JP6725896B2 - 皮膚外用剤 - Google Patents

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Description

本発明は、アイスプラント抽出物を含む皮膚外用剤に関する。
アイスプラント(学名:Mesembryanthemum crystallinum)は、ハマミズナ科メセンブリアンテマ属に含まれる植物の種名である。アイスプラントは表皮に塩を隔離するための細胞を有するため葉の表面が凍ったように見えることが、その名前の由来となっている。アイスプラントは、乾燥に耐えるとともに、耐塩性が高い塩生植物の一つであり、海水と同程度の塩化ナトリウム水溶液中でも水耕栽培が可能である。更に、アイスプラントは、生活環が半年程度と比較的短く、栽培も容易なため、植物の耐塩性研究におけるモデル生物と考えられている。アイスプラントは、南アフリカ原産、ヨーロッパ、西アジア等に自生の種であるが、近年、日本においても佐賀県などを中心に野菜の一種として栽培・市販されている。またアイスプラントは化粧料等に用いる新規素材としても注目されている。例えば特許文献1には、アイスプラントが保湿や肌荒れ改善等の効果を有すること、及び、これを皮膚外用剤に使用することが記載されている。
特開2009-029734号公報
アイスプラントの用途の拡大を図る観点や、消費者の選択肢を広げ、より望ましい効果を有する皮膚外用剤を提供する観点から、皮膚状態改善効果の高いアイスプラントを配合した皮膚外用剤が望まれている。しかしながら、アイスプラントを単独で用いた場合の皮膚状態改善作用は十分なものとは言い難かった。
本発明者は、アイスプラントの皮膚に対する作用効果について鋭意研究した結果、アイスプラントを特定成分と組み合わせることで、皮膚状態改善作用が飛躍的に向上することを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、アイスプラント抽出物と、カミツレ抽出物及び炭素原子数6以上24以下の脂肪族アルコールから選ばれる少なくとも1種とを含む、皮膚外用剤に関する。
更に本発明は、アイスプラント抽出物と、カミツレ抽出物及び炭素原子数6以上24以下の脂肪族アルコールから選ばれる少なくとも1種とを含む、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚水分蒸散抑制剤、角層水分増加、肌のハリ向上剤、皮膚のキメ、滑らかさ又はみずみずしさの向上剤に関する。
本発明によれば、優れた皮膚状態改善作用やヒアルロン酸産生促進効果を有する皮膚外用剤を提供することができる。更に、本発明によれば、優れたヒアルロン酸産生促進剤、皮膚水分蒸散抑制剤、角層水分増加剤、肌のハリ向上剤、並びに皮膚のキメ、滑らかさ又はみずみずしさの向上剤を提供することができる。
図1は、実施例及び比較例におけるヒアルロン酸産生遺伝子発現試験の結果を示すグラフである。 図2は、実施例及び比較例における皮膚の水分蒸散量の変化率を示すグラフである。 図3は、実施例及び比較例における皮膚の角層水分量の変化率を示すグラフである。 図4は、実施例及び比較例における皮膚の弾力の変化率を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下では、本発明の皮膚外用剤、ヒアルロン酸産生促進剤、皮膚水分蒸散抑制剤、角層水分増加剤、肌のハリ向上剤、並びに皮膚のキメ、滑らかさ又はみずみずしさの向上剤をまとめて本発明の剤と総称する。
(アイスプラント抽出物)
まずアイスプラントについて更に説明する。アイスプラントの特徴の一つに、乾燥や塩ストレスを与えないと、一般的な光合成経路であるC3光合成を行い、乾燥及び/又は塩ストレスを与えるとCAM型光合成へ移行することができる点が挙げられる。また茎や葉の表面(表皮)には塩嚢細胞(ブラッダー細胞、英語:Bladder Cell)と呼ばれる体内に侵入した塩類を隔離するための細胞が発達する。この塩嚢細胞の大きさは2mm前後に達し、透明でキラキラと輝くため、種名のクリスタリナムの由来となっている。
アイスプラントは、日本で佐賀大学農学部が栽培化し、塩味のする新野菜として紹介されたことをきっかけに、全国各地でも栽培されている。国立ファームはソルトリーフ(登録商標)、佐賀大学発ベンチャーの株式会社農研堂はバラフ(登録商標)とクリスタルリーフ(登録商標)、アグリ社はプッチーナ(登録商標)、滋賀県長浜市の日本アドバンストアグリはツブリナ(登録商標)という商標を用いている。また、静岡県ではソルティーナやシオーナの名で販売されている。本発明で用いるアイスプラント(学名:Mesembryanthemum crystallinum)は、日本国内又は国外の産地を問わず、またいずれの商標のものも含むことは言うまでもない。
本発明で用いるアイスプラントは、水耕栽培等の養液栽培で得られたものであってもよく、土耕栽培で得られたものであってもよい。土耕栽培を行った場合は地中にカドミウムなどの有害な重金属が含まれている場合、一般作物以上に吸収、蓄積する場合があるため、養液栽培されたものが好ましい。前記養液栽培に用いられる養液及び栽培方法としては、例えば、特開2009−254246号公報に記載されたものを用いることができる。
アイスプラントの使用部位としては、植物体の地上部及び地下部が挙げられる。植物体の「地上部」とは、地表よりも上部に位置する部位(葉、茎など)を含む概念であり、「地下部」とは地表よりも下部に位置する部位(根等)を含む概念である。地上部を用いることが、本発明による皮膚改善効果が高いために好ましい。地上部を用いる場合は、例えば葉のみを用いても良く、茎のみを用いてもよく、その両方を用いても良いが、本発明の剤のヒアルロン酸産生促進効果や皮膚状態改善効果を高める観点から、葉を用いることが特に好ましい。
