JP6734500B1 - 自然侵入促進工法および散布材 - Google Patents

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Abstract

環境に対する配慮がなされるとともに、施工が容易であって広範なエリアや斜面にも十分に対応でき、かつ効率よい自然侵入を実現し、目的の土壌表面において良好に緑化を促進可能な自然侵入促進工法、および当該工法に用いられる散布材を提供する。活藻類を含む散布材を土壌表面に散布して繁殖させるとともに、当該活藻類の表面に分泌された粘着性物質または当該活藻類によって構成された捕捉構造により、飛来した種子または胞子を直接または間接的に捕捉し、土壌表面における緑化を促進させる。【選択図】なし

Description

本発明は、自然侵入促進工法および上記自然侵入促進工法に用いる散布材に関する。より詳しくは、本発明は、土壌表面に飛来した種子や胞子などを捕捉し発芽させるための方法、およびこれに用いる散布材に関する。
自然災害や造成工事などにより生じた裸地、または植生が荒廃した土壌表面(以下、裸地等ともいう)は、景観を損ねるという問題を有する。特に公園、住宅街、あるいは街中など人が多く集まるエリアにおける裸地等は、速やかに緑化を行いたいという要望がある。
上記緑化の要望に対し、たとえば、下記特許文献1には、緑化用素材を吹き付けノズルから法面に吹き付ける緑化工法(以下、従来技術1ともいう)が提案されている。上記緑化用素材としては、外来草木または木本などの種子、バーク堆肥またはピートモスなどの有機質土壌改良材、化学肥料、および再乳化性の樹脂粉末などの高分子系侵食防止剤が挙げられている。即ち、従来技術1は、外来種の種子などを肥料などと一緒に法面に散布し、当該種子を発芽させ生育させることで緑化を図る技術に関する。
また下記特許文献2には、法面や斜面等の緑化施工面に、種子が混合された生育基盤と、種子を含まない生育基盤とを非面的に吹き付ける緑化工法(以下、従来技術2ともいう)が提案されている。従来技術2は、種子が混合されない生育基盤を、種子が混合された生育基盤よりも薄くなるよう吹き付けることで、種子が混合された生育基盤を凸状に構成し、種子が混合されない生育基盤を凹状に構成する。そして従来技術2は、この凹状に構成された生育基盤に、緑化施工面の周辺から飛来した種子を定着させることを目的とする。つまり、従来技術2は、緑化施工面の周辺から植物が自然侵入しやすい構造(即ち凹状の生育基盤)を人為的に形成することを目的としている。
また下記特許文献3には、法面に配置されるシート状体であるネットと、上記ネットを法面に密着させるためのワッシャとを備える飛来種子捕捉構造(以下、従来技術3ともいう)が開示されている。
具体的には、上記ネットは、法面の等高線にほぼ合わせた方向につながった袋状の部分を有している。この袋状の谷側の部分には、ネットの目合いを密にして形成された種子捕捉部が設けられている。一方、上記ワッシャは、上記ネットを法面に密着させる押さえ部とともに、上記袋状の部分を所定の高さに保持するためのスペーサとなるシート支持部を備えるスペーサ機能付ワッシャである。
従来技術3は、種子捕捉部を、上記シート支持部によって下側から支持することによって、当該種子捕捉部を法面よりも高い位置に保持する。これによって、従来技術3は、種子捕捉部を法面から浮かせた状態とし、種子の捕捉を容易に行うことを可能とする。
特開2018−193743号公報 特開2010−259331号公報 特開2016−3495号公報
しかし上述する従来技術1から従来技術3に代表される従来の緑化工法は、以下の問題を有していた。
即ち、従来技術1のように種子を法面に吹き付ける吹付工法は、非生分解性の化学材料を使用しているものが多く、環境に望ましくない影響を与える虞があった。また吹付工法により吹き付けられる種子は、一般に外来種であることが多い。したがって、周囲の植生が外来植物によって破壊される虞があった。たとえば国立公園などの環境に十分に配慮が求められるエリアは、そのエリア本来の自然環境を維持することが望まれる。したがって、外来植物による緑化は適切ではない場合があった。
これに対し、従来技術2、3のように周囲から飛来してきた種子を捕捉し、これを生育させることで緑化を図る場合には、上述のような問題はない。しかしながら、従来技術2は、種子が混合された生育基盤を用いる点で従来技術1と同様の問題を有し得る。また従来技術2は、種子が混合された生育基盤と種子を含まない生育基盤とを非面的かつ交互に吹き付ける必要があり、施工の労力が大きい。したがって、従来技術2は、広範囲における実施および斜面における実施には不向きであった。
また従来技術3は、法面にシートを配置するために、予め法面を平坦に整形する必要があり、施工の労力が大きい。従って従来技術2と同様に従来技術3も、広範囲における実施および斜面における実施には不向きであった。また従来技術3は、法面にシートを配置するため、環境に影響を与える虞がある上、飛来した種子を捕捉可能な部分が限定的であり、効率のよい自然侵入は望めなかった。
さらに従来技術2、3は、飛来した種子が降雨などで流出してしまう虞があり、自然侵入が速やかに行われず、また自然侵入量が少ないといった問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものである。即ち、本発明は、環境に対する配慮がなされるとともに、施工が容易であって広範なエリアや斜面にも十分に対応でき、かつ効率よい自然侵入を実現し、目的の土壌表面において良好に緑化を促進可能な自然侵入促進工法、および当該工法に用いられる散布材を提供する。
