JP6735261B2 - 外周コート材、及び外周コートハニカム構造体 - Google Patents

外周コート材、及び外周コートハニカム構造体 Download PDF

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Description

本発明は、外周コート材、及び外周コートハニカム構造体に関する。更に詳しくは、ハニカム構造体の外周面に塗布され、外周コート層を形成するための外周コート材、及び当該外周コート層を備える外周コートハニカム構造体に関する。
従来、セラミックス製ハニカム構造体は、自動車排ガス浄化用触媒担体、ディーゼル微粒子除去フィルタ、或いは燃焼装置用蓄熱体等の広範な用途に使用されている。セラミックス製ハニカム構造体(以下、単に「ハニカム構造体」と称す。)は、成形材料(坏土)を、押出成形機を用いて所望のハニカム形状に押出成形したハニカム成形体を、高温で焼成する焼成工程を経て製造されている。
ハニカム構造体は、流体の流路を形成する一方の端面から他方の端面まで延びる複数の多角形のセルを区画形成する多孔質性の素材で形成された隔壁を備えている。更に、当該ハニカム構造体を自動車排ガス浄化用触媒担体等として使用する場合、ハニカム構造体の内部に触媒が担持される。
例えば、白金(Pt)等の貴金属系触媒を含んだスラリー状の触媒液をハニカム構造体の内部に流し込み、所定時間経過した後に、ハニカム構造体の内部から触媒液を排出する(触媒担持工程)。その後、乾燥処理及び焼付処理を施すことによって、多孔質の隔壁によって区画されたセルの表面及び隔壁の内部に触媒が担持された状態となる。この触媒とセルの内部を流通する排ガスとが接触すると、当該触媒による触媒機能が発揮され、ディーゼルエンジン等から排出された排ガス中に含まれる有害なガスを浄化することができる。
特に、近年において、ガソリン直噴式エンジンから排出される排ガスにも粒子状物質等の微粒子が多く含まれていることが問題となり、ディーゼルエンジンと同様に、ガソリン直噴式エンジンを搭載した車両についても微粒子除去フィルタ等の装着が進められている。
ガソリン直噴式エンジンの場合、排ガス温度がディーゼルエンジンよりも高温となる特性を有することが一般的に知られている。そのため、ハニカム構造体に担持された貴金属系触媒は、更に高い触媒性能(触媒活性)を発揮することがある。ここで、ガソリン直噴式エンジンの場合、コージェライト製のハニカム構造体を基材として用いたフィルタ(GPF:Gasoline Particulate Filter)が一般的に使用されている。
このGPFは、ガソリンエンジンの出力の向上や、低燃費性の実現を図るために、ハニカム構造体における一方の端面及び他方の端面におけるそれぞれの圧力の差(圧力損失)を小さくすることが求められている。そのため、従来のハニカム構造体と比べ、セルを区画形成する隔壁の気孔率を高めた高気孔率ハニカム構造体(高気孔率フィルタ)が製造されている。
なお、“高気孔率”とは、本明細書において、例えば、気孔率が50%以上のものと定義する。更に、GPFに限定されるものではなく、従来のディーゼルエンジンの排ガスを浄化処理するDPF(Diesel Particulate Filter)の場合でも、出力の向上や低燃費性を実現するために、圧力損失の低減化が求められ、高気孔率の隔壁を有するハニカム構造体が製造されるケースも多くなっている。
一方、近年において、ハニカム構造体の使用目的や使用対象が多岐に亘ることが多く、それぞれの用途等に応じて、多数のハニカム構造体が製造されている。そのため、これらのハニカム構造体を外観形状等から目視で識別することは困難となっている。そこで、ハニカム構造体の製造完了時に、以降の製品管理のために必要な情報(製品管理情報)がハニカム構造体に付される。
具体的には、製品管理情報をレーザーマーキング等の印字技術を用いてハニカム構造体の外周面に直接印字することが行われている。これにより、外部からハニカム構造体の種類や品番等を直接視認することができる。なお、ここで、製品管理情報の中には、例えば、製品名、品番(型番)、製造番号(ロット番号)、製造時期、製造地、及び製造ライン番号等の種々の情報を挙げることができる。
特に、複数の上記製品管理番号を一括して表示及び管理することを可能とするため、数字や文字を印字するものに代わり、周知のバーコードやQRコード(登録商標)のような二次元コードを、ハニカム構造体の外周面に印字することが増えている。外周面に印字された二次元コードは、専用のバーコードリーダー等の読取装置を用いることで、簡単にハニカム構造体に関する情報を入手することができ、作業者や確認者が認識可能な文字や数字に転換された情報を表示画面で確認することができる。
その結果、ハニカム構造体の製造完了から、DPFやGPFとして自動車に搭載されるまでの間等の、ハニカム構造体の移動経路、各工場の倉庫に搬入されてから使用されるまでの間の在庫数や保管期間、保管場所、及び現在の状態等を容易かつ速やかに把握することができる。すなわち、ハニカム構造体のトレーサビリティが可能となり、必要な情報を速やかに入手することができる。したがって、製品管理情報等の二次元バーコードなどによってハニカム構造体の外周面に印字することは、製品管理の点から極めて有益なものとなる。