アイスプラント抽出物は、前記のアイスプラントの植物体から抽出したものを意味する。なお、本発明において「抽出物」とは、溶媒を用いて抽出した抽出物だけでなく、溶媒を実質的に用いずに搾汁した搾汁物をも含むものである。また、本発明において抽出処理とは、溶媒を用いた抽出処理だけでなく、搾汁処理をも含むものである。溶媒を用いて抽出する場合、溶媒としては水、有機溶媒、水と有機溶媒の混合物などが挙げられる。なお、アイスプラント抽出物は、溶媒を実質的に用いずに搾汁した搾汁物であることが最も好ましい。また抽出処理は加熱を伴ってもよく伴わなくても良い。抽出処理は、乾燥や加熱等を施した又は未処理のアイスに対して施されてもよく、アイスプラントを細分化物又は圧搾物(ミキサー等によってペースト状になるまで粉砕したもの)とし、更にそれを抽出する処理であってもよい。
抽出処理は、アイスプラントの細分化物又は圧搾物に対して施されることが好ましく、乾燥や加熱などを施していないアイスプラントの細分化物又は圧搾物又は冷凍後に解凍したアイスプラントの細分化物又は圧搾物に施されることが好ましい。このようにすることで、望ましい成分を効率よく得ることができる。また抽出処理が、植物体の50℃以上の加熱や有機溶媒との接触などを経過せずに行われることが、アイスプラント抽出物に含まれる有効成分が変質、失活する恐れを低減できるために好ましい。さらに好ましくは、溶媒を用いずに搾汁して抽出処理を行うことが好ましい。このような条件を満たす抽出方法としては、アイスプラントの細分化物又は圧搾物を濾過する方法が挙げられる。この方法を搾汁と呼ぶ場合がある。
例えばミキサーなどを用いて、或いは手作業によるせん断力によって植物体を物理的に細分したか、又は機械を用いて或いは手作業などによって圧搾したものを濾過する。アイスプラントをせん断力によって機械的乃至物理的に細分する際の細分時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1時間以内であることが本発明の剤の品質向上及び製造安定性の観点から好ましい。
前記細分又は前記圧搾の際には他の溶媒(例えば水等)、助剤(例えば植物体に対して0.1質量%程度の微量のジエチレングリコール、アルコール等)などを加えてもよい。「上述した溶媒を実質的に用いずに搾汁した」とは、水やこのような微量な助剤を使用する場合を含むものとする。この場合の水の使用は植物体に対して5質量%以下であることが好ましい。また、アイスプラントを手作業などによって圧搾する際には、細分化したアイスプラントを、てこ、ネジ、水圧、油圧などを用いた圧搾機などで圧搾してもよい。このようにしても、アイスプラントを効率よく細分又は圧搾することが可能だからである。
アイスプラントを例えばミキサーなどを用いて或いは手作業によるせん断力によって物理的に細分、又は機械を用いて或いは手作業などによって圧搾した後に濾過する方法としては、特に制限はなく、任意の公知の濾過法を用いることができ、例えば濾布、フィルター、メンブレン、金属濾材、セラミック濾材などを好適に用いることができる。
また、前記濾過する際には、圧力をかけて濾過を行ってもよい。前記圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1MPa〜10MPa程度の圧力で濾過を行うことが本発明の剤の品質向上及び製造安定性の観点から好ましい。
また抽出溶媒を用いて抽出を行う場合は、例えば、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料であるアイスプラントの抽出部位を投入し、必要に応じて適宜攪拌しながら可溶性成分を溶出した後、濾過して抽出残渣を除くことにより抽出液を得る方法などが挙げられる。この場合の植物体は、アイスプラント植物体そのままであってもよく、乾燥ないし細分化、粉砕、などが施されていても良い。アイスプラントの抽出溶媒としては、例えば、水、アルコール(エタノール、1,3−ブチレングリコールなど)、含水アルコール(含水エタノール)などが挙げられる。抽出時間及び抽出温度、及び抽出溶媒の使用量は、目的に応じて適宜選択できる。
得られたアイスプラントの抽出物は、抽出した溶液のまま用いてもよく、安定性を高めるために、他の溶媒(1,3−ブチレングリコールなど)と混合してもよい。また、必要に応じて、精製、濃縮、希釈、濾過、或いは、活性炭等による脱色、脱臭処理等をして用いてもよい。精製方法としては、例えば、液−液分配抽出、各種クロマトグラフィー、膜分離などが挙げられる。更には、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物として用いてもよい。
本発明の剤に含まれる前記アイスプラント抽出物の含有量としては目的に応じて適宜選択することができるが、本発明の剤のヒアルロン酸産生促進効果や皮膚状態改善効果を高める観点から、アイスプラント抽出物の含有量は、0.000001質量%以上が好ましく、0.00001質量%以上がより好ましく、0.00005質量%以上がさらに好ましい。また、本発明の剤において一般に用いられる他の成分の含有量を確保して、皮膚外用剤等として使用しやすいものとする観点から、アイスプラント抽出物の含有量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。
