JP6735600B2 - 段ボール用接着剤 - Google Patents

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Description

本発明は、段ボールの製造に用いられる澱粉系接着剤に関する。特に本発明は、段ボールの中芯紙とライナー紙を接着するための耐水性に優れた接着剤に関する。
一般に段ボールは、波状に加工した中芯紙をライナー紙で挟んで接着して製造される。この中芯紙とライナー紙を接着するために種々の接着剤(バインダー)が使用されるが、段ボールの包材としての用途を踏まえると、ある程度の耐水性を有することが要求される。また、高速で段ボールを製造するためには接着剤の初期接着性が高いことも要求される。
段ボール製造用の接着剤として澱粉系高分子が広く使用されており、一般に、ステインホール方式(ツータンク方式)、ワンタンク方式、プレミックス方式、ノーキャリア方式などの製法によって接着剤が調製される。これら製法で調製した澱粉系接着剤は、α化または可溶化したキャリア澱粉、未糊化のメイン澱粉、ホウ素化合物などを含んでおり、中芯紙の接着部に塗布された澱粉系接着剤がライナー紙との間で膨潤・糊化・乾燥を経て接着力(貼合力)が発揮される。
一般に段ボールは、野菜類など水分の多い製品の収納に用いられることがあるため、ライナーと中芯を貼り合わせる接着剤には耐水性が要求される。段ボール用接着剤の耐水性を向上させるため、従来、ケトン・ホルムアミド樹脂などの熱硬化性樹脂を接着剤に配合することが知られている。また近年では、より耐水性を高める技術として、ラテックスとラテックスのカルボキシル基を架橋する架橋剤を接着剤に配合する技術(特許文献1:特開平11-269444)、熱硬化性樹脂ではなくポリアミドエポキシ樹脂を接着剤に配合する技術(特許文献2:特開2010-174095)などが知られている。
また、段ボール製造用接着剤に用いる澱粉系高分子に関しては、澱粉糊の材料として架橋澱粉を使用する技術(特許文献3:特開2002-226810、特許文献4:特開2009-221291)、アミロース含有量が高い澱粉を使用する技術(特許文献5:特開平7-11213、特許文献6:特開平5-239423)などが提案されている。
特開平11-269444号公報 特開2010-174095号公報 特開2002‐226810号公報 特開2009‐221291号公報 特開平7-11213号公報 特開平5-239423号公報
しかし、段ボール製造用接着剤に関する従来の耐水化技術は、特に中芯紙とライナー紙を貼り合わせる速度が高くなった場合に十分な耐水性が得られない、特殊な材料を使用するため汎用性がない、といった課題があり、さらなる耐水化技術の開発が求められていた。
すなわち、本発明の課題は、耐水性に優れた段ボール製造用接着剤(糊)を提供することである。さらに本発明の接着剤は、耐水性だけでなく、初期接着力に優れるため、高い貼合スピードで段ボールを製造できるような澱粉系接着剤を提供することである。
このような課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは、特定の架橋剤と未糊化澱粉を組み合わせて配合することによって、耐水性と初期接着力に優れた段ボール用接着剤用組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、これに限定されるものではないが、下記の態様を包含する。
(1) トリメタリン酸塩、無水アジピン酸、無水リン酸、オキシ塩化リン、アクロレイン、エピクロロヒドリン、グリオキザール、メラミンからなる群より選択される1以上の架橋剤と未糊化澱粉とを含んでなる、中芯紙とライナー紙を接着させるための接着剤用組成物。
(2) 前記架橋剤が、トリメタリン酸塩および/または無水アジピン酸である、(1)に記載の接着剤用組成物。
(3) 前記架橋剤が、前記未糊化澱粉に対して0.1〜5質量%配合されている、(1)または(2)に記載の接着剤用組成物。
(4) 熱硬化性樹脂をさらに含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の接着剤用組成物。