なお、ハニカム構造体の外周面に対する二次元コード等の製品管理情報の印字は、例えば、ハニカム構造体の外周面に下地材をパッド印刷等により塗布する方法、或いは、インクジェット印字による方法等の周知の印刷または印字技術によって行うことができる。更に、前述したように、ハニカム構造体の外周面にレーザー発色性の原料粉末を所定の配合比率で含んだ外周コート材を塗布し、形成された外周コート層(外周壁)の表面にレーザー照射を行い、照射部位のみを発色させるレーザーマーキングによる印字が行われている(特許文献1参照)。
一方、外周コート層に熱膨張係数の低い原料、例えば、基材と同じコージェライト成分や非晶質シリカ等を添加し、基材及び外周コート層の間の熱膨張係数を緩和するための試みもなされている(特許文献2,3,4参照)。
特開2016−55282号公報 特許第5650022号公報 特開2004−75523号公報 特開2004−75524号公報
上記GPFやDPF等は、自動車等の車両に搭載されるため、比較的小さなハニカム径を有する小型のハニカム構造体が用いられる。そのため、隔壁と外周壁とを押出成形によって一体的に形成した構造となっていることが多い。そのため、隔壁と外周壁とが同一の気孔率(特に、50%以上の高気孔率)となる。その結果、下記に掲げる問題が生じることがあった。
すなわち、前述した触媒担持工程で、ハニカム構造体の内部に触媒を担持させようとする場合、ハニカム構造体の内部に導入されたスラリー状の触媒液が高気孔率の隔壁を通過し、ハニカム構造体の外周壁の表面である外周面に滲み出すおそれがあった。そこで、上記特許文献1に記載されるように、外周面に外周コート層を設けることで、上記のような触媒液の滲み出しをある程度まで抑えることができる。しかしながら、この場合、触媒液の滲み出しの抑制が十分でない可能性があり、一部が外周面に滲み出す可能性があった。
触媒液に使用される白金等の貴金属系触媒は、比較的高価なものであり、外周面に滲み出した触媒は、触媒機能を発揮することができない。そのため、貴金属系触媒を無駄に消費することとなり、DPFやGPF等を製造する上で、製造コストがアップする要因となることがあった。
更に、滲み出した触媒液によって外周面が変色し、外周面に表示される製品管理情報の読み取りに支障を来すことがあった。その結果、二次元コードによる製品管理情報の読み取りが不安定となり、読み取りエラーや読み取りに時間がかかる等の不具合を生じることがあった。
一方、触媒担持工程の後に、例えば、約500℃程度の温度でハニカム構造体(基材)に触媒を焼き付ける焼き付け工程が一般に実施される。このとき、基材と外周面との熱膨張係数の違いによって、外周コート層が大きく収縮する場合があった。その結果、焼付工程時及びその後の冷却時に、外周コート層にクラック(割れ)が発生し、ハニカム構造体(外周コートハニカム構造体)全体の強度が低下するおそれがあった。
上記不具合を解消するために、基材及び外周コート層の間の熱膨張係数の違いを小さくする試みがなされている(特許文献2〜4参照)。しかしながら、これらの外周コート層は、レーザーマーキング等の製品管理情報の印字性について考慮したものではなかった。そのため、外周コート層に対する印字性能が乏しいものが多かった。
レーザーマーキングにおいて、レーザーの照射された照射面(照射領域)は局所的に高温となる。この局所的に高温になった部位では、ハニカム構造体に含まれるコージェライト成分やその他非晶質シリカ成分等が融解し、その後の冷却によってガラス化することがあった。その結果、バーコードリーダー等の読取装置で、レーザーによる印字面を読み取る場合、レーザー光がガラス化した印字面で反射し、安定した読み取りを阻害する可能性があった。更に、特許文献2〜4には、熱膨張係数の差を考慮する点は開示されているものの、触媒担持工程における触媒液のハニカム構造体の外周面への滲み出しを抑制する効果についても、何ら言及されているものではなかった。
そこで、本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、高気孔率の隔壁を備えるハニカム構造体に触媒を担持する際の触媒液の外周面への滲み出しを抑制し、外周面に形成された外周コート層のクラックの発生を抑え、かつ、レーザーマーキングによる印字性に優れた外周コート材、及び当該外周コート材を用いて形成された外周コート層を有する外周コートハニカム構造体の提供を課題とする。
本発明によれば、以下に掲げる外周コート材、及び外周コートハニカム構造体が提供される。
[1] 押出成形によって一体的に形成されたハニカム構造体の外周面に塗布され、外周コート層を形成するための外周コート材であって、溶融シリカを20〜75質量%含有し、発色剤を5〜50質量%含有し、コロイダルシリカを5〜30質量%含有し、前記溶融シリカ、前記発色剤、及び前記コロイダルシリカの合計質量に対し、珪素系撥水材を1〜10質量%更に含有する外周コート材。
[2] 前記溶融シリカ、前記発色剤、及び前記コロイダルシリカの合計質量に対し、水を30質量%以下、更に含有する前記[1]に記載の外周コート材。
[3] 前記発色剤は、
炭化珪素及び酸化チタンの混合物である前記[1]または[2]に記載の外周コート材。
