[第1実施形態]
以下、本発明を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図3に示す情報コード利用システム1(以下、単にシステム1ともいう)は、情報コードCと、この情報コードCを読取可能な携帯型情報コード読取装置10(以下、単に読取装置10ともいう)とによって構成されている。このシステム1では、読取装置10が情報コードCを撮像し、解読する機能を備えており、更にこの読取装置10には、地磁気センサ44によって地磁気を検出する機能と、三軸センサ43(加速度センサ)によって所定方向の加速度を検出する機能とが備えられている。そして、システム1では、このような読取装置10によって取得されるデータに基づいて当該読取装置10の移動経路情報を生成することができ、更には、その移動経路情報を補正することができるようになっている。
図1(A)(B)に示す携帯型情報コード読取装置10(以下、単に読取装置ともいう)は、長手状の外観をなしており、その一端側のほぼ半分の領域が把持領域とされ、ユーザによって把持されつつ使用される構成をなしている。この携帯型情報コード読取装置10は、例えば、ユーザによって携帯されて様々な場所で用いられる携帯型の情報端末として構成されており、バーコードや二次元コードなどの情報コードCを読み取る機能を有している。
図1(A)(B)に示すように、携帯型情報コード読取装置10は、ABS樹脂等の合成樹脂材料により形成される上側ケース20aおよび下側ケース20bが組み付けられて構成される長手状の筐体20によって外郭が形成されている。また、上側ケース20aには、所定の情報を入力する際に操作されるファンクションキーおよびテンキー等の操作スイッチ42や、所定の情報を表示するための表示部(液晶表示器46)等が配置されている。
図2に示すように、携帯型情報コード読取装置10は、主に、照明光源21、受光センサ23、フィルタ25、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、操作スイッチ42、液晶表示器46等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、電源スイッチ41、電池41A等の電源系と、から構成されている。なお、これらは、図略のプリント配線板に実装あるいはケース(図示略)内に内装されている。
光学系は、照明光源21、受光センサ23、フィルタ25、結像レンズ27等から構成されている。照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能するもので、例えば、赤色のLEDと、このLEDの出射側に設けられる拡散レンズ、集光レンズ等とから構成されている。本実施形態では、受光センサ23を挟んだ両側に照明光源21が設けられており、ケースに形成された読取口(図示略)を介して読取対象物Rに向けて照明光Lfを照射可能に構成されている。この読取対象物Rとしては、例えば、樹脂材料、金属材料等の様々な対象が考えられ、このような読取対象物Rに情報コードCが印刷、ダイレクトマーキングなどによって形成されている。
情報コードCは、QRコード(登録商標)、データマトリックコード、マキシコード、その他の二次元コードなどであってもよく、バーコード等の一次元コードであってもよい。また、複数の情報コードが一度に撮像されて一括して読み取られてもよい。なお、情報コードCには、情報コードCの位置を示す位置情報と共に、情報コードCが付された位置に対応する物品又は設備に関する固有情報が記録されている。
受光センサ23は、読取対象物Rや情報コードCに照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を2次元に配列したエリアセンサが、これに相当する。この受光センサ23は、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光面23aで受光可能に図略のプリント配線板に実装されている。なお、受光センサ23は、「撮像部」の一例に相当し、情報コードCを撮像可能に構成されている。
フィルタ25は、反射光Lrの波長相当以下の光の通過を許容し、当該波長相当を超える光の通過を遮断し得る光学的なローパスフィルタで、ケースに形成された読取口(図示略)と結像レンズ27との間に設けられている。これにより、反射光Lrの波長相当を超える不要な光が受光センサ23に入射することを抑制している。また、結像レンズ27は、例えば、鏡筒とこの鏡筒内に収容される複数の集光レンズとによって構成されており、本実施形態では、ケースに形成された読取口(図示略)に入射する反射光Lrを集光し、受光センサ23の受光面23aに情報コードCのコード画像を結像するように構成されている。
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、操作スイッチ42、三軸センサ43、地磁気センサ44、計時部45、液晶表示器46、通信インタフェース49等から構成されている。このマイコン系は、マイコン(情報処理装置)として機能し得る制御回路40及びメモリ35を中心として構成され、前述した光学系によって撮像された情報コードCの画像信号をハードウェア的およびソフトウェア的に信号処理し得るものである。
光学系の受光センサ23から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力され、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、メモリ35に入力され、当該メモリ35の画像データ蓄積領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ23およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、前述した画像データ蓄積領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルも確保可能に構成されている。またROMには、後述する生成処理等を実行可能な所定プログラムやその他、照明光源21、受光センサ23等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
制御回路40は、携帯型情報コード読取装置10を全体的に制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるものであり、情報処理機能を有している。この制御回路40には、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)が接続されており、本実施形態の場合、電源スイッチ41、操作スイッチ42、三軸センサ43、地磁気センサ44、計時部45、液晶表示器46、通信インタフェース49等が接続されている。また、通信インタフェース49には、携帯型情報コード読取装置10の上位システムに相当するホストコンピュータとしてのサーバ50などを公知の通信方式(公知の無線LAN通信やインターネットなどを介した通信等)によって接続できるようになっている。なお、制御回路40は、「解読部」の一例に相当し、受光センサ23によって撮像された情報コードCを解読するように機能する。
