JP6730904B2 - 多重化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、周波数が異なる複数の高周波信号を多重化する、或いは、多重化された高周波信号を逆多重化する多重化装置に関する。
スマートフォン、タブレット、及びゲーム機に代表される携帯端末が広く普及し、且つ、携帯端末1台当たりの無線通信量が急激に増加している。そのため、このような携帯端末の無線通信用として割り当てられる周波数帯域は、広帯域化され続けている。
この広帯域化にともない、無線通信の分野では、周波数帯域が異なる複数の高周波信号を多重化する(合波する)、或いは、多重化された高周波信号を逆多重化する(分波する)多重化装置の需要が高まっている。このような多重化装置は、デュプレクサ或いはマルチプレクサとして知られている。以下では、周波数帯域が異なる2つの高周波信号を多重化或いは逆多重化する多重化装置をデュプレクサと称し、周波数帯域が異なる3つ以上の高周波信号を多重化或いは逆多重化する多重化装置をマルチプレクサと称する。
なお、デュプレクサ及びマルチプレクサは、その使用方法に応じて、複数の高周波信号を多重化することもできるし、複数の高周波信号が多重化された高周波信号を逆多重化することもできる。以下においては、主に、多重化及び逆多重化のうち逆多重化を例として説明する。
マイクロ波帯において用いられている既存のデュプレクサは、フィルタ、方向性結合器、及びサーキュレータなどの高周波デバイスを組み合わせることにより構成されている。このタイプのデュプレクサは、フィルタの通過帯域に含まれる高周波信号と、該フィルタの阻止帯域に含まれる高周波信号とを逆多重化することができる。
波長が異なる複数の高周波信号を逆多重化するマルチプレクサを、上述したデュプレクサと同様に、フィルタ、方向性結合器、及びサーキュレータなどの組み合わせにより実現する場合、該マルチプレクサは、上述したデュプレクサであってフィルタの通過帯域が異なるデュプレクサを直列に接続することにより実現される。波長が異なるN個(Nは3以上の自然数)の高周波信号を逆多重化するためには、N−1個のデュプレクサを直列に接続する。したがって、このように構成されたマルチプレクサは、高周波信号の数を表すNが増加するにしたがって、(1)該ダイプレクサを構成する高周波デバイスの数が増加する、(2)該ダイプレクサのサイズが大きくなる、という問題を有する。
一方、異なる周波数帯域の複数の高周波信号をまとめて逆多重化することができる高周波デバイスとして、マイクロ波レンズが知られている。特許文献1には、周波数が異なる複数の高周波信号がまとめて入力された場合であっても、それぞれの高周波信号の周波数を同時に測定可能な周波数測定装置が記載されている。この周波数測定装置は、特許文献1の図1に図示されているように、分配器と、位相器と、マイクロ波レンズとを備えている。
分配器に入力された高周波信号(特許文献1に記載の入力信号)は、分配器により等振幅且つ同位相のN個の高周波信号に分けられ、移相器に入力される。移相器は、入力されたN個の高周波信号のそれぞれについて所定の位相ずつ移相する。移相器によりそれぞれ移相されたN個の高周波信号の各々は、マイクロ波レンズの各端子に入力される。
マイクロ波レンズは、誘電体からなる基板と、該基板のおもて面にプリントされた導体パターンと、該基板のうら面に形成されたグランド層とにより構成される。特許文献1の図1に図示された該導体パターンは、非特許文献1に記載されたロットマンレンズ(wide-angle microwave lens)の設計方法にしたがって設計することができる。
入力ポートの各々から入力された高周波信号は、それぞれ、複数の出力ポートの各々に到達する。したがって、複数の出力ポートの各々においては、N個の高周波信号が干渉し、その振幅が足し合わされることになる。その結果、各出力ポートにおいては、その出力ポートに特有の周波数を有する高周波信号のみが振幅を強めあい、それ以外の周波数を有する高周波信号が振幅を弱めあう。すなわち、各出力ポートからは、その出力ポートに特有の周波数を有する高周波信号のみが検出される。
以上のように、特許文献1に記載された周波数測定装置は、マイクロ波レンズを用いることによって、周波数が異なる複数の高周波信号から周波数が所定の周波数帯域に含まれる高周波信号のみを分離することができる。
また、非特許文献2には、マイクロ波レンズの一態様であるロットマンレンズを用いたマルチプレクサ(非特許文献2においてはデマルチプレクサと表記)が記載されている。非特許文献2のFig.4に図示されているように、このマルチプレクサは、13個のビームポート、13個のアレイポート、ロットマンレンズを構成する導体パターン、及び、アレイポートに接続されたAWG(Arrayed Waveguide Grating)を備えている。AWGは、アレイポートの各々に接続された導波路からなる導波路群である。この導波路群を構成するそれぞれの導波路は、一方の端部がロットマンレンズに接続されており、他方の端部は、信号を反射するように構成されている。したがって、ロットマンレンズから各導波路に入力された信号は、各導波路の他方の端部において反射され、再びロットマンレンズに入力される。
このとき、各導波路の長さは、入力された信号の位相を所定の量だけずらすようにそれぞれ定められている。その結果、7番目のビームポート(中央のビームポート)からロットマンレンズに入力された信号は、各アレイポートに到達し、AWGを一往復する過程において所定の位相差をつけられ、AWGから再びロットマンレンズに入力され、各ビームポートに到達する。その結果、各ビームポートからは、それぞれ、そのビームポートに特有の周波数を有する高周波信号のみが検出される。
特開平4−43968号公報(1992年2月13日公開)
W. Rotman and R. F. Turner, "Wide-angle Microwave Lens for Line Source Applications", IEEE TRANSACTIONS ON ANTENNAS AND PROPAGATION, VOL. 11, Issue 6, November 1963 Yunhua Zhang, Vincent Fusco, "Rotman Lens Used as a Demultiplexer/Multiplexer", Microwave Conference (EuMC), 2012 42nd European, 2012 Paul P. Roberts and Graham E. Town, "Dsesign of Microwave Filters by Inverse Scattering", IEEE TRANSACTIONS ON MICROWAVE THEORY AND THECHIQUES, VOL. 43, NO.4, APRIL 1995
しかしながら、非特許文献2に記載されたマルチプレクサは、隣接するビームポート間に生じるクロストークが大きいという課題を有する。このマルチプレクサでは、AWGを伝搬する高周波信号に位相差をつけるために、AWGを構成する各導波路の長さをそれぞれ異ならせる構成を採用している。そのため、AWGを一往復したのちにロットマンレンズに入力された高周波信号は、互いに異なる強度を有し、時間遅延量が周波数により異なることにより強度ピークが周波数に比例して移動することになる。結果として、各ビームポートに到達した高周波信号同士の干渉が理想的な状態からずれてしまい、隣接するビームポート間に生じるクロストークが増大し、出力されるスペクトルもなだらかな山のようになり、各出力ポートの帯域幅も限定される。
本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、マイクロ波レンズを備えた多重化装置において、隣接するポート間におけるクロストークを抑制することである。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る多重化装置は、複数のビームポート及び複数のアレイポートを含むマイクロ波レンズと、前記複数のアレイポートの各々に1つずつ結合された導波路によって構成された導波路群と、前記導波路の各々に挿入された、所定の周波数帯域を反射帯域とするバンドリジェクトフィルタによって構成されたフィルタ群と、を備えている。
