JP6743420B2 - フレキシブル基板、電子デバイス製造用基板及び電子デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂膜と、薄板ガラスと、保護層とを有するフレキシブル基板、及びこのフレキシブル基板を用いた電子デバイスに関する。
本発明はまた、支持基板と、樹脂膜と、薄板ガラスと、保護層とを有する電子デバイス製造用基板及びその製造方法と、この電子デバイス製造用基板を用いた電子デバイスの製造方法に関する。
従来から、照明用機器として白熱電球や蛍光灯が広く用いられている。これに対し、近年においては、面発光照明機器がそのソフトな印象の光や省エネルギー性能などの理由から次世代照明として注目を浴びており、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL(Electro Luminescence)、OEL:Organic Electro Luminescence)、無機エレクトロルミネッセンス、又は発光ダイオードと導光板とを組合せたものが開発されている。中でも有機ELは非常に薄く、機器の小型軽量化が可能であり、発熱も小さいといった点で注目されている。
有機ELとは、有機物質からなる発光材料に電圧を印可してエネルギーを付与し、励起された当該発光材料が元の状態に戻る際に、光としてエネルギーを放出する現象のことをいう。有機EL技術を用いた有機EL素子には、有機物質からなる発光材料を含む有機層と、当該有機層を挟むように対向した2つの電極(陰極及び陽極)とを、基板上に順次積層した構造が一般的に用いられている。
有機EL素子は、可撓性を有する基板を用いることで、曲げることが可能となることから、フレキシブル照明としての期待が高まっている。
従来、可撓性基板として、厚みが200μm以下の極薄ガラス(以下「薄板ガラス」と称す場合がある。)等が検討されている。
一方で、従来の電子デバイス製造装置は、厚板のガラス基板用に設計されているため、極薄で剛性の低い薄板ガラスは、そのままでは既存の電子デバイス製造装置に適用して電子デバイスを製造することができない。
このため、従来は、図4に示すように、厚板ガラス基板等の支持基板1上に、樹脂膜2を介して薄板ガラス3を積層して一体化した電子デバイス製造用基板として、既存の電子デバイス製造装置に適用し、薄板ガラス3上に有機EL素子等の電子デバイス素子を形成した後、支持基板1を剥離する方法が採用されている(特許文献1,2)。ここで、支持基板1は、薄板ガラス3の剛性等の強度を補強すると共に、従来の厚板ガラス基板の厚みにそろえて電子デバイス製造装置内での基板搬送等に対応可能とするためのものである。また、樹脂膜2は、薄板ガラス3上に有機EL素子等の電子デバイス素子を形成した後、支持基板1を剥離する際に、薄板ガラス3を破損させずに容易に剥離できるように、薄板ガラス3よりも広い面積で薄板ガラス3の周囲に樹脂膜2が露出するように形成されている。薄板ガラス3上に電子デバイス素子を形成した後は、樹脂膜2の端辺部から樹脂膜2と支持基板1との間を剥離することにより、支持基板1を取り去ることができる。
本発明者らは、このような電子デバイス製造用基板を用いて、薄板ガラス3上に有機EL素子等の電子デバイス素子を構成する透明電極、補助電極層、絶縁層等をフォトリソグラフィー工程によりパターニングして形成する際、樹脂膜2の露出面がエッチング液等によりダメージを受けて脆化し、自立性が損なわれると共に、引張強度が低下し、支持基板1から剥離することが困難となるという課題を見出した。
特許文献1,2に記載される発明では、このような課題の認識はなく、特許文献2には、支持基板の剥離性を改善するために、薄板ガラスと樹脂膜との界面に無機薄膜を形成することが提案されているが、このように無機薄膜を形成しても、電子デバイス形成時の樹脂膜の劣化を解決することはできない。
WO2011−024690 WO2012−144499
本発明の目的は、上記のように電子デバイス製造用基板上に電子デバイス素子を形成する際に、樹脂膜がエッチング液等によりダメージを受けて脆化する課題を解決する電子デバイス製造用基板及びフレキシブル基板を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、樹脂膜の露出面を保護層で被覆することにより、電子デバイス素子形成時のダメージから樹脂膜を保護し、樹脂膜の脆化を防止することができることを見出し、本発明に到達した。
従って、本発明は以下を要旨とするものである。
[1] 樹脂膜と、厚み200μm以下のガラス板と、保護層とを有するフレキシブル基板であって、該樹脂膜の片側表面の一部を該ガラス板が覆っており、更に、該樹脂膜の該ガラス板側の表面において、該ガラス板に覆われていない領域の少なくとも一部を該保護層が覆っていることを特徴とするフレキシブル基板。
[2] 前記樹脂膜の前記ガラス板側の表面において、該ガラス板に覆われている領域の該ガラス板の露出表面の少なくとも一部を前記保護層が覆っている、[1]に記載のフレキシブル基板。
[3] 前記樹脂膜の前記ガラス板側の表面において、該ガラス板に覆われていない領域全部を前記保護層が覆っている、[1]又は[2]に記載のフレキシブル基板。
[4] 前記樹脂膜の前記ガラス板側の表面において、該表面全部を前記保護層が覆っている、[1]乃至[3]のいずれかに記載のフレキシブル基板。
[5] 前記保護層が、金属及び/又は半導体元素を含む層である、[1]乃至[4]のいずれかに記載のフレキシブル基板。
[6] 前記保護層が、金属元素の窒化物、酸化物若しくは酸窒化物、又は半導体元素の窒化物、酸化物若しくは酸窒化物の少なくとも1つを含む、[5]に記載のフレキシブル基板。
[7] 前記保護層が、酸化ケイ素からなる、[6]に記載のフレキシブル基板。
[8] [1]乃至[7]のいずれかに記載のフレキシブル基板の前記ガラス板上に、直接又は前記保護層を介して形成された1種類以上の電子デバイス素子を有することを特徴とする電子デバイス。
[9] 前記電子デバイス素子の少なくとも1種類が有機EL素子である、[8]に記載の電子デバイス。
[10] 支持基板と、樹脂膜と、厚み200μm以下のガラス板と、保護層とを有する電子デバイス製造用基板であって、該支持基板の片側表面の略全面を該樹脂膜が覆っており、該樹脂膜の該支持基板とは反対側の表面の一部を該ガラス板が覆っており、更に、該樹脂膜の該ガラス板側の表面において、該ガラス板に覆われていない領域の少なくとも一部を該保護層が覆っていることを特徴とする電子デバイス製造用基板。
[11] 前記樹脂膜の前記ガラス板側の表面において、該ガラス板に覆われている領域の該ガラス板の露出表面の少なくとも一部を前記保護層が覆っている、[10]に記載の電子デバイス製造用基板。
[12] 前記樹脂膜の前記ガラス板側の表面において、該ガラス板に覆われていない領域全部を前記保護層が覆っている、[10]又は[11]に記載の電子デバイス製造用基板。
[13] 前記樹脂膜の前記ガラス板側の表面において、該表面全部を前記保護層が覆っている、[10]乃至[12]のいずれかに記載の電子デバイス製造用基板。
[14] 前記保護層が、金属及び/又は半導体元素を含む層である、[10]乃至[13]のいずれかに記載の電子デバイス製造用基板。
[15] 前記保護層が、金属元素の窒化物、酸化物若しくは酸窒化物、又は、半導体元素の窒化物、酸化物若しくは酸窒化物の少なくとも一つを含む、[14]に記載の電子デバイス製造用基板。
[16] 前記保護層が、酸化ケイ素からなる、[15]に記載の電子デバイス製造用基板。
[17] 前記樹脂膜が、片面又は両面の少なくとも一部に接着層を有する樹脂フィルムである、[10]乃至[16]のいずれかに記載の電子デバイス製造用基板。
[18] 前記ガラス板上に、直接又は前記保護層を介して形成された第1電極層を有する、[10]乃至[17]のいずれかに記載の電子デバイス製造用基板。
[19] 前記第1電極層上に、補助電極層を有する、[18]に記載の電子デバイス製造用基板。
[20] 前記補助電極層上に、絶縁層を有する、[19]に記載の電子デバイス製造用基板。
[21] [10]乃至[20]のいずれかに記載の電子デバイス製造用基板を用いることを特徴とする電子デバイスの製造方法。
[22] 支持基板の片側表面の略全面に樹脂膜を形成する樹脂膜形成工程と、該樹脂膜の、該支持基板とは反対側の表面の一部を覆うように厚み200μm以下のガラス板を接着するガラス板接着工程と、該樹脂膜の該ガラス板側の表面において、該ガラス板に覆われていない領域の少なくとも一部を覆う保護層を形成する保護層形成工程とを含むことを特徴とする電子デバイス製造用基板の製造方法。
[23] 前記保護層形成工程において、前記樹脂膜の前記ガラス板側の表面において、該ガラス板に覆われている領域の該ガラス板の露出表面の少なくとも一部を覆う前記保護層を形成する、[22]に記載の電子デバイス製造用基板の製造方法。
[24] 前記保護層形成工程において、前記樹脂膜の前記ガラス板側の表面において、少なくとも該ガラス板に覆われていない領域全部を覆う前記保護層を形成する、[22]又は[23]に記載の電子デバイス製造用基板の製造方法。
[25] 前記保護層形成工程において、前記樹脂膜の前記ガラス板側の表面において、該表面全部を覆う前記保護層を形成する、[22]乃至[24]のいずれかに記載の電子デバイス製造用基板の製造方法。
[26] 前記樹脂膜形成工程において、片面又は両面の少なくとも一部に接着層を有する樹脂フィルムを用いる、[22]乃至[25]のいずれかに記載の電子デバイス製造用基板の製造方法。
[27] 前記保護層形成工程後に、前記ガラス板上に、直接又は前記保護層を介してパターニングされた第1電極層を形成する第1電極形成工程を含む、[22]乃至[26]のいずれかに記載の電子デバイス製造用基板の製造方法。
[28] 前記第1電極層上に、パターニングされた補助電極層を形成する補助電極層形成工程を含む、[27]に記載の電子デバイス製造用基板の製造方法。
[29] 前記補助電極層上に、パターニングされた絶縁層を形成する絶縁層形成工程を含む、[28]に記載の電子デバイス製造用基板の製造方法。
本発明の電子デバイス製造用基板では、樹脂膜の表面のうち薄板ガラスで覆われていない領域が保護層で被覆されているため、電子デバイス素子の形成時に、エッチング液等に樹脂膜が直接接触することがなく、樹脂膜の劣化、脆化が防止される。このため、樹脂膜は、電子デバイス素子の形成工程を経た後も、その自立性、引張強度等を十分に維持することができ、その後の支持基板剥離工程において、支持基板と薄板ガラスとを容易に剥離することが可能となる。