本発明の自然侵入促進工法は、活藻類を含む散布材を裸地等である土壌表面に散布し、上記活藻類を繁殖させるとともに、当該活藻類の表面に分泌された粘着性物質または当該活藻類によって構成された捕捉構造により、飛来した種子または胞子を直接または間接的に捕捉し、上記土壌表面における緑化を促進させることを特徴とする。
また本発明の散布材は、本発明の自然侵入促進工法に用いられる散布材であって、活藻類を含むことを特徴とする。
本発明は、自然に飛来してきた種子等により緑化を図ることから、施工地の環境に十分な配慮を図ることができる。また、本発明の自然侵入促進工法は、種子等を捕捉するためのシートなどを配置する必要がないため施工が容易である。そのため、本発明の自然侵入促進工法は、広範なエリアまたは斜面にも十分に対応することができる。また本発明は、土壌表面に活藻類を散布させ繁殖させることで、当該活藻類から分泌された粘着性物質または活藻類よって構成された捕捉構造により効率よく種子等を捕捉することができる。
試験環境である山(実験区)の1つ分を模式的に示す模式図である。
[自然侵入促進工法]
本発明の自然侵入促進工法(以下、単に本工法という場合がある)は、活藻類を含む散布材を土壌表面に散布する。そして、当該土壌表面に活藻類を繁殖させるとともに、繁殖した活藻類の表面に分泌された粘着性物質または当該活藻類によって構成された捕捉構造により、飛来した種子または胞子を直接または間接的に捕捉する。これによって、本発明の自然侵入促進工法は、上記土壌表面における緑化を促進させる。尚、「種子または胞子」は、以下の説明において単に「種子等」という場合がある。
本発明に関し、種子とは、種子植物の種を指し、胞子とは、藻類、菌類、シダ植物、コケ植物、または原生生物などが形成する生殖細胞を指す。
本発明に関し、自然侵入とは、土壌表面に飛来した種子等が当該土壌表面において捕捉され発芽することを意味する。本発明は、自然侵入を確実に行い、これによって土壌表面の緑化を有意に促進させる。本発明において、上述する発芽は、種子の発芽だけでなく、胞子の発芽および繁殖を含む。
また本発明において活藻類とは、死滅していない藻類を指す。より具体的には活藻類とは、土壌表面に散布された後、当該土壌表面において生育可能な藻類および当該土壌表面において生育した藻類を意味する。活藻類は、後述する殺処理された藻類殺処理物とは区別される。
より具体的には、本工法は、土壌表面に少なくとも活藻類を散布し、当該活藻類を発芽させ繁殖させる。土壌表面において、活藻類は藻類本体の表面に粘着性物質を分泌し、または捕捉構造を構成し得る。
本発明において、捕捉構造とは、活藻類により構成された三次元的な構造であって飛来した種子等または枝葉等を捕捉可能な構造を指す。
より具体的には、捕捉構造としては、たとえば、網状構造若しくは凹凸構造等が挙げられる。上記網状構造とは、糸状等に生育した活藻類同士が絡み合って構成された網状の三次元的な網目構造を指す。また上記凹凸構造とは、形状を問わず生育した活藻類同士がランダムに重なり合って構成された構造を指す。
かかる活藻類が繁殖した土壌表面に種子等が飛来した場合、上記粘着性物質、または上記網状構造若しくは上記凹凸構造等の捕捉構造に種子等がしっかりと捕捉される。単なる裸地等に飛来した種子等は、風雨などで流出してしまい、当該裸地である土壌に根付かないことが多い。これに対し本工法は、上述のとおり種子等が活藻類にしっかりと捕捉されるため、発芽率が高く良好に緑化が促進される。
本発明において、飛来した種子等が活藻類に直接に捕捉されるとは、種子等が直接に活藻類の粘着性物質に固着し、または活藻類の捕捉構造に物理的に捕捉されることを意味する。一方、本発明において、飛来した種子等が活藻類に間接に捕捉されるとは、活藻類の粘着性物質または活藻類の捕捉構造に落下してきた枝葉などの飛来物が捕捉され、その後に飛来してきた種子等が当該飛来物に捕捉されることを意味する。
本工法は、種子等を捕捉するための基盤として活藻類を用いるため、環境を汚染することがない。
また本工法は、シートや樹脂など自然下での分解が困難な人工物を設置する作業が不要であり、施工が容易である。したがって、本工法は、広範な土壌表面や斜面にも十分に対応することができる。また、本工法は、飛来した種子等を活藻類によって直接または間接に捕捉する。そのため、飛来した種子等が風雨により流出することが防止され、自然侵入量を多く確保することができる。
また、本工法によれば、散布された活藻類が土壌表面に繁殖するため、土壌表面が適度な湿度に保たれやすい。したがって当該土壌表面は、飛来し捕捉された種子等が発芽し生育し易い環境を維持し得る。
以下に本工法についてさらに詳細に説明する。
(活藻類)
本工法に用いられる活藻類は、単細胞藻類、群体藻類、糸状もしくは枝状藻類、多核管状体藻類、多核嚢状体藻類、および葉状藻類等からなるグループから選択される1種の藻類またはこれらの組合せを含む。これらの6つの群は、生物学上の分類ではなく、主として藻類の形態上の特徴から判別される公知の群である。藻類は、世界中に繁殖が確認されるものが多く、本工法が実施される施工地の植生や環境に影響を及ぼし難い。特に施工地に繁殖する藻類の使用は、施工地の植生や環境への適性が高く好ましい。また藻類は、一般的にコケ類に比べて、散布後の初期の増殖が良好であり、本工法を実施後、速やかに自然侵入が促進され得る。
上記単細胞藻類は、その形態が単粒状藻体であるが、増殖するにつれて細胞集合体を形成するという特徴を有する一群の藻類である。
