JP6725787B2 - 芳香族ジアミンおよびこれを用いた液晶性エポキシ樹脂熱硬化物 - Google Patents

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Description

本発明は、芳香族ジアミンおよびこれを用いた液晶性エポキシ樹脂熱硬化物に関し、さらに詳述すると、ベンゾオキサゾール構造を有するジアミン、およびこれと液晶性ビスエポキシドとの熱硬化物に関する。
近年、電子・光学機器の小型化、高性能化に伴い、高密度集積回路や発光ダイオード等の各種半導体素子から発生する熱の放熱が重要な課題となっている。
すなわち、放熱が不十分な場合、半導体素子の温度が上昇し、例えば、高密度集積回路では大幅なエネルギー効率の低下や機能低下が生じるだけでなく、素子周辺の樹脂材料が過熱によって劣化したり、過熱の程度によっては発火したりするおそれがある。
また、パーソナルコンピューター等のハードディスクを備えた装置では、放熱が不十分であると、ハードディスクの暴走といった重大な悪影響を及ぼす現象が発生するおそれもある。
電子基板上に実装された半導体素子から発生する熱量が非常に高い場合は、半導体素子の封止樹脂面から放熱シートを介してアルミニウム製ヒートシンクに放熱する方法や、場合によってはさらに冷却ファンを設置して効率的に放熱する方法がある。この場合、放熱シートは電気絶縁性である必要はないため、放熱シートに使用する樹脂中に高熱伝導性の金属フィラーを分散させて放熱シートの熱伝導率を高める方法が採用できる。
一方、基板上に実装された半導体素子から発生する熱を、熱伝導率が極めて高い銅配線や基板側へ放熱する方法もある。この場合、半導体素子と基板との間に挿入される放熱材料には、電子回路の電気的ショートを避けるために電気絶縁性が求められ、さらに加工性や柔軟性も必要となる。
このような観点から、銅配線・基板側へ放熱するために使用される放熱材料は、元来電気絶縁性で柔軟性、加工性に優れた有機高分子材料(以下、単に高分子材料または樹脂材料と称する)が必然的に選択されることになるが、樹脂材料は、金属とは異なり自由電子を有していないため、熱に対しても通常は絶縁性である。
このように、電気絶縁性と熱伝導性を併せ持つ高分子材料を得ることは原理的に極めて困難である。
電気絶縁性を確保しながら、熱伝導性を改善するための方策として、樹脂より高い熱伝導率を有する電気絶縁性無機フィラー(例えば、アルミナ等のセラミックス紛体)を樹脂中に分散させる方法がしばしば採用される。
フィラー/樹脂複合材料の熱伝導率を高める方法として、熱伝導率のできるだけ高いフィラーの使用、フィラー含有率の増加、および熱伝導率のできるだけ高いマトリックス樹脂の使用の3つの手法が挙げられるが、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の高熱伝導性無機フィラーを用いたとしても、マトリックス材として熱伝導率の低い一般の高分子材料(熱伝導率λ=0.1〜0.2W/(m・K))を用いた場合、フィラー/樹脂複合材料の熱伝導率増加に対する効果はあまり大きくないことが知られている(非特許文献1参照)。しかも、これらの高熱伝導性無機フィラーは、非常に高価であり、コストの点で実用的なフィラーはアルミナにほぼ限定される。
また、フィラーの含有率を増加する方法では、その含有率が高すぎると、フィラー/樹脂複合材料が急激に脆弱になるばかりか、フィラーがマトリックス樹脂から脱離して電子デバイスを汚染するおそれもあるため、この方法にも限界がある。
一方、連続相であるマトリックス樹脂自身の熱伝導率を高める方策は、熱伝導率のより高いフィラーを選択する方法よりも、複合材料の熱伝導率向上に対する効果がはるかに高いことが知られている(非特許文献1参照)。
この観点から、熱伝導率が少しでも高いマトリックス材として有機高分子素材の探索が現在広範囲で行われている。
自由電子を持たない樹脂材料では、セラミック材料と同様に、格子振動(フォノン)によって熱が伝わると考えられている。殆どの合成樹脂は、結晶性が低いか完全な非晶性であり、熱伝導率も0.1〜0.2W/(m・K)の低い値に留まっている。
一方、高密度ポリエチレンは、樹脂材料の中で最も結晶性の高いものの1つであり、実際に非晶性樹脂よりはやや高い熱伝導率を示す。非特許文献2によれば、高密度ポリエチレンでは、ポリエチレンの密度、すなわち、結晶化度の増加に伴って熱伝導率も増加する。
このように、熱伝導は、結晶のように秩序の高い相において有利となることから、液晶相においても非晶相より熱伝導が有利になることが期待される。
また、非特許文献2および3によれば、ポリエチレンフィルムの一軸延伸倍率の増加とともに、延伸方向に沿った方向の熱伝導率は増加し、逆に延伸方向と垂直方向の熱伝導率は減少する。すなわち、高分子主鎖に沿った方向への熱伝導の方が、高分子鎖間の熱伝導よりもずっと有利であるといえる。
この結果は、電場、磁場あるいは機械的流動場を印加して、当初ランダム配向であった結晶や液晶ドメインを一定方向、例えば、膜厚方向に揃えることができれば、膜厚方向の熱伝導率を飛躍的に高められることを示唆している。
