JP6735197B2 - 車両用サスペンション装置 - Google Patents
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Description
バンプタッチが生じるほど過大な衝撃力がDFVダンパに入力された際に、この衝撃力を吸収するように減衰力を可変制御すれば、乗員に与える底突き感の緩和を一層促進することができる。
しかしながら、特許文献1に係る車両用サスペンション装置では、バンプタッチが生じるほど過大な衝撃力がダンパに入力された際に、この衝撃力を、荷重センサやストロークセンサを用いることなくフィードバックして減衰力可変ダンパの減衰力制御を行うことについては開示も示唆もない。
このため、特許文献1に係る車両用サスペンション装置は、バンプタッチが生じるほど過大な衝撃力がダンパに入力された場合でも、荷重センサやストロークセンサを用いることなく乗り心地を良好に維持する点で改良の余地がある。
車両において乗員の数や荷物の積載状態が変化すると、1G状態(平坦路での静止状態)でのダンパストローク位置も変化する。ところが、荷重センサやストロークセンサを用いることなく減衰力制御を行うシステムでは、ダンパストロークの絶対位置がわからない。このため、バンプタッチが生じるほど過大な衝撃力がダンパに入力された際に、この衝撃力を吸収するための減衰力制御を適確に行うことは困難であった。
前記の研究の結果、車輪速が増加傾向にあり、かつ、車輪速の微分値が所定の閾値を超えて増加する側に変化(この条件の充足を、以下では「バンプタッチ事象が発生」という。)した時点を、バンプタッチ発生の蓋然性が高い時点とみなせることがわかった。こうした知見を基にさらに研究を進めた結果、本発明者らは、本発明を遂に完成させた。
図1は、本発明の実施形態に係る車両用サスペンション装置11の概略構成を表すブロック図である。図1において、4つの車輪13に係る要素については、それぞれ数字の符号に前後左右を示す添字を付して差別化している。すなわち、例えば、右前の車輪13に添字(FR)を、左前の車輪13に添字(FL)を、右後ろの車輪13に添字(RR)を、左後ろの車輪13に添字(RL)を、それぞれ付している。また、4つの車輪13に係る要素のそれぞれを総称する際には、添字を省略して表記することとする。
この車両10は、例えば、車体前部にエンジンが搭載されて前輪が駆動輪である前輪駆動車である。
DFVダンパ15は、特に限定されないが、例えば、モノチューブ式(ド・カルボン式)であって、MRF方式を採用した公知の構成のものである。
車輪速センサ21FR,21FL,21RR,21RLは、それぞれ、車輪13FR,13FL,13RR,13RLの回転速度を検出する。車速センサ23は、車体の速度(車速)を検出する。操舵角センサ25は、不図示のハンドルの操舵角を検出する。横Gセンサ27は、車体の横加速度を検出する。ヨーレイトセンサ29は、車体のヨーレイトを検出する。これら入力系統に属する各種センサ類21,23,25,27,29の検出値は、通信媒体19を介して、ダンパ制御ECU17に送られる。
このマイクロコンピュータは、ROMに記憶されているプログラムやデータを読み出して実行し、ダンパ制御ECU17が有する、車輪速センサ21により検出された車輪速が増加傾向にあり、かつ、車輪速の微分値が所定の閾値を超えて増加する側に変化したか否かを判定する機能、車両の状態量に基づく減衰力を用いてDFVダンパ15の減衰力制御を行う機能、及び、車輪速が増加傾向にあり、かつ、車輪速の微分値が所定の閾値を超えて増加する側に変化した旨の判定が下された場合に、車両10の状態量に基づく減衰力を高めたバンプタッチ対応の減衰力を用いてDFVダンパ15の減衰力制御を行う機能を含む各種機能に係る実行制御を行うように動作する。
u1=k・ΔVw (式1)
ただし、kは比例定数である。
次に、本発明の実施形態に係る車両用サスペンション装置11による減衰力制御手順について、図2〜図4を参照して説明する。図2は、車両用サスペンション装置11による減衰力制御手順を表すフローチャートである。図3は、負荷の変化に対するダンパのストローク特性がバンプタッチ位置を特異点として折れ曲がることを表す概念図である。図4は、バンプタッチ位置情報に対して統計処理を施すことでバンプタッチ位置情報の正当性を検証する手順を概念的に表す説明図である。
一方、ステップS14の判定の結果、車輪速が増加傾向にある旨の判定が下されると(ステップS14の“Yes”)、ダンパ制御ECU17は、処理の流れを次のステップS15へと進ませる。
一方、ステップS15の判定の結果、車輪速の微分値dVw/dtが所定の閾値FTthを超えて増加する側に変化した旨の判定が下されると(ステップS15の“Yes”)、ダンパ制御ECU17は、処理の流れを次のステップS16へと進ませる。
一方、ステップS17の判定の結果、前記差分の絶対値|Pp −BTp|がバンプタッチ判定閾値Pth未満である旨の判定が下されると(ステップS17の“Yes”)、ダンパ制御ECU17は、処理の流れをステップS19へとジャンプさせる。
すなわち、ダンパ制御ECU17の取得部31は、図4に示すように、バンプタッチ事象が生じる毎に、バンプタッチ事象が生じた時点のストローク位置を取得すると共に、記憶部39に記憶させる。図4において、バンプタッチ事象の発生時点を表す図の縦軸は時間軸であり、下方に向けて時間が進行するものとする。バンプタッチ事象が生じた時点のストローク位置BTp1〜BTp9(図4参照)をそれぞれ記憶する処理は、イグニッションスイッチがオンされてからオフされるまでの期間を単位として行われる。
