JP6738970B2 - Oga阻害剤としてのn−[4−フルオロ−5−[[(2s,4s)−2−メチル−4−[(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)メトキシ]−1−ピペリジル]メチル]チアゾール−2−イル]アセトアミド - Google Patents

Oga阻害剤としてのn−[4−フルオロ−5−[[(2s,4s)−2−メチル−4−[(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)メトキシ]−1−ピペリジル]メチル]チアゾール−2−イル]アセトアミド Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
本発明は、新規の5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル化合物、この化合物を含む薬学的組成物、この化合物を使用して生理学的障害を治療する方法、ならびにこの化合物の合成に有用な中間体およびプロセスに関する。
本発明は、アルツハイマー病、進行性核上麻痺(PSP)ならびに総称してタウオパチーとして既知のタウ媒介性神経変性症を含む他の疾患および障害の治療の分野におけるものである。
アルツハイマー病は、世界中で何百万人もの患者が罹患する甚大な影響をもたらす神経変性疾患である。現在認可されている市販の薬剤が患者に一時的な対症効果しかもたらさないことを考えると、アルツハイマー病の治療において著しい未だ満たされていない必要性が存在する。
対形成したらせん状フィラメント(PHF)および直線状またはねじれ状フィラメントのような、神経原線維変化(NFT)および神経絨毛糸(NT)を生じさせるフィラメント状構造への微小管関連タンパク質タウのオリゴマー化は、アルツハイマー病および他のタウオパチーの決定的な病理学的特徴の1つである。アルツハイマー病に罹患している個体の脳内のNFTの数が、この疾患の重症度と密接に相関することが認められており、タウがニューロン機能障害および神経変性において重要な役割を担っていることを示唆している(Nelson et al.,J Neuropathol Exp Neurol.,71(5),362−381(2012))。タウの病理は、PSPの疾患持続期間と相関することが示されてきており、より侵攻性の疾患経過を伴う症例は、進行が遅い症例よりもタウの量が多い。(Williams et al.,Brain,130,1566−76(2007))。
近年の研究(Yuzwa et al.,Nat Chem Biol,4(8),483−490(2008))は、アルツハイマー病および関連するタウ媒介性神経変性障害の治療においてタウ過剰リン酸化および病理学的タウへの凝集を制限するためのO−GlcNAcase(OGA)阻害剤の治療可能性を支持している。具体的には、OGA阻害剤Thiamet−Gは、JNPL3タウマウスモデルにおける運動ニューロンの喪失を遅らせること(Yuzwa et al.,Nat Chem Biol,8,393−399(2012))、ならびにTg4510タウマウスモデルにおけるタウ病理およびジストロフィー性神経突起の低減と関連付けられてきた(Graham et al.,Neuropharmacology,79,307−313(2014))。したがって、OGA阻害剤は、NFTおよびNTなどの高リン酸化病理形態のタウの蓄積を低減させるための有効な治療アプローチとして認識されている。
米国特許第9,120,781号は、OGA阻害活性を有し、OGAの欠乏もしくは過剰発現、および/または2−アセトアミド−2−デオキシ−5β−D−グルコピラノシド(O−GlcNAc)の蓄積もしくは欠乏に関する疾患および障害を治療する上で有用であるとしてさらに開示される、ヘキサヒドロベンゾオキサゾールおよびヘキサヒドロベンゾチアゾール誘導体を開示している。さらに、US2016/0031871は、アルツハイマー病を治療するためのある特定のグリコシダーゼ阻害剤を開示している。
脳浸透性であるOGA阻害剤は、アルツハイマー病およびPSPなどのタウ媒介性神経変性障害のための治療を提供するために望ましい。本発明は、OGAの阻害剤である、ある特定の新規の化合物を提供する。
したがって、本発明は、式Iの化合物、
Figure 0006738970
またはその薬学的に許容される塩を提供する。
加えて、本発明は、式Iaの化合物、
Figure 0006738970
またはその薬学的に許容される塩を提供する。
本発明はまた、そのような治療を必要とする患者におけるアルツハイマー病を治療する方法であって、患者に、有効量の式IもしくはIaの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
本発明はさらに、そのような治療を必要とする患者における軽度認知障害のアルツハイマー病への進行を治療する方法であって、患者に、有効量の式IもしくはIaの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
本発明はまた、そのような治療を必要とする患者における進行性核上麻痺を治療する方法であって、患者に、有効量の式IもしくはIaの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。本発明はまた、患者におけるタウ媒介性神経変性障害を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の式IもしくはIaの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
さらに、本発明は、治療に使用するため、特に、アルツハイマー病の治療に使用するため、または軽度認知障害のアルツハイマー病への進行の予防に使用するための、式IもしくはIaの化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。加えて、本発明は、進行性核上麻痺の治療における使用のための、式IもしくはIaの化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。本発明はまた、タウ媒介性神経変性障害の治療における使用のための式IもしくはIaの化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
またさらに、本発明は、アルツハイマー病の治療のため、または軽度認知障害のアルツハイマー病への進行の予防のための薬剤の製造のための、式IもしくはIaの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。加えて、本発明は、進行性核上麻痺の治療のための薬剤の製造のための、式IもしくはIaの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。本発明はまた、タウ媒介性神経変性障害を治療するための薬剤の製造のための、式IもしくはIaの化合物、またはこれらの薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。