上記の構成によれば、複数のビームポートの何れか1つに対して、複数の周波数帯域の各々に含まれる高周波信号が多重化された多重化信号を入力した場合に、多重化信号は、該ビームポート、マイクロ波レンズ、各アレイポート、及び、各導波路を経て各バンドリジェクトフィルタに到達する。各バンドリジェクトフィルタは、反射帯域に含まれる高周波信号を反射する。各バンドリジェクトフィルタにより反射された反射帯域に含まれる高周波信号の各々は、各導波路及び各アレイポートを経てマイクロ波レンズに再び入力される。マイクロ波レンズは、反射帯域に含まれる高周波信号の各々を複数のビームポートの何れか1つに集中させることができる。
このように本多重化装置は、複数の周波数帯域の各々に含まれる高周波信号が多重化された多重化信号から反射帯域に含まれる高周波信号を逆多重化し、1つのビームポートから選択的に出力することができる。すなわち、本多重化装置は、デュプレクサとして機能する。
本多重化装置が備えているバンドリジェクトフィルタは、その強度をその設計によりコントロールしながら、反射帯域に含まれる高周波信号を反射することができる。したがって、本多重化装置は、各バンドリジェクトフィルタによって反射された高周波信号であって、強度が同程度に揃った高周波信号の各々をマイクロ波レンズに対して入力することができる。したがって、従来のAWGを備えた多重化装置(例えば非特許文献2に記載のマルチプレクサ)と比較して、隣接するビームポート間におけるクロストークを抑制することができる。
本発明の一態様に係る多重化装置において、前記フィルタ群を構成する前記バンドリジェクトフィルタの各々は、それぞれ、前記反射帯域の高周波信号に対して異なる位相特性を有する、ことが好ましい。
本明細書において、バンドリジェクトフィルタの位相特性は、バンドリジェクトフィルタが反射帯域に含まれる高周波信号を反射したときに生じる位相変化量Δφの周波数依存性のことを意味する。上記の構成によれば、バンドリジェクトフィルタの数を抑えながら多数の周波数を分割することができる。
本発明の一態様に係る多重化装置において、前記フィルタ群を構成する前記バンドリジェクトフィルタの少なくとも何れか1つは、前記反射帯域に含まれる高周波信号に対して、他のバンドリジェクトフィルタと異なる反射係数を有する、ことが好ましい。
上記の構成によれば、隣接するビームポート間におけるクロストークを更に抑制することができる。
本発明の一態様に係る多重化装置において、前記フィルタ群を構成する前記バンドリジェクトフィルタの各々の反射係数は、前記マイクロ波レンズの対称軸に近いアレイポートに挿入されたバンドリジェクトフィルタほど大きく、前記マイクロ波レンズの対称軸から遠いアレイポートに挿入されたバンドリジェクトフィルタほど小さい、ことが好ましい。
上記の構成によれば、隣接するビームポート間におけるクロストークを確実に抑制することができる。
本発明の一態様に係る多重化装置において、前記バンドリジェクトフィルタを第1のハンドリジェクトフィルタとし、前記フィルタ群を第1のフィルタ群として、前記導波路の各々に挿入された、前記第1のバンドリジェクトフィルタとは反射帯域が互いに異なる第2〜第nのバンドリジェクトフィルタの各々によってそれぞれが構成された第2〜第nのフィルタ群を更に備えている、ことが好ましい。
上記の構成によれば、第1〜第nのフィルタ群の各々は、互いに異なる反射帯域に含まれる高周波信号を反射する。マイクロ波フィルタは、互いに異なる反射帯域に含まれる高周波信号を複数のビームポートの何れか1つに集中させることができる。したがって、本校集は装置は、マルチプレクサとして機能する。
第1〜第nのフィルタ群を構成する第1〜第nのバンドリジェクトフィルタの各々は、上述したように、その強度をその設計によりコントロールしながら、反射帯域に含まれる高周波信号を反射することができる。したがって、本多重化装置は、従来のAWGを備えた多重化装置(例えば非特許文献2に記載のマルチプレクサ)と比較して、隣接するビームポート間におけるクロストークを抑制することができる。
本発明の一態様に係る多重化装置において、前記第1〜第nのフィルタ群において、第iのフィルタ群(iは、1以上n以下の自然数)を構成する第iのバンドリジェクトフィルタの各々は、互いに隣接する導波路を伝搬する高周波信号に対して所定の伝搬経路差を生じさせるように、前記導波路の各々に挿入されている、ことが好ましい。
上記の構成によれば、第iのバンドリジェクトフィルタの各々により反射され、且つ、マイクロ波レンズに再び入力される高周波信号の各々には、所定の時間遅延差が付けられる。マイクロ波レンズは、この所定の時間遅延差に基づき、第iのバンドリジェクトフィルタの各々により反射された高周波信号の各々を、複数のビームポートの何れか1つに集中させる。したがって、上述した所定の時間遅延差を適宜設計することによって、本多重化装置は、第iのバンドリジェクトフィルタの各々により反射された高周波信号の各々を任意のビームポートから選択的に出力することができる。
本発明の一態様に係る多重化装置において、前記所定の伝搬経路差は、前記第iのバンドリジェクトフィルタの各々により反射された高周波信号の各々が干渉した結果として、前記複数のビームポートのうち何れか1つのビームポート上においてその強度がピークを有するように定められている、ことが好ましい。
上記の構成によれば、隣接するビームポート間におけるクロストークをより確実に抑制することができる。
本発明の一態様に係る多重化装置において、前記マイクロ波レンズは、前記導波路群及び前記フィルタ群と共有する誘電体基板と、該誘電体基板のおもて面に形成された導体パターンと、該誘電体基板のうら面に形成されたグランド層であって、前記導波路群及び前記フィルタ群と共有するグランド層とにより構成されており、前記導波路群を構成する前記導波路の各々は、前記誘電体基板と、該誘電体基板のおもて面に形成された帯状導体と、前記グランド層とにより構成されており、前記フィルタ群を構成する前記バンドリジェクトフィルタの各々は、前記誘電体基板と、該誘電体基板のおもて面に形成された帯状導体であって、その幅が周期的に変化する帯状導体と、前記グランド層とにより構成されている、ことが好ましい。
上記の構成によれは、マイクロストリップ線路の技術を利用して本多重化装置を実現することができる。したがって、プリント基板を利用して本多重化装置を製造することができるため、容易に本多重化装置を製造することができる。
本発明の一態様に係る多重化装置において、前記マイクロ波レンズとしてロットマンレンズを採用してもよい。
本発明は、マイクロ波レンズを備えた多重化装置において、隣接するポート間におけるクロストークを抑制する効果を奏する。
本発明の第1の実施形態に係るデュプレクサのブロック図である。 図1に示したデュプレクサが備えるマイクロ波レンズにおける電気長を示す模式図である。 図1に示したデュプレクサ(n=5の場合)の平面図である。 図2の(a)に示したデュプレクサを構成するビームポート側の弧上における高周波信号の強度を示すグラフである。 図2の(b)に示したフィルタ群を構成する各バンドリジェクトフィルタの位相特性を示すグラフである。 図2の(b)に示したフィルタ群を構成する各バンドリジェクトフィルタの反射特性を示すグラフである。 図2の(b)に示したフィルタ群の変形例の平面図である。 本発明の第2の実施形態に係るデュプレクサが備えているフィルタ群の配置を示す模式図である。 図8に示したデュプレクサが備えているフィルタ群を構成する各バンドリジェクトフィルタによって反射された高周波信号における時間遅延量を示すグラフである。 図7に示したデュプレクサの各ビームポートから出力される高周波信号の強度を示すグラフである。 図7に示したデュプレクサの変形例が備えているフィルタ群の配置を示す平面図である。 図10に示した変形例のデュプレクサの各ビームポートから出力される高周波信号の強度を示すグラフである。
