JP6745564B1 - 合成繊維用処理剤及び合成繊維 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、紡糸工程での油剤の飛散を低減できるとともに、硬水等の水質の悪い水での乳液安定性を向上できる合成繊維用処理剤を提供する処にある。また、この合成繊維用処理剤が付着した合成繊維を提供する処にある。
R1:炭素数7〜23の飽和炭化水素基、又は炭素数7〜23の不飽和炭化水素基。
上記合成繊維用処理剤において、前記平滑剤が、さらに下記の化2で示されるエステルA2を含むものであることが好ましい。
R2:炭素数7〜23の飽和炭化水素基、又は炭素数7〜23の不飽和炭化水素基。
Y2:水素原子。
Z2:水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜17の直鎖の飽和炭化水素基、炭素数3〜17の分岐鎖構造を有する飽和炭化水素基、炭素数3〜17の直鎖の不飽和炭化水素基、又は炭素数3〜17の分岐鎖構造を有する不飽和炭化水素基。)
上記合成繊維用処理剤において、前記エステルA1及び前記エステルA2の含有割合の合計を100質量%とすると、前記エステルA1を55〜100質量%の割合で含有するものであることが好ましい。
上記課題を解決するための合成繊維は、前記合成繊維用処理剤が付着していることを特徴とする。
先ず、本発明に係る合成繊維用処理剤(以下、処理剤ともいう)を具体化した第1実施形態について説明する。本実施形態の処理剤は、平滑剤、非イオン界面活性剤、及びイオン界面活性剤を含有する。
R1:炭素数7〜23の飽和炭化水素基、又は炭素数7〜23の不飽和炭化水素基。
これらのエステルA1は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
R2:炭素数7〜23の飽和炭化水素基、又は炭素数7〜23の不飽和炭化水素基。
Y2:水素原子。
Z2:水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜17の直鎖の飽和炭化水素基、炭素数3〜17の分岐鎖構造を有する飽和炭化水素基、炭素数3〜17の直鎖の不飽和炭化水素基、又は炭素数3〜17の分岐鎖構造を有する不飽和炭化水素基。)
これらのエステルA2は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
Z2を構成する炭素数3〜17の直鎖の飽和炭化水素基の具体例としては、例えばプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基等が挙げられる。
処理剤中において、エステルA1及びエステルA2の含有割合の合計を100質量%とすると、エステルA1の含有割合は、適宜設定されるが、55〜100質量%の割合で含有することが好ましい。かかる範囲に規定することにより、特に硬水等の水質の悪い水での乳液安定性をより向上できる。
処理剤中において平滑剤の含有量は、適宜設定されるが、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%である。かかる範囲に規定されることにより、繊維の平滑性を向上できる。
処理剤中においてイオン界面活性剤の含有量は、適宜設定されるが、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは3〜16質量%、さらに好ましくは6〜13質量%である。かかる範囲に規定されることにより、本発明の効果、エマルションにした際の安定性、又は帯電防止性を向上できる。
次に、本発明による合成繊維を具体化した第2実施形態を説明する。本実施形態の合成繊維は、第1実施形態の処理剤が付着している合成繊維である。処理剤を合成繊維に付着させる際の形態としては、希釈溶媒で希釈した希釈溶液、例えば有機溶媒溶液、水性液等として付与してもよい。水性液等の希釈溶液を、例えば紡糸、延伸工程等において合成繊維に付着させる工程を経て得られる合成繊維である。合成繊維に付着した希釈液は、乾燥工程により水分を蒸発させてもよい。
(1)上記実施形態の処理剤では、平滑剤、非イオン界面活性剤、及びイオン界面活性剤を有するように構成した。そして、平滑剤が上述したエステルA1を含み、かつ平滑剤中にエステルA1を40〜100質量%の割合で含有し、非イオン界面活性剤として分岐鎖構造を有する炭素数4〜24の脂肪族アルコールのアルキレンオキサイド付加物を含有するよう構成した。したがって、紡糸工程での油剤の飛散を低減できる。そのため、得られる合成繊維において、処理剤の各種機能を効率的に発揮できる。また、硬水等の水質の悪い水での乳液安定性を向上できる。そのため、水質によらず糸の製造安定性を向上できる。
