本発明の実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は実装装置10の斜視図、図2は配線部50が接続用位置にある状態のヘッド取付装置40及びヘッド70の斜視図、図3は配線部50を退避位置に移動させた状態のヘッド取付装置40及びヘッド70の斜視図、図4はヘッド70を取り外した状態のヘッド取付装置40の斜視図、図5は配線部50及びヘッド保持部60の動作の様子を示す概略説明図、図6は凹部44と円柱部材56cとの係合を解除した様子を示す概略説明図である。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、図1〜6に示した通りとする。
実装装置10は、基台12と、基台12の上に設置された実装装置本体14と、実装装置本体14に装着された部品供給装置としてのリールユニット90とを備えている。
実装装置本体14は、基台12に対して交換可能に設置されている。この実装装置本体14は、基板16を搬送したり保持したりする基板搬送装置18と、XY平面を移動可能なヘッド取付装置40と、ヘッド取付装置40に着脱可能に取り付けられるヘッド70と、ヘッド70の吸着ノズル37に吸着された部品を撮像するパーツカメラ38と、各種制御を実行するコントローラ80とを備えている。
基板搬送装置18は、図1の前後に間隔を開けて設けられ左右方向に延びる支持板20,20と、両支持板20,20の互いに対向する面に設けられたコンベアベルト22,22(図1では片方のみ図示)とを備えている。コンベアベルト22,22は、支持板20,20の左右に設けられた駆動輪及び従動輪に無端状となるように架け渡されている。基板16は、一対のコンベアベルト22,22の上面に乗せられて左から右へと搬送される。この基板16は、多数立設された支持ピン23によって裏面側から支持されている。
ヘッド取付装置40は、X軸スライダとしての機能を有しており、前後方向にスライド可能なY軸スライダ30の前面に、左右方向にスライド可能となるように取り付けられている。Y軸スライダ30は、前後方向に延びる左右一対のガイドレール32,32にスライド可能に取り付けられている。Y軸スライダ30の前面には、左右方向に延びる上下一対のガイドレール28,28が設けられ、このガイドレール28,28にヘッド取付装置40が左右方向にスライド可能に取り付けられている。なお、ヘッド取付装置40及びY軸スライダ30は、それぞれ図示しない駆動モータにより駆動される。
ヘッド70は、ヘッド取付装置40の前面に取り付けられている。ヘッド70には、部品を吸着して保持する吸着ノズル37が取り付けられている。ヘッド70は、ヘッド取付装置40が左右方向に移動するのに伴って左右方向に移動し、Y軸スライダ30が前後方向に移動するのに伴って前後方向に移動する。ヘッド70は、Z軸モータ34を内蔵し、Z軸に沿って延びるボールネジ35に取り付けられた吸着ノズル37の高さをZ軸モータ34によって調整する。ヘッド70は、図示は省略するが、吸着ノズル37を回転(自転)させるQ軸モータと、吸着ノズル37の下方を撮像するマークカメラと、吸着ノズル37への圧力の正負を切り替えるソレノイドバルブなどを内蔵している。
パーツカメラ38は、基板搬送装置18の前側の支持板20の前方に配置されている。パーツカメラ38は、パーツカメラ38の上方が撮像範囲であり、吸着ノズル37に保持された部品を下方から撮像して撮像画像を生成する。
コントローラ80は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶するROM、各種データを記憶するHDD、作業領域として用いられるRAMなどを備えている。コントローラ80は、基板搬送装置18、ヘッド取付装置40及びY軸スライダ30の駆動モータ、ヘッド70、及びパーツカメラ38に制御信号を出力して、これらを制御する。なお、図示しないが、ヘッド取付装置40及びY軸スライダ30には位置センサが装備されており、コントローラ80はそれらの位置センサからの位置情報を入力しつつ、ヘッド取付装置40及びY軸スライダ30の駆動モータを制御する。
リールユニット90は、複数のリール92を備え、実装装置本体14の前側に着脱可能に取り付けられている。各リール92には、テープが巻き付けられ、テープの表面には、部品がテープの長手方向に沿って保持されている。これらの部品は、テープの表面を覆うフィルムによって保護されている。こうしたテープは、リール92から後方に向かって巻きほどかれ、フィーダ部94においてフィルムが剥がされて部品が露出した状態となる。この露出した状態の部品を吸着ノズル37が吸着することで、部品は吸着ノズル37に保持されてヘッド70と共に移動可能になる。
次に、ヘッド取付装置40及びヘッド70のうち、特にヘッド取付装置40へのヘッド70の取付に関する構造について、図2〜6を用いて詳細に説明する。なお、図2〜4は左前方上側から見た斜視図であり、図5,6は左方から見た概略図である。また、図5,6では、ヘッド取付装置40の配線部50及びヘッド保持部60の動作との関連性の低い部材については、適宜図示を省略している。
