[本発明の一態様を得るに至った経緯]
従来の椅子型マッサージ機の分野においては、例えば首部、肩部等のこりが大きい部位をより有効にマッサージするために、その他の部位との関係に着目してこりが大きい部位へのマッサージを行う態様は開示も示唆もされていなかった。
上述したように、こりが大きい部位をいきなりマッサージすると、使用者に緊張を与え、有効なマッサージができなかったり、刺激が強すぎて痛みを与えたりする場合がある。
そこで、本発明の発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究を行った。この結果、本発明の発明者らは、こりが大きい部位をマッサージする前に当該部位に近い部位を予備的にマッサージする態様を想到するに至った。より具体的には、首部、肩部等のこりが大きい部位をマッサージする前に当該部位に近い部位である腕部をマッサージすることにより、こりが大きい部位の筋肉の緊張をほぐすことができる。また、こりが大きい部位をマッサージする前に当該部位に近い部位である腕部をマッサージすることにより、使用者に次にこりが大きい部位がマッサージされることを予め知らせることができ、使用者の緊張感を事前に和らげることができる。
[本発明の一態様の概要]
本発明は、以上のような発明者の知見に基づいて想到されたものである。本発明の一態様に係る椅子型マッサージ機は、使用者が着座する座部と、前記座部の後部側に設けられた背凭れ部と、使用者が前記座部に着座した状態で使用者にマッサージを行う施療子と、前記施療子の動作を制御する制御部と、を備え、前記施療子は、前記背凭れ部の上半分の領域においてマッサージを行う第1施療子と、使用者の腕部をマッサージするための第2施療子と、を含み、前記制御部は、前記第1施療子によるマッサージの前に前記第2施療子によるマッサージを行う動作を含むコースを実行するように制御するものである。
上記構成によれば、首部、肩部等のこりが大きい部位をマッサージする第1施療子によるマッサージの前に当該部位に近い部位である腕部をマッサージする第2施療子による予備的なマッサージを行うことにより、こりが大きい部位の筋肉の緊張をほぐすことができる。また、こりが大きい部位をマッサージする前に当該部位に近い部位である腕部をマッサージすることにより、使用者に次にこりが大きい部位がマッサージされることを予め知らせることができ、突然こりが大きい部位をマッサージすることによって使用者が緊張するのを防止することができる。
前記制御部は、前記コースにおいて、前記第1施療子によるマッサージを最初に行う前に前記第2施療子によるマッサージを行ってもよい。これによれば、コースにおいて第1施療子によるマッサージが行われる前に確実に第2施療子により腕部をマッサージすることができる。
前記コースは、前記第2施療子によるマッサージを行った後、前記第1施療子によるマッサージを行うセットが、複数回実行されてもよい。これによれば、コースに、第1施療子によるマッサージが複数回含まれる場合に、各回におけるマッサージの前にそれぞれ第2施療子によるマッサージが行われるため、こりが大きい部位をマッサージする前の予備的なマッサージの効果を高めることができる。
前記第1施療子によるマッサージは、もみ、叩き、振動、指圧、および押圧のうちの少なくとも何れか1つの動作を含んでもよい。
前記制御部は、前記第1施療子によるマッサージを行う直前に、前記第2施療子によるマッサージを行う制御をしてもよい。これによれば、こりが大きい部位をマッサージする直前に第2施療子による予備的なマッサージが行われるため、当該予備的なマッサージの効果を高めることができるとともに、次にこりが大きい部位のマッサージが行われることをより明確に知らせることができる。
前記制御部は、使用者の連続して隣接する3以上の部位を順にマッサージするように制御し、前記3以上の部位は、前記第1施療子によるマッサージ部位および前記第2施療子によるマッサージ部位を含んでもよい。これによれば、こりが大きい部位へのマッサージおよび予備的なマッサージを行う際に、使用者の連続して隣接する2以上の部位が順にマッサージされるため、隣接する部位のマッサージ効果をその前にマッサージを行った部位によるマッサージにより高めることができる。
前記制御部は、前記第1施療子によるマッサージを行う場合に、弱い刺激を伴うマッサージを行った後、より強い刺激を伴うマッサージを行うように制御してもよい。これによれば、こりが大きい部位へのマッサージを行う際に、初めは弱い刺激を伴うマッサージを行うことにより、こりが大きい部位への急激なマッサージをより防止することができる。また、当該部位の緊張をよりほぐしてから本格的なマッサージを行うことができる。
前記第1施療子および前記第2施療子のうちの少なくとも何れか一方によるマッサージを行う際に、当該マッサージを行う部位を報知する報知部を備えてもよい。これによれば、こりが大きい部位をマッサージする場合およびその予備的マッサージを行う場合の少なくとも何れか一方において、当該マッサージの部位を報知することができる。このため、使用者に予めマッサージする部位を知らせることができるため、突然こりが大きい部位をマッサージすることによって使用者が緊張するのを防止することができる。
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機について、図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の全体構成を示す斜視図である。また、図2は図1に示す椅子型マッサージ機の正面図、図3は図1に示す椅子型マッサージ機の平面図をそれぞれ示している。図1に示すように、椅子型マッサージ機1は、使用者が着座する座部2と、座部2の後部側に設けられた背凭れ部3とを備えている。さらに、椅子型マッサージ機1は、使用者が座部2に着座した状態で当該使用者の腕を載置する腕載せ部であるアームレスト4と、使用者の脚部を支持するフットレスト5とを備えている。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、座部2に着座した使用者から見たときの方向の概念と一致するものとし、その他の場合は適宜説明するものとする。
[全体構成]
図1〜図3に示すように、座部2は平面視で矩形状を成しており、矩形状の座面体10の上部に平坦な座クッション11が配設され、これらが基台(図示せず)の上部に設けられた座フレーム13(図7A,7B参照)によって支持された構成となっている。この座クッション11は、ウレタンフォーム、スポンジ、または発泡スチロール等の内装材が、ポリエステル製の起毛トリコット、合成皮革、または天然皮革等から成る外装カバーによって覆われることにより構成されている。
座部2の前側には、使用者の脚部のうち膝から足先に至る部分を施療するためのフットレスト5が配設されている。このフットレスト5は側面視で略L字形状を成し、膝から足首に至る部分(以下、「下腿部」)であって主に脹脛(ふくらはぎ)に対応する上側フットレスト14と、足首から足先に至る部分(以下、「足部」)に対応する下側フットレスト15とを、右脚と左脚とにそれぞれ対応して備えている。
上側フットレスト14は前方に開いた溝状を成し、脹脛の背面に対向する内底面と脹脛の左右の側面に対向する内側面とによって、脹脛を後方および左右の側方から支持可能になっている。また、下側フットレスト15は上方に開いた溝状を成し、足裏に対向する内底面と足部の左右の側面に対向する内側面とによって、足部を下方および左右の側方から支持可能になっている。
座部2の後部側には、使用者の上半身の背面を後方から支持する背凭れ部3が設けられている。この背凭れ部3は、使用者の上半身を支持すべく、一般的な体格の成人が椅子型マッサージ機1に着座した際に該成人の身体の一部がその外部にはみ出ない程度の大きさとされており、正面視で縦長の略長方形を成している。背凭れ部3は、使用者の上半身の背面に当接する背パッド3aと、背パッド3aを支持する背フレーム29とを有している。そして、この背凭れ部3の上部には、該背凭れ部3によって上半身を支持された使用者の頭部を支持するヘッドレスト6が配設されている。