電源系は、電源スイッチ41、電池41A等により構成されており、制御回路40により管理される電源スイッチ41のオンオフによって、上述した各装置や各回路に、電池41Aから供給される駆動電圧の導通や遮断が制御されている。なお、電池41Aは、所定の直流電圧を発生可能な2次電池で、例えば、リチウムイオン電池等がこれに相当する。
また、携帯型情報コード読取装置10には、三軸センサ43が設けられている。なお、三軸センサ43は、「加速度センサ」の一例に相当し、携帯型情報コード読取装置10における所定の複数方向の加速度を検出するように機能する。即ち、この三軸センサ43は、公知の加速度センサなどによって構成され、本構成では携帯型情報コード読取装置10において互いに直交する所定の三方向のそれぞれの加速度を測定する構成をなしている。具体的には、図1に示すように、携帯型情報コード読取装置10の長手方向をα軸方向とし、携帯型情報コード読取装置10の厚さ方向(長手方向と直交する方向であり、表示部(液晶表示器46)側の表面とその反対の裏面とが対向する方向)をβ軸方向とし、これらα軸方向及びβ軸方向と直交する幅方向をγ軸方向としている。また、α軸方向の一方側(図1の例では液晶表示器46側であり、α軸正側)が「上」側であり、これとは反対の他方側(α軸負側)が「下」側である。また、γ軸方向の一方側(γ軸正側)が「右」側であり、これとは反対の他方側(γ軸負側)が「左」側である。更に、β軸方向の一方側(液晶表示器46によって表示する側であり、β軸正側)が「手前」側であり、これと反対の他方側(β軸負側)が「奥」側である。なお、加速度を検出する方向はあくまで一例であり、各軸の方向はこの例に限られるものではない。
制御回路40は、三軸センサ43による各方向の検出値(α、β、γ軸方向の各加速度)に基づき、公知の方法で、鉛直方向の向きと、携帯型情報コード読取装置10が移動している方向の向きを特定可能とされている。なお、三軸の加速度センサによって進行方向や鉛直方向を特定する技術は公知であるので詳細は省略するが、例えば、特開2003−302419号公報、特開2007−325722号公報などに示される方法のほか、公知の様々な方法を用いることができる。即ち、設定されたα軸方向、β軸方向、γ軸方向の加速度がそれぞれどの程度であるかを測定し、α軸方向、β軸方向、γ軸方向の移動速度や移動距離を測定できるようになっている。
また、携帯型情報コード読取装置10には、地磁気センサ44が設けられている。地磁気センサ44は、携帯型情報コード読取装置10に対する絶対方位の向きを検出可能に構成されている。具体的には、地磁気センサ44は、公知の地磁気センサによって構成され、例えば地磁気の強さによって抵抗値やインピーダンス値が変化する素子を有し、地磁気の方向に対する地磁気センサ44の角度によってこれらの値が変化するように構成されている。そして、これら抵抗値やインピーダンス値の変化を電流の変化として読み取ることで、読取装置10と南北方向とのなす角度に換算され、絶対方位の向きを特定するように構成されている。つまり、地磁気センサ44は、携帯型情報コード読取装置10から見たときの東西南北の各向きを特定できるようになっている。
また、携帯型情報コード読取装置10には、計時部45が設けられている。計時部45は、公知の時計回路などによって構成され、制御回路40と通信可能に接続されている。そして、計時部45は、時刻や、所定の時点(例えば、操作スイッチ42を操作した時点)からの経過時間を計測するように機能する。
また、携帯型情報コード読取装置10には、歩数検出部47が設けられている。歩数検出部47は、読取装置10を所持した所持者の歩数を検出するように機能するものであり、例えば公知の歩数検出回路によって構成され、制御回路40と通信可能に接続されている。この歩数検出部47は、例えば公知の振り子式の歩数計として構成されていてもよく、公知の三次元加速度式の歩数計として構成されていてもよい。或いは、予め設定された歩幅と、後述する測定方法で測定された携帯型情報コード読取装置10の移動距離とに基づき、歩数を算出するような構成であってもよい。
また、携帯型情報コード読取装置10には、報知部48が設けられている。報知部48は、公知のブザーやスピーカ等によって構成され、制御回路40と通信可能に接続されている。また、報知部48は、制御回路40によって所定の条件が成立したと判断された場合に、制御回路40からの指示信号を受けて、警告音や音声によって所定の報知を行うように機能する。
(サーバ50の構成)
サーバ50は、携帯型情報コード読取装置10の上位システムに相当し、主に当該システム全体の制御を行うように構成され、上述したように、通信インタフェース49を介して、携帯型情報コード読取装置10と接続可能になっている。なお、本構成では例えばサーバ50が「外部装置」の一例に相当し、読取装置10が取得したデータに基づいて、読取装置10の移動経路情報を生成し、さらに当該移動経路情報を補正するように機能する。
このサーバ50は、コンピュータとして構成され、図3に示すように、主に、CPU51、記録部52、表示部53、操作部54、通信部55等から構成されている。CPU51は、各種情報処理を行うように構成されており、主に当該サーバ50全体の制御を行うように機能している。また、CPU51は、読取装置10の位置データログに基づいて移動経路情報を生成するプログラム(位置情報ソフトウェア)を実行するように機能する。
また、このCPU51には、記録部52、表示部53、操作部54、通信部55が接続されている。記録部52は、ROM、RAM、不揮発性メモリ等の半導体メモリやハードディスク等により構成され、位置情報ソフトや出荷データベース等を記憶するように構成されている。表示部53は、液晶モニタ等によって構成され、サーバ50の動作状態や移動経路情報などを表示可能に構成されている。操作部54は、キーボードやマウス等により構成され、例えば、ユーザ(システムの管理者など)が当該操作部54を操作することにより出荷データベースの情報を入力し得るように構成されている。通信部55は、外部装置と通信を行うための通信インタフェースとして構成され、CPU51からの指令に応じて、記録部52に記録された出荷データベースから抽出されるピッキングデータなどの情報を読取装置10に送信すると共に、読取装置10から伝票コードの情報などを受信するように構成されている。
(移動経路情報の生成処理)
