JP4088048B2 - 半導体レーザの制御方法及び装置並びに半導体レーザを用いたパッシブ光ネットワーク - Google Patents

半導体レーザの制御方法及び装置並びに半導体レーザを用いたパッシブ光ネットワーク Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として光通信に用いられる半導体レーザの制御方法及び装置並びに半導体レーザを光源として用いるパッシブ光ネットワークに関する。
【0002】
【従来の技術】
低コスト性を重視した光通信ネットワークの形態に、パッシブ光ネットワーク(PON)がある。PONとは、光ファイバ伝送路の途中にパッシブ部品によって構成される光分岐/結合部を挿入し、親局に接続された1本の光ファイバに複数の子局を接続する形態である。
【0003】
図15は、スター型と呼ばれるPONの形態の一つである。親局4に接続された幹線ファイバ1にスターカップラ2が接続され、スターカップラ2に接続された支線ファイバ3−x(x=1,…,n)に子局5−x(x=1,…,n)がそれぞれ接続されている。この形態では、親局4からの下り光信号は各子局5−xに分配され、同じ信号が全ての子局に伝送される。各子局5−xからの上り光信号は、スターカップラ2で合流した後、親局4に伝送される。このとき、各子局5−xがそれぞれ独立した光源を有するならば、それぞれからの上り光信号が合流時に干渉してビート雑音が発生しないよう工夫が必要である。
【0004】
そのような方法の一つに、例えば特許第3,016,462号公報に記載される技術の基本となる方法がある。これはそれぞれの子局に備えられる光源の波長が重なり合わないように、それらの光源の波長を制御する方法である。光源として使用される半導体レーザは温度によって波長が変わるため、それぞれの子局に備えられる半導体レーザの温度を管理し、ビート雑音が発生しない程度に波長を離しておく。本明細書ではこの方法を便宜上、簡易波長多重と呼ぶことにする。
【0005】
PONは、1本の光ファイバを複数の子局で共有する低コストのシステムである。従って、光源である半導体レーザの波長を重なり合わないように管理する方法にも、簡易な方法を採用してコストを下げることが望ましい。半導体レーザの温度を管理する方法として、半導体レーザを加熱する加熱器の発熱量を制御する方法がある。しかし、同一のPONに接続された子局の一部のみが上り信号を出力している状態で運用されており、そこにそれまで上り信号を出力していなかった子局が新たに送信を始める場合には、加熱のみによる温度制御では以下の理由により半導体レーザの駆動初期には精度の良い温度安定化ができなくなるという問題がある。
【0006】
半導体レーザはそれ自体が発光に伴って発熱する熱源であり、半導体レーザが発光を開始するとパッケージの温度が半導体レーザの発熱によって上昇する。パッケージの温度が上昇すると、半導体レーザ自身の温度も上昇するため、発光波長が発光を開始した時点の波長と変わってしまう。半導体レーザが発光を開始してから安定な発光に至るまでに要する時間は、msオーダ以下の短い時間であるが、パッケージの温度は数秒から数十秒に渡ってゆっくり上昇する。その間、徐々に発光波長が変化し続ける。
【0007】
加熱器のみによる温度制御においても、温度検出器を半導体レーザのパッケージに付け、フィードバック制御ループを動作させて安定化を行うことによって、そのような温度変動を抑圧できる可能性は、パッケージ等の熱的条件次第では皆無ではない。しかし、以下のような理由によって事実上困難である。
【0008】
ある程度の体積を持つ物体の温度を均質にかつ一定に保つためのフィードバック制御ループでは、一般に物体内の熱の拡散に要する時間によって、加熱器から温度検出器までの熱の伝達に位相遅れが生じる。そのため、大きなループゲインと速いフィードバック速度を同時に実現することが難しい。同軸型の半導体レーザパッケージに加熱器を密着させて加熱する場合、加熱対象が半導体レーザパッケージ全体であって熱容量が大きくなる。そのため、遅延が大きくなって大きなループゲインと速いフィードバックは困難である。
【0009】
さらに、加熱のみによる温度制御では、加熱器の発熱によって温度を上昇させることは容易であるが、温度降下は発熱とは異なるメカニズムによらざるを得ず、若干の問題がある。すなわち、温度降下は加熱器の発熱量をそれまでより下げてパッケージからの自然放熱を待つ必要があり、自然放熱では単位時間あたりの放熱量の制御、特に放熱量を増加させる制御ができず、温度降下時のループゲインは非常に小さくなる。一方、半導体レーザ自体の発熱による温度上昇は加熱器による発熱と同等の扱いとなり、比較的急な温度上昇を引き起こす。しかし、ループゲインが小さく遅延が大きい放熱時のフィードバック制御ループでは、この温度上昇をうち消すだけの制御ができず、温度が徐々に変化する。
【0010】
フィードバック制御が十分機能するようにするためには、半導体レーザのパッケージを十分小さくして上記の遅延を小さくし、かつ、パッケージを放熱板などに付けて温度降下時のループゲインを増加させる必要がある。これはパッケージ自体を市販品とは著しく異なるものとする必要があり、コスト面で現実的な方法とは言えない。また、放熱板を付けることで、動作を確保するための加熱器の発熱量、すなわち消費電力が増加する。さらに、加熱器から放熱板までの温度勾配が大きくなるため、半導体レーザのパッケージ内の温度の均一性が失われ、安定した制御が困難になる。事実上このような方法は実現性が低く、実現できても動作安定性が低い。
【0011】