このヘッドレスト6は、使用者の頭部を後方から支持する枕部16と、該枕部16の上部から延びて帯状を成す位置調整用のベルト17と、該ベルト17の先端に取り付けられて枕部16と略同一の重さを有するウェイト18(図7A,7B参照)とを備えている。一方、背凭れ部3の上端には、左右方向へ長寸のベルト通し帯19が設けられ、その両端が背凭れ部3に固定されている。そして、ヘッドレスト6は、枕部16が背凭れ部3の上部前側に位置するようにして、ベルト17がベルト通し帯19と背凭れ部3の上端との間に通される。これにより、背凭れ部3の上端を境にして前後に枕部16とウェイト18とが垂れ下がって両者は釣り合った状態となるため、枕部16を上下に位置調整できるようになっている。
また、座部2および背凭れ部3の左右の側方には、座部2に着座した使用者の腕部を支持するアームレスト4が、背凭れ部3の側方位置から座部2に沿って前方へ延設されるようにして配設されている。このアームレスト4は、上部の肘置き部20とその下部のサイドカバー21とから構成されている。肘置き部20は略円筒状を成し、起立した状態の背凭れ部3における上下方向の中央部分より若干上方位置であって、背凭れ部3に上半身を支持された使用者の肩の側方に対応する位置から、下方かつ前方へと向かって座部2の前端近傍に至るまで延設されている。また、肘置き部20の後端から前後方向の中央位置近傍に至る内側部分には、使用者の腕部を肘置き部20内へ挿脱可能な開口20aが形成されている。したがって、この開口20aを通じて肘置き部20の内部へ挿入された使用者の腕部を、手先については略全周囲から、手首近傍から肘を経由して上腕および肩に至る部分については下方、外側方、および上方から、それぞれ支持可能になっている。
このような構成の椅子型マッサージ機1により、座部2に着座した使用者は、その全身が背面および左右の側面から包み込まれるようにして支持される。そして、この椅子型マッサージ機1には、使用者を施療するための様々な動作手段が設けられている。具体的には、椅子型マッサージ機1の適宜箇所には複数の施療子が設けられ、座部2に着座した使用者にマッサージを行う。施療子は、例えば、座部2、背凭れ部3、アームレスト4、フットレスト5等に設けられる。例えば、施療子には、膨縮することによって使用者を押圧可能なエアセル7、振動することによって使用者に刺激を与えるバイブ8、および、回転することによって使用者に刺激を与えるローラ機構69等が含まれる。また、背凭れ部3には施療子として機械式の施療機構9が設けられ、使用者の上半身の背部を押圧可能になっている。さらに、座部2は左右へ揺動可能であり、背凭れ部3は起伏動可能であり、フットレスト5は昇降動および伸縮動が可能になっている。以下、椅子型マッサージ機1におけるこれらの動作手段について説明する。
[エアセル]
図1〜図3に示すように、座部2には前後左右に並べられた4つのエアセル7aが設けられており、これらのエアセル7aは、合成樹脂製で1つの内部空間を有する扁平な2枚のセルが上下に重畳された構成となっている。そして、後側に設けられた左右のエアセル7aは、給排気装置51(図1参照)からのエアの給排により膨縮し、座部2に着座した使用者の臀部の左右部分を下方から押し上げるように押圧する。前側に設けられた左右のエアセル7aは、同様に給排気装置51からのエアの給排により膨縮し、座部2に着座した使用者の大腿部の左右部分を下方から押し上げるように押圧する。また、本実施の形態に係る座面体10は中央部分が左右端より下方に位置するよう凹状に窪んでおり、各エアセル7aは座面体10の上面において左右端から中央部分へ至る傾斜面に配設されている。したがって、エアセル7aが膨張すると、使用者の臀部は、左右から若干挟み込まれるようにして上方へ押圧されるようになっている。
座部2の両側部の上方には、前後に並設されたエアセル7bが設けられている。後側のエアセル7bは、3枚の合成樹脂製のセルが重畳されており、前側のエアセル7bは、3枚の合成樹脂製のセルが重畳されてさらにその表面側に1枚の布製のセルが重畳されて構成されており、給気により何れも左右方向の中心側へ向かって膨張する。このようなエアセル7bは、膨縮することによって、座部2に着座した使用者の臀部(または腰部)の側部から大腿部の前側部に至る一連の部位を外側方から内側へ向かって押圧可能であり、左右のエアセル7bを同時に膨張することによって臀部(または腰部)を左右から挟持するようにして保持可能になっている。
背凭れ部3の下部には、所定の間隔を空けて左右に並べられた2つのエアセル7cが設けられている。このエアセル7cは、3枚の布製のセルが重畳された構成となっており、膨縮することにより、背凭れ部3に上半身を支持された使用者の腰部の左右部分を後方から押圧する。
図3に示すように、アームレスト4が有する筒状の肘置き部20の内壁面には複数のエアセル7d〜7hが、手、前腕、上腕および肩に対応するようにして設けられている。このうち手に対応して設けられたエアセル7dは3枚の布製のセルが重畳した構成となっており、肘置き部20の前部にて手の甲と手のひらとに対向するように内壁面の上面と下面とにそれぞれ設けられ、使用者の手を上下方向から挟持するように押圧可能となっている。
また、前腕に対応して外側と内側とにエアセル7e,7fが設けられている。このうち外側に設けられたエアセル7eは、合成樹脂製の2枚のセルが重畳されており、前腕の長手方向に沿うように前後に2つ配設されている。そして、前側のエアセル7eによって前腕の前部の外側部および上部を押圧可能であり、後側のエアセル7eによって前腕の後部の外側部および上部を押圧可能になっている。もう1つの内側に設けられたエアセル7fは、合成樹脂製の1枚のセルから構成され、上記エアセル7eと同様に前腕の長手方向に沿うように前後に2つ配設されている。そして、前側のエアセル7fによって前腕の前部の下部および内側部を押圧可能であり、後側のエアセル7fによって前腕の後部の下部および内側部を押圧可能になっている。また、エアセル7e,7fを同時に膨張することにより、前腕全体を包み込むようにして前腕中心方向へ向かって押圧することができる。
さらに、上腕および肩に対応してエアセル7g,7hが設けられている。このうち外側に設けられたエアセル7gは合成樹脂製の2枚のセルが重畳されており、肩から肘近傍に至る長尺寸法を有している。もう1つの内側に設けられたエアセル7hは、合成樹脂製の1枚のセルから構成され、上記エアセル7gの前側部分に対向するようにして配置されている。そして、外側のエアセル7gによって上腕および肩の外側部を押圧可能であり、内側のエアセル7hによって上腕の内側部を押圧可能である。また、エアセル7g,7hを同時に膨張することにより、上腕を内外から挟持するように押圧(および保持)しつつ肩を外方から押圧可能になっている。このようにエアセル7g,7hは、背凭れ部3の上半分の領域においてマッサージを行う施療子(後述する第1施療子)として機能する。
図1〜図3に示すように、フットレスト5にも複数のエアセル7i〜7mが設けられている。具体的には、上側フットレスト14において脹脛の背面に対向する位置には合成樹脂製の1枚のセルから成るエアセル7iが上下に2つ設けられ、脹脛の外側面に対向する位置には合成樹脂製の2枚のセルから成るエアセル7jが上下に2つ設けられ、脹脛の内側面に対向する位置には合成樹脂製の1枚のセルから成る上下方向に長寸のエアセル7kが1つ設けられている。これらのエアセル7i〜7kにより、使用者の脹脛の後方および両側方から押圧可能になっている。
また、下側フットレスト15において踵の左右に対向する位置にエアセル7l、足先の左右の側部に対向する位置にエアセル7mがそれぞれ設けられ、各エアセル7l,7mは何れも合成樹脂製の1枚のセルから構成されている。このうちエアセル7lは、膨張することによって踵(特にアキレス腱付近)を左右から挟持するように押圧(および保持)可能であり、エアセル7mは足の甲を上方から押し下げるようにして押圧(および保持)可能になっている。