[4] 前記[1]〜[3]のいずれかに記載の外周コート材を用いた外周コートハニカム構造体であって、流体の流路を形成する一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を備えるハニカム構造体と、前記ハニカム構造体の外周面に前記外周コート材を塗布して形成された外周コート層とを有する外周コートハニカム構造体。
[5] 前記外周コート層は、40℃〜800℃の昇温範囲における昇温熱膨張率、及び/または、800℃〜40℃の冷却範囲における冷却熱膨張率の絶対値が、3.5×10−6/K以下である前記[4]に記載の外周コートハニカム構造体。
本発明の外周コート材によれば、高気孔率のハニカム構造体の外周面に当該外周コート材を塗布し、所定の層厚さの外周コート層を形成することにより、触媒液の外周面からの滲み出しを防ぐとともに、外周コート層へのレーザーマーキングの発色や読み取り性等を良好なものとすることができる。
更に、本発明の外周コートハニカム構造体は、上記の優れた効果を奏する外周コート材を用いて形成された外周コート層を備える。特に、外周コート層(外周コート材)に使用する材料と、ハニカム構造体を構成する材料との間の熱膨張係数の差を小さく抑えることで、触媒を担持した後の焼付工程時の外周コート層のクラックの発生を抑制することができる。
本発明の外周コートハニカム構造体の構成、及び製品管理情報の表示の一例を模式的に示す斜視図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の外周コート材、及び当該外周コート材を用いた外周コートハニカム構造体の実施の形態についてそれぞれ説明する。本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良等を加え得るものである。
本発明の一実施形態の外周コート材は、後述するハニカム構造体10の外周面11に所定の層厚さとなるように塗布され、乾燥等の処理を経て外周コート層20とすることができるものであり、本発明の一実施形態の外周コートハニカム構造体30は、ハニカム構造体10と、ハニカム構造体10の外周面11に上記外周コート層20とを備えるものである。
外周コート材は、そのコート主成分として、溶融シリカ、発色剤、及びコロイダルシリカを含有するものであり、更に上記コート主成分以外の成分として、珪素系撥水材、及び水を含有するものである。なお、コート主成分、珪素系撥水材、及びコロイダルシリカの各成分の含有率(配合比率)の詳細については後述する。
ここで、溶融シリカとは、二酸化珪素を100%の主成分とする所謂「石英ガラス」であり、比較的透明度が高く、かつ耐熱性の高い材質であり、粉末の状態では白色をしている。更に、発色剤とは、レーザーマーキングの際のレーザーの照射によって黒色に発色する性能(レーザー印字性)を備えるものであればよく、本実施形態の外周コート材では、炭化珪素及び酸化チタンを適宜配合比率で混合した混合物が主に用いられている。
一方、コロイダルシリカは、二酸化珪素またはその水和物のコロイドであり、結合材(無機バインダー)として主に機能するものである。上記した各成分が適切な配合比率で混合され、本実施形態の外周コート材が構成される。ここで、珪素系撥水材とは、例えば、シリコーンオイル等のシリコーン化合物や、重合によってシリコーン化合物を形成するシラン化合物とを含むものであり、種々のシリコーン化合物やシラン化合物の中から使用する珪素系撥水材を適宜選択することができる。
ハニカム構造体10は、略円柱状を呈し(図1参照)、押出成形によって形成されたハニカム成形体(図示しない)を、高温で焼成する焼成工程等の各工程を経て製造されている。ハニカム構造体10は、コージェライト成分を主成分として含むものが利用され、比較的ハニカム径の小さなものが想定されている。なお、ハニカム構造体10は、上記のコージェライト成分を主成分とするものに限定されるものではなく、各種のセラミックス材料をそれぞれ用いてもよい。
更に具体的に説明すると、ハニカム構造体10は、排ガス等の流体の流路を形成する一方の端面12aから他方の端面12bまで延びる複数のセル13を区画形成する隔壁14と、ハニカム構造体10の外周をなす外周壁15とを備えるものであり、隔壁14及び外周壁15が一体的に形成されるものである。そのため、隔壁14及び外周壁15は、同一の気孔率を有し、例えば、50%〜70%の範囲のものである。すなわち、ハニカム構造体10は、高気孔率を呈する。ここで、外周壁15の外部に向かった面が、ハニカム構造体10の外周面11に相当し、当該外周面11に外周コート層20が形成される(詳細は後述する)。
一方、外周コート層20を形成するための外周コート材は、前述したように、溶融シリカ、炭化珪素及び酸化チタンの混合物で構成される発色剤、及び結合材としてのコロイダルシリカをコート主成分とし、当該コート主成分の合計質量に対し、珪素系撥水材及び水が所定の配合比率で添加されたものである。なお、珪素系撥水材及び水を含むことにより、調製直後の外周コート材は、スラリー状(泥状)を呈している。そのため、ハニカム構造体10の外周面11に塗布し、所定の層厚さになるように乾燥等を行うことができる。
外周コート材の各成分の詳細について説明すると、本実施形態の外周コート材は、溶融シリカを20〜75質量%の範囲で含有し、発色剤を5〜50質量%の範囲で含有し、コロイダルシリカを5〜30質量%の範囲で含有して構成されている。更に、これらのコート主成分の合計質量に対し、珪素系撥水材が1〜10質量%の範囲で添加されている。珪素系撥水材を2〜10質量%の範囲で含有するものは、触媒液の滲み出しを防止する点において特に好適である。
