JP6728448B2 - ゴム組成物 - Google Patents
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Description
前記ゴムAはニトリルゴム及びスチレンゴムから選択されるブタジエン系ゴムであり、前記プラスチックBは超高分子量ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン及びポリオキシメチレンから選択されるエンジニアリングプラスチックであり、
前記ゴムAと前記プラスチックBとの弾性率の差が、240MPa以上1200MPa以下であり、
前記ゴムAを有する海部と、前記プラスチックBを有する複数の島部と、を有する海島構造が形成されており、
複数の前記島部のうちの90%以上の体積が、4000μm3以下であり、
所定の面に現れる前記海島構造において、前記海部の面積と前記島部の面積との和に対する前記島部の面積比率が、9%以上31%以下であり、前記島部同士の平均近接壁面間距離が、0.15μm以上0.53μm以下であることを特徴とする。
本発明のゴム組成物は、ゴムAと、プラスチックBと、を有するゴム組成物である。本発明において、ゴムAは非フッ素系のゴム材料である。本発明において、ゴムAとプラスチックBとの弾性率の差は、50MPa以上である。本発明のゴム組成物には、ゴムAを有する海部と、プラスチックBを有する複数の島部と、を有する海島構造が形成されている。本発明において、プラスチックBは、ゴムAとプラスチックBとの総量に対して0体積%を超え50体積%以下含まれており、複数の島部のうちの90%以上の体積が、4000μm3以下である。
本発明のゴム組成物に含まれるゴムAは、分子の主鎖及び側鎖に、フッ素原子自体及びフッ素原子を有する官能基を有しない非フッ素系のゴム材料である。ゴムAは、分子の主鎖及び側鎖にフッ素原子やフッ素原子を含む官能基を含まないものであれば、その種類は特に限定されるものでない。本発明においては、ゴムAとして、従来公知のゴム材料を用いることができるが、一種類のゴム材料を単独で用いてもよいし、二種類以上のゴム材料を組み合わせて用いてもよい。またゴムAとして用いられるゴム材料は、微粒子や従来公知の無機フィラーを含んでいてもよい。尚、以下の説明において断りがなくゴムと記載する場合、このゴムは分子の構造の中にフッ素原子が含まれていないゴムを指す。ゴムAとして用いられるゴム材料のうち、好ましくは、合成ゴムである。合成ゴムの場合、後述するプラスチックBを添加する際に、プラスチックBと親和性を適宜調整することが可能であるためである。ゴムAとして用いられる合成ゴムのうち、好ましくは、ジエン系合成ゴムである。ジエン系合成ゴムは、ポリマーの主鎖に二重結合を持ち、化学的に反応性に富むため、加硫等の後処理が容易であるためである。合成ゴムの中でもさらに好ましくは、ニトリルゴム(NBR)、スチレンゴム(SBR)等のブタジエン系ゴムである。ブタジエン系ゴムは、重合比率を変えるだけでプラスチックBに対する相溶性等といったゴムの特性を調整しやすくなる。またブタジエン系ゴムは、添加するプラスチックBとの相溶性を制御しやすいこと、プラスチックBを添加する処理でかかる熱に対し耐性があること、安価で容易に手に入りやすいこと、等といったように利点が多くある。ゴムAは、加硫処理していてもよいし未加硫でもよい。尚、プラスチックBをゴムAに含ませた状態から、加硫処理した場合でも、プラスチックBの分散状態に変化はない。また、加硫処理を行うと、ゴムAのみの硬度が変化する。
