JP6728448B2 - ゴム組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ゴム組成物に関する。
ゴムは、その柔軟性により、タイヤ、ベルト、パッキン、窓枠、靴、ホース、電線被覆など様々な分野で、工業的に広く利用されている。さらに近年、ゴム自体の耐衝撃性、熱伝導性、電気特性、磁気特性等を調整することでゴム一つによって複数の材料を代替する試みや、ゴムを使用していなかった部分をゴム材料で代替する試み等が盛んに行われている。
その一方で、ゴムの特徴の一つとして、表面の滑り性が低く、他の物質と接触した際に粘着するというタック性がある。このタック性により、ゴムの表面において汚れ等の不純物の吸着が発生する。そしてゴムの表面に汚れが吸着することにより、ゴム本来の特性発揮を阻害する場合があった。
そこで、ゴムの表面における汚れの吸着を防止する、即ち、耐汚れ性を向上させる試みが、これまで取り組まれてきた。例えば、表面に凹凸構造を付与することにより、汚れとの接触機会や、接触面積を低減させる試みがあった。しかし、この試みは表面の平滑性を求める場合には適さなかった。また、表面にタック性を抑制する被膜層を設ける方法も実施されている。しかし、ゴム自体が相手に接触することにより特性を発揮する場合は、被膜層が障害となってしまう。従って、ゴム自身が表面に出つつも、耐汚れ性を低下させることが必要であった。
特許文献1では、フッ素系ポリマー粒子を含有させたフッ素ゴムが開示されている。ゴム自体をフッ素系材料とすることで、汚れを付きにくくしつつ、粒子を分散することによりゴムの硬度を高めている。しかし、特許文献1では、フッ素ゴムとフッ素系ポリマー粒子との親和性を利用してフッ素系ポリマー粒子を分散させているため、フッ素系のゴムとフッ素系ポリマー粒子との組み合わせ以外のゴム組成物は得られていなかった。
特開2003−183468号公報
以上より、従来では、フッ素系ゴムでないゴムを母材としたゴム組成物において、表面が平滑で、かつタック性を抑制する被覆層を表面に存在させずにゴム自体が表面等の面に表出している状態のときに、耐汚れ性に優れたものは得られていなかった。
本発明は、上述した課題を解決するためになされるものである。本発明の目的は、一般的なゴムの特性を失うことなく、ゴムを表面に存在させながらも、タック性及び摩擦力を低減しつつ、耐汚れ性を向上させたゴム成型体を製造するためのゴム組成物を提供することにある。
本発明のゴム組成物は、非フッ素系のゴムAと、プラスチックBと、を有するゴム組成物であって、
前記ゴムAはニトリルゴム及びスチレンゴムから選択されるブタジエン系ゴムであり、前記プラスチックBは超高分子量ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン及びポリオキシメチレンから選択されるエンジニアリングプラスチックであり、
前記ゴムAと前記プラスチックBとの弾性率の差が、240MPa以上1200MPa以下であり、
前記ゴムAを有する海部と、前記プラスチックBを有する複数の島部と、を有する海島構造が形成されており
数の前記島部のうちの90%以上の体積が、4000μm3以下であり、
所定の面に現れる前記海島構造において、前記海部の面積と前記島部の面積との和に対する前記島部の面積比率が、9%以上31%以下であり、前記島部同士の平均近接壁面間距離が、0.15μm以上0.53μm以下であることを特徴とする。
本発明によれば、一般的なゴムの特性を失うことなく、ゴムを表面に存在させながらも、タック性及び摩擦力を低減しつつ、耐汚れ性を向上させたゴム成型体を製造するためのゴム組成物を提供することができる。
本発明のゴム成型体の一部を示す部分拡大図である。 実施例1で作製したシートを示す斜視図である。 実施例1で作製したゴム成型体の表面を示すSEM像である。 比較例3のサンプルについて曲げ試験を行った時のSEM像である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。尚、図面において特に図示されていない部分や以下に説明において特に記載がない部分については、当該技術分野の周知又は公知技術を適用することができる。
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物は、ゴムAと、プラスチックBと、を有するゴム組成物である。本発明において、ゴムAは非フッ素系のゴム材料である。本発明において、ゴムAとプラスチックBとの弾性率の差は、50MPa以上である。本発明のゴム組成物には、ゴムAを有する海部と、プラスチックBを有する複数の島部と、を有する海島構造が形成されている。本発明において、プラスチックBは、ゴムAとプラスチックBとの総量に対して0体積%を超え50体積%以下含まれており、複数の島部のうちの90%以上の体積が、4000μm3以下である。
以下、本発明のゴム組成物について詳細に説明する。
(1)ゴムA
