以下に、本発明の実施の形態に係るメンテナンス用の空気調和機用基板と本発明の実施の形態に係る空気調和機のメンテナンスシステムとを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態.
実施の形態に係る空気調和機のメンテナンスシステムは、空気調和機が有する室内機及び室外機の各々に含まれる制御基板を交換する際の技術に関連するシステムである。そのため、実施の形態に係る空気調和機のメンテナンスシステムを説明する前に、二つの制御基板が交換される前の量産仕様の空気調和機を説明する。図1は、実施の形態に係る二つの制御基板が交換される前の(量産仕様の)空気調和機1の構成を示す図である。図1に示す通り、空気調和機1は室内機2と室外機3とを有する。図1には、ユーザが空気調和機1を制御するためにユーザによって操作される遠隔操作機器60も示されている。遠隔操作機器60は、空気調和機1を制御するための制御信号を含む赤外線を室内機2に送信する。制御信号は、ユーザの操作に基づく信号である。
室内機2には、空気調和機1の機種を特定するバーコードである室内バーコード21aが付けられている。具体的には、室内機2には、室内バーコード21aを含むラベル21が貼り付けられている。ラベル21は、空気調和機1がメーカから出荷される時までに、室内機2に貼り付けられている。室内バーコード21aは、室内機2に印字されていてもよい。室内バーコード21aは、室内機2に取り付けられる銘板に付けられていてもよい。いずれにしても、室内機2には、空気調和機1の機種を特定するバーコードである室内バーコード21aが付けられている。室内バーコード21aは、室内バーコード21aが室内機2に付けられていることを示す情報も含む。
室内機2は、室内センサ22と、フラップ23と、フラップ23を駆動するモータであるステッピングモータ24と、室内ファン25と、室内ファン25を駆動するモータである室内ファンモータ26と、ステッピングモータ24及び室内ファンモータ26を制御する室内機用の制御基板27とを有する。室内センサ22の一例は、温度を検出するセンサである。
室内機用の制御基板27は、遠隔操作機器60からの赤外線を受光する赤外線受光回路41を有する。室内機用の制御基板27は、赤外線受光回路41によって受光された赤外線に含まれる制御信号を赤外線受光回路41から受信し、制御信号と、室内センサ22によって得られた情報とをもとに、ステッピングモータ24及び室内ファンモータ26の制御などを行う室内マイコン42を更に有する。赤外線受光回路41は、室内機用の制御基板27とは別基板で構成されてワイヤーハーネスにて室内機用の制御基板27と接続される場合もある。
室内機用の制御基板27は、室内機2を制御するためのデータを記憶する室内メモリ43を更に有する。室内機2を制御するためのデータは、室内機2及び室外機3を有する空気調和機1の機種に固有のデータであって、ステッピングモータ24及び室内ファンモータ26の各々を制御するための制御定数を含む。室内メモリ43の一例は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)である。室内マイコン42は、室内メモリ43に記憶されているデータをも利用してステッピングモータ24及び室内ファンモータ26を制御する。
室内機用の制御基板27は、室内機2が運転中である場合に点灯する表示装置44を更に有する。表示装置44が点灯することにより、ユーザは室内機2が運転中であることを認識することができる。室内機用の制御基板27は、室内マイコン42が赤外線受光回路41から制御信号を受信した場合に音を出力する鳴動装置45を更に有する。制御信号は、ユーザによって操作される遠隔操作機器60が室内機2に送信する赤外線に含まれる信号である。鳴動装置45が音を出力することにより、ユーザは制御信号を含む赤外線が室内機2に伝達されたことを認識することができる。室内機用の制御基板27は、室外機3と通信する室内通信回路46を更に有する。
室外機3には、空気調和機1の機種を特定するバーコードである室外バーコード31aが付けられている。具体的には、室外機3には、室外バーコード31aを含むラベル31が貼り付けられている。ラベル31は、空気調和機1がメーカから出荷される時までに、室外機3に貼り付けられている。室外バーコード31aは、室外機3に印字されていてもよい。室外バーコード31aは、室外機3に取り付けられる銘板に付けられていてもよい。いずれにしても、室外機3には、空気調和機1の機種を特定するバーコードである室外バーコード31aが付けられている。室外バーコード31aは、室外バーコード31aが室外機3に付けられていることを示す情報も含む。
室外機3は、室外センサ32と、コンプレッサ33と、室外ファン34と、室外ファン34を駆動するモータである室外ファンモータ35と、四方弁36と、リニア電動弁37と、コンプレッサ33、室外ファンモータ35、四方弁36及びリニア電動弁37を制御する室外機用の制御基板38とを有する。室外センサ32の一例は、温度を検出するセンサである。
室外機用の制御基板38は、室内機2が有する室内機用の制御基板27の室内通信回路46と通信する室外通信回路51を有する。室外機用の制御基板38は、室外通信回路51によって受信された信号を室外通信回路51から受信し、受信された信号をもとに、コンプレッサ33、室外ファンモータ35、四方弁36及びリニア電動弁37を制御する室外マイコン52を更に有する。
室外機用の制御基板38は、室外機3を制御するためのデータを記憶する室外メモリ53を更に有する。室外機3を制御するためのデータは、室内機2及び室外機3を有する空気調和機1の機種に固有のデータであって、コンプレッサ33及び室外ファンモータ35の各々を制御するための制御定数を含む。室外メモリ53の一例は、EEPROMである。室外マイコン52は、室外メモリ53に記憶されているデータをも利用して、コンプレッサ33、室外ファンモータ35、四方弁36及びリニア電動弁37を制御する。
上述の通り、室内機2は室内機用の制御基板27を有し、室内機用の制御基板27は室内通信回路46を有する。室外機3は室外機用の制御基板38を有し、室外機用の制御基板38は室外通信回路51を有する。室内機用の制御基板27と室外機用の制御基板38とは、室内通信回路46と室外通信回路51とを介して通信し、互いに協調することにより、空気調和機1の機能を実現する。
次に、空気調和機1の動作を説明する。室内機2の室内機用の制御基板27が有する赤外線受光回路41が遠隔操作機器60から赤外線を受光すると、室内マイコン42は、赤外線受光回路41によって受光された赤外線に含まれる制御信号を赤外線受光回路41から受信する。室内マイコン42は、室内機2が運転中であることを報知するために表示装置44を点灯させる。加えて、室内マイコン42は、室内マイコン42が赤外線受光回路41から制御信号を受信したことを報知するために鳴動装置45に音を出力させる。つまり、室内マイコン42は、遠隔操作機器60からの赤外線が室内機2に届いたことを報知するために鳴動装置45により音を出力させる。
