JP6738197B2 - レーザピーニング装置 - Google Patents

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本発明の実施形態は、例えば、蒸気タービンの動翼嵌合部などの表面に圧縮残留応力を付与するレーザピーニング装置に関する。
蒸気タービンは、ロータ側のディスクの周方向に多数本が植設された動翼群と、タービンの車室側に固定された静翼群とから構成されている。この動翼群と静翼群の組み合わせ一対でタービン段落は形成されている。このタービン段落がロータの軸方向に複数段設置されることで、蒸気タービンにおける蒸気通路部が形成されている。
蒸気タービンの運転中には、動翼に大きな遠心力が作用する。このため、動翼をディスクに結合する構造には、大きな遠心力に耐えうるように、鞍型構造、クリスマスツリー構造、T型構造、フォーク型構造等が採用されている。これらの取付構造は、動翼の根本部の形状および動翼の挿入方向に違いがある。
ここで、図10乃至図13を参照しながら、動翼をディスクに取り付ける鞍型構造について説明する。図10は、蒸気タービンのタービン動翼1とディスク2の鞍型嵌合構造を示す断面図である。図11は、蒸気タービンのディスク2の外周部に形成されている鞍型部3を示す斜視図である。
鞍型部3は、ディスク2の外周部全体に亘って形成されている断面山形の構造である。この鞍型部3は、その円板、外周部全周にわたり溝部4が形成されている。これらの溝部4は、ディスク2の同心円上に設けられている。図11に示されるように、鞍型部3の一部分には、切欠き部5が設けられている。この切欠き部5は、タービン動翼1のフック部1aを鞍型部3に嵌合させるのに利用される。
タービン動翼1のフック部1aは、鞍型部3の横断面形状に対応した凹部を有している。タービン動翼1のフック部1aを切欠き部5に入れた後、ディスク2の周方向にスライドさせれば、フック部1aを鞍型部3に嵌合させることができる。このようにタービン動翼1の群翼は、鞍型部3に沿ってスライドさせて、所定位置に植え込まれる。
タービン動翼1のフック1aと、ディスク2の鞍型部3とは嵌合し合っている。したがって、蒸気タービンの運転中には、回転に伴ってタービン動翼1に遠心力が作用し、鞍型部3には大きな力が加わることになり、具体的には、鞍型部3の溝部4で遠心力を受け止めている。また、ディスク2の鞍型部3は、大きな遠心力が作用するだけでなく、入り込んだ蒸気中に含まれるNa、Clなどによる腐食生成物が蓄積されやすい部位でもある。このようなことから、ディスク2の鞍型部3には、経年変化によって応力腐食割れが生じることがある。
従来から、応力腐食割れの進展を抑制するためには、その表面に圧縮残留応力を付与することが効果的であることが知られている。
例えば、特許文献1では、蒸気タービンの動翼取付用溝部において、その表面にショットピーニングを施して圧縮残留応力を付与する方法が提案されている。
近年、タービン動翼1をディスク2に取り付ける構造が鞍型構造の場合、特定の部位に大きな遠心力が作用し、そこに応力腐食割れが集中して発生する事例があり、問題となっている。
ここで、図12は、切欠き部5における止め翼6の取付構造を示す図、図13は、フックを有する動翼と止め翼の違いを示す図である。鞍型部3にフック1aが嵌合しているタービン動翼1では、遠心力を溝部4で受けているが、止め翼6は切欠き部5に被さるように取り付けられているので、フック1aと鞍型部3とは嵌合する構造にはなっていない。
止め翼6の場合、その両側に隣接しているタービン動翼1A、1Bにピン8を介して固定される。タービン運転中には、止め翼6を含めすべてのタービン動翼1に等しく遠心力は作用する。
ところが、止め翼6にかかる遠心力は、ピン8で連結されている隣接したタービン動翼1A、1Bにかかり、鞍型部3の溝部4で受けることになる。つまり、隣接したタービン動翼1A、1Bのフックが嵌合している溝部4の領域に限って、他の領域よりも大きな力が加わることになる。実際に、溝部4のこのような領域に生じた応力腐食割れの事例が報告されている。
このような鞍型部3の特定領域の溝部4に発生する応力腐食割れを防止するには、ショットピーニング等を施して、圧縮在留応力を付与しておくことが有効であると考えられる。蒸気タービンの新設時には、そのような補強は容易である。
