JP6737209B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
1.内燃機関の制御装置は、複数の気筒から排出された排気を浄化対象とする触媒を備えた内燃機関を制御対象とし、前記触媒の昇温要求が生じた場合、前記複数の気筒のうちの一部の気筒であるリーン燃焼気筒における空燃比を前記複数の気筒における空燃比の平均値に対する目標値よりもリーンに制御し、前記複数の気筒のうちの前記一部の気筒とは別の気筒であるリッチ燃焼気筒における空燃比を前記目標値よりもリッチに制御するように前記各気筒に対応する燃料噴射弁を操作するディザ制御処理と、前記ディザ制御処理がなされているときのクランク軸の回転変動が所定以上となることを条件に、前記リーン燃焼気筒の空燃比を前記目標値よりもリーンとし前記リッチ燃焼気筒の空燃比を前記目標値よりもリッチとし前記複数の気筒における空燃比の平均値を前記目標値に維持しつつ、前記リーン燃焼気筒における空燃比と前記目標値との差、および前記リッチ燃焼気筒における空燃比と前記目標値との差を減少させる減少処理と、を実行する。
上記構成では、クランク軸の回転変動が所定以上となることを条件に、都度、リーン燃焼気筒のリーン化度合いおよびリッチ燃焼気筒のリッチ化度合いを段階的に減少させるために、1度のみ減少させる場合と比較すると、1度の減少量を小さく設定しやすい。このため、燃焼の安定化を図りつつもリーン化度合いおよびリッチ化度合いが過度に減少補正されることを抑制できる。
以下、内燃機関の制御装置にかかる第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
ベース噴射量算出処理部M10は、回転速度NEおよび負荷KLに基づき、燃焼室14における混合気の空燃比を目標値Af*に制御するための開ループ操作量として、ベース噴射量Qbを算出する。ここで、本実施形態では、目標値を理論空燃比とする。また、負荷KLとして、本実施形態では、現在の回転速度NEにおける燃焼室14への充填空気量の基準値に対する実際の充填空気量の割合である負荷率を例示する。負荷率は、吸入空気量Gaおよび回転速度NEに基づき算出される。
要求値出力処理部M20は、三元触媒22の昇温要求が生じた場合、内燃機関10の各気筒#1〜#4における空燃比の平均値を目標値Af*としつつも、気筒間で空燃比を異ならせるディザ制御の噴射量補正要求値αを算出する。ここで、本実施形態にかかるディザ制御では、第1の気筒#1を、空燃比を目標値Af*よりもリッチとするリッチ燃焼気筒とし、第2〜第4の気筒#2〜#4を、空燃比を目標値Af*よりもリーンとするリーン燃焼気筒とする。そして、リッチ燃焼気筒における噴射量を、上記フィードバック補正処理部M16の出力値の「1+α」倍とし、リーン燃焼気筒における噴射量を、同出力値の「1−(α/3)」倍とする。
図3は、噴射量補正要求値αの算出処理の手順を示す。図3に示す処理は、メモリ34に記憶されたプログラムをCPU32が所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、以下では、先頭に「S」が付与された数字によって、ステップ番号を表現する。
図4に、気筒間変動カウンタCanや、サイクル間変動カウンタCac等の各種カウンタの更新処理の手順を示す。図4に示す処理は、メモリ34に記憶されたプログラムをCPU32が、たとえば180°CA周期で繰り返し実行することにより実現される。
図6に、上記ガード値αthの減少処理の手順を示す。図6に示す処理は、メモリ34に記憶されたプログラムをCPU32が所定の時間周期で繰り返し実行することにより実現される。
ここで、本実施形態の作用を説明する。
図8に示すように、時刻t1にディザ制御が開始されると、噴射量補正要求値αがベース補正要求値α0に向けて変化する。ここでは、ベース補正要求値α0が大きいために、噴射量補正要求値αの変化を制限する徐変処理によって、噴射量補正要求値αが上限変化量Δmaxずつ段階的に増加している例を示している。なお、図8には、噴射量補正要求値αがベース補正要求値α0に到達する時刻t2まで気筒間回転変動もサイクル間回転変動も検知されない例を示している。
(1)燃焼が不安定化する都度、噴射量補正要求値αを段階的に減少させた。これにより、1度のみ減少させる場合と比較すると、1度の減少量(所定量Δ1)を小さく設定しやすい。このため、燃焼の安定化を図りつつもリーン化度合いおよびリッチ化度合いが過度に減少補正されることを抑制できる。
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に、図面を参照しつつ説明する。
図9に、上記ガード値αthの減少処理の手順を示す。図9に示す処理は、メモリ34に記憶されたプログラムをCPU32が所定の時間周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、図9において、図6に示した処理に対応する処理については、同一のステップ番号を付してその説明を省略する。
