以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1から図33を参照し、第1実施形態として、本発明をパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)10に適用した場合の一実施形態について説明する。図1は、第1実施形態におけるパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機10の後面図である。
図1に示すように、パチンコ機10は、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
内枠12には、多数の釘や入賞口63,64等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の正面を球(遊技球)が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の正面領域に発射する球発射ユニット112a(図4参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の正面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。
内枠12の正面側には、その正面上側を覆う正面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。正面枠14及び下皿ユニット15を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として正面枠14及び下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と正面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
正面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。正面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の正面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。
正面枠14には、球を貯留する上皿17が正面側へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112a(図4参照)へと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置81(図2参照)で表示される演出のステージを変更したり、スーパーリーチの演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
正面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29〜33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29〜33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29〜33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。また、正面枠14の正面視(図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。
また、右側の電飾部32下側には、正面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13正面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等がパチンコ機10の正面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29〜33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の正面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設される。
操作ハンドル51の内部には、球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ51aと、押下操作している期間中には球の発射を停止する発射停止スイッチ51bと、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)などが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回動操作されると、タッチセンサ51aがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が回動操作量に対応して変化し、その可変抵抗器の抵抗値に対応した強さ(発射強度)で球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の正面へ球が打ち込まれる。また、操作ハンドル51が遊技者により操作されていない状態においては、タッチセンサ51aおよび発射停止スイッチ51bがオフとなっている。
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。この球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、上述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿53が取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工したベース板60に、球案内用の多数の釘や風車(図示せず)の他、レール61,62、一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、第一可変入賞装置65、第2可変入賞装置(図示せず)、スルーゲート67、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12(図1参照)の裏面側に取り付けられる。ベース板60は光透過性の樹脂材料からなり、その正面側からベース板60の後面側に配設された各種構造体を遊技者に視認させることが可能に形成される。一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、第1可変入賞装置65、第2可変入賞装置(図示せず)、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の正面側からタッピングネジ等により固定されている。
遊技盤13の正面中央部分は、正面枠14の窓部14c(図1参照)を通じて内枠12の正面側から視認することができる。以下に、主に図2を参照して、遊技盤13の構成について説明する。
遊技盤13の正面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の正面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16(図1参照)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の正面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の正面であって2本のレール61,62とレール間を繋ぐ樹脂製の外縁部材73とにより区画して形成される領域(入賞口等が配設され、発射された球が流下する領域)である。
2本のレール61,62は、球発射ユニット112a(図4参照)から発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。
遊技領域の正面視左側下部(図2の左側下部)には、発光手段である複数のLED及び7セグメント表示器を備える第1図柄表示装置37A,37Bが配設されている。第1図柄表示装置37A,37Bは、主制御装置110(図4参照)で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。本実施形態では、第1図柄表示装置37A,37Bは、球が、第1入賞口64へ入賞したか、第2入賞口640へ入賞したかに応じて使い分けられるように構成されている。具体的には、球が、第1入賞口64へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Aが作動し、一方で、球が、第2入賞口640へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Bが作動するように構成されている。
また、第1図柄表示装置37A,37Bは、LEDにより、パチンコ機10が確変中か時短中か通常中であるかを点灯状態により示したり、変動中であるか否かを点灯状態により示したり、停止図柄が確変大当たりに対応した図柄か普通大当たりに対応した図柄か外れ図柄であるかを点灯状態により示したり、保留球数を点灯状態により示すと共に、7セグメント表示装置により、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行う。なお、複数のLEDは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組み合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。
尚、本パチンコ機10では、第1入賞口64及び第2入賞口640へ入賞があったことを契機として抽選が行われる。パチンコ機10は、その抽選において、大当たりか否かの当否判定(大当たり抽選)を行うと共に、大当たりと判定した場合はその大当たり種別の判定も行う。ここで判定される大当たり種別としては、15R確変大当たり、4R確変大当たり、15R通常大当たりが用意されている。第1図柄表示装置37A,37Bには、変動終了後の停止図柄として抽選の結果が大当たりであるか否かが示されるだけでなく、大当たりである場合はその大当たり種別に応じた図柄が示される。
ここで、「15R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が15ラウンドの大当たりの後に高確率状態へ移行する確変大当たりのことであり、「4R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が4ラウンドの大当たりの後に高確率状態へ移行する確変大当たりのことである。また、「15R通常大当たり」は、最大ラウンド数が15ラウンドの大当たりの後に、低確率状態へ移行すると共に、所定の変動回数の間(例えば、100変動回数)は時短状態となる大当たりのことである。
また、「高確率状態」とは、大当たり終了後に付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確率変動中(確変中)の時をいい、換言すれば、特別遊技状態へ移行し易い遊技の状態のことである。本実施形態における高確率状態(確変中)は、後述する第2図柄の当たり確率がアップして第2入賞口640へ球が入賞し易い遊技の状態を含む。「低確率状態」とは、確変中でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、確変の時より大当たり確率が低い状態をいう。また、「低確率状態」のうちの時短状態(時短中)とは、大当たり確率が通常の状態であると共に、大当たり確率がそのままで第2図柄の当たり確率のみがアップして第2入賞口640へ球が入賞し易い遊技の状態のことをいう。一方、パチンコ機10が通常中とは、確変中でも時短中でもない遊技の状態(大当たり確率も第2図柄の当たり確率もアップしていない状態)である。
確変中や時短中は、第2図柄の当たり確率がアップするだけではなく、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間も変更され、通常中と比して長い時間が設定される。電動役物640aが開放された状態(開放状態)にある場合は、その電動役物640aが閉鎖された状態(閉鎖状態)にある場合と比して、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態となる。よって、確変中や時短中は、第2入賞口640へ球が入賞し易い状態となり、大当たり抽選が行われる回数を増やすことができる。
なお、確変中や時短中において、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開放時間を変更するのではなく、または、その開放時間を変更することに加えて、1回の当たりで電動役物640aが開放する回数を通常中よりも増やす変更を行うものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2図柄の当たり確率は変更せず、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間および1回の当たりで電動役物640aが開放する回数の少なくとも一方を変更するものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間や、1回の当たりで電動役物640aを開放する回数はせず、第2図柄の当たり確率だけを、通常中と比してアップするよう変更するものであってもよい。
遊技領域には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1入賞口64及び第2入賞口640への入賞(始動入賞)をトリガとして、第1図柄表示装置37A,37Bにおける変動表示と同期させながら、第3図柄の変動表示を行う液晶ディスプレイ(以下単に「表示装置」と略す)で構成された第3図柄表示装置81と、スルーゲート67の球の通過をトリガとして第2図柄を変動表示するLEDで構成される第2図柄表示装置(図示せず)とが設けられている。また、可変表示装置ユニット80には、第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。
第3図柄表示装置81は9インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成されるものであり、表示制御装置114(図4参照)によって表示内容が制御されることにより、例えば上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄(第3図柄)によって構成され、これらの第3図柄が図柄列毎に横スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。本実施形態の第3図柄表示装置81は、主制御装置110(図4参照)の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37A,37Bで行われるのに対して、その第1図柄表示装置37A,37Bの表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、表示装置に代えて、例えばリール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
第2図柄表示装置は、球がスルーゲート67を通過する毎に表示図柄(第2図柄(図示せず))としての「○」の図柄と「×」の図柄とを所定時間交互に点灯させる変動表示を行うものである。パチンコ機10では、球がスルーゲート67を通過したことが検出されると、当たり抽選が行われる。その当たり抽選の結果、当たりであれば、第2図柄表示装置において、第2図柄の変動表示後に「○」の図柄が停止表示される。また、当たり抽選の結果、外れであれば、第2図柄表示装置において、第3図柄の変動表示後に「×」の図柄が停止表示される。
パチンコ機10は、第2図柄表示装置における変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に、第2入賞口640に付随された電動役物640aが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。
第2図柄の変動表示にかかる時間は、遊技状態が通常中の場合よりも、確変中または時短中の方が短くなるように設定される。これにより、確変中および時短中は、第2図柄の変動表示が短い時間で行われるので、当たり抽選を通常中よりも多く行うことができる。よって、当たり抽選において当たりとなる機会が増えるので、第2入賞口640の電動役物640aが開放状態となる機会を遊技者に多く与えることができる。よって、確変中および時短中は、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態とすることができる。
なお、確変中または時短中において、当たり確率を高める、1回に当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を増やすなど、その他の方法によっても、確変中または時短中に第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態としている場合は、第2図柄の変動表示にかかる時間を遊技状態にかかわらず一定としてもよい。一方、第2図柄の変動表示にかかる時間を、確変中または時短中において通常中よりも短く設定する場合は、当たり確率を遊技状態にかかわらず一定にしてもよいし、また、1回の当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を遊技状態にかかわらず一定にしてもよい。
スルーゲート67は、可変表示装置ユニット80の下側の領域における右方において遊技盤に組み付けられ、遊技盤に発射された球のうち、遊技盤の右方を流下する球の一部が通過可能に構成されている。スルーゲート67を球が通過すると、第2図柄の当たり抽選が行われる。当たり抽選の後、第2図柄表示装置にて変動表示を行い、当たり抽選の結果が当たりであれば、変動表示の停止図柄として「○」の図柄を表示し、当たり抽選の結果が外れであれば、変動表示の停止図柄として「×」の図柄を表示する。
球のスルーゲート67の通過回数は、合計で最大4回まで保留され、その保留球数が上述した第1図柄表示装置37A,37Bにより表示されると共に第2図柄保留ランプ(図示せず)においても点灯表示される。第2図柄保留ランプは、最大保留数分の4つ設けられ、第3図柄表示装置81の下方に左右対称に配設されている。
なお、第2図柄の変動表示は、本実施形態のように、第2図柄表示装置において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、第2図柄保留ランプの点灯を第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、スルーゲート67の球の通過に対する最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、スルーゲート67の組み付け数は1つに限定されるものではなく、複数(例えば、2つ)であっても良い。また、スルーゲート67の組み付け位置は可変表示装置ユニット80の右方に限定されるものではなく、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。また、第1図柄表示装置37A,37Bにより保留球数が示されるので、第2図柄保留ランプにより点灯表示を行わないものとしてもよい。
可変表示装置ユニット80の下方には、球が入賞し得る第1入賞口64が配設されている。この第1入賞口64へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第1入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Aで示される。
一方、第1入賞口64の正面視右方には、球が入賞し得る第2入賞口640が配設されている。この第2入賞口640へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第2入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第2入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Bで示される。
球の第1入賞口64、第2入賞口640の通過回数は、それぞれ、合計で最大4回まで保留され、その保留球数が上述した第1図柄表示装置37A,37Bにより表示される。更に、例えば、第1入賞口64の保留球数が多いほど、表示装置での変動表示期間として短い期間が選択されやすい制御とされる。同様に、第2入賞口640も制御される。
また、第1入賞口64および第2入賞口640は、それぞれ、球が入賞すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。なお、本実施形態においては、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを同じに構成したが、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを異なる数、例えば、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を3個とし、第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を5個として構成してもよい。
第2入賞口640には電動役物640aが付随されている。この電動役物640aは開閉可能に構成されており、通常は電動役物640aが閉鎖状態(縮小状態)となって、球が第2入賞口640へ入賞しにくい状態となっている。一方、スルーゲート67への球の通過を契機として行われる第2図柄の変動表示の結果、「○」の図柄が第2図柄表示装置に表示された場合、電動役物640aが開放状態(拡大状態)となり、球が第2入賞口640へ入賞しやすい状態となる。
上述した通り、確変中および時短中は、通常中と比して第2図柄の当たり確率が高く、また、第2図柄の変動表示にかかる時間も短いので、第2図柄の変動表示において「○」の図柄が表示され易くなって、電動役物640aが開放状態(拡大状態)となる回数が増える。更に、確変中および時短中は、電動役物640aが開放される時間も、通常中より長くなる。よって、確変中および時短中は、通常時と比して、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態を作ることができる。
ここで、第1入賞口64に球が入賞した場合と第2入賞口640へ球が入賞した場合とで、大当たりとなる確率は、低確率状態であっても高確率状態でも同一である。しかしながら、大当たりとなった場合に選定される大当たりの種別として15R確変大当たりとなる確率は、第2入賞口640へ球が入賞した場合のほうが第1入賞口64へ球が入賞した場合よりも高く設定されている。一方、第1入賞口64は、第2入賞口640にあるような電動役物は有しておらず、球が常時入賞可能な状態となっている。
よって、通常中においては、第2入賞口640に付随する電動役物が閉鎖状態にある場合が多く、第2入賞口640に入賞しづらいので、電動役物のない第1入賞口64へ向けて、可変表示装置ユニット80の左方を球が通過するように球を発射し(所謂「左打ち」)、第1入賞口64への入賞によって大当たり抽選の機会を多く得て、大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
一方、確変中や時短中は、スルーゲート67に球を通過させることで、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放状態となりやすく、第2入賞口640に入賞しやすい状態であるので、第2入賞口640へ向けて、可変表示装置80の右方を球が通過するように球を発射し(所謂「右打ち」)、スルーゲート67を通過させて電動役物を開放状態にすると共に、第2入賞口640への入賞によって15R確変大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
このように、本実施形態のパチンコ機10は、パチンコ機10の遊技状態(確変中であるか、時短中であるか、通常中であるか)に応じて、遊技者に対し、球の発射の仕方を「左打ち」と「右打ち」とに変えさせることができる。よって、遊技者に対して、球の打ち方に変化をもたらすことができるので、遊技を楽しませることができる。
第1入賞口64の上方右側には第1可変入賞装置65が配設されており、その略中央部分に特定入賞口65aが設けられている。パチンコ機10においては、第1入賞口64又は第2入賞口640への入賞に起因して行われた大当たり抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bを点灯させると共に、その大当たりに対応した停止図柄を第3図柄表示装置81に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、球が入賞し易い特別遊技状態(大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特定入賞口65aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
この特定入賞口65aは、所定時間が経過すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その特定入賞口65aが所定時間開放される。この特定入賞口65aの開閉動作は、最高で例えば15回(15ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
第1可変入賞装置65は、具体的には、特定入賞口65aを覆う正面視三角形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として右側に開閉駆動するための大開放口ソレノイド(図示せず)とを備えている。特定入賞口65aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には大開放口ソレノイドを駆動して開閉板を右側に傾倒し、球が特定入賞口65aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
なお、上記した形態に特別遊技状態は限定されるものではない。特定入賞口65aとは別に開閉される大開放口を遊技領域に設け、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて大当たりに対応したLEDが点灯した場合に、特定入賞口65aが所定時間開放され、その特定入賞口65aの開放中に、球が特定入賞口65a内へ入賞することを契機として特定入賞口65aとは別に設けられた大開放口が所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。また、特定入賞口65aは1つに限るものではなく、1つ若しくは2以上の複数(例えば3つ)を配置しても良く、また配置位置も第1入賞口64の下方右側や、第1入賞口64の下方左側に限らず、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。
遊技盤13の下側における右隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1が設けられ、貼着スペースK1に貼られた証紙等は、正面枠14の小窓35(図1参照)を通じて視認することができる。
遊技盤13には、第1アウト口71が設けられている。遊技領域を流下する球であって、いずれの入賞口63,64,65a,640にも入賞しなかった球は、第1アウト口71を通って図示しない球排出路へと案内される。第1アウト口71は、第1入賞口64の下方に配設される。
遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)とが配設されている。本実施形態においては、風車の内の一つ(可動部材310と称す)が遊技盤13の正面視左側上方に配設され、図2において図示されている。
図3に示すように、パチンコ機10の後面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100〜104に収納されている。基板ボックス100〜104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図4参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図4参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
次に、図4を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図4は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。主制御装置110では、MPU201によって、大当たり抽選や第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。
なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
RAM203は、各種エリア、カウンタ、フラグのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図示せず)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図示せず)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37A,37B、第2図柄表示装置、第2図柄保留ランプ、特定入賞口65aの開閉板の下辺を軸として正面側に開閉駆動するための大開放口ソレノイドや電動役物を駆動するためのソレノイドなど(駆動モータ5521、ソレノイド6521,6522,8521,8522を含む)からなるソレノイド209が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
また、入出力ポート205には、図示しないスイッチ群およびスライド位置検出センサSや回転位置検出センサRを含むセンサ群などからなる各種スイッチ208、電源装置115に設けられた後述のRAM消去スイッチ回路253が接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ回路253より出力されるRAM消去信号SG2に基づいて各種処理を実行する。
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回動操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための発射停止スイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出(変動表示)や予告演出といった表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、その他装置228、枠ボタン22などがそれぞれ接続されている。その他装置228には駆動モータ472が含まれる。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から受信した各種のコマンド(変動パターンコマンド、停止種別コマンド等)に基づいて、第3図柄表示装置81の表示態様を決定し、決定した表示態様をコマンド(表示用変動パターンコマンド、表示用停止種別コマンド等)によって表示制御装置114へ通知する。また、音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示されるステージを変更したり、スーパーリーチ時の演出内容を変更したりするように、表示制御装置114へ指示する。ステージが変更される場合は、変更後のステージに応じた後面画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、変更後のステージに関する情報を含めた後面画像変更コマンドを表示制御装置114へ送信する。ここで、後面画像とは、第3図柄表示装置81に表示させる主要な画像である第3図柄の後面側に表示される画像のことである。表示制御装置114は、この音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに従って、第3図柄表示装置81に各種の画像を表示する。
また、音声ランプ制御装置113は、表示制御装置114から第3図柄表示装置81の表示内容を表すコマンド(表示コマンド)を受信する。音声ランプ制御装置113では、表示制御装置114から受信した表示コマンドに基づき、第3図柄表示装置81の表示内容に合わせて、その表示内容に対応する音声を音声出力装置226から出力し、また、その表示内容に対応させてランプ表示装置227の点灯および消灯を制御する。
表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113及び第3図柄表示装置81が接続され、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動演出などの表示を制御するものである。また、表示制御装置114は、第3図柄表示装置81の表示内容を通知する表示コマンドを適宜音声ランプ制御装置113へ送信する。音声ランプ制御装置113は、この表示コマンドによって示される表示内容にあわせて音声出力装置226から音声を出力することで、第3図柄表示装置81の表示と音声出力装置226からの音声出力とをあわせることができる。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図3参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図示せず)を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(図3参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
次いで、図5から図21を参照して、遅延デバイス300について説明する。図5は、遊技盤13の背面分解斜視図である。図5では、遊技領域を流下し第1入賞口64に流入した球が流下する遅延デバイスが、遊技盤13から分解された状態が図示される。
第1入賞口64に流入した球は遅延デバイス300の内部を流下し、その下端に配置される検出口312dから送球され、検出センサ(図示せず)を通過することにより、抽選が行われる。即ち、第1入賞口64に球が入球してから、検出センサを通過するまでの間は、未だ抽選が未実施の状態とされる。
次いで、図6及び図7を参照して、遅延デバイス300について説明する。図6は、遅延デバイス300の正面図であり、図7は、図6のVII−VII線における遅延デバイス300の断面図である。なお、図7では、理解を容易とするために、遊技盤13が部分的に図示される。
図6及び図7に示すように、遅延デバイス300は、内部に溝が形成され、その溝と面あたりする遊技盤13とで第1入賞口64に入球した球が流下する経路を形成する本体部材310と、その本体部材310に対してスライド移動するスライド移動部材321を有する減速装置320と、その減速装置320の復帰動作を調整する第1調整装置330と、本体部材310に対して回転動作し球を異なった流路に振り分ける振り分け装置340と、その振り分け装置340の回転軸と同軸で構成されると共に振り分け装置340の復帰動作を調整する第2調整装置350と、を主に備える。
本体部材310は、遊技盤13と対向配置される側が開放される溝を構成する部材であって、第1入賞口64から入球した球が最初に流下する第1溝311と、その第1通路311の下端から鉛直下方に延設される第2溝312と、第1溝311と第2溝312との連結部分から横方向に延設され第2溝312の延設長さよりも長い経路をたどって検出口312dに連結される第3溝313と、底板部開口311bの手前側から第1溝311の下方へ向けて板状に延設されると共にスライド移動部材321を支持する支持板部314と、を主に備える。
第1溝311は、第1入賞口64から入球した球を斜め下方に一直線に下降させる本通路311aと、その本通路311aの底板の奥行き方向中央部(球の奥行き方向中央部)において球の半径よりも短い幅に形成される開口である底板部開口311bと、天板部分において減速装置320の風車部材322を内部に張出可能な幅であけられる天板部開口311cと、その天板部開口311cを挟んで奥行き方向に一対で配設されると共に風車部材322の軸受けとなる軸受け部311dと、本通路311aから奥側に球を転動可能な大きさで凹設される奥側凹設部311eと、を主に備える。
奥側凹設部311eは、本通路311aの入口付近において連結される凹設部分であって、その入口付近では底面が本通路311aの底面と同じ高さとされ、下流側へ向かうにつれて本通路311aよりも上昇傾斜する態様で構成される。
第2溝312は、第1溝311の下端に到達した球を左右方向に跳ね返す負荷を与える当接壁312aと、背面側(図6奥側)の板部に形成される凹部であって振り分け装置340を配設可能に円弧形状に凹設される凹設部312bと、第3溝313から流入する球を受け止めると共に振り分け装置340の回り止めとして作用する受け壁部312cと、球を送球する検出口312dと、凹設部312bと対面配置される側壁部312eと、を主に備える。
支持板部314は、スライド移動部材321の案内棒部321cが挿通される一対の長孔314aを備える。この長孔314aは、第1調整装置330の長孔331aと向きを同じくして構成される(前後方向で重なる態様で構成される)。
減速装置320は、第1溝311を球が通過することによりスライド移動するスライド移動部材321と、そのスライド移動部材321に歯合されると共に球に当接され回転する風車部材322と、を主に備える。
スライド移動部材321は、本体部材310の長孔314aと、後述する第1調整装置330の長孔331aとに案内されて、直線動作可能とされる。
風車部材322は、軸受け部311dに軸支されると共に奥側の端部にスライド移動部材321と歯合されるギア部を有する本体ギア部322aと、その本体ギア部322aの軸部分から放射状に一対が延設されると共に互いに90°の角度を成す第1延設羽部322bと、第2延設羽部322cと、を主に備える。
図7に示すように、第1延設羽部322bと、第2延設羽部322cとは、天板部開口311cから第1溝311a内部へ向けて張出可能に構成されると共に、第1溝311aを流下する球に当接され、スライド移動部材321が重力で下端位置に維持される初期状態において第1延設羽部322bが球に当接可能な位置に配置される。
第2延設羽部322cは、その延設方向先端部の、図6の状態から第1溝311に近接する方向に先細り形状で凸設される凸設部322c1を備える。凸設部322c1は、球が2球連続で第1溝を流下した場合にそれらの球を切り離す態様で作用する。
第1調整装置330は、本体部材310を遊技盤13との間に挟む板状部材である本体板部材331と、その本体板部材331に軸支されると共に風車部材322の本体ギア部322aと歯合される固定ギア部332aを有する回転付勢装置332と、を主に備える。なお、風車部材322の本体ギア部322aに対する固定ギア部332aのギア比は約2とされる。即ち、風車部材322が90°回転することに伴って、回転付勢装置332は45°回転する。
本体板部材331は、スライド移動部材321を案内する長孔であって一対で構成される長孔331aを備え、同形状の長孔314aが対向配置される支持板部314にも形成される。これら長孔314a,331aに案内されることによりスライド移動部材321が直進方向にスライド移動可能に構成される。
回転付勢装置332は、本体板部材331に軸支される固定ギア部332aと、その固定ギア部332aに軸方向端部において固着され内部に凹設溝を有する機能円盤装置332bと、を主に備える。
振り分け装置340は、本体部材310の第2溝312の右方において本体部材310に中心孔345で軸支される装置であって、図6に示す初期状態において、第2溝312bから流入する球を受け止める第1壁部341と、その第1壁部341の上方に球1個分離間して対向配置される第2壁部342と、その第2壁部342の先端部から振り分け装置340の回転軸を中心とする円弧形状に沿って形成される円弧壁部343と、円盤形状から形成され第2溝312の凹設部312と面位置に配置されると共に第2溝312の奥側の板部の一部を補完する態様で形成される補完板部344と、本体部材310に軸支される貫通孔である中心孔345と、を主に備える。
第2壁部342は、延設先端に径方向に凸設される先端凸部342aを備える。先端凸部342aにより、円弧壁部343に当接して流下する球によって、振り分け装置340に正面視反時計回り(図6において反時計回り)の負荷を与えることができ、球の作用で意図せず振り分け装置340が初期位置側に復帰することを抑制することができる。
振り分け装置340の初期位置は、遊技盤13の後方へ凸設されるストッパ部S1により規定される。即ち、初期位置において、円弧壁部343の先端がストッパ部S1に止められることで、振り分け装置340は停止する。振り分け装置340を正面視時計回り(図6時計回り)に回転させる駆動力は第2調整装置350により生じる。
第2調整装置350は、振り分け装置340の補完板部344に固定される装置であって、内部において重心を変化させる疑似重心球GBが移動可能な流路を有する装置であるが、詳細は図15で後述する。
図8は、図6のVIII−VIII線における遅延デバイス300の部分断面図である。図8に示すように、スライド移動部材321が本通路311aの中心部分に配置される。これにより、スライド移動部材321が本通路311aの内側に張出た際に、第1溝311を流下する球に凸設部321a1を確実に当接させることができる。
本通路311aを流下する球は、その形状関係から奥側凹設部311eに流入し得る。奥側凹設部311eは、下流側(図8左側)へ向かうほど本通路311a側に近接する態様で構成される戻し壁部311e1を有する。これにより、奥側凹設部311eに流入した球を本通路311aに戻すことができず、球詰まりが生じることを抑制することができる。
次いで、図9及び図10を参照してスライド移動部材321について説明する。図9は、スライド移動部材321の正面斜視図であり、図10(a)は、スライド移動部材321の正面図であり、図10(b)は、図10(a)の矢印Xb方向視におけるスライド移動部材321の側面図であり、図10(c)は、図10(a)の矢印Xc方向視におけるスライド移動部材321の上面図であり、図10(d)は、図10(a)のXd−Xd線におけるスライド移動部材321の部分断面図である。
図9及び図10に示すように、スライド移動部材321は、遅延デバイス300の本通路311aの中央部分に本通路と平行な面で張り出す長尺板状の第1張出板部321aと、その第1張出板部321aの一方の端部に連設され第1張出板部321aの延設方向に対して下降傾斜して延設される第2張出板部321bと、各張出板部321a,321bの長尺方向両端部において一対が平行に延設さえる丸棒形状の案内棒部321cと、各張出板部321a,321bに対して奥行き方向(図10(a)紙面垂直方向)にオフセットされた位置において直線上に延設されると共にラックギア歯が形成されるラックギア部321dと、を主に備える。
第1張出板部321aは、組立状態(図6参照)において、本通路311aの延設方向と平行な方向に延設される板部分であって、球の直径間隔で配設されると共に上面から半円形状に凸設される凸設部321a1を備える。凸設部321a1が球に当接することにより、本通路311a(図8参照)を通る球の速度が減速される。
第2張出板部321bは、凸設部321a1と同様の作用を生じる凸設部321b1と、奥側へ向けて下降傾斜する傾斜面321b2(図10(d)参照)と、を備える。第2張出板部321bが本通路311aの内側に張り出している場合、傾斜面321b2により、流下する球が奥側凹設部311eへ向かい易い状態となる(図8参照)。従って、本通路311aを、その延設方向に沿って、球が一直線に流下する場合に比較して、球の通過期間を長くすることができる。
第1張出板部321aと第2張出板部321bは延設方向が異なるので、第1延設板部321aが本通路311aの内側に張り出す一方で第2張出板部321bは本通路311aの外側に配置される状態が形成可能とされる。即ち、スライド移動部材321の配置によって、球の減速の度合いを変更可能に構成されるが、詳細は後述する。
案内棒部321cは、第1調整装置330の長孔331aに挿通される(図6参照)。これにより、長孔331aの延設方向に沿ってスライド移動部材321がスライド移動可能に支持される。
ラックギア部321dは、長孔331aの延設方向と平行に延設され、ラックギア歯が風車部材322の本体ギア部322aに歯合される(図6参照)。これにより、風車部材322が回転することにより、ラックギア部321dが直線方向(長孔331aの延設方向)にスライド動作される。
次いで、図11及び図12を参照して、振り分け装置340及び第2調整装置350について説明する。図11は、振り分け装置340及び第2調整装置350の正面斜視図であり、図12(a)は、振り分け装置340及び第2調整装置350の正面図であり、図12(b)は、図12(a)の矢印XIIb方向視における振り分け装置340及び第2調整装置350の側面図であり、図12(c)は、図12(a)の矢印XIIc方向視における振り分け装置340及び第2調整装置350の上面図であり、図12(d)は、図12(a)のXIId−XIId線における振り分け装置340及び第2調整装置350の部分断面図である。なお、図12(d)では、疑似重心球GBが減速壁部351dに乗った状態が図示される。
図11及び図12に示すように、補完板部344の正面側は各壁部341,342,343の占める部分を除き開放され、球を流下させる通路の側壁として利用される(図6参照)。