加えて、上記珪素系撥水材の添加材として、コート主成分の合計質量に対し、水を30質量%以下の範囲で含有するものであってもよい。なお、水は、上記に示したように30質量%以下であればよく、必ずしもコート主成分に対して添加する必要はない。すなわち、水の含有率(添加率)が0質量%であっても構わない。つまり、ハニカム構造体10の外周面11に塗布する際の塗布性(例えば、スプレーコート性等)を良好なものとするために、外周コート材の粘性を適宜調整するために使用することができる。水を10〜30質量%の範囲で含有するものは、ハニカム構造体10の外周面11に外周コート材を塗布する際の塗布性に優れるため特に好適である。
上記に示した含有率の範囲に各成分を調製することで、触媒液の外周面11(外周壁15)への滲み出しを防止し、クラックの発生を抑え、かつレーザー印字性に優れた外周コート層20を形成することができる。
特に、従来の外周コート材と比較し、コート主成分に対して珪素系撥水材を添加することにより、外周面11への触媒液の滲み出しを防ぐことができる。更に、ハニカム構造体10(基材)との熱膨張係数の差を小さくすることができるため、外周コートハニカム構造体30が高温に晒された場合であっても、外周コート層20とハニカム構造体10との収縮率の違いによって外周コート層20にクラックが生じる可能性が低くなる。
更に、発色剤として、炭化珪素及び酸化チタンの二種類の成分を混合した混合物が用いられている。この組み合わせにより、レーザー照射時の発色性(レーザー印字性)を良好なものとすることができる。ここで、炭化珪素及び酸化チタンの混合物において、例えば、酸化チタンの含有率が炭化珪素の含有率以上とすることができる。また、炭化珪素及び酸化チタンを合わせた発色剤全体の含有率が、コート主成分に対して5〜50質量%の範囲であればよい。上記条件を満たすことで、外周面11に形成された外周コート層20のレーザー印字性を良好なものとすることができる。なお、本実施形態の外周コート材において、炭化珪素及び酸化チタンの混合物からなる発色剤を用いたものを示したが、これに限定されるものではない。すなわち、炭化珪素のみ、或いは、酸化チタンのみを発色剤として用いるものであってもよい。更に、炭化珪素及び酸化チタン以外の成分であって、発色性の良好なものを使用する、或いは上記炭化珪素や酸化チタン等に添加して使用するものであっても構わない。
上記条件を満たし、粘度の調製されたスラリー状の外周コート材を、ハニカム構造体10の外周面11(外周壁15の表面)に塗布し、乾燥させることにより外周コート層20が形成され、ハニカム構造体10及び外周コート層20を備える本実施形態の外周コートハニカム構造体30が得られる。
ここで、ハニカム構造体10の外周面11に外周コート層20を形成する方法は、特に限定されるものではない。例えば、スラリー状に調製された外周コート材をスプレーコートによって外周面11に均一の厚さとなるように噴霧したり、或いは、ローラーコートによって塗工する等、従来から周知の手法を用いることができる。ハニカム構造体10の外周壁15を取り囲むように外周コート層20が設けられることで、当該外周コート層20がハニカム構造体10を保護することができる。そのため、外部からの衝撃が加わった場合でもハニカム構造体10が破損することを防ぐことができる。更に、力学的強度を向上させるだけでなく、耐熱衝撃性等の向上を図ることができる。
耐熱衝撃性の向上により、外周コートハニカム構造体30の内部にスラリー状の触媒液を担持し、500℃程度の焼付温度で焼付処理を行っても、熱膨張係数の差が小さいために、クラックの発生を抑えることができる。
コート主成分の中で溶融シリカや発色剤が所定の含有率で含まれることにより、コロイダルシリカの使用量を抑えることができる。その結果、例えば、スプレーコートによってハニカム構造体10の外周面11に外周コート材を塗布する際の、スプレーノズルのノズル出口における目詰まりや固着等のトラブルの発生を防ぐことができる。すなわち、コロイダルシリカは、前述のように結合材としての機能を有するため、コロイダルシリカの成分が多いと、上記のような不具合を生じ易くなる。更に、ローラーコートの際に、外周コート材が乾燥し、ローラー表面に固着する可能性が高くなる。したがって、本実施形態の外周コート材では、コロイダルシリカの含有率を上記の通り抑えている。
但し、コロイダルシリカの含有率を抑えると、外周コート材の粘性が高くなる傾向がある。その結果、スプレーコートやローラーコートの際のハンドリング性が悪化することが懸念される。そこで、本実施形態の外周コート材は、シリコーン撥水材に加え、水を30質量%以下の範囲で添加している。これにより、外周コート材の粘性が高くなることを防いでいる。なお、水を添加しなくても、粘性を抑えることができるのであれば、水を添加しないものであっても構わない。
更に、本実施形態の外周コート材は、前述の通り、発色剤として二種類の成分を用いている。このとき、外周コート材に使用される炭化珪素及び酸化チタンは、それぞれの粒径が異なるものであっても構わない。例えば、炭化珪素に対して酸化チタンの粒径が小さなものを使用し、1.0〜10μmの範囲の粒径の炭化珪素と、当該炭化珪素よりも小さな0.1〜1.0μmの範囲の粒径の酸化チタンとの組み合わせを用いることができる。