本発明の実施の形態に係る電子デバイス製造用基板を示す図であって、図1(a)は斜視図、図1(b)は図1(a)のB−B線に沿う断面の拡大図である。 本発明の電子デバイスの実施の形態の一例を示す模式的な断面図である。 図2に示す電子デバイスの代表例である有機EL発光デバイスの有機EL素子の積層構造の一例を示す模式的な断面図である。 従来の電子デバイス製造用基板を示す斜視図である。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
なお、本発明は以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、本実施の形態の説明に用いる図面は、いずれも本発明による電子デバイス製造用基板、及び電子デバイスである有機EL素子の構成部材を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、又は省略等を行っており、各構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。更に、本実施の形態で用いる様々な数値は、いずれも一例を示すものであり、必要に応じて様々に変更することが可能である。
本発明における「電子デバイス」とは、半導体を含有しかつ2つ以上の電極を有し、その電極間に流れる電流や生じる電圧を、電気、光、磁気、化学物質などにより制御するデバイス、あるいは、印加した電圧や電流により、光や電場、磁場などを発生させるデバイスである。例としては、有機光電変換素子、有機電界効果トランジスタ、有機EL素子、ガスセンサ、有機整流素子、有機インバータ、情報記録素子などが挙げられる。有機光電変換素子は光センサ用途、エネルギー変換用途(太陽電池)のいずれにも用いることができる。これらの中で、本発明が好ましく用いられるのは、有機電界効果トランジスタ、有機光電変換素子、有機EL発光デバイスであり、より好ましくは有機EL発光デバイスである。
また、本発明における「電子デバイス素子」とは、上記電子デバイスの機能を発現させるために必要な層構成すべてを指すものとする。
以下では、本発明の電子デバイス素子として好適な有機EL素子を採用した場合の好ましい形態を中心に詳述するが、本発明の電子デバイスは何ら電子デバイス素子として有機EL素子を形成したものに限定されない。
[電子デバイス製造用基板]
図1を参照して本発明の電子デバイス製造用基板の実施の形態を説明する。
図1(a)は本発明の実施の形態に係る電子デバイス製造用基板の斜視図であり、図1(b)は、図1(a)のB−B線に沿う断面図の拡大図である。
図示の通り、本発明の電子デバイス製造用基板10は、支持基板1と、樹脂膜2と、厚み200μm以下のガラス板(以下「薄板ガラス」と称す場合がある。)3と、保護層4とを有する。
<支持基板>
支持基板1は、電子デバイス素子形成工程において搬送等に不具合を生じない程度の剛性を有していればよく、素材としては、ガラス、金属又は樹脂等の材料が挙げられる。また、支持基板1は、薄板ガラス3と樹脂膜2を介して固定されることから、良好な表面平滑性を有することが好ましい。具体的には、表面平滑性が1μm以下であることが好ましく、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは10nm以下、最も好ましくは1nm以下である。支持基板1の厚みとしては、電子デバイス素子形成工程において不具合が生じない範囲であればよく、素材にもよるが、通常、0.5〜5mm程度のものが用いられる。このような特徴が求められることから、支持基板1として用いられる素材は、ガラスが好ましい。ガラスの種類としては、ソーダガラス、ホウ酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、石英ガラスなどが挙げられる。上記ガラスの平均熱膨張係数は、好ましくは15ppm/℃以下、より好ましくは10ppm/℃以下である。本発明においては、支持基板1を構成するガラスの種類は特に限定されないが、比較的コストが低いことから、ソーダガラスが好ましい。
該支持基板1の端部については、切断面がそのまま露出している状態であってもよいが、少なくとも該樹脂膜2を形成する側の面の辺縁部に対しては、面取り加工が施されていることが好ましい。該樹脂膜2を形成する側の面の(片)側しか面取りしない場合は、該支持基板1の厚みに対して、片側から1/20以上1以下の割合で加工しているC面(平面)、R面(円筒面または楕円筒面)、または略円筒面といった形状に加工することが好ましい。該樹脂膜2を形成する側の面及びその反対面の両側から面取りする場合は、該支持基板1の厚みに対して、片側から1/20以上1/2以下の割合で加工しているC面(平面)、R面(円筒面または楕円筒面)、または略円筒面といった形状に加工することが好ましい。この場合、より好適には、片側から1/4以上1/2以下の割合で加工している略円筒面形状の面取りである。この場合でも、両面の面取り断面形状が厚み方向の中心線に対称である必要はなく、例えば、該樹脂膜2を形成する側の面の辺縁部の面取り厚みが反対面の面取り厚みに対して大きくてもよい。さらに、面取りした面の表面粗さは、鏡面であってもよいが、必ずしも必要なことではなく、いわゆる砂擦り面であってもよい。鏡面に近い場合は接着フィルムを貼合したときに剥離強度が向上して好ましい。また、砂擦り面になるほど、該樹脂膜2を含む接着層を塗布法によって形成する場合などに剥離強度が向上して好ましい。鏡面の表面粗さ(JIS B0601:2001準拠の最大高さRz)の典型値は0.4μm未満のプラス(正)の値、砂擦り面の表面粗さの典型値は、0.4μm以上50μm以下である。
該支持基板1は、必要に応じて、樹脂膜2側の表面の部分領域またはすべてに離型処理を施してもよい。離型処理を行うことによって、樹脂膜2との剥離性を向上させ、樹脂膜2を支持基板1から剥離する際の樹脂膜2の破断などを防止しやすくなる。
離型処理としては特に限定されないが、支持基板1の樹脂膜2側の表面を離型剤で処理することが挙げられる。また、適宜、マスキングなどの表面加工を施して、部分的に離型剤が貼着する工法を採用してもよい。
離型剤は特に限定されず、シリコーン系化合物(例えば、シリコーンオイル、熱硬化シリコーン、紫外線硬化シリコーン、変性シリコーンなど)、フッ素系化合物(例えば、フッ素系樹脂など)、オレフィン樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられ、特にシリコーン系化合物が好適に用いられる。
<樹脂膜>
樹脂膜2は、薄板ガラス3を支持基板1に固定可能な樹脂材料よりなる。この樹脂材料は、熱可塑性樹脂を含む樹脂材料であってもよく、硬化性樹脂組成物を硬化させてなる樹脂材料であってもよく、本発明の効果が得られる限りにおいて限定されないが、硬化性樹脂組成物は硬化反応時に薄板ガラス3表面への化学的な結合を誘起する配合設計が容易な点で、硬化性樹脂組成物を硬化させてなる樹脂材料が好ましい。
一方、熱可塑性樹脂は硬化性樹脂に対して一般的に靱性に優れるため、剥離の際の樹脂膜2の破壊が抑えられる点で好ましい。
熱可塑性樹脂としては、フッ素系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルシリコン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。
これらのうち、電子デバイスの形成における加熱工程や、洗浄工程を経た後も剥離の際に必要な機械強度を維持できる点で、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましく、支持層との密着性を調整し易いことから、フッ素系樹脂が特に好ましい。
硬化性樹脂組成物は、硬化処理によって硬化する樹脂組成物であれば、該組成物に含まれる成分は特に限定されないが、例えば、加熱処理や、活性エネルギー線照射により硬化する硬化性樹脂組成物が挙げられる。中でも、硬化処理工程が簡便であることから、熱硬化性樹脂組成物又は紫外線硬化性樹脂組成物であることが好ましい。
硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂、必要に応じて重合開始剤を含む。尚、本発明の効果を阻害しない他の成分や、本発明の効果を向上する他の成分を含んでもよい。そのような成分については後述する。
硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性樹脂としては、硬化処理によって重合反応が誘発され、硬化する成分であれば特に限定されないが、短時間かつ容易に硬化達成可能であることから、紫外線硬化性モノマー及びオリゴマーを好ましい例として挙げることができる。
上記紫外線硬化性モノマー及びオリゴマーとしては、機械的物性、透明性及び加工性などの観点から、(メタ)アクリルモノマー、および(メタ)アクリルオリゴマーが好ましく、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等のモノマーやオリゴマーが好ましい例として挙げられる。
上記紫外線硬化性モノマー及びオリゴマーとしては、機械的物性、透明性及び加工性などの観点から、(メタ)アクリルモノマー、および(メタ)アクリルオリゴマーが好ましく、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等のモノマーやオリゴマーが好ましい例として挙げられる。
硬化性樹脂が紫外線硬化性モノマー及びオリゴマーである場合、硬化性組成物は光重合開始剤を含む。光重合開始剤は、活性エネルギー線を吸収して活性化(励起)し、開裂反応等を介して反応を開始するために用いられるものである。
上記の他にも、例えば、硬化性樹脂の硬化性、吸水性、密着性、硬度、耐熱性、及び機械強度などの物性を調整するために、(メタ)アクリル酸エステル、リン酸(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、チオール化合物などのモノマー成分、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等のポリマー成分を任意で添加し、上記硬化性樹脂組成物とすることができる。これらの中でも特にチオール化合物を添加することが、耐熱性、および機械強度が向上するため好ましい。チオール化合物としては、例えばペンタエリスルトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスルトールテトラキスチオプロピオネートなどが挙げられる。なお、これらは1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