本発明はさらに、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤とともに、式IもしくはIaの化合物、またはこれらの薬学的に許容される塩を含む、薬学的組成物を提供する。本発明はさらに、薬学的組成物を調製するためのプロセスであって、式IもしくはIaの化合物、またはその薬学的に許容される塩を、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と混合することを含む、プロセスを提供する。本発明はまた、式IおよびIaの化合物の合成のための新規の中間体およびプロセスも包含する。
軽度認知障害は、経時的に軽度認知障害からアルツハイマー認知症までを呈する患者の臨床所見および進行に基づき、アルツハイマー病と関連した認知症の潜在的な前駆期として定義されている。「軽度認知障害のアルツハイマー病への進行を予防すること」という用語は、患者における軽度認知障害のアルツハイマー病への進行を抑制すること、遅延させること、停止させること、または回復させることを含む。
本明細書で使用される場合、「治療」または「治療すること」という用語は、既存の症状または障害の進行または重症度を抑制すること、遅延させること、停止させること、または回復させることを含む。
本明細書で使用される場合、「患者」という用語はヒトを指す。
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、患者への単回または複数回投与の際に、診断中または治療中の患者に所望の効果を提供する、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の量または投与量を指す。
有効量は、既知技法の使用によって、および同様の状況下で得られた結果を観察することによって、当業者により容易に決定され得る。患者のための有効量を決定する際には、患者の人種;患者のサイズ、年齢、および健康状態全般;関与する特定の疾患または障害;疾患または障害の程度または関与度もしくは重症度;個々の患者の応答;投与される特定の化合物;投与の様式方法;投与される製剤の生物学的利用能特性;選択された投薬計画;併用薬の使用;ならびに他の関連する状況を含むがこれらに限定されない、多数の要因が考慮される。
本発明の化合物は、概して、投薬量が幅広い範囲にわたって有効である。例えば、1日当たりの投薬量は、通常、体重1kgにつき約0.1〜約15mgの範囲内である。ある場合には、前述の範囲の下限よりも低い投薬量レベルが十分以上である場合があり、他の場合には、許容される副作用を伴って、さらに多い用量が用いられてもよく、したがって、前述の投薬量範囲は、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
本発明の化合物は、好ましくは、経口および経皮経路を含む、化合物を生体利用可能にする任意の経路によって投与される薬学的組成物として製剤化される。より好ましくは、そのような組成物は経口投与用である。このような薬学的組成物およびこれを調製するためのプロセスは、当該技術分野で周知である(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,L.V.Allen,Editor,22nd Edition,Pharmaceutical Press,2012を参照されたい)。
式IおよびIaの化合物またはその薬学的に許容される塩は、本発明の治療方法において特に有用であるが、ある特定の立体配置が好ましい。以下の段落ではこのような好ましい立体配置について説明する。これらの選好が、本発明の治療方法および化合物の両方に適用可能であることが理解されるであろう。
本発明の化合物は、
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およびその薬学的に許容される塩を含む。
ピペリジン環上のメチルおよび酸素置換基がシスまたはトランス立体配置にある式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩は、本発明の範囲内に含まれ、シス立体配置が好ましい。例えば、当業者は、以下のスキームAに示すように、2位のメチルが4位の酸素に対してシス立体配置にあることを理解するであろう。
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さらに、当業者は、以下のスキームBに示すように、2位のメチルが4位の酸素に対してトランス立体配置にあることを理解するであろう。
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ピペリジン環の2位のキラル中心がS配置にある化合物はさらに好ましい。本発明は、全ての個々のエナンチオマーおよびジアステレオマー、ならびにラセミ体を含む上記化合物のエナンチオマーの混合物を企図するが、以下に記載の絶対配置を有する化合物が特に好ましい:
N−[4−フルオロ−5−[[(2S,4S)−2−メチル−4−[(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)メトキシ]−1−ピペリジル]メチル]チアゾール−2−イル]アセトアミド、およびその薬学的に許容される塩、ならびに
N−[4−フルオロ−5−[[(2S,4S)−2−メチル−4−[(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)メトキシ]−1−ピペリジル]メチル]チアゾール−2−イル]アセトアミドが特に好ましい。
結晶形のN−[4−フルオロ−5−[[(2S,4S)−2−メチル−4−[(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)メトキシ]−1−ピペリジル]メチル]チアゾール−2−イル]アセトアミドが特に好ましい。0.2°の回折角に対する許容差を有する、15.3°、21.6°、22.2°、22.7°、23.5°、24.3°および26.8°からなる群より選択される1つ以上のピークと組み合わせた、12.1°の回折角2θにおけるX線粉末回折スペクトルのピークを特徴とする結晶形のN−[4−フルオロ−5−[[(2S,4S)−2−メチル−4−[(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)メトキシ]−1−ピペリジル]メチル]チアゾール−2−イル]アセトアミドがさらに好ましい。
個々の異性体、エナンチオマー、およびジアステレオマーは、選択的結晶化技術またはキラルクロマトグラフィーなどの方法によって、本発明の化合物の合成における任意の好都合な時点において、当業者により分離または分割され得る(例えば、J.Jacques,et al.,“Enantiomers,Racemates,and Resolutions”,John Wiley and Sons,Inc.,1981、およびE.L.Eliel and S.H.Wilen,”Stereochemistry of Organic Compounds”,Wiley−Interscience,1994を参照)。