上記の通り、粒径の細かな発色剤を使用することで、レーザーの照射された領域内での発色が均一となり、レーザー印字によって出現(表示)させた二次元コードを明瞭なものとすることができる。また、緻密な外周コート層を作製することができ、触媒滲み出し防止性の向上も期待できる。
更に、本実施形態の外周コート材は、隔壁14及び外周壁15の気孔率が50〜70%の高気孔率のハニカム構造体10の外周面11に塗布される。ハニカム構造体10の外周壁15(外周面11)には、外部に開口した微細な孔(図示しない)が存在している。特に、50〜70%の高気孔率のハニカム構造体であるため、当該孔の数及び開口した開孔面積も大きくなる。そのため、既に課題で提示したような触媒液の滲み出しの問題が発生する。
そこで、外周面11を被覆するように、外周コート材を塗布し、外周コート層20を設けることにより、外周面11に開孔した微細な孔を当該外周コート材によって塞ぐことができる。これにより、外周コートハニカム構造体30におけるハニカム構造体10の隔壁14の表面及び内部に担持された触媒液が、当該隔壁14を通過し、ハニカム構造体10の外周面11の近傍に到達したとしても、微細な孔が外周コート層20によって塞がれているため、外周面11から更に外側に向かう触媒液の滲み出しが規制される。
すなわち、本実施形態の外周コートハニカム構造体30の外周コート層20からの触媒液の滲み出しを抑制し、べたつき等の不具合の発生を防ぎ、更に、製造工程において製造設備の一部に触媒液が付着する等の問題を生じることがない。これにより、高価な貴金属系触媒を含有する触媒液の無駄な消費を抑え、かつ製造設備を汚染する等の問題を回避することができる。
所定波長のレーザー(例えば、赤外線レーザー)の照射を、外周コート材で形成された外周コート層20が受けると、当該レーザーの照射を受け照射領域のみが、黒色に発色し、変化する。なお、外周コート層20は、通常は淡灰色を呈している。
そのため、淡灰色の非照射領域を背景にして、文字や図形、各種記号等が黒色で表されることになる。そのため、背景に対して明瞭なコントラストを生じる。これにより、目視による視認性が高められる。なお、本明細書中において、“黒色”とは、完全な無彩色の黒のみを指し示すものではなく、例えば、明度が0〜60%であり、上記非照射領域との間でコントラストを示すものであればよい。すなわち、良好な発色を実現可能なものであればよい。
特に、本実施形態の外周コート材は、発色剤として酸化チタンを含んでいることを特徴とする。更に、溶融シリカを含んでいる。酸化チタン及び溶融シリカを含むことにより、ハニカム構造体10の外周面11に形成される外周コート層20の表面であるレーザー印字面31の色を、上記淡灰色からより白色に近いものとすることができる。例えば、酸化チタンを含まない外周コート材で外周コート層を形成した場合、層表面の色が濃灰色や黄土色に近似する場合がある。その結果、当該外周コート層に対してレーザーを照射しても、炭化珪素によって照射領域が黒色に発色するものの、非照射領域との間のコントラストが小さくなる。
これに対し、本実施形態の外周コート材に示すように、コート主成分の一部として、酸化チタン及び溶融シリカを加えることによって、黒色に発色した照射領域と、白色の非照射領域との間のコントラストを大きくすることができる。その結果、バーコードリーダーを用いてレーザー印字面31に印字された製品管理情報CI(図1参照)を読み取る際の読み取りエラーの発生を少なくすることができる。その結果、外周コートハニカム構造体30の製造後の製品管理やトレーサビリティを安定し、かつ効率的に行うことができる。なお、図1において、製品管理情報CIを外周コートハニカム構造体30のハニカム構造体10の他方の端面12b側の一部に示したが、これに限定されるものではなく、外周コート層20の設けられた外周コートハニカム構造体30のレーザー印字面31であればどの位置であっても、どの大きさのものであっても印字することができる。
なお、上記の通り、本実施形態の外周コート材、及び外周コートハニカム構造体30に対し、良好なレーザー印字性について主に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、インクジェット印刷の印字性についても良好なものとすることができる。外周コート層20によって、噴射されたインクが外周コート層20及びその下層のハニカム構造体10の外周壁15に滲み込むことがない。そのため、滲みのない鮮明な文字や数字、或いは上記二次元コードを表示することができる。
更に、本実施形態の外周コートハニカム構造体30における外周コート層20は、その昇温熱膨張率(昇温範囲:40℃から800℃)、及び/または、冷却熱膨張率(冷却範囲:800℃から40℃)の絶対値が3.5×10−6/K以下となるように設定されている。すなわち、ハニカム構造体10の外周面11に形成される外周コート層20の各熱膨張率が上記の範囲に限定される。上記の昇温熱膨張率、及び/または、冷却熱膨張率の絶対値が3.0×10−6/K以下の場合、耐熱衝撃性に優れるため特に好適である。
