JP6727333B2 - タービン動翼組立体の設計方法 - Google Patents

タービン動翼組立体の設計方法 Download PDF

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Description

本発明は、タービン動翼組立体に関する。
従来から、例えば火力により発生する熱エネルギを、作動ガスを通じて機械的エネルギに変換する蒸気タービンが稼動されている。蒸気タービンは、車室内に静翼と動翼を備えており、この動翼として、ロータディスクの外周に複数設けられたISB(Integral Shroud Blade)による翼の連成化が実施されている(例えば、特許文献1〜特許文献2)。このISBによる動翼(以下、ISB動翼)は、翼の連成化により動翼の振動強度向上に寄与する。
ISB翼は、プラットフォームと、プラットフォームからロータディスクの径方向の内側に延び、ロータディスクに植え込まれることで固定される翼根と、プラットフォームから径方向の外側に延びるプロファイルと、プロファイルの先端に設けられるシュラウドと、を備えている。
ISB翼は、蒸気タービンの運転時に負荷される遠心力を利用して連成を実現する。つまり、組み立て時にはそれぞれの動翼を所定の向きに傾けるが、運転時に負荷される遠心力により動翼が起き上がって、隣接するシュラウド同士が強固に接触することで生じる接触反力を利用してシュラウドを疑似的に一体構造とする。ISB翼は、傾けた状態でのシュラウドの周方向のピッチを、起き上がった状態よりも大きく設定できる。したがって、この幾何学的に得られたピッチの増加量が、回転時に遠心力及び熱で接触面が離れる量よりも大きい場合、隣接するISB翼のシュラウド同士の接触面が離れることなく、回転中も連成状態を維持する。
特開2001−200703号公報 特開2002−349204号公報
ところが、上述したタービン動翼の起き上がり機能は、起き上がるだけの遠心力がタービン動翼に作用することが前提である。タービン動翼に作用する遠心力はタービン動翼の角速度ω(または、角速度ωの二乗)に比例するので、タービン動翼の回転数(または、回転速度)が低ければ、タービン動翼は連成をなす程度までに起き上がることができない。
そこで本発明は、低速回転でもタービン動翼が起き上がりやすい、タービン動翼組立体の提供を目的とする。
本発明は、複数のタービン動翼がタービンディスクの周方向に設けられ、組み立て時には複数のタービン動翼が所定の向きに傾いているが、回転動作すると複数のタービン動翼が起き上がるタービン動翼組立体に関する。
本発明におけるタービン動翼は、タービンディスクの外周面に設けられた翼溝に植え込まれる翼根を有するプラットフォームと、プラットフォームから立ち上がるプロファイルと、プロファイルの先端に設けられるシュラウドと、を備える。
本発明におけるタービン動翼は、添付する図5に示される二次元座標において、
1.2×10≦(A×CF)/(T×L)≦17×10を満たすように、下記のA、CF、T及びLが設定される、ことを特徴とする。
A:タービン動翼のアーム長[mm]
CF:タービン動翼に生じる遠心力[kgf]
T:シュラウドの厚み[mm]
L:シュラウド同士のラップ量[mm]
本発明のタービン動翼組立体は、添付する図6に示される二次元座標において、
T≦8.3×10−6×(A×CF/L) かつ T≧0.6×10−6×(A×CF/L)
を満たすように前記前記A、CF、T及びLが設定される、ことが好ましい。
本発明は、タービン動翼が、4000〜8000rpmの回転数で運転される、低速回転のタービン動翼組立体に有効である。
また、本発明は、タービン動翼のプロファイルの高さが、20〜80mmである、翼長の短いタービン動翼組立体に有効である。
いずれも、タービン動翼が起き上がりにくい部類に属するためである。
本発明において、プロファイルは、その重心が翼根の中心から、組み立て時に傾いている背側又は腹側にオフセットされている、ことが好ましい。
本発明のタービン動翼組立体は、図5に示される二次元座標において、
2.3×10≦(A×CF)/(T×L)≦10.6×10 を満たすように、A、CF、T及びLが設定される、ことが好ましく、さらに、