第2調整装置350は、補完板部344の背面側に固着されると共に内部に疑似重心球GBを流下させる流路が凹設される重心変化装置351と、その重心変化装置351の凹設部に蓋をする態様で重心変化装置351に固定される蓋部材352と、を主に備える。
重心変化装置351は、浅い凹設部を有する円板形状の本体部材351aと、その本体部材351aに疑似重心球GBが流下可能な幅で凹設される凹設溝部351bと、その凹設溝部を中心で仕切ると共に先端部分のみで疑似重心球GBの通過を許容する仕切り壁351cと、その仕切り壁351cによって仕切られる流路の片側に延設されると共に疑似重心球の流下を減速させる減速機構を有する減速壁部351dと、仕切り壁351cの一方の端部(図12(a)下端部)に揺動可能に軸支されると共に疑似重心球GBの一方向(図12(a)右向き方向)の通過のみを許容する方向弁351eと、を主に備える。
第2調整装置350の疑似重心球GBを除く重心位置は回転中心と同じに設定される。即ち、疑似重心球GBが回転中心に対してどの位置に配置されるかにより、振り分け装置340が安定する姿勢が決定される。
ここで、疑似重心球GBは、球の重量以下の球状物から構成される。例えば、球の重量が5グラムであれば、疑似重心球GBとしては、2〜4グラム程度の球状物を選択することが望ましい。これにより、振り分け装置340に流入した球と疑似重心球GBとで力が釣り合う事態を回避することができ、振り分け装置340を球の重さで回転させることが可能となる。
図12(d)を参照して、減速壁部351dの減速機構について説明する。減速壁部351dは、球の両側を下側から支持し、その状態で球が転動する部分である。図12(d)に示すように、疑似重心球GBは、回転軸からの長さが最大径(半径r1)となる部分(図12(d)左右方向中央部分)で転動するのではなく、回転軸からの長さが最大径よりも短い半径(半径r’1)となる部分で減速壁部351dと当接して転動する。そのため、疑似重心球GBの回転数が同じである場合、疑似重心球GBが仕切り壁351cの上を転動(半径r1で転動)する時の疑似重心球GBの速度に比較して、減速壁部351dの上を転動(半径r’1で転動)する時の疑似重心球GBの速度を遅くすることができる。
即ち、疑似重心球GBの一回転辺りの並進移動距離を短縮することができる。この方法により疑似重心球GBを減速する場合、疑似重心球GBの回転のエネルギーを保持したまま減速を行うことができるので、制動が効き過ぎて、疑似重心球GBが意図しない位置で停止するという事態を回避することができる。
また、減速壁部351dと疑似重心球GBとの当接位置(疑似重心球GBの転動半径)の設定によって疑似重心球GBの減速の度合いを任意に設定できるので、特別な材料(高摩擦の材料等)は不要であると共に、減速壁部351dの形成距離が短い場合にも疑似重心球GBを十分に減速させることができる。
次いで、図13及び図14を参照して、遅延デバイス300の動作について説明する。図13及び図14は、遅延デバイス300の正面図である。図13では、図6に示す初期状態において球が本体部材310を1球流れた直後の状態が図示され、図14では、図13の状態において球が本体部材310を1球流れた直後の状態が図示される。
図13及び図14に示すように、球の通過により、振り分け装置340は初期状態(図6参照)と変化状態(図13参照)とに姿勢変化し、減速装置320は、球の通過する個数によって、初期状態(図6参照)と、中間状態(図13参照)と、上昇状態(図14参照)とで状態(高さ方向の配置)が変化する。
減速装置320の各状態について説明する。減速装置320が中間状態の場合、スライド移動部材321が移動し本通路311aの底面から凸設部321aが張り出す位置に配置される。従って、この状態において本通路311aに流入した球は凸設部321aに当接し、減速されながら流下することとなる。なお、中間状態では、第2張出板部321bが第1溝311の外側に配置される。
減速装置320が上昇状態の場合、スライド移動部材321が本通路311aの内部に更に張り出し、第2張出板部321bが奥側凹設部311eの底面よりも上方に配置される。第2張出板部321bは上面に傾斜面321b(図10参照)を有しているので、この状態において本通路311aに流入した球は傾斜面321bの傾斜に沿って奥側凹設部311eに流入し、奥側凹設部311eの下端部まで流れた後で再度、本通路311aと合流する。
減速装置320が上昇状態の場合、第1張出板部321aが本通路311aの内側に張り出することにより、本通路31aの道幅(高さ方向の幅)が狭まる。また、本実施形態では、スライド移動部材321が本通路311aの延設方向に対して傾斜する方向にスライド移動することにより、第2溝312の当接壁312aと第1張出板部321aの端部との幅が狭まる。従って、球の減速を、本通路311aの道幅を狭めることと、第1溝311と第2溝312との連結部分の道幅を狭めることで流路抵抗を上昇させることにより行うことができる。
振り分け装置340の各状態について説明する。振り分け装置340が初期状態(図6参照)の場合、振り分け装置340へ流入する球は第1壁部341に受け止められる。すると、球の重さで振り分け装置340が変化状態(図13参照)まで回転し、球は検出口312dへ流入する。
ここで、本実施形態では、側壁部312eが第1壁部341よりも上方へ張り出して(球の半径以上の高さで張り出して)構成されるので、球が第3溝313側へ流入することが抑制される。従って、振り分け装置340が初期状態の場合に振り分け装置340に流入した球を高確率で鉛直下方に流下させることができる(最短期間で流下させることができる)。
振り分け装置340が変化状態(図13参照)の場合、振り分け装置340へ流入する球は円弧壁部343に当接し、第3溝313へ流入する。なお、円弧壁部343は振り分け装置340の中心孔345を中心とした円弧形状から形成されるので、球が衝突した場合の負荷が振り分け装置340の回転軸へ向けた方向へかけられることから、振り分け装置340に回転方向の負荷を与えることが抑制される。
従って、変化状態の場合に振り分け装置340に流入する球が振り分け装置340に与える衝撃により、振り分け装置340が意図せず初期状態へ復帰する事態を避けることができ、所定期間、振り分け装置340が変化状態を維持することを確実にすることができる。
次いで、図15を参照して、振り分け装置340の姿勢変化タイミングの調整について説明する。図15(a)から図15(c)は、回転軸に直交する平面における第2調整装置350の断面図である。図15(a)から図15(c)では、重心変化装置351の内部構造が視認可能とされ、図15(a)では、振り分け装置340が初期状態(図6参照)とされた場合が図示され、図15(b)では、振り分け装置340が変化状態(図13参照)とされた場合が図示され、図15(c)では、振り分け装置340が変化状態から初期状態へ戻りきる直前の状態が図示される。
図15に示すように、第2調整装置350では、その姿勢変化に伴って、疑似重心球GBが凹設溝部351bの内部を移動する。それにより、第2調整装置350の重心位置が変動し、第2調整装置350が停止と回転とを繰り返す。
第2調整装置350の動作について説明する。図15(a)に示すように、振り分け装置340が初期状態(図6参照)の場合において、疑似重心球GBは中心孔345の右側に配置されることから、疑似重心球GBの重さによって第2調整装置350を正面視時計回り(図15時計回り)に回転させる方向に負荷が与えられる。これにより、遊技機10(図1参照)が多少振動しても、振り分け装置340が姿勢を初期位置に維持することができる。
図15(b)に示すように、振り分け装置340が変化状態(図13参照)とされると、仕切り壁351cと方向弁351eとの成す傾斜が、左方へ向かうほど下降傾斜する態様とされると共に、減速壁部351dの成す傾斜が、右方へ向かうほど下降傾斜する態様とされる。そのため、疑似重心球GBが、仕切り壁351cの上側を転動し矢印L1に沿って左方へ流れ、端部で減速壁部351dに落下し、減速壁部351dの上側を転動し矢印L2に沿って右方へ流れるという動作を行う。
これにより、疑似重心球GBを中心孔345の左方へ送ることができるので、疑似重心球GBの重さによって第2調整装置350を正面視反時計回り(図15反時計回り)に回転させる方向に負荷が与えられる。これにより、振り分け装置340を一定期間(疑似重心球GBが中心孔345の右方へ通過するまでの期間)変化状態に維持することができる。
その変化状態に維持する期間は、減速壁部351dにより疑似重心球GBを減速させる度合いにより任意に変化させることができる。例えば、減速壁部351dにより疑似重心球GBの流下速度を半分にすれば、振り分け装置340を変化状態に維持する期間を2倍とすることができる。
なお、減速壁部351dの態様としては、様々な態様が例示される。例えば、疑似重心球GBが減速壁部351dと当接する点の回転半径を小さくすることにより疑似重心球GBの並進移動速度を減速させる方法が例示される(図12(d)参照)。即ち、疑似重心球GBの回転を最大径部分(中心部分)で受けるのでは無く、直径が小さくなる部分(端部付近)で受けることにより、疑似重心球GBの一回転辺りの並進移動距離を短縮し、回転数を落とすことなく疑似重心球GBを減速させる方法である。この方法によれば、疑似重心球GBの回転数を低下させる場合に比較して、減速壁部351dを通過した後の疑似重心球GBの並進速度を大きくすることができる。
そのため、減速壁部351dの右端に到達した直後において、疑似重心球GBを大きな速度で右方へ送球することができ、疑似重心球GBが減速壁部351dの右端に到達した直後から、図15(c)に示す状態へ状態変化するまでの期間を短縮することができる。
図15(c)に示すように、振り分け装置340が変化状態から初期状態へ状態変化する前後において、疑似重心球GBが方向弁351eを通過する。方向弁351eは、図15(c)に示すように、疑似重心球GBが右方へ流れることは許容する一方で、疑似重心球GBが左方へ流れることは防止する態様とされる。これにより、疑似重心球GBが跳ね返って中心孔345の左方へ戻ることを防止することができる。
本実施形態では、振り分け装置340が変化状態に変化してから、初期状態へと戻るまでの期間が、入賞口64(図2参照)の保留球数が4個の場合に選択されやすい変動期間(最短の変動期間)よりも長い期間に設定される。
そのため、振り分け装置340が初期状態の時に球が振り分け装置に入球され、その球が検出口312d(図6参照)に入球したことにより入賞口64の保留球数が4個となった場合に、その後で開始される変動が終わる前(入賞口64の保留球数に空きができる前)に振り分け装置340に入球した球はもれなく第3溝313(図13参照)へ振り分けられる。そして、第3溝313を球が通過する間に入賞口64の1の変動が終了し、入賞口64の保留球数に空きができることで、入賞口64でオーバーフロー(保留球数が最大の状態で検出口312dに球が入球することにより、球が入球したにも関わらず、抽選の機会を得られない状態)が生じることを防止することができる。
なお、第3溝313での球の減速の度合いは、様々な方法で設定することができる。例えば、球が転動する底壁に高摩擦のシートを貼ることにより、球を減速させても良い。
ここで、第1の設定例として、第3溝313を球が通過しきるまでの期間を、例えば、入賞口64の保留球数が4個の場合に選択されやすい変動期間(最短の変動期間)よりも長い期間に設定することにより、球が2個連続で振り分け装置340に入球した場合に、1個目の球が検出口312dに入球してから2個目の球が第3溝313を通過して検出口312dに入球するまでの期間を入賞口64の保留球数が4個の場合に選択されやすい変動期間(最短の変動期間)よりも長くすることができる。これにより、入賞口64でオーバーフローが生じることを抑制することができる。
また、第2の設定例として、第3溝313を球が通過しきるまでの期間を、例えば、入賞口64の保留球数が3個の場合に選択されやすい変動期間と、保留球数が4個の場合に選択されやすい変動期間(最短の変動期間)とを合算した期間よりも長い期間に設定することにより、第3溝313に球が2個連続で入球された場合でも、1個目の球が検出口312dに入球してから2個目の球が第3溝313を通過して検出口312dに入球するまでの期間で2回の変動が消化されるので、その後、球が2個検出口312dに入球したとしても、オーバーフローが生じることを抑制することができる。
次いで、図16を参照して、機能円盤装置332bについて説明する。機能円盤装置332bは、本体板部材331(図7参照)との間に配置される疑似重心球GBが移動する事により、第2調整装置350と同様に重心位置が変化して、機能円盤装置332bに与えられる負荷の方向が変化する装置である。
図16(a)から図16(d)は、機能円盤装置332bを回転軸に垂直な平面で断面視した機能円盤装置332bの断面図である。図16(a)では、減速装置320が初期状態の場合(図6参照)が図示され、図16(b)では、減速装置320が初期状態から中間状態(図13参照)に状態変化した直後が図示され、図16(c)では、減速装置320が中間状態から上昇状態(図14参照)に状態変化した直後が図示され、図16(d)では、減速装置320が中間状態から初期状態に状態変化した直後の状態が図示される。
図16に示すように、機能円盤装置332bは、疑似重心球GBが移動可能な深さで背面側から凹設される凹設溝部332b1と、球の通過可能な箇所を限定する態様で仕切る仕切り壁332b2と、その仕切り壁332b2の下側に球を転動可能な板部分として配設され仕切り壁332b2の端部から所定幅張り出す態様で形成されると共に疑似重心球GBの流下を減速させる第1減速壁部332b3と、その第1減速壁部332b3を挟んで仕切り壁332b2の反対側に配置されると共に疑似重心球GBの流下を減速させる第2減速壁部332b4と、疑似重心球GBの通過を左側から右側への一方向に限る方向弁332b5と、を主に備える。
なお、疑似重心球GBとして、便宜上、第2調整装置350に収容される疑似重心球GBと同一の符号を使用するものであって、疑似重心球GBの形状や重さが同一なものに限る趣旨では無い。
機能円盤装置332bは、疑似重心球GBを第1減速壁部332b3で流下させて方向弁332b5を通過させる事もできるし、第2減速壁部332b4で流下させる方向弁332b5を通過させる事もできる。以下、機能円盤装置332bの動作について詳細に説明する。なお、図6、図13及び図14を適宜参照する。
図16(a)に示すように、減速装置3420が初期状態(図6参照)の場合には、仕切り板332bが右方へ向けて下降傾斜する態様とされ、疑似重心球GBは機能円盤装置332bの右側部に維持される。これにより、回転付勢装置332からスライド移動部材321に対して、スライド移動部材321を下方に維持する負荷がかけられる(図6参照)。従って、遊技機10(図1参照)が振動した場合に、スライド移動部材321が上下動作することを抑制することができる。
図16(b)に示すように、減速装置3420が中間状態(図13参照)の場合には、仕切り板332b2は左方へ下降傾斜する態様とされる一方で、第1減速壁部332b3は右方へ下降傾斜する態様とされる。従って、疑似重心球GBは、矢印L3に沿って仕切り板332b2の上面を左方へ転動した後、矢印L4に沿って第1減速壁部332b3の上面を右方へ転動することにより疑似重心球GBが機能円盤装置332bの回転中心の右側へ送られ、機能円盤装置332bを初期状態へ戻す方向(図16時計回りに回転させる方向)へ負荷がかけられる。
この疑似重心球GBの流下途中において、図16(b)に示すように、疑似重心球GBが回転中心よりも左側に配置される状態では、昨日円盤装置332bを図16(b)において反時計回りに回転させる方向に負荷がかけられるので、重力によるスライド移動部材321の下降を留めることができる。また、球の重量によりスライド移動部材321が下降することを抑制することができる(下降しても、球がどいたら、すぐに上昇するという状態を形成することができる)。
図16(c)に示すように、減速装置3420が上昇状態(図14参照)の場合には、第1減速壁部332b3は左方へ下降傾斜する態様とされる一方で、第2減速壁部332b4は右方へ下降傾斜する態様とされる。従って、疑似重心球GBは、矢印L5に沿って第1減速壁部332b3の上面を左方へ転動した後、矢印L6に沿って第2減速壁部332b4の上面を右方へ転動することにより疑似重心球GBが機能円盤装置332bの回転中心の右側へ送られ、機能円盤装置332bを初期状態へ戻す方向(図16時計回りに回転させる方向)へ負荷がかけられる。
疑似重心球GBが第1減速壁部332b3の上面を転動している際に本通路311aを球が通過して減速装置320が上昇状態まで移動すると共に機能円盤装置332bが図16(c)に示す姿勢となる場合、疑似重心球GBは、その後で第1減速壁部332b3で減速され、更に第2減速壁部332b4で減速されることになるので、減速装置320が中間状態とされる場合(図13参照)に比較して、疑似重心球GBが回転中心よりも右方に配置されるまでの期間が長くされる。従って、中間状態(図13参照)に維持される期間に比較して、減速装置320を上昇状態(図14参照)に長く維持することができる。
図16(d)に示すように、第1減速壁部332b3又は第2減速壁部332b4に配置された疑似重心球GBが機能円装置332bの中心よりも右方に配置されるとスライド移動部材321の重みにより減速装置320が動作し、機能円盤装置332bが初期状態と同じ姿勢とされると共に、疑似重心球GBが第1減速壁部332b3又は第2減速壁部332b4から排出され凹設溝部332b1を転動する。この疑似重心球GBが方向弁332b5を通過することにより、機能円盤装置332bが初期状態(図16(a)参照)に復帰する。
図17及び図18を参照して、遅延デバイス300の内部を流下する球の流下パターンについて説明する。図17(a)、図17(b)、図18(a)及び図18(b)は、遅延デバイス300の部分正面図である。図17(a)、図17(b)、図18(a)及び図18(b)では、入賞口64から球P1〜P3が3個連なって入球された場合が図示され、図17(a)では、球P1〜P3が風車部材322の手前に配置された状態が図示され、図17(b)では、球P1と球P2とが風車部材322の第2延設羽部322cに切り離された状態が図示され、図18(a)では、球P2が第2延設羽部322cを押し進んで振り分け装置340に到達した状態が図示され、図18(b)では、球P3が第2溝312に侵入し始める状態が図示される。
なお、図17(a)、図17(b)、図18(a)及び図18(b)では、構造図面の右下のスペースに、球P1〜P3が入賞口64に入球してからの状況を示すグラフが図示される。また、球P1〜P3が入賞口64に入球するタイミングは実際には僅かに(0.2秒程度)ずれが生じるが、グラフは、理解を容易にするために、球P1〜P3が入賞口64に同時に入球したものとして図示されると共に、横軸を経過時間Tとして構成される。
グラフでは、球P1〜P3が入賞口64に入球するタイミング(「IN」)と、検出口312dに入球するタイミング(「OUT」)とが図示されると共に、球P1〜P3が、いつどの区間を流下するのかが、符号で図示される。また、図17(a)、図17(b)、図18(a)及び図18(b)に示す状態がグラフのどのタイミングを表すかについて、該当する図面において、三角マークで図示される。
図17(a)に示すように、風車部材322に到達するまでは、球P1〜P3は第1溝311を同様の条件で流下し、その速度に差は生じない。
図17(b)に示すように、1球目の球P1が風車部材322の第1延設羽部322bを押し進んで、第2延設羽部322cに2球目の球P2が切り離されると、先行する球P1は凸設部321a1に減速されることなく流下する一方で、球P2の下流側において凸設部321a1が本通路311aの内部へ張り出される。従って、球P2及び球P3は、凸設部321a1と当接する際に、断続的に流下方向とは反対方向の負荷を与えられ、減速する。これにより、球P1と、球P2との間の間隔を空けることができるので、例えば、球が2球同時に振り分け装置340に入球されることにより球が詰まり、動作不良が生じることを予防することができる。
なお、本実施形態では、球P1が第1溝311を通過するのに要する第1溝通過第1期間が2秒とされ(T11=2s)、球P1が通過してから減速装置320が(中間状態から)初期状態へ復帰開始するまでの期間である減速復帰第1開始期間は5秒とされ、復帰開始後1秒で減速装置は初期状態へ復帰するように設定される。
また、球P1が第2溝312へ入球してから検出口312dへ入球するまでの期間である第2期間T2が1.5秒とされる(T2=1.5s)。なお、第2期間T2は、振り分け装置340へ到達する前の1秒間である第2期間前半T2a(T2a=1s)と、振り分け装置340を通過した後の0.5秒間である第2期間後半T2b(T2b=0.5s)とに分けられ、振り分け装置340の状態によらず、第2溝312を球が通過する期間は不変とされる。
図18(a)に示すように、2球目の球P2が風車部材322の第2延設羽部322cを押し進むと、先行する球P2は第2溝へ流入する一方で、球P3は、スライド移動部材321の傾斜面321b2に沿って奥側凹設部311eに流入する。これにより、凸設部321a1によって減速されるのに加え、球P3は奥側凹設部311eを通る分だけ流下経路が延長されるので、球P2と球P3との間隔を空けることができる。
なお、本実施形態では、球P2が第1溝311を通過するのに要する第1溝通過第2期間T12が3秒とされ(T12=3s)、球P3が第1溝311を通過するのに要する第1溝通過第3期間T13が6秒とされる(T13=6s)。また、球P2が通過してから減速装置320が(上昇状態から)初期状態へ復帰開始するまでの期間である減速復帰第2開始期間は7秒とされ、復帰開始後2秒で減速装置は初期状態へ復帰するように設定される。
また、球P2は振り分け装置340の円弧壁部343に当接され、第3溝313に流入されるので、球P1に比較して、検出口312dまでの経路が延長される。従って、球P1と球P2との間の間隔を広げることができる。
なお、本実施形態では、球P2,P3が第3溝313を通過するのに要する第3期間T3が3秒とされる(T3=3s)。また、振り分け装置340が変化状態に状態変化してから初期状態へ復帰開始するまでの期間である振り分け維持期間BT1が4秒となる態様で、第2調整装置350の疑似重心球GBの速度が設定される(BT1=4s)。
図18(b)に示すように、減速装置320が上昇状態の場合には、第1張出板部321aの端部と、当接壁312aとの間の距離が球の直径と同程度とされる。従って、球P2,P3は、第1張出板部321aの端部と、当接壁312aとの間を通過する際に大きな抵抗をかけられ、勢いが落とされる。これにより、球P1と、球P2,P3との間隔を広げることができる。
図18(b)に示すように、球P2が第3溝313を流下して、第1壁部341を受け壁部312cへ押し付けることで、振り分け装置340を変化状態に維持し易くすることができる。
グラフに示すように、球P3が振り分け装置340に流入するタイミングにおいても振り分け装置340が変化状態に維持される(振り分け装置340が変化状態へ状態変化してから振り分け維持期間BT1だけ経過したタイミングで球P3が振り分け装置340へ到達する)。そのため、球P3が第3溝313へ流入される。これにより、球P2と球P3との間隔が縮まることを防止することができる。
グラフに示すように、本実施形態によれば、球P1〜P3が入賞口64に連なって入球した場合、球P1と球P2とは4秒間隔で検出口312dに入球し、球P2と球P3とは3秒間隔で入球する。本実施形態では、入賞口64の保留球数が最大となった後に選択される1の変動期間が3秒に設定されるので、図17及び図18の場合、入賞口64でオーバーフローが生じることを防止することができる。
また、本実施形態では、振り分け装置340が変化状態に維持される期間が、検出口312dに球が流入した際に入賞口64の保留球数が最大となった後に選択される1の変動期間よりも長い期間とされるので、図18(a)に示すように、その変動期間中に球P2が振り分け装置340に入球した場合に、その球P2を確実に第3溝313へ流入させることができる。これにより、球が連続で振り分け装置340に入球した場合に、オーバーフローが生じることを防止することができる。
従って、球P1〜P3が3個連なって入賞口64に入球した場合でも、それらが検出口312dに入球されるタイミングをずらすことができ、入賞口64でオーバーフローが生じることを抑制することができる。これにより、遊技者が特別注意しなくとも、入賞口64に球が入球したのに抽選を受けられないという事態を回避することができ、遊技を快適に行うことができる。
なお、本実施形態では、球P3の後方に連なって、もう一個の球が入賞口64に入球する場合(4球連続で入球する場合)、4個目の球と、球P3とが検出口312dへ入球するタイミングをずらすことはできない。そのため、入賞口64の保留球数が3個の状態で、入賞口64に球を4個も入球させるような遊技をしないように、止め打ちを推奨することが望ましい。
また、グラフに示すように、球P1〜P3が入賞口64へ連続で入球する場合において、例えば、球P3が球P1の入賞口64への入球後1秒以上の間隔を空けて入賞口64へ入球する場合、球P3が振り分け装置340へ到達する頃には、振り分け装置340は初期状態へ復帰されているので、球P3が第2溝312を鉛直方向に流下し検出口312dへ入球する。この場合、球P3の遅延期間が十分ではなく、入賞口64におけるオーバーフローを抑制することができない。
そのため、3球目が入賞口64へ入る場合にオーバーフローが抑制される効果を、限られた状況(球P1及び球P2が連続で入賞口64へ入球した後、球P1が入球してから1秒以内に球P3が入賞口64へ入球する状況)でのみ奏するものとすることができるので、遊技者が止め打ちを行う必要性は残しながら、たまたま止め打ち(入賞口64の保留球数が3の状態で球の打ち出しを停止すること)を忘れてしまった場合に、幸運にも状況が揃えば入賞口64でオーバーフローが生じないという状況をつくることができる。
これにより、止め打ちを行う遊技者と、止め打ちを行わない遊技者との間で、入賞口64への球の入球個数に対する抽選の機会の数に明確な違いを形成可能としながら、入賞口64の保留球数が3の場合に、連続で球が3個も入賞口64に入球するという、まれな状況では、3個目の球P3についても入賞口64でのオーバーフローが生じない条件を厳しくし(入球間隔を限定し)、オーバーフローが生じなかった際の貴重さを演出することができる。
これにより、止め打ちを行う遊技者に対しては、より慎重に止め打ちを行わせることができるので(保留球数に注目させて早い段階で打ち出しを止めさせることができるので)、抽選の機会をより多く獲得するためのハンドル51(図1参照)の操作を熱中して行わせることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
次いで、図19及び図20を参照して、遅延デバイス300に球P4,P5が間隔を空けて入球した場合について説明する。図19(a)、図19(b)及び図20は、遅延デバイス300の部分正面図である。図19(a)では、減速装置320が初期状態の場合に球P4が風車部材322に到達した状態が図示され、図19(b)では、減速装置320が中間状態とされ、振り分け装置340が変化状態とされ、球P4が検出口312dに入球した0.5秒後(球P4が入球してから4秒後)に球P5が入賞口64へ入球した場合が図示され、図20では、球P5が振り分け装置340に入球される直前の状態が図示される。なお、図19(a)、図19(b)、図20では、構造図面の右下のスペースに、球P4,P5が入賞口64に入球してからの状況を示すグラフが横軸を経過時間Tとして図示される。
グラフでは、球P4,P5が入賞口64に入球するタイミング(「IN」)と、検出口312dに入球するタイミング(「OUT」)が図示されると共に、球P4,P5が、いつどの区間を流下するのかが、符号で図示される。また、図19(a)、図19(b)、図20に示す状態がグラフのどのタイミングを表すかが、該当する図面において三角マークで図示される。
図20に示す状態では、球P5は第3溝313へは入球されず、第2溝312を鉛直下方へ流下し、検出口312dへ入球する。ここで、球P4が検出口312dへ入球した直後の変動が終了する前に球P5が検出口312dへ入球すると、オーバーフローが生じる恐れがある。
そのため、本実施形態では、球P5が中間状態の減速装置320を通過するのに要する第1溝通過第2期間T12を、入賞口64の保留球数が4個の時の変動の期間(3秒)以上に長く設定する態様としている(第1溝通過第2期間T12を3秒としている)。この場合、球P5が第3溝313へ流入しない(第2溝312を鉛直方向に流下する)場合でも、球P5がスライド移動部材321の上を通過するまでの間に変動が終了するので、入賞口64でオ−バーフローが生じることを防止することができる。この場合、球P5が第3溝313を流下しない分、球P5による抽選のタイミングを早めることができ、遊技者を飽きさせないようにすることができる。
また、振り分け装置340が状態変化してから初期状態へ復帰開始するまでの振り分け維持期間BT1が4秒とされるので、球P4が入賞口64へ入球してから3秒の間(入賞口64の保留球数が4個の時の変動の期間)に入球した球を確実に第3溝313へ入球させることができる。また、その後振り分け装置340が初期状態へ復帰する直前までは、球を第3溝313へ入球させることができるので、球P4が入賞口64へ入球してから4秒未満の間に入球した球を確実に第3溝313へ入球させることができる。これにより、球P4,P5が3秒以内の間隔で入賞口64へ入球した場合であっても、入賞口64でオーバーフローが生じることを防止することができる。
次いで、図21を参照して、振り分け装置340に連続して球が入球した場合について説明する。本実施形態では、例えば、減速装置320が上昇状態(図14参照)の場合に、追加で球が2個連続で入賞口64に入球する場合に発生する状態である(例えば、図17(a)に示す球P1,P2が入球され、球P2が第2溝312へ入球した後で球が2個連続で入賞口64に入球する場合に発生する状態である)。図21(a)から図21(c)は、遅延デバイス300の部分正面図である。図21(a)では、振り分け装置340が初期状態とされ球P6が振り分け装置340に入球した状態が図示され、図21(b)では、球P6の重みで振り分け装置340が回転し、球P7が押し出された状態が図示され、図21(c)では、球P6が第2溝312を流下し、球P7が第3溝313を流下した状態が図示される。
図21(a)に示すように、振り分け装置340は、第1壁部341と第2壁部342との間に球が1球のみ収容可能な空間が設けられている。従って、球が2個連なって振り分け装置340に到達した場合には、1個目の球P6は振り分け装置340に収容されるが、2個目の球P7は収容されずに残留する。従って、球P6のみを単独で検出口312dへ流下させることができる。
振り分け装置340の第2壁部342の先端に配設される先端凸部342aは、球P7を外部に残留させる姿勢において(図21(b)参照)、球P7を第3溝313の入口へ向けて押し出す態様で形成される(先端凸部342aと対向配置する位置に第3溝313の入口が形成される)。従って、球P7を第3溝313の奥側まで押し出すことができ、球P7が第3溝313の入口付近に留まることを抑制することができる。これにより、例えば、振り分け装置340が変化状態からすぐに初期状態に復帰する態様で設定された場合でも、球P7が(第3溝313へ上手く押し込まれず)振り分け装置340に入球することを防止することができる。
図21(c)に示すように、振り分け装置340を境に、球P6は検出口312dへ入球され、球P7は第3溝313を流下した後で検出口312dへ入球される。ここで、上述したように、第3溝313を球P7が流下する期間である第3期間T3が3秒とされ、その期間が入賞口64の保留球数が最大となった後に選択される1の変動期間(3秒)以上とされるので、入賞口64の保留球数が3個の場合に球P6が検出口312dに入球したとしても、球P7が検出口312dに入球する頃には1変動が終了する。従って、球P7が検出口312dに入球することにより、入賞口64でオーバーフローが生じることを抑制することができる。
本実施形態では、球P7が検出口312dに入球してから3秒以内に別の球が検出口312dに入球する場合、その球に関しては、入賞口64でのオーバーフローが生じる構成とされる。これにより、短期間に入球する球が2個までであればオーバーフローを抑制できる一方で、短期間に入球する球が3個になるとオーバーフローが生じるという流路を構成することができる。従って、入賞口64での抽選の機会をより多く獲得するための球の発射強度や、球の発射頻度を、遊技者に入念に考えさせることができ、球の発射の態様に関する遊技性を向上させることができる。
なお、振り分け装置340は、球の重みでのみ初期状態から変化状態へ向けて回転するので、球P6や球P7が、側壁部312eと先端凸部342aとの間に配設される状態で、振り分け装置340が動作し球詰まりが起きるといった、振り分け装置340が電動動作する場合にのみ生じる問題を解消することができる。
本実施形態においては、図21(c)の状態において、例えば、到達後1秒以内に振り分け装置340が初期状態へ復帰するタイミングで球が振り分け装置340に到達し、更に次の球が振り分け装置340が初期状態へ復帰した1秒後に振り分け装置340に到達した場合、先に到達した球と、後で到達した球とが第1溝311と第3溝313との合流位置で衝突する恐れがあり、その場合、2個の球が、検出口312dに3秒以下の間隔で入球する。従って、先の球が第3溝313を通過する間に入賞口64(図20参照)の保留球数が3個となっている場合、入賞口64におけるオーバーフローを回避することができない。
これは、振り分け装置340が初期状態の際に2個の球が振り分け装置340へ到達する場合とは、大きく異なる。即ち、振り分け装置340が初期状態の際に2個の球が2秒間隔で振り分け装置340へ到達する場合には、後の球は第3溝313へ案内されるので、検出口312dに入球する間隔は3秒以上を確保することができる(図21参照)。一方で、振り分け装置340が変化状態の場合に、球が2秒間隔で振り分け装置340へ到達すると、先の球が第3溝313へ案内され、後の球が第2溝312を鉛直下方に流下する場合が生じ、検出口312dに入球する間隔が3秒よりも短くなる恐れがある。
これにより、入球口64へ球が2個連続で入球した場合に、毎回オーバーフローを抑制できるとは限らない流路を構成することができる。従って、オーバーフローを抑制可能な機構を備えながら、基本的には、入賞口64の保留球数が3個となったら止め打ちを行う遊技を行うことで最大数の抽選を獲得できるものとし、止め打ちの意義を向上させることができる。
次いで、図22から図33を参照して、遅延床デバイス400について説明する。図22は、遊技盤13の部分正面斜視図である。図22に示すように、遅延床デバイス400は、センターフレーム86の左方を流下する球の一部の球が(所謂「ワープ流路」を通って)流入し、その球が上部を転動可能に構成されると共に、往復動作を繰り返し左右方向の速度が0に収束した球を手前側に落下させる可動デバイスであって、前後一対で形成されると共に傾倒動作可能に構成される扇状部材410と、それら一対の扇状部材410の動作を一致させるリンク部材420(図24参照)と、扇状部材410を傾倒可能に支持すると共に扇状部材410へ流入する前に球が通過する固定された床である固定床430と、を主に備える。
なお、遅延床デバイス400は、初期状態(図22参照)においては、その左右方向中心位置に球を収束させやすい態様で構成され(固定床430の左右周辺部分が中心位置へ向けて下降傾斜する態様で構成され)、扇状部材410の左右方向中心位置と入賞口64の中心位置とが上下で一致する位置関係で配置される。即ち、遅延床デバイス400から入賞口64へ球を入球させやすい配置とされる。
前後一対で配置される扇状部材410の内、前側の扇状部材410が、正面側へ向けて前傾する態様で傾倒動作することにより球が入賞口64へ入りやすくすることができる。
図23を参照して扇状部材410について説明する。なお、一対の扇状部材410は同一部材から構成されるので、一方の扇状部材410の説明を行い、他方の扇状部材410の説明を省略する。
図23(a)は、扇状部材410の上面図であり、図23(b)は、図23(a)の矢印XXIIIb方向視における扇状部材410の側面図であり、図23(c)は、図23(a)のXXIIIc−XXIIIc線における扇状部材410の断面図であり、図23(d)は、図23(b)の矢印XXIIId方向視における扇状部材410の底面図である。
図23に示すように、扇状部材410は、扇状板部材から構成される本体部材411と、その本体部材411かの中間位置から左右方向に同軸直線状に延設される延設腕部412と、本体部材411の底面から一対で凸設されると共に連結棒414が挿通固定される挿通孔を有する凸設固定部413と、その凸設固定部413に挿通固定される連結棒414と、を主に備える。
本体部材411は、先細りする側(図23(a)下側)が球の直径程度の幅とされる。また、その先細りする側に、下降傾斜する面取り部411aを有すると共に、凸設固定部413の間において穿設される開口部411bを有する。
連結棒414は、本体部材411と別部材として構成される。組立を行う際には、凸設固定部413の間にリンク部材420(図24参照)を配設した上で、連結棒414をリンク部材420の調整長孔422に挿通した状態で、連結棒414を凸設固定部413に固定する。これにより、扇状部材410とリンク部材420とを連結することができる(図25参照)。
次いで、図24を参照して、リンク部材420について説明する。リンク部材420は一対の扇状部材410を連結すると共に、その動作方向を一定に定める役割を有する部材である。
図24(a)は、リンク部材420の側面図であり、図24(b)は、図24(a)の矢印XXIVb方向視におけるリンク部材420の底面図である。図24に示すように、リンク部材420は、断面L字で厚さ一定(図24(b)参照)の板状部材から形成される本体部材421と、その本体部材421の上部において前後一対で厚さ方向に穿設され前後方向に延設される調整長孔422と、本体部材421の下部において厚さ方向に穿設され上下方向に延設される支持長孔423と、を主に備える。
調整長孔422は、扇状部材410の連結棒414(図23参照)が挿通される孔である。即ち、調整長孔422を介して、リンク部材420と一対の扇状部材410とが連結される。支持長孔423は、固定床430の支持凸部434(図26参照)が挿通される長孔であって、リンク部材420の移動方向を一方向(上下方向)に指定する態様で作用する。
図25を参照して、前組状態における扇状部材410とリンク部材420とについて説明する。図25(a)は、扇状部材410及びリンク部材420の上面図であり、図25(b)は、図25(a)のXXVb−XXVb線における扇状部材410及びリンク部材420の断面図である。なお、図25に示す前組状態とは、固定床430に組み付ける前のサブアセンブリ状態のことをさす。製造工程では、この前組状態を構成した後に、扇状部材410及びリンク部材420が固定床430に組み付けられる。
前組状態において、扇状部材410の連結棒414がリンク部材420の調整長孔422に挿通された状態で凸設固定部413に固定されることにより、扇状部材410とリンク部材420とが互いに連結される。
図25に示すように、一対の扇状部材410がリンク部材420で連結されるので、一方の扇状部材410が動作することにより、その動作がリンク部材420を介して、他方の扇状部材410に伝わる態様で構成される。
次いで、図26及び図27を参照して、固定床430について説明する。図26は、固定床430の上面図であり、図27(a)は、図26のXXVIIa−XXVIIa線における固定床430の断面図であり、図27(b)は、図26のXXVIIb−XXVIIb線における固定床430の断面図である。なお、図26及び図27では、扇状部材410及びリンク部材420が取り外された状態が図示される。また、図26では、支持部432が部分的に断面視される。
図26、図27(a)及び図27(b)に示すように、固定床430は、組立状態(図22参照)において扇状部材410が配設され扇状部材410の上面と固定床430とが面位置で形成されるように扇状部材410の回転軸の間の部分が扇状部材410の厚さに対応して凹設されると共にその外側部分が扇状部材410の移動と干渉しない態様で凹設される凹設床431と、その凹設床431に配設する際に扇状部材410の延設腕部412が支持される支持部432と、凹設床431の中央部分において上下方向に空けられる空洞である空洞部433と、その空洞部433を形成する側壁から左右方向へ向けて凸設される支持凸部434と、組立状態において扇状部材410が最接近する位置から左右にずれた位置において球が流入可能な大きさで凹設される流入口435と、その流入口435から連通すると共に球が流下する遅延流路436と、を主に備える。
支持部432は、扇状部材410の延設腕部412を支持する溝形状で構成される支持溝部432aと、その支持溝部432aに上方から被さり蓋をする支持蓋部432bと、を備える。
空洞部433は、リンク部材420が収容される空洞であって、支持凸部434は、リンク部材420の支持長孔423に挿通される突起部である。なお、リンク部材420を組み付ける際には、空洞部433と支持凸部434の先端との間の空隙にリンク部420を挿入した上で、リンク部材420を左右方向にスライド移動することにより支持凸部434を支持長孔423に挿通させることができる。
流入口435は、球の直径よりも若干大きな直径から構成される。そのため、流入口435の上方において、流入口435の一部を塞ぐ態様で部材が被さっている場合、球が流入口435へ流入することが不可能とされる。
遅延流路436は、扇状部材410から入賞口64へ直接入球した球に対して球の入賞口64への入球を遅らせるための流路である。例えば、遅延流路436を球が通過するのにかかる期間を入賞口64に球が入球することを契機として生じる1の変動期間よりも長くすることにより、入賞口64でオーバーフローが生じることを抑制することができる。
例えば、遅延流路436を球が通過するのにかかる期間を入賞口64の保留球数が4個の場合に選択され易い変動期間よりも長く設定することにより、入賞口64の保留球数が3個の状態において、扇状部材410から落下した1個目の球が直接入賞口64へ入球した直後に流入口435に2個目の球が入球する場合であっても、その2個目の球が入賞口64へ入球するまでに、1の変動が完了するので、2個目の球が入賞口64へ入球することにより入賞口64でオーバーフローが生じることを抑制することができる。
扇状部材410とリンク部材420(図25参照)とを固定床430に組み付ける方法について説明する。まず、上述の前組状態とした扇状部材410とリンク部材420との内、リンク部材420を空洞部433に挿通し、上述の方法で支持長孔423(図25参照)を支持凸部434に嵌め込み、その後で、扇状部材410の延設腕部412(図25参照)を支持溝部432aに乗せ、その上から支持蓋部432bを被せ嵌め込むことにより、扇状部材410が固定床430の支持部432に傾倒可能に支持されると共にリンク部材420が(支持長孔423の延設方向に沿って)上下動作可能に支持される。これにより、扇状部材410とリンク部材420とが、固定床430に組み付けられ、遅延床デバイス400が構成される。
図28を参照して、遅延床デバイス400の状態変化について説明する。図28(a)は、遅延床デバイス400の部分上面図であり、図28(b)は、図28(a)のXXVIIIb−XXVIIIb線における遅延床デバイス400の断面図であり、図28(c)は、遅延床デバイス400の部分上面図であり、図28(d)は、図28(c)のXXVIIId−XXVIIId線における遅延床デバイス400の断面図である。
なお、図28(a)及び図28(b)に示す初期状態では、一対の扇状部材410が平行な姿勢とされ、図28(c)及び図28(d)に示す傾倒状態では、扇状部材410が初期状態から約45°傾倒した姿勢とされる。
初期状態と傾倒状態との大きな違いとしては、流入口435に球が入球可能であるか否かと、一対の扇状部材410の中間位置を球が通過可能か否かと、が挙げられる。前者について、初期状態では、流入口435の上部に扇状部材410の一部が被さった態様とされるので、球が流入口435へ入球不能な態様とされる一方、傾倒状態では、上面視において扇状部材410が流入口435の上部から退くので(退く位置まで傾倒されるので)球が流入口435へ入球可能となる。
また、後者について、初期状態では、扇状部材410が平行な姿勢とされ、扇状部材410の間の上部を球が通過可能に構成されるが、傾倒状態では、球が通過する位置に扇状部材410が張り出すので、扇状部材410の間の部分へ流入した球は扇状部材410に衝突し、通過を防止される。なお、傾倒状態において、扇状部材410の間に流入口435が配設されるので、扇状部材410に衝突した球が跳ね返らず(上下方向に振動する場合等)流入口435の上部に滞在する場合、そのまま流入口435に球を落下させることが可能である。
図29を参照して、球が固定床430から正面側へ落下する際の位置の違いによる、遅延床デバイス400の動作態様について説明する。図29(a)は、遅延床デバイス400の上面図であり、図29(b)は、図29(a)のXXIXb−XXIXb線における遅延床デバイス400の断面図であり、図29(c)は、遅延床デバイス400の上面図であり、図29(d)は、図29(c)のXXIXd−XXIXd線における遅延床デバイス400の断面図である。
図29(c)及び図29(d)に示すように、遅延床デバイス400は、遅延床デバイス400に先に乗っている球P11が固定床430の正面側に落下する際の球の移動に沿って(球の重さを利用して)、扇状部材410が動作する。従って、遅延床デバイス400を動作させるためのモータ等の駆動源を不要とすることができる。