(5) 前記熱硬化性樹脂が、ポリアミド樹脂および/またはエポキシ樹脂とケトン樹脂とを含む、(4)に記載の接着剤用組成物。
(6) ホウ素化合物をさらに含む、(1)〜(5)のいずれかに記載の接着剤用組成物。
(7) pH8以上の条件で製糊してから使用される、(1)〜(6)のいずれかに記載の接着剤用組成物。
(8) 製糊した糊液のブラベンダー粘度をアミログラフ試験機で測定した場合に、粘度上昇開始温度におけるブラベンダー粘度と粘度上昇開始温度から95℃までのブラベンダー粘度の最大値との差(粘度上昇)が200BU以下である、(1)〜(7)のいずれかに記載の接着剤用組成物。
(9) (1)〜(8)のいずれかに記載の接着剤用組成物から接着剤を調製する工程と、調製した接着剤を中芯紙に塗布する工程と、接着剤が塗布された中芯紙とライナー紙を貼合する工程と、を含む、段ボールの製造方法。
(10) (1)〜(8)のいずれかに記載の組成物を糊化した接着剤によって中芯紙とライナー紙を貼合した段ボール。
本発明によれば、耐水性と初期接着力に優れた接着剤用組成物を得ることができる。本発明の接着剤用組成物によれば、耐水性に優れるとともに初期接着性の高い接着剤が得られるため、高い貼合スピードで段ボールを効率よく製造することができる。
また、本発明に係る接着剤用組成物を製糊して得られる接着剤は、製糊から時間が経過しても粘度の変化が比較的小さく、極めてハンドリング性に優れている。一般に、未糊化澱粉を架橋剤とともに製糊すると、製糊後に糊の粘度が一定せず大きく変化するものと考えられたが、本発明に係る特定の架橋剤を未糊化澱粉とともに使用すると、製糊後の粘度安定性に優れ、しかも耐水性に優れた段ボール用接着剤を得ることができる。
本発明によって耐水性に優れた段ボール用接着剤が得られる理由については、その詳細は明らかでなく、本発明は下記の推論に拘束されるものではないが、特定の架橋剤と未糊化の澱粉が製糊時に架橋反応することによって、経時的な粘度変化が少なく、耐水性に優れた接着剤が得られるものと推測される。
図1は、実験1において調製した糊液のブラベンダー粘度を示すグラフである(製糊直後:実験1−3、実験1−7、実験1−8)。
本発明は、段ボール製造用の接着剤に関する。特に本発明は、段ボールの中芯紙とライナー紙とを貼り合わせるための接着剤に関し、本発明によって得られる接着剤は、耐水性が高く、また、十分な接着力を備えたものである。
本明細書において段ボールの製造に用いられる澱粉系接着剤とは、澱粉を含んでなる接着剤であって、接着剤を加熱することで澱粉の持つ吸水・膨潤・糊化の各物性を利用して接着機能を発現させ、中芯紙とライナー紙を接着させるものである。
本発明の接着剤用組成物においては、未糊化の澱粉を使用する。使用する澱粉は、未糊化の澱粉であれば特に制限されず、種々の原料に由来する澱粉を使用することができる。好ましい態様において、例えば、コーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ(ワキシー種のコーンスターチ)、タピオカ澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉などを単独あるいは混合したものを使用することができる。また、上記の澱粉に対して、酸化、酸処理、エステル化、エーテル化などを施した澱粉であっても、未糊化の澱粉であれば、制限なく本発明に使用することができる。
本発明の接着剤用組成物は、上述した未糊化澱粉に加えて、特定の架橋剤を含んでなる。具体的には、本発明の接着剤用組成物は、トリメタリン酸塩、無水アジピン酸、無水リン酸、オキシ塩化リン、アクロレイン、エピクロロヒドリン、グリオキザール、メラミンからなる群より選択される1以上の架橋剤を含み、好ましい態様において、架橋剤としてトリメタリン酸塩および/または無水アジピン酸を含む。本発明の発明者らによる検討によると、これらの架橋剤を未糊化澱粉とともに接着剤用組成物に配合すると、その組成物から調製した糊液は経時安定性に優れ、良好な耐水性を備えた接着剤となることが見出された。
