[第1実施形態]
以下、本発明に係る情報読取装置および情報読取システムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示す情報読取システム1は、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの商品(物品)を販売する店舗等に採用されるシステムであって、情報コードC等を光学的に読み取る携帯型の情報読取装置10と、情報読取装置10から受信した情報に応じた処理を行う外部機器としてPOS端末2とを備え、情報読取装置10を利用して金属探知可能に構成されている。
まず、情報読取装置10の概要について説明する。
情報読取装置10は、図2に例示するように、主に、外郭を構成する筐体11と、この筐体11内に収容されるプリント配線板20および光学系等により構成されており、ケーブル17を介してPOS端末2に電気的に接続されている。この情報読取装置10は、バーコード等の一次元コードや、QRコード(登録商標)、データマトリックスコード、マキシコード等の二次元コードなどの情報コードCを光学的に読み取る機能を有している。情報読取装置10は、読み取った情報コードCのデータを、ケーブル17を介してPOS端末2に送信し、POS端末2からの信号を、ケーブル17を介して取得することができるようになっている。
特に、情報読取装置10は、図2に例示するように、商品(物品)Gに付された情報コードCを読み取る際に当該商品Gに混入された針等の小物金属(以下、単に金属Mともいう)を検出(探知)する金属探知機能を有するように構成されている。なお、図2では、商品Gに相当する食品に金属Mに相当する針が埋め込まれて混入されており、この食品のパッケージに印刷表示されているバーコード(情報コードCに相当)を読み取る状態を例示している。
筐体11は、上ケースおよび下ケースとから構成されており、ABS樹脂等の合成樹脂からなる成形部材で、主に、情報読取装置10の表側の外観を形成している。これら上ケースおよび下ケースの一端側(図2の上側)には、読取口13が形成され、また他端側(図2の下側)にはケーブル取付部15が形成されている。そして、このケーブル取付部15によって、ケーブル17の一端側と筐体11の他端側とが固定されている。読取口13が形成される一端側は、裏面側に大きく前傾する首曲がり形状に形成されている。これにより、利用者が情報読取装置10を当該上ケース側から把持した状態で、商品G等の読取対象物に表示された情報コードCに読取口13を当て易くしている。また、上ケースの首曲がり形状部のほぼ中央には、情報コードCの読み取りに関する情報を光で利用者に通知し得る発光部46が形成されている。
プリント配線板20は、上ケースおよび下ケースにより形成される内部空間に収容可能な略矩形状に形成されており、メモリ35や制御部40、あるいは発光部46の光源となる発光ダイオード(LED)等の電気系の電子部品を実装することにより、所定の電子回路を構成し得る配線パターンがプリントされている。このプリント配線板20には、これらの電子部品のほかに、情報コードCの読み取りに必要な光学系の照明光源21や受光センサ28等も実装されている。
次に、情報読取装置10の電気的構成について図1を参照して説明する。
図1に示すように、情報読取装置10は、主に、照明光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御部40、ブザー44、バイブレータ45、発光部46等のマイコン系と、から構成されている。そして、照明光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系は、制御部40と協働して、情報コードCを読み取る(解読する)ように機能する。
光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。投光光学系を構成する照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明手段として機能するもので、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられるレンズとから構成されている。なお、図1では、情報コードCが付された商品Gに向けて、読取口13を介して照明光Lfを照射する例を概念的に示している。
受光光学系は、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡(図示略)などによって構成されている。受光センサ28は、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子からなり、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光可能にプリント配線板20に実装されている。
結像レンズ27は、外部から読取口13を介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面28aに像を結像可能な結像光学系として機能するものである。本実施形態では、照明光源21から照射された照明光Lfが情報コードCにて反射した後、この反射光Lrを結像レンズ27で集光し、受光センサ28の受光面28aにコード像等を結像させている。
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御部40、ブザー44、バイブレータ45、発光部46、通信インタフェース48等から構成されている。このマイコン系は、その名の通り、マイコン(情報処理装置)として機能し得る制御部40およびメモリ35を中心に構成されるもので、上述した光学系によって撮像された情報コードの画像信号をハードウェア的およびソフトウェア的に信号処理し得るものである。また制御部40は、当該情報読取装置10の全体システムに関する制御も行っている。
