JP2004333912A - 光散乱反射基板の製造装置及びその方法並びに当該方法により製造された光散乱反射基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】光散乱反射基板面内の散乱特性を均一とすることができる光散乱反射基板の製造装置及びその方法並びに当該方法により製造された光散乱反射基板を提供する。
【解決手段】光散乱反射基板1は、ガラス基板11と、ガラス基板11の上側表面に積層された凹凸状光散乱膜12と、光散乱膜12に積層されてその凹凸形状に沿って凹凸形状を呈する反射膜13とを備える。光散乱膜12は、ガラス基板11にゾル状塗布液αを塗布し、乾燥装置400内で大気圧より低い圧力に減圧して乾燥することにより、そのゾル状塗布液αを下層と凸部を有する上層に相分離して形成される。
【選択図】 図1
【解決手段】光散乱反射基板1は、ガラス基板11と、ガラス基板11の上側表面に積層された凹凸状光散乱膜12と、光散乱膜12に積層されてその凹凸形状に沿って凹凸形状を呈する反射膜13とを備える。光散乱膜12は、ガラス基板11にゾル状塗布液αを塗布し、乾燥装置400内で大気圧より低い圧力に減圧して乾燥することにより、そのゾル状塗布液αを下層と凸部を有する上層に相分離して形成される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光散乱反射基板の製造装置及びその方法並びに当該方法により製造された光散乱反射基板に関し、特に反射型液晶表示素子や半透過型液晶表示素子等に好適に用いられる光散乱反射基板の製造装置及びその方法並びに当該方法により製造された光散乱反射基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
反射型液晶表示素子や半透過型液晶表示素子等は、それらの表示の視認性を向上させるべく、入射した光の反射光を散乱させる光散乱反射基板を備える。
【0003】
従来の光散乱反射基板は、ガラス基板と、ガラス基板の上側表面に点在する凸部と、ガラス基板の上側表面及び凸部に積層された反射膜とを備える。反射膜はその表面が凹凸形状となっているので、反射膜に入射した光の反射光は散乱する。
【0004】
従来の光散乱反射基板の製造方法は、ガラス基板の上側表面に有機材料である感光性樹脂を塗布し、この感光性樹脂を所定のパターン形状にマスキングし、露光して現像し、多数の微細な凸部を形成する。次いで、このガラス基板に熱処理を施して凸部の角を丸めた後に、ガラス基板の上側表面及び凸部に蒸着法やスパッタリング法によって金属材料や誘電体等の無機材料から成る反射膜を積層して光散乱反射基板を作製する(例えば、特許文献1)。
【0005】
しかしながら、従来の光散乱反射基板は、凸部が有機材料から成るために無機材料から成る反射膜との密着性が悪く、反射膜が容易に剥離するのに加えて、反射膜がスパッタリグ等の真空成膜法により形成される際に、凸部の表面から吸着成分や内部の未反応成分がガスとして放出され、反射膜の光学特性(反射率、屈折率、透過色調等)を変質させるという問題があり、また、従来の光散乱反射基板の製造方法は、形成工程が複雑であるという問題があった。
【0006】
このような問題を解決する方法として、特願2002−564462において、ゾルゲル法を利用して形成された主骨格が無機材料であると共に側鎖が有機材料で修飾された膜から成る凹凸状光散乱膜を備える光散乱反射基板、及び当該光散乱反射基板の形成方法の発明を提案されている。
【0007】
上記光散乱反射基板の形成方法は、無機材料を主骨格とする少なくとも1種類の膜成分と、ゾル状塗布液の均質化に有効に働く溶媒と相分離に有効に働く溶媒の少なくとも2種類の溶媒とから成るゾル状塗布液をガラス基板の上側表面に塗布した後に、ゾル状塗布液の均質化に有効に働く溶媒を選択的に除去しながらゾル状塗布液を加熱乾燥又は風乾させ、相分離に有効に働く溶媒と膜成分間又は膜成分相互間の表面張力差を利用して相分離させ、膜成分をゲル化して凸部を形成することにより、凹凸状光分散膜を得るものである。
【0008】
これにより、光散乱反射基板は、無機材料から成る反射膜と光散乱膜との密着性が向上すると共に、反射膜の光学特性の変質を防止することができ、また、光散乱膜の形成が容易になり、光散乱反射基板の形成工程を簡素化することができる。
【0009】
【特許文献1】
特許第2698218号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記光散乱反射基板の形成方法では、ガラス基板の周辺部からゾル状塗布液が徐々に乾燥し、相分離が進行していくため基板周辺部と中央部との乾燥速度が異なり、相分離が不均一におこる。そして、このように不均一に相分離がおこると、ガラス基板上に得られる凹凸状光分散膜の凹凸形状が不均一となり、光散乱反射基板の散乱特性のばらつきが大きくなるという問題があった。
【0011】
また、上記形成方法では、凹凸状光分散膜中の微少欠点が相分離の進行と共にピンホールに成長するため、このピンホールよっても光散乱反射基板の散乱特性のばらつきが大きくなるという問題があった。
【0012】
本発明の目的は、光散乱反射基板面内の散乱特性を均一とすることができる形成光散乱反射基板の製造装置及びその方法並びに当該方法により製造された光散乱反射基板を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の光散乱反射基板の製造装置は、基板にゾル状塗布液を塗布する塗布手段と、前記塗布されたゾル状塗布液を、光散乱膜を構成する下層と凸部を有する上層とに相分離する相分離手段と、該光散乱膜上に反射膜を積層する積層手段とを備える光散乱反射基板の製造装置において、前記相分離手段は、前記基板に塗布されたゾル状塗布液を大気圧より低い圧力の減圧下で乾燥することを特徴とする。
【0014】
請求項1記載の光散乱反射基板の製造装置によれば、光散乱膜の形成の際に行われる相分離は、基板に塗布されたゾル状塗布液を大気圧より低い圧力の減圧下で乾燥することにより行われるので、ゾル状塗布液に含まれる溶媒の蒸発速度、即ちゾル状塗布液を相分離する速度を基板全体で均一とし、光散乱膜の凹凸形状を均一にし、もってこの光散乱膜を有する光散乱反射基板面内の散乱特性を均一とすることができ、加えて、凸部のRaを小さくして、光散乱膜上に積層される反射膜の平坦部を少なくすることができ、反射光の正反射強度を確実に低減させることができる。
【0015】
請求項2記載の光散乱反射基板の製造装置は、請求項1記載の光散乱反射基板の製造装置において、前記圧力は300Pa以上であることを特徴とする。
【0016】
請求項2記載の光散乱反射基板の製造装置によれば、ゾル状塗布液を乾燥する際の圧力は300Pa以上であるので、蒸発溶媒の排気を速やかに行うことができ、もってゾル状塗布液を相分離する際の圧力を一定とすることができる。
【0017】
請求項3記載の光散乱反射基板の製造装置は、請求項1又は2記載の光散乱反射基板の製造装置において、前記圧力は、前記ゾル状塗布液の有する主溶媒の蒸気圧とほぼ等しいことを特徴とする。
【0018】
請求項3記載の光散乱反射基板の製造装置によれば、ゾル状塗布液を相分離する際の圧力はこのゾル状塗布液の有する主溶媒の蒸気圧とほぼ等しいので、溶媒乾燥を速やかに行うことができる。
【0019】
請求項4記載の光散乱反射基板の製造装置は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光散乱反射基板の製造装置において、前記相分離手段は、前記乾燥を常温で行うことを特徴とする。
【0020】
請求項4記載の光散乱反射基板の製造装置によれば、相分離は、乾燥を常温で行うので、基板面内の温度分布を均一とし、もってゾル状塗布液を相分離する速度を基板全体でより均一とすることができる。
【0021】
請求項5記載の光散乱反射基板の製造装置は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光散乱反射基板の製造装置において、前記相分離手段は、前記乾燥を前記基板に塗布されたゾル状塗布液表面に沿ってキャリアガスを流すことを特徴とする。
【0022】
請求項5記載の光散乱反射基板の製造装置によれば、相分離は、乾燥を基板に塗布されたゾル状塗布液表面に沿ってキャリアガスを流すので、溶媒乾燥をより速やかに行うことができる。
【0023】
請求項6記載の光散乱反射基板の製造装置は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光散乱反射基板の製造装置において、前記塗布手段は、前記塗布を、前記基板に印加される加速度の加速度方向下流側において前記ゾル状塗布液が塗布される面となるように行うことを特徴とする。
【0024】
請求項6記載の光散乱反射基板の製造装置によれば、塗布を、基板に印加される加速度の加速度方向下流側においてゾル状塗布液が塗布される面となるように行うので、ゴミの付着による凸部の凝集が抑制されるため、ピンホール欠点の成長を抑制することができる。また、溶媒の応力も加速度方向に働くため、ガラス基板上にあるピンホール欠点の影響が非常に小さくなる。
