本明細書において、含有量の単位「w/v%」は、「g/100mL」と同義である。
本明細書において、含有量の単位「w/w%」は、「g/100g」の重量%と同義である。
本発明の眼科用組成物は、レバミピド、レバミピドの塩、レバミピド誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有し、疲れ目改善及び/又はかすみ目改善用である、マルチドーズ型容器に収容されるための眼科用組成物である。
本明細書の眼科用組成物は、好ましくは水性眼科用組成物であり、水を組成物全体の1重量%以上、好ましくは、5重量%以上、より好ましくは、20重量%以上、さらに好ましくは、50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、最も好ましくは、90重量%以上含む。本発明の眼科用組成物に含有される水は、医薬上、薬理学的に又は生理学的に許容されるものであればよい。例えば、蒸留水、常水、精製水、滅菌精製水、注射用水、注射用蒸留水等を使用できる。これらの定義は第十六改正日本薬局方に基づく。
本明細書において、レバミピドは、2−(4−クロロベンゾイルアミノ)−3−(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−4−イル)プロピオン酸(2-(4-Chlorobenzoylamino)-3-(2-oxo-1,2-dihydroquinolin-4-yl)propanoic acid) とも称される化合物である。レバミピドは、公知の方法により合成してもよく市販品として入手することもできる。
レバミピド誘導体としては、例えば、レバミピドのエステル化誘導体、エーテル化誘導体、アミド化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体、ニトロソ化誘導体、ハロゲン化誘導体等を挙げることができるが、これらに限定されない。好ましくは、誘導体は、エステル化誘導体及び/又はエーテル化誘導体であり、より好ましくはエステル化誘導体である。
本発明で使用されるレバミピドまたはレバミピド誘導体の塩としては、医薬上、薬理学的に又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されないが、具体的には、有機酸塩、無機酸塩、有機塩基、または無機塩基が挙げられる。有機酸塩としては、例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酪酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩等のモノカルボン酸塩;フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩等の多価カルボン酸塩;乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等のオキシカルボン酸塩;メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩等の有機スルホン酸塩が例示される。無機酸塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩が例示される。有機塩基との塩としては、例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、トリピリジン、ピコリン、エチレンジアミン等の有機アミンとの塩が挙げられる。無機塩基との塩としては、例えば、アンモニウム塩; ナトリウムまたはカリウム等アルカリ金属、カルシウムまたはマグネシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム等の金属との塩等の各種の塩が挙げられる。これらのレバミピドの塩またはレバミピド誘導体の塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。「薬学的又は生理学的に許容される塩」には、塩の溶媒和物又は水和物を含んでいてもよい。
本発明の眼科用組成物には、レバミピド、レバミピドの塩、レバミピド誘導体、又はそれらの塩の中から、1種のものを単独で使用してもよく、また2種以上のものを任意に組み合わせて使用してもよい。これらの中でも本発明の効果をより顕著に奏する観点から、好ましくはレバミピドが用いられる。
本発明の眼科用組成物において、眼科用組成物総量に対するレバミピド、レバミピドの塩、レバミピド誘導体、又はそれらの塩の総含有量は、他の配合成分の種類及びそれらの含有量、又は水性組成物の製剤形態等に応じて適宜設定される。眼科用組成物の総量に対して、レバミピド、レバミピドの塩、レバミピド誘導体、又はそれらの塩の総含有量は、限定はされないが、好ましくは0.0001w/v%以上であり、より好ましくは0.001w/v%以上、さらに好ましくは0.01w/v%以上、特に好ましくは0.05w/v%以上である。眼科用組成物の総量に対して、レバミピド、レバミピドの塩、レバミピド誘導体、又はそれらの塩の総含有量は、限定はされないが、好ましくは10w/v%以下であり、より好ましくは5w/v%以下、さらに好ましくは3w/v%以下、特に好ましくは2w/v%以下である。眼科用組成物の総量に対して、レバミピド、レバミピドの塩、レバミピド誘導体、又はそれらの塩の総含有量は、限定はされないが、好ましくは0.0001w/v%〜10w/v%、より好ましくは0.001w/v%〜5w/v%、さらに好ましくは0.01w/v%〜3w/v%、特に好ましくは0.05w/v%〜2w/v%である。
本発明の眼科用組成物は、可溶化状態であることが好ましく、成分の結晶等の析出が抑制され、光照射条件下で長期間に亘って保存した場合であっても、良好な状態が保持されることが好ましい。
本発明の眼科用組成物は、レバミピド、レバミピドの塩、レバミピド誘導体、又はそれらの塩の他に、界面活性剤を含有することが好ましい。本発明の眼科用組成物に配合可能な界面活性剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば特に制限されず、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤のいずれであってもよい。これらの界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
本発明の眼科用組成物に配合可能な非イオン界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシエチレン(以下、POEともいう。)−ポリオキシプロピレン(以下、POPともいう。)ブロックコポリマー (例えば、ポロクサマー407 、ポロクサマー235 、ポロクサマー188 などのポロクサマー類) ;ポロキサミンなどのエチレンジアミンのPOE-POPブロックコポリマー付加物;モノラウリル酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート20) 、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン (ポリソルベート80) 、POEソルビタンモノステアレート(ポリソルベート60)、POEソルビタントリステアレート(ポリソルベート65)などのPOEソルビタン脂肪酸エステル類;POE(5)硬化ヒマシ油、POE(10)硬化ヒマシ油、POE(20)硬化ヒマシ油、POE(40)硬化ヒマシ油、POE(50)硬化ヒマシ油、POE(60)硬化ヒマシ油、POE(100)硬化ヒマシ油などのPOE硬化ヒマシ油類;POE(3)ヒマシ油、POE(10)ヒマシ油、POE(35)ヒマシ油などのPOEヒマシ油類;POE(9) ラウリルエーテルなどのPOEアルキルエーテル類;POE(20)POP(4) セチルエーテルなどのPOE・POPアルキルエーテル類;POE(10)ノニルフェニルエーテルなどのPOEアルキルフェニルエーテル類;ステアリン酸ポリオキシル40などのモノステアリン酸ポリエチレングリコールなどが挙げられる。なお、括弧内の数字はPOP又はPOEの平均付加モル数を示す。
