JP6743514B2 - 光トランシーバ及びその温度推定方法 - Google Patents
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Description
光サブアセンブリは、10G用のTOSA(Transmitter Optical Sub-Assembly)と、1G用のTOSAと、10G/1G双方に対応するROSA(Receiver Optical Sub-Assembly)とを備える。
このため、10G−EPONの導入当初に下り1Gの宅側装置しか存在しない場合に10G用の光送信器を停止したり、下り10Gの宅側装置への切り替えが完了した時点で1G用の光送信器を停止したりする運用方法を採用すれば、局側装置の消費電力を低減できる点で好ましい。
このため、発光ON/OFFの状態変化に関係なく、温度センサの検出温度に応じた制御値を光デバイスのドライバに指示すると、光デバイスに対する制御の精度が低下するおそれがある。
しかし、対象素子ごとに個別に温度センサを設けると、光トランシーバの部品点数が増加して製作コストが高騰するとともに、光サブアセンブリの肥大化に繋がるという新たな問題が生じる。
状態2:第1の発光素子がONであり、第2の発光素子がONの状態
状態3:第1の発光素子がOFFであり、第2の発光素子がONの状態
また、本発明は、光トランシーバまたは光通信装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現したり、光トランシーバまたは光通信装置を含むシステムとして実現したりすることができる。
以下、本発明の実施形態の概要を列記して説明する。
(1) 本実施形態の光トランシーバは、第1の伝送レートで電気光変換を行う第1の発光素子と、第1の伝送レートよりも高い第2の伝送レートで電気光変換を行う第2の発光素子と、所定の伝送レートで光電気変換を行う受光素子と、前記各発光素子及び前記受光素子を収容する光サブアセンブリと、前記各発光素子及び前記受光素子を駆動する複数の集積回路を有する回路基板と、前記光サブアセンブリ及び前記回路基板が収容され、長手方向寸法が最も長尺でかつ熱伝導性を有する筐体と、前記筐体の内部の温度を検出する温度センサと、前記温度センサの検出温度に応じて、前記各発光素子及び前記受光素子の少なくとも1つの対象素子に対応する前記集積回路に指示する制御値を決定する温度制御部と、自機の発光状態を下記の状態1〜3のいずれかに設定する発光制御部と、を備え、前記光サブアセンブリが、複数の前記集積回路のうち主たる発熱部材の長手方向一端側に配置され、前記温度センサが、前記発熱部材の長手方向他端側に配置されている。
状態2:第1の発光素子がONであり、第2の発光素子がONの状態
状態3:第1の発光素子がOFFであり、第2の発光素子がONの状態
従って、温度センサを個別に増設しなくても、伝送レートが異なる発光素子の発光状態の切り替えに伴う制御精度の低下を防止することができる。
このようにすれば、上記のレイアウトを採用したにも拘わらず、温度センサの検出温度をそのまま使用できない場合でも、対象素子の定常温度の推定値を用いて、概ね正確な制御値を決定できるようになる。
このようにすれば、切り替えに伴う対象素子の温度変化(過渡状態)を推定するので、定常温度のみで制御値を求める場合に比べて、過渡状態における制御の精度を向上させることができる。
この場合、TECが第2の発光素子の温度を保持するので、第2の発光素子を温度制御部の制御対象から外すことができる。
このようにすれば、状態1において、第2の発光素子のドライバだけでなく、TECとその制御部も停止するので、状態1における消費電力をより低減することができる。
このようにすれば、温度センサの検出温度と対象素子の温度との乖離が所定範囲内に収まり、温度センサの検出温度を補正せずにそのまま使用できる可能性を高めることができる(図7に示す温度測定結果1の「ΔRx」参照)。
状態2:第1の発光素子がONであり、第2の発光素子がONの状態
状態3:第1の発光素子がOFFであり、第2の発光素子がONの状態
このため、温度センサを個別に増設しなくても、伝送レートが異なる発光素子の発光状態の切り替えに伴う制御精度の低下を防止することができる。
このようにすれば、切り替えに伴う対象素子の温度変化(過渡状態)を推定するので、定常温度のみで制御値を求める場合に比べて、過渡状態における制御の精度を向上させることができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の詳細を説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