光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、メモリ35に入力されると、画像データ蓄積領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、上述した画像データ蓄積領域のほかに、制御部40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルも確保可能に構成されている。また、ROMには、照明光源21、受光センサ28等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
制御部40は、情報読取装置10全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるもので、メモリ35とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有する。この制御部40は、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)と接続可能に構成されており、本実施形態の場合、ブザー44、バイブレータ45、発光部46、通信インタフェース48等が接続されている。
これにより、例えば、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、当該情報読取装置10の利用者に伝達し得る振動を発生可能なバイブレータ45の駆動制御、発光部46の点灯・非点灯や、POS端末2との通信を可能にする通信インタフェース48の通信制御等が制御部40によって行われることとなる。
特に、本実施形態では、情報読取装置10は、2つの地磁気センサ51,52を備えている。両地磁気センサ51,52は、それぞれ情報読取装置10に対する絶対方位の向きの検出結果に応じた信号を制御部40に出力するように構成されている。具体的には、両地磁気センサ51,52は、公知の地磁気センサによって構成され、例えば地磁気の強さによって抵抗値やインピーダンス値が変化する素子を有し、地磁気の方向に対する地磁気センサ51,52の角度によってこれらの値が変化するようにそれぞれ構成されている。これにより、これら抵抗値やインピーダンス値の変化を磁気変化として読み取ることで、情報読取装置10と南北方向とのなす角度に換算され、絶対方位の向き(東西南北の各向き)を特定することができる。
図2に示すように、地磁気センサ51は、読取口13近傍となるようにプリント配線板20の一端側(図2の上側)に実装され、地磁気センサ52は、ケーブル取付部15近傍となるようにプリント配線板20の他端側(図2の下側)に実装されている。このため、地磁気センサ51および地磁気センサ52は、筐体11内において両地磁気センサ51,52間の距離をプリント配線板20の長手方向の長さに応じてできるだけ離すように配置される。なお、地磁気センサ51は、「一方の地磁気センサ」の一例に相当し、地磁気センサ52は、「他方の地磁気センサ」の一例に相当し得る。
次に、上述した2つの地磁気センサ51,52による検出結果を用いることで上記金属探知機能を実現する本実施形態の特徴的構成について、図3(A)〜(C)を参照して説明する。なお、図3(A)〜(C)は、両地磁気センサ51,52における磁気変化を示すグラフであって、図3(A)はX軸での磁気変化を示し、図3(B)はY軸での磁気変化を示し、図3(C)はZ軸での磁気変化を示す。また、図3(A)〜(C)では、地磁気センサ51の磁気出力S1x,S1y,S1zをそれぞれ破線にて示し、地磁気センサ52の磁気出力S2x,S2y,S2zを二点鎖線にて示す。また、図3(A)〜(C)では、磁気出力S1xと磁気出力S2xとの差の絶対値ΔSx、磁気出力S1yと磁気出力S2yとの差の絶対値ΔSy、磁気出力S1zと磁気出力S2zとの差の絶対値ΔSzをそれぞれ実線にて示す。
通常、地磁気センサに対して金属が近づけられると、当該金属との相対位置変化に応じて磁気変化が生じる検出結果が地磁気センサから得られる。一方、地磁気センサを有する装置を移動させても磁気変化が生じる検出結果が地磁気センサから得られる。
そこで、本実施形態では、地磁気センサにて生じた磁気変化が金属検出によるものか単なる移動によるものかを判定するため、2つの地磁気センサ51,52による検出結果を用いる。情報読取装置10を移動させると地磁気センサ51の検出結果と地磁気センサ52の検出結果とが同じ傾向となるので、両地磁気センサ51,52の検出結果を比較した磁気変化は小さくなるからである。これに対して、図2に例示するように、金属Mが混入している商品Gの情報コードCに読取口13を向けていることから地磁気センサ51にて検出される磁気が大きくなっても、地磁気センサ52にて検出される磁気は地磁気センサ51ほど大きくならず、両地磁気センサ51,52の検出結果を比較した磁気変化は大きくなるからである。
具体的には、商品Gの情報コードCに読取口13を向けるために情報読取装置10を移動させている時刻t1までは、図3(A)〜(C)に示すように、磁気出力差の絶対値ΔSx,ΔSy,ΔSzは、ほぼ0(ゼロ)に等しくなる。そして、地磁気センサ51に磁気変化を生じさせる程度に読取口13が金属Mに近づけられると、図3(A)〜(C)における時刻t1以降にて示すように、地磁気センサ51の磁気出力S1x,S1y,S1zが、地磁気センサ52の磁気出力S2x,S2y,S2zよりも大きく変化する。すなわち、磁気出力差の絶対値ΔSx,ΔSy,ΔSzが大きくなる。地磁気センサ51の方が地磁気センサ52よりも金属Mの影響を受けるからである。
そして、磁気出力差の絶対値ΔSxがX軸閾値ΔSxth以上となるか、磁気出力差の絶対値ΔSyがY軸閾値ΔSyth以上となるか、磁気出力差の絶対値ΔSzがZ軸閾値ΔSzth以上となることで、磁気出力差の絶対値ΔSが閾値ΔSth以上であるとして、金属Mの商品Gへの混入を検出(探知)することができる。これに対して、磁気出力差の絶対値ΔSxがX軸閾値ΔSxth未満であり、かつ、磁気出力差の絶対値ΔSyがY軸閾値ΔSyth未満であり、かつ、磁気出力差の絶対値ΔSzがZ軸閾値ΔSzth未満となることで、磁気出力差の絶対値ΔSが閾値ΔSth未満であるとして、商品Gに金属が混入していないことを検出(探知)することができる。なお、X軸閾値ΔSxth、Y軸閾値ΔSythおよびZ軸閾値ΔSzthは、金属混入検出を容易とするため、読取口13を金属Mが混入した商品Gの情報コードCに接触させたときに検出される各地磁気センサの磁気出力における各軸での差を考慮して設定されている。