さらに、室内マイコン42は、赤外線受光回路41によって受光された赤外線に含まれる制御信号と、室内センサ22によって得られた情報と、室内メモリ43に記憶されているデータとを利用してステッピングモータ24及び室内ファンモータ26を制御する。具体的には、室内マイコン42は、ステッピングモータ24を駆動させてフラップ23を動かし、風の吹き出し口を開けさせる信号をステッピングモータ24に出力する。室内マイコン42は、室内ファンモータ26を駆動させて室内ファン25を回転させ、それにより室内機2に送風させる。室内マイコン42は、室内通信回路46と室外通信回路51とを介して、室外機3が有する室外機用の制御基板38の室外マイコン52に空気調和機1の運転の情報を含む信号を送信する。
室外マイコン52は、室内機用の制御基板27の室内マイコン42からの信号と、室外センサ32によって得られた情報と、室外メモリ53に記憶されているデータとをもとに、コンプレッサ33、室外ファンモータ35及びリニア電動弁37を起動させると共に、四方弁36の切り換えの制御を行う。
次に、実施の形態に係る空気調和機のメンテナンスシステム10を説明する。実施の形態に係る空気調和機のメンテナンスシステム10は、図1に示す空気調和機1が有する室内機2及び室外機3の各々に含まれる制御基板を交換する際の技術に関連するシステムである。具体的には、空気調和機のメンテナンスシステム10は、図1の室内機用の制御基板27及び室外機用の制御基板38の各々を交換する際の技術に関連するシステムである。
図2は、実施の形態に係る空気調和機のメンテナンスシステム10の構成を示す図である。以下では、「空気調和機のメンテナンスシステム10」を簡潔に「メンテナンスシステム10」と記載する場合がある。図2に示す通り、メンテナンスシステム10は、室内機2Aと、室外機3Aとを有する。
室内機2Aは、図1の室内機2が有する複数の構成要素から室内機用の制御基板27が取り除かれたものであって、室内センサ22、フラップ23、ステッピングモータ24、室内ファン25及び室内ファンモータ26を有する。室内機2Aには、室内機2Aを有する空気調和機の機種を特定するバーコードである室内バーコード21aが付けられている。更に言うと、室内バーコード21aは室内機2Aを特定するバーコードである。具体的には、室内機2Aには、室内バーコード21aを含むラベル21が貼り付けられている。室内バーコード21aは、室内機2Aに印字されていてもよい。室内バーコード21aは、室内機2Aに取り付けられる銘板に付けられていてもよい。いずれにしても、室内機2Aには、室内機2Aを有する空気調和機の機種を特定する室内バーコード21aが付けられている。室内バーコード21aは、室内バーコード21aが室内機2Aに付けられていることを示す情報も含む。
室外機3Aは、図1の室外機3が有する複数の構成要素から室外機用の制御基板38が取り除かれたものであって、室外センサ32、コンプレッサ33、室外ファン34、室外ファンモータ35、四方弁36及びリニア電動弁37を有する。室外機3Aには、室外機3Aを有する空気調和機の機種を特定するバーコードである室外バーコード31aが付けられている。更に言うと、室外バーコード31aは室外機3Aを特定するバーコードである。具体的には、室外機3Aには、室外バーコード31aを含むラベル31が貼り付けられている。室外バーコード31aは、室外機3Aに印字されていてもよい。室外バーコード31aは、室外機3Aに取り付けられる銘板に付けられていてもよい。いずれにしても、室外機3Aには、室外機3Aを有する空気調和機の機種を特定する室外バーコード31aが付けられている。室外バーコード31aは、室外バーコード31aが室外機3Aに付けられていることを示す情報も含む。
図2に示す通り、メンテナンスシステム10は、バーコードを読み取ることができる携帯電話機6と、室内機2Aに搭載されるメンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7と、室外機3Aに搭載されるメンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8とを更に有する。図2では、メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7は室内機2Aに搭載された状態で示されており、メンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8は室外機3Aに搭載された状態で示されている。ここでは室内外共に制御基板が交換された状態で図示されているが、どちらか一方の制御基板が交換されても構わない。図2には、遠隔操作機器60も示されている。
携帯電話機6は、カメラを有していて、カメラを用いてバーコードを読み取る。図2には、携帯電話機6が有するカメラは示されていない。携帯電話機6は、サービスマンの操作によって、室内機2Aに付けられている室内バーコード21aを読み取り、室内バーコード21aが特定する機種を示す情報を含む赤外線を室内機2Aに送信する。室内バーコード21aが特定する機種は、室内機2Aを有する空気調和機の機種である。携帯電話機6は、サービスマンの操作によって、室外機3Aに付けられている室外バーコード31aを読み取り、室外バーコード31aが特定する機種を示す情報を含む赤外線を室内機2Aに送信する。室外バーコード31aが特定する機種は、室外機3Aを有する空気調和機の機種である。
メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7は、室内機用の制御基板27が故障した場合に、室内機用の制御基板27の代わりに室内機2Aに搭載される基板であって、室内機用の制御基板27が有する赤外線受光回路41、表示装置44及び鳴動装置45を有する。上述の通り、赤外線受光回路41は、遠隔操作機器60からの赤外線を受光する。メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7は、赤外線受光回路41によって受光された赤外線に含まれる制御信号を赤外線受光回路41から受信し、制御信号と、室内センサ22によって得られた情報とをもとに、ステッピングモータ24及び室内ファンモータ26を制御する室内マイコン72を更に有する。室内マイコン72は、室内機用の制御基板27における室内マイコン42が有する機能と、室内マイコン42が有しない機能とを有する。室内マイコン72の詳細については、後述する。なお、赤外線受光回路41は、携帯電話機6が送信した赤外線も受光する。
メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7は、複数の機種の空気調和機の各々を制御するためのデータを記憶する室内メモリ73を更に有する。具体的には、室内メモリ73は、複数の機種の空気調和機の各々が有する室内機を制御するためのデータを記憶する。より具体的には、室内メモリ73は、メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7が搭載される室内機2Aを制御するためのデータを記憶すると共に、室内機2Aを有する空気調和機の機種以外の機種の空気調和機が有する室内機を制御するためのデータを記憶する。