ところで、高分子繊維は、高分子フィルムとは異なり、高分子鎖が一定方向に最大限配向しており、さらに結晶化度も最も高い状態にある。そのため、高分子繊維の延伸方向に沿った熱伝導率は、その高分子系における最大値になると推測されるので、各種高分子繊維の繊維方向熱伝導率を比較することで、熱伝導性に有利な化学構造についての情報を把握することは可能である。
非特許文献4では、ポリエチレン、ケブラー、ポリベンゾチアゾール等の各種高分子繊維材料の繊維方向熱伝導率を比較した結果、東洋紡(株)製のポリベンゾオキサゾール(PBO)繊維(ザイロン)が、これらの中で最も高い熱伝導率を示すことが報告されている。
しかし、PBO繊維は、熱ポリリン酸やメタンスルホン酸等の不揮発性の強酸にかろうじて溶けるのみで、通常の有機溶媒には全く不溶であり、またそれ自身溶融もしないため、フィルム状に成形することは容易ではない。ましてPBO繊維を膜厚方向に揃えてフィルム状に成形することは極めて困難である。
PBO繊維を用いる代わりに、PBOにサーモトロピック液晶性を付与し、流動性のある液晶形成温度で膜厚方向に強磁場を印加してPBO主鎖を膜厚方向に配向させ、膜厚方向熱伝導率を飛躍的に高める技術も公開されている(非特許文献5参照)。
しかし、この液晶性PBOでは、剛直な構造単位(以下、メソゲンと称する)が主鎖中に共有結合により組み込まれているため、メソゲンの運動性に乏しく、必然的に溶融粘度や液晶転移温度が高くなるという問題があった。
液晶転移温度が高すぎると、実際の放熱層形成工程条件が大きな制約を受けることになり、その材料を適用することが不可となる。
一方、液晶形成能を有する熱硬化性樹脂は、通常高分子量体ではないので、液晶性高分子に比べて分子運動が許されているため溶融粘度が低く、液晶形成温度も低くなるように分子設計可能である。
熱硬化性樹脂の中でも、末端熱架橋性基として、例えば、ベンゾオキサジン、マレイミド、ナジイミドあるいはエチニル基を高分子鎖の両末端に有する系は、自己熱架橋性があるため硬化剤が不要である。
これらの熱硬化性樹脂は、硬化剤が不要であるという点で扱い易いものの、自己架橋型熱硬化反応では硬化温度を下げることが難しく、熱硬化反応にかなり高温を必要とするため、液晶形成能を有していたとしても、液晶温度と熱硬化反応の温度領域をマッチングさせることは容易ではない。
高分子, 26, p.557−561, 1977年 Polym. Eng. Sci, 12, pp.204-208, 1972年 Polymer, 19, pp.155−162 (1978) Macromolecules. 46, pp.4937−4943, 2013年 Polym. Int., 60, pp.1240−1247, 2011年
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、半導体素子等から発生する熱を放熱するための電気絶縁材料として有用な熱硬化物を与える芳香族ジアミンおよびこれを用いた液晶性エポキシ樹脂熱硬化物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ベンゾオキサゾール構造を含む所定の芳香族ジアミンと所定の液晶性ビスエポキシドとの熱硬化物が良好な熱伝導性を発現することから、半導体素子等から発生する熱を放熱するための電気絶縁材料として有用であることを見出し、本発明を完成した。
なお、エポキシ樹脂のような硬化剤を用いる熱硬化性樹脂では、硬化剤の分子設計により硬化温度を下げることは比較的容易であり、液晶温度と硬化温度のマッチングが可能であることから、液晶性エポキシ樹脂は放熱材料として適している。
また、エポキシ樹脂熱硬化物中にベンゾオキサゾール(BO)構造を導入することで、熱伝導性を発現させようとするアプローチは殆どなされていない。
すなわち、本発明は
1. 式(1)で表されることを特徴とする芳香族ジアミン、
Figure 0006725787
(式中、R1〜R8は、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、mは2〜14の整数を表す。)
2. 式(3)または(4)で表される1の芳香族ジアミン、
Figure 0006725787
(式中、mは、互いに独立して、前記と同じ意味を表す。)
3. 前記mが、6、8、10または12である2の芳香族ジアミン、
4. 1〜3のいずれかの芳香族ジアミンと、式(2)で表される液晶性ビスエポキシドとの熱硬化物、
Figure 0006725787
(式中、X1は、2価の芳香族基を表す。)
5. 前記X1が、式(5)で表される4の熱硬化物、
Figure 0006725787
(式中、R9〜R20は、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
6. 前記R9〜R20が、水素原子である5の熱硬化物、
7. 4〜6のいずれかの熱硬化物からなる半導体素子のアンダーフィル材
を提供する。
本発明のBO基含有芳香族ジアミンと、液晶性ビスエポキシドより得られる本発明の熱硬化物は良好な熱伝導性と電気絶縁性を有しているため、半導体素子等から発生する熱を銅配線・基板側に効率的に放熱することができる。