その後、ダンパ制御ECU17は、処理の流れをステップS11へ戻し、以下の処理を順次行わせる。なお、バンプタッチが実際に発生した際に、ステップS19の車両10の状態量に基づく減衰力を高めたバンプタッチ対応の減衰力を用いて減衰力制御を行う点が、本発明の要旨である。
次に、本発明の実施形態に係る車両用サスペンション装置11の作用効果について説明する。
第1の観点(請求項1に対応)に基づく車両用サスペンション装置11は、少なくとも車両10の後輪13RR,13RLに設けられ、入力信号に基づき減衰力を調整可能な減衰力可変ダンパ15RR,15RLを備える。ただし、車両10の前輪13FR,13FLにも、減衰力可変ダンパ15FR,15FLを備える構成を採用してもよい。
第1の観点に基づく車両用サスペンション装置11は、車両10に備わる各車輪13FR,13FL,13RR,13RLの車輪速を検出する車輪速センサ21FR,21FL,21RR,21RLと、車輪速センサ21FR,21FL,21RR,21RLにより検出された車輪速の変動ΔVwに基づいて車両10の基本入力量であるばね下荷重u1を算出する基本入力量算出部33と、車両10の挙動を表す車両モデルに基本入力量(ばね下荷重u1)を入力することで車両10の状態量(ばね下位置、ばね上位置、ばね上速度、及びサスペンション16のストローク速度)を算出する状態量算出部35と、バンプタッチ発生の蓋然性が高いバンプタッチ事象が生じた旨の判定が下された場合に、該判定時点(バンプタッチ事象発生時点でもよい。)の減衰力可変ダンパ15のストローク位置関係情報をバンプタッチ位置情報BTpとして記憶する記憶部39と、車輪速センサ21により検出された車輪速が増加傾向にあり、かつ、車輪速の微分値dVw/dtが所定の閾値FTthを超えて増加する側に変化したか否かを判定する判定部37と、前記算出された車両10の状態量に基づく減衰力を用いて、バンプタッチ位置情報BTpに基づいて減衰力可変ダンパ15の減衰力制御を行う制御部43と、を備える。
制御部43は、判定部37により車輪速が増加傾向にあり、かつ、車輪速の微分値dVw/dtが所定の閾値FTthを超えて増加する側に変化した旨の判定が下された場合に、車両10の状態量に基づく減衰力を高めたバンプタッチ対応の減衰力を用いて、バンプタッチ位置情報BTpに基づいて減衰力可変ダンパ15の減衰力制御を行う。
また、第1の観点に基づく車両用サスペンション装置11によれば、記憶部39に記憶されたバンプタッチ位置情報BTpに基づいて減衰力可変ダンパ15の減衰力制御を行うため、例えば、バンプタッチ事象が生じた履歴情報を中長期的に取得して減衰力可変ダンパ15の減衰力制御にフィードバックすれば、減衰力可変ダンパ15の減衰力制御を、誤差を抑制して高精度に遂行する効果を期待することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の具現化の例を示したものである。したがって、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
11 車両用サスペンション装置
13 車輪
15 減衰力可変ダンパ
21 車輪速センサ
23 車速センサ
33 基本入力量算出部
35 状態量算出部
37 判定部
39 記憶部
41 検証部
43 制御部
Claims (2)
- 少なくとも車両の後輪に設けられ、入力信号に基づき減衰力を調整可能な減衰力可変ダンパを備える車両用サスペンション装置であって、
前記車両に備わる各車輪の車輪速を検出する車輪速センサと、
前記車輪速センサにより検出された車輪速の変動に基づいて前記車両の基本入力量を算出する基本入力量算出部と、
前記車両の挙動を表す車両モデルに前記基本入力量を入力することで前記車両の状態量を算出する状態量算出部と、
前記車輪速センサにより検出された車輪速が増加傾向にあり、かつ、当該車輪速の微分値が所定の閾値を超えて増加する側に変化したか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記車輪速が増加傾向にあり、かつ、当該車輪速の微分値が所定の閾値を超えて増加する側に変化した旨の判定が下された場合に、該判定時点の該減衰力可変ダンパのストローク位置関係情報をバンプタッチ位置情報として記憶する記憶部と、
前記算出された前記車両の状態量に基づく減衰力を用いて前記減衰力可変ダンパの減衰力制御を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記判定部により前記車輪速が増加傾向にあり、かつ、当該車輪速の微分値が所定の閾値を超えて増加する側に変化した旨の判定が下された場合に、前記車両の状態量に基づく減衰力と比べて高い減衰力を用いて、前記バンプタッチ位置情報に基づいて前記減衰力可変ダンパの減衰力制御を行う
ことを特徴とする車両用サスペンション装置。 - 請求項1に記載の車両用サスペンション装置であって、
前記記憶部に記憶された前記バンプタッチ位置情報に対して統計処理を施すことで当該バンプタッチ位置情報の正当性を検証する検証部をさらに備え、
前記制御部は、前記検証部の検証により正当と診断された前記バンプタッチ位置情報に基づいて該減衰力可変ダンパの減衰力制御を行う
ことを特徴とする車両用サスペンション装置。
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