500mm以下である前項1に記載の物質精製方法。
(3)前記溶融物質の溶湯上面における冷却体の外径dが200mm以上であり、かつ前記溶湯保持容器の溶湯上面における内径Dが500mm以上である前項1または2に記載の物質精製方法。
(4)前記溶融物質の溶湯上面における冷却体の外径dが500mm以下である前項1〜3のいずれかに記載の物質精製方法。
(5)前記溶湯保持容器の溶湯上面における内径Dが650mm以上1300mm以下である前項1〜4のいずれかに記載の物質精製方法。
(6)前記冷却体の周速が700mm/s以上8000mm/s未満となるように冷却体を回転させながら溶融物質中に浸漬させていき、且つ溶融物質に浸漬するときの冷却体の温度を、前記物質の固相線温度×0.7以上で固相線温度以下とする前項1〜5のいずれかに記載の物質精製方法。
(7)前記冷却体の表面に前記物質の結晶を晶出、成長させた後に冷却体を溶融物質から引き上げるときに、冷却体に晶出した結晶部分の溶融物質との界面における周速が700mm/s以上、8000mm/s未満となるように冷却体を回転させながら引き上げを行う前項1〜6のいずれかに記載の物質精製方法。
(8)冷却体浸漬後の精製初期の冷却体の最大周速がその後の平均周速より高速である前項1〜7のいずれかに記載の物質精製方法。
(9) 精製初期とは精製開始から全精製時間×0.1まで(但し、10秒以上120秒以下)である前項8に記載の物質精製方法。
(10) 前記物質がアルミニウムである前項1〜9のいずれかに記載の物質精製方法。
(11)精製すべき溶融物質を収容する溶湯保持容器と、前記溶湯保持容器に収容された溶融物質中に浸漬される回転可能な冷却体とを備え、前記溶湯保持容器の溶湯上面における内周面と前記冷却体の外周面との水平方向の最短距離L1が150mm以上で、かつ溶湯保持容器内の溶融物質の存在部分全域において、溶湯保持容器の内周面と冷却体の最下端における水平方向の距離L2が100mm以上に設定されていることを特徴とする物質精製装置。
(12)前記溶湯保持容器の溶湯上面における内周面と前記冷却体の外周面との水平方向の最短距離L1が200mm以上500mm以下であり、溶湯保持容器の内周面と冷却体の最下端における水平方向の距離L2が150mm以上500mm以下に設定されている前項11に記載の物質精製装置。
(13)前記溶融物質の溶湯上面における冷却体の外径dが200mm以上であり、かつ前記溶湯保持容器の溶湯上面における内径Dが500mm以上である前項11または12に記載の物質精製装置。
(14)前記溶融物質の溶湯上面における冷却体の外径dが500mm以下である前項11〜13のいずれかに記載の物質精製装置。
(15)前記溶湯保持容器の溶湯上面における内径Dが650mm以上1300mm以下である前項11〜14のいずれかに記載の物質精製装置。
(16)物質を溶解するための溶解炉と、前項11〜15のいずれかに記載の物質精製装置に用いられ、前記溶解炉からの溶湯が順に送り込まれる、直列的に連結された複数の溶湯保持容器と、請求項11〜15のいずれかに記載の物質精製装置に用いられ、各溶湯保持容器と対を成し、溶湯内で高純度物質を晶出させるための回転可能な冷却体と、を備え、最終の溶湯保持容器から系外へ溶湯が排出される一連の装置を1組のラインとし、
前記ラインが複数組用いられたN次ライン(ただし2≦N)からなり、(n−1)次ライン(ただし2≦n≦N)で冷却体に付着凝固して回収された高純度物質塊は、続くn次ラインの溶解炉で溶解され、溶解炉で溶解された溶湯が順々に溶湯保持容器を通り、排出されるものとなされ、 かつ、n次ラインの前記溶湯保持容器及び該保持槽と対に配置された前記冷却体の数は、(n−1)次ラインのそれより少ないことを特徴とする高純度物質の連続精製システム。
(17) ラインの次数Nが2または3であることを特徴とする前項16に記載の高純度物質の連続精製システム。
(18) 前記物質がアルミニウムであり、前記複数組のラインの内、1つあるいは複数のラインの溶解炉にホウ素が添加されることを特徴とする前項16または17に記載の高純度物質の連続精製システム。
(19) 溶解炉と溶湯保持容器の間に、ホウ素の添加が可能な撹拌槽が設置され、前記溶解炉から撹拌槽までの間のいずれかの場所においてホウ素が添加されるものとなされていることを特徴とする前項18に記載の高純度物質の連続精製システム。
(20) 溶解炉と溶湯保持容器の間に、包晶不純物を不溶性ホウ素化合物として分離抽出が可能な分離槽が設置されていることを特徴とする前項18または19に記載の高純度物質の連続精製システム。
(21) 物質を溶解するための溶解炉と、請求項11〜15のいずれかに記載の物質精製装置に用いられ、前記溶解炉からの溶湯が順に送り込まれる、直列的に連結された複数の溶湯保持容器と、請求項11〜15のいずれかに記載の物質精製装置に用いられ、各溶湯保持容器と対を成し、溶湯内で高純度物質を晶出させるための回転可能な冷却体と、を備え、最終の溶湯保持容器から系外へ溶湯が排出される一連の装置を1組のラインとし、前記ラインが複数組用いられたN次ライン(ただし2≦N)からなり、(n−1)次ライン(ただし2≦n≦N)で回転冷却体に付着凝固して回収された高純度物質塊は、続くn次ラインの溶解炉で溶解され、溶解炉で溶解された溶湯が順々に溶湯保持容器を通り、排出されるものとなされ、1次ラインで排出される溶湯はライン外に排出される一方、n次ラインで排出される溶湯は(n−1)次ラインの溶解炉に戻されるものとなされ、かつ、n次ラインの前記溶湯保持容器及び該保持槽と対に配置された前記冷却体の数は、(n−1)次ラインのそれより少ないことを特徴とする高純度物質の連続精製システム。
(22)ラインの次数Nが2または3であることを特徴とする前項21に記載の高純度物質の連続精製システム。
(23)前記物質がアルミニウムであり、前記複数組のラインの内、1つあるいは複数のラインの溶解炉にホウ素が添加されることを特徴とする前項21または22に記載の高純度物質の連続精製システム。
(24)溶解炉と溶湯保持容器の間に、ホウ素の添加が可能な撹拌槽が設置され、前記溶解炉から撹拌槽までの間のいずれかの場所においてホウ素が添加されるものとなされていることを特徴とする前項23に記載の高純度物質の連続精製システム。
(25)溶解炉と溶湯保持容器の間に、包晶不純物を不溶性ホウ素化合物として分離抽出が可能な分離槽が設置されていることを特徴とする前項23または24に記載の高純度物質の連続精製システム。
前項(1)及び(11)に記載の発明によれば、容器内の溶湯上面における内周面と冷却体の外周面との水平方向の最短距離L1が150mm以上で、かつ溶湯保持容器内の溶融物質の存在部分全域において、溶湯保持容器の内周面と冷却体の最下端における水平方向の距離L2が100mm以上であるので、冷却体と溶湯保持容器の内周面の間には多くの溶融物質が存在している。このため、溶融物質自身が抵抗になり、冷却体の回転による溶融物質の旋回流が十分に遅速され、その結果、凝固界面近傍に生じる不純物濃化層の分散が促進され、物質の精製効率が向上する。溶湯の旋回流が遅速されれば、溶湯の飛散も抑制された精製が可能となる。特に容器内の溶湯上面における内周面と冷却体の外周面との最短距離L1を大きく確保することは、溶湯上面の旋回流を遅くし、溶湯飛散を防止する効果が大きい。
前項(2)及び(12)に記載の発明によれば、溶湯保持容器の溶湯上面における内周面と前記冷却体の外周面との水平方向の最短距離L1が200mm以上500mm以下であり、溶湯保持容器の内周面と冷却体の最下端における水平方向の距離L2が150mm以上500mm以下であるから、さらに高い精製効率が得られ、跳ね飛びも一層抑制できる。
前項(3)及び(13)に記載の発明によれば、溶融物質の溶湯上面における冷却体の外径dが200mm以上であるから、生産性を確保しつつ高い精製効率が得られる。また、溶湯保持容器の溶湯上面における内径Dが500mm以上であるから、冷却体の外径dが200mm以上であっても、溶湯保持容器内の溶湯上面における内周面と前記冷却体の外周面との水平方向の最短距離L1を150mm以上、溶湯保持容器の内周面と冷却体の最下端における水平方向の距離L2を100mm以上確保することができる。
前項(4)及び(14)に記載の発明によれば、溶融物質の溶湯上面における冷却体の外径dが500mm以下であるから、冷却体の回転装置が大規模になるのを回避でき、設備化の難易度を抑制できる。
前項(5)及び(15)に記載の発明によれば、溶湯保持容器の溶湯上面における内径Dが650mm以上1300mm以下であるので、冷却体の外径dを200mm以上に設定したとしても、溶湯保持容器の溶湯上面における内周面と前記冷却体の外周面との水平方向の最短距離L1、溶湯保持容器の内周面と冷却体の最下端における水平方向の距離L2を十分大きく確保できるから、生産性を確保でき優れた精製効率を得ることができる。