また、シランカップリング剤、増感剤、架橋剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、充填材、酸化防止剤、レベリング剤、スリップ剤、微粒子、分散剤、熱可塑性樹脂等を、硬化性や透明性、吸水性等の物性に支障とならない範囲で、任意で添加することができる。なお、これらは1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
前記樹脂材料は、加熱や活性エネルギー線の照射により、付加反応や架橋反応、開環反応などの反応が起こり、樹脂が網目構造を形成することで硬化する。
本発明において、樹脂膜2は、薄板ガラス3上に電子デバイス素子形成後、樹脂膜2と支持基板1との間で剥離するためのものであり、剥離時の自立性と引張強度を十分に満たすものであることが好ましい。また、このような自立性と引張強度を満たすために、樹脂膜2の厚みは1μm以上、特に5μm以上、とりわけ10μm以上であることが好ましい。一方、樹脂膜2は、ガラス積層体を真空プロセスに適用した際にも、水分や低分子量成分からなるアウトガス量をプロセス上好ましい範囲内に収めることができる点から200μm以下、特に100μm以下、とりわけ50μm以下であることが好ましい。
樹脂膜2の引張弾性率は、50MPa以上であることが好ましく、250MPa以上であることがより好ましく、500MPa以上であることが更に好ましく、700MPa以上であることが特に好ましい。一方、2500MPa以下であることが好ましく、2300MPa以下であることがより好ましく、2100MPa以下であることが更に好ましく、2000MPa以下であることが特に好ましい。
50MPa以上の引張弾性率を有することにより、樹脂膜2と支持基板1との間で剥離する際に、樹脂膜2の過度な変形が抑えられ、破断することなく剥離することが可能となる。
一方、引張弾性率を2500MPa以下とすることにより、樹脂膜2と支持基板1との間で剥離する際に、薄板ガラス3に過度な曲げ応力がかかることを抑制し、薄膜ガラス3の破損を防止することが可能となる。
樹脂膜2の引張弾性率は、以下の方法で測定することができる。
例えば、硬化性樹脂組成物を硬化させて、厚み200μm、幅2cm、長さ150mmの短冊状樹脂サンプルを作製し、万能試験機(例えば、株式会社島津製作所製、オートグラフAGS−Xが挙げられる)を用いて、短冊状樹脂サンプルの長手方向の伸びと応力を測定し、これらの値から引張弾性率を算出し、樹脂膜2の引張弾性率とする。試験条件はチャック間距離を10cm、引っ張り速度を10mm/minとし、25℃で測定する。
樹脂膜2の引張破断伸度は、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、15%以上であることが更に好ましい。一方で、500%以下であることが好ましく、400%以下であることがより好ましく、300%以下であることが更に好ましい。
5%以上の引張破断伸度を有することにより、樹脂膜2及び薄板ガラス3を含む積層体をカットする際に、切断箇所からのクラックの伝搬を抑制することができる。また、積層体内部で万が一薄板ガラス3が破損した際でも、樹脂膜2が破断することなく、積層体としてはその形状を保持するため、ガラスの飛散を防止することが可能となる。さらには樹脂膜2と支持基板1の間で剥離する際、樹脂膜2が破断することなく剥離することが可能となる。引張破断伸度の上限値は特に限定されないが、破断伸度が500%を超える樹脂材料を用いると、樹脂膜2を支持基板1から剥離する際に、樹脂膜2が支持基板1から剥離せずに伸長する傾向にあるため、一般的には500%以下が好ましく、400%以下であることがより好ましく、300%以下であることがさらに好ましい。
樹脂膜2の引張破断伸度は、以下の方法で測定することができる。
例えば、硬化性樹脂組成物を硬化させて、厚み200μm、幅10mm、長さ100mmの短冊状樹脂サンプルを作製し、万能試験機(例えば、株式会社島津製作所製、オートグラフAGS−Xが挙げられる)を用いて、短冊状樹脂サンプルの引張破断伸度を測定し、樹脂膜2の引張破断伸度とする。試験条件は、チャック間距離を40mm、引っ張り速度を50mm/minとし、25℃で測定する。
樹脂膜2の引張破断強度は、10MPa以上であることが好ましく、12MPa以上であることがより好ましく、15MPa以上であることが更に好ましく、30MPa以上であることが特に好ましい。
引張破断強度が10MPa以上の値を有することにより、樹脂膜2と支持基板1との間で剥離する際に、樹脂膜2の剥離途中での破断を抑制することが可能になる。なお、引張破断強度の上限は特段限定されないが、通常300MPa以下である。
樹脂膜2の引張破断強度は、以下の方法で測定することができる。
例えば、硬化性樹脂組成物を硬化させて、厚み200μm、幅10mm、長さ100mmの短冊状樹脂サンプルを作製し、万能試験機(例えば、株式会社島津製作所製、オートグラフAGS−Xが挙げられる)を用いて、短冊状樹脂サンプルの引張破断強度を測定し、樹脂膜2の引張破断強度とする。試験条件は、チャック間距離を40mm、引っ張り速度を50mm/minとし、25℃で測定する。
樹脂膜2は、支持基板1の一方の板面の略全面を覆うように形成されることが好ましい。ここで、「略全面を覆う」とは、支持基板1の板面の面積の50%以上を覆うことを意味する。樹脂膜2は、支持基板1の一方の板面を90%以上覆うことが好ましく、100%覆うことが特に好ましい。このように、樹脂膜2を支持基板1の板面の略全面を覆うように設けることで、電子デバイス素子形成後、樹脂膜2と支持基板1との間を剥離する際、樹脂膜2の端辺部を把持し易くなり、剥離時の作業性が良好となる。
樹脂膜2を形成する方法は、適宜選択すればよい。例えば樹脂膜2の材料として硬化性樹脂組成物を用いる場合、薄板ガラス3上又は支持基板1上に、硬化性樹脂組成物からなる膜を形成した後、他方の薄板ガラス3又は支持基板1を積層する。
薄板ガラス3上又は支持基板1上に、硬化性樹脂組成物からなる膜を形成する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、スピンコータ塗工、ダイコータ塗工、バーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、ディップコートなどを挙げることができる。
塗工における塗布速度、吐出量等は特に限定されず、硬化性樹脂組成物からなる膜の組成や塗布スピード、硬化後の樹脂膜2の所望の厚みから適宜調整することができる。また、硬化性樹脂組成物に溶剤を含む場合には、硬化性樹脂組成物からなる層を形成した後、溶剤を乾燥させ、除去する工程を含んでもよい。
本工程では、支持基板1、樹脂膜2、及び薄板ガラス3を一度に積層させてもよい。このような積層方法を用いることによって、支持基板1上に硬化性樹脂組成物を塗布し、薄板ガラス3と貼合するような積層方法よりもプロセスが簡易であり、また、樹脂組成物の塗布面が外気にさらされることがないため、異物混入や気泡の発生を抑制することができ、光学的欠陥の少ない良好な支持層付きガラス積層体を作製することができる。
一度にこれらの部材を積層させる方法としては特に限定されないが、例えば、薄板ガラス3、硬化性樹脂組成物、支持基板1を同時にプレスやニップロールに通して硬化性樹脂組成物を圧延する方法などが挙げられる。
本工程において、樹脂膜2の材料として硬化性樹脂組成物を用いる場合、上記で準備した支持基板1、硬化性樹脂組成物からなる層、及び薄板ガラス3を含む積層体に、例えば活性エネルギー線照射を行い硬化性樹脂組成物からなる層を硬化して樹脂膜2を得ることができる。硬化性樹脂組成物からなる層を硬化するための方法は特に限定されず、例えば、紫外線、可視光線などの活性エネルギー線照射により硬化する方法、または加熱処理などによって硬化する方法が挙げられる。上記のうち、工程の簡便さから、硬化反応が短時間で行われる活性エネルギー線照射が好適に用いられる。
一方、樹脂膜2に熱可塑性樹脂を含む場合は、樹脂膜2を形成し得る樹脂組成物中には既知の溶剤及び熱可塑性樹脂を含んだ塗液を前述の方法で、支持基板1又は薄板ガラス3に塗工し、支持基板1、熱可塑性樹脂を含む層、及び薄板ガラス3を含む積層体を作成した後、加熱することで、樹脂組成物中に含まれる溶剤を除去して支持層付きガラス積層体を得ることができるし、支持基板1又は薄板ガラス3に塗工、溶媒を除去した後、熱プレスや熱ラミネート方法により、支持層付きガラス積層体を得ることもできる。
溶媒を除去するための加熱温度は、溶媒を乾燥させるのに十分な温度であれば、特段限定されない。加熱方法も公知の技術を用いることができ、特段限定されない。
さらには、熱可塑性樹脂を含む樹脂膜2を予め、フィルム形状に成形し、直接支持基板1及び薄板ガラス3と積層する方法や、接着層を介して、支持基板1及び薄板ガラス3と積層する方法で、支持層付きガラス積層体を得ることもできる。接着層は、支持基板1と樹脂膜2の間、及び/又は、薄板ガラス3と樹脂膜2の間に設けてもよい。
接着層としては、厚み0.5〜10μm程度の紫外線及び熱硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の硬化性樹脂が挙げられ、耐熱性、機械的物性、加工性などの観点から、エポキシ系硬化性樹脂が好ましい。
エポキシ系硬化性樹脂としては、例えば脂環式化合物基を有するエポキシ樹脂、グリシジルエーテル基を有するエポキシ樹脂、芳香族基を有するエポキシ樹脂、などが例示され、より具体的にはビスフェノールA型やビスフェノールF型が挙げられるが、特にこれにのみ限定されない。
接着層を構成する樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、シランカップリング剤、増感剤、架橋剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、界面活性剤、充填剤、離型剤、熱可塑性樹脂を任意で添加することができる。なお、これらは1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
熱可塑性樹脂としては、フッ素系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルシリコン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。
これらのうち、電子デバイスの形成における加熱工程や、洗浄工程を経た後も剥離の際に必要な機械強度を維持できる点で、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましく、支持基板1との密着性を調整し易いことから、フッ素系樹脂が特に好ましい。