【0025】
上記目的を達成するために、請求項7記載の光散乱反射基板の製造方法は、基板にゾル状塗布液を塗布する塗布ステップと、前記塗布されたゾル状塗布液を、光散乱膜を構成する下層と凸部を有する上層とに相分離する相分離ステップと、該光散乱膜上に反射膜を積層する積層ステップとを備える光散乱反射基板の製造方法において、前記相分離ステップは、前記基板に塗布されたゾル状塗布液を大気圧より低い圧力の減圧下で乾燥することを特徴とする。
【0026】
請求項7記載の光散乱反射基板の製造方法によれば、基板にゾル状塗布液を塗布し、大気圧より低い圧力に減圧して乾燥することにより、そのゾル状塗布液を主骨格が無機材料から成る下層と凸部を有する上層に相分離するので、ゾル状塗布液に含まれる溶媒の蒸発速度、即ちゾル状塗布液を相分離する速度が基板全体で均一となり、光散乱膜の凹凸形状を均一もってこの光散乱膜を有する光散乱反射基板面内の散乱特性を均一とすることができ、加えて、前記凸部のRaを小さくして、光散乱膜上に積層される反射膜の平坦部を少なくすることができ、反射光の正反射強度を確実に低減させることができる。
【0027】
請求項8記載の光散乱反射基板の製造方法は、請求項7記載の光散乱反射基板の製造方法において、前記圧力は300Pa以上であることを特徴とする。
【0028】
請求項8記載の光散乱反射基板の製造方法によれば、ゾル状塗布液を相分離する際の圧力は300Pa以上であるので、蒸発溶媒の排気を速やかに行うことができ、ゾル状塗布液を相分離する際の圧力を一定とすることができる。
【0029】
請求項9記載の光散乱反射基板の製造方法は、請求項7又は8記載の光散乱反射基板の製造方法において、前記圧力は、前記ゾル状塗布液の有する主溶媒の蒸気圧とほぼ等しいことを特徴とする。
【0030】
請求項9記載の光散乱反射基板の製造方法によれば、ゾル状塗布液を相分離する際の圧力はこのゾル状塗布液の有する主溶媒の蒸気圧とほぼ等しいので、溶媒乾燥を速やかに行うことができる。
【0031】
請求項10記載の光散乱反射基板の製造方法は、請求項7乃至9のいずれか1項に記載の光散乱反射基板の製造方法において、前記相分離ステップは、前記乾燥を常温で行うことを特徴とする。
【0032】
請求項10記載の光散乱反射基板の製造方法によれば、相分離は、乾燥を常温で行うので、基板面内の温度分布が均一となり、液層を相分離する速度を基板全体でより均一とすることができる。
【0033】
請求項11記載の光散乱反射基板の製造方法は、請求項7乃至10のいずれか1項に記載の光散乱反射基板の製造方法において、前記相分離ステップは、前記乾燥を前記基板に塗布されたゾル状塗布液表面に沿ってキャリアガスを流すことを特徴とする。
【0034】
請求項11記載の光散乱反射基板の製造方法によれば、相分離は、乾燥を基板に塗布されたゾル状塗布液表面に沿ってキャリアガスを流すので、溶媒乾燥をより速やかに行うことができる。
【0035】
請求項12記載の光散乱反射基板の製造方法は、請求項7乃至11のいずれか1項に記載の光散乱反射基板の製造方法において、前記塗布ステップは、前記塗布を、前記基板に印加される加速度の加速度方向下流側において前記ゾル状塗布液が塗布される面となるように行うことを特徴とする。
【0036】
請求項12記載の光散乱反射基板の製造方法によれば、塗布を、基板に印加される加速度の加速度方向下流側においてゾル状塗布液が塗布される面となるように行うので、ゴミの付着による凸部の凝集が抑制されるため、ピンホール欠点の成長を抑制することができる。また、溶媒の応力も加速度方向に働くため、ガラス基板上にあるピンホール欠点の影響が非常に小さくなる。
【0037】
上記目的を達成するために、請求項13記載の光散乱反射基板は、請求項12記載の光散乱反射基板の製造方法により形成された光散乱膜は単位面積当たりのピンホール欠点が5.8×10−5個/cm2以下であることを特徴とする。
【0038】
請求項13記載の光散乱反射基板によれば、請求項12記載の光散乱反射基板の製造方法により製造された光散乱反射基板であって、前記光散乱膜は単位面積当たりのピンホール欠点が5.8×10−5個/cm2以下であるので、この光散乱膜を有する光散乱反射基板面内の散乱特性をより確実に均一とすることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0040】
図1は、本発明の実施の形態に係る光散乱反射基板の断面図である。
【0041】
図1において、本発明の実施の形態に係る光散乱反射基板1は、外径寸法が、例えば370mm×470mmで、厚さが、例えば0.5mmであるソーダライムガラス製ガラス基板11と、ガラス基板11の上側表面に積層された凹凸状光散乱膜12と、光散乱膜12に積層されてその凹凸形状に沿って凹凸形状を呈する反射膜13とを備える。
【0042】
反射膜13は、厚さ10nmの酸化珪素膜と、厚さ12nmの金属アルミニウム膜とが光散乱膜12側から順に積層された2層構造である。
【0043】
光散乱膜12は、厚さが、例えば60nmである平坦な平坦層14と、平坦層14の上側表面に凸状に形成され、高さが、例えば500nmである複数の凸部15とを備える。
【0044】
平坦層14は、チタン化合物等の無機材料から成り、凸部15は、有機シラン化合物等の主骨格が無機材料で形成された化合物から成る。
【0045】
光散乱反射基板1は、無機材料から成る反射膜13が、主骨格が無機材料で形成された化合物から成る平坦層14及び凸部15から成る光散乱膜12上に積層させるので、反射膜13の平坦層14及び凸部15との密着性を向上させることができる。
【0046】
以下、図1の光散乱反射基板1の製造方法を図面を参照して説明する。
【0047】
図2は、図1の光散乱反射基板1の製造処理のフローチャートである。
【0048】
本処理は、後述するゾルゲル法を利用して反射型液晶表示素子や半透過型液晶表示素子に好適に用いられる光散乱反射基板を低コスト且つ高品質で形成する際に実行される。
【0049】
一般に、ゾルゲル法とは、金属の有機又は無機化合物溶液とし、溶液中で化合物の加水分解・縮重合反応を進ませてゾルをゲル化反応させてゲルとして固化し、ゲルの加熱によって酸化物固体を作製する方法であり、ゲル化反応とは、1種類又は複数種類の金属化合物が脱水縮重合反応により、金属−酸素−金属からなるネットワークを形成してポリマー化することである。
【0050】
図2において、まず、溶媒A、溶媒B、膜成分C、及び膜成分Dを混合したゾル状塗布液αを作製する(ステップS1)。
【0051】
溶媒Aは、溶媒B、膜成分C、膜成分Dを均一に溶かす溶媒であり、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、アセチルアセトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類等から成る単溶媒又は混合溶媒が用いられる。
【0052】
本実施の形態において、溶媒Aは、エチルセルロソルブ及びへキシレングリコールから成る混合溶媒であり、その組成は、例えば、エチルセルロソルブが5.61gであり、へキシレングリコールが35.0gである。
【0053】
溶媒Bは、溶媒Aより沸点が高く蒸発速度が低い溶媒であり、膜成分Cの貧溶媒である。これにより、後述するように、溶媒Aが優先的に蒸発してゾル状塗布液α中の溶媒Bの濃度が相対的に高まり、互いに相溶しない溶媒Bと膜成分Cの相分離が促進される。具体的には、HO−(CH2)n−OHで一般化される直鎖状で両端末に水酸基がついたグリコール、又はHO−(CH2)n(CHOH)m−OHで一般化される多価アルコール等からなる単溶媒又は混合溶媒が有効である。このとき、nが10以上では融点が高くなり過ぎコーティング液とすることが困難であるので、n=2〜10までのグリコールを使用するのが好ましい。また、同じグリコールであっても、1,2プロパンジオール(通称プロピレングリコール(HOCHOHCH3))や、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(通称へキシレングリコール(CH3COH(CH3) CH2CH(OH) CH3))等、表面張力が小さい溶媒(例えば、30dyn/cm以下)を溶媒Bとして使用した場合は相分離が起こらないことが経験的に知られている。
【0054】
本実施の形態において、溶媒Bは、グリセリンであり、その組成は、例えばグリセリンが20.0gである。
【0055】
尚、蒸発速度とは、25℃において酢酸n−ブチル(CH3COO(CH2)3CH3)の蒸発時間を100として求められる比較蒸発速度であり、以下の式により求められる。
【0056】
比較蒸発速度=(酢酸n−ブチルの蒸発時間)/(求める溶剤の蒸発時間)×100
