JP6727849B2 - 粘着シートおよび光学製品の製造方法 - Google Patents

粘着シートおよび光学製品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6727849B2
JP6727849B2 JP2016036870A JP2016036870A JP6727849B2 JP 6727849 B2 JP6727849 B2 JP 6727849B2 JP 2016036870 A JP2016036870 A JP 2016036870A JP 2016036870 A JP2016036870 A JP 2016036870A JP 6727849 B2 JP6727849 B2 JP 6727849B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pressure
sensitive adhesive
adhesive sheet
ultraviolet
curable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016036870A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017155074A (ja
Inventor
一政 安達
一政 安達
優智 中村
優智 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Lintec Corp
Original Assignee
Lintec Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Lintec Corp filed Critical Lintec Corp
Priority to JP2016036870A priority Critical patent/JP6727849B2/ja
Priority to KR1020170001220A priority patent/KR20170101772A/ko
Publication of JP2017155074A publication Critical patent/JP2017155074A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6727849B2 publication Critical patent/JP6727849B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09JADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
    • C09J7/00Adhesives in the form of films or foils
    • C09J7/20Adhesives in the form of films or foils characterised by their carriers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09JADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
    • C09J2203/00Applications of adhesives in processes or use of adhesives in the form of films or foils
    • C09J2203/326Applications of adhesives in processes or use of adhesives in the form of films or foils for bonding electronic components such as wafers, chips or semiconductors
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09JADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
    • C09J2301/00Additional features of adhesives in the form of films or foils
    • C09J2301/30Additional features of adhesives in the form of films or foils characterized by the chemical, physicochemical or physical properties of the adhesive or the carrier
    • C09J2301/312Additional features of adhesives in the form of films or foils characterized by the chemical, physicochemical or physical properties of the adhesive or the carrier parameters being the characterizing feature

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Adhesive Tapes (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Description