ヘッド取付装置40は、図4に示すように、ヘッド取付装置40の本体部の前端面でありヘッド70に接触する取付面40aを有している。また、ヘッド取付装置40は、この取付面40aよりも上方に配設された配線ダクト41と、配線ダクト41に保持される配線54を含む配線部50と、取り付けられたヘッド70を保持可能なヘッド保持部60と、配線部50とヘッド保持部60とを連動させる連動レバー69と、を備えている。配線ダクト41は、上方が開放されたU字状の部材であり、例えば曲げ加工された金属板などで構成されている。配線ダクト41は底部の左側に立ち上がる板状の側部42を有している。側部42は、前端付近に配設され後方に向かって凹んだ形状の凹部43と、凹部43よりも上後方に配設され下後方に向かって凹んだ形状の凹部44(図2,図5(a)参照)とを有している。
ヘッド取付装置40は、図4に示すように、取付面40aの周辺に、ヘッド着座センサ45と、エア配管46と、エア供給ポート47と、爪部ホルダー48と、を備えている。ヘッド着座センサ45は、取付面40aと略同一平面上に検知部を有する接触式のセンサであり、ヘッド70の背面部70aが取付面40aと接触したか否かを検出する。エア配管46は、ヘッド70の吸着ノズル37に圧力を供給可能な配管であり、本実施形態ではヘッド取付装置40は正圧供給用と負圧供給用の2つのエア配管46を有している。エア配管46の一端は、前方に開口して取付面40aに露出したエア供給ポート47に接続されており、エア配管46の他端は図示しない正圧源及び負圧源に接続されている。エア供給ポート47は、本実施形態では正圧供給用と負圧供給用の2つ存在し、各々がヘッド70の背面部70aに配設されたエア入力ポート77と接続可能になっている。爪部ホルダー48は、ヘッド70の背面部70aに配設された爪部78を下方から支持可能な部材であり、爪部78の先端が嵌まるように凹んだ形状の受け部として構成されている。本実施形態では、爪部ホルダー48及び爪部78はそれぞれ2つずつ(2対)存在し、2対の爪部ホルダー48に爪部78が嵌まることでヘッド取付装置40に取り付けられるヘッド70の上下方向の位置が規定されるようになっている。
配線部50は、ヘッド70に接続するためのコネクタや配線などをまとめたものであり、図2〜5に示すように、ヘッド70に接続可能な取付側コネクタ部52と、取付側コネクタ部52に接続された配線54と、配線カバー55と、を有している。取付側コネクタ部52は、1以上(本実施形態では2個)の取付側コネクタ53を有しており、取付側コネクタ53の各々に配線54が接続されている。配線54は、配線カバー55及び側部42の内側を通っており、図2に示すように取付側コネクタ53から後方に向けて延びるように配設されている。取付側コネクタ53の各々は、ヘッド70が有するヘッド側コネクタ部72の1以上のヘッド側コネクタ73(図2,3参照)と接続可能になっている。本実施形態では、左側の取付側コネクタ53は1つのヘッド側コネクタ73と接続され、右側の取付側コネクタ53は2つのヘッド側コネクタ73と接続される。コントローラ80は、この配線54及び取付側コネクタ53を介して、例えばZ軸モータ34,Q軸モータ,パーツカメラ及びソレノイドバルブなどへの制御信号をヘッド70に対して送信したり、Z軸モータ34及びQ軸モータのエンコーダ信号及びパーツカメラの画像データをヘッド70から受信したりする。あるいは、この配線54及び取付側コネクタ53を介して、ヘッド70に図示しない電源からの電力が供給されてもよい。
配線カバー55は、例えば曲げ加工された金属板などで主に構成されており、図3〜5に示すように、第1側板55aと、ピン55bと、第2側板55cと、当接部材55dとを備えている。第1側板55aは、配線カバー55の後端付近に位置している板状部であり、配線カバー55の左右に1つずつ配設されている(左側の第1側板55aのみ図示)。この一対の第1側板55aをピン55bが左右方向に貫通している。ピン55bは、配線ダクト41の側部42も貫通しており、回転(自転)可能に配線ダクト41に固定されている。これにより、配線カバー55はピン55bを回転軸として回転が許容されるように構成されている。第2側板55cは、左側の第1側板55aよりも前方に位置している板状部である。第2側板55cは、第2側板55cの右側に突出する円柱状の当接部材55dを有している。当接部材55dは、連動レバー69に当接可能な位置に配置されている。
なお、配線カバー55と共に配線部50全体がピン55bを回転軸として回転可能である。これにより、配線部50は、取り付けられたヘッド70に取付側コネクタ部52を接続するための接続用位置(図2,図5(a)の状態)と、接続用位置に比して配線54及び取付側コネクタ53がヘッド70から離間している退避位置(図3,図4,図5(c)の状態)との間を回転移動するように構成されている。なお、配線部50が接続用位置にある状態では、配線カバー55の長手方向が前後方向と略平行になる。配線部50が退避位置にある状態では、配線カバー55の長手方向が前後方向から傾斜しており、より具体的には、取付側コネクタ部52側ほど上方に向かう方向に配線カバー55の長手方向が傾斜している。なお、配線54は可撓性を有するため、配線部50が接続用位置にある状態で、作業者は取付側コネクタ部52を上下に移動させてヘッド側コネクタ73との接続及び接続解除を行うことができる。一方、配線部50が退避位置にある状態では、取付側コネクタ53はヘッド側コネクタ73との距離が離れているため作業者が両者を接続することはできない。退避位置は、ヘッド70のヘッド取付装置40からの取り外しやヘッド取付装置40への取り付けなどの作業時に、配線部50がヘッド70や作業者の手と干渉するのを避けるようにするための位置である。