本発明のゴム組成物に含まれるプラスチックBは、JIS K 6900で定義されるように、高分子物質を主原料とする人工的に有用な形状に形づくられた固体である。本発明において、プラスチックBの種類については、特に限定されるものではない。好ましくは、熱可塑性プラスチックである。熱可塑性プラスチックは、ゴムAに含有させる際に加工が容易であること、ゴムAに比べタック性及び動摩擦係数が低いこと、といった利点を持つためである。より好ましくは、結晶性プラスチックである。結晶性プラスチックは、耐熱性、機械的強度等の性能が、非晶性プラスチックより優れているためである。さらに好ましくは、超高分子量ポリエチレン(UHPE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリオキシメチレン(POM)等から選択されるエンジニアリングプラスチックである。エンジニアリングプラスチックは、使用温度が100℃以上の状態で連続使用しても、劣化しにくいためである。またエンジニアリングプラスチックは、摺動部材として使われることから摺動性が高いこと、タック性や摩擦係数が非常に低いこと、耐薬品性、耐熱性に優れて環境安定性が高いこと、等が利点として挙げられるためである。本発明において、プラスチックBとなるプラスチックは、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。尚、以下の説明において、断りなく摩擦係数と記載する場合、これは動摩擦係数を示すものである。
本発明のゴム組成物において、ゴムAの弾性率は、好ましくは、0MPaを超え50MPa未満である。ゴムAの弾性率が50MPa以上であると、ゴムとしての柔軟性、弾力性が乏しくなり他材料の形状への追随が難しくなることがあるためである。ゴムAの弾性率は、より好ましくは、0MPaを超え20MPa以下である。ゴムAの弾性率が20MPa以下であると、柔軟性が高く、自身が成型後に特殊形体で使用されたり、他物質の形状に追随して自身の形状を変えながら接触させたりが容易になる。また特殊形体をとった状態が長く維持される場合でも劣化を起こしにくくなる。ゴムAの弾性率は、さらに好ましくは、0MPaを超え10MPa以下である。ゴムAの弾性率が10MPa以下であると、プラスチックBを添加する際に、ゴムAはプラスチックBの形状に追随してプラスチックBに密着するのでゴムAとプラスチックBとの間で剥離が起こらなくなる。
本発明のゴム組成物は、ゴムAを有する海部と、プラスチックBを有する複数の島部と、を有する海島構造が形成されている。本発明のゴム組成物において、当該海島構造は、外部環境に表出した部分、即ち、組成物を成型したときに現れる平面、側面等に限らず組成物の内部にも形成される。当該海島構造の島部を構成するプラスチックBは、一定の体積を有するプラスチック塊である。本発明においては、複数存在する当該プラスチック塊のうちの90%以上の体積は、4000μm3以下である。体積が4000μm3を超えるプラスチック塊がプラスチック塊全体の10%を超えると、プラスチックB自身の硬度により、ゴム組成物を成型してなる成型体を曲げ変形させた際に、島部自体又は海部と島部との界面に応力が大きく働いてしまう。これにより、プラスチックBの破損や、プラスチックBのゴムAからの剥離が生じてしまう。
本発明のゴム組成物は、少なくともゴムAとプラスチックBとを有するが、ゴム組成物自体の物性を損ねない程度であれば、ゴムA、プラスチックB以外の成分を添加してもよい。本発明のゴム組成物にゴムA及びプラスチックB以外の成分、いわゆるその他成分を添加する場合、当該その他成分は、ゴムAやプラスチックBとの親和性や混練時における成分自体の粘度によって、上記海島構造の海部又は島部に含まれる。
本発明のゴム成型体は、本発明のゴム組成物を成型することで得られる。本発明のゴム成型体は、ゴムAを有する海部と、プラスチックBを有する複数の島部と、を有する海島構造が形成されている面を有している。尚、ここでいう面とは、本発明のゴム組成物を成型した際に現れる面のうち、タック性、摩擦力及び耐汚れ性が要求されている面をいう。またここでいう面は、平面や側面として定義される一つの面の全体に限定されるものではなく、当該一つの面の一部も含まれる。本発明において、上記面において、海部の面積と島部の面積との和に対する島部の面積比率が、0%を超え50%以下である。また上記面において、複数の島部のうち、面積が0μm2を超えかつ300μm2以下である島部が、島部の総面積の90%以上を占めている。