ところが、すでに稼働中の蒸気タービンで、ショットピーニング等による補修を実施する場合には、既にタービン動翼1が取り付けられているため、以下のような問題がある。
特開2005−199356号公報
大部分のタービン動翼1を植え込んだままの状態で、止め翼6に隣接するタービン動翼1A、1Bのフックが係合している範囲に限定して溝部4にショットピーニングを施工する場合、少なくとも止め翼6と、それに隣接するタービン動翼1A、1Bは取り外して施工が行われることになる。
ショットピーニングの場合、投射材を施工部の表面に高速で衝突させるが、その投射材が植え込んだままのタービン動翼1のフックと溝部4の隙間に入りこみ、その除去が困難になるという問題がある。
本発明は、前記従来技術の有する問題点に鑑みなされたものであって、例えば、タービン動翼をディスクに取り付ける鞍型構造のような構造体で、しかも狭く限定された領域であっても、レーザ光を表面に照射するレーザピーニングの施工を可能にし、その表面に圧縮残留応力を付与することができるようにしたレーザピーニング装置を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明の実施形態によるレーザピーニング装置は、特定方向に延びるように構造体に形成された溝部の曲面にレーザ光を照射し、前記溝部の曲面に圧縮残留応力を付与する加工を行うレーザピーニング装置であって、レーザ光を照射し光軸のある平面内を可動可能な照射ヘッドと、前記レーザ光を前記溝部の曲面に向けて反射させる反射ミラーと、前記レーザ光の焦点位置を前記溝部の表面に沿って変更する手段と、を有し、前記溝部の延びる方向に移動可能なレーザ照射装置と、前記構造体に着脱可能に固定され、前記レーザ光の照射距離を一定に保った状態で前記溝部が延びる方向への前記レーザ照射装置の移動を前記溝部と同じ軌道で案内する走行案内台と、前記溝部の曲面上のレーザ焦点を含む領域に液体を供給する送液手段と、を備えたことを特徴とするものである。
本発明によれば、蒸気タービンのディスクの鞍型構造のような構造体で、しかも狭く限定された領域であっても、レーザ光を表面に照射するレーザピーニングの施工を可能にし、その表面に圧縮残留応力を付与することができる。
本発明の実施形態によるレーザピーニング装置を正面の方から示す斜視図である。 図1とは反対側からレーザピーニング装置を見た斜視図である。 実施形態によるレーザピーニング装置が設置されているディスクのタービンロータ軸方向の断面を示す図である。 図3におけるA部を拡大して照射ヘッドを示す図である。 実施形態によるレーザピーニング装置を背面から示す図である。 レーザピーニング装置が備えるレーザ発振部を示すブロック構成図である。 レーザピーニング装置が備える送液部の構成を示すである。 ヘッド直動機構による照射ヘッドの位置変化と、溝部の曲面での焦点位置の変化を示す図である。 ヘッド回転機構による照射ヘッドの位置変化と、溝部の曲面での焦点位置の変化を示す図である。 蒸気タービンのタービン動翼とディスクの鞍型嵌合構造を示す断面図である。 蒸気タービンのディスクの外周部に設けられている鞍型部を示す斜視図である。 鞍型嵌合構造における止め翼の取付構造を示す図である。 鞍型植込み部を有する動翼のうち、フックを有する動翼と止め翼の違いを示す図である。
以下、本発明によるレーザピーニング装置の一実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
図1は、加工対象である蒸気タービンのディスクに設置された本実施形態によるレーザピーニング装置を正面の方から示す斜視図である。図2は、図1とは反対側からレーザピーニング装置を見た斜視図である。図3は、レーザピーニング装置が設置されているディスク2のタービンロータ軸方向の断面を示している。
この実施形態では、タービン動翼をディスクに植え込む鞍型構造の溝部の表面を加工対象としている。鞍型構造は、図11に示したものと同様であり、同一の構成要素には同一を付してその詳細な説明は省略する。図1乃至図3では、3つのタービン段落のディスク2が図示されている。タービン動翼1は、フックのみが図示されている