膜成分Cは、主骨格が無機材料で形成される化合物であり、珪素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、タンタルの群から選択された金属アルコキシドを加水分解又は縮重合反応させたゾル溶液である。これらの金属のアルコキシドは入手が容易であり、常温・常圧で安定し、且つ毒性がなく、もって光散乱反射基板の形成工程を容易にして形成コストを下げることができることに加え、可視光域において光学的吸収を生ずることが無いため、透過光が着色されることがなく、透過モードで使用するのに最適である図1の凸部15を形成することができる。
【0057】
本発明の実施の形態において、膜成分Cは、有機修飾シランであって、フェニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、及びエチルセロソルブを混合し、20℃(室温)で24時間攪拌し、加水分解反応及び脱水縮重合反応させて作製したゾル溶液であり、その組成は、例えば、フェニルトリメトキシシランが33.00g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが20.67g、エチルセロソルブが32.83gである。また、このとき、加水分解を促進させる触媒として1mol/l(1N)の塩酸13.50gを加えて作製した。
【0058】
膜成分Dは、溶媒A及び溶媒Bに相溶する無機材料であり、本実施の形態においては、テトライソプロポキシチタンとアセチルアセトンを混同し、キレート配位させて安定化させたチタン化合物である。また、その組成は、例えば、テトライソプロポキシチタンが28.4gであり、アセチルアセトンが20.0gである。
【0059】
次いで、ガラス基板11の上側表面に、ゾル状塗布液αを塗布することにより、塗布層102を形成する(ステップS2)(図3(a))。ゾル状塗布液αの塗布方法としては、公知の技術が用いられ、例えばスピンコーター、ロールコーター、スプレーコーター、又はカーテンコーター等の装置を用いる方法、浸漬引き上げ(ディップコーティング)法、流し塗り(フローコーティング)法、スクリーン印刷、又はグラビア印刷等の各種印刷法が用いられる。
【0060】
次いで、ステップS2において塗布層102が形成されたガラス基板11を後述する図4の乾燥装置400(光散乱反射基板の製造装置)に設置して、塗布層102を乾燥させる(ステップS3)。このとき、塗布層102から溶媒Aを蒸発させて、塗布層102を溶媒B、膜成分Dから成る下側の下層103と、溶媒A及び膜成分Cから成る上側の上層104とに相分離する(図3(b))。この相分離の結果、下層103は膜成分Dがリッチとなるが、上層104に多少の膜成分Dが含まれていてもよい。
【0061】
図4は、図2のステップS3の工程で使用される乾燥装置の概略図である。
【0062】
図4において、乾燥装置400は、内部に真空室401を形成するケーシング402と、ケーシング402内の中央に配置される基板ホルダ403と、真空室401を所定の圧力にまで減圧する真空ポンプ410と、真空室401内にキャリアガスを導入するガスボンベ411とを備える。
【0063】
基板ホルダ403は、鉛直方向に複数直列に、例えば5枚配置されており、その夫々にステップS2において塗布層102が形成されたガラス基板11を大気圧下で設置する。このとき、ガラス基板11は、塗布層102が鉛直方向下側となるように設置される。
【0064】
ガラス基板11が基板ホルダ403に設置されると、真空室401を真空ポンプ410により、例えば300〜1000Paまで常温で減圧する。これにより、塗布層102に含まれる溶媒の蒸発速度、即ち塗布層102を相分離する速度がガラス基板11全体で均一となり、凹凸状光散乱膜12の凹凸形状を均一にすることができる結果、この凹凸状光散乱膜12を有する光散乱反射基板1面内の散乱特性を均一とすることができる。また、前記凸部のRaが小さくなり、凹凸状光散乱膜12上に積層される反射膜13の平坦部が少なくすることができ、反射光の正反射強度を確実に低減させることができる。尚、本実施の形態では、塗布層102は鉛直方向下側に設定されるが、ガラス基板11に印加される加速度の加速度方向下流側となるように設置されれば、これに限定されない。
【0065】
このように、塗布層102を相分離する際の圧力を300Pa以上とすると、蒸発溶媒の排気を速やかに行うことができ、塗布層102を相分離する際の圧力を一定とすることができる。
【0066】
また、このとき、ゾル状塗布液αの主溶媒である溶媒Aに含まれるエチルセルソルの蒸気圧である510Paの前後まで減圧するのが好ましい。これにより、溶媒乾燥を速やかに行うことができる。
【0067】
さらに、減圧乾燥されるときの基板の温度は常温であるので、光散乱反射基板1面内の温度分布が均一となり、塗布層102を相分離する速度を光散乱反射基板1全体でより均一とすることができる。
【0068】
また、上記圧力に真空室401を維持されると共に、真空室401内にはガスボンベ411からキャリアガスが導入される。これにより、真空室401内で蒸発したゾル状塗布液α中の各種溶媒は順次真空ポンプ410から排気される。これにより、塗布層102表面をキャリアガスが流れるので、溶媒乾燥をより速やかに行うことができる。
【0069】
この減圧乾燥を行う際、真空室401内にはキャリアガスとしてN2が流量30SLMで5分間導入されるが、Ar等の不活性ガスがキャリアガスとして真空室401内に導入されてもよい。
【0070】
ステップS3における塗布層102の相分離は、ゾル状塗布液αに含有される溶媒Aが優先的に蒸発することにより促進される。また、この相分離は、上層104と下層103との極性(表面張力)及び比重の差を利用している。すなわち、本実施の形態のように、ガラス基板11が表面エネルギーの大きいガラスから成る場合、膜成分Cから成る上層104より極性が大きい溶媒Bから成る下層103がガラス基板11の表面を覆う方がその濡れ性からエネルギー的に有利であり、また、溶媒Bは膜成分Cより比重が大きいため、相分離の後、下層103が平坦になる。
【0071】
膜成分Cは溶媒Bに対する濡れ性が悪いため、膜成分Cから成る上層104は、下層103の表面に分散する。この分散された上層104の形状は、各々凸状を呈する。尚、上層104は下層103の表面に分散するのではなく、上層104に下層103の表面が全て覆われるような凹凸形状であってもよい。
【0072】
次に、図4の乾燥装置400による乾燥時に、塗布層102が相分離する過程について説明する。
【0073】
塗布層102は相分離が始まると、膜成分Cを主成分とする粒状物105が塗布層102中に生じる。このとき、塗布層102を鉛直方向上側にしてガラス基板11を基板ホルダ403に設置すると、塗布層102の上側にあるゴミ501が落ち、塗布層中に入る場合がある(図5(a))。この上側から落ちてきたゴミ501が、塗布層102に入ってしまった場合(図5(b))、粒状物105はゴミ501の周りに凝集する(図5(c))。
【0074】
その後、相分離がさらに進むと、粒状物105はそのままの状態で上層104を形成してしまう(図5(d))。この結果、上層104は下層103の表面に均一に分散しなくなり、膜成分Cの分布が少ない部分は反射膜13が形成されても光を散乱しないいわゆるピンホール欠点となる。具体的には、このような状態で塗布層102の相分離が行われると、ピンホール欠点がガラス基板101上に100個程度(5.8×10−4個/cm2)生じる。
【0075】
これに対し、塗布層102が鉛直方向下側となるようにガラス基板11が基板ホルダ403に設置されている場合、塗布層102の上にはガラス基板11があるため、塗布層102に入るゴミ501は塗布層102の下側にあるもの或いは横側にあるものとなり、上側から落ちてくるゴミ501が塗布層102に入る可能性がなくなり(図6(a))、ゴミ501の塗布層102への付着を防止することができる。
【0076】
また、塗布層102にゴミ501が入ってしまった場合であっても(図6(b))、相分離が完全に終了するまでは、ゴミ501は塗布層102中に浮遊した状態となり(図6(c))、上層104が形成される下層103の表面103aにはゴミ501は殆ど付着しない(図6(d))。
【0077】
即ち、塗布層102が鉛直方向下側となるようにガラス基板11を基板ホルダ403設置すると、ゴミ501の付着による粒状物105の凝集が抑制されるため、ピンホール欠点の成長を抑制することができる。具体的には、このような状態で塗布層102の相分離が行われると、ガラス基板101上のピンホール欠点は10個(5.8×10−5個/cm2)以下となる。また、溶媒の応力も重力方向に働くため、ガラス基板11上にあるピンホール欠点の影響が非常に小さくなる。
【0078】
次いで、ステップS3で相分離された上層104及び下層103を加熱することにより(ステップS4)、各層に含まれている溶媒を完全に蒸発させ、下層部103を厚さが、例えば60nmである膜成分Dから成る平坦な平坦層14とし、上層部104を高さが、例えば500nmである膜成分Cから成る複数の凸部15とする。こうして、平坦層14と凸部15から成り、光散乱機能を有する光散乱膜12を形成する。
【0079】