陽イオン界面活性剤としては、具体的には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が例示される。
また、本発明の眼科用組成物に配合可能な陰イオン界面活性剤としては、具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、脂肪族a-スルホメチルエステル、a-オレフィンスルホン酸等が例示される。
両性界面活性剤としては、アルキルジアミノエチルグリシン等のグリシン型、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の酢酸ベタイン型、イミダゾリン型等の界面活性剤が例示される。
陰イオン界面活性剤としては、POE(10)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等のPOEアルキルエーテルリン酸及びその塩、ラウロイルメチルアラニンナトリウム等のN−アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、N−ココイルメチルタウリンナトリウム等のN−アシルタウリン塩、テトラデセンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、POE(3) ラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のPOEアルキルエーテル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等が例示される。
これらの界面活性剤の中でも、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤が好適であり、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤がより好適であり、非イオン界面活性剤が更に好適である。非イオン界面活性剤の好適な例としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポロクサマー類、及びモノステアリン酸ポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種の非イオン界面活性剤であり、さらに好ましくは、ポロクサマー407、ポロクサマー188、POE(10)ヒマシ油(ポリオキシエチレンヒマシ油10)、POE(35)ヒマシ油(ポリオキシエチレンヒマシ油35)、ポリソルベート80、POE(40)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40)、POE(60)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60)、ステアリン酸ポリオキシル40であり、特に好ましくは、ポリソルベート80、POE(60)硬化ヒマシ油である。
本発明の眼科用組成物に界面活性剤を配合する場合、界面活性剤の配合割合については、界面活性剤の種類、他の成分の種類や量、眼科用組成物の用途等に応じて適宜設定できる。界面活性剤の配合割合の一例として、眼科用組成物総量に対して、界面活性剤の総量が、好ましくは0.001w/v%以上、より好ましくは0.005w/v%以上、さらに好ましくは、0.01w/v%以上、特に好ましくは0.1w/v%以上であり、好ましくは、5w/v%以下、より好ましくは3w/v%以下、さらに好ましくは1w/v%以下である。眼科用組成物の総量に対して、界面活性剤の総含有量は、限定はされないが、好ましくは0.001w/v%〜5w/v%、より好ましくは0.005w/v%〜3w/v%、さらに好ましくは0.01w/v%〜1w/v%、特に好ましくは0.1〜1w/v%である。
本発明の眼科用組成物は、レバミピド、レバミピドの塩、レバミピド誘導体、又はそれらの塩の他に、更に緩衝剤を含有してもよい。本発明の眼科用組成物に配合できる緩衝剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。かかる緩衝剤の一例として、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩、イプシロン−アミノカプロン酸、塩酸、水酸化ナトリウム等が挙げられる。緩衝剤は、公知の方法により合成して使用しても、市販品を入手して使用してもよい。これらの緩衝剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を任意に組み合わせて使用しても良い。
ホウ酸緩衝剤としては、ホウ酸、又はホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸アルカリ土類金属塩等のホウ酸塩が挙げられる。リン酸緩衝剤としては、リン酸、又はリン酸アルカリ金属塩、リン酸アルカリ土類金属塩等のリン酸塩が挙げられる。炭酸緩衝剤としては、炭酸、又は炭酸アルカリ金属塩、炭酸アルカリ土類金属塩等の炭酸塩が挙げられる。クエン酸緩衝剤としては、クエン酸、又はクエン酸アルカリ金属塩、クエン酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。また、緩衝剤としては、各塩の水和物を用いてもよい。より具体的な例として、ホウ酸緩衝剤として、ホウ酸又はその塩(ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂等);リン酸緩衝剤として、リン酸又はその塩(リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム等);炭酸緩衝剤として、炭酸又はその塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム等);クエン酸緩衝剤として、クエン酸又はその塩(クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウム等);酢酸緩衝剤として、酢酸又はその塩(酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウム等);トリス緩衝剤として、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン又はその塩(塩酸塩、酢酸塩、スルホン酸塩等)が例示できる。これらの緩衝剤は1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
上記緩衝剤の中でも、特にホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、及びイプシロン−アミノカプロン酸、とりわけホウ酸緩衝剤及びイプシロン−アミノカプロン酸は好適である。ホウ酸緩衝剤の好適な具体例として、ホウ酸、ホウ酸とその塩との組み合わせ(例えばホウ酸とホウ砂)が挙げられ、好ましくはホウ酸、ホウ酸とホウ砂の組み合わせ、更に好ましくはホウ酸が例示される。