このような特性を有する本発明の熱硬化物は、半導体素子と基板との間に挿入するアンダーフィル材等として好適に利用することができる。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明に係る芳香族ジアミンは、式(1)で表される。
Figure 0006725787
式中、R1〜R8は、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、mは2〜14の整数を表す。
炭素数1〜6のアルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基等が挙げられる。
炭素数1〜6のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ基等が挙げられる。
これらの中でも、R1〜R8としては、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、または炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましく、水素原子がより一層好ましい。
上記mとしては、4〜12の整数が好ましく、6、8、10または12がより好ましく、8がより一層好ましい。
式(1)の芳香族ジアミンの中でも、下記式(3)または(4)で表されるものが好ましく、特に、そのmが、6、8、10または12のものがより好ましい。
Figure 0006725787
上記式(1)で表される芳香族ジアミンの製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いて製造することができる。
例えば、mが8である上記式(3)の化合物は、下記の方法によって製造することができる。
まず、4−アセトキシ安息香酸に、触媒量のN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)添加し、塩化チオニルで塩素化させて得られる式(7)で表される塩素化物と、式(8)で表される2−アミノ−4−ニトロフェノールを脱酸剤である塩基の存在下、0〜50℃で2〜12時間撹拌してアミド化反応を行った後、必要に応じて酸触媒を加えて溶媒の沸点で2〜12時間還流してBO環を形成する閉環反応を行う。これにより式(9)で表される化合物が得られる。この反応の際、この化合物中のアセトキシ基が酸触媒により一部加水分解を受けて、式(10)で表される化合物が生成するが、この加水分解生成物は次の反応工程の原料であるので、加水分解が起こってもなんら問題はない。
この加水分解物(式(10))と未加水分解物(式(9)の混合物を、アルカリ水溶液で処理して加水分解を完結させることで、式(10)で表される純粋な化合物が得られる。
Figure 0006725787
続いて、式(10)で表される化合物と、1,8−ジブロモオクタンを溶媒に溶かし、塩基の存在下、50〜150℃で2〜24時間還流して式(11)で表されるジニトロ体が得られる。この化合物のニトロ基をアミノ基へ還元して式(12)で表される目的のジアミンが得られる。
Figure 0006725787
上記各工程において、式(7)で表される化合物と、式(8)で表される化合物とのアミド化反応に用いられる塩基としては、有機3級アミンが好適であり、その具体例としては、ピリジン、ピコリン、キノリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等が挙げられるが、毒性やコストの観点からピリジンが好ましい。
アミド化反応後のBO環形成反応に用いられる溶媒としては、反応原料や生成物と反応せず且つ反応原料を十分に溶解するものであれば特に限定されないが、BO環形成反応完結の観点から沸点は高いほど好ましい。
使用可能な溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド系溶媒;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン等の環状エステル溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホン系溶媒;ジグライム、トリグライム等のエーテル系溶媒;m−クレゾール、p−クレゾール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール等のフェノール系溶媒;シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒などが挙げられ、これらの溶媒は、単独で用いても、2種類以上混合して用いてもよい。
これらの中でも、反応原料の溶解性や沸点の観点から、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
上記BO環形成反応の際に、反応を促進するために酸触媒を添加することができる。酸触媒としては、特に限定されるものではないが、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ポリ燐酸等が好ましく、生成物の収率の観点からp−トルエンスルホン酸がより好ましい。