この加熱処理は、具体的には、下層103において、溶媒Bを蒸発させて膜成分Dをゲル化させることにより、平坦層14が形成され、次いで、上層104において、膜成分Cがゲル化することにより固化して、凸部15が形成される(図3(c))。このとき、上層104に膜成分Dが含まれている場合は、膜成分C,Dの共重合化合物がゲル化することにより固化し、凸部15が形成される。
【0080】
このゲル化反応が進行すると、膜成分Cから成る上層104の組織が緻密化して強固な相となる一方で膜成分Cの体積収縮が進行し、上層104の内部に膜応力が発生する。この膜応力は、上層104が凸状を形成することに起因するものであり、膜厚に比例して大きくなる。
【0081】
上層104中に膜応力が発生すると、上層104中にクラックが発生し、ガラス基板11との密着力が低下する等の問題が生じる。そのため、この膜応力を緩和する有機修飾された金属アルコキシドが膜成分Cとして好適に用いられる。
【0082】
一般に、膜応力を有効に緩和する有機官能基としては、アリル基、アルキル基、ビニル基、グリシジル基、フェニル基、メタクリロキシ基、メルカプト基、若しくはアミノ基等が知られており、これらの有機官能基と金属とが直接結合した金属化合物としては、シラン化合物に類する金属化合物が数多く知られている。特に、シラン化合物に類する金属化合物は安価、且つ入手しやすいものが多いので、膜成分Cとして好適に用いてもよい。
【0083】
また、膜成分Cは無機材料を主骨格とし、その側鎖には耐熱性に優れる有機官能基が有機修飾されたものが好ましい。耐熱性の乏しい有機官能基は熱分解より黄変したり脱離したりしやすいため、このような有機官能基で有機修飾された膜成分Cがゲル化したときにその内部にクラックが発生する可能性がある。
【0084】
一般に、耐熱性が最も優れる有機官能基としては、アルキル基、フェニル基であるが(例えば、300℃以上)、塗布する厚みによっては、その他の官能基、例えば、アリル基、ビニル基、グリシジル基、メタクリロキシ基、メルカプト基、若しくはアミノ基など、又はこれらを複数混合したもの好適に用いてもよい。
【0085】
尚、ゲル化した膜成分Dを主成分とする平坦層14は、ゲル化した膜成分Cを主成分とする凸部15と異なり凸状を呈しない。このため平坦層14内には大きな膜応力が発生しないので、クラックが発生しない。また、膜成分Cと膜成分Dとの相分離を確実に行うため、膜成分Dとしては、表面張力に最も影響する有機成分を含まないものが好ましい。従って、膜成分Cと違い、膜成分Dには有機修飾された化合物を用いる必要は必ずしもない。
【0086】
次いで、ステップS4で形成された光散乱膜12の上にスパッタリング法により反射膜13を積層して、光散乱反射基板1を製造し(ステップS5)(図3(d))、本処理を終了する。
【0087】
反射膜13は凸状又は凹凸状の光散乱膜12の上に均一の厚さで積層されるため、反射膜13は凹凸形状を呈する。また、反射膜13としては金属薄膜、又は50%以上の反射率を有する誘電体の薄膜が用いられる。
【0088】
反射膜13の材料に金属薄膜を用いる場合は、アルミニウム、銀、若しくはこれらの金属を主成分とする合金から選択され、金属薄膜は単層でも、複数種類の金属からなる複層でもよい。また、金属薄膜の反射率を向上させるため、誘電体からなる増反射層を金属薄膜に加えてもよい。
【0089】
一方、反射膜13の材料に誘電体の薄膜を用いる場合は、反射膜13は、低屈折率層と高屈折率層とからなる一組が複数積層された多層膜として形成される。低屈折率層の材料としては、酸化珪素、若しくはフッ化マグネシウムが主に用いられ、高屈折率層の材料としては、酸化チタン、若しくは酸化タンタルが主に用いられる。誘電体薄膜は、光学的吸収を生ずることが無いため、半透過膜として好適に用いられる。
【0090】
本実施の形態において、反射膜13は、光散乱膜12側から順に積層された厚さ10nmの酸化珪素膜、厚さ12nmの金属アルミニウム膜、及び厚さ20nmから成る。
【0091】
さらに、光散乱膜12と反射膜13の境界面、及び反射膜13の表面には、酸化防止及び化学的な耐久性向上のために安定な金属酸化物の膜を配してもよい。反射膜13及びこの金属酸化物の膜の膜厚は、反射光の干渉による着色が発生しないように決定され、これらの膜厚を変化させることにより反射率を任意に変更することができる。
【0092】
本発明の実施の形態において、ゾル状塗布液αは、膜成分Dを含むものとしたが、ゾル状塗布液αはこれに限るものではなく、ゾル状塗布液αは、膜成分Dを含まなくてもよい。この場合、光散乱反射基板1において、平坦層14は形成されず、ガラス基板11の上側表面上に凸部15が直接形成される。
【0093】
本発明の実施の形態において、光散乱反射基板1は、ガラス基板11を備えるものとしたが、光散乱反射基板1はこれに限るものではなく、ガラス基板11の替わりに他の材料から成る基板を用いてもよい。
【0094】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、請求項1記載の光散乱反射基板の製造装置及び請求項7記載の光散乱反射基板の製造方法によれば、光散乱膜の形成の際に行われる相分離は、基板に塗布されたゾル状塗布液を大気圧より低い圧力の減圧下で乾燥することにより行われるので、ゾル状塗布液に含まれる溶媒の蒸発速度、即ちゾル状塗布液を相分離する速度を基板全体で均一とし、光散乱膜の凹凸形状を均一にし、もってこの光散乱膜を有する光散乱反射基板面内の散乱特性を均一とすることができ、加えて、凸部のRaを小さくして、光散乱膜上に積層される反射膜の平坦部を少なくすることができ、反射光の正反射強度を確実に低減させることができる。
【0095】
請求項2記載の光散乱反射基板の製造装置及び請求項8記載の光散乱反射基板の製造方法によれば、ゾル状塗布液を乾燥する際の圧力は300Pa以上であるので、蒸発溶媒の排気を速やかに行うことができ、もってゾル状塗布液を相分離する際の圧力を一定とすることができる。
【0096】
請求項3記載の光散乱反射基板の製造装置及び請求項9記載の光散乱反射基板の製造方法によれば、ゾル状塗布液を相分離する際の圧力はこのゾル状塗布液の有する主溶媒の蒸気圧とほぼ等しいので、溶媒乾燥を速やかに行うことができる。
【0097】
請求項4記載の光散乱反射基板の製造装置及び請求項10記載の光散乱反射基板の製造方法によれば、相分離は、乾燥を常温で行うので、基板面内の温度分布を均一とし、もってゾル状塗布液を相分離する速度を基板全体でより均一とすることができる。
【0098】
請求項5記載の光散乱反射基板の製造装置及び請求項11記載の光散乱反射基板の製造方法によれば、相分離は、乾燥を基板に塗布されたゾル状塗布液表面に沿ってキャリアガスを流すので、溶媒乾燥をより速やかに行うことができる。
【0099】
請求項6記載の光散乱反射基板の製造装置及び請求項12記載の光散乱反射基板の製造方法によれば、塗布を、基板に印加される加速度の加速度方向下流側においてゾル状塗布液が塗布される面となるように行うので、ゴミの付着による凸部の凝集が抑制されるため、ピンホール欠点の成長を抑制することができる。また、溶媒の応力も加速度方向に働くため、ガラス基板上にあるピンホール欠点の影響が非常に小さくなる。
【0100】
請求項13記載の光散乱膜によれば、請求項12記載の光散乱反射基板の製造方法により形成された光散乱膜は単位面積当たりのピンホール欠点が5.8×10−5個/cm2以下であるので、この光散乱膜を有する光散乱反射基板面内の散乱特性をより確実に均一とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る光散乱反射基板の断面図である。
【図2】図1の光散乱反射基板1の製造処理のフローチャートである。
【図3】図1の光散乱反射基板1の製造工程を説明する図である。
【図4】図2のステップS3の工程で使用される乾燥装置の概略図である。
【図5】図4の乾燥装置400による乾燥時に塗布層102が相分離する過程を説明する図である。
【図6】図4の乾燥装置400による乾燥時に塗布層102が相分離する過程を説明する図である。
【符号の説明】
1 光散乱反射基板
11 ガラス基板
12 光散乱膜
13 反射膜
14 平坦層
15 凸部
400 乾燥装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、光散乱反射基板の製造装置及びその方法並びに当該方法により製造された光散乱反射基板に関し、特に反射型液晶表示素子や半透過型液晶表示素子等に好適に用いられる光散乱反射基板の製造装置及びその方法並びに当該方法により製造された光散乱反射基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
反射型液晶表示素子や半透過型液晶表示素子等は、それらの表示の視認性を向上させるべく、入射した光の反射光を散乱させる光散乱反射基板を備える。
【0003】
従来の光散乱反射基板は、ガラス基板と、ガラス基板の上側表面に点在する凸部と、ガラス基板の上側表面及び凸部に積層された反射膜とを備える。反射膜はその表面が凹凸形状となっているので、反射膜に入射した光の反射光は散乱する。
【0004】