次に、上述のように構成される情報読取装置10を用いて情報コードCを読み取る際に金属探知を行うように制御部40にてなされる読取処理について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。
所定の操作に応じて情報読取装置10に電源が投入されると、制御部40により読取処理が開始される。この読取処理では、まず、図4のステップS101に示す初期設定処理がなされ、メモリ35の作業領域や所定のフラグ等がクリアされるとともに、照明光源21により読取口13を介して照明光Lfが照射される。
次に、ステップS103に示す撮像処理がなされ、照明光Lfが照射された状態で、読取口13を介して受光した外光に応じて受光センサ28から出力される受光信号に基づいて、撮像画像が生成される。続いて、ステップS105に示すデコード処理がなされ、この撮像画像に対して公知のデコード処理が実施される。ここで、情報コードCが撮像されていないことからデコードが失敗しており(S107でNo)、終了操作等がなされない場合には(S123でNo)、上記ステップS103からの処理が繰り返される。
一方、情報コードCが撮像されていることで、撮像画像に対する情報コードCのデコードが成功して情報コードCとして符号化された文字データ等が取得されると、ステップS107にてYesと判定される。なお、上述した撮像処理およびデコード処理を実行する制御部40および受光センサ28は、「読取手段」の一例に相当し得る。
続いて、ステップS109に示す地磁気測定処理がなされる。この処理では、地磁気センサ51から出力される信号に基づいて上述した磁気出力S1x,S1y,S1zが測定され、地磁気センサ52から出力される信号に基づいて上述した磁気出力S2x,S2y,S2zが測定される。
次に、ステップS111に示す差分算出処理がなされ、上記地磁気測定処理による測定結果に基づいて、磁気出力差の絶対値ΔSx,ΔSy,ΔSzがそれぞれ算出される。続いて、ステップS113に示す金属混入判定処理にて、磁気出力差の絶対値ΔSが閾値ΔSth以上であるか否かについて判定される。なお、上述した金属混入判定処理を実行する制御部40は、「判定手段」の一例に相当し得る。
ここで、商品Gに金属が混入していないことから、磁気出力差の絶対値ΔSxがX軸閾値ΔSxth未満であり、かつ、磁気出力差の絶対値ΔSyがY軸閾値ΔSyth未満であり、かつ、磁気出力差の絶対値ΔSzがZ軸閾値ΔSzth未満であることから、磁気出力差の絶対値ΔSが閾値ΔSth未満であると判定されると(S113でNo)、金属未検出であるとして(S115)、ステップS117に示す読取結果出力処理がなされる。この処理では、デコード成功を報知するように発光部46が点灯・点滅等するとともに、上記デコード処理にて取得された文字データ等が通信インタフェース48を介してPOS端末2に送信(出力)される。
これに対して、商品Gに金属Mが混入していることから、図3(A)〜(C)における時刻t1以降のように、磁気出力差の絶対値ΔSxがX軸閾値ΔSxth以上となるか、磁気出力差の絶対値ΔSyがY軸閾値ΔSyth以上となるか、磁気出力差の絶対値ΔSzがZ軸閾値ΔSzth以上となると、磁気出力差の絶対値ΔSが閾値ΔSth以上であると判定される(S113でYes)。この場合には、金属検出として(S119)、ステップS121に示す報知処理がなされる。
上記報知処理では、情報コードCを読み取った商品Gに金属Mが混入していることを示す金属検出情報が通信インタフェース48を介してPOS端末2に送信(出力)されることで報知される。この金属検出情報を受信したPOS端末2では、表示画面の表示(後述する図8のモニタ2a参照)や発光部の発光、発音部の発音等による所定の警告がなされることで、情報読取装置10の利用者は、情報コードCを読み取った商品Gに金属Mが混入していることを把握することができる。
なお、上記報知処理では、どの商品に金属が混入しているかをPOS端末2にて管理容易とするため、上記デコード処理にて取得された文字データ等を上記金属検出情報に含めて報知することができる。また、上述した読取結果出力処理(S117)または報知処理(S121)を実行する制御部40および通信インタフェース48は、判定結果に応じた情報を報知する「報知手段」の一例に相当し得る。
また、上記報知処理では、さらに、判定結果に応じた情報として情報読取装置10自身が金属検出を報知するように、発光部46が点灯・点滅等してもよいし、ブザー44が鳴動してもよいし、バイブレータ45が振動してもよい。この構成では、発光部46、ブザー44およびバイブレータ45は、「報知手段」の一例に相当し得る。
以上説明したように、本実施形態に係る情報読取装置10および情報読取システム1では、情報コードCからの反射光Lrを取り込む読取口13に地磁気センサ51が設けられており、筐体11のうち読取口13から離れた他端側に地磁気センサ52が設けられている。そして、地磁気センサ51の検出結果と地磁気センサ52の検出結果とを比較した磁気変化に基づいて商品(物品)Gに金属Mが混入しているか否かの金属混入判定が判定処理(S113)により行われ、この判定結果に応じた情報がPOS端末2に対して送信(出力)されるか発光部46の点灯・点滅等により報知される。
これにより、両地磁気センサ51,52の検出結果を比較した磁気変化に応じて、金属混入の検出か情報読取装置10の移動かを区別できるため、地磁気センサ51,52を利用して物品に混入された金属を高精度に検出することができる。
なお、所定の操作に応じて、デコードの成否にかかわらず上記ステップS109以降の処理を行うようにしてもよい。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る情報読取装置および情報読取システムについて、図5〜図7を用いて説明する。