図1は、本発明の実施形態に係るPONシステムの概略図である。
図1に示すように、本実施形態のPONシステムは、上位ネットワークに接続された局側装置(OLT)1と、図示しないローカルネットワークに接続された複数の宅側装置(ONU)2と、受動光分岐ノードであるスプリッタ3とを備える。図1のPONシステムは、例えば10G−EPONよりなる。
10G−EPONでは、従来(1G)のEPONの宅側装置2との互換性を担保するため、2種類の伝送レートの下り光信号が異なる波長で多重されている。具体的には、1G及び10G下り光信号の伝送レート及び波長は、次の通りである。
10G下り光信号:伝送レート=10.3125Gbps 波長=1577nm
従って、本実施形態の局側装置1は、上記の各下り光信号をそれぞれ送出可能な1G用の光送信器と10G用の光送信器とを備える。
なお、10G−EPONでは、1G上り光信号は1310nmの波長の光信号であり、10G上り光信号は1270nmの波長の光信号であり、それぞれ時分割多重される。
図2は、局側装置1の内部構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、局側装置1は、光トランシーバ11と、1G受信処理部12と、10G受信処理部13と、バッファメモリ14と、SNI(Service Node Interface)送信処理部15と、SNIポート16と、SNI受信処理部17と、バッファメモリ18と、1G送信処理部19と、10G送信処理部20と、通信制御部21とを備える。
光トランシーバ11は、宅側装置2が送信した下り光信号を受光して電気信号に変換する。光トランシーバ11は、変換後の電気信号をそれぞれ1G及び10G受信処理部12,13に送る。
1G受信処理部12は、通信フレームの種別に応じて、通信制御部21とSNI送信処理部15に通信フレームを振り分ける。具体的には、1G受信処理部12は、データフレームをバッファメモリ14経由でSNI送信処理部15に出力し、制御フレームを通信制御部21に出力する。
10G受信処理部13は、通信フレームの種別に応じて、通信制御部21とSNI送信処理部15に通信フレームを振り分ける。具体的には、10G受信処理部13は、データフレームをバッファメモリ14経由でSNI送信処理部15に出力し、制御フレームを通信制御部21に出力する。
SNI受信処理部17は、上位ネットワークからSNIポート16経由で受信したデータフレームをバッファメモリ18に出力し、上位ネットワークからSNIポート16経由で受信した制御フレームを通信制御部21に出力する。
通信制御部21は、上記の通信プロトコルに則って、SNI送信処理部15及びSNI受信処理部17の動作の制御などを行う。
例えば、通信制御部21は、宅側装置2とやり取りするMPCPメッセージにより、宅側装置2の登録、離脱及びPON回線における上り多重アクセス制御などを行う。また、通信制御部21は、宅側装置2とやり取りするOAMメッセージにより、宅側装置2の維持及び管理などを行う。
通信制御部21は、制御フレームを1Gで送信する場合には、当該制御フレームを1G送信処理部19に送る。通信制御部21は、バッファメモリ18に含まれるデータフレームを1Gで送信する場合には、所定の送信タイミングで当該データフレームの送信処理を開始するように、1G送信処理部19を制御する。
10G送信処理部20は、バッファメモリ18から受けたデータフレームと、通信制御部21から受けた制御フレームを光トランシーバ11に出力する。
図3は、光トランシーバ11の回路構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、本実施形態の光トランシーバ11は、1G用の光送信器である1G送信部31と、10G用の光送信器である10G送信部32と、10G/1G双方に対応する光受信器である10G/1G受信部33と、光信号を伝搬方向に応じて分離する光合分波器34と、各部の集積回路などを制御する制御部35とを備える。
1GLD駆動回路37は、制御部35から指示される1GLDバイアス制御値に基づくバイアス電流(LD電流)を、発光素子38に供給する。
1GLD駆動回路37は、モニタPD39の受光強度に基づいて、発光素子38の発光量が一定となるようにLD電流を微調整(フィードバック制御)する。
10GLDバイアス電流供給回路41は、モニタPD45の受光強度に基づいて、発光素子44の発光量が一定となるようにLD電流を微調整(フィードバック制御)する。