本発明のゴム組成物に含まれるゴムAは、分子の主鎖及び側鎖に、フッ素原子自体及びフッ素原子を有する官能基を有しない非フッ素系のゴム材料である。ゴムAは、分子の主鎖及び側鎖にフッ素原子やフッ素原子を含む官能基を含まないものであれば、その種類は特に限定されるものでない。本発明においては、ゴムAとして、従来公知のゴム材料を用いることができるが、一種類のゴム材料を単独で用いてもよいし、二種類以上のゴム材料を組み合わせて用いてもよい。またゴムAとして用いられるゴム材料は、微粒子や従来公知の無機フィラーを含んでいてもよい。尚、以下の説明において断りがなくゴムと記載する場合、このゴムは分子の構造の中にフッ素原子が含まれていないゴムを指す。ゴムAとして用いられるゴム材料のうち、好ましくは、合成ゴムである。合成ゴムの場合、後述するプラスチックBを添加する際に、プラスチックBと親和性を適宜調整することが可能であるためである。ゴムAとして用いられる合成ゴムのうち、好ましくは、ジエン系合成ゴムである。ジエン系合成ゴムは、ポリマーの主鎖に二重結合を持ち、化学的に反応性に富むため、加硫等の後処理が容易であるためである。合成ゴムの中でもさらに好ましくは、ニトリルゴム(NBR)、スチレンゴム(SBR)等のブタジエン系ゴムである。ブタジエン系ゴムは、重合比率を変えるだけでプラスチックBに対する相溶性等といったゴムの特性を調整しやすくなる。またブタジエン系ゴムは、添加するプラスチックBとの相溶性を制御しやすいこと、プラスチックBを添加する処理でかかる熱に対し耐性があること、安価で容易に手に入りやすいこと、等といったように利点が多くある。ゴムAは、加硫処理していてもよいし未加硫でもよい。尚、プラスチックBをゴムAに含ませた状態から、加硫処理した場合でも、プラスチックBの分散状態に変化はない。また、加硫処理を行うと、ゴムAのみの硬度が変化する。
(2)プラスチックB
本発明のゴム組成物に含まれるプラスチックBは、JIS K 6900で定義されるように、高分子物質を主原料とする人工的に有用な形状に形づくられた固体である。本発明において、プラスチックBの種類については、特に限定されるものではない。好ましくは、熱可塑性プラスチックである。熱可塑性プラスチックは、ゴムAに含有させる際に加工が容易であること、ゴムAに比べタック性及び動摩擦係数が低いこと、といった利点を持つためである。より好ましくは、結晶性プラスチックである。結晶性プラスチックは、耐熱性、機械的強度等の性能が、非晶性プラスチックより優れているためである。さらに好ましくは、超高分子量ポリエチレン(UHPE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリオキシメチレン(POM)等から選択されるエンジニアリングプラスチックである。エンジニアリングプラスチックは、使用温度が100℃以上の状態で連続使用しても、劣化しにくいためである。またエンジニアリングプラスチックは、摺動部材として使われることから摺動性が高いこと、タック性や摩擦係数が非常に低いこと、耐薬品性、耐熱性に優れて環境安定性が高いこと、等が利点として挙げられるためである。本発明において、プラスチックBとなるプラスチックは、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。尚、以下の説明において、断りなく摩擦係数と記載する場合、これは動摩擦係数を示すものである。
本発明において、プラスチックBが含まれる、即ち、ゴムAとプラスチックBとの総量に対して0体積%を超える割合で含まれることにより、本発明のゴム組成物は、一定の形状に成型したときに所定の面におけるタック性及び摩擦力の低減や、耐汚れ性の向上がもたらされる。ただし、本発明のゴム組成物の主成分はゴムAであるため、ゴムAとプラスチックBとの総量に対するプラスチックBの含有率は、50体積%以下である。
(3)弾性率
本発明のゴム組成物において、ゴムAの弾性率は、好ましくは、0MPaを超え50MPa未満である。ゴムAの弾性率が50MPa以上であると、ゴムとしての柔軟性、弾力性が乏しくなり他材料の形状への追随が難しくなることがあるためである。ゴムAの弾性率は、より好ましくは、0MPaを超え20MPa以下である。ゴムAの弾性率が20MPa以下であると、柔軟性が高く、自身が成型後に特殊形体で使用されたり、他物質の形状に追随して自身の形状を変えながら接触させたりが容易になる。また特殊形体をとった状態が長く維持される場合でも劣化を起こしにくくなる。ゴムAの弾性率は、さらに好ましくは、0MPaを超え10MPa以下である。ゴムAの弾性率が10MPa以下であると、プラスチックBを添加する際に、ゴムAはプラスチックBの形状に追随してプラスチックBに密着するのでゴムAとプラスチックBとの間で剥離が起こらなくなる。
本発明のゴム組成物において、プラスチックB部分の弾性率は、好ましくは、100MPa以上である。100MPaを下回ると、ゴム組成物を成型してなる成型体の所定の面に他物質が接触する際にゴムA部の変形に追随してプラスチックBが変形し、接触面積が大きくなることで、当該所定の面においてタック性、摩擦係数の低下が十分に起こらない。プラスチックB部分の弾性率は、より好ましくは、200MPa以上である。プラスチックB部分の弾性率が200MPa以上であると、当該成型体の所定の面に他物質が接触する際に、ゴムAよりも変形の起こりにくいプラスチックBとの接触が支配的になる。プラスチックB部分の弾性率は、さらに好ましくは、500MPa以上である。プラスチックB部分の弾性率が500MPa以上であると、自身の硬度により、当該成型体の所定の面の摩擦係数が低くなる上、当該成型体が他物質と接触する際の変形や追随を抑制するのでタック性が下がる。