本発明は、ワークへの貼付およびワークからの剥離が可能な粘着シートおよび当該粘着シートを使用した光学製品の製造方法に関するものである。
近年のスマートフォン、タブレット端末等の各種モバイル電子機器は、液晶素子、発光ダイオード(LED素子)、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子等を有する表示体モジュールを使用したディスプレイを備えており、かかるディスプレイがタッチパネルとなることも多くなってきている。
上記のようなディスプレイは、各種の光学部材を積層することにより構成される。一例として、タッチパネルディスプレイは、表示体モジュール(例えば、液晶(LCD)モジュール、発光ダイオード(LED)モジュール、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)モジュール等)と、その上に粘着剤層を介して積層された透明導電膜付きフィルムと、その上に粘着剤層を介して積層された透明導電膜付きのカバーガラスとを備えて構成される。
上記各種の光学部材を使用してディスプレイを製造するにあたり、光学部材をある位置から他の位置に移動させたり、ある光学部材を他の光学部材に積層したりする必要がある。そのときに、光学部材に粘着シートを貼付し、その粘着シートをハンドリングすることにより、当該粘着シートが貼付された光学部材を所望の作業に付すことが行われることがある。
かかる粘着シートは、光学部材についての作業中には、意図しない剥離が生じないように所定の粘着力を有し、かつ、光学部材についての作業後には、当該光学部材から容易に剥離できる粘着力を有する必要がある。
そのような粘着シートとして、紫外線硬化性の粘着剤からなる粘着剤層を備えたものを使用することができる。かかる粘着シートにおいては、紫外線を照射することにより粘着剤を硬化させて粘着力を低下させ、それにより被着体から容易に剥離することが可能となる。
上記の紫外線を照射する装置として、従来はメタルハライドや高圧水銀ランプを光源とする装置が使用されてきたが、近年、これらに代えて、紫外線発光ダイオード(本明細書において「紫外線LED」ともいう。)を光源にした紫外線照射装置が提案されている(例えば特許文献1)。
しかしながら、紫外線LEDを光源に用いると、その低拡散性、低発熱性、波長領域の狭さなどの理由により、前述の粘着シートが備える粘着剤層の硬化が不十分となる傾向がみられる場合があった。
上記の問題を解決するために、用途は半導体ウエハ等のデバイス関連部材ではあるが、特許文献2に開示される粘着シートが提案されている。かかる粘着シートでは、波長365nmの質量吸光係数が所定の範囲にある光重合開始剤を粘着剤に所定量配合することにより、紫外線LEDを照射した場合でも粘着力を十分に低下させることができる。
特開2006−040944号公報 国際公開公報WO2014/142085
しかしながら、特許文献2の粘着シートを蛍光灯下で保管した場合、蛍光灯の光によって光重合開始剤が開裂して、粘着剤の硬化が進行してしまうことがある。粘着シートの保管中に粘着剤の硬化が進行した場合、実際の使用時に被着体に対して所望の粘着力を安定的に発揮することができなくなる。このように、紫外線LEDで粘着力を低下させる従来の粘着シートでは、蛍光灯下での保管安定性が十分とはいい難かった。
ここで、最近、紫外線LEDとしては、波長385nmの光線を発するものが使用されつつある。
本発明は、上記のような実状に鑑みてなされたものであり、波長385nmの光線の照射により粘着力が低下し、かつ蛍光灯下での保管安定性に優れる粘着シートおよび当該粘着シートを使用した光学製品の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、基材と、前記基材の少なくとも一方の面側に積層された、紫外線硬化性粘着剤からなる粘着剤層とを備え、前記紫外線硬化性粘着剤が、(a)波長385nmの光線の照射によって開裂する光重合開始剤と、(b)波長385nmの光線の照射によって開裂せず、かつ、前記光重合開始剤の開裂によってラジカルを発生するラジカル発生剤とを含有する粘着剤組成物から形成されたものであることを特徴とする粘着シートを提供する(発明1)。
第2に本発明は、基材と、前記基材の少なくとも一方の面側に積層された、紫外線硬化性粘着剤からなる粘着剤層とを備え、前記紫外線硬化性粘着剤が、(a)波長370〜390nmの波長領域における光線の質量吸光係数の最大値が200ml/g・cm以上、10000ml/g・cm以下である光重合開始剤と、(b)波長370〜390nmの波長領域における光線の質量吸光係数の最大値が200ml/g・cm未満であるラジカル発生剤とを含有する粘着剤組成物から形成されたものであることを特徴とする粘着シートを提供する(発明2)。
上記発明(発明1,2)に係る粘着シートにおける粘着剤層に対して波長385nmの光線を照射すると、光重合開始剤が開裂してラジカルが発生し、そのラジカルに誘発されてラジカル発生剤もラジカルを発生する。このようにラジカル発生剤が連鎖移動剤として作用することにより、光重合開始剤の含有量を少なくしても、発生したラジカルによって紫外線硬化性粘着剤を十分に硬化させることができ、もって粘着力が十分に低下する。一方、光重合開始剤の含有量を少なくすることができることにより、蛍光灯下でも紫外線硬化性粘着剤の硬化が進行し難く、したがって、当該粘着シートを蛍光灯下で保管した場合であっても、被着体に対して良好な粘着力を安定的に発揮することができる。すなわち、上記発明に係る粘着シートは、波長385nmの光線照射による粘着力の低下性に優れ、かつ蛍光灯下での保管安定性に優れる。
上記発明(発明1,2)において、前記粘着剤組成物中における前記光重合開始剤の含有量は、前記紫外線硬化性粘着剤中の紫外線硬化性成分100質量部に対して、0.3質量部以上、5質量部以下であることが好ましく、前記粘着剤組成物中における前記ラジカル発生剤の含有量は、前記紫外線硬化性粘着剤中の紫外線硬化性成分100質量部に対して、0.8質量部以上、7.0質量部以下であることが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1〜3)において、前記紫外線硬化性粘着剤は、紫外線非硬化性のポリマーと、紫外線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマーとを含有することが好ましい(発明4)。
上記発明(発明4)において、前記紫外線非硬化性のポリマーは、架橋剤を介した架橋構造を有することが好ましい(発明5)。
上記発明(発明1〜5)において、波長385nmの光線照射前における前記粘着シートのシリコンミラーウエハに対する粘着力は、8000mN/25mm以上、300000mN/25mm以下であることが好ましい(発明6)。
上記発明(発明1〜6)において、波長385nmの光線照射後における前記粘着シートのシリコンミラーウエハに対する粘着力は、1000mN/25mm以下であることが好ましい(発明7)。
上記発明(発明1〜7)において、波長385nmの光線照射前における前記粘着シートのシリコンミラーウエハに対する粘着力に対する、波長385nmの光線照射後における前記粘着シートのシリコンミラーウエハに対する粘着力の比は、0.1%以上、15%以下であることが好ましい(発明8)。
上記発明(発明1〜8)に係る粘着シートは、光学製品の製造に使用されることが好ましい(発明9)。
第3に本発明は、前記粘着シート(発明1〜9)を、前記粘着剤層を介して光学部材に貼付する工程と、前記粘着シートが貼付された前記光学部材について所望の作業を行う工程と、前記光学部材に貼付された前記粘着シートの前記粘着剤層に対して波長385nmの光線を照射し、前記粘着剤層の粘着力を低下させる工程と、前記光学部材から前記粘着シートを剥離する工程とを含むことを特徴とする光学製品の製造方法を提供する(発明10)。
本発明に係る粘着シートは、波長385nmの光線の照射により粘着力が低下し、かつ蛍光灯下での保管安定性に優れる。かかる粘着シートによれば、光学製品を安定的に製造することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔粘着シート〕
本実施形態に係る粘着シートは、ワークに貼付され、その状態でワークについて所望の作業が行われた後、当該ワークから剥離されるものである。ワークとしては、特に限定されないが、後述する光学部材が好ましい。
本実施形態に係る粘着シートは、基材と、基材の少なくとも一方の面側に積層された粘着剤層とを備えて構成される。粘着剤層の基材とは反対側の面には、剥離フィルムが積層されてもよい。この剥離フィルムは、粘着シートの使用時に剥離除去され、それまで粘着剤層を保護するものである。
1.粘着剤層
本実施形態における粘着剤層は、紫外線硬化性粘着剤からなる。当該紫外線硬化性粘着剤は、第1に、
(a)波長385nmの光線の照射によって開裂する光重合開始剤と、
(b)波長385nmの光線の照射によって開裂せず、かつ、上記光重合開始剤の開裂によってラジカルを発生するラジカル発生剤と
を含有する粘着剤組成物から形成されたものであるか、または第2に、
(a)波長370〜390nmの波長領域における光線の質量吸光係数の最大値が200ml/g・cm以上、10000ml/g・cm以下である光重合開始剤と、
(b)波長370〜390nmの波長領域における光線の質量吸光係数の最大値が200ml/g・cm未満であるラジカル発生剤と
を含有する粘着剤組成物から形成されたものである。
上記の粘着剤組成物から形成された紫外線硬化性粘着剤からなる粘着剤層においては、上記の光重合開始剤およびラジカル発生剤を併用している。かかる粘着剤層に対して波長385nmの光線を照射すると、光重合開始剤が開裂してラジカルが発生し、そのラジカルに誘発されてラジカル発生剤もラジカルを発生する。このようにラジカル発生剤が連鎖移動剤として作用することにより、光重合開始剤の含有量を少なくしても、発生したラジカルによって紫外線硬化性粘着剤を十分に硬化させることができ、もって粘着力が十分に低下する。また、かかる作用により、光線の照射時間を短縮することができ、それによって生産効率を上げることができる。一方、光重合開始剤の含有量を少なくすることができることにより、蛍光灯下でも紫外線硬化性粘着剤の硬化が進行し難く、したがって、当該粘着シートを蛍光灯下で保管した場合であっても、被着体(ワーク)に対して良好な粘着力を安定的に発揮することができる。すなわち、本実施形態に係る粘着シートは、波長385nmの光線照射による粘着力の低下性に優れ、かつ蛍光灯下での保管安定性に優れる。
(1)紫外線硬化性粘着主剤