本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、例えば、当該技術分野で周知の標準的な条件下での本発明の化合物の適切な遊離塩基および適切な薬学的に許容される酸の、適切な溶媒中での反応によって形成され得る。そのような塩の形成は、当該技術分野で周知であり、また理解されている。例えば、Gould,P.L.,“Salt selection for basic drugs,”International Journal of Pharmaceutics,33:201−217(1986)、Bastin,R.J.,et al.“Salt Selection and Optimization Procedures for Pharmaceutical New Chemical Entities,”Organic Process Research and Development,4:427−435(2000)、およびBerge,S.M.,et al.,“Pharmaceutical Salts,”Journal of Pharmaceutical Sciences,66:1−19,(1977)を参照されたい。
本発明の化合物またはその塩は、当業者に既知の様々な手順によって調製されてもよく、そのうちのいくつかが、以下のスキーム、調製法、および実施例で説明されている。当業者は、本発明の化合物またはその塩を調製するために、記載される経路の各々についての特定の合成ステップを異なる様式で組み合わるか、または異なるスキームのステップと併せることができることを認識している。以下のスキームにおける各ステップの生成物は、抽出、蒸発、沈殿、クロマトグラフィー、濾過、磨砕、および結晶化を含む、当該技術分野で周知の従来の方法によって回収することできる。以下のスキームにおいて、全ての置換基は、別途指示のない限り、すでに定義された通りである。試薬および出発材料は、当業者にとって容易に入手可能である。本発明の範囲を限定することなく、以下のスキーム、調製物、および実施例は、本発明をさらに説明するために提供される。さらに、当業者は、式Ia、Ib、Ic、およびIdの化合物が、当業者によって調製可能である対応する立体化学的配置を有する出発材料を使用することによって調製され得ることを理解する。例えば、以下のスキームは、最終的に式Iaに対応する立体配置を有する出発材料を利用している。
一般に、式Iaの化合物は、式IIの化合物から調製され得る(スキーム1)。より具体的には、適切な溶媒中のナトリウムトリアセトキシボロヒドリドなどの適切な還元剤の存在下で、式IIaの化合物をN−(4−フルオロ−5−ホルミルチアゾール−2−イル)アセトアミドで還元的にアルキル化して、酢酸エチルなどの適切な溶媒中の式Iaの化合物を提供する。N−(4−フルオロ−5−ホルミルチアゾール−2−イル)アセトアミドは、化学分野で既知の方法、ならびに以下の調製物および実施例で提供される方法によって調製することができる。
式IIaの化合物は、Pgが適切なアミン保護基である式IIIaの化合物から調製することができる。より具体的には、Pgがtert−ブチルカルボキシラート(t−BOC)である式IIaの化合物を、ジオキサンまたはジクロロメタンなどの適切な溶媒中で、塩酸またはトリフルオロ酢酸などの酸と反応させて、式IIaの化合物を提供する。適切なアミン保護基は化学分野で既知であり、t−BOCおよびCbz、ならびにT.W.Green,P.G.M.Wuts,“Protective Groups in Organic Synthesis”,Wiley−Interscience,New York,1999において考察されているものを含む。
Figure 0006738970
Pgが適切なアミン保護基である式IIIaの化合物は、式IVaの化合物から調製することができる(スキーム2)。より具体的には、Pgがtert−ブチルカルボキシラートである式IVaの化合物を、ナトリウムtert−ブトキシドなどの塩基の存在下で3−(クロロメチル)−5−メチル−1,2,4−オキサジアゾールと反応させて、式IIIaの化合物を提供する。この反応は、アセトニトリルまたはジメチルホルムアミドなどの溶媒中で簡便に行われる。Pgがtert−ブチルカルボキシラートである式IVaの化合物は、本質的にWO2004/094380A1で説明されているように調製することができる。より具体的には、式Vaの化合物をテトラヒドロフランなどの溶媒中でリチウムトリ(sec−ブチル)ボロヒドリドなどの還元剤と反応させて、Pgがtert−ブチルカルボキシラートである式IVaの化合物を提供する。Pgが適切なアミン保護基である式Vaの化合物は、WO2004/094380A1において説明されるものを含む化学分野で既知のプロセスによって調製することができる。
Figure 0006738970
調製物1
tert−ブチルN−(4−フルオロ−5−ホルミル−チアゾール−2−イル)カルバマートの合成。
Figure 0006738970
フッ化セシウム(227g、1480mmol)を、室温のDMSO(776mL)中のtert−ブチルN−(4−クロロ−5−ホルミル−チアゾール−2−イル)カルバマート(38.8g、148mmol;tert−ブチルN−(4−クロロ−5−ホルミル−チアゾール−2−イル)カルバマートの調製用、例えばN.Masuda et al.,Bioorg Med Chem,12,6171−6182(2004)を参照)の溶液に加える。反応混合物を145℃のヒートブロック中で、内部温度を133℃に保ちながら48時間撹拌し、次いで混合物を氷水浴中で冷却する。混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(500mL)、鹹水(500mL)および酢酸エチル(500mL)を添加する。混合物を室温で10分間撹拌し、次いで珪藻土で濾過し、酢酸エチル(500mL)で洗浄する。濾液を分液漏斗に移し、層を分離し、次いで水層を酢酸エチル(1L)で抽出する。合わせた有機物を鹹水(1L)で洗浄し、次いで鹹水層を酢酸エチル(300mL)で抽出する。合わせた有機物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、残渣を得る。残渣をジクロロメタン(1.5L)中の5%酢酸エチルで溶離するシリカゲルパッド(330g)に通し、濾液を濃縮して残渣(24.2g)を得る。
残渣(合わせたロット32.7g、133mmol)をイソプロパノール(303mL)に溶解し、濾過し、次いで3mL注射で180mL/分の10%IPA(添加物なし)とともにICカラム(セルロース多糖誘導体:トリス(3,5−ジクロロフェニルカルバマート、30×250mm、5u)を使用するSFC(超臨界流体クロマトグラフィー)により精製する。生成物含有画分を濃縮して表題化合物(16.1g)を得る。MS m/z 247.0(M+H)。
調製物2
合成N−(4−フルオロ−5−ホルミル−チアゾール−2−イル)アセトアミド(方法A)
Figure 0006738970