本発明のゴム組成物において、ゴムAとプラスチックBとの弾性率差ΔDは、50MPa以上である。ΔDが50MPaを下回る場合、ゴム組成物を成型してなる成型体の所定の面に他物質が接触する際にゴムAの変形に追随してプラスチックBの変形が起こり、接触面積が大きくなることでタック性、摩擦係数の低下が十分に起こらない。ΔDは、好ましくは200MPa以上である。ΔDが200MPa以上であると、当該成型体の所定の面に他物質が接触する際に変形の起こりにくいプラスチックBとの接触が支配的になり、タック性や摩擦係数が低減するためである。
(4)海島構造
本発明のゴム組成物は、ゴムAを有する海部と、プラスチックBを有する複数の島部と、を有する海島構造が形成されている。本発明のゴム組成物において、当該海島構造は、外部環境に表出した部分、即ち、組成物を成型したときに現れる平面、側面等に限らず組成物の内部にも形成される。当該海島構造の島部を構成するプラスチックBは、一定の体積を有するプラスチック塊である。本発明においては、複数存在する当該プラスチック塊のうちの90%以上の体積は、4000μm3以下である。体積が4000μm3を超えるプラスチック塊がプラスチック塊全体の10%を超えると、プラスチックB自身の硬度により、ゴム組成物を成型してなる成型体を曲げ変形させた際に、島部自体又は海部と島部との界面に応力が大きく働いてしまう。これにより、プラスチックBの破損や、プラスチックBのゴムAからの剥離が生じてしまう。
(5)その他の成分
本発明のゴム組成物は、少なくともゴムAとプラスチックBとを有するが、ゴム組成物自体の物性を損ねない程度であれば、ゴムA、プラスチックB以外の成分を添加してもよい。本発明のゴム組成物にゴムA及びプラスチックB以外の成分、いわゆるその他成分を添加する場合、当該その他成分は、ゴムAやプラスチックBとの親和性や混練時における成分自体の粘度によって、上記海島構造の海部又は島部に含まれる。
本発明のゴム組成物に含まれ得るその他成分として、例えば、カーボンフィラー、ガラスファイバ粉末、金属酸化物粉末等が挙げられる。
[ゴム成型体]
本発明のゴム成型体は、本発明のゴム組成物を成型することで得られる。本発明のゴム成型体は、ゴムAを有する海部と、プラスチックBを有する複数の島部と、を有する海島構造が形成されている面を有している。尚、ここでいう面とは、本発明のゴム組成物を成型した際に現れる面のうち、タック性、摩擦力及び耐汚れ性が要求されている面をいう。またここでいう面は、平面や側面として定義される一つの面の全体に限定されるものではなく、当該一つの面の一部も含まれる。本発明において、上記面において、海部の面積と島部の面積との和に対する島部の面積比率が、0%を超え50%以下である。また上記面において、複数の島部のうち、面積が0μm2を超えかつ300μm2以下である島部が、島部の総面積の90%以上を占めている。
図1は、本発明のゴム成型体の一部を示す部分拡大図である。より具体的には、本発明のゴム成型体が有する面のうちの一つを拡大した図である。図1に示されるように、本発明のゴム成型体は、海部1と、島部2と、を有する海島構造が形成されている面を少なくとも1面有している。
本発明のゴム成型体において、上述した海島構造を有する面においては、海部の面積と島部の面積との和に対する島部の面積比率は、0%を超え50%以下である。対象となる面において、ゴムAを有する海部の中にわずかでもプラスチックBを有する島部が存在することで、その面においてタック性、摩擦係数の低減がみられる。ただし、対象となる面において島部の面積比率が50%を上回る場合、ゴムAがプラスチックBに埋没することになるため、ゴム成型体としての特性を十分に発揮できない。本発明において、対象となる面における海部の面積と島部の面積との和に対する島部の面積比率は、好ましくは、10%以上35%以下である。島部の面積比率が10%以上になることで、ゴム成型体が対象となる面において他物質と接触する際のゴム成型体自体の変形を抑制することができる。尚、ここでいう接触がゴムAと他物質と接触である場合であってもゴム成型体自体の変形追随を抑制することができる。また島部の面積比率が35%以下であれば、比較的弾性率の高いプラスチックBが少なくなることに起因して対象となる面の凹凸が減少し、十数μmの汚れが当該面の凹凸に引っかかることが少なくなる。
本発明のゴム成型体において、上述した海島構造を有する面においては、プラスチックB部を有する複数の島部のうち、面積が0μm2を超えかつ300μm2以下である島部が、島部の総面積の90%以上を占めている。面積が300μm2を超える島部が多い場合、プラスチックB自身の硬度により、ゴム成型体を曲げ変形させた際に、島部自体又は海部と島部の界面に応力が大きく働き、島部の破損や島部の海部からの剥離が発生してしまう。本発明において、好ましくは、プラスチックB部を有する島部の全てにおいて、その面積が0μm2を超えかつ300μm2以下である。