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態に係るデュプレクサ1について、図1〜図6を参照して説明する。デュプレクサ1は、請求の範囲に記載された多重化装置に一態様である。図1〜図2を参照してデュプレクサ1の概要について説明した後に、図3〜図6を参照してデュプレクサ1の具体的な構成について説明する。
図1は、デュプレクサ1の構成を模式的に示すブロック図である。図2は、デュプレクサ1が備えるマイクロ波レンズ10における電気長を示す模式図である。図3は、デュプレクサ1の具体的な構成を示す平面図である。図4は、デュプレクサ1を構成するビームポート12側の弧11b上における高周波信号の強度を示すグラフである。図5は、フィルタ群15を構成する各バンドリジェクトフィルタ151〜155の位相特性を示すグラフである。図6は、フィルタ群15を構成する各バンドリジェクトフィルタ151〜155の反射特性を示すグラフである。
(デュプレクサ1の概要)
図1に示すように、デュプレクサ1は、マイクロ波レンズ10と、導波路群14と、フィルタ群15とを備えている。マイクロ波レンズ10は、マイクロ波レンズの一態様である。マイクロ波レンズ10は、レンズ本体11と、ビームポート群12と、アレイポート群13とを備えている。
ビームポート群12は、複数のビームポート121〜12m(mは1以上の自然数)により構成されている。アレイポート群13は、複数のアレイポート131〜13n(nは1以上の自然数)により構成されている。以下において、ビームポート121〜12mの各々において、レンズ本体11側と反対側の端部のことをそれぞれ端部P121〜P12mと称する。また、アレイポート131〜13nの各々において、レンズ本体11側と反対側の端部のことをそれぞれ端部P131〜P13nと称する。
(マイクロ波レンズ10)
マイクロ波レンズ10において、端部P12iに入力された高周波信号は、レンズ本体11内を伝搬する過程において拡散し、アレイポート131〜13nの各々に到達する。図2に示すように、端部P121〜P12mのうち任意のポートを端部P12i(iは1以上m以下の自然数)と表記し、端部P131〜P13nのうち任意のポートを端部P13j(jは1以上n以下の自然数)と表記する。このとき、端部P12iから端部P13jまでの伝搬経路の電気長を電気長Lijと表記する。なお、図2には、端部P12iから端部P131〜P13nの各々まで伝搬経路の電気長Li1〜Linを例示している。
マイクロ波レンズ10において、ビームポート群12の中央に位置するビームポートをビームポート12k(図2には不図示)とした場合、ビームポート12kの端部である端部P12kからアレイポート群13の各端部P131〜P13nまでの電気長の各々は、互いに等しくなるように構成されている。また、ビームポート群12の中央から離れるにしたがって、線形な電気長差は、大きくなるように構成されている。
(導波路群14)
アレイポート131の端部P131には、導波路141が結合されている。アレイポート132の端部P132には、導波路142が結合されている。アレイポート133の端部P133には、導波路143が結合されている。アレイポート13nの端部P13nには、導波路14nが結合されている。このようにアレイポート131〜13nの各々の端部P131〜P13nには、導波路141〜14nが1つずつ結合されている。導波路141〜14nは、導波路群14を構成する。以下において、導波路141〜14nの各々において、レンズ本体11側と反対側の端部のことをそれぞれ端部P141〜P14nと称する。
(フィルタ群15)
導波路141の中途には、バンドリジェクトフィルタ151が挿入されている。以下において、バンドリジェクトフィルタのことをBRFと略して表記する。導波路142の中途には、BRF152が挿入されている。導波路143の中途には、BRF153が挿入されている。導波路14nの中途には、BRF15nが挿入されている。BRF151〜15nは、フィルタ群15を構成する。
BRF151〜15nの各々は、所定の周波数帯域を反射帯域とするBRFである。本実施形態では、60GHz以上65GHz未満の周波数帯域を反射帯域とするようにBRF15a〜15nの各々は、構成されている。したがって、BRF151〜15nの各々は、60GHz以上65GHz未満の周波数帯域に含まれる高周波信号を反射し、それ以外の高周波信号(60GHz未満の周波数帯域及び65GHzを上回る周波数帯域に含まれる高周波信号)を透過する。
(デュプレクサ1の機能)
デュプレクサは、周波数帯域が異なる複数の高周波信号が多重化された高周波信号である多重化信号を逆多重化し、その逆多重化の結果として得られた1つの周波数帯域に含まれる高周波信号を出力することができる。以下に、逆多重化の原理を説明する。
デュプレクサ1において逆多重化を行うために、ビームポート群12を構成するビームポート121〜12mの何れかの端部には、周波数帯域が異なる複数の高周波信号が多重化された多重化信号が入力される。本実施形態においては、ビームポート12の中央のビームポート12kの端部P12kに多重化信号を入力するものとして説明する。
端部P12kに入力された多重化信号は、ビームポート12k、レンズ本体11、及びアレイポート131〜13nの各々を経て、アレイポート131〜13nの各々の端部P131〜P13nに到達する。端部P131〜P13nの各々に到達した多重化信号は、何れも位相が揃っている。
端部P131〜P13nに到達した多重化信号の各々は、それぞれ、導波路群14を構成する導波路141〜14nの各々を伝搬する。
上述したように、導波路141〜14nの各々の中途に挿入されたBRF151〜15nの各々は、60GHz以上65GHz未満の周波数帯域に含まれる高周波信号を反射し、それ以外の高周波信号を透過する。したがって、多重化信号のうち60GHz以上65GHz未満の周波数帯域に含まれる高周波信号は、BRF151〜15nの各々によって反射され、端部P131〜P13nの各々に再び到達する。
ここで、導波路141〜14nの各々、及び、BRF151〜15nの各々は、端部P131〜P13nの各々に再び到達した高周波信号の間に所定の時間遅延差Δtを生じさせるように構成されている。すなわち、導波路群14及びフィルタ群15は、端部P131に再び到達した高周波信号と端部P132に再び到達した高周波信号との間、端部P132に再び到達した高周波信号と端部P133に再び到達した高周波信号との間、・・・、端部P13n−1に再び到達した高周波信号と端部P13nに再び到達した高周波信号との間に何れも時間遅延差Δtを生じさせる。
端部P131〜P13nの各々に再び到達した各高周波信号は、アレイポート131〜13nの各々及びレンズ本体11を介して、レンズ本体11とビームポート121〜12mの各々との境界に到達する。このレンズ本体11とビームポート121〜12mの各々との境界は、ビームポート121〜12mの各々の端部のうち端部P121〜P12mと逆側の端部である。
このレンズ本体11とビームポート121〜12mの各々との境界においては、端部P131〜P13nが伝搬してきた各高周波信号が干渉を起こす。その結果、高周波信号の強度が強め合うように干渉する位置に設けられたビームポート(本実施形態ではビームポート123とする)の端部P123からは60GHz以上65GHz未満の周波数帯域に含まれる高周波信号が高い強度で得られる。一方、高周波信号の強度が弱め合うように干渉する位置に設けられたビームポート(本実施形態ではビームポートP122〜P12m)の端部P121〜P122,P124〜P125の各々からは、60GHz以上65GHz未満の周波数帯域に含まれる高周波信号が低い強度で得られる。
以上のように、デュプレクサ1は、周波数帯域が異なる複数の高周波信号が多重化された高周波信号である多重化信号を逆多重化し、その逆多重化の結果として得られた1つの周波数帯域に含まれる高周波信号を出力することができる。