EAバイアス電圧供給回路43は、制御部35から指示されるEAバイアス制御信号に基づくバイアス電圧を、EA変調器46に供給する。
ペルチェ素子48の冷却対象は、10G送信部32の発光素子44,モニタPD45及びEA変調器46である。このため、ペルチェ素子48及びサーミスタ49は、発光素子44,モニタPD45及びEA変調器46とともに、光サブアセンブリ65の箱型パッケージ67(図4及び図5参照)に収容されている。
APDバイアス電圧供給回路51は、制御部35から指示されるAPDバイアス制御値に基づくバイアス電圧を、受光素子54に供給する。
ポストアンプ53は、プリアンプ52から受けた電圧のレベルを二値化し、10G/1G受信データとしてPON側の各受信処理部12,13(図2参照)に出力する。
制御部35は、発光素子38,44及び受光素子54のドライバなどの集積回路に制御信号を送出することにより、当該集積回路を制御する。制御部35が送出する制御信号には、上述の各バイアス制御値と各変調振幅制御値などが含まれる。
制御部35は、温度センサ56の検出温度に対応する制御値をルックアップテーブルから読み出し、読み出した制御値を1GLD駆動回路37及びAPDバイアス電圧供給回路51などに通知する(フィードフォワード制御)。
例えば、制御部35は、1G送信イネーブル信号がオンである場合は、1GLD駆動回路37に1G発光ON信号を送出し、1G送信イネーブル信号がオフである場合は、1GLD駆動回路37に1G発光OFF信号を送出する。
もっとも、10G発光OFF信号による10G送信部32による発光を停止させる場合でも、TEC制御部47のON状態を常に維持することにしてもよい。
状態1:1G光送信器=ON /10G光送信器=OFF
状態2:1G光送信器=ON /10G光送信器=ON
状態3:1G光送信器=OFF/10G光送信器=ON
そこで、本実施形態の局側装置1では、PON回線に含まれる宅側装置2の伝送レートの種別に応じて、光トランシーバ11の光送信部31,32のいずれか一方をOFFに設定できるようになっている。この場合、局側装置1は、例えば次のように運用される。
その後、下り10Gの宅側装置2への切り替えが進み、下り1Gの宅側装置2と下り10Gの宅側装置2が混在する状況になると、1G及び10G送信部31,32の双方がONとなる「状態2」で光トランシーバ11を動作させる。
このように、局側装置1を継続して稼働させる場合(サービス提供中)において、宅側装置2の下りレートの種別に応じて光トランシーバ11の発光状態を設定すれば、1G及び10G送信器を常にONに設定する場合に比べて、消費電力を抑えることができる。
光トランシーバ11を状態1〜3のいずれかに切り替えるためのイネーブル信号は、局側装置1に接続したPCなどの通信端末から入力される。
1G送信部31内の破線枠69は、光サブアセンブリ65の後端側(箱型パッケージに近い方)の「同軸パッケージ」を示す。破線枠69で囲まれた回路素子は、光サブアセンブリ65の後端側の同軸パッケージに収容される。
図4は、光トランシーバ11の内部構造の一例を示す斜視図である。具体的には、図4は、筐体60の構成要素である蓋部材(図示せず)を取り外した状態の、光トランシーバ11の斜視図である。
図4のXYZ直交座標において、X方向、Y方向及びZ方向は、それぞれ光トランシーバ11の幅方向、長手方向及び厚さ方向と一致する(図5も同様)。
筐体60は、長手方向寸法が最も長尺であり、かつ熱伝導性を有する金属製の部品よりなる。従って、筐体60は、内部に収容される発熱部材(10G変調回路42など)からの発熱を外部に放出する放熱部材として機能する。回路基板61は、筐体60のほぼ半分程度の長さを有し、筐体60内における長手方向(Y方向)後端寄りに配置されている。
光サブアセンブリ65は、いわゆる同軸型の金属製の部品であり、一芯双方向3ポートのBi−D(Bi-Directional optical module)よりなる。光サブアセンブリ65は、長手方向(Y方向)後端側から順に、箱型パッケージ67、スリーブ68、同軸パッケージ69、同軸パッケージ70、及びレセプタクル部71を有する。
箱型パッケージ67及び同軸パッケージ69,70の端面には複数のリードピン(図示せず)が突設され、これらのリードピンは、フレキシブルプリント基板72を介して回路基板61と電気的に接続されている。
後端側の同軸パッケージ69は、スリーブ68の外周面から幅方向(X方向)一方側に突出しており、前端側の同軸パッケージ70は、スリーブ68の外周面から、幅方向(X方向)他方側に突出している。
図5は、光トランシーバ11の部品配置の一例を示す概略平面図である。