ゴム成型体にプラスチックBが上記のような関係を満たしながら微小サイズで含有されている場合、プラスチックBの含有割合から考えられるタック性、摩擦係数よりもはるかに下回った値を示す。この現象のメカニズムは完全に明らかにはなっていないが、以下の仮説が考えられる。微小サイズで分散しているプラスチックB自体の低タック性、低摩擦係数により、全体の摩擦係数も低減するが、それに加えて、プラスチックBが微小サイズで分布していること、及び硬さを有していることが影響している。プラスチックBが微小サイズでゴム成型体内に分布することで、このゴム成型体が相手材と実際に接触する部分が小面積であるにもかかわらず、その接触している部分、即ち、相手材と接触している面内にプラスチックBが存在する機会が増大する。またプラスチックBは、微小サイズで分布し、それ自体が硬いことにより、まず、相手材が接触する際に、プラスチックBが受け止める形となり、相手材がゴム(ゴムA)へ食い込むように接触するのを抑制している。加えて、相手材とゴム成型体とが接触した場合に相手材をゴム成型体から引き剥す際も、相手材との接触面に分布した硬いプラスチックBが、周囲からゴムAを押さえるような役割を発揮し、ゴム成型体が相手材へ追随していくことを抑制している。以上説明した複数の作用効果のいずれかが生じているか、又は当該作用効果のうち二つ以上が組み合わさって生じていると考えられる。
本発明のゴム成型体において、上述した海島構造を有する面においては、当該面の表面粗さRaは、好ましくは、0μmを超え3μm以下である。Raが3μmを上回ると、当該面の表面形状が汚れ付着の原因となることがある。Raは、より好ましくは、0μmを超え2μm以下である。尚、本発明のゴム成型体において、Raは、表出しているゴムA及びプラスチックBを考慮して決められる。
ところで、本発明のゴム成型体の所定の面に見られる海島構造は、深さ(厚みの)方向においても存在するため、摩耗によって当該所定の面に存在するゴムAやプラスチックBの一部が削り取られた後であっても、当該所定の面では海島構造を確認することができる。また摩耗によって当該所定の面の表面状態は変化する。特に、摩耗による表面状態が変化した後において、Raが3μm以下である場合は、当該所定の面が有する海島構造に含まれる島部について上述した所定の要件を満たすことで、当該所定の面においてタック性や摩擦力の減少や耐汚れ性の向上がもたらされる。
ゴム成型体の所定の面に現れる海島構造において、プラスチックBを有する島同士の関係は特に限定されないが、関係を表すパラメータとして平均近接壁面間距離Dnがある。平均近接壁面間距離Dnは、島同士で、壁間が最も近い相手との距離を近接壁面間距離として算出し、その平均値をとることで得られる。従って、一つの島Xからの近接壁面間距離の対象となる相手は、一つの島Yのみとなる。ただし、この相手の島Yの近接壁面間距離の対象となる相手の島は島Xとは限らない。本発明において、Dnは、好ましくは、0μmを超え10μm以下である。プラスチックBが近接している部分では耐汚れ性の効果が大きく、具体的には、Dnが10μm以下になると、十数μmの微小汚れがゴム成型体の所定の面に接触する場合でも、この汚れが当該所定の面に含まれるプラスチックBを有する島部に直接接触する機会が増えるため、耐汚れ性の効果が大きくなる。本発明において、Dnは、より好ましくは、0μmを超え5μm以下である。Dnが5μm以下であると、ゴムAを有する海部を挟んでいる島部の硬さの影響で、ゴム成型体が所定の面において、他物質への接触後の付着追随を抑制することができる。これにより、タック性や摩擦係数が低減する。
本発明のゴム成型体の所定の面が有する海島構造において、プラスチックBを有する島部の分散様式は特に限定されないが、関係を表すパラメータとして面積率分布度Vdがある。Vdは、一定の面積の画像の内、プラスチックBを有する島部の面積割合を%で算出し、その標準偏差をとることにより得られる。当該所定の面が有する海島構造に含まれるプラスチックBを有する島部の面積を対象とする場合、例えば、5μm×5μmの範囲において、20箇所以上の面積割合を算出することでVdを得る。Vdは、好ましくは、0を超え15以下である。15を超えると、場所によっては海島構造に含まれる島部の割合が変化し、プラスチックBによる効果を十分に得られない箇所が出てしまう。Vdは、より好ましくは、0を超え10以下である。Vdが10以下になると島部の均一さが増すことで、場所依存がなくなり、ゴム成型体を作製する際に作製そのものが簡便となる。
[ゴム成型体の応用例]
本発明のゴム成型体は、例えば、プラスチック基板、金属基板等の上に形成されている状態で用いられていてもよい。また本発明のゴム成型体は、ゴム成型体の構成材料以外の材料で形成されるコア層を被覆するスキン層として用いられていてもよい。
[ゴム組成物、ゴム成型体の製造方法]
本発明のゴム組成物の製造方法としては、所望の物性を有するゴム組成物が得られるのであるならば、特に限定されない。例えば、ゴム練ロール等の開放型の混合機、ニーダやスクリュー混練機等の閉鎖系の混合機を用いて混練処理により製造される。好ましくは、汚れを巻き込むことの少ない閉鎖系の混合機での混練処理である。より好ましくは、閉鎖系でもより大きなせん断力を混練物へ繰り返しを印加することが可能な、帰還形スクリューを搭載した混練機による混練処理である。さらに好ましくは、高せん断力が印加可能な伸長せん断を誘起する帰還式スクリューを用いた混練処理である。
混練処理を行う際は、せん断力がかかることによる発熱でゴムが劣化しないよう、混練物の投入温度や、混練部の温度及び圧力、スクリュー等の混練速度等を適宜調整する。
尚、混練済みのゴム組成物について、ゴム部の耐久性を上げるための加硫処理を施してもよい。
このようにして得られたゴム組成物を、形状を整えるために加工することにより、所定の形状を有するゴム成型体が得られる。尚、加工の際に、機械的な研磨を施したり、化学薬品による処理を行ったりしてもよい。
(平均溶解度パラメータ)