このように、加熱のみで光源の半導体レーザの温度制御を行っている子局が運用中のPONの上り信号系に新たに加わった場合、半導体レーザの駆動開始後、数秒から数十秒にわたって、発光波長が徐々に変化してしまう。先の簡易波長多重方式では、このような波長変化の範囲にわたって他の子局からの送信光に対して、ビート雑音が発生しない程度に十分離れているとは限らない。半導体レーザの発熱によるパッケージの温度上昇は、条件により多少変化するが、およそ1℃前後であり、波長変化量としては0.1mm前後に相当する。
【0012】
一方、Matuo らよる “The Experimental Study of the Influence of Optical Beat Interference on FM-video Transmission System Employing 30ch Multiple Optical Carriers”(20th European Conference on Optical Communication, pp.857-860, 1994)と題する論文によれば、ビート雑音を発生させない波長間隔は0.2nm程度である。運用中に新たに子局が加わる場合に、その子局の発光波長の不確定性を見込んで、その近辺の波長を多少余裕を持って空けておくにしても、波長間隔が0.2nm程度であることを考慮すれば、半導体レーザの発熱による温度上昇分0.1nmを余分に空けることは無駄である。子局数が多い場合には、そのために送信波長を変える子局数が増加し、制御が大規模になってしまう可能性がある。また、波長を余分に空けるためには各々の温度制御器の発熱量が大きくなり、消費電力が増加する。
【0013】
このような温度変化は、例えば光源の光出力端に光スイッチを設け、発光開始後温度が安定するまで光が子局の外に漏れないようにする、などの方法によって回避可能である。しかし、光スイッチは現時点では高価であり、これを用いることによって光送信器全体の価格が上昇する。これは、同軸型半導体レーザパッケージと加熱のみによる温度制御を用いることによる低コスト化と相反する方向である。同軸型レーザと加熱のみによる温度制御器を用いた簡素な光送信器には、高価な部品を用いずにできるだけ簡便な方法で、上述のような問題を解決することが望ましい。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、PONにおける上り信号の合成方式として簡易波長多重方式を採用し、子局の光源に対して加熱のみによる温度制御を用いて波長を管理する従来の技術では、運用中のPONの上り系統に新たに子局が加わろうとすると、子局の光源である半導体レーザの駆動を開始したとき、半導体レーザのパッケージ温度が半導体レーザ自体の発熱によって徐々に上昇し、それに伴って半導体レーザの波長が徐々に変化して、他の上り信号に影響を与える可能性があった。また、この問題に対するこれまでの解決方法は、消費電力が大きかったり、コストがかかり、簡易波長多重方式の簡易性、低コスト性を損なうものであった。
【0015】
本発明は、こうした半導体レーザの駆動開始時の波長変化を簡易で低コストかつ消費電力の低い手法によって回避できる半導体レーザの制御方法及び装置並びに半導体レーザを用いたパッシブ光ネットワークを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の一つの態様によると、半導体レーザを加熱する加熱器を半導体レーザの駆動開始時刻以前に所定の発熱量だけ発熱させた後、半導体レーザの駆動開始時刻に半導体レーザの温度が下降状態となるように加熱器の単位時間当たりの発熱量を減少させる。
【0017】
より具体的には、半導体レーザの駆動開始以前に半導体レーザのパッケージを加熱器によって予め暖めた後、半導体レーザの駆動開始以前に加熱をやめるか、発熱量を減らすことによって、半導体レーザのパッケージ温度が下がりつつある状態のとき(半導体レーザの駆動開始時刻に温度が下がり始める形態を含めて)、半導体レーザの駆動が開始されるようにする。半導体レーザの駆動が開始されると、半導体レーザ自体から発生する熱量が半導体レーザのパッケージに供給されるが、駆動以前の加熱によって温度が下降している途中であるため、それらが相殺し合ってほぼ一定の温度を保つことが可能である。このようにすることによって、半導体レーザの出力波長が駆動開始後に徐々に変化する現象を回避し、出力波長をほぼ一定の値に保持することが可能となる。
【0018】
本発明の他の態様では、半導体レーザを加熱する加熱器を半導体レーザの駆動開始時刻以前に所定の発熱量だけ発熱させた後、駆動開始時刻に半導体レーザの温度が下降状態となるように加熱器の単位時間当たりの発熱量を減少させる点は上記の態様と同様であるが、この発熱量減少後における加熱器の単位時間当たりの発熱量を零以上の一定値に保持する制御を行う。この制御によって、半導体レーザの駆動開始直後から半導体の温度をほぼ一定に保つことが可能となる。
【0019】
本発明のさらに別の態様では、半導体レーザを加熱する加熱器を半導体レーザの駆動開始時刻以前に所定の発熱量だけ発熱させた後、加熱器の単位時間当たりの発熱量を減少させ、半導体レーザの検出温度が所定値に低下した時点で半導体レーザの駆動を開始させ、半導体レーザの駆動開始後、検出温度が所定値に保持されるように加熱器の発熱量を制御する。
【0020】
本発明に係るパッシブ光ネットワークは、本発明に基づいて制御される半導体レーザを上り信号送信用光源として有する複数の子局を含むことを特徴とする。前述のように、本発明では半導体レーザの温度制御を加熱器のみで行う場合に、半導体レーザの駆動開始時からの波長変動を極力抑圧することが可能である。従って、本発明に基づいて制御される半導体レーザを上り信号用光源に適用した子局で構成されるパッシブ光ネットワークは、運用中に新たに子局が加わるときの子局の波長変動が小さく、波長変動によるビート雑音の発生の可能性が小さくなる。