以下、第3の実施形態について、第2の実施形態との相違点を中心に、図面を参照しつつ説明する。
図10に、気筒間変動カウンタCanや、サイクル間変動カウンタCac等の各種カウンタの更新処理の手順を示す。図10に示す処理は、メモリ34に記憶されたプログラムをCPU32が、たとえば180°CA周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、図10において、図4に示した処理に対応する処理については、同一のステップ番号を付与してその説明を省略する。
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。
なお、上記実施形態の各事項の少なくとも1つを、以下のように変更してもよい。
「減少処理について」
減少処理としては、気筒間変動カウンタCanが閾値Canth以上となることと、サイクル間変動カウンタCacが閾値Cacth以上となることとの論理和が真となることを条件に、ガード値αthを減少させるものに限らない。たとえば、気筒間変動カウンタCanを用いることなくサイクル間変動カウンタCacが閾値Cacth以上となることを条件にガード値αthを減少させるものであってもよい。またたとえば、サイクル間変動カウンタCacを用いることなく、気筒間変動カウンタCanが閾値Canth以上となることを条件にガード値αthを減少させるものであってもよい。またたとえば、気筒間変動カウンタCanとサイクル間変動カウンタCacとを各別に備えることなく、気筒間回転変動とサイクル間回転変動との合計値が閾値以上となることを条件にガード値αthを減少させるものであってもよい。
増加処理としては、気筒間回転変動が検知されないことと、サイクル間回転変動が検知されないこととの論理積が真であることを条件にインクリメントされる正常燃焼カウンタCnが閾値Cnth以上となることを条件に、ガード値αthを増加させるものに限らない。たとえば、正常燃焼カウンタCnを、気筒間回転変動を参照せず、サイクル間回転変動が検知されないことを条件にインクリメントされるものとしてもよい。またたとえば、正常燃焼カウンタCnを、サイクル間回転変動を参照せず、気筒間回転変動が検知されないことを条件にインクリメントされるものとしてもよい。
ベース補正要求値α0を、回転速度NE、負荷KLおよび水温THWに基づき可変設定することは必須ではない。たとえば、回転速度NE、負荷KLおよび水温THWの3つのパラメータのうちの2つのパラメータのみに基づいて可変設定してもよく、またたとえば、3つのパラメータのうちの1つのパラメータのみに基づいて可変設定してもよい。
ディザ制御の実行条件としては、上記実施形態において例示したものに限らず、たとえば、三元触媒の温度を検出するセンサを備え、センサの検出値が所定温度以上且つ規定温度以下であることを実行条件としてもよい。もっとも、これに限らず、制御を簡素化することなどを狙って、内燃機関10が冷間始動することを条件に内燃機関10の始動時からディザ制御を実行してもよい。
上記実施形態では、リーン燃焼気筒の数をリッチ燃焼気筒の数よりも多くしたが、これに限らない。たとえば、リーン燃焼気筒の数とリッチ燃焼気筒の数とを同一としてもよい。なお、リーン燃焼気筒の数とリッチ燃焼気筒の数との合計が、内燃機関10の気筒数に一致することも必須ではなく、たとえば、特定の気筒を、その燃焼室14における空燃比を理論空燃比とすることにより、リーン燃焼気筒およびリッチ燃焼気筒のいずれでもない気筒としてもよい。ちなみに、下記の「内燃機関について」に記載したように、排気の浄化対象が異なる複数の触媒を備える場合にも、1つの触媒が排気を浄化対象とするリーン燃焼気筒の数とリッチ燃焼気筒の数との合計が内燃機関の気筒数よりも少なくなる。
ディザ制御処理としては、噴射量の補正量を設定するものに限らない。たとえば、ベース噴射量算出処理部M10を、リッチ燃焼気筒とリーン燃焼気筒とで各別に備えることとしてもよい。この場合、リッチ燃焼気筒用のベース噴射量算出処理部M10は、リッチな目標空燃比とするための開ループ操作量としてのベース噴射量Qbを算出し、リーン燃焼気筒用のベース噴射量算出処理部M10は、リーンな目標空燃比とするための開ループ操作量としてのベース噴射量Qbを算出する。なお、この際、各気筒の燃焼室14内の混合気の空燃比の平均値が目標値Af*となるようにしてもよい。この場合、全気筒の正味の排気成分は、排気空燃比の平均値を目標値とした場合の排気成分からずれうるが、これは空燃比フィードバック制御によって補償すればよい。
上記実施形態では、内燃機関の空燃比の平均値の目標値を理論空燃比としたが、これに限らない。たとえば、「触媒について」の欄に記載したように触媒として三元触媒を備えたGPFを用いる場合、理論空燃比よりもリーンとしてもよい。なお、この場合、リーン燃焼気筒の空燃比を、理論空燃比および目標値の双方よりもリーンとし、リッチ燃焼気筒の空燃比を、理論空燃比および目標値の双方よりもリッチとする。