ヘッドレスト6にも複数のエアセル7n〜7qが設けられている。図4は、ヘッドレスト6の構成を示す斜視図である。この図4に示すように、ヘッドレスト6が備える枕部16の前面は、左右方向の中央部分が枕部6aの下端から上端へ至るまで後方へ窪ませてあり、上下方向へ延びる溝状の凹部22が形成されている。この凹部22によって、使用者の首から後頭部に至る部分が後方および両側方から支持される。そして、この凹部22の下部には、凹部22の左右の側面に沿うようにして2つのエアセル7nが設けられている。このエアセル7nは布製の3枚のセルが重畳されており、膨張することによって首から後頭部に至る部分を左右から挟持するようにして押圧可能になっている。
また、これら左右のエアセル7nの後部は連結板23によって連結されてユニット化されており、この連結板23の上端部は、枕部16の凹部22の後面にて左右方向に軸芯を向けられた枢軸24aによって支持されている。したがって、左右のエアセル7nは連結板23とともに枢軸24aを基点として下部が前後に揺動可能になっている。また、枢軸24aにはコイルバネ24bが外嵌しており、このコイルバネ24bによって連結板23は後方へ付勢されており、連結板23の背後には布製の3枚のセルが重畳して成るエアセル7oが設けられている。したがって、エアセル7oが膨張すると、連結板23とともに左右のエアセル7nが前方へ揺動し、収縮するとコイルバネ24bの付勢力によって後方へ揺動する。そしてエアセル7nが膨張した状態でエアセル7oが膨張すると、使用者の首および後頭部をエアセル7nが挟持しつつ下部から上部へと擦るように押圧施療することができる。このようにエアセル7n,7oは、背凭れ部3の上半分の領域においてマッサージを行う施療子(後述する第1施療子)として機能する。
枕部16の下面の左右にはエアセル7pが設けられている。このエアセル7pは布製の4枚のセルが重畳して構成されており、給気により下方へ向かって膨張し、背凭れ部3に上半身が支持された使用者の肩を上方から押圧可能になっている。また、エアセル7pの最下面には複数の指圧突起25が突設されており、これらの指圧突起25は、エアセル7pの最下面に貼付されたシート状のクッション26に設けられた貫通孔を介して該クッション26の下面より下方へ突出している。したがって、エアセル7pが膨張すると、指圧突起25によって使用者の肩を上方から指圧可能になっている。このようにエアセル7pは、背凭れ部3の上半分の領域においてマッサージを行う施療子(後述する第1施療子)として機能する。
また、枕部16の背面左右からは縦長の長方形状を成す垂下帯16aが吊り下げられている。この垂下帯16aの下部には、合成樹脂製の1枚のセルから成るエアセル7qが取り付けられており、該エアセル7qの膨張により、使用者の肩の後部(肩胛骨付近)を後方から押圧可能になっている。このようにエアセル7qは、背凭れ部3の上半分の領域においてマッサージを行う施療子(後述する第1施療子)として機能する。
図5は、椅子型マッサージ機1の構成を示すブロック図である。この図5に示すように、上述した各エアセル7a〜7qは、可撓性中空のエアチューブを介してポンプおよびバルブ等から成る給排気装置51に接続されている。この給排気装置51は座部2の下方に収容されており、同じく座部2の下方に収容された制御部50からの指示に従って駆動し、各エアセル7a〜7qへの給排気を互いに独立して行うことができるようになっている。そして、制御部50からの指示により給排気装置51が駆動し、エアセル7a〜7qが膨縮することにより、使用者の全身のいたるところを押圧施療可能であり、腕部、臀部(または腰部)、下腿部、および足にいたってはこれを保持することも可能になっている。
[施療機構]
図2に示すように、背凭れ部3内には長方形枠状の背フレーム29が収容されており、この背フレーム29に支持されるようにして機械式の施療機構9が設けられている。この施療機構9は上下左右に配された4つの揉み玉27を有しており(図1も参照)、左側の2つの揉み玉27および右側の2つの揉み玉27は、V字状部材を90度傾けた如く前方へ向かって開くアーム(図示せず)の上下それぞれの先端に取り付けられている。このアームには、プーリおよびベルトや各種の歯車などから成る機械的な減速機構を介してモータ(図示せず)が接続されており、このモータの駆動によって揉み玉27は三次元的に動作し、使用者の上半身の背部に対して揉み、叩き、および指圧などの様々なマッサージ動作を施すことが可能になっている。このように施療機構9は、背凭れ部3の上半分の領域においてマッサージを実行することが可能な(後述する第1施療子として機能し得る)施療子である。
また、このように揉み玉27、アーム、減速機構、およびモータなどからなる施療機構9は、背凭れ部3内にて上下方向に軸芯が沿うようにして設けられたボールネジ30と螺合しており、該ボールネジ30が図示しないモータの駆動により回転すると、背凭れ部3内を上下方向へ昇降動可能になっている。したがって、施療機構9を昇降動させることにより、使用者の上半身の背部に対し、腰部から肩に至るまでローリングマッサージを施すことができる。
また、施療機構9の後方には給排気により膨縮する押圧用エアセル28が設けられており、この押圧用エアセル28を膨縮させることにより、施療機構9を前後方向へ移動可能になっている。したがって、背凭れ部3に上半身が支持された使用者の腰部や背部を押し出すようにして押圧可能になっている。なお、本実施の形態に係る施療機構9は、背フレーム29に支持される固定フレームと、固定フレームに左右方向へ軸芯が向けられた枢軸を介して揺動可能に支持される可動フレームと、を備えている。可動フレームには、アームを介して揉み玉27が支持される。可動フレームと固定フレームとの間には、押圧用エアセル28が設けられ、押圧用エアセル28の膨縮によって、軸芯を基点として固定フレームに対して可動フレームが前後方向へ揺動するように移動可能になっている。施療機構9および押圧用エアセル28の動作は、制御部50からの指令に基づいて制御される。
[バイブ]
図5に示すように、本実施の形態に係る椅子型マッサージ機1には、バイブ8として、使用者の臀部を対象とする座バイブ8a(図1も参照)と、腰部および背部を対象とする背バイブ8bとが備えられている。図1に示すように、座バイブ8aは、座部2の後部において左右のエアセル7a,7a間に配設されており、モータの出力軸に偏心質量を取り付けたような公知の構成となっている。そして、制御部50からの指示により座バイブ8aが駆動すると、座部2に着座した使用者の臀部に対して振動刺激を付与可能になっている。
一方、背バイブ8bは、上述した施療機構9が有するアームに取り付けられており、座バイブ8aと同様の構成となっている。そして、制御部50からの指示により背バイブ8bが駆動すると、その振動がアームを通じて揉み玉27に伝達され、該揉み玉27が当接する使用者の腰部および背部に対して振動刺激を付与可能になっている。このように施療機構9とともに上下動する背バイブ8bは、背凭れ部3の上半分の領域においてマッサージを実行することが可能な(後述する第1施療子として機能し得る)施療子である。
[ローラ機構]
図1〜図3に示すように、本実施の形態に係る椅子型マッサージ機1には、フットレスト5(下側フットレスト15)の足裏に対応する位置に、足部である足裏をマッサージする機械式のローラ機構69が設けられている。図6は、フットレストに設けられたローラ機構69の斜視図である。ローラ機構69は、モータ70と、モータ70の駆動により回転する駆動軸71と、駆動軸71に設けられた左右の下肢に対応して対をなす施療子(足裏ローラ)72とを含む。ローラ機構69は、フットレスト5の足裏ステップに設けられている。駆動軸71は、左右方向を軸方向としており、ギヤケース73に収容された減速器74を介してモータ70に連結されている。