本第2実施形態では、読取口に設けられる複数の地磁気センサを利用して物品に混入された金属を検出する点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、図5に示すように、読取口13に対して互いに離れるように3つの地磁気センサ53,54,55が設けられている。具体的には、プリント配線板20のうち読取口13側となる一端側(図5の上側)の中央に地磁気センサ53が配置され、この一端側の両端近傍に地磁気センサ54と地磁気センサ55とが配置されている。このため、各地磁気センサ53,54,55は、筐体11内において地磁気センサ53と地磁気センサ54との距離や地磁気センサ53と地磁気センサ55との距離をプリント配線板20の幅(短手方向の長さ)に応じてできるだけ離すように配置される。各地磁気センサ53,54,55は、上述した地磁気センサ51,52と同様に機能する公知の地磁気センサとして構成されている。
このように配置した各地磁気センサ53〜55による検出結果を用いることで上記金属探知機能を実現する本実施形態の特徴的構成について、図6(A)〜(C)を参照して説明する。なお、図6(A)〜(C)は、各地磁気センサ53〜55における磁気変化を示すグラフであって、図6(A)はX軸での磁気変化を示し、図6(B)はY軸での磁気変化を示し、図6(C)はZ軸での磁気変化を示す。また、図6(A)〜(C)では、地磁気センサ53の磁気出力S3x,S3y,S3zをそれぞれ細線の実線にて示し、地磁気センサ54の磁気出力S4x,S4y,S4zをそれぞれ細線の破線にて示し、地磁気センサ55の磁気出力S5x,S5y,S5zを細線の二点鎖線にて示す。また、図6(A)〜(C)では、磁気出力S3xと磁気出力S4xとの差の絶対値ΔS34x、磁気出力S3yと磁気出力S4yとの差の絶対値ΔS34y、磁気出力S3zと磁気出力S4zとの差の絶対値ΔS34zをそれぞれ太線の破線にて示し、磁気出力S3xと磁気出力S5xとの差の絶対値ΔS35x、磁気出力S3yと磁気出力S5yとの差の絶対値ΔS35y、磁気出力S3zと磁気出力S5zとの差の絶対値ΔS35zをそれぞれ太線の二点鎖線にて示す。
読取口13に上述した3つの地磁気センサ53〜55を設ける構成では、商品Gの情報コードCに読取口13を向けるために情報読取装置10を移動させている時刻t2までは、図6(A)〜(C)に示すように、磁気出力差の絶対値ΔS34x,ΔS35x,ΔS34y,ΔS35y,ΔS34z,ΔS35zは、ほぼ0(ゼロ)に等しくなる。そして、例えば、地磁気センサ53が地磁気センサ54,55よりも金属Mに近くなるように読取口13が商品Gに近づけられると、図6(A)〜(C)における時刻t2以降にて示すように、地磁気センサ53の磁気出力S3x,S3y,S3zが、地磁気センサ54の磁気出力S4x,S4y,S4zや地磁気センサ55の磁気出力S5x,S5y,S5zよりも大きく変化する。すなわち、磁気出力差の絶対値ΔS34x,ΔS35x,ΔS34y,ΔS35y,ΔS34z,ΔS35zが大きくなる。地磁気センサ53の方が地磁気センサ54,55よりも金属Mの影響を受けるからである。
そして、磁気出力差の絶対値ΔS34x,ΔS35xのいずれかがX軸閾値ΔSxth以上であるか、磁気出力差の絶対値ΔS34y,ΔS35yのいずれかがY軸閾値ΔSyth以上であるか、磁気出力差の絶対値ΔS34z,ΔS35zのいずれかがZ軸閾値ΔSzth以上となることで、磁気出力差の絶対値ΔSが閾値ΔSth以上であるとして、金属Mの商品Gへの混入を検出(探知)することができる。これに対して、磁気出力差の絶対値ΔS34x,ΔS35xがともにX軸閾値ΔSxth未満であり、かつ、磁気出力差の絶対値ΔS34y,ΔS35yがともにY軸閾値ΔSyth未満であり、かつ、磁気出力差の絶対値ΔS34z,ΔS35zがともにZ軸閾値ΔSzth未満となることで、磁気出力差の絶対値ΔSが閾値ΔSth未満であるとして、商品Gに金属が混入していないことを検出(探知)することができる。
また、本実施形態では、図5に示すように、3つの発光部46a〜46cが上ケースの首曲がり形状部に設けられている。発光部46aは、上ケースの首曲がり形状部のほぼ中央に位置し、発光部46bは、地磁気センサ53に対する地磁気センサ54側に位置し、発光部46cは、地磁気センサ53に対する地磁気センサ55側に位置するように配置されている。各発光部46a〜46cは、制御部40により制御されて、情報コードCの読み取りに関する情報を光で利用者に通知する機能に加えて、検出された金属Mの読取口13に対する概略位置を報知する報知手段として報知機能を有するように構成されている。
具体的には、金属Mの検出時、磁気出力差の絶対値ΔS34x,ΔS35xがほぼ等しく、絶対値ΔS34y,ΔS35yがほぼ等しく、絶対値ΔS34z,ΔS35zがほぼ等しい状態(以下、第1磁気状態ともいう)には、各地磁気センサ53〜55のうち地磁気センサ53が検出された金属Mに最も近く位置している近接センサであるとして、発光部46aが判定結果に応じた情報として金属検出を報知するように点灯・点滅等する。また、金属Mの検出時、磁気出力差の絶対値ΔS34xが磁気出力差の絶対値ΔS35xよりも大きく、磁気出力差の絶対値ΔS34yが磁気出力差の絶対値ΔS35yよりも大きく、磁気出力差の絶対値ΔS34zが磁気出力差の絶対値ΔS35zよりも大きい状態(以下、第2磁気状態ともいう)には、各地磁気センサ53〜55のうち地磁気センサ54が検出された金属Mに最も近く位置している近接センサであるとして、発光部46bが判定結果に応じた情報として金属検出を報知するように点灯・点滅等する。また、金属Mの検出時、磁気出力差の絶対値ΔS35xが磁気出力差の絶対値ΔS34xよりも大きく、磁気出力差の絶対値ΔS35yが磁気出力差の絶対値ΔS34yよりも大きく、磁気出力差の絶対値ΔS35zが磁気出力差の絶対値ΔS34zよりも大きい状態(以下、第3磁気状態ともいう)には、各地磁気センサ53〜55のうち地磁気センサ55が検出された金属Mに最も近く位置している近接センサであるとして、発光部46cが判定結果に応じた情報として金属検出を報知するように点灯・点滅等する。