本実施形態における紫外線硬化性粘着剤を形成する粘着剤組成物は、上記光重合開始剤およびラジカル発生剤以外に、紫外線硬化性粘着主剤を含有し、さらに架橋剤を含有してもよい。紫外線硬化性粘着主剤は、波長385nmの光線の照射によって発生したラジカルによって硬化するものであれば、特に限定されない。かかる紫外線硬化性粘着主剤としては、紫外線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマーを含有するものであってもよいし、紫外線非硬化性のポリマーと、紫外線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマーとを含有するものであってもよいし、紫外線硬化性のポリマーを含有するものであってもよいし、紫外線硬化性のポリマーと、紫外線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマーとを含有するものであってもよいし、紫外線硬化性のポリマーと、紫外線非硬化性のポリマーと、紫外線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマーとを含有するものであってもよい。中でも、紫外線硬化前の粘着力を大きくすることが容易で、紫外線硬化後の粘着力との差を大きくすることのできる、紫外線非硬化性のポリマーと、紫外線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマーとを含有する紫外線硬化性粘着主剤が好ましい。なお、上記成分のうち、紫外線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー、ならびに紫外線硬化性のポリマーが紫外線硬化性成分に該当する。
(1−1)紫外線非硬化性のポリマー
紫外線硬化性粘着主剤が紫外線非硬化性のポリマーを含有する場合、その紫外線非硬化性のポリマーは、粘着剤層にそのまま含有されていてもよく、また少なくともその一部が架橋剤と架橋反応を行って架橋構造を有していてもよい。紫外線非硬化性のポリマーとしては、例えば、アクリル系重合体、フェノキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ゴム系樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられ、中でも粘着力の制御が容易なアクリル系重合体が好ましい。以下、アクリル系重合体を用いる場合について詳しく説明する。なお、本明細書における「重合体」には「共重合体」の概念も含まれるものとする。
アクリル系重合体としては、従来公知のアクリル系の重合体を用いることができる。アクリル系重合体は、1種類のアクリル系モノマーから形成された単独重合体であってもよいし、複数種類のアクリル系モノマーから形成された共重合体であってもよいし、1種類または複数種類のアクリル系モノマーとアクリル系モノマー以外のモノマーとから形成された共重合体であってもよい。アクリル系モノマーとなる化合物の具体的な種類は特に限定されず、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、その誘導体(アクリロニトリル、イタコン酸など)が具体例として挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語も同様である。
(メタ)アクリル酸エステルについてさらに具体例を示せば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の鎖状骨格を有する(メタ)アクリレート;シクロへキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イミドアクリレート等の環状骨格を有する(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基以外の反応性官能基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。また、アクリル系モノマー以外のモノマーとして、エチレン、ノルボルネン等のオレフィン、酢酸ビニル、スチレンなどが例示される。なお、アクリル系モノマーがアルキル(メタ)アクリレートである場合には、そのアルキル基の炭素数は1〜18の範囲であることが好ましい。
本実施形態における紫外線硬化性粘着剤を形成する粘着剤組成物が架橋剤を含有する場合には、アクリル系重合体は、架橋剤と反応する反応性官能基を有することが好ましい。反応性官能基の種類は特に限定されず、架橋剤の種類などに基づいて適宜決定すればよい。
例えば、架橋剤がポリイソシアネート化合物である場合には、アクリル系重合体が有する反応性官能基として、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基などが例示される。また、架橋剤がエポキシ系化合物である場合には、アクリル系重合体が有する反応性官能基として、カルボキシ基、アミノ基、アミド基などが例示される。架橋剤がキレート化合物である場合には、アクリル系重合体が有する反応性官能基として、ヒドロキシ基、カルボキシ基、エポキシ基などが例示される。
アクリル系重合体に反応性官能基を導入する方法は特に限定されず、一例として、反応性官能基を有するモノマーを用いてアクリル系重合体を形成し、反応性官能基を有するモノマーに基づく構成単位を重合体の骨格に含有させる方法が挙げられる。例えば、アクリル系重合体にヒドロキシ基を導入する場合は、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどのヒドロキシ基を有するモノマーを用いてアクリル系重合体を形成すればよい。また、アクリル系重合体にカルボキシ基を導入する場合は、アクリル酸などのカルボキシ基を有するモノマーを用いてアクリル系重合体を形成すればよい。
アクリル系重合体が反応性官能基を有する場合には、アクリル系重合体全体の質量に占める反応性官能基を有するモノマー由来の構造部分の質量の割合は、1質量%以上であることが好ましく、特に2質量%以上であることが好ましい。また、当該割合は、20質量%以下であることが好ましく、特に10質量%以下であることが好ましい。上記割合が上記範囲にあることで、架橋の程度を良好にすることができる。
アクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)は、1万以上であることが好ましく、特に10万以上であることが好ましい。また、アクリル系重合体の重量平均分子量は、200万以下であることが好ましく、特に150万以下であることが好ましい。上記重量平均分子量が上記範囲にあることで、良好な粘着性を発揮するとともに、塗工時の造膜性を良好に確保することができる。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
(1−2)紫外線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー
紫外線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(以下「紫外線硬化性化合物」という。)は、紫外線硬化性基を有し、紫外線の照射を受けると重合する化合物であって、後述する紫外線硬化性のポリマーよりも低分子量のものである。
紫外線硬化性化合物が有する紫外線硬化性基は、例えば紫外線硬化性の炭素−炭素二重結合を含む基であり、具体的には、(メタ)アクリロイル基、ビニル基などを例示することができる。
紫外線硬化性化合物は、単官能であってもよいし、多官能であってもよいが、多官能であることが好ましい。その場合、紫外線硬化性化合物は、2官能以上であることが好ましく、特に3官能以上であることが好ましく、さらには4官能以上であることが好ましい。また、当該紫外線硬化性化合物は、15官能以下であることが好ましく、特に12官能以下であることが好ましく、さらには10官能以下であることが好ましい。紫外線硬化性化合物が上記のような多官能であると、紫外性硬化による粘着力のコントロールがしやすく、硬化による体積収縮が大きくなることに起因する基材との密着不良も生じにくい。
紫外線硬化性化合物の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールポリアクリレート、あるいは1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジシクロペンタジエンジメトキシジアクリレート、イソボルニルアクリレートなどの環状脂肪族骨格含有アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、オリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシ変性アクリレート、ポリエーテルアクリレート、イタコン酸オリゴマーなどのアクリレート系化合物が挙げられる。これらは、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
紫外線硬化性化合物の分子量は、100以上であることが好ましく、特に300以上であることが好ましい。また、紫外線硬化性化合物の分子量は、30000以下であることが好ましく、特に10000以下であることが好ましい。紫外線硬化性化合物の分子量が上記範囲にあることで、造膜性を確保しつつ、塗工乾燥時の材料揮発の影響を抑えることができる。
紫外線硬化性粘着主剤が紫外線非硬化性のポリマーと紫外線硬化性化合物とを含有する場合、紫外線非硬化性のポリマー(特にアクリル系重合体)100質量部に対する紫外線硬化性化合物の割合は、50質量部以上であることが好ましく、特に70質量部以上であることが好ましく、さらには85質量部以上であることが好ましい。また、当該割合は、300質量部以下であることが好ましく、特に210質量部以下であることが好ましく、さらには150質量部以下であることが好ましい。上記割合が上記範囲にあることで、硬化前には良好な粘着力を発揮し、硬化後には粘着力が十分に低下し得る。
(1−3)紫外線硬化性のポリマー
紫外線硬化性のポリマーは、紫外線硬化性基が導入された重合体であることが好ましい。この紫外線硬化性基が導入された重合体は、粘着剤層にそのまま含有されていてもよく、また少なくともその一部が架橋剤と架橋反応を行って架橋構造を有していてもよい。
紫外線硬化性基が導入された重合体としては、たとえば、官能基を含有する官能基含有モノマーを構成成分とする官能基含有アクリル系重合体と、当該官能基と反応する置換基および紫外線硬化性炭素−炭素二重結合を有する硬化性基含有化合物とを反応させて得られるアクリル系重合体が挙げられる。
官能基含有アクリル系重合体は、官能基を含有するアクリル系モノマーと、官能基を含有しないアクリル系モノマーと、所望によりアクリル系モノマー以外のモノマーとを共重合したものであることが好ましい。すなわち、上記官能基含有モノマーは、官能基を含有するアクリル系モノマーであることが好ましい。
官能基を含有するアクリル系モノマーの官能基(官能基含有モノマーの官能基)としては、上記硬化性基含有化合物が有する置換基と反応可能なものが選択される。かかる官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、本実施形態における紫外線硬化性粘着剤が架橋剤を含有する場合には、官能基含有アクリル系重合体は、架橋剤と反応する官能基を有する官能基含有モノマーを構成成分として含有することが好ましく、当該官能基含有モノマーは、上記硬化性基含有化合物が有する置換基と反応可能な官能基を有する官能基含有モノマーが兼ねてもよい。
官能基を含有しないアクリル系モノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを含むことが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの中でも、アルキル基の炭素数が1〜18であるものが好ましく、特に炭素数が1〜8であるものが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