なお、レンズ本体11とビームポート121〜12mの各々との境界において、高周波信号の強度が強め合うように干渉する位置は、導波路群14及びフィルタ群15において生成される時間遅延差Δtに依存する。時間遅延差Δtに応じた最適な位置に高周波信号を取り出すためのビームポート123を配置することによって、60GHz以上65GHz未満の周波数帯域に含まれる高周波信号をより高い強度を有する状態で得ることができる。また、デュプレクサ1は、時間遅延差Δtが導波路群14及びフィルタ群15の何れか一方において生成されるように構成されていてもよいし、時間遅延差Δtが導波路群14及びフィルタ群15の両方で生成される位相差の和として得られるように構成されていてもよい。
(デュプレクサ1の具体的な構成)
以下では、マイクロ波レンズ10としてロットマンレンズを採用したデュプレクサ1を用いて、その具体的な構成を説明する。ロットマンレンズは、マイクロ波レンズ10の一態様であるため、マイクロ波レンズ10の代わりにロットマンレンズ10と表記する。
図3に示すように、デュプレクサ1は、誘電体製の基板16と、基板16のおもて面に形成された導体パターン17と、基板16のうら面に形成されたグランド層18とにより構成されている。本実施形態では、基板16を構成する誘電体として液晶ポリマー(LCP)を採用し、導体パターン17及びグランド層18を構成する導体として銅を採用している。
導体パターン17は、基板16のおもて面に形成された銅層を図3に図示した形状にパターニングすることによって得られる。また、グランド層18は、基板16のうら面に形成された長方形の銅箔である。グランド層18は、導体パターン17を平面視した場合に、導体パターン17を包含する領域に形成されている。このように構成された導体パターン17、基板16、及びグランド層18は、一種のマイクロストリップ線路として機能する。
(ロットマンレンズ10の形状)
導体パターン17は、ロットマンレンズ10、導波路群14、及びフィルタ群15の各領域に分割することができる。また、ロットマンレンズ10は、レンズ本体11、ビームポート群12、及びアレイポート群13の各領域に分割することができる。
ロットマンレンズ10の主部を成すレンズ本体11は、非特許文献1にあるように設計されており、直線AAを対称軸として線対称な形状を有する。なお、図2を参照して説明したビームポート12kは、直線AA上に位置しており、図3に示したビームポート123に対応する。
図3に示したロットマンレンズにおいて、ビームポート群12は、5つのビームポート121〜125からなり、アレイポート群13は、5つのアレイポート131〜135からなる。すなわち、図3に示したデュプレクサ1は、m=5及びn=5を採用している。
ビームポート121〜125のうち中央のビームポートであるビームポート123は、端部P123と逆側の端部が弧11aと連なるように配置されている。更に、ビームポート123は、端部P123が直線AAに重畳し、且つ、直線AAを対称軸として線対称となるように配置されている。また、ビームポート123は、端部P123と逆側の端部から端部P123に近づくにしたがって幅(直線AAに対して直交する方向に沿った長さ)が狭くなる形状を有し、高周波信号を入力するマクロストリップ線路につながる。
ビームポート121,122の各々は、それぞれ、直線AAの一方の側(図3において上側)に、端部P121,P122と逆側の端部が弧11aと連なるように配置されている。更に、ビームポート122は、ビームポート123と隣接するように配置され、ビームポート121は、そのビームポート122と隣接するように配置されている。
ビームポート124,125の各々は、それぞれ、直線AAの他方の側(図3において下側)に、端部P124,P125と逆側の端部が弧11aと連なるように配置されている。更に、ビームポート124は、ビームポート123と隣接するように配置され、ビームポート125は、そのビームポート124と隣接するように配置されている。
したがって、ビームポート121〜125からなるビームポート群12は、直線AAを対称軸として線対称な形状を有する。
なお、ビームポート121,122,124,125の各々は、ビームポート123と同様に、それぞれ、端部P121,P122,P124,P125と逆側の端部から端部P121,P122,P124,P125に近づくにしたがって幅が狭くなる形状を有する。
アレイポート群13は、弧11bに連なっている点を除いてビームポート群12と同様に構成されている。すなわち、アレイポート131〜135の各々は、それぞれ、端部P131〜P135と逆側の端部が弧11bに連なっており、且つ、アレイポート131〜135からなるアレイポート群13は、直線AAを対称軸として線対称な形状を有する。
図3に示すように、アレイポート131〜135の各々には、それぞれ、導波路141〜145が1つずつ結合されている。導波路141〜145は、導波路群14を構成する。導波路141〜145の各々は、幅が一定な帯状の銅箔により構成されている。また、導波路141〜145の各々は、各々の中心軸が直線AAに沿うように(本実施形態においては平行に)配置されている。
導波路141〜145の各々の中途には、それぞれ、BRF151〜155が1つずつ挿入されている。BRF151〜155の各々は、その幅が周期的に変化する帯状の銅箔(帯状導体)により構成されている。BRF151〜155は、フィルタ群15を構成する。BRF151〜155の各々は、所定の周波数帯域(本実施形態においては60GHz以上65GHz未満)を反射帯域とするバンドリジェクトフィルタである。反射帯域に含まれる周波数の高周波信号を反射するために、BRF151〜155の各々は、その幅が、直線AAに平行な方向に沿って周期的に変化するように構成されている(図3参照)。
なお、本実施形態において、BRF151〜155の各々は、何れも同一に構成されている。したがって、BRF151〜155の各々が有する位相特性(高周波信号を反射したときに生じる位相変化量Δφの周波数依存性)は同一である。
BRF151〜155の各々は、周期的に変化する幅の変化のさせ方、及び、その変化の周期を適宜設計することによって、所望の周波数帯域に含まれる高周波信号を反射することができる。すなわち、所望の周波数帯域を反射帯域にすることができる。バンドリジェクトフィルタに関する詳細は、例えば、非特許文献3に詳しく記載されている。
導波路141〜145の各々において、BRF151〜155の各々は、同様の位置に挿入されている。すなわち、導波路141〜145の各々のレンズ本体11側の端部(アレイポート131〜135の端部P131〜P135の各々に接続されている端部)から、BRF151〜155の各々の始端部(レンズ本体11側の端部)までの区間(導波路141〜145の各々の第1区間と称する)の長さL14は、BRF151〜155の何れにおいても共通である。
したがって、(1)アレイポート群13の端部P131〜P135の各々から、(2)導波路141〜145の各々の第1区間を伝搬し、(3)BRF151〜155の各々によって反射され、(4)導波路141〜145の各々の第1区間を再び伝搬し、(5)端部P131〜P135の各々に到達する各高周波信号の間に時間遅延差Δtは、生じない。
このように構成されたデュプレクサ1の例えば端部P123に多重化信号を入力した場合、ビームポート121、レンズ本体11、及びアレイポート131〜135の各々、及び導波路141〜145の各々を伝搬し、BRF151〜155の各々によって反射され、導波路141〜145の各々の第1区間を再び伝搬し、(5)端部P131〜P135の各々に到達する各高周波信号(反射帯域に含まれる高周波信号)の間に時間遅延差Δtは、生じない。
端部P131〜P135の各々に到達する反射帯域に含まれる高周波信号の各々は、アレイポート131〜135の各々と、レンズ本体11とを伝搬し、弧11a上に到達する。反射帯域に含まれる高周波信号の各々が干渉した結果、弧11a上における反射帯域に含まれる高周波信号の強度は、図4に示すように干渉縞を示す。
図4の横軸である位置Pは、弧11a上における直線AAが通る位置を原点O(P=0.0)と定め、原点Oから点P1へ向かう方向を正の方向と定め、原点Oから点P2へ向かう方向を負の方向と定めている(図3参照)。すなわち、原点Oは、ビームポート123の端部P123と逆側の端部の中心に対応する。また、P=1.0は、ビームポート121の端部P121と逆側の端部の中心に対応し、P=0.5は、ビームポート122の端部P122と逆側の端部の中心に対応し、P=−0.5は、ビームポート124の端部P124と逆側の端部の中心に対応し、P=−1.0は、ビームポート125の端部P125と逆側の端部の中心に対応する。