ローラ機構69は、モータ70を固定する板状のブラケット75を有しており、モータ70の出力軸70aが左右方向を向くようにモータ70が固定されている。また、このブラケット75は、駆動軸71を回転可能に支持する軸受としても機能している。ギヤケース73には、モータ70の動力を減速して駆動軸71に伝達する減速器74が収容されている。
駆動軸71には、所定距離にわたって存在するように施療部72が設けられている。施療部72は、左右方向に複数の突起76aを有した突起群76と、突起群76を支持する支持部77とを有する。そして、突起群76は、支持部77によって駆動軸71から所定距離にわたって存在するように駆動軸71の周方向に複数設けられている。また、突起群76は、支持部77に対して左右方向の軸周りに回転可能に取り付けられている。また、隣り合う突起群76の各突起76aは、左右方向にずれて位置しており、施療部72全体として平面視で突起76aが千鳥配列となっている。このように構成されたローラ機構69は、モータ70の駆動により駆動軸71が回転すると、施療部72が回転して足裏にマッサージを行う。しかも、突起76aが千鳥配列されているため、足裏に隈なく指圧作用を与えることができる。
また、このローラ機構69には、ローラ機構69を下肢に対して近接離反させる駆動部を有する進退機構78が設けられている。進退機構78は、足裏ステップに取り付けられたヒンジ部80と、ヒンジ部80を開閉する駆動部としての駆動用エアセル79と、により構成されている。このヒンジ部80は、下板80aと、下板80aの後側に左右方向の揺動軸80cを介して連結された上板80bと、を有しており、下板80aと上板80bとの間に駆動用エアセル79が設けられている。そして、ヒンジ部80を構成する上板80bにローラ機構69が取り付けられている。より具体的には、ローラ機構69を構成するブラケット75とギヤケース73とが上板80bに固定されている。
駆動用エアセル79は、給排気装置51からエアが給排気されることにより膨張収縮し、収縮時は略平坦である。このように進退機構78をヒンジ部80と駆動用エアセル79により構成しているため、進退機構78を薄型化することができる。また、進退機構78は、左右方向略中央であって、対をなす施療部72の間に設けられている。従って、進退機構78の存在が施療部72の動作を阻害しないようになっている。
駆動用エアセル79にエアが給気されると、ヒンジ部80が開いていき、ヒンジ部80に取り付けられたローラ機構69は、後側を支点として上方へ揺動する。一方、駆動用エアセル79からエアが排気されると、ヒンジ部80が閉じていき、ヒンジ部80に取り付けられたローラ機構69は、その自重や使用者からの荷重により後側を支点として下方へ揺動する。ローラ機構69および駆動用エアセル79の動作は、制御部50からの指令に基づいて制御される。
このように進退機構78が作動することにより、ローラ機構69の突起群76の押し出し量が変化する。したがって、進退機構78の作動量を変更することによりローラ機構69によるマッサージの強さを変更することができる。また、本実施形態では、後側を支点としてローラ機構69を上下揺動させる構成であるため、下肢に対して足首を支点としたストレッチ作用を与えることができる。なお、マッサージの強さを変更できるという観点では、ローラ機構69を足裏ステップに対して略垂直に上昇させてもよいし、前側を支点として上下揺動させてもよい。
[背凭れ部およびフットレストの傾倒機構]
図7Aおよび図7Bは、背凭れ部3の起伏動作の様子を示す側面図であり、図7Aは、背凭れ部3が立ち上がった状態を示し、図7Bは、背凭れ部3が後傾した状態を示している。
図7Aおよび図7Bに示すように、背凭れ部3内の背フレーム29は、その下端部より若干上方の位置で、左右方向の枢軸36を介して座フレーム13の後部に支持されている。また、背フレーム29の下端部には、エアシリンダ等から成る直動式のアクチュエータ37の一端が枢支されており、該アクチュエータ37の他端は座フレーム13に枢支されている。したがって、アクチュエータ37が伸長動作および収縮動作することにより、背凭れ部3は、背フレーム29が枢軸36を回動中心としてその回動中心回りに回動することにより、起立および後倒が可能になっている。これにより、背凭れ部3は、座部2に着座した使用者を座位状態(図7Aに示す状態)と臥位状態(図7Bに示す状態)とに切り替えるように構成される。なお、本明細書および特許請求の範囲の記載において、座位状態は、座部2に着座した使用者が座位となる椅子型マッサージ機1の状態を示し、臥位状態は、座部2に着座した使用者が臥位となる椅子型マッサージ機1の状態を示すものとする。
なお、このアクチュエータ37は駆動部52を介して制御部50に接続されており(図5参照)、制御部50からの指示により駆動部52から電気信号が入力されることによって伸縮動作するようになっている。なお、座位状態における背凭れ部3の角度θ1は、地面に対して垂直な状態と垂直から30度後傾した状態との間の角度(地面とのなす角が60度〜90度)とされ、臥位状態における背凭れ部3の角度θ2は、地面に対して平行(水平)の状態と水平から30度起き上がった状態との間の角度(地面とのなす角が0度〜30度)とされる。なお、上記角度θ1,θ2は、使用者が座部2に着座していない状態(背凭れ部3に何も触れていない状態)における背パッド3aの表面を基準に設定される。背パッド3aの表面は、使用者が座部2に着座していない状態において背フレーム29の長手方向に沿っている。同様に、座位状態におけるフットレスト5の角度も、地面に対して垂直な状態と垂直から30度前方に上昇した状態との間の角度とされ、臥位状態におけるフットレスト5の角度も、地面に対して平行(水平)の状態と水平から30度後方に下降した状態との間の角度とされることが好ましい。
一方、座部2の前方に設けられたフットレスト5は、左右方向へ軸芯が向けられた枢軸38によってその上端部が座フレーム13の前部にて支持されている。そして、エアシリンダ等から成る直動式のアクチュエータ39(図5参照)の伸縮動作により、枢軸38を中心として下部が前後方向(上下方向)へ回動するように昇降動可能となっている。すなわち、アクチュエータ39の収縮によってフットレスト5は下降し、上側フットレスト14に対して下側フットレスト15が下方に位置する状態(図7Aに示す座位状態)となり、アクチュエータ39の伸長によってフットレスト5は上昇し、上側フットレスト14に対して下側フットレスト15は前方に位置する状態(図7Bに示す臥位状態)となる。
なお、このアクチュエータ39もアクチュエータ37と同様に、駆動部53を介して制御部50に接続されており(図5参照)、制御部50からの指示により駆動部53から電気信号が入力されることによって伸縮動作するようになっている。そして、アクチュエータ39が伸長してフットレスト5が最も上昇した場合、上側フットレスト14において脹脛の背面を支持する部分と下側フットレスト15において踵を支持する部分とは略同一の高さ(臥位状態)に位置するようになっている。また、アクチュエータ39が収縮してフットレスト5が最も下降した場合、座部2に着座した使用者の脚部は、膝部分にて約90度に屈曲し、膝から足首に至る下腿部が略垂直方向に沿うようにしてフットレスト5により支持された状態(座位状態)となる。
さらにフットレスト5は伸縮機構40を備えている。この伸縮機構40としては公知の構成を採用すればよいためここでは詳説しないが、この伸縮機構40により、上側フットレスト14と下側フットレスト15とは枢軸38に対して接近および離隔することができる。本実施の形態に係るフットレスト5においては、枢軸38と下側フットレスト15との相対距離が変更された場合、その変位量の半分の変位量で、枢軸38と上側フットレスト14との相対距離が変更されるようになっている。また、このようなフットレスト5の伸縮動は、制御部50からの指示により自動的に実行されるようにしてもよいが、本実施の形態に係るフットレスト5では、使用者の足裏で下側フットレスト15を押圧する力に応じて伸縮するようになっている。