前項(6)に記載の発明によれば、溶融物質の固相線温度×0.7以上の温度の冷却体を周速700mm/s以上で回転させながら、溶融物質中に浸漬させていくから、精製初期の段階から冷却体との密着性の良い高純度の結晶を晶出させることができ、冷却体との剥離を防止し得て精製物質の回収量を多くすることができる。しかも、冷却体を周速8000mm/s未満とするから、溶融物質の飛び散り等の操業上の問題が発生するのを防止することができる。
前項(7)に記載の発明によれば、晶出した結晶部分の表面にさらに不純物濃度の高い溶融物質が付着して精製効率が悪化するのを防止できる。
前項(8)に記載の発明によれば、精製初期の冷却体の最大周速をそれ以降の平均周速よりも大きく設定して精製を行うから、冷却体を精製すべき溶融物質中に浸漬した際の精製初期に、たとえ凝固速度が大きく密着性の良くない晶出物が精製されても、これを回転冷却体から積極的に剥離させ、溶融物質中に再溶解させることができる。こうして、冷却体との密着性の良くない晶出物はごく初期に除去されるので、凝固速度が大きな状態で晶出した物質がある程度成長した後に冷却体から剥離する事態を回避でき、積極剥離後の精製物質を剥離することなく成長させることができ、精製物質の回収量を大きくすることができる。
前項(9)に記載の発明によれば、冷却体との密着性が良くない晶出物を剥離させるのに十分な時間を有しているので、上記(8)の効果を十分に発揮できる。
前項(10)に記載の発明によれば、高純度のアルミニウムを得ることができる。
前項(16)に記載の発明によれば、直列的に連続する精製設備よりも効率よく高純度の物質を精製することができる。即ち、回収率(回収重量/元の投入重量)が同じ場合、より高い純度を得ることができる。しかも、n次ラインの前記溶湯保持槽及び該保持槽と対に配置された前記回転冷却体の数は、(n−1)次ラインのそれより少ないから、各ラインにおける溶湯保持槽及び回転冷却体の数が同じ場合に較べて、小さな設備面積ですむ。
前項(17)に記載の発明によれば、さらに効率よく、所望の純度が得られ、操業性に優れたものとなる。
前項(18)、(19)に記載の発明によれば、高純度アルミニウムを精製する際の包晶系不純物を低減することができる。
前項(20)に記載の発明によれば、包晶系不純物をさらに低減することができる。
前項(21)に記載の発明によれば、排出される溶湯を再利用できるので、エネルギー効率と材料回収率が向上し、共晶系不純物を低減できる。
前項(22)に記載の発明によれば、効率よく高純度の物質を精製することができるとともに、操業性に優れたシステムとなしうる。
前項(23)、(24)に記載の発明によれば、高純度アルミニウムを精製する際のアルミニウムの包晶系不純物の低減を効率的に行うことができる。
前項(25)に記載の発明によれば、さらに包晶系不純物の低減を効率的に行うことができる。
この発明の一実施形態に係る物質精製装置の構成を示す図である。 この発明の他の実施形態に係る高純度物質の連続精製システムの構成を示す図である。 図2のシステムの一部のラインの構成を詳細に示す図である。 この発明のさらに他の実施形態に係る高純度物資の連続精製システムの構成を示す図である。 実施例11で用いた連続精製システムの構成を示す図である。 実施例12で用いた連続精製システムの構成を示す図である。 実施例13で用いた連続精製システムの構成を示す図である。 実施例14で用いた連続精製システムの構成を示す図である。 実施例15で用いた連続精製システムの構成を示す図である。 実施例17で用いた連続精製システムの構成を示す図である。 実施例18で用いた連続精製システムの構成を示す図である。 実施例19で用いた連続精製システムの構成を示す図である。 実施例20で用いた連続精製システムの構成を示す図である。 実施例21で用いた連続精製システムの構成を示す図である。
以下、この発明の一実施形態を説明する。
[第1の実施形態]
図1はこの発明の一実施形態に係る物質精製装置の概略構成と、これを用いた物質精製方法を説明するための図である。なお、この実施形態では、物質がアルミニウム等の金属である場合について説明する。
図1において、1は溶湯保持容器としての有低円筒状で底面が下向き円弧面に形成されたるつぼであり、このるつぼ1の内部にアルミニウム等の溶融金属(溶湯ともいう)6が収容保持されている。るつぼ1は加熱炉で構成され、溶湯6が一定の温度となるように加熱されている。
るつぼ1の形状は、有低円筒状で底面が下向き円弧面に形成されたものに限定されない。底面が平坦面の寸胴タイプのるつぼでも良いし、角筒状でも良い。耐火物等で構成された槽でも良い。また、るつぼ1を構成する炉の加熱方法は、電熱でもガスバーナーでも構わない。
溶湯6の温度は、凝固温度を超えていればよいが、冷却体2が溶湯6に浸漬している間は、溶湯中に固相が存在しなくなる温度よりも低い方がより望ましい。
冷却体2は、上端側が径大の円錐台形状に形成され、上下動可能な回転軸3の下端に設置されている。なお、冷却体2の形状は限定されることはなく、外径が一定の円柱形に形成されていても良い。回転軸3は管状になっており、また、冷却体2の内部にも空間が形成されている。前記回転軸3の内部には冷媒供給管4及び冷媒排出管5が挿通され、冷媒として空気が供給されるものとなされている。供給された空気は、冷媒供給管4を通って冷却体2の内部空間に噴出し、その後、回転軸3の内部の冷媒排出管5を通って排出されるようになっており、冷却体2をその内側から冷やすことができるものとなされている。
冷却体2は、回転軸3が下方に移動して溶湯6に浸漬、回転できるようになっており、冷却体2を内部に空気を流通させて冷却しながら一定時間浸漬させることで、冷却体2の外周面に精製塊が付着して成長する。その後、回転軸3を上昇させて、精製塊が付着した冷却体2を溶湯6から引き上げ、精製塊を掻き取る装置のある場所に回転軸3ごと移動させ、その装置で精製塊を冷却体2から掻き取り、回収する。
その際、図1に示すように、溶湯6の表面におけるるつぼ1の内周面と冷却体2の外周面との水平方向の最短距離L1を150mm以上、るつぼ内の溶融金属の存在部分全域において、溶湯保持容器の内周面と冷却体の最下端における水平方向の距離L2を100mm以上とする。L1を150mm以上、L2を100mm以上に設定することによって、冷却体2とるつぼ1の内周面の間には多くの溶融金属6が存在することになる。このため、溶融金属自身が抵抗になり、冷却体2の回転による溶融金属6の旋回流が十分に遅速され、その結果、凝固界面近傍に生じる不純物濃化層の分散が促進され、金属の精製効率が向上する。溶湯6の旋回流が遅速されれば、溶湯の飛散も抑制された精製が可能となる。特にるつぼ1内の溶湯上面における内周面と冷却体2の外周面との水平方向の最短距離L1を大きく確保することは、溶湯6の上面の旋回流を遅くし、溶湯飛散を防止する効果が大きい。
このような効果を確実に発揮し、さらに高い精製効率を得て跳ね飛びも一層抑制するために、るつぼ1の溶湯6の表面における内周面と冷却体2の外周面との水平方向の最短距離L1が200mm以上500mm以下で、るつぼ1の内周面と冷却体2の最下端における水平方向の距離L2が150mm以上500mm以下に設定するのが良い。L1及びL2を500mmより大きく設定しても、溶融金属6のさらなる旋回流遅速効果を得ることができず、精製効率が飽和するので無駄となる。
また、この実施形態では、溶湯6の上面における冷却体2の外径dは200mm以上であるのが望ましい。溶湯6の上面における冷却体2の外径dが200mm未満であると個々の塊の重量が少なくなり、生産性が良くない。従って、溶湯6の上面における冷却体2の外径dを200mm以上とすることにより、生産性を確保しつつ高い精製効率を得ることができる。
また、溶湯6の上面における冷却体2の外径dは500mm以下に設定するのが良い。溶湯6の上面における外径dが500mmより大きくなると、冷却体2を回転駆動するための回転装置が大規模になるが、溶湯6の上面における外径dを500mm以下とすることで、冷却体2の回転装置が大規模になるのを回避でき、設備化の難易度を抑制できる。
溶湯6の上面における冷却体2の外径dを200mm以上とした場合、るつぼ1内の溶湯6の上面における内周面と冷却体2の外周面との水平方向の最短距離L1を150mm以上、るつぼ1の内周面と冷却体2の最下端における水平方向の距離L2を100mm以上確保するために、るつぼ1の溶湯上面における内径Dが500mm以上であることが望ましい。特に650mm以上とするのが良い。るつぼ1の溶湯上面における内径Dを650mm以上とすることにより、溶湯6の上面における冷却体2の外径dを200mm以上に設定したとしても、るつぼ1の溶湯上面における内周面と冷却体2の外周面との水平方向の最短距離L1、るつぼ1の内周面と冷却体2の最下端における水平方向の距離L2を十分大きく確保できるから、生産性を確保でき優れた精製効率を得ることができる。