積層する方法としては、前述したプレス、ニップロール、熱ラミネート方法等、適宜選択することができる。
接着層が硬化性樹脂組成物からなる層である場合は、適宜硬化工程を含んでもよい。
<薄板ガラス>
薄板ガラス3は、厚みが200μm以下の極薄ガラスである。このような厚みの薄いガラス板を用いることで、可撓性を有するフレキシブル基板とすることができる。薄板ガラス3の厚みは好ましくは1μm以上、より好ましくは10μm以上、更に好ましくは30μm以上である。このような厚みとすることで、より機械的強度を高めることができる。また、薄板ガラス3の厚みは好ましくは100μm以下、更に好ましくは75μm以下、特に好ましくは50μm以下である。このような厚みとすることで、よりフレキシブル性を高めることができる。
薄板ガラス3の材質は、例えば、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、低アルカリガラス、ソーダライムガラス、ゾルゲルガラス、あるいはこれらのガラスに熱処理や表面処理を施したもの等が挙げられる。特に好ましいのは、硝材中の不純物による着色を避ける観点から無アルカリガラスである。
薄板ガラス3の成形方法は、任意の適切な方法がとられるが、たとえばスロットダウンドロー法、フュージョン法、フロート法等が挙げられる。また、薄板ガラス3は、市販のものをそのまま用いてもよく、あるいは、市販のガラスを所望の厚みになるように研磨して用いることも可能である。市販のガラスとしては、たとえば、コーニング社製「EAGLE2000」、旭硝子社製「AN100」、日本電気硝子社製「OA10G」、ショット社製「D263」などが挙げられる。
薄板ガラス3は、樹脂膜2の支持基板1とは反対側の面の一部を覆うように設けられる。即ち、薄板ガラス3の板面の面積は樹脂膜2の表面積よりも小さく、樹脂膜2の端縁と薄板ガラス3の端縁との距離Lが3〜30mm、特に5〜25mm、とりわけ10〜20mmであることが、剥離時の作業性を良好なものとする上で好ましい。さらに、薄板ガラス3のエッジを含む側面(電子デバイスを形成する第1主面及びその反対側の第2主面とは異なる面=側面)の少なくとも一部を樹脂膜2が覆っていてもよい。こうすることによって、薄板ガラスを支持基板から剥離する際の、あるいは、剥離した後のハンドリング等による機械的衝撃が加わった場合でも、薄板ガラスの破損防止効果が高まる。
<保護層>
保護層4は、樹脂膜2上の薄板ガラス3で覆われていない領域の少なくとも一部を覆うように設けられている。保護層4による樹脂膜2の保護効果を十分に得る上で、保護層4は、樹脂膜2上の薄板ガラス3で覆われていない領域全部を覆っていることが好ましい。
本発明の樹脂膜2は、薄板ガラス3を保護し、支持基板1から剥離可能な程度に引張強度や引張伸度を確保する必要があるため、樹脂膜2を構成する樹脂材料の分子量や架橋密度を著しく高くすることが出来ず、結果として耐薬品性を向上させることが困難であるため、保護層4の構成材料は、エッチング液から樹脂膜2を保護するために、耐薬品性が求められる。また保護層4の構成材料は、第一電極層、補助電極層、及び絶縁層等を形成する工程における加熱に耐え得る耐熱性が求められ、さらに樹脂膜2との良好な密着性を示すものが好ましい。
これらのことから、保護層4の構成材料としては、金属元素の窒化物、酸化物若しくは酸窒化物、又は半導体元素の窒化物、酸化物若しくは酸窒化物の少なくとも1つを含む層であることが好ましい。より具体的には、Si、Al、Ge、Zr、Y、Zn等の窒素物、酸化物、酸窒化物が挙げられる。
また、薄板ガラス3の露出表面の少なくとも一部に保護層4を形成する態様において、保護層4と第一電極層が直接接する場合があるため、素子内部への酸素や水の侵入を防ぎ、且つ電子デバイス素子を形成した後、電流のリークがするなどの恐れがない点から、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、窒化アルミニウムがさらに好ましい。
加えて屈折率、透明性、可撓性の観点から、酸化ケイ素が特に好ましい。
保護層4の厚みは、樹脂膜2の保護効果を十分に得る上ではある程度厚い方が好ましく、一方で、保護層4の製造コスト、剥離時に必要な可撓性(剥落しパーティクル発生源となってクリーンルームや製造した電子デバイスに対する汚染源とならない)の観点、更には、保護層4を、薄板ガラス3上を覆うように形成して、後述のボトムエミッション構造とする場合に要求される透明性の観点からは、薄いことが好ましく、通常1nm以上、特に5nm以上、とりわけ10nm以上で、通常100nm以下、特に50nm以下、とりわけ35nm以下であることが好ましい。
このような保護層4の形成方法には特に制限はなく、公知の方法を採用することができる。例えば、蒸着法やスパッタリング法により、樹脂膜2上に所定の酸化物、窒化物、酸窒化物層を形成する方法が挙げられる。また、CVD法により成膜した酸化膜をプラズマ窒化法などの方法で窒化処理して酸窒化ケイ素膜としてもよいし、CVD法により成膜した窒化ケイ素膜をプラズマ酸化法などの方法で酸化処理して酸窒化ケイ素膜としてもよい。
製造条件は、使用される金属及び/又は半導体元素の酸化物、窒化物、酸窒化物に応じて、適宜最適な条件が選択される。
保護層4は、図1に示すように、薄板ガラス3の表面と樹脂膜2の薄板ガラス3で覆われていない表面をすべて覆うように形成してもよく、薄板ガラス3の周囲の樹脂膜2の露出面にのみ形成され、保護層4は薄板ガラス3を覆わないものであってもよい。また、樹脂膜2の露出面と薄板ガラス3の表面の一部のみを覆うように形成されてもよい。例えば、保護層4が薄板ガラス3の周縁部を覆うように形成されてもよい。薄板ガラス3の表面以外に保護層4を形成する際には、薄板ガラス3をフォトレジスト膜、テフロンフィルム、ポリイミドフィルム等のカバーで覆い、その後保護層4を形成することにより、薄板ガラス3以外の樹脂膜2の露出面にのみに保護層4を形成することが可能となる。
保護層4による保護効果を十分に得ると共に、保護層4を成膜する際の作業性を良好なものとし、電子デバイス全体の製造コストを低減する上で、保護層4は、図1に示されるように、薄板ガラス3の表面と樹脂膜2の薄板ガラス3で覆われていない表面をすべて覆うように形成することが好ましい。
<電子デバイス製造用基板の製造方法>
電子デバイス製造用基板10は、例えば、支持基板1の片側表面の略全面に樹脂膜2を形成する樹脂膜形成工程と、この樹脂膜2の支持基板1とは反対側の表面の一部を覆うように薄板ガラス3を接着する薄板ガラス接着工程と、樹脂膜2の薄板ガラス3側の表面において、薄板ガラス3で覆われていない領域の少なくとも一部、好ましくは全部を覆うように保護層4を形成する保護層形成工程とを含む本発明の電子デバイス製造用基板の製造方法により製造される。
より具体的には、上記の支持基板1上に樹脂膜2の樹脂材料の未硬化膜を形成し、この未硬化膜の上に薄板ガラス3を貼り合わせた後、この未硬化膜を硬化させて、樹脂膜2上に薄板ガラス3を接合し、次いで保護層4を形成することにより製造することができる。
或いは、予め成膜された樹脂膜2用の樹脂フィルムを用い、必要に応じて接着層を介して、支持基板1、樹脂膜2及び薄板ガラス3を積層一体化し、その後保護層4を形成することにより製造することができる。
なお、本発明の電子デバイス製造用基板は、後述の電子デバイス素子の形成工程で形成される第1電極層、補助電極層、更に絶縁層を有するものであってもよい。
[フレキシブル基板]
本発明のフレキシブル基板は、上述の本発明の電子デバイス製造用基板から支持基板1が剥離されたものであり、本発明の電子デバイス製造用基板から支持基板1を剥離して製造されたものであってもよく、支持基板1を用いないこと以外は、直接上記の手順で製造されたものであってもよい。
本発明のフレキシブル基板は、通常、フレキシブル基板の薄板ガラス上に直接又は保護層を介して後述の方法で電子デバイス素子を形成してなる電子デバイスの構成部材として提供される。
[電子デバイス]
以下に、図2,3を参照して、本発明の電子デバイス製造用基板を用いて電子デバイスを製造する方法を説明する。
図2は、本発明の電子デバイス製造用基板を用いて製造された電子デバイス100の実施の形態の一例を示す模式的な断面図であり、電子デバイス製造用基板10から支持基板1を剥離したフレキシブル基板9上に有機EL素子20A等の電子デバイス素子20が形成され、この電子デバイス素子20を覆う封止部40を有する。図3は、電子デバイス100の代表例である。有機EL発光デバイス100Aの有機EL素子20Aの積層構造の一例を示す模試的な断面図である。
前述の保護層4が、薄板ガラス3上を覆わずに、薄板ガラス3の周囲の樹脂膜2の露出面のみを覆うように設けられている場合、電子デバイス素子は、薄板ガラス3上に形成される。また、保護層4が図1に示されるように、薄板ガラス3をも覆うように設けられている場合、電子デバイス素子は保護層4に形成される。また、保護層4が薄板ガラス3の一部を覆う場合、電子デバイス素子は、薄板ガラス3上に形成されるか、薄板ガラス3と薄板ガラス3上の保護層4上にまたがるように形成される。
<有機EL素子>
本実施の形態に係る有機EL素子20Aは、薄板ガラス3の表面に直接又は保護層4を介して形成され、少なくとも発光部を備える。
発光部21は、本実施の形態における有機EL素子20Aの発光を担う部分である。発光部21は、フレキシブル基板9上に、第一電極層22と、少なくとも有機発光材料からなる有機発光層33を有する有機層30と、第二電極層23とがこの順に積層された構成を有している。
発光部21は、赤色、緑色、青色の有機発光層を有する有機EL素子を並列配置することで、発光色を変化させることができる。また、白色発光を得るためには、黄色及び青色の有機発光層、もしくは、赤色、緑色及び青色の有機発光層を積層した有機EL素子を用いることもできる。黄色の有機発光層は赤色と緑色の材料を混合して得ることも可能である。
本実施の形態では、発光部21から出射された光が、フレキシブル基板9側から出射するように構成されているボトムエミッション構造としているため、保護層4が薄板ガラス3上にも形成されている場合は、保護層4は透明性に優れることが望まれる。封止部40側から光を出射させるトップエミッション構造としてもよいが、その場合は封止部40がある程度透光性を有することが好ましい。
なお、図3には示していないが、有機層30をウェットプロセスで作製する場合に塗布される機能性材料溶液を保持するための絶縁性の隔壁層を、第一電極層22の上に形成した後に、有機層30と、第二電極層23とが積層されていてもよい。
(有機層)