図29(a)及び図29(b)では、球P11が扇状部材410から離れた位置から落下しかけている状態が図示され、図29(c)及び図29(d)では、球P11が扇状部材410の中心位置から固定床430の正面側に落下しかけている状態が図示される。
ここで、遅延床デバイス400の上を球が通過する度に、遅延床デバイス400が可動する態様で構成することも可能であるが、その場合、球の通過の仕方に寄らず遅延床デバイス400の影響を受けてしまい、入賞口64への入球が不必要に遅れる恐れがある。その場合、入賞口64への入球を契機とした変動の開始が遅れ、遊技者の不満の元となる。
これに対し、本実施形態では、図29に示すように、球P11が入賞口64にそのまま入球し易い位置である扇状部材410に乗った状態から固定床430の正面側に球P11が落下しかける状態において遅延床デバイス400が傾倒状態とされる一方、球P11が落下したとしても入賞口64に入る可能性が低い位置である扇状部材410から離れた位置から球P11が落下した場合には遅延床デバイス400が初期状態を保つ態様で構成される。そのため、落下しかける球P11が入賞口64に入りやすい場合にのみ遅延床デバイス400を動作させることができる。
これにより、必要のない場合にまで遅延床デバイス400が作用し、入賞口64への球の入球が不必要に遅れることを回避することができるので、入賞口64への入球を契機とした変動の開始が遅れることを回避でき、遊技者の興趣を向上させることができる。
なお、図29(d)に示すように、扇状部材410の先端に面取り部411aが形成されることにより、扇状部材410の先端を、初期状態では遊技盤13の前面から張り出す一方で、傾倒状態では遊技盤13の前面よりも後方へ引き込む態様で構成することができる。これにより、球を入賞口64に落下し易い位置(遊技盤13の前面よりも前側)まで転動させた上で、落下させることができるので、図29(d)の状態から落下する球が入賞口64に入球する確率を向上させることができる。
図30を参照して、遅延床デバイス400に先に乗っている球P11と、遅延床デバイス400へ新たに入球された球P12との関係について説明する。図30(a)は、遅延床デバイス400の上面図であり、図30(b)は、図30(a)のXXXb−XXXb線における遅延床デバイス400の断面図である。
図30(a)及び図30(b)では、球P11が扇状部材410の正面側へ流下し扇状部材410が傾倒状態とされた後で左右方向から球P12が入球された状態が図示される。
入賞口64の上方に配置される床部分の中央まで所定の球が到達し、今にも入賞口64へ落ちそうというタイミングで他の球が左右方向から床部分を転動し、所定の球に衝突し、所定の球が入賞口64から外れることがあり、遊技者の興趣を低下させる元となっていた。
これに対し、本実施形態では、図30に示すように、球P11が扇状部材410の正面側から落下するタイミングに球P21が転動してきた場合、遅延床デバイス400が傾倒状態とすると共に、球P12と扇状部材410とを衝突させることにより、球P11が球P12に衝突されることを防止することができる。
このとき、図30(a)に示すように、一対の扇状部材410の先端部分が構成する間隙が、球P12の進行方向(図30(a)右方)に向けて先細りする態様とされるので、球P12が一対の扇状部材410の中間部分から前後方向に多少ずれた位置を転動して扇状部材410に衝突したとしても、間隙の先細り形状に沿って、球P12の速度方向を一対の扇状部材410の中間位置へ向けた方向へ修正することができる。従って、球P12の転動する経路を限定することができ、球P12と球P11とが衝突することを回避し易くすることができる。
次いで、図31を参照して、遅延床デバイス400に間隔を空けて2個の球P11,P12が入球し、それぞれ往復動作を繰り返し左右方向の速度が0に収束した状態における遅延床デバイス400の作用について説明する。
図31(a)は、遅延床デバイス400の上面図であり、図31(b)は、図31(a)のXXXIb−XXXIb線における遅延床デバイス400の断面図であり、図31(c)は、遅延床デバイス400の上面図であり、図31(d)は、図31(c)のXXXId−XXXId線における遅延床デバイス400の断面図である。
なお、図31(a)及び図31(b)では、遅延床デバイス400が初期状態とされ、球P11が手前側の扇状部材410に乗ると共に球P12が奥側の扇状部材410に乗る状態が図示され、図31(c)及び図31(d)では、図31(a)及び図31(b)に示す状態から球P11が正面側に流下し、遅延床デバイス400が傾倒状態とされる。
図31(a)から図31(d)に示すように、奥側の扇状部材410に乗った球P12は、球P11が手前側の扇状部材410から流下し遅延床デバイス400が傾倒状態になることにより、奥側の扇状部材410の傾斜に沿って奥方向(図31(b)右方向)へ押し戻される。
その後、球P11が落下し、遅延床デバイス400が初期状態へ戻ることにより、球P12は再度、遅延床デバイス400の上を通り前側の扇状部材410の上方まで転動することが可能とされる。即ち、図31(a)に示す状態から、球P11と球P12とが連続で入賞口64へ入球する場合に比較して、球P12が押し戻される分、球P11と球P12の入球の間隔を離すことができる。これにより、球P11と球P12とが入賞口64に入球することにより入賞口64でオーバーフローが生じることを抑制することができる。
次いで、図32を参照して、遅延床デバイス400に2個の球P11,P12が入球し、それぞれ往復動作を繰り返し左右方向の速度が0に収束した状態において球P11,P12が前後方向に連なって配置される場合の遅延床デバイス400の作用について説明する。
図32(a)は、遅延床デバイス400の上面図であり、図32(b)は、図32(a)のXXXIIb−XXXIIb線における遅延床デバイス400の断面図であり、図32(c)は、遅延床デバイス400の上面図であり、図32(d)は、図32(c)の矢印XXXIId方向視における遅延床デバイス400の正面図である。
図32(a)及び図32(b)に示すように、2個の球P11,P12が連なって配置される場合、球P11が前側の扇状部材410の延設腕部412よりも正面側(図32(b)左側)に配置される状態において、球P12は前後一対の扇状部材410の中間位置付近に配置される(図32(b)参照)。
この状態から球P11が遅延床デバイス400の正面側から落下し遅延床デバイス400が傾倒状態となると、球P12は、扇状部材410の先端部分(円弧部分)が上昇する際に、その先端部分に持ち上げられる。本実施形態では、扇状部材410の先端部分が円弧形状とされるので、傾倒状態において、球P12を支持する扇状部材410の先端部分が左右方向外側へ向かうにつれて下方傾斜する(図32(d)参照)。そのため、球P12は、扇状部材410の左右中央に維持され続けるのでは無く、扇状部材410の先端部分の形状に沿って左右外側へ流下する。これにより、球P12は、扇状部材410から流入口435へ流入する。従って、球P12が球P11に連なって入賞口64に入球することを防止することができる。
図33(a)及び図33(b)は、図32(c)のXXXIIIa−XXXIIIa線における遅延床デバイス400の断面図である。なお、図33(a)では、図32(c)に示す状態から球P11,P12が流下する途中の状態が、図33(b)では、図33(a)に示す状態から更に球P11,P12が流下し球P11が入賞口64に入球した状態が、それぞれ図示される。
図33(a)及び図33(b)に示すように、球P11,P12が遅延床デバイス400の上を連なって流下すると、球P11は遊技盤13の正面側を落下し、球P12は遅延流路436を流下する。即ち、2個の球P11,P12の流下経路が分離されると共に、遅延床デバイス400が長い流路で構成されるので、2個の球P11,P12が入賞口64に入賞するタイミングをずらすことができる。
そのため、例えば、入賞口64に入球した直後に情報を取得し、第3図柄表示装置81(図2参照)で変動を開始する態様で構成されたとしても、入賞口64でオーバーフローが生じることを抑制することができる。
即ち、図33(b)に示す球P12の位置から、遅延流路436の残りの部分を流下して球P12が入賞口64へ流下するまでの期間を、入賞口64の保留球数が4個の場合に選択されやすい変動期間(最短の変動期間)よりも長い期間に設定することにより、入賞口64でオーバーフローが生じることを抑制することができる。
次いで、図34を参照して、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、振り分け装置340が重心の移動のみによって姿勢を変化させる場合を説明したが、第2実施形態における遅延デバイス2300は、本体部材2310に配設される係止装置2315が長孔2316に支持されると共に振り分け装置2340の姿勢を維持する態様で構成される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図34(a)から図34(c)は、第2実施形態における遅延デバイス2300の部分正面図である。なお、図34(a)では、初期状態の振り分け装置2340に球P21及び球P22が連なって到達した状態が図示され、図34(b)では、球P21の重さで振り分け装置2340が変化状態に状態変化すると共に球P22が第3溝313を流下する状態が図示されると共に、図34(c)では、球P22が係止装置2315による係止を解除し、振り分け装置2340が初期状態へ向けて移動開始した状態が図示される。なお、本実施形態では、振り分け装置2340に第2調整装置350が配設されず、振り分け装置2340がバネ機構(図示せず)により初期状態へ向けて付勢される。
振り分け装置2340は、第1壁部2341が第2壁部342の約半分の長さで構成される。これにより、第3溝313から流下してきた球P22と第1壁部2341とが衝突することを抑制でき、振り分け装置2340の復帰動作を球P22に妨害させないようにすることができる。
図34(a)に示すように、係止装置2315は、側壁部312eの下端部分において本体部材2310の奥側(図34紙面垂直方向奥側)の壁部において左右方向に延設される長孔である長孔2316に左右方向スライド及び回転可能に支持される鉤部材2315aと、その鉤部材2315aを右方向および正面視時計回り方向へ向けて付勢する弾性力を発生するねじりバネ2315bと、を備える。なお、本実施形態では、側壁部312eには、下端部分に空いた空間が形成され、その空間を通して鉤部材2315aが通過可能に構成される。
鉤部材2315aは、上下一対で延設される第3溝313の間に形成される壁部に左右方向に沿って延設される長孔2316に支持される軸部2315a1と、その軸部2315a1と一体で構成されると共に側壁部312eを貫通して軸部2315a1よりも右上方(図34右上方)に張り出して形成される当接部2315a2と、軸部2315a1と一体で構成されると共に下側の第3溝313の内方へ張り出して構成される解除部2315a3と、を主に備える。
当接部2315a2は、振り分け装置2340の先端凸部342aの移動軌跡と干渉する位置に配置される。当接部2315a2の形状が、上面部は右方へ向かうほど急激に下降傾斜し、下面部は左右方向に沿った形状(先端凸部342aと面接触する形状)とされるので、振り分け装置2340が初期状態から変化状態へ状態変化する場合には振り分け装置2340にかけられる抵抗を抑制しその移動速度を向上させることができる一方で、振り分け装置2340が変化状態から初期状態へ状態変化する場合には、振り分け装置2340にかけられる抵抗を大きくし振り分け装置2340を変化状態で係止し易くすることができる。
また、軸部2315a1が長孔2316に沿って左右方向にスライド移動可能に構成されるので、振り分け装置2340が変化状態となる直前(図34(b)の直前)の状態において、鉤部材2315aを左方へ逃がすことができる。これにより、鉤部材2315aが軸支される場合と比較して、振り分け装置2340が係止装置2315と衝突して、かみ合ってしまい、動作不良を起こすことを防止することができる。
ねじりバネ2315bは、ねじり部分が軸部2315a1に巻き付けられ、一方の端部(図34(a)左側の端部)が本体部材2310に係止されると共に、他方の端部(図34(a)右側の端部)が鉤部材2315aに係止される態様で構成される。
図34(b)に示すように、球P21の重さで振り分け装置2340が変化状態とされると、先端凸部342aが当接部2315a2に係止される。これにより、振り分け装置2340が変化状態で維持される。本実施形態では、係止装置2315が姿勢変化しない限り、振り分け装置2340が変化状態を維持する態様とされる。
図34(c)に示すように、第3溝313を流下する球P22が解除部2315aに当接することにより、鉤部材2315aが正面視反時計回りに姿勢変化すると、鉤部材2315aによる振り分け装置2340の係止が解除され(当接部2315a2が振り分け装置2340の移動軌跡の外に配置され)、振り分け装置2340を初期状態へ復帰させることができる。
これによれば、振り分け装置2340に正面視時計回り方向の付勢力が常にかけられる状態において、振り分け装置2340が変化状態に状態変化されてから初期状態へ向けて移動開始するまでの時間遅れを形成することができる。従って、簡素な構成で、球P21,P22を別々の流路に確実に振り分けることができる。
なお、図34では、球P21,P22が連なって流下する場合を説明したが、係止装置2315aの解除が球P22の流下により生じることと照らせば、本実施形態の効果は、球P21,P22の振り分け装置2340への到達間隔に寄らず、発揮される。
次いで、図35及び図36を参照して、第3実施形態について説明する。第1実施形態では、遅延デバイス300の状態が検出口312dの上流側を流下する球の作用により変化する場合を説明したが、第3実施形態における遅延デバイス3300は、検出口312dの下流側を流下する球の作用により状態が変化する態様で構成される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。また、本実施形態では、検出口312dが左右方向を向いた開口を有する態様で配設される。
図35(a)、図35(b)、図35(c)、図36(a)、図36(b)及び図36(c)は、遅延デバイス3300を球P31,P32が流れる様子を時系列で図示する第3実施形態における遅延デバイス3300の部分正面図である。
なお、図35(a)では、停止装置3340が初期状態とされると共に球P31,P32が入賞口64へ連続して入球し停止装置3340へ到達した状態が図示され、図35(b)では、図35(a)の状態から停止装置3340が所定量回転した状態が図示され、図35(c)では、停止装置3340が変化状態とされた状態が図示される。
また、図36(a)では、先の球P31が検出口312dを左右方向に通過し維持装置3360に当接して維持装置3360の姿勢を変化させた状態が図示され、図36(b)では、停止装置3340が変化状態から初期状態へ向けて姿勢変化され第2溝3312との間に球が1個通れるだけの隙間を空けた状態が図示され、図36(c)では、後の球P32が検出口312dへ向けて流下する状態が図示される。
図35(a)に示すように、遅延デバイス3300は、入賞口64に入球した球を検出口312dまで案内する流下経路を有する本体部材3310と、その本体部材3310の内部を流下する球の作用により状態が変化する停止装置3340と、その停止装置3340が変化状態(図35(c)参照)となった場合にその状態を維持すると共に検出口312dを通過した球の作用により姿勢変化することに伴い停止装置3340の状態の維持を解除する維持装置3360と、を主に備える。
図35(a)に示すように、本体部材3310は、下降傾斜する流路を構成すると共に入賞口64から入球した球を検出口312dの鉛直上方位置まで案内する第1溝3311と、その第1溝3311の下端部分から検出口312dまで鉛直方向に延設される第2溝3312と、検出口312dを通過した球が案内される検出後流路3313と、を主に備える。なお、第1溝3311及び第2溝3312は、遊技盤13側に開放部を有する溝形状とされ、組立状態において、その開放部が遊技盤13に閉じられることにより、球が流下する通路が形成される。
第2溝3312は、側壁部312eが検出口312dまで延設され、当接壁312aと側壁部312eとの間に、球を半個収容可能な大きさの凹みとして構成される収容凹部3312fを備える。
また、側壁部312eの反対側に、受け壁部3312cを備え、その受け壁部3312cには収容凹部3312c1が後方へ向けて凹設される。収容凹部3312c1は、停止装置3340が変化状態(図35(a)参照)となったときに、磁石部3346を収納可能な位置関係で配設される。
収容凹部3312fは、球を受け止める下側の壁面が停止装置3340の中心孔345を通る直線に沿って延設される。これにより、収容凹部3312fに待機する球P32が重力により流下し始める方向を、停止装置3340へ向けた方向とすることができる。そのため、球P32が流下可能な状態となったときに、スムーズに球P32を流下させることができる。
検出後流路3313は、検出口312dを通過した球が流下する流下経路であり維持装置3360の当接部3363の真下に配設され、維持装置3360の軸部3361aを軸支する軸受け部3313aと、当接部3363を出入り可能に構成される開口部である開口3313bと、検出後流路3313の上壁から維持装置3360の本体棒3361の下側面へ向けて凸設されると共に本体棒3361の移動を係止する係止部3313cと、検出口312dから開口3313bまで延設される遅延流路3313dと、を備える。
停止装置3340は、第1実施形態で説明した重心位置を移動可能に構成される第2調整装置350を備えておらず、その重心G3が、第2壁部342を延長した線と停止装置3340の円周との交点に固定配置される。なお、第2壁部342はでは、先端凸部342aの形成が省略される。
また、停止装置3340は、停止装置3340の第1壁部341から、第2壁部342の反対側へ向けて延設されると共に磁性材料から構成される磁石部3346を備える。
維持装置3360は、軸受け部3313aに回転可能に軸支される振り子状の装置であって、軸受け部3313aに中間位置で軸支される軸部3361aを有する棒状部材である本体棒3361と、その本体棒3361の受け壁部312cに近接する側の端部に配置されると共に磁性材料から構成される磁石部3362と、その磁石部3362の反対側の端部に配設され本体棒3361の姿勢変化により検出後流路3313の内部に侵入可能な位置に配置されると共に流下する球と当接可能に配置される当接部3363と、を主に備える。
本実施形態において、図35(a)に示すように、本体棒3361が係止部3313cに支えられる姿勢が、維持装置3360の初期状態とされる。即ち、初期状態では、磁石部3362が収容凹部3312c1に面して配置され、当接部3363が検出後流路3313の内側へ張り出されると共に、当接部3363の重さにより維持装置3360の姿勢が維持される。
なお、磁石部3362の端面は、その端面から垂直に引かれる直線であって軸部3361aを通る直線を境として、その直線の上側の部分が省略される。
即ち、端面部分であって端面から垂直に引かれると共に軸部3361aを通る直線が通る部分が、初期状態において受け壁部3312cに最も近接しており、その上側の部分(本体棒3361が正面視反時計回りに回転することで受け壁部3312cに近接移動する部分)が省略されるので、維持装置3360が初期状態から姿勢変化した後も、その同じ部分が受け壁部3312cに最も近接する態様で構成される(磁石部3362の端面の全ての部分が、受け壁部3312cから遠ざかる態様で構成される)。
従って、図35(c)に示すように、停止装置3340の磁石部3346が維持装置3360の磁石部3362に近接し吸着方向の磁力が生じる状態から、維持装置3360を球の作用で姿勢変化させることにより、磁石部3362の端面を停止装置3340の磁石部3346から離反させることができる。
また、磁石部3362を、吸着面と垂直な方向に移動させるのではなくて、吸着面に対して姿勢を傾けながら離反させる態様で構成されるので、弱い力で磁石部3346,3362の吸着を解除することができる。
球P31,P32が本体部材3310を通過する際の、遅延デバイス3300の状態の変化について、時系列に沿って説明する。
図35(a)に示すように、球P31,P32が入賞口64へ入球すると、第1溝3311及び第2溝3312を通過して球P31,P32が停止装置3340へ到達する。本実施形態では、停止装置3340の第1壁部341と第2壁部342との間のスペースが、球を1個収容できる大きさとされるので、先の球P31のみが収容され、後の球P32は停止装置3340の外側に維持される。
図35(b)に示すように、先の球P31の重さで停止装置3340が初期状態から回転し、後の球P32は第2壁部342の外端部に押されて収容凹部3312fに左側部分が収容される。この収容凹部3312fに収容される位置が、第2溝3312の停止装置3340の上流側における最下端位置とされるので、球P32は、図35(b)に示す位置に重力の作用で維持される。
図35(c)に示すように、球P31を検出口312dへ流下させる状態において、停止装置3340の第1壁部341と受け壁部3312cとが当接し、磁石部3346が収容凹部3312c1に収容される。この状態において、磁石部3346が、維持装置3360の磁石部3362に近接し吸着方向の磁力が生じることにより、停止装置3340の状態が変化状態に維持される。そのため、球P31が停止装置3340の外方へ流下しても、球P32は停止したままとされる。
図36(a)に示すように、先の球P31が遅延流路3313dを通過した後で、当接部3363に当接することにより、維持装置3360の本体棒3361が回転し、磁石部3362が磁石部3346から離反される。
これにより、停止装置3340に働いていた磁力が急激に減少し、停止装置3340の回転を停止させる力が解除されるので、重力の作用で、停止装置3340の重心G3を下方へ移動させる態様で、停止装置3340が正面視反時計回りに回転を開始する。
なお、本実施形態では、軸部3361aと磁石部3362との距離に比較して、軸部3361aと当接部3363との距離が数倍(約5倍)長くされるので、梃子の原理により、球P31の重みという小さな負荷で維持装置3360を回転させることができる。
また、軸部3361aを基準とした当接部3363側の移動幅に比較して、磁石部3362側の移動幅の方が小さくされるので、遊技盤13に伝えられる振動により磁石部3362が位置ずれして停止装置3340に負荷される磁力が足りなくなり、停止装置3340の姿勢が変化することを防止することができる。
図36(b)に示すように、維持装置3360は、球P31が通過して球P31と当接部3363とが離れると、当接部3363の重みにより初期状態へ戻る。
図36(b)に示すように、停止装置3340は、変化状態から初期状態への復帰動作において、収容凹部3312fに収容される球P32に面する部分の開口面積が徐々に大きくなる態様で回転する。即ち、停止装置3340が初期状態に戻りきる前に、球P32は停止装置3340に収容可能とされる。これにより、例えば、停止装置3340の上流側に球が2個堆積した場合に、それら2個の球が双方共に停止装置3340に流入することを防止することができる。従って、停止装置3340が詰まって動作不良を起こしたり、動作速度が遅くなったりすることを防止することができる。
図36(c)に示すように、収容凹部3312fに収容されていた球P32は、停止装置3340に収容され、その球P32の重みにより停止装置3340が回転され、球P32が検出口312dへ流下される。
このように、球P31,P32が複数連なって入賞口64へ入球した場合でも、先の球P31が維持装置3360の姿勢を変化させ、停止装置3340の状態維持を解除する位置を通過するまで、後の球P32の流下を停止させることができる。本実施形態では、球P31が遅延流路3313dを3秒間かけて通過するように設計されるので、球P31が検出口312dを通過することで変動が開始してから、少なくとも3秒間は球P32が、検出口312dを通過することを防止することができる。
従って、入賞口64に球が入球することにより獲得可能な変動の最短期間(保留球数が4個の場合に選択され易い変動期間)が3秒である場合、図35(a)に示すように入賞口64に球P31,P32が連なって入球した(3秒よりも短い間隔で入球した)としても、球P31が検出口312dを通過することにより開始される変動が終了した後に、球P32が検出口312dを通過する状態を構成することができる。これにより、入賞口64に球が連なって入球した場合にオーバーフローが生じることを抑制することができる。
また、球P31が検出口312dを通過してから維持装置3360を姿勢変化させるまでの期間を確保できるので、検出口312dの上流において停止装置3340の姿勢維持を解除する場合に比較して、オーバーフローが生じることを確実に防止することができる。
例えば、検出口312dを通過する前の球を利用して維持装置3360を姿勢変化させる場合、検出口312dを通過する球と、その後の球との間隔を確保するために、停止装置3340の動作速度が遅くなるように設計しておく必要がある。即ち、停止装置3340が変化状態から初期状態へ戻るまでの期間で球同士の間隔を空ける必要があり、経年劣化などにより停止装置3340の動作速度が変化するとオーバーフローを防止できなくなる恐れがあった。
これに対し、本実施形態によれば、検出口312dを球が通過してから、その球が維持装置3360に当接するまでの間に、遅延デバイス3300の中で動作するのは球のみであって、球と固定された流路との関係で停止装置3340の動作タイミングを管理することができる。
本実施形態では、維持装置3360に球が到達するまでの間に、変動にかかる期間(3秒間)が経過しているので、停止装置3340が初期状態へ戻るまでの期間によらず、オーバーフローを防止することができる。即ち、停止装置3340が10秒かけて初期状態へ復帰しようが、0.5秒で初期状態へ復帰しようが、それとは無関係に入賞口64でオーバーフローが発生することを防止することができる。
また、停止装置3340を電動で一定動作させるような場合に比較して、球P31が入賞口64を通過してから検出口312dを通過するまでの期間を短く確保しながら、球P31の後から入球する球P32のみを停止させることができ、先の球P31が入賞口64を通過してから変動が開始されるまでの期間が延びることを防止することができる。これにより、遊技者が違和感(例えば、球が入賞口64に入球したのに変動が開始されないことから、何か不正を行っているのではないかと思う感覚)を覚えることを抑制することができる。
次いで、図37及び図38を参照して、第4実施形態について説明する。第1実施形態では、遅延デバイス300の凸設部321a1の作用により球を減速させる場合を説明したが、第4実施形態における遅延デバイス4300は、球を等間隔に切り離すスプロケット4340により球を減速させる。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図37(a)、図37(b)、図37(c)、図38(a)、図38(b)及び図38(c)は、遅延デバイス4300を球P41,P42等が流れる様子を時系列で図示する第4実施形態における遅延デバイス4300の正面図である。なお、図37(a)では、スプロケット4340が初期状態とされると共に球P41,42が入賞口64へ連続して入球しスプロケット4340へ到達した状態が図示され、図37(b)では、図37(a)の状態からスプロケット4340が所定量回転した状態が図示され、図37(c)では、磁石装置4350の磁石部材4351が係止位置に配置された状態が図示され、図38(a)では、球P42の重みでスプロケット4340が回転する途中の状態が図示され、図38(b)では、球P42が検出口312dへ入球する直前の状態が図示され、図38(c)では、スプロケット4340が正面視時計回りに回転し磁石装置4350の磁石部材4351が初期位置へ向けて移動する途中の状態が図示される。
図37(a)に示すように、遅延デバイス4300は、入賞口64に入球した球を検出口312dまで案内する流下経路を有する本体部材4310と、その本体部材4310の内部を流下する球の作用により状態が変化するスプロケット4340と、そのスプロケット4340の回転軌跡に沿って相対移動可能に構成される磁石部材4351を有する磁石装置4350と、を主に備える。
図37(a)に示すように、本体部材4310は、第1溝3311と、その第1溝3311の下端部分から検出口312dまで鉛直方向に延設される第2溝4312と、その第2溝4312の右方部分において前後方向に沿って延設される円柱形状の軸棒4313と、を主に備える。なお、第1溝3311及び第2溝4312は、遊技盤13側に開放部を有する溝形状とされ、組立状態において、その開放部が遊技盤13に閉じられることにより、球が流下する通路が形成される。
第2溝4312は、第3実施形態における第2溝3312から受け壁部3312c(図35(a)参照)を除いた構成とされる。そのため、当接壁312a、凹設部312b、検出口312d、側壁部312e及び収容凹部3312fについては、同一の符号を付して、その説明は省略する。
スプロケット4340は、本体部材4310を流下する球の重みにより回転する歯車形状の部材であって、中心位置を軸棒4313に回転可能に軸支される円板形状の円板部材4341と、その円板部材4341の正面側へ延設されると共に壁同士の隙間に球を収容可能に形成される収容壁部4342と、を主に備える。
円板部材4341は、本体部材4310の奥側の壁部(図37(a)紙面垂直方向奥側の壁部)と面位置となる位置に配置されるので、円板部材4341の内側を流下する球は、円板部材4341の正面側を通過する。
また、円板部材4341は、外周面に沿って縞状の磁極(各板状部4342a〜4342eの間の領域を3等分し、その中央部分がN極とされ、外側の部分がS極とされる縞状の磁極)を有する磁石部4341aを備える。この磁石部4341aと、磁石装置4350とが互いに作用することにより、スプロケット4340の回転速度が調整される。
なお、円板部材4341と磁石部材4351とが相対移動したことを判別しやすくするために、円板部材4341の外周位置付近に三角形状の目印Mが形成される。
収容壁部4342は、円板部材4341の中心から径方向外側へ向けて放射状に延設され、周方向への球の通過を不可能とする板状の部分であって、等間隔(72°間隔)に配設された5枚の板状部4342a〜4342eから構成される。各板状部4342a〜4342eの間の各隙間は、球を1個のみ収容可能な幅で構成される。また、各板状部4342a〜4342eの外周面(スプロケット4340の径方向外方の周面)は、円板部材4341の中心軸と同軸で形成される円弧形状から形成される。
図37(a)に例示として示すように、球P41が乗る位置に第1板状部4342aが配置され、そこから正面視時計回りに、順に、第2板状部4342b、第3板状部4342c、第4板状部4342d、第5板状部4342eが配置される。
磁石装置4350は、磁性材料から形成されると共にスプロケット4340の円板部材4341の外周面の直径よりも若干直径の長い円弧形状で形成されると共に回転アーム(図示せず)を介して軸棒4313に軸支される磁石部材4351と、その磁石部材4351の下面の形状に沿った円弧形状の壁面として円板部材4341の下方に所定距離空けた位置に本体部材4310から延設される円弧壁部4352と、その円弧壁部4352の端部であって本体部材4310に近接する側とは反対側の端部において磁石部材4351側に張り出すストッパ部4353と、を主に備える。
磁石部材4351は、円弧形状の内周側に縞状の磁極(円弧の領域を3等分し、その中央部分がS極とされ、外側の部分がN極とされる縞状の磁極)を有し、スプロケット4340の円板部材4341の外周面と若干の隙間を空けて配設されると共に円板部材4341の磁極との関係で位置補正される。
即ち、図37(a)に示す状態(球P41の重みがスプロケット4340にかけられる前の状態)において、各板状部4342a〜4342eの間の領域の中央位置と、磁石部材4351の円弧の中央位置とが一致する位置で維持される。
この磁石部材4351は、図37(a)に示す初期位置において本体部材4310の外側面に一方の端部(図37(a)左側の端部)が当接し、図37(c)に示す係止位置(軸棒4313を中心として初期位置から72°だけ正面視反時計回りに回転した位置)において他方の端部(図37(c)上側の端部)がストッパ部4353と当接する。
円弧壁部4352は、磁石部材4351の外側に配置される壁部であって、磁石部材4351が円板部材4341に吸着している時には、磁石部材4351との間に隙間が空けられる位置に配置される。
例えば、何らかの理由で、遊技盤13が振動し磁石部材4351に衝撃が加えられる事態が生じ、円板部材4341と磁石部材4351との吸着が一時的に解除されたとしても、磁石部材4351は円弧壁部4352に支えられるので、磁石部材4351が大きく位置ずれすることを防止することができる。
ストッパ部4353は、磁石部材4351の移動を遮る位置に配置される。なお、本実施形態では、磁石部材4351が図37(a)に示す初期位置から所定角度だけ(本実施形態では72°)回転した係止状態において、磁石部材4351とストッパ部4353とが当接する態様で構成され(図37(c)参照)、この係止状態において、球P41が検出口312dへ流下する。
球P41,P42が本体部材4310を通過する際の、遅延デバイス4300の状態の変化について、時系列に沿って説明する。
図37(a)に示すように、球P41,P42が入賞口64へ入球すると、第1溝3311及び第2溝4312を通過して球P41,P42がスプロケット4340へ到達する。本実施形態では、スプロケット4340の第1板状部4342aと第2板状部4342bとの間のスペースが、球を1個収容できる大きさとされるので、先の球P41のみが収容され、後の球P42はスプロケット4340の外側に維持される。
図37(b)に示すように、先の球P41の重さでスプロケット4340が初期状態(図37(a)参照)から回転し、後の球P42は第2板状部4342bの先端に押されて収容凹部3312fに左側部分が収容される。この収容凹部3312fに収容される位置が、スプロケット4340の上流側における第2溝4312の最下端位置とされるので、球P42は、図37(b)に示す位置に重力の作用で維持される。
図37(b)に示す状態において、磁石部材4351はスプロケット4340の円板部材4341と一体となって移動する。従って、円板部材4341には磁石部材4351の重みが回転抵抗として負荷される。
図37(c)に示すように、スプロケット4340が初期状態から正面視反時計回りに72°回転した状態(球P31を検出口312dへ流下可能な状態)において、磁石部材4351とストッパ部4353とが当接する(磁石部材4351は係止位置に配置される)。
従って、スプロケット4340がこれ以上正面視反時計回りに回転する場合には、磁石部材4351は係止位置に維持され、スプロケット4340のみが回転することになる。この場合、スプロケット4340と磁石部材4351との間に、磁力が働き、その磁力がスプロケット4340の回転の抵抗に加えられる。
なお、図37(c)に示すように、球P41が、側壁部312eと第1板状部4342aとに擦れながら検出口312dへ流下する状態において、スプロケット4340は初期状態から72°回転した状態となる。即ち、球の通過により、スプロケット4340が所定の姿勢に合わせられる。球の形状は精密に作られているので、スプロケット4340を72°ごと回転させることを、球の形状の精密さを利用して確実に行うことができる。
この時、図37(c)に示すように、第1板状部4342aが球P41を側壁部312eへ押し付ける方向に下降傾斜するので、球P41の速度を側壁部312eへ近接する方向へ向けることができ、球P41の勢いにより第1板状部4342aが回転しすぎることを防止することができる。
図37(c)に示す状態において、球P42はスプロケット4340へ入球され、球P41が検出口312dへ向けて送球された後は、球P42の重さによってスプロケット4340が回転する。
図38(a)に示すように、球P42の重さでスプロケット4340が回転する場合、目印Mの位置で示すように、スプロケット4340の円板部材4341と磁石部材4351とが相対移動する。そのため、スプロケット4340と磁石部材4351との間で生じる磁力が、スプロケット4340に回転抵抗として負荷される。
また、図38(a)では、球P42に続いて、球P43及び球P44が入賞口64に入球し、スプロケット4340の上流側に滞留した状態が図示される。
本実施形態では、磁石部材4351の重さによりスプロケット4340にかけられる回転抵抗に比較して、磁石部材4351とスプロケット4340との間にかけられる磁力によりスプロケット4340にかけられる回転抵抗の方が遙かに大きくなる態様で構成される(磁石部材4351は、重量は軽くする一方で発生する磁力は大きくなる態様で構成される)。
これにより、例えば、図37(a)に示す状態から図37(c)に示す状態となるまでの期間を0.5秒間とする一方で、図37(c)に示す状態から図38(a)に示す状態となるまでの期間を5秒間とすることができる(スプロケット4340を所定角度回転させるのに要する期間を変化させることができる)。
なお、本実施形態では、図37(c)に示す状態から図38(a)に示す状態となるまでの期間を5秒間で設定しているので、例えば、球P41が検出口312dを通過することにより入賞口64の保留球数が4個となり、その際に選択される変動が3秒間の変動であった場合には、その変動が終了した後に球P42が検出口312dを通過する構成とすることができるので、球P42が検出口312dを通過する際に入賞口64でオーバーフローが生じることを防止することができる。
なお、図38(a)に示すように、球P43及び球P44がスプロケット4340の上流側に複数個滞留する場合において、球P43及び球P44からスプロケット4340にかけられる負荷は、収容壁部4342の外周面の形状(円弧)の効果により、軸棒4313へ向けた方向(径方向)の負荷とされる。
従って、球P43及び球P44からスプロケット4340の回転方向へかけられる負荷を、球P43とスプロケット4340との擦れにより生じる負荷に限定することができ、滞留する球P43及び球P44の重さに比較して、スプロケット4340にかけられる回転抵抗を低減することができる。
図38(b)は、球P42が検出口312dへ送球されると共に球P43がスプロケット4340に入球した状態(図37(a)に示す初期状態から、スプロケット4340が正面視反時計回りに144°回転した状態)が図示される。
図38(b)に示す状態からスプロケット4340が回転する場合には、球P42の重さでスプロケット4340が回転した場合と同様に、スプロケット4340と磁石部材4351との相対移動を伴う。これは、球P43以降の球P44がスプロケット4340に収容され、スプロケット4340が回転する場合も同様である。
即ち、本実施形態によれば、入賞口64に連なって入球する球の個数が4球以上であっても(球の個数によらず)、各球を検出口312dへ送球する間隔を一定間隔に保つことができると共に、一つ目の球として入賞口64に入球される球P41が検出口312dを通過するまでの期間を、スプロケット4340により空けられる球同士の送球間隔に比較して短縮することができる。
従って、遊技者が違和感(例えば、球が入賞口64に入球したのに変動が開始されないことから、何か不正を行っているのではないかと思う感覚)を覚えることを抑制することができる。
図38(c)に示すように、球P44(図38(b)参照)を検出口312dへ向けて送球した後において、次の球(入賞口64に入球される球)がスプロケット4340に乗っていない場合、スプロケット4340は、磁石部材4351の重さにより正面視時計回りに回転する。
本実施形態では、磁石部材4351が軽い部材から構成されるので、スプロケット4340の回転速度が低減されており、磁石部材4351が係止位置から初期位置へ戻るまでの期間が5秒間とされる。
そのため、図37(a)に示す球P41が検出口312dを通過するタイミングと、図38(c)の状態からスプロケット4340が更に回転し磁石部材4351が初期位置に配置された直後にスプロケット4340に入球される球が検出口312dを通過するタイミングとの間の間隔が、5秒以上空けられる。5秒間は、入賞口64の保留球数が4個の場合に選択され易い最短の変動期間(3秒間)よりも長い期間である。
従って、スプロケット4340が初期状態に復帰した直後に球がスプロケット4340を通過した場合に、入賞口64でオーバーフローが生じることを防止し易くすることができる。
図38(c)に示す状態において、スプロケット4340と磁石部材4351との相対位置は、図37(a)に示す状態と外観上変化していないが、目印Mに示すように、実際は、図37(a)に示す状態に比較して、軸棒4313を中心に72°だけ相対移動した位置に磁石部材4351が配置される。
本実施形態では、磁石部材4351が係止位置に配置された状態において、球が第2溝4312を通過する度にスプロケット4340が磁石部材4351に対して収容壁部4342の各板状部間の隙間一つ分の角度(即ち、72°)だけ位置ずれする態様で構成される。
そのため、スプロケット4340と磁石部材4351との相対移動は、例えば、第1板状部4342aが第2板状態4342bの位置に移動するというような相対移動に留まり、その相対移動後の、スプロケット4340と磁石部材4351とを合わせた全体としての形状は相対移動前と変化しない。
従って、第2溝4312を通過する球の個数によらず、球がスプロケット4340から排出された後のスプロケット4340と磁石部材4351との全体としての形状を不変とすることができるので、入賞口64への球の流入が一定期間無くなった場合に、スプロケット4340の目印Mの位置に磁石部材4351を移動させるための装置を配設することを不要とすることができる(図38(c)に示すように、目印Mと磁石部材4351との相対位置関係が図37(a)に示す状態から変化していても、そのままにしておくことができる)。
次いで、図39から図46を参照して、第5実施形態について説明する。第3実施形態では、停止装置3340が変化状態の時に第2溝3312を流下する球も停止装置3340を通過して検出後流路3313を経て排出される場合を説明したが、第5実施形態における遅延デバイス5300は、停止装置3340が変化状態の時に第2溝5312を流下する球が連続通過溝5314を流下する態様で構成される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図39は、第5実施形態における遅延デバイス5300の部分正面図である。なお、図39では、球P51〜P54が第1入賞口64へ連続して入球し、その結果として停止装置3340が変化状態とされた状態が図示される。また、遅延デバイス5300における停止装置3340及び維持装置3360は、第3実施形態における停止装置3340及び維持装置3360と左右対称形状の装置として構成されるので、第3実施形態での説明と同一の符号を付し、第3実施形態での説明と重複する部分については説明を省略する。
図39に示すように、遅延デバイス5300は、第1入賞口64に入球した球を検出口312dまで案内する流下経路を有する本体部材5310と、その本体部材5310の内部を流下する球の作用により状態が変化する停止装置3340と、その停止装置3340が変化状態(図39参照)となった場合にその状態を維持すると共に検出口312dを通過した球の作用により姿勢変化することに伴い停止装置3340の状態の維持を解除する維持装置3360と、後述する連続通過溝5314を流下する球に作用して球を停留させる停留装置5500と、を主に備える。なお、停留装置5500については、理解を容易にするために、可動板部5510のみを図示し他の構成の図示が省略され、可動板部5510については、正面視で停留部5314bを通して視認可能な部分が実線で図示され、それ以外の部分が隠れ線(破線)で図示される。また、停止装置3340が変化状態から初期状態となるまでに約1秒間を要する態様で停止装置3340の回転抵抗および重心G3の位置が設定される。
図39に示すように、本体部材5310は、下降傾斜する流路を構成すると共に第1入賞口64から入球した球を検出口312dの鉛直上方位置まで案内する第1溝5311と、その第1溝5311の下端部分から検出口312dまで鉛直方向に延設される第2溝5312と、検出口312dを通過した球が案内される検出後流路5313と、第2溝5312の中間位置から側方(図39右方)へ分岐する溝として形成される連続通過溝5314と、を主に備える。
なお、第1溝5311、第2溝5312、検出後流路5313及び連続通過溝5314は、遊技盤13側に開放部を有する溝形状とされ、組立状態において、その開放部が遊技盤13に閉じられることにより、球が流下する通路が形成される。
なお、第1溝5311、第2溝5312及び検出後流路5313は、第3実施形態における同一名称の構成(第1溝3311、第2溝3312及び検出後流路3313)と、左右対称形状に構成されることから、第3実施形態での説明と重複する部分については、説明を省略する。
第2溝5312は、凹設部312bと対面配置される(換言すれば、凹設部312bの左端部近傍において正面側へ延設されると共に鉛直方向に延設される壁部である)側壁部312eが検出口312dまで延設される。当接壁312aと側壁部312eとの間に、球を送球可能な分岐通路を形成する連続通過溝5314が配設される。
この、連続通過溝5314が第2溝5312と連結される位置は、第3実施形態において収容凹部3312fが配設される位置と同一に形成される。そのため、本実施形態において、停止装置3340が初期状態(図35(a)参照)の時に停止装置3340に到達した球(球P51〜P54の内、先頭で入球した球、即ち、球P51)は停止装置3340を回転させ変化状態にしながら検出口312dへ誘導され、停止装置3340が変化状態の時(図39参照)の時に停止装置3340に到達した球(後追いで入球した球、即ち、球P52〜P54)は、連続通過溝5314を流下する。