ジャケット付き容器中で、臭化亜鉛(91.9g、408mmol)を室温のtert−ブチルN−(4−フルオロ−5−ホルミル−チアゾール−2−イル)カルバマート(33.5g、136mmol)およびジクロロメタン(503mL)の混合物に一度に加える。反応混合物を37℃の内部温度で一晩撹拌し、次いでジャケット温度を−10℃に設定し、内部温度を6℃未満に維持しながら、テトラヒドロフラン(111mL)を15分かけて滴加する。次いでジャケット温度を−30℃に設定し、内部温度を5℃未満に維持しながら、ピリジン(110mL、1360mmol)を5分かけて滴加する。ジャケット温度を0℃に設定し、無水酢酸(116mL、1220mmol)を5分かけて滴加する。反応混合物を37℃の内部温度で一晩撹拌し、次に室温になるまで冷却し、テトラヒドロフラン(500mL)で溶離する短い珪藻土パッドに通す。濾液をフラスコに移し、混合物を濃縮して残渣を得、これをトルエン(50mL)から濃縮する。残渣に水(400mL)および2−メチルテトラヒドロフラン(400mL)中のクエン酸一水和物(57.2g、272mmol)を添加し、混合物を40℃で5分間撹拌し、次いで、2−メチルテトラヒドロフラン(100mL)で溶離する短い珪藻土パッドに通す。濾液を分液漏斗に移し、層を分離する。水層を2−メチルテトラヒドロフラン(2×250mL)で抽出し、合わせた有機物を水(500mL)で希釈する。混合物に、固体炭酸水素ナトリウムを5分間かけて少しずつ添加し、気体の発生が止まるまで撹拌する。混合物を分液漏斗に移し、層を分離し、次いで水層を2−メチルテトラヒドロフラン(200mLおよび100mL)で抽出する。合わせた有機物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して残渣を得、これを2−メチルテトラヒドロフラン(100mL)で希釈し、混合物を2−メチルテトラヒドロフラン(2.5L)で溶離する短いシリカゲル(250g)パッドに通す。濾液を濃縮して残渣を得、これをジクロロメタンとヘプタンの1:1混合物(202mL)中に懸濁する。混合物を室温で30分間撹拌した後、濾過する。濾過した固体を40℃で2時間真空乾燥させて、表題化合物(18.0g、70%)を得る。MS m/z 189.0(M+H)。
N−(4−フルオロ−5−ホルミル−チアゾール−2−イル)アセトアミドの代替合成(方法B)。
2−アミノ−4−クロロチアゾール−5−カルボアルデヒド(100g、0.61mol)およびピリジン(194.6g、2.46mol)にジクロロメタン(1325g、15.6mol)を加え、0〜5℃まで冷却する。温度を0〜5℃に維持しながら、無水酢酸(188.4g、1.85mol)を滴加する。添加が完了した後、温度を20〜25℃に調整し、41時間撹拌する。減圧下で濃縮し、続いて温度を40℃未満に維持しながら35%HCl水溶液(200mL)および水(1.5L)を添加する。20〜25℃まで冷却し、18時間撹拌する。混合物を濾過し、回収された固体を水で洗う。固体を60〜65℃で24時間乾燥させて、N−(4−クロロ−5−ホルミルチアゾール−2−イル)アセトアミド(75g、0.4mol)を得る。
不活性雰囲気下で、スルホラン(1000ml)をN−(4−クロロ−5−ホルミルチアゾール−2−イル)アセトアミド(50g、0.244mol、この前の工程で調製)、テトラメチルアンモニウムクロリド(107.1g、0.977mol)、およびフッ化セシウム(370.6g、2.44mmol)に添加する。130℃まで加熱し、23時間撹拌する。HPLC分析は、表題化合物の45%のその場収率とともに75%の転化を示す。
N−(4−フルオロ−5−ホルミル−チアゾール−2−イル)アセトアミドの代替合成(方法C)。
テトラメチルアンモニウムフルオリド四水和物(10.2g、109.0mmol)に2−プロパノール(150mL)を添加し、内部温度を70℃に維持しながら真空下で2〜3容積に混合物を濃縮して水を除去する。2−プロパノール(200mL)を添加し、およびおよび混合物を真空下で2〜3容積に濃縮する。さらに2回繰り返す。DMF(200mL)を添加し、真空下で2〜3容積に濃縮する。THF(200mL)を添加し、2〜3容積に濃縮する。さらに2回繰り返す。N−(4−クロロ−5−ホルミルチアゾール−2−イル)アセトアミド(1.22g、5.96mmol、方法Bにおいて先に調製)およびDMF(12ml)を入れる。110℃まで加熱し、12時間撹拌する。反応混合物を25℃まで冷却する。2−メチルテトラヒドロフラン(40mL)および水(40mL)を加える。層を分離し、水層を2−メチルテトラヒドロフラン(40mL)で抽出した。層を分離し、合わせた有機層を水(20mL)で洗浄した。層を分離し、有機層を濃縮した。酢酸エチル(20mL)および水(5mL)を加える。層を分離し、有機層を濃縮して溶媒を除去した。酢酸エチル(2mL)およびヘプタン(2mL)を添加して濾過する。濾過した固体を55℃で18時間真空乾燥させて、表題化合物をN−(4−クロロ−5−ホルミルチアゾール−2−イル)アセトアミドとの93%混合物として得る。
調製物3
tert−ブチル(2S,4S)−4−ヒドロキシ−2−メチル−ピペリジン−1−カルボキシラートの合成
Figure 0006738970
フラスコにtert−ブチル(2S)−2−メチル−4−オキソ−ピペリジン−1−カルボキシラート(50g、234.44mmol)およびテトラヒドロフラン(500mL)を入れる。混合物を窒素雰囲気下で−65℃まで冷却し、リチウムトリ(sec−ブチル)ボロヒドリド(304.77mL、304.77mmol;テトラヒドロフラン中1M)を、内部温度を−60℃未満に維持しながら、45分かけて滴加する。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで−30℃まで冷却する。反応混合物に、内部温度を−20℃未満に維持しながら、水(25.34mL)とテトラヒドロフラン(100.16mL)との混合物を加える。水(126.70mL)中の過酸化水素(118.88mL、1.17mol、30重量/重量%)の水溶液を、内部温度を10℃未満に維持しながら1時間かけて滴加する。混合物に塩化水素水溶液(46.89mL、234.44mmol、5M)およびメチルt−ブチルエーテル(1.00L)を添加し、混合物を室温になるまで加温する。層を分離し、有機相を水(500mL)中のメタ重亜硫酸ナトリウム(222.84g、1.17mol)の溶液とともに室温で10分間撹拌する。層を分離し、有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(0〜50%メチルt−ブチルエーテル/イソヘキサン、シリカゲル)により精製し、生成物含有画分を合わせて濃縮して、表題化合物(40.4g、78%)を得る。ES/MS(m/e)238(M+Na)。
tert−ブチル(2S,4S)−4−ヒドロキシ−2−メチル−ピペリジン−1−カルボキシラートの代替合成。
Figure 0006738970