これらの熱膨張率の値が大きいと、熱的変化に対する変化率が大きいことを示している。したがって、各熱膨張率の絶対値の値が上記範囲内であれば、40℃から800℃、及び、800℃から40℃における変化が小さくなる。そのため、外周コート層20の設けられるハニカム構造体10との間の熱膨張係数との差を小さくすることができる。その結果、触媒の焼付処理を行う際に、ハニカム構造体10と外周コート層20との間の熱膨張係数の差が小さくなるため、外周コート層20等にクラックが生じる等の不具合の発生率を抑えられる。
更に、塗布に使用されるスラリー状の外周コート材の一例を示すと、例えば、外周コート材のスラリー比重は、1.8〜2.0g/cmの範囲とすることができる。また、コロイダルシリカは、前述したように、炭化珪素及び酸化チタンを結合させるものとして機能するとともに、ハニカム構造体10の外周面11に、外周コート層20を密着させるための結合材(または接着材)としても機能することができる。なお、コロイダルシリカは、例えば、分散しているシリカ粒子の平均径が13〜17nmの範囲のものを使用することができる。
更に、例えば、標準的なサイズのハニカム構造体10の場合、外周コート層20の膜厚を100μm以下にすることができる。外周コート層20の外周面11からの膜厚は、特に限定されるものではなく、触媒液の滲み出し防止の効果を十分に発揮し、かつ外周コートハニカム構造体30の全体重量の増加及び外周コート材を使用することによる製造コストの増加を最低限抑えるものであれば構わない。
以上、説明したように、本実施形態の外周コート材及び外周コートハニカム構造体30によれば、触媒液の滲み出しを防止する機能を備えるとともに、レーザー印字の際の良好な発色、及びバーコードリーダー等による当該印字面の良好な読み取り性能を確保することができる。更に所定の層厚のものとすることにより、ハニカム構造体10を外周壁から保護することができる。
以下、本発明の外周コート材及び外周コートハニカム構造体の実施例について説明するが、本発明の外周コート材及び外周コートハニカム構造体は、これらの実施例に限定されるものでない。
(1)ハニカム構造体
成形材料を所定の配合比率で調合し、混合及び混練することで得られた坏土を、押出成形機を利用して押出成形し、ハニカム成形体を得た。得られたハニカム成形体を乾燥後、所定の温度で焼成することでハニカム構造体を作製した。本実施例において、ハニカム構造体は、コージェライトを主成分とするものである。作製されたハニカム構造体は、多孔質の隔壁を有し、当該隔壁によって複数のセルが区画形成されている。ここで、得られたハニカム構造体の気孔率は50〜70%の範囲の高気孔率のものである。
(2)外周コート材
上記(1)によって作製されたハニカム構造体の外周面に塗布される外周コート材(実施例1〜18、比較例1〜6)の溶融シリカ、発色剤(炭化珪素+酸化チタン)、及びコロイダルシリカのコート主成分のそれぞれの含有率、及び、当該コート主成分に対して添加される添加成分(珪素系撥水材、水)の含有率の値を下記の表1〜表3に示す。
Figure 0006735261
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実施例1〜18は、溶融シリカ、発色剤、コロイダルシリカ、珪素系撥水材、及び水の含有率が、いずれも本発明に規定された範囲内のものであり、比較例1〜6は、本発明に規定された上記含有率から逸脱したものである。更に、珪素系撥水材として、二種類の撥水材(撥水材A及び撥水材B)を使用している。なお、撥水材Aはシラン化合物であり、撥水材Bはシリコーン化合物である。比較例1は、コート主成分として、溶融シリカを含まず(=0.0質量%)、かつ珪素系撥水材を含まない(=0.0質量%)構成である。また、実施例1〜5は、発色剤として炭化珪素及び酸化チタンの混合物を用いたものであり、実施例6は発色剤として酸化チタンのみを用いたものである。更に、比較例1は発色剤として炭化珪素及び酸化チタンの混合物を用い、コート主成分に対する発色剤の含有率を高くしたものである。一方、比較例2は、コロイダルシリカの含有率が本発明に規定された範囲の上限値(=30.0質量%)から逸脱したもの(=35.0質量%)であり、比較例3は珪素系撥水材の含有率が本発明に規定された範囲の上限値(=10.0質量%)から逸脱したもの(=12.0質量%)である。また、比較例4は、コロイダルシリカの含有率が本発明に規定した範囲の下限値(=5.0質量%)から逸脱したもの(=3.0質量%)であり、かつ、溶融シリカの含有率が本発明に規定された範囲の上限値(=75.0質量%)から逸脱したもの(=77.0質量%)であり、比較例5はコロイダルシリカの含有率が本発明に規定した上限値(=30.0質量%)から逸脱したもの(=32.0質量%)であり、かつ、溶融シリカの含有率が本発明に規定した下限値(=20.0質量%)から逸脱したもの(=18.0質量%)であり、比較例6は発色材の含有率が本発明に規定した下限値(=5.0質量%)から逸脱したもの(=2.0質量%)である。
(3)外周コート層の形成
上記(2)によって調製されたそれぞれの外周コート材を(1)によって作製されたハニカム構造体の外周面に塗布し、外周コート層を形成する。本実施例では、ハニカム構造体の外周面に外周コート材をスプレー方式で塗工することにより、外周コート層を得た。このとき、外周コートをスプレーするエアー圧は0.20MPaに設定した。