本発明のゴム組成物を作製する際に重要な要素の一つとして、平均溶解度パラメータがある。本発明において、ゴムAとプラスチックBとの平均溶解度パラメータとの差は14(J/cm31/2以下であることが好ましい。14(J/cm31/2を上回ると、プラスチックBであるプラスチック塊の体積が小さくなりにくくなる。その結果、ゴム組成物を成型してなる成型品に関する効果が小さくなる。ゴムAとプラスチックBとの平均溶解度パラメータとの差は、より好ましくは、10(J/cm31/2以下である。ここで本発明で用いられる溶解度パラメータは、Hansenの溶解度パラメータである。Hansenパラメータは、原子の分散力、分子の永久双極子間に生じる力、分子の水素結合から成るエネルギーからなり、それぞれδD、δP、δH[(J/cm31/2]で表される。このとき物質の溶解度パラメータδ[(J/cm31/2]は、下記式(i)で表される。
δ=(δD 2+δP 2+δH 21/2[(J/cm31/2] (i)
Hansenパラメータは、一般的な物質であればその測定値が文献値より得られ、特殊な物質で文献値として得られない場合でも計算ソフトにより算出が可能である。
ところで、複数(例えば、二種類)の物質同士を混合する際に、得られる混合物に含まれる各物質のHansenパラメータの差が大きい場合、溶解あるいは混和するために必要なエネルギーが大きくなる。このため、Hansenパラメータの差が大きいと、溶質の溶媒に対する溶解度が小さくなるため互いの混和が進まない。ここで物質aと物質bとのHansenパラメータの差である|Δδ(a−b)|[(J/cm31/2]は、下記式(ii)にて算出される。
|Δδ(a−b)|={4(δaD−δbD2+(δaP−δbP2+(δaH−δbH21/2 (ii)
(溶融粘度)
本発明のゴム組成物を製造する際に重要な要素の一つとして、溶融粘度がある。混練時にプラスチックBであるプラスチック塊のサイズを小さくするためには、ゴムAとプラスチックBとの両方が混練時において軟化していることが望ましい。本発明のゴム組成物を製造する際に使用され得るゴムA及びプラスチックBは、180℃付近で軟化している材料が多く、その温度近傍で混練される場合が多い。ゴムA及びプラスチックBの軟化の度合いは、溶融粘度で表わされる。この比率である溶融粘度比は、粘度が低い方を基準として考えるため、必ず1以上となる。尚、複数の材料、例えば、ゴムA及びプラスチックBを用いた場合は、それぞれの混入割合に基づいて、加重平均を算出し、その値を用いる。
本発明において、ゴムAの180℃における溶融粘度と、プラスチックBとの180℃における溶融粘度との比(溶融粘度比)は、好ましくは、1以上3以下である。溶融粘度比が3を下回ると、混練時のせん断力が大きければ、他の物性値に影響されず、プラスチックBであるプラスチック塊のサイズを小さくしやすくなる。本発明において、溶融粘度比は、より好ましくは、1以上2以下である。
[評価手法]
以上説明した方法によって得られたゴム成型体の評価手法について、以下に説明する。
(1)ゴム成型体の評価対象の面の構造評価
ゴム成型体の評価対象の面、例えば、表面の構造評価は、描画系の分析を行うことが望ましい。例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)やレーザー顕微鏡測定による直接観察により確認できる。必要に応じて表面等の測定対象の面を一部研磨する、破断面を出す、等の前処理を行う。また海の密度と島部の密度とがほぼ同じ等の理由により、コントラストがつかない場合には、染色処理を施す等、画像として差が出るような処理を予め行った上で観察する。
ゴム成型体の測定対象の面における海島構造を数値化するためには、走査型電子顕微鏡(SEM)やレーザー顕微鏡で測定し、その画像を画像解析ソフトに取り込んだ後、画像を2値化して海部と島部とを完全に分離する。そして2値化した画像に関して、画像のドット数と実際の大きさとの相関をとり、所望の数値を画像から算出する。
ところで、島部の総面積は、2値化した画像において島部に当たる部分の面積の総和で求めることができる。ここで画像のドット数と実際の大きさとの関係から、画像における各島の面積が全て算出されるので、これらを合計することにより島部の総面積が計算できる。尚、本発明のゴム成型体の所定の面、即ち、海島構造を有する面において、複数の島部のうち、面積が0μm2を超えかつ300μm2以下である島部が、島部の総面積の90%以上を占めている。つまり、本発明のゴム成型体は、所定の面において大きな面積を持つ島部が少量存在するのではなく、比較的小さな面積を持つ島部が多数存在していることを意味する。
(2)ゴム成型体の評価対象の面の組成の評価
ゴム成型体において、評価対象となる面(例えば、表面)の組成評価の方法としては、特に限定されない。例えば、エネルギー分散型X線(EDX)装置によって含有する元素及びその量から判断する方法や、赤外分光分析法を微小サイズ測定へ応用したナノIR分析装置を用いた化学結合情報のマッピング方式で検出する方法等がある。
(3)ゴム成型体の評価対象となる面の硬さの評価
ゴム成型体の評価対象となる面の硬さの評価は、特に限定されない。例えば、ナノインデンテーション法を利用した海部島部それぞれの弾性率測定や、ナノインデンテーションと原子間力顕微鏡(AFM)とを応用したナノインデンテーションAFM装置を用いた弾性率の面内のマッピングを行う方法等がある。