更に言うと、室内機用の制御基板27が有する室内メモリ43は図1の空気調和機1の機種に固有のデータを記憶するが、室内メモリ73は、室内機2Aを有する空気調和機の機種に固有のデータを記憶すると共に、室内機2Aを有する空気調和機の機種以外の機種に固有のデータを記憶する。室内メモリ73は、室内メモリ43と同一種類のメモリの大容量版である。
図3は、実施の形態に係るメンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7の概念を示す図である。室内機2Aを有する空気調和機の機種に「90」という番号が割り当てられており、室内機2Aを有する空気調和機の機種以外の9機種の空気調和機の各々に「91」、「92」、「93」、「94」、「95」、「96」、「97」、「98」及び「99」という番号が重複することなく割り当てられていることを想定する。
従来、図3の矢印の後端側に示されている通り、10機種の空気調和機それぞれに対応した制御を行うためのデータを記憶したメモリを搭載した制御基板をメンテナンス用として機種の種類分、10種類用意する必要があった。実施の形態では、メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7が複数の機種の空気調和機の各々を制御するためのデータを記憶する室内メモリ73を有する。例えば、室内メモリ73は、上記の10機種の室内機用の制御基板の各々の室内メモリ43に記憶されるデータを記憶する。そのため、実施の形態のメンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7は、図3の矢印の先端側に示されている通り、上記の10機種の室内機用の制御基板が集約された基板の機能を有する。
図4は、実施の形態に係るメンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7が有する室内メモリ73の概念を示す図である。例えば、図4に示す通り、室内メモリ73は、アドレスAからアドレスKまでの各アドレスによって特定される複数の記憶エリアを有している。上記の10機種の空気調和機を例に挙げると、室内メモリ73は、アドレスAの記憶エリアにおいて、上記の10機種の空気調和機のいずれにも共通する共通データを記憶する。例えば、共通データは、上記の10機種の空気調和機のいずれにも共通する制御定数である。
室内メモリ73は、アドレスBからアドレスKまでの各アドレスの記憶エリアにおいて、上記の10機種の空気調和機のいずれかに固有のデータを重複することなく記憶する。例えば、図4に示す通り、室内メモリ73は、アドレスBの記憶エリアにおいて機種の番号が「90」である空気調和機の機種に固有のデータを記憶し、アドレスCの記憶エリアにおいて機種の番号が「91」である空気調和機の機種に固有のデータを記憶する。そのため上述の通り、室内メモリ73を有するメンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7は、上記の10機種分の室内機用の制御基板が集約された基板の機能を有する。固有のデータは、例えば固有の制御定数である。
図2に示す通り、室内マイコン72は、複数の機種のうちのいずれか1機種を示す情報を受け付ける受付部76の機能と、いずれか1機種の空気調和機を制御するためのデータを室内メモリ73から取得する取得部77の機能とを有する。室内マイコン72は、取得部77によって取得されたデータをもとにメンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7が搭載される室内機2Aの運転を制御する制御部78の機能を更に有する。制御部78の機能には、室内機2Aの運転を制御する機能以外の機能も存在する。制御部78の室内機2Aの運転を制御する機能以外の機能については、後に空気調和機1をメンテナンスする方法を説明する際に説明する。
携帯電話機6が、サービスマンの操作によって、室内機2Aに付けられている室内バーコード21aをカメラで読み取り、室内バーコード21aが特定する機種を示す情報を含む赤外線を室内機2Aに送信することを想定する。上述の通り、室内バーコード21aが特定する機種は、室内機2Aを有する空気調和機の機種である。赤外線受光回路41は、携帯電話機6からの赤外線を受光する。
受付部76は、携帯電話機6からの赤外線に含まれる情報を赤外線受光回路41から受け付ける。上述の通り、室内バーコード21aが特定する機種は、室内機2Aを有する空気調和機の機種である。つまり、受付部76は、室内機2Aを有する空気調和機の機種を示す情報を受け付ける。受付部76によって受け付けられた情報は、複数の機種のうちのいずれか1機種を示す情報を含む。受付部76によって受け付けられた情報は、当該情報のもとになった室内バーコード21aが室内機2Aに付けられていることを示す情報も含む。
取得部77は、受付部76によって受け付けられた情報にしたがって、室内機2Aを有する空気調和機の機種の空気調和機が有する室内機を制御するためのデータを室内メモリ73から取得する。つまり、取得部77は、室内機2Aを制御するためのデータを室内メモリ73から取得する。室内機2Aを有する空気調和機の機種は、受付部76によって受け付けられた情報が示す複数の機種のうちのいずれか1機種である。
取得部77が室内機2Aを制御するためのデータを室内メモリ73から取得すると、制御部78は、取得部77によって取得されたデータをもとにメンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7が搭載される室内機2Aの運転を制御する。具体的には、制御部78は、取得部77によって取得されたデータと、遠隔操作機器60から送信され赤外線受光回路41によって受光された赤外線に含まれる制御信号と、室内センサ22によって得られた情報とをもとに、ステッピングモータ24及び室内ファンモータ26を制御する。
メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7は、受付部76、取得部77及び制御部78によって実行されるステップが結果的に実行されることになるプログラムを記憶する記憶部75を更に有する。記憶部75が記憶するプログラムは、受付部76、取得部77及び制御部78が実行する手順又は方法を室内マイコン72に実行させるものであるともいえる。記憶部75は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリ等である。図2では室内マイコン72の外に記憶部75が記載されているが、記憶部75はマイコン内に設けられることが多く、図示していないが図1の室内マイコン42も記憶部75と同様の記憶部に記憶されたプログラムによって動作する。
メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7は、室外機3Aに搭載されるメンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8と通信する室内通信回路79を更に有する。室内通信回路79は、図1の室内機用の制御基板27における室内通信回路46が有する機能を有する。室内通信回路79は、室内マイコン72の受付部76によって受け付けられた固有の機種を示す情報をメンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8に送信する機能を有する。
携帯電話機6が、サービスマンの操作によって、室外機3Aに付けられている室外バーコード31aをカメラで読み取り、室外バーコード31aが特定する機種を示す情報を含む赤外線を室内機2Aに送信する場合、室内通信回路79は、室内マイコン72の受付部76によって受け付けられた室外バーコード31aが特定する機種を示す情報をメンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8に送信する。
メンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8は、室外機用の制御基板38が故障した場合に、室外機用の制御基板38の代わりに室外機3Aに搭載される基板であって、メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7が有する室内通信回路79と通信する室外通信回路81を有する。室外通信回路81は、室外機用の制御基板38における室外通信回路51が有する機能を有する。携帯電話機6が、サービスマンの操作によって、室外機3Aに付けられている室外バーコード31aをカメラで読み取り、室外バーコード31aが特定する機種を示す情報を含む赤外線を室内機2Aに送信する場合、室外通信回路81は、メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7における室内マイコン72の受付部76によって受け付けられた室外バーコード31aが特定する機種を示す情報を室内通信回路79から受信する。
メンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8は、室外通信回路81によって受信された信号を室外通信回路81から受信し、受信された信号をもとに、コンプレッサ33、室外ファンモータ35、四方弁36及びリニア電動弁37を制御する室外マイコン82を更に有する。室外マイコン82は、室外機用の制御基板38における室外マイコン52が有する機能と、室外マイコン52が有しない機能とを有する。室外マイコン82の詳細については、後述する。
メンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8は、複数の機種の空気調和機の各々を制御するためのデータを記憶する室外メモリ83を更に有する。具体的には、室外メモリ83は、複数の機種の空気調和機の各々が有する室外機を制御するためのデータを記憶する。より具体的には、室外メモリ83は、メンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8が搭載される室外機3Aを制御するためのデータを記憶すると共に、室外機3Aを有する空気調和機の機種以外の機種の空気調和機が有する室外機を制御するためのデータを記憶する。
更に言うと、室外機用の制御基板38が有する室外メモリ53は図1の空気調和機1の機種に固有のデータを記憶するが、室外メモリ83は、室外機3Aを有する空気調和機の機種に固有のデータを記憶すると共に、室外機3Aを有する空気調和機の機種以外の機種に固有のデータを記憶する。室外メモリ83は、室外メモリ53と同一種類のメモリの大容量版である。
室外マイコン82は、複数の機種のうちのいずれか1機種を示す情報を受け付ける受付部86の機能と、いずれか1機種の空気調和機を制御するためのデータを室外メモリ83から取得する取得部87の機能とを有する。
上述の通り、室外通信回路81は、メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7の受付部76によって受け付けられた情報の一部である複数の機種のうちのいずれか1機種を示す情報を取得する。受付部86は、室外通信回路81によって取得された機種を示す情報を受け付ける。いずれか1機種は、受付部86が受け付けた情報が示す機種である。取得部87は、室外通信回路81によって取得された情報が示す機種の空気調和機を制御するためのデータを室外メモリ83から取得する。
室外マイコン82は、取得部87によって取得されたデータをもとにメンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8が搭載される室外機3Aの運転を制御する制御部88の機能を更に有する。取得部87が室外機3Aを制御するためのデータを室外メモリ83から取得すると、制御部88は、取得部87によって取得されたデータをもとにメンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8が搭載される室外機3Aの運転を制御する。具体的には、制御部88は、取得部87によって取得されたデータと、室外通信回路81によって受信された信号である遠隔操作機器60が室内機2Aに送信する赤外線に含まれる制御信号に基づく信号と、室外センサ32によって得られた情報とをもとに、コンプレッサ33、室外ファンモータ35、四方弁36及びリニア電動弁37を制御する。制御部88の機能には、室外機3Aの運転を制御する機能以外の機能も存在する。制御部88の室外機3Aの運転を制御する機能以外の機能については、後に空気調和機1をメンテナンスする方法を説明する際に説明する。
メンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8は、受付部86、取得部87及び制御部88によって実行されるステップが結果的に実行されることになるプログラムを記憶する記憶部85を更に有する。記憶部85が記憶するプログラムは、受付部86、取得部87及び制御部88が実行する手順又は方法を室外マイコン82に実行させるものであるともいえる。記憶部85は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリ等である。図2では室外マイコン82の外に記憶部85が記載されているが、記憶部85はマイコン内に設けられることが多く、図示していないが図1の室外マイコン52も記憶部85と同様の記憶部に記憶されたプログラムによって動作する。
