JP6738319B2 - インターフェロン治療効果予測方法及びそれを用いたb型肝炎患者の治療用医薬組成物 - Google Patents

インターフェロン治療効果予測方法及びそれを用いたb型肝炎患者の治療用医薬組成物 Download PDF

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Description

本発明は、インターフェロン治療効果予測方法及びそれを用いたB型肝炎患者の治療用医薬組成物に関する。本発明によれば、インターフェロンの治療効果を予め予測することができる。
現在、B型肝炎ウイルス(HBV)は、世界でおよそ3億人が感染しているとの報告がある。B型肝炎ウイルスの感染は急性および慢性の肝炎(B型肝炎)を引き起こし、さらには肝硬変、肝癌を引き起こすことが知られている。また、毎年30万人がB型肝炎関連疾患で死亡していると報告されている。
B型肝炎ウイルスの治療薬としては、現在インターフェロン(IFN)又は核酸アナログ製剤が使用されている。核酸アナログ製剤としては、ラミブジン(Lamivudine)、アデフォビル(Adefovir pivoxil)、エンテカビル(Entecavir)、テノフォビル(Tenofovir disoproxil fumarate)、テルビブジン(Telbivudine)、又はクレブジン(Clevudine)などが国内又は海外で使用されている。これらの治療薬によって、HBVのウイルスを減少させることは可能だが、ウイルスの完全排除はできない(非特許文献1)。従って、ウイルスの減少を維持するためには、核酸アナログ製剤を中止することができない。
一方、インターフェロンは、患者によっては、HBVのウイルス量を減少させ、更にHBs抗原を減少させることもできる。しかしながら、インターフェロンには、熱、全身倦怠感、関節痛、又は筋肉痛などの副作用が見られる(非特許文献2)。
特開2013−136530号公報
「ヘパトロジー(Hepatology)」(米国)2009年、第49卷、S112−121 「ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics)」(英国)2009年、第41巻、p1105−1109
本発明者らは、前記の核酸アナログ製剤及びインターフェロンのデメリットを補うために、核酸アナログ製剤での治療の後に、インターフェロン治療を行うシークエンシャル療法を試みた。その結果、一部の患者では、インターフェロン治療終了後に、HBs抗原が100IU/mL(2LogIU/mL)以下となり、シークエンシャル療法が非常に有効であることがわかった。しかしながら、どのようなB型肝炎ウイルス患者にシークエンシャル療法が有効であるかは不明であった。
本発明者らは、シークエンシャル療法が有効な患者を予測できれば、効果の少ないと予想される患者へのインターフェロン治療による副作用の負担、またインターフェロン治療費の負担を軽減できると考えた。
従って、本発明の目的は、核酸アナログ製剤での治療後にインターフェロン治療を行うシークエンシャル療法が、有効な可能性が高い患者を予測する方法を提供することである。
本発明者は、シークエンシャル療法が、有効な可能性が高い患者を予測する方法ついて、鋭意研究した結果、驚くべきことに、核酸アナログ製剤での治療後に、IFN−λ3濃度が一定レベル以上であり、そしてHBs抗原濃度が一定レベル以下であるB型肝炎患者に対して、インターフェロン治療が有効である可能性を見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1](1)HBV感染患者由来検体のIFN−λ3濃度及びHBs抗原濃度を測定する工程、及び(2)前記測定されたIFN−λ3濃度及びHBs抗原濃度をそれぞれの予め設定したカットオフ値と比較し、IFN−λ3濃度がカットオフ値以上若しくはカットオフ値を超え、且つHBs抗原濃度がカットオフ値以下又はカットオフ値未満の場合にインターフェロン治療が有効である可能性が高いと予測する工程、を含むことを特徴とする、インターフェロン治療効果予測方法、
[2](1)HBV感染患者由来検体のIFN−λ3濃度及びHBs抗原濃度を測定する工程、及び(2)前記測定されたHBs抗原濃度を予め設定したカットオフ値と比較し、HBs抗原濃度がカットオフ値以下又はカットオフ値未満の場合にインターフェロン治療が有効である可能性が高いと予測し、そしてHBs抗原濃度がカットオフ値を超える場合には、更に前記測定されたIFN−λ3濃度を予め設定したカットオフ値と比較し、IFN−λ3濃度がカットオフ値以上若しくはカットオフ値を超える場合にインターフェロン治療が有効である可能性が高いと予測する工程、を含むことを特徴とする、インターフェロン治療効果予測方法、
[3]前記IFN−λ3濃度のカットオフ値が10pg/mL〜25pg/mLのいずれかの1つの濃度であり、そしてHBs抗原濃度のカットオフ値が2.5LogIU/mL〜4.0LogIU/mLのいずれか1つの濃度である、[1]又は[2]に記載のインターフェロン治療効果予測方法、
