JP6726033B2 - 電流検出装置 - Google Patents
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この絶縁劣化診断装置は、電力ケーブル(4)の一端側及び他端側の遮蔽層に接続されている接地線(5)及び(6)に流れる一端側電流検出値及び他端側電流検出値を所定時間毎に記録し、その記録、電力ケーブル(4)の両端間の距離及び電流伝搬速度に基づいて部分放電が発生している箇所の位置を計算し表示するものである。
そして、部分放電が発生している箇所の位置を正確に計算するためには、一端側電流及び他端側電流の微小な変化を検出することが必要である。
また、特許文献3(特許第5083321号公報)や特許文献4(特許第5756966号公報)に記載されているように、ファラデー効果を利用した光ファイバ電流センサも知られている。
本発明は、光ファイバ電流センサを用いて電流の微小な変化を検出できる電流検出装置を提供することを目的とする。
前記信号処理回路は、前記第1の信号及び前記第2の信号を減算増幅する差動増幅回路と、差動増幅回路の出力値をP、センサ用光ファイバの巻数をn[回]、ベルデ定数をV[rad/A]、所定の定数をRとしたとき次式によって被測定電流値I[A]を演算する電流演算回路を備えていることを特徴とする。
I=P/(n×V×R)
そのため、電力ケーブルや電気機器内部における絶縁劣化状態を常時監視することができるとともに、電力ケーブルや電気機器の交換や修理すべき箇所についての情報を随時得ることができる。
このうち、光ファイバ電流センサ回路は、センサ用光ファイバ1と、光回路部2と、光電変換部3を備えている。
センサ用光ファイバ1の一端5からは直線偏光LIが入射され、他端6で反射された直線偏光LRが一端5から出射して光回路部2に入射するようになっている。
そのため、センサ用光ファイバ1の他端6には直線偏光LIを反射する反射材7が設けてある。
また、センサ用光ファイバ1の一端5から出射される直線偏光LRを第1ファラデー回転子11及びレンズ10を介して偏光分離器9に入射させ、直線偏光LRを常光線L1と異常光線L2に分離して、それぞれを第1光ファイバ8と第2光ファイバ12により伝播し、光電変換部3に送光する。
また、第2光ファイバ12は、シングルモード光ファイバやマルチモード光ファイバ、又は偏波面保持ファイバなどで構成され、一端面が偏光分離器9の近傍又は偏光分離器9と接するように配置される。
そして、直交する二面以外の偏光面で入射した直線偏光は、それぞれのベクトル成分に光強度が分離され、常光線はそのまま透過され、異常光線は平行移動して出射される。
したがって、偏光分離器9は、センサ用光ファイバ1からの直線偏光LRを、相互に直交する常光線L1と異常光線L2とに分離するとともに、光電変換部3から出射される直線偏光LIを透過させる機能を有する。
また、センサ用光ファイバ1の一端5と第1光ファイバ8の一端面は、それぞれの光軸と直交している。
したがって、第1ファラデー回転子11を透過する前の直線偏光LIの偏光面と、第1 ファラデー回転子11を透過した後の直線偏光LRの偏光面は、被測定電流Iの影響を受けない場合、前記ファラデー回転角の2倍回転し、合計で45°回転する。
このように、直線偏光の偏光面を45°回転する目的は、偏光分離器9において、直線偏光LRを常光線L1と異常光線L2に分離して、常光線L1と異常光線L2によって直線偏光LI又はLRのファラデー回転角を求め、ファラデー回転角から被測定電流Iの値を算出するためである。
そして、光源13から出射される所定波長λの光をレンズ14、偏光分離プリズム15及び第2ファラデー回転子18を介して第1光ファイバ8に入射させる。
また、第1光ファイバ8から出射される常光線L1を、第2ファラデー回転子18を介して偏光分離プリズム15で反射させ、第1光電変換素子16に入射させるとともに、第2光ファイバ12から出射される異常光線L2を第2光電変換素子17に入射させる。
レンズ14は光源13と偏光分離プリズム15との間に設置され、光源13から出射される光を結合させて偏光分離プリズム15に入射させる。