次に、図1に示す空気調和機1が有する室内機2の室内機用の制御基板27と空気調和機1が有する室外機3の室外機用の制御基板38とのいずれにも不具合が発生し、室内機用の制御基板27をメンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7に交換すると共に、室外機用の制御基板38をメンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8に交換することにより空気調和機1をメンテナンスする方法を説明する。図5は、実施の形態に係る空気調和機1をメンテナンスする方法の各手順を示すシーケンス図である。
図1の空気調和機1をメンテナンスするサービスマンは、空気調和機1の電源を落とし、空気調和機1が有する室内機2の室内機用の制御基板27を室内機2から取り外すと共に、空気調和機1が有する室外機3の室外機用の制御基板38を室外機3から取り外す。室内機2から室内機用の制御基板27が取り外されると、室内機2は図2に示す室内機2Aとなる。室外機3から室外機用の制御基板38が取り外されると、室外機3は図2に示す室外機3Aとなる。
サービスマンは、室内機2Aにメンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7を取り付ける(S1)。これにより、サービスマンは、室内機用の制御基板27をメンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7に交換する(S1)。つまり、サービスマンは、室内機の基板を交換する(S1)。サービスマンは、携帯電話機6のカメラを用い、携帯電話機6に、室内機2Aに付けられている室内バーコード21aを読み取らせる(S2)。サービスマンは、室内機2A及び室外機3Aを有する空気調和機の電源を入れる(S3)。
メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7が室内機2Aに取り付けられているが、メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7における室内メモリ73が有するデータのうちのメンテナンス後に用いられるデータはまだ特定されていない。そのため、室内機2Aの表示装置44は通常運転時及び機器の異常時に表示する情報と異なる情報を表示し、室内機2Aの鳴動装置45は通常運転時及び機器の異常時に出力する音と異なる音を出力する(S4)。つまり、表示装置44及び鳴動装置45が動作する(S4)。
具体的には、表示装置44は、点灯及び消灯のパターン、複数存在する発光ダイオードの点灯の組み合わせ、又は色などの表現動作を、通常運転時及び機器の異常時の表現動作と異ならせて、通常運転時及び機器の異常時に表示する情報と異なる情報を表示する。鳴動装置45は、鳴動の長さ、音階、又は鳴動のオンとオフのパターンなどの表現動作を、通常運転時及び機器の異常時の表現動作と異ならせて、通常運転時及び機器の異常時に出力する音と異なる音を出力する。すなわち、表示装置44及び鳴動装置45は、通常時及び異常時とは異なる表現動作で、データの指定をサービスマンに促す。通常運転時及び機器の異常時の表現動作と異なる表現動作は、表示装置44と鳴動装置45とのどちらか一方によって行われても構わない。
前述の通りステップS4における表示装置44及び鳴動装置45の動作は、ステップS2において携帯電話機6により読み取られた室内バーコード21aが特定する室内機2Aを有する空気調和機の機種を示す情報を室内機2Aに送信することをサービスマンに促す。サービスマンは、携帯電話機6を操作して、携帯電話機6に、室内バーコード21aが特定する室内機2Aを有する空気調和機の機種を示す情報を含む赤外線を室内機2Aに送信させる(S5)。
室内機2Aに取り付けられたメンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7の赤外線受光回路41は、携帯電話機6から赤外線を受光する。室内マイコン72の制御部78は、取得部77に対し、室内バーコード21aが特定する室内機2Aを制御するためのデータを室内メモリ73から取得することを指示する(S6)。
ステップS6の動作が行われた後、室内機2Aの表示装置44は、取得すべきデータを指示したことを終了したことを示す情報を表示し、室内機2Aの鳴動装置45は、取得すべきデータを指示したことを終了したことを示す情報を音により出力する(S7)。すなわち、表示装置44及び鳴動装置45は終了時の動作を行う(S7)。サービスマンは、表示装置44及び鳴動装置45の終了動作を受けて、室内機2A及び室外機3Aを有する空気調和機の電源を切る(S8)。
サービスマンは、室外機3Aにメンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8を取り付ける(S9)。これにより、サービスマンは、室外機用の制御基板38をメンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8に交換する(S9)。つまり、サービスマンは、室外機の基板を交換する(S9)。サービスマンは、携帯電話機6のカメラを用い、携帯電話機6に、室外機3Aに付けられている室外バーコード31aを読み取らせる(S10)。サービスマンは、室内機2A及び室外機3Aを有する空気調和機の電源を入れる(S11)。
メンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8が室外機3Aに取り付けられているが、メンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8における室外メモリ83が有するデータのうちのメンテナンス後に用いられるデータはまだ特定されていない。そのため、室内機2Aと室外機3Aとの通信により、室内機2Aが、データが特定されていないことを把握すると、室内機2Aの表示装置44は通常運転時及び機器の異常時に表示する情報と異なる情報を表示し、室内機2Aの鳴動装置45は通常運転時及び機器の異常時に出力する音と異なる音を出力する(S12)。つまり、表示装置44及び鳴動装置45が動作する(S12)。なお、低待機電力のために室内機2Aに室外給電制御用のリレーが搭載されている場合は、リレーをオンさせて室外機3Aへの給電が行われた後にステップS12の動作が行われる。
ステップS12における表示装置44及び鳴動装置45の動作は、ステップS10において携帯電話機6により読み取られた室外バーコード31aが特定する室外機3Aを有する空気調和機の機種を示す情報を室内機2Aに送信することをサービスマンに促す。サービスマンは、携帯電話機6を操作して、携帯電話機6に、室外バーコード31aが特定する室外機3Aを有する空気調和機の機種を示す情報を含む赤外線を室内機2Aに送信させる(S13)。
室内機2Aに取り付けられたメンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7の赤外線受光回路41は、携帯電話機6から赤外線を受光する。室内通信回路79は、室外機3Aを有する空気調和機の機種を示す情報をメンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8に送信する(S14)。