[4]前記IFN−λ3濃度のカットオフ値が15pg/mL又は20pg/mLであり、そしてHBs抗原濃度のカットオフ値が2.9LogIU/mL、3.0LogIU/mL又は3.5LogIU/mLである、[1]〜[3]のいずれかに記載のインターフェロン治療効果予測方法、
[5]前記HBV感染患者が、アデフォビル又はテノフォビルが投与された患者である、[1]〜[4]のいずれかに記載のインターフェロン治療効果予測方法、
[6][1]〜[5]のいずれかに記載のインターフェロン治療効果予測方法によって、インターフェロン治療が有効である可能性が高いと予測されたB型肝炎ウイルス感染患者に対して投与することを特徴とする、インターフェロンを含むB型肝炎治療用医薬組成物、
[7]前記インターフェロンが、PEG化インターフェロン−αである、[6]に記載のB型肝炎治療用医薬組成物、
[8]IFN−λ3濃度測定試薬及びHBs抗原濃度測定試薬を含む、インターフェロン治療効果予測キット、
に関する。
本発明のインターフェロン治療効果予測方法、又はインターフェロン治療効果予測キットによれば、シークエンシャル療法の効果が高い患者を高い確率で予測することができる。従って、シークエンシャル療法の効果が低い患者には、充分な説明を行うことによって、インターフェロン治療を行うか、または核酸アナログ製剤を続けるかの判断材料を提供することができる。また、それらの判断によって、インターフェロン治療の治療費を抑制することができる。
更に、本発明のインターフェロンを含むB型肝炎治療用医薬組成物は、インターフェロン治療が有効な可能性の高いB型肝炎患者に投与されるため、治療効果が高い。
アデフォビル又はテノフォビル治療を行った慢性肝炎患者又は肝硬変患者において、血清IFN−λ3が、上昇する患者が多かった。一方、ラミブジン、エンテカビル投与中の患者では、ほとんど血清IFN−λ3は上昇しなかった。 血清IFN−λ3が高い症例のほとんどはアデフォビルまたはテノフォビルを内服していた。 シークエンシャル療法において、核酸アナログ製剤中止時の血清IFN−λ3とHBs抗原を測定し、HBs抗原がカットオフ値(3.0LogIU/mL)未満を呈し、かつIFN−λ3がカットオフ値(20pg/mL)以上を示す場合は、治療終了時にHBs抗原の低下を示す。一方、HBs抗原がカットオフ値以上の場合は、IFN−λ3の値に係らずHBs抗原値の低下を示した症例はわずかであった。 シークエンシャル療法において、核酸アナログ製剤中止時の血清IFN−λ3とHBs抗原を測定し、HBs抗原がカットオフ値(3.5LogIU/mL)未満を呈し、かつIFN−λ3がカットオフ値(20pg/mL)以上を示す場合は、治療終了時にHBs抗原の低下を示す。一方、HBs抗原がカットオフ値以上の場合は、IFN−λ3の値に係らずHBs抗原値の低下を示した症例はわずかであった。 血清IFN−λ3とHBs抗原を測定し、HBs抗原がカットオフ値(2.9LogIU/mL)未満を示した場合は、HBs抗原が低下し、そしてHBs抗原がカットオフ値(2.9LogIU/mL)以上の場合は、IFN−λ3がカットオフ値(15pg/mL)以上を示す場合は、HBs抗原の低下したことを示すグラフである。
[1]インターフェロン治療効果予測方法
[1−1]インターフェロン治療効果予測方法の第1の実施態様
本発明のインターフェロン治療効果予測方法の1つの実施態様としては、(1)HBV感染患者由来検体のIFN−λ3濃度及びHBs抗原濃度を測定する工程、及び(2)前記測定されたIFN−λ3濃度及びHBs抗原濃度をそれぞれの予め設定したカットオフ値と比較し、IFN−λ3濃度がカットオフ値以上若しくはカットオフ値を超え、且つHBs抗原濃度がカットオフ値以下若しくはカットオフ値未満の場合にインターフェロン治療が有効である可能性が高いと予測する工程、を含む。すなわち、HBV感染患者由来検体のIFN−λ3濃度及びHBs抗原濃度を組み合わせて、インターフェロン治療効果を予測する。
《インターフェロン治療》
本発明のインターフェロン治療効果予測方法によって、治療効果を予測できるインターフェロン治療は、特に限定されるものではなく、例えば、インターフェロン−α、PEG化インターフェロン−α、インターフェロンβ、又はインターフェロンλを挙げることができ、特に好ましくはPEG化インターフェロン−αである。
インターフェロンの投与スケジュールは、特に限定されるものではないが、例えばPeg−IFN−α2a(180μg)を週1回、皮下注射により投与を48週行う。
《シークエンシャル療法》
インターフェロン治療は、インターフェロン単独のインターフェロン治療でもよいが、核酸アナログ製剤での治療の後に、インターフェロン治療を行うシークエンシャル療法が好ましい。核酸アナログ製剤での治療によって、HBV感染患者において抗HBV効果があるIFN−λ3濃度が上昇することがあるからである。
シークエンシャル療法において用いられる核酸アナログ製剤としては、ラミブジン(Lamivudine)、アデフォビル(Adefovir pivoxil)、エンテカビル(Entecavir)、テノフォビル(Tenofovir disoproxil fumarate)、テルビブジン(Telbivudine)、又はクレブジン(Clevudine)を挙げることができるが、好ましくはアデフォビル又はテノフォビルである。アデフォビル又はテノフォビルの投与により、HBV感染患者においてIFN−λ3濃度が、高頻度に上昇するからである。