次に、移動経路情報の生成処理について、図4に示すフローチャート等を用いて説明する。ここでは、携帯型情報コード読取装置10を携帯する作業者が、物流倉庫などの作業空間において、出荷指示に従って商品のピッキング作業を行う場合を例に挙げ、この作業時に、情報コード利用システム1で行われる移動経路情報の生成処理を例示して説明する。なお、図4の左側には、携帯型情報コード読取装置10で行われる生成処理を示し、図4の右側には、サーバ50で行われる生成処理を示している。
本構成で想定される物流倉庫などの作業空間では、例えば、図6のような作業エリアが定められており、この作業エリア内に複数の棚が配置されている。そして、各棚には、各棚に対応付けられた商品が収容されている。そして、携帯型情報コード読取装置10を所持する作業者が読取装置10に対し所定操作を行った場合、図4の左側のフローチャートの処理が開始される。この処理では、まず、作業者が読取装置10を把持しつつ担当者コード及び伝票コードを読み取る操作を行ったときに、読取装置10が、担当者コード及び伝票コードに記録された情報を取得する(S1)。
本システムでは、例えば、図示しない発行装置によって伝票が順次発行されるようになっており、発行される伝票には、伝票番号などの固有の伝票識別情報などが記録された伝票コード(例えば二次元コード)が印刷などによって付されている。なお、サーバ50には、各伝票の伝票コードに記録される伝票番号と、その伝票でのピッキングに対応する商品に関する情報(伝票別ピッキングデータ)とが対応付けて出荷データベースとして登録されている。なお、伝票別ピッキングデータとは、その伝票でピッキングを行うべき商品の種類や数量、その商品の位置(棚番)等によって構成されるデータである。この出荷データベースは、例えば物流倉庫から出荷する出荷先ごとに分けて管理されたデータの集合であり、出荷先ごとに伝票番号が割り当てられ、伝票番号毎に伝票別ピッキングデータが対応付けられて構成されている。つまり、サーバ50に記録された出荷データベースによれば、伝票番号が特定されれば、出荷先が特定され、その伝票番号でピッキングすべき1又は複数種類の商品の種類、数量、位置(棚番等)が特定できるようになっている。
また、本システムでは、例えば各作業者が社員証などのIDカードを所持することを想定しており、このIDカードには、作業者の固有ID(担当者番号など)等が記録された担当者コードが記録されている。なお、サーバ50には、各IDカードの各担当者コードに記録される担当者番号と、担当者の氏名などが対応付けられて担当者データベースとして登録されており、サーバ50に記録された担当者データベースによれば、担当者番号が特定されれば、担当者の指名が把握できるようになっている。
このようなシステムにおいて、S1にて読取装置10が担当者コード及び伝票コードを読み取った場合、担当者コードに記録された担当者番号や伝票コードに記録された伝票番号などがサーバ50に送信される。そして、サーバ50は、取得した伝票番号に対応する伝票別ピッキングデータを出荷データベースから読み出し、その伝票ピッキングデータを指示データとして読取装置10に送信する。なお、このような送信処理を行った場合には、送信した伝票別ピッキングデータと担当者番号とを対応付けて記憶しておけばよい。
指示データを受信した読取装置10は、液晶表示器46に棚番、種類、個数などのピッキングに関する指示を表示する処理を行う(S2)。なお、サーバ50からの指示データに含まれる伝票別ピッキングデータは、例えば1番目のピッキングの棚番(作業エリアでの位置)、商品の種類、個数、2番目のピッキングの棚番(位置)、商品の種類、個数、2番目のピッキングの棚番(位置)、商品の種類、個数、4番目のピッキングの棚番(位置)、商品の種類、個数といった具合に、ピッキングを行う順番が決められており、S2では、未実施の順番において一番若い順番のピッキングに関する棚番、商品の種類、個数を表示する。例えば、S1の実行直後であれば、S2では、1番目のピッキングの棚番(作業エリアでの位置)、商品の種類、個数を表示することになる。また、既に1番目のピッキングが行われている場合には、S2では、2番目のピッキングの棚番(作業エリアでの位置)、商品の種類、個数を表示することになる。なお、棚番とは、ピッキングすべき商品が収容されている棚を識別する番号であり、棚番が特定されれば、その棚の位置が特定されるようになっている。なお、ここでは、伝票別ピッキングデータに含まれるすべてのピッキング作業の内容(全ての順番のピッキング作業の内容)をS1に応じてサーバ50から一括して送信する例を示しているが、S1の処理直後に伝票別ピッキングデータにおける1番目のピッキングの棚番)、商品の種類、個数等を読取装置10に送信し、S5で各順番のピッキング作業が終わる毎に次の順番のピッキング作業の内容をサーバ50から送信するようにしてもよい。
S2の後には、作業者は、S2の処理で液晶表示器46に表示された指示に従って、指示された棚番で特定される棚(指示棚)の近くまで移動することになる。例えば、図6のように破線の外形で囲まれるような作業エリア(AR1〜AR12のエリア)が設定される場合において、作業エリア内の任意の位置(例えば原点位置P)でS1の読み取りを行った場合、サーバ50からの指示データに含まれるピッキングデータにおいて1番目のピッキングの棚番で特定される棚が棚61であるときには、S2の表示において棚61の棚番が表示され、この場合、作業者はS2の後にこの棚61に移動することになる。また、2番目のピッキングの棚番で特定される棚が棚62であるときには、1番目のピッキングが終わった後のS2の表示では棚62の棚番が表示され、この場合、S2の後に作業者はこの棚62に移動することになる。商品が収容される棚は、例えば図7のような構成となっており、この棚には、情報コード(棚コード)が付されている。なお、図7では、棚62と棚62に付された情報コードC2(棚コード)の例を図示している。棚に付された情報コード(棚コード)には、その情報コードが付された棚の作業エリア(AR1〜AR12のエリア)内での位置情報が記録されている。例えば、棚61に付された情報コードC1には、棚61の作業エリア内での位置が記録されており、棚62に付された情報コードC2には、棚62の作業エリア内での位置が記録されている。
なお、棚に付される情報コード(棚コード)に記録される位置情報としては、各情報コードの位置の詳細な緯度及び経度を各情報コード(棚コード)に記録してもよく、図6のように、作業エリア内の各位置をXY座標系で特定し、このようなXY座標系での各情報コード(棚コード)のX座標値及びY座標値を各情報コードに記録してもよい。図6の例では、作業エリア(AR1〜AR12のエリア)において鉛直方向と直交する所定方向(例えば南北方向)をX方向とし、鉛直方向及びX方向と直交する方向(例えば東西方向)をY方向としている。そして、作業エリアの所定位置Pを原点としている。このような座標系では、例えば各情報コード(棚コード)における原点からのX方向の実際の距離をX座標値とし、原点からのY方向の実際の距離をY座標値とすればよい。この場合、情報コードC1には、原点Pから情報コードC1までのX方向の距離がX座標値として記録され、原点Pから情報コードC1までのY方向の距離がY座標値として記録されることになる。同様に、情報コードC2には、原点Pから情報コードC2までのX方向の距離がX座標値として記録され、原点Pから情報コードC2までのY方向の距離がY座標値として記録されることになる。なお、図6では、各情報コードや作業エリアを模式的に示しているが、実際は作業エリアの大きさに対して情報コードの大きさが無視できる程度に十分小さくなる。