ステップS14の動作が行われた後、メンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8では、室外マイコン82の制御部88は、ステップS14においてメンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7が送信した情報をもとに、取得部87に対し、室外バーコード31aが特定する室外機3Aを制御するためのデータを室外メモリ83から取得することを指示する(S15)。
つまり、メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7の赤外線受光回路41が、室内バーコード21aを読み取って室内バーコード21aが特定するいずれか1機種を示す情報を含む赤外線を携帯電話機6から受光する。室内機2Aにおいて、赤外線受光回路41によって受光された赤外線が含む情報が示す機種の空気調和機を制御するためのデータが特定された後に、携帯電話機6がカメラを用いて室外バーコード31aを読み取って室外バーコード31aが特定するいずれか1機種を示す情報を含む赤外線を赤外線受光回路41に送信する。室内機2Aは、室外バーコード31aが特定するいずれか1機種を示す情報をメンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8に送信する。室外通信回路81は、室内機2Aからいずれか1機種を示す情報を取得し、室外マイコン82の制御部88は、室外通信回路81が受信した情報をもとに、取得部87に対し、室外バーコード31aが特定する室外機3Aを制御するためのデータを室外メモリ83から取得することを指示する(S15)。
ステップS15の動作が行われた後、メンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8は、室外マイコン82の制御部88が取得部87に対し室外バーコード31aが特定する室外機3Aを制御するためのデータを室外メモリ83から取得することを指示したこと示す情報をメンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7に送信する(S16)。室内機2Aの表示装置44は、取得すべきデータを指示したことを終了したことを示す情報を表示し、室内機2Aの鳴動装置45は、取得すべきデータを指示したことを終了したことを示す情報を音により出力する(S17)。すなわち、表示装置44及び鳴動装置45は終了時の動作を行う(S17)。サービスマンは、表示装置44及び鳴動装置45の終了動作を受けて、室内機2A及び室外機3Aを有する空気調和機の電源を切る(S18)。上述の方法により、空気調和機1のメンテナンスが行われる。
なお、上述の方法では、図1に示す空気調和機1が有する室内機2の室内機用の制御基板27をメンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7に交換すると共に、空気調和機1が有する室外機3の室外機用の制御基板38をメンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8に交換している。しかしながら、室内機用の制御基板27及び室外機用の制御基板38の一方において不具合が生じていない場合は、不具合のない制御基板は交換する必要はない。
室内機用の制御基板27が正常で室外機用の制御基板38に不具合があった場合、室外機用の制御基板38がメンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8に交換される。この場合、上述の方法において、室内機2Aは室内機2に置き換えられる。室内機2が有する室内機用の制御基板27の室内通信回路46は、ステップS14において、室外機3Aを有する空気調和機の機種を示す情報をメンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8に送信する。
低待機電力のために室内機2又は室内機2Aに室外給電制御用のリレーが搭載されている場合は、遠隔操作機器60からの信号が室内機2又は室内機2Aに入るまでは室外機3Aへの給電は行われない。室外機3Aへの給電が行われなければ、室内機2又は室内機2Aはメンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8のデータが未確定であることを把握することができない。メンテナンス時においては、メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7の赤外線受光回路41が携帯電話機6からの室外バーコード31aの情報を受信した時にリレーはオンし、室外機3Aへの給電が行われる。室外機3Aへの給電が行われた後に、室内機2又は室内機2Aは表示装置44及び鳴動装置45を用いてデータの指定を促す動作を行う。
また、低待機電力のために室内機2又は室内機2Aに室外給電制御用のリレーが搭載されている場合においてメンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8のデータが未確定であるにもかかわらず、室内機2又は室内機2Aが通常の運転信号を受けた場合には、その信号を受けて通常運転時と同様に室外給電制御用のリレーはオンする。これにより室内機2又は室内機2Aと室外機3Aとの通信が確立し、メンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8のデータが未確定である旨の情報が室内機2又は室内機2Aに伝わる。この信号を受けて室内機2又は室内機2Aは表示装置44及び鳴動装置45を用いてデータの指定を促す動作を行う。
上述の通り、メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7は、複数の機種の空気調和機の各々を制御するためのデータを記憶する室内メモリ73を有する。具体的には、室内メモリ73は、複数の機種の空気調和機の各々が有する室内機を制御するためのデータを記憶する。そのため、室内機用の制御基板27が搭載されている室内機2を有する空気調和機1の機種があらかじめ決められた上記の複数の機種のうちのどの機種であっても、室内機用の制御基板27に不具合が生じて室内機用の制御基板27を交換する必要が生じた場合、室内機用の制御基板27をメンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7に交換することができる。
加えて、メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7に室内機用の制御基板27が有する機能を発揮させる場合、サーバを必要としない。すなわち、メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7により、サーバを必要とすることなく、かつ上記の複数の機種の空気調和機の各々に対して十分な数のメンテナンス用の制御基板を必要とすることなく、あらかじめ決められた複数の機種の空気調和機のいずれの室内機に対しても制御基板を迅速に交換することができるという効果が得られる。