本発明の接着剤用組成物においては、前記架橋剤は、未糊化澱粉に対して0.1〜5質量%配合することが好ましいが、より好ましくは0.3〜3質量%、さらに好ましくは0.5〜1.5質量%配合する。
本発明の段ボール用接着剤用組成物には、ホウ素化合物を配合してもよい。ホウ砂やホウ酸などのホウ素化合物を配合することによって、接着剤の初期接着力をより迅速に発現させることができるため、段ボール生産時の貼合スピードを上げることが容易になる。ホウ素化合物としては、例えば、ホウ砂、ホウ酸、メタホウ酸ナトリウムなどを挙げることができる。本発明においては、ホウ素化合物を使用しなくてもよいが、使用する場合は、ホウ砂換算量として、未糊化の澱粉に対して3.0質量%以下で使用することが好ましく、2.5質量%以下、2.0質量%以下の量で使用してもよい。ホウ素化合物の使用量の下限は特にないが、例えば、ホウ砂換算量として、未糊化の澱粉に対して0.5質量%以上、1.0質量%以上、または、1.5質量%以上としてもよい。
本発明の接着剤用組成物には、アルカリ(水に溶解して塩基性を示す物質)を配合してもよい。アルカリ物質としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物などを好適に使用でき、具体的には、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、水酸化カリウムなどの、段ボール用澱粉系接着剤に従来使われてきたものを制限なく使用できる。本発明の接着剤の苛性率は、適性糊化温度を得るために製糊条件に合わせて決めればよい。一般的には、アルカリの添加量は苛性率として、0.3〜1.2%の範囲が好ましい。
本発明の接着剤用組成物には、耐水性をより向上させる目的などから、熱硬化性樹脂、珪酸ナトリウム、さらにはアルデヒド基を持つ化合物などを適宜配合してもよい。また、エポキシ系樹脂を本発明の組成物に配合することにより、ホルムアルデヒドを含まない接着剤用組成物とすることが容易になる。
熱硬化性樹脂としては、耐水化剤として作用するものであれば特に制限なく、例えばレゾルシノール樹脂(レゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂)、フェノール樹脂(フェノール−ホルムアルデヒド樹脂)、尿素樹脂(尿素−ホルムアルデヒド樹脂)、ケトン樹脂(ケトン−ホルムアルデヒド樹脂)、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂の添加率は、使用澱粉量に対して、通常1〜20質量%、好ましくは3〜10質量%である。
本発明の好ましい態様において、製糊後の接着剤の粘度安定性の観点から、熱硬化性樹脂として、ポリアミド樹脂および/またはエポキシ樹脂とケトン樹脂を使用することができる。ポリアミド樹脂および/またはエポキシ樹脂とケトン樹脂の重量比は特に制限されないが、例えば、30:70〜85:15が好ましく、40:60〜80:20がより好ましく、50:50〜75:25としてもよい。ケトン樹脂は、各種変性を施した変性ケトン樹脂であっても未変性のケトン樹脂であってもよいが、変性ケトン樹脂を用いることが好ましい。好ましい態様において、ポリアミド樹脂と変性ケトン樹脂を併用することができ、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン樹脂と変性ケトン樹脂を併用すると特に好ましい。
アルデヒド基を持つ化合物としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グルタルアルデヒド等が使用できる。アルデヒド基を持つ化合物の添加率は、使用澱粉量に対し、通常0.1〜5質量%、好ましくは0.3〜2質量%である。
珪酸ナトリウムとしては、例えば、SiO/NaOのモル比が0.5〜4の珪酸ナトリウムが好適に使用できる。珪酸ナトリウムの添加率は、使用澱粉量に対して、0.5〜20質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。