有機層30は、有機発光層単層であっても、有機発光層と電荷輸送層の多層構造であってもよく、具体的には、下記の(1)〜(9)に示すような構成を挙げることができるが、本発明に係る有機層30の構成は、本発明はこれらにより限定されるものではない。
(1) 有機発光層
(2) 正孔輸送層/有機発光層
(3) 有機発光層/電子輸送層
(4) 正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層
(5) 正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層
(6) 正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層
(7) 正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/正孔阻止層/電子輸送層
(8) 正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層
(9) 正孔注入層/正孔輸送層/電子防止層/有機発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層
また、有機発光層、正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子防止層、電子輸送層、及び、電子注入層の各層は、単層構造でも多層構造でもよい。
図3では、上記(8)の構成を採用して、第一電極層22から第二電極層23に向けて、正孔注入層31、正孔輸送層32、有機発光層33、正孔阻止層34、電子輸送層35、電子注入層36が、この順で積層されている。
有機発光層33は、以下に例示する有機発光材料のみから構成されていてもよく、発光性のドーパント材料とホスト材料の組み合わせから構成されていてもよく、任意に正孔輸送材料、電子輸送材料、添加剤(ドナー、アクセプター等)等を含んでいてもよく、また、これらの材料が高分子材料(結着用樹脂)又は無機材料中に分散された構成であってもよい。発光効率及び寿命の観点からは、ホスト材料中に発光性のドーパント材料が分散されたものが好ましい。
有機発光材料としては、有機EL用の公知の発光材料を用いることができる。このような発光材料は、低分子発光材料、高分子発光材料等に分類され、これらの具体的な化合物を以下に例示するが、本発明はこれらの材料に限定されるものではない。また、発光材料は、蛍光材料、燐光材料等に分類されるものでもよい。低消費電力化の観点で、発光効率の高い燐光材料を用いることが好ましく、素子寿命の観点で、耐久性の高い蛍光材料を用いることが好ましく、適宜組み合わせて蛍光材料、燐光材料を併用してもよい。
ここで、有機EL用の発光材料として具体的な化合物を以下に例示するが、本発明はこれらの材料に限定されるものではない。
低分子有機発光材料としては、例えば、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)−ビフェニル(DPVBi)等の芳香族ジメチリデン化合物;5−メチル−2−[2−[4−(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾオキサゾール等のオキサゾール化合物;3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−t−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)等のトリアゾール誘導体;1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン等のスチリルベンゼン化合物;チオピラジンジオキシド誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、フルオレノン誘導体等の蛍光性有機材料;及び、アゾメチン亜鉛錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム錯体(Alq)等の蛍光発光有機金属錯体等が挙げられる。
高分子発光材料としては、例えば、ポリ(2−デシルオキシ−1,4−フェニレン)(DO−PPP)、ポリ[2,5−ビス−[2−(N,N,N−トリエチルアンモニウム)エトキシ]−1,4−フェニル−アルト−1,4−フェニレン]ジブロマイド(PPP−NEt3+)、ポリ[2−(2’−エチルヘキシルオキシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレンビニレン](MEH−PPV)、ポリ[5−メトキシ−(2−プロパノキシサルフォニド)−1,4−フェニレンビニレン](MPS−PPV)、ポリ[2,5−ビス−(ヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン−(1−シアノビニレン)](CN−PPV)等のポリフェニレンビニレン誘導体;ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(PDAF)等のポリスピロ誘導体が挙げられる。
有機発光層33に任意に含まれる発光性のドーパント材料としては、有機EL用の公知のドーパント材料を用いることができる。このようなドーパント材料としては、例えば、スチリル誘導体、ペリレン誘導体、イリジウム錯体、クマリン誘導体、ルモーゲンFレッド、ジシアノメチレンピラン、フェノキザゾン、ポリフィリン誘導体等の蛍光発光材料、ビス[(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジナト−N,C2’]ピコリネートイリジウム(III)(FIrpic)、トリス(2−フェニルピリジル)イリジウム(III)(Ir(ppy))、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム(III)(Ir(piq))等の燐光発光有機金属錯体等が挙げられる。
また、ドーパント材料を用いる時のホスト材料としては、有機EL用の公知のホスト材料を用いることができる。このようなホスト材料としては、上述した低分子発光材料、高分子発光材料、4,4’−ビス(カルバゾール)ビフェニル、9,9−ジ(4−ジカルバゾール−ベンジル)フルオレン(CPF)等のカルバゾール誘導体等が挙げられる。
また、電荷注入輸送層は、電荷(正孔、電子)の電極からの注入と有機発光層への輸送(注入)をより効率よく行う目的で、電荷注入層(正孔注入層31、電子注入層36)と電荷輸送層(正孔輸送層32、電子輸送層35)に分類され、以下に例示する電荷注入輸送材料のみから構成されていてもよい。また、任意に添加剤(ドナー、アクセプター等)等を含んでいてもよく、これらの材料が高分子材料(結着用樹脂)又は無機材料中に分散された構成であってもよい。
電荷注入輸送材料としては、有機EL用、有機光導電体用の公知の電荷輸送材料を用いることができる。このような電荷注入輸送材料は、正孔注入輸送材料及び電子注入輸送材料に分類され、これらの具体的な化合物を以下に例示するが、本発明はこれらの材料に限定されるものではない。
正孔注入・正孔輸送材料としては、例えば、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)等の酸化物;無機p型半導体材料、ポルフィリン化合物、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPD)等の芳香族第三級アミン化合物;ヒドラゾン化合物、キナクリドン化合物、スチリルアミン化合物等の低分子材料;ポリアニリン(PANI)、ポリアニリン−樟脳スルホン酸(PANI−CSA)、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンサルフォネイト(PEDOT/PSS)、ポリ(トリフェニルアミン)誘導体(Poly−TPD)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)、ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)、ポリ(p−ナフタレンビニレン)(PNV)等の高分子材料等が挙げられる。
また、陽極からの正孔の注入・輸送をより効率よく行う点で、正孔注入層として用いる材料としては、正孔輸送層に使用する正孔注入輸送材料より最高被占分子軌道(HOMO)のエネルギー準位が低い材料を用いることが好ましい。正孔輸送層としては、正孔注入層に使用する正孔注入輸送材料より正孔の移動度が、高い材料を用いることが好ましい。
また、より正孔の注入・輸送性を向上させるため、上記正孔注入・輸送材料にアクセプタをドープすることが好ましい。アクセプタとしては、有機EL用の公知のアクセプタ材料を用いることができる。これらの具体的な化合物を以下に例示するが、本発明はこれらの材料に限定されるものではない。
アクセプタ材料としては、Au、Pt、W、Ir、POCl、AsF、Cl、Br、I、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)等の無機材料;TCNQ(7,7,8,8,−テトラシアノキノジメタン)、TCNQF(テトラフルオロテトラシアノキノジメタン)、TCNE(テトラシアノエチレン)、HCNB(ヘキサシアノブタジエン)、DDQ(ジシクロジシアノベンゾキノン)等のシアノ基を有する化合物;TNF(トリニトロフルオレノン)、DNF(ジニトロフルオレノン)等のニトロ基を有する化合物;フルオラニル、クロラニル、ブロマニル等の有機材料が挙げられる。この内、TCNQ、TCNQF、TCNE、HCNB、DDQ等のシアノ基を有する化合物がよりキャリア濃度を効果的に増加させることが可能であるためより好ましい。
電子注入・電子輸送材料としては、例えば、n型半導体である無機材料、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、チオピラジンジオキシド誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、フルオレノン誘導体、ベンゾジフラン誘導体等の低分子材料;ポリ(オキサジアゾール)(Poly−OXZ)、ポリスチレン誘導体(PSS)等の高分子材料が挙げられる。特に、電子注入材料としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化バリウム(BaF)等のフッ化物、酸化リチウム(LiO)等の酸化物等が挙げられる。
電子の陰極からの注入・輸送をより効率よく行う点で、電子注入層36として用いる材料としては、電子輸送層35に使用する電子・注入輸送材料より最低空分子軌道(LUMO)のエネルギー準位が高い材料を用いることが好ましく、電子輸送層35として用いる材料としては、電子注入層36に使用する電子・注入輸送材料より電子の移動度が高い材料を用いることが好ましい。