図5に示すように、光サブアセンブリ65は、長手方向(Y方向)後端側から順に、箱型パッケージ67、同軸パッケージ69及び同軸パッケージ70を備えている。箱型パッケージ67は、回路基板61の前端縁に近接している。
同軸パッケージ69には、1G送信部31の構成部品である、1Gの発光素子38及びモニタPD45が収容されている。
同軸パッケージ70には、10G/1G受信部33の構成部品である、受光素子54及びプリアンプ52が収容されている。
図6において、実線で示す集積回路は、回路基板61の表面側に実装され、破線で示す集積回路は回路基板の裏面側に実装されている。マイコン35の温度センサ56は、当該マイコン35に搭載されている。
前述の通り、本実施形態の光トランシーバ11では、サービスを継続しながら2種類の光送信部31,32のうちの片方の発光を停止可能であり、自機の発光状態を状態1〜状態3のいずれかに設定することができる。
この場合、光送信部31,32はドライバの消費電力が比較的大きいので、発光ON/OFFの状態変化によって筐体60内部の温度分布が変化する可能性がある。
従って、ルックアップテーブルから読み出される制御値が、光デバイスに対する正しい制御値ではなくなり、光デバイスを適切に制御できなくなる可能性がある。
しかし、対象素子ごとに個別に温度センサを設けると、光トランシーバ11の部品点数が増加して製作コストが高騰するとともに、光サブアセンブリ65の肥大化に繋がるという欠点がある。
これにより、温度センサ56の検出温度に応じてマイコン35がルックアップテーブルから読み出される制御値が、実際の光デバイスの温度に基づく制御値と乖離するのを防止するようにした。
これにより、光サブアセンブリ65が、主たる発熱部材の長手方向前端側に位置し、温度センサ56が、主たる発熱部材の長手方向後端側に位置することになる。
例えば、図6において、10G変調回路42からの発熱Q0に着目すると、この発熱部材からの発熱Q0は、主に筐体60の側壁に伝わり、長手方向(Y方向)の前端側に伝導する伝熱Q1と後端側に伝導する伝熱Q2に分かれる。
このため、例えば10G送信部32のON/OFF切り替えにより、10G変調回路42の発熱Q0の熱量が変動しても、伝熱Q1と伝熱Q2の熱量も同じように変動し、同軸パッケージ70と温度センサ56の温度変化はほぼ同程度になると考えられる。
よって、温度センサ56の検出温度に対応するルックアップテーブルの制御値をそのまま採用しても、同軸パッケージ70に収容された光デバイス(具体的には、受光素子54)を駆動する集積回路を適切に制御できるようになる。
マイコン35の温度センサ56の位置:測定値を「TC」とする。
箱型パッケージ67の中心部:測定値を「T10G」とする。
同軸パッケージ69の中心部:測定値を「T1G」とする。
同軸パッケージ70の中心部:測定値を「TR」とする。
Δ10G−Tx=T10G−Tc
=箱型パッケージ67(10G−TOSA)における温度差
Δ1G−Tx =T1G−Tc
=同軸パッケージ69(1G−TOSA)における温度差
ΔRx =TR−Tc
=同軸パッケージ70(ROSA)における温度差
図7は、温度測定結果1を示すグラフである。温度測定結果1は、TEC48を常にONに維持する条件で、状態1〜3ごとに温度測定を行った場合の測定結果である。
図8は、温度測定結果2を示すグラフである。温度測定結果2は、10G送信部32とTEC48のON/OFFを連動させる条件で、状態1〜3ごとに温度測定を行った場合の測定結果である。
その理由は、ROSAの同軸パッケージ70は発熱部材から最も遠くにあり(図5参照)、発熱部材からの発熱の影響を受け難いため、温度センサ56の検出温度との乖離がさほど大きくならないからであると考えられる。
従って、同軸パッケージ69に収容する1G送信部31の光デバイス(発光素子38)に関しては、TEC48を常にONに維持する条件であっても、温度センサ56の検出温度を補正し、補正後の温度に対応する制御値を採用すべきと考えられる。
従って、同軸パッケージ70に収容する10G/1G受信部33の光デバイス(受光素子54)に関しては、10G発光とTEC48を連動させる場合には、温度センサ56の検出温度を補正し、補正後の温度に対応するバイアス制御値を採用すべきと考えられる。
従って、同軸パッケージ69に収容する1G送信部31の光デバイス(発光素子38)に関しては、10G発光とTEC48を連動させる条件であれば、温度センサ56の検出温度をそのまま信用して、当該検出温度に対応する制御値を採用することが可能であると考えられる。