エポキシ系樹脂としては、ポリアミドエピクロロヒドリン、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物が使用できる。エポキシ系樹脂の添加率は、使用澱粉量に対して、1〜20質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。
本発明の接着剤用組成物から接着剤を調製する場合、倍水率は、好ましくは1.9〜4.5とすることができる。倍水率が1.9未満であると澱粉が糊化するために十分な水分が欠如して接着不良が発生しやすい一方、倍水率が4.5を超えると接着剤の固形分濃度が低下することで初期接着発現が低下する場合がある。本発明において「倍水率」とは、澱粉系接着剤における(全水量/全澱粉量)の質量比を意味する。また、本発明においては、接着剤調製時に、本発明の接着剤用組成物に含まれる未糊化澱粉の他に、任意の糊化澱粉および/または未糊化澱粉を用いてもよい。
また、本発明の接着剤用組成物から接着剤を調製する場合、いわゆるステインホール方式(ツータンク方式)、ワンタンク方式、プレミックス方式、ノーキャリア方式などの製法を採用することができる。本発明の一つの態様において、例えば、ステインホール方式で糊液を調製する場合、澱粉をアルカリ物質でアルカリ糊化してキャリア澱粉を調製し、そのキャリア澱粉に本発明の接着剤用組成物を添加して糊液を調製することも可能である。
本発明の接着剤用組成物から接着剤を調製する場合、pH8以上のアルカリ条件で製糊すると架橋剤による架橋反応が効率よく進行するため好ましい。pHは9以上、あるいは10以上とすることも可能である。
本発明の段ボール用接着剤用組成物には、上述したように、ホウ素化合物、アルカリ物質、熱硬化性樹脂、珪酸ナトリウム、アルデヒド基を持つ化合物などを適宜配合してもよいが、これらの成分を本発明の接着剤用組成物には配合せず、例えば、糊液の調製時に、これらの成分を添加して製糊することもできる。
後述するように、本発明の接着剤用組成物から調製された糊液は経時的な粘度変化が少ないため、取扱いが容易である。好ましい態様において、本発明の接着剤用組成物から調製された糊液は、製糊から3日以内に使用する。一つの例示的な態様において、糊液は製糊後24時間以内に使用されるが、もちろん、製糊後15時間以内、製糊後10時間以内、製糊後5時間以内、製糊後3時間以内で使用しても構わない。
本発明の接着剤用組成物から調製された糊液は、好ましい態様において、(a)粘度上昇開始温度(F点)における粘度(A点)、および、(b)粘度上昇開始温度〜95℃における最高粘度、から粘度上昇(b−a:ΔBU)を算出した場合、粘度上昇の数値が小さいため、粘度変化が少なく糊として取り扱いやすい。具体的には、粘度上昇開始温度における粘度と最高粘度との差(粘度上昇)が、200BU以下であることが好ましく、150BU以下がより好ましく、100BU以下がさらに好ましく、50BU以下としてもよい。粘度上昇の数値は、製糊直後の糊を澱粉の固形分濃度が6質量%となるよう水で希釈したものを試料とし、アミログラフ試験機(ブラベンダー社)を用いて試料450mlを、1.5℃/分で95℃まで昇温し、95℃到達後30分間同温度に保持した後、1.5℃/分で25℃まで降温し、この間の試料の粘度を測定して算出する。
ある観点からは、本発明は、段ボールの製造技術に関する。すなわち、本発明は、上述の接着剤用組成物から接着剤を調製する工程と、得られた接着剤を中芯紙に塗布する工程と、接着剤が塗布された中芯紙とライナー紙を貼合する工程と、を含む、段ボールの製造方法であると理解することができる。
本発明の段ボールは、本発明の接着剤用組成物を用いて製造されるものであり、波形に成形された中芯紙と、中芯紙の片面又は両面に貼合されるライナー紙とから少なくとも構成され、中芯紙とライナー紙の貼合に、本発明に係る接着剤用組成物が用いられる。
段ボールの製造においては、通常使用されるコルゲーターを用いることが可能である。すなわち、本発明の段ボールは、例えば、糊ロール及び糊ロールに澱粉系接着剤を付着させる手段を少なくとも有するコルゲーターを用い、波形に成形された中芯紙の頂縁と糊ロールとを当接させて頂縁に糊液を塗布する工程と、中芯の、澱粉系接着剤が塗布された両面にライナーを貼り合わせる工程と、を含むことができる。