次に、上述のように構成される情報読取装置10を用いて情報コードCを読み取る際に金属探知を行うように制御部40にてなされる読取処理について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。
上記第1実施形態と同様に情報コードCのデコードが成功すると(S107でYes)、ステップS109aに示す地磁気測定処理がなされる。この処理では、地磁気センサ53から出力される信号に基づいて上述した磁気出力S3x,S3y,S3zが測定され、地磁気センサ54から出力される信号に基づいて上述した磁気出力S4x,S4y,S4zが測定され、地磁気センサ55から出力される信号に基づいて上述した磁気出力S5x,S5y,S5zが測定される。
次に、ステップS111aに示す差分算出処理がなされ、上記地磁気測定処理による測定結果に基づいて、磁気出力差の絶対値ΔS34x,ΔS35x,ΔS34y,ΔS35y,ΔS34z,ΔS35zがそれぞれ算出される。続いて、ステップS113aに示す金属混入判定処理にて、磁気出力差の絶対値ΔSが閾値ΔSth以上であるか否かについて判定される。
ここで、商品Gに金属が混入していないことから、磁気出力差の絶対値ΔS34x,ΔS35xがともにX軸閾値ΔSxth未満であり、かつ、磁気出力差の絶対値ΔS34y,ΔS35yがともにY軸閾値ΔSyth未満であり、かつ、磁気出力差の絶対値ΔS34z,ΔS35zがともにZ軸閾値ΔSzth未満であることから、磁気出力差の絶対値ΔSが閾値ΔSth未満であると判定されると(S113aでNo)、金属未検出であるとして(S115)、上記第1実施形態と同様に、ステップS117に示す読取結果出力処理がなされる。
これに対して、商品Gに金属Mが混入していることから、図6(A)〜(C)における時刻t2以降のように、磁気出力差の絶対値ΔS34x,ΔS35xのいずれかがX軸閾値ΔSxth以上であるか、磁気出力差の絶対値ΔS34y,ΔS35yのいずれかがY軸閾値ΔSyth以上であるか、磁気出力差の絶対値ΔS34z,ΔS35zのいずれかがZ軸閾値ΔSzth以上であると、磁気出力差の絶対値ΔSが閾値ΔSth以上であると判定される(S113aでYes)。この場合には、金属検出として(S119)、ステップS121aに示す報知処理がなされ、情報コードCを読み取った商品Gに金属Mが混入していることを示す金属検出情報が通信インタフェース48を介してPOS端末2に送信(出力)されることで報知される。なお、上記報知処理では、上記第1実施形態と同様に、どの商品に金属が混入しているかをPOS端末2にて管理容易とするため、上記デコード処理にて取得された文字データ等を上記金属検出情報に含めて報知することができる。
続いて、ステップS125に示す発光報知処理がなされる。この処理では、検出された金属Mの読取口13に対する位置に応じて、発光部46a〜46cのいずれかが金属検出を報知するように点灯・点滅等する。すなわち、各地磁気センサ53〜55のうち検出される磁気変化が最も大きくなる近接センサの位置を示す情報が発光部46a〜46cのいずれかにより報知される。
例えば、金属Mの検出時における各磁気出力が上記第1磁気状態であれば、発光部46aが金属検出を報知するように点灯・点滅等することで、検出された金属Mが各地磁気センサ53〜55のうち地磁気センサ53に最も近く位置していることが報知される。また、例えば、金属Mの検出時における各磁気出力が上記第2磁気状態であれば、発光部46bが金属検出を報知するように点灯・点滅等することで、検出された金属Mが各地磁気センサ53〜55のうち地磁気センサ54に最も近く位置していることが報知される。また、例えば、金属Mの検出時における各磁気出力が上記第3磁気状態であれば、発光部46cが金属検出を報知するように点灯・点滅等することで、検出された金属Mが各地磁気センサ53〜55のうち地磁気センサ55に最も近く位置していることが報知される。なお、磁気出力差の絶対値ΔS34x,ΔS35x,ΔS34y,ΔS35y,ΔS34z,ΔS35zが上述した第1〜第3磁気状態のいずれにも該当しない場合には、例えば、全ての発光部46a〜46cが金属検出を報知するように点灯・点滅等することで、情報読取装置10自身が金属Mの検出を報知することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る情報読取装置10および情報読取システム1では、情報コードCからの反射光Lrを取り込む読取口13に対して互いに離れるように3つの地磁気センサ53〜55が設けられている。そして、各地磁気センサ53〜55のそれぞれの検出結果を比較した磁気変化に基づいて商品(物品)Gに金属Mが混入しているか否かの金属混入判定が行われ、この判定結果に応じた情報がPOS端末2に対して送信(出力)されるか発光部46a〜46cの点灯・点滅等により報知される。
これにより、各地磁気センサ53〜55の検出結果を比較した磁気変化に応じて、金属混入の検出か情報読取装置10の移動かを区別できるため、各地磁気センサ53〜55を利用して物品に混入された金属を高精度に検出することができる。
特に、判定結果に応じた情報として、各地磁気センサ53〜55のうち検出される磁気変化が最も大きくなる近接センサの位置を示す情報が各発光部46a〜46cのいずれかの点灯・点滅等により報知される。このため、利用者は、近接センサの位置、すなわち、読取口13に対する金属Mの位置を容易に把握できるので、金属混入の有無を容易に視認することができる。
なお、本実施形態では、読取口13に対して互いに離れるように設けられる複数の地磁気センサとして、地磁気センサ53〜55が採用されているが、これに限らず、読取口13に対して互いに離れるように設けられる2つ(例えば、地磁気センサ54と地磁気センサ55)、または4つ以上の地磁気センサが採用されてもよい。
また、本実施形態では、各地磁気センサ53〜55に加えてさらに上記第1実施形態にて述べた地磁気センサ52をプリント配線板20の他端側(図5の下側)に実装し、この地磁気センサ52の検出結果をも含めた磁気変化に応じて、金属混入の検出か情報読取装置10の移動かを区別してもよい。