官能基を含有しないアクリル系モノマーは、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー以外にも、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等のアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸フェニル等の芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド等の非架橋性のアクリルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル等の非架橋性の3級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどを含んでもよい。
アクリル系モノマー以外のモノマーとしては、例えば、エチレン、ノルボルネン等のオレフィン、酢酸ビニル、スチレン等が挙げられる。
官能基含有アクリル系重合体における、官能基含有アクリル系重合体全体の質量に占める官能基含有モノマー由来の構造部分の質量の割合は、0.1質量%以上であることが好ましく、特に1質量%以上であることが好ましく、さらには3質量%以上であることが好ましい。また、当該割合は、50質量%以下であることが好ましく、特に40質量%以下であることが好ましく、さらには30質量%以下であることが好ましい。これにより、硬化性基含有化合物による硬化性基の導入量(および架橋剤との反応量)を所望の量に調整して、得られる粘着剤層の架橋の程度を好ましい範囲に制御することができる。
官能基含有アクリル系重合体は、上記各モノマーを常法によって共重合することにより得られる。官能基含有アクリル系重合体の重合態様は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
硬化性基含有化合物は、官能基含有アクリル系重合体が有する官能基と反応する置換基および紫外線硬化性炭素−炭素二重結合を有するものである。官能基含有アクリル系重合体が有する官能基と反応する置換基としては、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシ基等が挙げられ、中でもヒドロキシ基との反応性の高いイソシアネート基が好ましい。
硬化性基含有化合物は、紫外線硬化性炭素−炭素二重結合を、硬化性基含有化合物の1分子毎に1〜5個含むことが好ましく、特に1〜2個含むことが好ましい。
このような硬化性基含有化合物としては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物などが挙げられる。硬化性基含有化合物は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
紫外線硬化性基が導入された重合体は、硬化性基含有化合物に由来する硬化性基を、当該重合体が有する官能基(硬化性基含有化合物の置換基と反応する官能基)に対して、20モル%以上含有することが好ましく、特に35モル%以上含有することが好ましく、さらには50モル%以上含有することが好ましい。また、120モル%以下含有することが好ましく、特に100モル%以下含有することが好ましい。なお、硬化性基含有化合物が一官能の場合は、上限は100モル%となるが、硬化性基含有化合物が多官能の場合は、100モル%を超えることがある。上記官能基に対する硬化性基の比率が上記範囲内にあることにより、紫外線照射による粘着力の低下性がより良好なものとなる。
紫外線硬化性基が導入された重合体の重量平均分子量(Mw)は、10万以上であることが好ましく、30万以上であることがより好ましい。また、当該重量平均分子量は、200万以下であることが好ましく、特に150万以下であることがより好ましい。上記重量平均分子量が上記範囲にあることで、良好な粘着性を発揮するとともに、塗工時の造膜性を良好に確保することができる。
(2)架橋剤
本実施形態における紫外線硬化性粘着剤を形成する粘着剤組成物は、架橋剤を含有してもよい。架橋剤としては、前述したアクリル系重合体や、紫外線硬化性基が導入された重合体が有する官能基との反応性を有する多官能性化合物を用いることができる。このような多官能性化合物の例としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アミン化合物、メラミン化合物、アジリジン化合物、ヒドラジン化合物、アルデヒド化合物、オキサゾリン化合物、金属アルコキシド化合物、金属キレート化合物、金属塩、アンモニウム塩、反応性フェノール樹脂等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などが挙げられる。中でも官能基との反応性の観点から、トリメチロールプロパン変性の芳香族ポリイソシアネート、特にトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネートが好ましい。
架橋剤の含有量は、アクリル系重合体または紫外線硬化性基が導入された重合体における官能基に対して、下限値として0.2当量以上であることが好ましく、特に0.25当量以上であることが好ましい。また、上限値として0.8当量以下であることが好ましく、特に0.75当量以下であることが好ましい。架橋剤の含有量が上記範囲にあることにより、得られる粘着剤層の架橋の程度を好ましい範囲に制御することができる。
(3)光重合開始剤
本実施形態における粘着剤組成物が含有する光重合開始剤は、波長385nmの光線の照射によって開裂するか、波長370〜390nmの波長領域における光線の質量吸光係数の最大値が200ml/g・cm以上、10000ml/g・cm以下であるものである。ここで、本明細書における質量吸光係数は、0.01質量%アセトニトリル溶液として測定するものとし、具体的には後述する試験例に示す方法によって測定する。
波長370〜390nmの波長領域における光線の質量吸光係数の最大値は、上記の通り200ml/g・cm以上であり、500ml/g・cm以上であることが好ましく、特に1000ml/g・cm以上であることが好ましい。また、当該質量吸光係数の最大値は、10000ml/g・cm以下であり、5000ml/g・cm以下であることが好ましく、特に2000ml/g・cm以下であることが好ましい。波長370〜390nmの波長領域における光線の質量吸光係数の最大値が上記の範囲にあることにより、光重合開始剤は、波長385nmの光線の照射によって開裂し、それによってラジカルを発生することができる。
また、上記光重合開始剤の波長385nmの光線の質量吸光係数の下限値は、100ml/g・cm以上であることが好ましく、特に200ml/g・cm以上であることが好ましく、さらには300ml/g・cm以上であることが好ましい。これにより、光重合開始剤は、波長385nmの光線の照射によって開裂し易く、それによってラジカルを十分に発生することができる。
上記の物性を満たす光重合開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ヨードニウム,(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヘキサフルオロフォスフェート(1−)、オキシフェニル酢酸2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステル、オキシフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステル、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等が挙げられる。これらの中でも、波長385nmの光線照射によって開裂し易い2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1が好ましい。これらの光重合開始剤は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本実施形態における粘着剤組成物中における上記光重合開始剤の含有量は、上記紫外線硬化性粘着剤中の紫外線硬化性成分(紫外線硬化性化合物・紫外線硬化性のポリマー)100質量部に対して、0.3質量部以上であることが好ましく、特に0.5質量部以上であることが好ましく、さらには0.7質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、5.0質量部以下であることが好ましく、特に3.0質量部以下であることが好ましく、さらには2.0質量部以下であることが好ましい。光重合開始剤は、上記のように比較的少ない含有量であることが好ましく、それにより、蛍光灯下でも紫外線硬化性粘着剤の硬化が進行し難く、粘着シートを蛍光灯下で保管した場合であっても、被着体(ワーク)に対して良好な粘着力を安定的に発揮することができる。また、光重合開始剤が上記のように比較的少ない含有量であっても、ラジカル発生剤の併用により、波長385nmの光線の照射によって紫外線硬化性粘着剤を十分に硬化させ、粘着剤層の粘着力を十分に低下させることができる。
(4)ラジカル発生剤
本実施形態における粘着剤組成物が含有するラジカル発生剤は、波長385nmの光線の照射によって開裂せず、かつ、上記光重合開始剤の開裂によってラジカルを発生するか、波長370〜390nmの波長領域における光線の質量吸光係数の最大値が200ml/g・cm未満であるものである。本実施形態における粘着剤組成物は、かかるラジカル発生剤を含有することにより、蛍光灯下でも紫外線硬化性粘着剤の硬化が進行し難く、粘着シートは蛍光灯下での保管安定性に優れたものとなる。その一方で、波長385nmの光線を照射すると、光重合開始剤が開裂してラジカルが発生し、そのラジカルに誘発されて、ラジカル発生剤もラジカルを発生するため、紫外線硬化性粘着剤を十分に硬化させることができ、粘着剤層の粘着力が十分に低下する。また、ラジカル発生剤の上記作用により、光線の照射時間を短縮することができ、それによって生産効率を上げることができる。
上記ラジカル発生剤の波長370〜390nmの波長領域における光線の質量吸光係数の最大値は、上記の通り200ml/g・cm未満であり、好ましくは100ml/g・cm以下であり、特に好ましくは70ml/g・cm以下である。なお、下限値は0ml/g・cmである。これにより、ラジカル発生剤は、蛍光灯下ではラジカルを発生し難く、したがって、粘着シートは蛍光灯下での保管安定性に優れたものとなる。
なお、上記ラジカル発生剤の波長365nmの光線の質量吸光係数の下限値は、100ml/g・cm以上であることが好ましく、特に150ml/g・cm以上であることが好ましく、さらには200ml/g・cm以上であることが好ましい。また、上記質量吸光係数の上限値は、10000ml/g・cm以下であることが好ましく、特に7000ml/g・cm以下であることが好ましく、さらには6000ml/g・cm以下であることが好ましい。