(カミツレ抽出物)
カミツレは学名を「Matricaria chamomilla」(別名:カモミール)という。カミツレはキク科シカギク属の耐寒性一年草であり、ヨーロッパから西アジアにかけて分布している。カミツレの抽出部位としては、地上部及び地下部が挙げられる。地上部としては、葉、茎、花、果実が挙げられ、地下部としては根が挙げられる。ヒアルロン酸産生促進効果や皮膚状態改善効果が高いため、本発明で用いるカミツレ抽出物は花を含む植物体の抽出物であることが好ましい。カミツレ植物体はそのまま抽出に供してもよく、細分化又は圧搾した後に抽出に供してもよく、乾燥させた後にそのまま又は粗砕機を用い粉砕してから抽出に供しても良い。ここでいう抽出とは、溶媒を用いて抽出した抽出物だけでなく、溶媒を実質的に用いずに搾汁した搾汁物をも含むものであるが、カミツレ抽出物は溶媒を用いた抽出物であることが好ましい。なお、溶媒を用いずに可能な抽出とは、搾汁、つまり細分化又は圧搾した後に濾過する方法などが挙げられる。
搾汁方法は、アイスプラントについて上記で説明した方法と同様である。また溶媒を用いる抽出方法としては、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料であるカミツレの抽出部位を投入し、必要に応じて適宜攪拌しながら可溶性成分を溶出した後、濾過して抽出残渣を除くことにより抽出液を得る方法などが挙げられる。カミツレの抽出溶媒としては、例えば、水、親水性溶媒、又はこれらの混合溶媒が挙げられる。前記親水性溶媒の例としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素原子数1〜5の一価脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の炭素原子数1〜5の脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素原子数2〜5の多価アルコールなどが挙げられる。前記混合溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。特に、本発明のカミツレ抽出物では、炭素原子数2〜5の多価アルコール又はこれと水との混合溶媒を用いることが、得られる本発明の剤におけるヒアルロン酸産生促進効果や皮膚状態改善効果が高いため好ましく、とりわけ、1,3−ブチレングリコール又はこれと水との混合溶媒を用いることが好ましい。抽出時間及び抽出温度、及び前記カミツレの抽出溶媒の使用量は、目的に応じて適宜選択できる。
得られたカミツレの抽出物は、抽出した溶液のまま用いてもよく、必要に応じて、精製、濃縮、希釈、濾過、或いは、活性炭等による脱色、脱臭処理等をして用いてもよい。精製方法としては、例えば、液−液分配抽出、各種クロマトグラフィー、膜分離などが挙げられる。更には、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物として用いてもよい。
本発明の剤がカミツレ抽出物を含有する場合、該カミツレ抽出物の含有量は、目的に応じて適宜選択することができるが、本発明の剤のヒアルロン酸産生促進効果や皮膚状態改善効果を高める観点から、0.00000001質量%以上が好ましく、0.0000001質量%以上がより好ましく、0.0000005質量%以上がさらに好ましい。また、本発明の剤において一般に用いられる他の成分の含有量を確保して、皮膚外用剤等として使用しやすいものとする観点から、カミツレ抽出物の含有量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。
また、本発明の剤におけるアイスプラント抽出物とカミツレ抽出物の含有量の比率は、ヒアルロン酸産生促進効果やヒアルロン酸産生促進効果や皮膚状態改善効果を高める観点から、アイスプラント抽出物100質量部に対して、カミツレ抽出物0.4質量部以上が好ましく、1.6質量以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましく、100質量部以上が最も好ましい。また、アイスプラント抽出物等の量を確保して本発明の剤の効果を高める観点から、アイスプラント抽出物100質量部に対して、カミツレ抽出物10000質量部以下が好ましく、1000質量以下がより好ましく、500質量部以下がさらに好ましい。
本発明の効果をもたらすアイスプラント抽出物及びカミツレ抽出物の成分及びその組成は、本来であれば全て何らかの手段を用いて測定することが望ましい。このため、発明者は、本発明の効果をもたらすアイスプラント抽出物及びカミツレ抽出物の成分の特定を試みたものの、発明者の技術レベルでは、本発明のヒアルロン酸産生促進効果や皮膚状態改善の効果と関係する抽出物中の具体的な化合物名及び組成を確認することができなかった。本発明のヒアルロン酸産生促進効果や皮膚状態改善の効果と関係する抽出物中の具体的な化合物及び組成を突き止めるためには、新たな測定方法を確立して特定する必要があり、そのためには、著しく過大な経済的支出及び時間を要する。以上の通り、本願出願時においては、アイスプラント抽出物及びカミツレ抽出物中の化合物及び組成を全て特定することが不可能であるという事情が存在した。
(炭素原子数6以上24以下の脂肪族アルコール)