また、側壁部312eの反対側に、受け壁部3312cを備え、その受け壁部3312cには収容凹部3312c1が後方へ向けて凹設される。収容凹部3312c1は、停止装置3340が変化状態(図39参照)となったときに、磁石部3346を収納可能な位置関係で配設される。
検出後流路5313は、第3実施形態の検出後流路3313と左右対称形状から形成されることから同一の構成を備える。即ち、検出後流路5313は、検出口312dを通過した球が流下する流下経路であり維持装置3360の当接部3363の真下に配設され、維持装置3360の軸部3361aを軸支する軸受け部3313aと、当接部3363を出入り可能に構成される開口部である開口3313bと、検出後流路5313の上壁から維持装置3360の本体棒3361の下側面へ向けて凸設されると共に本体棒3361の移動を係止する係止部3313cと、検出口312dから開口3313bまで延設される遅延流路3313dと、を備える。
なお、第3実施形態と同様に、遅延流路3313dは、重力の作用で流下する球が少なくとも3秒間以上の時間をかけて通過する長さで設計される。そのため、少なくとも3秒間は、停止装置3340を変化状態に維持することができ、その間に入球した球を連続通過溝5314へ連続して入球させることができる。
この場合、停止装置3340は、第1入賞口64に入球した球P51の流下により変化状態へ向けて状態変化するタイミング(連続通過溝5314へ球を導入可能な期間の始期)と、変化状態を維持する期間とが規定される。
この変化状態に維持される期間(停止装置3340が状態変化してから少なくとも3秒間)と、停止装置3340が変化状態から初期状態へ復帰する時間(本実施形態において、約1秒間)とを合算した期間は、第1入賞口64に入球した球を連続通過溝5314の下流に配設される第2検出口5314cに球を連続して通過させ易くなる。
このように、本実施形態では、遊技状態の移行を要することなく、第1入賞口64に複数の球P51,P52が入球した場合に、それらが検出口312d及び第2検出口5314cに同程度に通過し易い状態(交互入賞をする状態)と、検出口312dに比較して第2検出口5314cを通過し易い状態(第2検出口5314cに連続で入球する状態)とで切り替えることができる。
一般的にパチンコ機10に許容される球の発射間隔は最短で0.6秒間隔であることから、3秒間の内に、通常入り得る球の上限は4,5球である。従って、本実施形態では、3秒間の内に入球する球の数の上限を5球と仮定して(6球目以降の入球の可能性は無視して)、説明を行う。
連続通過溝5314は、第2溝5312に連結され球が最初に導入される導入溝5314aと、その導入溝5314aの下端に連結されると共に球が所定個数ずつ(本実施形態では1球ずつ)停留する停留部5314bと、その停留部5314bの直下に配設され球が通過可能な貫通孔を備えると共に球の通過を検出する第2検出口5314cと、導入溝5314aの中間位置に連結すると共に導入溝5314aの背面側に配設される分岐流路5314dと、その分岐流路5314dに配設され球が通過可能な貫通孔を備えると共に球の通過を検出する第3検出口5314eと、を主に備える。
導入溝5314aは、全体としては正面視右方に下降傾斜し、下端位置近傍で屈曲し鉛直下方へ延設される溝であって、下端部から球が複数個滞留したと仮定した場合に、下端から数えて3球目の球の背面側の領域に、球が通過可能な大きさで貫通形成されると共に、分岐流路5314dの上端部が連結される上限排出孔5314a1を備える。
分岐流路5314dは、上述したように上端が上限排出孔5314a1に連結される。そのため、上限排出孔5314a1を通過した球は、分岐流路5314dに案内され、第3検出口5314eを通過することで検出される。なお、分岐流路5314dは、導入溝5314aの背面側に配設されていることの把握を容易とするために、隠れ線(破線)で図示される。
一方、導入溝5314aを流下した球は、停留部5314bを経て、第2検出口5314cを通過することで検出される。従って、連続通過溝5314に導入された球は、第2検出口5314c又は第3検出口5314eのいずれかに検出された後に、図示しない球排出路へと案内される。
なお、本実施形態では、導入溝5314aを球が重力の作用で流下する際に少なくとも2秒間以上の時間を要する態様で導入溝5314aの長さが設定される。そのため、停止装置3340を鉛直下方に通過して検出口312dを通過する球P51と、導入溝5314aを流下して第2検出口5314cを通過する球P52との、通過タイミングを確実にずらすことができる。
例えば、停止装置3340が初期状態(図35(a))の時に、第1入賞口64に2個の球(球P51,P52)が連なって入球した場合、先頭の球P51は、停止装置3340を初期状態から変化状態に状態変化させながら鉛直下方に流下し停止装置3340を状態変化させた直後に検出口312dを通過する。一方で、後追いの球P52は、停止装置3340の円弧壁部343を転動して連続通過溝5314に導入され、導入溝5314aを少なくとも2秒間以上かけて流下し、その後、第2検出口5314cを通過する。
なお、本実施形態では、遅延流路3313dに比較して導入溝5314aの方が流路長は長いが(図39参照)、遅延流路3313dを球が通過するのに要する時間に比較して導入溝5314aを球が通過するのに要する時間の方が短い。これは、遅延流路3313dの水平面に対する傾斜角度に比較して、導入溝5314aの水平面に対する傾斜角度が大きいことに因る。
停止装置3340が初期状態から変化状態に状態変化するのに要する時間が無視できるほど短く(0.1秒程度に)設定され、停止装置3340を状態変化させた球が検出口312dを通過するまでに要する時間が極めて短く(0.1秒程度)なる態様で側壁部312eの長さが設定される場合、球P51が検出口312dを通過することで検出されるタイミングと、球P52が第2検出口5314cを通過することで検出されるタイミングとをずらすことができる。
なお、本実施形態では、図39に示すように、第1入賞口64から検出口312dまでの経路長に比較して、第1入賞口64から第2検出口5314cまでの経路長の方が長く設定される。これにより、視覚的に、第1入賞口64に入球した球が第1入賞口64を通過してから検出口312dを通過するまでに要する時間よりも、第1入賞口64を通過してから第2検出口5314cを通過するまでに要する時間の方が長いことを判断可能とすることができる。
本実施形態では、第1入賞口64へ入球した球が検出口312d又は第2検出口5314cを通過する(始動入賞する、又は、入球する、とも称する。他の実施形態において同じ)と、それをトリガとして、第1図柄表示装置37において第1特別図柄(第1図柄)の変動表示が実行され、球が第3検出口5314eを通過することにより、普通図柄(第2図柄)の変動表示が実行される。換言すれば、第1入賞口64に球が入球してから、検出センサ(検出口312d、第1実施形態における図示しない第1入賞口スイッチ等)を通過するまでの間は、未だ変動表示が実行されない状態とされる。
また、本実施形態では、第2入賞口640へ球が入球し(始動入賞し)、遊技盤13の裏面側に設けられる第2入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第2入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で第2特別図柄の大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Bで示される。また、この表示は、特に詳述しない限り、他の実施形態においても同様に実行される。
ここで、本実施形態における第1特別図柄と第2特別図柄との違い(第1実施形態と共通)について、説明する。即ち、第1入賞口64に球が入賞した場合(第1特別図柄の大当たりの抽選の場合)と第2入賞口640へ球が入賞した場合(第2特別図柄の大当たりの抽選の場合)とで、大当たりとなる確率は、低確率状態であっても高確率状態でも同一である。しかしながら、大当たりとなった場合に選定される大当たりの種別として15R確変大当たりとなる確率は、第2入賞口640へ球が入賞した場合(第2特別図柄の大当たり)のほうが第1入賞口64へ球が入賞した場合(第1特別図柄の大当たり)よりも高く設定されている。
なお、以下において、検出センサが配設される検出口を単に検出口(又は、入賞口、入球口など)と称することがあり(検出センサの記載を省略することがあり)、球が検出口(又は、入賞口、入球口など)を通過することに起因して抽選が行われる(変動が実行される)ことの記載を省略し、単に、球が検出口(又は、入賞口、入球口など)を通過すると簡略して説明することがある。
球が検出口312d又は第2検出口5314cを通過したタイミングで取得された第1図柄のデータは、4個まで記憶可能(4つの保留エリアに順に記憶可能)である一方で、その記憶個数とは独立して、球が第3検出口5314eを通過したタイミングで第2図柄のデータを取得することができる。
なお、本実施形態では、第1図柄表示装置37A,37Bにより第1入賞口64(内の検出口312d及び第2検出口5314c)、第2入賞口640の通過回数の内の保留回数が示されることに伴い(同時に)、第3図柄表示装置81に、保留回数を示す装飾的な表示としての第1図柄保留マークが表示される。この第1図柄保留マークは、第1図柄表示装置37A,37Bの表示と同時に表示されるので、例えば、第1入賞口64に球が入球した場合には、球が検出口312d又は第2検出口5314cを通過した時に第1図柄保留マークの表示が開始される。また、この表示開始は、他の実施形態においても同様に実行される。
なお、本実施形態では、遊技状態の別によらず(通常中でも、確変中でも、時短中でも)、普通図柄(第2図柄)の抽選が、約1/1の確率で当たりとなるように、設定される。従って、球が第3検出口5314eを通過することにより、電動役物640aが所定時間だけ開放することになるので、第2入賞口640(図2参照)へ球が入球しやすい状態とすることができる。
第3検出口5314eへ向けて球を送球するためには、後述するように、第1入賞口64へ頻度良く球を入球させれば良いので、第2入賞口640(図2参照)への入球を狙う遊技者に対して、第1入賞口64に頻度良く球を入球させる動機付けをすることができる。
一方で、後述するように、頻度を押さえて第1入賞口64に入球させれば、球は、第3検出口5314eではなく、検出口312d又は第2検出口5314cを通過する。従って、遊技者は、第1入賞口64への球の入球頻度を調整することにより、第1入賞口64に入球した球で第1図柄の変動を実行させるのか、第2図柄の変動を実行させるのかを選択することができる。
なお、本実施形態では、後述するように、普通図柄の変動表示が実行される前に、必ず第1特別図柄の変動表示が開始され、第3図柄表示装置81で変動表示が行われる。これにより、第3図柄表示装置81の表示が静か過ぎる等の理由で、普通図柄の変動表示が開始されたタイミングを見落とすおそれがあるという問題点を解消することができる。また、普通図柄の変動表示と合わせて第1特別図柄の変動表示を行うことで、普通図柄の変動表示のみを行う場合に比較して、変動表示に対する注目力を向上させることができる。
なお、本実施形態では、第1図柄表示装置37A,37Bによりスルーゲート67の通過回数の内の保留回数が示されることに伴い(同時に)、第3図柄表示装置81に、保留回数を示す装飾的な表示としての第2図柄保留マークが表示される。
次いで、図40を参照して、停留部5314bについて説明する。図40は、連続通過溝5314の部分拡大正面図である。なお、理解を容易とするために、分岐流路5314d及び停留装置5500の図示が省略される。
停留部5314bは、背面側(図40紙面奥側)の壁部が取り払われ前後方向に貫通する孔状の不完全流路であって、鉛直方向に延設される一対の板から形成される球貯留板部5314b1と、その球貯留板部5314b1の上端部において左右方向に延設されると共に前後方向(図40紙面垂直方向)に貫通する貫通孔である上端長孔5314b2と、球貯留板部5314b1の下端部において上端長孔5314b2の延設方向と平行な方向に延設されると共に前後方向に貫通する貫通孔である下端長孔5314b3と、を主に備える。
球貯留板部5314b1は、鉛直方向の長さが球の直径Rよりも若干長く形成される。従って、球貯留板部5314b1により形成される停留部5314bには、一度に停留可能な球が1個に限定される。
上端長孔5314b2及び下端長孔5314b3は、延設長さが等しく設定される一方で、左右端位置が鉛直方向視でずらされる。本実施形態では、上端長孔5314b2は、その左右方向中心位置が球貯留板部5314b2の正面視右端部と一致する態様で配設される。即ち、上端長孔5314b2の右端部は、球貯留板部5314b1の右端部から右方へ、上端長孔5314b2の全長の半分の長さH1だけ離間した位置に配置される。従って、上端長孔5314b2の左端部は、球貯留板部5314b1の左端部から左方へ、長さH1から球貯留板部5314b1の幅長さ(一対の板の板間の長さ、即ち直径Rよりも若干長い幅長さHR)だけ差し引いた長さ離間した位置に配置される。
一方で、下端長孔5314b3は、その左右方向中心位置が球貯留板部5314b2の正面視左端部と一致する態様で配設される。即ち、下端長孔5314b3の左端部は、球貯留板部5314b1の左端部から左方へ長さH1だけ離間した位置に配置される。従って、下端長孔5314b3の右端部は、球貯留板部5314b1の右端部から右方へ、長さH1から球貯留板部5314b1の幅長さ(一対の板の板間の長さ、即ち直径Rよりも若干長い幅長さHR)だけ差し引いた長さ離間した位置に配置される。即ち、上端長孔5314b2および下端長孔5314b3の右端位置同士は、幅長さHRだけ左右方向に離間し、上端長孔5314b2および下端長孔5314b3の左端位置同士も、同様に、幅長さHRだけ左右方向に離間する。
停留部5314bの正面側には、導入溝5314aと同様に、組立状態において遊技盤13が配設される。これにより、正面側の開口が遊技盤13に閉塞されることから、背面側の開口および上下の開口を除いて球の通過が規制される溝形状を構成する。
残りの背面側の開口が、上端長孔5314b2及び下端長孔5314b3にスライド可能に支持される可動板部5510(図39参照)に閉塞されることで、上下の開口を除いて球の通過が規制される流路形状を構成する。以下、図41を参照して、停留装置5500について説明する。
図41(a)は、停留装置5500の正面図であり、図41(b)は、図41(a)の矢印XLIb方向視における停留装置5500の上面図である。図41(a)及び図41(b)に示すように、停留装置5500は、組立状態において停留部5314bにスライド可能に支持される可動板部5510と、その可動板部5510を動作させる駆動力を発生する駆動装置5520と、その駆動装置5520で発生する駆動力を可動板部5510へ伝達する棒状の伝達部材5530と、その伝達部材5530の位置を検出する検出装置5540と、を主に備える。
可動板部5510は、正面視矩形状の板部材から形成される本体板部5511と、その本体板部5511から正面側に上下一対で延設される上側延設板5512及び下側延設板5513と、本体板部5511の背面から伝達部材5530へ向けて凸設される連結凸部5514と、を主に備える。
上側延設板5512及び下側延設板5513は、左右方向の寸法が長さH1で、上下方向寸法(厚み)が上端長孔5314b2の上下幅寸法よりも短く、前後方向寸法(延設長さ)が組立状態において遊技盤13との間隔が直径R未満となる長さで構成される薄板として形成される。更に、上側延設板5512及び下側延設板5513は、互いに平行、且つ、左右端部が左右に幅長さHRだけずれて配設される。
駆動装置5520は、回転駆動される駆動モータ5521(ソレノイド209の一つ(図4参照))と、その駆動モータ5521の回転に伴って回転すると共に駆動力を伝達部材5530へ伝達する円板形状の回転円板5522と、遊技盤13に固定される土台状の部材であって駆動モータ5521のケースが締結固定される土台部材5523と、を主に備える。
回転円板5522は、駆動モータ5521の駆動軸5521aが円の中心に挿通固定されると共に、円の中心から幅長さHRだけ離間して偏心した位置から伝達部材5530へ向けて円柱状に凸設される伝達凸部5522aを備える。
土台部材5523は、上面が略水平に形成される平坦面とされ、その上面から上方へ延設されると共に、組立状態において第1棒部5531を前後から挟持する複数の挟持部5523aを備える。
挟持部5523aは、第1棒部5531の前後幅寸法だけ前後に離間して平行に配置されると共に左右へ向く直線上に点在する複数のリブ状部であり、本実施形態では、第1棒部5531の前後に2個ずつ配設される。これにより、伝達部材5530が前後に位置ずれすることを防止することができると共に、案内効果により、左右方向のスライド動作を行い易くすることができる。
伝達部材5530は、正面視右下部を起点として左右方向および上下方向に延設されるL字形状に形成され、土台部材5523の平坦上面に載置される棒状部であって一方(正面視左方)の端部で可動板部5510と連結する第1棒部5531と、その第1棒部5531の他方の端部から鉛直上方へ延設される棒状の第2棒部5532と、その第2棒部5532を前後方向に貫通すると共に鉛直方向に長い長孔状の連結長孔5533と、を主に備える。
第1棒部5531は、土台部材5523の平坦上面に支持されることで、その平坦上面に沿って左右方向に移動可能とされ、可動板部5510の連結凸部5514を受け入れ可能に一方の端部に凹設される受け入れ凹部5531aと、左右方向長さの中間位置において検出装置5540側(上方)へ向けて張り出す被検出部5531bと、を主に備える。
受け入れ凹部5531aは、連結凸部5514の寸法との比較において、左右方向寸法は、略同等長さと(又は若干長く)され、上下方向寸法は、多少のがたつきを許容する(隙間ができる)長さとされる。
これにより、受け入れ凹部5531aと連結凸部5514との左右方向の位置ずれを抑制すると共に、連結凸部5514から受け入れ凹部5531aへ負荷が与えられる場合には、上下方向の位置ずれを生じさせることにより、その負荷を逃がすことができる。
ここで、一体成形で可動板部5510と伝達部材5530とを形成する場合には、左右方向の位置ずれは生じないが、負荷を逃がすことが困難となるので耐久性が低くなり易い。これに対し、本実施形態では、可動板部5510と伝達部材5530とを別部材から構成することにより、左右方向の位置ずれは抑制しながら、負荷に対する耐久性の向上を図ることができる。
なお、本実施形態では、可動板部5510の上下位置は駆動装置5520の駆動により変化するものでは無いので、連結凸部5514と受け入れ凹部5531aとの上下方向での位置ずれを許容したとしても、後述する性能(可動板部5510を左右にスライド移動させ、流路を開放または閉鎖する機能)に影響を及ぼすものでは無い。
連結長孔5533は、鉛直方向の延設長さが幅長さHRの2倍以上とされると共に、駆動装置5520の伝達凸部5522aを受け入れて連結することが可能とされる。回転円板5522の回転に伴って伝達凸部5522aの配置が変わることに伴って、それに連結される連結長孔5533の配置が変化することで、伝達部材5530がスライド動作する(図42及び図43参照)。
検出手段5540は、土台部材5523に固定される支持部材5541と、検出溝が第1棒部5531と対向配置される側(下側)を向く検出用のセンサであって支持部材5541の正面視右端部に固定される第1センサ5542と、その第1センサ5542と同種のセンサであって同じ姿勢で支持部材5541の正面視左端部に固定される第2センサ5543と、を主に備える。
第1センサ5542及び第2センサ5543は、被検出部5531bを前後に挟んで対向配置される発光器および受光器を備える透過型センサであり、左右にスライド動作する被検出部5531bを検知する。即ち、被検出部5531bが発光器および受光器(図41(a)下端位置に前後方向に重ねて配置)の間に配置されることにより、発光器が受光器に向けて発光する光が遮断され、第1センサ5542又は第2センサ5543により被検出部5531bが検知される。
次いで、図42及び図43を参照して、停留装置5500の動作態様について説明する。図42(a)、図42(b)、図43(a)及び図43(b)は、停留部5314b及び停留装置5500の正面図である。なお、図42及び図43では、連続通過溝5314の外形を構成する板部分の背面側(図42紙面奥側)に、その板部分と重なって配置される可動板部5510の本体板部5511が、その重なり部分も含めて簡易的に実線で図示される。
なお、図42(a)では、回転円板5522が初期位相とされる状態(停留装置5500の両閉鎖状態)が、図42(b)では、回転円板5522が初期位相から正面視時計回りに90度回転した時点における第2位相とされる状態(停留装置5500の上開放状態)が、図43(a)では、回転円板5522が第2位相から正面視時計回りに90度回転した時点における第3位相とされる状態(停留装置5500の両閉鎖状態)が、図43(b)では、回転円板5522が第3位相から正面視時計回りに90度回転した時点における第4位相とされる状態(停留装置5500の下開放状態)が、それぞれ図示される。
なお、図42(a)、図42(b)、図43(a)及び図43(b)に示す状態の変位は、等しい時間間隔で生じるものであり、図43(b)に示す状態から更に時間が経過することで図42(a)に図示される状態に復帰する。即ち、図42(a)、図42(b)、図43(a)及び図43(b)に図示される状態の変化は、パチンコ機10の電源を投入した時から一定間隔で繰り返される。なお、本実施形態では、約6秒間で回転円板5522が1回転する動作速度で駆動モータ5521が制御される。
図42(a)に図示される状態では、停留部5314bの上側開口が上側延設板5512に閉鎖される(連続通過溝5314の隙間が球の直径未満とされる)。従って、図42(a)に示す状態で球P52が停留部5314bの上方に到達したとしても、その球P52の停留部5314bへの入球が規制される。また、停留部5314bの下側開口も下側延設板5513に閉鎖される(連続通過溝5314の隙間が球の直径未満とされる)。
図42(a)に図示される状態から、図42(b)に図示される状態まででは、停留部5314bの下側開口が下側延設板5513に閉鎖される(連続通過溝5314の隙間が球の直径未満とされる)。一方、停留部5314bの上側開口からは上側延設板5512が退避し開放される(連続通過溝5314の隙間が球の直径以上とされる)。従って、図42(a)に図示される状態から、図42(b)に図示される状態までで球P52が停留部5314bの上方に到達したとしても、その球P52の停留部5314bへの入球は許容されるものの、停留部5314bからの排出が規制される。
図42(b)に図示される状態から、図43(a)に図示される状態まででは、停留部5314bの上側開口が上側延設板5512に閉鎖される(連続通過溝5314の隙間が球の直径未満とされる)。また、停留部5314bの下側開口も下側延設板5513に閉鎖される(連続通過溝5314の隙間が球の直径未満とされる)。従って、図42(b)に図示される状態から、図43(a)に図示される状態までで球P52が停留部5314bの上方に到達したとしても、その球P52の停留部5314bへの入球が規制される。
図43(a)に図示される状態から、図43(b)に図示される状態まででは、停留部5314bの上側開口が上側延設板5512に閉鎖される(連続通過溝5314の隙間が球の直径未満とされる)。一方、停留部5314bの下側開口からは下側延設板5513が退避し開放される(連続通過溝5314の隙間が球の直径以上とされる)。従って、図43(a)に図示される状態から、図43(b)に図示される状態までで球P52が停留部5314bの上方に到達したとしても、その球P52の停留部5314bへの入球は規制される。また、この規制は、図43(b)に図示される状態から、図42(a)に図示される状態へ復帰するまでも同様に維持される。一方、図43(a)に図示される状態において停留部5314bに配置された球は、図43(b)に図示される状態において第2検出口5314cへ向けて排出される。
従って、可動板部5510の一連の動作の内で、停留部5314bが同時に開口する時が無いので、停留部5314bに到達する球P52を、確実に停留させることができる。
本実施形態では、回転円板5522を正面視時計回りに回転させているが、正面視反時計回りに回転させる場合においても、半周期ずれで同様の繰り返し動作を実行することができる。即ち、回転方向が限定されないので、駆動態様の設計自由度を向上させることができる。
本実施形態では、回転円板5522の回転に伴って左右にスライド動作する伝達部材5530の配置が、常時、検出装置5540により検知可能とされる。即ち、図42(a)に図示される回転円板5522の初期位相では第1センサ5542及び第2センサ5543の双方に検知され、図42(b)に図示される回転円板5522の第2位相では第1センサ5542に検知される一方で第2センサ5543には検知されず、図43(a)に図示される回転円板5522の第3位相では、初期位相と同様に、第1センサ5542及び第2センサ5543の双方に検知され、図43(b)に図示される回転円板5522の第4位相では第1センサ5542には検知されない一方で第2センサ5543には検知される。
そのため、伝達部材5530が正常に動作している場合には、第1センサ5542及び第2センサ5543の出力が一定の間隔で切り替えられるので、第1センサ5542及び第2センサ5543の出力の切替の態様を確認することにより、正常に動作しているか、何らかの異常(例えば、動作不良により停止した等)が生じているかを、即座に判定することができる。
本実施形態では、後述するように、上側延設板5512や下側延設板5513の上面に球が乗ることがある。この場合、球の重さで各延設板5512,5513が正面側へ傾倒するおそれがあるが、図42及び図43に示すように、上側延設板5512は上端長孔5314b2に、下側延設板5513は下端長孔5314b3に、それぞれ背面側から挿通されると共に、上下方向の移動を規制される。従って、各延設板5512,5513の傾倒角度を小さくすることができる。
更に、本実施形態では、可動板部5510と伝達部材5530とが別部材から構成され、上下方向の多少のがたつきを許容する態様で構成されるので、可動板部5510が正面側へ傾倒動作することに伴う伝達部材5530の傾倒動作の程度(伝達度合い)を抑制することができる。
これにより、伝達部材5530が前後に傾倒動作することを抑制することができるので、回転円板5522との連結位置(当接位置)で生じる抵抗が増加することを防止することができると共に、伝達部材5530が各センサ5542,5543に前後方向で接触して各センサ5542,5543に負荷がかけられることを防止することができる。
次いで、本実施形態における本体部材5310を流下する球の流下態様について説明する。図44は、第1入賞口64に入球した球が検出される時および各部の動作態様の一例を示すタイミングチャートであり、図45(a)、図45(b)、図46(a)及び図46(b)は、連続通過溝5314内における球の動きの一例を示す連続通過溝5314及び停留装置5500の部分正面図である。なお、停留装置5500については、理解を容易にするために、可動板部5510のみを図示し他の構成の図示が省略され、可動板部5510については、正面視で停留部5314bを通して視認可能な部分が実線で図示され、それ以外の部分が隠れ線(破線)で図示される。
図44において、検出口312d、第2検出口5314c又は第3検出口5314eの出力パルスがONとされるタイミングが、検出口312d、第2検出口5314c又は第3検出口5314eを球が通過したタイミングを示す態様で、波形が図示される。導入溝5314aのタイミングチャートでは、第1溝5311から導入溝5314aへ球が入球するタイミングで上方へパルスが立ち、導入溝5314aから停留部5314bへ球が排出されるタイミングで下方へパルスが立つ態様で、波形が図示される。なお、停留装置5500のタイミングチャートの波形は状態の変化を示しているが、理解を容易とするために矩形波として簡略化して図示される。
図44に図示されるタイミングチャートでは、第1入賞口64に球P51〜P55が約0.2秒間隔で連続入球する。本実施形態では、一度に連なって入球する球の上限を5個と仮定して説明を行うので、図44に図示される例は、上限個数の球が第1入賞口64に連なって入球した場合に相当する。
第1入賞口64に入球した球の内、先頭で入球した球P51は、停止装置3340を初期状態から変化状態へ変化させながら、検出口312dを通過する。停止装置3340が変化状態に変化した後、その状態の維持が球P51の作用で解除されるまでに、少なくとも3秒間を要するので、後追いの球P52〜P55は、変化状態の停止装置3340に当接しながら連続通過溝5314へ入球する。
なお、図44では、球P51の後で球P52〜P55が、第1入賞口64に連なって入球した場合を図示したが、球の入球態様はこれに限られるものでは無い。一方で、図44に示すように、本実施形態では、停止装置3340の変化状態の維持が球P51の作用で解除されるまでに3秒間を要し、その解除後、停止装置3340が初期状態となるまでに約1秒間を要するので、球P51の作用で停止装置3340が初期状態から変化状態に変化してから、約4秒間は、停止装置3340により球が連続通過溝5314に流下するように流下経路が切替られる。即ち、本実施形態によれば、連なって第1入賞口64に入球した球に限らず、球P51が第1入賞口64に入球してから約4秒間未満の間に第1入賞口64に入球した球を、停止装置3340の作用で連続通過溝5314に入球させることができる。
図44に図示される例では、後追いの球P52〜P55が連続通過溝5314の下端に到達するタイミングで停留装置5500が上開放状態となっているので、後追いの球の内で、その先頭の球である球P52は停留部5314bに入球し、その他の球P53〜P55は連続通過溝5314内に滞留する(図45(a)参照)。
図44に図示されるように、本実施形態では、後追いの球の個数が多い場合(本例では、球P52〜P55の4個の場合)には、連続通過溝5314に滞留する球P55が上限排出口5314a1の正面側位置で停止し得る。
この場合、球P55は、先に滞留する球P54との衝突により上限排出口5314a1へ向けて押し出され(背面側へ向けた速度成分が大きくされ)、分岐流路5314dに入球し、第3検出口5314eを通過する。従って、連続通過溝5314において球を停留可能な導入溝5314a及び停留部5314bに滞留可能な球の上限個数(動的上限個数)は、3個に設定され、それ以上の入球があった場合であっても、それらの球は滞留せず分岐流路5314dに流され、後に第3検出口5314eを通過する(図45(b)、図46(a)参照)。
これにより、第1入賞口64への入球頻度が過度に高くなる調整がされた場合であっても、連続通過溝5314に滞留する球が過度に多くなることを防止できるので、流路が詰まることを防止することができる。
図44に図示されるように、球P52〜P54は、後に第2検出口5314cを通過する。即ち、第1入賞口64に入球した複数の球P51〜P55の内、先頭の球P51は検出口312dを通過し、後追いの球P52〜P54は第2検出口5314cを通過し、溢れた球P55は第3検出口5314eを通過する。
そのため、遊技を開始するタイミングに因らず、第3検出口5314eを球P55が通過する前に、必然的に球P51が検出口312dを通過する。そのため、球P55が第3検出口5314eに入球するタイミングにおいて、少なくとも検出口312dを球が通過することに起因して開始される変動表示を実行させておくことができる。これにより、球が第3検出口5314eを通過することに起因して実行される変動表示に自然と注目させることができる。
即ち、球が検出口312dを通過することに起因して開始される変動表示(第1図柄の変動表示またはそれに伴う第3図柄表示装置81での変動表示)は、遊技状態を大当たり状態へ移行させるか否かに関わる変動表示であるため、自然と遊技者の注目が集まるのに対して、球が第3検出口5314eを通過することに起因して開始される変動表示(普通図柄(第2図柄)の変動表示またはそれに伴う第3図柄表示装置81での変動表示)は、直接的に大当たり状態への移行に関わる変動表示では無い分、注目が集まり難い。
これに対し、本実施形態では、球が第3検出口5314eを通過することに起因して開始される変動表示(普通図柄(第2図柄)の変動表示またはそれに伴う第3図柄表示装置81での変動表示)が行われる際には必ず、球が検出口312dを通過することに起因して開始される変動表示(第1図柄の変動表示またはそれに伴う第3図柄表示装置81での変動表示)が実行されているので、第3図柄表示装置81においてそれらの変動を同時に表示することができると共に、第1図柄の変動表示またはそれに伴う第3図柄表示装置81での変動表示の注目力を利用して、普通図柄(第2図柄)の変動表示またはそれに伴う第3図柄表示装置81での変動表示にも注目させることができる。
これにより、遊技者が普通図柄(第2図柄)の変動、及び停止表示される図柄が当たりを示す図柄(例えば、「○」の図柄)であることを見逃すことを防止することができる。従って、普通図柄(第2図柄)が当たりとなり、電動役物640aが開放され第2入賞口640に球が入球しやすい状態となっているにも関わらず、それに遊技者が気付かないという状況が発生することを防止することができる。
なお、導入溝5314a及び停留部5314bに停留可能な球の個数の上限は、球の入球タイミングにより変動する。即ち、上述したように、導入溝5314aに入球した球の内、先頭の球P52が導入溝5314aの下端に到達した時に停留装置5500が上開放状態であれば、停留部5314bに球P52を入れ込み、球P53から数えて3個目の球P55が分岐流路5314dへ排出されることになるので、導入溝5314a及び停留部5314bに停留可能な球の個数の上限は球P52〜P54の3個となる。
一方、先頭の球P52が導入溝5314aの下端に到達した時に停留装置5500が両閉鎖状態または下開放状態である場合には、球P52は停留部5314bには入球せず、導入溝5314aの下端位置で停留する(図46(b)参照)。この場合には、球P52から数えて3個目の球P54が分岐流路へ排出されることになるので、導入溝5314a及び停留部5314bに停留可能な球の個数の上限は球P52,P53の2個となる。
なお、この場合には、球P54が導入溝5314a内で停止する前に停留装置5500が上開放状態へ状態変化すると、球P52が停留部5314bへ入球することに伴い球P53も下降して、上限排出孔5314a1と球P53との間に隙間が空くことから、球P54が導入溝5314aに滞留可能となる(図45(a)参照)。これにより、導入溝5314a及び停留部5314bに停留可能な球の個数の上限は球P52〜P54の3個となる。
このように、導入溝5314a及び停留部5314bに停留可能な球の個数の上限をタイミングにより変化させることで、第1入賞口64に同様の個数および頻度で入球した場合であっても、結果として遊技者に与えられる利益を、入球タイミングにより変化させることができる。これにより、新鮮な遊技(飽きのこない遊技)を提供することができる。
検出口312d又は第2検出口5314cを球P51〜P54が通過するタイミングの間隔について説明する。球P51が第1入賞口64に入球してから検出口312dを通過するまでに要する期間は、不変に設定される。
一方で、先頭の球P51が検出口312dを通過してから、球P51の直後に入球した、後追いの球P52が第2検出口5314cを通過するまでの期間は状況により変化する。
これは、球P52が第2検出口5314cを通過するには、停留装置5500の上開放状態において球P52が停留部5314bに入球してから、停留装置5500が下開放状態に状態変化する必要があるところ、停留装置5500が上開放状態に変化してから何秒後に停留部5314bに入球するかにより、停留部5314bに球P52が入球してから停留装置5500が下開放状態となるまでの時間が異なることによる。
本実施形態では、先頭の球P51が検出口312dを通過してから、その直後に入球した、後追いの球P52が第2検出口5314cを通過するまでの期間が、第1入賞口64の保留球数が3個または4個の場合に選択されやすい変動期間(3秒間、以下において、保留消化下限期間とも称する)以上となるように、導入溝5314aの形状が設計される。なお、保留球数が3個または4個の場合に選択されやすい変動期間である保留消化下限期間は、特に詳述しない限りにおいて、他の実施形態(例えば、第1実施形態)においても同一とされる。
即ち、連続通過溝5314に入球した球は導入溝5314a及び停留部5314bを通過した後に、第2検出口5314cを通過するところ、本実施形態では、停留部5314bに到達する球に作用する停留装置5500が上開放状態から下開放状態へ状態変化するために、最短で1.5秒間を要する。
そのため、停留装置5500が上開放状態から閉鎖状態へ状態変化する直前に停留部5314bに球が入球した場合(停留部5314bへの入球が可能であり、その後に停留装置5500が下開放状態に状態変化するまでに要する時間が最も短い場合)であっても、その球が停留部5314bから排出され第2検出口5314cを通過するまでに1.5秒間を要する。
本実施形態では、保留消化下限期間が3秒間で規定されるので、導入溝5314aを球が通過するのに要する時間を1.5秒間以上とすれば、連続通過溝5314に球が入球してから第2検出口5314cを通過するまでに保留消化下限期間が経過するものとすることができる。なお、本実施形態では、余裕分を考慮して、重力により流下する球が導入溝5314aを通過するのに2秒間を要する形状(長さ、傾斜等)で導入溝5314aが設計される。
これにより、第3図柄表示装置81に表示される第1特別図柄の保留の個数が3個である場合に複数の球P51〜P55を第1入賞口64に入球させたとしても、球P52が第2検出口5314cを通過するまでに当該変動(第1特別図柄の保留が3個の時に対応する変動)を終了させることができるので、第1入賞口64に入球した球の個数に対して遊技者が得られる抽選の機会(第1図柄または第2図柄の抽選の機会)を最大限確保することができる。
後追いの球P52〜P54が第2検出口5314cを通過する間隔は、停留装置5500の動作速度に対応して等しく空けられる。これは、後追いの球P52〜P54が導入溝5314aを何球流下したとしても、停留部5314bに入球可能な球は1個であることによる。
即ち、球P52よりも後で第1入賞口64に入球した球P53,P54は、停留装置5500の状態に関わらず停留部5314bに入球するタイミングが指定される。詳述すると、停留装置5500が上開放状態の時に導入溝5314aの下端位置に球P53が到達した場合には、停留部5314bに予め停留する球P52に流下を規制され球P52が停留部5314bから排出されるまで球P53が停留部5314bに入球することは不可能とされる。
そのため、球P53が導入溝5314aの下端位置に到達した際の停留装置5500の状態に関わらず、停留装置5500が次(到達時点で上開放状態であった場合には、その次)に上開放状態に状態変化するまで、球P53は上側延設板5512の上方に位置し、停留部5314bに入球することは無い。
その後、停留装置5500が下開放状態に状態変化する直後に球P52が第2検出口5314cを通過する。その更に後、停留装置5500が上開放状態になる毎に球P53,P54が1球ずつ停留部5314bに入球し、停留装置5500が両閉鎖状態を経て下開放状態に状態変化する毎に、第2検出口5314cを通過する。
従って、球P52〜P54は、停留装置5500が下開放状態となる毎に1球ずつ第2検出口5314cを通過するので、球P52〜P54が第2検出口5314cを通過する間隔を一定に維持することができる。なお、本実施形態では、停留装置5500が6秒間隔で繰り返し動作する態様で制御されるので、球P52〜P54は、6秒間隔で第2検出口5314cを通過する。
そのため、球P52〜P54が検知される間隔を保留消化下限期間以上とすることができるので、保留消化下限期間が経過する前に球P52〜P54が検知されることにより、第1入賞口64に入球した球の個数分の抽選の機会が得られない不利益が生じることを防止することができる。
このように、先頭の球P51の直後に第1入賞口64に入球した球P52は停留部5314bに入球するタイミングが停留装置5500の状態により変化し得ることから、球P51が検出口312dを通過するタイミングと球P52が第2検出口5314cを通過するタイミングとを時により変化させる(通過間隔を変化させる)ことができる。そのため、第1入賞口64に同じ間隔で連続入球した場合であっても、第3図柄表示装置81において第1図柄の保留表示がされるタイミング(間隔)を時により変化させることができることで、遊技に新鮮さを与えることができる。
特に、連続通過溝5314に球が滞留する間に球が連続で第1入賞口64に入球する場合、連続通過溝5314に滞留する球の作用で、新たに連続通過溝5314に入球した球が停留部5314bに入球することが防止される。従って、新たに連続通過溝5314に入球した球が第2検出口5314cを通過するタイミングを遅らせることができるので、第1入賞口64に入球した球に起因するオーバーフローの発生を抑制することができる。
また、例えば、第1特別図柄の保留球数が2個で表示される場合に、図44に示す態様で球P51〜P55が入球した場合について説明する。この時、現在行われている変動表示(6秒間の変動表示)が球P52の第2検出口5314cの通過の前に終了する場合と、球P52の第2検出口5314cの通過の後で終了する場合とが考えられるので、分けて順に説明する。
変動表示が球P52の第2検出口5314cの通過の前に終了する場合、球P52の通過の前に、球P51が検出口312dを通過したことにより保留球数が3個となった状態における変動表示が開始され、この変動表示(3秒間)及びその次の変動表示(3秒間)は、球P53が第2検出口5314cを通過する前に終了する。従って、球P53,P54が第2検出口5314cを通過する前に保留球数の空きが2個確保されるので、球P53,P54が第2検出口5314cを通過することをトリガとして第1特別図柄の変動表示を実行することができる。即ち、球P51〜P55が第1入賞口64に入球したことにより遊技者に与えられる利益を最大限に確保することができる。
変動表示が球P52の第2検出口5314cの通過の後に終了する場合、球P52の通過の後かつ球P53の通過の前に、球P51,P52が検出口312d又は第2検出口5314cを通過したことにより保留球数が4個となった状態における変動表示(3秒間)が開始され、その変動表示は球P53が第2検出口5314cを通過する前に終了する。その後、保留球数が3個の時に開始された変動表示(3秒間)が実行される間に球P53が第2検出口5314cを通過し、更にその後、保留球数が4個の時に開始された変動表示(3秒間)が終了した後で球P54が第2検出口5314cを通過する。従って、球P52〜P54が第2検出口5314cを通過することをトリガとして第1特別図柄の変動表示を実行することができる。即ち、球P51〜P55が第1入賞口64に入球したことにより遊技者に与えられる利益を最大限に確保することができる。
また、例えば、第1特別図柄の保留球数が1個で表示される場合に、図44に示す態様で球P51〜P55が入球した場合について説明する。この時、現在行われている変動表示(10秒間の変動表示)が球P51の検出口312dの通過の前に終了する場合と、球P51の検出口312dの通過の後かつ球P52の第2検出口5314cの通過の前に終了する場合と、球P52の第2検出口5312cの通過の後かつ球P53の第2検出口5314cの通過の前に終了する場合とが考えられるので、分けて順に説明する。なお、本実施形態では、保留球数が0の場合に選択されやすい変動表示の時間が15秒間に設定される。
変動表示が球P51の検出口312dの通過の前に終了する場合、球P51が検出口312dを通過する前に、保留球数が0の時に開始される変動表示が実行されている。そのため、第1特別図柄の保留球の空き領域が4つ確保されるので、球P51〜P54が検出口312d又は第2検出口5312cを通過することをトリガとして第1特別図柄の変動表示を実行することができる。即ち、球P51〜P55が第1入賞口64に入球したことにより遊技者に与えられる利益を最大限に確保することができる。
変動表示が球P51の検出口312dの通過の後かつ球P52の第2検出口5314cの通過の前に終了する場合、球P52が第2検出口5314cを通過する時に実行されている変動表示は保留球数2個の時に開始された変動表示(6秒間)となる。従って、この変動表示は、球P53が第2検出口5314cを通過する前に終了するので、球P53が第2検出口5314cを通過する前に第1特別図柄の保留球の空き領域が2個確保されるので、球P51〜P54が検出口312d又は第2検出口5312cを通過することをトリガとして第1特別図柄の変動表示を実行することができる。即ち、球P51〜P55が第1入賞口64に入球したことにより遊技者に与えられる利益を最大限に確保することができる。
変動表示が球P52の第2検出口5314cの通過の後かつ球P53の第2検出口5314cの通過の前に終了する場合、その変動表示の終了後に開始される変動表示は保留球数が3個の時に開始される変動表示(3秒間)となる。従って、その変動表示は球P54が第2検出口5314cを通過する前に終了することになるので、球P54が第2検出口5314cを通過する前に第1特別図柄の保留球の空き領域を1個確保することができるので、球P51〜P54が検出口312d又は第2検出口5312cを通過することをトリガとして第1特別図柄の変動表示を実行することができる。即ち、球P51〜P55が第1入賞口64に入球したことにより遊技者に与えられる利益を最大限に確保することができる。