ただし、るつぼ1の溶湯上面における内径Dは1300mm以下とするのが良い。内径Dが1300mmより大きいと、必然的に温度保持すべき溶融金属6の重量が増加するため、ヒーターなどの加熱のためのエネルギーが多量に必要になってしまう。特に好ましくは、るつぼ1の溶湯上面における内径Dは1000mm以下とするのが良い。
前記冷却体2を回転させながらるつぼ1内の溶融金属6に浸漬し、内部に冷却流体である空気を供給しつつ冷却体2の回転を持続すると、冷却体1の周面に溶融金属の結晶つまり精製金属がゆっくり晶出する。
冷却体2をるつぼ1内の溶融金属6中に浸漬する際、上述したように冷却体2を回転させながら溶融金属6中に浸漬すると、冷却体2が溶融金属6と接触しているときは必ず冷却体2の外周表面と溶融金属が相対的な運動をすることになるので、冷却体2の外周表面に十分に精製された金属が晶出する。
この場合、冷却体2を溶融金属6中に浸漬するときの冷却体2の外周表面の周速が、700mm/s以上、8000mm/s未満の範囲にあるのが好ましく、より好ましくは1500mm/s以上、6000mm/s未満の範囲である。ここでいう周速とは冷却体2の外周表面の移動速度そのものをいい、溶融金属6の移動速度とは無関係な値である。
また、ここでは、冷却体2の下端が溶湯6に触れてから最大深さまで冷却体2を浸漬するまでの時間を「浸漬するとき」とする。つまり、冷却体2の下端が溶湯2に触れてから規定の深さまで冷却体2が浸漬されるまでの間、冷却体2の外周表面の周速を、700mm/s以上、8000mm/s未満に保持するのが良い。周速が700mm/s未満の場合には冷却体2の外周表面の近傍で晶出する金属中の不純物濃度が高く、結果的に、晶出した金属中の不純物濃度が高くなる。高純度塊を得るためには冷却体2の外周表面の周速はできるだけ速い方が好ましいが、8000mm/s以上では周速が速すぎて、冷却体2の浸漬時に湯面の溶湯が飛び散り、操業上の問題を発生する恐れがある。
また、前述したように、冷却体2の形状は特に限定されることはなく、外径が一定の円柱形に形成されていても良いし、この実施形態のように下端に到るに従って外径が連続的に縮小した逆円錐台形状(テーパー形状)に形成されていても良いし、他の形状であっても良いが、冷却体2の溶湯に浸漬される全ての部分において、外周表面の周速を700mm/s以上、8000mm/s未満に保持するのが良い。
また、冷却体2を浸漬するときには、冷却体2の温度を金属の固相線温度×0.7以上(アルミニウムの場合は470℃以上)で固相線温度以下にしておくのが良い。必要ならヒーター等の加熱装置により加熱すればよい。冷却体2の温度が金属の固相線温度×0.7未満では、溶融金属の凝固速度が大きくなりすぎて、冷却体2との密着性が悪く、回転による遠心力によって非常に剥離しやすく、精製金属回収量が減る。溶融金属6に浸漬するときの冷却体2の好ましい温度は、固相線温度×0.8以上固相線温度以下であり、さらに好ましくは固相線温度×0.9以上固相線温度以下である。
溶湯6に浸漬された冷却体2の回転によって、冷却体2の外周表面には金属が晶出する。所定量の金属の晶出後、冷却体2の回転を停止させた状態で溶融金属6中から冷却体2を引き上げると、次のような不具合が発生する恐れがある。
即ち、冷却体2に晶出した金属と溶湯6との界面における相対運動が停止してしまうため、冷却体2の冷却のための冷却媒体の供給を停止したとしても、停止前までに晶出した精製金属の表面に、冷却体2の回転停止後引き上げが完了するまでに、不純物濃度の高い金属が晶出してしまう上、この晶出した金属の表面にさらに不純物濃度の高い溶融金属が付着したりするため、精製効率が悪化する恐れがある。
そこで、この実施形態では、冷却体2を回転させながら溶融金属6から引き上げることで、晶出した精製金属の表面と溶融金属との界面の相対運動が常に行なわれる状態を保つことが望ましい。これにより、晶出した精製金属中の不純物濃度を低くすることができるし、精製金属の表面に溶融金属が付着しにくくなり、精製金属の全体の不純物濃度が高くなることを防止することができる。
この観点からすれば、冷却体2を溶融金属6から引き上げるときの冷却体2の周速はできるだけ速い方が好ましい。具体的には、冷却体2に付着(晶出)した精製金属の溶融金属6との界面における周速を700mm/s以上に設定するのがよい。周速が700mm/s未満の場合には、精製金属の表面に不純物濃度の高い金属が晶出してしまい、結果的に精製金属全体の不純物濃度が高くなる恐れがある。より好ましくは1500mm/s以上に設定するのがよい。
一方、冷却体2を引き上げるときの冷却体2に付着(晶出)した精製金属の溶融金属6との界面における周速が8000mm/s以上では、遠心力が大きすぎるため、精製金属の表面に付着した溶融金属6が液面の上方で飛び散る恐れがある。好ましくは、7000mm/s未満に設定するのがよい。
なお、ここでは、冷却体2に晶出している精製金属の最上部が溶湯6より引き上げられてから精製金属の最下端が溶湯6から離れるまでを「引き上げるとき」とする。つまり、精製金属の最上部が溶湯6より引き上げられてから精製金属の最下端が溶湯6から離れるまで、精製金属の溶湯6との界面における周速を700mm/s以上、8000mm/s未満に保持するのが望ましい。
さらに、この実施形態では、精製初期には冷却体2の周速を意図的に大きくして遠心力を増大させることで、精製初期の短時間の間に、冷却体2との密着の弱い塊を積極的に剥離させるのがよい。つまり、冷却体2の浸漬直後からの精製初期の間、冷却体2の最大周速を、精製初期経過後の冷却体2の平均周速よりも大きく設定して精製を行うのが良い。具体的には、精製初期の冷却体の最大周速を、精製初期経過後の冷却体2の平均周速の1.1倍以上に設定するのが好ましい。1.1倍を下回ると、十分な遠心力が得られずに、冷却体2との密着性の弱い精製金属を十分に剥離させることができない恐れがある。
精製初期とは精製開始から全精製時間の0.1倍までの時間をいう。但し、10秒以上120秒以下の範囲である。ここでいう精製開始とは、冷却体2が規定の深さまで溶融金属6に浸漬された時をいう。全精製時間の0.1倍を越えて以降に、また精製開始から120秒を超えた後に冷却体2の周速を大きくしても、精製金属の剥離タイミングが遅すぎて、一定時間における精製金属の回収量の減少を引き起こすので好ましくない。また、冷却体2の周速を大きくする時間が精製開始から10秒未満では、冷却体2と密着性の弱い精製金属を十分に剥離することができず、好ましくない。
前記るつぼ1は、図1に示すように、るつぼの深さH、るつぼ底から冷却体2の底部までの長さA、冷却体2における溶融金属6中への浸漬深さa、るつぼ1の開口部内径(この実施形態ではるつぼ1の溶湯上面における内径と等しい)Dの関係が、H≧A+2a−D/20の条件を満たすことが望ましい。このような条件を満たす場合は、冷却体2における溶融金属6中への浸漬深さaに対して、溶湯6の表面からるつぼ1の上部までの長さが十分に確保されているので、るつぼ1外への溶湯の飛散をさらに抑制することが可能である。
この実施形態において、精製される物質としては、共晶不純物を含む金属、ケイ素、マグネシウム、鉛、亜鉛等の金属を挙げうるが、金属以外の物質であっても良い。
上記により精製された物質は、高純度であるから、各種の加工や用途に用いることで優れた特性や機能を発揮させることができる。一例を挙げると、精製される物質が金属の場合、精製金属を鋳造に用いて鋳造品を製作しても良いし、この鋳造品を圧延して各種の金属板や金属箔として用いても良い。また、この金属箔を例えば金属電解コンデンサの電極材として用いてもよい。
また、精製金属がアルミニウムの場合、アルミニウムと包晶を生成する包晶元素およびホウ素を含み、ホウ素が包晶元素との金属ホウ化物として計算される合計化学当量よりも5〜80質量ppm過剰に含有されてなるアルミニウム精製用原料を溶解して溶湯とする溶解工程と、溶解工程において得た溶湯を反応室に移動させ、前記反応室中で、溶湯において包晶元素とホウ素とを反応させて金属ホウ化物を生成させ、生成した金属ホウ化物および前記溶解工程で生成した金属ホウ化物を除去することにより包晶元素を除去する反応工程と、反応工程において得た溶湯を精製室に移動させ、前記精製室中で、反応工程において得た溶湯から偏析凝固により未反応のホウ素を含む共晶元素が除去された高純度アルミニウムを晶出させる偏析凝固工程を実施することが望ましい。また、前記アルミニウム精製用原料中の包晶元素がTi、ZrおよびVからなる群から選ばれた少なくとも1種以上であることがさらに望ましい。
この方法によれば、アルミニウム精製用原料中のホウ素濃度が包晶元素との金属ホウ化物として計算される合計化学当量よりも5〜80質量ppm過剰となされているため、溶解工程の段階から包晶元素とホウ素とが反応し、反応工程と合わせてより長い反応時間を確保してより多くの金属ホウ化物を生成させ、包晶元素を除去して高純度アルミニウムを得ることができる。また、溶解の熱エネルギーが反応に利用されるためにエネルギーコストを低減させることができる。そして、金属ホウ化物を除去する反応工程後に偏析凝固を行うことにより、溶湯から未反応のホウ素を含む共晶元素を除去することができ、さらに純度の高いアルミニウムを得ることができる。