上記群体藻類(定数群体を含む)は、細胞が相互関係を持つことなく寄り集まっている、あるいは、何らかの相互関係を持って寄り集まっている、一群の藻類である。上記群体藻類は、増殖するにつれて相互に寄り集まって集合体を形成する特徴を有する一群である。
上記糸状藻類もしくは上記枝状藻類は、増殖するにつれて糸状あるいは枝分かれした藻体が相互に絡み合って房状またはネット状等に発達するという特徴を有する一群の藻類である。
上記多核管状体藻類は、増殖するにつれて管状細胞の中に多数の核が分散する藻類である。
上記多核嚢状体藻類は、増殖するにつれて嚢状細胞の中に多数の核が分散する藻類である。
葉状藻類は、成長するにつれて、海産のヒトエグサのように葉状に広がる特徴を有する一群である。
単細胞藻類は、糸状藻類または枝状藻類に比べて生育開始時期が早く、増殖力が旺盛であるため、早期に自然侵入が開始され得る。単細胞藻類は、繁殖により多数の細胞が寄り集まるため、本発明における凹凸構造として機能させ得る。
糸状藻類または枝状藻類は、単細胞藻類に比べて初期の増殖力はやや劣る傾向にあるが、土壌表面付近にて十分に増殖した場合に、糸状体により網状構造を構成し易い。
また群体藻類は、繁殖により形成された上記集合体を本発明における凹凸構造として機能させ得る。同様に葉状藻類も、葉状に繁殖するため、本発明における凹凸構造を構成しやすい。
また多核管状体藻類は、土壌表面付近にて十分に増殖した場合に、管状体により網状構造を構成し易く、本発明における網状構造として機能させ得る。
多核嚢状体藻類は、土壌表面付近にて十分に増殖した場合に、嚢状体の集合により凹凸構造を構成し易く、本発明における凹凸構造として機能させ得る。
本発明における活藻類は、生物の分類学上からいえば、藍藻類(藍藻網)、紅藻類(紅藻網)、褐色鞭毛藻類(褐色鞭毛藻綱)、渦鞭毛藻類(渦鞭毛藻綱)、黄色鞭毛藻類(黄色鞭毛藻綱)、黄緑色藻類(黄緑色藻網)、珪藻類(珪藻網)、真正眼点藻類(真正眼点藻綱)、ユーグレナ藻類(ユーグレナ藻網)、緑藻類(緑藻網)などを含む。上記活藻類は、土壌表層などに生育可能な藻類から適宜選択して用いることができる。尚、本発明では、シアノバクテリア(真正細菌)を従来(旧分類体系)の分類学に基づいて藻類(特には、藍藻類(藍藻綱))として扱う。
なお、本明細書における藻類の分類は主として「淡水藻類」(山岸高旺著;2007年、 株式会社内田老鶴圃出版)の記載に従うものとする。
たとえば、藍藻綱(Cyanophyceae)(シアノバクテリア(Cyanobacteria))としては、クロオコックス科(Chroococcaceae)、エントフィサリス科(Entophysalidaceae)、ツビエラ科(Tubiellaceae)、スチゴネマ科(Stigonemataceae)、カプソシラ科(Capsosiraceae)、ボルジネマ科(Borzinemataceae)、マスチゴクラズス科(Mastigocladaceae)、マスチゴクラドプシス科(Mastigocladopsidaceae)、ノストコプシス科(Nostochopsidaceae)、スキトネマ科(Scytonemataceae)、ミクロカエテ科(Microchaetaceae)、リブラリア科(Rivulariaceae)、ノストク科(Nostocaceae)、オスキラトリア科(Oscillatoriaceae)などを挙げることができる。
また、紅藻綱(Rhodophyceae)としては、ポルフィリジウム科(Porphyridiaceae)、キアニディウム科(Cyanidiaceae)、フラグモネマ科(Phragmonemataceae)などを挙げることができる。
また、褐色鞭毛藻綱(Cryptophyceae)としては、テトラゴニジウム科(Tetragonidiacae)などを挙げることができる。
また、渦鞭毛藻綱(Dinophyceae)としては、フィトジニウム科(Phytodiniaceae)、グロエオジニウム科(Gloeodiniaceae)などを挙げることができる。
また、黄色鞭毛藻綱(Chrysophyceae)としては、クリソカプサ科(Chrysocapsaceae)、ファエオタムニオン科(Phaeothamniaceae)などを挙げることができる。
また、黄緑色藻綱(Xanthophyceae)としては、プレウロクロリス科(Pleurochloridaceae)、スキアジウム科(Sciadiaceae)、カラキオプシス科(Characiopsidaceae)、クロロボトリス科(Chlorobotorydaceae)、トリボネマ科(Tribonemataceae)、ボトリジウム科(Botrydiaceae)、バウケリア科(Vaucheriaceae)などを挙げることができる。
また、珪藻綱(Bacillariophyceae)としては、コスキノジスクス科(Coscinodiscaceae)、ジアトマ科(Diatomaceae)、ユウノチア科(Eunotiaceae)、アクナンテス科(Achnanthaceae)、ナビクラ科(Naviculaceae)、エピテミア科(Epithemiaceae)、ニッキア科(Nitzchiaceae)、スリレラ科(Surirellaceae)などを挙げることができる。
また、真正眼点藻綱(Eustigmatophyceae)としては、ユウスチグマト科(Eustigmataceae)、シュードカラキオプシス科(Pseudocharaciopsidaceae)、クロロボトリス科(Chlorobotrydaceae)、モノドプシス科(Monodopsidaceae)などを挙げることができる。