脱イオン水(460L)、および20℃のリン酸二水素カリウム(6.5kg、0.41当量)を含有するガラス内張り反応器に、DMSO(27.4kg、1.0体積)およびD−(+)−グルコース一水和物(28.9kg、1.25当量)を入れる。内部温度を30℃に調整し、水酸化ナトリウム水溶液(8%、15L、0.28当量)の添加によって反応物のpHを6.9に調整する。反応器にtert−ブチル(2S)−2−メチル−4−オキソ−ピペリジン−1−カルボキシラート(24.9kg、1.0当量(99.1%鏡像体過剰率))を入れ、混合物を30℃で15分間撹拌する。ケトレダクターゼ(KRED−130、250g、1%w/w)、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH−101、250g、1%w/w)、およびNADPナトリウム塩(63g、0.25%w/w)を、開口部を介して反応混合物に直接入れる。8%NaHCO水溶液の添加を介して、混合物の温度を30℃およびpHを7.0±0.2に維持する。16.5時間撹拌した後(99.5%転化)、反応物にCelite(商標)(12.5kg、50%w/w)およびトルエン(125L、5容積)を入れる。30℃で30分間撹拌した後、混合物を1時間かけてインラインGAFフィルター(4ソック)を介して別の2000L反応器に移す。混合物を撹拌せずに30分間放置したままにし、層を分離し、水層をトルエン(2×125L)で逆抽出する。合わせた有機層を濾過し(インラインGAFフィルター)、トルエン混合物を25℃の塩化ナトリウム水溶液(25%、125L、5容積)で洗浄する。得られたトルエン溶液を0.10%w/wの水に共沸乾燥させ(部分真空、内部温度<60℃)、20℃まで冷却する。混合物を反応器からカートリッジフィルターを介して窒素陽圧下で清浄なドラムへと濾過する。次に反応混合物をドラムから500Lのガラス内張り容器に移し、真空下(<60℃)で目標残留容積56L(2.25容積)に濃縮する。40℃のn−ヘプタン(169kg、10容積)を入れ、混合物に25gのtert−ブチル(2S,4S)−4−ヒドロキシ−2−メチル−ピペリジン−1−カルボキシラートを播種する。得られた濃厚スラリーを追加のn−ヘプタン(25L、1容積)で希釈し、4時間かけて16℃まで冷却する。生成物を、遠心分離を介して単離し、n−ヘプタン(1回転あたり25L;4回転必要)で洗浄し、30℃のトレー乾燥器中で11時間乾燥させた後に20.3kg(81%;>99.9%鏡像体過剰率)を得る。ES/MS(m/e)238(M+Na)。
調製物4
tert−ブチル(2S,4S)−2−メチル−4−[(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)メトキシ]ピペリジン−1−カルボキシラートの合成。
Figure 0006738970
3−(クロロメチル)−5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール(43.5g、301mmol)を、室温のアセトニトリル(590mL)中のtert−ブチル(2S、4S)−4−ヒドロキシ−2−メチル−ピペリジン−1−カルボキシラート(29.5g、137mmol)の溶液に添加する。反応混合物を氷水浴中で撹拌し、内部温度を10℃未満に維持しながら、ナトリウムtert−ブトキシド(54.3g、548mmol)を10分かけて少しずつ添加する。反応混合物を氷水浴中で内部温度を5℃に保ちながら9時間撹拌し、次いで室温になるまで緩徐に加温し、一夜撹拌する。反応混合物を氷水浴中で冷却し、添加中、内部温度を10℃未満に維持しながら、飽和塩化アンモニウム水溶液(200mL)を5分間かけて添加する。混合物を次いで水(100mL)で希釈し、室温になるまで加温する。混合物をメチルtert−ブチルエーテル(2×300mL)で抽出し、合わせた有機物を鹹水(300mL)で洗浄する。合わせた有機物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して残渣を得る。残渣をメチルtert−ブチルエーテル(1L)で溶離するシリカゲル(300g)のパッドに素早く通し、濾液を濃縮して表題化合物(46.5g、109%)を得る。MS m/z 334.0(M+Na)。
tert−ブチル(2S,4S)−2−メチル−4−[(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)メトキシ]ピペリジン−1−カルボキシラートの代替合成。
Figure 0006738970
0℃の窒素下でN,N−ジメチルホルムアミド(3mL)中の、tert−ブチル(2S,4S)−4−ヒドロキシ−2−メチル−ピペリジン−1−カルボキシラート(0.25g、1.16mmol)および3−(クロロメチル)−5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール(0.308g、2.32mmol)の溶液に、ナトリウムtert−ブトキシド(0.35g、3.5mmol)を5分かけて少しずつ添加する。反応混合物を室温で10分間撹拌し、次いで40℃で12時間撹拌する。反応混合物を室温になるまで冷却し、次いで水(10mL)でクエンチする。層を分離し、水相をメチルtert−ブチルエーテル(2×10mL)で抽出する。合わせた有機抽出物を塩化リチウムの水溶液(5%)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、表題化合物(0.49g、0.7mmol、収率81%、純度60%)を褐色の油状物として得る。MS m/z 334.0(M+Na)。
調製物5
5−メチル−3−[[(2S,4S)−2−メチル−4−ピペリジル]オキシメチル]−1,2,4−オキサジアゾールヒドロクロリドの合成。
Figure 0006738970
tert−ブチル(2S,4S)−2−メチル−4−[(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)メトキシ]ピペリジン−1−カルボキシラート(4.03g、12.9mmol)を含むフラスコを氷水浴に漬ける。このフラスコに、1,4−ジオキサン(25.9mL、104mmol)中の塩酸の4M溶液を5分間かけて滴加する。添加中、内部温度を20℃未満に維持しながら撹拌する。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで濃縮して表題化合物(3.56g、H NMRで測定した純度83%に基づく収率92%)を得る。MS m/z 212.0(M+H)。
5−メチル−3−[[(2S,4S)−2−メチル−4−ピペリジル]オキシメチル]−1,2,4−オキサジアゾールヒドロクロリドの代替合成
メタノール(50mL)をtert−ブチル(2S,4S)−2−メチル−4−[(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)メトキシ]ピペリジン−1−カルボキシラート(12.9g、0.041モル))に添加する。混合物を0℃まで冷却する。メタノール(80mL)中の4M塩酸溶液を、内部温度を20℃未満に維持しながら、冷却した混合物に滴加する。次いで反応混合物を室温で18時間撹拌する。次いで混合物を濃縮して溶媒を除去する。アセトン(10mL)を添加し、混合物を20分間撹拌する。テトラヒドロフラン(40mL)を添加し、混合物を3時間撹拌する。固体を窒素下で濾過により回収し、濾過した固体ケークをテトラヒドロフランですすぐ。次いで濾過した固体を45℃で2時間真空乾燥させて、表題化合物を純度90%として得る。アセトンを用いた再結晶は表題化合物の純度を95%まで高めることができる。
調製物6
5−メチル−3−[[(2S,4S)−2−メチル−4−ピペリジル]オキシメチル]−1,2,4−オキサジアゾールの合成。
Figure 0006738970
窒素下のジクロロメタン(10mL)中のtert−ブチル(2S,4S)−2−メチル−4−[(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)メトキシ]ピペリジン−1−カルボキシラート(0.49g、1.6mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(1.8mL、23mmol)を添加する。混合物を室温で3時間撹拌する。混合物を減圧下で濃縮して、黄色の油状物を得る。残渣をメタノール(5mL)中に溶解し、陽イオン交換カートリッジに注ぎ、メタノール(2×10mL)、次いでメタノール(10mL)中の2Mアンモニア溶液で溶離する。濾液を減圧下で濃縮して表題化合物(0.3g、1.4mmol、91%)を得る。MS m/z 212.0(M+H)。