さらに、溶解工程で得た溶湯を反応室に移動させて反応工程を行う連続処理を実施するので、高純度アルミニウムの生産性が良い。さらに、反応工程で得た溶湯を精製室に移動させて偏析凝固工程を行う連続処理を実施するので、高純度アルミニウムの生産性が良い。
また、Ti、Zr、Vはアルミニウム中の主要な包晶元素であり、これらの元素が精製によって除去される。
[第2の実施形態]
次に、この発明の他の実施形態に係る高純度物質の連続精製システムについて説明する。このシステムでは、高純度物質が高純度アルミニウムである場合を例にとって説明する。
このシステムに用いられるるつぼ及び冷却体は、前述した[第1の実施形態]で説明したるつぼ及び冷却体と同じものが用いられる。また、各るつぼと冷却体を用いて金属等の物質を精製する時の条件も、前述した[第1の実施形態]で説明した精製条件と同じである。
1)1次ライン
この実施形態による高純度アルミニウムの連続精製装置は、アルミニウムを溶解するための溶解炉を備え、溶解炉からの溶湯を直列的に接続された複数のるつぼに順に送り込み、最終のるつぼから系外へ溶湯が排出される一連の装置を1組のラインとして、まず1次ラインを構成する。このとき各るつぼと対をなして、溶湯内で高純度アルミニウムを晶出させるための回転可能な冷却体を備えたものとする。
このとき複数のるつぼは、例えば一つの大きな槽を隔壁により複数の区画に区分し、この各区画をるつぼとするとともに、隔壁に連通口を設けて各るつぼを溶湯が通過するようにしてもよい。また、複数のるつぼを直列状に並べ、各るつぼを樋によって連結させてもよい。
各るつぼと対をなす冷却体は、溶湯中で回転する際、その周面に高純度アルミニウムを晶出させる。その冷却体周面のアルミニウムの晶出は、冷却体がるつぼ内のアルミニウム溶湯に回転しながら浸漬される際、エアー若しくは水蒸気のような冷却流体で冷却された状態で生じるものである。
この冷却体の周面上に所定の時間、不純物を溶湯に排除しながらアルミニウムを晶出させた後、回転させながら引き上げ、るつぼ外で冷却体からアルミニウムを回収する。
冷却体の冷却能が大きくなるほど生産性は高くなる。一方、凝固速度が大きくなるため、精製純度が低下する。このため、精製されるアルミニウム塊の純度と抽出に要する時間とのバランスを配慮した最適条件を設定することが好ましい。
各るつぼに浸漬された冷却体に晶出し純化されたアルミニウム塊を回収する場合、一斉に回収しても良いが、連続した生産を考えると順次回収していくことが望ましい。
2)複合するライン
1.1次ラインと同じく、アルミニウムを溶解するための溶解炉と、前記溶解炉からの溶湯が順に送り込まれる、直列的に連結された複数のるつぼと、各るつぼと対を成し、溶湯内で高純度アルミニウムを晶出させるための冷却体と、を備え、最終のるつぼから系外へ溶湯が排出される一連の装置からなる1組のラインを、さらに1組以上組み合わせて、N次ライン(ただし2≦N)を構成する。
2.1次ラインにおける各るつぼにおいて冷却体上に晶出して回収・精製されたアルミニウム塊は、引き続き2次ラインの溶解炉で溶解されたのち、1次ラインの場合と同様に各るつぼに送り込まれ、各るつぼにおいて冷却体に晶出して回収・精製される。
3.本実施形態で規定する精製システムは、前述のラインが2組以上備えられたN次ライン(ただし2≦N)から成り、(n−1)次ライン(ただし2≦n≦N)で冷却体に付着凝固させて回収された高純度アルミニウム塊は、続くn次ラインの溶解炉で溶解され、溶湯は複数の直列的に連結したるつぼに樋や連通孔等を介して送り込まれ、各るつぼにおいて、再び冷却体上にアルミニウムを晶出させて回収・精製を繰り返す。
4.n次ラインにおけるるつぼおよび対をなす冷却体の数は、(n−1)次のラインでのるつぼおよび対をなす冷却体の数よりも減少させる必要がある。
その理由として、下記に記述するa〜dの4点が挙げられる。
なお、投入アルミニウム原料重量SW1に対する高純度アルミニウム精製塊の回収総重量SW2の比率を回収率(SW2/SW1)とする。
a:回収率(SW2/SW1)は常に1未満となり、回収されるアルミニウム塊から不純物濃度を低減するには、回収率を低くする必要がある。この結果、冷却体によりn次のラインでアルミニウム塊が抽出される所要時間と、(n−1)次のラインでアルミニウム塊が抽出される所要時間を連動させるには、るつぼの数が、n次のラインにおいて(n−1)次よりも回収率に応じて減少されなければならない。
b:n次ラインのるつぼの数は、n−1次ラインのるつぼの数より少なくする場合、n−1次ラインの回収重量に対するn次ラインの回収重量の比率が小さいほど、より高い純度のアルミニウム塊が得られる。
c:前述したようにるつぼを次数に伴い減少させた精製ラインを、n次ラインまで並列的に設置することにより、小さな設備面積で、エネルギー効率を高め、共晶不純物を従来開示されている精製設備よりもさらに低減できる設備・システムが得られる。このとき、このラインのエネルギー効率を総合的に高める目的において、各ラインの間隔は極力近接させることが望ましい。
d:このとき2次以上のn次ラインで排出された溶湯は、冷却・凝固されることなく直ちに(n−1)次ラインの溶解炉に戻入され、再利用されても良い。この再利用により(n−1)次ラインの溶解炉では、溶解原料と同水準の純度の原料を、溶解エネルギーを要することなく利用が可能となり、エネルギー効率がさらに高まる。
3)ラインの次数
ラインの次数(N次)は、2次または3次であることが望ましい。3次を超えて設備を構築しても設備の複雑性が増し、操業面や経済性の面での優位性が乏しくなる。
さらに1次〜n次の各ラインにおいて直列的に連続したるつぼにおける溶湯の不純物濃度は、最初の保持槽から、最終の保持槽に向けて順次上昇する。このため、1ラインの連結するるつぼが多いほど精製塊の回収効率(同じ回収重量に対するAl純度)が高くなるが、過多になると溶湯温度の制御など、操業が困難になる。
このため、直列的に連続するるつぼの数は1次ラインで8〜25基、また、(n−1)次のるつぼの数に対するn次のるつぼの数の比率を0.5〜0.8に設定するのが好ましい。
4)ホウ素の添加
N次のラインの少なくとも1つにおいて、溶解炉11、21、31にホウ素を添加し、Ti、Zr、V等の包晶系の不純物とホウ素を反応させても良い。また、溶解炉と冷却体を伴うるつぼの間に、ホウ素の添加が可能な撹拌槽が設置されてもよい。この撹拌槽においてホウ素を添加することによっても、Ti、Zr、V等の包晶系の不純物とホウ素を反応させることができる。また、溶解炉や撹拌槽だけでなく溶解炉や撹拌槽を連結する樋においてホウ素を添加しても良い。ホウ素は、Al−B(ボロン/ホウ素)母合金として添加するのが一般的であるが、それに限定されるものではない。添加した後、包晶系不純物とホウ素の反応を促進させる方法として、永久磁石による非接触式の溶湯撹拌、黒鉛製の回転子による撹拌、または溶湯中に処理ガスを吹き込む方法、等がある。
5)包晶不純物の分離
前述のホウ素の添加と撹拌により、溶湯からは、Ti、Zr、V等の包晶元素とホウ素とを反応させて不溶性ホウ素化合物を生成させ除去することにより、包晶不純物を除去することが可能となる。このとき不溶性ホウ素化合物の分離は撹拌槽の表面において浮滓として機械的に除去することができる。
さらに、溶湯撹拌槽とるつぼの間に分離槽を構成することも有効である。この分離槽は、溶湯表面に浮遊した浮滓をるつぼ以外の系へ分離するため、分離槽との間に隔壁を設け、溶湯表面のみ別経路の樋を設けて排出できるものとする。また不溶性ホウ素化合物は不溶性の化合物となっているので、フィルターを設置して除去してもよい。
[具体的実施形態]
図2および図3は本発明の一実施形態に係る高純度アルミニウムの精製システムを示す。
図2において、アルミニウムの精製システムは、アルミニウムを精製して高純度アルミニウムを連続的に得る装置からなる1組のラインが複数、連続して配置されてなる。
最初の1次ラインにおいて、共晶不純物および包晶不純物を含んだ精製すべきアルミニウムを溶解する溶解炉11 と、望ましくは、溶解炉11 に連続して撹拌槽12が配置されている。撹拌槽12では、溶解炉11から受けたアルミニウム溶湯中にAl−B母合金としてホウ素を添加した後、Arガス等の気泡放出、分散装置を下降させて撹拌槽12内のアルミニウム溶湯中に浸漬し、駆動手段により気泡放出して回転させる。この状態は、図3で詳述する。
撹拌槽12に続いて、複数基(この例では10基)のるつぼ13、13・・・が直列的に連続して配置されている。これらの溶解炉11、撹拌槽12、るつぼ13、13・・・は各々溶湯を送る樋15で連結されている。