また、ユーグレナ藻綱(Euglenophyceae)としては、ユーグレナ科(Euglenaceae)などを挙げることができる。
また緑藻綱(Chlorophyceae)としては、ペジノモナス科(Pedinomonadaceae)、クラミドモナス科(Chlamydomonadaceae)、ボロウボックス科(Volvocaceae)、グロエオコックス科(Gloeococcaceae)、クロロコックム科(Chlorococcaceae)、カラキオクロリス科(Charakiochloridaceae)、アクチノクロリス科(Actinochloridaceae)、グロエオデンドロ科(Gloeodendraceae)、カラキオシホン科(Characiosiphonaceae)、ミルメキア科(Myrmeciaceae)、パルメラ科(Palmellaceae)、クロロキトリ科(Chlorochytraceae)、カラキウム科(Characiaceae)、トレウバリア科(Treubariaceae)、クロレラ科(Chlorellaceae)、ボトリオコックス科(Botryococcaceae)、ラヂオコックス科(Radiococcaceae)、オオキスチス科(Oocystaceae)、コエラストリア科(Coelastraceae)、セネデスムス科(Scenedesumaceae)、ネオクロリス科(Neochloridaceae)、プロトシホン科(Protosiphonaceae)、クロロサルキナ科(Chlorosarcinaceae)、グロエオチラ科(Gloeotilaceae)、ミクロスポラ科(Microsporaceae)、プラシオラ科(Prasiolaceae)、カエトフォラ科(Chaetophoraceae)、オエドゴニウム科(Oedogoniaceae)、ウロトリクス科(Ulotorichaceae)、プレウラストルム科(Pleurastraceae)、トレンテポリア科(Trentepohliaceae)、クロロキブス科(Chlorokybaceae)、クレブソルミジウム科(Klebsormidiacea)、メソタエニウム科(Mesotaeniaceae)、デスミジウム科(Desmidiaceae)、ジグネマ科(Zygnemataceae)などを挙げることができる。
本発明に用いられる活藻類として、粘着性物質を良好に分泌するという観点からは、緑藻綱(Chlorophyceae)に分類される藻類を用いることが好ましい。中でもオオキスチス科プセウドキルクネリエラ属(Pseudokirchneriella)、デスミジウム科デスミジウム属(Desmididium)及びキリンドロキスチス属(Cylindrocystis)などからなるグループから選択される1種またはこれらの組合せは、粘着性物質の分泌が顕著であるためより好ましい。尚、本発明において粘着性物質とは、種子等を活藻類に直接または間接に固着させるに足る程度の粘着力を持つ物質であって、活藻類より生成され分泌された物質全般を指す。
また本発明に用いられる活藻類として、網状構造を良好に構成するという観点からは、緑藻綱(Chlorophyceae)に分類される藻類を用いることが好ましい。中でもウロトリクス科クレブスオルミジウム属(Klebsormidium)、トレンテポリア科トレンテポリア属(Trentepohlia)、及びカエトフォラ科スポンギオプラスチジウム属(Spongioplastidium) などからなるグループから選択される1種またはこれらの組合せは、糸状体を呈し、互いに絡み合いながら繁殖するため網状構造を構成し易く好ましい。
また本発明に用いられる活藻類として、凹凸構造を良好に構成するという観点からは、黄緑色藻綱(Xanthophyceae)に分類される藻類を用いることが好ましい。中でもボトリジウム科ボトリジウム属(Botoridium)、及びバウケリア科バウケリア属(Vaucheria) などからなるグループから選択される1種またはこれらの組合せは、土壌表面に太い管状の細胞体や生卵器、あるいは大型で風船状の嚢状隊を形成して繁殖するため凹凸構造を構成し易く好ましい。
本発明に用いられる活藻類として、特に緑藻網に分類されるウロトリクス科クレブスオルミジウム属(Klebsormidium)は、糸状体が錯綜して増殖し、網状構造を呈する理由から本発明の活藻類として好ましい。
本発明において用いられる活藻類は、1種の藻類であってもよいし、2種以上の藻類の組み合わせであってもよい。活藻類として2種以上の藻類を組合せて用いる場合、たとえば粘着性物質を分泌し易い藻類、網状構造を構成し易い藻類、および凹凸構造を構成し易い藻類からなる群から選択される2種以上の藻類の組合せが好ましい。
上記活藻類の調製方法は特に限定されず、本工法の施工が実施される土壌表面に死滅していない状態で散布され得る範囲において、適宜の方法が採用され得る。
活藻類は、たとえば、任意の土壌に繁殖している藻類を採集し、所望の分類の藻類に適した培地を用いて培養し、当該所望の分類の藻類を分離し、分離された藻類を大量培養することによって得られる。上記藻類の採集地として、本工法の施工が予定される地域またはその周辺地域を選択することが好ましい。これによって、自然環境の変化を最小限にとどめることができるからである。つまり、本工法の施工が予定される地域またはその周辺地域に繁殖している藻類は、本工法における活藻類として好ましい態様の一つである。また藻類の採集地として、本工法の施工が予定される地域が属する国の任意の地域を選択することによって、外来種の藻類の混入を防止することができ好ましい。