3.0×10≦(A×CF)/(T×L)≦5.0×10 を満たすように、A、CF、T及びLが設定される、ことがより好ましい。
本発明のタービン動翼組立体は、図6に示される二次元座標において、
T≦4.3×10−6×(A×CF/L) かつ T≧0.9×10−6×(A×CF/L)
を満たすようにA、CF、T及びLが設定される、ことが好ましく、さらに、
T≦3.3×10−6×(A×CF/L) かつ T≧2.0×10−6×(A×CF/L)
を満たすようにA、CF、T及びLが設定される、ことがより好ましい。
本発明によれば、図5に示される二次元座標において、
1.2×10≦(A×CF)/(T×L)≦17×10
を満たすように、さらには、図6に示される二次元座標において、
T≦8.3×10−6×(A×CF/L) かつ T≧0.6×10−6×(A×CF/L)を満たすように、下記のA、CF、T及びLが設定されることにより、低速回転でもタービン動翼が起き上がることのできる、タービン動翼組立体が提供される。
(A×CF)/(T×L)
A:タービン動翼のアーム長[mm]
CF:タービン動翼に生じる遠心力[kgf]
T:シュラウドの厚み[mm]
L:シュラウド同士のラップ量[mm]
本発明の実施形態に係るタービン動翼組立体を示す部分断面図である。 本実施形態に係るタービン動翼であって、(a)は組み立て時を示し、(b)は運転時を示す。 本実施形態に係るタービン動翼を単体で示す図である。 本実施形態に係るタービン動翼の翼根の背側に生ずる応力と腹側に生ずる応力を対比して示すグラフであり、(a)は両応力のバランスが取れていない例を示し、(b)は両応力のバランスが取れている例を示す。 (A×CF)/(T×L)の演算結果と、背側に生ずる応力と腹側に生ずる応力の比率(接触力比)と、の関係を示すグラフである。 A×CF/L,Tと、接触力比と、の関係を示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るタービン動翼組立体1は、外周面33から掘り下げられた複数の翼溝31が形成されたタービンディスク30と、それぞれの翼溝31を介してタービンディスク30に保持される複数のタービン動翼10と、を備えている。タービン動翼組立体1は、例えば火力により発生する熱エネルギを機械的エネルギに変換する蒸気タービンに用いられる。図1はタービン動翼組立体1の一部だけを示しているが、タービンディスク30は円板状の形態をなしており、複数のタービン動翼10はタービンディスク30の周方向Cの全域にわたって設けられる。
それぞれのタービン動翼10は、タービンディスク30の翼溝31に植え込まれることで、タービンディスク30に固定される、翼根12を有するプラットフォーム11と、翼根12が設けられる側と反対側のプラットフォーム11から立ち上がるプロファイル13と、プロファイル13の先端に設けられるシュラウド14と、を有する。タービン動翼10は、プラットフォーム11、翼根12、プロファイル13及びシュラウド14を一体的に形成することができるし、例えば、一体に形成されたプラットフォーム11、翼根12及びプロファイル13に、別途作製されたシュラウド14を接合することで形成することもできる。
[プラットフォーム11]
プラットフォーム11は、平面視すると外形が概ね矩形の部材であり、タービン動翼10がタービンディスク30に組み付けられた状態で、プラットフォーム11の裏面から翼根12が径方向の中心に向けて延びている。本実施形態の翼根12は、プラットフォーム11に連なる根元から先端に向けて三段階の歯12A、12B及び12Cが形成され、これら第一歯12A、第二歯12B及び第三歯12Cは、タービンディスク30の周方向Cの両側に向けて突き出している。また、プラットフォーム11と第一歯12Aの間には両者よりも窪んだ第一歯溝12Dが、第一歯12Aと第二歯12Bの間には両者よりも窪んだ第二歯溝12Eが、また、第二歯12Bと第三歯12Cの間には両者よりも窪んだ第三歯溝12Fが形成されている。タービンディスク30の翼溝31は、第一歯12A、第二歯12B及び第三歯12C、並びに、第一歯溝12D、第二歯溝12E及び第三歯溝12Fに噛み合う形状に形成されている。
プラットフォーム11は、図2(a)に示すように、翼根12の中心線C2から腹側13Aの端部までの寸法と、中心線C2から背側13Bまでの寸法が相違しており、プラットフォーム11は、中心線C2を中心にして周方向に非対称に形成されている。