るつぼ13、13・・・に、撹拌槽12から溶湯が送り込まれ、所定の量が満たされた段階で、各るつぼ13、13・・・のアルミニウム溶湯中に、内部をエアー、ガス、水蒸気等の冷却流体で冷却された冷却体130、130・・・を浸漬する。るつぼ13、13・・・のアルミニウム溶湯温度を、凝固点を越えた温度に加熱保持しておくと、偏析凝固の原理により、各冷却体130、130・・・の表面において、精製すべき純度の高いアルミニウムが晶出し、高純度アルミニウム塊が形成される。るつぼ13、13・・・中の不純物濃度の高くなったアルミニウム溶湯は、排出溶湯受14へ排出される。
各冷却体130、130・・・の表面に晶出し、抽出されたアルミニウム塊は、回転しながら引き上げられ、回転が停止した後、冷却体130、130・・・から機械的に回収される。
各冷却体130、130・・・へ供給される冷却流体は、冷却能が大きいほうが生産性は高くなるが、一方、凝固速度が過度に大きくなる場合、回収されるアルミニウム塊の不純物濃度が高くなる。このため、精製するアルミニウム塊の純度に適合した回収重量と、不純物濃度のバランスの最適精製条件に配慮が必要である。
回収された精製塊は、つづく2次ラインの溶解炉21に投入され、溶解炉21から1次ラインと同様に、撹拌槽22と、連続するるつぼ23、23・・・に溶湯が送られる。1次ラインで精製塊を回収する場合、全ての冷却体130、130・・・から同時に回収する方法でも良いが、操業に連続性を持たせるために順次回収していく方法が望ましい。図1に示した例では、2次ラインにおけるるつぼ23の数は、1次ラインのるつぼ13の数よりも少ない5基に設定されている。
2次ラインの溶解炉21で溶解された不純物濃度の低い溶湯は、1次ラインと同様に溶解炉21または、撹拌槽22でホウ素を添加した後、撹拌槽22で撹拌される。1次ラインと同様に、撹拌槽22からの溶湯が、直列的に連続するるつぼ23、23・・・へ送られ、所定の量が満たされた段階で、内部をエアー、ガス、水蒸気等の冷却流体で冷却された冷却体230、230・・・を、各るつぼ23、23・・・のアルミニウム溶湯中に浸漬する。冷却体230、230・・・の表面において、1次ラインで得られた純度より、さらに高いアルミニウムが晶出し、塊を形成する。るつぼ中の不純物濃度の高いアルミニウム溶湯は、排出溶湯受24へ排出される。
2次ラインの各冷却体230、230・・・の表面に晶出した精製塊は、回転しながら引き上げられ、回転が停止した後、回収される。
回収された精製塊は、つづく3次ラインの溶解炉31に投入され、1次ラインと同様に撹拌槽32と、連続するるつぼ33、33・・・に、溶解炉31から溶湯が送られ、各るつぼ33、33・・・に対応する冷却体330、330・・・で順次精製塊が回収される。図2に示した例では、3次ラインにおけるるつぼ33の数は、2次ラインのるつぼ13の数よりも少ない3基に設定されている。
全てのラインまたは一部のラインで、撹拌槽とるつぼの間に、撹拌槽で精製した不溶性ホウ素化合物を除去できる分離槽を設けても良い。図2に示す例では、3次ラインの撹拌槽32とるつぼ33との間に分離槽35が設けられている。
分離槽35は、気泡で浮上分離された不溶性ホウ素化合物を分離するだけでなく、溶湯中に沈降する不溶性ホウ素化合物も除去するものであり、このため分離槽内にフィルターを設置しても良い。このとき、るつぼ33、33・・・中の不純物濃度の高くなったアルミニウム溶湯は、排出溶湯受34へ排出される。
図3に、3次ラインにおける溶解炉31、撹拌槽32、るつぼ33等の構成を記述するが、他のラインにおける溶解炉、撹拌槽、るつぼの構成も同じである。
撹拌槽32の上端部には溶解炉31から供給される溶湯を受ける受け樋としての連結樋36が設けられ、溶解炉31から最も離れたるつぼ33の上端部に溶湯排出樋としての連結樋36が設けられ、撹拌槽32とるつぼ33の間及び各るつぼ33同士は、連結樋36で連結されている。
撹拌槽32内には、図示しない駆動手段によって上下駆動するとともに回転するものとなされた回転軸321と、この回転軸321の下端に固定状に設けられた分散用回転体322とを備える分散装置320が配置されている。前記回転軸321には内部に長さ方向に伸びる処理ガス通路が形成され、前記分散用回転体322の下端面には処理ガス通路に連通する処理ガス吹出口(図示せず)が設けられているとともに、複数の撹拌促進用の突起が周方向に間隔をおいて形成されている。そして、回転軸321を回転させながら処理ガス通路に処理ガスを供給すると、貯留された溶湯が撹拌されるとともに、処理ガスが処理ガス吹出口から溶湯中に微細な気泡として放出され、溶湯60の全体に分散される。
また、撹拌槽32の出湯口323と対応する位置において、出湯口323の撹拌槽32内側端部および撹拌槽32内面における出湯口323の下方に連なる部分を覆うような水平断面略U字形の垂直隔壁324が設けられている。この垂直隔壁324により、ホウ素と包晶元素の反応で生成した不溶性ホウ素化合物が、その下流側のるつぼに流出するのを防止することができる。
前記撹拌槽32を経由した溶湯は分離槽35に流入する。分離槽35には隔壁351が設けられており、不溶性ホウ素化合物及び溶湯中に沈降する不溶性ホウ素化合物が除去された溶湯60が、次段のるつぼ33に流入する。
各るつぼ33、33・・・には、図示しない駆動手段によって上下駆動するとともに回転駆動される回転軸331に連結されて、前述の冷却体330、330・・・が配置されている。各回転軸331には内部に長さ方向に伸びる冷却流体通路(図示せず)が形成されている。また、各冷却体330は下方に向かって断面積が減少する有底の逆円錐台形状であり、前記冷却流体通路に連通する内部空間が形成され、冷却流体を冷却流体通路を介して内部空間に供給することによって溶湯に接触する外周面を所定の温度に保持し得るものとなされている。従って、前記冷却体330は、アルミニウム溶湯と反応により溶湯を汚染しないことはもとより、熱伝導性の良い材料、たとえば黒鉛等により形成されていることが好ましい。また、前記冷却体330は、上端部を除いた部分がアルミニウム溶湯中に浸漬する高さに設定される。
図4は、他の実施形態を示すものである。この例では、図2に示したシステムと同じく3次のラインから構成されるとともに、各ラインにおける装置の構成は、3次ラインにおける分離槽35が設置されていない点を除いて図2に示したものと同様である。
図4に示したシステムは、2次ラインにおける溶解炉21、撹拌槽22において適宜Al−B合金、またはそれに準ずるホウ素含有物を投入できる開口部を有する。溶解炉21より受け樋で受けた溶湯は撹拌槽22に達する。
而して、図4の例では、各るつぼ23、23・・・を通過して余剰となった溶湯については、最終段のるつぼ23から戻し装置27により1次ラインの溶解炉11に戻されるものとなされている。
また、3次ラインの各るつぼ33、33・・・を通過して余剰となった溶湯についても、最終のるつぼ33から戻し装置37により2次ラインの溶解炉21に戻されるものとなされている。
このように、最終のるつぼから余剰の溶湯を前ラインの溶解炉に戻すことにより、溶湯を効率的に使用でき、操業性に優れたシステムとなる。
[第1の実施形態に係る実施例]
(実施例1)
表1に示す不純物濃度(質量ppm)のアルミニウム原料からなるアルミニウム溶湯(元溶湯)をるつぼ1に収容し、精製処理を実施した。精製装置及び精製条件は次の通りである。
るつぼ1は、図1に示すように、溶湯上面における内径(開口部の内径と同じ)Dが520mm、深さHが800mmの有底円筒状で底面が下向き円弧面に形成されたものを用いた。冷却体2は上端側が径大の円錐台形状に形成され、溶湯上面における外径dが220mmのグラファイト製のものを使用した。
そして、冷却媒体として1500リットル/分の圧縮空気を冷却体2の内部に流通させ、回転周速度:4000mm/sの一定速度で冷却体2を回転させながら6分間、精製した。
このとき、るつぼ1の溶湯上面における内周面と冷却体2の外周面との水平方向の最短距離L1は150mm、るつぼ1内の溶融アルミニウムの存在部分全域において、るつぼの内周面と冷却体2の最下端における水平方向の距離L2は100mm、冷却体2の底面からるつぼ1の底面までの距離Aは300mm、冷却体2の溶融アルミニウム6中への浸漬深さaは200mmであった。
また、溶湯6への浸漬の際は冷却体2の温度を350℃とし、溶湯6に浸潰させる時及び6分間の精製後に溶湯から引き上げる際は、冷却体2を回転させなかった。
(実施例2〜9、比較例1)
るつぼ1の溶湯上面における内周面と冷却体2の外周面との水平方向の最短距離L1、るつぼ1内の溶湯の存在部分全域において、るつぼ1の内周面と冷却体2の最下端における水平方向の距離L2、るつぼ1の溶湯上面における内径D、溶湯上面における冷却体2の外径d、を表1のように設定した以外は、実施例1と同じ条件で、精製を行った。なお、アルミニウム溶湯の不純物濃度は表1の通りであった。
(実施例10)
実施例5の条件において、溶湯6への浸潰の際は冷却体2の温度を470℃(アルミニウムの固相線温度×0.7)とし、溶湯6への浸潰部分の最少径部の周速5000mm/sにて冷却体2を回転させながら浸漬し、精製開始から全精製時間×0.1まで、その周速を維持した。それ以降は周速を4000mm/sに設定した。