上記式(9)で表される化合物の加水分解反応に用いられる溶媒としては、非プロトン性で、添加する塩基を溶解するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド系溶媒;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン等の環状エステル溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム等のエーテル系溶媒;シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒などが挙げられ、これらの溶媒は、単独で用いても、2種類以上混合して用いてもよい。
これらの中でも、反応原料の溶解性や後工程での除去のしやすさの観点から、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。
また、上記加水分解反応の際に用いられる塩基も特に限定されるものではなく、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の強アルカリ水溶液、炭酸ナトリウムや炭酸カリウム等の弱アルカリ水溶液、アンモニア水溶液等が挙げられるが、BO環の加水分解等の副反応を抑制するという観点から、アンモニア水溶液が好ましい。
加水分解を完結させて得られた式(10)で表される化合物は、適当な溶媒から再結晶して精製してから次工程に用いてもよいが、精製せずに次工程に用いることができる。
上記式(10)で表される化合物と1,8−ジブロモオクタンとのエーテル化反応に用いられる溶媒は、特に限定されるものではなく、その具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド系溶媒;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン等の環状エステル溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホン系溶媒などが挙げられ、これらの溶媒は、単独で用いても、2種類以上混合して用いてもよい。
これらの中でも、反応原料の溶解性や除去のしやすさの観点から、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。
また、上記エーテル化反応に用いられる塩基も特に限定されるものではなく、その具体例としては、炭酸カリウムや炭酸ナトリウム等の弱塩基が挙げられる。
エーテル化反応で得られた式(11)で表されるジニトロ化合物は、適当な溶媒から再結晶して精製してから次工程に用いてもよいが、精製せずに次工程に用いることができる。
式(11)で表されるジニトロ化合物を式(12)で表されるジアミン化合物へ変換する還元反応には、公知の方法を適用できる。その具体例としては、水素雰囲気中、触媒としてPd/Cを用いる方法、塩酸酸性中スズ、亜鉛、鉄等の金属粉末用いる接触還元法、塩化スズ二水和物のエタノール溶液を用いる方法などが挙げられるが、反応効率や後処理のしやすさの観点から、水素雰囲気中、触媒としてPd/Cを用いる方法が好ましい。
水素雰囲気中、Pd/Cを触媒として行う接触還元反応の際に用いられる溶媒としては、ジニトロ体および生成するジアミン体が溶解するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジグライム、トリグライム等のエーテル系溶媒;γ−ブチロラクトン、酢酸エチル等のエステル系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられ、これらの溶媒は、単独で用いても、2種類以上混合して用いてもよい。
これらの中でも、反応原料や生成物の溶解性や後工程における除去のしやすさの観点からN,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。
上記還元反応の際に使用する溶媒は、生成物であるジアミンに対しても高い溶解性を有していることが好ましい。溶解性が低いと、還元反応の途中で生成するモノアミン体の一部が沈殿として析出し、ジアミンへの反応完結が妨げられる場合がある。また、生成物であるジアミンに対する溶解性が高いと、還元反応終了後、反応溶液を室温に冷却してもジアミンが溶液中に溶けた状態が保持されるため、熱濾過して触媒を除去する必要がなくなり、触媒の濾過・分離が容易になる。
得られたジアミンは、必要に応じて適当な溶媒から再結晶して精製してから熱硬化反応に用いてもよいが、精製せずにそのまま熱硬化反応に用いることができる。
本発明において、上述した芳香族ジアミンと反応させる液晶性ビスエポキシド化合物は、式(2)で表される。
Figure 0006725787
上記X1は、2価の芳香族基を表す。この2価の芳香族基としては、液晶性化合物のメソゲン構造となり得る剛直な基であれば特に限定されるものではなく、公知のメソゲン構造から適宜選択することができるが、本発明では、4,4′−ビフェニレンや、式(5)で表される2価の基が好ましい。