また別の観点からは、本発明は、上述の接着剤用組成物から調製された接着剤によって中芯紙とライナー紙が貼合されている段ボールに関する。本発明の段ボールは、中芯紙とライナー紙の貼合に本発明に係る接着剤用組成物から得られた糊液を用いるものであれば特に制限はなく、片面段ボール、両面段ボール、複両面段ボール、複複両面段ボールのいずれであってもよい。
以下、本発明の具体的な実験例を挙げながら本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲は下記の実験例に限定されるものではない。また、本明細書において特に記載しない限り、「部」及び「%」などの濃度は質量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
実験1(キャリア方式)
種々の接着剤用組成物から、いわゆるステインホール方式(キャリア方式)によって糊を調製し、段ボールを製造した。得られた糊(接着剤)について、下記のようにして粘度、耐水強度などを評価した。
(糊液の調製)
40℃の水1450mlにコーンスターチ(未糊化澱粉、昭和コーンスターチ、敷島スターチ社製)120gを分散してスラリーとした後、50mlの水に溶解した水酸化ナトリウム25gを撹拌しながら加え、さらに40℃で20分間撹拌して糊化し、キャリア部を調製した。
次に、このキャリア部に、下表(メイン部)に示す接着剤用組成物を添加して、糊液を調製した。具体的には、40℃の水1500mlに対して、接着剤用組成物を撹拌しながら加えた後、さらに20分間撹拌して糊液を得た。なお、メイン部に用いたコーンスターチはキャリア部に用いたコーンスターチと同じである。
(アミログラフ糊化粘度の測定)
アミログラフ試験機(ブラベンダー社)を用いて、試料(サンプル)のブラベンダー粘度(単位:BU)を測定した。具体的には、澱粉の固形分濃度として6質量%となるよう、製糊直後の糊を水で希釈して試料とした。試料450mlを、アミログラフ試験機の測定容器に入れて装置に設置し、1.5℃/分で95℃まで昇温し、95℃到達後30分間同温度に保持した後、1.5℃/分で25℃まで降温し、この間の粘度を測定した(図1)。
また、(a)粘度上昇開始温度(F点)における粘度(A点)、および、(b)粘度上昇開始温度〜95℃における最高粘度、から粘度上昇値(b−a:ΔBU)を算出した(粘度特性)。この数値が小さいほど、粘度変化が少ないため糊として取り扱いやすい。
(製糊後の糊液粘度の測定)
全国段ボール工業組合連合会のフォードカップ法に基づいて、製糊直後、製糊1時間後、製糊3時間後、製糊24時間後の糊液のフォードカップ粘度(FCV)を測定した。下表に40℃における流出時間(秒)を示す。
(段ボールの製造と接着強度の測定)
上記のように調製した糊液(接着剤)をガラス板に0.1mmの厚みで塗布した後、50mm(段と平行方向)×85mm(段と直角方向)の大きさのAフルート片段ボール(Kライナー、280g/m)の試験片(5cm×10cm、10段)と強化中芯(180g/m)の片段ボール片を押し付け、中芯の段頂に接着剤を転移させた。これに、同じ寸法のKライナー(280g/m)を180℃に加熱した鉄板に乗せ、2〜7秒間、2.2kgの荷重をかけて圧着して、段ボールを製造した。糊液は、製糊後1時間以内に使用した。
次いで、圧着したサンプルを25℃の水へ10分間浸した後、リングクラッシャー試験機(日本TMC社製)を用いて耐水接着強度を測定した。耐水強度は、試験片のすべての段がライナーから剥がれるのにかかった重量(kg)として測定した。
結果を上記の表に示す。表から明らかなように、本発明に基づいて調製された接着剤(実験番号1−1〜1−6)は、比較例(実験番号1−7、1−8)と比較して2倍程度も耐水強度が大きくなっていた。また、製糊直後から24時間後までの粘度変化を追跡したところ、粘度は経時的に大きく変化することはなく、実用上、取り扱いやすいものであった。
また、図からも明らかなように、実験1−7や実験1−8の糊液と比較して、本発明に係る糊液(実験1−1〜実験1−6)は大きな粘度上昇がなく、段ボール製造用の糊液として使用しやすいものであった。