精製アルミニウムを6分間晶出させた後は、冷却体2に晶出した精製アルミニウムの最下端部の表面の周速を2500mm/sに設定し、冷却体2の最下端が溶融アルミニウムから完全に引き上げられるまで回転速度を維持した。
以上により得られたアルミニウム精製塊の重量、不純物濃度及び精製効率を表1に示す。精製効率は、得られたアルミニウム精製塊の不純物濃度の、元のアルミニウム溶湯に含まれる不純物濃度に対する比率で計算される。
また、エネルギー効率、設備難易度及び溶湯跳ねについての良否を表1に併せて示す。なお、エネルギー効率について◎は極めて良好、〇は良好、△は普通を示し、設備難易度について◎は低い、〇は若干低い、△は普通を示し、溶湯跳ねについて◎は全く無し、〇はほぼ無しを示す。
表1の結果から理解されるように、実施例1〜10については比較例よりも精製効率が高いものであった。また、実施例10では実施例5と較べて精製効率が良く、精製塊の重量が大きく、溶湯飛散も抑制できる結果となった。
Figure 0006746383
[第2の実施形態に係る実施例(図2に示したシステムに係る実施例)]
精製システムに供したアルミニウム原料と、精製後のアルミニウム塊の組成を表2に、各精製条件を表3に示す。
さらに、各条件での精製内容と比較例の事例を、表の後に引続き詳述する。
Figure 0006746383
Figure 0006746383
(実施例11)
図5に示すように、冷却体130、230を配置したるつぼ13、23の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個に設定した連続2回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、重量比で、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。
カーボン製冷却体の回転数は400rpmとし、エアーを流して内面を冷却し、8分間溶湯中で精製し、晶出した高純度アルミニウムを引き上げ、回収した。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ラインともに同じ条件で実施した。
また、各るつぼ13、23及び冷却体130、230は、第1の実施形態における実施例1と同じ仕様のものを用いた。ただし、各るつぼには、溶湯の液面の高さであるA+aの値が実施例1と同じになるように連通孔を形成し、その高さの液面を超えて上流側から溶湯が送り込まれた場合は、連通孔を介して下流側に溶湯を排出するように構成されている。回収率(高純度アルミニウム精製塊の回収総重量/投入アルミニウム原料重量)は33%である。
このときに2次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0016%、Si0.0023%、Ti0.002%、V0.005%であった。
(実施例12)
図6に示すように、冷却体130、230を配置したるつぼ13、23の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個に設定した連続2回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。1次ライン及び2次ラインにおける各溶解炉11、21の次段に配置した撹拌槽12、22にホウ素を濃度が0.007%になるように添加した。
冷却体(材質カーボン)の回転数は400rpmで、エアーを流して内面を冷却し、8分間溶湯中で精製し、晶出した高純度アルミニウムを引き上げ、回収した。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ラインともに同じ条件で実施した。
また、各るつぼ13、23及び冷却体130、230は、第1の実施形態における実施例1と同じ仕様のものを用いた。ただし、各るつぼには、溶湯の液面の高さであるA+aの値が実施例1と同じになるように連通孔を形成し、その高さの液面を超えて上流側から溶湯が送り込まれた場合は、連通孔を介して下流側に溶湯を排出するように構成されている。回収率は33%である。
このときに2次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0015%、Si0.0022%、Ti0.0001%、V0.0003%、B0.0015%であった。
なお、撹拌槽12、22を設けることなく、1次ライン及び2次ラインにおける各溶解炉11、21にホウ素を濃度が0.007%になるように添加した以外は、上記と同一の条件で試験を行ったところ、回収率、2次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成ともに、上記と同等の結果が得られた。
(実施例13)
図7に示すように、冷却体130,230、330を配置したるつぼ13、23、33の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個、3次ラインでは3個に設定した連続3回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。1次ライン、2次ライン及び3次ラインにおける各溶解炉11、21、31の次段に配置した撹拌槽12、22、32にホウ素を濃度が0.006%になるように添加した。
冷却体(材質カーボン)の回転数、冷却条件、溶湯浸漬時間等の精製条件は実施例11と同じである。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ライン、3次ラインともに同じ条件で実施した。
また、各るつぼ13、23、33及び冷却体130、230、330は、第1の実施形態における実施例1と同じ仕様のものを用いた。ただし、各るつぼには、溶湯の液面の高さであるA+aの値が実施例1と同じになるように連通孔を形成し、その高さの液面を超えて上流側から溶湯が送り込まれた場合は、連通孔を介して下流側に溶湯を排出するように構成されている。回収率は18%である。
このときに3次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0005%、Si0.0011%、Ti0.0001%、V0.0002%、B0.0012%であった。
(実施例14)
図8に示すように、冷却体130、230、330を配置したるつぼ13、23、33の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個、3次ラインでは3個に設定した連続3回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。1次ライン、2次ライン及び3次ラインにおける各溶解炉11、21、31の次段に配置した撹拌槽12、22、32にホウ素を濃度が0.006%になるように添加した。
このとき、各ラインにおいてB添加した撹拌槽12、22、32とるつぼ13、23、33の間に、分離槽16、26、35を設置した。冷却体(材質カーボン)の回転数、冷却条件、溶湯浸漬時間等の精製条件は実施例11と同じである。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ライン、3次ラインともに同じ条件で実施した。
また、各るつぼ13、23及び冷却体130、230は、第1の実施形態における実施例1と同じ仕様のものを用いた。ただし、各るつぼには、溶湯の液面の高さであるA+aの値が実施例1と同じになるように連通孔を形成し、その高さの液面を超えて上流側から溶湯が送り込まれた場合は、連通孔を介して下流側に溶湯を排出するように構成されている。回収率は18%である。
このときに3次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0005%、Si0.0010%、Ti0.0001%、V0.0001%、B0.0011%であった。
(実施例15)
図9に示すように、冷却体130、230、330、430を配置したるつぼ13、23、33、43の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個、3次ラインでは3個、4次ラインでは2個に設定した連続4回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。1次ライン、2次ライン、3次ライン及び4次ラインにおける各溶解炉11、21、31、41の次段に配置した撹拌槽12、22、32、42にホウ素を濃度が0.005%になるように添加した。
冷却体(材質カーボン)の回転数、冷却条件、溶湯浸漬時間等の精製条件は実施例11と同じである。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ライン、3次ライン、4次ラインともに同じ条件で実施した。