また、本構成では、S1の処理が行われた後、読取装置10の位置データが所定の短時間毎に定期的に生成されるようになっている。ここで、読取装置10で行われる位置データの生成処理について説明する。まず、制御回路40は、三軸センサ43によって検出される各方向の検出値(α、β、γ軸方向の各加速度)に基づき、公知の方法で鉛直方向の向きを特定できるようになっている。そして、このように特定される鉛直方向と直交する平面方向を水平方向とする。例えば、読取装置10の三軸センサ43の位置をA1とした場合、位置A1での鉛直方向の向き(例えば、読取装置10の長手方向に対する鉛直方向の向き)が特定されるため、位置A1での水平面S(鉛直方向と直交する平面)の向きも特定される。このように、読取装置10では、常に位置A1を通る水平面の向きが特定されるようになっており、上述した地磁気センサによって位置A1での絶対方位(位置A1からの北方向、南方向、東方向、西方向の向きなど)がそれぞれ特定されるようになっている。このような構成では、読取装置10を所持する作業者が所定の短時間においてある方向に所定量移動した場合、その移動での水平方向の移動の向き(読取装置10が移動した方位)F1が特定され、その方位F1での加速度成分を検出することにより水平方向の移動量(方位F1での移動量)も特定される。具体的には例えば、読取装置10では、所定の時間間隔(例えば1秒間隔)で加速度が検出される構成となっており、検出された加速度を前記時間間隔ごとに積分演算することで前記時間間隔ごとの移動距離を導出することができる。例えば、所定の短時間(時刻t0から時刻t1)での移動方位が図5に示すF1であり、時刻t0での位置(例えばXY座標での位置)が特定されており、時刻t0から時刻t1でのF1方向の平均加速度がαであれば、時刻t0でのF1方向の速度と、時刻t0から時刻t1までの時間と、加速度αによってF1方向の移動距離が定まるため、時刻t0での位置が既知であれば時刻t1での位置(例えばXY座標での位置)も特定することができる。このように、所定の時間間隔(例えば1秒間隔)毎に移動方位及び移動距離をそれぞれ特定し、所定の時間間隔経過毎の位置を特定したデータ(位置データ)を取得できるようになっている。なお、読取装置10の位置データを生成する際の読取装置10の初期位置は予め決められた既知の位置(図6の原点位置Pや、後述する情報コード(棚コード)が付された棚の位置)とすればよい。例えば原点位置PでS1の操作を行うことを前提とすれば、S1の読取処理が行われた原点位置(X0,Y0)を基点位置として、以後に読取装置10が移動する各位置の情報を生成することができる。或いは、S1の処理においていずれかの棚に付された情報コード(棚コード)を読み取ることを前提とすれば、S1の処理において情報コード(棚コード)が読まれた位置(棚コードに記録された位置情報で特定される位置)を基点位置として以後に読取装置10が移動する各位置の情報を生成することができる。
例えば、図8の例では、読取装置10の時間t毎の水平方向での移動位置をPa〜Piでそれぞれ示しており、例えば位置Paでの水平方向の移動の向き(方位)及び水平方向の加速度成分によって位置Paからの時間t後の水平方向の位置(位置Pb)を特定でき、同様に、位置Pbでの水平方向の移動の向き及び水平方向の加速度成分によって位置Pbからの時間t後の水平方向の位置(位置Pc)を特定できるようになっている。このようなデータを時間t毎に生成することで、読取装置10の水平方向の移動軌跡を生成できる。また、図8のような読取装置10の水平方向の移動軌跡データを生成する場合、移動軌跡上のいずれか複数位置又は全ての位置の各位置データと、読取装置10が各位置データの位置にいたときの時刻のデータとを対応付けて記憶することが望ましく、少なくとも、S4で情報コード(棚コード)を読み取った時の読取装置10の位置(移動軌跡上の位置)とその読取時刻とを対応付けて記憶しておくことが望ましい。例えば、図8の情報コードC(棚コード)の読み取りが行われたときの位置Pgの位置データ(移動軌跡情報で特定されるデータ)と、その位置Pgにいたときの時刻(読み取りが行われた時刻)とを対応付けて記憶すればよい。このように、S1での処理後には、読取装置10の水平方向の移動経路が生成されるようになっており、このように生成される情報は、メモリ35に順次記憶されるようになっている。
一方、S2で指示表示がなされた後にその指示で表示された棚番の棚(指示棚)に作業者が移動し(S3)、この作業者が読取装置10を操作して指示棚に形成されている情報コード(棚コード)を読み取った場合(S4)、読取装置10は、読み取った情報コード(棚コード)に記憶されている情報を取得する。この情報コード(棚コード)には、当該情報コードの位置を示す位置情報(例えば、当該情報コードが付された棚の位置を示すX座標値及びY座標値、或いは当該棚の詳細な緯度及び経度など)が記録されており、読取装置10は、当該情報コード(棚コード)を読み取った場合、当該情報コードに記録された位置情報と、その読み取った時刻とを対応付けてメモリ35に記憶する。このように記憶されるため、メモリ35に記憶された情報(移動経路情報)を参照すれば、読取装置10が当該情報コードの位置情報で特定される位置に、当該情報コードの読み取り時刻にいたことを特定できる。
S4の処理の後、S4で読み取った情報コードが付された棚から作業者がS2の指示表示に従って商品のピッキングを行う場合、そのピッキングと共に商品の情報コードの読み取り等を行い、ピッキング実績データを生成することになる。このピッキング実績データは、S4で読み取られた情報コードが付された棚から持ち出された商品を特定する情報(例えば商品名など)と、その情報で特定される商品の持ち出し数とが含まれており、例えば、棚から持ち出された商品を特定する情報は、作業者が持ち出す商品に付された情報コード(商品コード)を読み取ることで取得される。また、その棚から持ち出された商品の数は、例えば作業者が操作スイッチ42を操作して入力してもよく、持ち出した全ての商品の情報コードを読み取るようにして、商品コードの読み取り数を持ち出された商品の数としてもよい。具体的には例えば、S4で棚コードを読み取った棚から商品AがX個持ち出された場合、商品Aに付された情報コード(商品コード)が読取装置10で読み取られたときに読取装置10は、「商品A」の情報を取得し、作業者が操作スイッチ42にて「X個」という数量データを入力した場合に「X個」という数量情報が取得される。そして、このような「商品A、X個」のデータをサーバ30に送信する。これにより、サーバ30は、商品AのX個のピッキングが終わったことを把握できる。