本発明のゴム成型体は、例えば、プラスチック基板、金属基板等の上に形成されている状態で用いられていてもよい。また本発明のゴム成型体は、ゴム成型体の構成材料以外の材料で形成されるコア層を被覆するスキン層として用いられていてもよい。
本発明のゴム組成物の製造方法としては、所望の物性を有するゴム組成物が得られるのであるならば、特に限定されない。例えば、ゴム練ロール等の開放型の混合機、ニーダやスクリュー混練機等の閉鎖系の混合機を用いて混練処理により製造される。好ましくは、汚れを巻き込むことの少ない閉鎖系の混合機での混練処理である。より好ましくは、閉鎖系でもより大きなせん断力を混練物へ繰り返しを印加することが可能な、帰還形スクリューを搭載した混練機による混練処理である。さらに好ましくは、高せん断力が印加可能な伸長せん断を誘起する帰還式スクリューを用いた混練処理である。
本発明のゴム組成物を作製する際に重要な要素の一つとして、平均溶解度パラメータがある。本発明において、ゴムAとプラスチックBとの平均溶解度パラメータとの差は14(J/cm3)1/2以下であることが好ましい。14(J/cm3)1/2を上回ると、プラスチックBであるプラスチック塊の体積が小さくなりにくくなる。その結果、ゴム組成物を成型してなる成型品に関する効果が小さくなる。ゴムAとプラスチックBとの平均溶解度パラメータとの差は、より好ましくは、10(J/cm3)1/2以下である。ここで本発明で用いられる溶解度パラメータは、Hansenの溶解度パラメータである。Hansenパラメータは、原子の分散力、分子の永久双極子間に生じる力、分子の水素結合から成るエネルギーからなり、それぞれδD、δP、δH[(J/cm3)1/2]で表される。このとき物質の溶解度パラメータδ[(J/cm3)1/2]は、下記式(i)で表される。
δ=(δD 2+δP 2+δH 2)1/2[(J/cm3)1/2] (i)
|Δδ(a−b)|={4(δaD−δbD)2+(δaP−δbP)2+(δaH−δbH)2}1/2 (ii)
本発明のゴム組成物を製造する際に重要な要素の一つとして、溶融粘度がある。混練時にプラスチックBであるプラスチック塊のサイズを小さくするためには、ゴムAとプラスチックBとの両方が混練時において軟化していることが望ましい。本発明のゴム組成物を製造する際に使用され得るゴムA及びプラスチックBは、180℃付近で軟化している材料が多く、その温度近傍で混練される場合が多い。ゴムA及びプラスチックBの軟化の度合いは、溶融粘度で表わされる。この比率である溶融粘度比は、粘度が低い方を基準として考えるため、必ず1以上となる。尚、複数の材料、例えば、ゴムA及びプラスチックBを用いた場合は、それぞれの混入割合に基づいて、加重平均を算出し、その値を用いる。
以上説明した方法によって得られたゴム成型体の評価手法について、以下に説明する。
ゴム成型体の評価対象の面、例えば、表面の構造評価は、描画系の分析を行うことが望ましい。例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)やレーザー顕微鏡測定による直接観察により確認できる。必要に応じて表面等の測定対象の面を一部研磨する、破断面を出す、等の前処理を行う。また海の密度と島部の密度とがほぼ同じ等の理由により、コントラストがつかない場合には、染色処理を施す等、画像として差が出るような処理を予め行った上で観察する。
ゴム成型体において、評価対象となる面(例えば、表面)の組成評価の方法としては、特に限定されない。例えば、エネルギー分散型X線(EDX)装置によって含有する元素及びその量から判断する方法や、赤外分光分析法を微小サイズ測定へ応用したナノIR分析装置を用いた化学結合情報のマッピング方式で検出する方法等がある。
ゴム成型体の評価対象となる面の硬さの評価は、特に限定されない。例えば、ナノインデンテーション法を利用した海部島部それぞれの弾性率測定や、ナノインデンテーションと原子間力顕微鏡(AFM)とを応用したナノインデンテーションAFM装置を用いた弾性率の面内のマッピングを行う方法等がある。