藻類を採集して活藻類を調製する替りに、市販の藻類を活藻類として用いてもよい。
本発明に用いられる活藻類は、公知の藻類培養方法から適宜選択された方法で培養され、採集される。
たとえば分類学上「綱」のレベルで藻類を分離するために、藻類の培養に用いる培地は、目的の藻類に適した組成の培地を選択するとよい。ただし、本発明に用いられる藻類は、必ずしも1種に完全に純化されていなくてもよい。したがって、藻類を大量培養する際、藻類一般に用いられ得る大量培養用の培地が用いられてもよい。
本工法において、活藻類を含む散布材を土壌表面に散布する方法は特に限定されない。
培養された藻類は、たとえば以下のとおりi)からiii)に例示される方法で調整され、活藻類として土壌表面に散布され得る。
i)大量培養された藻類は、大型遠心分離機またはろ過装置などの固液分離装置で濃縮され、水分を適度に除去されることによって、ペースト状に調整されてよい。ペースト状の藻類は、たとえば、施工現場に輸送され、適度に希釈された状態で、活藻類として土壌表面に散布される。
ii)大量培養された藻類は、大型遠心分離機またはろ過装置などの固液分離装置で濃縮され、低温乾燥され粉砕されることによって、粉末状に調整されてよい。ここでいう低温乾燥を実施する手段は特に限定されないが、たとえば天日干しまたは60℃以下の送風乾燥などが挙げられる。粉末状の活藻類は、乾燥状態のまま動力散布機などで、土壌表面に散布されてもよいし、水などの液体に懸濁された懸濁物の状態で土壌表面に散布されてもよい。
iii)上記ii)により調整された粉末状の活藻類は、透水性、通気性、保水性のあるコーティング剤で包埋されることによって、粒状に製剤化されてもよい。コーティング剤としては、例えばゼラチン、種々の多糖体などが挙げられる。粒状に製剤化された活藻類は、散布作業が容易であり、またコーティング剤の性状によっては土壌表面に対する付着性が良好である。また、コーティング剤は活藻類の養分になり得る。上記製剤化には、マイクロカプセル化が含まれる。
本工法において、活藻類を含む散布材とは、実質的に活藻類のみを含む散布材であってもよいし、活藻類に加え任意の他の材料が含まれた散布材であってもよい。
また上記散布材は、活藻類に加え他の材料(成分)を1以上含む場合、全ての材料が懸濁または混合されるなどして調製された1種類の散布材であってもよい。この場合には、全ての材料は、実質的に同時に土壌表面に散布される。
また上記散布材は、活藻類に加え、他の材料(成分)を1以上含む場合、これらの材料の少なくとも1つが他の1つと独立に取り扱われてもよい。独立に扱われる2以上の材料は、実質的に同時に散布されてもよいし、散布工程が互いに前後してもよい。本工法は、例えば、散布材に含まれる成分として、活藻類、成分A、および成分Bを有する場合、第一散布工程において活藻類および成分Aの懸濁物を土壌表面に散布し、その後、第二散布工程において成分Bを当該土壌表面に散布してもよい。また本工法は、上記活藻類、上記成分A、および上記成分Bを、任意の順でそれぞれ散布してもよい。
土壌表面に対する活藻類の散布量は特に限定されず、本工法が施工される土壌表面の周囲の環境、施工時の季節、温度などを加味して適宜決定することができる。
本工法において、活藻類の散布量は30g/m以下であることが好ましく、25g/m以下であることがより好ましい。かかる範囲にすることで、経済的な不利益なく、飛来した種子等を直接または間接に良好に捕捉することができる。
一方、本工程を実施後、短い期間(例えば数週間程度)で、飛来した種子等を良好に捕捉可能な状態を実現するという観点からは、活藻類の散布量は、1g/m以上であることが好ましく、2g/m以上であることがより好ましく、4g/m以上であることがさらに好ましい。
尚、ここでいう活藻類の散布量は、活藻類の乾燥質量を示している。
(藻類殺処理物)
本工法は、上述する活藻類に加え、藻類殺処理物を散布することが好ましい。即ち、本発明に用いられる散布材は、殺処理された藻類からなる藻類殺処理物を含んでもよい。
本工法において活藻類とともに藻類殺処理物を散布することによって、当該活藻類の初期の成長を良好に促進させることができる。この結果、本工法の実施後、短期間(たとえば1〜2週間程度)で、飛来した種子等の捕捉量を有意に増大させて緑化を促進することが可能である。
本発明において殺処理された藻類からなる藻類殺処理物とは、熱処理等の任意の手段により死滅させた藻類からなる処理物を意味する。ここで死滅させた藻類とは、土壌表面に散布されても、当該土壌表面において生育することができず、土壌微生物等に分解され得る藻類またはその分解物を指す。
上記藻類殺処理物を調製するために用いられる藻類は、上述する活藻類の調製に用いられる藻類として例示されるもの、または海藻類の中から適宜選択して使用することができる。海藻類としては、たとえば、ワカメ、コンブ、またはヒジキ等の褐藻類、アオクサノリ、またはテングサなどの紅藻類、ならびにアオサまたはアオノリ等の緑藻類が例示される。
藻類殺処理物に用いられる藻類は、1種の藻類であってもよいし、2種以上の藻類の組合せであってもよい。活藻類に用いられる藻類と、藻類殺処理物に用いられる藻類は、同じであってもよいし異なっていてもよい。
藻類殺処理物は、タンパク質を含むことが好ましい。高タンパクの藻類殺処理物を活藻類とともに散布した場合に、当該活藻類の初期の生育が良好に促進される傾向にある。また、藻類殺処理物に含まれるタンパク質は、土壌微生物の増殖にも寄与し、結果として土を豊かにし、捕捉された種子等の発芽、生育に好ましい影響を与え得る。