Figure 0006725787
上記R9〜R20は、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表すが、全て水素原子が好ましい。
なお、これらアルキル基およびアルコキシ基の具体例としては、上記と同様のものが挙げられる。
式(2)で示されるビスエポキシド化合物は、X1を含むジオール化合物(HO−X1−OH)と、エピクロルヒドリンとを原料とした公知の方法で製造することができる。
上述した式(1)で表されるBO基含有ジアミン(硬化剤)と、式(2)で表される液晶性ビスエポキシドとの熱硬化物の製造方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を適用することができる。
一例を挙げると、まず、液晶性ビスエポキシド、BO基含有ジアミンおよび溶媒を反応容器に入れ、撹拌して溶液または分散液とし、これをガラス基板上に塗布し、強制循環式乾燥器中、20〜100℃で10分〜12時間乾燥し、さら20〜100℃で30分〜12時間真空乾燥した後、これを真空中でゆっくり昇温していき、170〜270℃で10分〜4時間熱処理し、ビスエポキシドとジアミンを溶融させて硬化反応させることで液晶構造を保持した熱硬化物を得ることができる。
この場合、BO基含有ジアミンとビスエポキシドとの混合比(モル比)は、ジアミン1に対して、ビスエポキシド1〜4が好ましく、1.5〜3がより好ましい。
液晶性ビスエポキシドとBO基含有ジアミンとの混合物の調製時に用いられる溶媒としては、原料モノマー中のエポキシ基やアミノ基と反応しないものであれば特に限定されるものではなく、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジグライム、トリグライム等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これら実施例に限定されるものではない。なお、以下の例における物性値は、次の方法により測定した。
(1)赤外線吸収(FT−IR)スペクトル
フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光(株)製、FT−IR4100)を用い、KBr法で測定した。
(2)1H−NMRスペクトル
重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)を溶媒として、NMR分光装置(日本電子(株)製、ECP400)を用いて測定した。
(3)示差走査熱量分析(DSC)
示差走査熱量分析装置(ネッチ・ジャパン(株)製、DSC3100)を用い、窒素雰囲気中、昇温速度5℃/分で測定した。
(4)熱伝導率
熱硬化物の熱伝導率(λ)は、熱拡散率(α)、比熱(C)および密度(ρ)より、λ=α×C×ρの関係から求めた。熱拡散率は熱拡散率測定装置((株)アイフェイズ製、ai−Phase Mobile 1u)を用いて室温で測定した。熱硬化物の比熱は標準物質としてアルミナを使用し、上記示差走査熱量分析装置を用いて求めた。密度はキシレン−四塩化炭素混合溶媒系を使用し、密度勾配管((株)柴山科学器械製作所製、タイプA)を用いて30℃での値を求めた。
(5)光学異方性組織の観察
温度制御装置(メトラー・トレド(株)製、FP90)でコントロールされたホットステージ(メトラー・トレド(株)製、FP82HT)に試料をセットし、デジタルカメラ((株)ニコン製、Coolpix950)を備えた偏光顕微鏡(オリンパス(株)製、BX51)を用いて観察・撮影した。
[1]液晶性ビスエポキシドの製造
[合成例1]液晶性ビスエポキシド(13)の合成
Figure 0006725787
三口フラスコ内に、エピクロルヒドリン48.5mL(601mmol)を投入し、この中に、別の容器中で4,4’−ビフェノール5.59g(29.9mmol)をジメチルスルホキシド(DMSO)7.5mLに溶解した溶液を加えた。さらに、このフラスコ内に、触媒としてテトラメチルアンモニウムブロマイドをミクロスパーテルで3杯加え、80℃で40分加熱した。この溶液に、水酸化ナトリウム2.4gを水7.2mLに溶かした水溶液を3時間かけてゆっくり滴下した。次に室温まで放冷し、窒素雰囲気中で1時間撹拌して反応を終了とした。
析出物を濾別し、水およびメタノールでよく洗浄して70℃で12時間真空乾燥し、白色粉末を得た(収率53%)。これをイソプロパノール/クロロホルム(体積比2/1)混合溶媒に80℃で溶かし、不溶物を熱濾過して除去し、濾液を放冷して再結晶することにより精製した。この生成物の分析結果を以下に示す。これらの分析結果より、得られた化合物が、式(13)で表されるビスエポキシドであることが確認された。
FT−IR(KBr,cm-1):3010(芳香族C−H伸縮振動)、2928/2876/2836(脂肪族C−H伸縮振動)、1605(ビフェニレン)、1500(1,4−フェニレン)、1243(C−O−C伸縮振動)、910(エポキシ環).