本発明において、炭素原子数6以上24以下の脂肪族アルコールとしては、1価のものが好ましい。炭素数6以上24以下の1価脂肪族アルコールとしては、飽和直鎖脂肪族アルコール、不飽和直鎖脂肪族アルコール、飽和分枝脂肪族アルコールが挙げられる。飽和直鎖脂肪族アルコールとしては、n−オクタノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。不飽和直鎖脂肪族アルコールとしては、パルミトレイルアルコール、オレイルアルコール、エルシルアルコール等のモノエン直鎖脂肪族アルコールが挙げられる。飽和分枝脂肪族アルコールとしては、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、3,5,5 −トリメチルヘキサノール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、2−デシルテトラデカノール等が挙げられる。不飽和分枝脂肪族アルコールとしては、5−メチル−2−トリデセニルアルコール、2−メチル−9−オクタデセニルアルコール、2−メチル−2−エイコセニルアルコール、2,2−ジメチル−11−エイコセニルアルコールなどが挙げられる。本発明で用いる炭素原子数6以上24以下の脂肪族アルコールとしては、ヒアルロン酸産生促進効果や皮膚状態改善効果が高い点や乳化物の安定性を高める観点から、飽和脂肪族アルコールが好ましく、直鎖状の脂肪族アルコールが好ましい。また、ヒアルロン酸産生促進効果や皮膚状態改善効果が高める観点や保湿感を高める観点、乳化物の安定性を高める観点から、炭素原子数が14以上のものであることが好ましく、16以上のものであることがより好ましく、とりわけ、炭素原子数18以上の1価の飽和脂肪族アルコールが好ましい。
本発明において、炭素原子数6以上24以下の脂肪族アルコールを用いる場合、炭素原子数6以上24以下の脂肪族アルコールの含有量は、目的に応じて適宜選択することができるが、本発明の剤のヒアルロン酸産生促進効果や皮膚状態改善効果を高める観点から、0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましい。また、本発明の剤において一般に用いられる他の成分の含有量を確保して、皮膚外用剤等として使用しやすいものとする観点から、炭素原子数6以上24以下の脂肪族アルコールの含有量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。炭素原子数6以上24以下の脂肪族アルコールの好ましいものとして上記で挙げたものの本発明の剤中の好ましい量としては、炭素原子数6以上24以下の脂肪族アルコールの本発明の剤中の好ましい量と同様の量が挙げられる。
また、本発明の剤におけるアイスプラント抽出物と炭素原子数6以上24以下の脂肪族アルコールの含有量の比率は、ヒアルロン酸産生促進効果やヒアルロン酸産生促進効果や皮膚状態改善効果を高める観点から、アイスプラント抽出物100質量部に対して、炭素原子数6以上24以下の脂肪族アルコール25質量部以上が好ましく、60質量以上がより好ましく、100質量部以上がさらに好ましい。また、アイスプラント抽出物等の量を確保して本発明の剤の効果を高める観点から、アイスプラント抽出物100質量部に対して、炭素原子数6以上24以下の脂肪族アルコール300000質量部以下が好ましく、150000質量以下がより好ましく、30000質量部以下がさらに好ましい。
本発明では、ヒアルロン酸産生促進効果や皮膚状態改善効果が高いため、炭素原子数6以上24以下の脂肪族アルコールとしては炭素原子数6以上19以下の脂肪族アルコールと、炭素原子数20以上24以下の脂肪族アルコールとの両方を含むことが好ましい。更に、本発明では、炭素原子数18以上19以下の脂肪族アルコールと、炭素原子数20以上24以下の脂肪族アルコールとを含有することが好ましい。これらの炭素原子数の脂肪族アルコールの好ましいものとしては、上記炭素原子数6以上24以下の脂肪族アルコールの好ましいものとして上記で述べたものと同様に飽和脂肪族アルコール、直鎖の脂肪族アルコール、1価の脂肪族アルコールが挙げられる。
更に、本発明の剤が、炭素原子数20以上24以下の脂肪族アルコールを含有する場合、ヒアルロン酸産生促進効果や皮膚状態改善効果の観点から、炭素原子数20以上21以下の脂肪族アルコールと、炭素原子数22以上24以下の脂肪族アルコールとを含有することが好ましい。これらの炭素原子数の脂肪族アルコールの好ましいものとしては、上記炭素原子数6以上24以下の脂肪族アルコールの好ましいものとして上記で述べたものと同様に飽和脂肪族アルコール、直鎖の脂肪族アルコール、1価の脂肪族アルコールが挙げられる。
本発明の剤は、アイスプラント抽出物と、カミツレ抽出物及び/又は炭素原子数6以上24以下の脂肪族アルコールのみからなるものであってもよい。しかしながら、本発明の剤を皮膚外用剤として用いた場合における、肌への塗布しやすさやなじみやすさ、浸透性を高める点や、ヒアルロン酸産生促進効果や皮膚状態改善効果を更に高める点から、本発明の剤は、アイスプラント抽出物、カミツレ抽出物及び/又は炭素原子数6以上24以下の脂肪族アルコールに加えて他の成分を含有していても良い。