実験2(キャリア方式)
キャリア部に用いる澱粉の種類を変更した以外は実験1と同様にして、いわゆるステインホール方式(キャリア方式)によって糊を調製し、段ボールを製造した。
本実験においては、澱粉として下記を使用した。
・コーンスターチ(敷島スターチ社製 昭和コーンスターチ:未糊化、実施例1と同じ)
・ハイアミロースコーンスターチ(敷島スターチ社製:未糊化)
・タピオカ澱粉(敷島スターチ社製 SF−500:未糊化)
・架橋タピオカ澱粉(敷島スターチ社製 SF−1900:未糊化)
・小麦澱粉(敷島スターチ社製 白木蓮:未糊化)
結果を下記の表に示す。表2から明らかなように、本発明に基づいて調製された接着剤(実験番号2−1〜2−4)は、比較例(実験番号2−5〜2−9)と比較して2倍程度も耐水強度が大きくなっており、これは、キャリア部の澱粉の種類を変更しても同様の結果だった。また、製糊直後から24時間後までの粘度変化を追跡したところ、粘度は経時的に大きく変化することはなく、実用上、取り扱いやすいものであった。
一方、メイン部に未糊化澱粉と架橋剤を使用した実験2−1と比較すると、メイン部の澱粉として予め架橋した架橋タピオカ澱粉を使用した実験2−9では、耐水性(耐水強度)が低くなっていた。
実験3(ノーキャリア方式)
種々の接着剤用組成物から、いわゆるノーキャリア方式によって糊を調製し、段ボールを製造した。本実験で使用した材料は実験1と同様であり、得られた糊(接着剤)については、実験1と同様にして粘度、耐水強度などを評価した。
(糊液の調製)
下表に示す接着剤用組成物を添加して、糊液を調製した。具体的には、40℃の水2500mlに、コーンスターチと架橋剤(トリメタリン酸ナトリウムまたは無水アジピン酸)を分散してスラリーとした後、500mlの水に溶解した水酸化ナトリウム30gを撹拌しながら加えて粘度(FCV)が40秒になったら、ホウ酸14.5g、熱硬化性樹脂(ケトンホルムアルデヒド樹脂:アイカ工業社製 アイカアイボンVL−3340)50gを撹拌しながら添加し、さらに20分間撹拌して糊液を得た。
結果を下記の表に示す。表から明らかなように、本発明に基づいて調製された接着剤(実験番号3−1〜3−6)は、比較例(実験番号3−7、3−8)と比較して2倍程度も耐水強度が大きくなっていた。また、製糊直後から24時間後までの粘度変化を追跡したところ、粘度は経時的に大きく変化することはなく、実用上、取り扱いやすいものであった。
実験4(ノーキャリア方式)
澱粉の種類を変更した以外は実験3と同様にして、いわゆるノーキャリア方式によって糊を調製し、段ボールを製造した。本実験で使用した各種澱粉は、実験2で使用したものと同様である。
結果を下記の表に示す。表4から明らかなように、本発明に基づいて調製された接着剤(実験番号4−1〜4−4)は、比較例(実験番号4−5〜4−9)と比較して2倍程度も耐水強度が大きくなっており、これは、澱粉の種類を変更しても同様の結果だった。また、製糊直後から24時間後までの粘度変化を追跡したところ、粘度は経時的に大きく変化することはなく、操業上、取り扱いやすいものであった。
一方、未糊化澱粉と架橋剤を使用した実験4−1と比較すると、予め架橋した架橋タピオカ澱粉を使用して調整された実験4−9では、耐水性(耐水強度)が低くなっていた。
実験5(キャリア方式)
メイン部の組成を変更した以外は実験1と同様にして、いわゆるステインホール方式(キャリア方式)によって糊を調製し、段ボールを製造した。変性ケトン樹脂としてはケトンホルムアルデヒド樹脂(アイカ工業社製 アイカアイボンVL−3340)、ポリアミド樹脂としてはポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(理研グリーン社製 カイメン557−H)を使用した。
ただし、本実験においては、より長期間における糊液の安定性を評価するため、製糊後の糊液粘度を製糊直後から製糊48時間後まで追跡した。また、接着強度に関しては、製糊後48時間経過後の糊液を使用した以外は、実験1と同様に測定した。