【0021】
その結果、パッシブ光ネットワークの安定した動作が可能となり、また他の子局光源の温度の上げ幅が小さくなるため、消費電力が小さくなる。さらに、光源の半導体レーザの温度を従来より低く保つことによって半導体レーザの寿命が長くなり、より信頼性の高いシステムを構築できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
[第1の実施形態]
図1に、本発明の第1の実施形態に係る構成を示す。半導体レーザ(レーザダイオード)11を制御する半導体レーザ制御装置12は、半導体レーザ11のパッケージに密着された加熱器13と、加熱器13を駆動制御する加熱器駆動制御回路14から構成される。半導体レーザ11は、実質的にはパッケージ化されている。加熱器13は、例えば中・大電流トランジスタやニクロム線からなる。
【0023】
図2は、図1の半導体レーザ11と加熱器13及びその周辺部の構造の一例を示している。半導体レーザ11は、図2の例では同軸型半導体レーザパッケージ31内に実装されており、これに熱的に接続されたフランジ32は筐体33に空けられたねじ穴34に、ねじ35を差し込みことによって筐体33に固定されている。この際、ねじ35に例えばアクリル樹脂その他の熱抵抗の大きい材料を用い、さらにフランジ32と筐体33の間にアクリル樹脂あるいはフッ素樹脂のような熱抵抗の大きい材料からなるスペーサ36を設けることによって、半導体レーザパッケージ31から筐体32への熱伝導を抑えている。
【0024】
加熱器13は、図2の例ではトランジスタ37が用いられる。このトランジスタ37の熱的接触部(熱伝導部、例えば放熱部)38も、フランジ32を介して筐体33に固定される。通常、フランジ32はグラウンドに落とすことが多いので、トランジスタ37の熱伝導部38もグラウンド電極と共用すればよい。
【0025】
このような構成とすることにより、半導体レーザパッケージ31から筐体33への熱伝導を抑えて、トランジスタ37の熱が半導体レーザパッケージ31に効率的に伝わり、かつ放散しにくくなる。従って、比較的低消費電力のトランジスタ37を用いて半導体レーザパッケージ31を加熱し、その波長を制御することができる。
【0026】
なお、図2においては半導体レーザパッケージ31にサーミスタ39が接触または接着して設けられている。このサーミスタ39は後述する実施形態において用いられる温度検出器であり、半導体レーザパッケージ31の温度変化に敏感に反応して温度を正確に測定することができる。
【0027】
図2の構成によると、トランジスタ37を同軸型半導体レーザパッケージ31に密着させて加熱器13として用いることにより、トランジスタ37に電流を流すことによってパッケージ31の温度を上昇させることができる。トランジスタ37の内部で発生した熱は、トランジスタ37のパッケージや半導体レーザパッケージ31に徐々に伝わり、温度上昇を引き起こす。温度上昇の速度は、それらの熱容量と熱抵抗及び放熱される時の熱抵抗によってほぼ決定される。一方、温度を下降させたい場合には、トランジスタ37の発熱を止めるか、発熱量を下げるかして、トランジスタ37や半導体レーザパッケージ31から自然放熱させるようにすればよい。
【0028】
半導体レーザ11そのもの(レーザチップ)の温度変化は、半導体レーザパッケージ31内のレーザチップの配置や、加熱器13との位置関係及び放熱部との位置関係によってパッケージ31の表面温度と微妙に異なる。しかし、半導体レーザパッケージ31は一般に、レーザチップからの熱を容易に放散させるようにその内部の熱抵抗を十分小さくしているため、レーザチップの温度とパッケージ31の他の部分の温度はほぼ等しいとみなせる。
【0029】
図1に説明を戻すと、加熱器駆動制御回路14は加熱器13が図2に示したトランジスタ37あるいはニクロム線で構成される場合、それらに流す電流量を制御することによって、加熱器13の発熱量を制御する。このように加熱器13と加熱器駆動制御回路14により、半導体レーザ制御装置12は半導体レーザ11の温度を制御する温度制御器を構成する。
【0030】
図3は、本実施形態における加熱器13の発熱量の概略的な時間変化の例を示すグラフである。加熱器駆動制御回路14は、半導体レーザ11の駆動開始時刻tL以前に加熱器13を発熱させ、所定時間後に単位時間当たりの発熱量を減少させて一定量とする。発熱量を一定量に減少させる前の発熱量の時間変化の曲線は任意の形状で良いが、その発熱期間及び発熱量は以下のように3つの要素TL,Tc1,Tsがバランスするように決定される。
【0031】
半導体レーザパッケージ31に加えられた熱量は、周囲に自然放熱していく。自然放熱の時定数は、半導体レーザパッケージ31やトランジスタ37の熱容量と放熱する周囲の熱抵抗で決定される。トランジスタ37の発熱量を小さくすることによって、半導体レーザパッケージ31の温度は下がり始める。トランジスタ37の発熱量を小さくした後の単位時間当たりの発熱量を一定値に保つことによって、半導体レーザパッケージ31の温度の下降曲線は、放熱の時定数で決定される指数関数状の曲線となる。
【0032】
一方、加熱器13による加熱がなかった場合の半導体レーザ11自体の発熱による半導体レーザパッケージ31の温度上昇は、発熱による加熱とパッケージ31からの放熱とがバランスする点を収束点とする曲線となる。このときに描く温度上昇曲線は、半導体レーザパッケージ31とこれに熱的に密着しているトランジスタ37から周囲に放熱してゆくときの時定数で決定される指数関数状の曲線となる。