タービン動翼10の翼根12をタービンディスク30の翼溝31に植え込む際に、図2(a)に示すように、タービン動翼10を傾き角θだけ傾ける。傾き角θは、翼溝31の中心線C1に対する翼根12の中心線C2のなす角度である。この中心線C1及び中心線C2は、図2(a)に示すように、翼溝31及び翼根12のそれぞれについて、タービンディスク30の径方向の寸法で特定される。
[プロファイル13]
プロファイル13は、図1及び図2(a)に示すように、腹側13Aと、腹側13Aと対向する背側13Bと、を備え、腹側13Aは背側13Bに向けて窪んだ横断面の形状をなしている。タービン動翼10は、この窪んだ腹側13Aで蒸気を受けて、タービンディスク30の回転駆動力を得る。
[シュラウド14]
シュラウド14は、図1及び図2(a)に示すように、プロファイル13を挟んでプラットフォーム11と対向するように設けられる、平面視すると概ね矩形の部材である。シュラウド14は、運転時に、隣接するもの同士が強く接触することで生じる接触反力Fを利用して疑似的に一体構造とされる。それぞれのタービン動翼10は、翼根12がタービンディスク30の翼溝31に植え込まれると、プラットフォーム11がタービンディスク30の外縁に沿って周方向に配列され、プロファイル13はタービンディスク30の径方向に放射状に配列される。
[タービン動翼10の動作]
タービン動翼組立体1を組み立てる際には、図2(a)に示すように、タービン動翼組立体1を所定の傾き角θだけ傾ける。本実施形態における傾き角θは、翼溝31の中心線C1に対する翼根12の中心線C2のなす角度で定義される。
タービン動翼組立体1が回転すると、タービン動翼組立体1に発生する遠心力CFにより、タービン動翼10には背側13Bから腹側13Aに向けて回転モーメントMが生じるので、タービン動翼組立体1は傾いた状態から図2(b)の起き上がった状態に移行する。なお、図2(a),(b)は、タービン動翼10が傾いているのを明確に示すために、傾斜を誇張して示している。また、このモーメントMを、以下、起き上がりモーメントMということがある。
ここで、タービン動翼10は、シュラウド14の周方向CのピッチP1(図2(a))が、運転時の起き上がった状態のピッチP2(図2(b))よりも大きく設定されている。これにより、タービン動翼10が起き上がると、隣接するシュラウド14同士が強固に接触することで生じる接触反力Fを利用してシュラウド14を疑似的に一体構造とし、回転中のタービン動翼10の連成状態を維持できる。ここで、ピッチP1とピッチP2の差が、隣接するシュラウド14同士のラップ量Lに該当する。つまり、ラップ量L=P1−P2である。なお、ピッチP1は実測できるが、ピッチP2は設計値である。
さて、運転時におけるタービン動翼10の起き上がり機能は、起き上がるのに必要な遠心力がタービン動翼10に作用することが前提である。タービン動翼10に作用する遠心力CFは、遠心力の一般式(F=m・r・ω)より、タービン動翼10の回転数(または、回転速度)により増減する。したがって、タービン動翼10の回転数が低ければ、同じタービン動翼10であっても、タービン動翼10は連成をなす程度に起き上がることができないことがある。そこで、本実施形態は、低速回転でも起き上がりやすい、これまでにない新たなタービン動翼10の条件を設定する。
さて、低速回転でもタービン動翼10を起き上がりやすくするために、本実施形態は以下の二つの要素を考慮する。なお、図2及び図3を参照願いたい。
(1)シュラウド14の厚みT
タービン動翼10が起き上がるとき、隣接するタービン動翼10とシュラウド14同士が接触する。この接触は翼の連成化のために必要な要件であるが、タービン動翼10が連成に必要な程度まで起き上がるのを妨げる。ところが、シュラウド14同士が接触した時の弾性変形がしやすければ、タービン動翼10は起き上がりやすくなる。そこで、シュラウド14の剛性を下げるために、シュラウド14の厚みTを小さくすることを念頭におく。
(2)タービン動翼10の起き上がりモーメントM
タービン動翼10は、遠心力CFを受けると、モーメントMが作用することで起き上がろうとする。したがって、この起き上がりモーメントMが大きくなれば、低速回転でもタービン動翼10は起き上がりやすくなる。