核酸アナログ製剤の投与後に、HBV感染患者由来検体のIFN−λ3濃度及びHBs抗原濃度を測定し、インターフェロン治療効果を予測することが好ましい。
(1)IFN−λ3濃度及びHBs抗原濃度の測定工程
IFN−λ3濃度及びHBs抗原濃度の測定工程においては、IFN−λ3濃度及びHBs抗原濃度の測定を行うが、IFN−λ3濃度とHBs抗原濃度とを同時に測定してもよく、個別に測定してもよい。
(HBV感染患者由来検体)
本発明の経過予測方法において、用いる検体は、HBV感染患者由来でIFN−λ3濃度及びHBs抗原濃度を測定できる検体であれば特に限定されるものではない。例えば
尿、血液、血清、血漿、リンパ液、組織液、髄液、唾液、尿、又は汗を挙げることができるが、HBV感染患者からの採取が容易であり、侵襲性が低い点で血液、血清、又は血漿が好ましい。
(IFN−λ3濃度測定)
本発明のインターフェロン治療効果予測方法に用いるIFN−λ3濃度測定方法は、IFN−λ3を特異的に測定することのできるものであれば、特に限定されるものではない。なお、IFN−λ3は、IL−28Bとも称されている。
IL−28B(IFN−λ3)は、IFN−λファミリーであるIL−28Aと、96%のアミノ酸の相同性を有している。従って、IL−28B(IFN−λ3)に結合する抗体のほとんどが、IL−28Aにも結合し、IL−28Aに結合する抗体のほとんどが、IL−28B(IFN−λ3)にも結合する。すなわち、IL−28Aとのアミノ酸配列の違いはわずか6アミノ酸であり、メジャーIL−28B(IFN−λ3)とIL−28Aとのアミノ酸配列の違いは、わずか7アミノ酸である。従って、従来のIL−28B免疫学的測定法は、IL−28B(IFN−λ3)を特異的に測定するものではなく、IL−28B(IFN−λ3)及びIL−28Aを測定していた。
しかしながら、特許文献1に記載のIL−28B特異的免疫学的測定法は、IL−28Aを実質的に測定せず、IL−28B(IFN−λ3)を特異的に測定するものであり、本発明におけるIFN−λ3濃度測定方法として好ましい。IL28B(IFN−λ3)には、マイナーIL−28B(IFN−λ3)とメジャーIL−28B(IFN−λ3)が存在し、それらのアミノ酸の違いは1アミノ酸である。特許文献1に記載のIL−28B特異的免疫学的測定法に用いられている抗IL−28Bモノクローナル抗体(A)は、メジャーIL−28B(IFN−λ3)及びマイナーIL−28B(IFN−λ3)に結合し、IL−28Aに結合しない。このようなモノクローナル抗体を用いることにより、IL−28B(IFN−λ3)を特異的に測定することができる。また、このような抗体の抗原結合性断片も、抗体と同じように用いることができる。また、特許文献1には、メジャーIL−28B(IFN−λ3)に結合し、マイナーIL−28B(IFN−λ3)及びIL−28Aに結合しない抗IL−28Bモノクローナル抗体(B)も記載されているが、このモノクローナル抗体によって、ほぼIL−28B(IFN−λ3)を特異的に測定することができる。
本発明のインターフェロン治療効果予測方法に用いるIFN−λ3濃度測定方法は、治療効果を判定するカットオフ値以下の検出感度を有していれば、特に限定されるものではない。治療効果を判定するカットオフ値以下の検出感度を有することにより、インターフェロン治療効果の予測を的確に行うことができる。
本発明に用いるIFN−λ3濃度測定方法は、IFN−λ3濃度を測定することのできるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば酵素免疫測定法、ラテックス凝集免疫測定法、化学発光免疫測定法、又は放射免疫測定法を挙げることができるが、2種類以上の抗体を用いるサンドイッチ式の酵素免疫測定法、又は化学発光免疫測定法が好ましい。また、前記のようにメジャーIL−28B(IFN−λ3)及びマイナーIL−28B(IFN−λ3)を測定できる免疫学的測定法でもよく、メジャーIL−28B(IFN−λ3)のみを特異的に測定できる免疫学的測定法でもよい。
(HBs抗原濃度測定)
本発明のインターフェロン治療効果予測方法に用いるHBs抗原濃度測定方法は、HBs抗原を特異的に測定することのできるものであれば、特に限定されるものではない。すなわち、HBs抗原に特異的に結合する抗HBs抗原抗体を含むものが好ましい。
本発明のインターフェロン治療効果予測方法に用いるHBs抗原濃度測定方法は、治療効果を判定するカットオフ値以下の検出感度を有していれば、特に限定されるものではない。治療効果を判定するカットオフ値以下の検出感度を有することにより、インターフェロン治療効果の予測を的確に行うことができる。
本発明に用いるHBs抗原濃度測定方法は、HBs抗原濃度測定を測定することのできるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば酵素免疫測定法、ラテックス凝集免疫測定法、化学発光免疫測定法、又は放射免疫測定法を挙げることができるが、2種類以上の抗体を用いるサンドイッチ式の酵素免疫測定法、又は化学発光免疫測定法が好ましい。