S5での読み取りによって1つの棚(S3で移動した棚)でのピッキング作業が終わると、サーバはS5で送信されたピッキング実績データを記録部52に記録する。一方、読取装置10は、S5の後に作業終了か否かを判断する(S6)。本構成では、伝票別ピッキングデータの一括送信或いは各伝票での各ピッキングデータの逐次の送信により、読取装置10は、S1で読み取った伝票で対応付けられた1又は複数のピッキング作業の各順番(即ち、移動すべき棚の順番)を把握できるようになっており、S6では、S1で読み取った伝票コードに対応する伝票において未実施のピッキング作業が存在するか(即ち、伝票別ピッキングデータで登録された棚番の中で未だ作業を行っていない棚が存在するか否か)を判断する。そして、未実施のピッキング作業が存在する場合にはS2に戻って順番が最も若いピッキング作業の情報を表示する。この場合、未実施のピッキング作業に関してS2以降の処理が行われると共に併せて読取装置10の移動経路情報が生成されることになる。一方、S6において未実施のピッキング作業が存在しないと判断される場合には、S6にてYesに進み、伝票の読み取りを終了するか否かを判断する(S7)。
S7では、例えば作業者が読取装置10の操作スイッチ42に対して所定の終了操作を行った場合に伝票読取の終了と判断してもよく、作業者が電源スイッチ41のオフ操作を行った場合に伝票読取の終了と判断してもよい。S7において伝票読取の終了と判断されない場合はS1以降の処理を繰り返す。この場合、作業者はS1にて新たな伝票を読み取ることになる。一方、S7で伝票読取の終了と判断した場合は、S7にてYesに進み、読取装置10は、S1の処理以降にメモリ35に保存された位置データログ(読取装置10が移動した各位置を特定する情報)と、S4の処理でメモリ35に保存した棚コード読み取りログ(S4の処理が行われる毎に記録される各情報コード(棚コード)の位置情報と各情報コードの読取時刻)とをサーバ50に送信し(S8)、読取装置10は図4に示す生成処理を終了する。なお、電源スイッチ41のオフ動作がなされたときにS7において読み取り作業終了と判断する場合、読取装置10の電源がオフされる直前や、所定の時間経過後に読取装置10の電源が一時的にオンして、位置データログ及び棚コード読み取りログをサーバ50に送信する構成としてS8の処理を行ってもよい。そして、サーバ50は、S8の処理で送信されたデータ(位置データログ及び棚コード読み取りログ)の受信内容を記録部52に記録し、これらの情報に基づいて移動経路情報(補正された移動経路情報)を生成する処理を行う。なお、S8で送信される移動経路情報(位置データログ)は、伝票毎に移動経路情報がまとめられているとよい。例えば、S1の読み取りからS6でYesに進むまでの移動経路情報を伝票に対応する一つの移動経路情報とし、このような移動経路情報が伝票毎にまとめられているとよい。
ここで、サーバ50で行われる移動経路情報の生成処理(補正処理)について説明する。なお、本構成では、読取装置10の制御回路40が「移動経路情報生成部」の一例に相当しており、上述したように、地磁気センサ44による絶対方位の測定結果と、三軸センサ43による複数方向の加速度の測定結果と、計時部45による時間の計測結果とに基づき、既知の基点位置からの当該読取装置10の移動経路情報を生成するように機能している。また、撮像部によって複数の位置の情報コード(棚コード)が撮像され、解読部により、それらの情報コードがそれぞれ解読された場合に、移動経路情報生成部として機能する制御回路40は、移動経路情報として、読取装置10がそれら複数の位置の情報コードに順次移動する際のコード間移動経路を生成する。例えば図6の例では、受光センサ23(撮像部)によって複数の位置の情報コードC1,C2が撮像され、制御回路40(解読部)により、それらの情報コードC1,C2がそれぞれ解読された場合に、移動経路情報として、読取装置10がそれら複数の位置の情報コードC1,C2に順次移動する際のコード間移動経路(読取装置10が情報コードC1の読み取り位置から情報コードC2の読み取り位置に移動する際の短時間毎の各移動位置を特定する情報)を生成するように機能する。また、情報コードC2の後に別の情報コードC3(棚コード)が解読される場合には、同様にコード間移動経路(読取装置10が情報コードC2の読み取り位置から情報コードC3の読み取り位置に移動する際の短時間毎の各移動位置を特定する情報)を生成するように機能する。そして、このように生成された移動経路情報が「位置データログ」としてサーバ50に送られるようになっている。
具体的には、サーバ50は、所定条件成立時(例えばS8で送信されたデータを受信した時、或いはS8で送信されたデータを受信した後にユーザによって所定操作が行われた時など)に所定のプログラム(位置情報ソフト)を実行する。そして、読取装置10がS8の処理で送信した位置データログに基づいて補正情報(読取装置10の移動経路情報を補正した情報)を生成する。上述したように、読取装置10で生成された位置データログ(移動経路情報)は、所定の計時時間(例えば1秒)ごとの読取装置10の位置を特定するデータである。このデータは、例えば、既知の基点位置(例えば、上述した原点位置Pや情報コード(棚コード)の位置)からの当該読取装置10の各移動位置が、例えば位置Pを原点とする2次元座標(X、Y)のX座標値及びY座標値で表されている。そして、各移動位置には、各移動位置に読取装置10がいたときの時間情報(時刻等)が対応付けられている。なお、図8には、このような位置データログの各移動位置のデータによって特定される各移動位置を各点Pa〜Piによって概念的に示しており、更に各点Pa〜Piに対して時刻等がそれぞれ対応付けられている。
このように、本構成では地磁気センサ44と三軸センサ43に基づいて読取装置10の移動経路を特定することができ、移動経路の生成を自律方式で行うことができる。但し、このような方式を用いると、移動経路の生成が進むにつれて、生成された移動経路が実際の位置からずれてしまうことが懸念される。そこで、本構成では、予め備えられた情報コードCを撮像及び解読し、その情報コードC内に記録されている位置情報(当該情報コードの位置を示す情報)に基づいて移動経路情報を補正している。
ここで、サーバ50で行われる移動経路情報の補正処理について説明する。