かかる理由から、藻類殺処理物を調製するために用いられる藻類は、タンパク質を40質量%以上含むことがより好ましく、50質量%以上含むことがさらに好ましく、55質量%以上含むことが特に好ましい。高タンパク質の藻類を用いて調製された藻類殺処理物は、当該高タンパク質の藻類と同等以上のタンパク質を含みうる。
高タンパク質の藻類の例としては、たとえば藍藻網に属するスピルリナ属、緑藻網に属するクロレラ属、または海藻類を挙げることができるが、これに限定されない。
藻類以外の天然物由来のタンパク質源として、たとえば魚粉などが知られる。しかし魚粉は、油含有量が多く、また重金属が含まれている可能性がある。そのため、魚粉を土壌表面に散布した場合、環境保全上、好ましくない場合がある。これに対し、藻類殺処理物は、藻類の成長に良好な影響を与える上、種々の土壌微生物の活性をバランスよく上げることが可能であり、環境保全上も問題がない。
また藻類殺処理物は、タンパク質を含むとともに、さらに糖質、脂質および灰分(以下、糖質等ともいう)からなる群から選択された少なくともいずれか一種を含むことが好ましい。中でも糖質または灰分の少なくともいずれか一方を含むことがより好ましい。これによって、土壌に散布された活藻類の初期の成長をさらに促進させることができるとともに、捕捉された種子等の生育にも望ましい影響を与え得る。上述する糖質等は、いずれも藻類由来のものであることが好ましい。また上記灰分は、不燃性の鉱物質を指し、例えばカルシウム、鉄、ナトリウム、およびミネラルよりなるグループから選択されたいずれか1種、または2種以上の組合せを指す。
タンパク質を含むとともに、さらに糖質等の少なくともいずれか一種を含む藻類の例としては、たとえば藍藻網に属するスピルリナ属、緑藻網に属するクロレラ属、または海藻類を挙げることができるが、これに限定されない。
少なくともタンパク質を含む藻類殺処理物を得る方法は特に限定されない。たとえば、少なくともタンパク質を含む藻類を用い、適度に低い温度で熱処理することによって有効な成分を残しつつ藻類を殺処理することが可能である。ここで適度に低い温度とは、たとえば、60℃以上200℃以下でることが好ましく、80℃以上180℃以下であることがより好ましく、100℃以上120℃以下であることがさらに好ましい。熱処理の温度が60℃未満であると、藻類が完全に死滅しない場合がある。また熱処理の温度が200℃を超えると、タンパク質、または糖質等の一部または全部が熱分解され消失する虞がある。
藻類殺処理物の調製方法は、例えば以下の例が挙げられる。
(殺処理方法1)
緑藻類からクロレラ原末を調製し、これを熱水抽出処理してクロレラエキスとクロレラエキス抽出残渣とに分離する。そして、クロレラエキス抽出残渣を、たとえば280℃以上350℃以下の範囲の温度に設定された熱対流式乾燥機で乾燥するとともに粉末化し、これによって粉末化された藻類殺処理物を得ることができる。
(殺処理方法2)
培養された藻類を、遠心分離器により固液分離し、濃縮された培養物を水洗浄する。上記固液分離および上記水洗浄を繰り返し、培地成分が除去された分離物を得る。そして上記分離物をスプレイドライヤーまたはドラムドライヤーなどで熱処理することで藻類を死滅させるとともに粉末化する。これによって粉末化された藻類殺処理物を得ることができる。上記熱処理における処理温度は特に限定されないが、60℃以上200℃以下の範囲であることが好ましい。
(殺処理方法3)
培養された藻類を、超音波処理またはホモイナイザーなどで破砕処理し、次いで水洗浄して水分をろ過する。上述する破砕処理、水洗浄、およびろ過を繰り替えし、培地成分が除去された処理物を得る。当該処理物を、上記殺処理方法2と同様の方法で熱処理することによって、藻類殺処理物を得ることができる。
(粘着性付与物質)
本工程に用いられる散布材は、さらに粘着性付与物質を含んでいてもよい。活藻類とともに粘着性付与物質が散布されることによって、散布後、風雨などの影響により、生育する前の活藻類が土壌表面から流出することが防止される。
加えて、散布された活藻類が良好に種子等を捕捉する状態になる前の期間においても、粘着性付与物質により種子等を捕捉することが可能である。また、粘着性付与物質は、土壌表面に生育した活藻類同士を固着させ、あるいは生育した活藻類と小枝や落ち葉等とを固着させ、土壌表面を複雑にさせ得る。これにより土壌表面において、物理的に種子等が捕捉され易い。また粘着性付与物質は、散布された活藻類が粘着性物質を分泌し、または網状構造もしくは凹凸構造等の捕捉構造を構成した後も、種子等の捕捉に良好に関与し得る。
上記粘着性付与物質としては、ポリグルタミン酸、ゼラチン、または寒天などの高分子ポリマー等を挙げることができる。取り扱い性が容易であるという観点から、粘着性付与物質は、乾燥状態では粘着性がなく、または粘着性が弱く、含水した状態で粘着性が有意に発揮されるものが好ましい。また、環境保全の観点から、粘着性付与物質は生分解性であることが好ましい。
中でも、ポリグルタミン酸は、粘着性付与物質として好ましい。ポリグルタミン酸は、散布後、一定の期間は粘着性付与物質としての役割を十分に果たし、かつ活藻類が土壌表面に繁茂する頃には土壌微生物に分解され得る。分解されたポリグルタミン酸は、活藻類に捕捉された種子等の根からの栄養分の吸収を助けるため、上記種子等の生育に貢献する。
ポリグルタミン酸は、天然由来のγ−ポリグルタミン酸であってもよいし、人工的に合成されたポリグルタミン酸であってもよい。ポリグルタミン酸は、一般に市販されているものであってもよい。