従来の光散乱反射基板の製造方法は、ガラス基板の上側表面に有機材料である感光性樹脂を塗布し、この感光性樹脂を所定のパターン形状にマスキングし、露光して現像し、多数の微細な凸部を形成する。次いで、このガラス基板に熱処理を施して凸部の角を丸めた後に、ガラス基板の上側表面及び凸部に蒸着法やスパッタリング法によって金属材料や誘電体等の無機材料から成る反射膜を積層して光散乱反射基板を作製する(例えば、特許文献1)。
【0005】
しかしながら、従来の光散乱反射基板は、凸部が有機材料から成るために無機材料から成る反射膜との密着性が悪く、反射膜が容易に剥離するのに加えて、反射膜がスパッタリグ等の真空成膜法により形成される際に、凸部の表面から吸着成分や内部の未反応成分がガスとして放出され、反射膜の光学特性(反射率、屈折率、透過色調等)を変質させるという問題があり、また、従来の光散乱反射基板の製造方法は、形成工程が複雑であるという問題があった。
【0006】
このような問題を解決する方法として、特願2002−564462において、ゾルゲル法を利用して形成された主骨格が無機材料であると共に側鎖が有機材料で修飾された膜から成る凹凸状光散乱膜を備える光散乱反射基板、及び当該光散乱反射基板の形成方法の発明を提案されている。
【0007】
上記光散乱反射基板の形成方法は、無機材料を主骨格とする少なくとも1種類の膜成分と、ゾル状塗布液の均質化に有効に働く溶媒と相分離に有効に働く溶媒の少なくとも2種類の溶媒とから成るゾル状塗布液をガラス基板の上側表面に塗布した後に、ゾル状塗布液の均質化に有効に働く溶媒を選択的に除去しながらゾル状塗布液を加熱乾燥又は風乾させ、相分離に有効に働く溶媒と膜成分間又は膜成分相互間の表面張力差を利用して相分離させ、膜成分をゲル化して凸部を形成することにより、凹凸状光分散膜を得るものである。
【0008】
これにより、光散乱反射基板は、無機材料から成る反射膜と光散乱膜との密着性が向上すると共に、反射膜の光学特性の変質を防止することができ、また、光散乱膜の形成が容易になり、光散乱反射基板の形成工程を簡素化することができる。
【0009】
【特許文献1】
特許第2698218号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記光散乱反射基板の形成方法では、ガラス基板の周辺部からゾル状塗布液が徐々に乾燥し、相分離が進行していくため基板周辺部と中央部との乾燥速度が異なり、相分離が不均一におこる。そして、このように不均一に相分離がおこると、ガラス基板上に得られる凹凸状光分散膜の凹凸形状が不均一となり、光散乱反射基板の散乱特性のばらつきが大きくなるという問題があった。
【0011】
また、上記形成方法では、凹凸状光分散膜中の微少欠点が相分離の進行と共にピンホールに成長するため、このピンホールよっても光散乱反射基板の散乱特性のばらつきが大きくなるという問題があった。
【0012】
本発明の目的は、光散乱反射基板面内の散乱特性を均一とすることができる形成光散乱反射基板の製造装置及びその方法並びに当該方法により製造された光散乱反射基板を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の光散乱反射基板の製造装置は、基板にゾル状塗布液を塗布する塗布手段と、前記塗布されたゾル状塗布液を、光散乱膜を構成する下層と凸部を有する上層とに相分離する相分離手段と、該光散乱膜上に反射膜を積層する積層手段とを備える光散乱反射基板の製造装置において、前記相分離手段は、前記基板に塗布されたゾル状塗布液を大気圧より低い圧力の減圧下で乾燥することを特徴とする。
【0014】
請求項1記載の光散乱反射基板の製造装置によれば、光散乱膜の形成の際に行われる相分離は、基板に塗布されたゾル状塗布液を大気圧より低い圧力の減圧下で乾燥することにより行われるので、ゾル状塗布液に含まれる溶媒の蒸発速度、即ちゾル状塗布液を相分離する速度を基板全体で均一とし、光散乱膜の凹凸形状を均一にし、もってこの光散乱膜を有する光散乱反射基板面内の散乱特性を均一とすることができ、加えて、凸部のRaを小さくして、光散乱膜上に積層される反射膜の平坦部を少なくすることができ、反射光の正反射強度を確実に低減させることができる。
【0015】
請求項2記載の光散乱反射基板の製造装置は、請求項1記載の光散乱反射基板の製造装置において、前記圧力は300Pa以上であることを特徴とする。
【0016】
請求項2記載の光散乱反射基板の製造装置によれば、ゾル状塗布液を乾燥する際の圧力は300Pa以上であるので、蒸発溶媒の排気を速やかに行うことができ、もってゾル状塗布液を相分離する際の圧力を一定とすることができる。
【0017】
請求項3記載の光散乱反射基板の製造装置は、請求項1又は2記載の光散乱反射基板の製造装置において、前記圧力は、前記ゾル状塗布液の有する主溶媒の蒸気圧とほぼ等しいことを特徴とする。
【0018】
請求項3記載の光散乱反射基板の製造装置によれば、ゾル状塗布液を相分離する際の圧力はこのゾル状塗布液の有する主溶媒の蒸気圧とほぼ等しいので、溶媒乾燥を速やかに行うことができる。
【0019】
請求項4記載の光散乱反射基板の製造装置は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光散乱反射基板の製造装置において、前記相分離手段は、前記乾燥を常温で行うことを特徴とする。
【0020】
請求項4記載の光散乱反射基板の製造装置によれば、相分離は、乾燥を常温で行うので、基板面内の温度分布を均一とし、もってゾル状塗布液を相分離する速度を基板全体でより均一とすることができる。
【0021】
請求項5記載の光散乱反射基板の製造装置は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光散乱反射基板の製造装置において、前記相分離手段は、前記乾燥を前記基板に塗布されたゾル状塗布液表面に沿ってキャリアガスを流すことを特徴とする。
【0022】
請求項5記載の光散乱反射基板の製造装置によれば、相分離は、乾燥を基板に塗布されたゾル状塗布液表面に沿ってキャリアガスを流すので、溶媒乾燥をより速やかに行うことができる。
【0023】
請求項6記載の光散乱反射基板の製造装置は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光散乱反射基板の製造装置において、前記塗布手段は、前記塗布を、前記基板に印加される加速度の加速度方向下流側において前記ゾル状塗布液が塗布される面となるように行うことを特徴とする。
【0024】
請求項6記載の光散乱反射基板の製造装置によれば、塗布を、基板に印加される加速度の加速度方向下流側においてゾル状塗布液が塗布される面となるように行うので、ゴミの付着による凸部の凝集が抑制されるため、ピンホール欠点の成長を抑制することができる。また、溶媒の応力も加速度方向に働くため、ガラス基板上にあるピンホール欠点の影響が非常に小さくなる。
【0025】
上記目的を達成するために、請求項7記載の光散乱反射基板の製造方法は、基板にゾル状塗布液を塗布する塗布ステップと、前記塗布されたゾル状塗布液を、光散乱膜を構成する下層と凸部を有する上層とに相分離する相分離ステップと、該光散乱膜上に反射膜を積層する積層ステップとを備える光散乱反射基板の製造方法において、前記相分離ステップは、前記基板に塗布されたゾル状塗布液を大気圧より低い圧力の減圧下で乾燥することを特徴とする。
【0026】
請求項7記載の光散乱反射基板の製造方法によれば、基板にゾル状塗布液を塗布し、大気圧より低い圧力に減圧して乾燥することにより、そのゾル状塗布液を主骨格が無機材料から成る下層と凸部を有する上層に相分離するので、ゾル状塗布液に含まれる溶媒の蒸発速度、即ちゾル状塗布液を相分離する速度が基板全体で均一となり、光散乱膜の凹凸形状を均一もってこの光散乱膜を有する光散乱反射基板面内の散乱特性を均一とすることができ、加えて、前記凸部のRaを小さくして、光散乱膜上に積層される反射膜の平坦部を少なくすることができ、反射光の正反射強度を確実に低減させることができる。
【0027】
請求項8記載の光散乱反射基板の製造方法は、請求項7記載の光散乱反射基板の製造方法において、前記圧力は300Pa以上であることを特徴とする。
【0028】
請求項8記載の光散乱反射基板の製造方法によれば、ゾル状塗布液を相分離する際の圧力は300Pa以上であるので、蒸発溶媒の排気を速やかに行うことができ、ゾル状塗布液を相分離する際の圧力を一定とすることができる。
【0029】
請求項9記載の光散乱反射基板の製造方法は、請求項7又は8記載の光散乱反射基板の製造方法において、前記圧力は、前記ゾル状塗布液の有する主溶媒の蒸気圧とほぼ等しいことを特徴とする。
【0030】
請求項9記載の光散乱反射基板の製造方法によれば、ゾル状塗布液を相分離する際の圧力はこのゾル状塗布液の有する主溶媒の蒸気圧とほぼ等しいので、溶媒乾燥を速やかに行うことができる。
【0031】
請求項10記載の光散乱反射基板の製造方法は、請求項7乃至9のいずれか1項に記載の光散乱反射基板の製造方法において、前記相分離ステップは、前記乾燥を常温で行うことを特徴とする。