ゴム成型体の評価対象となる面の防汚性は、他物質の表面への付きにくさ、接触した場合の離れやすさをもって評価する。例として下記の手法が挙げられる。
タック性試験は、試験対象物へ別物質を押し付け、離す際の剥離力を測定する。剥離力は、物質が付着した際の取れやすさを数値化したものである。尚、防汚性は、一般的な粘着力測定装置や自作装置を用いて測定することが可能である。また、原子間力顕微鏡(AFM)によるフォースカーブ測定のような、ミクロサイズでの測定も可能である。ここで剥離力が小さい方が、耐汚れ性の高いこととなる。尚、複数種のゴム成型体のサンプルで防汚性を比較する場合は同じ条件下で行う。
摩擦試験は、試験対象物へ別物質を接触させ、荷重をかけながら引きずる際に必要とする力から動摩擦係数を測定する。動摩擦係数は、物質が接触する際の引っかかり、つまり付着しにくさを数値化したものとなる。摩擦試験には、平面に対し、別物質を点接触させる測定、面接触させる測定等、様々である。尚、本発明のゴム成型体は、耐汚れ性も考慮しているため、接触面積が小さく、荷重の小さい摩擦試験が望ましい。ここで、摩擦係数が小さい方が、耐汚れ性の高いこととなる。尚、複数種のゴム成型体のサンプルで摩擦係数を比較する場合は同じ条件下で行う。
(1)溶融粘度比
実施例で使用するゴム及びプラスチックについて、混練時の条件下での溶融粘度をキャピログラフ(東洋精機株式会社製)により測定した。得られた溶融粘度について、高く出た値を低く出た値で割り溶融粘度比を計算した。この計算方法で溶融粘度比を計算すると、溶融粘度が異なる材料同士(溶融粘度の差が大きい材料同士)ほど溶融粘度比は大きい。一方で、溶融粘度が近い場合(溶融粘度の差が小さい場合)は1に近づく。尚、ゴム及び/又はプラスチックで複数の材料を用いた場合は、それぞれ混入割合に基づいて、加重平均を算出し、その値を用いた。
実施例で使用するゴム及びプラスチックについて、Hansenの溶解度パラメータを計算ソフト「HSPiP」(映像工房クエスチョン製)によりそれぞれ算出した。また同じソフトを用いて、理論に基づいた方法により、得られた溶解度パラメータの差を算出した。尚、ゴム及び/又はプラスチックで複数の材料を用いた場合は、それぞれ混入割合に基づいて、加重平均を算出し、その値を用いた。
ゴムAであるNBR(ニトリルゴム)とプラスチックBであるPVDF(ポリフッ化ビニリデン)とを準備した。このとき、ゴムAとプラスチックBとの重量比(混練重量比)は70:30であり、ゴムAとプラスチックBとの合計は500gになるようにした。次に、準備したゴム及びプラスチックを物理的に一体化させるため、100℃に設定したニーダ練り機に投入して、回転数50rpmで5分乃至10分混練処理を施した。
実施例1において、ゴムAとプラスチックBとの重量比を、下記表1の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法によりゴム成型体を得た。尚、本実施例で得られたゴム成型体の厚みは、0.8mmであった。
実施例1において、ゴムA及びプラスチックBの種類、並びに混練時におけるせん断速度を下記表1の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法によりゴム成型体を得た。尚、本実施例で得られたゴム成型体の厚みは、1.0mmであった。
実施例1において、ゴムA及びプラスチックBの種類、並びに混練時におけるせん断速度を下記表1の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法によりゴム成型体を得た。尚、本実施例で得られたゴム成型体の厚みは、1.2mmであった。
実施例1において、ゴムA及びプラスチックBの種類を下記表1の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法によりゴム成型体を得た。尚、本実施例で得られたゴム成型体の厚みは、0.9mmであった。