実施例1
N−[4−フルオロ−5−[[(2S,4S)−2−メチル−4−[(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)メトキシ]−1−ピペリジル]メチル]チアゾール−2−イル]アセトアミドの合成。
Figure 0006738970
N−(4−フルオロ−5−ホルミル−チアゾール−2−イル)アセトアミド(28.3g、150mmol)を、室温の酢酸エチル(707mL)中の5−メチル−3−[[(2S,4S)−2−メチル−4−ピペリジル]オキシメチル]−1,2,4−オキサジアゾールヒドロクロリド(48.7g、185mmol、純度94%)に添加する。反応混合物を室温で撹拌し、N、N−ジイソプロピルエチルアミン(34.1mL、195mmol)を1分かけて滴加し、次いでナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(98.5g、451mmol)を一度に添加する。反応混合物を、内部温度を30℃に保ちながら31℃の加熱ブロック中で一晩撹拌し、次いで氷水浴中で内部温度が5℃になるまで冷却する。混合物に、内部温度を10℃未満に維持しながら、2M塩酸水溶液(226mL)を15分かけて添加する。混合物に水(250mL)を添加し、混合物を室温で5分間撹拌する。層を分離し、有機層を水(50mL)中の2M塩酸水溶液(28mL)の混合物で抽出する。第1の水層を氷水浴中で撹拌し、内部温度を10℃未満に維持しながら、50%水酸化ナトリウム水溶液(25.7mL)を10分かけて滴加する。混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)で希釈し、次いで室温で10分間撹拌し、次いで酢酸エチル(3×400mL)で抽出する。合わせた有機物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して残渣を得る。塩酸水溶液を用いて抽出した第2の水層を2−メチルテトラヒドロフラン(200mL)で希釈し、混合物を短い珪藻土パッドに通す。濾液を分液漏斗に移し、層を分離する。水層を氷水浴中で撹拌し、内部温度を10℃未満に維持しながら、50%水酸化ナトリウム水溶液(3.15mL)を5分かけて滴加する。混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)で希釈し、次いで室温で5分間撹拌し、次いで酢酸エチル(3×40mL)および酢酸エチル(100mL)中10%イソプロパノールで抽出する。合わせた有機物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して残渣を得、これを作業の第1の部分からの残渣と合わせる。合わせた残渣を酢酸エチル(3.5L)で溶離するシリカゲル(350g)のパッドに通し、濾液を濃縮して残渣(45.8g)を得る。
残渣(47.5gの合わせたロット、123.9mmol)をヘプタン中の50〜100%酢酸エチルで溶離するフラッシュクロマトグラフィーにより精製する。生成物含有画分を残渣に濃縮し、これをメチル−tert−ブチルエーテルとヘプタンの1:1混合物(448mL)中に懸濁する。混合物を、内部温度を45℃に保ちながら、46℃の加熱ブロック中で30分間撹拌し、次いで撹拌しながら2時間かけて室温になるまで冷却する。混合物を濾過し、固体をメチル−tert−ブチルエーテルとヘプタンの1:1混合物(30mL)で洗浄する。濾過した固体を40℃で一晩真空乾燥させて表題化合物(28.5g)を得る。MS m/z 384.0(M+H);
[α] 20=+33.4°(C=0.26、メタノール)。
N−[4−フルオロ−5−[[(2S,4S)−2−メチル−4−[(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)メトキシ]−1−ピペリジル]メチル]チアゾール−2−イル]アセトアミドの代替合成。
窒素下でジクロロメタン(10mL)中のN−(4−フルオロ−5−ホルミル−チアゾール−2−イル)アセトアミド(0.05g、0.28mmol)および5−メチル−3−[[(2S,4S)−2−メチル−4−ピペリジル]オキシメチル]−1,2,4−オキサジアゾール(0.04g、0.19mmol)の溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.1mL、0.57mmol)およびナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(0.12g、0.57mmol)を添加する。反応混合物を室温で12時間撹拌する。反応混合物を炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液(10mL)に注ぐ。層を分離し、水相をジクロロメタン(2×10mL)で抽出する。合わせた有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、橙色の油状物を得る。
残渣をメタノール中にとり(全容積9.8mlになるまで)、濾過し、分取HPLC(Phenomenex Gemini−NX10Micron 50×150mm C−18)(水酸化アンモニウムでpH9に調整された10mM炭酸水素アンモニウムを含むCHCNおよび水、110ml/分で10分かけて15%〜100%のCHCN)(1回の注入)(271/204nm)によって精製して、表題化合物(0.02g、0.05mmol、28%)を得る。MS m/z 384.2(M+H)。
実施例1A
結晶性N−[4−フルオロ−5−[[(2S,4S)−2−メチル−4−[(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)メトキシ]−1−ピペリジル]メチル]チアゾール−2−イル]アセトアミド。
粗N−[4−フルオロ−5−[[(2S、4S)−2−メチル−4−[(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)メトキシ]−1−ピペリジル]メチル]チアゾール−2−イル]アセトアミド(29.9g)をヘプタン中の50%メチルtert−ブチルエーテル448mL中で、46℃で30分間懸濁する。混合物を撹拌し、2時間かけて19℃まで冷却した後、濾過し、次いでヘプタン中の50%メチルtertブチルエーテル30mLで洗浄して、表題化合物(28.5g、収率95%)を得る。
実施例1AのX線粉末回折(XRPD)