尚、海部の硬さは、島部と別の島部との中間点にある海部の弾性率を平均した値とし、島部の硬さは、島部の中央の弾性率を平均した値として算出する。また材料が異なる島部が複数種存在する場合は、種類に関わらず島部の中央の弾性率の平均値を島部の弾性率とする。
(4)ゴム成型体の評価対象となる面の防汚性評価
ゴム成型体の評価対象となる面の防汚性は、他物質の表面への付きにくさ、接触した場合の離れやすさをもって評価する。例として下記の手法が挙げられる。
(タック性試験)
タック性試験は、試験対象物へ別物質を押し付け、離す際の剥離力を測定する。剥離力は、物質が付着した際の取れやすさを数値化したものである。尚、防汚性は、一般的な粘着力測定装置や自作装置を用いて測定することが可能である。また、原子間力顕微鏡(AFM)によるフォースカーブ測定のような、ミクロサイズでの測定も可能である。ここで剥離力が小さい方が、耐汚れ性の高いこととなる。尚、複数種のゴム成型体のサンプルで防汚性を比較する場合は同じ条件下で行う。
(5)摩擦試験
摩擦試験は、試験対象物へ別物質を接触させ、荷重をかけながら引きずる際に必要とする力から動摩擦係数を測定する。動摩擦係数は、物質が接触する際の引っかかり、つまり付着しにくさを数値化したものとなる。摩擦試験には、平面に対し、別物質を点接触させる測定、面接触させる測定等、様々である。尚、本発明のゴム成型体は、耐汚れ性も考慮しているため、接触面積が小さく、荷重の小さい摩擦試験が望ましい。ここで、摩擦係数が小さい方が、耐汚れ性の高いこととなる。尚、複数種のゴム成型体のサンプルで摩擦係数を比較する場合は同じ条件下で行う。
以下、実施例により本発明について詳細に説明するが、本発明は、以下に説明する実施例に制限されるものではない。
[材料の物性値の測定、算出]
(1)溶融粘度比
実施例で使用するゴム及びプラスチックについて、混練時の条件下での溶融粘度をキャピログラフ(東洋精機株式会社製)により測定した。得られた溶融粘度について、高く出た値を低く出た値で割り溶融粘度比を計算した。この計算方法で溶融粘度比を計算すると、溶融粘度が異なる材料同士(溶融粘度の差が大きい材料同士)ほど溶融粘度比は大きい。一方で、溶融粘度が近い場合(溶融粘度の差が小さい場合)は1に近づく。尚、ゴム及び/又はプラスチックで複数の材料を用いた場合は、それぞれ混入割合に基づいて、加重平均を算出し、その値を用いた。
(2)平均溶解度パラメータの差
実施例で使用するゴム及びプラスチックについて、Hansenの溶解度パラメータを計算ソフト「HSPiP」(映像工房クエスチョン製)によりそれぞれ算出した。また同じソフトを用いて、理論に基づいた方法により、得られた溶解度パラメータの差を算出した。尚、ゴム及び/又はプラスチックで複数の材料を用いた場合は、それぞれ混入割合に基づいて、加重平均を算出し、その値を用いた。
[実施例1]ゴム組成物及びゴム成型体の作製
ゴムAであるNBR(ニトリルゴム)とプラスチックBであるPVDF(ポリフッ化ビニリデン)とを準備した。このとき、ゴムAとプラスチックBとの重量比(混練重量比)は70:30であり、ゴムAとプラスチックBとの合計は500gになるようにした。次に、準備したゴム及びプラスチックを物理的に一体化させるため、100℃に設定したニーダ練り機に投入して、回転数50rpmで5分乃至10分混練処理を施した。
続いて、ニイガタマシンテクノ製の高せん断成形加工装置にてさらに混練処理を行った。尚、この装置は、混練部に伸長せん断を誘起する帰還式スクリューが用いられている。このため、通常の二軸混練機よりも高せん断力を印加可能であり、短時間で処理を完了することができ、また循環冷却水でせん断発熱を抑制させることも可能である。従って、通常の二軸混練等の装置に比べて、高いせん断力をかけられる上に、材料を劣化させることなく、相溶性の悪い材料同士でも、微小サイズでの混合が可能となる。この装置に投入された材料は、可塑化部(予備混練部)で所望の状態に処理した上で、混練部に導入され、処理がなされるが、特に、混練部でのスクリュー回転数(印加せん断速度に影響)、時間の設定が、両物質の混合状態に大きく影響するため、厳密に制御した。本実施例(実施例1)では、せん断速度を500rpmとし、混練時におけるせん断処理時間を10秒とした。
また、せん断による発熱でゴムが劣化しないよう、投入温度や、混練部の温度等についても適宜調整した。特に混練部での温度は180℃となるように調整した。
得られたゴム組成物は、いずれも加硫処理を施した。具体的には、ゴム組成物に、酸化亜鉛、ステアリン酸、硫黄及びN−(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドを適宜添加し、池田機械工業製電気加熱式高温ロール機にて室温、ロール回転数25rpmの条件下で練り込んだ。さらにJIS K 6300−2:2001に則って加硫度試験を行うことで加硫条件を決定し、その条件でプレス成型を行った。
上記プレス成型により、大きさが15mm×15mmの正方形状であるシート状のゴム成型体を得た。図2は、実施例1で作製したシートを示す斜視図である。尚、図2中のMは、後述するゴム成型体の平滑性、硬さ、耐汚れ性及び摩擦係数のいずれかの評価をする際に使用した領域である。ただし、ゴム成型体の硬さ、耐汚れ性及び摩擦係数の評価をする際に使用した領域は、それぞれ異なっている。また、本実施例で得られたゴム成型体の厚み(図2中のd)は、1.1mmであった。