(繊維材)
本工法に用いられる散布材は、繊維材が含まれていてもよい。散布材に繊維材が含有されることで、当該散布材の散布後、短期間において風雨の影響を受けた際に、活藻類等の流出が防止される。
また、散布材に繊維材およびポリグルタミン酸などの粘着性付与物質が含まれている場合、粘着性付与物質が繊維材同士を結着させて三次元構造を形成させ得る。繊維材同士による上記三次元構造は、土壌表面から活藻類等が流出することを、より効果的に防止するとともに、種子等の捕捉を助ける。
上記繊維材は、繊維質を含み、土壌表面に散布可能な材料であればよい。たとえば、市販品としては、パルプを主原料とした吹付播種用被覆保護材料などが知られており、これらは自然環境下で土壌菌類等により徐々に分解される。市販品の具体例としては、苫小牧王子紙業株式会社製の王子ファイバー(登録商標)などが挙げられるが、これに限定されない。
(肥料)
本工法に用いられる散布材は、捕捉された種子等の生育または活藻類の生育を促進させるという観点から、さらに肥料が含まれていてもよい。
肥料としては、たとえば、有機物を原料とした有機肥料、無機物を原料とした無機肥料、および化学的に合成された化学肥料のいずれか1種以上が挙げられる。中でも、化学肥料の原料や単肥を混合し化学的な処理を施すことによって生成された化成肥料は、散布材に含まれる肥料として好ましい。上記化成肥料は、窒素、リン酸、酸化マグネシウム(苦土)およびカリウムから選択される2種以上の成分を含んでいることが好ましく、特に酸化マグネシウムと、他の1種以上の成分を含むものがより好ましい。酸化マグネシウムが活藻類の生育を促進させ得るからである。
市販される化成肥料の例としては、たとえば、ジェイカムアグリ株式会社製のグリーンホスカ(登録商標)(細粒)またはバーディーエース(登録商標)1号(細粒)などが挙げられるが、これに限定されない。グリーンホスカ(細粒)は、緩効性肥料(ジェイカムアグリ株式会社製、商品名CDU)、即効性窒素、カリウムおよび苦土を含む。バーディーエース1号(細粒)は、苦土、および緩効性肥料(ジェイカムアグリ株式会社製、商品名IB)を含む。
[散布材]
以下に、本発明の散布材について説明する。本発明の散布材は、上述する自然侵入促進工法に用いられる。上記散布材は、少なくとも活藻類を含む。
上記散布材は、活藻類に加え、藻類殺処理物、ポリグルタミン酸などの粘着性付与物質、肥料、および繊維材からなる群から選択されるいずれか、または2種以上を含んでいることが好ましい。中でも、散布材は、活藻類に加え、藻類殺処理物および粘着性付与物質を含んでいることがより好ましく、藻類殺処理物、ポリグルタミン酸などの粘着性付与物質、肥料、および繊維材を全て含んでいることが特に好ましい。
本発明の散布材に含まれる活藻類、藻類殺処理物、粘着性付与物質、肥料、および繊維材は、それぞれ上述する自然侵入促進工法に関する説明が参照されるため、ここでは詳細の説明を割愛する。
本発明の散布材は、活藻類および任意の他の成分が混合された混合物であってもよい。当該混合物は、乾燥状態で散布されてもよいし、水などの液体に予め懸濁されて半流動体に調整され、その状態で散布されてもよい。
また本発明の散布材は、活藻類および任意の他の成分が、個別に管理されたセットであってもよい。セットを構成する各成分は、順次、散布されてもよいし、施工現場で混合されて同時に散布されてもよい。
本発明の散布材は、取り扱い性および運搬性に優れ、また土壌表面に対する散布作業も容易である。本発明の散布材を土壌表面に散布することにより、上述する自然侵入促進工法の実施により発揮される効果と同様の効果が得られる。
活藻類に対する藻類殺処理物の質量比は、活藻類の質量(g):藻類殺処理物の質量(g)=100:0〜50:50の範囲であることが好ましく、活藻類の質量(g):藻類殺処理物の質量(g)=90:10〜70:30の範囲であることがより好ましい。
また活藻類に対する粘着性付与物質の質量比は、活藻類の質量(g):粘着性付与物質の質量(g)=100:0〜10:90の範囲であることが好ましく、活藻類の質量(g):粘着性付与物質の質量(g)=70:30〜20:80の範囲であることがより好ましく、活藻類の質量(g):粘着性付与物質の質量(g)=50:50〜30:70であることがさらに好ましい。
上述する質量比は、いずれも本願発明を限定するものではなく、また当該質量比は、散布材が散布される環境若しくは季節、または散布材に含まれる他の材料の種類若しくは含有量などを勘案して適宜決定することができる。
尚、上記数値範囲を示す質量比は、いずれも乾燥質量における質量比である。
各実施例および比較例に用いる散布材を以下の内容で調整した。
(実施例1)
活藻類乾燥粉末(緑藻網クレブスオルミジウム属)4g
ファイバー(商品名;王子ファイバー、苫小牧王子紙業株式会社製)60g
化成肥料(商品名;グリーンホスカ(細粒)、ジェイカムアグリ株式会社製)100g
(実施例2)
活藻類乾燥粉末(緑藻網クレブスオルミジウム属)4g
ファイバー(商品名;王子ファイバー、苫小牧王子紙業株式会社製)60g
化成肥料(商品名;グリーンホスカ(細粒)、ジェイカムアグリ株式会社製)100g
藻類殺処理物(緑藻綱クロレラ科)1g
γ−ポリグルタミン酸(商品名;納豆菌ガム、味丹会社製)9g
(比較例1)
ファイバー(商品名;王子ファイバー、苫小牧王子紙業株式会社製)60g
化成肥料(商品名;グリーンホスカ(細粒)、ジェイカムアグリ株式会社製)100g
(活藻類乾燥粉末の調製方法)