また、より電子の注入・輸送性を向上させるため、上記電子注入・輸送材料にドナーをドープすることが好ましい。ドナーとしては、有機EL用の公知のドナー材料を用いることができる。これらの具体的な化合物を以下に例示するが、本発明はこれらの材料に限定されるものではない。
ドナー材料としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Al、Ag、Cu、In等の無機材料;アニリン類、フェニレンジアミン類、ベンジジン類(N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン、N,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス−(フェニル)−ベンジジン、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン等)、トリフェニルアミン類(トリフェニルアミン、4,4’4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン、4,4’4’’−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン、4,4’4’’−トリス(N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン等)、トリフェニルジアミン類(N,N’−ジ−(4−メチル−フェニル)−N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン)等の芳香族3級アミンを骨格にもつ化合物、フェナントレン、ピレン、ペリレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン等の縮合多環化合物(ただし、縮合多環化合物は置換基を有してもよい)、TTF(テトラチアフルバレン)類、ジベンゾフラン、フェノチアジン、カルバゾール等の有機材料がある。この内特に、芳香族3級アミンを骨格にもつ化合物、縮合多環化合物、アルカリ金属がよりキャリア濃度を効果的に増加させることが可能であるためより好ましい。
正孔阻止層34を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項エネルギー準位(T1)が高いことなどが挙げられる。このような条件を満たす正孔阻止層34の材料としては、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996号公報)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)などが挙げられる。更に、国際公開第2005/022962号公報に記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も、正孔阻止層34の材料として好ましい。
これら正孔注入層31、正孔輸送層32、有機発光層33、正孔阻止層34、電子輸送層35、及び、電子注入層36から構成される有機層30は、上記の材料を抵抗加熱蒸着法、電子線(EB)蒸着法、分子線エピタキシー(MBE)法、スパッタリング法、有機気相蒸着(OVPD)法等の公知のドライプロセスを用いて形成される。
一般的に有機層の形成には蒸着法が用いられる事が多い。
有機層30はまた、上記の材料を溶剤に溶解、分散させた有機層形成用組成物(塗布液)を用いて、スピンコーティング法、ディッピング法、ドクターブレード法、吐出コート法、スプレーコート法等の塗布法、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、マイクログラビアコート法等の印刷法等による公知のウェットプロセスを用いて形成しても良い。
ウェットプロセスにより有機層30を形成する場合には、各有機層の形成用組成物に、レベリング剤、粘度調整剤等の組成物の物性を調整するための添加剤を配合してもよい。
また、有機層30は、レーザ転写法、熱転写法等の転写法により形成することもできる。
転写に用いる転写用部材は、基材上に順次形成された、光熱変換層、中間層、そして光熱変換層の作用により加熱されて溶融し、受像要素にパターン状に転写される転写層を備えている。転写層には有機層30を構成する材料が含まれている。
有機層30の膜厚は、通常1〜1000nm程度であるが、10〜500nmが好ましい。膜厚が上記下限未満であると、本来必要とされる物性(電荷の注入特性、輸送特性、閉じ込め特性)を得ることが困難である。また、ゴミ等の異物による画素欠陥が生じるおそれがある。また、膜厚が上記上限を超えると有機層30の抵抗成分により駆動電圧の上昇が生じ、消費電力の上昇に繋がる。
(第一電極層及び第二電極層)
図3に示す第一電極層22及び第二電極層23は、有機EL素子20の陽極又は陰極として対で機能する。つまり、第一電極層22を陽極とした場合には、第二電極層23は陰極となり、第一電極層22を陰極とした場合には、第二電極層23は陽極となる。
以下に、第一電極層22及び第二電極層23として用いることができる具体的な化合物及び形成方法を例示するが、本発明はこれらの材料及び形成方法に限定されるものではない。
第一電極層22及び第二電極層23を形成する電極材料としては公知の電極材料を用いることができる。
陽極を形成する電極材料としては、図3における有機発光層33への正孔の注入をより効率よく行う観点から、仕事関数が4.5eV以上の金(Au)、白金(Pt)及びニッケル(Ni)等の金属や、インジウム(In)と錫(Sn)からなる酸化物(ITO)、錫(Sn)の酸化物(SnO)及びインジウム(In)と亜鉛(Zn)からなる酸化物(IZO)等の透明導電材料が挙げられる。さらに、PEDOT:PSSやポリアニリン等に代表される透明導電性有機材料であってもよく、ナノ銀ワイアー、ナノカーボンチューブなどの分散液を塗布したようなナノ構造材料を有する導電膜であってもよい。また、透明導電性有機材料とナノ構造材料とを組み合わせたり、前記の無機透明導電性材料とそれらを複数組み合わせたりしてもよい。
また、陰極を形成する電極材料としては、図3における有機発光層33への電子の注入をより効率よく行う観点から、仕事関数が4.5eV以下のリチウム(Li)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)等の金属、又は、これらの金属を含有するMg:Ag合金、Li:Al合金等の合金が挙げられる。
第一電極層22及び第二電極層23は、上記の材料を用いてEB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法等の公知の方法により形成することができるが、本発明はこれらの形成方法に限定されるものではない。また、必要に応じて、フォトリソグラフフィー法、レーザ剥離法により、形成した電極をパターン化することもでき、シャドーマスクと組み合わせることで直接パターン化した電極を形成することもできる。
特に薄板ガラス側の第一電極層22については、後述の通り、本発明による効果を有効に得る上で、エッチング液を用いるフォトリソグラフィー法によりパターニングされることが好ましい。
第1電極層及び第2電極層の膜厚は、50nm以上が好ましい。膜厚が50nm未満の場合には、配線抵抗が高くなることから、駆動電圧の上昇が生じるおそれがある。また、発光層で生じた光を有機EL素子外部へ取り出す役割を担う電極(補助電極を除く)の膜厚については、透明性(透過率の波長依存性も含む)ならびに可撓性の観点から、500nm以下が好ましい。より好ましくは400nm以下、さらに好ましくは200nm以下である。
有機発光層33からの発光をフレキシブル基板9側から取り出すためには、第一電極層22が透明電極、もしくは半透明電極であることが好ましい。透明電極材料としては、ITO、IZOが特に好ましい。
透明電極の膜厚は、50〜500nmが好ましく、100〜300nmがより好ましい。膜厚が50nm未満の場合には、配線抵抗が高くなることから、駆動電圧の上昇が生じるおそれがある。また、膜厚が500nmを超える場合には、光の透過率が低下することから輝度が低下するおそれがある。
(補助電極層及び絶縁層)
透明電極の抵抗を見かけ上下げる方法として、補助電極層を透明電極層に接するように形成する場合がある。補助電極層は、通常、陽極の上に形成されることが多く(稀に陽極の下の場合もある)、さらに通常はその補助電極層を平面視において覆うように絶縁層が形成される(稀に絶縁層が形成されない場合もある)。補助電極層は透明電極の抵抗による電圧降下の抑制に有効なものであるが、電荷が注入されないか、または発光した光を遮断するため、発光する領域とはならず、「非発光領域」となる。発光領域の面積が、発光形成領域全体の面積に占める比率を開口率と呼び、開口率が高い方が、輝度を一定とした場合に光度(=輝度×発光面積)もしくは光束(=光度の放射角度による積分値)が高くなる。ここで発光形成領域とは、陽極、発光層を含む有機層、陰極が平面視で重なって形成される領域であり、補助電極層及びそれを覆う絶縁層の部分をも含んでいる領域のことである。
この補助電極層及び絶縁層についても、本発明の効果を得る上で、エッチング液を用いるフォトリソグラフィー法によりパターニングされて形成されることが好ましい。
(電子デバイス製造用基板の電極層、補助電極層及び絶縁層)
本発明の電子デバイス製造用基板は、薄板ガラス3上に直接に又は保護層4を介して、上記の第一電極層22が形成されたものであってもよく、更にこの第一電極層22上に上記の補助電極層が形成されたものであってもよく、更に、この補助電極層上に前記絶縁層が形成されたものであってもよい。
この場合、本発明の電子デバイス製造用基板では、樹脂膜2上の薄板ガラス3で覆われていない領域が保護層4で覆われて保護されることにより、エッチング液による劣化ないし脆化を防止することができるという、本発明の効果を有効に得る上で、これら第一電極層、補助電極層及び絶縁層は、エッチング液を用いるフォトリソグラフィー法によりパターニングされて形成されたものであることが好ましい。
(封止部)
電子デバイス100は、通常、図2に示すように、電子デバイス素子20を外部からの水分や酸素等の不純物ガスから保護するため、封止部40が設けられている。
封止部40は、例えば、電子デバイス素子20の上に、直接、または、ケイ素やアルミニウム等の金属酸化物、窒化物、又は酸窒化物等の無機膜あるいは樹脂膜を介して、ガラス、樹脂、金属等の封止基板、もしくは封止膜からなる封止部を設けることで形成される。