1H−NMR(400MHz,CDCl3,δ,ppm):7.47(d,4H(実測積分強度4.00H),J=8.5Hz,4,4’−ビフェノールの2,2’,6,6’−プロトン)、6.97(d,4H(4.00H),J=8.7Hz,4,4’−ビフェノールの3,3’,5,5’−プロトン)、4.26(dd,2H(2.01H),J=11.0,3.2Hz,Ph−O−CH 2 )、4.00(dd,2H(1.98H),J=11.0,5.6Hz,Ph−O−CH 2 )、3.40−3.36(m,2H(1.97H),Ph−O−CH2CH)、2.93(t,2H(1.99H),J=4.5Hz),末端CH2)、2.79−2.78(m,2H(1.99H),末端CH2).
元素分析(分子量298.34):推定値C;72.47%、H;6.08%、分析値C;72.09%、H;6.11%
[合成例2]液晶性ビスエポキシド(15)の合成
Figure 0006725787
テレフタルアルデヒド3.00g(22.4mmol)および4−アミノフェノール4.91g(45.0mmol)を反応容器内に投入し、そこにDMSO15mLとエタノール30mL加えて溶液とした。この溶液に触媒として塩化亜鉛をミクロスパーテル1杯添加し、窒素雰囲気中、85℃で5時間還流した後、室温で放冷して12時間静置した。析出した沈殿物を濾別し、濾過物を水およびエタノールで洗浄して70℃で12時間真空乾燥し、式(14)で表されるジオール体(黄色粉末)を得た(収率84%)。
Figure 0006725787
このジオール体2.94g(9.31mmol)をDMSO15mLに加えて温めて溶かした溶液を、エピクロルヒドリン15mL(137mmol)に加え、さらにテトラアンモニウムブロマイドをミクロスパーテル2杯添加し、窒素雰囲気中、85℃で40分加熱した。この反応液に、水酸化ナトリウム0.76gを水4.3mLに溶かした水溶液を3時間かけてゆっくり滴下した。次に室温まで放冷し、窒素雰囲気中で1時間撹拌して反応を終了とした。析出物を濾別し、水およびメタノールでよく洗浄して70℃で12時間真空乾燥し、黄色白色粉末を得た(収率87%)。これをクロロホルムに60℃で溶かし、熱濾過して、不溶物を濾過・除去し、濾液を濃縮して生成物を回収した。この生成物の分析結果を以下に示す。これらの分析結果より、得られた化合物が、式(15)で表されるビスエポキシドであることが確認された。
FT−IR(KBr,cm-1):3004(芳香族C−H伸縮振動)、2931/2878(脂肪族C−H伸縮振動)、1619(C=N伸縮振動)、1509/1497(1,4−フェニレン)、1253(C−O−C伸縮振動)、917(エポキシ環).