[実施例2]
実施例1において、ゴムAとプラスチックBとの重量比を、下記表1の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法によりゴム成型体を得た。尚、本実施例で得られたゴム成型体の厚みは、0.8mmであった。
[実施例3]
実施例1において、ゴムA及びプラスチックBの種類、並びに混練時におけるせん断速度を下記表1の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法によりゴム成型体を得た。尚、本実施例で得られたゴム成型体の厚みは、1.0mmであった。
[実施例4]
実施例1において、ゴムA及びプラスチックBの種類、並びに混練時におけるせん断速度を下記表1の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法によりゴム成型体を得た。尚、本実施例で得られたゴム成型体の厚みは、1.2mmであった。
[実施例5]
実施例1において、ゴムA及びプラスチックBの種類を下記表1の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法によりゴム成型体を得た。尚、本実施例で得られたゴム成型体の厚みは、0.9mmであった。
[実施例6]
実施例1において、プラスチックBの種類及び混練時におけるせん断速度を下記表1の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法によりゴム成型体を得た。尚、本実施例で得られたゴム成型体の厚みは、1.0mmであった。
[実施例7]
実施例1において、プラスチックBの種類を下記表1の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法によりゴム成型体を得た。尚、本実施例で得られたゴム成型体の厚みは、1.1mmであった。
[比較例1]
SBR(スチレンゴム)を加硫した後、プレス成型することにより、大きさが15mm×15mmの正方形状であるシート状のゴム成型体を得た。尚、本実施例で得られたゴム成型体の厚みは、1.0mmであった。
[比較例2]
比較例1において、SBRに代えて、NBR(ニトリルゴム)を用いたこと以外は、比較例1と同様の方法によりシート状のゴム成型体を得た。尚、本実施例で得られたゴム成型体の厚みは、1.0mmであった。
[比較例3]
実施例1において、高せん断成形加工装置による混練処理を省略したことを除いては、実施例1と同様の方法によりシート状のゴム成型体を得た。尚、本実施例で得られたゴム成型体の厚みは、1.2mmであった。
Figure 0006728448
[実施例8]
実施例1で作製したゴム成型体をスライスしたものを、基材であるアクリル板の上に載置させてなるサンプルを作製した。尚、本実施例で得られたサンプルを構成するゴム成型体の厚みは、0.3mmであった。
[ゴム成型体に関する評価]
得られたゴム成型体について、以下に説明する通りに評価を行った。
(1)構造、組成の評価
作製したゴム成型体の表面の状態を走査型電子顕微鏡S−4800(日立ハイテック製)で観察した。また、付属のエネルギー分散型X線(EDX)装置で、海島部の組成を確認した。得られた画像を画像解析ソフト「Image J」(開発元:Wayne Rasband、オープンソースとなっている)に取り込んだ後、画像を2値化して海部と島部を完全に分離した。2値化した画像に関して、先ほどと同じ画像ソフトや自主開発したプログラムにて、画像のドット数と実際の大きさとの相関をとった上で、所望の数値を画像から算出した。そして当該画像より、島部の最大面積、島部の面積分布、島部と島部との間の平均近接壁面間距離等を得た。
(2)表面平滑性の評価
ゴム成型体の表面を、レーザー顕微鏡VK−X100(キーエンス製)にて観察した。具体的には、1.0mm×1.5mmの範囲の画像を基にして当該画像部分における面全体の表面粗さを算出した。尚、得られた画像は20以上であり、各画像における表面粗さをそれぞれ算出した。そして算出された表面粗さの平均値を対象となるゴム成型体の表面平滑性を表す表面粗さRaとした。
(3)硬さの評価
ゴム成型体の表面について、ナノインデンテーションAFM装置(Bruker AXS社製走査型プローブ顕微鏡)で弾性率の面内のマッピングを行った。ここで、海部の硬さは、島部と別の島部との中間点の海部の弾性率を平均した値とし、島部の硬さは、島部の中央の弾性率を平均した値として算出した。尚、材料が異なる島部が複数種存在する場合は、種類に関わらず島部の中央の弾性率の平均値を島部の弾性率とした。
(4)耐汚れ性の評価(タック性評価)
ゴム成型体の表面に対し、直径15mmの円形ウレタンゴムを30Nの荷重をかけて押しつけて30秒間放置した。それを完全に引き剥す際の最大剥離力を測定することで、耐汚れ性(タック性)を評価した。
(5)摩擦係数評価
ゴム成型体の表面について、摩擦試験装置トライボギア(新東科学製)にて直線往復試験を行うことにより、動摩擦係数を測定した。ここで、測定時の相手材料は直径10mmのSUJ2球であり、100gの荷重のもと、100mm/分の速度で5mmの範囲を1分間往復させた。尚、この測定は、複数ヶ所あるゴム成型体の表面の一部分において行われ、各部分にて得られた動摩擦係数を平均した値を対象サンプルの動摩擦係数とした。