【0032】
請求項10記載の光散乱反射基板の製造方法によれば、相分離は、乾燥を常温で行うので、基板面内の温度分布が均一となり、液層を相分離する速度を基板全体でより均一とすることができる。
【0033】
請求項11記載の光散乱反射基板の製造方法は、請求項7乃至10のいずれか1項に記載の光散乱反射基板の製造方法において、前記相分離ステップは、前記乾燥を前記基板に塗布されたゾル状塗布液表面に沿ってキャリアガスを流すことを特徴とする。
【0034】
請求項11記載の光散乱反射基板の製造方法によれば、相分離は、乾燥を基板に塗布されたゾル状塗布液表面に沿ってキャリアガスを流すので、溶媒乾燥をより速やかに行うことができる。
【0035】
請求項12記載の光散乱反射基板の製造方法は、請求項7乃至11のいずれか1項に記載の光散乱反射基板の製造方法において、前記塗布ステップは、前記塗布を、前記基板に印加される加速度の加速度方向下流側において前記ゾル状塗布液が塗布される面となるように行うことを特徴とする。
【0036】
請求項12記載の光散乱反射基板の製造方法によれば、塗布を、基板に印加される加速度の加速度方向下流側においてゾル状塗布液が塗布される面となるように行うので、ゴミの付着による凸部の凝集が抑制されるため、ピンホール欠点の成長を抑制することができる。また、溶媒の応力も加速度方向に働くため、ガラス基板上にあるピンホール欠点の影響が非常に小さくなる。
【0037】
上記目的を達成するために、請求項13記載の光散乱反射基板は、請求項12記載の光散乱反射基板の製造方法により形成された光散乱膜は単位面積当たりのピンホール欠点が5.8×10−5個/cm2以下であることを特徴とする。
【0038】
請求項13記載の光散乱反射基板によれば、請求項12記載の光散乱反射基板の製造方法により製造された光散乱反射基板であって、前記光散乱膜は単位面積当たりのピンホール欠点が5.8×10−5個/cm2以下であるので、この光散乱膜を有する光散乱反射基板面内の散乱特性をより確実に均一とすることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0040】
図1は、本発明の実施の形態に係る光散乱反射基板の断面図である。
【0041】
図1において、本発明の実施の形態に係る光散乱反射基板1は、外径寸法が、例えば370mm×470mmで、厚さが、例えば0.5mmであるソーダライムガラス製ガラス基板11と、ガラス基板11の上側表面に積層された凹凸状光散乱膜12と、光散乱膜12に積層されてその凹凸形状に沿って凹凸形状を呈する反射膜13とを備える。
【0042】
反射膜13は、厚さ10nmの酸化珪素膜と、厚さ12nmの金属アルミニウム膜とが光散乱膜12側から順に積層された2層構造である。
【0043】
光散乱膜12は、厚さが、例えば60nmである平坦な平坦層14と、平坦層14の上側表面に凸状に形成され、高さが、例えば500nmである複数の凸部15とを備える。
【0044】
平坦層14は、チタン化合物等の無機材料から成り、凸部15は、有機シラン化合物等の主骨格が無機材料で形成された化合物から成る。
【0045】
光散乱反射基板1は、無機材料から成る反射膜13が、主骨格が無機材料で形成された化合物から成る平坦層14及び凸部15から成る光散乱膜12上に積層させるので、反射膜13の平坦層14及び凸部15との密着性を向上させることができる。
【0046】
以下、図1の光散乱反射基板1の製造方法を図面を参照して説明する。
【0047】
図2は、図1の光散乱反射基板1の製造処理のフローチャートである。
【0048】
本処理は、後述するゾルゲル法を利用して反射型液晶表示素子や半透過型液晶表示素子に好適に用いられる光散乱反射基板を低コスト且つ高品質で形成する際に実行される。
【0049】
一般に、ゾルゲル法とは、金属の有機又は無機化合物溶液とし、溶液中で化合物の加水分解・縮重合反応を進ませてゾルをゲル化反応させてゲルとして固化し、ゲルの加熱によって酸化物固体を作製する方法であり、ゲル化反応とは、1種類又は複数種類の金属化合物が脱水縮重合反応により、金属−酸素−金属からなるネットワークを形成してポリマー化することである。
【0050】
図2において、まず、溶媒A、溶媒B、膜成分C、及び膜成分Dを混合したゾル状塗布液αを作製する(ステップS1)。
【0051】
溶媒Aは、溶媒B、膜成分C、膜成分Dを均一に溶かす溶媒であり、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、アセチルアセトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類等から成る単溶媒又は混合溶媒が用いられる。
【0052】
本実施の形態において、溶媒Aは、エチルセルロソルブ及びへキシレングリコールから成る混合溶媒であり、その組成は、例えば、エチルセルロソルブが5.61gであり、へキシレングリコールが35.0gである。
【0053】
溶媒Bは、溶媒Aより沸点が高く蒸発速度が低い溶媒であり、膜成分Cの貧溶媒である。これにより、後述するように、溶媒Aが優先的に蒸発してゾル状塗布液α中の溶媒Bの濃度が相対的に高まり、互いに相溶しない溶媒Bと膜成分Cの相分離が促進される。具体的には、HO−(CH2)n−OHで一般化される直鎖状で両端末に水酸基がついたグリコール、又はHO−(CH2)n(CHOH)m−OHで一般化される多価アルコール等からなる単溶媒又は混合溶媒が有効である。このとき、nが10以上では融点が高くなり過ぎコーティング液とすることが困難であるので、n=2〜10までのグリコールを使用するのが好ましい。また、同じグリコールであっても、1,2プロパンジオール(通称プロピレングリコール(HOCHOHCH3))や、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(通称へキシレングリコール(CH3COH(CH3) CH2CH(OH) CH3))等、表面張力が小さい溶媒(例えば、30dyn/cm以下)を溶媒Bとして使用した場合は相分離が起こらないことが経験的に知られている。
【0054】
本実施の形態において、溶媒Bは、グリセリンであり、その組成は、例えばグリセリンが20.0gである。
【0055】
尚、蒸発速度とは、25℃において酢酸n−ブチル(CH3COO(CH2)3CH3)の蒸発時間を100として求められる比較蒸発速度であり、以下の式により求められる。
【0056】
比較蒸発速度=(酢酸n−ブチルの蒸発時間)/(求める溶剤の蒸発時間)×100
膜成分Cは、主骨格が無機材料で形成される化合物であり、珪素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、タンタルの群から選択された金属アルコキシドを加水分解又は縮重合反応させたゾル溶液である。これらの金属のアルコキシドは入手が容易であり、常温・常圧で安定し、且つ毒性がなく、もって光散乱反射基板の形成工程を容易にして形成コストを下げることができることに加え、可視光域において光学的吸収を生ずることが無いため、透過光が着色されることがなく、透過モードで使用するのに最適である図1の凸部15を形成することができる。
【0057】
本発明の実施の形態において、膜成分Cは、有機修飾シランであって、フェニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、及びエチルセロソルブを混合し、20℃(室温)で24時間攪拌し、加水分解反応及び脱水縮重合反応させて作製したゾル溶液であり、その組成は、例えば、フェニルトリメトキシシランが33.00g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが20.67g、エチルセロソルブが32.83gである。また、このとき、加水分解を促進させる触媒として1mol/l(1N)の塩酸13.50gを加えて作製した。
【0058】
膜成分Dは、溶媒A及び溶媒Bに相溶する無機材料であり、本実施の形態においては、テトライソプロポキシチタンとアセチルアセトンを混同し、キレート配位させて安定化させたチタン化合物である。また、その組成は、例えば、テトライソプロポキシチタンが28.4gであり、アセチルアセトンが20.0gである。
【0059】
次いで、ガラス基板11の上側表面に、ゾル状塗布液αを塗布することにより、塗布層102を形成する(ステップS2)(図3(a))。ゾル状塗布液αの塗布方法としては、公知の技術が用いられ、例えばスピンコーター、ロールコーター、スプレーコーター、又はカーテンコーター等の装置を用いる方法、浸漬引き上げ(ディップコーティング)法、流し塗り(フローコーティング)法、スクリーン印刷、又はグラビア印刷等の各種印刷法が用いられる。
【0060】
次いで、ステップS2において塗布層102が形成されたガラス基板11を後述する図4の乾燥装置400(光散乱反射基板の製造装置)に設置して、塗布層102を乾燥させる(ステップS3)。このとき、塗布層102から溶媒Aを蒸発させて、塗布層102を溶媒B、膜成分Dから成る下側の下層103と、溶媒A及び膜成分Cから成る上側の上層104とに相分離する(図3(b))。この相分離の結果、下層103は膜成分Dがリッチとなるが、上層104に多少の膜成分Dが含まれていてもよい。