【0033】
従って、これら2つの曲線をその比を適切にとって足し合わせることにより互いにキャンセルし、温度を一定値にさせることが可能である。すなわち、半導体レーザ11の駆動を開始した直後から、半導体レーザ11の温度をほぼ一定の温度に保つことが可能となる。適切な比とは、具体的には以下の3つの要素によって決定される。
【0034】
図4及び図5に示すグラフを用いて説明する。図4は、本実施形態における加熱器13の発熱量の概略的な制御方法を示すグラフである。時刻t=0において加熱器13の発熱を開始し、時刻t=t1で発熱量を下げて一定の値Hcにした後、時刻t=tLにおいて半導体レーザ11が駆動開始される。
【0035】
第1の要素は、加熱器13による加熱を行わずに半導体レーザ11の駆動を開始し、十分時間が経過した後、半導体レーザ11自体の発熱とパッケージ31からの放熱が平衡したときの半導体レーザ11の駆動前からの温度上昇分である。図5(a)に、半導体レーザ11の発熱のみの場合のパッケージ31の温度上昇の様子を示す。第1の要素は図5(a)におけるTLに相当する。
【0036】
第2の要素は、半導体レーザ11のパッケージ31を加熱器13によって時刻t=0から一定の発熱量Hcで加熱したと仮定したときに定まる値である。図5(b)は、一定の発熱量Hcのみによる半導体レーザパッケージ31の温度上昇分を図示したものであり、図中のTc1が第2の要素である。すなわち、Hcのみで加熱し、十分に時間が経過した後の平衡状態の加熱前の温度からの温度上昇分Tc0と、半導体レーザ11の駆動開始時刻での温度上昇分の差分がTc1である。
【0037】
第3の要素は、加熱器13の発熱のうち一定値Hcを除いた分によって引き起こされた温度上昇分によって決定される値である。この温度上昇分は時間と共に徐々に減少してゆくが、半導体レーザ11の駆動開始時刻において残留する温度上昇分である。すなわち、図4において斜線で示した面積Sに対応する熱量によって引き起こされた半導体レーザパッケージ31の温度上昇は、図5(c)に示すようになり、第3の要素は図におけるTsに相当する。
【0038】
これら3つの要素TL,Tc1,TsがほぼTs=TL+Tc1の関係を満たすようにそれぞれのパラメータ、特に面積Sとその持続時間t1、一定になった後の発熱量Hcを適切に設定する。
【0039】
このようにすることによって、半導体レーザパッケージ31の温度ひいては半導体レーザ11のチップ温度を、加熱器13での加熱のみによる温度制御を用いながらも半導体レーザ11の駆動開始時刻からほぼ一定に保ち、もって波長の変動を効果的に抑圧することが可能となる。
【0040】
図6(a)(b)(c)に、本実施形態に基づく加熱器13の発熱量の種々の時間変化を示す。図5(a)では、半導体レーザ11の駆動開始時刻tLより以前にインパルス状の発熱量を与えている。図6(b)では、時刻tLより以前に一定の高い発熱量を与えている。図6(c)では、時刻tLより以前になだらかな山状の発熱量を与えている。いずれの発熱パターンも、発熱量のピークはその後の一定値Hcよりも大きい。
【0041】
また、発熱量を減少させた後の一定値Hcは、図3、図4及び図6では正の有限値であるが、0でもよい。すなわち図7に示すように半導体レーザ11の駆動開始時刻tLの以前に、加熱器13を一旦発熱させた後、発熱を止めてもよい。この場合には、図5(b)中のTc1に相当する部分が0になり、tLとTsから加熱器13の発熱部分の発熱量及び発熱期間を決定する。
【0042】
さらに、加熱器13の発熱量を減少させ始める時刻は、図3、図4、図6及び図7に示したように半導体レーザ11の駆動開始時刻tLより前でもよいが、図8に示すように時刻tLと同時でもよい。また、図6(a)に示すようなインパルス状の発熱量を時刻tLに与えてもよい。
【0043】
このように本実施形態によると、半導体レーザ11の温度制御を加熱器13による加熱のみで行う場合に、半導体レーザ11の駆動開始時刻tLの直後から、半導体レーザ11(半導体レーザパッケージ31)の温度をほぼ一定に保つことが可能となり、その結果、半導体レーザ11の発振波長を発振直後からほぼ一定に保つことが可能となる。
【0044】
次に、図9を用いて本実施形態における加熱器駆動制御回路14の具体的な構成の一例を説明する。
図9において、半導体レーザ11の駆動開始後の目標波長101及び半導体レーザ11の周囲温度102の情報が制御パラメータ決定部103に入力される。制御パラメータ決定部103は、図4に示す加熱器13の発熱量のうち、一定値Hcと、Hcを除いた斜線で示すパルス状部分の形状、すなわち発熱継続時間(パルス幅)と発熱量(パルス高)を決定する。
【0045】
具体的には、制御パラメータ決定部103では目標波長101より半導体レーザ11が目標波長101で発振するための温度を決定し、周囲温度102より必要な温度上昇量とそのために必要な発熱量を決定する。さらに、周囲温度によって半導体レーザ11からの放熱時の熱抵抗が変化するため、制御パラメータ決定部103は周囲温度102に対応して、加熱器13の発熱量のパルス部分の形状を補正して決定する。制御パラメータ決定部103から出力されるパルス部分の形状に関する情報はパルス発生部104に、また一定値Hcの情報は直流発生部105にそれぞれ入力される。
【0046】