実施例1において、プラスチックBの種類及び混練時におけるせん断速度を下記表1の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法によりゴム成型体を得た。尚、本実施例で得られたゴム成型体の厚みは、1.0mmであった。
実施例1において、プラスチックBの種類を下記表1の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法によりゴム成型体を得た。尚、本実施例で得られたゴム成型体の厚みは、1.1mmであった。
SBR(スチレンゴム)を加硫した後、プレス成型することにより、大きさが15mm×15mmの正方形状であるシート状のゴム成型体を得た。尚、本実施例で得られたゴム成型体の厚みは、1.0mmであった。
比較例1において、SBRに代えて、NBR(ニトリルゴム)を用いたこと以外は、比較例1と同様の方法によりシート状のゴム成型体を得た。尚、本実施例で得られたゴム成型体の厚みは、1.0mmであった。
実施例1において、高せん断成形加工装置による混練処理を省略したことを除いては、実施例1と同様の方法によりシート状のゴム成型体を得た。尚、本実施例で得られたゴム成型体の厚みは、1.2mmであった。
実施例1で作製したゴム成型体をスライスしたものを、基材であるアクリル板の上に載置させてなるサンプルを作製した。尚、本実施例で得られたサンプルを構成するゴム成型体の厚みは、0.3mmであった。
得られたゴム成型体について、以下に説明する通りに評価を行った。
作製したゴム成型体の表面の状態を走査型電子顕微鏡S−4800(日立ハイテック製)で観察した。また、付属のエネルギー分散型X線(EDX)装置で、海島部の組成を確認した。得られた画像を画像解析ソフト「Image J」(開発元:Wayne Rasband、オープンソースとなっている)に取り込んだ後、画像を2値化して海部と島部を完全に分離した。2値化した画像に関して、先ほどと同じ画像ソフトや自主開発したプログラムにて、画像のドット数と実際の大きさとの相関をとった上で、所望の数値を画像から算出した。そして当該画像より、島部の最大面積、島部の面積分布、島部と島部との間の平均近接壁面間距離等を得た。
ゴム成型体の表面を、レーザー顕微鏡VK−X100(キーエンス製)にて観察した。具体的には、1.0mm×1.5mmの範囲の画像を基にして当該画像部分における面全体の表面粗さを算出した。尚、得られた画像は20以上であり、各画像における表面粗さをそれぞれ算出した。そして算出された表面粗さの平均値を対象となるゴム成型体の表面平滑性を表す表面粗さRaとした。
ゴム成型体の表面について、ナノインデンテーションAFM装置(Bruker AXS社製走査型プローブ顕微鏡)で弾性率の面内のマッピングを行った。ここで、海部の硬さは、島部と別の島部との中間点の海部の弾性率を平均した値とし、島部の硬さは、島部の中央の弾性率を平均した値として算出した。尚、材料が異なる島部が複数種存在する場合は、種類に関わらず島部の中央の弾性率の平均値を島部の弾性率とした。
ゴム成型体の表面に対し、直径15mmの円形ウレタンゴムを30Nの荷重をかけて押しつけて30秒間放置した。それを完全に引き剥す際の最大剥離力を測定することで、耐汚れ性(タック性)を評価した。
ゴム成型体の表面について、摩擦試験装置トライボギア(新東科学製)にて直線往復試験を行うことにより、動摩擦係数を測定した。ここで、測定時の相手材料は直径10mmのSUJ2球であり、100gの荷重のもと、100mm/分の速度で5mmの範囲を1分間往復させた。尚、この測定は、複数ヶ所あるゴム成型体の表面の一部分において行われ、各部分にて得られた動摩擦係数を平均した値を対象サンプルの動摩擦係数とした。