本発明の眼科用組成物に緩衝剤を配合する場合、緩衝剤の配合割合については、使用する緩衝剤の種類、他の配合成分の種類や量、眼科用組成物の用途等に応じて異なり、限定はされないが、例えば、眼科用組成物の総量に対して、緩衝剤が総量で好ましくは0.01w/v%以上、より好ましくは、0.05w/v%以上、さらに好ましくは0.1w/v%以上、特に好ましくは0.3%以上であり、好ましくは、10w/v%以下、より好ましくは5w/v%以下、さらに好ましくは3w/v%以下、特に好ましくは2w/v%以下である。眼科用組成物の総量に対して、緩衝剤の総含有量は、限定はされないが、好ましくは0.01w/v%〜10w/v%、より好ましくは0.05w/v%〜5w/v%、さらに好ましくは0.1w/v%〜3w/v%、特に好ましくは0.3w/v%〜2w/v%である。
本発明の眼科用組成物は、レバミピド、レバミピドの塩、レバミピド誘導体、又はそれらの塩の他に、更に溶解補助剤を含有することが好ましい。本発明の眼科用組成物に配合できる溶解補助剤は、水に難溶であるレバミピド及び/又はその塩、又はレバミピド誘導体及び/又はそれらの塩が水溶液中に溶解するのを補助する作用を有する成分であればよく、例えば、ポリビニルアルコール(完全又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマーなどのビニル系高分子;トロメタモール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メグルミン、ジイソプロパノールアミン等のアミン類;グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール;あるいはカフェイン等が挙げられる。これらの溶解補助剤は、1種単独で使用してもよいが、2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
これらの溶解補助剤の中でも、ビニル系高分子、アミン類、多価アルコールが好ましく、ビニル系高分子、トロメタモール、モノエタノールアミン、メグルミン、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールがより好ましく、ポリビニルピロリドン及びグリセリンが更に好ましく、K値が15〜40のポリビニルピロリドン及びグリセリンが更に好ましく、ポリビニルピロリドンK17、K25、ポリビニルピロリドンK30、グリセリンが更に好ましい。
なお、ここで言う「K値」とは、下記のフィケンチャー(Fikentscher)の粘度式から計算される値であり、本発明においては、ポリビニルピロリドンの分子量と関連する粘度の特性値のことを言う。
(式中、cは溶液100mL中の換算した脱水物の質量(g)、η
relは水の動粘度に対する試料溶液の動粘度の比)
本発明の眼科用組成物に溶解補助剤を配合する場合、その配合割合については、使用する溶解補助剤の種類、他の成分の種類や配合量、眼科用組成物の用途等に応じて異なる。特に限定はされないが、例えば、眼科用組成物の総量に対して、溶解補助剤の総量は、好ましくは、0.001w/v%以上、より好ましくは0.005w/v%以上、さらに好ましくは0.01w/v%以上、特に好ましくは0.1w/v%以上であり、溶解補助剤の総量は、好ましくは、20w/v%以下、より好ましくは、10w/v%以下、さらに好ましくは、7w/v%以下、特に好ましくは5w/v%以下である。眼科用組成物の総量に対して、溶解補助剤の総含有量は、限定はされないが、好ましくは0.001w/v%〜20w/v%、より好ましくは0.005w/v%〜10w/v%、さらに好ましくは0.01w/v%〜7w/v%、特に好ましくは0.1w/v%〜5w/v%である。
本発明の効果をより顕著に奏する観点から、本発明の眼科用組成物は、さらに多糖類を含んでいることが好ましい。
多糖類として、具体的には、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、カルボキシメチルセルロース及びその塩、カルボキシエチルセルロース及びその塩等のセルロース系高分子化合物、ヒアルロン酸及びその塩並びにコンドロイチン硫酸及びその塩等のグリコサミノグリカン、デキストラン、ジェランガム、アルギン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。ここで、その塩とは、特に限定はされないが、ナトリウム塩が好ましい。多糖類は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の眼科用組成物において、眼科用組成物総量に対する多糖類の総含有量は、使用する多糖類の種類、他の配合成分の種類や配合量、他の成分とのバランスによって適宜設定される。眼科用組成物の総量に対して、多糖類の総含有量は、好ましくは0.0001w/v%以上であり、より好ましくは0.0005w/v%以上、さらに好ましくは0.001w/v%以上、さらにより好ましくは0.01w/v%以上、最も好ましくは0.05w/v%以上である。また、眼科用組成物総量に対して多糖類の総含有量は、好ましくは5w/v%以下であり、より好ましくは3w/v%以下、さらに好ましくは1w/v%以下、更により好ましくは0.5w/v%以下、最も好ましくは0.3w/v%以下である。
眼科用組成物の総量に対して、多糖類の総含有量は、好ましくは0.0001w/v%〜5w/v%、より好ましくは、0.0005w/v%〜3w/v%、さらに好ましくは0.001〜1w/v%、さらにより好ましくは、0.01w/v%〜0.5w/v%、最も好ましくは0.05〜0.3w/v%である。
中でも、眼科用組成物がヒアルロン酸ナトリウムである場合には、眼科用組成物の総量に対して、ヒアルロン酸ナトリウムの総含有量は、好ましくは0.0001w/v%〜1w/v%、より好ましくは、0.0001w/v%〜0.5w/v%、さらに好ましくは0.0001〜0.1w/v%、さらにより好ましくは、0.0001w/v%〜0.02w/v%、最も好ましくは0.0001〜0.005w/v%である。
本発明の効果をより顕著に奏する観点から、本発明の眼科用組成物は、さらにアミノ酸類を含んでいることが好ましい。アミノ酸類としては、例えば、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アミノエチルスルホン酸が挙げられる。本発明の眼科用組成物において、眼科用組成物総量に対するアミノ酸の総含有量は、使用するアミノ酸の種類、他の配合成分の種類や配合量、他の成分とのバランスによって適宜設定される。眼科用組成物の総量に対して、アミノ酸の総含有量は、好ましくは0.0001w/v%以上であり、より好ましくは0.001w/v%以上、さらに好ましくは0.01w/v%以上、最も好ましくは0.05w/v%以上である。また、眼科用組成物総量に対してアミノ酸類の総含有量は、好ましくは5w/v%以下であり、より好ましくは3w/v%以下、さらに好ましくは2w/v%以下、もっとも好ましくは1w/v%以下である。眼科用組成物の総量に対して、アミノ酸の総含有量は、好ましくは0.0001w/v%〜5w/v%、より好ましくは、0.001w/v%〜3w/v%、より好ましくは0.01w/v%〜2w/v%、さらに好ましくは、0.05w/v%〜1w/v%である。