例えば、本発明の剤が皮膚外用剤として用いられる場合、保湿剤を含有することが、本発明で用いる特定の抽出成分や特定の高級アルコールによる保湿効果が更に一層効果的に発現される観点から好ましい。この保湿剤としては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等のポリグリセリン、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ソルビトール、ポリグリセリン誘導体などの多価アルコール、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウムな度が挙げられる。これらのうち、特にグリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコールが好ましい。これら保湿剤を含有する場合、配合量は、本発明の剤中、下限値としては、0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましい。また、上限値としては、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
更に、本発明の剤が皮膚外用剤として用いられる場合、紫外線散乱剤や紫外線吸収剤を含有することが本発明の皮膚外用剤に紫外線防御機能も付与することができる点から好ましい。紫外線散乱剤としては、酸化亜鉛、酸化チタンが挙げられ、酸化亜鉛が特に好ましい。
更に、本発明の剤が皮膚外用剤として用いられる場合、25℃で液状であるエステル成分を含有することが本発明の皮膚外用剤の経皮吸収性を高める点や保湿性を高める点から好ましい。25℃で液状であるエステル成分としては、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、ミスチリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、オクタン酸セチル、テトラオクタン酸ペンタエリスリル、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸2−ヘキシルデシル、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、リンゴ酸ジイソステアリル、イソプロピルミリステート、2−オクチルドデシルオレエート、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、2−エチルヘキシルパルミテート、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸デシル、ドデシルオレエート、オレイン酸オレイル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、コハク酸2−エチルヘキシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、セバチン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、2−エチルヘキサン酸セチルなどが挙げられる。これら25℃で液状であるエステル成分を含有する場合は、配合量は、本発明の剤中、下限値としては、0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましい。また、上限値としては、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
更に、本発明の剤が皮膚外用剤として用いられる場合、炭化水素油を含有することが本発明の皮膚外用剤の経皮吸収性を高める点や保湿効果を高める点から好ましい。炭化水素油としては、流動パラフィン(ミネラルオイル)、スクワラン、イソドデカン、イソヘキサデカン等が挙げられる。これら炭化水素油を含有する場合は、配合量は、下限値としては、0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましい。また、上限値としては、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。
更に、本発明の剤が皮膚外用剤として用いられる場合、この皮膚外用剤は増粘剤を含有すると、使用感の向上や乳化安定性の向上の点で好ましい。増粘剤は、化粧品、医薬品、医薬部外品等で使用できる水溶性成分であり、合成高分子、半合成高分子、天然高分子、粘土鉱物等が使用できる。合成高分子としては、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリレーツ/アクリル酸アルキルクロスポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアルキルアクリルアミド/ポリアクリルアミドコポリマー、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース、プルロニック、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマーをはじめとする親水性合成高分子が挙げられる。半合成高分子としては、セルロース誘導体としては例えば、カルボキシメチルセルロース又はその塩類、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スルホン化セルロース誘導体などが挙げられる。その他の半合成高分子として、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸エチレングリコールエステル、デキストリン脂肪酸エステル、ゼラチン脂肪酸エステル、ゼラチン脂肪酸アミドなどが挙げられる。天然高分子としては、多糖類及びその誘導体、例えば、キサンタンガム、サクシノグリカン、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、セルロース類、ガラクタン、アラビアガム、トラガントガム、マンナン、カードラン、アルギン酸又はその塩類、アラビアゴム、ペクチン、クインシード、デンプン、アルゲコロイド、コンドロイチン硫酸又はその塩類、キト酸及びその誘導体などが挙げられる。