図9は、デバイス制御用ルックアップテーブルと温度補正用ルックアップテーブルの一例を示す図である。
図9の上段の図に示すように、デバイス制御用ルックアップテーブルは、行方向にデバイス温度が並び、列方向に制御値の種別が並ぶ配列よりなる。制御値の種類には、「1G変調振幅制御値」、「1GLDバイアス制御値」、及び「APDバイアス制御値」が含まれる。
デバイス温度は、現時点のモニタ温度(Tmon:温度センサ56の検出温度)に対して、温度補正用ルックアップテーブルから抽出した温度補正値ΔTを加えることによって算出される推定値である。
図9のルックアップテーブルを用いて温度を推定する場合、制御部35は、まず、現時点の自機の発光状態が状態1〜3のどれに該当するかを判定する。
次に、制御部35は、温度補正用ルックアップテーブルから読み出した補正値をモニタ温度Tmonに加えた値を、デバイス温度として採用する。
そして、制御部35は、推定した温度値に対応する制御値をデバイス制御用ルックアップテーブルから読み出し、読み出した制御値を所定の集積回路(1GLD駆動回路37)に通知する。
図10は、発光状態の変化に伴う各部の温度差の変化を示すグラフと、このグラフから作成される温度補正用ルックアップテーブルの数値例を示す図である。
具体的には、図10の上段に示すグラフは、周囲温度Ta=55°Cの場合に、光トランシーバ11を状態1から状態2に変化させた場合の、Δ10G−Tx、Δ1GTx及びΔRの時間的変化の実測結果を表すグラフである。
この場合、温度補正用ルックアップテーブには、状態1における固定の「補正値TTx1G1」として「0.21°C」を記録し、状態1における固定の「補正値TRx1」として「1.81°C」を記録すればよい。
この場合、温度補正用ルックアップテーブには、状態2における固定の「補正値TTx1G2」として「−0.10°C」を記録し、状態2における固定の「補正値TRx2」として「0.21°C」を記録すればよい。
図11は、発光状態の変化に伴う各部の温度差の変化を示すグラフと、このグラフから作成される過渡状態用ルックアップテーブルの一例を示す図である。
図9及び図10では、固定の温度補正値を記録する温度補正用ルックアップテーブルを例示した。しかし、図10のグラフに示すように、例えば、状態1から状態2への切り替え時点(t=0)から5分程度までの時間帯は、Δ10G−Tx、Δ1GTx及びΔRが時間に応じて比較的大きく変動する。
そこで、Δ10G−Tx、Δ1GTx及びΔRの変化を実測した結果を表すグラフから、発光状態の切り替えに伴う過渡状態における温度変化を推定するための、過渡状態用ルックアップテーブルを採用することが好ましい。
従って、過渡状態用ルックアップテーブルは、行方向に状態1〜3の切り替え方向(図11では「状態1→2」の1行のみを表示)、列方向に「t0」(切り替え時点)、「t1」、「t2」、「ΔT0」、「ΔT1」、及び「ΔT2」が並ぶ配列により構成されている。
例えば、図11の右側のグラフ(状態1→2の場合の温度測定結果)によれば、Δ1G−Txは、t=0における温度の初期値が0.21°Cであり、t=42秒において温度が−1.17°Cまで降下し、その後、t=420秒において温度が−0.10°Cまで上昇し、定常状態になったと近似することができる。
ここでは、例えばΔRxの時間的変化 (過渡応答)を、t0(=0)→t1→t2→の3つの期間の一次関数として近似する場合を想定する。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
上述の実施形態では、制御部(マイコン)35に搭載された温度センサ56を利用しているが、マイコンと一体化されていない温度センサを採用してもよい。
この場合、温度センサ56の検出温度を基準として10G用の光デバイスの温度を推定し、その推定値から決定した制御値により10G用の光デバイスのドライバを動作させればよい。
第3の発光素子としては、例えば、宅側装置2の管理又は制御用の光信号の送出のために非常に低い伝送レートで電気光変換を行う発光素子や、アナログベース信号のビデオ配信のために電気光変換を行う発光素子などが考えられる。
2 宅側装置(ONU)
3 スプリッタ
4 光ファイバ
11 光トランシーバ
12 1G受信処理部
13 10G受信処理部
14 バッファメモリ
15 SNI送信処理部
16 SNIポート
17 SNI受信処理部
18 バッファメモリ
19 1G送信処理部
20 1G送信処理部
21 通信制御部
31 1G送信部(光送信器)
32 10G送信部(光送信器)
33 10G/1G受信部
34 光合分波器