本発明の効果をより顕著に奏する観点から、本発明の眼科用組成物は、さらに防腐剤を含んでいることが好ましい。防腐剤としては例えば、安息香酸ナトリウム、エタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、エデト酸ナトリウム、塩化亜鉛、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物(具体的には、塩酸ポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンビグアニド)等)、グローキル(ローディア社製商品名)等が挙げられる。
防腐剤の中でも、エタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、エデト酸ナトリウム、塩化亜鉛、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物(具体的には、塩酸ポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンビグアニド)等)、なる群より選択される少なくとも1種が好ましく、エタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化亜鉛、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、ビグアニド化合物が更に好ましく、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化亜鉛、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、塩酸ポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンビグアニド)が更により好ましく、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化亜鉛塩酸ポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンビグアニド)が特に好ましい。
本発明の効果をより顕著に奏する観点からさらに、本発明の眼科用組成物は、テルペノイドを含んでいることが好ましい。テルペノイドとは、イソプレンユニットを構成単位とする構造を有し、清涼化剤として汎用されている公知の化合物である。テルペノイドは、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される限り、特に制限されない。テルペノイドとして、具体的には、メントール、メントン、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、シトロネロール、カルボン、アネトール、オイゲノール、リモネン、リナロール、酢酸リナリル、チモール、シメン、テルピネオール、ピネン、カンフェン、イソボルネオール、フェンチェン、ネロール、ミルセン、ミルセノール、酢酸リナロール、ラバンジュロール、およびこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。ここで、「誘導体」とは、例えば、エステル化誘導体、エーテル化誘導体、アミド化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体、ニトロソ化誘導体、ハロゲン化誘導体等を挙げることができるが、これらに限定されない。好ましくは、誘導体は、エステル化誘導体及び/又はエーテル化誘導体であり、より好ましくはエステル化誘導体である。エステル化誘導体の例としては、吉草酸、酪酸、酢酸、プロピオン酸及び/又はフランカルボン酸等の有機酸でエステル化した誘導体を挙げることができ、これらの化合物はd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
また、本発明において、テルペノイドとして、上記化合物を含有する精油を使用してもよい。このような精油としては、例えば、ユーカリ油、ベルガモット油、ペパーミント油、クールミント油、スペアミント油、ハッカ油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ローズ油、樟脳油等が挙げられる。これらのテルペノイドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
これらのテルペノイドの中でも、メントール、メントン、カンフル、ボルネオールおよびゲラニオールからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、これらを含有する精油としてクールミント油、ペパーミント油、ハッカ油、樟脳油、ローズ油等が例示される。更に好ましくは、メントール及びカンフル、より好ましくはl-メントール、dl-メントール、d-カンフル及びdl-カンフル、が挙げられ、特に好ましくはl-メントール及びd-カンフル、さらに特に好ましくはl-メントールが挙げられ、これらを含有する精油としてクールミント油、ペパーミント油、ハッカ油、樟脳油等が例示される。
本発明の眼科用組成物において、眼科用組成物総量に対するテルペノイド成分の総含有量は、使用するテルペノイドの種類、他の配合成分の種類や配合量、他の成分とのバランスによって適宜設定される。眼科用組成物の総量に対して、テルペノイドの総含有量は、好ましくは0.00001w/v%以上であり、より好ましくは0.0001w/v%以上、さらに好ましくは0.0002w/v%以上、最も好ましくは0.001w/v%以上である。また、眼科用組成物総量に対してテルペノイドの総含有量は、好ましくは1w/v%以下であり、より好ましくは0.5w/v%以下、さらに好ましくは0.1w/v%以下、もっとも好ましくは0.08w/v%以下である。眼科用組成物の総量に対して、テルペノイドの総含有量は、好ましくは0.00001w/v%〜1w/v%、より好ましくは、0.0001w/v%〜0.5w/v%、より好ましくは0.0002w/v%〜0.1w/v%、さらに好ましくは、0.001w/v%〜0.08w/v%である。なお、テルペノイドを含む精油を使用する場合は、組成物中に含有される精油中のテルペノイドが上記含有量を満たすように設定することができる。
本発明の眼科用組成物のpHについては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される範囲内であれば特に限定されるものではないが、一例としては、pHが4.0〜9.5、好ましくは5.0〜9.0、より好ましくは、6.0〜8.5、更に好ましくは6.5〜8.5、特に好ましくは7.0〜8.5、更に特に好ましくは7.0〜8.0となる範囲が挙げられる。
本発明の眼科用組成物は、更に必要に応じて、生体に許容される範囲内の浸透圧比に調節することができる。適切な浸透圧比は適用部位、剤型等により異なるが、通常0.5〜5.0、より好ましくは0.6〜3.0、更に好ましくは0.7〜2.0となる範囲が挙げられる。浸透圧の調整は無機塩、多価アルコール等を用いて、当該技術分野で既知の方法で行うことができる。浸透圧比は、第十六改正日本薬局方に基づき286mOsm(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)の浸透圧に対する試料の浸透圧の比とし、浸透圧は日本薬局方記載の浸透圧測定法(氷点降下法)に従って測定する。なお、浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)は、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500〜650℃で40〜50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)を用いる。