図4の縦軸に示す強度Iは、上述した各位置において反射帯域に含まれる各高周波信号の強度をシミュレーションした結果を示す。なお、各位置における強度は、原点Oにおける強度に対する比で示されている。
図4を参照すれば、弧11a上に到達した反射帯域に含まれる高周波信号の強度は、原点O、すなわち、ビームポート123に対応する位置において最も大きく、原点Oから遠ざかるにしたがって、振動を伴いながら減少することが分かる。具体的には、P=±0.5、すなわち、ビームポート122,124に対応する位置では、I=−15dBであり、P=±1.0、すなわち、ビームポート121,125に対応する位置では、I=−20dBであった。
以上のように、図3に示すデュプレクサ1は、入力した多重化信号のうちBRF151〜155の反射帯域に含まれる高周波信号をビームポート123の端部P123に出力することができる。
なお、導波路141〜145の各々に挿入する各BRF151〜155の位置関係を適宜変化させることによって、BRF151〜155の反射帯域に含まれる高周波信号を出力するビームポートをビームポート121〜125の中から任意に選択することができる。したがって、デュプレクサ1は、図5に示すように各BRF151〜155の位相特性Δφを適宜変化させることによって、以下のように複数の異なるポートにBRF151〜155の反射帯域に含まれる高周波信号を分割することができる。
図5に示すように、(1)BRF151の位相変化量Δφは、周波数に対して負の大きな相関を有し、(2)BRF152の位相変化量Δφは、周波数に対して負の小さな相関を有し、(3)BRF153の位相変化量Δφは、周波数に関わらず一定であり、(4)BRF154の位相変化量Δφは、周波数に対して正の小さな相関を有し、(5)BRF155の位相変化量Δφは、周波数に対して正の大きな相関を有する。図5に図示したBRF151,152,153,154の各々の位相変化量Δφは、周波数の一次関数で表される。
(BRF151〜155の反射特性)
BRF151〜155の各々の反射特性(反射係数αの周波数依存性)について、図6を参照して説明する。BRF151〜155は、上述したように60GHz以上65GHz未満を反射帯域とするバンドリジェクトフィルタである。したがって、BRF151〜155の各々は、60GHz以上65GHz未満の周波数帯域において反射係数αが大きくなり、60GHz未満及び65GHzを上回る周波数帯域において反射係数αが小さく(好ましくはα≦0.01、理想的にはα〜0)なるように構成されている。
BRF151〜155の各々の反射係数αは、それぞれが同じ値になるように定められていてもよいが、少なくとも何れか1つのBRFの反射係数αが、他のBRFの反射係数αと異なるように構成されていることが好ましい。
この構成によれば、端部P131〜P135の各々に再到達する各高周波信号のうち何れか1つの高周波信号の強度を他の高周波信号の強度と異ならせることにより、ビームポート123以外のビームポート(ビームポート121,122,124,125)から出力される逆多重化信号の強度を相対的に抑制することができる。したがって、ビームポート121〜125間におけるクロストークを更に抑制することができる。
より好ましくは、BRF151〜155の各々の反射係数αは、ロットマンレンズ10の対称軸、すなわち直線AAに近いアレイポートに挿入されたBRFほど大きく、直線AAから遠いアレイポートに挿入されたBRFほど小さい、ことが好ましい。
本実施形態においては、図6に示すように、直線AA上(原点O上)に位置するBRF153の反射係数αが最も大きく(α=1.0)、P=±0.5であるBRF152,154の反射係数αが次に大きく(α=0.9)、P=±1.0であるBRF151,155の反射係数αが最も小さく(α=0.8)なるように、BRF151〜155の各々の反射係数αを定めている。
各反射係数αをこのように定めることによって、ビームポート123以外のビームポート(ビームポート121,122,124,125)から出力される逆多重化信号の強度を確実に抑制することができる。したがって、ビームポート121〜125間におけるクロストークを確実に抑制することができる。
〔第1の変形例〕
図3に示したデュプレクサ1の変形例であるデュプレクサ101について、図7を参照して説明する。デュプレクサ101は、デュプレクサ1が備えている導波路群14及びフィルタ群15の各々を、それぞれ導波路群114及びフィルタ群115に置換することによって得られる。すなわち、デュプレクサ101が備えているロットマンレンズは、デュプレクサ1が備えているロットマンレンズ10と同一である。
図7に示すように、デュプレクサ101において、導波路群114は、導波路1141〜1145からなる。また、フィルタ群115は、BRF1151〜1155からなる。なお、BRF1151〜1155の各々は、何れも同一に構成されている。したがって、BRF1151〜1155の各々が有する位相特性(高周波信号を反射したときに生じる位相変化量Δφの周波数依存性)は同一である。
デュプレクサ1においては、導波路141〜145の各々の第1区間の長さL14が共通となるように、導波路141〜145の各々に対して、それぞれBRF151〜155の各々が挿入されていた。それに対して、デュプレクサ101においては、導波路1141〜1145の各々の第1区間の長さが所定の経路差ΔBRFずつ異なるように、導波路1141〜1145の各々に対して、それぞれBRF1151〜1155の各々が挿入されている。
具体的には図7に示すように、(1)導波路1141の第1区間の長さをL114として、(2)導波路1142の第1区間の長さはL114+ΔBRFで表され、(3)導波路1143の第1区間の長さはL114+2ΔBRFで表され、(4)導波路1144の第1区間の長さはL114+3ΔBRFで表され、(5)導波路1145の第1区間の長さはL114+4ΔBRFで表さる。
したがって、BRF1151によって反射される高周波信号(端部P131からBRF1151を経て端部P131に再到達する高周波信号)の伝搬経路長に対して、BRF1152によって反射される高周波信号(端部P132からBRF1152を経て端部P132に再到達する高周波信号)の伝搬経路長は、2ΔBRFだけ長くなる。同様に、BRF1151によって反射される高周波信号の伝搬経路長に対して、BRF1153,1154,1155の各々によって反射される高周波信号の伝搬経路長は、それぞれ、4ΔBRF,6ΔBRF,8ΔBRFだけ長くなる。換言すれば、BRF1151〜1155の各々は、互いに隣接する導波路を伝搬する高周波信号に対して所定の伝搬経路差である2ΔBRFを生じさせるように、導波路1141〜1145の各々に挿入されている。なお、この2ΔBRFが所定の時間遅延差Δtを生じさせるように、経路差ΔBRFは定められている。
なお、経路差ΔBRFは、ロットマンレンズ10の構成に応じて適宜定められる設計パラメータであり、その絶対値|ΔBRF|は、|ΔBRF|<λg/4を満足する範囲内において定められる。ここで、λgは、反射帯域の中心周波数(本実施形態においては62.5GHz)を有する高周波信号の実効波長である。また、経路差ΔBRFに影響を与えるロットマンレンズ10の構成としては、誘電率と実行誘電率の差、入出力ポートの入射角、ポート数、導波路間の距離、元はアンテナに使われるためビーム放射角度の設定等が挙げられる。
図7に示した直線BBは、端部P131〜P135の各々に再到達した各高周波信号の等位相面を模式的に示している。
デュプレクサ1における逆多重化信号の強度が最大となる位置が原点O(すなわちビームポート123に対応する位置)だったのに対して、このように構成されたデュプレクサ101における逆多重化信号の強度が最大となる位置は、P=−1.0の位置(すなわちビームポート125に対応する位置)となる。したがって、デュプレクサ101は、ビームポート121〜125の中からビームポート125を選択して逆多重化信号を出力することができる。