封止部40は、粘着機能を有する熱可塑性樹脂フィルムを電子デバイス素子20の上に貼着し、その外側をAl箔で覆う構成を取ることが好ましい。このような構造とすることで、耐衝撃性と、水分や不純物ガスに対するバリア性を両立させることが可能である。更には、上記熱可塑性樹脂フィルムとAl箔の間に乾燥剤を配置することも好ましい。これにより、封止構造内に侵入した水分が電子デバイス素子20に到達することを防ぐことができ、電子デバイス100の保存安定性を高めることができる。
封止基板及び封止膜は、公知の封止材料及び封止方法により形成することができる。電子デバイスとしての可撓性を維持するためには、封止部もある程度の可撓性を有することが好ましい。
具体的には、第二電極層23上に樹脂をスピンコート法、ODF、ラミネート法を用いて塗布、又は貼り合わせることによって封止膜とすることが好ましい。第二電極層23上に、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、イオンビーム法、スパッタ法等により、SiO、SiON、SiN等の酸化物、窒化物、又は酸窒化物からなる無機膜を形成した後、更に、樹脂をスピンコート法、ODF、ラミネート法を用いて塗布、又は貼り合わせることによって封止膜とすることも好ましい。
この封止部40により、外部からの電子デバイス素子20への酸素や水分の混入を防止することができ、電子デバイス100の寿命が向上する。
ここで、封止部40の周縁部40Aは、電子デバイス素子20が外部雰囲気に晒されないように、電子デバイス素子20を完全に覆うために、電子デバイス素子20の周辺部で電子デバイス製造用基板10に接着されることが好ましい。
このようにすることで、外部雰囲気中の水分や酸素といった不純物ガスが、電子デバイス素子20に侵入することを、効果的に防ぐことができる。
(支持基板の剥離)
上記の通り、電子デバイス製造用基板10の薄板ガラス3上に電子デバイス素子20、更に必要に応じて封止部40を形成した後は、支持基板1を剥離して本発明の電子デバイスを得る。具体的には、電子デバイス製造用基板10の樹脂膜2の端部乃至は支持基板1の端部と薄板ガラス3の端部の間で該樹脂膜2が薄板ガラス3で覆われていない領域内において、該樹脂膜2の一部を切る等して作製した剥離のきっかけを支持基板1から引き上げて、樹脂膜2と共に、電子デバイス素子20が形成された薄板ガラス3を剥離して支持基板1を分離除去する。本発明によれば、電子デバイス素子形成工程における樹脂膜2の劣化ないし脆化の問題がなく、樹脂膜2本来の自立性、引張強度等の機械的特性を維持しているため、支持基板1の剥離工程では、薄板ガラス3側に何ら悪影響を及ぼすことなく、支持基板1を容易に剥離することができる。前記端部や剥離のきっかけを把持する方法としてはピンセット等を用いた人力による方法の他、粘着材・接着剤等による支持や真空保持等を採用してもよく、引き上げる際の動力も人力だけでなく他の動力、例えば電気力・磁気力や、水力・空気圧力などを用いてもよい。支持基板の剥離後、薄板ガラス3に樹脂膜2を付着させたまま電子デバイスとして用いてもよく、樹脂膜2を部分的にでも全面的にでも剥離または除去して用いてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明のより具体的に説明する。
[実施例1]
紫外線硬化性ウレタンアクリレートモノマー(新中村化学工業株式会社製、商品名「NKオリゴUA−122P」)54質量%、紫外線硬化性ウレタンアクリレートモノマー(新中村化学工業株式会社製、商品名「NKオリゴUA−160TM」)27質量%、紫外線硬化性アクリレートモノマー(新中村化学工業株式会社製、商品名「NKエステルA−DCP」)9質量%、チオールモノマー(SC有機化学株式会社製、商品名「PEMP」)9質量%、光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASF社製、商品名「IRGACURE184」)1質量%を均一に混合し、紫外線硬化性樹脂組成物1(塗料A)を得た。
また支持基板1(クリーンテック社製フロートガラス、厚み:0.7mm)の片面に、シリコーン樹脂(信越化学工業株式会社製、商品名「KS−847」)97質量%と白金触媒3質量%とをメチルエチルケトン(MEK)で希釈したシリコーン塗料をバーコーターでコートした後に150℃で10分熱処理することによって、離型処理を施し、支持基板1上に離型層を形成した。
その後、支持基板1の離形層形成側に塗料Aを塗布し、その上から薄板ガラス3(日本電気硝子株式会社製、商品名「OA−10G」、厚み:50μm)を積層させたのち、ニップロールに通して塗料Aをシート状に圧延することによって、薄板ガラス3、塗料Aからなる樹脂膜2、離型層、及び支持基板1を一度に積層した。また使用した薄板ガラス3は70mm×80mm、樹脂膜2、離型層、及び支持基板1は100mm×100mmの大きさで、樹脂膜2及び支持基板1を外形範囲(端辺部)が一致するように配置し、且つ、薄板ガラス3が樹脂膜2の各辺から5mm以上内側に位置するように配置した。
さらに薄板ガラス3側から高圧水銀ランプ(積算光量:580mJ/cm)を照射することによって、樹脂膜2を硬化させ、支持基板3側から、支持基板1、離型層、厚み50μmの樹脂膜2、薄板ガラス1の順に積層された支持基板付き薄板ガラス基板を得た。
硬化した樹脂膜2について各測定を行った結果、引張弾性率1500MPa、引張破断強度14MPa、引張破断伸度30%であった。
支持基板付薄板ガラス基板の薄板ガラス面側に、薄板ガラスと樹脂膜の露出面全面を覆うようにスパッタ法によってSiOからなる保護層(厚み35nm)を室温で形成し、連続して、ITOから成る透明電極層(厚み100nm)を形成した。保護層及びITO形成時の基板温度は200℃で、成膜時間は合わせて約15分であった。
続いて、スパッタ装置から取出して水系洗剤によるウェットクリーニングを行った。
次に、フォトリソグラフィー法によって必要な領域を覆うよう透明電極層をパターニングし、不要なITO層だけをエッチング除去した後、フォトレジストの覆いを除去し、該ウェットクリーニングを行った。
次に、スパッタ法によって、MAM(MoNb合金:厚み50nm/AlNd合金:厚み300nm/MoNb合金:厚み50nmの3層)から成るバスライン構成層(補助電極層)を形成した。
次に、フォトリソグラフィー法によって必要な領域だけMAM層を残すようパターニングし、露出したMAM層だけをエッチング除去した後、フォトレジストの覆いを除去し、該ウェットクリーニングを行った。
この状態において、薄板ガラス平面上では、ITO電極層が露出している領域I、MAM補助電極層が露出している領域II、薄板ガラスの上のSiO保護層が露出している領域IIIの3領域が存在している。
また、支持基板上においては、樹脂膜にSiO保護膜が積層された周辺領域、及び上記領域I〜IIIを有する薄板ガラスの領域が存在する。
次に、絶縁層材料(品名:東レ社製フォトニース/型番:DL−1000)を前記基板上にスピンコートし、塗布膜を90℃で10分間加熱して乾燥した。さらに、前記のようにパターニングされたバスライン構成層を必要な領域だけ覆うようなパターンで該絶縁層を覆い隠し、メーカーが推奨する条件で紫外線(g、h、i線混合光)照射(70〜90mJ/cm)を行い、感光させた。
次に、常温の2.38%TMAH水溶液によって、該絶縁層の感光領域を溶解し、絶縁層をパターニングした後、230℃で15分間焼成・硬化させ、該ウェットクリーニングを行った。
形成した絶縁層の厚みは、1.3〜1.5μm程度であった。
このようにして得られた、薄板ガラス上の保護層上に、ITO透明電極層/バスライン補助電極層/絶縁層がパターニングされた電子デバイス製造用基板を用いて、この電子デバイス製造用基板上に次のようにして有機EL素子を形成した。
1.基板の洗浄
上記の電子デバイス製造用基板を、横浜油脂工業社製セミクリーンM−L0の5%界面活性剤水溶液に浸漬させた状態で5分間超音波洗浄を行った後、超純水に浸漬させた状態で5分間超音波洗浄を行った。さらに、超純水によるすすぎを行い、風乾後200℃のオーブンで窒素雰囲気下にて30分間乾燥させた。
2.正孔注入層の形成
以下に示す繰り返し単位を有する高分子化合物HI−1とHI−2と4−イソプロピル−4−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートとを質量比5:95:15で混合し、この混合物の濃度が2.5質量%となるよう安息香酸エチルを加え、加熱、溶解させて正孔注入層の形成用組成物を調液した。
この正孔注入層用組成物を、大気雰囲気中で、上記の電子デバイス製造用基板上にインクジェット塗布した(インクジェット装置:Litlex社製○○、インクジェット条件:65μm四方に1滴吐出するように吐出電圧45Vで吐出)。その後、真空中で乾燥(180秒かけて17000Pa減圧し、その後10Pa以下で180秒間保持)し、さらに200℃のオーブン内で1時間加熱して膜厚約100nmの正孔注入層を形成した。
Figure 0006743420
3.正孔輸送層の形成
以下に示す化合物HT−1を真空蒸着法によって蒸着し、膜厚20nmの正孔輸送層を形成した。
Figure 0006743420
4.有機発光層の形成
前記正孔輸送層の上に、以下に示す化合物EM−1、EM−2を体積比が85:15となるように用いて真空蒸着法によって共蒸着し、膜厚40nmの有機発光層を形成した。
Figure 0006743420
5.正孔阻止層及び電子輸送層の形成
次いで、前記有機発光層上に、以下に示す化合物HB−1を膜厚10nmとなるように真空蒸着法によって蒸着し、正孔阻止層を形成した。
Figure 0006743420
さらに、前記正孔阻止層上に、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム錯体を膜厚15nmとなるように真空蒸着法によって蒸着し、電子輸送層を形成した。
6.電子注入層及び陰極の形成
前記電子輸送層上にフッ化リチウムを膜厚0.5nmとなるよう真空蒸着法によって蒸着して電子注入層を形成した後、アルミニウムを膜厚80nmとなるように真空蒸着法によって蒸着して陰極を形成した。
7.封止部の形成
厚さ20μmのアルミニウム箔と有機フィルムの複合フィルムのアルミニウム側に、乾燥剤として厚さ80μmの酸化カルシウムとポリエチレンの混合フィルムを積層し、更に熱可塑性樹脂からなる厚さ50μmの粘着シートを積層したものを用い、前記陰極までを形成した電子デバイス製造用基板の有機EL素子側表面に、粘着シートを貼着することにより封止部を形成した。
最後に、SiO保護層によって保護された樹脂膜を、支持基板との間から剥離して、支持基板を除き有機EL発光デバイスとした。