本発明の眼科用組成物の粘度は、生理学的又は薬学的に許容される範囲内であれば、配合成分の種類及び含有量、該眼科用組成物の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定される。回転粘度計(RE550型粘度計、東産業社製、ローター;1°34‘×R24)で測定した20℃における粘度が0.01〜10000mPa・sとすることが好ましく、0.05〜8000mPa・sとすることがより好ましく、0.5〜1000mPa・sとすることがさらに好ましく、1〜600mPa・sとすることが更により好ましく、2〜100mPa・sとすることが特に好ましく、2〜50mPa・sとすることが最も好ましい。
本発明の眼科用組成物においては、レバミピド、レバミピドの塩、レバミピド誘導体、又はそれらの塩の他に、通常眼科用組成物に用いることができる任意の成分を含有させることができる。かかる成分は特に制限されず、例えば、一般用医薬品製造(輸入)承認基準2000年版(薬事審査研究会監修)に記載された有効成分が例示できる。具体的には次のような成分が挙げられる。
抗アレルギー剤または抗ヒスタミン剤:例えば、塩酸ジフェンヒドラミン、イプロヘプチン、マレイン酸クロルフェニラミン、アシタザノラスト、アンレキサノクス、イブジラスト、トラニラスト、塩酸レボカバスチン、クロモグリク酸ナトリウム、フマル酸ケトチフェン、ペミロラストカリウム、塩酸オロパタジン等。
充血除去剤:例えば、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、硝酸ナファゾリン、エピネフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸フェニレフリン、塩酸メチルエフェドリン等。
眼筋調節薬剤 :例えば、アセチルコリンと類似した活性中心を有するコリンエステラーゼ阻害剤、具体的にはメチル硫酸ネオスチグミン、トロピカミド、ヘレニエン硫酸アトロピン等。
殺菌剤:例えば、アクリノール、セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸ポリヘキサメチレンビグアニド等。
ビタミン類:例えば、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、酢酸トコフェロール等。
消炎剤:例えば、グリチルリチン酸、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、グリチルリチン酸二カリウム、アラントイン、トラネキサム酸、ベルベリン、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、リゾチーム、塩化リゾチーム、アズレンスルホン酸、アズレンスルホン酸ナトリウム、インドメタシン、プラノプロフェン、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ケトプロフェン、フェルビナク、ベンダザック、ピロキシカム、ブフェキサマク、フルフェナム酸ブチル等。
収斂剤:例えば、亜鉛華、乳酸亜鉛、硫酸亜鉛等。
その他:例えば、スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、スルフイソキサゾール、スルフイソミジンナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アルギン酸、紫根、セイヨウトチノキ、及びこれらの塩等。
さらに、本発明の眼科用組成物においては、担体、pH調整剤、一般的な糖アルコール類や糖類、一般的な等張化剤、キレート剤、安定化剤、防腐剤などの添加剤を選択し、少なくとも1種を併用して適当量含有させてもよい。それらの添加物として、例えば、医薬品添加物事典2007(日本医薬品添加剤協会編集)に記載された各種添加物が例示できる。代表的な成分として次の添加物が挙げられる。
担体:水、含水エタノール等の水性担体。
糖類:例えば、グルコース、シクロデキストリン等。
糖アルコール類:例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトールなど。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
等張化剤:例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム等。
pH調節剤:例えば、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸、リン酸、ポリリン酸、プロピオン酸、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、グルコノラクトン、酢酸アンモニウム等。
安定化剤:例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、トコフェロール、シクロデキストリン等。
キレート剤:例えば、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、エチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸(エデト酸、EDTA)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、アスコルビン酸、エデト酸四ナトリウム、エデト酸ナトリウム等。
油類:例えば、ゴマ油、ヒマシ油、ダイズ油、オリーブ油等の植物油、スクワラン等の動物油、流動パラフィン、ワセリン等の鉱物油等。
本発明において、「生理学的又は薬学的に許容される塩」とは、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、有機塩基等との塩が例示され、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、又はジエタノールアミン、エチレンジアミン等との塩が挙げられる。これらの塩は、たとえば、その物質に存在する硫酸基やカルボキシル基を公知の方法により塩に変換することで得られる。さらには、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)ピペラジン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、エタノールアミン、N−メチルグルカミン、L−グルカミン等のアミンの塩;又はリジン、δ−ヒドロキシリジン、アルギニンなどの塩基性アミノ酸との塩などが挙げられる。また、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸の塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、ケイ皮酸、乳酸、グリコール酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、サリチル酸等の有機酸との塩;又はアスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性アミノ酸との塩なども挙げられる。