偏光分離プリズム15は、光源13から出射された光を直線偏光化させるとともに、第1光ファイバ8からの出射光である常光線L1を、第1光電変換素子16へと反射させる。
第1光電変換素子16及び第2光電変換素子17は、フォトダイオードなどで構成され、それぞれ常光線L1及び異常光線L2を受光して電気信号に変換する。
このように、直線偏光を45°回転させる第2ファラデー回転子18を設けたのは、順方向の直線偏光LIの偏光面に対し、戻ってくる逆方向の直線偏光L1の偏光面を90°回転させることで、直線偏光L1を偏光分離プリズム15で全て反射させて第1光電変換素子16に入射させるためである。
ここで、電流比例データに施す所定の演算の詳細については後述するが、電流値をI[A]、電流比例データをP、センサ用光ファイバ1の巻数をn[回]、ベルデ定数をV[rad/A]、所定の定数をRとしたとき、I=P/(n×V×R)の式で表される。
ファラデー回転角θ[rad]と導体4に流れている電流I[A]との関係は式(1)で表される。
θ=n×V×I・・・・・(1)
ここで、n[回]はセンサ用光ファイバ1の巻数、V[rad/A]はベルデ定数である。
常光線L1と異常光線L2の強度を、それぞれPx、Py、ファラデー回転角の反時計回りを正とすると、図3に示すように、次の関係式(2)及び(3)が成り立つ。
Px/r=cos(π/4−θ)・・・(2)
Py/r=sin(π/4−θ)・・・(3)
式(2)及び(3)を展開すると、それぞれ式(4)及び(5)となる。
Px/r=cosπ/4×cosθ+sinπ/4×sinθ・・・(4)
Py/r=sinπ/4×cosθ−cosπ/4×sinθ・・・(5)
式(4)と(5)の和及び差をとると、sinπ/4=cosπ/4=21/2/2なので、式(6)及び(7)となる。
(Px+Py)/r=21/2×cosθ・・・(6)
(Px−Py)/r=21/2×sinθ・・・(7)
式(7)の両辺を式(6)の両辺で除すると式(8)となる。
(Px−Py)/(Px+Py)=sinθ/cosθ=tanθ・・・(8)
θ=(Px−Py)/(Px+Py)・・・・(9)
よって、式(1)及び式(9)から式(10)が導き出せる。
I=(Px−Py)/(Px+Py)/(n×V)・・・(10)
ここで、(n×V)は装置構成及びセンサ用光ファイバ1の材質等で決まる定数であるので、PxとPy、すなわち常光線L1と異常光線L2の強度が正確に測定できれば、導体4に流れる電流を正確に測定できることになる。
これに対して、Px−Pyの値は、両者に共通するノイズの影響が打ち消されるため、比較的正確な値を得ることができる。
そして、さらに考察を進めたところ、ファラデー回転角θが小さい場合には、Px+Pyの値はほとんど変化しないことが分かった。
すなわち、Px+Py=Q(定数、例えば21/2=1.4142)とすることにより、式(11)を用いることで導体4に流れる電流を正確に測定できることが分かった。
I=(Px−Py)/(n×V×Q)・・・・(11)
I=P/(n×V×R)・・・・(12)
ここで、n×V×Rは、いずれも予め設定可能な数値となっているので、電流比例データPを予め設定される数値で割るだけという非常に単純な演算を施すことによって、導体4に流れる電流値I[A]を求めることができる。
実施例2の部分放電相検出装置は、図4にその概略を示すとおり、3相の送電線におけるU相、V相、W相の各接地線に実施例1の光ファイバ電流センサ回路と、電流比例データ処理回路の第1高速オペアンプ21、第2高速オペアンプ22、第1増幅器23、第2増幅器24、差動回路25及び部分放電相検出回路を備えている。