このとき、樹脂膜2は自立した引張強度の高い薄膜として機能し、薄板ガラスごと支持基板から容易に剥離することができ、支持基板を簡単に除くことができた。
作製された有機EL発光デバイスの外形サイズは、70mm×80mm角、発光領域は44mm角であり、通電して発光させたところ、正常に発光した。
[実施例2]
支持基板1(クリーンテック社製フロート、ガラス厚み:0.7mm)の上にバーコーターで硬化後の厚みが3μmになるように、第1の接着層の未硬化物として熱及び紫外線硬化性エポキシ系樹脂(ADEKA社製、商品名「KRX−690−5」)を塗布し、さらに、樹脂膜2として熱可塑性のETFE(エチレンテトラフルオロエチレン共重合樹脂)フィルム(旭硝子社製商品名「アフレックス」、厚み:25μm、片面コロナ処理済)のコロナ未処理面を第1の接着層の塗布面に向けてハンドロール(硬度:90°)で支持基板1上にラミネートした。
高圧水銀ランプ(積算光量:370mJ/cm)を照射し、その後、熱風循環式乾燥機で150℃で30分間熱処理することで、熱及び紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させ、第1の接着層を得た。
樹脂膜2、第1の接着層、及び支持基板1は100mm×100mmの大きさで、樹脂膜2、第1の接着層及び支持基板1を外形範囲(端辺部)が一致するように配置した。
次いで、樹脂膜2であるETFEフィルムのコロナ処理面側全面に、第2の接着層の未硬化物として前述の熱及び紫外線硬化性エポキシ系樹脂(ADEKA社製、商品名「KRX−690−5」)をバーコーターで硬化後の厚みが3μmになるように塗布した後に、薄板ガラス3(日本電気硝子社製商品名「OA−10G」、厚み:50μm、大きさ:70mm×80mm)を、支持基板1の中心と合わせ、且つ、薄板ガラス3が樹脂膜2の各辺から5mm以上内側に位置するように配置して、塗布面上にラミネートし、高圧水銀ランプ(積算光量:370mJ/cm)を照射し、その後、熱風循環式乾燥機で150℃にて1時間熱処理することで、熱及び紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させた。
このようにして支持基板1側から、第1の接着層、樹脂膜2、第2の接着層、薄板ガラス3の順に積層された支持基板付きガラス積層体を得た。
第1の接着層と樹脂膜2との接着強度は、第2の接着層と樹脂膜2とのそれに比べて小さく、支持基板1から薄板ガラス3を剥離する場合、第1の接着層と樹脂膜2との界面で剥離できる。
樹脂膜2について各測定を行った結果、引張弾性率800MPa、引張破断強度39MPa、引張破断伸200%であった。
上記支持基板付薄板ガラス基板の薄板ガラス上に、実施例1と同様にSiOからなる保護層を形成し、さらに、有機発光層及び電子輸送層の材料を変更した以外は、実施例1と同様に有機EL素子を形成した。その後、実施例1と同様に、SiO保護層によって保護された樹脂膜を、第1の接着層と樹脂膜2との界面から剥離することにより、支持基板から剥離して、支持基板を除き有機EL発光デバイスを作製した際も、樹脂膜2は自立した引張強度の高い薄膜として機能し、薄板ガラスごと支持基板から容易に剥離することができ、支持基板を簡単に除くことができた。この実施例2の有機発光デバイスも、発光することを確認した。
[比較例1]
実施例1において、ITOの透明電極層の形成前にSiO保護層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様に有機EL素子を作製した。
その結果、SiO保護層によって保護されなかった樹脂膜は脆化し、自立した引張強度の高い薄膜としてはもはや機能しなくなっており、支持基板との間から剥離しようとしても、容易に剥離することはできなかった。
このため、支持基板を除くためには、薄板ガラスの辺縁で、樹脂膜と支持基板との間に薄い刃厚のカッターを差し入れて剥離する必要があった。
1 支持基板
2 樹脂膜
3 薄板ガラス
4 保護層
9 フレキシブル基板
10 電子デバイス製造用基板
20 電子デバイス素子
20A 有機EL素子
21 発光部
22 第一電極層
23 第二電極層
30 有機層
31 正孔注入層
32 正孔輸送層
33 有機発光層
34 正孔阻止層
35 電子輸送層
36 電子注入層
40 封止部
100 電子デバイス
100A 有機EL発光デバイス

Claims (27)

  1. 樹脂膜と、厚み200μm以下のガラス板と、保護層とを有するフレキシブル基板であって、
    該樹脂膜の片側表面の一部を該ガラス板が覆っており、
    更に、
    該樹脂膜の該ガラス板側の表面において、該ガラス板に覆われていない領域の少なくとも一部を該保護層が直接接して覆っており、
    該保護層が該ガラス板を直接接して覆っており、
    前記保護層が、金属及び/又は半導体元素を含む層である
    ことを特徴とするフレキシブル基板。
  2. 前記樹脂膜の前記ガラス板側の表面において、該ガラス板に覆われている領域の該ガラス板の露出表面の少なくとも一部を前記保護層が覆っている、請求項1に記載のフレキシブル基板。
  3. 前記樹脂膜の前記ガラス板側の表面において、該ガラス板に覆われていない領域全部を前記保護層が覆っている、請求項1又は2に記載のフレキシブル基板。
  4. 前記樹脂膜の前記ガラス板側の表面において、該表面全部を前記保護層が覆っている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のフレキシブル基板。
  5. 前記保護層が、金属元素の窒化物、酸化物若しくは酸窒化物、又は半導体元素の窒化物、酸化物若しくは酸窒化物の少なくとも1つを含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のフレキシブル基板。
  6. 前記保護層が、酸化ケイ素からなる、請求項に記載のフレキシブル基板。
  7. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のフレキシブル基板の前記ガラス板上に、直接又は前記保護層を介して形成された1種類以上の電子デバイス素子を有することを特徴とする電子デバイス。
  8. 前記電子デバイス素子の少なくとも1種類が有機EL素子である、請求項に記載の電子デバイス。
  9. 支持基板と、樹脂膜と、厚み200μm以下のガラス板と、保護層とを有する電子デバイス製造用基板であって、
    該支持基板の片側表面の略全面を該樹脂膜が覆っており、
    該樹脂膜の該支持基板とは反対側の表面の一部を該ガラス板が覆っており、更に、
    該樹脂膜の該ガラス板側の表面において、該ガラス板に覆われていない領域の少なくとも一部を該保護層が直接接して覆っており、
    該保護層が該ガラス板を直接接して覆っており、
    前記保護層が、金属及び/又は半導体元素を含む層である
    いることを特徴とする電子デバイス製造用基板。
  10. 前記樹脂膜の前記ガラス板側の表面において、該ガラス板に覆われている領域の該ガラス板の露出表面の少なくとも一部を前記保護層が覆っている、請求項に記載の電子デバイス製造用基板。
  11. 前記樹脂膜の前記ガラス板側の表面において、該ガラス板に覆われていない領域全部を前記保護層が覆っている、請求項又は10に記載の電子デバイス製造用基板。
  12. 前記樹脂膜の前記ガラス板側の表面において、該表面全部を前記保護層が覆っている、請求項乃至11のいずれか1項に記載の電子デバイス製造用基板。
  13. 前記保護層が、金属元素の窒化物、酸化物若しくは酸窒化物、又は、半導体元素の窒化物、酸化物若しくは酸窒化物の少なくとも一つを含む、請求項9乃至12のいずれか1項に記載の電子デバイス製造用基板。
  14. 前記保護層が、酸化ケイ素からなる、請求項13に記載の電子デバイス製造用基板。
  15. 前記樹脂膜が、片面又は両面の少なくとも一部に接着層を有する樹脂フィルムである、請求項乃至14のいずれか1項に記載の電子デバイス製造用基板。
  16. 前記ガラス板上に、直接又は前記保護層を介して形成された第1電極層を有する、請求項乃至15のいずれか1項に記載の電子デバイス製造用基板。
  17. 前記第1電極層上に、補助電極層を有する、請求項16に記載の電子デバイス製造用基板。
  18. 前記補助電極層上に、絶縁層を有する、請求項17に記載の電子デバイス製造用基板。
  19. 請求項乃至18のいずれか1項に記載の電子デバイス製造用基板を用いることを特徴とする電子デバイスの製造方法。
  20. 支持基板の片側表面の略全面に樹脂膜を形成する樹脂膜形成工程と、
    該樹脂膜の、該支持基板とは反対側の表面の一部を覆うように厚み200μm以下のガラス板を接着するガラス板接着工程と、
    該樹脂膜の該ガラス板側の表面において、該ガラス板に覆われていない領域の少なくとも一部を直接接して覆うと共に、該ガラス板を直接接して覆うように、金属及び/又は半導体元素を含む保護層を形成する保護層形成工程と
    を含むことを特徴とする電子デバイス製造用基板の製造方法。
  21. 前記保護層形成工程において、前記樹脂膜の前記ガラス板側の表面において、該ガラス板に覆われている領域の該ガラス板の露出表面の少なくとも一部を覆う前記保護層を形成する、請求項20に記載の電子デバイス製造用基板の製造方法。
  22. 前記保護層形成工程において、前記樹脂膜の前記ガラス板側の表面において、少なくとも該ガラス板に覆われていない領域全部を覆う前記保護層を形成する、請求項20又は21に記載の電子デバイス製造用基板の製造方法。
  23. 前記保護層形成工程において、前記樹脂膜の前記ガラス板側の表面において、該表面全部を覆う前記保護層を形成する、請求項20乃至22のいずれか1項に記載の電子デバイス製造用基板の製造方法。
  24. 前記樹脂膜形成工程において、片面又は両面の少なくとも一部に接着層を有する樹脂フィルムを用いる、請求項20乃至23のいずれか1項に記載の電子デバイス製造用基板の製造方法。
  25. 前記保護層形成工程後に、前記ガラス板上に、直接又は前記保護層を介してパターニングされた第1電極層を形成する第1電極形成工程を含む、請求項20乃至24のいずれか1項に記載の電子デバイス製造用基板の製造方法。
  26. 前記第1電極層上に、パターニングされた補助電極層を形成する補助電極層形成工程を含む、請求項25に記載の電子デバイス製造用基板の製造方法。
  27. 前記補助電極層上に、パターニングされた絶縁層を形成する絶縁層形成工程を含む、請求項26に記載の電子デバイス製造用基板の製造方法。
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