また、各るつぼ13、23、33、43及び冷却体130、230、330、430は、第1の実施形態における実施例1と同じ仕様のものを用いた。ただし、各るつぼには、溶湯の液面の高さであるA+aの値が実施例1と同じになるように連通孔を形成し、その高さの液面を超えて上流側から溶湯が送り込まれた場合は、連通孔を介して下流側に溶湯を排出するように構成されている。回収率は12%である。
このときに4次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0003%、Si0.0006%、Ti0.0001%、V0.0001%、B0.0009%であった。
(比較例16)
各るつぼ13、23及び冷却体130、230として、第1の実施形態における比較例1と同じ仕様のものを用いた以外は、実施例11と同じ条件で、精製を行った。
このときの回収率は33%であり、得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0022%、Si0.003%、Ti0.002%、V0.005%であった。
表2から理解されるように、実施例の方法では比較例よりも各元素の濃度が低くなった。
[第2の実施形態に係る実施例(図4に示したシステムに係る実施例)]
精製システムに供したアルミニウム母材と、精製後のアルミニウム塊の組成を表4に、各精製条件を表5に示す。
さらに、各条件での精製内容と比較例の事例を、表の後に引続き詳述する。
Figure 0006746383
Figure 0006746383
(実施例17)
図10に示すように、冷却体130、230を配置したるつぼ13、23の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個に設定した連続2回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、重量比で、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。
このとき、2次ラインの最後尾のるつぼ23からは、溶湯戻し装置27を通じて1次ラインの溶解炉11に溶湯が戻入されるものとした。
カーボン製冷却体の回転数は400rpmとし、エアーを流して内面を冷却し、8分間溶湯中で精製し、晶出した高純度アルミニウムを引き上げ、回収した。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ラインともに同じ条件で実施した。
また、各るつぼ13、23及び冷却体130、230は、第1の実施形態における実施例1と同じ仕様のものを用いた。ただし、各るつぼには、溶湯の液面の高さであるA+aの値が実施例1と同じになるように連通孔を形成し、その高さの液面を超えて上流側から溶湯が送り込まれた場合は、連通孔を介して下流側に溶湯を排出するように構成されている。回収率(高純度アルミニウム塊の回収総重量/元のアルミニウム供給量)は75%である。
このときに2次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0015%、Si0.0022%、Ti0.002%、V0.005%であった。
(実施例18)
図11に示すように、冷却体130、230を配置したるつぼ13、23の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個に設定した連続2回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。1次ライン及び2次ラインにおける各溶解炉11、21の次段に配置した撹拌槽12、22にホウ素を濃度が0.007%になるように添加した。
このとき、2次ラインの最後尾のるつぼ23からは、溶湯戻し装置27を通じて1次ラインの溶解炉11に溶湯が戻入される。
冷却体(材質カーボン)の回転数は400rpmで、エアーを流して内面を冷却し、8分間溶湯中で精製し、晶出した高純度アルミニウムを引き上げ、回収した。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ラインともに同じ条件で実施した。
また、各るつぼ13、23及び冷却体130、230は、第1の実施形態における実施例1と同じ仕様のものを用いた。ただし、各るつぼには、溶湯の液面の高さであるA+aの値が実施例1と同じになるように連通孔を形成し、その高さの液面を超えて上流側から溶湯が送り込まれた場合は、連通孔を介して下流側に溶湯を排出するように構成されている。回収率は75%である。
このときに2次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0015%、Si0.0021%、Ti0.0001%、V0.0003%、B0.0012%であった。
(実施例19)
図12に示すように、冷却体130、230、330を配置したるつぼ13、23、33の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個、3次ラインでは3個に設定した連続3回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、重量比でFe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。1次ライン、2次ライン及び3次ラインにおける各溶解炉11、21、31の次段に配置した撹拌槽12、22、32にホウ素を濃度が0.006%になるように添加した。
このとき、2次ラインの最後尾のるつぼ23からは、溶湯戻し装置27を通じて1次ラインの溶解炉11へ、3次ラインの最後尾のるつぼ33からは、溶湯戻し装置37を通じて2次ラインの溶解炉21へ溶湯が戻入される。冷却体(材質カーボン)の回転数、冷却条件、溶湯浸漬時間等の精製条件は実施例11と同じである。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ライン、3次ラインともに同じ条件で実施した。
また、各るつぼ13、23、33及び冷却体130、230、330は、第1の実施形態における実施例1と同じ仕様のものを用いた。ただし、各るつぼには、溶湯の液面の高さであるA+aの値が実施例1と同じになるように連通孔を形成し、その高さの液面を超えて上流側から溶湯が送り込まれた場合は、連通孔を介して下流側に溶湯を排出するように構成されている。回収率は75%である。
このときに3次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0005%、Si0.0011%、Ti0.0001%、V0.0002%、B0.0010%であった。
(実施例20)
図13に示すように、冷却体130、230、330を配置したるつぼ13、23、33の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個、3次ラインでは3個に設定した連続3回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。1次ライン、2次ライン及び3次ラインにおける各溶解炉11、21、31の次段に配置した撹拌槽12、22、32にホウ素を濃度が0.006%になるように添加した。
このとき、各ラインにおいてB添加した撹拌槽12、22、32とるつぼ13、23、33の間に、分離槽16、26、35を設置して用いた。冷却体(材質カーボン)の回転数、冷却条件、溶湯浸漬時間等の精製条件は実施例11と同じである。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ライン、3次ラインともに同じ条件で実施した。
また、各るつぼ13、23、33及び冷却体130、230、330は、第1の実施形態における実施例1と同じ仕様のものを用いた。ただし、各るつぼには、溶湯の液面の高さであるA+aの値が実施例1と同じになるように連通孔を形成し、その高さの液面を超えて上流側から溶湯が送り込まれた場合は、連通孔を介して下流側に溶湯を排出するように構成されている。回収率は75%である。
このときに3次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0005%、Si0.001%、Ti0.0001%、V0.0001%、B0.0010%であった。
(実施例21)
図14に示すように、冷却体130、230、330、430を配置したるつぼ13、23、33、43の数を、1次ラインでは10個、2次ラインでは5個、3次ラインでは3個、4次ラインでは2個に設定した連続4回精製システムにて、アルミニウムを精製した。元のアルミニウム中に含まれる組成は、Fe0.04%、Si0.02%、Ti0.001%、V0.003%である。1次ライン、2次ライン、3次ライン及び4次ラインにおける各溶解炉11、21、31、41の次段に配置した撹拌槽12、22、32、42にホウ素を濃度が0.005%になるように添加した。