なお、第1特別図柄の保留球数が0個の時には、保留球数の空き領域が十分(球P51〜P54の検出口312d又は第2検出口5314cの通過により取得されるデータ個数以上に)確保されているので、変動表示の終了タイミングに関わらず、球P51〜P54が検出口312d又は第2検出口5312cを通過することをトリガとして第1特別図柄の変動表示を実行することができる。即ち、球P51〜P55が第1入賞口64に入球したことにより遊技者に与えられる利益を最大限に確保することができる。
このように、本実施形態によれば、保留球数が3個の場合に限らず、保留球数が0個から2個の場合であっても、図44に示すように第1入賞口64に連続で球P51〜P55が入球したことにより遊技者に与えられる利益を最大限に確保することができる。
ここで、第3検出口5314eを通過する球について説明する。例えば、第1入賞口64に入球した球が、球の通過により第1特別図柄の変動表示を実行する検出口Aと、球の通過により普通図柄の変動表示を実行する検出口Bとに順番に振り分けられる遊技機の場合、前回の遊技が検出口Aを球が通過した直後に終了していた場合、次に遊技を行う遊技者が発射した球の内、最初に第1入賞口64に入球した球は検出口Bを通過する。従って、第1特別図柄の変動表示が実行される前に普通図柄の変動表示を実行させる必要があるので、遊技者が大当たりを獲得するのに要する期間が延ばされることになる。
また、上述した遊技機は、次に入球する球が検出口Aに向かうか、検出口Bに向かうかを判別することは困難であるので、最初に第1入賞口64に入球する球で、第1特別図柄の変動表示が行われるのか、普通図柄の変動表示が行われるのかを判別することが困難であり、遊技を開始する意欲を損なうおそれがあるという問題点を含んでいた。
これに対し、本実施形態では、少なくとも、遊技開始後に最初に第1入賞口64に入球した球は、必然的に検出口312d(第1特別図柄の変動表示を実行する検出口)を通過する態様で構成され、第3検出口5314e(普通図柄の変動表示を実行する検出口)を通過することは無い。一方で、第1入賞口64に所定期間内に所定個数以上の球を入球させることで第3検出口5314eに球が入球するように構成される。
即ち、本実施形態によれば、第1入賞口64への入球態様により普通図柄の変動表示を実行することができるという利点を有しながら、遊技者が遊技を開始する時の遊技機の状況に関わらず、最初に第1入賞口64に球が入球することをトリガとして第1特別図柄の変動表示を実行する機能を維持することができる。これにより、遊技意欲の減退を防止することができる。
本実施形態によれば、第1入賞口64に球P51〜P55が短い期間で入球した場合、後追いの球(例えば、球P53)は、停留装置5500に流下をせき止められ、第2検出口5314cの通過が遅らされることに加え、更に後追いで第1入賞口64に入球した球の内、連続通過溝5314を通過した球の流下をせき止める機能を備える。即ち、例えば、図44に示す球P51が第1入賞口64に入球してから8秒後(球P53が導入溝5314aの下端位置を通過するタイミングとほぼ同時)に、更に2個の球が連なって第1入賞口64に入球した場合、先頭の球は、球P51と同様に停止装置3340を変化状態にした後、検出口312dへ向かう一方、後追いの球は、球P52と同様に連続通過溝5314へ入球する。
この時、連続通過溝5314では、球P53,P54が停留装置5500に停留されている。従って、後追いの球は、球P54の上流側において球P54に流下をせき止められる。即ち、間隔を空けて(例えば、停止装置3340が初期状態へ復帰するのに要する期間以上の間隔を空けて)第1入賞口64に球が入球した場合であっても、その球の流下を、先に第1入賞口64に入球した球にせき止めさせることができる。そのため、後追いの球が第2検出口5314cを通過するタイミングを、先に入球した球P53,P54により生じる作用により遅らせることができる(球P53,P54が第2検出口5314cを通過した後で、後追いの球が第2検出口5314cを通過する態様とすることができる)。
次いで、図47及び図48を参照して、第6実施形態について説明する。第5実施形態では、停留装置5500が単一の駆動装置5520により一定動作を行う場合について説明したが、第6実施形態における遅延デバイス6300は、停留装置6500が複数の駆動装置6520により動作する。即ち、第5実施形態と異なり、連続通過溝6314の導入溝5314aを通過した球が第2検出口5314cを通過する間隔を複数態様でつくることができる。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。また、本実施形態の説明では、図2を適宜参照する。
図47(a)及び図47(b)は、第6実施形態における遅延デバイス6300の部分正面図である。なお、図47(a)及び図47(b)では、球P61,P62が第1入賞口64へ連続して入球し、その結果として停止装置3340が変化状態とされた状態が図示される。また、図47(a)では、停留装置6500の一対の可動板部6510が連続通過溝6314の内側に張り出した状態(両閉鎖状態)が図示され、図47(b)では、一対の可動板部6510が連続通過溝6314の内側から退避した状態(両開放状態)が図示される。
なお、図47(a)及び図47(b)で図示される一対の球P61,P62は、若干間隔を空けて第1入賞口64に入球した場合が図示される。なお、本実施形態では、検出後流路5313を球P61が通過し(3秒間かけて通過し)、停止装置3340が初期状態へ復帰する(1秒間かけて復帰する)までに停止装置3340に当接した球は、球P62と同様に連続通過溝6314を流下する。即ち、先の球P61が第1入賞口64に入球してから約4秒未満の間に第1入賞口64に入球した球は、球P62と同様に連続通過溝6314を通過する。従って、本実施形態によれば、連なった状態で第1入賞口64に入球した球に限らず、間隔を空けて第1入賞口64に入球した球でも、連続通過溝6314を流下させることができる。
図47に示すように、遅延デバイス6300における停止装置3340及び維持装置3360は、第3実施形態における停止装置3340及び維持装置3360と左右対称形状の装置として構成されるので、第3実施形態での説明と同一の符号を付し、第3実施形態での説明と重複する部分については説明を省略する。
図47に示すように、遅延デバイス6300は、第1入賞口64に入球した球を検出口312dまで案内する流下経路を有する本体部材6310と、その本体部材6310の内部を流下する球の作用により状態が変化する停止装置3340と、その停止装置3340が変化状態(図39参照)となった場合にその状態を維持すると共に検出口312dを通過した球の作用により姿勢変化することに伴い停止装置3340の状態の維持を解除する維持装置3360と、後述する連続通過溝6314を流下する球に作用して球を停留させる停留装置6500と、を主に備える。
図47に示すように、本体部材6310は、下降傾斜する流路を構成すると共に第1入賞口64から入球した球を検出口312dの鉛直上方位置まで案内する第1溝5311と、その第1溝5311の下端部分から検出口312dまで鉛直方向に延設される第2溝5312と、検出口312dを通過した球が案内される検出後流路5313と、第2溝5312の中間位置から側方(図47右方)へ分岐する溝として形成される連続通過溝6314と、を主に備える。
なお、第1溝5311、第2溝5312、検出後流路5313及び連続通過溝6314は、遊技盤13側に開放部を有する溝形状とされ、組立状態において、その開放部が遊技盤13に閉じられることにより、球が流下する通路が形成される。
なお、第1溝5311、第2溝5312及び検出後流路5313は、第3実施形態における同一名称の構成(第1溝3311、第2溝3312及び検出後流路3313)と、左右対称形状に構成されることから、第3実施形態での説明と重複する部分については、説明を省略する。
第2溝5312は、側壁部312eが検出口312dまで延設される。当接壁312aと側壁部312eとの間に、球を送球可能な分岐通路を形成する連続通過溝6314が配設される。
遅延デバイス6300の連続通過溝6314は、上述した導入溝5314aの下端に連結される停留部6314bを備え、その停留部6314bの直下に第2検出口5314cが配設される。
停留部6314bは、第5実施形態の停留部5314bと同様に、球を1個のみ停留可能であって、球が流下可能な溝部分として構成される。なお、本実施形態では、後述するように、停留部6314bに到達した球は、停留部6314bで停留する場合も、停留部6314bを通過する(停留しない)場合もある。
遅延デバイス6300の停留装置6500は、一対の可動板部6510と、その可動板部6510を駆動制御する一対の駆動ソレノイド6521,6522(ソレノイド209の一つ(図4参照))から構成される駆動装置6520と、を主に備える。
可動板部6510は、導入溝5314aと停留部6314bとの境界部において連続通過溝6314の内部に出没動作する上可動板6511と、その上可動板6511の下流側に球1個分隔てた位置において連続通過溝6314の内部に出没動作する下可動板6512と、を主に備える。
上可動板6511は、連続通過溝6314の内部に突出する突出状態では連続通過溝6314に形成される間隙が球の直径未満となる位置まで張り出すことで球の流下を規制し(球を上面側で停留させ)、連続通過溝6314の内部から外方へ退避する退避状態では球の流下を許容する。
下可動板6512は、連続通過溝6314の内部に突出する突出状態では連続通過溝6314に形成される間隙が球の直径未満となる位置まで張り出すことで球の連続通過溝6314の延設方向(鉛直方向)に沿った流下を規制し、連続通過溝6314の内部から外方へ退避する退避状態では球の連続通過溝6314の延設方向(鉛直方向)に沿った流下を許容する。
本実施形態では、球P62の中心が上可動板6511を通過してから(停留部6314bに侵入してから)、下可動板6512を通過する(停留部6314bから排出される)までに要する時間NTが0.1秒間から0.2秒間に収まるように、停留部6314bの流路抵抗が設定される。
駆動装置6520は、遅延デバイス6300に締結固定されると共に上可動板6511を出没動作させる駆動力を発生する上駆動ソレノイド6521と、遅延デバイス6300に締結固定されると共に下可動板6512を出没動作させる駆動力を発生する下駆動ソレノイド6522と、を主に備える。
このように、本実施形態では、上可動板6511は上駆動ソレノイド6521に駆動され、下可動板6512は下駆動ソレノイド6522に駆動されるので、それぞれの動作を独立させることができる。以下、上可動板6511及び下可動板6512の動作態様の一例について説明する。
図48は、上可動板6511及び下可動板6512の動作態様の一例を示すタイミングチャートである。図48に例示される一定の動作パターンで一対の可動板部6510を動作させる態様で駆動装置6520が駆動制御される。以下、タイミングにより変化する可動板部6510の動作態様について説明する。
図48に示すように、可動板部6510の動作パターンは、連鎖開放期間T6aの動作と、その連鎖開放期間T6aの後に続く上閉鎖期間T6bの動作と、その上閉鎖期間T6bの後に続く両開放期間T6cの動作と、その両開放期間T6cの後に続く下閉鎖期間T6dの動作と、により構成される。
連鎖開放期間T6aでは、上可動板6511と下可動板6512とが交互に開閉動作する。上可動板6511が連続通過溝6314の内側へ張り出した後(閉鎖した後)、若干遅れて、下可動板6512が連続通過溝6314の内側から退避する(連続通過溝6314を開放する)。なお、本実施形態では、上可動板6511は1.5秒間隔で状態変化する態様で動作制御され、下可動板6512は、退避状態を0.8秒間維持した後、突出状態を2.2秒間維持し、再度退避状態へ変化することを繰り返す態様で動作制御され、連鎖開放期間T6aが30秒間で設定される。
これにより、連鎖開放期間T6aにおいて、上可動板6511が連続通過溝6314の内側から退避する間に上可動板6511を通過する球の個数を制限することができる。本実施形態では、上可動板6511と下可動板6512との間に停留させられる球の個数が1個とされるので、上可動板6511が連続通過溝6314の内側から退避する間に上可動板6511を通過する球の上限個数を1個に制限することができる。
また、上可動板6511が連続通過溝6314の内側から退避した後、0.05秒間の間(球が下可動板6512を通過するのに要する期間(0.1秒間から0.2秒間)よりも前)に下可動板6512が連続通過溝6314の内側へ張り出す(閉鎖する)。
これにより、上可動板6511を通過した球を、下可動板6512の上方に停留させることを確実にすることができ、球が素通りすることを防止することができる。なお本実施形態では、上可動板6511が退避状態から突出状態に切り替わってから、0.75秒後(突出状態の維持期間の中間のタイミング)に下可動板6512が突出状態から退避状態に切り替わる態様で、駆動装置6520が駆動される。
ここで、下可動板6512は上可動板6511が突出状態へ切り替えられてから0.75秒間は突出状態で維持されるので、上可動板6511が退避状態から突出状態へ切り替わる直前に球P62が上可動板6511を通過した(停留部6314bに侵入した)場合であっても、少なくとも0.75秒間は、その球P62を下可動板6512の上側に確実に維持することができる。
また、上可動板6511が退避状態となってから下可動板6512が突出状態となるまでの期間が時間NTよりも短いことから、上可動板6511が突出状態から退避状態に切り替わった直後に球P62が上可動板6511を通過した(停留部6314bに侵入した)場合であっても、下可動板6512が突出状態で維持される間(2.2秒間)、球P62を下可動板6512の上側に確実に維持することができる。
これにより、球P62が上可動板6511を通過する(停留部6314bに侵入する)タイミングに因らず、球P62が停留部6314bを素通りする(下可動板6512の上側で停留せずに流下する)ことを防止できる。
上閉鎖期間T6bでは、上述した連鎖開放期間T6aにおいて上可動板6511が張出を維持する期間よりも長い期間(例えば、6秒間)、上可動板6511が連続通過溝6314の内側に張り出すことで、連続通過溝6314を流下する球が上可動板6511を通過することが防止される。この場合、連鎖開放期間T6aに比較して、上可動板6511の上方に球が滞留し易くなる。
そのため、連鎖開放期間T6aに比較して、上閉鎖期間T6bの方が、連続通過溝6314へ球を連続で入球させる場合に、球を上限排出孔5314a1から分岐流路5314dを経て第3検出口5314eに通過させやすくなる。
本実施形態では、第3検出口5314eを球が通過することをトリガとして、普通図柄の変動表示(第2入賞口640への球の入球を規制する電動役物640a(図2参照)を開放動作させる抽選の変動表示)を実行するように構成される。そのため、連鎖開放期間T6aに比較して、上閉鎖期間T6bの時に第1入賞口64に球を連続で入球させる方が、第2入賞口640へ球を入球させる機会を得やすくすることができる。
これにより、例えば、上閉鎖期間T6bの先読み演出として、上閉鎖期間T6bが始まるよりも少し前に、第3図柄表示装置81に「5秒間の間に球を第1入賞口64に5個入れることができたら、電動役物640aが開放?」と表示することにより、遊技者に対して第1入賞口64に連続で球を入球させることで特別な利益が得られることを報知することができる。これにより、第1入賞口64に球を連続で入球させることにより遊技者に与えられる利益の質を入球タイミングにより変化させることができるので、遊技者が漫然と球の打ち出しを行う事を防止することができる。
また、入球タイミングにより遊技者に与えられる利益の質の変化は、遊技者の遊技態様に因らず、一定間隔で繰り返される。本実施形態では、入球タイミングに係る利益の質の内容を、第3図柄表示装置に表示する態様で設定される。そのため、遊技者は、好みのタイミングで球を発射することができるので、入球タイミングにより遊技者に与えられる利益の質の違いを認識した上で遊技を行うことができる。
即ち、上閉鎖期間T6bには、連続通過溝6314に連続して球を入球させることにより電動役物640aを開放させ易いという利点と引き替えに、電動役物640aの開放の抽選に係る第3検出口5314eを球が通過することによっては遊技者に賞球が与えられないので、第1入賞口64に入球した球の数に対する賞球個数が減りやすいという難点がある。
一方で、上述した連鎖開放期間T6aでは、上閉鎖期間T6bに比較して短い間隔で球が停留部6314bに送られることから、上可動板6511の上に球が滞留し難くされ、連続通過溝6314を流下する球を漏らさず第2検出口5314cに通過させ易くすることができる。そのため、電動役物640aを開放させ難いという難点はあるが、第1入賞口64に入球した球の数に対する賞球個数を確保できるという利点がある。
従って、遊技者は、電動役物640aの開放は期待せず確実に賞球を得たい場合には連鎖開放期間T6aで球を連続で入球させるように球を打ち出し、賞球は減っても電動役物640aの開放を期待して遊技を行いたい場合には上閉鎖期間T6bで球を連続で入球させるように球を打ち出すことで、狙い通りの利益を得やすくすることができる。
両開放期間T6cでは、停留装置6500が両開放状態(図47(b)参照)で維持される。この場合、連続通過溝6314を流下する球は停留部6314bで停留することなく、停留部6314bを素通りして第3検出口5314eを通過する。
従って、連続通過溝6314を通過した球が上限排出孔5314a1から分岐流路5314dへ入ることは無いので、球が第3検出口5314eを通過することが防止される。本実施形態では、両開放期間T6cが6秒間で設定される。
なお、停留部6314bで球が停留することは無いが、導入溝5314aを球が通過するのに2秒間は必要となる一方で、停止装置3340を状態変化させた球は即座に検出口312dを通過可能なので、連続して第1入賞口64に入球した球P61,P62において、球P61が検出口312dを通過するタイミングと、球P62が第2検出口5314cを通過するタイミングとを確実にずらすことができる。
なお、本実施形態では、上閉鎖期間T6bが6秒間に設定されるので、上閉鎖期間T6bの開始タイミングと同時に変動表示が開始された場合(変動表示の開始タイミングが最も遅い場合)であっても、続く両開放期間T6cの開始タイミングにおける第1特別図柄の保留球数の空き領域を2つ確保することができる。
即ち、例えば、最も厳しい場合(保留球数が4個の場合)であっても、保留球数が4個の時に開始される変動表示(3秒間)と、保留球数が3個の時に開始される変動表示(3秒間)とを両開放期間T6cの開始タイミングまでに終了することができ、両開放期間T6cの開始タイミングにおける第1特別図柄の保留球数の空き領域を2つ確保することができる。
ここで、上閉鎖期間T6bに上可動板6511の上側に停留させることができる球数は2個なので、上閉鎖期間T6bに上可動板6511の上側に停留した球が、両開放期間T6cに第2検出口5314cを通過することをトリガとして第1特別図柄の変動表示を実行することができる。即ち、複数の球が第1入賞口64に入球したことにより遊技者に与えられる利益を最大限に確保することができる。
下閉鎖期間T6dでは、上可動板6511が連続通過溝6314から退避して球の通過を許容する一方で、下可動板6512が連続通過溝6314の内側へ張り出して、球の通過を規制する。
下閉鎖期間T6dは、上閉鎖期間T6bとの比較において、球を可動板部6510の作用で停留させることは同一である一方で、停留可能な球数が異なる。即ち、下閉鎖期間T6dでは、上閉鎖期間T6bで停留させられる球数(本実施形態では、2個)に加えて、停留部6314bに停留する球数(本実施形態では、1個)の球を、停留させることができる。
そのため、連続通過溝6314を流下する球を、上限排出孔5314a1を経て分岐流路5314dへ流し、第3検出口5314eに通過させるためには、上閉鎖期間T6bで必要となる入球個数に加えて、更に1個多くの第1入賞口64への入球が必要となる。つまり、第3検出口5314eに球を通過させる難易度が、上閉鎖期間T6bにおいて第3検出口5314eに球を通過させる場合に比較して高くなる。
一方、下閉鎖期間T6dの後には、連鎖開放期間T6aが続くので、下閉鎖期間T6dで停留装置6500に停留した球は、連鎖開放期間T6aにおける可動板部6510の開閉動作に合わせて、1球ずつ第2検出口5314cを通過する。これは、上閉鎖期間T6bで停留した球が両開放期間T6cで一気に第2検出口5314cを通過することに比較して、後続の球が第2検出口5314cを通過するまでの期間を長く確保し易くなることから、第1特別図柄の変動表示の保留球数が最大(4個)の状態で球が第2検出口5314cを通過することを防止し易くすることができる(球が第2検出口5314cを通過したのに抽選の機会を得られない事態が生じることを防止し易くすることができる)。
従って、例えば、下閉鎖期間T6dの先読み演出として、下閉鎖期間T6dが始まるよりも少し前に、第3図柄表示装置81に「5秒間の間に球を第1入賞口64に5個+1個入れることができたら、電動役物640aが開放?(難易度高、安心度高)」と表示する。
これにより、遊技者に対して第1入賞口64に連続で球を入球させることで特別な利益が得られるが、特別な利益を得られる難易度は高めである一方で、その連続入球した球により遊技者に与えられる利益(賞球個数および抽選の機会)が確保されることに対する安心度は高めであることを報知することができる。これにより、第1入賞口64に球が入球する頻度に対する興味を増大させることができ、遊技者が漫然と球の打ち出しを行う事を防止することができる。
なお、本実施形態では、下閉鎖期間T6dが8秒間(上閉鎖期間T6bよりも長い期間)に設定される。これにより、連続通過溝6314を流下する球を、上限排出孔5314a1を経て分岐流路5314dへ流し、第3検出口5314eに通過させるために必要な球の第1入賞口64への入球個数が上閉鎖期間T6bに比較して多くなる期間で有りながら、第1入賞口64へ多数の球を入球させるための期間を十分確保することができ、球が第3検出口5314eを通過する機会を多く作ることができる。
本実施形態では、上述したように、連続開放期間T6a(30秒間)、上閉鎖期間T6b(6秒間)、両開放期間T6c(6秒間)及び下閉鎖期間T6d(8秒間)が、順番に並べられると共に、50秒間隔でループするように駆動装置6520が駆動制御される。
これにより、動作時間の半分以上において、連続開放期間T6aに対応した動作態様で停留装置6500が動作するので、その間において、停留部6314bから球を1球ずつ排出し、第2検出口5314cを通過することをトリガとして第1特別図柄の変動表示を実行することを可能としつつ(第1特別図柄の変動表示を実行させやすい遊技態様としつつ)、その他の時間において、第1入賞口64への入球の一部を使って普通図柄の変動表示を可能とする期間(上閉鎖期間T6b,下閉鎖期間T6d)と、普通図柄の変動表示を不可能とする期間(両開放期間T6c)と、を切り替えることができる。これにより、メリハリのある遊技性を実現することができると共に、遊技者が打ち出しのタイミングを調整することで好みの遊技性を実現することができる。
即ち、例えば、第1特別図柄の変動表示を実行させることに特化して第1入賞口64に球を入球させたい場合には、連鎖開放期間T6aでのみ第1入賞口64へ向けて球を発射し、その他の期間(T6b〜T6d)では球の打ち出しを止め、第3図柄表示装置81の演出に注目するようにしても良い。これにより、第1入賞口64に入球した球が第3検出口5314eを通過する可能性を低くすることができる。
一方で、例えば、第1特別図柄の変動表示の機会を犠牲にしてでも普通図柄の変動表示の機会を得たい場合には、上閉鎖期間T6b及び下閉鎖期間T6dに狙いを定めて第1入賞口64へ向けて球を発射し、その他の期間(T6a及びT6c)では球の打ち出しを止め、第3図柄表示装置81の演出に注目するようにしても良い。これにより、常に第1入賞口64へ向けた打ち出しを行う場合に比較して、第1入賞口64に球が連続で入球した場合に第3検出口5314eを通過する可能性を高くすることができる。
次いで、図49及び図50を参照して、第6実施形態の変形例について説明する。第6実施形態では、停留部6314bに停留される球が1個に限定される場合を説明したが、第6実施形態の変形例における遅延デバイス6300bは、一対の可動板部6510の板間の領域(停留部6314b2に相当)が球を複数個(本実施形態では2個)収容可能な大きさから構成される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。また、本実施形態の説明では、図2を適宜参照する。
図49(a)及び図49(b)は、第6実施形態の変形例における遅延デバイス6300bの部分正面図である。なお、図49(a)及び図49(b)では、球P61,P62が第1入賞口64へ連続して入球し、その結果として停止装置3340が変化状態とされた状態が図示される。また、図49(a)では、停留装置6500bの一対の可動板部6510が連続通過溝6314の内側に張り出した状態(両閉鎖状態)が図示され、図49(b)では、一対の可動板部6510が連続通過溝6314の内側から退避した状態(両開放状態)が図示される。
図49に示すように、第6実施形態の変形例における遅延デバイス6300bは、第6実施形態の遅延デバイス6300の構成との比較において、停留部6314bが2個の球を収容可能な大きさであること、及び、それに伴い、停留装置6500bの上可動板6511及び上駆動ソレノイド6521が上方へ移動されること、の2点が異なり、その他の構成は同一とされる。そのため、第6実施形態での説明と同一の符号を付し、第6実施形態での説明と重複する部分については説明を省略する。
遅延デバイス6300bの連続通過溝6314は、上述した導入溝5314aの下端に連結される停留部6314b2を備え、その停留部6314b2の直下に第2検出口5314cが配設される。
停留部6314b2は、球が1個しか入らない第6実施形態の停留部6314bとは異なり、球を複数個(本実施形態では2個)入れることができる大きさから形成されると共に、球が流下可能な溝部分として構成される。
なお、本実施形態では、第6実施形態で上述したように、停留部6314b2に到達した球は、停留部6314b2で停留する場合も、停留部6314b2を通過する(停留しない)場合も形成可能となるように、駆動装置6520が駆動される。
遅延デバイス6300bの停留装置6500bは、一対の可動板部6510と、その可動板部6510を駆動制御する一対の駆動ソレノイド6521,6522(ソレノイド209の一つ(図4参照))から構成される駆動装置6520と、を主に備える。
可動板部6510は、導入溝5314aと停留部6314b2との境界部において連続通過溝6314の内部に出没動作する上可動板6511と、その上可動板6511の下流側に球2個分隔てた位置において連続通過溝6314の内部に出没動作する下可動板6512と、を主に備える。
即ち、本実施形態における上可動板6511は、第6実施形態における上可動板6511に比較して、球1個分上昇した位置に配置される。そのため、上可動板6511が突出状態の時に上可動板6511の上側に球が停留する時、連続通過溝6314の停留部6314b側の端部から2個目の球が上限排出孔5314aの正面側(図49(a)紙面垂直方向手前側)に配置され、その球は上限排出孔5314a1を経て分岐流路5314dに誘導される。
従って、上可動板6511が突出状態の時に、上可動板6511の上側に停留可能な球の個数は1個に設定される。そのため、上可動板6511の上側に停留される1個の球のみが、上可動板6511が突出状態から退避状態に変化した直後に落下可能とされる。
また、上可動板6511が退避状態となり上側に停留されていた球が落下した直後にその後の球が連続通過溝6314の停留部6314b2側の端部に到達した場合、上限排出孔5314a1に入球せず先の球に続いて停留部6314b2に案内される可能性がある。
しかし、本実施形態では、先の球が停留部6314b2を流下開始してから、その上側に球1個分のスペースができる(0.2秒〜0.3秒経過する)前に上可動板6511が突出状態とされる動作態様で上可動板6511が動作制御される(図50参照)。これにより、上可動板6511が退避状態を維持する間、先に停留部6314b2に入球した球が後追いの球の停留部6314b2への入球を防止することになるので、これら一対の球が連なって停留部6314b2に入球することを防止できる。即ち、連鎖開放期間T62aにおいて、上可動板6511が退避状態となった直後に停留部6314b2に球が連なって流下することを防止することができる。
本実施形態では、球P62の中心が上可動板6511を通過してから(停留部6314b2に侵入してから)、下可動板6512を通過する(停留部6314b2から排出される)までに要する時間NTbが0.4秒間から0.6秒間に収まるように、停留部6314bの流路抵抗が設定される。以下、上可動板6511及び下可動板6512の動作態様の一例について説明する。
図50は、上可動板6511及び下可動板6512の動作態様の一例を示すタイミングチャートである。図50に例示される一定の動作パターンで一対の可動板部6510を動作させる態様で駆動装置6520が駆動制御される。以下、タイミングにより変化する可動板部6510の動作態様について説明する。
図50に示すように、可動板部6510の動作パターンは、連鎖開放期間T62aの動作と、その連鎖開放期間T62aの後に続く上閉鎖期間T6bの動作と、その上閉鎖期間T6bの後に続く両開放期間T6cの動作と、その両開放期間T6cの後に続く下閉鎖期間T6dの動作と、により構成される。なお、上閉鎖期間T6b、両開放期間T6c及び下閉鎖期間T6dは、第6実施形態で上述したものと同一なので、詳細の説明を省略する。
連鎖開放期間T62aでは、上可動板6511と下可動板6512とが交互に開閉動作する。上可動板6511が連続通過溝6314の内側へ張り出した後(閉鎖した後)、若干遅れて、下可動板6512が連続通過溝6314の内側から退避する(連続通過溝6314を開放する)。なお、本実施形態では、上可動板6511は退避状態を0.2秒間(球が1個通過可能である一方、2個の球の通過は困難となる時間)維持した後、突出状態を3秒間維持し、再度退避状態へ変化することを繰り返す態様で動作制御され、下可動板6512は、上可動板6511が退避状態に変化するタイミングで突出状態に変化され、突出状態を3秒間維持した後、退避状態を0.2秒間(球が1個通過可能である一方、2個の球の通過は困難となる時間)維持し、再度突出状態へ変化することを繰り返す態様で動作制御され、連鎖開放期間T62aが30秒間で設定される。
このような動作態様により、本実施形態では、上可動板6511と下可動板6512との間に停留させられる球の個数が2個とされる一方で、上可動板6511が連続通過溝6314の内側から退避する間に上可動板6511を通過する球の個数を1個に制限することができる。
また、上可動板6511が連続通過溝6314の内側から退避するのと同時に下可動板6512が連続通過溝6314の内側へ張り出し(突出状態となり)、その後、下可動板6512が退避状態となるまでに、時間NTbよりも長い期間である2.8秒間が経過する。これにより、上可動板6511を通過した球を、下可動板6512の上方に停留させることを確実にすることができ、球が素通りすることを防止することができる。
加えて、下可動板6512は上可動板6511が突出状態へ切り替えられてから2.6秒間は突出状態で維持されるので、上可動板6511が退避状態から突出状態へ切り替わる直前に球P62が上可動板6511を通過した(停留部6314b2に侵入した)場合であっても、少なくとも2.6秒間は、その球P62を下可動板6512の上側に確実に維持することができる。
これにより、球P62が上可動板6511を通過する(停留部6314b2に侵入する)タイミングに因らず、球P62が停留部6314b2を素通りする(下可動板6512の上側で停留せずに流下する)ことを防止できる。
また、上可動板6511の上側に球が停留してから、その停留していた球が、上可動板6511が退避状態となることに伴い停留部6314b2に入球し、その後、下可動板6512が退避状態となることに伴い流下し第2検出口5314cを通過するまでに、3秒間(保留球数が3個または4個の場合に選択されやすい変動期間(最短の変動期間))よりも長い時間を要する。従って、停留装置6500bを経て球が第2検出口5314cを通過する際に、第1入賞口64でオーバーフロー(第1入賞口64内の検出口(例えば、第2検出口5314c)を球が通過したにも関わらず、抽選の機会を得られない状態)が生じることを抑制することができる。
上閉鎖期間T6bでは、連続通過溝6314に球を2個入球させることにより、2個目に入球した球が上限排出口孔5314aを通じて分岐流路5314dに入球し、第3検出口5314eを通過する。これにより、第6実施形態で説明した場合に比較して球が第3検出口5314eを通過する状況を作るために連続通過溝6314に入球させる必要のある球数を減らすことができ、球が第3検出口5314eを通過する状況を容易に作ることができる。
両開放期間T6c及び下閉鎖期間T6dでは、連続通過溝6314の状態が第6実施形態における両開放期間T6c及び下閉鎖期間T6dと同様となるので、詳細な説明を省略する。
一方、第6実施形態と異なり、下閉鎖期間T6bにおいて複数個の球が連続通過溝6314に案内された場合、その後、連鎖開放期間T62aに移行すると、停留部6314b2に2個の球が収容された状態で連鎖開放期間T62aにおける可動板部6510の開閉動作が開始される。
これに対し、本実施形態では、連鎖開放期間T62aにおいて下可動板6512が退避状態に維持される期間が0.2秒間(球が1個通過可能である一方、2個の球の通過は困難となる時間)とされるので、停留部6314bに停留した複数個(本実施形態では、2個)の球が、第2検出口5314cを連なって通過することを防止することができる。
即ち、連鎖開放期間T62aにおける可動板部6510の開閉動作に合わせて、1球ずつ第2検出口5314cを通過する。これにより、停留装置6500bを経て球が第2検出口5314cを通過する際に、第1入賞口64でオーバーフロー(第1入賞口64内の検出口(例えば、第2検出口5314c)を球が通過したにも関わらず、抽選の機会を得られない状態)が生じることを抑制することができる。
従って、例えば、下閉鎖期間T6dの先読み演出として、下閉鎖期間T6dが始まるよりも少し前に、第3図柄表示装置81に「5秒間の間に球を第1入賞口64に5個+1個入れることができたら、電動役物640aが開放?(難易度高、安心度高)」と表示する。
これにより、遊技者に対して第1入賞口64に連続で球を入球させることで特別な利益が得られるが、特別な利益を得られる難易度は高め(連続して入球させることが必要な個数が多め)である一方で、その連続入球した球により遊技者に与えられる利益(賞球個数および抽選の機会)が確保されることに対する安心度は高めであることを報知することができる。これにより、第1入賞口64に球が入球する頻度に対する興味を増大させることができ、遊技者が漫然と球の打ち出しを行う事を防止することができる。
本実施形態では、連続開放期間T62a(30秒間)、上閉鎖期間T6b(6秒間)、両開放期間T6c(6秒間)及び下閉鎖期間T6d(8秒間)が、順番に並べられると共に、50秒間隔でループするように駆動装置6520が駆動制御される。
これにより、動作時間の半分以上において、連続開放期間T62aに対応した動作態様で停留装置6500が動作するので、その間において、停留部6314bから球を1球ずつ排出し、第2検出口5314cを通過することをトリガとして第1特別図柄の変動表示を実行することを可能としつつ(第1特別図柄の変動表示を実行させやすい遊技態様としつつ)、その他の時間において、第1入賞口64への入球の一部を使って普通図柄の変動表示を可能とする期間(上閉鎖期間T6b,下閉鎖期間T6d)と、普通図柄の変動表示を不可能とする期間(両開放期間T6c)と、を切り替えることができる。これにより、メリハリのある遊技性を実現することができると共に、遊技者が打ち出しのタイミングを調整することで好みの遊技性を実現することができる。
即ち、例えば、第1特別図柄の変動表示を実行させることに特化して第1入賞口64に球を入球させたい場合には、連鎖開放期間T62aでのみ第1入賞口64へ向けて球を発射し、その他の期間(T6b〜T6d)では球の打ち出しを止め、第3図柄表示装置81の演出に注目するようにしても良い。これにより、第1入賞口64に入球した球が第3検出口5314eを通過する可能性を低くすることができる。
一方で、例えば、第1特別図柄の変動表示の機会を犠牲にしてでも普通図柄の変動表示の機会を得たい場合には、上閉鎖期間T6b及び下閉鎖期間T6dに狙いを定めて第1入賞口64へ向けて球を発射し、その他の期間(T62a及びT6c)では球の打ち出しを止め、第3図柄表示装置81の演出に注目するようにしても良い。これにより、常に第1入賞口64へ向けた打ち出しを行う場合に比較して、第1入賞口64に球が連続で入球した場合に第3検出口5314eを通過する可能性を高くすることができる。
次いで、図51を参照して、第7実施形態について説明する。第5実施形態では、導入溝5314aの下流側に停留装置5500が配設される場合について説明したが、第7実施形態における遅延デバイス7300は、導入溝5314aから第2検出口5314cまでの間に停留装置5500が配設されない。即ち、第5実施形態と異なり、導入溝5314aを通過した球は、停留せずに第2検出口5314cを通過する。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図51は、第7実施形態における遅延デバイス7300の部分正面図である。なお、図51では、球P71,P72が入賞口64へ連続して入球し、その結果として停止装置3340が変化状態とされた状態が図示される。
図51に示すように、遅延デバイス6300における停止装置3340及び維持装置3360は、第3実施形態における停止装置3340及び維持装置3360と左右対称形状の装置として構成されるので、第3実施形態での説明と同一の符号を付し、第3実施形態での説明と重複する部分については説明を省略する。
図51に示すように、遅延デバイス7300は、第1入賞口64に入球した球を検出口312dまで案内する流下経路を有する本体部材7310と、その本体部材7310の内部を流下する球の作用により状態が変化する停止装置3340と、その停止装置3340が変化状態(図51参照)となった場合にその状態を維持すると共に検出口312dを通過した球の作用により姿勢変化することに伴い停止装置3340の状態の維持を解除する維持装置3360と、を主に備える。
図51に示すように、本体部材7310は、下降傾斜する流路を構成すると共に第1入賞口64から入球した球を検出口312dの鉛直上方位置まで案内する第1溝5311と、その第1溝5311の下端部分から検出口312dまで鉛直方向に延設される第2溝5312と、検出口312dを通過した球が案内される検出後流路5313と、第2溝5312の中間位置から側方(図51右方)へ分岐する溝として形成される連続通過溝7314と、を主に備える。
なお、第1溝5311、第2溝5312、検出後流路5313及び連続通過溝7314は、遊技盤13側に開放部を有する溝形状とされ、組立状態において、その開放部が遊技盤13に閉じられることにより、球が流下する通路が形成される。
なお、第1溝5311、第2溝5312及び検出後流路5313は、第3実施形態における同一名称の構成(第1溝3311、第2溝3312及び検出後流路3313)と、左右対称形状に構成されることから、第3実施形態での説明と重複する部分については、説明を省略する。
第2溝5312は、側壁部312eが検出口312dまで延設される。当接壁312aと側壁部312eとの間に、球を送球可能な分岐通路を形成する連続通過溝7314が配設される。
遅延デバイス7300の連続通過溝7314は、上述した導入溝5314aの下端に連結される鉛直延設溝7314bを備え、その鉛直延設溝7314bの下端部に第2検出口5314cが配設される。
鉛直延設溝7314bは、鉛直方向に延設されると共に、球が流下可能な溝部分として構成される。なお、本実施形態では、鉛直延設溝7314bを球が通過する(自由落下する)のに1秒を要する長さで、鉛直延設溝7314bの長さが設計される。
次いで、本実施形態における遊技性について説明する。本実施形態では、球が検出口312dを通過する(始動入賞する)と、それをトリガとして、第1図柄表示装置37において第1特別図柄の変動表示が実行されると共に、2個の賞球が払い出され、球が第2検出口5314cを通過する(始動入賞する)と、それをトリガとして、第1図柄表示装置37において第2特別図柄の変動表示が実行されると共に、4個の賞球が払い出される。
即ち、第1入賞口64に球P71が入球してから停止装置3340が初期状態まで復帰するのに十分な時間間隔(約4秒以上の時間間隔)を空けて球P72が第1入賞口64に入球する場合には、球が検出口312dにのみ入球することから、第1特別図柄の変動表示が連続で実行される。一方、停止装置3340が変化状態を維持する間(約4秒以下の間)に球P72を第1入賞口64に入球させると、後追いの球P72が第2検出口5314cに入球することから、第2特別図柄の変動表示を実行させることができる。
本実施形態では、第2特別図柄の大当たりの方が、第1特別図柄の大当たり以上の利益を獲得可能となるように大当たりの振り分けが行われる(より大きな利益を獲得し易い振り分けとなっている)。これにより、球P71,P72が、第1入賞口64に十分な間隔を空けて入球するか、短い間隔で入球するかにより、大当たり時に遊技者に与えられる利益が変化し得ることになるので、第1入賞口64への入球に対する遊技者の注目力を向上させることができる。
本実施形態では、第2特別図柄は、第1特別図柄よりも優先して、変動表示されるように構成される。また、第1特別図柄と第2特別図柄とが同時に変動表示することがないように構成されている。そのため、第2特別図柄の変動表示が実行される前に、必ず第1特別図柄の変動表示が開始される。
これにより、遊技者にとって注目度の高い第2特別図柄の変動表示が、球が第2検出口5314cを通過した後で即座に始まることを防止することができる。即ち、第2検出口5314cを球P72が通過した時に、検出口312dを球P71が通過したことに起因して既に実行されている第1特別図柄の変動表示の期間を、第2特別図柄の変動表示が開始されるまでの待ち時間として利用することができる。
従って、第1入賞口64に球P71,P72が連続で入球するという、稀な事象が生じた後で、遊技者に有利な側の変動表示(大当たりの振り分けが、遊技者にとって第1特別図柄以上に有利な第2特別図柄の変動表示)が開始されるまでの時間を確保することができる(待ち期間を挟み込むことができる)。
そのため、第1入賞口64に入球した球P71,P72の流れに注目させる時間と、球P71,P72が検出口312d又は第2検出口5312cを通過したことに起因して第3図柄表示装置81で行われる変動表示の内、遊技者に有利な側(第2特別図柄)の変動表示が行われる時間とを、明確に分けることができる。これにより、遊技者が、第1入賞口64と第3図柄表示装置81との間で慌ただしく目線を動かすことを不要とすることができるので、遊技者の疲労感を低減することができる。
また、球P72が第2検出口5314cを通過することを遊技者に確認させた上で、その後、球P72が第2検出口5314cを通過したことに起因する変動表示を開始させることができる。
そのため、第1特別図柄の変動表示と、第2特別図柄の変動表示とが交互に生じる遊技機に比較して、第2検出口5314cを球が通過したことと、それにより遊技者にとって有利な第2特別図柄の変動表示が開始されることとを、一連の流れとして遊技者に把握させ易くすることができる。
これにより、次に第3図柄表示装置81で行われる変動表示が、遊技者にとって有利な側(第2特別図柄)の変動表示であることを、遊技者が容易に把握できるようにすることができる。
次いで、図52から図54を参照して、第8実施形態について説明する。第1実施形態では、第1入賞口64の下流側に遅延デバイス300が連結される場合を説明したが、第8実施形態における遅延デバイス8300は、V入賞装置800の下流側に連結される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図52は、第8実施形態におけるパチンコ機10の遊技盤13の正面図である。図52を参照して、本実施形態におけるパチンコ機10の遊技盤13の構成について説明する。本実施形態では、上述した各実施形態に対して、第2入賞口640及び電動役物640aが第1入賞口64の下部に設けられ、第1可変入賞装置65に代えてV入賞装置800が右下部に設けられ、本実施形態における第1可変入賞装置8065(第1実施形態における第1可変入賞装置65と同じ機能の装置)がV入賞装置800の下部に設けられ、上面を球が転動可能な張出板として形成され、その転動する球を電動役物640aが開放状態の時に電動役物640aの上部に排出する転動板8091が第2入賞口640の右側に設けられる点で相違する。
その他の構成については、第1実施形態と同一であるので、同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。また、センターフレーム86の左方を流下する球の一部の球が(所謂「ワープ流路」を通って)遅延床デバイス400に球を流入させるワープ通過口87を備えることも、第1実施形態と同一である。
V入賞装置800は、上述した各実施形態における第1可変入賞装置65に遅延デバイス8300を設けた点で相違し、その他の点は同一の構造である。
第1可変入賞装置8065は、図示しないソレノイド(ソレノイド209の一つ)の作動により、遊技盤13の前後方向に動作する。第1可変入賞装置8065は、前方へと張出動作(閉鎖動作)することで、球を特定入賞口65aへ誘導しない(入球しない)働きをする一方、後方へと退避動作(開放動作)することで、球を特定入賞口65aへ入球するように誘導する働きをする。
第1可変入賞装置8065へ到達したが、第1可変入賞装置8065が閉鎖していたことにより、特定入賞口65aに誘導されなかった球は、第1可変入賞装置8065の左方に連結される転動面を転動し、転動板8091の上面に到達する。