また、配線部50は、配線カバー55の内側に、ロックレバー56と、バネ57と、バネ固定部材58と、ボルト59と、を備えており(図3の右上の部分斜視図及び図5参照)、これらも配線カバー55の回転に伴って回転する。なお、図3の部分斜視図は、配線カバー55を図示せずその内部を見やすくした説明図である。
ロックレバー56は、例えば曲げ加工された金属板などで構成されており、レバー部56aと、側板56bと、円柱部材56cと、接続部56dと、貫通孔56e(図3の部分斜視図参照)と、を備えている。レバー部56aは、ロックレバー56の前端に配設されたU字状の湾曲部であり、作業者がロックレバー56を前方に引っ張る際の持ち手となる部材である。側板56bは、ロックレバー56の後端の左側に配設された板状部である。円柱部材56cは、側板56bの後端付近に貫通固定された部材である。円柱部材56cは、配線部50の回転移動を規制するための係合部である。円柱部材56cは、配線部50が接続用位置にある状態では配線ダクト41の凹部43と係合し(図2,図5(a)参照)、配線部50が退避位置にある状態では配線ダクト41の凹部44と係合する(図3,図5(c)参照)。接続部56dは、バネ57の前端とロックレバー56との接続部であり、ロックレバー56の右側から下方に回り込むように曲げ加工された部材である(図3の部分斜視図参照)。貫通孔56eは、ロックレバー56の上部(天板部分)を上下に貫通する貫通孔であり、本実施形態では2箇所配設されている。貫通孔56eの各々は前後に長い楕円状をしており、ボルト59が上下に貫通している。この貫通孔56eの形状及びボルト59によって、ロックレバー56は配線カバー55に対して前後に所定量だけ移動可能に固定されている。
バネ固定部材58は、例えば曲げ加工された金属板などで構成されており、バネ57の後端を配線カバー55に対して固定するための部材である。バネ固定部材58は、後端がU字状に湾曲しており、この湾曲部の先端にバネ57の後端が取り付けられている。バネ固定部材58は、図示しない貫通孔を有し、ロックレバー56の下側に重ねられた状態でこの貫通孔をボルト59が貫通している。バネ固定部材58の貫通孔は、貫通孔56eとは異なりボルト59と略同じ直径の真円状をしている。そのため、バネ固定部材58は配線カバー55に対して前後に移動不能に固定されている。このバネ固定部材58とロックレバー56との間にバネ57が接続されることで、バネ57の弾性力が、ロックレバー56を後方(接続部56dがバネ固定部材58に近づく方向)に付勢する。これにより、ロックレバー56の円柱部材56cは後方(配線カバー55の長手方向に沿ってピン55bに向かう方向)に付勢され、接続用位置では凹部43との係合が維持され(図5(a)参照)、退避位置では凹部44との係合が維持されるようになっている(図5(c)参照)。また、作業者がバネ57の弾性力に抗してレバー部56aを前方(接続部56dがバネ固定部材58から離れる方向)に引っ張れば、ロックレバー56は前方に移動可能である。この移動によって、円柱部材56cと凹部43及び凹部44との係合が解除可能になっている。
ヘッド保持部60は、ヘッド取付装置40に取り付けられたヘッド70を保持する保持状態とヘッド70を保持しない解除状態とを切り替え可能な機構である。ヘッド保持部60は、図4,図5に示すように、取付側係合ブロック61と、ピストン62と、ピン63と、カム部材64と、軸部材65と、捻りバネ66と、を備えている。
取付側係合ブロック61は、前面が取付面40aと略同一平面上にある部材であり、その前面から前方に突出した一対の突出部61aを有している。一対の突出部61a間には、取付面40aの同一平面よりも後方まで空間が存在する。取付側係合ブロック61は、ヘッド70の取付時にヘッド70の背面部70aから突出しているヘッド側係合ブロック75(図4参照)と係合する。より具体的には、ヘッド取付装置40にヘッド70が取り付けられる際には、一対の突出部61aの間の上記空間にヘッド側係合ブロック75が挿入される。また、この状態では、ヘッド側係合ブロック75に自転可能に取り付けられた係合ローラー76が、一対の突出部61aの間に挿入されてピストン62の下側やや後方に位置するようになっている(図5参照)。
ピストン62は、取付側係合ブロック61の内部に配置されており、軸方向が上下方向に沿っている。ピストン62は、ピン63が前後に貫通している。ピン63は、取付側係合ブロック61に配設された上下に長い楕円状の孔を貫通している(図4)。このピン63により、ピストン62は、軸方向周りの回転が規制されると共に所定量だけ上下移動可能に取付側係合ブロック61内に保持されている。ピストン62は下端に傾斜面62aを有している(図5)。傾斜面62aは、係合ローラー76を押圧可能な面であり、上側に行くほど後方に位置する向きに傾斜している。
