JP6740320B2 - ロータ、モータ及びロータの製造方法 - Google Patents
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Description
したがって、バランス調整の作業時間を短縮し、バランス調整の精度を向上するとともに、回転時のバランス調整材の剥離を抑制したロータを提供できる。
また、ロータの回転時、凹部に注入されたバランス調整材には、凹部の壁面との間に回転の遠心力に抗する向きの摩擦力が生じる。よって、ロータ回転時の遠心力によるバランス調整材の剥離を抑制したロータとすることができる。
複数のバランス調整部は周方向において等間隔に配置されているので、測定されたアンバランス量を解消するために必要なバランス調整材の量及び配置箇所を計算により予測しやすい。よって、作業性を向上できるとともに、バランス調整の精度を向上できる。
一方、バランス調整材は樹脂よりも比重の大きい粉体を含むので、バランス調整材が樹脂のみを含む場合と比較して、より少ない量でバランス調整を行うことができる。よって、バランス調整の自由度を向上できる。
したがって、バランス調整の作業時間を短縮し、バランス調整の精度を向上するとともに、回転時のバランス調整材の剥離を抑制したロータを提供できる。
(モータ)
図1は、モータ1の断面図である。
モータ1は、軸線Cを中心とした円筒状に形成されている。なお、以降の説明において、モータ1の軸線Cに沿う方向を軸方向といい、軸線Cに直交する方向を径方向といい、軸線C回りの方向を周方向という場合がある。モータ1は、筒状のモータハウジング(不図示)の内部に収容されている。モータ1は、ステータ2と、ロータ3と、を有する。
ステータ2は、モータ1の径方向における外側に配置されている。ステータ2は、軸線Cを中心とした環状に形成されている。ステータ2の外周部は、上述した不図示のモータハウジングの内周面に取り付けられている。
ステータ2は、ステータコア5と、コイル6と、ケース7と、を備える。
第一ケース71は、軸方向一方側に配置されたステータコア5の端面及び外周面を覆っている。第一ケース71は、環状に形成されている。第一ケース71は、例えば66ナイロンやPPS等の耐熱性の樹脂により形成されている。第一ケース71は、壁部75と、当接部76と、バスバー保持部77と、を有する。
当接部76は、壁部75よりも径方向内側において、壁部75に接した状態で設けられている。当接部76は、ステータコア5の軸方向における一方側の端面に当接している。
バスバー保持部77は、壁部75及び当接部76よりも軸方向の一方側に設けられている。バスバー保持部77は、不図示のバスバーを保持している。本実施形態において、バスバー保持部77は、軸方向に3個形成されている。3個のバスバー保持部77は、軸方向において等間隔に並んでいる。バスバー保持部77に配置されたバスバーの一端は、上述したコイル6に接続される。バスバーの他端は、外部の電力供給部に接続される。これにより、コイル6には、バスバーを介して外部からの電力が供給される。
このように形成されたケース7(第一ケース71及び第二ケース72)は、それぞれ接着剤によりステータコア5に固定されている。なお、ステータコア5とケース7との固定方法は、ネジ固定や圧入等であってもよい。
図2は、ロータ3を軸方向他方側から見た断面斜視図である。ロータ3は、軸線Cと同軸の円柱状に形成されている。ロータ3は、ステータ2の径方向内側において、ステータ2との間にエアギャップを設けた状態で配置されている。ロータ3は、ステータ2に対して、軸線Cを回転中心として回転自在に配置されている。ロータ3は、シャフト10と、永久磁石20と、端面板30と、拘束部材40と、を有する。
永久磁石20は、シャフト10の嵌合面10aに軽圧入されている。永久磁石20は、筒状に形成されている。永久磁石20と、ステータ2のコイル6と、の間に磁界が作用することにより、ステータ2に対してロータ3が回転する。
第一端面板31は、永久磁石20の軸方向他方側の端面に当接している。第一端面板31は、環状に形成されている。第一端面板31の内周面は、シャフト10の嵌合面10aに圧入されている。第一端面板31の外径は、永久磁石20の外径よりも大きい。第一端面板31は、凹部33と、露出部34と、バランス調整部37と、を有する。