・本実施形態の処理剤は、水を含有させた水性液の形態で保存してもよい。処理剤及び水の含有割合は、特に限定されない。処理剤の含有割合を100質量部とすると、水が5〜30質量部の割合で含有するものが好ましく、5〜20質量部の割合で含有するものがより好ましい。かかる配合割合に規定することにより、水性液のハンドリング性を向上させるとともに、経時安定性を向上させる。なお、水性液の調製時に用いられる水の種類としては、特に限定されず、不純物をほとんど含まない蒸留水、Caイオン、Mgイオン等を含有する硬水又は軟水であってもよい。
各実施例、各比較例に用いた処理剤は、表1〜4に示される各成分を使用し、下記調製方法により得た。
・2−プロピルへプチルオレアート(A1−1)の合成
フラスコにオレイン酸282g(1モル)及び2−プロピルヘプチルアルコール158g(1モル)を仕込み、窒素ガス下に75℃で溶融した後、触媒としてパラトルエンスルホン酸0.6gを加え、120℃で2mmHgの減圧下で4時間反応させた。次いで窒素ガス下に105℃で常圧に戻し、吸着剤を添加して触媒を処理した。そして90℃で濾過し、エステルA1−1を含む混合物を得た。
平滑剤として2-プロピルへプチルオレアート(A1−1)を50%、非イオン界面活性剤としてイソヘキサノールのエチレンオキサイド10モル・プロピレンオキサイド8モルのランダム付加物(B−1)を10%、硬化ひまし油のエチレンオキサイド20モル付加物(b−1)を15%、オレイン酸のエチレンオキサイド7モル付加物(b−2)を15%、イオン界面活性剤としてポリオキシエチレン(2モル:エチレンオキサイドの付加モル数を示す(以下、同様)。)ラウリルエーテルのリン酸エステルとカリウムとの塩を4.9%(C−1)、2級アルキルスルホン酸ナトリウム(炭素数13−15)(C−2)を4%、オレイン酸カリウム(C−3)を1%、酸化防止剤として1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン(D−1)を0.1%を均一混合し、実施例1の処理剤としての混合物を得た。
実施例1の処理剤の調製と同様に、表3,4に示される成分を用いて実施例2〜33及び比較例1〜5の処理剤を調製した。なお、表3,4においては、処理剤中における各成分の種類を示すとともに、処理剤を100%とした場合の各成分の配合比率(%)を示す。
a−1:2−ドデシルヘキサデシルオレアート
a−2:なたね油
a−3:鉱物油(180レッドウッド秒、30℃)
a−4:2−エチルトリデシルプロピオナート
a−5:2−デシルテトラデカノールとチオジプロピオン酸のジエステル
a−6:ポリオキシエチレン(3モル)ラウリルエーテルとチオジプロピオン酸のジエステル
B−1:イソヘキサノールのエチレンオキサイド10モル・プロピレンオキサイド8モルのランダム付加物
B−2:2−エチルヘキサノールのプロピレンオキサイド15モル−エチレンオキサイド13モルのブロック付加物
B−3:2−オクチルドデカノールのエチレンオキサイド8モル・プロピレンオキサイド6モルのランダム付加物
b−1:硬化ひまし油のエチレンオキサイド20モル付加物
b−2:オレイン酸のエチレンオキサイド7モル付加物
b−3:ラウリルアルコールのエチレンオキサイド7モル付加物
b−4:トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド24モル付加物とステアリン酸とのジエステル
b−5:硬化ひまし油のエチレンオキサイド25モル付加物
b−6:牛脂アルキルアミンのエチレンオキサイド15モル付加物
b−7:テトラデシルオクタデカノールのエチレンオキサイド10モル・プロピレンオキサイド4モルのランダム付加物
C−1:ポリオキシエチレン(2モル)ラウリルエーテルのリン酸エステルとカリウムとの塩
C−2:2級アルキルスルホン酸ナトリウム(炭素数13−15)
C−3:オレイン酸カリウム
D−1:1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン
D−2:トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]
D−3:ポリジメチルシロキサン(粘度20mm2/s(25℃))
を示す。
・延伸糸の製造