カム部材64は、軸部材65に取り付けられた板カムであり、軸部材65の回転運動をピストン62の上下方向の運動に変換する。軸部材65は、カム部材64及び捻りバネ66を左右に貫通する部材であり、軸回転可能に取付側係合ブロック61に保持されている。軸部材65は、連動レバー69と接続されており、両者は一体的に回転可能になっている。この軸部材65が回転することで、ヘッド保持部60は保持状態と解除状態とが切り替え可能になっている。具体的には、軸部材65が軸回転(図5(a)における右回りの回転)してカム部材64が図5(a)の状態にあるときには、カム部材64の外周面によってピストン62が下方に付勢される。取付側係合ブロック61とヘッド側係合ブロック75とが係合した状態で、ピストン62が下方に付勢されると、ピストン62の傾斜面62aは係合ローラー76を後方に押圧する。この押圧力により傾斜面62aと係合ローラー76とが係合し、係合ローラー76が固定保持される。これにより、ヘッド70の係合ローラー76と爪部78とが、ヘッド取付装置40のピストン62と爪部ホルダー48とで挟持される状態になり、ヘッド70がヘッド取付装置40に保持固定される。この図5(a)の状態が、ヘッド保持部60の保持状態である。一方、軸部材65が図5(a)の保持状態から左回りに軸回転すると、カム部材64はピストン62を下方に付勢しない状態になる。この状態では、傾斜面62aと係合ローラー76との係合が解除された状態となり(図5(c)参照)、係合ローラー76を前方に引き出す、すなわちヘッド70をヘッド取付装置40から取り外すことが可能になる。この図5(c)の状態が、ヘッド70を保持しない解除状態である。なお、捻りバネ66は、右端が取付側係合ブロック61に接続されると共に左端が連動レバー69に接続されて、図5における右回りに回転するよう連動レバー69を付勢する。そのため、例えば図5(a)の状態では、連動レバー69及び軸部材65が右回りに回転するように付勢されることで、係合ローラー76からの反力によりカム部材64が左回りに回転することが防止されて、保持状態が維持される。
連動レバー69は、板状の部材であり、図5(a)に示すヘッド保持部60の保持状態では、長手方向が略前後方向に沿う向きに位置するように、軸部材65に接続されている。また、図5(a)に示すように、配線部50が接続用位置にあり且つヘッド保持部60が保持状態にあるときには、連動レバー69の下方に配線カバー55の当接部材55dが離間して配置されるように、連動レバー69の形状、及び連動レバー69と当接部材55dとの位置関係が調整されている。なお、この状態では、連動レバー69は軸部材65及び捻りバネ66以外の部材とは接触していない。また、連動レバー69は、配線部50が接続用位置から退避位置まで移動する際には当接部材55dに当接可能となる位置に配置されている。
ヘッド取付装置40の説明の中でも説明したが、ヘッド70は、図3に示すように、本体の前方上側にヘッド側コネクタ部72を有している。ヘッド側コネクタ部72は、1以上(本実施形態では3個)のヘッド側コネクタ73を有している。また、ヘッド70は、図4に示すように、ヘッド70の背面部70aに配設された、ヘッド側係合ブロック75と、エア入力ポート77と、爪部78と、を備えている。
こうして構成された実装装置10では、例えばコントローラ80が対基板作業処理の一例としての部品実装処理を行い、必要に応じて作業者がヘッド70の交換作業を行う。部品実装処理では、コントローラ80は、ヘッド取付装置40及びY軸スライダ30によってヘッド70をフィーダ部94上に移動させて、実装対象の部品を吸着ノズル37に吸着させ、部品を基板16上の所定位置に配置する。そして、コントローラ80は、このように部品をフィーダ部94から採取して基板16上に配置する処理を、所定数及び所定の種類の部品の基板16上への配置が完了するまで繰り返し行い、完了すると部品実装処理を終了する。コントローラ80は、部品実装処理を、所定枚数の基板16について繰り返し行う。作業者は、所定枚数の基板16についての部品実装処理が完了して、次の部品実装処理を行うために必要な別のヘッド70への交換を行いたい場合や、ヘッド70のメンテナンスを行いたい場合などに、ヘッド70の交換作業を行う。以下、作業者によるヘッド70の交換作業について詳細に説明する。
まず、ヘッド70がヘッド取付装置40に取り付けられている状態について説明する。この状態では、図2及び図5(a)に示すように、ヘッド取付装置40の配線部50は接続用位置にあり、ヘッド保持部60は保持状態である。また、ヘッド70の爪部78はヘッド取付装置40の爪部ホルダー48に嵌まっている。配線部50は、接続用位置にあるときには、上述したように円柱部材56cと凹部43とが係合している。しかも、バネ57により円柱部材56cは後方に付勢されているから、バネ57により円柱部材56cと凹部43(側部42)とは互いに近づく方向に押圧されて、円柱部材56cが凹部43から外れにくくなっている。すなわち、バネ57によって、より確実に円柱部材56cと凹部43との係合状態が維持されている。また、ヘッド保持部60は、上述したように捻りバネ66の弾性力により連動レバー69及び軸部材65が右回りに回転するように付勢され、その弾性力によるヘッド保持部60からの反力(より具体的には軸部材65,カム部材64及びピストン62を介した、係合ローラー76側からの反力)とによって、保持状態が維持されている。また、この弾性力と反力とによって、連動レバー69は、軸部材65,捻りバネ66以外の部材には当接部材55dを含め接触しない状態で固定されている。