図8は、第2実施形態の変形例に係る情報読取システム1の要部を示す説明図である。
上記ステップS121aに示す報知処理では、金属検出情報に加えて、上記第1〜3磁気状態のいずれであるかを示す情報が、通信インタフェース48を介してPOS端末2に送信(出力)されることで報知されてもよい。これにより、POS端末2では、検出された金属Mが各地磁気センサ53〜55のうちどの地磁気センサに最も近く位置しているか、すなわち、検出された金属Mの読取口13に対する概略位置を把握することができる。
このため、例えば、図8に例示するように、POS端末2のモニタ2aに「読取口の中央方向に金属を検出しました」等の報知情報を画面表示することで、利用者は、検出された金属Mの読取口13に対する概略位置を容易に把握することができる。なお、POS端末2では、上記概略位置を報知するための音声情報を、上記画面表示に代えて行ってもよいし、上記画面表示とともに行ってもよい。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る情報読取装置および情報読取システムについて、図9および図10を用いて説明する。
本第3実施形態では、POS端末2にて、情報読取装置10から受信した読取結果に応じて金属混入判定に関する指示がその情報読取装置10に対して送信される点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、情報読取装置10は、情報コードCを読み取ると(図9のV1参照)金属混入判定を行う前にその読取結果を通信インタフェース48を介してPOS端末2に送信し(図9のV2参照)、POS端末2は、受信した読取結果に基づいて読み取った情報コードCを付した物品が金属混入判定を必要とするものか否かを判断する(図9のV3参照)。そして、POS端末2は、読み取った情報コードCを付した物品が金属混入判定を必要とするものと判断すると、情報読取装置10に対して金属混入判定を行うための指示(以下、金属混入判定指示ともいう)を送信し(図9のV4参照)、読み取った情報コードCを付した物品が金属混入判定を必要としないものと判断すると、情報読取装置10に対して金属混入判定指示を送信しない。ここで、金属混入判定を必要とする物品とは、例えば、金属が含まれない食品や金属が混入していると危険な日用品等が想定される。なお、POS端末2では、読み取った情報コードCから特定される物品が金属混入判定を必要とするものか否かについて判断するための情報が予めそのメモリ等に記憶されているものとする。
そして、情報読取装置10は、通信インタフェース48を介してPOS端末2から金属混入判定指示を受信すると、その情報コードCを付した物品に対する金属混入判定を行い(図9のV5参照)、金属混入判定指示が受信されないと金属混入判定を行わない。これにより、例えば、缶飲料など金属混入を検出不要な物品に付された情報コードCを読み取った場合にはPOS端末2から金属混入判定指示が送信されないことで、不要な金属混入判定に関する処理をなくすことができる。なお、通信インタフェース48は、「通信手段」の一例に相当し、POS端末2にてなされる金属混入判定指示は、「第1の指示」の一例に相当し得る。
以下、上述のように構成される情報読取装置10を用いて情報コードCを読み取る際に制御部40にてなされる読取処理について、図10に示すフローチャートを用いて説明する。
上記第1実施形態と同様に情報コードCのデコードが成功すると(図10のS107でYes:図9のV1参照)、上記読取結果出力処理(S117)がなされ、文字データ等の読取結果が通信インタフェース48を介してPOS端末2に送信(出力)される(図9のV2参照)。続いて、ステップS127に示す判定処理がなされ、POS端末2から金属混入判定指示が受信されているか否かについて判定される。ここで、読取結果を送信してから所定時間以内にPOS端末2から金属混入判定指示を受信すると(S127でYes:図9のV4参照)、上記ステップS109以降の処理がなされる(図9のV5参照)。
一方、読取結果を送信してから所定時間以内にPOS端末2から金属混入判定指示が受信されない場合には(S127でNo)、上述したステップS109以降の処理を行うことなく、ステップS123の判定処理がなされる。すなわち、金属混入判定指示が受信されない場合には、文字データ等の読取結果がPOS端末2に送信されるだけで、金属混入判定がなされることもない。
以上説明したように、本実施形態に係る情報読取装置10および情報読取システム1では、読取結果の送信に応じて、POS端末2から金属混入判定指示(第1の指示)が受信されると金属混入判定が行われ、当該金属混入判定指示が受信されない場合には金属混入判定が行われない。
これにより、POS端末2にて、受信した読取結果に基づいて読み取った情報コードCを付した物品が金属混入判定を必要とするものか否かを判断し、この判断結果に基づく金属混入判定指示の有無に応じて、情報読取装置10にて金属混入判定を行うか否かを制御することができる。
なお、読取結果に応じて金属混入判定に関する指示がPOS端末2から情報読取装置10に対して送信される本実施形態の特徴的構成は、読取口に設けられる複数の地磁気センサを利用して物品に混入された金属を検出する第2実施形態にも適用することができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る情報読取装置および情報読取システムについて、図11および図12を用いて説明する。
本第4実施形態では、読取結果から特定される物品の種別に応じて金属混入判定に関する閾値を変更する点が主に上記第3実施形態と異なる。このため、第3実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