バランス調整材は、紫外線硬化型の樹脂と、樹脂よりも比重の大きい粉体と、を含む。バランス調整材は、複数のバランス調整部37のうち、所定のバランス調整部37に注入され、硬化することによりバランス調整部37内に配置される。紫外線硬化型の樹脂は、例えばエポキシ等の接着剤である。粉体は、例えばタングステン粉末等の金属粉末である。バランス調整材は、粉体として金属粉末を含むことにより、バランス調整部に配置された際に永久磁石20の磁力により粉体が引き付けられ、より強固に第一端面板31に固定される。
次に、上述したロータ3の製造方法について説明する。
ロータ3の製造方法は、第一工程と、第二工程と、第三工程と、を有する。
第一工程では、端面板30のうち、係止部41よりも軸方向の外側にバランス調整部37を形成する。具体的には、端面板30の軸方向端面36から端面板30の内側に向かって凹むバランス調整部37を形成する。
第二工程では、ロータ3の重量のアンバランスを測定する。具体的には、まず測定器にロータを回転可能に支持し、ロータを軸線C回りに回転させる。その後、測定器によりロータの回転時における重量のアンバランスを測定する。
第三工程では、第二工程で測定されたロータ3のアンバランスが解消するようにバランス調整部37にバランス調整材を配置する。具体的には、まずアンバランスに対応する適当なバランス調整部を選択する。次に選択されたバランス調整部に液体状のバランス調整材を注入する。最後にバランス調整材に紫外線を照射してバランス調整材を硬化させる。
さらに、ロータのアンバランス量が所定の範囲内に収まるまで第二工程における測定と第三工程におけるバランス調整とを繰り返す。このように第一から第三工程を経ることにより、ロータ3が製造される。
次に、上述したロータ3の作用、効果について説明する。
本実施形態によれば、端面板30は、係止部41よりも軸方向の外側の部分において、一部が拘束部材40に覆われずに露出した露出部34を有する。バランス調整部37は、この露出部34に設けられている。これにより、拘束部材40が設置された状態であってもバランス調整部37にバランス調整材を配置できるので、バランス調整の精度を向上することができる。また、バランス調整部37にバランス調整材を配置する簡易な方法によりロータ3のバランス調整ができるので、ロータ3のアンバランスを測定する測定器上で、測定及びバランス調整をすることができる。よって、作業時間や調整の手間を削減できる。さらに、バランス調整部37は端面板30に設けられているので、永久磁石20の外表面にバランス調整材を配置する従来の技術と比較して、バランス調整材を確実に保持することができる。
したがって、バランス調整の作業時間を短縮し、バランス調整の精度を向上するとともに、回転時のバランス調整材の剥離を抑制したロータ3を提供できる。
複数のバランス調整部37は周方向において等間隔に配置されているので、測定されたアンバランス量を解消するために必要なバランス調整材の量及び配置箇所を計算により予測しやすい。よって、作業性を向上できるとともに、バランス調整の精度を向上できる。
一方、バランス調整材は樹脂よりも比重の大きい粉体を含むので、バランス調整材が樹脂のみを含む場合と比較して、より少ない量でバランス調整を行うことができる。よって、バランス調整の自由度を向上できる。
本発明に係る第2実施形態について説明する。図3は、第2実施形態に係るロータ3の断面斜視図である。本実施形態では、バランス調整部137が端面板30の外周部に形成される点で上述した実施形態と相違している。
本実施形態において、バランス調整部137は、端面板30(第一端面板31及び第二端面板32)の径方向外周部35から端面板30の内側に向かって凹んでいる。バランス調整部137は、周方向に沿って等間隔に複数形成されている。本実施形態において、バランス調整部137は、周方向に8個形成されている。バランス調整部137の深さ寸法は、バランス調整部137の内径寸法よりも大きい。バランス調整部137には、端面板30の外周部からバランス調整材を配置可能とされている。