図1乃至図3において、参照番号20はレーザピーニング装置を示す。このレーザピーニング装置20は、大きく分けると、レーザ照射装置21と、このレーザ照射装置21が移動可能に配置され、その移動の案内部を有する走行案内台22と、から構成されている。
まず、走行案内台22から説明する。
この走行案内台22の走行案内台本体23の正面側下部は、ディスク2の外周部に形成されている鞍型部3に倣った形状になっている下縁部23aを有している。図3に示されるように、走行案内台本体23の下縁部23aは、鞍型部3の片側に係合するようになっている。
走行案内台本体23の背面側には、2箇所にクランプシリンダ24が設けられている(図2参照)。このクランプシリンダ24のピストンロッドには、押駒25が取り付けられている。この押駒25は、鞍型部3の凹凸形状に対応する形状をもっており、クランプシリンダ24が押駒25を鞍型部3に押し付けることで、鞍型部3を下縁部23aとで挟持し、走行案内台本体23を鞍型部3に安定した状態で固定することができる。
図1に示されるように、走行案内台本体23の正面には、レーザ照射装置21の移動を案内するガイドレール26が取り付けられている。このガイドレール26は、ディスク2と同心円の円弧軌道をなすようになっている。レーザ照射装置21には、ガイドレール26に摺動可能に係合するガイドブロック28が取り付けられている。また、レーザ照射装置21は、自走用の駆動モータ30を備えている。走行台本体23には、ガイドレール26に沿うように、円弧状のラック31が取り付けられている。図3に示されるように、駆動モータ30に取り付けられているピニオン歯車32は、ラック31と噛み合うようになっている。したがってピニオン歯車32が回転すると、レーザ照射装置21は、ガイドレール26を案内にして、ディスク2の周方向に移動することができる。なお、図1において、ガイドレール26の両端には、レーザ照射装置21の脱落を防止するストッパ33が取り付けられている。
次に、レーザ照射装置21が備えている照射ヘッド36の構成について説明する。
ここで、図4は、図3におけるA部を拡大して照射ヘッド36を示す図である。図4において、参照番号40は、レーザ照射装置21のハウジングを示している。
照射ヘッド36は、集光ユニット37を有し、光ファイバー38により導光されたレーザ光を集光ユニット37で集光して、先端部から反射ミラー42に向けて照射する。反射ミラー42は、ハウジング40に固定されている。光ファイバー38は、図6に示されるレーザ発振部(詳細は後述する)と接続されている。照射ヘッド36の先端部付近には、鞍型部3の溝4に向けて水が噴出される図示されないノズルが配置されている。ノズルには、図7に示されるような送液部(詳細は後述する)から水が供給される。
照射ヘッド36は、鞍型部3の溝部4に向けてレーザ光を照射できるように、次のような姿勢でハウジング40の内側に配置されている。
ここで、図4において、照射ヘッド36と反射ミラー42、溝部4との位置関係を特定するために、次のように方向が定義される。X軸は、タービンロータの軸方向を示しており、Y軸はディスク2の半径方向を示す。溝部4は、ディスク2の円周方向に延びている。
照射ヘッド36の光軸は、常に、X−Y平面上にある。反射ミラー42は、平面ミラーで構成され、その反射面は、X軸と平行でかつY軸に垂直な平面内にある。入射するレーザ光および反射したレーザ光は、X−Y平面上にある。
この実施形態によるレーザ照射装置21は、ディスク2の円周方向に移動しながら、照射ヘッド36からレーザ光が照射されるが、走行案内台23上で正確に移動が案内されるため移動行程のどの位置にあっても、照射ヘッド36から溝部4までの照射距離は変化せずに一定であり、溝部4の表面に焦点を結ぶようになっている。
このような照射ヘッド36は、図4に示されるように、ディスク2の半径方向(Y軸方向)に移動可能な照射ヘッドホルダ44に保持されている。この実施形態の場合、照射ヘッド36をY軸方向に平行移動させるヘッド直動機構がハウジング40に次のように設けられている。この移動は、反射ミラー42に入射するレーザ光の入射位置を変え、反射したレーザ光が溝部4の曲面に結ぶ焦点位置を変えるためである。