本発明でいう「生理学的又は薬学的に許容される塩」には、塩の溶媒和物又は水和物を含んでいてもよい。
本発明の眼科用組成物は、所望量のレバミピド、レバミピドの塩、レバミピド誘導体、又はそれらの塩、必要に応じて他の配合成分を所望の濃度となるように添加することにより調製される。本発明の眼科用組成物は、目的に応じて種々の製剤形態をとることができる。例えば、本発明の眼科用組成物の製剤形態として、液剤、半固形剤(軟膏等)等が挙げられる。好ましくは液剤である。
眼科用組成物(眼粘膜用組成物)には、点眼剤(コンタクトレンズ装用中にも使用することができる点眼剤を含む)、人工涙液(コンタクトレンズ装用中にも使用することができる人工涙液を含む)、洗眼剤、眼軟膏、コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用剤(コンタクトレンズ消毒剤、コンタクトレンズ用保存剤、コンタクトレンズ用洗浄剤、コンタクトレンズ用洗浄保存剤等が含まれる)等が含まれる。
眼科用組成物(眼粘膜用組成物)は、保存により結晶が析出すると眼粘膜に適用する製剤としての安全性を含む品質の低下や商品価値の低下を招いてしまうため、点眼剤は、結晶などの異物発生の抑制が求められる。
本発明の眼科用組成物は、レバミピド、レバミピドの塩、レバミピド誘導体、及び/又はそれらの塩を含有し、澄明で製剤的に安定な眼科用組成物であることが好ましい。眼科組成物の中でも特に、点眼剤、洗眼剤においては、異物検査が必要とされるため、製剤の澄明性が高いことが好ましい。澄明性の指標として、光の吸光度が使用される。本実施形態に係る眼科組成物の光の吸光度としては、例えば、波長660nmの光の吸光度が0.5以下であってもよく、0.3以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましく、0.12以下であることが更に好ましく、0.1以下であることが更により好ましく、0.07以下であることが特に好ましく、0.04以下であることが最も好ましい。本発明の眼科用組成物は、マルチドーズ型容器に収容されることから、より透明性が高い製剤であることが好ましい。
本発明の眼科用組成物はマルチドーズ型容器に収容される眼科用組成物とすることができる。ここで、マルチドーズとは、複数回にわたり服用または使用することを目的とし、キャップなどの開封、再封を自由に行うことができる包装形態のことを指す。本発明の眼科用組成物は、特に好適な例として、マルチドーズ型点眼剤とすることができる。本発明の眼科用組成物は疲れ目改善用であるため、一日の点眼回数が多く、また、長期間にわたって継続的に使用される傾向にある。そのため、マルチドーズ型容器に収容される眼科用組成物であることが好ましい。
本発明の眼科用組成物は、日本薬局方(第16改正)参考情報「保存効力試験」カテゴリIA製剤に準じて評価を行った際に、製剤判定基準に合致することが好ましい。
即ち、Escherichia coli(ATCC 8739、NBRC3972)、Pseudomonas aeruginosa(ATCC 9027、NBRC13275)、Staphylococcus aureus(ATCC 6538、NBRC13276)、Candida albicans(ATCC 10231、NBRC1594、JCM2085)、およびAspergillus brasiliensis(ATCC 16404、NBRC9455)の5菌種を対象として、製剤1mL当たり105〜106の生菌数となるように生菌を接種、混合し、遮光下で20〜25℃に保存し、0、14、28日目に被検製剤から1mLを取り生菌数を測定する。試験開始時の菌数を100とした百分率で表した際に、14日後の生菌数が、細菌は接種菌数の0.1%以下、真菌は接種菌数と同レベル若しくはそれ以下、28日後の生菌数が、細菌は14日後のレベルと同程度若しくはそれ以下、真菌は接種菌数と同レベル若しくはそれ以下となることが好ましい。
本発明の眼科用組成物は、疲れ目改善用及び/又はかすみ目改善用組成物として提供される。ここで、疲れ目は、読書、注視作業、観察作業などの目の酷使や精神的緊張を原因とするもの、パーソナルコンピューターの普及に伴い急激に増加してきたVDT作業を原因とするもの等があるが、症状として、例えば、目の奥の痛み、肩こり、頭重などの症状も併発する場合が多い。さらには、目の疲れが甚だしい時には、悪心、吐気を伴う場合がある。これらの症状は毛様体筋が長時間の注視作業などにより過度の緊張状態に陥り、目の調節機能が低下することが要因となって起こると指摘されている。限定はされないが、疲れ目は、VDT作業1時間後に測定するHFC−1値およびVAS値を指標として測定することができる。HFC−1値は、眼の屈折値を経時的に記録した際に生じる調節微動について、一定の距離を注視した際の高周波数成分の出現頻度を示す値である。高周波数成分は、水晶体の振動、すなわち毛様体筋の震えを示し、高周波成分の出現頻度が上昇するほど、毛様体筋に強いストレスが生じていることとなり、HFC−1値が高いほど、毛様体筋が緊張し、眼が疲れている状態である。
VAS値は、10cmの線が引いてある自覚症状調査シート上に、眼の疲れが感じられない場合を0mm、眼の疲れを強く感じる場合を100mmとして、パネラーが感じた症状の程度のところにチェックしてもらい、自覚症状の重症度としてこの長さ(mm)を測定し、これを疲れ目スコアとして算出した値である。すなわち、VAS値が高いほど、疲れ目の自覚症状スコアが高いということになる。
ここで、かすみ目は、目のピント機能が低下して視界がぼやけて見えたり、近くを見て遠くを見た時などにピントが合うのに時間がかかったりする症状を指す。かすみ目は、目を酷使すること、白内障や結膜炎などの炎症、加齢に伴って起こる老眼などの原因により起こり得る。
本発明の眼科用組成物は、任意の容器に収容して提供される。本発明の眼科用組成物を収容する容器については特に制限されず、例えば、ガラス製であってもよく、また樹脂製であってもよい。本発明の眼科用組成物を収容する容器は、さらに、樹脂をガラス繊維などの補強剤を含んで強化した樹脂容器であってもよい。
具体的には、本発明の眼科用組成物は、容器の少なくとも一部、好ましくは全部が、ポリエチレンテレフタレート(PET)製、ポリエチレンナフタレート(PEN)製、ポリプロピレン(PP)製、ポリアリレート(PAR)製、ポリブチレンテレフタレート(PBT)製、ポリカーボネート(PC)製、ポリエチレン(PE)製からなる群から選択されるいずれかの容器に収容される。好ましくは、PET製、PEN製、PP製、PAR製、PBT製、PC製、PE製、であり、さらに好ましくはPET製、PBT製、PP製、PE製、更により好ましくはPET製又はPP製、特に好ましくはPET製である。
本明細書において、容器とは、主としてレバミピド含有眼科用組成物を直接収容する容器(一次容器)を意味する。また、容器は、一体成型でもよく、容器本体部に蓋部や注出口部が付随されていてもよいが、容器本体部に蓋部や注出口部が付随されている形態が好ましい。上記の材質は、主として容器本体部の材質を意味する。