35 制御部(マイコン、温度制御部、発光制御部)
37 1GLD駆動回路
38 発光素子
39 モニタPD
41 10GLDバイアス電流供給回路
42 10G変調回路
43 EAバイアス電圧供給回路
44 発光素子
45 モニタPD
46 EA変調器
47 TEC制御部
48 サーミスタ
48 ペルチェ素子(TEC)
49 サーミスタ
51 APDバイアス電圧供給回路
52 プリアンプ
53 ポストアンプ
54 受光素子
56 温度センサ
57 記憶部
60 筐体
61 回路基板
62 熱伝導部材
63 加圧部材
64 保持部材
65 光サブアセンブリ
66 電気コネクタ部
67 箱型パッケージ
68 スリーブ
69 同軸パッケージ
70 同軸パッケージ
71 レセプタクル部
72 フレキシブルプリント基板
Claims (8)
- 第1の伝送レートで電気光変換を行う第1の発光素子と、
第1の伝送レートよりも高い第2の伝送レートで電気光変換を行う第2の発光素子と、
所定の伝送レートで光電気変換を行う受光素子と、
前記各発光素子及び前記受光素子を収容する光サブアセンブリと、
前記各発光素子及び前記受光素子を駆動する複数の集積回路を有する回路基板と、
前記光サブアセンブリ及び前記回路基板が収容され、長手方向寸法が最も長尺でかつ熱伝導性を有する筐体と、
前記筐体の内部の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサの検出温度に応じて、前記各発光素子及び前記受光素子の少なくとも1つの対象素子に対応する前記集積回路に指示する制御値を決定する温度制御部と、
自機の発光状態を下記の状態1〜3のいずれかに設定する発光制御部と、を備え、
前記光サブアセンブリが、複数の前記集積回路のうち主たる発熱部材の前記長手方向一端側に配置され、前記温度センサが、前記発熱部材の前記長手方向他端側に配置されている光トランシーバ。
状態1:第1の発光素子がONであり、第2の発光素子がOFFの状態
状態2:第1の発光素子がONであり、第2の発光素子がONの状態
状態3:第1の発光素子がOFFであり、第2の発光素子がONの状態 - 前記温度制御部は、前記温度センサの検出温度を基準として、前記状態1〜3における前記対象素子の定常温度を推定する請求項1に記載の光トランシーバ。
- 前記温度制御部は、前記温度センサの検出温度を基準として、前記状態1〜3の切り替えに伴う前記対象素子の温度変化を推定する請求項1又は請求項2に記載の光トランシーバ。
- 前記第2の発光素子は、前記光サブアセンブリの構成部分のうち、前記発熱部材に最も近い近接部分に収容され、
前記近接部分に、前記第2の発光素子の温度を保持するTECが収容されている請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の光トランシーバ。 - 前記第2の発光素子の温度を保持するTECを更に備え、
前記発光制御部は、前記TECのON/OFFを前記第2の発光素子のON/OFFに連動させる請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の光トランシーバ。 - 前記第2の発光素子の温度を保持するTECを更に備え、
前記発光制御部は、前記第2の発光素子のON/OFFに関係なく、前記TECをONに設定する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の光トランシーバ。 - 第1の伝送レートで電気光変換を行う第1の発光素子と、第1の伝送レートよりも高い第2の伝送レートで電気光変換を行う第2の発光素子と、所定の伝送レートで光電気変換を行う受光素子と、を有する光トランシーバの温度推定方法であって、
自機の発光状態を下記の状態1〜3のいずれかに設定する第1ステップと、
前記光トランシーバに設けられた温度センサの検出温度を基準として、前記状態1〜3における前記各発光素子及び前記受光素子のうちの少なくとも1つである対象素子の定常温度を推定する第2ステップと、を含む光トランシーバの温度推定方法。
状態1:第1の発光素子がONであり、第2の発光素子がOFFの状態
状態2:第1の発光素子がONであり、第2の発光素子がONの状態
状態3:第1の発光素子がOFFであり、第2の発光素子がONの状態 - 前記温度センサの検出温度を基準として、前記状態1〜3の切り替えに伴う前記対象素子の温度変化を推定する第3ステップを、更に含む請求項7に記載の光トランシーバの温度推定方法。
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