一方、タイミング制御部107には加熱器13の駆動開始要求106が入力される。この駆動開始要求106は、半導体レーザ11の駆動開始時刻tLの一定時間前に入力される。タイミング制御部107は、この駆動開始要求106に対応して加熱器13の発熱を開始すべく、パルス発生部104に対してパルス状の信号を発生させるよう制御し、同時に直流発生部105に対して一定値Hcに対応する電圧を発生させるように制御する。これらパルス発生部104と直流発生部105の出力信号は加算器108によって加算され、加算器108の出力信号は加熱器13を駆動するのに適切な信号形態とすべく電圧−電流変換部109によって電圧信号から電流に変換された後、加熱器13である例えば図2中に示したトランジスタ37に供給される。
【0047】
第1の実施形態においては、半導体レーザ11の駆動を開始した後、周囲の温度や半導体レーザ11の駆動電流等の条件が一切変化しなければ、ずっと温度は一定に保たれる。しかし、通常は何らかの条件変化が生じる。そのような条件変化があった場合に対応するためには、半導体レーザ11の温度を検出し、その検出温度が所望の温度で一定になるように加熱器13の発熱量を制御するフィードバック制御ループを設ければよい。
【0048】
[第2の実施形態]
図10は、本発明の第2の実施形態に係る構成を示す図である。半導体レーザ11は、半導体レーザ駆動回路21により駆動される。半導体レーザ11を制御する半導体レーザ制御装置22は、半導体レーザ11に密着された加熱器13及び温度検出器23と、加熱器駆動制御回路24から構成される。
【0049】
半導体レーザ11及び加熱器13は、基本的に例えば図2に示したような構成よい。但し、加熱器13である例えばトランジスタ37が半導体レーザパッケージ31とは異なる蓄熱系統を有し、かつその系統の蓄熱量が無視できないものとなっている場合、例えば加熱器13であるトランジスタ37に他の熱容量が大きい部品が接続されている場合に、本実施形態は特に有用である。
【0050】
温度検出器23は、半導体レーザ11の半導体レーザパッケージ31の温度を検出する素子であり、例えば図2中に示したサーミスタ39や半導体温度センサなどが用いられる。温度検出器23による検出温度の情報は、加熱器駆動制御回路24に入力される。加熱器駆動制御回路24は、さらに半導体レーザ駆動回路21にも接続されており、半導体レーザ11の駆動開始タイミングを制御する。
【0051】
半導体レーザ制御装置22内では、温度検出器23による検出温度が所定の一定値となるように加熱器13の発熱量を制御するために、温度検出器23→加熱器駆動制御回路24→加熱器13→半導体レーザ11(半導体レーザパッケージ31)→温度検出器23という経路のフィードバック制御ループが構成されている。また、このフィードバック制御ループには、ループの開閉機構が設けられている。
【0052】
図11は、本実施形態の動作を説明するための図であり、(a)は温度検出器23による検出温度、(b)は加熱器13の発熱量の時間変化をそれぞれ示している。図11(a)におけるTaは、半導体レーザ11の目標温度である。
まず、フィードバック制御ループが開の状態で加熱器13を高い発熱量で発熱させ、半導体レーザ11を加熱する。この加熱に伴って、温度検出器23による検出温度は上昇する。
【0053】
次に、加熱器13の発熱量を下げると、徐々に温度検出器23による検出温度が下がってゆく。検出温度が目標温度Taに下がった時点で、半導体レーザ駆動回路21の動作を開始させ、半導体レーザ11の駆動を開始する。同時に、フィードバック制御ループを閉の状態とし、検出温度がTaに保たれるように制御する。
【0054】
半導体レーザ11の駆動開始前に加熱器13によって与える発熱量は、フィードバック制御ループによる温度保持機能が無かったと仮定した場合に、半導体レーザ11の駆動開始直後の温度がほぼ目標温度で一定になる発熱量、すなわち第1の実施形態と同様の熱量である。
【0055】
加熱器13が半導体レーザパッケージ31と異なる蓄熱系統を有し、その蓄熱量が無視できない場合には、駆動開始直後は一定でも、その後、徐々に目標温度Taからずれてしまう。フィードバック制御ループは、そのずれを補正するために使用する。図11(b)で駆動開始時刻tL以降の加熱器13の発熱量は、フィードバック制御ループによって制御されている。他の蓄熱系統が無視できない熱容量を有し、半導体レーザパッケージ31と熱的な独立性が強いと、熱が伝搬してくる時定数が大きくなる。そのため、放置すれば徐々に検出温度が上昇してしまうところを本実施形態ではフィードバックを掛けて加熱器13の発熱量を下げ、検出温度を一定に保っている。
【0056】
このようにすることによって、加熱器13が熱的な独立性が高い他の蓄熱系統を有している場合でも、半導体レーザ11の温度を駆動開始直後からほぼ一定に保ち、その結果、半導体レーザ11の発振波長をほぼ駆動開始直後から一定に保つことができる。例えば、加熱器13が半導体レーザパッケージ31とは独立性の高い無視できない量の蓄熱系統を有するものとすると、第1の実施形態では半導体レーザ11の駆動以前の発熱量をどのように調整しても、駆動開始後の温度を一定に保つことはできず、温度が一定になるまで非常に時間がかかるか、駆動直後の短い時間はほぼ一定でも徐々に温度が変化してしまう。
【0057】
これに対し、本実施形態では半導体素子11の駆動以前の加熱器13の発熱量は、駆動直後の短い時間所望の温度で半導体レーザパッケージ31の温度がほぼ一定になるような値とし、時間が経過して所望の温度から徐々にずれ始めた分をフィードバック制御で補正することによって、加熱器13に独自の蓄熱系統があっても、半導体レーザパッケージ31の温度、ひいては半導体レーザ11の発振波長を駆動開始直後からほぼ一定に保持することが可能となり、さらに半導体レーザパッケージ31と加熱器13の実装形態の自由度が増加するという利点がある。
