JP6726386B2 - ガスケット - Google Patents
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Description
そして、エキゾーストマニホールドのフランジ部とシリンダヘッドとの間に介在されてそれらの間のシールを維持するエキゾーストマニホールド用のガスケットは知られており(例えば特許文献3)、また、EGR装置のフランジ部とシリンダヘッドとの間に介在されて、それらの間のシールを維持するEGR装置用のガスケットも知られている(例えば特許文献4)。
上記シリンダヘッドの側壁における第1突出平坦部と第2突出平坦部とは離隔して、それらの間に空間部が形成されており、
上記第1シール部と第2シール部との接続部に上記空間部の位置に合わせて境界部分を形成し、当該境界部分に、隣り合う位置となる排気用穴と吸入用穴とを結ぶ直線と交差する方向の細長いスリットが形成されており、該スリットの長手方向の両端の隣接箇所は亀裂許容部として構成されていることを特徴とするものである。
また、ガスケットをシリンダヘッドに取り付けた後において、ガスケットが長手方向において熱膨張と収縮が繰り返されると、上記空間部の位置となる境界部分に内部応力が集中する。その際、境界部分には上記スリット及び亀裂許容部が形成されているので、上記スリットにより内部応力を吸収できるとともに、当該スリットがあることにより、亀裂が生じる方向を亀裂許容部へ誘導して該亀裂許容部に亀裂が生じることになる。つまり、亀裂が生じる方向は第1ビード部及び第2ビード部へ向かわないので、それら両ビード部にひびや損傷が生じることを抑制することができる。しかも、亀裂許容部に亀裂が生じて、境界部分において第1シール部と第2シール部が完全に分離した状態となっても、第1シール部の第1ビード部及び第2シール部の第2ビード部にひびや損傷が生じない。
そのため、エキゾーストマニホールド用とEGR(排気ガス再循環)装置用とが一体となったガスケットでありながら、シール性が良好なガスケットを提供できる。
シリンダヘッド1の側壁1Aには台形状の第1突出平坦部1aが形成されるとともに、その隣接位置に略円形をした第2突出平坦部1bが形成されている。両突出平坦部1a、1bは本来の側壁1Aの表面よりも同一寸法だけ盛り上って形成されている。両突出平坦部1a、1bの表面(シール面)は平坦面となっており、かつ同一平面上に位置している。両突出平坦部1a、1bは離隔させて形成されているので、第1突出平坦部1aの長手方向の一端(図面上の左端)と第2突出平坦部1bとの間には、溝状の空間部1Cが形成されている。
第1突出平坦部1aには、横方向(水平方向)に等ピッチで4か所の排気穴6を開口させてあり、第2突出平坦部1bには、EGR装置4によって還流する排気ガスを導入するための吸入穴7を開口させている。
第1突出平坦部1aには、排気穴6の隣接位置に合計5本の締結ボルト5が千鳥状に配置されている。また、第2突出平坦部1bには、吸入穴7を挟む両側に1対の締結ボルト5が配置されている。両突出平坦部1a、1bの表面(シール面)にガスケット2を装着し、その状態のガスケット2に両フランジ部3A、4Aを当接させてから締結ボルト5で締結するようになっている。
フランジ部3Aは上記第1突出平坦部1aの輪郭に合わせて台形状に形成されており、このフランジ部3Aに、上記各排気穴6の位置に合わせて4本の分岐管3Bの先端が開口している。フランジ部3Aの表面(シール面)は平坦面となっており、フランジ部3Aには、上記第1突出平坦部1aの締結ボルト5の位置に合わせて5か所のボルト穴3Dが穿設されている。
エキゾーストマニホールド3がガスケット2を介して締結ボルト5により第1突出平坦部1aに連結されると、各排気穴6から排出される排気ガスを分岐管3Bと排気管3Cを介して外部へ排出できるようになっている。
次に、EGR装置4は、上記第2突出平坦部1bの形状に合わせたフランジ部4Aと、一端を上記排気管3Cに接続されるとともに他端を上記フランジ部4Aに開口させた回収管4Bとを備えている。フランジ部4Aの表面(シール面)は平坦面となっており、フランジ部4Aには、上記第2突出平坦部1bの締結ボルト5の位置に合わせて、1対のボルト穴4Cが穿設されている。
エキゾーストマニホールド3のフランジ部3Aと、EGR装置4のフランジ部4Aとは分離しているが、それらの表面(シール面)は同一平面上に位置するように構成されている。そして、そのように同一平面上に位置する両フランジ3A、4Aは、上記シリンダヘッド1の両突出平坦部1a、1bの表面(シール面)と対向するようになっている。
本実施例のガスケット2は、同一形状の2枚の金属基板2A、2Bを重合させて構成されており、それらの所要箇所をカシメて上下の金属基板2A、2Bが一体に連結されている。
各排気用穴2Cを囲繞する上下の金属基板2A、2Bの重合位置には、ビード部2a、2bが形成されている(図4)。これらのビード部2a、2bは、半径方向断面で見たときに、内周縁が相互に離隔するように傾斜して形成されている。また、それらと同様に、吸入用穴2Dを囲繞する上下の金属基板2A、2Bの重合位置にビード部2a、2bが形成されている(図5)。
このように、各排気用穴2Cと吸入用穴2Dを囲繞してビード部2a、2bが形成されているので、ガスケット2が両突出平坦部1a、1bと両フランジ部3A、4Aとの間に装着されて挟持された際には、上記ビード部2a、2bが相手材と密着することで、両突出平坦部1a、1bと両フランジ部3A、4Aとののシールが維持されるようになっている。