実施例1乃至7及び比較例1乃至3でそれぞれ作製したシートについて曲げ試験を行った。曲げ試験は、作製したゴム成型体を平たな面の上に広げた状態を開始状態とし、曲げ角度0度とした。次に、曲げる際の軸を決めた上で、曲げた部分、軸、元の位置が角度60度となるところまで曲げ、さらに曲げ角度0度を経て反対側つまり角度マイナス60度となるところまで曲げて角度0度まで戻し、この一連の操作を1回とし、これを20回繰り返した。最も曲げによる応力がかかったと考えられる軸となった部分をSEM像観察し、曲げ耐性を確認した。ここで、ゴム成型体の表面に表出しているプラスチックが剥離していなければ○(良好)と判定し、剥離が発生している場合は×(不良)と判定した。
Claims (9)
- 非フッ素系のゴムAと、プラスチックBと、を有するゴム組成物であって、
前記ゴムAはニトリルゴム及びスチレンゴムから選択されるブタジエン系ゴムであり、前記プラスチックBは超高分子量ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン及びポリオキシメチレンから選択されるエンジニアリングプラスチックであり、
前記ゴムAと前記プラスチックBとの弾性率の差が、240MPa以上1200MPa以下であり、
前記ゴムAを有する海部と、前記プラスチックBを有する複数の島部と、を有する海島構造が形成されており、
複数の前記島部のうちの90%以上の体積が、4000μm3以下であり、
所定の面に現れる前記海島構造において、前記海部の面積と前記島部の面積との和に対する前記島部の面積比率が、9%以上31%以下であり、前記島部同士の平均近接壁面間距離が、0.15μm以上0.53μm以下であることを特徴とする、ゴム組成物。 - 前記ゴムAの弾性率が、0MPaを超えかつ50MPa未満であることを特徴とする、請求項1に記載のゴム組成物。
- 前記ゴムAの180℃における溶融粘度と、前記プラスチックBの180℃における溶融粘度と、の溶融粘度が低い方を基準とした比が3以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
- 前記ゴムAと前記プラスチックBとの溶解度パラメータの差が14(J/cm3)1/2以下であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のゴム組成物。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のゴム組成物を成型してなるゴム成型体であって、
ゴムAを有する海部と、プラスチックBを有する複数の島部と、を有する海島構造が形成されている面を有し、
前記面において、複数の前記島部のうち、面積が0μm2を超えかつ300μm2以下である島部が、前記島部の総面積の90%以上を占めていることを特徴とする、ゴム成型体。 - 前記面の表面粗さが、0μmを超えかつ3μm以下であることを特徴とする、請求項5に記載のゴム成型体。
- 前記複数の島部の全てにおいて、前記島部の面積が0μm2を超えかつ300μm2以下であることを特徴とする、請求項5又は6に記載のゴム成型体。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のゴム組成物の製造方法であって、
ニーダ練り機を用いてゴムAとプラスチックBとを前記ゴムAおよび前記プラスチックBの軟化温度より低い第一の温度で第一の混錬処理する工程と、
前記第一の混錬処理の後に、帰還式スクリューを用いてゴムAとプラスチックBとを前記第一の温度より高い第二の温度で、せん断速度が500rpm以上1000rpm以下で第二の混練処理する工程を有することを特徴とする、ゴム組成物の製造方法。 - 請求項5乃至7のいずれか一項に記載のゴム成型体の製造方法であって、
ニーダ練り機を用いてゴムAとプラスチックBとを前記ゴムAおよび前記プラスチックBの軟化温度より低い第一の温度で第一の混錬処理する工程と、
前記第一の混錬処理の後に、帰還式スクリューを用いてゴムAとプラスチックBとを前記第一の温度より高い第二の温度で、せん断速度が500rpm以上1000rpm以下で第二の混練処理する工程を有することを特徴とする、ゴム成型体の製造方法。
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