例えば、読取装置10からの位置データログ(移動経路情報)によって図8のような各移動位置が特定される場合において、各移動位置を通ったいずれかの時刻で情報コードCを読み取った場合を考える。図8の例は、棚コード読み取りログとして、情報コードCの位置情報(当該情報コードCに記録されている当該情報コードCの位置PαのX座標値X1及びY座標値Y1)と共に情報コードCを読み取った読取時刻が対応付けられて記憶される例であり、この場合、位置データログ(移動経路情報)には、情報コードCを読み取った時点での位置PgのX座標値Xa及びY座標値Yaも記憶されている。このような例では、例えば位置データログの移動経路情報において、位置Pgの位置(Xa,Ya)を位置Pαの位置(X1,Y1)に変更するように補正すればよい(図8の二点鎖線参照)。また、このように、位置Pgの位置を位置Pαの位置に補正する場合、PgからPαへのX軸方向の増加量(X1−Xa)及びY軸方向の増加量(Y1−Ya)を補正値として求め、位置Pg以降の各位置(位置Ph,Pi・・・)のX座標値、Y座標値に対し上記補正値(PgからPαへのX軸方向の増加量及びY軸方向の増加量)を加えるようにPgより後の各移動位置を全体的にシフトさせるようにしてもよい(図8のPh’,Pi’・・・及び破線等参照)。また、このように情報コード(棚コード)による補正位置が複数存在する場合、移動経路情報の先の方から図8のような情報コード位置への補正及び当該補正位置以降の各移動位置のシフトを行い、このような補正後の各移動位置の情報を新たな移動経路情報とした上で、次の情報コード(棚コード)による補正位置において当該新たな移動経路情報に対し、図8と同様に、次の情報コード位置への補正及び当該補正位置以降の各移動位置のシフトを行うようにすればよい。
なお、本構成では、上述したような補正処理がサーバ50のCPU51によって行われるようになっており、このCPU51は、補正部の一例に相当し、情報コードCが撮像部によって撮像され、当該情報コードCが解読部によって解読された場合に、移動経路情報生成部によって生成された移動経路情報を、解読部によって解読された位置情報(情報コードに記録される位置データ)に基づいて補正するように機能する。
また、図6のように、解読部が複数の位置の情報コードC1,C2を解読することで、棚コード読み取りログに複数の情報コードC1,C2の読取情報(位置情報)と各情報コードC1,C2の読取時刻(図6の例では、08:45:32と、08:45:48)とが記録されている場合、補正部に相当するCPU51は、これら複数の情報コードの読取情報(位置情報)と各情報コードの読取時刻とに基づいて、コード間移動経路を補正するように機能する。例えば、情報コードC1を読み取った時点での位置(移動経路情報として生成された位置)を、情報コードC1に記録された位置情報で特定される位置に変更するように補正する。また、情報コードC1を読み取った時点での位置(移動経路情報として生成された位置)から情報コードC1に記録された位置情報で特定される位置へ変更する際のX軸方向の増加量及びY軸方向の増加量を補正値として求め、移動経路情報において情報コードC1の読取時よりも後の全ての各移動位置を、それらX軸方向の増加量及びY軸方向の増加量に合わせてシフトする。更にそのようにシフトされた移動経路情報において、情報コードC2を読み取った時点での位置(移動経路情報として生成され、上述のシフトによって補正された位置)を、情報コードC2に記録された位置情報で特定される位置に変更するように補正する。そして、情報コードC2を読み取った時点での位置(移動経路情報として生成され、上述のシフトによって補正された位置)から情報コードC2に記録された位置情報で特定される位置へ変更する際のX軸方向の増加量及びY軸方向の増加量を補正値として求め、移動経路情報において情報コードC2の読取時よりも後の全ての各移動位置を、それらX軸方向の増加量及びY軸方向の増加量に合わせて更にシフトする。
また、補正後の移動経路情報は、位置データログで特定される各移動位置(図8では、Pa〜Pi)を補正した補正後の各移動位置のデータ(図8に示す位置Pa〜Pα、Ph’,Pi’を特定するデータ)であってもよく、これらの補正後の各移動位置のデータを公知の補間方法で補間データを追加したものであってもよい。例えば、補正後の各移動位置において隣接する移動位置間を線形補間によって補間してもよく、所定数の移動位置毎に二次式などの近似式によって補間してもよい。そして、このように生成された補正後の移動経路情報は、例えばサーバ50の記録部52に記録してその後に利用できるようにすることが望ましい。この場合、記録部52は、移動経路情報生成部によって生成され、補正部によって補正された移動経路情報を記録するように機能する。また、補正後の移動経路情報に基づき、図6或いは図8のような情報を表示部53で表示できるようにしてもよい。例えば、図6の例では、補正された移動経路情報を基に、物流倉庫内の構成(例えば、棚の配置等)の仮想的な表示に組み合わせて、読取装置10の移動経路の線又は点を表示している。
このように、本構成では、情報コードCの予め正確な位置を確認しておき、その位置情報を情報コードC内に記録しておくことができるため、このようにすることで、情報コードCの高精度な位置情報に基づいて移動経路情報をより正確に補正することができる。
更に、本実施形態の読取装置10では、当該読取装置10の移動において、歩数検出部47によって生成される歩数情報に基づいて、所定の開始位置から所定の終了位置までの当該読取装置10を所持した所持者の歩数を検出している。具体的には例えば、読取装置10が当該読取装置10の位置データを生成する際の初期位置となる上述の既知の位置(図6の原点位置Pや、後述する情報コード(棚コード)が付された棚の位置)を所定の開始位置とする。また、読取装置10が当該読取装置10の位置データを生成する際の終了位置(例えば、S7でYesに進む時点での位置)を所定の終了位置とする。この場合、S1で読み取りが行われ移動経路情報の生成が開始される時点から、S7で終了と判断され、移動経路情報の生成が終了する時点までの歩数を、歩数計として構成される歩数検出部47により生成することになる。そして、このように生成された歩数情報は、S8にて位置データログ等と共にサーバ50に送信されることが望ましく、この場合、サーバ50は、S1で読み取りを行った伝票の伝票番号と対応付けて、位置データログ、棚コード読み取りログと共に歩数情報を記録部52に記録すればよい。
なお、歩数情報は、S1での読み取りからS7でYesに進む場合の作業終了までの総歩数(読取装置10を所持する所持者の総歩数)だけでなく、伝票毎に生成されてもよい。例えば、S1の読み取りからS6でYesに進むまでの処理が行われる毎(即ち、伝票毎)の歩数を生成し、その間に生成された移動経路と対応付けてログとして残し、伝票別の移動経路情報と歩数との組合せデータをS8にてサーバ50に送信するようにしてもよい。この場合、例えば、S1で読み取られた伝票に関し、S1の読み取りからS4で最初の情報コード(棚コード)を読み取るまでの歩数(読取装置10を所持する所持者の歩数)を計測して当該伝票の上記歩数情報に含めるようにしてもよい。或いは、S1で読み取られた伝票に関し、複数の情報コード(棚コード)の読み取りが行われる場合には、S4にていずれかの情報コード(棚コード)の読み取りが行われる時点から次のS4にて次の情報コード(棚コード)の読み取りが行われるまでのコード間の歩数(読取装置10を所持する所持者の歩数)を計測して当該伝票の上記歩数情報に含めるようにしてもよい。