その他の天然高分子としては、核酸又はその塩類、リボ核酸又はその塩類、アルブミン、ゼラチン、シルクフィブロインなどが挙げられる。粘土鉱物としては、ラポナイト、ベントナイト、スメクタイトカオリナイト、モンモリロナイト等が挙げられる。中でも、使用感を向上させる点で、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマーが特に好ましい。これら増粘剤を含有する場合は、下限値としては、0.00001質量%以上が好ましく、0.0001質量%以上がより好ましく、0.001質量%以上がさらに好ましい。また、上限値としては、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。
更に、皮膚外用剤は、界面活性剤を含有することが、乳化状態の安定な乳化物として皮膚外用剤を得られるために好ましい。
界面活性剤としては、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、(セスキ)イソステアリン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類や、ポリソルベート80、ポリソルベート40、ポリソルベート60等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート類)が挙げられる。また、レシチン、ケファリン、スフィゴミエリン、プラスマロゲン等の天然リン脂質、ジミリストイルレシチン、ジパルミトイルレシチン、ジステアロイルレシチン等の合成リン脂質、天然由来のレシチンの不飽和炭素鎖を水素により飽和とした水添レシチン等の複合脂質も挙げられる。これら界面活性剤を含有する場合は、配合量は、本発明の剤中、0.0001質量%以上10質量%以下が好ましく、0.001質量%以上5質量%以下がより好ましい。
その他、皮膚外用剤には、脂肪酸類、炭素原子数5以下の低級アルコール類、金属石鹸、pH調整剤、防腐剤(メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール、パラオキシ安息香酸ブチル、パラトキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸メチル等)、香料、粉体、紫外線吸収剤、色素、酸化防止剤、美白剤、キレート剤等が配合されていてもよい。
本発明の剤は、皮膚外用剤として使用することができる。外用剤としては、皮膚(唇、毛髪を含む)、頭皮等に塗布して用いるものであれば、特に制限はなく、その形態としては、軟膏剤、クリーム剤、ジェル剤、ローション剤、乳液剤、パック剤、湿布剤等の皮膚外用剤や、注射剤等の形態を挙げることができる。また皮膚外用剤は、化粧品、医薬品、医薬部外品のいずれをも含む。
更に、本発明の剤は、ヒアルロン酸合成促進剤として用いられる場合、経口用に用いてもよい。本発明の剤を経口用に用いる場合、その形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、液剤、粒状剤、棒状剤、板状剤、ブロック状剤、固形状剤、丸状剤、ペースト状剤、クリーム状剤、カプレット状剤、ゲル状剤、チュアブル状剤、スティック状剤等を挙げることができる。これらの中でも、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、液剤の形態が特に好ましい。具体的には、サプリメント、食品添加剤、ペットボトル、缶、瓶等に充填された容器詰飲料、水(湯)、牛乳、果汁等に溶解して飲むためのインスタント粉末(顆粒)飲料等を例示することができる。これらは食事の際などに手軽に飲食しやすく、また嗜好性を高めることができるという点で好ましい。経口剤は、化粧品、医薬品、医薬部外品のいずれをも含む。
本発明の剤を経皮的に投与する場合、その経皮投与量は、アイスプラント抽出物、カミツレ抽出物及び炭素原子数6以上24以下の脂肪族アルコールの合計量で、成人1日当りおよそ0.01μg以上であることが好ましく、0.1μg以上であることがより好ましい。また本発明の剤の1回の投与量は、好ましくは、カミツレ抽出物及び炭素原子数6以上24以下の脂肪族アルコールの合計量で成人1日当りおよそ0.01μg以上であることが好ましく、0.1μg以上であることがより好ましい。
本発明の剤は、後述する実施例の記載から明らかなとおり、これを使用することにより真皮における主要なヒアルロン酸合成酵素の遺伝子Has2の発現を促進する。Has2はヒトの真皮における主要なヒアルロン酸合成酵素であり、保湿力の高い高分子ヒアルロン酸を合成するといわれている。従って本発明の剤は、ヒアルロン酸合成酵素の遺伝子Has2の発現を促進し、真皮におけるヒアルロン酸合成を促進することができる。このような本発明の剤はヒアルロン酸合成促進剤として使用できる。
更に、ヒアルロン酸は、皮膚における表皮及び真皮、軟骨、関節液などに存在する高分子多糖類であり、細胞間隙への水分の保持、組織内にジェリー状のマトリックスを形成することに基づく細胞の保持、組織の潤滑性と柔軟性の保持、機械的障害等の外力に対する抵抗、及び細菌感染の防止などの機能を有している。ヒアルロン酸は、コラーゲンと共に皮膚、特に真皮中の細胞外マトリックスに多量に存在し、水分を保持する能力が非常に高く、肌のみずみずしさ、ハリに深く関わっている。本発明の剤は、ヒアルロン酸合成促進を通じて、これらのヒアルロン酸による皮膚の機能向上に効果的に寄与する。