結晶性固体のXRPDパターンは、CuKa源(λ=1.54060Å)およびVantec検出器を備え、35kVおよび50mAで動作するBruker D4 Endeavor X線粉末回折計で得られる。試料は、2θにおける0.0087°のステップサイズおよび0.5秒/ステップの走査速度で、0.6mmの発散スリット、5.28mmの固定散乱防止スリット、および9.5mm検出スリットを用いて、2θにおける4〜40°で走査される。乾燥粉末を石英試料ホルダに充填し、ガラススライドを使用して滑らかな表面を得る。結晶学の分野において、任意の所与の結晶形に関して、結晶形態および晶癖などの要因から生じる好ましい配向に起因して、回折ピークの相対強度が変化し得ることは周知である。選択配向の影響がある場合、ピーク強度は変化するが、多形体の特徴的なピーク位置は変化しない。(例えば、The U.S.Pharmacopeia 38−National Formulary 35 Chapter 941 Characterization of crystalline and partially crystalline solids by X−ray powder diffraction(XRPD)Official May 1,2015を参照のこと)。さらに、結晶学の分野では、任意の所与の結晶形についてピークの角度位置がわずかに変動し得ることもまた周知である。例えば、ピーク位置は、試料が分析される際の温度もしくは湿度の変動、試料の位置ずれ、または内部標準の有無に起因してシフトし得る。本発明の場合、2θの±0.2のピーク位置の変動は、示された結晶形の明確な同定を妨げることなく起こり得る変動として考慮される。結晶形の確認は、特徴的なピーク(°2θの単位で)、典型的にはより顕著なピークの任意の固有の組み合わせに基づいて行われ得る。周囲室温度および相対湿度にて収集された結晶形態回折パターンは、8.85および26.77°2θで、NIST675標準ピークに基づき調整する。
調製試料である結晶性N−[4−フルオロ−5−[[(2S,4S)−2−メチル−4−[(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)メトキシ]−1−ピペリジル]メチル]チアゾール−2−イル]アセトアミドは、CuKa放射線を用いたXRPDパターンにより、以下の表1に記載されるような回折ピーク(2θ値)を有するものとして特徴付けられる。具体的には、パターンは、0.2度の回折角についての許容差を、15.3°、21.6°、22.2°、22.7°、23.5°、24.3°、および26.8°からなる群より選択される1つ以上のピークと組み合わせて、12.1°におけるピークを含む。
Figure 0006738970
インビトロヒトOGA酵素アッセイ
OGAタンパク質の生成
全長ヒトO−GlcNAc−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ(NM_012215)をコードするヌクレオチド配列を、N末端ポリヒスチジン(HIS)タグとともにpFastBac1(Invitrogen)ベクターに挿入する。バキュロウイルス産生を、Bac−to−Bacバキュロウイルス発現系(Invitrogen)プロトコルによって行う。Sf9細胞を、培養液1リットル当たり10mLのP1ウイルスを用いて1.5×10個/mLで感染させ、28℃で48時間インキュベートする。細胞を遠心沈降させ、PBSですすぎ、ペレットを−80℃で保存する。
上述のOGAタンパク質(His−OGA)を次のように精製する。4Lの細胞を、50mMのトリス、pH8.0、300mMのNaCl、10%のグリセロール、10mMのイミダゾール、1mMのジチオトレイトール(DTT)、0.1%のTriton(商標)X−100、4錠のプロテアーゼ阻害剤(完全EDTA非含有、Roche)を含有する200mLの緩衝液中で、4℃で45分間溶解する。次いで、この細胞溶解物を4℃、16500rpmで40分間遠心沈降させ、上清を6mLのNi−NTA樹脂(ニッケル−ニトリロ三酢酸)とともに4℃で2時間インキュベートする。
次に樹脂をカラムに充填し、50mMのトリス、pH8.0、300mMのNaCl、10%のグリセロール、10mMのイミダゾール、0.1%のTriton(商標)X−100、1mMのDTT、続いて50mMのトリス、pH8.0、150mMのNaCl、10mMのイミダゾール、10%のグリセロール、1mMのDTTで洗浄する。タンパク質を50mMのトリス、pH8.0、150mMのNaCl、300mMのイミダゾール、10%のグリセロール、1mMのDTTで溶離する。プールしたHis−OGA含有画分を6mlに濃縮し、Superdex75にかける(16/60)。タンパク質を50mMのトリス、pH8.0、150mMのNaCl、10%のグリセロール、2mMのDTTで溶離する。His−OGA含有画分をプールし、タンパク質濃度をBCA(Bradford比色アッセイ)で測定する。
OGA酵素アッセイ
OGA酵素は、核細胞質タンパク質からのO−GlcNAcの除去を触媒する。この活性を測定するためにフルオレセインジ−N−アセチル−β−N−アセチル−D−グルコサミニド(FD−GlcNAc、Kim,Eun Ju;Kang,Dae Ook;Love,Dona C.;Hanover,John A.Carbohydrate Research(2006),341(8),971−982)を10μM(96ウェルアッセイ形式における)または6.7μM(384ウェルアッセイ形式における)の最終濃度で基質として使用する。この蛍光発生基質は、OGAによる切断の際に蛍光性となるので、酵素活性は、535nm(485nmでの励起)で検出される蛍光の増大によって測定することができる。
アッセイ緩衝液を調製して、pH7の水中の50mMのHNaPO−HNaPOの最終濃度、0.01%ウシ血清アルブミンおよび0.01%のTriton(商標)X−100を得る。最終酵素濃度は、3nM(96ウェルアッセイ形式における)または3.24nM(384ウェルアッセイ形式における)となる。いずれのアッセイ形式も、本質的に同等の結果をもたらす。
試験する化合物を、10点濃度応答曲線を用いて純粋なジメチルスルホキシド(DMSO)中に希釈する。反応混合物中の最大化合物濃度は30μMである。基質の添加により反応が始まる前に、適切な濃度の化合物をOGA酵素とともに30分間プレインキュベートする。反応を室温で60分間進行させる。次いで、反応を止めることなく蛍光を読み取る。IC50値は、正規化データ対化合物のlogをプロットし、4パラメータロジスティック方程式を用いてデータを当てはめることによって計算する。
実施例1の化合物を本質的に上述の通りに試験したところ、2.36nM±0.786(n=8)のIC50を呈した。このデータは、実施例1の化合物がOGA酵素活性をインビトロで阻害することを実証している。
OGA酵素活性の阻害を測定するための全細胞アッセイ
細胞播種:
当該技術分野において既知の標準的な条件を利用して、微小管関連タンパク質タウのP301S−1N4R型の誘導発現のために改変されたTRex−293細胞を作製し、10%のテトラサイクリン非含有ウシ胎児血清(FBS、Sigma F2442)、20mMのHEPES、5μg/mLのブラスチシジン(Life Technologies#A11139−03)および200μg/mLゼオシン(Life Technologies#R250−01)を補充したDMEM High Glucose(Sigma#D5796)からなる成長培地中で維持する。実験のために、細胞を、ポリ−D−リジンでコーティングされたCorning Biocoat(356663)384ウェルプレート中にウェル当たり10,000〜14,000個を成長培地中に播種し、37℃/5%COの細胞インキュベーター中で20〜24時間インキュベートする。実験を、タウ発現を誘導することなく行う。