更に、詳しく説明すると、上記ハニカム構造体を、軸方向を上下方向に一致させた状態で円板状のターンテーブル(図示しない)の上に載置する。このターンテーブルは軸方向に従って所定速度で回転することができるものである。
ターンテーブルを回転させることにより、ハニカム構造体を、軸方向を中心として回転させ、所定位置に固定されたスプレーノズルから上記エアー圧によって外周コート材を噴霧する。本実施例において、ターンテーブルの回転数は80〜90rpmに設定し、1秒間辺り1〜2gの外周コート材を噴霧することができる。そして、噴霧完了後にハニカム構造体の外周面に4〜6g程度の外周コート材を塗布するようにスプレー時間(噴霧時間)を設定した。その後、室温で乾燥させることにより、ハニカム構造体の外周面に外周コート層が形成された外周コートハニカム構造体が得られる。なお、形成された外周コート層の層表面には、後述するレーザー印字性の評価のために、通常のレーザーマーキング装置を用いて、規定の二次元バーコードをそれぞれ印字した。
(4)昇温熱膨張係数及び冷却熱膨張係数の測定
昇温及び冷却の各熱膨張係数は、示差検出型の熱膨張計を用い、外周コート層の40℃から800℃(または、800℃から40℃)のそれぞれの温度範囲における平均熱膨張係数を測定することにより求めた。ここで、熱膨張係数の測定のための測定試料は、実施例1〜18、及び比較例1〜6の外周コート材をそれぞれ所定のサイズになるように固めた試料片を用いた。測定結果を表1〜3に示す。
(5)スプレー塗布性の評価
上記(3)による外周コート層の形成の際に、スプレーノズルから噴霧される外周コート材の塗布性を目視により評価した。スプレーノズルからの噴霧が良好に行われるものについて“良”、スプレーノズルの目詰まりや噴霧した外周面から液だれ等が発生するなどの不具合が生じ、外周コート層が形成できなかったものを“不可”とした。係る評価は目視によって行った。評価結果を表1〜3に示す。
(6)接着性の評価
塗装用マスキングテープ(製品品番:M40J30、スリーエムジャパン株式会社製)を、外周コート層を形成したハニカム構造体の側周面(外周コート層面)に貼付し、その後、手で剥がす動作を行った。ハニカム構造体から剥がされた後の塗装用マスキングテープの接着面において、外周コート材が付着した面積を測定した。なお、接着面への外周コート材の付着の有無の確認は、目視によって行った。ここで、塗装用マスキングテープの全面積に対して、付着した面積が30%未満のものを“良”、30%以上〜80%未満のものを“可”、及び、80%以上のものを“不可”として評価した。評価結果を表1〜3に示す。なお、比較例5については、外周コート層が形成できなかった為、上記接着性の評価を行っていない。
(7)ESP安全温度の測定
25℃の室温に管理された部屋の中に設置された、予め設定した試験温度に調整された電気炉内に、上記実施例1〜18、及び比較例1〜6の外周コート材によってそれぞれ外周コート層を形成した外周コートハニカム構造体を投入し、20分間保持する。その後、当該電気炉から外周コートハニカム構造体を取り出し、室温で3分間放置する。その後、取り出された外周コートハニカム構造体の外周コート層を目視検査により確認し、クラックの発生有無を確認する。ここで、設定される試験温度は、例えば、設定温度が500℃の場合、これに室温25℃を加えた525℃となる。
上記試験温度で外周コート層にクラックの存在が確認されない場合、電気炉の設定温度を+50℃昇温させる(試験温度=575℃)。そして、上記と同様に外周コートハニカム構造体を電気炉内へ投入し、20分間保持した後、取り出して室温で3分間放置する処理を行う。そして、クラックが発生するまで上記処理を50℃毎に設定温度を段階的に上げて試験を繰り返す。
外周コート層にクラックが発生した段階でESP(Electrical furnace Spalling:電気炉衝撃)安全温度の測定試験を終了し、ESP安全温度=試験温度(設定温度+室温)−室温(25℃)−50℃を算出する。本実施例では、各実施例及び比較例に対し、ESP安全温度の測定を二回実施(実施例1〜6,比較例1)、または一回実施(実施例7〜18、比較例2、3,6)した。評価結果を表1〜3に示す。なお、ESP安全温度の測定を行わなかったもの(比較例4,5)については、表1〜3において“−”として示している。ここで、触媒の焼き付け工程における焼付温度(約500℃)から、上記ESP安全温度は、550℃以上であることが好ましく、更に600℃以上であることが好適である。
(8)二次元バーコード読み取り性(耐熱試験前)
バーコードリーダー(製品型番:ICR840、Sick社製)を用い、外周コート層の印字面に印字された二次元バーコードの読み取り性の評価を行った。ここで、読み取り性の評価、ISO15415に準拠し、印字のコントラストや印字に欠けや余分な箇所がないか等の複数の評価項目について行い、当該バーコードリーダーによる読み取り性の判定値に基づいて行った。更に具体的に説明すると、バーコードリーダーを印字された二次元バーコードにかざすことで、当該バーコードリーダーが10回の読み取りを実行し、各項目について評価し、総合的な評価をバーコードリーダーが表示する。各回の読み取りを行い、最終的に最も低い評価が全体の評価となる。本実施例では、10回の読み取りの成功率が高く実用上の問題がないものを“良”、10回の読み取りの成功率は低いが実用上の問題はないものを“可”、実用上の問題があるものを“不可”として評価した。ここで、二次元バーコード読み取り性の評価を行わなかったもの(比較例4,5)ついては、表3において“−”として示している。得られた評価結果を表1〜3に示す。