冷却体(材質カーボン)の回転数、冷却条件、溶湯浸漬時間等の精製条件は実施例11と同じである。この操作を一日以上繰り返し、操業中は常に元のアルミニウムを溶解、供給し、常に一定の湯面を保つように配慮した。1次ライン、2次ライン、3次ライン、4次ラインともに同じ条件で実施した。
また、各るつぼ13、23、33、43及び冷却体130、230、330、430は、第1の実施形態における実施例1と同じ仕様のものを用いた。ただし、各るつぼには、溶湯の液面の高さであるA+aの値が実施例1と同じになるように連通孔を形成し、その高さの液面を超えて上流側から溶湯が送り込まれた場合は、連通孔を介して下流側に溶湯を排出するように構成されている。回収率は75%である。
このときに4次ラインで得られた高純度アルミニウム塊の平均組成は、Fe0.0003%、Si0.0006%、Ti0.0001%以下、V0.0001%、B0.0008%であった。
11、21、31、41 溶解炉
12、22、32、42 撹拌槽
1、13、23、33、43 るつぼ(溶湯保持容器)
2、130、230、330 冷却体
16、26、35 分離槽
15、25、36、46 樋
27、37、47 溶湯戻し装置
6、60 溶湯

Claims (25)

  1. 溶湯保持容器に収容した精製すべき溶融物質中に冷却体を浸漬し、この冷却体を回転させながら冷却体表面に前記物質の結晶を晶出させる物質精製方法において、
    前記溶湯保持容器の溶湯上面における内周面と前記冷却体の外周面との水平方向の最短距離L1が150mm以上500mm以下で、かつ溶湯保持容器内の溶融物質の存在部分全域において、溶湯保持容器の内周面と冷却体の最下端における水平方向の距離L2が100mm以上500mm以下であることを特徴とする物質精製方法。
  2. 前記溶湯保持容器の溶湯上面における内周面と前記冷却体の外周面との水平方向の最短距離L1が200mm以上であり、溶湯保持容器の内周面と冷却体の最下端における水平方向の距離L2が150mm以上である請求項1に記載の物質精製方法。
  3. 前記溶融物質の溶湯上面における冷却体の外径dが200mm以上であり、かつ前記溶湯保持容器の溶湯上面における内径Dが500mm以上である請求項1または2に記載の物質精製方法。
  4. 前記溶融物質の溶湯上面における冷却体の外径dが500mm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の物質精製方法。
  5. 前記溶湯保持容器の溶湯上面における内径Dが650mm以上1300mm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の物質精製方法。
  6. 前記冷却体の周速が700mm/s以上8000mm/s未満となるように冷却体を回転させながら溶融物質中に浸漬させていき、且つ溶融物質に浸漬するときの冷却体の温度を、前記物質の固相線温度×0.7以上で固相線温度以下とする請求項1〜5のいずれかに記載の物質精製方法。
  7. 前記冷却体の表面に前記物質の結晶を晶出、成長させた後に冷却体を溶融物質から引き上げるときに、冷却体に晶出した結晶部分の溶融物質との界面における周速が700mm/s以上、8000mm/s未満となるように冷却体を回転させながら引き上げを行う請求項1〜6のいずれかに記載の物質精製方法。
  8. 冷却体浸漬後の精製初期の冷却体の最大周速がその後の平均周速より高速である請求項1〜7のいずれかに記載の物質精製方法。
  9. 精製初期とは精製開始から全精製時間×0.1まで(但し、10秒以上120秒以下)である請求項8に記載の物質精製方法。
  10. 前記物質がアルミニウムである請求項1〜9のいずれかに記載の物質精製方法。
  11. 精製すべき溶融物質を収容する溶湯保持容器と、前記溶湯保持容器に収容された溶融物質中に浸漬される回転可能な冷却体とを備え、
    前記溶湯保持容器の溶湯上面における内周面と前記冷却体の外周面との水平方向の最短距離L1が150mm以上500mm以下で、かつ溶湯保持容器内の溶融物質の存在部分全域において、溶湯保持容器の内周面と冷却体の最下端における水平方向の距離L2が100mm以上500mm以下に設定されていることを特徴とする物質精製装置。
  12. 前記溶湯保持容器の溶湯上面における内周面と前記冷却体の外周面との水平方向の最短距離L1が200mm以上であり、溶湯保持容器の内周面と冷却体の最下端における水平方向の距離L2が150mm以上に設定されている請求項11に記載の物質精製装置。
  13. 前記溶融物質の溶湯上面における冷却体の外径dが200mm以上であり、かつ前記溶湯保持容器の溶湯上面における内径Dが500mm以上である請求項11または12に記載の物質精製装置。
  14. 前記溶融物質の溶湯上面における冷却体の外径dが500mm以下である請求項11〜13のいずれかに記載の物質精製装置。
  15. 前記溶湯保持容器の溶湯上面における内径Dが650mm以上1300mm以下である請求項11〜14のいずれかに記載の物質精製装置。
  16. 物質を溶解するための溶解炉と、請求項11〜15のいずれかに記載の物質精製装置に用いられ、前記溶解炉からの溶湯が順に送り込まれる、直列的に連結された複数の溶湯保持容器と、請求項11〜15のいずれかに記載の物質精製装置に用いられ、各溶湯保持容器と対を成し、溶湯内で高純度物質を晶出させるための回転可能な冷却体とを備え、最終の溶湯保持容器から系外へ溶湯が排出される一連の装置を1組のラインとし、
    前記ラインが複数組用いられたN次ライン(ただし2≦N)からなり、(n−1)次ライン(ただし2≦n≦N)で冷却体に付着凝固して回収された高純度物質塊は、続くn次ラインの溶解炉で溶解され、溶解炉で溶解された溶湯が順々に溶湯保持容器を通り、排出されるものとなされ、
    かつ、n次ラインの前記溶湯保持容器及び該保持槽と対に配置された前記冷却体の数は、(n−1)次ラインのそれより少ないことを特徴とする高純度物質の連続精製システム。
  17. ラインの次数Nが2または3であることを特徴とする請求項16に記載の高純度物質の連続精製システム。
  18. 前記物質がアルミニウムであり、前記複数組のラインの内、1つあるいは複数のラインの溶解炉にホウ素が添加されることを特徴とする請求項16または17に記載の高純度物質の連続精製システム。
  19. 溶解炉と溶湯保持容器の間に、ホウ素の添加が可能な撹拌槽が設置され、前記溶解炉から撹拌槽までの間のいずれかの場所においてホウ素が添加されるものとなされていることを特徴とする請求項18に記載の高純度物質の連続精製システム。
  20. 溶解炉と溶湯保持容器の間に、包晶不純物を不溶性ホウ素化合物として分離抽出が可能な分離槽が設置されていることを特徴とする請求項18または19に記載の高純度物質の連続精製システム。
  21. 物質を溶解するための溶解炉と、請求項11〜15のいずれかに記載の物質精製装置に用いられ、前記溶解炉からの溶湯が順に送り込まれる、直列的に連結された複数の溶湯保持容器と、請求項11〜15のいずれかに記載の物質精製装置に用いられ、各溶湯保持容器と対を成し、溶湯内で高純度物質を晶出させるための回転可能な冷却体と、を備え、最終の溶湯保持容器から系外へ溶湯が排出される一連の装置を1組のラインとし、
    前記ラインが複数組用いられたN次ライン(ただし2≦N)からなり、(n−1)次ライン(ただし2≦n≦N)で回転冷却体に付着凝固して回収された高純度物質塊は、続くn次ラインの溶解炉で溶解され、溶解炉で溶解された溶湯が順々に溶湯保持容器を通り、
    排出されるものとなされ、
    1次ラインで排出される溶湯はライン外に排出される一方、n次ラインで排出される溶湯は(n−1)次ラインの溶解炉に戻されるものとなされ、
    かつ、n次ラインの前記溶湯保持容器及び該保持槽と対に配置された前記冷却体の数は、(n−1)次ラインのそれより少ないことを特徴とする高純度物質の連続精製システム。
  22. ラインの次数Nが2または3であることを特徴とする請求項21に記載の高純度物質の連続精製システム。
  23. 前記物質がアルミニウムであり、前記複数組のラインの内、1つあるいは複数のラインの溶解炉にホウ素が添加されることを特徴とする請求項21または22に記載の高純度物質の連続精製システム。
  24. 溶解炉と溶湯保持容器の間に、ホウ素の添加が可能な撹拌槽が設置され、前記溶解炉から撹拌槽までの間のいずれかの場所においてホウ素が添加されるものとなされていることを特徴とする請求項23に記載の高純度物質の連続精製システム。
  25. 溶解炉と溶湯保持容器の間に、包晶不純物を不溶性ホウ素化合物として分離抽出が可能な分離槽が設置されていることを特徴とする請求項23または24に記載の高純度物質の連続精製システム。
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