転動板8091は、正面視で左方へ向かうにつれて下降傾斜する。そのため、転動板8091に到達した球は、その上面を正面視左方へ向けて転動し、左端部から排出される。
転動板8091の左端部から排出される球は、電動役物640aが閉鎖状態(図52参照)であれば、下方へ落下しアウト口71から排出される。一方、電動役物640aが開放状態であれば、電動役物640aの上面(内面)の上を転動し、第2入賞口640へ入球可能に誘導される。
V入賞口800aの右側には、上述した第1実施形態の特定入賞口65aと同様に、V入賞口800aを覆う正面視三角形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として右側に開閉駆動するためのV入口ソレノイド(ソレノイド209の一つ)とが設けられ、V入賞口800aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。第2入賞口640の入球に伴う抽選が小当たりとなった場合にはV入口ソレノイドを駆動して開閉板を右側に傾倒し、球がV入賞口800aに入賞しやすい開状態を一時的に形成するように作動する。
V入賞装置800に入球した球が通過する流路を形成する装置として、遅延デバイス8300が設けられている。このV入賞装置800には、V入賞口800aが設けられており、このV入賞口800aに遊技球が入球することで、遊技球の入球が検出され、遊技者に対して所定の遊技球(例えば、3球)が払い出される。即ち、V入賞口800aは、検出センサとしての役割を兼用する検出口とされる。また、V入賞口800aへ入球した遊技球が後述するV入賞スイッチ8315dを通過することにより、大当たり遊技が付与される。
本実施形態では、検出口312dは、第1実施形態での機能とは異なり、抽選の伴う検出を行う検出口としてでは無く、純粋に球の通過を検出する検出口として機能する。即ち、V入賞口800aにより検出される球の個数と、検出口312dにより検出される球の個数とを照合して、それぞれの個数の差に異常が認められれば、エラー報知を行うように制御することで、例えば、ガラスユニット16の分岐遅延溝8314の正面側の範囲に孔を開け、分岐遅延溝8314に正面側から直接、球を入れ込む不正を発見し易くすることができる。
V入賞装置800の下部に第1可変入賞装置8065が設けられている。この第1可変入賞装置8065は、大当たり遊技において所定回数(例えば、16回)開閉されるものであり、この第1可変入賞装置8065aに遊技球が入球することにより所定の遊技球(例えば、15球)が払い出される。
次に、図53を参照して、V入賞口800aを通過した球が流下する遅延デバイス8300の構成について説明する。図53は、遅延デバイス8300の部分正面図である。なお、遅延デバイス8300における停止装置3340及び維持装置3360は、第3実施形態の装置と同一の構成とされるので、第3実施形態での説明と同一の符号を付し、第3実施形態での説明と重複する部分については説明を省略する。
図53に示すように、遅延デバイス8300は、V入賞口800aに入球した球を流下させる本体部材8310と、その本体部材8310の内部を流下する球の作用により状態が変化する停止装置3340と、その停止装置3340が変化状態となった場合にその状態を維持すると共に内部を流下する球の作用により姿勢変化することに伴い停止装置3340の状態の維持を解除する維持装置3360と、後述する併設溝8315を流下する球に作用して球を停留させる停留装置8500と、を主に備える。
図53に示すように、本体部材8310は、下降傾斜する流路を構成すると共にV入賞口800aに入球した球を案内する第1溝3311と、その第1溝3311の下端部分から鉛直方向に延設される第2溝3312と、その第2溝3312の下端部から右方へ下降傾斜する方向に延設される傾斜流路8313と、第2溝3312の中間位置から側方(図53左方)へ分岐する溝として形成されると共に第2溝3312の下端部に再度合流する分岐遅延溝8314と、傾斜流路8313の下底開口8313bを含む領域から鉛直下方へ延設されると共に左右に併設される一対の溝により構成される併設溝8315と、を主に備える。
なお、第1溝3311、第2溝3312、傾斜流路8313、分岐遅延溝8314及び併設溝8315は、遊技盤13側に開放部を有する溝形状とされ、組立状態において、その開放部が遊技盤13に閉じられることにより、球が流下する通路が形成される。
分岐遅延溝8314が第2溝3312と連結される位置は、第3実施形態において収容凹部3312fが配設される位置と同一に形成される。そのため、本実施形態において、停止装置3340が初期状態(図53参照)の時に停止装置3340に到達した球(先頭の球、図53の球P81)は停止装置3340を回転させ変化状態にしながら鉛直下方へ流下し傾斜流路8313へ誘導される一方、停止装置3340が変化状態の時に停止装置3340に到達した球(2球目以降の後追いの球、図53の球P82)は、分岐遅延溝8314を流下する。
傾斜流路8313は、右方へ向かうにつれて下降傾斜する直線流路として形成されると共に、当接部3363に当接した球が更に球1個分進んだところまで延設される流路であって(延設端部から、球が2個滞留した場合に、延設端部から数えて2個目の球が当接部3363に当接する流路であって)、延設端部から球が2個滞留した場合に、延設端部から数えて2個目の球の背面側に配設されると共に球が通過可能な開口である連通開口8313aと、その連通開口8313aに対して延設方向に球1個分ずれた位置において下方へ向けて開口される下底開口8313bと、を備える。なお、傾斜流路8313は、球がV入賞口800aを通過してから、第2溝3312を真下に流下し下底開口8313bに到達するまでに4秒間経過する形状から形成される。
連通開口8313aは、正面側に端部を向けたU字形状に延設される流路として形成される。即ち、傾斜流路8313から連結開口8313aへ入球した球は、連通開口8313aのU字流路を流下し、第2溝8315bの上端部へ排出される。その後、球は第2溝8315bを流下する。
分岐遅延溝8314は、その下端部において第2溝3312の下端部に連結されるので、分岐遅延溝8314を流下した球は第2溝3312の下端部を経て傾斜流路8313に入球する(先頭の球が流下する流下経路に合流する)。なお、本実施形態では、球が分岐遅延溝8314を通過するのに要する時間が5秒以上となるように、分岐遅延溝8314の形状が設計される。
従って、本実施形態において、先にV入賞口800aに入球した球P81がV入賞口800aに入球してから下底開口8313bに到達するまでに要する時間と、球P81の後でV入賞口800aに入球した球P82がV入賞口800aに入球してから下底開口8313bに到達するまでに要する時間との間に5秒間の間隔が生じる。これにより、V入賞口800aに複数の球P81,P82がまとまって入球した場合であっても、球P81,P82が下底開口8313bに到達するタイミングをずらして、球P81,P82のそれぞれのV入賞スイッチ8315dへの落下動作を、遊技者に見せ易くすることができる。これにより、球P81,P82がまとまって流下してしまい、どちらの球がV入賞スイッチ8315dを通過したか分からないといった、慌ただしい球の流下を防止することができる。
傾斜流路8313を通過した球は、維持装置3360の当接部3363と当接した後で、併設溝8315を流下する。併設溝8315は、下底開口8313bから鉛直下方へ延設される第1溝8315aと、連通開口8313aを通過した球が流下可能に連通開口8313aと連結される流路と上端部でつながると共に第1溝8315aの左側に併設される第2溝8315bと、第1溝8315aから第2溝8315bへ球を通過可能な間隙として形成される間隙部8315cと、第1溝8315aの間隙部8315cよりも下流側において球が通過可能に配設されるV入賞スイッチ8315dと、第1溝8315a又は第2溝8315bを流下した球が通過する排出スイッチ8315eと、を主に備える。
遅延デバイス8300を流下した球は、排出スイッチ8315eを通過した後、図示しない球排出路へと案内される。
併設溝8315に到達した球は、下底開口8313bを起点として球が滞留していない場合には、下底開口8313bまで流下し、その後、第1溝8315aに沿って流下開始する。
一方、下底開口8313bを起点として球が滞留している場合には、滞留球にせき止められ下端部までは流下せず、連通開口8313aを経て第2溝8315bに沿って(速度方向を後方に切り替えられて)流下開始する。このように、下底開口8313bを起点として球が滞留しているか否かにより併設溝8315に到達した球の流下経路を異ならせることができる。次いで、下底開口8313bを起点として球を停留可能な停留装置8500について説明する。
停留装置8500は、一対の可動板部8510と、その可動板部8510を駆動制御する一対の駆動ソレノイド8521,8522(ソレノイド209の一つ(図4参照))から構成される駆動装置8520と、を主に備える。
可動板部8510は、下底開口8313bと第1溝8315aとの境界部において第1溝8315aの内部に出没動作する上可動板8511と、その上可動板8511の下流側であって間隙部8315cの下端側に沿う位置で第1溝8315aの内部に出没動作する下可動板8512と、を主に備える。
上可動板8511は、第1溝8315aの内部に突出する突出状態では第1溝8315aに形成される間隙が球の直径未満となる位置まで張り出すことで球の流下を規制し(球を上面側で停留させ)、第1溝8315aの内部から外方へ退避する退避状態では球の流下を許容する。
上可動板8511は、その上面位置が、下底開口8313bの下面位置よりも下降した位置とされる。そのため、上可動板8511が突出状態の時に下底開口8313bまで流下して上可動板8511に乗った球が左方へ跳ね変える際に傾斜流路8313に戻る(乗り上げる)ことを防止することができる。
下可動板8512は、第1溝8315aの内部に突出する突出状態では第1溝8315aに形成される間隙が球の直径未満となる位置まで張り出すことで球の第1溝8315aの延設方向(鉛直方向)に沿った流下を規制し、第1溝8315aの内部から外方へ退避する退避状態では球の第1溝8315aの延設方向(鉛直方向)に沿った流下を許容する。
下可動板8512は、上面形状が第2溝8315bへ向けて下降傾斜する湾曲形状から形成される。これにより、下可動板8512の上面に落下した球が下可動板8512の上面に停留する期間を短縮することができ、第2溝8315bへ球を短時間で送球することができる。
なお、下可動板8512は、上可動板8511が退避状態となり上可動板8511に停留していた球が落下を開始してから退避状態の下可動板8512(の左側、図55参照)を通過するまでにかかる時間が0.1秒未満となる位置に配設される。
駆動装置8520は、遅延デバイス8300に締結固定されると共に上可動板8511を出没動作させる駆動力を発生する上駆動ソレノイド8521と、遅延デバイス8300に締結固定されると共に下可動板8512を出没動作させる駆動力を発生する下駆動ソレノイド8522と、を主に備える。
本実施形態では、上駆動ソレノイド8521は、球が第2入賞口640に入球されることに起因して生じる小当たりの小当たり種別に基づいて設定される動作パターンで、上可動板8511を出没動作させる態様で励磁される。
一方、下駆動ソレノイド8522は、電源投入時から一定の動作パターンで下可動板8512を出没動作させる態様で励磁される。本実施形態では、例として、下可動板8512を突出状態(球の通過を規制する状態)に2.5秒間維持した後、退避状態(球の通過を許容する状態)に0.5秒間維持することを繰り返す動作パターンで下駆動ソレノイド8522が駆動される。
このように、本実施形態では、上可動板8511は上駆動ソレノイド8521に駆動され、下可動板8512は下駆動ソレノイド8522に駆動されるので、それぞれの動作を独立させることができる。以下、上可動板8511及び下可動板8512の動作態様の一例について説明する。
図54は、V入賞口800aに入球した球が検出される時および各部の動作態様の一例を示すタイミングチャートである。図54では、V入賞口800aの出力パルスがONとされるタイミングが、V入賞口800aを球が通過したタイミングを示す態様で、波形が図示される。
傾斜流路8313として図示される波形は、理解を容易とするために追記されるものであり、V入賞口800aを通過した球P81,P82が下底開口8313bに到達するタイミングで出力パルスが立ち上がる(下端到達とされる)態様で図示される。
図54に図示されるように、本実施形態では、第2入賞口640に球が入球し小当たりとなった後、V入賞装置800が1.8秒間開放される。これにより、球がV入賞口800aを通過可能となる。なお、本実施形態では、第2入賞口640の最短の変動時間が15秒間に設定され、その15秒間の間に遅延デバイス8300の内部の可動部材が駆動される(図54参照)。
図54では、2個の球P81,P82がV入賞口800aを通過した場合が図示される。即ち、球P81,P82は、1.8秒以内の入球間隔でV入賞口800aを通過した球として図示される。V入賞口800aに入球した球の内、先頭で入球した球P81は、停止装置3340を初期状態から変化状態へ変化させた後、傾斜流路8313を流下する。停止装置3340が変化状態に変化した後、その状態の維持が球P81の作用で解除されるまでに、少なくとも3秒間を要するので、後追いの球P82は、変化状態の停止装置3340に当接しながら分岐遅延溝8314へ入球する。
このように、先頭で入球した球P81と、後追いの球P82とが別の流路を流下して、下底開口8313bに到達する。なお、下底開口8313bに到達するまでに要する時間は、流路形状により規定することができる。本実施形態では、V入賞口800aを通過してから下底開口8313bに到達するまでに、球P81は4秒間かかり、球P82は、分岐遅延溝8314を流下する分(5秒間)加算して9秒間かかる。
V入賞口800aを球が通過するタイミングは、V入賞装置800が開放される時間(1.8秒間)に限定される。そのため、V入賞装置800が開放した時から4秒後を始点とする1.8秒間である第1到達期間T81及びV入賞装置800が開放した時から9秒後を始点とする1.8秒間である第2到達期間T82以外の期間では、球P81,P82は下底開口8313bに到達し得ない。加えて、第1到達期間T81と第2到達期間T82とは、分離している。
これにより、球P81と、球P82とが併設溝8315を流下するタイミングを明確に分けることができる。即ち、V入賞装置800の開放期間における、どのタイミングで球がV入賞口800aに入球したかによって遊技者に与えられる利益が変動する場合とは明確に区別される場合として、V入賞装置800の開放期間に複数の球がV入賞口800aに入球したか否かによって、遊技者に与えられる利益が変動する場合を形成することができる。
また、球P81,P82のそれぞれのV入賞スイッチ8315dへの落下動作を、遊技者に見せ易くすることができる。即ち、球P81,P82がV入賞スイッチ8315dへ向けてまとまって流下してしまい、一方はV入賞スイッチ8315dを通過し、他方はV入賞スイッチ8315dから逸れた場合に、どちらの球(先に入球した球P81又は後から入球した球P82)がV入賞スイッチ8315dを通過したか分からないといったように、慌ただしく球が流下することを防止することができる。
図54に示すタイミングチャートは、V入賞装置800が開放する時点を左端として図示される。上可動板8511は、V入賞装置800の開放時点から7秒経過後の第1開放時点T83及びV入賞装置800の開放時点から12秒経過後の第2開放時点T84にそれぞれ退避状態に切り替えられ(開放され)、1秒後に突出状態に切り替えられる(閉鎖される)。なお、第1開放時点T83及び第2開放時点T84は、V入賞口800aへの入球タイミングに関わらず、入球タイミングよりも前から規定される。
図54に示すように、第1開放時点T83は、第1到達期間T81の終期から1.2秒後のタイミングに相当し、第2開放時点T84は、第2到達期間T82の終期から1.2秒後に相当する。
そのため、V入賞口800aを通過した球が下底開口8313bに到達し、球の配置が安定するまでの期間(例えば、側壁に衝突した後の微振動を収める期間や、3球以上の入球があった場合に2球目以降を連通開口8313aから排出する期間)を確保することができる。これにより、上可動板8511が退避状態とされた直後に球を落下させることができる(上可動板8511の動作タイミングと、球の落下開始タイミングとの間のずれを最小限に抑えることができる)。従って、球が意図しない流下態様で流下することで、V入賞スイッチ8315dにイレギュラー入賞することを防止することができる。
この点について、本実施形態では、先頭の球P81が下底開口8313bに到達した後で球の配置が安定するまでの期間を、後追いの球P82が下底開口8313bに到達した後で球の配置が安定するまでの期間に比較して、短くすることができる。
即ち、本実施形態によれば、先頭の球P81が当接部3363に当接する時には、停止装置3340の磁石部3346と維持装置3360の磁石部3362との間隔が短くされ十分な吸着力が働く一方で、後追いの球P82が当接部3363に当接する時には、停止装置3340の磁石部3346と維持装置3360の磁石部3362との間隔が空けられ吸着力が微弱になるので、先頭の球P81が当接部3363から受ける負荷を、後追いの球P82が当接部3363から受ける負荷に比較して大きくすることができる。
これにより、当接部3363から球P81に与えられる負荷を制動力として利用することができ、球P81が下底開口8313bに到達する前に、予め球P81を減速することができる。これにより、球P81が傾斜流路8313の下端部に衝突することによる跳ね返りの程度を小さくすることができるので、球P81が下底開口8313bに到達した後で球の配置が安定するまでの期間を短縮することができるので、第1到達期間T81の終期と、第1開放時点T83との間の間隔を短く設定することができる。これにより、第1開放時点T83で退避状態に切替(開放)開始した上可動板8511を、後追いの球が下底開口8313bに到達する前に閉鎖する(突出状態に切り替える)ことを、より容易に(時間的余裕をもって)行うことができる。
一方、球P82に当接部3363から与えられる負荷(制動力)は、球P81に当接部3363から与えられる負荷(制動力)に比較して小さいので、球P82が下底開口8313bに到達した後で球の配置が安定するまでの期間を、球P81に比較して長くすることができる。これにより、球P82の配置が安定するまでの期間を利用して行う演出の自由度を向上させることができる。例えば、長時間の演出を行うことができる。
下可動板8512として図示される波形には、V入賞装置800の開放時からの下可動板8512の開閉動作の一例として、第1タイミング、第2タイミング及び第3タイミングの動作態様が図示される。なお、上可動板8511及び下可動板8512のタイミングチャートの波形は状態の変化を示しているが、理解を容易とするために矩形波として簡略化して図示される。
第1タイミングでは、第1開放時点T83において、下可動板8512が退避状態となる。そのため、V入賞口800aに球が少なくとも1個入球していれば、上可動板8511が第1開放時点T83で退避状態となることで、先頭で入球した球が下底開口8313bから落下し、V入賞スイッチ8315dを通過し、その後に排出スイッチ8315eを通過する。
第2タイミングでは、第1開放時点T83及び第2開放時点T84において、下可動板8512が突出状態となる。そのため、上可動板8511が退避状態となることで下底開口8313bから落下する球は、下可動板8512に沿って第2溝8315bに案内されるので、V入賞スイッチ8315dを通過せず、排出スイッチ8315eを通過する。
第3タイミングでは、第1開放時点T83において下可動板8512が突出状態とされる一方、第2開放時点T84において下可動板8512が退避状態とされる。そのため、V入賞口800aに入球する球が1個である場合には、上可動板8511が第1開放時点T83で退避状態となることで、先頭で入球した球が下底開口8313bから落下し下可動板8512に沿って第2溝8315bに案内されるので、球はV入賞スイッチ8315dを通過せずに排出スイッチ8315eを通過する。
一方で、V入賞口800aに入球する球が2個以上である場合には、上可動板8511が第2開放時点T84で退避状態となることで、球が下底開口8313bから落下し、V入賞スイッチ8315dを通過し、その後に排出スイッチ8315eを通過する。
これにより、V入賞口800aに球を1個入れるか、複数個入れるかによって、遊技者に与えられる利益が明確に変化する遊技性を作ることができる。これは、V入賞装置800の開放時において、早いタイミングで入球しようが、遅いタイミングで入球しようが、傾斜流路8313に到達するタイミングは第1到達期間T81に含まれると、予め規定したことからも明らかなとおり、V入賞口800aへの入球タイミングによって遊技者に与えられる利益が変化する遊技性とは、明確に異なるものである。
本実施形態の遊技性によれば、V入賞装置800の一度の開放動作で、V入賞口800aに球が何個入球するかにより遊技者に与えられる利益が変化するので、V入賞口800aへの入球態様に対する注目力を向上させることができる。
次いで、図55及び図56を参照して、第9実施形態について説明する。第8実施形態では、上可動板8511が突出状態の時に下底開口8313bに到達した球は上可動板8511の上側に停留する場合を説明したが、第9実施形態における遅延デバイス9300は、上可動板8511が突出状態の時に下底開口8313bに到達した球を、そのまま排出するための排出検出口9313aを備える。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図55を参照して、V入賞口800aを通過した球が流下する遅延デバイス9300の構成について説明する。図55は、第9実施形態における遅延デバイス9300の部分正面図である。なお、遅延デバイス9300における停止装置3340及び維持装置3360は、第3実施形態の装置と同一の構成とされるので、第3実施形態での説明と同一の符号を付し、第3実施形態での説明と重複する部分については説明を省略する。
V入賞装置800に入球した球が通過する流路を形成する装置として、遅延デバイス9300が設けられている。このV入賞装置800には、V入賞口800aが設けられており、このV入賞口800aに遊技球が入球することで、遊技球の入球が検出され、遊技者に対して所定の遊技球(例えば、3球)が払い出される。即ち、V入賞口800aは、検出センサとしての役割を兼用する検出口とされる。また、V入賞口800aへ入球した遊技球が後述するV入賞スイッチ8315dを通過することにより、大当たり遊技が付与される。
本実施形態では、検出口312dは、第1実施形態での機能とは異なり、抽選の伴う検出を行う検出口としてでは無く、純粋に球の通過を検出する検出口として機能する。即ち、V入賞口800aにより検出される球の個数と、検出口312dにより検出される球の個数とを照合して、それぞれの個数の差に異常が認められれば、エラー報知を行うように制御することで、例えば、ガラスユニット16の分岐遅延溝8314の正面側の範囲に孔を開け、分岐遅延溝8314に正面側から直接、球を入れ込む不正を発見し易くすることができる。
図55に示すように、遅延デバイス9300は、V入賞口800aに入球した球を流下させる本体部材9310と、第8実施形態で説明した遅延デバイス8300と同様に、本体部材9310の内部を流下する球の作用により状態が変化する停止装置3340と、その停止装置3340が変化状態となった場合にその状態を維持すると共に内部を流下する球の作用により姿勢変化することに伴い停止装置3340の状態の維持を解除する維持装置3360と、後述する併設溝8315を流下する球に作用して球を停留させる停留装置8500と、を主に備える。即ち、本実施形態の遅延デバイス9300は、第8実施形態の遅延デバイス8300との比較において、本体部材8310,9310のみに違いがあり、他の部分において同一の構成とされる。
図55に示すように、本体部材9310は、第8実施形態の本体部材8310と同様の構成とされる第1溝3311と、第2溝3312と、分岐遅延溝8314と、下底開口8313bを含む領域から鉛直下方へ延設されると共に左右に併設される一対の溝により構成される併設溝8315と、を主に備え、加えて、第8実施形態の本体部材8310とは異なる構成とされる傾斜流路9313を備える。即ち、本実施形態の本体部材9310は、第8実施形態の本体部材8310との比較において、傾斜流路8313,9313のみに違いがあり、他の部分において同一の構成とされる。
なお、第1溝3311、第2溝3312、傾斜流路9313、分岐遅延溝8314及び併設溝8315は、遊技盤13側に開放部を有する溝形状とされ、組立状態において、その開放部が遊技盤13に閉じられることにより、球が流下する通路が形成される。
傾斜流路9313は、第2溝3312の下端部を起点として右方へ向かうにつれて下降傾斜する直線流路として形成されると共に、当接部3363に当接した球が更に球2個分進んだところまで延設される流路であって(延設端部から、球が3個滞留した場合に、延設端部から数えて3個目の球が当接部3363に当接する流路であって)、第8実施形態と同様の位置に配設される下底開口8313bと、その下底開口8313bに対して傾斜流路9313の延設方向に沿って球1個分ずれた位置(傾斜流路9313の延設端部)において背面側(図55紙面奥側)へ球を誘導可能に開口される排出検出口9313aと、を主に備える。なお、傾斜流路9313は、球がV入賞口800aを通過してから、第2溝3312を真下に流下し下底開口8313bに到達するまでに4秒間経過する形状から形成される。
排出検出口9313aは、その正面側(図55紙面垂直方向手前側)に到達した球を誘導し、図示しない球排出路へと案内する開口である。また、排出検出口9313aは、球の通過を検出するスイッチ(各種スイッチ208(図4参照)の一部)として構成される。
傾斜流路9313を流下し、下底開口8313bを通過した球は、併設溝8315を流下する。なお、本実施形態では、連通開口8313aの形成が省略されるので、併設溝8315の第2溝8315bは、第1溝8315a経由でのみ球が案内される溝として形成される。
即ち、併設溝8315は、下底開口8313bから鉛直下方へ延設される第1溝8315aと、その第1溝8315aの左側に併設される第2溝8315bと、第1溝8315aから第2溝8315bへ球を通過可能な間隙として形成される間隙部8315cと、第1溝8315aの間隙部8315cよりも下流側において球が通過可能に配設されるV入賞スイッチ8315dと、第1溝8315a又は第2溝8315bを流下した球が通過する排出スイッチ8315eと、を主に備える。
遅延デバイス9300を流下した球は、排出スイッチ8315eを通過した後、図示しない球排出路へと案内される。
下底開口8313bに到達した球の流下態様について説明する。まず、下底開口8313bに球が到達した時に上可動板8511が突出状態となっている場合には、球が下底開口8313bで留まらず同様の流下方向に沿って流下を続け、排出検出口9313aの手前側まで到達した後で排出検出口9313aを通過して図示しない球排出路へと案内される。
一方、下底開口8313bに球が到達した時に上可動板8511が退避状態となっている場合には、球が下底開口8313bを通過して落下し、その後、第1溝8315aに沿って併設溝8315を流下開始する。球は、併設溝8315を流下した後で、排出スイッチ8315eを通過し、図示しない球排出路へと案内される。
このように、傾斜流路9313を流下する球が下底開口8313bに到達した時に上可動板8511が突出状態であるか、退避状態であるかにより、その後の球の流下経路を異ならせることができる。
本実施形態では、下駆動ソレノイド8522は、電源投入時から一定の動作パターンで下可動板8512を出没動作させる態様で励磁される。本実施形態では、第8実施形態とは異なる例として、下可動板8512を突出状態(球の通過を規制する状態)に5.5秒間維持した後、退避状態(球の通過を許容する状態)に0.5秒間維持することを繰り返す動作パターンで下駆動ソレノイド8522が駆動される。次いで、上可動板8511及び下可動板8512の動作態様の一例について説明する。
図56は、V入賞口800aに入球した球が検出される時および各部の動作態様の一例を示すタイミングチャートである。図56では、V入賞口800aの出力パルスがONとされるタイミングが、V入賞口800aを球が通過したタイミングを示す態様で、波形が図示される。
傾斜流路8313として図示される波形は、理解を容易とするために追記されるものであり、V入賞口800aを通過した球P91,P92が下底開口8313bに到達するタイミングで出力パルスが立ち上がる態様で図示される。
図56に図示されるように、本実施形態では、第2入賞口640に球が入球し小当たりとなった後、V入賞装置800が1.8秒間開放される。これにより、球がV入賞口800aを通過可能となる。図56では、2個の球P91,P92がV入賞口800aを通過した場合が図示される。即ち、球P91,P92は、1.8秒以内の入球間隔でV入賞口800aを通過した球として図示される。
V入賞口800aに入球した球の内、先頭で入球した球P91は、停止装置3340を初期状態から変化状態へ変化させた後、傾斜流路9313を流下する。停止装置3340が変化状態に変化した後、その状態の維持が球P91の作用で解除されるまでに、少なくとも3秒間(V入賞装置800の開放時間よりも長時間)を要するので、後追いの球P92は、変化状態の停止装置3340に当接しながら分岐遅延溝8314へ入球する。
このように、先頭で入球した球P91と、後追いの球P92とが別の流路を流下して、下底開口8313bに到達する。なお、下底開口8313bに到達するまでに要する時間は、流路形状により規定することができる。本実施形態では、V入賞口800aを通過してから下底開口8313bに到達するまでに、球P91は4秒間かかり、球P92は、分岐遅延溝8314を流下する分(5秒間)加算して9秒間かかる。
V入賞口800aを球が通過するタイミングは、V入賞装置800が開放される時間(1.8秒間)に限定される。そのため、V入賞装置800が開放した時から4秒後を始点とする1.8秒間である第1到達期間T81及びV入賞装置800が開放した時から9秒後を始点とする1.8秒間である第2到達期間T82以外の期間では、球P91,P92は下底開口8313bに到達し得ない。加えて、第1到達期間T81と第2到達期間T82とは、分離している。
即ち、球P91と、球P92とが下底開口8313bに到達するタイミングを明確に分けることができる。即ち、V入賞装置800の開放期間における、どのタイミングで球がV入賞口800aに入球したかによって遊技者に与えられる利益が変動する場合とは明確に区別される場合として、V入賞装置800の開放期間に複数の球がV入賞口800aに入球したか否かによって、遊技者に与えられる利益が変動する場合を形成することができる。
図56に示すタイミングチャートは、V入賞装置800が開放する時点を左端として図示される。上可動板8511は、V入賞装置800の開放時点から9秒経過後の第1開放時点T93に突出状態から退避状態へ切り替えられ(開放され)、2秒後に退避状態から突出状態へ切り替えられる(閉鎖される)。なお、第1開放時点T93は、V入賞口800aへの球の入球タイミングに関わらず、入球タイミングよりも前から規定される。
図56に示すように、第1開放時点T93は、第2到達期間T82の始期に相当する。そのため、球P92がV入賞装置800の開放中のいつV入賞口800aに入球した場合であっても、球P92が下底開口8313bに到達するタイミングにおいて上可動板8511を退避状態に維持することができる。
一方で、第1到達期間T81に相当する期間には、上可動板8511が突出状態で維持されるので、球P91がV入賞装置800の開放中のいつV入賞口800aに入球した場合であっても、球P91が下底開口8313bに到達するタイミングにおいて上可動板8511は突出状態に維持される。
従って、先頭でV入賞口800aに入球した球P91が併設溝8315に侵入することを防止できると共に、球P91がV入賞口800aに入球した時のV入賞装置800の開放と同一の開放中において、V入賞口800aに入球した球P91の後でV入賞口800aに入球した球P92を併設溝8315に誘導することができる。これにより、V入賞装置800の単一の開放中に、V入賞口800aに先頭で入球した球P91により遊技者に与えられる利益に比較して、その開放と同一の開放中に、球P91の後でV入賞口800aに入球する球P92により遊技者に与えられる利益の方が大きい遊技機を構成することができる。換言すれば、球P91がV入賞スイッチ8315dを通過することを防止すると共に、球P92がV入賞スイッチ8315dを通過可能な遊技機を構成することができる。
この目的のためには、球P91が傾斜流路9313の延設端部に衝突して跳ね返り、球P91が下底開口8313bまで戻されることを回避する必要がある。本実施形態では、球P91と当接部3363との当接(擦れ)により生じる制動作用により球P91を減速することができるので、球P91が傾斜流路9313を勢いよく流れる場合であっても、球P91が傾斜流路9313の延設端部に衝突して跳ね返り下底開口8313bまで戻されることを防止できる。従って、傾斜流路9313の傾斜角度の設定範囲を、水平面を基準とした傾斜角度が大きくなる側(当接部3363に到達するまでの間、傾斜流路9313を流下する球の速度が速くなる側)に広げることができる。
この球P91の制動作用は、停止装置3340の変化状態での維持を解除するために配設される維持装置3360の当接部3363と、球P91との当接を利用したものであり、個別の制動装置を新たに付加する物ではない。即ち、本実施形態では、維持装置3360を、停止装置3340の状態の切り替えのためと、球P91の減速のためとに兼用することができる。
更に、本実施形態によれば、当接部3363との当接により先頭の球P91に生じる減速作用に比較して、後追いの球P92に生じる減速作用を小さくすることができる。
即ち、本実施形態によれば、先頭の球P91が当接部3363に当接する時には、停止装置3340の磁石部3346と維持装置3360の磁石部3362との間隔が短くされ十分な吸着力が働く一方で、後追いの球P92が当接部3363に当接する時には、停止装置3340の磁石部3346と維持装置3360の磁石部3362との間隔が空けられ吸着力が微弱になるので、先頭の球P91が当接部3363から受ける負荷を、後追いの球P92が当接部3363から受ける負荷に比較して大きくすることができる。
そのため、球P91を十分に減速させる一方で、球P92の減速度合いを球P91の減速度合いに比較して抑制することができる。これにより、球P92の傾斜流路9313の流下を滑らかにすることができ、球P92の流れを目で追う遊技者から不満が生じることを抑制することができる。
例えば、当接部3363による球P92の減速度合いが大きい場合、傾斜流路9313を流下する球が当接部3363に当接し始める時には下可動板8512が退避状態となっていたにも関わらず、球が当接部3363と当接し減速している間に下可動板8512が突出状態となる事象が生じ易くなる。この場合、遊技者からは、「内部で風を発生させ、意図的に球P92を減速させて、球がV入賞スイッチ8315dを通過し難くしているのではないか。」等の根拠の無い憶測が広がり易く、遊技者の遊技意欲を減退させるおそれがあった。
これに対し、本実施形態では、併設溝8315に入球することができる球P92の方が、併設溝8315に入球不可能な球P91に比較して、当接部3363との当接による減速度合いを小さくすることができるので、当接部3363付近の球P92の流れを滑らかにし、根拠の無い憶測が広がる可能性を低減することができる。
また、先頭の球P91が当接部3363に当接し、停止装置3340の磁石部3346と維持装置3360の磁石部3362との間隔が空けられる際、当接部3363は軸部3361aを軸として上方へ向けて回転する。その後、重力により再び当接部3363が図55に示す位置まで下降することになるが、図55に示す状態に至るまでにかかる時間は維持装置3360の重量バランス等により変化する。即ち、当接部3363の重さが軽い程、図55に示す状態になるまでにかかる時間は長くなる。
ここで、当接部が上方へ向けて回転してから、図55に示す状態に至る前に球P92が当接部3363の下方を通過すれば、球P92は、当接部3363と当接することは無く、減速されることもないので、純粋に、流路の形状に従って(他の特別な理由で減速されることなく)下底開口8313bまでの経路を流下することができる。この場合、V入賞口800aに入球した球P92が下底開口8313bに至るまでの期間を正確に設定し易くすることができる。
従って、V入賞装置800の単一の開放における、開放直後と、閉鎖直前とで球P91,P92が分かれてV入賞口800aを通過する場合に比較して、球P92が、球P91に連なってV入賞口800aを通過する場合の方が、球P91との当接で当接部3363が上方へ回転した後で球P92が当接部3363の下方に到達するまでの期間を短くできる。この場合、球P92が当接部3363と当接せずに流下する状況を作りやすいことから、球P92が下底開口8313bに到達するタイミング(V入賞口800aに入球してから9秒後)を本体部材9310の流路形状により設定し易くできる。
従って、そのタイミングを考慮した停留装置8500の駆動制御を行う場合に(図56参照)、球P92を、球P91に連なってV入賞口800aに入球させることで、球P92と球P91とが間隔(最大で約1.8秒間隔)を空けてV入賞口800aに入球する場合に比較して、球P92により遊技者に与えられる最大限の利益(球P92がV入賞スイッチ8315dを通過し大当たりとなること)を、遊技者が獲得し易くすることができる。
下可動板8512として図示される波形には、V入賞装置800の開放時からの下可動板8512の開閉動作の一例として、第1タイミング、第2タイミング及び第3タイミングの動作態様が図示される。なお、上可動板8511及び下可動板8512のタイミングチャートの波形は状態の変化を示しているが、理解を容易とするために矩形波として簡略化して図示される。
第1タイミングでは、第1開放時点T93からの2秒間、即ち、上可動板8511が退避状態とされる期間において、下可動板8512が突出状態で維持される。そのため、V入賞口800aに入球した球の個数に関わらず、球がV入賞スイッチ8315dを通過することが防止され、V入賞スイッチ8315dを逸れた球は排出スイッチ8315eを通過する。
第2タイミングでは、上可動板8511が退避状態とされる期間の終了間際まで下可動板8512が突出状態とされ、上可動板8511が退避状態とされる期間の終了間際に下可動板8512が退避状態に切り替えられる。そのため、球P92がV入賞口800aに入球するタイミングがV入賞装置800の閉状態への切り替えタイミングに近い程、下可動板8512の退避状態において第1溝8315aを球P92が流下し易くなり、遊技者に与えられる利益が大きくなる。
第3タイミングでは、第1開放時点T93において下可動板8512が退避状態とされるので、上可動板8511が退避状態とされる期間の内の少なくとも後半においては、下可動板8512が突出状態で維持される。そのため、球P92がV入賞口800aに入球するタイミングがV入賞装置800の開状態への切り替えタイミングに近い程、下可動板8512の退避状態において第1溝8315aを球P92が流下し易くなり、遊技者に与えられる利益が大きくなる。
このように、本実施形態によれば、球P91の後でV入賞口800aに入球した球P92のみが、上可動板8511が退避状態の時に傾斜流路9313の下底開口8313bに到達可能とされ、球P92が下底開口8313bに到達し落下するタイミング(逆算して、球がV入賞口800aに入球するタイミング)と、下可動板8512が退避状態となるタイミングとが上手く合致することにより、球P92がV入賞スイッチ8315dを通過する状況を作ることができる。
即ち、V入賞スイッチ8315dに球を通過させる条件を、V入賞装置800の単一の開放動作の内にV入賞口800aに球を2個以上通すこと及び2個目の球がタイミング良くV入賞口800aを通過することの2点とすることができる。
これにより、V入賞口800aに球を1個入れるか、複数個入れるかによって、遊技者に与えられる利益が明確に変化する遊技性を作ることができる。本実施形態の遊技性によれば、V入賞装置800の一度の開放動作で、V入賞口800aに球が何個入球するかにより遊技者に与えられる利益が変化するので、V入賞口800aへの入球態様に対する注目力を向上させることができる。この遊技性を前提として、大当たりの可能性の大小を示唆する演出として第3図柄表示装置81(図52参照)で実行される演出例について説明する。
第3図柄表示装置81では、大当たり期待度の大きさに関連した様々な演出が、変動表示と連動して実行される。なお、ここで言う大当たり期待度の大きさとは、V入賞口800aを通過した球がV入賞スイッチ8315dを通過する確率の大きさのことを指す。
例えば、下可動板8512が第1タイミングで動作していた場合、上可動板8511が退避状態の時に下可動板8512が突出状態で維持されるので、球P92がV入賞スイッチ8315dを通過する可能性は極端に低い。従って、この場合には、本実施形態では、例えば、第3図柄表示装81に「期待するな」や、「今回は見送り」等の文字を表示することにより、遊技者に過度な期待を持たせない報知をするようにMPU221により制御される。なお、報知の手法は第3図柄表示装置81における表示に限るものでは無い。例えば、音声出力装置226(図4参照)から発せられる音声によるものでも良いし(例えば、極端に短い音声や、ごくありふれたマイナスイメージの音声等を発しても良いし)、ランプ表示装置227から発せられる光によるものでも良いし(例えば、青、緑、赤と色が変わるほど期待度が高くなる設定において、青色の発光を生じさせる等でも良い)、第3図柄表示装置81付近に可動機構が配置され、その可動機構の動作態様によるものでも良い(例えば、動きの激しさに強弱を設けられる動作態様において、その激しさを弱くするものでも良い)。
一方、下可動板8512が第2タイミングで動作している場合と、第3タイミングで動作している場合とでは、理想的にはどちらの場合でも、上可動板8511が退避状態とされる時に下底開口8313bに球P92が到達可能であるため、球P92がV入賞スイッチ8315dを通過する可能性はある。しかし、V入賞口800aに後追いで入球した球P92がV入賞スイッチ8315dを通過する遊技性の本実施形態においては、大当たり期待度に明確な差が生じる。
これは、本実施形態においても従来機種と同様に、球の発射間隔は最短で0.6秒間であることと、図52に示すV入賞口800aの配置から、発射してからV入賞口800aに入球するまでの期間が球ごとに大きく変化することが無いこととに因る。発射間隔が最短で0.6秒間である以上、V入賞口800aに球が入球する間隔も0.6秒間程度かかるものとされるので、V入賞装置800が開状態となった直後に球P92がV入賞口800aを通過することは困難となる。
即ち、下可動板8512が第2タイミングで動作する場合の方が、第3タイミングで動作する場合に比較して、大当たり期待度が大きい。従って、本実施形態では、下可動板8512が第2タイミングで動作する場合には、大当たり期待度が大きいことを示唆する報知を行い、一方、下可動板8512が第3タイミングで動作する場合には、賑やかしとして大当たり期待度が中程度であることを示唆する報知をするようにMPU221により制御される。
例えば、下可動板8512が第2タイミングで動作する場合には、本実施形態では、第3図柄表示装81に「大チャンス」や、「刮目せよ」等の文字を表示することにより、遊技者に大当たりの期待を持たせる報知をするようにMPU221により制御される。なお、報知の手法は第3図柄表示装置81における表示に限るものでは無い。例えば、音声出力装置226(図4参照)から発せられる音声によるものでも良いし(例えば、その機種のイメージソングのロングバージョンの音声や、ごくありふれたプラスイメージの音声等を発しても良いし)、ランプ表示装置227から発せられる光によるものでも良いし(例えば、青、緑、赤と色が変わるほど期待度が高くなる設定において、赤色の発光を生じさせる等でも良いし)、第3図柄表示装置81付近に可動機構が配置され、その可動機構の動作態様によるものでも良い(例えば、動きの激しさに強弱を設けられる動作態様において、その激しさを強くするものでも良い)。
一方、例えば、下可動板8512が第3タイミングで動作する場合には、本実施形態では、第3図柄表示装81に「何かある」や、「最後まで分からない」等の文字を表示することにより、遊技者に若干の期待を持たせる報知をするようにMPU221により制御される。なお、報知の手法は第3図柄表示装置81における表示に限るものでは無い。例えば、音声出力装置226(図4参照)から発せられる音声によるものでも良いし(例えば、その機種のイメージソングのショートバージョンの音声や、ごくありふれた中間イメージの音声等を発しても良いし)、ランプ表示装置227から発せられる光によるものでも良いし(例えば、青、緑、赤と色が変わるほど期待度が高くなる設定において、緑色の発光を生じさせる等でも良いし)、第3図柄表示装置81付近に可動機構が配置され、その可動機構の動作態様によるものでも良い(例えば、動きの激しさに強弱を設けられる動作態様において、その激しさを中位程度とするものでも良い)。
なお、下可動板8512の他の動作タイミング(図示しない第4タイミング)では、第2タイミングにおいて下可動板8512が退避状態となるタイミングと第3タイミングにおいて下可動板8512が退避状態となるタイミングとの間に、下可動板8512が退避状態となる。