また、ロータ3の回転時、凹部33に注入されたバランス調整材には、凹部33の壁面との間に生じる摩擦力により、回転の遠心力に対抗する向きの力が作用する。よって、ロータ3回転時の遠心力によるバランス調整材の剥離を抑制したロータ3とすることができる。
例えば、上述の実施形態では第一端面板31と第二端面板32とが設けられる構成について説明したが、これに限られない。第二端面板32はなくてもよい。この場合、永久磁石20の軸方向一方側の端面が、シャフト10の突出部10bに当接している。拘束部材40の軸方向一方側の係止部41は、永久磁石20の軸方向一方側の端面に沿って折り曲げられて固定されている。
バランス調整部37,137は、ロータ3の径方向及び軸方向に対して傾いていてもよい。具体的に、第1実施形態において、端面板30の軸方向端面36に形成されたバランス調整部37は、深さ方向に進むにつれて径方向の外側へ向かうように傾いて形成されていてもよい。この場合、ロータ3回転時の遠心力により、バランス調整材には軸方向の内側に向かう力が作用するので、より一層バランス調整材の剥離を抑制できる。
また、第2実施形態において、端面板30の径方向外周部35に形成されたバランス調整部137は、深さ方向に進むにつれて周方向のロータ3の回転方向とは反対側へ向かうように傾いて形成されていてもよい。この場合、ロータ3回転時の慣性力により、バランス調整材には径方向の内側に向かう力が作用するので、より一層バランス調整材の剥離を抑制できる。
3 ロータ
10 シャフト
10a 嵌合面(シャフトの外周部)
20 永久磁石
30 端面板
33 凹部
37,137 バランス調整部
40 拘束部材
41 係止部
C 軸線
Claims (8)
- 軸線を回転中心とするシャフトと、
前記シャフトの外周部に配置される永久磁石と、
前記永久磁石における前記軸線の軸方向の端面に接して配置され、外周部に前記軸線の径方向の内側に向かって凹む凹部を有する端面板と、
前記永久磁石の外周部と前記端面板の径方向外周部とを覆い、前記凹部に入り込むことで前記端面板に係止される係止部を有する拘束部材と、
を備え、
前記端面板は、前記係止部よりも前記軸方向の外側において、前記径方向外周部及び前記軸方向に面する軸方向端面の少なくとも一方からバランス調整材を配置可能なバランス調整部を有し、
前記拘束部材の前記軸方向の端部は、前記凹部より前記軸方向の外側に位置し、
前記バランス調整部の全体が、前記拘束部材の前記端部より前記軸方向の外側に設けられることを特徴とするロータ。 - 前記バランス調整部は、前記端面板の前記軸方向端面から前記端面板の内側に向かって凹んでいることを特徴とする請求項1に記載のロータ。
- 前記バランス調整部は、前記端面板の前記径方向外周部から前記端面板の内側に向かって凹んでいることを特徴とする請求項1に記載のロータ。
- 前記バランス調整部の深さ寸法は、前記バランス調整部の内径寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のロータ。
- 前記バランス調整部は、周方向に沿って等間隔に複数形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のロータ。
- 前記バランス調整材は、紫外線硬化型の樹脂と、前記樹脂よりも比重の大きい粉体と、を含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のロータ。
- 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のロータを備えたことを特徴とするモータ。
- 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のロータの製造方法であって、
前記端面板のうち、前記係止部よりも前記軸方向の外側に、前記径方向外周部及び前記軸方向端面の少なくとも一方から前記端面板の内側に向かって凹む前記バランス調整部を形成する第一工程と、
前記ロータの重量のアンバランスを測定する第二工程と、
前記第二工程で測定された前記ロータのアンバランスが解消するように前記バランス調整部に前記バランス調整材を注入し硬化させる第三工程と、
を有することを特徴とするロータの製造方法。
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