上記の物性を満たすラジカル発生剤としては、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、ビス(2,4−シクロペンタジエニル)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1−ピリル)フェニル]チタン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらの中でも、蛍光灯下でラジカルを発生し難い1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンおよび2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オンが好ましい。これらのラジカル発生剤は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本実施形態における粘着剤組成物中における上記ラジカル発生剤の含有量は、上記紫外線硬化性粘着剤中の紫外線硬化性成分(紫外線硬化性化合物・紫外線硬化性のポリマー)100質量部に対して、0.8質量部以上であることが好ましく、特に1.0質量部以上であることが好ましく、さらには2.0質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、7.0質量部以下であることが好ましく、特に5.0質量部以下であることが好ましく、さらには3.0質量部以下であることが好ましい。ラジカル発生剤の含有量が上記範囲にあることにより、前述した作用効果が良好に発揮される。
(5)厚さ
本実施形態における粘着剤層の厚さの下限値は、3μm以上であることが好ましく、特に4μm以上であることが好ましく、さらには5μm以上であることが好ましい。粘着剤層の厚さの下限値が上記以上であることより、所望の粘着力を効果的に得ることができる。また、本実施形態における粘着剤層の厚さは、30μm以下であることが好ましく、特に25μm以下であることが好ましく、さらには20μm以下であることが好ましい。粘着剤層の厚さの上限値が上記以下であると、波長385nmの光線の適度な照射により、上記紫外線硬化性粘着剤が硬化し易くなる。
2.基材
本実施形態に係る粘着シートの基材は、前述した粘着剤層を支持することができ、かつ当該粘着シートが貼付されたワーク、特に光学部材について所望の作業を行うことができるものであれば、特に限定されない。
本実施形態における基材は、波長385nmの光線が透過するものであることが好ましく、これにより、基材側から波長385nmの光線を照射して粘着剤層を硬化させることが可能となる。
上記のような観点から、本実施形態における基材は、樹脂系の材料を主材とするフィルム(以下「樹脂フィルム」という。)から構成されることが好ましい。樹脂フィルムの具体例として、低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム等のポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、エチレン−ノルボルネン共重合体フィルム、ノルボルネン樹脂フィルム等のポリオレフィン系フィルム;エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(EAA,EMAA)フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム等のエチレン系共重合フィルム;ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム等のポリ塩化ビニル系フィルム;ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム;ポリウレタンフィルム;ポリイミドフィルム;ポリスチレンフィルム;ポリカーボネートフィルム;フッ素樹脂フィルム;アクリルフィルムなどが挙げられる。またこれらの架橋フィルム、アイオノマーフィルムのような変性フィルムも用いられる。上記の基材はこれらの1種からなるフィルムでもよいし、さらにこれらを2種類以上組み合わせた積層フィルムであってもよい。上記の中でも、強度、環境安全性、コスト等の観点から、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(EAA,EMAA)フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等が好ましい。
上記樹脂フィルムは、その表面に積層される粘着剤層との密着性を向上させる目的で、所望により片面または両面に、酸化法や凹凸化法などによる表面処理、あるいはプライマー処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン、紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶射処理法などが挙げられる。
また、上記樹脂フィルムにおける粘着剤層が積層されない側の面には、剥離剤によって剥離処理をしてもよい。これにより、剥離フィルムを使用せずに粘着シートを巻取体とした場合でも、繰り出しを良好に行うことができる。
基材は、上記樹脂フィルム中に、着色剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、フィラー等の各種添加剤を含有してもよい。
基材の厚さは、粘着シートが貼付された被着体、特に光学部材について所望の作業を行うことができるものであれば、特に限定されない。具体的には、基材の厚さは、25μm以上であることが好ましく、特に50μm以上であることが好ましい。また、当該厚さは、200μm以下であることが好ましく、特に150μm以下であることが好ましい。
3.剥離フィルム
剥離フィルムは、粘着シートが使用されるまでの間、粘着剤層を保護するものであり、必ずしもなくてもよい。剥離フィルムの構成は任意であり、フィルム自体が粘着剤層に対し剥離性を有するプラスチックフィルム、およびプラスチックフィルムを剥離剤等により剥離処理したものが例示される。プラスチックフィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、およびポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。剥離剤としては、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系等を用いることができるが、これらの中で、安価で安定した性能が得られるシリコーン系が好ましい。剥離フィルムの厚さについては特に制限はないが、通常20〜250μm程度である。
4.粘着シートの製造方法
本実施形態に係る粘着シートを製造するには、好ましくは、剥離フィルムの剥離面(剥離性を有する面;通常は剥離処理が施された面であるが、これに限定されない)に、粘着剤層を形成する。具体的には、前述した粘着剤組成物と、所望によりさらに溶媒とを含有する塗布液を調製し、ロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、エアナイフコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、カーテンコーター等の塗工機によって剥離フィルムの剥離面に塗布して乾燥させて、粘着剤層を形成する。
次に、粘着剤層の露出面に基材を重ねて圧着し、粘着シートを得る。所望により、剥離フィルムは粘着剤層から剥離してもよい。また、粘着剤層は、剥離フィルムではなく、基材に対して直接塗布し、形成してもよい。
5.粘着シートの物性
波長385nmの光線照射前における、本実施形態に係る粘着シートのシリコンミラーウエハに対する粘着力(本明細書において「照射前粘着力」という場合がある。)は、下限値として8000mN/25mm以上であることが好ましく、特に10000mN/25mm以上であることが好ましく、さらには13000mN/25mm以上であることが好ましい。これにより、粘着シートが貼付されたワークについての作業中に、意図しない剥離が生じることを抑制することができる。また、種々の材料に対しても良好な密着性を発揮することができ、幅広いワークに適用することができる。一方、当該照射前粘着力は、上限値として300000mN/25mm以下であることが好ましく、特に250000mN/25mm以下であることが好ましく、さらには200000mN/25mm以下であることが好ましい。これにより、波長385nmの光線照射後における粘着力を好ましい範囲まで低下させ易くなる。なお、本明細書における粘着力は、シリコンミラーウエハを被着体とし、JIS Z0237:2000に準拠した180°引き剥がし試験によって測定したものとし、具体的な測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
波長385nmの光線照射後における、本実施形態に係る粘着シートのシリコンミラーウエハに対する粘着力(本明細書において「照射後粘着力」という場合がある。)は、上限値として1000mN/25mm以下であることが好ましく、特に600mN/25mm以下であることが好ましく、さらには300mN/25mm以下であることが好ましい。これにより、粘着シートをワークから容易に剥離することができる。一方、当該照射後粘着力の下限値は、特に限定されないが、通常、20mN/25mm以上であることが好ましく、特に30mN/25mm以上であることが好ましく、さらには50mN/25mm以上であることが好ましい。
上記照射前粘着力に対する上記照射後粘着力の比(粘着力比)は、15%以下であることが好ましく、特に10%以下であることが好ましく、さらには5%以下であることが好ましい。また、当該粘着力比は、通常、0.1%以上であることが好ましく、特に0.2%以上であることが好ましく、さらには0.5%以上であることが好ましい。上記粘着力比が上記の範囲にあることにより、粘着シートが貼付されたワークについての作業時に要求される高い粘着力と、ワークからの剥離時に要求される低い粘着力とのバランスが良好なものとなる。
本実施形態に係る粘着シートの下記式で表される粘着力維持率は、85%以上であることが好ましく、特に90%以上であることが好ましい。粘着力維持率が85%以上であることにより、蛍光灯下での保管安定性に優れるということができる。なお、粘着力維持率の上限値は、通常100%である。
粘着力維持率(%)=(蛍光灯下での保管後の照射前粘着力/蛍光灯下での保管前の照射前粘着力)×100
粘着力維持率の具体的な算出方法は、後述する試験例に示す通りである。
6.粘着シートの使用方法
本実施形態に係る粘着シートを使用するには、最初に当該粘着シートをワークに貼付し、その状態で粘着シートをハンドリングしながら、ワークについて所望の作業を行う。ワークとしては、後述する光学部材が好ましいが、その他、シリコンウエハ、半導体パッケージ、ガラスウエハ等をワークとしてもよい。所望の作業としては、特に限定されることはなく、例えば、ワークをある位置から他の位置に移動させる作業、ワークの剥離フィルムを当該ワークから剥離する作業、ワークを所望の対象物に積層または貼付する作業等が挙げられる。
ワークについて所望の作業を行った後、上記粘着シートをワークから剥離する。そのとき、粘着シートの粘着剤層に対して、波長385nmの光線を照射し、粘着剤層中の紫外線硬化性粘着剤を硬化させて、粘着剤層の粘着力を低下させる。これにより、粘着シートをワークから容易に剥離することができる。波長385nmの光線の照射は、ワークが波長385nmの光線を透過するものであれば、ワーク側から行ってもよいが、通常、基材側から行うことが好ましい。