【0058】
次に、図12を用いて本実施形態における加熱器駆動制御回路24の具体的な構成の一例について述べる。
図12において、半導体レーザ11の駆動開始後の目標波長201及び温度検出器23による検出温度202の情報が制御パラメータ決定部203に入力される。制御パラメータ決定部203では、目標波長201により半導体レーザ11が発振するための目標温度204を決定する。さらに、温度検出器23による検出温度202によって補正された半導体レーザ11の駆動開始以前の加熱器13の発熱形状を決定し、この発熱形状に従ったパルスパラメータ209を予備加熱信号発生部210に入力する。
【0059】
一方、温度検出器23による検出温度202と制御パラメータ決定部203で決定された目標温度204の情報が加算器205で比較減算され、これらの温度の差に相当する誤差信号が生成される。この誤差信号は、半導体レーザ11の温度を安定化するためのフィードバックに用いられる。フィードバック制御ループには、ループ開閉用のスイッチ206が挿入され、半導体レーザ11の駆動が開始されるまではスイッチ206によってフィードバック制御ループは開の状態となっている。
【0060】
タイミング制御部205は、入力された半導体レーザ駆動開始要求207に従って、まず予備加熱信号発生部210から半導体レーザ11の駆動開始以前に加熱器13の発熱を開始するように制御する。予備加熱信号発生部210から出力された加熱器13の駆動信号は、加算器213を介して電圧−電流変換部214に入力され、加熱器13を駆動するための電流信号に変換された後、加熱器13に供給される。これにより加熱器13が予備加熱信号発生部210からの信号に従い発熱することによって、半導体レーザ11の温度は一旦、目標温度204より上昇し、発熱量が減少すると温度が下降し始める。
【0061】
加算器205の出力は二分岐され、タイミング制御部208にも入力されている。加算器205の出力である誤差信号が0になったとき、すなわち温度検出器による検出温度202と目標温度204が等しくなったとき、タイミング制御部208はスイッチ206を閉じてフィードバック制御ループを閉の状態とし、さらに、半導体レーザ駆動回路21に半導体レーザ11の駆動を開始させる信号を送り出す。スイッチ206が閉じられた直後は、加算器205から出力されている誤差信号が0であるため、フィードバック制御ループは加熱器13に対して発熱量の増減は行わない。
【0062】
半導体レーザ11の駆動が開始されてから時間が経過し、半導体レーザ11自体の発熱と、半導体レーザパッケージ31や加熱器13からの放熱によって温度検出器23による検出温度と目標温度に差が生じてきたときには、誤差信号が非0の値となり、この差を補正するようにフィードバック制御ループが動作する。
【0063】
このとき、誤差信号は閉じられたスイッチ206を通過して増幅器211によりループ利得が付加され、さらにループフィルタ212によりループ帯域が制限された後、加算器213によって予備加熱信号発生部210からの出力信号と加算され、電圧−電流変換部214によって電流信号に変換された後、加熱器13である例えば図2中に示したトランジスタ37に供給され、加熱器13の発熱量を増加または減少させる。
【0064】
なお、発熱量を減少させる場合とは、予備加熱信号発生部210からの出力信号がフィードバック制御ループの信号と加算されることにより、図4に示した半導体レーザ11の駆動開始後における一定値Hcの発熱量から発熱量を削ることが可能な場合をいう。
【0065】
[第3の実施形態]
次に、図13を用いて本発明の第3の実施形態に係るパッシブ光ネットワークについて説明する。
図13においては、親局4に接続された幹線ファイバ1にスターカップラ2が接続され、スターカップラ2に接続された支線ファイバ3−1〜3−4に子局5−1〜5−4がそれぞれ接続されている。親局4と子局5−1〜5−4でスター型パッシブ光ネットワーク(PON)が形成されている。
【0066】
子局5−1〜5−4には、それぞれ親局4に光を送信するための光送信器6が備えられている。光送信器6には、光源として半導体レーザ11が備えられているが、半導体レーザ11は温度を可変するためのペルチェ素子などを含まない、例えば図2に示したような同軸型半導体レーザパッケージ31等によるものである。半導体レーザ11には、例えば第1の実施形態で説明した半導体レーザ制御装置12(または第2の実施形態で説明した半導体レーザ制御装置22)が接続されている。第2の実施形態に従えば、半導体レーザ制御装置22には半導体レーザ駆動回路21も接続される。
【0067】
このように第1または第2の実施形態で説明した半導体レーザ制御装置を子局5−1〜5−4に使用した本実施形態に基づくPONは、光を送出していなかった子局が新たに送信を開始する場合にも、安定した品質の動作が可能である。以下、PON内での動作を説明する。
図13において、子局5−1〜5−4のうち5−1,5−3,5−4が親局4に対して光を送信している状態で、新たに子局5−2が加わる場合を想定する。図13のPONでは、上り信号の多重方式には前述した簡易波長多重を用いている。従って、動作中のそれぞれの子局からの光は重なり合わない間隔以上の任意の波長間隔がとられている。図13中には、それぞれの子局5−1〜5−3が送出する光の波長が示されており、子局5−1はλ1、子局5−3はλ3、子局5−4はλ4の波長の光を送出している。子局5−2が新たに光を送出するとき、図示されているようなλ2の波長で送出すれば、他の光と重ならない。
【0068】