ところで、タービン動翼10の起き上がりが不十分だと、タービン動翼10の翼根12に片当たりが生ずる。この片当たりは、タービン動翼組立体1の運転中に、翼溝31に植え込まれた翼根12の腹側13Aと背側13Bの一方が他方よりも翼溝31の壁面に強く接する現象である。この片当たりのままでタービン動翼組立体1の運転を続けると、歯溝12D〜12Eに亀裂が入るおそれがある。
本発明者らの検討によると、この片当たり現象は、翼根12の腹側13Aと背側13Bに生ずる接触力のバランスによって把握できる。換言すれば、腹側13Aに生ずる接触力と背側13Bに生ずる接触力の比率(以下、接触力比)が1に近いほどタービン動翼10は、低速回転でも起き上がりやすいことを示唆する。図4を参照して、この片当たり現象について説明する。
図4(a)は、低速で回転しているタービン動翼10に生ずる応力をシミュレーションにより求めた結果の一例を示している。
シミュレーションに供されたタービン動翼10は起き上がりが不十分なものである。シミュレーションにより求めた応力は、図3(b)に示す翼根12の第一歯溝12D、第二歯溝12E及び第三歯溝12Fの幅方向Wに生ずる主応力の平均値である。この応力は、タービン動翼10の腹側13A及び背側13Bの両側について求められている。図4(a)に示すように、腹側13Aと背側13Bの間で、翼根12に生ずる応力が大きく相違する。
図4(a)では、腹側13Aの応力が背側13Bの応力よりも大きいが、これはタービン動翼10の組み立て時に、タービン動翼10を傾けている向きに対応している。つまり、本実施形態の場合には、組み立て時に背側13Bにタービン動翼10を傾けているのに起因して、腹側13Aの応力が大きくなっているが、組み立て時に腹側13Aにタービン動翼10を傾けると、図4(a)とは逆に、背側13Bの応力が大きくなる。
なお、図4において、第一歯溝12Dを1st、第二歯溝12Eを2nd、第三歯溝12Fを3rdと略記している。
そこで本発明者らは、シュラウド14の厚みT及び起き上がりモーメントMを考慮したうえで、接触力比を1に近づける指針について検討した。その結果、下記の式(1)によりシュラウド14の厚みTとアーム長Aを考慮しつつ、接触力比をバランスできることを知見した。なお、タービン動翼10における式(1)のA,CF、Tの部位は図3(a)に示す通りである。
(A×CF)/(T×L) … 式(1)
A:タービン動翼10のアーム長[mm]
CF:タービン動翼10の遠心力[kgf]
T:シュラウド14の厚み[mm]
L:隣接するシュラウド同士のラップ量[mm]
以下、式(1)について説明する。
はじめに、分子であるA×CFの項について説明する。
式(1)において、アーム長Aは、タービン動翼10の回転中心C3からタービン動翼10の重心Gまでの距離であり、CFは、タービン動翼10に作用する遠心力である。したがって、式(1)において、A×CFは起き上がりモーメントMを特定するものであり、以下では、モーメント項という。タービン動翼10の回転中心C3とは、遠心力CFを受けてタービン動翼10が起き上がる時の回転中心である。この回転中心C3は、タービン動翼組立体1の設計により特定される。
なお、遠心力CFは、以下の式(2)により求めることができる。
CF={M・R・(2π・N/60)}/G… (2)
CF:タービン動翼10に生ずる遠心力[kgf]
M:タービン動翼10の質量[kg]
R:タービン動翼10の回転半径[m]
N:タービン動翼10の回転数[rpm]
G:重力加速度 [m/s]
次に、分母であるT×Lについて説明する。
式(1)において、Tはシュラウド14の厚みであり、Lはシュラウド14同士のラップ量である。したがって、式(1)において、T×Lは隣接するシュラウド14同士の接触反力Fを特定するものであり、以下では、接触力項という。
そして、本発明者らの検討によれば、翼根12の背側13Bの接触反力F(13B)に対する腹側13Aの接触反力F(13A)の比(以下、接触力比α/β)が、式(1)で得られる結果に強く相関することを見出した。その結果を図5に示している。