結果を下記の表に示す。表から明らかなように、本発明に基づいて調製された接着剤は、製糊後24時間を経過した後も粘度が大きく変化することがなく、好適なものであった。特に、実験番号5−5〜5−9に関しては、製糊後48時間を経過しても製糊直後の粘度からの変化が±10秒以内であり、粘度安定性が極めて良好で、実用上、取り扱いやすいものであった。
実験6(ノーキャリア方式)
接着剤成分の組成を変更した以外は実験3と同様にして、いわゆるノーキャリア方式によって糊を調製し、段ボールを製造した。変性ケトン樹脂としてはケトンホルムアルデヒド樹脂(アイカ工業社製 アイカアイボンVL−3340)、ポリアミド樹脂としてはポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(理研グリーン社製 カイメン557−H)を使用した。
ただし、本実験においては、より長期間における糊液の安定性を評価するため、製糊後の糊液粘度を製糊直後から製糊48時間後まで追跡した。また、接着強度に関しては、製糊後48時間経過後の糊液を使用した以外は、実験1と同様に測定した。
結果を下記の表に示す。表から明らかなように、本発明に基づいて調製された接着剤は、製糊後24時間を経過した後も粘度が大きく変化することがなく、好適なものであった。特に、実験番号6−5〜6−9に関しては、製糊後48時間を経過しても製糊直後の粘度からの変化が±10秒以内であり、粘度安定性が極めて良好で、実用上、取り扱いやすいものであった。
上記の実験結果から、本発明の接着剤用組成物が、ステインホール方式(キャリア方式)およびノーキャリア方式のいずれにおいても優れた耐水性を発揮することが確認できた。また、本発明の効果は、本発明の接着剤用組成物に含まれる澱粉の種類に関わらず発揮されることが確認できた。さらに、本発明の接着剤用組成物は、製糊後の経時的な安定性も優れたものであった。

Claims (9)

  1. 中芯紙とライナー紙を接着させるための接着剤をキャリア方式で調製するための組成物であって、
    該組成物は、架橋剤、未糊化澱粉、熱硬化性樹脂、ホウ素化合物を含んでなり、架橋剤が、トリメタリン酸塩、無水アジピン酸、無水リン酸、オキシ塩化リン、アクロレイン、エピクロロヒドリン、グリオキザール、メラミンからなる群より選択される1以上である、上記組成物。
  2. 中芯紙とライナー紙を接着させるための接着剤をノーキャリア方式で調製するための組成物であって、
    該組成物は、架橋剤、未糊化澱粉を含んでなり、架橋剤が、トリメタリン酸塩、無水アジピン酸、無水リン酸、オキシ塩化リン、アクロレイン、エピクロロヒドリン、グリオキザール、メラミンからなる群より選択される1以上であり、
    架橋剤と未糊化澱粉を含むスラリーに熱硬化性樹脂とホウ素化合物が添加されて製糊される、上記組成物。
  3. 前記架橋剤が、トリメタリン酸塩および/または無水アジピン酸である、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記架橋剤が、前記未糊化澱粉に対して0.1〜5質量%配合されている、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  5. 前記熱硬化性樹脂が、ポリアミド樹脂および/またはエポキシ樹脂とケトン樹脂とを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の組成物を製糊することを含む、中芯紙とライナー紙を接着させるための接着剤を調製する方法。
  7. pH8以上の条件で製糊する、請求項6に記載の方法。
  8. 接着剤のブラベンダー粘度をアミログラフ試験機で測定した場合に、粘度上昇開始温度におけるブラベンダー粘度と粘度上昇開始温度から95℃までのブラベンダー粘度の最大値との差(粘度上昇)が200BU以下である、請求項6または7に記載の方法
  9. 請求項1〜5のいずれかに記載の組成物から調製した接着剤を中芯紙に塗布する工程と、
    接着剤が塗布された中芯紙とライナー紙を貼合する工程と、
    を含む、段ボールの製造方法。
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