HBs抗原濃度測定方法のキットとしては、市販されているものを用いることができる。例えば、アーキテクトHBsAgQT(アボットジャパン)、ルミパルスIIHBsAg(富士レビオ)、コバスコアHBsAgII−EIA(ロシュ・ダイアグノスティックス)、エンザイグノストHBsAg5.0(デイドベーリング)などを用いて、HBs抗原濃度を測定することができる。
(2)予測工程
本発明のインターフェロン治療効果予測方法の予測工程においては、前記測定されたIFN−λ3濃度及びHBs抗原濃度をそれぞれの予め設定したカットオフ値と比較し、IFN−λ3濃度が予め設定したカットオフ値以上若しくはカットオフ値を超え、且つHBs抗原濃度が予め設定したカットオフ値以下若しくはカットオフ値未満の場合にインターフェロン治療が有効である可能性が高いと予測する。
本発明のインターフェロン治療効果予測方法では、実施例に示すように、IFN−λ3濃度が高く、そしてHBs抗原濃度が低い場合に、インターフェロン治療が有効である可能性が高いと予測する。IFN−λ3濃度とHBs抗原濃度との組み合わせによって予測するものであるが、IFN−λ3濃度が高いほどインターフェロンの治療効果が高く、HBs抗原濃度が低いほどインターフェロンの治療効果が高いと考えられる。
従って、IFN−λ3濃度のカットオフ値が高く、そしてとHBs抗原濃度のカットオフ値が低いほど、インターフェロン治療が有効であるとの予測の精度(特異性)が向上する。逆に、IFN−λ3濃度のカットオフ値が低く、そしてとHBs抗原濃度のカットオフ値が高くなると、予測の精度(特異性)は低下するが、インターフェロンの治療効果が高いと予測されるHBV感染患者数(感度)を向上させることができる。
例えば、実施例2に示すように、IFN−λ3濃度のカットオフ値を20pg/mL以上とし、HBs抗原濃度のカットオフ値を3.0LogIU/mL未満とした場合に、インターフェロンが有効である可能性が高いと判断されるHBV感染患者は5人であり、そのうち4人が、実際にインターフェロン治療が有効であった。
更に、実施例3に示すように、IFN−λ3濃度のカットオフ値を20pg/mL以上とし、HBs抗原濃度のカットオフ値を3.5LogIU/mL未満とした場合に、インターフェロンが有効である可能性が高いと判断されるHBV感染患者は11人であり、そのうち7人が、実際にインターフェロン治療が有効であった。
従って、カットオフ値の設定によって、予測の精度(特異性)、及びインターフェロンの治療効果が高いと予測されるHBV感染患者数(感度)の変動はあるが、例えばIFN−λ3濃度のカットオフ値を10pg/mL〜25pg/mLのいずれかの1つの濃度とし、HBs抗原濃度のカットオフ値を2.5LogIU/mL〜4.0LogIU/mLのいずれか1つの濃度とすることによって、インターフェロンの治療効果を予測することが可能である。
すなわち、カットオフ値は、特異性を優先するか、又は感度を優先するかによって、適宜選択して決定することができるが、IFN−λ3濃度のカットオフ値は10pg/mL〜25pg/mLのいずれかの1つの濃度とすることが好ましく、15pg/mL〜20pg/mLのいずれか1つの濃度とすることがより好ましい。HBs抗原濃度のカットオフ値は2.5LogIU/mL〜4.0LogIU/mLのいずれか1つの濃度とすることが好ましく、3.0LogIU/mL〜3.5LogIU/mLのいずれか1つの濃度とすることがより好ましい。より具体的には、IFN−λ3濃度のカットオフ値は、例えば、10pg/mL、11pg/mL、12pg/mL、13pg/mL、14pg/mL、15pg/mL、16pg/mL、17pg/mL、18pg/mL、19pg/mL、20pg/mL、21pg/mL、22pg/mL、23pg/mL、24pg/mL、及び25pg/mLからなる群から選択することが可能であり、HBs抗原濃度のカットオフ値は、例えば、2.5LogIU/mL、2.6LogIU/mL、2.7LogIU/mL、2.8LogIU/mL、2.9LogIU/mL、3.0LogIU/mL、3.1LogIU/mL、3.2LogIU/mL、3.3LogIU/mL、3.4LogIU/mL、3.5LogIU/mL、3.6LogIU/mL、3.7LogIU/mL、3.8LogIU/mL、3.9LogIU/mL、及び4.0LogIU/mLからなる群から選択することができる。
なお、IFN−λ3濃度のカットオフ値及びHBs抗原濃度のカットオフ値は、インターフェロン治療効果を予測できる限りにおいて、前記の値に限定されるものではない。
本発明のインターフェロン治療効果予測方法は、インターフェロン治療効果予測の補助方法として用いることができる。すなわち、医師が、インターフェロンの治療を行うための治療効果予測の補助方法として、本発明の方法を使用することができる。
また、本発明のインターフェロン治療効果予測方法は、HBV感染患者から分離された検体を用いて、インビトロで実施するものである。すなわち、インターフェロン治療効果予測方法は、生体を用いて行う診断方法ではなく、生体外で行う検査方法である。