このように、本発明の一態様に係るデュプレクサでは、端部P131〜P135の各々に再到達する高周波信号の各々に対して所定の時間遅延差Δtを持たせることによって、ビームポート121〜125の中から選択された所定のビームポートに対して逆多重化信号を出力することができる。
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態に係るマルチプレクサ201について、図8〜図10を参照して説明する。図8は、マルチプレクサ201が備えているフィルタマトリクス215Mの配置を示す模式図である。図9は、フィルタマトリクス215Mを構成する各BRFによって反射された高周波信号における時間遅延特性を示すグラフである。図8は、マルチプレクサ201のビームポート121〜125の各々から出力される逆多重化信号の強度を示すグラフである。
マルチプレクサ201は、図3に示したデュプレクサ1が備えている導波路群114を導波路群214に置換し、且つ、フィルタ群15に対応するフィルタ群215C(請求の範囲に記載の第1のフィルタ群)に加えて反射帯域が互いに異なる複数のフィルタ群215A,215B,215D,215E(請求の範囲に記載の第2〜第5のフィルタ群)を追加することによって得られる。以下において、フィルタ群215A〜215Eのことをまとめてフィルタマトリクス215Mと称す。マルチプレクサ201が備えているロットマンレンズは、デュプレクサ1が備えているロットマンレンズ10と同一である。
図8に示すように、マルチプレクサ201において、導波路群214は、導波路2141〜2145からなる。フィルタマトリクス215Mを構成するフィルタ群215A〜215Eのうちフィルタ群215Cは、上述したとおりデュプレクサ1が備えているフィルタ群15に対応する。したがって、フィルタ群215Cの反射帯域は、60GHz以上65GHz未満の周波数帯域である。また、フィルタ群215Aの反射帯域は、50GHz以上55GHz未満の周波数帯域であり、フィルタ群215Bの反射帯域は、55GHz以上60GHz未満の周波数帯域であり、フィルタ群215Dの反射帯域は、65GHz以上70GHz未満の周波数帯域であり、フィルタ群215Eの反射帯域は、70GHz以上75GHz未満の周波数帯域である。
(フィルタ群215C)
導波路2141〜2145の各々において、フィルタ群215Cを構成するBRF215C1〜215C5の各々は、図8に示すように同様の位置に挿入されている。すなわち、導波路2141〜2145の各々のレンズ本体11側の端部(アレイポート131〜135の端部P131〜P135の各々に接続されている端部)から、BRF215C1〜215C5の各々の始端部(レンズ本体11側の端部)までの区間(導波路141〜145の各々の第1区間と称する)の長さL214Cは、BRF215C1〜215C5の何れにおいても共通である。換言すれば、互いに隣接する導波路2141〜2145の第1区間の経路差ΔBRFCは、ΔBRFC=0である。
そのため、BRF215C1〜215C5の各々によって反射されアレイポート群13の各端部P131〜P135の各々に到達した高周波信号(60GHz以上65GHz未満の周波数帯域に含まれる高周波信号)の各々における時間遅延差ΔtCは、ΔtC=0である(図9参照)。なお、図9に示したプロットC1〜C5の各々は、BRF215C1〜215C5の各々によって反射されアレイポート群13の各端部P131〜P135の各々に到達した高周波信号における時間遅延量を示す。図9に示したプロットA1〜A5,B1〜B5,D1〜D5,E1〜E5の各々についても同様である。
したがって、図3に示したデュプレクサ1のフィルタ群15の場合と同様に、フィルタ群215Cによって反射された60GHz以上65GHz未満の周波数帯域に含まれる高周波信号の強度は、ビームポート123において最大となり、ビームポート123から遠ざかるにしたがって著しく減少する。換言すれば、マルチプレクサ201は、ビームポート121〜125の中からビームポート123を選択して60GHz以上65GHz未満の周波数帯域に含まれる高周波信号(逆多重化信号)を出力することができる(図10に示したビームポート123のプロット参照)。
(フィルタ群215A)
導波路2141〜2145の各々において、フィルタ群215Aを構成するBRF215A1〜215A5の各々は、導波路2141〜2145の各々の第1区間の長さL214Aが経路差ΔBRFAずつ長くなるように、導波路2141〜2145の各々に対して挿入されている(図8参照)。ΔBRFAは、図7に示したデュプレクサ101におけるΔBRFと等しい。
そのため、BRF215A1〜BRF215A5の各々によって反射され各端部P131〜P135の各々に到達した高周波信号(50GHz以上55GHz未満の周波数帯域に含まれる高周波信号)の間には、往路及び復路の2回にわたって経路差ΔBRFAに起因する時間遅延が生じる。その結果、図9に示すように、BRF215A1によって反射され端部P131に到達した高周波信号の時間遅延量(プロットA1)が最も小さく、BRF215A2によって反射され端部P132に到達した高周波信号の時間遅延量(プロットA2)、BRF215A3によって反射され端部P133に到達した高周波信号の時間遅延量(プロットA3)、BRF215A4によって反射され端部P134に到達した高周波信号の時間遅延量(プロットA4)、BRF215A5によって反射され端部P135に到達した高周波信号の時間遅延量(プロットA5)の順番で時間遅延量が大きくなる。プロットA1とプロットA2との時間遅延差ΔtA、プロットA2とプロットA3との時間遅延差ΔtA、プロットA3とプロットA4との時間遅延差ΔtA、及び、プロットA4とプロットA5との時間遅延差ΔtAの各々は、何れも等しく、2ΔBRFAに対応する。
したがって、図7に示したデュプレクサ101のフィルタ群115の場合と同様に、フィルタ群215Aによって反射された50GHz以上55GHz未満の周波数帯域に含まれる高周波信号の強度は、P=−1.0の位置(すなわちビームポート125に対応する位置)において最大となり、ビームポート125から遠ざかるにしたがって著しく減少する。このように、マルチプレクサ201は、ビームポート121〜125の中からビームポート125を選択して50GHz以上55GHz未満の周波数帯域に含まれる高周波信号(逆多重化信号)を出力することができる(図10に示したビームポート125のプロット参照)。
(フィルタ群215B)
導波路2141〜2145の各々において、フィルタ群215Bを構成するBRF215B1〜215B5の各々は、導波路2141〜2145の各々の第1区間の長さL214Bが経路差ΔBRFBずつ長くなるように、導波路2141〜2145の各々に対して挿入されている(図8参照)。
したがって、BRF215B1によって反射される高周波信号(端部P131からBRF215B1を経て端部P131に再到達する高周波信号)の伝搬経路長に対して、BRF215B2によって反射される高周波信号(端部P132からBRF215B2を経て端部P132に再到達する高周波信号)の伝搬経路長は、2ΔBRFBだけ長くなる。同様に、BRF215B1によって反射される高周波信号の伝搬経路長に対して、BRF215B3,215B4,215B5の各々によって反射される高周波信号の伝搬経路長は、それぞれ、4ΔBRFB,6ΔBRFB,8ΔBRFBだけ長くなる。換言すれば、BRF215B1〜215B5の各々は、互いに隣接する導波路を伝搬する高周波信号に対して所定の伝搬経路差である2ΔBRFBを生じさせるように、導波路2141〜2145の各々に挿入されている。
その結果、フィルタ群215Aの場合と同様に、プロットB1とプロットB2との時間遅延差ΔtB、プロットB2とプロットB3との時間遅延差ΔtB、プロットB3とプロットB4との時間遅延差ΔtB、及び、プロットA4とプロットA5との時間遅延差ΔtBの各々は、何れも等しく、2ΔBRFBに対応する。