まず顕微鏡で選定を行った標的藻類(緑藻網クレブスオルミジウム)を、BBM培地を用い、フラスコで10日間培養した。培養された藻類を遠心分離機で固液分離し、回収されたペースト状の個体を、天日により乾燥させ、これによって活藻類乾燥粉末を得た。
(藻類殺処理物の調製方法)
まず顕微鏡で選定を行った標的藻類(緑藻綱クロレラ科)を、BBM培地を用い、フラスコで10日間培養した。培養された藻類を遠心分離機で固液分離し、回収されたペースト状の個体を、100℃でスプレイドライし、これによって藻類殺処理物を得た。
(試験環境の調整)
試験環境は以下のとおり調整した。即ち、市販の赤玉土と黒土とを1:1の割合で混合し混合土を準備した。そして岐阜県の屋外の日当たりの良い平地において、上記混合土を用い、傾斜角15度の斜面を有する略台形形状の山を並列して6つ作成した。そして、角材と紐糸を用い、各斜面に1辺1mの正方形の領域を1つずつ確保した。図1に、試験環境100を模式的に示す。図1は、試験環境100である上記山(実験区)の1つ分を模式的に示す模式図であり、角材および紐糸の図示を省略している。1つの実験区である試験環境100は、傾斜角度θ=15度であり1m×1mの正方形の斜面20を備える。後述するとおり、斜面20には、散布材10が散布される。
(自然侵入促進試験および観察)
上述する実施例および比較例の散布材を用い、下記のとおり自然侵入促進効果試験を行った。試験は、散布材毎に2つの実験区(n=2)で実施した。
各散布材(散布材10)をそれぞれ水2Lに懸濁させ、手撒きにて上記正方形の領域(斜面20)に略均等に散布した。散布材の散布量は、活藻類(乾燥重量)4g/mとなるよう調整した。
試験は、2018年10月1日から開始した。2018年10月1日から同年11月15日までの期間における合計降雨量は87.5mm、最大日雨量は同年10月6日における28mmであった。
散布後12日目に、土壌表面を以下の方法で観察した。
各実施例および比較例の実験区において、観察領域として、実験区ごとに、無作為に5箇所(10cm×10cmの四方形の領域)を選択した。そして、それぞれの観察領域をマクロ撮影により観察し藻類の生育状況を観察した。その結果、実施例1では、いずれの観察領域においても部分的に藻類が繁殖していることが確認された。一方、実施例2は、いずれの観察領域においても略全体に藻類の繁殖が確認された。また比較例1は、いずれの観察領域においても藻類の繁殖は確認されなかった。
上記観察結果から、実施例ではいずれも散布後、短期間に藻類の繁殖が確認された。また藻類殺処理物を含む実施例2は、実施例1と比較して顕著に藻類の生育が活発であることが確認された。
また各実施例および比較例の実験区において、0日目、31日目および46日目の草木の発芽数をカウントした。結果は、表1に示す。
表1に示すとおり、いずれの実施例も、比較例に対し、有意に多い発芽数が確認された。藻類殺処理物を含む実施例2は、実施例1に比べて、31日目、46日目のいずれにおいても発芽数が有意に多かった。
Figure 0006734500
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)活藻類を含む散布材を土壌表面に散布し、
前記活藻類を繁殖させるとともに、
当該活藻類の表面に分泌された粘着性物質または当該活藻類によって構成された捕捉構造により、飛来した種子または胞子を直接または間接的に捕捉し、前記土壌表面における緑化を促進させることを特徴とする自然侵入促進工法。
(2)前記活藻類の散布量が当該活藻類の乾燥重量において30g/m以下である上記(1)に記載の自然侵入促進工法。
(3)前記散布材が、殺処理された藻類からなる藻類殺処理物を含む上記(1)または(2)に記載の自然侵入促進工法。
(4)殺処理された前記藻類殺処理物が、タンパク質を含むとともに、糖質、脂質および灰分からなる群から選択された少なくともいずれか一種を含む上記(3)に記載の自然侵入促進工法。
(5)前記散布材が、粘着性付与物質を含む上記(1)から(4)のいずれか一項に記載の自然侵入促進工法。
(6)上記(1)から(5)のいずれか一項に記載の自然侵入促進工法に用いられる散布材であって、活藻類を含むことを特徴とする散布材。
10・・・散布材
20・・・斜面
100・・・試験環境
θ・・・傾斜角度


Claims (6)

  1. 活藻類を含む散布材を裸地等である土壌表面に散布し、
    前記活藻類を繁殖させるとともに、
    当該活藻類の表面に分泌された粘着性物質または当該活藻類によって構成された捕捉構造より、飛来した種子または胞子を直接または間接的に捕捉し、前記土壌表面における緑化を促進させることを特徴とする自然侵入促進工法。
  2. 前記活藻類の散布量が当該活藻類の乾燥重量において30g/m以下である請求項1に記載の自然侵入促進工法。
  3. 前記散布材が、殺処理された藻類からなる藻類殺処理物を含む請求項1または2に記載の自然侵入促進工法。
  4. 殺処理された前記藻類殺処理物が、タンパク質を含むとともに、糖質、脂質および灰分からなる群から選択された少なくともいずれか一種を含む請求項3に記載の自然侵入促進工法。
  5. 前記散布材が、粘着性付与物質を含む請求項1から4のいずれか一項に記載の自然侵入促進工法。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の自然侵入促進工法に用いられる散布材であって、活藻類を含むことを特徴とする散布材。
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