【0061】
図4は、図2のステップS3の工程で使用される乾燥装置の概略図である。
【0062】
図4において、乾燥装置400は、内部に真空室401を形成するケーシング402と、ケーシング402内の中央に配置される基板ホルダ403と、真空室401を所定の圧力にまで減圧する真空ポンプ410と、真空室401内にキャリアガスを導入するガスボンベ411とを備える。
【0063】
基板ホルダ403は、鉛直方向に複数直列に、例えば5枚配置されており、その夫々にステップS2において塗布層102が形成されたガラス基板11を大気圧下で設置する。このとき、ガラス基板11は、塗布層102が鉛直方向下側となるように設置される。
【0064】
ガラス基板11が基板ホルダ403に設置されると、真空室401を真空ポンプ410により、例えば300〜1000Paまで常温で減圧する。これにより、塗布層102に含まれる溶媒の蒸発速度、即ち塗布層102を相分離する速度がガラス基板11全体で均一となり、凹凸状光散乱膜12の凹凸形状を均一にすることができる結果、この凹凸状光散乱膜12を有する光散乱反射基板1面内の散乱特性を均一とすることができる。また、前記凸部のRaが小さくなり、凹凸状光散乱膜12上に積層される反射膜13の平坦部が少なくすることができ、反射光の正反射強度を確実に低減させることができる。尚、本実施の形態では、塗布層102は鉛直方向下側に設定されるが、ガラス基板11に印加される加速度の加速度方向下流側となるように設置されれば、これに限定されない。
【0065】
このように、塗布層102を相分離する際の圧力を300Pa以上とすると、蒸発溶媒の排気を速やかに行うことができ、塗布層102を相分離する際の圧力を一定とすることができる。
【0066】
また、このとき、ゾル状塗布液αの主溶媒である溶媒Aに含まれるエチルセルソルの蒸気圧である510Paの前後まで減圧するのが好ましい。これにより、溶媒乾燥を速やかに行うことができる。
【0067】
さらに、減圧乾燥されるときの基板の温度は常温であるので、光散乱反射基板1面内の温度分布が均一となり、塗布層102を相分離する速度を光散乱反射基板1全体でより均一とすることができる。
【0068】
また、上記圧力に真空室401を維持されると共に、真空室401内にはガスボンベ411からキャリアガスが導入される。これにより、真空室401内で蒸発したゾル状塗布液α中の各種溶媒は順次真空ポンプ410から排気される。これにより、塗布層102表面をキャリアガスが流れるので、溶媒乾燥をより速やかに行うことができる。
【0069】
この減圧乾燥を行う際、真空室401内にはキャリアガスとしてN2が流量30SLMで5分間導入されるが、Ar等の不活性ガスがキャリアガスとして真空室401内に導入されてもよい。
【0070】
ステップS3における塗布層102の相分離は、ゾル状塗布液αに含有される溶媒Aが優先的に蒸発することにより促進される。また、この相分離は、上層104と下層103との極性(表面張力)及び比重の差を利用している。すなわち、本実施の形態のように、ガラス基板11が表面エネルギーの大きいガラスから成る場合、膜成分Cから成る上層104より極性が大きい溶媒Bから成る下層103がガラス基板11の表面を覆う方がその濡れ性からエネルギー的に有利であり、また、溶媒Bは膜成分Cより比重が大きいため、相分離の後、下層103が平坦になる。
【0071】
膜成分Cは溶媒Bに対する濡れ性が悪いため、膜成分Cから成る上層104は、下層103の表面に分散する。この分散された上層104の形状は、各々凸状を呈する。尚、上層104は下層103の表面に分散するのではなく、上層104に下層103の表面が全て覆われるような凹凸形状であってもよい。
【0072】
次に、図4の乾燥装置400による乾燥時に、塗布層102が相分離する過程について説明する。
【0073】
塗布層102は相分離が始まると、膜成分Cを主成分とする粒状物105が塗布層102中に生じる。このとき、塗布層102を鉛直方向上側にしてガラス基板11を基板ホルダ403に設置すると、塗布層102の上側にあるゴミ501が落ち、塗布層中に入る場合がある(図5(a))。この上側から落ちてきたゴミ501が、塗布層102に入ってしまった場合(図5(b))、粒状物105はゴミ501の周りに凝集する(図5(c))。
【0074】
その後、相分離がさらに進むと、粒状物105はそのままの状態で上層104を形成してしまう(図5(d))。この結果、上層104は下層103の表面に均一に分散しなくなり、膜成分Cの分布が少ない部分は反射膜13が形成されても光を散乱しないいわゆるピンホール欠点となる。具体的には、このような状態で塗布層102の相分離が行われると、ピンホール欠点がガラス基板101上に100個程度(5.8×10−4個/cm2)生じる。
【0075】
これに対し、塗布層102が鉛直方向下側となるようにガラス基板11が基板ホルダ403に設置されている場合、塗布層102の上にはガラス基板11があるため、塗布層102に入るゴミ501は塗布層102の下側にあるもの或いは横側にあるものとなり、上側から落ちてくるゴミ501が塗布層102に入る可能性がなくなり(図6(a))、ゴミ501の塗布層102への付着を防止することができる。
【0076】
また、塗布層102にゴミ501が入ってしまった場合であっても(図6(b))、相分離が完全に終了するまでは、ゴミ501は塗布層102中に浮遊した状態となり(図6(c))、上層104が形成される下層103の表面103aにはゴミ501は殆ど付着しない(図6(d))。
【0077】
即ち、塗布層102が鉛直方向下側となるようにガラス基板11を基板ホルダ403設置すると、ゴミ501の付着による粒状物105の凝集が抑制されるため、ピンホール欠点の成長を抑制することができる。具体的には、このような状態で塗布層102の相分離が行われると、ガラス基板101上のピンホール欠点は10個(5.8×10−5個/cm2)以下となる。また、溶媒の応力も重力方向に働くため、ガラス基板11上にあるピンホール欠点の影響が非常に小さくなる。
【0078】
次いで、ステップS3で相分離された上層104及び下層103を加熱することにより(ステップS4)、各層に含まれている溶媒を完全に蒸発させ、下層部103を厚さが、例えば60nmである膜成分Dから成る平坦な平坦層14とし、上層部104を高さが、例えば500nmである膜成分Cから成る複数の凸部15とする。こうして、平坦層14と凸部15から成り、光散乱機能を有する光散乱膜12を形成する。
【0079】
この加熱処理は、具体的には、下層103において、溶媒Bを蒸発させて膜成分Dをゲル化させることにより、平坦層14が形成され、次いで、上層104において、膜成分Cがゲル化することにより固化して、凸部15が形成される(図3(c))。このとき、上層104に膜成分Dが含まれている場合は、膜成分C,Dの共重合化合物がゲル化することにより固化し、凸部15が形成される。
【0080】
このゲル化反応が進行すると、膜成分Cから成る上層104の組織が緻密化して強固な相となる一方で膜成分Cの体積収縮が進行し、上層104の内部に膜応力が発生する。この膜応力は、上層104が凸状を形成することに起因するものであり、膜厚に比例して大きくなる。
【0081】
上層104中に膜応力が発生すると、上層104中にクラックが発生し、ガラス基板11との密着力が低下する等の問題が生じる。そのため、この膜応力を緩和する有機修飾された金属アルコキシドが膜成分Cとして好適に用いられる。
【0082】
一般に、膜応力を有効に緩和する有機官能基としては、アリル基、アルキル基、ビニル基、グリシジル基、フェニル基、メタクリロキシ基、メルカプト基、若しくはアミノ基等が知られており、これらの有機官能基と金属とが直接結合した金属化合物としては、シラン化合物に類する金属化合物が数多く知られている。特に、シラン化合物に類する金属化合物は安価、且つ入手しやすいものが多いので、膜成分Cとして好適に用いてもよい。
【0083】
また、膜成分Cは無機材料を主骨格とし、その側鎖には耐熱性に優れる有機官能基が有機修飾されたものが好ましい。耐熱性の乏しい有機官能基は熱分解より黄変したり脱離したりしやすいため、このような有機官能基で有機修飾された膜成分Cがゲル化したときにその内部にクラックが発生する可能性がある。
【0084】
一般に、耐熱性が最も優れる有機官能基としては、アルキル基、フェニル基であるが(例えば、300℃以上)、塗布する厚みによっては、その他の官能基、例えば、アリル基、ビニル基、グリシジル基、メタクリロキシ基、メルカプト基、若しくはアミノ基など、又はこれらを複数混合したもの好適に用いてもよい。
【0085】
尚、ゲル化した膜成分Dを主成分とする平坦層14は、ゲル化した膜成分Cを主成分とする凸部15と異なり凸状を呈しない。このため平坦層14内には大きな膜応力が発生しないので、クラックが発生しない。また、膜成分Cと膜成分Dとの相分離を確実に行うため、膜成分Dとしては、表面張力に最も影響する有機成分を含まないものが好ましい。従って、膜成分Cと違い、膜成分Dには有機修飾された化合物を用いる必要は必ずしもない。