IFN−λ3濃度と、HBs抗原濃度とを組み合わせる予測方法として、次のように行うことができる。
まず、核酸アナログ製剤にて治療中(特にアデフォビル、テノフォビル)のHBV感染患者で由来の血液のIFN−λ3濃度及びHBs抗原濃度を測定する。IFN−λ3濃度がカットオフ以上又はカットオフを超え、且つHBs抗原濃度がカットオフ以下又はカットオフ未満のHBV感染患者について、インターフェロン治療が有効である可能性が高いことを予測できる。従って、これらの患者には、インターフェロン治療を推奨する。
一方、IFN−λ3濃度がカットオフ以下又はカットオフ未満で、且つHBs抗原濃度がカットオフ以下又はカットオフ未満のHBV感染患者、或いはIFN−λ3濃度がカットオフ以上又はカットオフを超え、且つHBs抗原濃度がカットオフ以上又はカットオフを超えるHBV感染患者には、インターフェロン治療の効果がある可能性があることを伝えて、インターフェロン治療を行うか否かの判断材料とすることができる。
更にIFN−λ3濃度がカットオフ以下又はカットオフ未満で、且つHBs抗原濃度がカットオフ以上又はカットオフを超えるHBV感染患者には、インターフェロン治療の効果が低いため、インターフェロン治療ではなく核酸アナログ製剤での治療を推奨することができる。すなわち、本発明のインターフェロン治療効果予測方法は、インターフェロン治療の方針決定方法として用いることができる。
従って、本発明のインターフェロン治療効果予測方法による予測に続けて、インターフェロン治療を行うことができる。すなわち、(1)HBV感染患者由来検体のIFN−λ3濃度及びHBs抗原濃度を測定する工程、(2)IFN−λ3濃度及びHBs抗原濃度をそれぞれの予め設定したカットオフ値と比較し、IFN−λ3濃度が予め設定したカットオフ値以上若しくはカットオフ値を超え、且つHBs抗原濃度が予め設定したカットオフ値以下若しくはカットオフ値未満の場合にインターフェロン治療が有効である可能性が高いと予測する工程、(3)前記インターフェロン治療効果が予測されたHBV感染患者にインターフェロンを投与する工程、を含むB型肝炎ウイルス感染患者の治療方法を実施することができる。前記、HBV感染患者は、インターフェロン治療効果が有効である可能性が高いと判断されたHBV感染患者が好ましい。
[1−2]インターフェロン治療効果予測方法第2の実施態様
本発明のインターフェロン治療効果予測方法の別の実施態様としては、(1)HBV感染患者由来検体のIFN−λ3濃度及びHBs抗原濃度を測定する工程、及び(2)前記測定されたHBs抗原濃度を予め設定したカットオフ値と比較し、HBs抗原濃度がカットオフ値以下又はカットオフ値未満の場合にインターフェロン治療が有効である可能性が高いと予測し、そしてHBs抗原濃度がカットオフ値を超える場合には、更に前記測定されたIFN−λ3濃度を予め設定したカットオフ値と比較し、IFN−λ3濃度がカットオフ値以上若しくはカットオフ値を超える場合にインターフェロン治療が有効である可能性が高いと予測する工程、を含む。
第2の実施態様においても、前記第1の実施態様の「インターフェロン治療」、「シークエンシャル療法」、「(1)IFN−λ3濃度及びHBs抗原濃度の測定工程」と同様に行うことができる。また、「(2)予測工程」においても、先に「HBs抗原濃度を予め設定したカットオフ値と比較して、HBs抗原濃度がカットオフ値以下又はカットオフ値未満の場合にインターフェロン治療が有効である可能性が高いと予測すること」、及び「HBs抗原濃度がカットオフ値を超える場合には、更に前記測定されたIFN−λ3濃度を予め設定したカットオフ値と比較し、IFN−λ3濃度がカットオフ値以上若しくはカットオフ値を超える場合にインターフェロン治療が有効である可能性が高いと予測すること」を除いては、カットオフ値の設定などは、同様に実施することができる。
[2]B型肝炎治療用医薬組成物
本発明のB型肝炎治療用医薬組成物は、本発明のインターフェロン治療効果予測方法によって、インターフェロン治療が有効である可能性が高いと予測されたB型肝炎ウイルス感染患者に対して投与されることを特徴とするものである。
B型肝炎治療用医薬組成物は、有効成分としてインターフェロンを含む。本発明の医薬組成物に含まれるインターフェロンは、B型肝炎治療に用いられる限りにおいて、特に限定されるものではなく、インターフェロン−α、PEG化インターフェロン−α、インターフェロンβ、又はインターフェロンλを挙げることができ、特に好ましくはPEG化インターフェロン−αである
本発明のB型肝炎治療用医薬組成物の投与量は、特に限定されるものではないが、例えばPeg−IFN−α2aであれば、50μg〜400μg/週を注射によって投与することが可能であり、好ましくは100μg〜300μg/週であり、より好ましくは150μg〜250μg/週である。投与期間も特に限定されるものではないが、例えば12〜72週であり、より好ましくは24〜60週であり、更に好ましくは36〜48週である。