すなわち、所定以上の力で下側フットレスト15を押すことにより、下側フットレスト15が枢軸38から離隔する方向へ移動し、これに連動して上側フットレスト14も枢軸38から離隔する方向へ移動する。逆に、足裏が下側フットレスト15を押す力が所定未満であれば、別途設けられた付勢手段の作用により、下側フットレスト15および上側フットレスト14はともに枢軸38へ接近する方向へ移動する。このように上側フットレスト14および下側フットレスト15は、制御部50によって強制的に伸縮動させられることはないようになっているが、このような伸縮動を規制すべく別途設けられたストッパ(図示せず)の有効/無効は制御部50により決定できるようになっており、制御部50がストッパを無効にしている状態でのみ、上述したようなフットレスト5の伸縮動が実行可能になる。
[リモートコントローラ]
図8は、椅子型マッサージ機1が備えるリモートコントローラ(以下、「リモコン」)60の構成を示す外観図である。図8に示すように、リモコン60は上部に比べて下部が幅狭になっていて、幅狭の下部は使用者が把持するグリップ部61となっている。グリップ部61の上面には開閉可能なカバー61aが設けられている。具体的には、該カバー61aはその下端部がグリップ部61の下端部に枢支され、この枢支位置を中心として、グリップ部61の上面を覆う閉状態とこれを露出させる開状態とに回動可能(開閉可能)になっている。
カバー61aを開くと、グリップ部61の上面に設けられた複数のボタンB01〜B17が露出される。図5に示すように、リモコン60は制御部50に接続されており、使用者がこれらのボタンB01〜B17を操作すると、操作されたボタンに対応する信号がリモコン60から制御部50へ送信され、制御部50は受信した信号に基づいて各動作手段に対して予め設定された下記に説明するような動作を実行させる。
まず、縦に3列に配設されたボタンのうち左の列に配設されたものから説明すると、ボタンB01の操作により、揉み玉27による周期的な揉みマッサージ(揉み)が実行され、ボタンB02の操作により、揉み周期が途中で変更される手揉み風の揉みマッサージ(手揉み)が実行され、ボタンB03の操作により、揉み玉27による周期的な叩きマッサージ(叩き1)が実行される。なお、ボタンB03を2回操作すると、相対的に遅い叩きマッサージと早い叩きマッサージとを所定時間おきに交互に繰り返す叩きマッサージ(叩き2)が実行されるようになっている。また、ボタンB04を操作すると、揉みと叩きとが同時に実行され、ボタンB05を操作すると、フットレスト5に設けられたエアセル7i〜7mのうち何れかまたは全てが膨縮して脚部を押圧マッサージする。
次に、中央の列に配設されたものについては、ボタンB06を操作すると、1回の揉み動作の間に揉み玉の移動速度が変更(高速から低速への変更や低速から高速への変更など)されるマッサージ(W揉み)が実行され、ボタンB07を操作すると、揉み玉27による指圧マッサージが実行される。この指圧マッサージは、叩きマッサージ(叩き1)での揉み玉27の動作よりも遅くなるように揉み玉27を変位させることによって実現される。また、ボタンB08を操作すると、ヘッドレスト6の枕部6aおよび垂下帯16aに設けられたエアセル7n〜7qのうち何れかまたは全てが膨縮して肩付近を押圧マッサージし、ボタンB09を操作すると、アームレスト4の肘置き部20に設けられたエアセル7d〜7hのうち何れかまたは全てが膨縮して腕部を押圧マッサージする。また、ボタンB10を操作すると、座部2および背凭れ部3の下部に設けられたエアセル7a〜7cのうち何れかまたは全てが膨縮して臀部、大腿部、および腰部を押圧マッサージする。さらに、ボタンB11を操作すると、座部2に配設された図示しないヒータが作動して臀部および大腿部を暖める温熱施療を実行する。
右の列に配設されたものについては、ボタンB12を操作すると、揉み玉27の動作速度やエアセル7a〜7sの膨縮速度などを変更することができ、ボタンB13を操作すると、左右の揉み玉27,27間の距離を所定範囲内で調整することができる。また、ボタンB14を操作することにより、揉み玉27の前方へ押し出した状態で背凭れ部3に沿って上下方向へ移動させるローリングマッサージが実行され、ボタンB15を操作することにより、背バイブ8bが駆動して腰部および背部に振動マッサージが施される。さらに、ボタンB16を操作すると、椅子型マッサージ機1またはリモコン60に設けられたスピーカからの音声案内またはBGM等が消音される。さらに、ボタンB17を操作すると、フットレスト5の足裏部に設けられたローラ機構69によるローリングマッサージが実行される。
一方、グリップ部61より上方であるリモコン60の幅広の上部にも複数のボタンA01〜A16が配設され、さらにこれらのボタンA01〜A16より上方位置にはディスプレイ62が設けられている。これらのボタンA01〜A16を操作した場合も、操作されたボタンに対応する信号がリモコン60から制御部50へ送信され、制御部50は受信した信号に基づいて各動作手段に対して予め設定された下記に示すような動作を実行させる。
具体的には、ボタンA01を操作すると、椅子型マッサージ機1が備える全ての動作手段のうち必要なものを利用して、全身の疲労回復を主な目的とする一連のマッサージが所定時間にわたって実行される(全身メディカルコース)。ボタンA02を操作すると、使用者のストレスを解消させる目的のコースであって、椅子型マッサージ機1の背凭れ部3を座位状態および臥位状態の間で切り替えるとともに、各状態において、後述する所定のマッサージを行うコースが実行される(ストレス解消コース)。ボタンA03を操作すると、ストレス解消コースと同様のマッサージを行い、椅子型マッサージ機1の背凭れ部3が臥位状態で終了するようなコースが実行される(休息コース)。また、ボタンA04を操作すると、短時間のうちに使用者の全身を一通りマッサージするプログラムが実行される(クイックコース)。
また、ボタンA05を操作した場合は、起床後に目覚めをさらにスッキリさせて前日の疲れをとることを目的として、いわゆる「求心法」といわれる手法によるマッサージを実行する(おはようコース)。ボタンA06を操作すると、就寝前に一日の筋肉の疲れや緊張を和らげることを目的として、いわゆる「遠心法」といわれる手法によるマッサージを実行する(おやすみコース)。また、ボタンA08を操作すると、座揺れ機構31が駆動して使用者の臀部が左右に揺動運動され、使用者にリラックス感を与える(ゆらぎコース)。
ボタンA07を操作すると、全身のリフレッシュを目的としてストレッチを実行する(ストレッチコース)。ストレッチコースでは、例えば、まず、背凭れ部3が起立しフットレスト5が略水平に上昇した状態でフットレスト5に設けられたエアセル7j,7kを膨張させ、脹脛をフットレスト5に保持させる。次に、脹脛を保持したまま、背凭れ部3を後傾させるとともにフットレスト5を下降させる。これにより、使用者の上半身が後傾するとともに下腿部は大腿部に対して膝を基点に下方へ折り曲げられ、全身が後方へ仰け反るような姿勢となる。その結果、使用者は特に上半身が(使用者から見て)後方へ反らされて背筋が伸ばされ、ストレッチされる。
また、ボタンA09を操作すると、アクチュエータ37(図5参照)が伸縮動して背凭れ部3のリクライニング角度が調整可能であり、ボタンA10を操作すると、アクチュエータ39(図5参照)が伸縮動してフットレスト5の上昇位置(下降位置)が調整可能である。また、ボタンA11を操作すると、押圧用エアセル28への給排気が行われて施療機構9の前後位置が調整可能であり、ボタンA12を操作することにより、各コースの実行前に揉み玉27によって自動で検出される使用者の肩位置について使用者自身により上下方向位置の微調整が可能になる。
また、ボタンA13は椅子型マッサージ機1の主電源操作ボタンであり、これを操作することにより主電源がオン/オフされ、ボタンA14を操作することにより、動作中の椅子型マッサージ機1の全ての動作を緊急停止させることができる。さらに、ボタンA15を操作することにより、全てのバイブ8a,8bの動作を解除させることができ、ボタンA16を操作することにより、全てのエアセル7a〜7qの最大膨張時の圧力調整を行うことができるようになっている。