このように構成されたフィルタ群215Bによって反射された高周波信号の強度が最大となる位置は、図4に示したP=−0.5の位置(すなわちビームポート124に対応する位置)となるようにΔBRFBを設定する。したがって、マルチプレクサ201は、ビームポート121〜125の中からビームポート124を選択して55GHz以上60GHz未満の周波数帯域に含まれる高周波信号(逆多重化信号)を出力することができる(図10に示したビームポート124のプロット参照)。
(フィルタ群215D)
導波路2141〜2145の各々において、フィルタ群215Dを構成するBRF215D1〜215D5の各々は、導波路2141〜2145の各々の第1区間の長さL214Dが経路差ΔBRFDずつ短くなるように、導波路2141〜2145の各々に対して挿入されている(図8参照)。
したがって、BRF215D1によって反射される高周波信号(端部P131からBRF215D1を経て端部P131に再到達する高周波信号)の伝搬経路長に対して、BRF215D2によって反射される高周波信号(端部P132からBRF215D2を経て端部P132に再到達する高周波信号)の伝搬経路長は、2ΔBRFDだけ短くなる。同様に、BRF215D1によって反射される高周波信号の伝搬経路長に対して、BRF215D3,215D4,215D5の各々によって反射される高周波信号の伝搬経路長は、それぞれ、4ΔBRFD,6ΔBRFD,8ΔBRFDだけ短くなる。換言すれば、BRF215D1〜215D5の各々は、互いに隣接する導波路を伝搬する高周波信号に対して所定の伝搬経路差である2ΔBRFDを生じさせるように、導波路2141〜2145の各々に挿入されている。
その結果、BRF215D1によって反射され端部P131に到達した高周波信号の時間遅延量(プロットD1)が最も大きく、BRF215D2によって反射され端部P132に到達した高周波信号の時間遅延量(プロットD2)、BRF215D3によって反射され端部P133に到達した高周波信号の時間遅延量(プロットD3)、BRF215D4によって反射され端部P134に到達した高周波信号の時間遅延量(プロットD4)、BRF215D5によって反射され端部P135に到達した高周波信号の時間遅延量(プロットD5)の順番で時間遅延量が小さくなる。プロットD1とプロットD2との時間遅延差ΔtD、プロットD2とプロットD3との時間遅延差ΔtD、プロットD3とプロットD4との時間遅延差ΔtD、及び、プロットD4とプロットD5との時間遅延差ΔtDの各々は、何れも等しく、2ΔBRFDに対応する。
このように構成されたフィルタ群215Dによって反射された高周波信号の強度が最大となる位置は、図4に示したP=+0.5の位置(すなわちビームポート122に対応する位置)となる。したがって、マルチプレクサ201は、ビームポート121〜125の中からビームポート122を選択して67.5GHz以上70GHz未満の周波数帯域に含まれる高周波信号(逆多重化信号)を出力することができる(図10に示したビームポート122のプロット参照)。
(フィルタ群215E)
導波路2141〜2145の各々において、フィルタ群215Eを構成するBRF215E1〜215E5の各々は、導波路2141〜2145の各々の第1区間の長さL214Eが経路差ΔBRFDずつ短くなるように、導波路2141〜2145の各々に対して挿入されている(図8参照)。
したがって、BRF215E1によって反射される高周波信号(端部P131からBRF215E1を経て端部P131に再到達する高周波信号)の伝搬経路長に対して、BRF215E2,BRF215E3,215E4,215E5の各々によって反射される高周波信号の伝搬経路長は、それぞれ、2ΔBRFE,4ΔBRFE,6ΔBRFE,8ΔBRFEだけ短くなる。換言すれば、BRF215E1〜215E5の各々は、互いに隣接する導波路を伝搬する高周波信号に対して所定の伝搬経路差である2ΔBRFEを生じさせるように、導波路2141〜2145の各々に挿入されている。
その結果、フィルタ群215Dの場合と同様に、プロットE1とプロットE2との時間遅延差ΔtE、プロットE2とプロットE3との時間遅延差ΔtE、プロットE3とプロットE4との時間遅延差ΔtE、及び、プロットE4とプロットE5との時間遅延差ΔtEの各々は、何れも等しく、2ΔBRFEに対応する。
このように構成されたフィルタ群215Eによって反射された高周波信号の強度が最大となる位置は、図4に示したP=+1.0の位置(すなわちビームポート121に対応する位置)となる。したがって、マルチプレクサ201は、ビームポート121〜125の中からビームポート121を選択して70.0GHz以上75GHz未満の周波数帯域に含まれる高周波信号(逆多重化信号)を出力することができる(図10に示したビームポート121のプロット参照)。
(マルチプレクサ201の機能)
マルチプレクサは、周波数帯域が異なる複数の高周波信号が多重化された高周波信号である多重化信号を所定の周波数帯域に基づき逆多重化し、その逆多重化の結果として得られた各周波数帯域に含まれる逆多重化信号の各々を、それぞれ別個のビームポートから選択的に出力することができる。
具体的には、ビームポート123に対して周波数帯域が異なる複数の高周波信号が多重化された多重化信号を入力した場合に、図8に示したマルチプレクサ201は、(1)50GHz以上55GHz未満の周波数帯域に含まれる逆多重化信号をビームポート125から出力し、(2)55GHz以上60GHz未満の周波数帯域に含まれる逆多重化信号をビームポート124から出力し、(3)60GHz以上65GHz未満の周波数帯域に含まれる逆多重化信号をビームポート123から出力し、(4)65GHz以上70GHz未満の周波数帯域に含まれる逆多重化信号をビームポート122から出力し、(5)70GHz以上75GHz未満の周波数帯域に含まれる逆多重化信号をビームポート121から出力することができる。
なお、上述したように、マルチプレクサ201を設計する場合、ロットマンレンズ10のレンズ本体11を構成する弧11aのどの位置に逆多重化信号のピークが現れるかを上述した時間遅延量に基づき理解することができる。時間遅延量に基づきマルチプレクサ201を適宜設計することによって、各逆多重化信号の出力スペクトルの波形及び各逆多重化信号の帯域幅(一例として図10参照)を任意に設定することができる。
〔第2の変形例〕
図11に示したマルチプレクサ201の変形例であるマルチプレクサ301について、図11及び図12を参照して説明する。図11は、マルチプレクサ301が備えているフィルタマトリクス315Mの配置を示す模式図である。図12は、マルチプレクサ301のビームポート121〜125の各々から出力される逆多重化信号の強度を示すグラフである。
マルチプレクサ301は、図8に示したマルチプレクサ201が備えている導波路群214を導波路群314に置換し、且つ、フィルタマトリクス215Mをフィルタマトリクス315Mに置換することにより得られる。マルチプレクサ301が備えているロットマンレンズは、マルチプレクサ201が備えているロットマンレンズ10と同一である。
フィルタ群315A〜315Cの各々は、それぞれ、図8に示したフィルタ群215A〜215Cの各々と同様に構成されている。すなわち、第1区間の長さL314A〜L314Cの各々は、それぞれ、図8に示した第1区間の長さL214A〜L214Cに対応する。
したがって、マルチプレクサ301は、(1)ビームポート121〜125の中からビームポート125を選択して50GHz以上55GHz未満の周波数帯域に含まれる逆多重化信号を出力し、(2)ビームポート121〜125の中からビームポート124を選択して55GHz以上60GHz未満の周波数帯域に含まれる逆多重化信号を出力し、(3)ビームポート121〜125の中からビームポート123を選択して60GHz以上65GHz未満の周波数帯域に含まれる逆多重化信号を出力することができる。
(フィルタ群315D)
フィルタ群315Dを構成するBRF315D1〜315D5の各々は、導波路3141〜3145の各々の第1区間の長さL314Dが経路差ΔBRFDずつ長くなるように、導波路3141〜3145の各々に対して挿入されている。