(9)二次元バーコード読み取り性(耐熱試験後)
外周コートハニカム構造体を、炉内温度を650℃に維持した高温炉の中に3hr載置し、熱処理を行い、3hr経過の耐熱試験後の外周コートハニカム構造体について、上記(8)と同様の二次元バーコードの読み取り性を評価した。評価結果を表1〜3に示す。
(10)漏れ防止性(滲み出し防止性)の評価
所定の濃度に調製された顔料系インク(ブルーインク)を、外周コートハニカム構造体の端面から吸い上げさせ、乾燥させた後、外周コート層の表面にブルーインクの滲み出しが目視によって確認できるか否かで評価を行った。ここで、ブルーインクの滲み出しが確認されなかったものを“良”、ブルーインクの滲み出しが確認できるが、滲み出した面積が外周コート層の全表面積の10%以下のものを“可”、ブルーインクの滲み出しが確認され、滲み出した面積が外周コート層の全表面積の10%を超えるものを“不可”の評価とした。なお、濡れ防止性についての評価を行わなかったもの(比較例4,5)については、表3において“−”と示している。得られた評価結果を表1〜3に示す。
上記(4)〜(10)の測定及び各評価によると、実施例1〜18のいずれの外周コート材、及び当該外周コート材によって形成された外周コートハニカム構造体は、それぞれ良好な結果を示すことが確認された。すなわち、コロイダルシリカを結合材として使用し、炭化珪素及び/または酸化チタンの発色剤を用い、更に溶融シリカを含むコート主成分と、コート主成分に対して添加成分として珪素系撥水材及び水を所定比率で含有した外周コート材を用いることによって、良好な印字性能を有する外周コート層を形成することが確認された。更に、熱膨張係数を低く抑え、加熱時における外周コート層のクラックの発生を抑え、触媒液が滲み出すことのない外周コートハニカム構造体を得ることができる。
一方、本発明において規定された含有率から逸脱した比較例1〜6の外周コート材の場合、特に、溶融シリカをコート主成分に含まず、発色剤の含有率が高く、かつ、珪素系撥水材を添加しないことにより、濡れ防止性が著しく低下することが確認された(比較例1)。そのため、一定量以上の溶融シリカの存在、及び珪素系撥水材の存在が必須であることが確認される。また、コート主成分に溶融シリカを含まない場合、ESP安全温度が低くなる結果(500℃)が示された。更に、コロイダルシリカの含有率が過剰(比較例2)、或いは、珪素系撥水材の含有率が過剰(比較例3)の場合、冷却熱膨張率の値が3.50×10−6/Kを超え、耐熱衝撃性に劣ることが示された。また、コロイダルシリカの含有率が過小、かつ溶融シリカの含有率が過剰(比較例4)の場合、外周コート材としての接着性が低く、塗装用マスキングテープに多くの外周コート材の付着が確認された。また、発色剤の含有率が低い(比較例6)場合は、耐熱試験前及び耐熱試験後のいずれにおいても読み取り性が低下することが確認された。
本発明の外周コート材、及び外周コートハニカム構造体は、自動車、化学、電力、鉄鋼等の様々な分野において、触媒装置用の担体、又はフィルタとして好適に利用することができるハニカム構造体の製造に利用することができる。特に、ガソリン直噴式エンジンに採用されるGPFに好適に使用することができる。
10:ハニカム構造体、11:外周面、12a:一方の端面、12b:他方の端面、13:セル、14:隔壁、15:外周壁、20:外周コート層、30:外周コートハニカム構造体、31:印字面、CI:製品管理情報。

Claims (5)

  1. 押出成形によって一体的に形成されたハニカム構造体の外周面に塗布され、外周コート層を形成するための外周コート材であって、
    溶融シリカを20〜75質量%含有し、
    発色剤を5〜50質量%含有し、
    コロイダルシリカを5〜30質量%含有し、
    前記溶融シリカ、前記発色剤、及び前記コロイダルシリカの合計質量に対し、珪素系撥水材を1〜10質量%更に含有する外周コート材。
  2. 前記溶融シリカ、前記発色剤、及び前記コロイダルシリカの合計質量に対し、水を30質量%以下、更に含有する請求項1に記載の外周コート材。
  3. 前記発色剤は、
    炭化珪素及び酸化チタンの混合物である請求項1または2に記載の外周コート材。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の外周コート材を用いた外周コートハニカム構造体であって、
    流体の流路を形成する一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を備えるハニカム構造体と、
    前記ハニカム構造体の外周面に前記外周コート材を塗布して形成された外周コート層と
    を有する外周コートハニカム構造体。
  5. 前記外周コート層は、
    40℃〜800℃の昇温範囲における昇温熱膨張率、及び/または、800℃〜40℃の冷却範囲における冷却熱膨張率の絶対値が、3.5×10−6/K以下である請求項4に記載の外周コートハニカム構造体。
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