同様に、メンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8は、複数の機種の空気調和機の各々を制御するためのデータを記憶する室外メモリ83を有する。具体的には、室外メモリ83は、複数の機種の空気調和機の各々が有する室外機を制御するためのデータを記憶する。そのため、室外機用の制御基板38が搭載されている室外機3を有する空気調和機1の機種があらかじめ決められた上記の複数の機種のうちのどの機種であっても、室外機用の制御基板38に不具合が生じて室外機用の制御基板38を交換する必要が生じた場合、室外機用の制御基板38をメンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8に交換することができる。
加えて、メンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8に室外機用の制御基板38が有する機能を発揮させる場合、サーバを必要としない。すなわち、メンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8により、サーバを必要とすることなく、かつ上記の複数の機種の空気調和機の各々に対して十分な数のメンテナンス用の制御基板を必要とすることなく、あらかじめ決められた複数の機種の空気調和機のいずれの室外機に対しても制御基板を迅速に交換することができるという効果が得られる。
なお、上述した実施の形態では、室内機2及び室内機2Aには室内バーコード21aが付けられているが、室内バーコード21aは室内機2及び室内機2Aに付けられていなくてもよい。室内バーコード21aが室内機2及び室内機2Aに付けられていない場合、例えば、複数の機種の各々の室内バーコード21aが印刷されたシートが用いられる。室内機2及び室内機2Aの筐体には室内機2及び室内機2Aの機種を特定する情報が付けられているので、サービスマンは筐体に付けられている情報から室内機2及び室内機2Aの機種を特定し、シートのなかの特定した機種に対応する室内バーコード21aを携帯電話機6に読み取らせてもよい。
同様に、室外機3及び室外機3Aには室外バーコード31aが付けられているが、室外バーコード31aは室外機3及び室外機3Aに付けられていなくてもよい。室外バーコード31aが室外機3及び室外機3Aに付けられていない場合、例えば、複数の機種の各々の室外バーコード31aが印刷されたシートが用いられる。室外機3及び室外機3Aの筐体には室外機3及び室外機3Aの機種を特定する情報が付けられているので、サービスマンは筐体に付けられている情報から室外機3及び室外機3Aの機種を特定し、シートのなかの特定した機種に対応する室外バーコード31aを携帯電話機6に読み取らせてもよい。
上述した実施の形態では、空気調和機1をメンテナンスする場合、携帯電話機6が用いられる。しかしながら、携帯電話機6は、バーコードを読み取る機能を有するバーコード読取機器に置き換えられてもよい。バーコード読取機器は、カメラを有していて、サービスマンの操作によって、カメラを用いてバーコードを読み取り、読み取ったバーコードが特定する機種を示す情報を含む赤外線を送信する。
上述した実施の形態では、メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7が赤外線受光回路41を有するが、メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7は赤外線受光回路41を有しなくてもよい。その場合、赤外線受光回路41は室内機2Aに設けられる。また、表示装置44、鳴動装置45及び室内通信回路79の一部又は全部は、メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7とは別基板に設けられてもよい。室外通信回路81は、メンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8とは別基板に設けられてもよい。
上述した実施の形態では、室内機用の制御基板27がメンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7に交換される。しかしながら、メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7が室内機2Aに搭載されていて、当該メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7に不具合が生じ、当該メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7が新たなメンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7に交換されてもよい。同様に、メンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8が室外機3Aに搭載されていて、当該メンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8に不具合が生じ、当該メンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8が新たなメンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8に交換されてもよい。
機能又はコストに対する市場の要望に応えるため多くの多機を有する上位機種から基本機能のみを有する下位機種がラインナップされている。上位機種の基板に対して下位機種では不要な回路は実装されずに量産される場合もある。また、中位機種においては上記機種から一部の機能を外したものがラインナップされ、上位機種の基板に対して中位機種の基板では不要な回路は実装されずに量産される場合もある。
図6は、量産機種における複数の種類の室内機用の制御基板を示す図である。図6に示すように、4つのシリーズに対応して、第1の室内機用の制御基板27α、第2の室内機用の制御基板27β、第3の室内機用の制御基板27γ及び第4の室内機用の制御基板27δが、量産の基板として用いられている。当該4つの基板の相違点は、以下の通りである。
図6に示す通り、第1の室内機用の制御基板27αはA回路、B回路及びC回路を有しており、第2の室内機用の制御基板27βはA回路、B回路、C回路及びD回路を有している。第3の室内機用の制御基板27γはA回路、B回路、C回路及びE回路を有しており、第4の室内機用の制御基板27δはA回路、B回路、C回路、D回路及びE回路を有している。