ハウジング40には、ボールねじ軸45がY軸と平行に軸受46a、46bによって支持されている。照射ヘッドホルダ44には、ボールねじ軸45に螺合しているボールナット47が固定されている。
ボールねじ軸45は、直動駆動用サーボモータ48によって駆動され、照射ヘッドホルダ44は、ガイドレール49に案内されながらY軸と平行に移動することができる。この場合、直動駆動用サーボモータ48は、図示されない制御装置によって制御される。照射ヘッド36は、Y軸方向の行程内の任意の位置に精密に位置決めすることが可能である。
実施形態によるレーザ照射装置21の場合、上述したヘッド直動機構に加えて、さらに、照射ヘッド36を回転させヘッド回転機構が次のように設けられている。このヘッド回転機構は、反射ミラー42に入射するレーザ光の入射角を変えることによって、反射したレーザ光が溝部4の曲面に結ぶ焦点位置を変えるための機構である。
図4において、照射ヘッド36は、照射ヘッドホルダ44に軸50を介して回転可能に支持されている。図5に示されるように、ハウジング40には、照射ヘッド36を回転させる回転駆動モータ52が設けられている。この場合、照射ヘッド36は、X−Y平面内を回転するようになっている。回転駆動モータ52は、図示されない制御装置によって制御され、入射角を精密に制御することが可能である。
次に、レーザピーニング装置20が備えているレーザ発振部の構成を図6に示す。
レーザ発振部は、パルスレーザを発生するレーザ発振器60と、レーザ発振器60から出力されたレーザ光が導入され、その波形を成形するレーザ光調整部62と、を備えている。レーザ光調整部62は、ミラー、レンズ、バッフルなどから構成されている。レーザ光調整部62は、照射ヘッド36が平行移動または回転しても、溝部4の曲面に焦点が結ばれるように、レーザ光を整形してから、照射ヘッド36に出力する。
レーザピーニング加工では、溝部4の施工対象範囲に水を供給する必要がある。そこで、図7にレーザピーニング装置の送液部の構成を示す。
この送液部は、水の貯められた貯液槽64と、貯液槽64の水を管を通じて施工対象範囲に供給するポンプ65と、を備えている。貯液槽64には、水から不純物を除去し、レーザ光の減衰を防止するため、不純物のない水を確保するためのフィルタ装置66が設けられている。なお、送液部で用いる水は、アルカリイオン水やアンモニア水といったアルカリ性の液体を用いることにより、タービン動翼1やディスク2に錆が発生するの防止するようにしてもよい。
本実施形態によるレーザピーニング装置は、以上のように構成されるものであり、次に、ディスク2の鞍型部3に形成された溝部4の曲面にレーザピーニングを施工する工程との関連において、その作用および効果について説明する。なお、本実施形態は、既設の蒸気タービンにおいて、溝部4の曲面にレーザピーニングを施すことで、圧縮残留応力領域を形成する施工例である。
まず、ディスク2の鞍型部3にレーザピーニングを施す範囲について、図1を参照して説明する。
図1において、図12に示した止め翼6を取り外すと、止め翼6が固定されていたところには切欠き部5がある。切欠き部5の両側にあったタービン動翼群のうち、例えば、3~4箇所のタービン動翼1が取り外される。施工範囲は、タービン動翼1が取り外された範囲にある溝部4の曲面である。図1では、蒸気タービンの3つの段落が示されているが、これからレーザピーニングが実施されるのは、中央にある段落である。
施工範囲では、走行案内台22が鞍型部3に固定される。このとき、図2に示されるように、切欠き部5には、鞍型模擬体70を嵌めることで隙間を埋めておく。この鞍型模擬体70は、鞍型部3と同じ形状を有しており、溝部4は鞍型模擬体70を介して連続するようになっている。
そこで、レーザ光を溝部4に照射しながら、レーザ照射装置21をディスク2の周方向に移動させ、レーザピーニングが開始される。このとき、図4において、図示されないノズルから水が溝部4の曲面に向けて噴射される。レーザ光の照射によって、溝部4の曲面の金属元素がプラズマ化し、その時発生する衝撃波によって、溝部の曲面に残留応力を付与することができる。水は、プラズマを封じ込め、ピーニング効果の減衰を防ぎ、また、施工部位の近傍を洗浄しながらのレーザ光の照射を可能にする。本実施形態では、切欠き部5に鞍型模擬体70を埋め込み、溝部4の連続性を確保しているので、溝部4には水膜をとぎれることなく形成することができる。なお、鞍型模擬体70の替わりに、溝部4での水膜を連続して形成するのに十分な吐出圧を有するポンプ65を送液部で用いるようにしてもよい。