上記のように得られた各処理剤に、所定量のイオン交換水を添加し、均一混合して、処理剤の濃度10%の水性液を調製した。固有粘度0.64、酸化チタン含有量0.2%のポリエチレンテレフタラートのチップを常法により乾燥した後、エクストルーダーを用いて295℃で紡糸した。口金から吐出して冷却固化した後、走行糸条に前記の水性液を、計量ポンプを用いたガイド給油法にて、走行糸条に対し処理剤として1.0%となるよう付着させた。その後、ガイドで集束させて、90℃に加熱した引き取りローラーにより1400m/分の速度で引き取り、ついで引き取りローラーと4800m/分の速度で回転する延伸ローラーとの間で3.2倍に延伸し、83.3デシテックス(75デニール)36フィラメントの延伸糸を製造した。上述した製造方法において、飛散性について評価した。また、処理剤に関する水質の悪い水での乳液安定性について硬水安定性として次の方法で評価した。結果を表3,4に示す。
上記方法で得た延伸糸のパッケージを得る際、オイリングノズルでの飛散状況を10分間目視にて確認した。以下の評価基準で飛散性を評価した。結果を表3,4の「飛散性」欄に示す。
◎(良好):稀に飛散が確認される場合
○(可):飛散が確認されるが少量である場合
×(不良):常時、多量の飛散が確認される場合
・硬水安定性の評価
試験区分1で調製した各例の処理剤について、処理剤15部と下記の硬水85部を均一混合して、処理剤の濃度15%の硬水水性液を調製した。
更に調製した硬水水性液を30℃で24時間静置した後に目視観察し、下記の評価基準で析出粒子を評価した。結果を表3,4の「硬水安定性」欄に示す。
◎◎(優れる):析出粒子が全く観察されない場合
◎(良好):析出粒子がわずかに観察される場合
○(可):析出粒子が観察されるが、分散している場合
×(不良):析出粒子が多量に観察され、沈殿も生じている場合
表3,4の結果からも明らかなように、各実施例の処理剤は、飛散性及び硬水安定性の評価がいずれも可以上の評価であった。本発明によれば、紡糸工程での油剤の飛散を低減できるとともに、硬水等の水質の悪い水での乳液安定性を向上できる。
Claims (7)
- 平滑剤、非イオン界面活性剤、及びイオン界面活性剤を含有する合成繊維用処理剤であって、前記平滑剤が、下記の化1で示されるエステルA1を含み、かつ前記平滑剤中に前記エステルA1を40〜100質量%の割合で含有し、かつ前記非イオン界面活性剤が分岐鎖構造を有する炭素数4〜24の脂肪族アルコールのアルキレンオキサイド付加物を含有することを特徴とする合成繊維用処理剤。
R1:炭素数7〜23の飽和炭化水素基、又は炭素数7〜23の不飽和炭化水素基。
X1,Y1,Z1:水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜21の直鎖の飽和炭化水素基、炭素数3〜21の分岐鎖構造を有する飽和炭化水素基、炭素数3〜21の直鎖の不飽和炭化水素基、又は炭素数3〜21の分岐鎖構造を有する不飽和炭化水素基。
但し、X1及びY1の少なくとも1つがメチル基、エチル基、又は前記炭化水素基であり、X1、Y1及びZ1の炭素数の合計が5〜21のものである。) - 前記平滑剤が、さらに下記の化2で示されるエステルA2を含むものである請求項1に記載の合成繊維用処理剤。
R2:炭素数7〜23の飽和炭化水素基、又は炭素数7〜23の不飽和炭化水素基。
X2:水素原子。
Y2:水素原子。
Z2:水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜17の直鎖の飽和炭化水素基、炭素数3〜17の分岐鎖構造を有する飽和炭化水素基、炭素数3〜17の直鎖の不飽和炭化水素基、又は炭素数3〜17の分岐鎖構造を有する不飽和炭化水素基。) - 前記エステルA1及び前記エステルA2の含有割合の合計を100質量%とすると、前記エステルA1を55〜100質量%の割合で含有するものである請求項2に記載の合成繊維用処理剤。
- 前記化1のX1が、メチル基、エチル基、炭素数3〜21の直鎖の飽和炭化水素基、炭素数3〜21の分岐鎖構造を有する飽和炭化水素基、炭素数3〜21の直鎖の不飽和炭化水素基、又は炭素数3〜21の分岐鎖構造を有する不飽和炭化水素基である請求項1〜3のいずれか一項に記載の合成繊維用処理剤。
- 前記非イオン界面活性剤が、分岐鎖構造を有する炭素数4〜14の脂肪族アルコール1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを合計で1〜100モルの割合で付加させた化合物を含有するものである請求項1〜4のいずれか一項に記載の合成繊維用処理剤。
- 前記化1は、X1、Y1及びZ1の炭素数の合計が6〜12のものである請求項1〜5のいずれか一項に記載の合成繊維用処理剤。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の合成繊維用処理剤が付着していることを特徴とする合成繊維。
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