触媒としては、三元触媒22に限らない。たとえば、三元触媒を備えたガソリンパティキュレートフィルタ(GPF)であってもよい。要は、昇温要求が生じうるものであって、リーン燃焼気筒の酸素によってリッチ燃焼気筒の未燃燃料成分や不完全燃焼成分を酸化させる際の酸化熱を利用して昇温が可能であるものであればよい。
制御装置としては、CPU32とメモリ34とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、制御装置は、以下の(a)〜(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するメモリとを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラムを記憶するメモリと、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびメモリの組や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。
内燃機関としては、4気筒の内燃機関に限らない。たとえば直列6気筒の内燃機関であってもよい。この場合、時系列的に隣り合う燃焼行程の出現周期が120°CAであることに鑑み、図4の処理の周期を、たとえば120°CAとすればよい。またたとえば、V型の内燃機関等、第1の触媒と第2の触媒とを備え、それぞれによって排気が浄化される気筒が異なるものであってもよい。
燃料噴射弁としては、燃焼室14に燃料を噴射するものに限らず、たとえば吸気通路12に燃料を噴射するものであってもよい。ディザ制御の実行時に空燃比フィードバック制御をすることは必須ではない。
Claims (5)
- 複数の気筒から排出された排気を浄化対象とする触媒を備えた内燃機関を制御対象とし、
前記触媒の昇温要求が生じた場合、前記複数の気筒のうちの一部の気筒であるリーン燃焼気筒における空燃比を前記複数の気筒における空燃比の平均値に対する目標値よりもリーンに制御し、前記複数の気筒のうちの前記一部の気筒とは別の気筒であるリッチ燃焼気筒における空燃比を前記目標値よりもリッチに制御するように前記各気筒に対応する燃料噴射弁を操作するディザ制御処理と、
前記ディザ制御処理がなされているときのクランク軸の回転変動が所定以上となることを条件に、前記リーン燃焼気筒の空燃比を前記目標値よりもリーンとし前記リッチ燃焼気筒の空燃比を前記目標値よりもリッチとし前記複数の気筒における空燃比の平均値を前記目標値に維持しつつ、前記リーン燃焼気筒における空燃比と前記目標値との差、および前記リッチ燃焼気筒における空燃比と前記目標値との差を減少させる減少処理と、
前記減少処理が実行された後、所定期間内に前記所定以上の前記回転変動が検知されないことを条件に、前記複数の気筒における空燃比の平均値を前記目標値に維持しつつ、前記リーン燃焼気筒における空燃比と前記目標値との差、および前記リッチ燃焼気筒における空燃比と前記目標値との差を増加させる増加処理と、
前記リーン燃焼気筒における空燃比と前記目標値との差、および前記リッチ燃焼気筒における空燃比と前記目標値との差、の要求値のベース値であるベース要求値を前記内燃機関の運転状態に応じて可変設定する要求値設定処理と、
前記ベース要求値を入力とし、前記要求値がガード値以下となるように制限するガード処理と、を実行し、
前記ディザ制御処理は、前記リーン燃焼気筒の空燃比と前記目標値との差、および前記リッチ燃焼気筒の空燃比と前記目標値との差を、前記要求値に制御するものであり、
前記減少処理は、前記ガード値を減少させるものであり、
前記増加処理は、前記ガード値を前記ベース要求値に向けて増加させるものである内燃機関の制御装置。 - 前記減少処理を実行した後、前記回転変動が所定以上となることを条件に、前記減少処理を再度実行する請求項1記載の内燃機関の制御装置。
- 前記減少処理は、前記回転変動が所定以上となることを条件に前記差を減少させるときの前記差の減少量を、前記回転変動が所定以上となる頻度が高い場合に低い場合よりも大きくする処理である請求項1または2記載の内燃機関の制御装置。
- 前記増加処理を実行した後、前記所定期間内に前記所定以上の前記回転変動が検知されないことを条件に、前記増加処理を再度実行する請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記増加処理は、前記所定期間内に前記所定以上の前記回転変動が検知されないことを条件に前記差を増加させるときの前記差の増加量を、前記回転変動が所定以上となる頻度が低い場合に高い場合よりも大きくする請求項1〜4のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
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