1H−NMR(400MHz,CDCl3,δ,ppm):8.53(s,2H(実測積分強度2.03H),N=CH)、7.99(s,4H(4.00H),中央フェニレンの2,3,5,6−プロトン)、7.26(m,4H(4.16H),4−アミノフェノール部位の3,3’,5,5’−プロトン)、6.97(m,4H(4.07H),4−アミノフェノール部位の2,2’,6,6’−プロトン)、4.27(dd,2H(2.02H),J=11.0,3.2Hz,Ph−O−CH 2 )、4.02−3.97(m,2H(2.07H),Ph−O−CH 2 )、3.41−3.37(m,2H(1.99H),Ph−O−CH2CH)、2.93(t,2H(2.04H),J=4.5Hz),末端CH2)、2.80−2.78(m,2H(2.09H),末端CH2).
元素分析(分子量428.49):推定値C;72.88%、H;5.65%、N;6.54、分析値C;72.25%、H;5.74%、N;6.55
[2]BO基含有ジアミンの製造
[実施例1−1]ジアミン(12)の合成
Figure 0006725787
三口フラスコ内に、4−アセトキシ安息香酸36.62g(200mmol,東京化成工業(株)製)および適当量の塩化チオニルを投入し、触媒としてDMFを数滴加え、窒素雰囲気中、80℃で3時間環流した。反応後、ベンゼンを適当量添加して塩化チオニルを減圧しながら共沸留去し、30℃で12時間真空乾燥して式(7)で表される塩素化物を無色液体として得た(収率98%)。
反応容器内で、得られた塩素化体3.12g(15.7mmol)を、十分に脱水したγ−ブチロラクトン(GBL)6mLに溶かし、セプタムキャップで密栓してA液とした。次に、別の容器内で、式(8)で表される2−アミノ−4−ニトロフェノール2.34g(15.2mmol)をGBL5mLに溶かし、さらに脱酸剤としてピリジン2.5mLを加えて同様に密栓してB液とした。
A液を氷浴で冷やして撹拌しながら、A液にB液をシリンジにてゆっくりと滴下し、数時間撹拌した後、室温で12時間撹拌してアミド化を行った。この溶液に酸触媒としてp−トルエンスルホン酸2.59g(15.0mmol)を加え、窒素雰囲気中、200℃で7時間環流した。反応終了後、過剰な溶媒をエバポレーターで留去・濃縮し、これを大量の水中に滴下して沈殿を析出させた。析出物を濾別し、濾過物を水およびメタノールで洗浄して120℃で12時間真空乾燥し、黒色粉末を得た(収率43%)。この生成物は、式(9)で表されるアセトキシ体と式(10)で表されるアセトキシ体の加水分解物の混合物であった。
次に、この混合物1.62gに、25%アンモニア水3.5mLおよびDMF10mLを加え、室温で5時間撹拌し、加水分解を完結させた。反応後、これに希塩酸を加えて弱酸性とし、沈殿を析出させて濾別した。濾過物を水で洗浄し、120℃で12時間真空乾燥して式(10)で表される純粋な加水分解物を得た(融点272℃、収率82%)。
続いて、三口フラスコ中に、式(10)で表される化合物0.914g(3.57mmol)、1,8−ジブロモオクタン0.48g(1.76mmol)、炭酸カリウム0.386g(2.79mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)5mLを入れ、窒素雰囲気中、100℃で7時間還流した。反応後、大量の水中に反応混合物を滴下して沈殿を析出させた。これを濾別してメタノールで洗浄し、90℃で12時間真空乾燥し、式(11)で表されるジニトロ体を黄土色粉末として得た(収率31%)。
最後に、反応容器中、得られたジニトロ体0.640g(1.03mmol)にDMF30mL加えて溶解し、Pd/C0.065gを加え、水素雰囲気中、110℃で6時間還流した。反応溶液をエバポレーターで濃縮後、大量の水中に滴下して沈殿を析出させた。析出物を濾別してメタノールで洗浄し、70℃で12時間真空乾燥して肌色粉末を得た(収率56%)。この生成物の分析結果を以下に示す。これらの分析結果より、得られた化合物が、式(12)で表される目的とするBO基含有ジアミンであることが確認された。
FT−IR(KBr,cm-1):3415/3347/3222(アミン,N−H伸縮振動)、3049(芳香族C−H伸縮振動)、2937/2919/2853(脂肪族C−H伸縮振動)、1610(C=N伸縮振動)、1500(1,4−フェニレン)、1252(C−O−C伸縮振動).