ここで、A回路、B回路及びC回路は基本回路であって、各シリーズが共通でもつ回路であり、A回路、B回路及びC回路の各々は例えば通信回路、赤外線受信回路又はファンモータ駆動回路である。また、D回路及びE回路は中上位機種がもつメリットアップ機能用の回路であり、D回路及びE回路の各々は例えば人感センサ回路又はフィルタお掃除モータ駆動回路である。そのため、第1の室内機用の制御基板27αが下位機種用であり、第2の室内機用の制御基板27β及び第3の室内機用の制御基板27γが中位機種用であり、第4の室内機用の制御基板27δが上位機種用である。
それぞれのシリーズにおいて能力の異なる複数の機種がラインナップされているため、それぞれのシリーズごとに量産基板と同一回路をもったメンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7(メンテナンス用の第1の室内機用の空気調和機用基板、メンテナンス用の第2の室内機用の空気調和機用基板、メンテナンス用の第3の室内機用の空気調和機用基板及びメンテナンス用の第4の室内機用の空気調和機用基板)をもつことでもメンテナンス用基板の集約のメリットが得られるが、次のようにすることで更に基板の集約が可能である。
メンテナンス用の第4の室内機用の空気調和機用基板は回路としてフル実装であるためデータを適合させれば第1の室内機、第2の室内機、第3の室内機及び第4の室内機のシリーズのいずれの機種にも使用可能である。
なお、量産機種では不要回路を実装することで量産コストが上昇するため基本的に下位機種に上位機種にも対応可能な基板を用いることはないが、メンテナンス用の空気調和機用基板においては仕様を分けることによる必要な基板の枚数の増加による諸費用(製造、輸送又は保管などによる費用)の増加を抑制できるため、共通化による多少の単価上昇よりもコストメリットが大きくなるため集約を優先する判断が可能である。
上述のように複数のシリーズを集約する場合、携帯電話機6は、室内バーコード21aが特定するシリーズを示す情報を含む赤外線を室内機2Aに出力する。取得部77は、携帯電話機6が出力した赤外線に含まれる情報が示すシリーズにもしたがってデータを取得する。
回路がフル実装されていなくともメンテナンス用の第3の室内機用の空気調和機用基板が第1の室内機及び第3の室内機のシリーズのいずれの機種にも対応可能であるように、搭載されるメモリの容量に応じて適用可能なシリーズ及び機種数を決めることもできる。また、遠隔操作機器60からの信号のパターン数又は内外通信のパターン数によっても対応可能機種数が制約を受けるので、それに応じてコストミニマムなメンテナンス基板の仕様を決める必要がある。
メンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8に対してもメンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7と同様に、より多機能な基板にて適用可能なシリーズ又は機種を増やしても良い。
上述した実施の形態では、室内バーコード21a及び室外バーコード31aが用いられて、携帯電話機6が、室内バーコード21a及び室外バーコード31aを読み取って、室内バーコード21a及び室外バーコード31aの各々が特定する機種を示す情報を含む赤外線を室内機2Aに送信する。しかしながら、室内バーコード21a及び室外バーコード31aは用いられなくてもよい。その場合、複数の機種のなかからいずれか1機種を選択させる画面を表示する機能が遠隔操作機器60に設けられる。サービスマンは、機種を特定する情報が記載された銘板を参照して画面に表示された複数の機種のなかからいずれか1機種を選択し、遠隔操作機器60に、選択されたいずれか1機種の情報を室内機2Aに送信させる。
図6に示す4つのシリーズに対応して、メンテナンス用の第1の室内機用の空気調和機用基板、メンテナンス用の第2の室内機用の空気調和機用基板、メンテナンス用の第3の室内機用の空気調和機用基板及びメンテナンス用の第4の室内機用の空気調和機用基板の4個のメンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板が用意される場合、4つのシリーズに対応して4個の遠隔操作機器60が用意されてもよい。4個の遠隔操作機器60の各々は、いずれか1機種の情報を室内機2Aに送信する際、対応するシリーズの情報も室内機2Aに送信する。これにより、4個のシリーズの各々に対応するメンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板の機能を設定する際、シリーズの情報の送信が簡便になると共に、シリーズの情報の誤送信を防止することができる。
図2では、メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7及びメンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8の各々は一枚の基板である。しかしながら、メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板及びメンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板の各々は、複数枚の基板で構成されていてもよい。
上述した実施の形態では、メンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7が有する受付部76、取得部77及び制御部78の機能は室内マイコン72によって実現される。しかしながら、受付部76、取得部77及び制御部78の機能の少なくとも一部は、処理回路65によって実現されてもよい。図7は、実施の形態に係るメンテナンス用の室内機用の空気調和機用基板7が有する受付部76、取得部77及び制御部78の機能の少なくとも一部が処理回路65によって実現される場合の処理回路65を示す図である。同様に、メンテナンス用の室外機用の空気調和機用基板8が有する受付部86、取得部87及び制御部88の機能の少なくとも一部は、処理回路65と同等の処理回路によって実現されてもよい。
処理回路65は、専用のハードウェアである。処理回路65は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、並列プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものである。受付部76、取得部77及び制御部78の一部は、残部とは別個の専用のハードウェアであってもよい。受付部86、取得部87及び制御部88の一部も、残部とは別個の専用のハードウェアであってもよい。
受付部76、取得部77及び制御部78の機能の一部は、室内マイコン72によって実現され、残部は処理回路65によって実現されてもよい。同様に、受付部86、取得部87及び制御部88の機能の一部は、室外マイコン82によって実現され、残部は処理回路によって実現されてもよい。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略又は変更することも可能である。