上述したように、使用者は、ボタンA01〜A16およびボタンB01〜B16を自ら操作することにより、椅子型マッサージ機1が備える各種の動作手段を動作させることができ、各操作に対応する説明や案内などがリモコン60のディスプレイ62に表示されるようになっている。
次に、上述したような椅子型マッサージ機1によって実行可能な使用者に対する幾つかの施療について具体的に説明する。
[ストレス解消コース]
図9は、本実施の形態におけるストレス解消コースにおいて実行されるマッサージの態様を示す模式図である。ストレス解消コースにおいては、背凭れ部3に設けられた施療機構9、アームレスト4に設けられた腕部のエアセル7d〜7h(図9においては「腕エア」と表記する)、座部2に設けられたエアセル7b(図9においては「座エア」と表記する)、フットレスト5に設けられたエアセル7i〜7m(図9においては「脚エア」と表記する)、および、フットレスト5に設けられたローラ機構69が施療子として所定の順序でマッサージに用いられる。
なお、図9は異なる施療部位におけるマッサージの順番を単に示すものであり、各施療部位のマッサージの動作時間は、施療部位ごとに異なり得るように自由に設定可能である。また、同じ施療部位において行われるマッサージ動作には、単一の動作が繰り返されるようなマッサージ動作だけでなく、複数の動作が所定の順番で組み合わせられたマッサージ動作が含まれる。例えば、後述する腕エアにおけるマッサージ動作には、前腕のエアセル7e,7fによるマッサージを行った後、上腕および肩のエアセル7g,7hによるマッサージを行うことを含んでもよい。
図9に示すように、ストレス解消コースにおいて、制御部50は、図7Bに示す臥位状態で施療子によるマッサージを行った後、図7Aに示す座位状態で施療子によるマッサージを行って終了するように制御する。さらに、本実施の形態において、制御部50は、座位状態で施療子によるマッサージを行うことによりストレス解消コースが開始されるように制御する。
順に説明する。まず、リモコン60のボタンA13を押下操作して主電源を入れた後、ボタンA02を押下操作することにより、ストレス解消コースが開始される。椅子型マッサージ機1が座位状態にない場合には、制御部50は、椅子型マッサージ機1が座位状態となるように、背凭れ部3およびフットレスト5の各アクチュエータ37,39を作動制御する。その後、制御部50は、座位状態において施療機構9の揉み玉27を背フレーム29に沿った方向に動かす背筋ローラ動作を行う。その後、制御部50は、座位状態において、ローラ機構69を駆動して使用者の末端部である足裏に対して表面的な刺激(さすり動作)を行う(図9において足裏ローラと表記する)。このように、座位状態においては、使用者の末端部への動作として、使用者の末端部を刺激する施療子によるマッサージが行われる。
その後、制御部50は、背凭れ部3を後傾させるとともにフットレスト5を上昇させるように各アクチュエータ37,39を作動制御して、椅子型マッサージ機1を臥位状態に移行させる。背凭れ部3を後傾させる際、制御部50は、施療機構9を用いた背筋ローラ動作を行う。臥位状態への移行後、制御部50は、さらに各施療子を用いた各種マッサージ(後述)を行う。
臥位状態における各種マッサージの後、制御部50は、背凭れ部3を起立させるとともにフットレスト5を下降させるように各アクチュエータ37,39を作動制御して、椅子型マッサージ機1を再び座位状態に移行させる。背凭れ部3を起立させる際、制御部50は、施療機構9を用いた背筋ローラ動作を行う。座位状態への移行後、制御部50は、座位状態において、ローラ機構69を駆動して足裏ローラ動作を行う。
以上のように、ストレス解消コースにおいては、臥位状態におけるマッサージの前および後に座位状態におけるマッサージが行われる。ストレス解消コースが座位状態のマッサージから始まることにより、神経が活動状態にある使用者を、リラックス状態に導き、座位状態から臥位状態に移行した後のマッサージを効果的に受けるための準備を整えることができる。したがって、使用者の活動状態からリラックス状態への移行をスムーズに行うことができる。また、ストレス解消コースが臥位状態におけるマッサージ後に座位状態におけるマッサージを行って終了することにより、臥位状態におけるマッサージにより深いリラックス状態にあった使用者の神経を活性化させ、ストレス解消コース終了後における使用者を活動状態に近付けることができる。したがって、使用者のリラックス状態から活動状態への移行をスムーズに行うことができる。
また、上述したように、座位状態におけるマッサージには、使用者の末端部である足裏を刺激する施療子(ローラ機構69)によるマッサージが含まれる。座位状態におけるマッサージにおいて、末端部を刺激することにより、使用者の自律神経が効果的に刺激される。臥位状態におけるマッサージ前に座位状態のマッサージを行う態様においては、末端部を刺激することにより、使用者の筋肉を緩め、リラックス状態への移行を促すことができる。臥位状態におけるマッサージ後に座位状態のマッサージを行う態様においては、末端部を刺激することにより、使用者の自律神経の調整機能が高められ、活動状態への移行を促すことができる。
なお、本実施の形態においては、使用者の末端部を刺激する施療子によるマッサージとして、ローラ機構69を駆動することによる足裏へのさすり動作を採用した態様を例示したが、これに限られない。例えば、末端部として、足裏に加えてまたはこれに代えて手への刺激を行ってもよい。また、末端部を刺激する施療子として、ローラ機構69に加えてまたはこれに代えてエアセル(例えば手に対応して設けられたエアセル7d等)を用いた押圧、手先または足裏にバイブを設け、当該バイブによる振動刺激など、使用者の末端部を表面的に刺激する態様であれば種々採用可能である。
本実施の形態においては、末端部を刺激するマッサージを行う際に、末端部を刺激するマッサージを行う目的をアナウンスする。このため、本実施の形態において、椅子型マッサージ機1は、制御部50の指令に基づいて所定の音声を出力可能な音声出力部(スピーカ)54を備えている。音声出力部54は、例えばヘッドレスト6、背凭れ部3、アームレスト4、または座部2等の所定の場所に内装されてもよいし、リモコン60に内装されてもよい。
コース開始時の座位状態(臥位状態より前の座位状態)における末端部への刺激の際には、例えば、「はじめに、座った状態で体の末端部分を軽く刺激することで自律神経を刺激し、ストレス解消マッサージを受ける体の準備を整えます」といったアナウンスが行われる。また、コース終了時の座位状態(臥位状態より後の座位状態)における末端部への刺激の際には、例えば、「最後に、座った状態で体の末端を刺激することで自律神経を刺激し、心身のバランスを整えます」といったアナウンスが行われる。
アナウンスが行われるタイミングは、特に限定されないが、例えばローラ機構69の作動直前または作動時にアナウンスが行われる。これに代えて、例えば、ローラ機構69の作動直前の施療動作(図9の例では背筋ローラ動作)の作動直前または作動時にアナウンスが行われることとしてもよい。
このように、末端部を刺激するマッサージを行う際に、末端部を刺激するマッサージを行う目的をアナウンスすることにより、使用者は末端部を刺激する理由を理解することができ、使用者自身にリラックス状態と活動状態との間の移行を意識させることができる。したがって、リラックス状態と活動状態の移行をよりスムーズに行うことができる。
以下、本実施の形態のストレス解消コースにおける臥位状態でのマッサージの態様について具体的に説明する。臥位状態において、制御部50は、まず、アームレスト4に設けられたエアセル(腕エア)7d〜7hを膨縮させて腕部のマッサージを行う。その後、制御部50は、施療機構9の揉み玉27を使用者の首部に相当する位置で三次元的に動作させて首部を揉むマッサージ(図9において首もみと表記する)を行う。さらに、制御部50は、施療機構9の揉み玉27を使用者の肩部に相当する位置に移動した上で、三次元的に動作させて肩部を揉むマッサージ(図9において肩もみと表記する)を行う。