化合物処理:
試験する化合物を、10点濃度応答曲線を用いて無水DMSO中で1/3に連続希釈し、成長培地中でさらに希釈する。播種の20〜24時間後、細胞を成長培地中で、試験化合物で処理する。最大化合物濃度は15μM(0.15%DMSO)とする。最大阻害は、15μMのThiamet Gの反復測定によって定義され、最小阻害は、0.15%DMSO処理の反復測定によって定義される。細胞を37℃/5%COのインキュベーターに20〜24時間戻す。化合物を各プレート内で二回試験する。
免疫染色:
20〜24時間の化合物処理後、培地をアッセイプレートから除去し、DPBS(Sigma#D8537)中の25μLの3.7%ホルムアルデヒド溶液(Sigma#F1635)を各ウェルに添加し、30分間インキュベートする。次いで、細胞をDPBSで1回洗浄し、次いで0.1%のTriton(商標)X−100(Sigma#T9284)で透過処理する。30分後、細胞をDPBSで2回洗浄し、次いでブロッキング溶液(1%BSA/DPBS/0.1%Triton(商標)X−100)を各ウェルに添加し、60分間インキュベートする。ブロッキング溶液を除去し、ブロッキング溶液中のO−GlcNAcタンパク質抗体(RL2クローン、Thermo、MA1072)の0.40〜0.33μg/mLの溶液を細胞に添加し、2〜8℃で一晩放置する。翌日、細胞をDPBSで2回洗浄し、DPBS中の2μg/mLの二次抗体Alexa Fluor 488ヤギ抗マウスIgG(Life Technologies#A11001)を各ウェルに添加し、室温で90分間放置する。二次抗体を除去し、細胞をDPBSで2回洗浄し、それぞれ1および50μg/mLの濃度のDPBS中のDAPI(Sigma#D9564)およびRNアーゼ(Sigma、R6513)の溶液を各ウェルに添加する。プレートを密封し、1時間インキュベートし、Acumen eX3 hci(TTP Labtech)で分析する。一次抗体以外は、上述のインキュベーションおよび洗浄ステップは全て室温で行われる。
分析および結果
プレートを、488および405nm励起レーザーならびに2つの発光フィルターFL2(500〜530nm)およびFL1(420〜490nm)を用いてAcumen eX3機で分析する。FL2フィルターは、O−GlcNAcタンパク質抗体(RL2クローン)に対応するシグナルであり、FL1フィルターは細胞核(DAPI)に対応するシグナルである。全FL2 /全FL1(対象物または集団の選択なしの各ウェルの全蛍光)の比をデータ分析に使用する。データは、Thiamet Gの15μM処理によって参照されるような最大阻害、および0.15%DMSO処理によって達成されるような最小阻害に対して正規化される。データを非線形曲線当てはめアプリケーション(4パラメータロジスティック方程式)に当てはめ、IC50値を計算し、報告する。
実施例1の化合物を本質的に上述の通り試験したところ、21.9nM±7.3(n=5)のIC50を呈した。このデータは、実施例1の化合物が細胞アッセイにおいてOGA酵素活性を阻害することを実証している。

Claims (17)

  1. 以下の式の化合物
    Figure 0006738970
    またはその薬学的に許容される塩。
  2. 2位のメチルが、ピペリジン環上で、4位の酸素に対してシス立体配置にある、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
    Figure 0006738970
  3. 前記化合物が、N−[4−フルオロ−5−[[(2S,4S)−2−メチル−4−[(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)メトキシ]−1−ピペリジル]メチル]チアゾール−2−イル]アセトアミドである、請求項1または請求項2に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
  4. N−[4−フルオロ−5−[[(2S,4S)−2−メチル−4−[(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)メトキシ]−1−ピペリジル]メチル]チアゾール−2−イル]アセトアミドである、請求項3に記載の化合物。
  5. 前記化合物が結晶質であり、0.2度の回折角の許容差を有する、15.3°、21.6°、22.2°、22.7°、23.5°、24.3°、および26.8°からなる群より選択される1つ以上のピークと組み合わせた、12.1°の回折角2θにおけるX線粉末回折スペクトルのピークを特徴とする、請求項4に記載の化合物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む、患者におけるアルツハイマー病を治療するための薬学的組成物。
  7. 患者における軽度認知障害からアルツハイマー病への進行を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む、患者における軽度認知障害からアルツハイマー病への進行を治療するための薬学的組成物。
  8. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む、患者における進行性核上麻痺を治療するための薬学的組成物。
  9. アルツハイマー病の治療のための薬剤の製造のための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用。
  10. 軽度認知障害のアルツハイマー病への進行を予防するための薬剤の製造のための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用。
  11. 進行性核上麻痺の治療のための薬剤の製造のための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用。
  12. 療法における使用のための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
  13. アルツハイマー病の治療における使用のための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
  14. 軽度認知障害のアルツハイマー病への進行を予防する上での使用のための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
  15. 進行性核上麻痺を治療する上での使用のための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
  16. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤とともに含む、薬学的組成物。
  17. 薬学的組成物を調製するためのプロセスであって、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と混合することを含む、プロセス。
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