波長385nmの光線は、紫外線LEDを光源とした紫外線照射装置を使用して照射することが好ましい。紫外線LEDは、従来のメタルハライドや高圧水銀ランプと比較して、ランニングコストを低く抑えることができ、しかも発熱量が少ないため、被照射物を加熱するおそれが小さい。そのため、粘着シートおよびワークの積層体が加熱によってカールや変形することを抑制することができる。
光源として紫外線LEDを使用した場合、具体的には、最大強度が365nm以上400nm以下の範囲にあり、半値全幅が5nm以上30nm以下である単一の発光ピークをその発光スペクトルが有する光線を照射することが好ましい。
上記光線の照射量は、単一発光の光源(半値全幅が10nm以下である単一の発光ピークをその発光スペクトルに有する光源)を使用した場合には、積算光量で15mJ/cm以上が好ましく、特に20mJ/cm以上が好ましい。また、単一発光ではない通常の光源を使用した場合には、積算光量で150mJ/cm以上が好ましく、特に200mJ/cm以上が好ましい。
本実施形態における粘着剤層では、前述したように所定の光重合開始剤およびラジカル発生剤を併用しているため、光線の照射時間を上記のように比較的短時間にすることができ、もって生産効率を向上させることができる。
〔光学製品の製造方法〕
次に、前述した粘着シートを使用した、本発明の一実施形態に係る光学製品の製造方法について説明する。ここで、光学製品としては、例えば、液晶(LCD)ディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)ディスプレイ、電子ペーパー等が挙げられ、タッチパネルであってもよい。また、光学製品としては、上記のような製品の一部を構成する部材であってもよい。
上記光学製品を製造するための光学部材としては、例えば、ガラス板、プラスチック板、それらに各種の機能層(透明導電膜、金属層、シリカ層、ハードコート層、防眩層等)が設けられたもの;飛散防止フィルム、偏光板(偏光フィルム)、偏光子、位相差板(位相差フィルム)、視野角補償フィルム、輝度向上フィルム、コントラスト向上フィルム、液晶ポリマーフィルム、拡散フィルム、半透過反射フィルム、透明導電性フィルム、それらの積層体等;表示体モジュール(例えば、液晶(LCD)モジュール、発光ダイオード(LED)モジュール、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)モジュール等)、表示体モジュールの一部、表示体モジュールを含む積層体などが挙げられる。
最初に、本実施形態に係る粘着シートを、その粘着剤層を介して光学部材に貼付する。そして、粘着シートが貼付された光学部材について、当該粘着シートをハンドリングしながら所望の作業を行う。所望の作業としては、前述したワークについての作業と同様である。
上記所望の作業が終了したら、光学部材に貼付された粘着シートの粘着剤層に対して、波長385nmの光線を照射し、粘着剤層の紫外線硬化性粘着剤を硬化させて、粘着剤層の粘着力を低下させる。そして、光学部材から粘着シートを剥離する。波長385nmの光線の照射は、前述したワークに貼付した粘着シートに対する光線の照射と同様である。本実施形態に係る粘着シートは、波長385nmの光線の照射により粘着力が十分に低下するため、上記の剥離を容易に行うことができる。また、本実施形態に係る粘着シートは、蛍光灯下での保管安定性に優れるため、上記のように使用する前に蛍光灯下で保管した場合であっても、被着体(光学部材)に対して良好な粘着力を安定的に発揮することができる。それにより、光学製品を安定的に製造することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、基材と粘着剤層との間には、他の層が介在していてもよいし、基材における粘着剤層側の面とは反対側の面には、他の層が積層されていてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)粘着剤組成物の調製
2−エチルヘキシルアクリレート40質量部と、メチルアクリレート50質量部と、アクリル酸10質量部とを共重合して、紫外線非硬化性のポリマーとしてのアクリル系重合体(重量平均分子量:50万、ガラス転移温度Tg:−23℃)を得た。
紫外線硬化性粘着主剤としての上記アクリル系重合体100質量部(固形分換算;以下同じ)および紫外線硬化性化合物としての10官能ジペンタエリスリトールポリアクリレート(重量平均分子量:1700)100質量部と、架橋剤としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(TDI−TMP)を含む組成物(東ソー社製,コロネートL)8質量部と、光重合開始剤としての2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(光重合開始剤(a1))0.7質量部と、ラジカル発生剤としての1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(ラジカル発生剤(b1))2.8質量部とを混合し、酢酸エチルによって希釈し、これを粘着剤組成物の塗布液とした。
(2)粘着シートの作製
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の主面がシリコーン系剥離剤によって剥離処理されてなる剥離フィルム(リンテック社製,SP−PET381031)の剥離処理面上に、上記粘着剤組成物の塗布液を、ダイコーターにて塗布して乾燥させ、厚さ10μmの粘着剤層を形成した。そして、厚さ140μmのエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)フィルムからなる基材の一方の面を上記積層体の粘着剤層側の面と貼付して、基材と粘着剤層とからなる粘着シートを、粘着剤層の基材と反対側の面に剥離フィルムが積層された状態で得た。
〔実施例2〕
光重合開始剤として、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(光重合開始剤(a2))を1.5質量部使用し、ラジカル発生剤として、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(ラジカル発生剤(b2))を2.3質量部使用する以外、実施例1と同様にして粘着剤組成物の塗布液を調製した。そして、得られた粘着剤組成物の塗布液を使用して、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
〔比較例1〜4〕
光重合開始剤およびラジカル発生剤の配合量を表1に示すように変更する以外、実施例1と同様にして粘着剤組成物の塗布液を調製した。そして、得られた粘着剤組成物の塗布液を使用して、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
〔試験例1〕<質量吸光係数の測定>
実施例および比較例で使用した光重合開始剤およびラジカル発生剤のそれぞれをアセトニトリルに溶解して、0.01質量%アセトニトリル溶液を得た。得られた0.01質量%アセトニトリル溶液のそれぞれについて、紫外光から可視光の範囲(200nm〜800nm)について吸収スペクトルを測定した。測定機器としては、島津製作所社製のUV−3600を用いた。得られた吸収スペクトルから、波長385nmにおける質量吸光係数を求めた(単位:ml/g・cm)。また、波長370〜390nmの波長領域における質量吸光係数の最大値を求めた(単位:ml/g・cm)。結果を表2に示す。
〔試験例2〕<粘着力及び粘着力比の測定>
実施例および比較例で作製した粘着シートについて、23℃、相対湿度50%の環境下で7日間静置する養生を行った後、それぞれを切断して長さ200mm、幅25mmの粘着力測定用シートを得た。得られた粘着力測定用シートの粘着剤層側を、2kgのローラーを使用してシリコンミラーウエハに貼付して、シリコンミラーウエハと粘着力測定用シートとからなる積層体を得た。得られた積層体を23℃、相対湿度50%の雰囲気下に20分間放置し、これを評価サンプルとした。
評価サンプルについて、万能型引張試験機(オリエンテック社製,TENSILON/UTM−4−100)を用いて、JIS Z0237:2000に準拠して、180°引き剥がし試験(粘着力測定用シートを引き剥がされる側の部材とした。)を行い、照射前粘着力を測定した(単位:mN/25mm)。照射前粘着力の測定結果を表3に示す。
また、上記評価サンプルに対し、粘着力測定用シートの基材側の面から紫外線を照射し、粘着剤層を硬化させた。この紫外線の照射は、光源として紫外線LED(発する紫外線を含むエネルギー線は、最大強度が385nmであり、半値全幅が10nmである単一の発光ピークをその発光スペクトルに有する。)を使用した紫外線照射装置(パナソニック社製,UD40)を用いて行い、照度は1.2mW/cm、積算光量は20mJ/cm(アイグラフィックス社製のUVPF−A1により測定)とした。この紫外線照射後の評価サンプルについて、上記の照射前粘着力を測定するための引き剥がし試験と同一の条件での引き剥がし試験を行い、照射後粘着力を測定した(単位:mN/25mm)。照射後粘着力の測定結果を表3に示す。
上記のようにして測定した照射前粘着力および照射後粘着力から、照射前粘着力に対する照射後粘着力の比(粘着力比)を算出した。この粘着力比に基づいて、以下の基準により紫外線照射による粘着力の低下性を評価した。粘着力比および評価結果を表3に示す。
○…粘着力比が3%以下であり、紫外線照射による粘着力の低下性に優れる。
×…粘着力比が3%を超え、紫外線照射による粘着力の低下性に劣る。
〔試験例3〕<保管安定性の評価>
実施例および比較例で作製した粘着シートについて、23℃、相対湿度50%の環境下で7日間静置する養生を行った後、それぞれを切断して長さ200mm、幅25mmの粘着力測定用シートを得た。得られた粘着力測定用シートの基材側の表面に対し、当該基材側の表面から30cmの距離の位置に配置した蛍光灯(400lx;UVカットタイプ)の光を1週間照射した。
その後、上記粘着力測定用シートについて、試験例2と同様の操作により照射前粘着力を測定した。測定して得られた保管後の照射前粘着力の、保管前の照射前粘着力(試験例2で測定した照射前粘着力)に対する比率である粘着力維持率(単位:%)を算出した。この粘着力維持率に基づいて、以下の基準により保管安定性を評価した。粘着力維持率および評価結果を表3に示す。
○…粘着力維持率が90%以上であり、蛍光灯下での保管安定性に優れる。
×…粘着力維持率が90%未満であり、蛍光灯下での保管安定性に劣る。
Figure 0006727849
Figure 0006727849
Figure 0006727849
表3から分かるように、実施例で作製した粘着シートは、波長385nmの紫外線照射による粘着力の低下性に優れるとともに、蛍光灯下での保管安定性に優れる。
本発明に係る粘着シートは、例えば、光学部材に貼付され、その状態で光学部材について所望の作業が行われた後、当該光学部材から剥離されることにより光学製品を製造するのに、好適に用いられる。