したがって、BRF315D1によって反射される高周波信号(端部P131からBRF315D1を経て端部P131に再到達する高周波信号)の伝搬経路長に対して、BRF315D2によって反射される高周波信号(端部P132からBRF315D2を経て端部P132に再到達する高周波信号)の伝搬経路長は、2ΔBRFDだけ長くなる。同様に、BRF315D1によって反射される高周波信号の伝搬経路長に対して、BRF315D3,315D4,315D5の各々によって反射される高周波信号の伝搬経路長は、それぞれ、4ΔBRFD,6ΔBRFD,8ΔBRFDだけ長くなる。換言すれば、BRF315D1〜315D5の各々は、互いに隣接する導波路を伝搬する高周波信号に対して所定の伝搬経路差である2ΔBRFDを生じさせるように、導波路3141〜3145の各々に挿入されている。
このように構成されたフィルタ群315Dによって反射された高周波信号の強度が最大となる位置は、図4に示したP=−1.0の位置(すなわちビームポート125に対応する位置)となる。したがって、マルチプレクサ301は、ビームポート121〜125の中からビームポート125を選択して65GHz以上70GHz未満の周波数帯域に含まれる逆多重化信号を出力することができる。
(フィルタ群315E)
フィルタ群315Eを構成するBRF315E1〜315E5の各々は、導波路3141〜3145の各々の第1区間の長さL314Eが経路差ΔBRFEずつ長くなるように、導波路3141〜3145の各々に対して挿入されている。
したがって、BRF315E1によって反射される高周波信号(端部P131からBRF315E1を経て端部P131に再到達する高周波信号)の伝搬経路長に対して、BRF315E2によって反射される高周波信号(端部P132からBRF315E2を経て端部P132に再到達する高周波信号)の伝搬経路長は、2ΔBRFEだけ長くなる。同様に、BRF315E1によって反射される高周波信号の伝搬経路長に対して、BRF315E3,315E4,315E5の各々によって反射される高周波信号の伝搬経路長は、それぞれ、4ΔBRFE,6ΔBRFE,8ΔBRFEだけ長くなる。換言すれば、BRF315E1〜315E5の各々は、互いに隣接する導波路を伝搬する高周波信号に対して所定の伝搬経路差である2ΔBRFEを生じさせるように、導波路3141〜3145の各々に挿入されている。
このように構成されたフィルタ群315Eによって反射された高周波信号の強度が最大となる位置は、図4に示したP=−0.5の位置(すなわちビームポート124に対応する位置)となる。したがって、マルチプレクサ301は、ビームポート121〜125の中からビームポート124を選択して70GHz以上75GHz未満の周波数帯域に含まれる逆多重化信号を出力することができる。
このように構成されたマルチプレクサ301は、フィルタマトリクス315Mの構成を適宜設計することによって、(1)1つのビームポート123から1つの反射帯域(60GHz以上70GHz未満の周波数帯域)に含まれる逆多重化信号を出力することもできるし、(2)1つのビームポート(例えばビームポート125)から複数の反射帯域(例えば50GHz以上55GHz未満の周波数帯域及び65GHz以上70GHz未満の周波数帯域)に含まれる逆多重化信号を出力することもできる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
1,101 デュプレクサ(多重化装置)
201,301 マルチプレクサ(多重化装置)
10 ロットマンレンズ(マイクロ波レンズ)
11 レンズ本体
AA 直線(対称軸)
12 ビームポート群
121〜12n ビームポート
13 アレイポート群
131〜13n アレイポート
14,114,214,314 導波路群
141〜14n 導波路(第1〜第nの導波路)
1141〜1145,2141〜2145,3141〜3145 導波路(第1〜第5の導波路)
15,115 フィルタ群
215A〜215E,315A〜315E フィルタ群(第1〜第5のフィルタ群)
151〜15n BRF(バンドリジェクトフィルタ(第1〜第nのバンドリジェクトフィルタ))
215A1〜215A5,215B1〜215B5,215C1〜215C5,215D1〜215D5,215E1〜215E5,315A1〜315A5,315B1〜315B5,315C1〜315C5,315D1〜315D5,315E1〜315E5 BRF(バンドリジェクトフィルタ(第1〜第nのバンドリジェクトフィルタ))

Claims (9)

  1. 複数のビームポート及び複数のアレイポートを含むマイクロ波レンズと、
    前記複数のアレイポートの各々に1つずつ結合された導波路によって構成された導波路群と、
    前記導波路の各々に挿入された、所定の周波数帯域を反射帯域とするバンドリジェクトフィルタによって構成されたフィルタ群と、を備えている、
    ことを特徴とする多重化装置。
  2. 前記フィルタ群を構成する前記バンドリジェクトフィルタの各々は、それぞれ、前記反射帯域の高周波信号に対して異なる位相特性を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の多重化装置。
  3. 前記フィルタ群を構成する前記バンドリジェクトフィルタの少なくとも何れか1つは、前記反射帯域に含まれる高周波信号に対して、他のバンドリジェクトフィルタと異なる反射係数を有する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の多重化装置。
  4. 前記フィルタ群を構成する前記バンドリジェクトフィルタの各々の反射係数は、前記マイクロ波レンズの対称軸に近いアレイポートに挿入されたバンドリジェクトフィルタほど大きく、前記マイクロ波レンズの対称軸から遠いアレイポートに挿入されたバンドリジェクトフィルタほど小さい、
    ことを特徴とする請求項3に記載の多重化装置。
  5. 前記バンドリジェクトフィルタを第1のハンドリジェクトフィルタとし、前記フィルタ群を第1のフィルタ群として、
    前記導波路の各々に挿入された、前記第1のバンドリジェクトフィルタとは反射帯域が互いに異なる第2〜第nのバンドリジェクトフィルタの各々によってそれぞれが構成された第2〜第nのフィルタ群を更に備えている、
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の多重化装置。
  6. 前記第1〜第nのフィルタ群において、第iのフィルタ群(iは、1以上n以下の自然数)を構成する第iのバンドリジェクトフィルタの各々は、互いに隣接する導波路を伝搬する高周波信号に対して所定の伝搬経路差を生じさせるように、前記導波路の各々に挿入されている、
    ことを特徴とする請求項5に記載の多重化装置。
  7. 前記所定の伝搬経路差は、前記第iのバンドリジェクトフィルタの各々により反射された高周波信号の各々が干渉した結果として、前記複数のビームポートのうち何れか1つのビームポート上においてその強度がピークを有するように定められている、
    ことを特徴とする請求項6に記載の多重化装置。
  8. 前記マイクロ波レンズは、前記導波路群及び前記フィルタ群と共有する誘電体基板と、該誘電体基板のおもて面に形成された導体パターンと、該誘電体基板のうら面に形成されたグランド層であって、前記導波路群及び前記フィルタ群と共有するグランド層とにより構成されており、
    前記導波路群を構成する前記導波路の各々は、前記誘電体基板と、該誘電体基板のおもて面に形成された帯状導体と、前記グランド層とにより構成されており、
    前記フィルタ群を構成する前記バンドリジェクトフィルタの各々は、前記誘電体基板と、該誘電体基板のおもて面に形成された帯状導体であって、その幅が周期的に変化する帯状導体と、前記グランド層とにより構成されている、
    ことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の多重化装置。
  9. 前記マイクロ波レンズは、ロットマンレンズである、
    ことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の多重化装置。
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