本発明のB型肝炎治療用医薬組成物の投与剤型としては、特に限定がなく、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン剤、シロップ剤、エキス剤、若しくは丸剤等の経口剤、又は注射剤、などを挙げることができるが、注射剤が好ましい。例えば、注射剤の調製においては、有効成分の他に、例えば、生理食塩水若しくはリンゲル液等の水溶性溶剤、植物油若しくは脂肪酸エステル等の非水溶性溶剤、ブドウ糖若しくは塩化ナトリウム等の等張化剤、溶解補助剤、安定化剤、防腐剤、懸濁化剤、又は乳化剤などを任意に用いることができる。
本発明のB型肝炎治療用医薬組成物は、限定されるものではないが、核酸アナログ製剤での治療の後に、インターフェロン治療を行うシークエンシャル療法において用いることが好ましい。核酸アナログ製剤、特にアデフォビル又はテノフォビルの投与により、HBV感染患者においてIFN−λ3濃度が上昇するからである。すなわち、本発明のB型肝炎治療用医薬組成物は、アデフォビル、テノフォビル投与後にインターフェロンを投与する方法として用いることが好ましい。
インターフェロンは、B型肝炎治療方法に用いることができる。B型肝炎治療方法は、前記IFN治療効果予測方法によって、インターフェロン治療が有効である可能性が高いと予測されたB型肝炎ウイルス感染患者に対して、インターフェロン投与する工程を含むことを特徴とする。
更に、インターフェロンは、前記ンターフェロン治療効果予測方法によって、インターフェロン治療が有効である可能性が高いと予測されたB型肝炎ウイルス感染患者に対して投与されるB型肝炎治療用医薬組成物の製造のために使用することができる。
本発明のインターフェロンは、前記ンターフェロン治療効果予測方法によって、インターフェロン治療が有効である可能性が高いと予測されたB型肝炎ウイルス感染患者の治療方法において使用するためのインターフェロンである。
[3]インターフェロン治療効果予測キット
本発明のインターフェロン治療効果予測キットは、IFN−λ3濃度測定試薬及びHBs抗原濃度測定試薬を含む。
IFN−λ3濃度測定試薬としては、前記「[1]インターフェロン治療効果予測方法」の欄に記載のメジャーIL−28B及びマイナーIL−28Bに結合し、IL−28Aに結合しない抗IL−28Bモノクローナル抗体(A)又はその抗原結合性断片、又はメジャーIL−28Bに結合し、マイナーIL−28B及びIL−28Aに結合しない抗IL−28Bモノクローナル抗体(B)又はその抗原結合性断片を含むものが好ましい。
前記モノクローナル抗体は、キットの測定方法に従って、担体に結合させてもよく、緩衝液に溶解させてもよい。例えば、担体としてはセファロース、セルロース、又はアガロース、などを挙げることができる。担体の形状も特に限定されるものではないが、粒子状のビーズ、プレート及びゲルなどの形状の担体を用いることができる。
また、前記IFN−λ3濃度測定試薬の分析方法が、標識化抗体を用いる免疫学的手法(例えば、酵素免疫測定法、化学発光免疫測定法、蛍光抗体法、又は放射免疫測定法)の場合には、抗体は、標識物質で標識した標識化抗体又は標識化抗体断片の形態で含むことができる。標識物質の具体例としては、酵素としてペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、などを挙げることができる。酵素又は化学発光物質等の場合には、それ自体単独では測定可能なシグナルをもたらすことはできないため、それぞれ対応する適当な基質等を選択して含むことが好ましい。
IL−28B(IFN−λ3)濃度測定試薬は、IL−28B(IFN−λ3)を、標準物質として含むことができる。更に、本発明の試薬は、メジャー及びマイナーIL−28B(IFN−λ3)を特異的に測定できる旨を明記した使用説明書、又はメジャーIL−28B(IFN−λ3)を特異的に測定できる旨を明記した使用説明書を含むことができる。このような記載は、キットの容器に付されていてもよい。
HBs抗原濃度測定試薬は、抗IL−28Bモノクローナル抗体に代えて、HBs抗原に特異的に結合する抗HBs抗原抗体を含む以外は、IL−28B濃度測定試薬と同様の構成の試薬を用いることができる。
また、HBs抗原濃度測定方法のキットが市販されており、例えば、アーキテクトHBsAgQT(アボットジャパン)、ルミパルスIIHBsAg(富士レビオ)、コバスコアHBsAgII−EIA(ロシュ・ダイアグノスティックス)、エンザイグノストHBsAg5.0(デイドベーリング)などをHBs抗原濃度測定試薬として用いることができる。
更に、抗IL−28B抗体及び抗HBs抗体は、インターフェロン治療効果予測キットの製造のため使用することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《参考例1》
本参考例では、B型肝炎ウイルス感染患者の無症候性キャリア(n=83)、非治療の慢性肝炎患者又は肝硬変患者(n=32)、ラミブジン治療の慢性肝炎患者又は肝硬変患者(n=1)、エンテカビル治療の慢性肝炎患者又は肝硬変患者(n=104)、及びアデフォビル又はテノフォビル治療(ラミブジン併用)の慢性肝炎患者又は肝硬変患者(n=18)におけるIFN−λ3の血液中の濃度を測定した。