次に、ヘッド70の取外作業について説明する。ヘッド70がヘッド取付装置40に取り付けられている状態で、作業者は、まず、取付側コネクタ部52の取付側コネクタ53の各々を上方に引き上げて、取付側コネクタ部52をヘッド側コネクタ73から取り外す。続いて、作業者は、片方の手でヘッド70を持ち、もう片方の手でロックレバー56のレバー部56aを前方に引いて、円柱部材56cと凹部43との係合を解除する(図5(b)参照)。これにより、配線部50はピン55bを中心に回転可能になる。次に、作業者は、レバー部56aを前方に引きながら上方に外力を加えて、配線部50を接続用位置から退避位置に向けて移動(ここでは回転)させる。このとき、当接部材55dも上後方に移動するため、当接部材55dが連動レバー69の下側に当接する。連動レバー69は、上記のように捻りバネ66からの弾性力で付勢されているが、作業者がこの弾性力に抗する力で配線部50(ここではレバー部56a)に対する外力を加えれば、配線部50の回転移動に連動して当接部材55dに付勢された連動レバー69が回転(図5(a)における左回りの回転)し、軸部材65も一体的に回転する。これにより、配線部50の退避位置への移動に連動して、ヘッド保持部60の保持状態が解除されていく。なお、連動レバー69の回転軸から離れた部分を当接部材55dが押圧して連動レバー69を回転させるため、作業者が配線部50に対して上方に加える外力は捻りバネ66の弾性力に比べて小さくてすむ。
そして、配線部50を退避位置まで移動させると、作業者はレバー部56aから手を離す。これにより、ロックレバー56の円柱部材56cは、バネ57の弾性力によって凹部44に近づく方向に付勢されて、凹部44と係合する(図5(c)参照)。これにより、配線部50が例えば自重により退避位置から接続用位置に戻る(図5(a)における右回りに回転する)のが規制されて、配線部50が退避位置で固定される(図5(c)及び図3参照)。また、この状態において、連動レバー69は捻りバネ66からの弾性力で回転(図5(c)における右回りの回転)するよう付勢されているが、連動レバー69と当接部材55dとが当接していることで、連動レバー69は回転することなく固定されている。これにより、ヘッド保持部60は、解除状態で維持される。このように、円柱部材56cと凹部44とが係合し且つ当接部材55dが連動レバー69の回転を規制することで、作業者が手を触れていなくとも、配線部50は退避位置で維持され、ヘッド保持部60は解除状態で維持される。その後、作業者は、ヘッド70を持っていた手で爪部78を中心として回転するようにヘッド70を前方に引っ張り、係合ローラー76をヘッド保持部60よりも前方に引き出した後、ヘッド70をヘッド取付装置40から取り外す(図4)。以上によりヘッド70の取外作業が終了する。
次に、ヘッド70の取付作業について説明する。図4のように配線部50が退避位置で維持され、ヘッド保持部60が解除状態で維持されている状態で、作業者はまず、取り付け対象のヘッド70をヘッド取付装置40に取り付ける。具体的には、まず、ヘッド70の爪部78をヘッド取付装置40の爪部ホルダー48に嵌め、その後に爪部78を中心として回転するようにヘッド70を後方に押圧し、ヘッド70の背面部70aをヘッド取付装置40の取付面40aに接触させる。これにより、図3及び図5(c)の状態になる。この状態では、ヘッド側係合ブロック75及び係合ローラー76は一対の突出部61aの間の空間に挿入される。また、エア供給ポート47とエア入力ポート77とが接続されて、図示しない正圧源及び負圧源からの正圧及び負圧を吸着ノズル37に供給可能な状態になる。
続いて、作業者は、片方の手でヘッド70の取付状態を維持したまま、もう片方の手でロックレバー56のレバー部56aを前方に引いて、円柱部材56cと凹部44との係合を解除する(図6参照)。ここで、円柱部材56cと凹部44との係合が解除されると、配線部50はピン55bを中心として回転可能になるため、当接部材55dによる連動レバー69の回転の規制が弱まる。そのため、配線部50を図6の左回りに回転させるような外力が働かないときには、捻りバネ66からの弾性力によって連動レバー69が回転(図6における右回りの回転)し、ヘッド保持部60は解除状態から保持状態に切り替わっていく。また、これと同時に、連動レバー69の回転により当接部材55dが下前方に付勢されて、配線部50が退避位置から接続用位置に向けて移動していく。すなわち、ヘッド保持部60の解除状態から保持状態への切り替えに連動して、配線部50が退避位置から接続用位置に向けて移動していく。本実施形態では、このように、作業者がレバー部56aを引くだけで、配線部50の接続用位置への移動及びヘッド保持部60の保持状態への切り替えを開始させることができる。なお、作業者がレバー部56aから手を離しても円柱部材56cが凹部44に係合しない位置まで配線部50が回転した後で、作業者がレバー部56aを離せば、捻りバネ66の弾性力により、配線部50の接続用位置への移動及びヘッド保持部60の保持状態への切り替えがそのまま継続する。なお、配線部50が接続用位置に向けて移動している間は、ロックレバー56の円柱部材56cはバネ57の弾性力により側部42に向けて付勢されることになり、側部42の縁部の形状によっては配線部50の回転を妨げる方向に力が作用する場合がある。この場合、バネ57による配線部50の回転を妨げる力よりも連動レバー69の回転による当接部材55dへの付勢力が強くなるように、バネ57及び捻りバネ66の弾性力を調整しておけばよい。また、配線部50の自重も配線部50を接続用位置に向けて回転させる方向に働くため、この分も加味してバネ57及び捻りバネ66の弾性力を調整すればよい。