Claims (11)

  1. 基材と、
    前記基材の少なくとも一方の面側に積層された、紫外線硬化性粘着剤からなる粘着剤層と
    を備え、
    前記紫外線硬化性粘着剤が、
    (a)波長385nmの光線の照射によって開裂する光重合開始剤と、
    (b)波長385nmの光線の照射によって開裂せず、かつ、前記光重合開始剤の開裂によってラジカルを発生するラジカル発生剤と
    紫外線硬化性および/または非硬化性のアクリル系重合体と
    を含有する粘着剤組成物から形成されたものであり、
    紫外線発光ダイオードを光源とした紫外線の照射により前記紫外線硬化性粘着剤を硬化させる用途に用いられる
    ことを特徴とする粘着シート。
  2. 基材と、
    前記基材の少なくとも一方の面側に積層された、紫外線硬化性粘着剤からなる粘着剤層と
    を備え、
    前記紫外線硬化性粘着剤が、
    (a)波長370〜390nmの波長領域における光線の質量吸光係数の最大値が200ml/g・cm以上、10000ml/g・cm以下である光重合開始剤と、
    (b)波長370〜390nmの波長領域における光線の質量吸光係数の最大値が200ml/g・cm未満であるラジカル発生剤と
    紫外線硬化性および/または非硬化性のアクリル系重合体と
    を含有する粘着剤組成物から形成されたものであり、
    紫外線発光ダイオードを光源とした紫外線の照射により前記紫外線硬化性粘着剤を硬化させる用途に用いられる
    ことを特徴とする粘着シート。
  3. 前記粘着剤組成物中における前記光重合開始剤の含有量は、前記紫外線硬化性粘着剤中の紫外線硬化性成分100質量部に対して、0.3質量部以上、5質量部以下であり、
    前記粘着剤組成物中における前記ラジカル発生剤の含有量は、前記紫外線硬化性粘着剤中の紫外線硬化性成分100質量部に対して、0.8質量部以上、7.0質量部以下である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の粘着シート。
  4. 前記紫外線硬化性粘着剤は、
    紫外線非硬化性のアクリル系重合体と、
    紫外線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマーと
    を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着シート。
  5. 前記紫外線非硬化性のアクリル系重合体は、架橋剤を介した架橋構造を有することを特徴とする請求項4に記載の粘着シート。
  6. 波長385nmの光線照射前における前記粘着シートのシリコンミラーウエハに対する粘着力は、8000mN/25mm以上、300000mN/25mm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着シート。
  7. 波長385nmの光線照射後における前記粘着シートのシリコンミラーウエハに対する粘着力は、1000mN/25mm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘着シート。
  8. 波長385nmの光線照射前における前記粘着シートのシリコンミラーウエハに対する粘着力に対する、波長385nmの光線照射後における前記粘着シートのシリコンミラーウエハに対する粘着力の比は、0.1%以上、15%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の粘着シート。
  9. 光学製品の製造に使用されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の粘着シート。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の粘着シートを、前記粘着剤層を介して光学部材に貼付する工程と、
    前記粘着シートが貼付された前記光学部材について所望の作業を行う工程と、
    前記光学部材に貼付された前記粘着シートの前記粘着剤層に対して、紫外線発光ダイオードを光源とした波長385nmの光線を照射し、前記粘着剤層の粘着力を低下させる工程と、
    前記光学部材から前記粘着シートを剥離する工程と
    を含むことを特徴とする光学製品の製造方法。
  11. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の粘着シートを、前記粘着剤層を介してワークに貼付する工程と、
    前記粘着シートが貼付された前記ワークについて所望の作業を行う工程と、
    前記ワークに貼付された前記粘着シートの前記粘着剤層に対して、紫外線発光ダイオードを光源とした波長385nmの光線を照射し、前記粘着剤層の粘着力を低下させる工程と、
    前記ワークから前記粘着シートを剥離する工程と
    を含むことを特徴とする粘着シートの使用方法。
JP2016036870A 2016-02-29 2016-02-29 粘着シートおよび光学製品の製造方法 Active JP6727849B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016036870A JP6727849B2 (ja) 2016-02-29 2016-02-29 粘着シートおよび光学製品の製造方法
KR1020170001220A KR20170101772A (ko) 2016-02-29 2017-01-04 점착 시트 및 광학 제품의 제조 방법