磁気変化が所定の閾値(ΔSxth,ΔSyth,ΔSzth)以上となることで物品に金属が混入していると判定する金属混入判定に際し、物品の種別にかかわらず常に同じ閾値を採用すると以下のような問題が生じる場合がある。例えば、大型の物品に付された情報コードを読み取る際、情報コードから離れた位置に金属が混入していると、その金属に起因する地磁気センサの磁気変化が小さくなり、閾値の設定によっては金属混入を検出できなくなる場合がある。また、以前に金属混入が検出された物品等、金属混入の可能性がある物品に対しては金属混入判定に関する検出精度を高めたいという要望がある。
そこで、本実施形態では、POS端末2は、読取結果から特定される物品の種別によって金属混入判定に関する閾値を変更して検出精度を調整するために指示を情報読取装置10に対して行う。具体的には、読取結果から特定される物品の種別が検出精度を高める必要がある種別であるか否かについて判定し(図11のV3参照)、検出精度を高める必要がある種別であるとPOS端末2にて判断されると、上記金属混入判定指示とともに、各閾値ΔSthを小さくするための指示(以下、閾値変更指示ともいう)がPOS端末2から情報読取装置10に送信される(図11のV4a参照)。一方、読取結果から特定される物品の種別が検出精度を高める必要がないであるとPOS端末2にて判断されると、上記閾値変更指示が送信されることなく上記金属混入判定指示のみがPOS端末2から情報読取装置10に送信される(図11のV4b参照)。本実施形態では、上述した検出精度を高める必要がある物品の種別として、例えば、情報コードから離れた位置に金属が混入する可能性がある大型の物品や以前に金属混入が検出された物品が想定されている。なお、POS端末2にてなされる閾値変更指示は、「第2の指示」の一例に相当し得る。
以下、上述のように構成される情報読取装置10を用いて情報コードCを読み取る際に制御部40にてなされる読取処理について、図12に示すフローチャートを用いて説明する。
上記第3実施形態と同様に情報コードCのデコードが成功し(図12のS107でYes:図11のV1参照)、読取結果が通信インタフェース48を介してPOS端末2に送信(出力)されることで(S117:図11のV2参照)、POS端末2から金属混入判定指示を受信すると(S127でYes)、ステップS129に示す判定処理にて、金属混入判定指示とともに閾値変更指示が受信されているか否かについて判定される。
ここで、POS端末2にて読取結果から特定される物品の種別が検出精度を高める必要がない種別と判定されたことから(図11のV3参照)、閾値変更指示が受信されずに金属混入判定指示がPOS端末2から受信されていると(図11のV4b参照)、ステップS129にてNoと判定される。この場合には、X軸閾値ΔSxth、Y軸閾値ΔSythおよびZ軸閾値ΔSzthが変更されることなく、上記ステップS109以降の処理がなされる(図11のV5b参照)。
一方、POS端末2にて読取結果から特定される物品の種別が検出精度を高める必要がある種別と判定されたことから(図11のV3参照)、金属混入判定指示とともに閾値変更指示がPOS端末2から受信されている場合には(S129でYes:図11のV4a参照)、ステップS131に示す閾値変更処理がなされる。この処理では、X軸閾値ΔSxth、Y軸閾値ΔSythおよびZ軸閾値ΔSzthを低下させるための処理がなされる。本実施形態では、上記閾値変更処理において、X軸閾値ΔSxth、Y軸閾値ΔSythおよびZ軸閾値ΔSzthが、物品の種別が検出精度を高める必要がない種別と判定されたときの値に対して例えば50%以下となるように低減される。
そして、上記地磁気測定処理(S109)がなされた後、上記差分算出処理(S111)にて磁気出力差の絶対値ΔSx,ΔSy,ΔSzが上述のように低減された閾値ΔSxth,ΔSyth,ΔSzth以上であるか否かについて判定される(図11のV5a参照)。そして、磁気出力差の絶対値ΔSが閾値ΔSth未満であると判定されると(S113でNo)、金属未検出であるとされ(S115)、磁気出力差の絶対値ΔSが閾値ΔSth以上であると判定されると(S113でYes)、金属検出として(S119)、上記報知処理(S121)がなされる。
以上説明したように、本実施形態に係る情報読取装置10および情報読取システム1では、読取結果の送信に応じてPOS端末2から金属混入判定指示(第1の指示)に加えて閾値変更指示(第2の指示)が受信されると、X軸閾値ΔSxth、Y軸閾値ΔSythおよびZ軸閾値ΔSzthを閾値変更指示が受信されない場合よりも小さくして金属混入判定を行う。
これにより、金属検出が困難な大型の物品や過去に金属が混入していた物品に類する物品であっても、POS端末2からからの閾値変更指示の受信に応じてX軸閾値ΔSxth、Y軸閾値ΔSythおよびZ軸閾値ΔSzthが通常よりも小さくなることで、金属混入を確実に検出することができる。
なお、読取結果から特定される物品の種別に応じて金属混入判定に関する閾値を変更する本実施形態の特徴的構成は、読取口に設けられる複数の地磁気センサを利用して物品に混入された金属を検出する第2実施形態にも適用することができる。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る情報読取装置および情報読取システムについて、図13および図14を用いて説明する。
本第5実施形態では、金属混入が検出された物品に関する情報を他の情報読取装置をも含めて共有する点が主に上記第3実施形態と異なる。このため、第3実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係る情報読取システム1は、図13に示すように、複数組の情報読取装置10およびPOS端末2と、各POS端末2を管理する管理サーバとして機能するターミナル60とを備えている。なお、図13では、便宜上、3組の情報読取装置10およびPOS端末2を図示しており、他の組の情報読取装置10およびPOS端末2の図示を省略している。