そして、配線部50は、接続用位置に到達すると、円柱部材56cと凹部43とが係合して、接続用位置で固定される(図2及び図5(a)参照)。また、ヘッド保持部60は、保持状態に切り替わってヘッド70を保持し、捻りバネ66の弾性力によりその状態が維持される。その後、作業者は、ヘッド70を保持していた手を離して、取付側コネクタ部52の取付側コネクタ53の各々をヘッド側コネクタ73に接続する。以上によりヘッド70の取付作業が終了し、ヘッド70の交換作業が終了する。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のヘッド70が本発明の作業ヘッドに相当し、ヘッド保持部60がヘッド保持部に相当し、配線部50が配線部に相当し、連動レバー69が連動部に相当する。また、円柱部材56cが係合部に相当し、側部42の凹部44が被係合部に相当し、バネ57が係合維持部に相当し、捻りバネ66が保持状態維持部に相当し、実装装置10が対基板作業装置に相当する。
以上詳述した本実施形態の実装装置10によれば、配線部50が接続用位置から退避位置に移動すると、その移動と連動して、連動レバー69がヘッド保持部60を保持状態から解除状態に切り替える。そのため、作業者は配線部50を退避させる動作によってヘッド70の保持解除も行うことができる。したがって、例えば作業者が配線部50を退避させる動作とヘッド70を保持解除する動作とを別々に行う場合に比べて、配線部50の退避とヘッド70の保持解除とを容易に行うことができる。そのため、作業者はヘッド70の取外作業を容易に実行できる。また、連動レバー69は、配線部50の退避位置から接続用位置への移動とヘッド保持部60の解除状態から保持状態への切り替えとを連動させる。そのため、作業者は、配線部50を接続用位置に向けて移動させる動作(ここでは円柱部材56cと凹部44との係合を解除して配線部50の移動を開始させる動作)によってヘッド70の保持も行うことができる。したがって、例えば作業者が配線部50を接続用位置に移動させる動作とヘッド70をヘッド保持部60に保持させる動作とを別々に行う場合に比べて、配線部50の接続用位置への移動とヘッド70の保持とを容易に行うことができる。そのため、作業者はヘッド70の取付作業を容易に実行できる。
また、配線部50は、接続用位置から退避位置への移動に伴って移動する円柱部材56cを有している。そして、ヘッド取付装置40は、配線部50が接続用位置から退避位置に移動すると円柱部材56cと係合して配線部50の接続用位置への移動を規制する凹部44を備えている。これにより、作業者が配線部50を退避位置に移動させる動作を行うと、円柱部材56cと側部42の凹部44とが係合して配線部50の接続用位置への移動が規制される。そのため、作業者は配線部50を退避させる動作によって配線部50の退避位置での固定も行うことができる。したがって、例えば作業者が配線部50を退避させる動作と配線部50を固定する動作とを別々に行う場合に比べて、配線部50の退避と固定とを容易に行うことができる。これにより、作業者はヘッド70の取外作業をより容易に実行できる。また、作業者が配線部50を退避位置に移動させると円柱部材56cと凹部44とが係合して配線部50が固定されるため、作業者は配線部50から手を離して他の動作をしやすくなる。これにより、作業者はヘッド70の取外作業及び取付作業をより容易に実行できる。
さらに、ヘッド取付装置40は、円柱部材56cと凹部44とが係合した状態において係合した状態を維持するように円柱部材56cに弾性力を作用させるバネ57を備えている。そのため、配線部50を退避位置でより確実に固定できる。同様に、バネ57は円柱部材56cと凹部43とが係合した状態において係合した状態を維持するように円柱部材56cに弾性力を作用させるため、配線部50を接続用位置でより確実に固定できる。また、バネ57の弾性力により円柱部材56cと凹部43とを確実に接触させておくことができるため、例えば実装装置10の使用中にロックレバー56が振動するのを抑制することができる。ロックレバー56が振動すると、例えば取付側コネクタ部52に振動が伝わって取付側コネクタ53とヘッド側コネクタ73との接続用のピンが摩耗するなどの不具合が起きる場合があるが、そのようなことを抑制できる。
さらにまた、ヘッド取付装置40は、連動レバー69がヘッド保持部60を解除状態から保持状態に切り替える方向に、連動レバー69に弾性力を作用させる捻りバネ66、を備えている。そして、連動レバー69は、配線部50を接続用位置から退避位置に移動させる外力が働くと、その外力によって捻りバネ66からの弾性力に抗してヘッド保持部60を保持状態から解除状態に切り替えるように構成されている。さらに、連動レバー69は、その外力が働かないときには、捻りバネ66からの弾性力によってヘッド保持部60を解除状態から保持状態に切り替えると共に配線部50を退避位置から接続用位置に向けて付勢する。これにより、例えば作業者が配線部50から手を離すなど配線部50に外力を加えないようにすることで、自動的に配線部50を接続用位置に向けて移動させることができ且つ自動的にヘッド保持部60を保持状態に切り替えることができる。したがって、作業者は配線部50の接続用位置への移動とヘッド70をヘッド取付装置40に保持させる作業とをより容易に行うことができる。そのため、作業者はヘッド70の取付作業をより容易に実行できる。