更に本発明の剤は、後述する実施例の記載から明らかなとおり、これを使用することにより、皮膚からの水分蒸散を抑制できる。皮膚における水分蒸散の抑制機能は、皮膚バリア機能と呼ばれる場合もある。従って、本発明の剤は、皮膚水分蒸散抑制剤又は皮膚バリア機能改善剤として使用することができる。
更に、本発明の剤は、後述する実施例の記載から明らかなとおり、これを使用することにより、皮膚における角層水分量を増加させることができる。従って、本発明の剤は、角層水分量増加剤、又は、保湿剤、特に角層の保湿剤として使用することができる。
更に本発明の剤は、後述する実施例の記載から明らかなとおり、これを使用することにより、皮膚の弾力を向上させることができる。従って、本発明の剤は皮膚弾力増加剤又は皮膚ハリ向上剤として使用することができる。
特に、本発明の剤では、塗布から3時間後も、水分蒸散量が低く、角層水分量が高く、また弾力が高い状態が維持できるものであり、継続的な効果が得られるものである。
更に、本発明の剤では、べたつき抑制や浸透感向上といった使用感を向上させ、更に、みずみずしさやしっとり感、弾力を高めるのみならず、更に、皮膚のなめらかさやすべすべ感を高くするものであり、みずみずしさ向上剤、しっとり感付与材、弾力付与材、滑らかさの向上剤、肌ツヤの付与剤、キメ向上剤、肌荒れ改善剤として用いることができる。
また、本発明の剤がこれら特定の機能性に係る用途に用いられる場合、ヒアルロン酸産生促進や肌状態の改善の用途に用いられる点において、製品として他の製品と区別できるものであればよく、例えば、本発明の剤に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物のいずれかにヒアルロン酸産生促進や皮膚状態の改善の機能がある旨を表示したものを挙げることができる。ヒアルロン酸産生促進や皮膚状態の改善機能がある旨の表示とは、例えば、肌の乾燥が気になる方に、肌荒れが気になる方に、などのように対象者に訴えかける表示や、ヒアルロン酸を増やす、皮膚代謝促進、肌成分合成ないし産生促進、肌の水分蒸散抑制、水分量増加、みずみずしさ、しっとり感向上、滑らかさ向上、ハリの向上、シワの低減といった、ヒアルロン酸の増大、低減抑制や肌状態の改善に役立つことを表示するものをいう。
本発明の剤及び組成物は安全であり、長期間(例えば1月間以上)投与(例えば1日に上記の投与量で投与した場合)を継続しても差し支えない。本発明の剤は、短期間(例えば1〜3回の塗布等)使用してもよいが、このように継続的に使用することが好ましいものである。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。しかし本発明の範囲はかかる実施例に限定されない。以下、特に断らない場合「%」は質量%、「部」は質量部を表す。以下の試験において、アイスプラント抽出物としては、製造例1で製造したものを用いた。
〔製造例1〕
アイスプラント(バラフ)の地上部(葉)をミキサーで20分間粉砕した。粉砕されたアイスプラント(バラフ)を、濾布を用いて濾過して搾汁を得た。この搾汁に同量の1,3−ブチレングリコールを添加し、アイスプラント抽出物(液状)とした。
また以下の試験において、カミツレ抽出物としては、ビオセルアクト カモミラB(一丸ファルコス株式会社製)を用いた。なお、ビオセルアクト カモミラBは、カミツレの花から1,3−ブチレングリコール溶液にて抽出して得られるカミツレエキスを0.80%、1,3−ブチレングリコールを69.44%、水を29.76%含む溶液である。
また以下の試験において、炭素原子数6以上24以下の脂肪族アルコールとしては、水添ナタネ油アルコール(商品名「アルコールNo.20−B」高級アルコール工業株式会社製)を用いた。この水添ナタネ油アルコールは、ステアリルアルコール(炭素原子数18)を35〜45%、アラキジルアルコール(炭素原子数20)を5〜15%、ベヘニルアルコール(炭素原子数22)を44〜55%、その他の成分を5%以下含んでいた。
(遺伝子発現試験)
[実施例1−1〜1−3、比較例1−1〜1−3]
正常ヒト皮膚繊維芽細胞(NHDF、KURABO製)を37℃、5%体積COインキュベーター内で、10% Fetal Bovine Serum (FBS)- Dulbecco's Modified Eagle's Medium (DMEM)培地により前培養した。前培養後の細胞を、東洋紡製コラーゲンコート溶液により前処理した24well plateに5×10cells/wellで播種した。培地を除去後、被験物質含有培地を500μL添加し、37℃、5%体積COインキュベーター内で24時間培養した。被験物質含有培地は、被験物質として、製造例1で得られたアイスプラント抽出物と、上記カミツレ抽出物及び/又は上記水添ナタネ油アルコールとを下記表1に記載の量で使用したものであった。被験物質含有培地は、ジメチルスルホキシド(DMSO)の終濃度が0.5%になるように調製した。controlには0.5%DMSO含有10%FBS-DMEM培地を用いた。24時間培養後、RNeasy Mini Kit 250(QIAGEN製)を用いてmRNAを回収した。このmRNAを鋳型として、ReverTra AceR qPCR RT Master Mixwith gDNA Remover(東洋紡製)を用いてcDNAを合成した。得られたcDNAを用いて各サンプルにおけるHAS2遺伝子のmRNA発現量をリアルタイムPCRにて測定した。リアルタイムPCRは、QIAGEN社のRT-PCR装置Rotor-GeneQにて、プライマーとしてQuantiTect Primer Assay(QIAGEN製)を用い、以下の条件にて行った。下記の表1において空欄は0(非含有)であることを示す。