ターミナル60は、所定のネットワークNを介して各POS端末2と通信可能に接続されており、各POS端末2からそれぞれ送信される読取情報等を管理するように構成されている。特に、本実施形態に係るPOS端末2では、情報読取装置10から金属検出情報を受信すると(図13のV1参照)、この金属検出情報をターミナル60に送信するように構成されている(図13のV2参照)。このため、ターミナル60は、1つのPOS端末2から金属検出情報を受信すると、その物品が回収対象であることを示す回収情報を作成して他のPOS端末2に対してそれぞれ送信する(図13のV3参照)。そして、他のPOS端末2では、ターミナル60から回収情報を受信した後に、回収対象となる商品Gの情報コードCが読み取られて(図13のV4参照)、その読取結果を情報読取装置10から取得すると(図13のV5参照)、その物品が回収対象であることを示す回収対象指示が情報読取装置10に対して送信される(図13のV6参照)。なお、POS端末2にてなされる回収対象指示は、「第3の指示」の一例に相当し得る。
以下、上述のように構成される情報読取システム1において情報読取装置10を用いて情報コードCを読み取る際に制御部40にてなされる読取処理について、図14に示すフローチャートを用いて説明する。
上記第3実施形態と同様に、図14のステップS113にて、磁気出力差の絶対値ΔSが閾値ΔSth以上であるとしてYesと判定されると、金属検出として(S119)、上記金属検出情報が通信インタフェース48を介してPOS端末2に送信(出力)されることで報知される(S121:図13のV1参照)。
この場合、情報読取装置10から金属検出情報を受信したPOS端末2は、この金属検出情報等をターミナル60に送信する(図13のV2参照)。これを受けてターミナル60は、受信した金属検出情報を集計等し、所定のタイミングで作成した上記回収情報を他のPOS端末2に対してそれぞれ送信する(図13のV3参照)。他のPOS端末2では、ターミナル60から受信した回収情報に基づいて、情報読取装置10から受信した読取結果から特定される商品Gが回収対象であるか否かを判定し、回収対象であると判定された場合にその情報読取装置10に対して上述した回収対象指示を送信する。なお、POS端末2では、回収対象であると判定された場合に、表示画面の表示(図8のモニタ2a参照)や発光部の発光、発音部の発音等による所定の警告がなされることで、情報読取装置10にて情報コードCが読み取られた商品Gが回収対象であることを報知してもよい。
そして、他のPOS端末2に接続される情報読取装置10では、上記第3実施形態と同様に情報コードCのデコードが成功すると(図14のS107でYes)、読取結果が通信インタフェース48を介してPOS端末2に送信(出力)される(S117:図13のV5参照)。続いて、ステップS133に示す判定処理がなされ、POS端末2から上記回収対象指示が受信されているか否かについて判定される。ここで、読取結果を送信してから所定時間以内にPOS端末2から回収対象指示が受信されない場合には(S133でNo)、上記ステップS127以降の処理がなされる。
一方、読取結果を送信してから所定時間以内にPOS端末2から回収対象指示を受信すると(S133でYes:図13のV6参照)、ステップS135に示す回収報知処理がなされる。この処理では、ステップS127以降の処理を行うことなく、情報コードCを読み取った商品Gが回収対象である旨を報知するように発光部46が所定の発光状態になる。これにより、利用者は、情報コードCを読み取った商品Gが回収対象であることを容易に把握することができる。なお、商品Gが回収対象である旨の報知は、発光部46の発光によりなされることに限らず、例えば、ブザー44の鳴動によりなされてもよいし、バイブレータ45の振動によりなされてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る情報読取装置10および情報読取システム1では、読取結果の送信に応じてPOS端末2から回収対象指示(第3の指示)が受信されると、読み取られた情報コードCを付した商品Gが回収対象であることが発光部46の発光状態等により報知される。
これにより、POS端末2にて、受信した読取結果に基づいて読み取った情報コードCを付した商品Gが回収対象であるか否かを判断し、この判断結果に基づく回収対象指示の有無に応じて、情報読取装置10にて回収対象であることの報知を行うか否かを制御することができる。このため、例えば、他の情報読取装置10で金属混入を検出した物品に類する物品が回収対象となると、この回収対象の商品Gに付された情報コードCを読み取った場合にはPOS端末2から回収対象指示が送信されることで、その商品Gが回収対象であることが報知されるので、回収対象の物品が購入されてしまうことを確実に防止することができる。
なお、金属混入が検出された物品に関する情報を他の情報読取装置をも含めて共有する本実施形態の特徴的構成は、読取口に設けられる複数の地磁気センサを利用して物品に混入された金属を検出する第2実施形態にも適用することができる。
[他の実施形態]
なお、本発明は上記各実施形態および変形例に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)POS端末2に接続される情報読取装置は、上述したような携帯型の読取装置に限らず、例えば、さらに、表示画面を有するように構成されてもよいし、無線タグに記録される情報を非接触通信にて読み取り可能に構成されてもよい。また、POS端末2に接続される情報読取装置は、据え置き型として構成されてもよい。
(2)情報読取装置が接続される機器は、上述のように構成されるPOS端末2として構成されることに限らず、金属探知機能が必要な情報読取装置の読取結果を利用する外部機器として構成されてもよい。
(3)上記ステップS113の判定処理では、X軸,Y軸およびZ軸のそれぞれについて磁気出力差の絶対値が閾値以上であるか否かについて判定することに限らず、例えば、3軸の磁気出力を合成した値が対応する閾値以上であるか否かについて判定してもよい。
(4)本発明は、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの商品(物品)を販売する店舗等のシステムやその情報読取装置に採用されることに限らず、物品に付された情報コードを読み取る際に情報読取装置を利用して金属探知を行うシステムやその情報読取装置に採用されてもよい。