このようにすれば、伝票毎の作業において作業者が実際に歩いた歩数を把握することができ、例えば作業者の移動が効率的であるか否か等を判断する材料となる。なお、本構成では、歩数検出部47と制御回路40が「歩数検出部」の一例に相当し、移動経路情報生成部で生成される移動経路情報によって特定可能な所定の開始位置から所定の終了位置までの読取装置10を所持した所持者の歩数を検出するように機能する。
また、本実施形態の読取装置10では、上述のS1の処理以降にS7でYesに進むまでに生成される移動経路情報で特定される移動経路が、予め定められた移動許容エリア外となる場合に、報知部48によって所定の報知を行うように構成されている。具体的には例えば、S1の処理が行われた後、読取装置10において所定の短時間毎に定期的に生成される当該読取装置10の各移動位置のデータ(例えば各移動位置のX座標値、Y座標値)が、予め定められた移動禁止エリアとなる場合に、報知部48によって警告音などを発するようになっている。例えば、図6の例では、AR1〜AR12の領域の外側及びAR10の領域内のAR13内の領域が移動禁止エリアとして定められており、上述のXY座標系において、この移動禁止エリア(例えば、立ち入り禁止区域、危険区域、セキュリティエリア等)の位置が特定されるようになっている。例えば、AR13は、Y軸方向においてYα以上且つYβ以下の領域となっており、X軸方向においてXα以上且つXβ以下の領域となっている。このように移動禁止エリアが定められる場合、例えば、短時間毎に定期的に生成される当該読取装置10の各移動位置のデータにおいて、この移動禁止エリア内の移動位置のデータが発生した時点で報知部48によって警告音などを発するようにすればよい。
この構成によれば、読取装置10の移動経路が移動許容範囲を超える場合に、その旨を知らしめることができ、その報知を受けた者は移動者の移動に応じた対応を取り易くなる。例えば、規則に従った移動を義務付けられている者に対しては、規則通りに移動するように促すことができる。
なお、上述した例では、棚に付された情報コード(棚コード)にその情報コードの位置を特定する位置情報が記録された例を示したが、位置情報だけでなく、その棚に関連する属性を併せて記録しておくようにしてもよい。例えば、棚に付された情報コード(棚コード)内に、その棚の番号(棚番号)、その棚が配置される部屋番号やフロア名、その棚が配置される建物名、その棚が配置されるエリアで営業を行う主体(テナント名や企業名)などの固有情報を記録しておいてもよい。或いは、その棚に収容された物品名(ピックアップ対象となる商品名等)を特定する情報などを固有情報として記録しておいてもよい。この場合、図4のS4において情報コード(棚コード)が読み取られる毎に、その情報コード(棚コード)に記録された位置情報と固有情報とを対応付けてログとしてメモリ35に記録しておき、このようにメモリ35に記録された棚毎のログ(棚毎の位置情報及び固有情報)をS8において棚コード読み取りログとしてサーバ50に送信するようにすればよい。この場合、上述したようにサーバ50で移動経路情報の補正情報を生成する際に、補正後の移動経路情報において、移動経路上での各情報コード(棚コード)の位置情報(例えば、図8の例では、位置Pαの位置情報)と各情報コードに記録された固有情報(例えば、図8の例では、情報コードCに記録された固有情報)とを対応付けた情報(対応データ)を含ませるようにすればよい。つまり、移動経路上のどの位置でどのような固有情報が得られたかを特定できるようにすることで、より有用な解析を行い易くなる。
(移動経路情報の分析方法)
次に、移動経路情報の分析方法について説明する。
例えば、ピッキング経路が同一の伝票に対して複数行われる図4の処理に基づいて、上述した移動経路情報(補正後の移動経路情報)をそれぞれ求め、それら移動経路情報で特定される作業時間(S1での移動経路情報の生成開始からS8での生成終了までの経過時間)の平均値を求めて記録部52に記録しておくことで、同一のピッキング作業の平均時間を把握することができる。そして、この方法によれば、平均値よりも作業時間が長い作業者や平均値よりも作業時間が短い作業者を特定することも可能となり、作業者ごとの効率性を判断する目安を得ることができる。
また、サーバ50に蓄積される複数の移動経路情報(補正後の移動経路情報)から同一の作業者の移動経路情報を抽出し、それら移動経路情報で特定される作業時間(S1での移動経路情報の生成開始からS8での生成終了までの経過時間)の平均値を求めることで、作業者毎の平均時間を把握することもできる。
また、ピッキング経路が同一の伝票に対して複数行われる図4の処理に基づいて、上述した移動経路情報(補正後の移動経路情報)をそれぞれ求め、各移動経路情報で特定される移動のパターンを個別に評価してパターン分けしてもよい。例えば、図6のように物流倉庫内を複数の領域(図6では、AR1〜AR12)に分割して、移動経路情報毎に、各移動経路情報で特定される移動経路が通過する領域のパターンを分類してもよい。例えば、図6の例では、棚61、棚62でのピッキングを行う場合に、位置Pを開始位置として、移動経路がAR3、AR2、AR1、AR4、AR5、AR4、AR7、AR8、AR9、AR12の順に通っており、このようなパターンを第1パターンとする。また、同様のピッキング作業で得られた各移動経路情報で特定される各移動経路が通る領域のパターンがこれと同じ場合には、同様に第1パターンとし、これと異なる場合には、パターン毎に別のパターンとして分類する。このような分類において、第1パターンとして分類される移動経路情報をサーバ50から抽出し、その抽出された各移動経路情報で特定される各作業時間(S1での移動経路情報の生成開始からS8での生成終了までの経過時間)の平均値を求めて記録部52に記録しておくことで、第1パターンでの平均作業時間を求めることができる。同様に、移動経路情報をサーバ50からパターン毎に抽出し、その抽出されたパターン毎の各移動経路情報で特定される作業時間(S1での移動経路情報の生成開始からS8での生成終了までの経過時間)のパターン毎の平均値を求めて記録部52に記録しておくことで、パターン毎の平均作業時間を求めることができる。このようにすれば、どのパターンの作業時間が短いか或いは長いかを評価しやすくなり、効率的な移動経路を定量的に把握しやすくなる。
[第2実施形態]
以下、本発明を具現化した第2実施形態について説明する。
第2実施形態は、携帯型情報コード読取装置10が取得したデータのサーバ50への送信がリアルタイムで行われる点が第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同一である。従って、第1実施形態と同一の構成については第1実施形態と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。また、適宜図1〜図8を参照することとする。