図5は、有限要素法(FEM:Finite Element Method)を用いて求めた、式(1)の演算結果と接触力比α/βの関係を、x座標(横軸)とy座標(縦軸)からなる二次元座標に示すグラフである。ここで、タービン動翼組立体1(タービン動翼10)の回転数を4000rpm〜8000rpmの範囲で任意に定めてFEMを実行している。
図5に示すように、式(1)で求められる値が小さくなるにつれて接触力比α/βが大きくなる傾向がある。本実施形態は、接触反力F(13B)と接触反力F(13A)の差をできる限り小さくしてバランスさせることを目的としており、図5の接触力比α/βにすると、接触力比α/βが1.0のときに接触反力F(13B)と接触反力F(13A)が一致し、最もバランスがとれる。本実施形態は、これを基準にして、接触力比α/βを0.4〜2.5にするには、図5の二次元座標において、下記の条件1−1を満たすことが必要である。また、接触力比α/βを0.7〜1.4にするには、下記の条件1−2を満たすことが、さらに、接触力比α/βを0.9〜1.1にするには、下記の条件1−3を満たすことが必要である。
1.2×10≦(A×CF)/(T×L)≦17×10
… 条件1−1
2.3×10≦(A×CF)/(T×L)≦10.6×10
… 条件1−2
3.0×10≦(A×CF)/(T×L)≦5.0×10
… 条件1−3
アーム長A、遠心力CF、シュラウド厚みT及びラップ量Lが上記の条件を満たすと、図4(b)に示すように、腹側13Aと背側13Bの間で、翼根12に生ずる応力の相違を小さくできる。
ここで、図5に示すように、式(1)の演算結果((A×CF)/(T×L))が1未満でも接触力比α/βはバランスされることもあるが、回転数に関わらず、確実に接触力比α/βをバランスさせるために、二次元座標で示される本発明の領域のx座標の値を1.2以上とする。x座標の上限値を17とするのも同様の理由である。
次に、本発明者は、接触力比α/βを0.4〜2.5の範囲に収めるためには、シュラウド厚みTとアーム長A、タービン動翼10の遠心力CF及びラップ量Lとの関係を特定すればよいことも見出した。その結果を図6に示している。
図6は、図5と同様のFEMにより求めたものであり、接触力比α/βの値を、A×C/L(x座標(横軸))とT(y座標(縦軸)に対応付けて二次元座標にプロットしたグラフである。ここで、タービン動翼組立体1(タービン動翼10)の回転数は、図5のFEMと同様に4000rpm〜8000rpmの範囲で任意に定めている。
図6に示すように、条件2−1を満たすと、接触力比が0.4〜2.5の範囲内に収まる。また、条件2−2を満たすと、接触力比が0.7〜1.4の範囲内に収まり、さらに、条件2−3を満たすと、接触力比が0.9〜1.1の範囲内に収まる。
T≦8.3×10−6×(A×CF/L) かつ T≧0.6×10−6×(A×CF/L)… 条件2−1
T≦4.3×10−6×(A×CF/L) かつ T≧0.9×10−6×(A×CF/L)… 条件2−2
T≦3.3×10−6×(A×CF/L) かつ T≧2.0×10−6×(A×CF/L)… 条件2−3
本実施形態は、特に翼長の短いタービン動翼10に好適である。式(2)より明らかなように、遠心力CFはタービン動翼10の翼長が長いほど大きくなり、逆に、短いほど小さくなるので、翼長が短いと、運転時に起き上がりにくくなるからである。具体的には、プロファイルの高さが20〜80mmと短いタービン動翼10に適用するのが好ましく、さらに、プロファイルの高さが30〜60mmと短いタービン動翼10に適用するのが好ましい。
本実施形態のタービン動翼組立体1は、図3に示すように、プロファイル13の重心Gを翼根12の中心線C2よりも背側13Bに偏位させる、つまりオフセットさせることにより、起き上がりモーメントMを増加させることができる。
なお、本実施形態の場合、背側13Bに傾けて組み立てるために、プロファイル13の重心Gを背側13Bにオフセットさせるが、腹側13Aに傾けて組み立てるために、プロファイル13の重心Gを腹側13Aにオフセットさせることになる。つまり、本発明としては、プロファイル13は、その重心Gが翼根12の中心線C2から、組み立て時に傾いている背側13B又は腹側13Aにオフセットされていればよい。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることができる。