しかも、作業者が配線部50を退避位置に移動させると円柱部材56cと凹部44とが係合して配線部50が固定されるため、この固定によって捻りバネ66からの弾性力に抗することができ、作業者が外力を配線部50に与え続けなくてもヘッド保持部60を解除状態のまま維持することができる。また、作業者が円柱部材56cと凹部44との係合を解除して配線部50に外力が加わらないようにすれば、自動的に配線部50を接続用位置に向けて移動させ且つ自動的にヘッド保持部60を保持状態に切り替えることができる。
そしてまた、ヘッド取付装置40は、連動レバー69がヘッド保持部60を解除状態から保持状態に切り替える方向に、連動レバー69に弾性力を作用させる捻りバネ66、を備えている。そして、連動レバー69は、ヘッド保持部60が保持状態でヘッド70を保持しているときには、捻りバネ66からの弾性力とその弾性力によるヘッド保持部60からの反力とによって、接続用位置にある配線部50に当接しない位置で固定される。さらに、連動レバー69は、配線部50が接続用位置から退避位置に移動する際には、配線部50の当接部材55dと当接し、配線部50を移動させる外力によって捻りバネ66からの弾性力に抗してヘッド保持部60を保持状態から解除状態に切り替えるように構成されている。これにより、配線部50が接続用位置にあり且つヘッド保持部60が保持状態にあるときには、連動レバー69と配線部50とが当接せず且つ連動レバー69が固定された状態になる。そのため、例えば連動レバー69と配線部50とが当接している場合と比較して配線部50の振動が連動レバー69に伝わることを抑制でき、且つ、連動レバー69が固定されていない場合と比較して連動レバー69が振動することを抑制できる。これにより、例えば取り付けられたヘッド70の使用時などにヘッド保持部60が振動することを抑制できる。ヘッド保持部60の振動が抑制されることで、使用時のヘッド70のずれや揺れなどによるヘッド70の取付状態の悪化を抑制できる。すなわちヘッド取付装置40がヘッド70をより確実に保持できる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、作業者はレバー部56aを前方に引きながら上方に外力を加えて配線部50を接続用位置から退避位置に移動させることとしたが、これに限られない。例えば、配線部50を接続用位置から退避位置まで移動させるにあたり、作業者がレバー部56aを前方に引かなくとも円柱部材56cが凹部43に係合しない位置まで配線部50が回転した後であれば、作業者はレバー部56aに対して前方に引く力を加えず上方(配線部50を回転させる方向)にのみ外力を加えればよい。また、作業者がレバー部56aを前方に引かなくとも円柱部材56cが凹部43に係合しない位置まで配線部50が回転した後であれば、作業者は配線部50のうちレバー部56a以外の場所に外力を加えてもよい。
また、例えば、作業者がレバー部56aを持つことなく配線部50(例えば配線カバー55)を上方に持ち上げる(ピン55bを中心に回転させる)ように外力を加えるだけで、配線部50が接続用位置から退避位置に向けて移動可能になるようにしてもよい。例えば凹部43の形状やバネ57の弾性力を調整すれば、配線部50に対して加わる上向きの外力(配線部50を回転させる外力)によって円柱部材56cと凹部43との係合が解除されて接続用位置から退避位置に向けて移動可能になるように構成することができる。この場合の動作について説明する。まず、配線部50に対して加わる上向きの外力によって、円柱部材56cが凹部43の表面に沿って案内されながら上方に移動し、これによりバネ57の弾性力に抗して円柱部材56cが少し前方に移動して凹部43からの係合が解除される。そして、さらに円柱部材56cは側部42の縁に沿って上方に移動していき、凹部44に係合して固定される。こうすることで、作業者は、配線部50を上方に持ち上げるだけで、配線部50の接続用位置から退避位置への移動を行うことができる。そのため、作業者は、配線部50の接続用位置から退避位置への移動を1動作で行うことができ、配線部50の退避とヘッド70の保持解除とをより容易に行うことができる。
上述した実施形態では、バネ57からのロックレバー56への弾性力により円柱部材56cを凹部43,44に近づく方向に付勢することで、円柱部材56cと凹部43との係合や円柱部材56cと凹部44との係合が維持されるようにしたが、これに限られない。円柱部材56cと凹部44とが係合した状態を維持するように、円柱部材56cと凹部44との少なくとも一方に弾性力を作用させる係合維持部を備えていればよい。凹部43と円柱部材56cとの係合の維持についても同様である。例えば、側部42を前後に移動可能に構成して、この側部42を円柱部材56cに近づく方向(例えば前方)に付勢するように側部42に弾性力を作用させるバネを配設してもよい。また、係合維持部は、バネに限らず弾性力を作用させる部材であればよい。また、このような係合維持部を備えなくてもよい。この場合、作業者はロックレバー56を後方に押し込むことで、円柱部材56cと凹部43とを係合させたり、円柱部材56cと凹部44とを係合させたりしてもよい。また、円柱部材56cと凹部44との係合については、配線部50の傾斜によってロックレバー56が自重で後方に移動して、バネ57が無くとも退避位置で自動的に円柱部材56cと凹部44とが係合するようにしてもよい。