ここで、第1、第2の実施形態で述べたような半導体レーザ制御装置を用いることによって、半導体レーザ11に取り付けられた温度可変素子が加熱器13であっても、子局5−2は半導体レーザ11の駆動開始直後から温度がほぼ一定に安定化され、その結果、出力波長が駆動開始直後からほぼ一定に安定化される。すなわち、子局5−2に対しては出力波長がλ2となるような温度に目標温度設定して、半導体レーザ11を温度制御するとともに駆動を開始することにより、半導体レーザ11の駆動開始直後からその出力波長をほぼλ2とすることが可能である。
【0069】
従って、従来の技術で見られたような半導体レーザ11の駆動開始直後の波長の変動がなくなるため、他の子局5−1,5−3,5−4からの光に波長が重なることがなく、PON全体の動作の信頼性が高まる。また、新たな加える古曲の波長変動幅を考慮して、田野古曲の波長を予め大きく変えて大きな波長スペースをとっておく必要がなくなる。そのため、他の子局の光源である半導体レーザの温度上昇幅が小さいため消費電力が小さく、さらに光源の長寿命化が可能となり、PON全体の信頼性が向上する。
【0070】
[第4の実施形態]
図14は、本発明の第4の実施形態に係るパッシブ光ネットワークを示している。本実施形態は、PONがバックアップ系を有しており、主系統に障害が発生した時に従系統に切り替えることができるシステムに関する。
【0071】
子局5−1〜5−4には、第1、第2の実施形態で説明した半導体レーザ制御装置を含んだ光送信器が使用される。図14中においてブロック番号にaを含む系統が主系統、bを含む系統が従系統である。すなわち、幹線ファイバ1aとスターカップラ2aを含む系統が主系統、幹線ファイバ1bとスターカップラ2bを含む系統が従系統である。子局5−1〜5−4は、それぞれ2つの光送信器6a,6bを有している。光送信器6aは主系統のPONを介して親局4の光受信器7aに接続され、送信器6bは従系統のPONを介して光受信器7bに接続されている。
【0072】
子局5−1の上りの主系統に障害が発生すると、子局5−1は光送信器6bを用いて従系統に接続し、通信を継続する。その後、子局5−1の上り主系統の障害の原因が除去された場合、子局5−1はそれまで通信していた従系統から主系統に通信を切り替える必要がある。障害が他の子局には発生していなかったならば、子局5−2〜5−4はその間、引き続き主系統で通信を継続する。
【0073】
そこに、子局5−1が従系統から主系統に切り替えるという事態は、第3の実施形態と同様に、あるPONに新たに送信を始める子局が発生することと見なすことができる。すなわち、光受信器7aに接続される主系統PONにおいて子局5−2,5−3,5−4が上り光信号をそれぞれ波長λ2,λ3,λ4で送信しており、そこに、これまで従系統PONで光受信器7bに対し光送信器6bから上り送信を行っていた子局5−1が、主系統PONに光送信器6aから上り光信号の送信を開始する。子局5−1が光送信器6aから送出する光の目標波長はλ1であり、λ1であれば主系統PONに接続している他の子局の上り光信号と重ならずに通信を開始することが可能である。
【0074】
光送信器6aは、第1の実施形態で説明したような半導体レーザ制御装置12(または第2の実施形態で説明した半導体レーザ制御装置22)を内蔵しており、半導体レーザ11の駆動開始直後から送信波長λ1に対応する温度に半導体レーザ11を安定化させるように動作する。その結果、半導体レーザ11自体の発熱による駆動開始直後の温度変動が抑圧され、子局5−1は送信開始直後から送信波長をλ1とすることが可能となる。主系統PONに接続している他の子局5−2,5−3,5−4の上り光信号に影響を及ぼすことなく、主系統PONに接続系統を戻すことが可能となり、PONの動作をより安定にすることが可能となる。
【0075】
なお、以上の実施形態では、本発明の要旨に関係する部分のみを示し、本願の要旨とは直接関連しないが実施される際には必要になる部品、例えば電源部やその他の機能の制御部品等は示されていない。しかし、具体的な実施の際にはそのような部品が適宜挿入されることはいうまでもない。
【0076】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば半導体レーザを加熱器によって温度制御する場合に、半導体レーザの駆動開始以前に加熱器を発熱させた後、発熱量を減少させ、温度が下降状態にあるときに半導体レーザの駆動を開始させることによって、半導体レーザの駆動開始直後の半導体レーザ自体の発熱による温度変動を抑圧し、駆動開始直後から一定の温度にすることが可能となる。これにより駆動開始直後の半導体レーザ出力光の波長変動が抑圧され、時間的に波長が安定した発振が可能となる。
【0077】
また、本発明によれば上り信号系で簡易波長多重を行い、子局の光送信器に本発明による半導体レーザ制御を適用したパッシブ光ネットワークPONを構成することによって、ネットワークの運用中に新たに上り信号を発する子局が加わる場合にも、半導体レーザの駆動直後からの波長変動がほとんどないため、通信中の他の子局からの光に影響を及ぼすことなく駆動を開始することができ、その結果より安定した動作のパッシブ光ネットワークを構築することが可能となる上、他の子局の光源温度上昇幅が小さくなるために低消費電力化が可能となり、光源の寿命が延びてパッシブ光ネットワーク全体の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ及びその制御装置の概略構成を示すブロック図
【図2】同実施形態における半導体レーザ及び加熱器の具体的な構成例を示す分解斜視図
【図3】同実施形態における加熱器の発熱量の概略的な時間的変化を示す図