部分放電相検出回路は、U相作動回路25U及びV相作動回路25Vの両出力を減算するU−V差分回路31u-v、V相作動回路25V及びW相作動回路25Wの両出力を減算するV−W差分回路31v-w並びにW相作動回路及びU相作動回路25Uの両出力を減算するW−U差分回路31w-uを備えるとともに、U−V差分回路31u-v、V−W差分回路31v-w及びW−U差分回路31w-uの各出力をアナログ信号からデジタル信号に変換するA/D変換器32、33、34と、A/D変換器32、33、34の各出力データを加算し20〜30ミリ秒(以下「ms」と記載する。)分記憶する零相電流データメモリ35と、同じくA/D変換器32、33、34の各出力データを加算し状態変化を検出するため一時的に記憶する零相電流データ一時記憶用メモリ36と、A/D変換器32の出力データを20〜30ms分記憶するU−V相間反転合成データメモリ37u-vと、A/D変換器33の出力データを20〜30ms分記憶するW−U相間反転合成データメモリ37w-uと、A/D変換器34の出力データを20〜30ms分記憶するV−W相間反転合成データメモリ37v-wと、各相間反転合成データメモリに記憶されているデータに基づいて部分放電の有無及びU相、V相、W相のいずれの相に部分放電が発生しているかを判定し報知する部分放電相判定報知器38を備えている。
その結果、いずれのデータ中にも部分放電波形データが含まれていない場合、部分放電なしと判定する。
また、1つのデータ中のみから部分放電波形データが検出された時又は3つのデータ中から同一時刻(誤差幅を含む)に発生した部分放電波形データが検出された場合、部分放電相なしと判定する。なぜなら、いずれかの相に本当に部分放電が発生していれば、2つの差分回路の出力データに影響を及ぼすので、上記のような場合ノイズによる誤検出である可能性が高いためである。
そして、2つのデータ中のみから同一時刻(誤差幅を含む)に発生した部分放電波形データが検出された場合、その共通する相を部分放電相と判定する。例えば、U−V相間反転合成データメモリ37u-vとW−U相間反転合成データメモリ37w-uに記憶されているデータ中のみから同一時刻に発生した放電波形データが検出された場合、U相において部分放電が発生していると判定する。
(1)実施例1の電流検出装置は図1に示す構成となっているが、特許文献3(特許第5083321号公報)の図1に示されるように、センサ用光ファイバ1の他端6で直線偏光LIが一部透過するようにして、他端6から常光線L1を導光しても良い。
また、特許文献3の図3に示されるように、センサ用光ファイバ1の他端6から導出した直線偏光LIを偏光分離器で常光線L1と異常光線L2に分離しても良い。
要するに、センサ用光ファイバを通過した直線偏光LIを常光線と異常光線に分離して受光し、光電変換できるようになっていれば良い。
(2)実施例1の電流比例データ処理回路は、第1光電変換素子16及び第2光電変換素子17から得られる出力を電圧に変換する第1高速オペアンプ21及び第2高速オペアンプ22、第1高速オペアンプ21及び第2高速オペアンプ22の出力電圧を増幅する第1増幅器23及び第2増幅器24、第1増幅器23及び第2増幅器24の両出力を減算する差動回路25、差動回路25の出力をアナログ信号からデジタル信号に変換するA/D変換器26を備える構成となっていたが、第1光電変換素子16及び第2光電変換素子17から得られる出力を適宜増幅し差分をデジタルデータ化できれば、増幅やA/D変換の順序は適宜変更しても良い。
(4)実施例2の部分放電相検出装置は、U−V差分回路31u-v、V−W差分回路31v-w並びにW−U差分回路31w-uを備えるとともに、U−V差分回路31u-v、V−W差分回路31v-w及びW−U差分回路31w-uの各出力をアナログ信号からデジタル信号に変換するA/D変換器32、33、34を備える構成となっていたが、A/D変換器32、33、34は、U−V差分回路31u-v、V−W差分回路31v-w並びにW−U差分回路31w-uの前に配置しても良い。
要するに、各相の差動増幅回路の出力値若しくは電流演算回路の被測定電流値に基づいて、U−V相間、V−W相間及びW−U相間における各出力値若しくは各被測定電流値の差に対応するU−V相間反転合成データ、V−W相間反転合成データ及びW−U相間反転合成データを記憶できるようになっていれば良い。
そうすることにより、部分放電周波数帯域も判明するため、複数の相間における部分放電波形データを検出するに際して、発生時刻だけでなく発生周波数帯域も用いることができる。