上述した実施形態では、接続用位置では円柱部材56cと凹部43が係合し、退避位置では円柱部材56cと凹部44とが係合したが、これらの少なくとも一方を省略してもよい。例えば、凹部44が存在しない場合において、作業者は、配線部50を退避位置まで移動させた後に、側部42と第1側板55aとを貫通する固定する固定ピンを挿入して、配線部50を退避位置で固定してもよい。
上述した実施形態では、配線部50が接続用位置から退避位置に移動すると、その移動と連動して、連動レバー69がヘッド保持部60を保持状態から解除状態に切り替えたが、これに限られない。連動部(例えば連動レバー69)は、配線部50の接続用位置から退避位置への移動とヘッド保持部60の保持状態から解除状態への切り替えとを連動させればよい。例えば、実装装置10が、ヘッド保持部60の解除状態への切り替えに連動して配線部50を退避位置に移動させるような連動部を備えていてもよい。このように、本明細書における「連動」は、複数の動作(例えば配線部50の移動とヘッド保持部60の切替)がどのような順序で生じるかについては特に限定されない。例えば複数の動作のいずれが先に生じてもよいし、複数の動作が同時に生じてもよい。
上述した実施形態では、ヘッド保持部60が解除状態から保持状態に切り替わる際に、捻りバネ66からの弾性力による連動レバー69の回転によって当接部材55dが下前方に付勢されて、配線部50が退避位置から接続用位置に向けて付勢されたが、これに限られない。例えば、捻りバネ66の弾性力が、配線部50を接続用位置に向けて移動させるには至らない程度の力であってもよい。この場合、作業者は配線部50を下方に付勢して退避位置から接続用位置に向けて移動させてもよい。この場合でも、作業者が配線部50を接続用位置へ移動させるだけで、それと連動してヘッド保持部60を保持状態に切り替えることができる。あるいは、配線部50が自重により(又は、自重と捻りバネ66の弾性力とにより)退避位置から接続用位置へ移動するように構成されていてもよい。こうすれば、作業者が円柱部材56cと凹部44との係合を解除すれば、上述した実施形態と同様に配線部50が退避位置から接続用位置へと自動的に移動し且つヘッド保持部60が捻りバネ66の弾性力によって自動的に保持状態に切り替わる。このように、連動レバー69は、配線部50の接続用位置への移動に連動してヘッド保持部60を保持状態に切り替えてもよいし、ヘッド保持部60の保持状態への切り替えに連動して配線部50を接続用位置に移動させてもよい。連動レバー69は、配線部50の接続用位置への移動とヘッド保持部60の保持状態への切り替えとを連動させればよい。
上述した実施形態では、連動レバー69は、ヘッド保持部60が保持状態でヘッド70を保持しているときには、捻りバネ66からの弾性力とその弾性力によるヘッド保持部60からの反力とによって、接続用位置にある配線部50に当接しない位置で固定されたが、これに限られない。例えば、ヘッド保持部60が保持状態でヘッド70を保持しているときにも連動レバー69が当接部材55dに当接していてもよい。
上述した実施形態では、配線部50はピン55bにより回転可能に支持されて接続用位置と退避位置との間を回転移動可能としたが、これに限られない。例えば、配線部50は前後にスライド移動して接続用位置と退避位置とに移動可能であってもよい。この場合でも、例えば配線部50の前後の移動に連動して連動レバー69を回転させることはできる。
上述した実施形態では、連動レバー69は、配線部50の退避位置への移動とヘッド保持部60の解除状態への切り替えとを連動させ、且つ、配線部50の接続用位置への移動とヘッド保持部60の保持状態への切り替えとを連動させたが、前者の連動と後者の連動との少なくとも一方を行うように構成されていればよい。連動レバー69が前者の連動は行うが後者の連動は行わない場合の例としては、ヘッド保持部60が捻りバネ66を備えていない場合が挙げられる。あるいは、ヘッド保持部60が解除状態でロックされるよう構成されており作業者が配線部50を接続用位置へ移動した後にヘッド保持部60のロックを解除して保持状態に切り替える場合などが挙げられる。連動レバー69が後者の連動は行うが前者の連動は行わない場合の例としては、連動レバー69が配線部50の当接部材55dの下方に位置しており、配線部50の退避位置への移動時には当接部材55dと連動レバー69とが当接しないが配線部50が接続用位置へ移動する際には当接部材55dと連動レバー69とが当接することでヘッド保持部60が連動して保持状態に切り替わる場合などが挙げられる。
上述した実施形態では、本発明の対基板作業装置を実装装置10として具体化した例を示したが、これに限られない。部品実装処理に限らず作業ヘッドにより基板に対する作業を行う対基板作業装置であればよい。例えば、ヘッド取付装置40は、吸着ノズル37を備えたヘッド70に限らず、接着剤などの粘性流体を塗布する吐出ヘッドとして構成された作業ヘッドを取付可能であってもよい。