【図4】同実施形態における加熱器の発熱量の概略的な制御方法を示す図
【図5】同実施形態における半導体レーザの発熱のみの場合と加熱器を一定発熱量で発熱させた場合及び該一定発熱量を除いた分による半導体レーザの温度変化を示す図
【図6】同実施形態における加熱器の発熱量の種々の時間変化を示す図
【図7】同実施形態における加熱器の発熱量の他の時間変化を示す図
【図8】同実施形態における加熱器の発熱量の別の時間変化を示す図
【図9】同実施形態における加熱器駆動制御回路の具体的な構成例を示すブロック図
【図10】本発明の第2の実施形態に係る半導体レーザと半導体レーザ駆動回路及びその半導体レーザ制御装置の概略構成を示すブロック図
【図11】同実施形態における温度検出器による検出温度及び加熱器の発熱量の時間変化を示す図
【図12】同実施形態における加熱器駆動制御回路の具体的な構成例を示すブロック図
【図13】本発明の第3の実施形態に係るパッシブ光ネットワークの構成を示す図
【図14】本発明の第4の実施形態に係るパッシブ光ネットワークの構成を示す図
【図15】従来のスター型パッシブ光ネットワークの一形態を示す図
【符号の説明】
1…幹線光ファイバ
2…スターカップラ
3…支線光ファイバ
4…親局
5…子局
11…半導体レーザ
12…半導体レーザ制御装置
13…加熱器
14…加熱器駆動制御回路
21…半導体レーザ駆動回路
22…半導体レーザ制御装置
23…温度検出器
24…加熱器駆動制御回路

Claims (8)

  1. 半導体レーザの温度を制御する方法であって、
    前記半導体レーザを加熱する加熱器を前記半導体レーザの駆動開始時刻以前に所定の発熱量だけ発熱させた後、
    前記駆動開始時刻に前記半導体レーザの温度が下降状態となるように前記加熱器の単位時間当たりの発熱量を減少させることを特徴とする半導体レーザの制御方法。
  2. 半導体レーザの温度を制御する方法であって、
    前記半導体レーザを加熱する加熱器を前記半導体レーザの駆動開始時刻以前に所定の発熱量だけ発熱させた後、前記駆動開始時刻に前記半導体レーザの温度が下降状態となるように前記加熱器の単位時間当たりの発熱量を減少させ、この発熱量減少後における前記加熱器の単位時間当たりの発熱量を零以上の一定値に保持することを特徴とする半導体レーザの制御方法。
  3. 半導体レーザの温度及び駆動を制御する方法であって、
    前記半導体レーザを加熱する加熱器を前記半導体レーザの駆動開始時刻以前に所定の発熱量だけ発熱させた後、前記加熱器の単位時間当たりの発熱量を減少させ、前記半導体レーザの検出温度が所定値に低下した時点で前記半導体レーザの駆動を開始させ、前記半導体レーザの駆動開始後、前記検出温度が所定値に保持されるように前記加熱器の発熱量を制御することを特徴とする半導体レーザの制御方法。
  4. 半導体レーザの温度を制御する半導体レーザ制御装置であって、
    前記半導体レーザを加熱する加熱器と、
    前記加熱器を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記加熱器を前記半導体レーザの駆動開始時刻以前に所定の発熱量だけ発熱させた後、前記駆動開始時刻に前記半導体レーザの温度が下降状態となるように前記加熱器の単位時間当たりの発熱量を減少させることを特徴とする半導体レーザの制御装置。
  5. 半導体レーザの温度を制御する半導体レーザ制御装置であって、
    前記半導体レーザを加熱する加熱器と、
    前記加熱器を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記加熱器を前記半導体レーザの駆動開始時刻以前に所定の発熱量だけ発熱させた後、前記駆動開始時刻に前記半導体レーザの温度が下降状態となるように前記加熱器の単位時間当たりの発熱量を減少させ、この発熱量減少後における前記加熱器の単位時間当たりの発熱量を零以上の一定値に保持することを特徴とする半導体レーザの制御装置。
  6. 半導体レーザの温度及び駆動を制御する半導体レーザ制御装置であって、
    前記半導体レーザを加熱する加熱器と、
    前記半導体レーザの温度を検出する温度検出器と、
    前記温度検出器の検出温度に基づき前記半導体レーザ及び前記加熱器を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記加熱器を前記半導体レーザの駆動開始時刻以前に所定の発熱量だけ発熱させた後、前記加熱器の単位時間当たりの発熱量を減少させ、前記検出温度が所定値に低下した時点で前記半導体レーザの駆動を開始させ、前記半導体レーザの駆動開始後、前記検出温度が所定値に保持されるように前記加熱器の発熱量を制御することを特徴とする半導体レーザの制御装置。
  7. 前記制御手段は、前記温度検出器の検出温度が前記所定値に保持されるように前記加熱器の発熱量を制御するフィードバック制御ループ及び該フィードバック制御ループを開閉するループ開閉手段を有し、
    前記ループ開閉手段は、前記半導体レーザの駆動開始以前は前記フィードバック制御ループを開状態とし、前記温度検出器の検出温度が前記所定値になったとき前記フィードバック制御ループを閉状態とすることを特徴とする請求項6記載の半導体レーザの制御装置。
  8. 請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載の半導体レーザ制御装置によって制御される半導体レーザを上り信号送信用光源としてそれぞれ有する複数の子局を含むパッシブ光ネットワーク。
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