本実施形態に係る眼科用組成物を収容する容器が樹脂製である場合、容器は単一の樹脂のみから成形されていてもよく、また、複数の合成樹脂を組み合わせて成形されていてもよい。複数の合成樹脂を組み合わせる場合、上記合成樹脂同士(PET、PEN、PP、PAR、PBT、PC及びPE)を組み合わせてもよく、上記合成樹脂に加えて通常、合成樹脂製容器を成形するのに用いられる合成樹脂を組み合わせてもよい。かかる合成樹脂として、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート等)、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系、硬質塩化ビニル樹脂、スチレン系樹脂(ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体等)、セルロースアセテート類等の樹脂が挙げられる。また、樹脂に含まれる重合体が複数のモノマー成分で構成される場合には、その組み合わせの方法は、限定されない。これらのモノマー成分の共重合体でもよく、ホモポリマーを単に混合してもよく、また共重合体同士を混合してもよい。共重合体は、交互共重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体及びグラフト共重合体のいずれでもよい。
本実施形態に係る眼科用組成物を収容する容器が合成樹脂製容器の場合、容器の構成材質全体の重量に対する、PET、PEN、PP、PAR、PBT、PC及びPEの合計重量は特に限定されないが、通常容器の構成材質全体の重量に対し、PET、PEN、PP、PAR、PBT、PC及びPEの合計重量が30w/w%以上であり、好ましくは50w/w%以上であり、より好ましくは65w/w%以上であり、特に好ましくは80w/w以上%である。より好ましい実施形態では、PET、PEN、PP、PAR、PBT、PC及びPEのいずれか一つの合成樹脂の重量が、容器の構成材質全体の重量に対し、30w/w%以上、50w/w%以上、65w/w%以上又は80w/w%以上である。
本発明の眼科用組成物を収容する容器、特に容器本体部は、容器内部を視認できる透明容器であってもよく、容器内部の視認が困難な不透明容器であってもよい。ここで、「透明容器」とは、無色透明容器及び有色透明容器の双方が含まれる。透明容器に収容されることによって、異物検査等が目視で容易に実施できる。
本発明において、容器の形状、内部に収容できる容量は特に限定はされない。例えば点眼剤や点鼻剤などの局所粘膜適用剤用途に供される場合の容器であれば、内容量を1ml以上1000ml以下、好ましくは1ml以上100ml以下、より好ましくは2ml以上50ml以下、さらに好ましくは3ml以上25mL以下、特に好ましくは3ml以上20ml以下収容できる容器であり得る 。
本発明の眼科用組成物は、単独あるいはキットの形態において、樹脂容器内に収容されて提供される。
本発明の眼科用組成物が点眼剤の場合には、本願の効果をより顕著に奏する観点から、1滴あたりの滴下量が、通常5〜60μL、好ましくは10〜50μL、より好ましくは15〜45μL、更に好ましくは、20〜42μLとなるように設計されることが好ましい。
本発明は、レバミピド、レバミピドの塩、レバミピド誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有し、疲れ目改善及び/又はかすみ目改善用である、マルチドーズ型容器に収容されるための眼科用組成物であるが、特に以下の態様が好ましい。
すなわち、本発明は、レバミピド、レバミピドの塩、レバミピド誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有し、疲れ目改善及び/又はかすみ目改善用である、マルチドーズ型容器に収容されるための、液剤の眼科用組成物であることが好ましく、特には、点眼剤であることが好ましい。
本発明の眼科用組成物は、特に点眼剤の場合、効能、効果として、目の疲れ、涙液の補助、目のかすみなどの改善に用いられ得る。
本発明の眼科用組成物は、好ましくは、レバミピド、レバミピドの塩、レバミピド誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を0.0001〜10(w/v)%の割合で含有する。
本発明の眼科用組成物は、好ましくは、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、陰イオン界面活性剤または陽イオン界面活性剤のいずれかを含有する。
本発明の眼科用組成物は、特に好ましくは、ポリオキシエチレン(以下、POEともいう。)−ポリオキシプロピレン(以下、POPともいう。)ブロックコポリマー、POE-POPブロックコポリマー付加物、POEアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、POE・POPアルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、およびモノステアリン酸ポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種の非イオン界面活性剤を含有する。
本発明の眼科用組成物は、好ましくは、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、イプシロン−アミノカプロン酸、塩酸、および水酸化ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種の緩衝剤を含有する。
本発明の眼科用組成物は、好ましくは、高分子、アミン類、多価アルコール、およびカフェインからなる群より選択される少なくとも1種の溶解補助剤を含有する。
本発明の眼科用組成物は、好ましくは、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、安息香酸ナトリウム、エタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、エデト酸ナトリウム、塩化亜鉛、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物、塩酸ポリヘキサニド、およびグローキルからなる群より選択される少なくとも1種の防腐剤を含有する。
本発明の眼科用組成物は、pH5.5〜8.0であることが好ましい。
本発明の眼科用組成物は、澄明であることが好ましい。
より具体的には、以下のような眼科用組成物が例示される。
レバミピド、レバミピドの塩、レバミピド誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有し、ポリビニルピロリドンK17、25または30を含有する、疲れ目改善及び/又はかすみ目改善用である、マルチドーズ型容器に収容されるための、液剤の眼科用組成物:
レバミピド、レバミピドの塩、レバミピド誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有し、ポリビニルピロリドンK17、25または30、非イオン界面活性剤、アミン類、多価アルコール、および緩衝剤、および防腐剤を含有する、疲れ目改善及び/又はかすみ目改善用である、マルチドーズ型容器に収容されるための、液剤の眼科用組成物:
レバミピド、レバミピドの塩、レバミピド誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有し、疲れ目改善及び/又はかすみ目改善用である、澄明な眼科用組成物:
レバミピド、レバミピドの塩、レバミピド誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有し、pH5.5〜8.0の疲れ目改善及び/又はかすみ目改善用である、マルチドーズ型容器に収容されるための、点眼剤:
レバミピド、レバミピドの塩、レバミピド誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有し、疲れ目改善及び/又はかすみ目改善用である、マルチドーズ型容器に収容されるための点眼剤:
レバミピド、レバミピドの塩、レバミピド誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有し、疲れ目改善及び/又はかすみ目改善用である、澄明な点眼剤:
レバミピド、レバミピドの塩、レバミピド誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有し、疲れ目改善及び/又はかすみ目改善用である、PET製のマルチドーズ型容器に収容されるための点眼剤:
レバミピド、レバミピドの塩、レバミピド誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有し、疲れ目改善及び/又はかすみ目改善用である、PET製のマルチドーズ型容器入り点眼剤。
本発明では、ポリビニルピロリドンを含有する点眼剤において、レバミピド、レバミピドの塩、レバミピド誘導体、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有することによって、疲れ目症状の悪化を防止する方法、疲れ目症状を予防する方法にも関する。
本実施形態に係る眼科用組成物は、レバミピドを有する観点から、ドライアイの予防、改善、治療にも有用である。
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
表1に示す組成の水性眼科用組成物を常法に従って調製した。具体的には、各成分を100mlガラスバイアルに量り取り、必要量の蒸留水を添加した。加温しながら攪拌し、pHを調節して均一な製剤を得た。その後、容量13mLのポリエチレンテレフタレート製容器に充填し、ポリエチレン製のノズルを装着した。ここで、レバミピドとしては、日本薬局方適合のレバミピドを用いた。
(比較例1)
実施例1と同様にして、表2に示す処方例を調製した。
試験例1:疲れ目評価試験1
表1に記載の処方例を用いて、下記の方法に基づいて疲れ目試験を行った。
具体的には、疲れ目を感じ易いコンタクトレンズ非装用の被験者2名が、VDT作業(パソコン画面を見ながらの文字入力作業)を1時間、実施することにより、目に負荷をかけた。
その後、HFC-1値(投与前HFC-1値)を測定した。次いで、実施例1の点眼剤を、ピペットマンを用いて両眼にそれぞれ40μL点眼し、点眼10分後にHFC-1値の測定を行った。
ここで、HFC-1値とは、眼の屈折値を経時的に記録した際に生じる揺れ、すなわち調節微動について、一定の距離を注視した際の高周波数成分の出現頻度を示す値である。高周波数成分は、水晶体の振動、すなわち毛様体筋の震えを示し、高周波成分の出現頻度が上昇するほど、毛様体筋に強いストレスが生じていることになる。すなわち、HFC-1値が高いほど、毛様体筋が緊張し、眼が疲れている状態であるといえる。
本試験おいて、HFC-1値は、下記の装置及び条件で、付属の取扱説明書に従い測定した。
装置名:眼調節機能測定ソフトウェア AA−1(株式会社ニデック社製)
測定されたHFC−1値より、下記の数2の式により、実施例1の点眼による疲れ目改善率(%)を求めた。
その結果を、以下の表1に併せて示す。
2名の被験者の平均値において、実施例1の点眼によって疲れ目改善率(%)が向上する傾向が見られた。
また、表2に示す比較例1を点眼した場合には、疲れ目の症状が促進される傾向が確認された。
試験例2:疲れ目評価試験2
疲れ目を感じ易いコンタクトレンズ非装用の被験者5名が、VDT作業(パソコン画面を見ながらの文字入力作業)を1時間、実施することにより、目に負荷をかけた。次いで、実施例1の点眼剤を、ピペットマンを用いて40μL点眼し、点眼10分後に、試験例1と同様の手順でHFC-1値の測定を行い、さらに下記の手順でVAS(Visual Analogue Scale:視覚的評価スケール)による疲れ目の評価を行った。その後、同じ5名を対象に比較例1についても同様の手順で評価を行った。
ここで、VAS値は、10cmの線が引いてある自覚症状調査シート上に、眼の疲れが感じられない場合を0mm、眼の疲れを強く感じる場合を10mmとして、パネラーが感じた症状の程度のところにチェックしてもらい、自覚症状の重症度としてこの長さ(mm)を測定し、これを疲れ目スコアとして算出した値である。VAS値が高いほど、疲れ目の自覚症状スコアが高いということになる。
測定されたHFC−1値、VASスコアの平均値より、下記の数3の式により、比較例1に対する実施例1の疲れ目改善率(%)を求めた。
被験者5名のHFC-1値、VASスコアの平均値より算出した実施例1の疲れ目改善率(%)を表2に合わせて示す。
この結果、5名の被験者の平均値において、比較例1と比較して実施例1の点眼により疲れ目改善率の向上が確認された。
以上の結果から、本発明の眼科組成物は、疲れ目改善効果や、眼精疲労改善効果に優れており、疲れ目改善用眼科組成物として有用性が高いことが確認された。
試験例3:使用感試験
表1に記載の実施例1と参考例1(市販のムコスタUD(大塚製薬)の容器より取り出した内容物)を用いて、各液の澄明性を評価した後に、下記の方法に基づいて点眼後の官能に関する評価を行った。澄明性の評価1各液剤を10mL無色ガラスバイアルに5mLずつ充填し、転倒混和した後、下記の基準に従って目視で澄明性を評価した。尚、実施例1は、調製24時間後に評価した。
<澄明性の評価基準>白濁が殆どなく、バイアルの後方が問題なく確認できる :◎白濁がわずかにあるが、バイアルの後方が問題なく確認できる :○白濁があり、バイアルの後方の確認がやや困難である :△白濁があり、バイアルの後方の確認が全く不可能である :×澄明性の評価2
各液について、660nmにおける吸光度を測定した。
<測定装置>U-3300 Spectrophotometer HITACHI
疲れ目を感じ易いコンタクトレンズ非装用の被験者2名が、VDT作業(パソコン画面を見ながらの文字入力作業)を1時間、実施することにより、目に負荷をかけた。
次いで、実施例1の点眼剤を、ピペットマンを用いて40μL点眼し、点眼直後と点眼10分後にVASによる官能評価を行った。評価した項目は、下記の通りである。・刺激・眼のしみ・ねばねば感・べたべた感透明性の評価結果を表3に、VASの評価結果を表4に記載した。
表4より、参考例1に比較して、実施例1ではいずれの項目においてもVASスコアが顕著に低下し、点眼による「刺激」「眼のしみ」「ねばねば感」「べたべた感」等の官能面で顕著に改善されていることが確認された。
よって、実施例1の製剤は、懸濁製剤である参考例1に比較して、使用感が顕著に優れた製剤であることが確認された。実施例1によれば、疲れ目に対する効果にすぐれ、かつ使用感のよい製剤を提供することが可能となる。
製剤例下記表5および6に記載の処方で、点眼剤(処方例1〜19)、洗眼剤(処方例20、21)、装着液 (処方例22)が調製され、以下に記載の容器に収容される。表5〜6の処方例中、塩酸及び水酸化ナトリウムはpH調整に用いられ、眼科用組成物が表5、6に記載のpHとなるように加えられる。精製水は各液剤の全量が100mLとなるよう加えられる。
処方例1〜22をPET製容器に収容し、PE製ノズルを装着したものを製剤例1〜22;処方例1〜22をPET製容器に収容し、PBT製ノズルを装着したものを製剤例23〜44;処方例1〜22をPP製容器に収容し、PE製ノズルを装着したものを製剤例45〜66;処方例1〜22をPP製容器に収容し、PBT製ノズルを装着したものを製剤例67〜88とした。