第1シール部S1には、上記第1突出平坦部1aの締結ボルト5の位置に合わせて合計5か所にボルト穴2Eが穿設されている。これらのボルト穴2Eは、排気用穴2Cを挟んで千鳥状の位置に形成されている。また、第2シール部S2には、上記第2突出平坦部1aの一対の締結ボルト5の位置に合わせて一対のボルト穴2Fが穿設されている。つまり、吸入用穴2Dを挟んで一対のボルト穴2Fが形成されている。
このスリット2Gの長手方向は、ガスケット2全体の長手方向と交差する方向となっている。より詳細には、スリット2Gの長手方向は、境界部分S3を挟んで隣り合う排気用穴2Cと吸入用穴2Dの中心を結ぶ直線と交差する方向となっている。
このスリット2Gの長手方向の両端の隣接箇所が第1シール部S1と第2シール部S2を接続する残留接続部として残されており、それら2か所の残留接続部が亀裂許容部2Hとなっている。
スリット2Gは、細長い三角形状に形成されており、スリット2Gにおける中央側となる最大幅は、ボルト穴2E、2Fの内径よりも少し小さな寸法となっている。また、ガスケット2の長手方向と交差する方向における亀裂許容部2Hの長さは、上記ボルト穴2E、2Fの内径の約半分の寸法となっている。
ガスケット2をシリンダヘッド1の両突出平坦面1a、1bに装着して取り付ける際には、両突出平坦面1a、1bの間の空間部1Cに、ガスケット2の境界部分S3とそこのスリット2G、亀裂許容部2Hが位置するようになっている(図7参照)。
それにより、ガスケット2をシリンダヘッド1に取り付けた後に、両シール部S1、S2の境界部分S3に内部応力が集中すると、スリット2Gによって内部応力を吸収できるとともに、図7に想像線の四角で示す位置、つまり亀裂許容部2Hに亀裂が生じるようになっている。それによって、境界部分S3に内部応力が集中した際に、境界部分S3を挟んで隣り合う位置の排気用穴2C及び吸入用穴2Dのビード部2a、2bにひびや損傷が生じるのを防止できるようになっている。
以上のように、本実施例のガスケット2は、エキゾーストマニホールド3用の第1シール部S1とEGR装置4用の第2シール部S2とが一体になっており、しかも、それらの境界部分S3にスリット2G、亀裂許容部2Hが形成されていることが特徴となっている。
また、シリンダヘッド1へのガスケット2、両フランジ部3A、4Aの取り付け後において、エンジンの作動と停止が繰り返されることにより、ガスケット2は、主に第1突出平坦部1aに装着された第1シール部S1がその長手方向に熱膨張と収縮とが繰り返されることになる。その際に、図3、図6、図7に示すように、EGR装置4用の締結ボルト5が境界部分S3の隣に位置しているため、第1シール部S1の長手方向への弾性変形が拘束されることになる。そのため、空間部1Cに面した境界部分S3に内部応力が集中するが、境界部分S3にはスリット2Gがあることで内部応力が吸収されるとともに、亀裂許容部2Hに亀裂が生じる。そのため、境界部分S3に作用する内部応力によって該境界部分S3に隣接する排気用穴2C、吸入用穴2Dのビード部2a、2bに亀裂が生じたり、損傷することを防止できる。それによって、ガスケット2にシール漏れが生じるのを効果的に抑制することができる。
また、図9はガスケットに関する第3実施例を示したものであり、この第3実施例においては、スリット2Gは、く字形の穴から構成されている。その他の構成は上記第1実施例と同じであり、それと対応する部材に同じ部材番号を付している。このような構成の第2実施例、第3実施例であっても上記第1実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
なお、上記各実施例においては、2枚の金属基板2A、2Bを重合させて上記ガスケット2が構成されているが、3枚以上の金属基板を重合させてガスケットを構成しても良い。
2‥ガスケット 2C‥排気用穴
2D‥吸入用穴 2G‥スリット
2H‥亀裂許容部 3‥エキゾーストマニホールド
4‥EGR(装置) 6‥排気穴
7‥吸入穴 S1‥第1シール部
S2‥第2シール部 S3‥境界部分
Claims (2)
- シリンダヘッドの側壁に形成された第1突出平坦部に形成された複数の排気穴の位置に合わせて穿設された複数の排気用穴を有する第1シール部と、シリンダヘッドの上記側壁に形成された第2突出平坦部に形成されたEGR用の吸入穴の位置に合わせて穿設された吸入用穴を有する第2シール部と、上記各排気用穴を囲繞して上記第1シール部に形成された第1ビード部と、上記吸入用穴を囲繞して第2シール部に形成された第2ビード部とを備え、上記第1シール部と第2シール部とを接続して一体に形成されたガスケットであって、
上記シリンダヘッドの側壁における第1突出平坦部と第2突出平坦部とは離隔して、それらの間に空間部が形成されており、
上記第1シール部と第2シール部との接続部に上記空間部の位置に合わせて境界部分を形成し、当該境界部分に、隣り合う位置となる排気用穴と吸入用穴とを結ぶ直線と交差する方向の細長いスリットが形成されており、該スリットの長手方向の両端の隣接箇所は亀裂許容部として構成されていることを特徴とするガスケット。 - ガスケットは、複数の金属基板を重合させて構成されており、該複数の金属基板の同一位置に上記スリットが形成されており、該スリットの形状は、略三角形、幅広の直線状、又はく字形のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のガスケット。
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