レーザ照射装置21が走行案内台22を周方向に移動する過程では、照射ヘッド36から溝部4までの照射距離は変化せずに一定であり、溝部4の曲面上に焦点を結ぶので、レーザ照射装置21が走行案内台22の端から端まで移動することで、溝部4の周方向にレーザピーニングを実施することができる。
本実施形態のレーザ照射装置21では、レーザ光を溝部4の曲面のR形状に沿って焦点位置を変えられるようになっており、これを図8、図9を参照しながら説明する。
図8は、図4に示したヘッド直動機構による照射ヘッド36の位置変化と、溝部4の曲面での焦点位置の変化を示している。図8において、位置Aは、前回、ディスク2の周方向に移動しながらレーザ光を照射した時の照射ヘッド36の位置を示している。
位置Aからその下方に照射ヘッド36を平行移動させ、位置Bに位置決めする。この位置Bにある照射ヘッド36からレーザ光を射出すると、レーザ光は、位置Aの場合の光路72aとは異なる光路72bを通って反射ミラー42で反射して溝部4の曲面に照射されるので、曲面上での焦点位置を溝部4のR形状に沿って変更することができる。照射ヘッド36の移動に伴い、図6に示したレーザ光調整部62を利用して、溝部4の表面に焦点が結ばれるように、レーザ光の整形が行われる。
こうして、ヘッド直動機構による照射ヘッド36の位置を変更したら、前回と同様に、レーザ照射装置21をディスク周方向に移動させながら、レーザ光を照射し、レーザピーニングを実施することになる。
本実施形態では、このようなヘッド直動機構に加えて、ヘッド回転機構も備えているので、次に、図9に照射ヘッド36を回転させることによってレーザ光の光路を変え、焦点位置を変える例を示す。
図9において、位置Aは、前回、ディスク2の周方向に移動しながらレーザ光を照射した時の照射ヘッド36の位置を示している。位置Aから位置Bに照射ヘッド36を回動させ、位置Bに位置決めする。
この位置Bにある照射ヘッド36からレーザ光を射出すると、レーザ光は、位置Aの場合の光路72aとは、異なる光路72cを通って反射ミラー42で反射して溝部4の曲面に照射されるので、曲面上での焦点位置を溝部4のR形状に沿って変更することができる。
図8と図9を対照するとわかるように、照射ヘッド36の平行移動による焦点位置の変更と回転による照射位置の変更とを組み合わせることによって、溝部4の施工対照範囲80の全体に亘って照射範囲をカバーすることが可能になる。
以上のようにして、溝部4の曲面で必要な領域に圧縮残留応力を付与することができるので、遠心力の作用により応力腐食割れが集中して発生する可能性のある領域に対してレーザピーニング施工を効率良く実施することができる。
なお、図3において、鞍型部3には、両側に溝部4が形成されているので、一方の側の溝部4に対してレーザピーニングが終了したら、走行案内台22を反転させて他方の側に正面を向くように再設置し、レーザ照射装置21を付け直し、他方の側の溝部4に対してレーザピーニングを実施すればよい。
なお、以上説明した施工例は、図3において、鞍型部3で応力腐食割れが最も発生する可能性の高い下段の溝部4の表面にレーザピーニングを施す例であるが、上段の溝部4に対しても同様にしてレーザピーニングを施工することができる。その場合、施工対象の溝部4に合わせて走行案内台22が用意されており、照射ヘッド36を位置決めできるように、走行案内台22を替えることになる。
また、上述の実施形態は、蒸気タービン動翼の鞍型取付構造の溝部の曲面に対してレーザピーニングを施す例であるが、本発明はこの施工例に限られるものではない。円弧状または直線状に伸びる溝を有する大型の機械構造物を対象として、走行案内台を介してレーザ照射装置を設置することで、溝部の曲面へのレーザピーニングを実施することが可能である。
本実施形態により達成される蒸気タービン溝部のレーザピーニング施工により、当該部に発生しうる応力腐食割れを防ぐ効果が期待できる。