また、狭帯域のバンドパスフィルターにより抽出された波形データを部分放電検出に使用することによりS/Nも改善する。
(6)実施例2の部分放電相検出装置は、部分放電の有無及び部分放電が発生している相を判定するものであったが、特許文献1(特開2015−230289号公報)に開示されている技術を組み合わせることで、部分放電がどの辺で発生しているかを計算することができる。
すなわち、図5に示すように電力ケーブル44の両端に一端側子局41と他端側子局42を設置し、所定時間毎に一端側及び他端側における各相接地線45、46に流れる電流データに基づいて、部分放電相の情報及び部分放電波形データの発生時刻・周波数帯域・極性を記録する。
その記録情報を親局3において解析すれば、部分放電の有無及び部分放電が発生している相の情報だけでなく、部分放電箇所の位置を表示することができる。
具体的な手法は特許文献1に詳述されているが、簡単に説明すると、部分放電が発生している相について、一端側子局41で検出した部分放電波形の立ち上り時刻をT1、他端側子局42で検出した部分放電波形の立ち上り時刻をT2、電力ケーブル44の両端間の距離をL12、電力ケーブル44の両端間の電流伝搬速度をv、一端側子局41から部分放電箇所までの距離Lxとすれば、次式の演算によってLxを求めることができる。
Lx={v×(T1−T2)+L12}÷2
4 導体 5 一端 6 他端 7 反射材
8 第1光ファイバ 9 偏光分離器 10 レンズ
11 第1ファラデー回転子 11M 永久磁石 12 第2光ファイバ
13 光源 14 レンズ 15 偏光分離プリズム
16 第1光電変換素子 17 第2光電変換素子
18 第2ファラデー回転子 18M 永久磁石
21 第1高速オペアンプ 22 第2高速オペアンプ
23 第1増幅器 24 第2増幅器 25 差動回路
25U U相作動回路 25V V相作動回路 25W W相作動回路
26 A/D変換器 27 電流データ演算器 28 表示器
31u-v U−V差分回路 31v-w V−W差分回路
31w-u W−U差分回路 32、33、34 A/D変換器
35 零相電流データメモリ 36 零相電流データ一時記憶用メモリ
37u-v U−V相間反転合成データメモリ
37v-w V−W相間反転合成データメモリ
37w-u W−U相間反転合成データメモリ 38 部分放電相判定報知器
41 一端側子局 42 他端側子局 43 親局
44 電力ケーブル 45、46 接地線
I 被測定電流、電流値 LI、LR 直線偏光
L1 常光線 L2 異常光線 n センサ用光ファイバ1の巻数
P 電流比例データ Q、R 定数 V ベルデ定数
Claims (1)
- 所定波長の光を出射する光源と、偏光分離プリズムと、第2ファラデー回転子と、偏光分離部と、第1ファラデー回転子と、被測定電流が流れている導体の外周に周回設置され、前記偏光分離プリズム、前記第2ファラデー回転子、前記偏光分離部及び前記第1ファラデー回転子を通過した直線偏光が入射される一端及び入射した前記直線偏光を反射する他端を有するセンサ用光ファイバと、該センサ用光ファイバの一端から出射され、前記第1ファラデー回転子、前記偏光分離部及び前記第2ファラデー回転子を通過し、前記偏光分離プリズムで反射した常光線を受光して第1の信号に変換する第1光電変換素子と、前記センサ用光ファイバの一端から出射され、前記第1ファラデー回転子を通過し、前記偏光分離部で分離された異常光線を受光して第2の信号に変換する第2光電変換素子と、前記第1の信号及び前記第2の信号を処理する信号処理回路を備える電流検出装置であって、
前記信号処理回路は、
前記第1の信号及び前記第2の信号を減算増幅する差動増幅回路と、
差動増幅回路の出力値をP、センサ用光ファイバの巻数をn[回]、ベルデ定数をV[rad/A]、所定の定数をRとしたとき次式によって被測定電流の大きさI[A]を演算する電流演算回路を備えている
I=P/(n×V×R)
ことを特徴とする電流検出装置。
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