(6)曲げ試験
実施例1乃至7及び比較例1乃至3でそれぞれ作製したシートについて曲げ試験を行った。曲げ試験は、作製したゴム成型体を平たな面の上に広げた状態を開始状態とし、曲げ角度0度とした。次に、曲げる際の軸を決めた上で、曲げた部分、軸、元の位置が角度60度となるところまで曲げ、さらに曲げ角度0度を経て反対側つまり角度マイナス60度となるところまで曲げて角度0度まで戻し、この一連の操作を1回とし、これを20回繰り返した。最も曲げによる応力がかかったと考えられる軸となった部分をSEM像観察し、曲げ耐性を確認した。ここで、ゴム成型体の表面に表出しているプラスチックが剥離していなければ○(良好)と判定し、剥離が発生している場合は×(不良)と判定した。
Figure 0006728448
Figure 0006728448
図3は、実施例1で作製したゴム成型体の表面を示すSEM像である。図3に示されるように、実施例1のゴム成型体の表面において、海島構造が存在することが確認された。尚、表3では示されていないが、実施例1のゴム成型体を厚さ0.3μmでスライスしたものを有する実施例8のゴム成型体において、剥離力及び動摩擦係数においては、実施例1と同様であった。
図4は、比較例3のサンプルについて曲げ試験を行った時のSEM像である。図4に示されるように、比較例3のサンプルについて曲げ試験を行った結果、プラスチック部の剥離が生じることが確認された。比較例3では、プラスチックBが含まれているものの、予備混練しか行わなかった。このため、サンプルであるゴム成型体に含まれているプラスチックBのサイズが大きく、均一に分布していないことにより、実施例のサンプルと比較して曲げ耐性が劣っていることがわかった。
1:海部、2:島部

Claims (9)

  1. 非フッ素系のゴムAと、プラスチックBと、を有するゴム組成物であって、
    前記ゴムAはニトリルゴム及びスチレンゴムから選択されるブタジエン系ゴムであり、前記プラスチックBは超高分子量ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン及びポリオキシメチレンから選択されるエンジニアリングプラスチックであり、
    前記ゴムAと前記プラスチックBとの弾性率の差が、240MPa以上1200MPa以下であり、
    前記ゴムAを有する海部と、前記プラスチックBを有する複数の島部と、を有する海島構造が形成されており
    数の前記島部のうちの90%以上の体積が、4000μm3以下であり、
    所定の面に現れる前記海島構造において、前記海部の面積と前記島部の面積との和に対する前記島部の面積比率が、9%以上31%以下であり、前記島部同士の平均近接壁面間距離が、0.15μm以上0.53μm以下であることを特徴とする、ゴム組成物。
  2. 前記ゴムAの弾性率が、0MPaを超えかつ50MPa未満であることを特徴とする、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記ゴムAの180℃における溶融粘度と、前記プラスチックBの180℃における溶融粘度と、の溶融粘度が低い方を基準とした比が3以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 前記ゴムAと前記プラスチックBとの溶解度パラメータの差が14(J/cm31/2以下であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  5. 請求項1乃至のいずれか一項に記載のゴム組成物を成型してなるゴム成型体であって、
    ゴムAを有する海部と、プラスチックBを有する複数の島部と、を有する海島構造が形成されている面を有し
    記面において、複数の前記島部のうち、面積が0μm2を超えかつ300μm2以下である島部が、前記島部の総面積の90%以上を占めていることを特徴とする、ゴム成型体。
  6. 前記面の表面粗さが、0μmを超えかつ3μm以下であることを特徴とする、請求項に記載のゴム成型体。
  7. 前記複数の島部の全てにおいて、前記島部の面積が0μm2を超えかつ300μm2以下であることを特徴とする、請求項又はに記載のゴム成型体。
  8. 請求項1乃至のいずれか一項に記載のゴム組成物の製造方法であって、
    ニーダ練り機を用いてゴムAとプラスチックBとを前記ゴムAおよび前記プラスチックBの軟化温度より低い第一の温度で第一の混錬処理する工程と、
    前記第一の混錬処理の後に、帰還式スクリューを用いてゴムAとプラスチックBとを前記第一の温度より高い第二の温度で、せん断速度が500rpm以上1000rpm以下で第二の混練処理する工程を有することを特徴とする、ゴム組成物の製造方法。
  9. 請求項乃至のいずれか一項に記載のゴム成型体の製造方法であって、
    ニーダ練り機を用いてゴムAとプラスチックBとを前記ゴムAおよび前記プラスチックBの軟化温度より低い第一の温度で第一の混錬処理する工程と、
    前記第一の混錬処理の後に、帰還式スクリューを用いてゴムAとプラスチックBとを前記第一の温度より高い第二の温度で、せん断速度が500rpm以上1000rpm以下で第二の混練処理する工程を有することを特徴とする、ゴム成型体の製造方法。
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