携帯型情報コード読取装置10及びサーバ50の構成は第1実施形態と同様である。そして、第1実施形態と同様に、情報コード利用システム1は、読取装置10が取得したデータに基づいて、読取装置10の移動経路情報を生成し、さらに当該移動経路情報を補正するように構成されている。
次に、本実施形態のシステムで行われる生成処理について、図9に示すフローチャート等を用いて説明する。第1実施形態の例では、図4のS1の処理以降、S7の処理が終わるまでの間に移動経路情報を生成し続け、その後のS8の処理で移動経路情報(位置データログ)を一括して送信していたが、図9の例では、S8の処理を省略し、S11以降に生成される移動経路情報(位置データログ)を定期的或いは所定処理時に少しずつサーバ50に送信している。また、棚に付された情報コード(棚コード)の記録内容については、S14の処理毎にサーバ50に送信している。第2実施形態のシステムは、これら2つの相違点以外は第1実施形態と同一である。
なお、この例でも、サーバ50には第1実施形態と同様の情報(位置データログ及び棚コード読み取りログ)が蓄積されることになる。これらのログに基づいて移動経路情報を補正する方法は第1実施形態と同様としてもよい。即ち、S17でYesに進むまでの全ての位置データログ及び棚コード読み取りログを取得し終わってから第1実施形態と同様に移動経路情報を補正するようにしてもよい。或いは、移動経路情報については、読取装置10から位置データ(読取装置10が移動したときの各位置を特定するデータ)が送信される度にサーバ50側でそのデータを取得して順次新たな移動経路情報に更新し、更に、S14で情報コード(棚コード)に記録された情報が送信される毎に、その情報を用いて移動経路情報を補正するように更新してもよい。
このような第2実施形態の構成でも、第1実施形態と同様の効果が得られる。更にこの構成では、サーバ50側で読取装置10の位置をリアルタイムで把握可能となる。また、この例でも、第1実施形態と同様の方法で予め移動許容エリアと移動禁止エリアとを定めておき、そのエリア情報を読取装置10だけでなくサーバ50側にも記録しておくことができる。この場合、サーバ50側で逐次更新される移動経路情報で特定される移動経路が移動禁止エリアに入り込んだ時点でサーバ50の表示部53にてエラーメッセージを表示したり、図示しないブザーやスピーカによって警告音を発するようにしてもよい。このようにすれば、サーバ50側で早期に適切な対応(例えばオペレータが現場に行く等の対応)をとりやすくなる。なお、この例では、これら表示部53、ブザー、スピーカなどが報知部に相当する。
また、このような第2実施形態の情報コード利用システム1を、物流倉庫だけではなく、スーパーマーケットや、ショッピングセンター等の商品の販売店舗に適用する場合には、例えば読取装置10を消費者に貸与すると共に、商品を陳列する棚に上述の情報コード(棚コード)を付しておくようにすればよい。この場合、読取装置10の移動経路情報を上述した例と同様の方法でリアルタイムに生成し、消費者が情報コード(棚コード)を読み取ったときにその情報コードに記録される位置情報に基づいて上述した例と同様の方法で移動経路情報をリアルタイムに補正すればよい。更にこの場合、消費者の移動に応じてリアルタイムに読取装置10に商品情報などを表示させて、消費者の行動に動機付けを与えることができる。例えば読取装置10の位置をリアルタイムに特定し、その位置付近でのイベントやセール情報などを表示したり、その位置付近に存在する化粧室や授乳室などの施設情報を表示するようにしてもよい。
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
上記実施形態では、解読部、計時部が読取装置10に設けられた構成を例示したが、これらはサーバ30に設けられていてもよい。この場合、情報コード(棚コードや商品コード)の撮像画像を読取装置10からサーバ30に送信し、サーバ30側で情報コードを解読すればよい。また、この場合、サーバ30側で時刻情報を生成する構成とし、読取装置10から情報コードの撮像画像が送られてきた時刻を情報コードの読取時刻とすればよい。また、加速度センサでの各軸の検出値及び地磁気センサでの検出値を読取装置10からサーバ30にリアルタイムに送信し、この情報に基づいて読取装置10が移動したときの各移動位置の情報を生成するようにしてもよい。この場合、サーバ30のCPU51が「移動経路情報生成部」として機能することになる。
上記第1、第2実施形態では、サーバ50のCPU51が「補正部」の一例に相当し、読取装置10が生成した移動経路情報を補正する構成となっていたが、読取装置10の制御回路40が「補正部」として機能してもよい。この場合、第1実施形態等でサーバ50で行われる補正処理を全て読取装置10で行えばよい。また、このように読取装置10で補正された移動経路情報を読取装置10内のメモリ35に記録してもよい。この場合、メモリ35が記録部、処理部として機能する。また、このように読取装置10の制御回路40を「補正部」として機能させる場合、生成された補正後の移動経路情報を外部装置(例えばサーバ50など)に送信するように出力してもよく、図6、図8のように移動経路情報に基づいて移動経路を可視化した画像を読取装置10の表示部(液晶表示器46等)に表示するようにしてもよい。或いは、補正後の移動経路情報のデータや補正後の移動経路を可視化した画像などを印刷装置などによって印刷するように出力してもよい。
上記第1、第2実施形態では、物流倉庫内で携帯型情報コード読取装置10を携帯する作業者が出荷指示に従って商品のピッキング作業を行う構成に適用される情報コード利用システム1を例示したが、その他の構成に当該情報コード利用システム1を適用してもよい。例えば、スーパーマーケットや、ショッピングセンター等の商品の販売店舗において、商品棚に棚コードが付してあり、消費者が購入する商品に対応する棚コードを読取装置10で読み取る構成に情報コード利用システム1を適用してもよい。このような構成によって、消費者の移動経路情報を取得することができ、さらに棚コードの位置情報に基づいて移動経路情報の高精度な補正を行うことができる。また、棚コードに棚コードの位置情報と共に商品に関する固有情報を記録させておくことで、効率的な商品購入を行うことができる。例えば、棚コードの固有情報として商品の値段が含まれる構成とすることで、移動経路情報の補正を行いつつ、会計処理の一部も同時に行うことで、レジにおける会計処理の手間を省くことができる。また、棚コードの固有情報として商品内容の情報や、その商品に関連する商品の位置情報などが含まれる構成とし、液晶表示器46にこれらの情報を表示する構成とすることで、消費者に購入の動機付けを与えたり、効率的な移動経路を知らせることができる。
上記実施形態では、報知部48の例としてブザーやスピーカなどを例示したが、液晶表示器46などの表示部が報知部として機能してもよい。