このように、ストレス解消コースにおいて、制御部50は、背凭れ部3の上半分の領域においてマッサージを行う第1施療子によるマッサージの前に使用者の腕部をマッサージするための第2施療子によるマッサージを行うように制御する。すなわち、本実施の形態において、第1施療子は首もみとして機能する施療機構9であり、第2施療子は腕部のエアセル7d〜7hである。
上記構成によれば、首部、肩部等のこりが大きい部位をマッサージする第1施療子によるマッサージの前に当該部位に近い部位である腕部をマッサージする第2施療子による予備的なマッサージを行うことにより、こりが大きい部位の筋肉の緊張をほぐすことができる。また、こりが大きい部位をマッサージする前に当該部位に近い部位である腕部をマッサージすることにより、使用者に次にこりが大きい部位がマッサージされることを予め知らせることができ、突然こりが大きい部位をマッサージすることによって使用者が緊張するのを防止することができる。
さらに、本実施の形態において、制御部50は、ストレス解消コースにおいて、第1施療子によるマッサージを最初に行う前に第2施療子によるマッサージを行う。より具体的には、制御部50は、第1施療子によるマッサージを行う直前に、第2施療子によるマッサージを行う。これによれば、こりが大きい部位をマッサージする直前に第2施療子による予備的なマッサージが行われるため、当該予備的なマッサージの効果を高めることができるとともに、次にこりが大きい部位のマッサージが行われることをより明確に知らせることができる。なお、本明細書において「直前」とは、第2施療子によるマッサージと第1施療子によるマッサージとの間に他の施療子による(他の部位における)マッサージを行わない(つまり、第2施療子による予備的マッサージの後、他の部位のマッサージを行うことなく、第1施療子によるマッサージを行う)ことを意味する。
さらに、制御部50は、第1施療子によるマッサージを行う場合に、弱い刺激を伴うマッサージを行った後、より強い刺激を伴うマッサージを行うように制御する。図9に示す例においては、首もみ動作を行う施療機構9の揉み玉27の三次元的な動作において、押圧用エアセル28の膨張率を変化させることにより、施療機構9の前後方向への移動量が小さい態様でマッサージを行った後、前後方向への移動量を大きくしてマッサージを行う。これによれば、こりが大きい部位へのマッサージを行う際に、初めは弱い刺激を伴うマッサージを行うことにより、こりが大きい部位への急激なマッサージをより防止することができる。また、当該部位の緊張をよりほぐしてから本格的なマッサージを行うことができる。なお、弱い刺激を伴うマッサージと、より強い刺激を伴うマッサージとで、マッサージの強さを変えるだけでなく、異なる態様のマッサージとしてもよい。例えば、弱い刺激を伴うマッサージにおいては、さすり動作または軽い叩き動作を行い、強い刺激を伴うマッサージにおいては、押圧量の大きいもみ動作または指圧動作を行うこととしてもよい。
本実施の形態において、制御部50は、上記肩もみの後、アームレスト4に設けられたエアセル(腕エア)7d〜7hを膨縮させて腕部のマッサージを行う。その後、制御部50は、施療機構9の揉み玉27を使用者の肩甲骨際の肩引に相当する位置で指圧動作させて肩引部分を指圧するマッサージ(図9において肩引指圧と表記する)を行う。その後、制御部50は、座部2に設けられたエアセル(座エア)7a,7bを膨縮させて臀部(骨盤部)のマッサージ(図9において骨盤もみと表記する)を行う。その後、制御部50は、施療機構9の揉み玉27を使用者の腰部に相当する位置で三次元的に動作させて腰部を揉むマッサージ(図9において腰もみと表記する)を行う。
なお、図9においては、施療部位に応じた1種類の施療子のみが作動する態様を例示しているが、例えば骨盤もみにおいて座エアを膨張させつつ施療機構9の揉み玉27で臀部から腰部あたりのもみ動作を行う(図9における骨盤もみおよび腰もみを同時に行う)ように、施療部位に応じて複数種類の施療子を用いてマッサージを行うこととしてもよい。
腰もみ動作の後、制御部50は、フットレスト5に設けられたエアセル(脚エア)7i〜7mを膨縮させて脚部のマッサージを行う。その後、制御部50は、フットレスト5に設けられたローラ機構69を駆動して足裏をマッサージする足裏ローラ動作を行う。
ストレス解消コースにおいては、上述したような臥位状態における腕エアによるマッサージから足裏ローラ動作までが1つのセットとして設定され、このセットが複数回(図9の例では2回)実行される。すなわち同じマッサージ態様のセットが2回繰り返される。なお、本実施の形態において、複数のセットの間には、施療機構9の揉み玉27による背筋ローラ動作が行われる。
このように、本実施の形態において、ストレス解消コースは、第2施療子によるマッサージを行った後、第1施療子によるマッサージを行うセットが、複数回実行される。これによれば、ストレス解消コースに、第1施療子によるマッサージが複数回含まれる場合に、各回におけるマッサージの前にそれぞれ第2施療子によるマッサージが行われるため、こりが大きい部位をマッサージする前の予備的なマッサージの効果を高めることができる。
本実施の形態において、椅子型マッサージ機1は、第1施療子および第2施療子のうちの少なくとも何れか一方によるマッサージを行う際に、当該マッサージを行う部位を報知する報知部を備えている。報知部として、例えば音声出力部54が用いられる。この場合、例えば第1施療子として機能する施療機構9が首もみ動作を行う際(首もみ動作の開始前または動作中)に、音声出力部54は、「首をほぐしていきます」等のアナウンスを行う。これによれば、こりが大きい部位をマッサージする場合およびその予備的マッサージを行う場合の少なくとも何れか一方において、当該マッサージの部位を報知することができる。このため、使用者に予めマッサージする部位を知らせることができるため、突然こりが大きい部位をマッサージすることによって使用者が緊張するのを防止することができる。
なお、本実施の形態においては、第1施療子だけでなく第2施療子によるマッサージを行う際にも当該マッサージを行う部位が報知される。例えば、腕エア動作の開始前または動作中に、音声出力部54は、「左右の腕を順番に刺激していきます」等のアナウンスを行う。また、このようなマッサージを行う部位の報知に加えて、その目的をアナウンスしてもよい。例えば、第2施療子として機能する腕エア動作の際に、音声出力部54は、「ゆっくり持続的に圧迫することで神経を鎮静させ、血流を促すと共に筋肉を緩めます」等のアナウンスを行ってもよい。
さらに、椅子型マッサージ機1を座位状態から臥位状態に移行させる場合および臥位状態から座位状態に移行させる場合に、音声出力部54が当該状態の変化を報知することとしてもよい。例えば、座位状態から臥位状態への移行前または移行中に、音声出力部54は、「リクライニングを倒します」等のアナウンスを行い、臥位状態から座位状態への移行前または移行中に、音声出力部54は、「リクライニングを起こしていきます」等のアナウンスを行う。
また、音声出力部54によるマッサージを行う部位の報知に関し、アナウンス以外の態様、例えば、ブザーや音楽等の音を発生させる等を採用することも可能である。例えば第1施療子によるマッサージを行う場合に、音声出力部54は、「ピ、ピ、ピ」等の予め定められたブザー音を発生させる。また、マッサージを行う部位の報知に関し、音声出力部54以外の報知手段を用いてもよい。例えば、報知部として、椅子型マッサージ機1本体またはリモコン60の所定位置にランプを設け、第1施療子によるマッサージを行う際にこのランプを点灯させたり、第1施療子によるマッサージを行う際にその旨をリモコン60のディスプレイ62に表示させたりしてもよい。