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016036870A JP6727849B2 (ja) 2016-02-29 2016-02-29 粘着シートおよび光学製品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017155074A JP2017155074A (ja) 2017-09-07
JP6727849B2 true JP6727849B2 (ja) 2020-07-22

Family

ID=59808174

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016036870A Active JP6727849B2 (ja) 2016-02-29 2016-02-29 粘着シートおよび光学製品の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6727849B2 (ja)
KR (1) KR20170101772A (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111742026B (zh) * 2019-01-25 2022-05-24 古河电气工业株式会社 半导体晶片加工用紫外线固化型胶带和半导体芯片的制造方法以及该带的使用方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007056210A (ja) * 2005-08-26 2007-03-08 Emulsion Technology Co Ltd バックグラインド用粘着性樹脂組成物、並びにバックグラインド用粘着シートおよびその製造方法
WO2008044561A1 (fr) * 2006-10-03 2008-04-17 Emulsion Technology Co., Ltd. COMPOSITION ADHéSIVE et feuille ADHéSIVE
JP2008127545A (ja) * 2006-11-24 2008-06-05 Emulsion Technology Co Ltd 粘着性樹脂組成物、粘着テープ及び電子部品の加工方法
KR20110025258A (ko) * 2009-09-04 2011-03-10 도레이첨단소재 주식회사 도금용 점착시트
CN104169316B (zh) * 2012-03-28 2016-08-24 昭和电工株式会社 聚合性组合物、聚合产物、黏着板片、图像显示装置的制造方法以及图像显示装置
JP5738795B2 (ja) * 2012-03-30 2015-06-24 株式会社イーテック 光硬化型粘着剤組成物およびこれを用いた粘着シート

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017155074A (ja) 2017-09-07
KR20170101772A (ko) 2017-09-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6580219B2 (ja) 粘着シートおよび加工されたデバイス関連部材の製造方法
JP6592254B2 (ja) 紫外線硬化型アクリル系粘着剤組成物、紫外線硬化型アクリル系粘着剤層、粘着剤層付き偏光フィルム、紫外線硬化型アクリル系粘着剤層の製造方法、及び画像表示装置
JP6180161B2 (ja) 粘着シート、粘着剤層付き積層体の製造方法、およびその用途
JP6731852B2 (ja) 粘着シート、および加工物の製造方法
JP2016080830A (ja) 両面粘着剤付き光学フィルム、およびそれを用いた画像表示装置の製造方法、ならびに両面粘着剤付き光学フィルムのカール抑制方法
US20220380636A1 (en) Laminate sheet and release film
JP2015030765A (ja) 粘着シート、粘着層付き光学フィルム、および画像表示装置
JP7224641B2 (ja) ハードコートフィルムおよびこれを用いたフレキシブルディスプレイ
JP6660710B2 (ja) 無溶剤型粘着性組成物、粘着剤、粘着シートおよび表示体
WO2015046341A1 (ja) 粘着シート
JP7416626B2 (ja) 粘着シート及び半導体装置の製造方法
JP2020083996A (ja) 粘着シートおよびその製造方法、ならびに画像表示装置の製造方法
JP6803674B2 (ja) ガラスダイシング用粘着シートおよびその製造方法
KR102644545B1 (ko) 점착제 조성물, 점착 시트 및 가공물의 제조 방법
JP7116545B2 (ja) 粘着剤、粘着シートおよび表示体
JP6727849B2 (ja) 粘着シートおよび光学製品の製造方法
WO2021125153A1 (ja) 粘着シート
JP7348761B2 (ja) 粘着シート、粘着剤付き光学フィルム、および画像表示装置の製造方法
JPWO2019203021A1 (ja) ワーク加工用シート
CN111602229A (zh) 支撑片及保护膜形成用复合片
CN114207066A (zh) 粘着片、结构体及结构体的制造方法
JP6703430B2 (ja) ガラスダイシング用粘着シートおよびその製造方法
JP7146145B1 (ja) ワークハンドリングシートおよびデバイス製造方法
US20240182756A1 (en) Radiation-curable adhesive sheet
KR20150045107A (ko) 광중합에 의한 용제형 점착제 조성물

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181129

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190821

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191001

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191202

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200609

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200701

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6727849

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250