以上、本発明に係るレーザピーニング装置について、実施形態を挙げて説明したが、これらの実施形態は、例示として挙げたもので、発明の範囲の制限を意図するものではない。もちろん、明細書に記載された新規な装置、方法およびシステムは、様々な形態で実施され得るものであり、さらに、本発明の主旨から逸脱しない範囲において、種々の省略、置換、変更が可能である。請求項およびそれらの均等物の範囲は、発明の主旨の範囲内で実施形態あるいはその改良物をカバーすることを意図している。
1…タービン動翼、2…ディスク、3…鞍型部、4…溝部、5…切欠き部、6…止め翼、8…ピン、20…レーザピーニング装置、21…レーザ照射装置、22…走行案内台、23…走行案内台本体、24…クランプシリンダ、25…押駒、26…ガイドレール、30…自走用の駆動モータ、31…ラック、32…ピニオン歯車、36…照射ヘッド、37…集光ユニット、40…ハウジング、42…反射ミラー、44…照射ヘッドホルダ、45…ボールねじ軸、47…ボールナット、48…直動駆動用サーボモータ、50…軸、52…回転駆動モータ、60…レーザ発振器、62…レーザ光調節部、64…貯液槽、65…ポンプ

Claims (8)

  1. 特定方向に延びるように構造体に形成された溝部の曲面にレーザ光を照射し、前記溝部の曲面に圧縮残留応力を付与する加工を行うレーザピーニング装置であって、
    レーザ光を照射し光軸のある平面内を可動可能な照射ヘッドと、前記レーザ光を前記溝部の曲面に向けて反射させる反射ミラーと、前記レーザ光の焦点位置を前記溝部の表面に沿って変更する手段と、を有し、前記溝部の延びる方向に移動可能なレーザ照射装置と、
    前記構造体に着脱可能に固定され、前記レーザ光の照射距離を一定に保った状態で前記溝部が延びる方向への前記レーザ照射装置の移動を前記溝部と同じ軌道で案内する走行案内台と、
    前記溝部の曲面上のレーザ焦点を含む領域に液体を供給する送液手段と、
    を備えたことを特徴とするレーザピーニング装置。
  2. 鞍型の動翼取付構造を有するタービンのディスクの外周部を施工対象とし、前記動翼取付構造の嵌合部に形成され前記ディスクの周方向に延びる溝部にレーザ光を照射し、特定領域内にある前記溝部の曲面に圧縮残留応力を付与する加工を行うレーザピーニング装置であって、
    レーザ光を照射する照射ヘッドと、前記レーザ光を前記溝部の曲面に向けて反射させる反射ミラーと、前記レーザ光の焦点位置を前記溝部の表面に沿って変更する手段と、を有し、前記ディスクの周方向に移動可能なレーザ照射装置と、
    前記嵌合部に着脱可能に固定され、前記レーザ光の照射距離を一定に保った状態で前記ディスクの周方向への前記レーザ照射装置の移動を案内する走行案内台と、
    前記溝部の曲面上のレーザ焦点を含む領域に液体を供給する送液手段と、
    を備えたことを特徴とするレーザピーニング装置。
  3. 前記照射ヘッドの保持部は、前記照射ヘッドを前記ディスクの半径方向に移動させ、前記反射ミラー上の入射位置を変更するヘッド直動機構を有することを特徴とする請求項2に記載のレーザピーニング装置。
  4. 前記照射ヘッドの保持部は、前記ディスクと垂直な平面内で回動可能に支持される前記照射ヘッドを回動させ、前記反射ミラーに対するレーザ光の入射角を変更するヘッド回動機構を有することを特徴とする請求項2または3に記載のレーザピーニング装置。
  5. 前記照射ヘッドと接続されるレーザ発振部は、前記照射ヘッドが平行移動または回動した場合に前記溝部の表面に焦点が結ばれるように調整するレーザ光調整手段を有することを特徴とする請求項3または4に記載のレーザピーニング装置。
  6. 施工対象となる溝部の特定領域は、前記鞍型部に形成された切欠き部に埋め込まれる止め翼の両側に隣接する動翼を含む2枚以上の動翼群が固定される範囲内の溝であり、前記走行案内台は、前記溝部の特定領域をカバーする長さを有することを特徴とする請求項2に記載のレーザピーニング装置。
  7. 前記切欠き部には、前記鞍型部と同型で前記溝部を断絶させずに連続させる鞍型模擬体が埋め込まれることを特徴とする請求項6に記載のレーザピーニング装置。
  8. 前記レーザ照射装置は、前記走行案内台に沿って自走するための駆動機構を備えることを特徴とする請求項2に記載のレーザピーニング装置。
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