この場合、球P92が、V入賞装置800の開放中の中間タイミングに入球することで球P92がV入賞スイッチ8315dを通過する可能性がある。一方、下可動板8512が第2タイミングで動作する場合には、開状態のV入賞装置800の開閉板の上側に球P92が配置され、いつV入賞口800aに入球するか分からない場合であっても、V入賞装置800が閉状態に切り替わることに伴う開閉板の動作により強制的にV入賞口800aに球P92を入球させることができるので、V入賞装置800の動作タイミングを利用できる分、球P92がV入賞スイッチ8315dを通過する状況を形成し易くすることができる。
そのため、上述した報知の別例(又は追加する例)として、下可動板8512が第2タイミングで動作する場合を、上可動板8511が退避状態の時に下可動板8512が退避状態となる動作タイミングの内、最も大当たり期待度が大きい場合として設定し、それに相当する報知を行っても良い。
例えば、下可動板8512が第2タイミングで動作する場合の別例としては、本実施形態では、第3図柄表示装81に「大当たり確定!?」や、「おめでとう」等の文字を表示することにより、遊技者に大当たりの期待を最大限に持たせる報知をするようにMPU221により制御される。なお、報知の手法は第3図柄表示装置81における表示に限るものでは無い。例えば、音声出力装置226(図4参照)から発せられる音声によるものでも良いし(例えば、その機種の確定音の音声等を発しても良いし)、ランプ表示装置227から発せられる光によるものでも良いし(例えば、青、緑、赤と色が変わるほど期待度が高くなり、虹色は大当たり確定である設定において、虹色の発光を生じさせる等でも良いし)、第3図柄表示装置81付近に可動機構が配置され、その可動機構の動作態様によるものでも良い(例えば、動きの激しさに強弱を設けられる動作態様において、その激しさを最強とするものでも良い)。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施形態において、一の実施形態における構成の一部または全部を、他の実施形態における構成の一部または全部の構成と組み合わせて或いは置き換えて、別の実施形態としても良い。
上記第1実施形態では、スライド移動部材321に凸設部321a1が凸設され、それが第1溝311の内側へ張り出す場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、スライド移動部材321にS字の経路を構成する一対の壁部が配設され、スライド移動部材321が移動することにより、第1溝311の内部に球が流下するS字経路ができあがる態様で構成しても良い。この場合、一対の壁部により、球が流れる経路自体を長くすることができるので、凸設部321a1が摩耗により減速効果を低下させるのに比較して、長期にわたって減速効果をもち続けることができる。また、スライド移動部材321が、凸設部321a1が形成される領域と、S字の経路が構成される領域とが連設する態様で構成されても良い。
上記第1実施形態では、第1溝311の内側へ張り出す凸設部321a1が、球の運動エネルギーにより移動する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものでは無い。例えば、常時一定動作の駆動モータの駆動力により凸設部321a1が移動し、第1溝311の内側へ張り出す状態(減速の度合いが大となる状態)と、第1溝311から退避する状態(減速の度合いが小となる状態)とが切り替えられても良い(一定動作の減速装置として機能しても良い)。この場合、第1溝311を流下する球の減速度合いを駆動モータの駆動パターンに因って変化させることができる。
また、上述した一定動作の減速装置を、例えば、第5実施形態における検出後流路5313に配設しても良い。この場合、検出口312dを通過した球が検出後流路5313を通過するのに要する期間を、減速装置の状態に因って変化させることができるので、停止装置3340が変化状態で維持される期間にバリエーションを持たせることができる。詳述すると、減速装置が検出後流路5313から退避する状態の時(検出後流路5313のみの状態と同一)に検出口312dを通過した球が検出後流路5313を通過するのに要する期間に比較して、減速装置が検出後流路5313の内側に張り出す状態の時に検出口312dを通過した球が検出後流路5313を通過するのに要する期間を長くすることができる。従って、球P51が第1入賞口64に入球するタイミングに因って、検出口312dを球P51が通過する時の減速装置の状態が変化し、球P51が検出後流路5313を通過する期間が変化することから、球P51が第1入賞口64に入球するタイミングの違いにより、停止装置3340が変化状態で維持される期間を複数パターン設定することができる。
上記第1実施形態では、減速装置320の凸設部321a1が上方へ向けて張り出す場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、凸設部321a1が下方へ向けて第1溝311の内部へ張り出す態様や凸設部311a1が正面側へ向けて第1溝311の内部へ張り出す態様で構成しても良い。この場合、スライド移動部材321が球の重みで第1溝311の外方へ移動することを防止することができる。
上記第1実施形態では、初期状態の振り分け装置340に球P1,P2が連なって入球した場合においても、球P1,P2を振り分け可能に構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、球が振り分け装置340に到達する前に、連なった球の間隔を確実に空ける間隔負荷手段を配置したうえで、球が振り分け装置340に入球してしばらくしてから振り分け装置340の状態が変化する態様で構成しても良い。この場合、振り分け装置340の状態変化のタイミングを厳しく管理する必要がないので、振り分け装置340を緩めに支持することができ、状態変化に必要な負荷を低減することができる。
上記第1実施形態では、振り分け装置340の部分であって球が衝突する部分が円弧形状(円弧壁部343)から構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、円弧壁部343に対応する部分の平面板状の部分から構成しても良い。この場合、振り分け装置340が初期状態へ復帰する途中で球が振り分け装置340に入球すると、その球から与えられる負荷により振り分け装置340が回転され、変化状態に戻される。これにより、振り分け装置340が変化状態に維持される期間を延長させることができる。
上記第1実施形態では、振り分け装置340を重心の変化によって復帰動作させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、移動方向によって付勢力が変化する(1の方向にのみ移動抵抗がかけられる)製品や、オリフィスを利用して方向毎に移動抵抗を変化させるシリンダ製品などを利用して振り分け装置340を復帰動作させても良い。この場合、市販の製品を利用することにより、メンテナンス性を向上させることができる。また、振り分け装置340の回転軸の回転抵抗を、正回転では小さく、逆回転では大きい態様で構成することにより、振り分け装置340に一定の付勢力を与えることで、振り分け装置340の復帰動作に時間遅れを生じさせることができる。
上記第1実施形態では、扇状部材410から流入口435へ流入した球は遅延流路436を案内される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、流入口435の下方に別の床面が構成することにより(球が転動可能な床を2段で構成することにより)、扇状部材410から流入口435へ流入した球が再度その床面を転動して第1入賞口64に入球する態様で構成しても良い。この場合、球が床面を転動する期間を延長することができるので、球の動きに遊技者が注目して、球の打ち出しを停止する期間を延長することができる。そのため、その間に保留していた入賞分の変動を消化することができ、オーバーフローの発生を抑制することができる。
上記第1実施形態では、扇状部材410が回転軸を左右方向に沿わせた状態で傾倒する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、回転軸を前後方向に沿わせた状態で傾倒するようにしても良い。この場合、扇状部材410の円弧部分の傾斜に沿って第1入賞口64へ向けて球を落下させることができる(左右方向の位置を補正することができる)。
上記第1実施形態では、扇状部材410が球の重さで動作する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、扇状部材410が一定の繰り返しの動作態様で電動動作する構成としても良い。この場合、一対の扇状部材410の動作の組み合わせを複数種類構成することができる。例えば、正面側の扇状部材410が起き上がった姿勢とされると共に奥側の扇状部材410が寝そべった姿勢とされる状態と、正面側の扇状部材410が起き上がった姿勢とされると共に奥側の扇状部材410が起き上がった姿勢とされる状態と、正面側の扇状部材410が寝そべった姿勢とされると共に奥側の扇状部材410が寝そべった姿勢とされる状態と、正面側の扇状部材410が寝そべった姿勢とされると共に奥側の扇状部材410が起き上がった姿勢とされる状態と、を構成可能となり、一対の扇状部材410の状態の組み合わせを増加させることができる。
上記第1実施形態では、一対の扇状部材410が同一形状から構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、手前側の扇状部材410に比較して、奥側の扇状部材が左右方向の幅が長くされる形状から構成されても良い。この場合、扇状部材410の左右方向中心位置から離間した位置であって奥側の扇状部材の上の位置に配置された球に対しても、扇状部材の傾斜に伴う作用(押し戻しの作用)を生じさせることができる。
上記第1実施形態では、遅延流路436の出口が、第1入賞口64に対して左右方向に位置ずれする場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、左右一対の流入口435の下方の遅延流路436が左右中央で合流し、その出口が第1入賞口64の真上に配設されても良い。この場合、遅延流路436の出口から遊技領域に排出された球が第1入賞口64に入球する割合を向上させることができる。
上記第1実施形態では、振り分け装置340の初期状態と変化状態とを、振り分け装置340がとる姿勢の内の1姿勢として説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、初期状態を、振り分け装置340に到達した球を第1壁部341で受け止める姿勢とすると共に、変化状態を、振り分け装置340に到達した球を第3溝313に送球する姿勢とするといった、振り分け装置340の機能により状態を規定しても良い。上記第1実施形態において、振り分け装置340の初期状態でのみ球を第1壁部341で受け止め可能であり、初期状態と変化状態との間で振り分け装置340に到達した球は専ら第3溝313に送球される態様(寸法関係)で構成されることから、初期状態と変化状態との規定を機能により行ったとしても、姿勢の内の1姿勢として行ったとしても、振り分け装置340を変化状態から初期状態に復帰するのに要する時間を同じとすることができる。これは、上記各実施形態における、振り分け装置2340、停止装置3340においても同様である。
上記第1実施形態では、第1特別図柄の保留球数が3個または4個の時に選択されやすい変動期間が3秒間である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第1特別図柄の保留球数が3個の時に選択されやすい変動期間が5秒間に、第1特別図柄の保留球数が4個の時に選択されやすい変動期間が3秒間に、それぞれ設定されても良い。この場合、第1特別図柄の保留球数が3個の時の変動表示が継続中に第1入賞口64に入球した球が、その継続中の変動表示が終了する前に検出口312dを通過することが生じ得る(保留球数が4個になる)。一方で、その後に続く球同士の入球間隔が3秒以上あり、保留球数が4個の時の変動表示が3秒間であるので、その後に第1入賞口64に入球する球が検出口312dを通過する前に、継続中の変動を終了させ記憶領域に空きを作ることができる。
上記第1実施形態では、遅延床デバイス400上を転動し面取り部411aから落下する球の後から遅延床デバイス400に入球した球が、面取り部411aからの球の落下により扇状部材410が動作することにより、一時的に押し戻される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、扇状部材410が球の落下に関係無く駆動され、その動作中の一状態において、後から遅延デバイス400に入球した球が一時的に停留される態様としても良い。この場合、遅延デバイス400に入球する全ての球に対して、遅延デバイス400上で一時的に停留する可能性を付与することができる。
上記第1実施形態では、第1入賞口64に遅延デバイス300が連結される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第2入賞口640に遅延デバイス300が連結されても良い。
上記第1実施形態では、球P1が検出口312dを通過してから球P2が検出口312dを通過するまでの期間の方が、球P2が検出口312dを通過してから球P3が検出口312dを通過するまでの期間よりも長く設定されることにより、球P1が検出口312dを通過した後で、第1図柄の変動表示が終了するまでに球P2が検出口312dを通過する可能性を低くすることができる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、球P1が検出口312dを通過してから球P2が検出口312dを通過するまでの期間と、球P2が検出口312dを通過してから球P3が検出口312dを通過するまでの期間とが略同等の長さに設定されても良い。この場合、第1図柄の保留表示が略同等の期間を置いて生じるので、遊技者に安心感を与えることができる。
また、例えば、球P1が検出口312dを通過してから球P2が検出口312dを通過するまでの期間よりも球P2が検出口312dを通過してから球P3が検出口312dを通過するまでの期間の方が長くなるように設定されても良い。この場合、球P2が早い段階で検出口312dを通過することになるので、現在継続中の変動が終了する時の保留球数を多くし易くすることができ、続く変動表示の継続期間を短縮化し易くすることができるので、その後の入球により第1入賞口64でオーバーフローが生じる可能性を低減することができる。
上記第1実施形態では、第1入賞口64の保留球数が4個の場合に選択されやすい変動期間が3秒間に設定され、保留球数が1個の場合に選択されやすい変動期間について言及しない場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第1入賞口64の保留球数が、1個の場合に選択されやすい変動期間が10秒間、2個の場合に選択されやすい変動期間が6秒間、3個または4個の場合に選択されやすい変動期間が3秒間に設定されても良い。
この場合、第1入賞口64の保留球数が3個の場合に第1入賞口64に球を入球させるように球を発射する場合(保留球数が3個の場合の変動表示が実行されてから第1入賞口64に球を入球させる場合)、球P1が検出口312dを通過する前に、保留球数が3個の場合の変動表示が終了し、保留球数が2個の場合の変動表示が開始される。
保留球数が2個の場合の変動表示が実行される間(6秒間、即ち、入球から9秒未満の間)には、球P3が検出口312dを通過することは無い。従って、現在の変動が終了してから球P3が検出口312dを通過するようにすることができるので、現在の変動が終了することで確保される3つの記憶領域に球P1〜P3が検出口312dを通過することにより取得されるデータを格納することができる。
このように、保留球数が3個または4個の場合に選択されやすい変動期間が3秒間であるという条件のもとで、保留球数が2個の場合の変動期間を、7.5秒未満(球P1が第1入賞口64に入球すると同時に保留球数が3個の場合の変動表示(3秒間)が開始されたとしても、球P3が検出口312dを通過する(10.5秒後)前に変動が終了する変動期間)とすることで、第1入賞口64に球が3球連続で入球したとしても、第1入賞口64でオーバーフローが生じることを防止することができる。
また、第1入賞口64の保留球数が2個の場合に第1入賞口64に入球させるように球を発射する場合(保留球数が2個の場合の変動表示が実行されてから第1入賞口64に球を入球させる場合)、球P1が検出口312dを通過した後であって、球P2が検出口312dを通過する前に、保留球数が2個の場合の変動表示が終了し、再度、保留球数が2個(球P1の入球により保留球数が増加した後)の場合の変動表示が開始される。その後で、球P2,P3が検出口312dを通過するようにすることができるので、残りの2つの記憶領域に球P2,P3が検出口312dを通過することにより取得されるデータを格納することができる。
また、第1入賞口64の保留球数が1個の場合に第1入賞口64に球を入球させるように球を発射する場合、球P1〜P3が第1入賞口64を通過することにより取得されるデータを格納する領域が十分に空いているので、何ら問題無く、球P1〜P3が検出口312dを通過することにより取得されるデータを格納することができる。
なお、上記各実施形態は、第1入賞口64の保留球数が3個以下の状態で第1入賞口64に球が入球する場合に第1入賞口64でオーバーフローが生じることを抑制することについて説明するものであり、第1入賞口64の保留球数が4個(最大)の状態で第1入賞口64に入球させた際にまでオーバーフローの抑制効果を生じさせるものでは無い。
上記第3実施形態では、停止装置3340が磁力により姿勢が維持される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第1壁部341の下面から係止部材が張り出し、その張り出し先端が中心孔345側に折曲されると共に、維持装置3360の本体棒3361の先端が下方へ折曲される構成とされ、それら折曲された部分同士が互いに引っ掛けられることで停止装置3340の姿勢を維持しても良い。この場合、停止装置3340にかけられる負荷の大小に寄らず、停止装置3340を変化状態に維持することができる。
上記第4実施形態では、第2溝4312が上下方向に延設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第2溝4312がスプロケット4340の直前(上流側における直前)で前後方向に沿って傾斜する態様としても良い。この場合、スプロケット4340の上方に滞留する球の数が多くなったとしても、スプロケットに球からかけられる負荷を低減することができ、スプロケット4340の回転不良が生じるなどの不具合を抑制することができる。
上記第5実施形態では、普通図柄(第2図柄)の抽選が、遊技状態によらず、約1/1で当たりとなる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、通常中は普通図柄(第2図柄)の抽選が約1/10となり、確変中は普通図柄(第2図柄)の抽選が約1/1となっても良い。
上記第5実施形態では、第1入賞口64に複数の球P51〜P55が入球した場合に、後追いの球P52〜P53が第2検出口5314cを通過するタイミングで第3図柄表示装置81に第1特別図柄の保留表示を行う場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第1入賞口64に入球した後であって第2検出口5314cを通過する前の球(通過待ちの球)がある時に、第3図柄表示装置81に表示される第1特別図柄の保留表示領域に空きが生じた場合(継続中の変動が終了した場合)、通過待ちの球が第2検出口5314cを通過する前であっても、予め、第3図柄表示装置81に表示される第1特別図柄の保留表示の空き領域を埋める態様で保留表示を行うようにしても良い。
この場合、通過待ちの球があるにも関わらず、それと関係無しに第1特別図柄の保留表示に空きが生じ、それを視認した遊技者が第1入賞口64へ向けて新たに球を打ち出した後に、通過待ちの球が第2検出口5314cを通過することで保留表示の空き領域が埋まり、結局、新たに打ち出した球が第1入賞口64に入球しても第1特別図柄の変動表示が実行されないという不利益を遊技者に与えることを防止することができる。
上記第5実施形態では、停留装置5500を通過した球が、その直後に第2検出口5314cを通過する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、停留装置5500を通過した球が、第2検出口5314cを通過する前に、クルーン等の、球の流下を不均一にできる部材を通過するようにしても良い。この場合、球が停留装置5500を通過してから第2検出口5314cを通過するまでの間の期間をばらつかせることができ、球が第2検出口5314cを通過するタイミングのランダムさを担保することができる。また、クルーン等の部材は、停留装置5500の上流側に配置されても良い。
上記第5実施形態では、停止装置3340の変化状態からの解除を先頭で入球した球の作用で行う場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、停止装置3340の変化状態からの解除を後追いの球で行っても良い。これにより、後追いの球が第1入賞口64に入球するまで、停止装置3340を変化状態に維持することができる。
上記第5実施形態では、連続通過溝5314が右方に延設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、連続通過溝5314を背面側へ延設するようにしても良い。この場合、遊技盤13の背面側のスペースを有効活用することができる。
上記第5実施形態では、停留装置5500の上流側に上限排出孔5314a1が配設され、停留装置5500へ向けた球の流下頻度が過大となった場合には、球が上限排出孔5314a1から排出されることにより、球詰まり(例えば、第1入賞口64まで球が滞留すること)を防止できる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、停留装置5500の上流側の流路内部に部分的に張り出す態様で、球を各角度位置に配置可能なスプロケットが配設され、一定速度で回転駆動されても良い。この場合、スプロケットが満タンになるまでは、停留装置5500へ向けて流下する球を各角度位置に収容可能とすることができるので、球詰まりを防止することができる。なお、スプロケットの回転軸は何ら限定されるものでは無い。例えば、前後方向に沿って延設される軸を中心に回転しても良いし、上下方向に沿って延設される軸を中心に回転しても良い。
上記第6実施形態では、独立駆動の一対の駆動ソレノイド6521,6522により一対の可動板部6510を動作させ、停留部6314bを流下する球の流下態様が期間毎に変化する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、停留部6314bを流下する球の流下態様が常時一定となる態様で一対の可動板部6510を動作させても良い。この場合、球の流下態様を把握することを容易にすることができる。
上記第6実施形態では、連鎖開放期間T6aが30秒間で設定される一方で上閉鎖期間T6bがその1/5の6秒間で設定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、連鎖開放期間T6aが6秒間で設定される一方で、上閉鎖期間T6bがその5倍の30秒間で設定されても良い。この場合、上可動板6511の上面に球が停留する期間を長くすることができるので、停留個数を多くし易くなり、球を第3検出口5314eに通過させることが容易となるので、第1入賞口64へ向けて球を発射させる遊技状態において電動役物640aが頻繁に開放する遊技性を実現することができる。
上記第6実施形態の変形例では、停留部6314b2が球を2個収容可能な大きさとされる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、3個や、4個収容可能な大きさとされても良い。また、球の収容の仕方も、縦に詰むことに限定されるものでは無い。例えば、停留部が横長の領域とされ球が横に並ぶ態様や、漏斗に類似の形状とされることにより下に行くほど球の配置スペースが絞られる態様とされても良い。
上記第6実施形態の変形例では、上限排出孔5314a1が配設されることにより上可動板6511の上側に停留される球の個数が1個に制限される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、上限排出孔5314a1の形成を省略しても良い。この場合、上可動板6511の上側に停留される球の個数の上限を取っ払うことができる。
上記第5実施形態、第6実施形態および第6実施形態の変形例では、第1入賞口64の下流で分岐した流路の内の一方の流路に停留装置5500,6500,6500bが配置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第1入賞口64の下流における分岐点(第2溝5312と連続通過溝5314,6314との連結点)の上流側に停留装置5500,6500,6500bが配置されても良い。この場合、第1入賞口64に入球した球が停留装置5500,6500,6500bに停留され、その停留された球をガラスユニット16越しに遊技者が視認可能となるので、第1入賞口64の上流側で遊技球が跳ね回り、第1入賞口64に球が入賞したか否かを一目で判断できない場合であっても、停留装置5500,6500,6500bに停留された球があるか否かを確認することにより、第1入賞口64に球が入球したことを把握することができる。なお、この場合において、停留装置5500,6500,6500bの下流側に分岐流路が形成される必要は無い。即ち、第1入賞口64から図示しない球排出路まで一本道で形成される流路の途中に停留装置5500,6500,6500bが配設されても良い。
上記第7実施形態では、停止装置3340が流下する球の作用により初期状態へ復帰する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、変化状態になってから球が一定時間停止装置3340に当接しなかったら初期状態へ復帰開始するようにしても良い。この場合、一定時間間隔で停止装置3340に球が当接し続ければ、延々と球を連続通過溝7314へ入球させ続けることができる。また、停止装置3340が変化状態となってから一定時間で復帰開始するようにしても良い。
上記第7実施形態では、第1入賞口64から検出口312dまでの長さに比較して、第1入賞口64から第2検出口5314cまでの長さが長い場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第1入賞口64から検出口312dまでの長さと、第1入賞口64から第2検出口5314cまでの長さとが同じに設定される一方で、検出口312dまで球が流下する際の流下抵抗に比較して、第2検出口5314cまで球が流下する際の流下抵抗の方が大きくなるように流路を設計しても良い。この場合、流路の配設スペースを抑制しながら、球の通過順序の規定を行うことができる。
上記第8実施形態では、当接部3363から球に与えられる負荷の方向が、本体部材8310が形成される平面に沿った方向となる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、当接部3363の下面が背面側へ向けて上昇傾斜する態様で構成されても良い。この場合、当接部3363から球に与えられる負荷が、本体部材8310が形成される平面に沿った方向成分と、背面側へ向く方向成分とを備えるようにすることができる。
この場合、当接部3363から球に与えられる負荷の大小により、本体部材8310が形成される平面に沿った方向に継続して球が流下し易いか、背面側へ向けて球が流下し易いかを切り替えることが可能となる。
例えば、停止装置3340が変化状態となり磁石部3346,3362の吸着力により当接部3363の移動抵抗が高まっている時に当接部3363と球とが当接する場合、磁石部3346,3362の吸着を引きはがすのに多大なエネルギーを消費することになり、球が急激に減速するので、傾斜流路8313の延設方向の速度が極めて小さくなり、球は、当接する当接部3363の傾斜に沿って背面側へ流れ、連通開口8313aから第2溝8315bを流下する。
一方、例えば、停止装置3340が変化状態から回転することで、磁石部3346,3362の吸着力が微弱となり、当接部3363の移動抵抗が弱まっている時に当接部3363と球とが当接する場合、当接部3363からの負荷により球に与えられる減速作用は小さくなるので、球は当接部3363を押しのけながら傾斜流路8313の延設方向に沿って流下する。従って、球は、下底開口8313bに到達し、第1溝8315aを流下開始する。
従って、球P81,P82がV入賞口800aを連なって通過した場合、先頭の球P81が第2溝8315bを流下する一方、後追いの球P82が第1溝8315a(V入賞スイッチ8315dが配設される溝)を流下するようにすることができる。これにより、停留装置8500の動作態様に関わらず、V入賞口800aを通過する球が1個である場合には球がV入賞スイッチ8315dを通過することを防止することができる。
上記第8実施形態では、V入賞装置800が開放される期間が1.8秒とされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、V入賞装置800が開放される期間が0.5秒の場合と、1.0秒の場合と、1.8秒の場合とが生じ得るようにしても良い。この場合、V入賞装置800の開放期間の長短により複数の球がV入賞口800aを通過し易いか否かを切り替えることができ、V入賞口800aを球が通過する態様により注目させることができる。
この場合において、球が複数個V入賞口800aを通過することでV入賞スイッチ8315dを球が通過可能か否かにより、V入賞装置800の開放期間の長短を設定するように制御しても良い。例えば、複数個の球がV入賞口800aを通過することでV入賞スイッチ8315dを球が通過可能である場合に、80%の確率でV入賞装置800の開放期間が0.5秒間となるように制御することで、複数個の球がV入賞口800aを通過すればV入賞スイッチ8315dを球が通過する状況を作りながら、複数個の球がV入賞口800aを通過する現象自体の発生頻度を減少させることができる。これにより、球がV入賞スイッチ8315dを通過しそうで、実際は通過しないという遊技性を作ることができる。
上記第8実施形態では、V入賞装置800に複数個の球が入球しなかった場合には、それらの球がV入賞スイッチ8315dを通過するのか否かを遊技者が把握し難い場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、併設溝8315の延設方向に複数のLEDを点在させ、それらのLEDを順に発光させることにより、V入賞口800aに球が入球した場合に流下する球の配置を示すように制御し、発光するLEDを視認させることにより、V入賞口800aに球が入球した場合の、流下する球の配置を把握できる態様としても良い。この場合、例えば、V入賞口800aに複数個の球が入球しない場合であっても、複数個の球がV入賞口800aに入球していたらどのように流下するかをLEDの発光により報知することができ、V入賞スイッチ8315dを球が通過したか否かについて報知することができるので、遊技者の興趣(複数個の球をV入賞口800aに入球させる事に対する意欲)を向上させることができる。
上記第8実施形態では、傾斜流路8313を流下する全ての球が維持装置3360の当接部3363に当接し、停止装置3340を変化状態から初期状態へ復帰させられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、V入賞スイッチ8315dの下流側に当接部3363を配置し、V入賞スイッチ8315dを球が通過した場合にのみ停止装置3340を変化状態から初期状態へ復帰させるものとしても良い。この場合、本体部材8310を流下した全ての球がV入賞スイッチ8315dを逸れて、排出スイッチ8315eのみを通過した後は、停止装置3340が変化状態に維持される。従って、本体部材8310へ球が1個しか入球しなくても、球を分岐遅延溝8314へ流すことができる。これにより、例えば、V入賞装置800の開閉パターンが、分岐遅延溝8314を流下した球がV入賞スイッチ8315dを通過可能となるように停留装置8500が動作する場合にV入賞装置800の開放時間を短くする(2球が入ることは稀な長さに)制御を行ったとしても、停止装置3340が変化状態を維持する間は、V入賞口800aを通過する球が1個であってもその球を分岐遅延溝8314へ流すことができるので、その球がV入賞スイッチ8315dを通過する状況を作ることができる。即ち、V入賞スイッチ8315dを球が通過せずに終わったV入賞装置800の開放動作後において、再度V入賞装置800が開放した時にV入賞口800aに入球させた球がV入賞スイッチ8315dを通過する可能性を高くすることができる。
上記第8実施形態では、大当たり遊技において第1可変入賞装置8065のみが開閉動作する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、大当たり遊技において、第1可変入賞装置8065に加えて、V入賞装置800が開閉動作する態様としても良い。この場合、第1可変入賞装置8065及びV入賞装置800は、同時に開放されることは無く、大当たり遊技における大当たりラウンド数は、第1可変入賞装置8065及びV入賞装置800の開放動作(一定の開閉動作)の合計数と合致するように設定される。この場合において、大当たり種別により駆動装置8520が異なった動作を行い、大当たり遊技中に球がV入賞スイッチ8315dを通過することを契機として、その大当たり遊技終了後に遊技状態を高確率状態とする態様で設定されても良い。なお、この高確率状態は、次の大当たり遊技の開始まで継続しても良いし、所定回数の第1図柄の変動(例えば、100回の変動)が終了するまで継続しても良い。一方、大当たり遊技中に球がV入賞スイッチ8315dを通過しない場合には、その大当たり遊技終了後に遊技状態を時短状態としても良い。
本発明を上記各実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施してもよい。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施してもよい。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
以下に、本発明の遊技機に加えて上述した実施形態に含まれる各種発明の概念を示す。
<2球目以降を、別ルートへ回して遅延させてオーバーフローを抑制する>
遊技球が入球することにより抽選の機会が付与される第1状態と、その第1状態において遊技球が入球することにより切り替えられる状態であって遊技球が入球しても抽選の機会が付与されない第2状態と、を構成可能とされる検出入球口を備え、前記第2状態に切り替えられた後、所定の復帰期間が経過することにより前記第1状態に復帰する遊技機において、複数の遊技球を入球させた場合に、その複数の遊技球の内の1の遊技球である第1遊技球が入球してから前記検出入球口に送球するまでの期間に比較して、他の遊技球である第2遊技球が入球してから前記検出入球口に送球するまでの期間を遅延させる遅延手段を備え、その遅延手段により遅れる期間が、前記復帰期間以上とされることを特徴とする遊技機A1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、遊技球が入球する入球口と、その入球口に遊技球が入球したことに基づいて情報を取得して、その情報に基づいて表示手段に動的表示する遊技機がある(例えば、特開2011−156058号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、入球口に遊技球が入球したことに基づいて取得される情報を所定数(例えば4個)まで記憶可能とされ、それ以上は記憶が不可能な構成とされるが、入球口に短い間隔で複数の遊技球が連続して入球すると、記憶可能な数の上限に達してしまい(第2状態となり)、所謂オーバーフローが生じる恐れがあるという問題点があった。そのため、遊技者が自己判断で、連続して打ち出す球の球数を減らしたり、常に情報を記憶している数を確認しながら遊技したりする必要があり、遊技者に負担がかかっていた。
これに対し、遊技機A1によれば、遅延手段により、第1遊技球が検出入球口に入球してから第2遊技球が検出入球口に入球するまでの期間が復帰期間より長くされ、第2遊技球が第2状態の検出入球口に入球することが防止されるので、第1遊技球が検出入球口に入球することで検出入球口が第2状態となった場合でも、第2遊技球が検出入球口に入球するまでに記憶可能な数に空きを形成することが可能となり、オーバーフローが生じることを抑制することができる。
なお、遅延手段により遅延される期間は、少なくとも、液晶装置などの動的表示手段により行われる1の動的表示態様の期間よりも長くされ、情報記憶手段の記憶数が上限値の場合における最長の動的表示態様の期間よりも長くされることが望ましい。
遅延手段の構成は、特に限定されるものでは無く、様々な態様が考えられる。例えば、可動部材により遊技球の流下する経路を振り分ける態様でも良いし、流路の形状と球の衝突との関係により遊技球の流下する経路を振り分ける態様でも良い。
遊技機A1において、前記遅延手段は、前記遊技球を複数の経路に振り分けると共に前記遊技球が通過することにより第1姿勢から第2姿勢へ向けて姿勢変化する振り分け手段と、その振り分け手段を前記第2姿勢から前記第1姿勢へ向けて姿勢変化させる付勢力を発生させる付勢手段と、前記振り分け手段が第1姿勢の時に前記振り分け手段を通過した前記第1遊技球を案内し前記検出入球口へ送球する第1案内流路と、前記振り分け手段が前記第2姿勢から第1姿勢に戻る直前までの間に前記振り分け手段を通過した前記第2遊技球を案内し前記検出入球口へ送球する第2案内流路と、を備え、その第2案内流路を前記第2遊技球が通過する期間が、前記第1案内流路を前記第1遊技球が通過する期間に比較して長くされ、前記遅延期間が、それら期間の差として構成されることを特徴とする遊技機A2。
遊技機A2によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、遅延手段が、振り分け手段と、その振り分け手段により遊技球が振り分けられる第1案内流路と、第2案内流路と、振り分け手段の姿勢を復帰させる付勢手段と、を備え、先に振り分け手段を通過し第1案内流路を案内される第1遊技球が検出入球口に到達するまでの期間に比較して、その後で振り分け手段が付勢手段により第1姿勢に戻る直前までに振り分け手段を通過し第2案内流路を案内される第2遊技球が検出入球口に到達するまでの期間を長くすることができ、遅延期間がそれら期間の差として構成されるので、遊技球が釘に衝突する場合のようにランダムに遊技球の流下経路が決定される場合に比較して、遊技球が流下する期間を確実に長くすることができ、遊技球が検出入球口に到達するタイミングを確実にずらすことができる。
また、振り分け手段は付勢手段により姿勢が復帰するので、振り分け手段に遊技球が間隔を空けて到達する場合(後から来た遊技球を遅延させる必要が無い場合)にまで、遊技球が振り分け手段により第2案内流路振り分けられることを防止することができる。
遊技機A2において、前記振り分け手段は、前記第1姿勢とされる場合において前記遊技球に対して流下方向で対面する第1壁部と、その前記第1壁部と当接される遊技球を挟んだ位置に配設される第2壁部とを備え、その第2壁部が、前記遊技球から流下方向に沿った負荷を受けることにより、前記振り分け手段の前記第2姿勢から前記第1姿勢へ向けた方向への姿勢変化が抑制されることを特徴とする遊技機A3。
遊技機A3によれば、遊技機A2の奏する効果に加え、振り分け手段と衝突する遊技球を第1壁部と挟む位置に配設される第2壁部が、遊技球から流下方向に沿った負荷を受けることにより、振り分け手段が第2姿勢から第1姿勢へ向けた方向へ姿勢変化することが抑制されるので、先に振り分け手段を通過した遊技球が、後から振り分け手段を通過する遊技球の作用により、流下が妨げられて、流下が遅れることを抑制することができる。
遊技機A2又はA3において、前記振り分け手段は、連なって流下する遊技球を分割すると共に1球のみを前記第1案内流路へ案内する分割手段を備えると共に、前記遊技球の重みにより姿勢変化する構成とされ、前記振り分け手段が姿勢変化することにより前記分割手段が機能することを特徴とする遊技機A4。
遊技機A4によれば、遊技機A2又はA3の奏する効果に加え、振り分け手段の分割手段により、連なって流下する球を分割し、第1案内流路に複数の球が案内されることを、駆動源の追加無しで防止することができる。
なお、分割手段としては、流路内方へ向けて張り出すことにより遊技球を第2案内流路へ向けて押し出す手段や、流路内方へ向けて張り出すことにより連なった遊技球同士の間に差し込まれ遊技球同士を切り離す手段等が例示される。
遊技機A4において、前記振り分け手段は、前記第1姿勢とされる場合に前記遊技球に対して流下方向で対面する第1壁部と、その前記第1壁部と当接される遊技球を挟んだ位置に配設される第2壁部とを備え、前記振り分け手段が前記第1姿勢から前記第2姿勢へ姿勢変化する際に前記第2壁部が移動方向で前記第2遊技球に衝突することによりその遊技球を前記第2案内流路へ導入する態様で構成されることを特徴とする遊技機A5。
遊技機A5によれば、遊技機A4の奏する効果に加え、振り分け手段が姿勢変化中にその移動方向で第2遊技球と衝突する場合に、振り分け手段と第1案内流路との間で遊技球が挟まって振り分け手段が動作不良を起こすことを防止することができる。
ここで、例えば、振り分け手段が電動で動作する場合、振り分け手段が遊技球の位置によらず動作を行うので、遊技球が第2案内流路の入り口とは外れた位置であると共に振り分け手段と第1案内流路の側壁との間である位置に配置された状態で、振り分け手段と第1案内流路の側壁との間の距離が狭まる方向に振り分け手段が動作すると、振り分け手段と第1案内流路との間に遊技球が挟まり振り分け手段が動作不良を起こす恐れがある。
これに対し、遊技機A5によれば、振り分け装置の動作が電動ではなく、遊技球の重みで生じるので、遊技球の配置に起因して振り分け手段が動作不良を起こす状態において振り分け手段が動作しないように位置関係や形状関係を予め設計することができる。これにより、振り分け手段の動作不良を防止することができる。
遊技機A5において、複数の遊技球が前記振り分け手段に到達し、一方の遊技球が前記第1壁部に当接することにより、他方の遊技球が前記第2壁部の移動方向で当接する位置まで前記振り分け手段が姿勢変化された連結球導入状態において、前記一方の遊技球と、前記第2案内流路の前記第1案内流路からの入口を形成する側面であって前記第1案内流路の下流側の側面との端面同士間の距離であって、前記第1案内流路の延設方向に沿った距離が遊技球の半径以下とされることを特徴とする遊技機A6。
遊技機A6によれば、遊技機A5の奏する効果に加え、連結球導入状態において、他方の遊技球が一方の遊技球に連なって振り分け手段まで到達した場合、他方の遊技球の中心が第2案内流路を延長した場合の第2案内流路の内側の領域に配置されるので、遊技球を第2案内流路の側面に沿って押し込むことができ、遊技球を第2案内流路に導入することができる。
遊技機A4からA6において、前記振り分け手段は、前記復帰期間よりも長い期間をかけて前記第2姿勢から前記第1姿勢まで復帰動作することを特徴とする遊技機A7。
遊技機A7によれば、遊技機A4からA6の奏する効果に加え、入球検出口が第2状態の期間中に第2遊技球が検出入球口に入球されることを確実に防止することができる。
なお、表示装置の動的表示態様が、検出入球口の記憶数が多いほど短期間のものが選択され易い態様とされる場合において、所定の動的表示態様の長さは、少なくとも検出入球口の記憶数が上限値である場合の最短の動的表示態様の長さ以上とされることが望ましい。
<ステージを球の重さで動作可能とすることによりオーバーフロー抑制>
遊技球が入球することにより抽選の機会が付与される第1状態と、その第1状態において遊技球が入球することにより切り替えられる状態であって遊技球が入球しても抽選の機会が付与されない第2状態と、を構成可能とされる検出入球口を備え、前記第2状態に切り替えられた後、所定の復帰期間が経過することにより前記第1状態に復帰する遊技機において、遊技球が前記検出入球口へ入球し易い下降開始位置である最適落下部を有すると共に、遊技球が前記最適落下部を通過する態様で上面を転動可能に構成される転動手段を備え、その転動手段は、前記最適落下部から遊技球を前記復帰期間以上の間隔を空けて下降開始させる態様で動作することを特徴とする遊技機B1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、遊技球が検出入球口へ入球し易い下降開始部分として配設される最適落下部を有し、上面に配置された遊技球が最適落下部を通過する態様で転動可能に構成される転動手段(所謂「ステージ」)を備える遊技機がある(例えば、特開2011−156058号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、先に転動手段に乗った第1遊技球が転動手段から下降する前に、転動手段に第2遊技球が乗り、それら第1遊技球と第2遊技球とが最適落下部から短期間の間に下降する場合があり、その場合、検出入球口でオーバーフローが生じる恐れがあるという問題点があった。
これは、遊技球が釘に衝突しながら流下する状態と異なり、遊技球が最適落下部を通り過ぎる態様で左右方向に往復動作する(遊技球が特定の経路を往復動作する)場合において遊技球同士が頻繁に衝突し易くなる転動手段上に特有の課題である。
これに対し、遊技機B1によれば、転動手段が、最適落下部から間隔を空けて遊技球を1球ずつ下降開始させる態様で動作するので、短期間の間に検出入球口に遊技球がまとめて入球することを抑制することができる。従って、転動手段に複数個の遊技球が乗った場合でも、検出入球口でオーバーフローが生じることを抑制することができる。