<リアルタイムPCRの条件>
95℃2分間→(95℃5秒間、次いで60℃10秒間)の増幅サイクルを40サイクル。
相対発現量はΔCt法を用いて計算した。各遺伝子の発現量はGAPDH(キアゲン社製)を内部標準として算定して求めた。
HAS2遺伝子の発現量の平均値の結果を図1に示す。図1において各遺伝子の発現量は、controlにおける発現量を1とした場合の相対値として示している。同図に示す通り、各実施例に係る培地では、HAS2遺伝子の発現量がcontrolに比べて大幅に増大した。これに対し、アイスプラント抽出物単独で用いた場合は、HAS2遺伝子の発現量は低いものにとどまり、カミツレ抽出物及び炭素原子数6以上24以下の高級脂肪族アルコールをそれぞれ単独で用いた場合はcontrolに比してHAS2遺伝子発現量が減少した。従って、本発明の皮膚外用剤が、アイスプラント抽出物と、カミツレ抽出物及び/又は特定の脂肪族アルコールとを組み合わせることで、これらを単独で用いる場合に比べて、ヒアルロン酸産生遺伝子の発現を促進し、これによりヒアルロン酸の産生を促進するものであることが判る。
(肌測定及び官能試験)
[実施例2−1〜2−3、比較例2−1〜2−3]
下記表2の配合で乳液を製造した。なお表2におけるアイスプラント抽出物としては、製造例1で製造したアイスプラントの抽出物(液状)を用いた。またカミツレ抽出物、水添ナタネ油アルコールについても、上記の遺伝子発現試験で用いたものと同じものを用いた。なお、表中の数字は質量割合を示す。下記の表2において空欄は0(非含有)であることを示す。
(1)肌測定
被験者として、20代〜30代の健常な女性3名を無作為に選出した。被験者の前腕内側を洗浄し、測定室にて15分間安静に過ごした。その後、前腕内側のサンプル塗布予定箇所(4cm×4cmの部分)における水分蒸散量(g/m2/hr)、角層水分量(μS)及び弾力をそれぞれ下記の測定装置で測定した。次いで、米二粒大の乳液を、前述した前腕内側の前記のサンプル塗布予定箇所測定箇所に塗布した。塗布から15分後、30分後、1時間後、3時間後のそれぞれにおいて、前腕内側における水分蒸散量(g/m2/hr)、角層水分量(μS)、弾力を同様に測定した。得られた測定値から、3名の被験者それぞれについて、使用後の各時点の測定値について、使用前の測定値に対する比を変化率として求めた。3名の変化率の平均値を求めた。水分蒸散量の変化率の測定結果を図2に、角層水分量の変化率の測定結果を図3に、弾力の変化率の測定結果を図4に、それぞれ示す。これらの図において、図2の水分蒸散量の変化率は低いほど高い評価となり、図3の角層水分量及び図4の角層水分量及び弾力については、変化率が高いほど、高い評価となる。
・水分蒸散量(g/m2/hr):Tewameter TM300(Courage+Khazaka社製)で測定した。
・角層水分量:皮表角層水分量測定装置SKICON-200EX(ヤヨイ社製)で測定した。この皮表角層水分量測定装置は、皮膚のコンダクタンス(電気伝導度、単位:μS)を角層の水分量として評価したものである。
・弾力:皮膚粘弾力測定装置Cutometer MPA580(Courage+Khazaka社製)で測定した。
図2〜図4に示す結果から明らかなとおり、各実施例の皮膚外用剤は、これを使用することにより、皮膚における水分蒸散量を大きく抑制でき、また、皮膚における角層水分量及び弾力を大きく増加させることが判る。これに対し、各比較例の皮膚外用剤を用いた場合の皮膚の水分蒸散量、角層水分量及び弾力の変化率は、いずれもコントロールと差が小さい。従って、本発明の皮膚外用剤がアイスプラント抽出物を特定のカミツレ抽出物及び/又は特定の脂肪族アルコールと組み合わせることによる水分蒸散量低減、角層水分量及び弾力の増大といった皮膚状態改善効果が優れていることは明らかである。
(2)官能評価
更に、皮膚外用剤の塗布から 3時間経過後に、下記表4に示す項目についてアンケートを実施した。各項目について、表3に示す7段階に点数を付け、集計後、3名の平均値を求めた。結果を表4に示す。尚、「のび」は乳液ののびがよいほど高評価とした。「べたつき」についてはべたつきにくいほど高評価とした。
表4に示すように、各実施例の皮膚外用剤は、各比較例の皮膚外用剤に比べて、のびやべたつき浸透感といった使用感のみならず、しっとり感、みずみずしさ、弾力、なめらかさ、すべすべ感といった皮膚状態を大きく改善させることが判る。
[実施例3]
以下の処方でリップクリームを製造した。
[実施例4]
以下の処方でローションを製造した。

Claims (4)

  1. アイスプラント抽出物、カミツレ抽出物及び水添ナタネ油アルコールを含む、皮膚外用剤。
  2. アイスプラント抽出物、カミツレ抽出物及び水添ナタネ油アルコールを含む、ヒアルロン酸産生促進剤。
  3. アイスプラント抽出物、カミツレ抽出物及び水添ナタネ油アルコールを含む、皮膚水分蒸散抑制剤、角層水分増加剤又は肌のハリ向上剤。
  4. アイスプラント抽出物、カミツレ抽出物及び水添ナタネ油アルコールを含む、皮膚のキメ、滑らかさ又はみずみずしさの向上剤。
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