[休息コース]
図10は、本実施の形態における休息コースにおいて実行されるマッサージの態様を示す模式図である。休息コースにおいても、ストレス解消コースと同様に、背凭れ部3に設けられた施療機構9、アームレスト4に設けられた腕エア、座部2に設けられた座エア、フットレスト5に設けられた脚エア、および、フットレスト5に設けられたローラ機構69が施療子として所定の順序でマッサージに用いられる。
休息コースにおいて、制御部50は、座位状態で施療子によるマッサージを行うことにより開始された後、臥位状態で施療子によるマッサージを行って終了するように制御する。本実施の形態では、休息コースは、図9に例示したストレス解消コースにおいて、臥位状態における最後のマッサージ(足裏ローラ動作)が終了した後、座位状態に移行することなく、コース動作を終了するようなコースとして設定される。
上記構成によれば、臥位状態におけるマッサージ前に座位状態におけるマッサージを行うことにより、神経が活動状態にある使用者を、リラックス状態に導き、臥位状態におけるマッサージを効果的に受けるための準備を整えることができる。したがって、使用者の活動状態からリラックス状態への移行をスムーズに行うことができる。また、臥位状態でマッサージが終了することにより、使用者が深いリラックス状態にあるのを維持することができる。
[変形例1]
以下、本発明の上記実施の形態の変形例について説明する。図11は本発明の一実施の形態の変形例1における椅子型マッサージ機を示す平面図である。本変形例が上記実施の形態と異なる点は、椅子型マッサージ機1Bが使用者の末端部を加温するヒータ81a,81bを備え、座位状態において、ヒータ81a,81bによる使用者の末端部への加温が行われることである。具体的には、フットレスト5にはローラ機構69の代わりに足裏に対応して設けられたヒータ81aが設けられる。また、アームレスト4には手に対応して設けられたエアセル7dの代わりにヒータ81bが設けられる。
制御部50は、図9に示すストレス解消コースおよび図10に示す休息コースにおいて、使用者の末端部への動作として、ローラ機構69による足裏ローラ動作の代わりにヒータ81aによる足裏の加温および/またはヒータ81bによる手の加温を行う。
本変形例によれば、座位状態におけるマッサージにおいて、末端部が加温されることにより、使用者の自律神経の調整機能が促進される。臥位状態におけるマッサージ前に座位状態のマッサージを行う態様においては、末端部を加温することにより、使用者の筋肉を緩め、リラックス状態への移行を促すことができる。臥位状態におけるマッサージ後に座位状態のマッサージを行う態様においては、末端部を加温することにより、使用者の自律神経の調整機能が高められ、活動状態への移行を促すことができる。
なお、本変形例では手のエアセル7dおよび足裏のローラ機構69に代えてヒータ81a,81bを設ける構成について説明したが、エアセル7dおよびローラ機構69に加えてヒータを設けてもよい。また、エアセル7dおよびローラ機構69のうち何れか一方をヒータに代える構成としてもよい。すなわち、使用者の末端部への動作は、所定の施療子による手または足へのマッサージ、および所定のヒータによる手または脚への加温の少なくとも何れか1つを行うことが含まれる。
[変形例2]
座位状態におけるマッサージに関する他の変形例として、座位状態におけるマッサージには、臥位状態におけるマッサージよりも施療子の動作が速い刺激が含まれてもよい。具体的には、例えば、施療機構9を背筋ローラ動作させることにより、肩、首または腰部位におけるさすりや叩き動作を行ったり、所定部位のエアセル7の給排速度を臥位状態におけるマッサージ時より速くする動作を行ったりする。このような速い刺激により使用者の身体に対して表面的で軽い刺激を与える。これにより、座位状態において、身体に対して表面的で軽い刺激を与えることにより、活動状態にある身体をリラックスさせたり、リラックス状態にある身体を覚醒させたりすることができる。
なお、本変形例における施療子の動作が速い刺激は、上述したような手のエアセル7dまたはローラ機構69による末端部への刺激および/またはヒータ81a,81bによる末端部への加温に加えて行ってもよいし、これらに代えて行ってもよい。
[変形例3]
また、第1施療子によるマッサージを行う前に、第2施療子によるマッサージを行うことに関する他の変形例として、制御部50は、使用者の連続して隣接する2以上の部位を順にマッサージするように制御してもよい。このとき、2以上の部位は、第1施療子によるマッサージ部位および第2施療子によるマッサージ部位を含む。具体的には、例えば、制御部50は、腕エア動作、肩もみ動作、および首もみ動作を順に行うように制御する。この際、腕エア動作が第2施療子によるマッサージであり、肩もみ動作および首もみ動作の少なくとも何れか一方が第1施療子によるマッサージである。または、例えば、制御部50は、腕エア動作、肩もみ動作、および肩引指圧動作を順に行うように制御する。この際、腕エア動作が第2施療子によるマッサージであり、肩もみ動作および肩引指圧動作の少なくとも何れか一方が第1施療子によるマッサージである。
これによれば、こりが大きい部位へのマッサージおよび予備的なマッサージを行う際に、使用者の連続して隣接する2以上の部位が順にマッサージされるため、隣接する部位のマッサージ効果をその前にマッサージを行った部位によるマッサージにより高めることができる。
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
例えば、上記実施の形態のストレス解消コースにおいて、コース開始時の座位状態とコース終了時の座位状態とは背凭れ部3の角度は同じ角度に設定されているが、互いに異なる角度に設定されてもよい。また座位状態における背凭れ部3の角度は、ストレス解消コースと休息コースとで同じとしてもよいし、異なっていてもよい。
また、ストレス解消コースおよび休息コースに加えてまたはこれらに代えてコース開始後、臥位状態からマッサージ動作が開始され、臥位状態から座位状態に移行して、座位状態でマッサージを行って終了するコースが設けられてもよい。この場合でも、当該コースが臥位状態におけるマッサージ後に座位状態におけるマッサージを行って終了することにより、臥位状態におけるマッサージにより深いリラックス状態にあった使用者の神経を活性化させ、コース終了後における使用者を活動状態に近付けることができる。したがって、使用者のリラックス状態から活動状態への移行をスムーズに行うことができる。
上記実施の形態において、第1施療子として、施療機構9の揉み玉27がもみ動作(首もみ動作)を行う例に基づいて説明した。これに加えてまたはこれに代えて、第1施療子によるマッサージは、もみ、叩き、振動、指圧、および押圧のうちの少なくとも何れか1つの動作を含んでもよい。例えば、所定の時間、所定の位置に停止して行われるマッサージ動作である、揉み玉27および/またはエアセル7によるもみ動作および/または叩き動作を行ったり、背バイブ8bによる振動動作を行ったり、ヘッドレスト6のエアセル7n〜7qの少なくとも何れか1つを用いた押圧動作を行ったりしてもよい。
上記実施の形態において、第2施療子として機能する腕エアは、使用者が座部2に着座した状態で当該使用者の腕を載置するアームレスト4に設けられる。これに加えてまたはこれに代えて、第2施療子は、腕に巻き付けるように構成されてもよい。すなわち、第2施療子は、アームレスト4とは独立して構成されてもよい。
また、上記実施の形態において、制御部50は、第1施療子によるマッサージを行う直前に、第2施療子によるマッサージを行うこととしたが、第2施療子によるマッサージと第1施療子によるマッサージとの間に他の部位のマッサージを行うこととしてもよい。
また、ストレス解消コースおよび休息コースにおける臥位状態でのマッサージに関し、上記実施の形態では、複数あるセットが互いに同じ動作内容に設定されているが、複数回のセットが互いに異なる動作内容に設定されてもよい。