例えば、プラットフォーム11、翼根12、プロファイル13及びシュラウド14の形態は一例に過ぎない。例えば、本実施形態の翼根12は第一歯12A、第二歯12B及び第三歯12Cの三つの歯を備えているが、本発明は、歯が二つ以下の翼根、または、歯が四つ以上の翼根を備えるタービン動翼にも適用できる。また、例えば、シュラウド14の平面形態は単純な矩形に限るものでなく、平面方向に突出する部分および後退する部分があってもよい。
1 タービン動翼組立体
10 タービン動翼
11 プラットフォーム
12 翼根
12A 第一歯
12B 第二歯
12C 第三歯
12D 第一歯溝
12E 第二歯溝
12F 第三歯溝
13 プロファイル
13A 腹側
13B 背側
14 シュラウド
30 タービンディスク
31 翼溝
33 外周面

Claims (9)

  1. 複数のタービン動翼がタービンディスクの周方向に設けられ、組み立て時には複数の前記タービン動翼が所定の向きに傾いているが、回転動作すると複数の前記タービン動翼が起き上がるタービン動翼組立体の設計方法であって、
    前記タービンディスクの外周面に設けられた翼溝に植え込まれる翼根を有するプラットフォームと、
    前記プラットフォームから立ち上がるプロファイルと、
    前記プロファイルの先端に設けられるシュラウドと、を備え、
    添付する有限要素法による図5に示される二次元座標において、
    1.2×10≦(A×CF)/(T×L)≦17×10を満たすように、下記のA、CF、T及びLが設定されることを特徴とするタービン動翼組立体の設計方法
    A:前記タービン動翼のアーム長[mm]
    CF:前記タービン動翼に生じる遠心力[kgf]
    T:前記シュラウドの厚み[mm]
    L:隣接する前記シュラウド同士のラップ量[mm]
  2. 添付する図6に示される二次元座標において、
    T≦8.3×10−6×(A×CF/L) かつ T≧0.6×10−6×(A×CF/L)
    を満たすように前記A、CF、T及びLが設定される、
    請求項1に記載のタービン動翼組立体の設計方法
  3. 前記タービン動翼は、
    4000〜8000rpmの回転数で運転される、
    請求項1又は請求項2に記載のタービン動翼組立体の設計方法
  4. 前記タービン動翼は、
    前記プロファイルの高さが、20〜80mmである、
    請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のタービン動翼組立体の設計方法
  5. 前記プロファイルは、
    その重心が前記翼根の中心から、前記組み立て時に傾いている背側又は腹側にオフセットされている、
    請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のタービン動翼組立体の設計方法
  6. 前記図5に示される二次元座標において、
    2.3×10≦(A×CF)/(T×L)≦10.6×10を満たすように、前記A、CF、T及びLが設定される、
    請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のタービン動翼組立体の設計方法
  7. 前記図5に示される二次元座標において、
    3.0×10≦(A×CF)/(T×L)≦5.0×10を満たすように、前記A、CF、T及びLが設定される、
    請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のタービン動翼組立体の設計方法
  8. T≦4.3×10−6×(A×CF/L) かつ T≧0.9×10−6×(A×CF/L)
    を満たすように前記A、CF、T及びLが設定される、
    請求項2〜請求項7のいずれか一項に記載のタービン動翼組立体の設計方法
  9. T≦3.3×10−6×(A×CF/L) かつ T≧2.0×10−6×(A×CF/L)
    を満たすように前記A、CF、T及びLが設定される、
    請求項2〜請求項7のいずれか一項に記載のタービン動翼組立体の設計方法
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