IFN−λ3の測定は、特開2013−136530の実施例6に従って、以下のように行った。
モノクローナル抗体TA2602を終濃度が2μg/mLになるように150mM NaClを含む10mMHEPES緩衝液(pH7.4:以下、HBS緩衝液と称する)で希釈し、96ウェルマイクロプレート(ヌンク社製)1ウェルにつき100μLずつ分注した。4℃で一晩静置後、HBS緩衝液400μLを用いて2回洗浄し、0.1%カゼイン−Naを含むHBS緩衝液(以下、ブロッキング液と称する)、400μLを添加し、更に室温で30分静置した。
ブロッキング液除去後、0.05%Tween20を含むHBS緩衝液(以下、洗浄液と称する)400μLを用いて2回洗浄した。0.1%カゼイン−Na、1%マウス血清、1%BSA、及び0.05%Tween20を含むHBS緩衝液(以下、希釈バッファーと称する)50μLに、検体又はメジャーIL28Bを希釈バッファーで0〜10ng/mLに希釈し、50μLずつウェルに加え、室温で1時間、攪拌しながら反応させた。洗浄液400μLで3回洗浄し、更にアルカリフォスファターゼ(AP)標識したモノクローナル抗体TA2664Fab’フラグメントを、希釈バッファーで30ng/mLに希釈し、100μLずつ、各ウェルに添加し、室温で1時間攪拌しながら反応させた。反応後、前記洗浄液400μLで5回洗浄し、基質(CDP-star with Sapphire II)溶液50μLを加え、室温、暗所で、20分間反応させた後、発光をSpectraMaxプレートリーダーで測定した。
アデフォビル又はテノフォビル治療を行った慢性肝炎患者又は肝硬変患者において、血清IFN−λ3が、上昇する患者が多かった(図1)。
また、エンテカビル、又はアデフォビル若しくはテノフォビル治療を行った患者において、IFN−λ3の濃度を、0pg/mL以上1pg/mL未満、1pg/mL以上5pg/mL未満、5pg/mL以上20pg/mL未満、及び20pg/mL以上に分けてグラフ化した(図2)。その結果、IFN−λ3の濃度が20pg/mLの患者の多くは、アデフォビル若しくはテノフォビル治療を行った患者であった。
《実施例1》
本実施例では、核酸アナログ製剤の治療を行ったHBV感染患者83人について、核酸アナログ製剤治療後(PEG−IFN投与直前)に、前記参考例1に従って、IFN−λ3を測定し、ダナボット社アーキテクトHBsAg QTを用いてHBs抗原を測定した。シークエンシャル療法として核酸アナログ製剤を中止した後、1週間に1回のPEG−IFNα、90−180μgの皮下注射を48週間続けた。PEG−IFN終了時に効果判定のためにHBsAgを測定した。結果を表1−1及び表1−2に示す。
《実施例2》
本実施例では、IFNλ3濃度のカットオフ値を20pg/mLとし、HBs抗原濃度のカットオフ値を3LogIU/mL未満とした。結果を図3に示す。
IFN−λ3濃度が20pg/mL以上、HBs抗原濃度が3LogIU/mL未満のHBV感染患者では、5人中4人が、PEG−IFN終了時にHBs抗原が2LogIU/mL未満に低下した。IFN−λ3の濃度が20pg/mL未満、HBs抗原濃度が3LogIU/mL未満のHBV感染患者では38.1%、IFN−λ3の濃度が20pg/mL以上、HBs抗原濃度が3LogIU/m以上のHBV感染患者では30.0%の確率で、HBs抗原が2LogIU/mL未満に低下した。しかしながら、IFN−λ3の濃度が20pg/mL未満、HBs抗原濃度が3LogIU/m以上のHBV感染患者では、4.3%しかHBs抗原が2LogIU/mL未満には低下しなかった。
従って、インターフェロン治療前に、IFN−λ3の濃度及びHBs抗原濃度を測定することにより、インターフェロンの治療効果を予測することが可能であった。
《実施例3》
本実施例では、IFNλ3濃度のカットオフ値を20pg/mLとし、HBs抗原濃度のカットオフ値を3.5LogIU/mL未満とした。結果を図4に示す。
IFN−λ3濃度が20pg/mL以上、HBs抗原濃度が3.5LogIU/mL未満のHBV感染患者では、11人中7人が、PEG−IFN終了時にHBs抗原が2LogIU/mL未満に低下した。IFN−λ3の濃度が20pg/mL未満、HBs抗原濃度が3.5LogIU/mL未満のHBV感染患者では20.9%確率で、HBs抗原が2LogIU/mL未満に低下した。しかしながら、IFN−λ3の濃度が20pg/mL以上、HBs抗原濃度が3.5LogIU/m以上のHBV感染患者では、HBs抗原が2LogIU/mL未満に低下した患者はおらず、IFN−λ3の濃度が20pg/mL未満、HBs抗原濃度が3.5LogIU/m以上のHBV感染患者では、4.0%しかHBs抗原が2LogIU/mL未満には低下しなかった。
従って、IFNλ3濃度のカットオフ値を20pg/mLとし、HBs抗原濃度のカットオフ値を3.5LogIU/mL未満とした場合も、インターフェロン治療前に、IFN−λ3の濃度及びHBs抗原濃度を測定することにより、インターフェロンの治療効果を予測することが可能であった。
《実施例4》