遊技機B1において、前記転動手段へ遊技球を導入する導入流路を備え、前記転動手段は、前記導入流路から遊技球が導入されると共に前記最適落下部へ遊技球を案内する第1床部材を備え、その第1床部材は、転動する遊技球の重さにより動作可能に形成され、その動作により後から到達する遊技球の前記第1床部材へ向けた速度を低減する態様で動作することを特徴とする遊技機B2。
遊技機B2によれば、遊技機B1の奏する効果に加え、転動手段の第1床部材に遊技球が乗った場合に、遊技球の重さで第1床部材が動作することで、遊技球の第1床部材へ向けた速度を低減することができるので、第1床部材に乗った遊技球と第1床部材へ向けた遊技球との間隔を広げることができる。これにより、検出入球口でオーバーフローが生じることを抑制することができる。
なお、遊技球の第1床部材へ向けた速度を低減する場合としては、例えば、遊技球の第1床部材へ向けた速さを落とす(制動する)場合や、遊技球を停止させる場合や、遊技球を第1床部材へ向けた方向とは逆方向へ移動させる(逆走させる)場合などが例示される。
また、遊技球の第1床部材へ向けた速度を低減する方法としては、例えば、第1床部材を第1床部材から遠ざかる方向に下降傾斜する姿勢とする方法や、第1床部材の上面に減速突起を張り出させる方法や、第1床部材上の遊技球に磁力が作用可能な位置に磁石を張り出させる方法等が例示される。
遊技機B2において、前記最適落下部が前記第1床部材に配設されると共に、前記第1床部材が、前記最適落下部から遊技球を落下させる際に動作する態様で構成され、前記転動手段は、前記最適落下部から遊技球が落下する前後において前記第1床部材の近傍に載置されると共に、所定期間の内に前記最適落下部へ向かう他の遊技球の、前記最適落下部への到達を防止する防止手段を備えることを特徴とする遊技機B3。
遊技機B3によれば、遊技機B2の奏する効果に加え、最適落下部から遊技球が落下する際に第1床部材が動作する態様で構成され、転動手段が、最適落下部から遊技球が落下する前後において第1床部材に載置され、所定期間の内に最適落下部へ向かう他の遊技球を防止手段により防止するので、複数の遊技球が連なって最適落下部へ導入された場合でも、最適落下部から最先の遊技球が落下した後、他の遊技球が最適落下部から連続して落下することを抑制することができる。これにより、検出入球口でオーバーフローが生じることを抑制することができる。
遊技機B3において、前記防止手段が、遊技球を防止可能な防止状態と、遊技球を防止不能な通過状態と、を構成可能とされ、前記最適落下部から遊技球が落下した直後の前記最適落下部の状態として、前記検出入球口に遊技球を入球させ易い態様で遊技球が落下した好適落下状態と、その好適落下状態に比較して前記検出入球口に遊技球を入球させ難い態様で遊技球が落下した普通落下状態と、が構成され、前記好適落下状態とされた場合に前記防止手段が防止状態とされると共に、前記普通落下状態とされた場合に前記防止手段が通過状態とされることを特徴とする遊技機B4。
遊技機B4によれば、遊技機B3の奏する効果に加え、最適落下部が好適落下状態とされる場合には防止手段が防止状態とされると共に、最適落下部が普通落下状態とされる場合には防止手段が通過状態とされるので、最適落下部から落下する遊技球が検出入球口に入球しない場合にまで遊技球を防止することを抑制し、検出入球口に遊技球が入球するタイミングが無意味に遅れることを抑制することができる。
遊技機B3又はB4において、前記防止手段に防止された遊技球を前記最適落下部から遠ざかる方向へ送球する送球手段を備えることを特徴とする遊技機B5。
遊技機B5によれば、遊技機B3又はB4の奏する効果に加え、送球手段により防止手段に防止された遊技球を最適落下部から遠ざかる方向へ送球することにより、遊技球の動きを激しくすると共に、その遊技球が最適落下部に再度到達するまでの期間を稼ぐことができるので、遊技者の興趣の向上を図りながら、検出入球口でオーバーフローが生じることを抑制することができる。
遊技機B2からB5のいずれかにおいて、前記第1床部材に遊技球を導入する中間床部材を備え、その中間床部材が動作可能とされ、その動作により前記第1床部材から遠ざかる方向に下降傾斜する状態に前記中間床部材が状態変化することを特徴とする遊技機B6。
遊技機B6によれば、遊技機B2からB5のいずれかの奏する効果に加え、中間床部材が、第1床部材から遠ざかる方向に下降傾斜するので、中間床部材に到達する遊技球に対して、第1床部材から離反する方向に重力加速度を生じさせることができる。従って、第1床部材上に配置される遊技球と、中間床部材にこれから到達する遊技球との離間幅が縮まることを抑制することができる。
遊技機B6において、前記中間床部材が前記第1床部材の両側に一対で配置され、前記中間床部材の姿勢変化が前記一対の中間床部材で交互に生じることを特徴とする遊技機B7。
遊技機B7によれば、遊技機B6の奏する効果に加え、中間床部材が第1床部材の両側に一対で配置され、中間床部材の姿勢変化が一対の中間床部材で交互に生じるので、一対の中間床部材の両方に遊技球が向かう場合に、それらの遊技球が減速されるタイミングをずらすことができ、それらの遊技球が第1床部材に到達するタイミングをずらすことができる。従って、遊技球が最適落下部付近で渋滞することを抑制することができる。
遊技機B2からB7のいずれかにおいて、前記転動手段において、左右方向の往復動作が収束し終え前記最適落下部に到達した遊技球と、前記導入流路を通過して前記第1床部材へ向けて流下する遊技球との衝突を防止する態様で構成されることを特徴とする遊技機B8。
遊技機B8によれば、遊技機B2からB7のいずれかの奏する効果に加え、転動手段において、左右方向の往復動作が収束し終え最適落下部に到達した遊技球と、導入流路を通過して前記第1床部材へ向けて流下する遊技球との衝突を防止する態様で構成されるので、最適落下部から落下する直前の遊技球が他の遊技球に衝突されて検出入球口から離反する方向に落下することや、衝突した遊技球同士が連なって検出入球口を通過することを防止することができる。
<2球目以降を減速させ入賞タイミングをずらすことでオーバーフロー抑制>
遊技球が入球することにより抽選の機会が付与される第1状態と、その第1状態において遊技球が入球することにより切り替えられる状態であって遊技球が入球しても抽選の機会が付与されない第2状態と、を構成可能とされる検出入球口を備え、前記第2状態に切り替えられた後、所定の復帰期間が経過することにより前記第1状態に復帰する遊技機において、複数の遊技球が入球した場合に、その複数の遊技球の内の最先に入球した第1遊技球の流下速度に比較して、その後で入球した第2遊技球の流下速度を減速させる減速手段を備え、その減速手段から送球された遊技球が前記検出入球口に入球する態様で構成され、前記第2遊技球が前記減速手段に入球してから前記検出入球口に入球するまでにかかる期間の方が、前記第1遊技球が前記減速手段に入球してから前記検出入球口に入球するまでにかかる期間よりも、前記復帰期間の長さ以上に長くなる態様で構成されることを特徴とする遊技機C1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、遊技球が入球する入球口と、その入球口に遊技球が入球したことに基づいて情報を取得して、その情報に基づいて表示手段に動的表示する遊技機がある(例えば、特開2011−156058号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、入球口に遊技球が入球したことに基づいて取得される情報を所定数(例えば4個)まで記憶可能とされ、それ以上は記憶が不可能な構成とされるが、入球口に短い間隔で複数の遊技球が連続して入球すると、記憶可能な数の上限に達してしまい、所謂オーバーフローが生じる恐れがあるという問題点があった。そのため、遊技者が自己判断で、連続して打ち出す球の球数を減らしたり、常に情報を記憶している数を確認しながら遊技したりする必要があり、遊技者に負担がかかっていた。
これに対し、遊技機C1によれば、複数の遊技球が減速手段に入球した場合に、減速手段が複数の遊技球の内の最先に入球した第1遊技球の流下速度に比較して、その後で入球した第2遊技球を減速させ、第1遊技球が検出入球口に入球してから復帰期間が経過するまでの間、検出入球口に第2遊技球が入球することが防止されるので、オーバーフローが生じることを抑制することができる。
なお、第2遊技球が減速手段に入球してから検出入球口に入球されるまでの期間が、第1遊技球が減速手段に入球してから検出入球口に入球されるまでの期間に比較して、少なくとも、動的表示手段により行われる1の動的表示態様の期間(復帰期間)の長さ以上に長くされ、特に、検出入球口が第2状態とされる場合における最長の動的表示態様の期間よりも長くされることが望ましい。
また、遊技球の減速とは、検出入球口へ向けた経路に沿った速度成分を減少させることを意味し、例えば、検出入球口から離反する方向へ遊技球が流れる(負の速度を有する)場合や、検出入球口へ向けた方向と直角な方向に往復する(ジグザグ移動する)場合や、送球を一時的に防止する防止手段を減速手段が有し、その防止手段による送球の防止が解除されるまでは、防止手段の手前で遊技球が往復動作する場合や、遊技球が一時的に停止する場合などを含む。
なお、遊技球を減速させる手段としては、遊技球の流下方向に対面して当接する当接部材を流路内に張り出させる方法や、流下する遊技球に磁力を作用させる方法や、遊技球が通過する通路にスプロケットを配置して遊技球にスプロケットを回転させる方法などが例示される。
遊技機C1において、前記減速手段が、遊技球に対して、流下方向の反対方向の負荷を断続的に与えることにより遊技球を減速させることを特徴とする遊技機C2。
遊技機C2によれば、遊技機C1の奏する効果に加え、減速手段が遊技球に対して流下方向の反対方向の負荷を断続的に与えることで遊技球の回転数を減少させ、その結果として遊技球を減速させるので、遊技球を効果的に減速させることができる。
なお、壁面との摩擦で減速させる場合、減速効率を向上させるためには接触面積を増加させる必要があるが、遊技球のように対象が球だと、接触面積を十分に増加させることが困難である。これに対し、負荷を流下方向の反対方向へ向けて断続的に与える態様では、減速の効率が対象の形状に寄らないので、遊技球を効果的に減速させることができる。
遊技機C2において、前記減速手段は、入球した遊技球を案内する減速流路と、その減速流路に対して相対移動可能に配設されると共に遊技球に負荷を付与可能に構成される作用部を有する移動手段と、を備え、その移動手段は、第1状態と、その第1状態から前記減速流路に対して相対移動した後の状態である第2状態とを構成可能とされ、前記作用部は、前記第2状態において前記減速流路を流下する遊技球に負荷を与える態様で構成され、前記移動手段は、前記第1遊技球が前記減速流路を通過することにより前記第1状態から前記第2状態へ状態変化し、その第2状態において、前記作用部が前記第2遊技球に対して負荷を与えることを特徴とする遊技機C3。
遊技機C3によれば、遊技機C2の奏する効果に加え、作用部を有する移動手段が第1状態と第2状態とを構成可能とされ、移動手段は減速流路を通過する第1遊技球の作用により第2状態へ状態変化され、その第2状態において第2遊技球が作用部から負荷を与えられるので、別途で駆動装置を用意することなく第2遊技球を減速させることができ、第1遊技球と第2遊技球との間隔を離すことができる。
なお、作用部としては、減速流路の延設方向と垂直な方向に延設されると共に減速流路内に張り出すリブ部や、遊技球に磁力を作用させる磁石部などが例示される。作用部がリブ部の場合には、遊技球が通過可能な程度の張出幅として遊技球の速度を徐々に減少させる態様や、遊技球が通過不能に張り出して遊技球を停止させる態様などが例示される。
遊技機C3において、前記移動手段は、前記作用部が、所定期間内に前記減速手段に入球する球数が多くなるほど、前記第2遊技球の減速度合いを増大させる態様で構成されることを特徴とする遊技機C4。
遊技機C4によれば、遊技機C3の奏する効果に加え、所定期間内に減速手段へ入球する球数が多くなるほど、作用部が第2遊技球の減速度合いを増大させるので、例えば、所定期間内に減速流路を流れる球数が3個となった場合に、2個目の遊技球に比較して3個目の遊技球をより減速させることができるので、2個目の遊技球と3個目の遊技球との間隔を広げることができる。これにより、2個目の遊技球が検出入球口に入球し、検出入球口が第2状態となった場合であっても、3個目の遊技球が入球するまでの間に1の動的表示が実行される期間(復帰期間)を稼ぐことができ、3個目の遊技球が検出手段を通過することによりオーバーフローが生じることを抑制することができる。
なお、作用部が第2遊技球の減速度合いを増大させる態様としては、例えば、第2遊技球に作用する負荷が増加する態様や、第2遊技球に負荷が作用する長さ(期間)が拡大されることにより第2遊技球にかけられる仕事量が増加する態様などが例示される。
遊技機C1からC4のいずれかにおいて、前記減速手段は、遊技球が流下する流路に対して相対移動可能に構成される小形化手段を備え、その小形化手段は、前記第1遊技球の通過により、前記第2遊技球が通過する前に流路の内周形状を狭める方向に移動することを特徴とする遊技機C5。
遊技機C5によれば、遊技機C1からC4のいずれかの奏する効果に加え、小形化手段が、第1遊技球の通過により、第2遊技球が通過する前に流路の内周形状を狭める方向に移動するので、第2遊技球が通過する際の流路の抵抗を増加させることができる。これにより、第2遊技球を減速させることができる。
なお、流路の内周形状を狭める位置を、流路が方向転換する位置(遊技球がそれまで流下していた方向の速度成分が無くなる位置)と合わせることにより、遊技球がそれまで流下していた方向に沿って停止するタイミングで大きな抵抗をかけることができ、遊技球が勢いで通過してしまうことを抑制すると共に、遊技球を減速する作用を大きくすることができる。
遊技機C1からC5のいずれかにおいて、前記減速手段によって前記第2遊技球に生じる減速効果を、状態変化により解除する解除手段を備え、その解除手段の状態変化は、前記減速手段を通過した遊技球が所定位置を通過することにより行われることを特徴とする遊技機C6。
遊技機C6によれば、遊技機C1からC5のいずれかの奏する効果に加え、減速効果を解除する解除手段を備え、その解除手段による解除が、減速手段を通過した遊技球が所定位置を通過することにより行われるので、解除手段を状態変化させるための他の駆動手段を不要とすることができる。
遊技機C6において、前記解除手段による解除が、前記検出入球口を通過した後の遊技球により行われることを特徴とする遊技機C7。
遊技機C7によれば、遊技機C6の奏する効果に加え、解除手段による解除が、検出入球口を通過した後の遊技球により行われるので、解除手段による解除のタイミングを管理することを容易とすることができる。
遊技機C1からC7のいずれかにおいて、前記減速手段は、初期状態と、その初期状態とは異なる変化状態とで状態が変化する態様で構成され、前記初期状態において、前記減速手段を遊技球が通過することにより前記変化状態へ変化し、その変化状態において、所定期間、前記減速手段を遊技球が通過しないことにより前記初期状態へ変化する態様で構成され、遊技球が前記減速手段を通過する期間は、前記初期状態において前記減速手段を通過する期間に比較して、前記変化状態において前記減速手段を通過する期間の方が長く設定されることを特徴とする遊技機C8。
遊技機C8によれば、遊技機C1からC7のいずれかの奏する効果に加え、減速手段が初期状態の時に減速手段を通過する遊技球の通過期間を短くすると共に、その後、減速手段を通過する遊技球の間隔が所定期間よりも長くならない限りにおいて、減速手段を常に変化状態に維持することができ、遊技球が減速手段を通過する期間を長く保つことができる。
遊技機C8において、前記減速手段が前記変化状態とされる間に、遊技球が前記所定間隔よりも短い間隔で前記減速手段へ入球した場合に、その入球した遊技球の個数によらず、前記減速手段は前記所定間隔よりも長い一定の間隔で遊技球を送球することを特徴とする遊技機C9。
遊技機C9によれば、遊技機C8の奏する効果に加え、減速手段が変化状態の場合に、減速手段に遊技球が複数個入球した場合であっても、その入球個数によらず一定間隔で遊技球を送球することができるので、入球個数によらず検出入球口でオーバーフローが生じることを防止することができる。
なお、減速手段としては、周面の凹部に遊技球を収容可能に構成されるスプロケット形状の装置が例示される。
<連続入球の後追いの球を遅延させる大概念。合流、分岐、両方含む>
遊技球が流下可能に形成される遊技領域と、その遊技領域を流下した遊技球の少なくとも一部の遊技球の通過を検出可能な検出手段と、前記遊技領域と前記検出手段とを遊技球が流下可能に結ぶ連結流路と、その連結流路において遊技球が流下する流路を切り替え可能に構成される切替手段と、を備え、前記連結流路は、少なくとも一つの流路を備え、前記連結流路が構成する前記流路のどの流路を流下するかにより、前記連結流路を遊技球が流下するのに要する期間が変化することを特徴とする遊技機D0。
パチンコ機等の遊技機において、始動入賞口へ誘導される複数の誘導路を備え、一の誘導路に遊技球を貯留可能な貯留装置が配設され、その貯留装置に遊技球が貯留されている場合に到達した遊技球が他の誘導路に案内された後に始動入賞口へ向けて誘導され、貯留装置に貯留されている遊技球は遊技者の任意の操作により貯留が解除され、始動入賞口へ向けて誘導される遊技機がある(例えば特開2014−176547号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、貯留装置に貯留される遊技球の排出タイミングが遊技者の操作に因るので、例えば、一の誘導路に複数の遊技球が誘導された場合のように、他の誘導路に遊技球が誘導される場合に、そのことに気付かず貯留操作の貯留を解除してしまい、始動入賞口へ向けて複数の遊技球が連なって排出されるおそれがあるという問題点があった。この場合、複数の遊技球の流下態様を遊技者は目で追う必要が生じるので、遊技球の流下を慌ただしく感じさせることになり、遊技者が困惑するおそれがある。
これに対し、遊技機D0によれば、連結流路において遊技球が流下する流路を切り替え可能であって、遊技球は連結流路が構成するどの流路を流下するかにより連結流路を流下するのに要する期間が変化するので、遊技球が連結流路から連なって排出されるおそれを小さくすることができる。
遊技機D0において、前記検出手段は、前記連結流路を流下する少なくとも一部の遊技球の通過を検出すると共に、遊技球の通過を検出することに伴い遊技者に所定の利益を与えるものであって、少なくとも一つ備えられ、前記連結流路は、前記検出手段の内の一つに連結される第1流路と、その第1流路とは少なくとも一部が異なると共に前記検出手段の内の一つに連結される第2流路と、を備え、その第2流路は、前記第1流路を通って前記遊技領域から前記検出手段まで遊技球が流下するのに要する期間に比較して、前記遊技領域から前記検出手段まで遊技球が流下するのに長い期間を要する流路として構成されることを特徴とする遊技機D1。
遊技機D1によれば、遊技機D0の奏する効果に加え、遊技領域から連結流路へ複数の遊技球が連なって入球した場合であっても、第1流路を流下して検出手段を通過した遊技球と、第2流路を流下して検出手段を通過した遊技球とで、検出手段への入球タイミングに差を設けることができる。即ち、複数の遊技球が連なって連結流路に入球した場合であっても、その入球した遊技球が検出手段を通過するタイミングをずらすことができる。
なお、期間を長くする態様は何ら限定されるものでは無い。例えば、第2流路の方が第1流路に比較して流下抵抗が大きい態様から形成されるようにしても良いし(速度による差)、第2流路の方が、第1流路に比較して遊技球の流下方向に沿って長尺に形成されるようにしても良い(距離による差)。
遊技機D1において、前記切替手段は、遊技球が前記第1流路を流下することに起因して、その後、遊技球が前記第2流路を流下する変化状態に切り替えられ、その変化状態に維持される期間が前記第2流路を流下する遊技球に因らず規定されることを特徴とする遊技機D2。
遊技機D2によれば、遊技機D1の奏する効果に加え、交互振り分けの振分部材を使用する場合と異なり、切替手段が変化状態に維持される期間を、第2流路を流下する遊技球とは独立して規定することにより、この期間に第2流路へ連続で遊技球を入球させることができる。これにより、例えば、第2流路への入球が第1流路への入球に比べて遊技者に与えられる利益を大きく設定する場合に、第2流路へ遊技球が連続入球することにより遊技者の興趣を高めることができる。
遊技機D2において、前記切替手段は、前記第1流路を通過した遊技球により前記変化状態の維持が解除されることを特徴とする遊技機D3。
遊技機D3によれば、遊技機D2の奏する効果に加え、切替手段の変化状態の維持が、第1流路を通過した遊技球により解除されることから、第1流路を通過した遊技球の流下態様を一定とすることで、切替手段を変化状態に維持する期間を一定とすることができる。これにより、遊技球を第2流路に入球させようと狙いを定める遊技を行い易くすることができる。
また、一方で、第1流路を通過した遊技球の流下態様を変化可能とすることで、切替手段を変化状態に維持する期間を変化させることができる。これにより、遊技球を第2流路に入球させられる期間が、常時同じになることを防止することができるので、遊技者が遊技に飽きることを防止することができる。
遊技機D1からD3のいずれかにおいて、前記検出手段は、前記第1流路に連結される第1検出口と、前記第2流路に連結される第2検出口と、を備えることを特徴とする遊技機D4。
遊技機D4によれば、遊技機D1からD3のいずれかの奏する効果に加え、第1検出口に比較して、第2検出口の方が、遊技者が得られる利益が大きくなるように設定することで、連続入球が生じた際の遊技者の興趣を高めることができる。例えば、第1検出口を通過した遊技球により第1特別図柄の抽選機会を獲得可能とする一方で、第2検出口を通過した遊技球により第2特別図柄の抽選機会を獲得可能とするようにしても良い。
この場合、第2特別図柄の大当たりの振り分けの方が、第1特別図柄の大当たりの振り分けに比較して遊技者に与えられる利益が高くなるように設定することができ、連続入球に対する遊技者の興趣を向上させることができる。
更に、第1検出口を通過した場合に払い出される賞球(例えば、1個)に比較して、第2検出口を通過した場合に払い出される賞球を多く(例えば、4個)設定することにより、特別図柄の大当たりとならなくとも、連続入球により遊技者に与えられる利益を大きくすることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
本発明は、換言すれば、最終的に第1検出口を通過することが確定している遊技球により、第2検出口への入球を可能にするものを含む。これにより、例えば、第1検出口を通過する遊技球以外の遊技球により第2検出口への連続入球を可能とする場合(例えば、第2検出口が第2特別図柄の獲得を可能とする始動口であって、遊技領域の左部に、普通図柄の検出口が配置される場合)に比較して、第1検出口を通過する遊技球に対する注目力を向上させることができる。
なお、第2流路に連結される第2検出口は、第2流路に入球した遊技球の全てが通過する検出口として配置されても良いし、第2流路に入球した遊技球の一部が通過する検出口として配置されても良い。この場合、連結流路への遊技球の入球頻度に起因して、第2流路に入球した遊技球の内のいくつが第2検出口を通過するかを規定しても良い。また、連結流路への遊技球の入球頻度が同じでも、第2検出口を通過する遊技球の個数を変化可能な可動装置を連結流路に配設するようにしても良い。
また、検出手段へ向けて複数個の遊技球が連続で流下しても、第1検出口を通過した遊技球により切替手段の変化状態の維持が解除される場合には、それまでの間は、遊技球を、第2流路に連結される第2検出口へ向けて流下させることができる。
これにより、第1検出口および第2検出口が同じ特別図柄の変動の抽選を獲得可能な始動口である場合には、変動終了後に第2検出口を遊技球が通過する状況を作り易くすることができる。
遊技機D4において、前記連結流路は、前記切替手段の上流側に遊技球が通過可能な通過口を備え、前記通過口を通過した遊技球は、前記切替手段まで誘導され、前記通過口を通過し、前記切替手段まで誘導された遊技球の内、前記第1流路から逸れた遊技球を前記第2流路へ入球可能とすることを特徴とする遊技機D5。
遊技機D5によれば、遊技機D4の奏する効果に加え、連結流路の通過口を通過した遊技球は切替手段まで誘導されることから、通過口を狙って遊技球を発射し続けることで、切替手段の状態変化と、遊技球の第1流路および第2流路への打ち分けとを実行することができる。これにより、遊技球の発射強度の調整を容易とすることができる。
遊技機D4又はD5において、第2検出口は、第1検出口を通過する遊技球により獲得可能な抽選とは異なる種類の抽選を獲得可能な検出口であることを特徴とする遊技機D6。
遊技機D6によれば、遊技機D4又はD5の奏する効果に加え、第2検出口を遊技球が通過する前に、少なくとも1個の遊技球が第1検出口を通過するので、その第1検出口の抽選に係る報知を目印として、第2検出口に遊技球が通過したことを見落とすことを防止することができる。
なお、第1検出口および第2検出口を遊技球が通過することにより獲得可能な抽選の種類の組み合わせは、何ら限定されるものでは無い。例えば、第1特別図柄と第2特別図柄とで異ならせても良いし、第1特別図柄と普通図柄とで異ならせても良い。
遊技機D6において、第2検出口は、第1検出口を通過する遊技球により獲得可能な抽選以上に有利な抽選を獲得可能な検出口であることを特徴とする遊技機D7。
遊技機D7によれば、遊技機D6の奏する効果に加え、連結流路に複数の遊技球が同時に入球した場合であっても、第1検出口を遊技球が通過した後で、第2検出口を遊技球が通過するものとすることができるので、有利な抽選の変動表示が開始されるまでの待ち時間を強制的に作ることができる。
遊技機D6において、前記第2検出口は、遊技球が前記第1検出口を通過することに起因して開始される変動以上に有利な変動を遊技球の通過に起因して開始させる有利検出口に、遊技球が入球し易い状態を形成するための変動を開始可能な検出口であることを特徴とする遊技機D8。
遊技機D8によれば、遊技機D6の奏する効果に加え、連結流路へ入球する遊技球の作用により、連結流路とは異なる位置の可動装置の開閉を行うことができ、それにより、遊技者に与えられる利益が大きくなる遊技状態を形成できる。この場合、遊技者に与えられる利益が大きくなる遊技状態では、開状態の可動装置へ向けて遊技球を発射することを促す報知がされるので、それに従って遊技を行うことにより、第1検出口を遊技球が通過したことに起因して開始される変動が進行する時間を自然と経過させることができる。
<第2流路に一定駆動の停留装置を置く概念>
遊技球が流下可能に形成される遊技領域と、その遊技領域を流下した遊技球の少なくとも一部の遊技球の通過を検出可能な検出手段と、前記遊技領域と前記検出手段とを遊技球が流下可能に結ぶ連結流路と、その連結流路において遊技球が流下する流路を切り替え可能に構成される切替手段と、を備え、前記連結流路の内部を、遊技球が流下することを規制する第1状態と、遊技球が流下することを許容する第2状態とで状態変化させる2個の可動部材と、その可動部材を駆動する駆動手段と、を備え、前記検出手段は、前記連結流路を流下する少なくとも一部の遊技球の通過を検出すると共に、遊技球の通過を検出することに伴い遊技者に所定の利益を与えるものであって、少なくとも一つ備えられ、前記2個の可動部材は、間に少なくとも1個の遊技球を収容可能な間隔で配設されることを特徴とする遊技機E1。
パチンコ機等の遊技機において、始動入賞口へ誘導される複数の誘導路を備え、一の誘導路に遊技球を貯留可能な貯留装置が配設され、その貯留装置に遊技球が貯留されている場合に到達した遊技球が他の誘導路に案内された後に始動入賞口へ向けて誘導され、貯留装置に貯留されている遊技球は遊技者の任意の操作により貯留が解除され、始動入賞口へ向けて誘導される遊技機がある(例えば特開2014−176547号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、貯留装置に貯留される遊技球の排出タイミングが遊技者の操作に因るので、例えば、他の誘導路に遊技球が誘導されている途中に、そのことに気付かず貯留装置の貯留を解除してしまい、始動入賞口へ向けて複数の遊技球が同時に排出されるおそれがあるという問題点があった。
この場合、複数の遊技球の流下態様を遊技者は目で追う必要が生じるので、遊技球の流下を慌ただしく感じさせることになり、遊技者が困惑するおそれがある。また、始動入賞口の、変動の保留球数の上限が0である場合は、複数の遊技球が始動入賞口に入球した場合であっても、一部の遊技球の入球による抽選の機会しか得られないことになり、遊技者に不利益を与える可能性がある。
これに対し、遊技機E1によれば、駆動手段により駆動されると共に連結流路を流下する遊技球の流下を許容または規制する2個の可動部材が、遊技球を間に少なくとも1個収容可能な間隔で配設されるので、少なくともどちらかの可動部材が第1状態を維持する間は遊技球を連結流路で停留させることができることから、2個の可動部材の駆動態様により、連結流路から遊技球が排出されるタイミングに間隔を設けることができる。
遊技機E1において、前記2個の可動部材は、第1可動部材と、その第1可動部材に比較して前記連結流路の下流側に配置される第2可動部材と、を備え、その第2可動部材は、前記第2状態において前記第1可動部材を通過した遊技球が、少なくとも前記第2可動部材に到達する時に前記第1状態を形成可能に駆動されることを特徴とする遊技機E2。
遊技機E2によれば、遊技機E1の奏する効果に加え、第1可動部材および第2可動部材が遊技球の流下方向に沿って配設され、第1可動部材を通過した遊技球が、少なくとも第2可動部材に到達する時に第1状態に形成可能に駆動されるので、遊技球の素通り(停留されずに通過すること)を防止することができる。従って、例えば、連結流路を流下する遊技球の配置を検出し、遊技球が可動部材に到達する直前において可動部材を第1状態に変化させる等の複雑な制御を不要とすることができる。
遊技機E2において、前記連結流路に入球する遊技球が、前記第1可動部材に流下を規制されるか、又は前記第2可動部材に流下を規制された後に、それぞれ規定される所定の上限個数を越えて入球した場合に遊技球が通過可能に形成される上限通過手段を備えることを特徴とする遊技機E3。
遊技機E3によれば、遊技機E2の奏する効果に加え、上限通過手段に遊技球を通過させるために連結流路に入球させる必要がある遊技球の個数が、2個の可動部材の状態により規定されるので、上限通過手段へ遊技球を通過させるために第2流路に入球させる必要がある遊技球の個数を場合により変化させることができる。
また、上限個数よりも多くの遊技球が連結流路に入球した場合には、遊技球は上限通過手段を通過して別流路へ排出されるので、過度に多くの遊技球が連結流路に入球した場合に、球詰まりが生じることを防止することができる。
なお、第2可動部材を起点として遊技球が貯まる場合(第2可動部材に流下を規制される場合)の方が、第1可動部材を起点として遊技球が貯まる場合(第1可動部材に流下を規制される場合)に比較して、第1可動部材および第2可動部材の間に収容可能な個数分だけ上限個数が多くなる。
また、第1可動部材および第2可動部材の双方が第2状態とされる場合には、遊技球が貯まらないので、上限個数は規定されない(無限大となる)。
遊技機E3において、前記検出手段は、前記上限通過手段を経て流下した遊技球が通過可能に配設される上限通過口を備え、その上限通過口は、遊技球の通過に起因して遊技球が検出手段を通過することに起因して開始される変動以上に有利な変動を遊技球の通過に起因して開始させる有利検出口に、遊技球が入球し易い状態を形成するための変動を開始可能な検出口として構成されることを特徴とする遊技機E4。
遊技機E4によれば、遊技機E3の奏する効果に加え、遊技球が上限通過口を通過することにより、有利検出口へ遊技球を通過可能な状態が形成されるので、連結流路に多くの遊技球を連続して入球させるための動機付けを行うことができる。
また、連結流路に多くの遊技球を入球させるという、遊技者の意思により実行するかしないかを変えられる事項により連結流路に入球した遊技球により開始される変動の種類を切り替えることができる。そのため、連結流路に遊技球が入球する順番によって遊技球が通過する検出口が切り替えられ、開始される変動の種類が切り替えられる場合に比較して、連結流路に遊技球を入球させることにより開始される変動種類の決定に絡む遊技者の意思の割合を大きくすることができる。
遊技機E4において、前記可動部材の状態に応じて、前記連結流路に所定個数の遊技球を入球させることにより前記上限通過口を遊技球が通過可能となる個数である動的上限個数を設定可能とされることを特徴とする遊技機E5。
遊技機E5によれば、遊技機E4の奏する効果に加え、動的上限個数を可動部材の状態(動作速度も含む)に応じて設定可能とされるので、遊技中における可動部材の状態が異なることにより、連結流路に入球させる何個目の遊技球が上限通過口を通過するかを変化させることができる。これにより、連結流路へ入球した遊技球に対する注目力を向上させることができる。
遊技機E1からE5のいずれかにおいて、前記駆動手段の駆動態様は、前記2個の可動部材に遊技球が貯留可能な第1貯留状態と、その第1貯留状態よりも遊技球が貯留され難い第2貯留状態とを切替可能とされることを特徴とする遊技機E6。
遊技機E6によれば、遊技機E1からE5のいずれかの奏する効果に加え、第2流路へ送球した遊技球の個数が同じ場合であっても、前記駆動手段の駆動態様が第1貯留状態なのか第2貯留状態なのかにより、遊技球が2個の可動部材により貯留し易い状態と、貯留し難い状態とを形成することができる。
これにより、遊技球が貯留し易い状態で遊技する場合と、貯留し難い状態で遊技する場合とで、同じように連結流路へ遊技球を入球させたとしても遊技者が得られる利益が変化するので、得られる利益の変化を表示装置にて表示することにより、遊技者に、いずれの状態で遊技を行うかを選択させることができる。
なお、第1貯留状態には、2個の可動部材に到達する全ての球を貯留させる状態が含まれ、第2貯留状態には、2個の可動部材に到達する全ての球を貯留せず通過させる状態が含まれる。
<1種2種V(又はV確)。複数入球でV(初めは、蓋が可能な流路のイメージ)>
遊技球が流下可能に形成される遊技領域と、その遊技領域を流下した遊技球の少なくとも一部の遊技球の通過を検出可能な検出手段と、前記遊技領域と前記検出手段とを遊技球が流下可能に結ぶ連結流路と、その連結流路において遊技球が流下する流路を切り替え可能に構成される切替手段と、を備え、前記検出手段は、前記連結流路を流下する少なくとも一部の遊技球の通過を検出すると共に、遊技球の通過を検出することに伴い遊技者に所定の利益を与えるものであって、少なくとも一つ備えられ、前記切替手段は、所定期間の内に前記連結流路に入球した複数の遊技球の内、最先に入球した遊技球である最先遊技球よりも、その後で入球した後続遊技球の方が、前記検出手段を通過し易くする態様で前記連結流路を切り替えることを特徴とする遊技機F1。
パチンコ機等の遊技機において、スルーゲートを通過した遊技球が始動入賞口へ誘導される誘導路を備え、その誘導路から始動入賞口へ入賞する割合を定期的に変更可能な遊技機がある(例えば特開2001−70526号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、誘導路から始動入賞口へ入賞する割合は遊技球の入球態様によって変化せず、遊技球が単発で誘導路に入球しようが、複数の遊技球がまとまって誘導路に入球しようが、遊技者に与えられる利益に大きな変化は無い。そのため、誘導路に入球する遊技球に対する注目力を向上させる効果が不十分であるという問題点があった。
遊技機F1によれば、所定期間内に複数の遊技球が連結流路へ入球した場合、最先に入球した最先遊技球に比較して、その後で入球した後続遊技球の方が検出手段を通過し易くなるように切替手段が作用するので、後続遊技球に対する注目力を向上することができ、複数の遊技球を連結流路にまとめて入球させることに対する意欲(モチベーション)を高めることができると共に、遊技者が単発打ちを行うことを抑制することができる。
遊技機F1において、前記切替手段は、前記連結流路へ入球した遊技球の流下により与えられる作用により機能することを特徴とする遊技機F2。
遊技機F2によれば、遊技機F1の奏する効果に加え、遊技球の流下により与えられる作用により、切替手段が機能し、後続遊技球の方が検出手段を通過し易くなるので、例えば、最先遊技球や後続遊技球の流下時間を予想して電動の可動装置を動作制御する必要が無く、動作制御の容易化を図ることができる。
なお、遊技球の作用により切替手段が機能する態様は特に限定されるものでは無く、様々な態様が例示される。例えば、遊技球が衝突する事により切替手段の姿勢が変化する態様でも良いし、遊技球の通過を検出したことに起因して切替手段が駆動される態様でも言い。
遊技機F1又はF2において、前記連結流路は、前記検出手段に連結される第1流路と、その第1流路とは少なくとも一部が異なると共に前記検出手段の内の一つに連結される第2流路と、を備え、その第2流路は、前記第1流路を通って前記遊技領域から前記検出手段まで遊技球が流下するのに要する期間に比較して、前記遊技領域から前記検出手段まで遊技球が流下するのに長い期間を要する流路として構成され、前記切替手段は、最先遊技球が前記第1流路を流下することに起因して、前記後続遊技球が前記第2流路を通過する状態に変化することを特徴とする遊技機F3。
遊技機F3によれば、遊技機F1又はF2の奏する効果に加え、連結流路を複数の遊技球がまとまって通過した場合であっても、それらが検出手段を通過し得るタイミングの間隔を空けることができるので、複数の遊技球が検出手段をほぼ同時に通過する場合のように、慌ただしく遊技球が流下することを防止することができる。これにより、検出手段を通過する遊技球を判別し易くできると共に、想定外の遊技球が検出手段を通過することを防止し易くすることができる。
遊技機F1からF3のいずれかにおいて、前記切替手段は、前記連結流路の前記検出手段の上流側に配置され、遊技球の前記検出手段への入球を規制する第1状態と、遊技球の前記検出手段への入球を許容する第2状態とで切り替え可能な排出規制手段を備え、その排出規制手段は、少なくとも、前記最先遊技球の到達時に前記第1状態とされ、前記後続遊技球の到達時に前記第2状態とされる態様で切り替え可能とされることを特徴とする遊技機F4。
遊技機F4によれば、遊技機F1からF3のいずれかの奏する効果に加え、排出規制手段の状態変化の態様により、後続遊技球のみが検出手段を通過可能とされる場合が生じ得るので、最先遊技球が検出手段を通過せずに過ぎた後も、遊技者の期待感を維持することができる。そのため、後続遊技球に対する遊技者の注目力を向上させることができる。
なお、最先遊技球と後続遊技球との間隔が強制的に空けられる態様では、最先遊技球と後続遊技球との検出手段への入球の難易度を切り替える場合の、排出規制手段の状態変化の切替タイミングを緩めにすることができる。
なお、排出規制手段により検出手段への排出が困難とされる態様としては、様々な態様が例示される。例えば、遊技球を、検出手段を除く他の排出経路へ排出しても良いし、遊技球を一時的に排出規制手段の上流側で停留させるようにしても良い。
遊技機F4において、前記連結流路へ遊技球が入球可能な第1状態と、前記連結流路へ遊技球が入球不能な第2状態とを切替可能とされる入球規制手段を備えることを特徴とする遊技機F5。
遊技機F5によれば、遊技機F4の奏する効果に加え、連結流路への入球タイミングを、入球規制手段が第1状態の時に限定することができるので、排出規制手段の状態の制御を容易とすることができる。
遊技機F5において、前記排出規制手段は、前記最先遊技球が前記検出手段を通過不能かつ前記後続遊技球が前記検出手段を通過可能な態様で状態変化する場合に、その他の場合に比較して、前記入球規制手段が前記第1状態に維持される期間が短縮されることを特徴とする遊技機F6。
遊技機F6によれば、遊技機F5の奏する効果に加え、後続遊技球が検出手段を通過可能な状況において、所定期間の内に遊技球を連結流路に入球させることを困難とすることができる。
これにより、後続遊技球であれば検出手段を通過できる状況を実際に形成しながら、それを遊技者に視覚的に認識させることができるので、遊技者に対して自力型の遊技を頻繁にアピールすることができる。
遊技機F1からF6のいずれかにおいて、前記切替手段は、連結流路を流下する遊技球を減速させる減速手段を備え、その減速手段による減速の程度を前記最先遊技球または後続遊技球で切替可能とされることを特徴とする遊技機F7。
遊技機F7によれば、遊技機F1からF6のいずれかの奏する効果に加え、減速手段により最先遊技球および後続遊技球を減速させることができると共に、その減速の程度を変化させることができるので、最先遊技球および後続遊技球が流下する流下経路の形状だけで最先遊技球および後続遊技球の配置を規定する場合に比較して、連結流路の設計自由度を向上させることができる。
遊技機F7において、前記減速手段による減速の作用は、前記最先遊技球に与えられる作用に比較して、前記後続遊技球に与えられる作用の方が小さくされることを特徴とする遊技機F8。
遊技機F8によれば、遊技機F7の奏する効果に加え、減速手段により後続遊技球に与えられる減速の程度が抑制されるので、後続遊技球の流下態様がぎこちなくなったり、途中で止まったりして、遊技者に後続遊技球の流下態様に対する違和感を与えることを防止することができる。
遊技機F1からF8のいずれかにおいて、前記切替手段は、所定期間内における前記検出手段の遊技球の通過を防止可能に形成され、その所定期間の始期は、前記後続遊技球が前記連結流路へ入球する時に関わらず設定されることを特徴とする遊技機F9。
遊技機F9によれば、遊技機F1からF8のいずれかの奏する効果に加え、後続遊技球が連結流路へ入球するタイミングに関与せず、所定期間の始期を設定することができる。
即ち、連結流路の入口に遊技球の入球の可否を切替可能な可動部材が配設される場合、その可動部材を後続遊技球が通過するタイミングに関与せず、所定期間の始期を設定することができる。
なお、所定期間の始期の設定基準は、特に限定されるものではない。例えば、最先遊技球の流下態様により設定されても良いし、連結流路の入口を開閉する可動機構の開放タイミングを基準として設定されても良い。
遊技機A1からA9,B1からB8,C1からC9,E1からE9,F1からF10のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機F1。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機A1からA9,B1からB8,C1からC9,E1からE9,F1からF10のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機F2。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示手段において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機A1からA9,B1からB8,C1からC9,E1からE9,F1からF10のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機F3。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
<その他>
パチンコ機などの遊技機において、誘導路に遊技球を貯留可能な遊技機がある(例えば、特許文献1:特開2014−176547号公報)。
しかしながら、上述した従来の遊技機では、貯留された球の排出の態様について改良の余地があるという問題点があった。本技術的思想は、上記例示した問題点などを解決するためになされたものであり、誘導路に貯留された球を良好に排出することのできる遊技機を提供することを目的とする。
<手段>
この目的を達成するために技術的思想1の遊技機は、遊技球が流下可能に形成される遊技領域と、その遊技領域を流下した遊技球の少なくとも一部の遊技球の通過を検出可能な検出手段と、前記遊技領域と前記検出手段とを遊技球が流下可能に結ぶ連結流路と、その連結流路において遊技球が流下する流路を切り替え可能に構成される切替手段と、を備え、前記連結流路の内部を、遊技球が流下することを規制する第1状態と、遊技球が流下することを許容する第2状態とで状態変化させる2個の可動部材と、その可動部材を駆動する駆動手段と、を備え、前記検出手段は、前記連結流路を流下する少なくとも一部の遊技球の通過を検出すると共に、遊技球の通過を検出することに伴い遊技者に所定の利益を与えるものであって、少なくとも一つ備えられ、前記2個の可動部材は、間に少なくとも1個の遊技球を収容可能な間隔で配設される。
技術的思想2の遊技機は、技術的思想1記載の遊技機において、前記2個の可動部材は、第1可動部材と、その第1可動部材に比較して前記連結流路の下流側に配置される第2可動部材と、を備え、その第2可動部材は、前記第2状態において前記第1可動部材を通過した遊技球が、少なくとも前記第2可動部材に到達する時に前記第1状態を形成可能に駆動される。
技術的思想3の遊技機は、技術的思想2記載の遊技機において、前記連結流路に入球する遊技球が、前記第1可動部材に流下を規制されるか、又は前記第2可動部材に流下を規制された後に、それぞれ規定される所定の上限個数を越えて入球した場合に遊技球が通過可能に形成される上限通過手段を備える。
<効果>
技術的思想1記載の遊技機によれば、連結流路に貯留された球を良好に排出することができる。
技術的思想2記載の遊技機によれば、技術的思想1記載の遊技機の奏する効果に加え、第1可動部材と第2可動部材との駆動態様により、連結流路に貯留された球を良好に排出することができる。
技術的思想3記載の遊技機によれば、技術的思想2記載の遊技機の奏する効果に加え、連結流路に貯留された球の一部が上限通過手段を通過可能とすることにより、連結流路に貯留された球を良好に排出することができる。