【0086】
次いで、ステップS4で形成された光散乱膜12の上にスパッタリング法により反射膜13を積層して、光散乱反射基板1を製造し(ステップS5)(図3(d))、本処理を終了する。
【0087】
反射膜13は凸状又は凹凸状の光散乱膜12の上に均一の厚さで積層されるため、反射膜13は凹凸形状を呈する。また、反射膜13としては金属薄膜、又は50%以上の反射率を有する誘電体の薄膜が用いられる。
【0088】
反射膜13の材料に金属薄膜を用いる場合は、アルミニウム、銀、若しくはこれらの金属を主成分とする合金から選択され、金属薄膜は単層でも、複数種類の金属からなる複層でもよい。また、金属薄膜の反射率を向上させるため、誘電体からなる増反射層を金属薄膜に加えてもよい。
【0089】
一方、反射膜13の材料に誘電体の薄膜を用いる場合は、反射膜13は、低屈折率層と高屈折率層とからなる一組が複数積層された多層膜として形成される。低屈折率層の材料としては、酸化珪素、若しくはフッ化マグネシウムが主に用いられ、高屈折率層の材料としては、酸化チタン、若しくは酸化タンタルが主に用いられる。誘電体薄膜は、光学的吸収を生ずることが無いため、半透過膜として好適に用いられる。
【0090】
本実施の形態において、反射膜13は、光散乱膜12側から順に積層された厚さ10nmの酸化珪素膜、厚さ12nmの金属アルミニウム膜、及び厚さ20nmから成る。
【0091】
さらに、光散乱膜12と反射膜13の境界面、及び反射膜13の表面には、酸化防止及び化学的な耐久性向上のために安定な金属酸化物の膜を配してもよい。反射膜13及びこの金属酸化物の膜の膜厚は、反射光の干渉による着色が発生しないように決定され、これらの膜厚を変化させることにより反射率を任意に変更することができる。
【0092】
本発明の実施の形態において、ゾル状塗布液αは、膜成分Dを含むものとしたが、ゾル状塗布液αはこれに限るものではなく、ゾル状塗布液αは、膜成分Dを含まなくてもよい。この場合、光散乱反射基板1において、平坦層14は形成されず、ガラス基板11の上側表面上に凸部15が直接形成される。
【0093】
本発明の実施の形態において、光散乱反射基板1は、ガラス基板11を備えるものとしたが、光散乱反射基板1はこれに限るものではなく、ガラス基板11の替わりに他の材料から成る基板を用いてもよい。
【0094】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、請求項1記載の光散乱反射基板の製造装置及び請求項7記載の光散乱反射基板の製造方法によれば、光散乱膜の形成の際に行われる相分離は、基板に塗布されたゾル状塗布液を大気圧より低い圧力の減圧下で乾燥することにより行われるので、ゾル状塗布液に含まれる溶媒の蒸発速度、即ちゾル状塗布液を相分離する速度を基板全体で均一とし、光散乱膜の凹凸形状を均一にし、もってこの光散乱膜を有する光散乱反射基板面内の散乱特性を均一とすることができ、加えて、凸部のRaを小さくして、光散乱膜上に積層される反射膜の平坦部を少なくすることができ、反射光の正反射強度を確実に低減させることができる。
【0095】
請求項2記載の光散乱反射基板の製造装置及び請求項8記載の光散乱反射基板の製造方法によれば、ゾル状塗布液を乾燥する際の圧力は300Pa以上であるので、蒸発溶媒の排気を速やかに行うことができ、もってゾル状塗布液を相分離する際の圧力を一定とすることができる。
【0096】
請求項3記載の光散乱反射基板の製造装置及び請求項9記載の光散乱反射基板の製造方法によれば、ゾル状塗布液を相分離する際の圧力はこのゾル状塗布液の有する主溶媒の蒸気圧とほぼ等しいので、溶媒乾燥を速やかに行うことができる。
【0097】
請求項4記載の光散乱反射基板の製造装置及び請求項10記載の光散乱反射基板の製造方法によれば、相分離は、乾燥を常温で行うので、基板面内の温度分布を均一とし、もってゾル状塗布液を相分離する速度を基板全体でより均一とすることができる。
【0098】
請求項5記載の光散乱反射基板の製造装置及び請求項11記載の光散乱反射基板の製造方法によれば、相分離は、乾燥を基板に塗布されたゾル状塗布液表面に沿ってキャリアガスを流すので、溶媒乾燥をより速やかに行うことができる。
【0099】
請求項6記載の光散乱反射基板の製造装置及び請求項12記載の光散乱反射基板の製造方法によれば、塗布を、基板に印加される加速度の加速度方向下流側においてゾル状塗布液が塗布される面となるように行うので、ゴミの付着による凸部の凝集が抑制されるため、ピンホール欠点の成長を抑制することができる。また、溶媒の応力も加速度方向に働くため、ガラス基板上にあるピンホール欠点の影響が非常に小さくなる。
【0100】
請求項13記載の光散乱膜によれば、請求項12記載の光散乱反射基板の製造方法により形成された光散乱膜は単位面積当たりのピンホール欠点が5.8×10−5個/cm2以下であるので、この光散乱膜を有する光散乱反射基板面内の散乱特性をより確実に均一とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る光散乱反射基板の断面図である。
【図2】図1の光散乱反射基板1の製造処理のフローチャートである。
【図3】図1の光散乱反射基板1の製造工程を説明する図である。
【図4】図2のステップS3の工程で使用される乾燥装置の概略図である。
【図5】図4の乾燥装置400による乾燥時に塗布層102が相分離する過程を説明する図である。
【図6】図4の乾燥装置400による乾燥時に塗布層102が相分離する過程を説明する図である。
【符号の説明】
1 光散乱反射基板
11 ガラス基板
12 光散乱膜
13 反射膜
14 平坦層
15 凸部
400 乾燥装置
Claims (13)
- 基板にゾル状塗布液を塗布する塗布手段と、前記塗布されたゾル状塗布液を、光散乱膜を構成する下層と凸部を有する上層とに相分離する相分離手段と、該光散乱膜上に反射膜を積層する積層手段とを備える光散乱反射基板の製造装置において、
前記相分離手段は、前記基板に塗布されたゾル状塗布液を大気圧より低い圧力の減圧下で乾燥することを特徴とする光散乱反射基板の製造装置。 - 前記圧力は300Pa以上であることを特徴とする請求項1記載の光散乱反射基板の製造装置。
- 前記圧力は、前記ゾル状塗布液の有する主溶媒の蒸気圧とほぼ等しいことを特徴とする請求項1又は2記載の光散乱反射基板の製造装置。
- 前記相分離手段は前記乾燥を常温で行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光散乱反射基板の製造装置。
- 前記相分離手段は、前記乾燥を前記基板に塗布されたゾル状塗布液表面に沿ってキャリアガスを流すことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光散乱反射基板の製造装置。
- 前記塗布手段は、前記塗布を、前記基板に印加される加速度の加速度方向下流側において前記ゾル状塗布液が塗布される面となるように行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光散乱反射基板の製造装置。
- 基板にゾル状塗布液を塗布する塗布ステップと、前記塗布されたゾル状塗布液を、光散乱膜を構成する下層と凸部を有する上層とに相分離する相分離ステップと、該光散乱膜上に反射膜を積層する積層ステップとを備える光散乱反射基板の製造方法において、
前記相分離ステップは、前記基板に塗布されたゾル状塗布液を大気圧より低い圧力の減圧下で乾燥することを特徴とする光散乱反射基板の製造方法。 - 前記圧力は300Pa以上であることを特徴とする請求項7記載の光散乱反射基板の製造方法。
- 前記圧力は、前記ゾル状塗布液の有する主溶媒の蒸気圧とほぼ等しいことを特徴とする請求項7又は8記載の光散乱反射基板の製造方法。
- 前記相分離ステップは前記乾燥を常温で行うことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の光散乱反射基板の製造方法。
- 前記相分離ステップは、前記乾燥を前記基板に塗布されたゾル状塗布液表面に沿ってキャリアガスを流すことを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の光散乱反射基板の製造方法。
- 前記塗布ステップは、前記塗布を、前記基板に印加される加速度の加速度方向下流側において前記ゾル状塗布液が塗布される面となるように行うことを特徴とする請求項7乃至11のいずれか1項に記載の光散乱反射基板の製造方法。
- 請求項12記載の光散乱反射基板の製造方法により製造された光散乱反射基板であって、前記光散乱膜は単位面積当たりのピンホール欠点が5.8×10−5個/cm2以下であることを特徴とする光散乱反射基板。
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