本実施例では、更にPEG−IFNを用いたシークエンシャル療法を行った69人の患者について、治療の予後、並びにIFNλ3及びその他のパラメータを解析した。HBs抗原の減少について、0.6logIU/mL/年以上、又は0.6logIU/mL/年未満の2つのグループに分けて解析した。患者はラミブジン(n=1)、エンテカビル(n=43)、又はアデフォビル(n=24)の治療を受けた患者であった。
表2に示すように、HBs抗原の減少が0.6logIU/mL/年以上の患者は、高い血清γ−GTP、低いHBs抗原、低いHBV DNA、高いアデフォビルによる治療の割合、及び高いIFN−λ3レベルを示した。
多変量解析により、PEG−IFN治療開始時において、HBs抗原が2.9logIU/mL未満及びIFN−λ3レベルが15pg/mL以上の患者において、HBs抗原の減少が0.6logIU/mL/年以上となる有効率が高いことが分かった。図5に、HBs抗原を2.9logIU/mL未満、又は2.9logIU/mL以上、そしてIFN−λ3レベルを15pg/mL未満、又は15pg/mL以上の4つの組み合わせに分けて、HBs抗原の減少の0.6logIU/mL/年以上の治療効果が有効な割合を示した。
HBs抗原が、2.9logIU/mL未満の場合、IFN−λ3レベルが15pg/mL未満及びIFN−λ3レベルが15pg/mL以上のどちらのグループも、約40%の治療効果の有効率を示した。一方、HBs抗原が、2.9logIU/mL以上の場合、IFN−λ3レベルが15pg/mL以上のグループでは、約40%の治療効果の有効率を示した。しかし、IFN−λ3レベルが15pg/mL未満のグループでは、10%以下の治療効果の有効率であった。
本発明によれば、インターフェロンの治療効果を予め予測することができ、インターフェロン治療を行うか、または核酸アナログ製剤を続けるかの判断材料を提供することができる。本発明の方法によって、インターフェロン治療の治療費を抑制することができる。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。

Claims (8)

  1. (1)核酸アナログ製剤により治療されたHBV感染患者由来血液、血清、又は血漿検体のIFN−λ3濃度及びHBs抗原濃度を測定する工程、及び
    (2)前記測定されたIFN−λ3濃度及びHBs抗原濃度をそれぞれの予め設定したカットオフ値と比較し、IFN−λ3濃度がカットオフ値以上若しくはカットオフ値を超え、且つHBs抗原濃度がカットオフ値以下又はカットオフ値未満の場合にインターフェロン治療が有効である可能性が高いと予測する工程、
    を含むことを特徴とする、インターフェロン治療効果予測方法。
  2. (1)核酸アナログ製剤により治療されたHBV感染患者由来血液、血清、又は血漿検体のIFN−λ3濃度及びHBs抗原濃度を測定する工程、及び
    (2)前記測定されたHBs抗原濃度を予め設定したカットオフ値と比較し、HBs抗原濃度がカットオフ値以下又はカットオフ値未満の場合にインターフェロン治療が有効である可能性が高いと予測し、そしてHBs抗原濃度がカットオフ値を超える場合には、更に前記測定されたIFN−λ3濃度を予め設定したカットオフ値と比較し、IFN−λ3濃度がカットオフ値以上若しくはカットオフ値を超える場合にインターフェロン治療が有効である可能性が高いと予測する工程、
    を含むことを特徴とする、インターフェロン治療効果予測方法。
  3. 前記IFN−λ3濃度のカットオフ値が10pg/mL〜25pg/mLのいずれかの1つの濃度であり、そしてHBs抗原濃度のカットオフ値が2.5LogIU/mL〜4.0LogIU/mLのいずれか1つの濃度である、請求項1又は2に記載のインターフェロン治療効果予測方法。
  4. 前記IFN−λ3濃度のカットオフ値が15pg/mL又は20pg/mLであり、そしてHBs抗原濃度のカットオフ値が2.9LogIU/mL、3.0LogIU/mL又は3.5LogIU/mLである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインターフェロン治療効果予測方法。
  5. 前記HBV感染患者が、アデフォビル又はテノフォビルが投与された患者である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインターフェロン治療効果予測方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のインターフェロン治療効果予測方法によって、インターフェロン治療が有効である可能性が高いと予測されたB型肝炎ウイルス感染患者に対して投与することを特徴とする、インターフェロンを含むB型肝炎治療用医薬組成物。
  7. 前記インターフェロンが、PEG化インターフェロン−αである、請求項6に記載のB型肝炎治療用医薬組成物。
  8. 血液、血清、又は血漿のIFN−λ3濃度測定試薬及びHBs抗原濃度測定試薬を含む、核酸アナログ製剤により治療されたHBV感染患者のインターフェロン治療効果予測キット。
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