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6,δ,ppm):8.04(d,4H(実測積分強度3.82H),J=8.8Hz,O−Phの3,3’,5,5’−プロトン)、7.36(d,2H(2.05H),J=8.6Hz,BO基の7,7’−プロトン)、7.11(d,4H(3.95H),J=8.9Hz,O−Phの2,2’,6,6’−プロトン)、6.83(sd,2H(2.01H),J=2.1Hz,BO基の4,4’−プロトン)、6.62(dd,2H(2.00H),J=8.6,2.1Hz,BO基の6,6’−プロトン)、5.08(s,4H(3.93H),アミン)、4.07(t,4H(4.07H),J=6.4Hz,CH 2 −O−Ph)、1.75(m,4H(4.04H),CH 2 −CH2−O−Ph)、1.45−1.38(m,8H(8.12H),O−CH2−CH2(CH 2 4 −CH2−CH2−O).
元素分析(分子量562.67):推定値C;72.58%、H;6.09%、N;9.96%、分析値C;72.33%、H;6.13%、N;9.93%
[実施例1−2]ジアミン(16)の合成
Figure 0006725787
1,8−ジブロモオクタンを用いる代わりに1,10−ジブロモデカン(1.76mmol)を使用した以外は、実施例1−1と同様にしてBO基含有ジアミンを合成した。この生成物の分析結果を以下に示す。これらの分析結果より、得られた化合物が、式(16)で表されるBO基含有ジアミンであることが確認された。
FT−IR(KBr,cm-1):3416/3346/3226(アミン,N−H伸縮振動)、3049(芳香族C−H伸縮振動)、2938/2919/2852(脂肪族C−H伸縮振動)、1609(C=N伸縮振動)、1500(1,4−フェニレン)、1253(C−O−C伸縮振動).
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6,δ,ppm):8.04(d,4H(実測積分強度4.01H),J=8.9Hz,O−Phの3,3’,5,5’−プロトン)、7.36(d,2H(2.05H),J=8.6Hz,BO基の7,7’−プロトン)、7.10(d,4H(4.10H),J=9.0Hz,O−Phの2,2’,6,6’−プロトン)、6.83(sd,2H(2.00H),J=2.1Hz,BO基の4,4’−プロトン)、6.62(dd,2H(2.09H),J=8.6,2.2Hz,BO基の6,6’−プロトン)、5.07(s,4H(3.99H),アミン)、4.06(t,4H(4.01H),J=6.5Hz,CH 2 −O−Ph)、1.77−1.70(m,4H(3.98H),CH 2 −CH2−O−Ph)、1.43−1.32(m,12H(12.09H),O−CH2−CH2(CH 2 6 −CH2−CH2−O).
[実施例1−3]ジアミン(17)の合成
Figure 0006725787
1,8−ジブロモオクタンを用いる代わりに1,12−ジブロモデカン(1.76mmol)を使用した以外は、実施例1−1と同様にしてBO基含有ジアミンを合成した。この生成物の分析結果を以下に示す。これらの分析結果より、得られた生成物が、式(17)で表されるBO基含有ジアミンであることが確認された。
FT−IR(KBr,cm-1):3423/3344/3226(アミン,N−H伸縮振動)、3057(芳香族C−H伸縮振動)、2921/2850(脂肪族C−H伸縮振動)、1608(C=N伸縮振動)、1500(1,4−フェニレン)、1251(C−O−C伸縮振動).
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6,δ,ppm):8.04(d,4H(実測積分強度4.03H),J=8.8Hz,O−Phの3,3’,5,5’−プロトン)、7.36(d,2H(2.05H),J=8.6Hz,BO基の7,7’−プロトン)、7.10(d,4H(4.03H),J=8.9Hz,O−Phの2,2’,6,6’−プロトン)、6.83(sd,H(2.02H),J=2.2Hz,BO基の4,4’−プロトン)、6.62(dd,2H(2.00H),J=8.6,2.2Hz,BO基の6,6’−プロトン)、5.07(s,4H(4.05H),アミン)、4.05(t,4H(4.05H),J=6.4Hz,CH 2 −O−Ph)、1.77−1.70(m,4H(4.01H),CH 2 −CH2−O−Ph)、1.42−1.28(m,16H(16.11H),O−CH2−CH2(CH 2 8 −CH2−CH2−O)。
[実施例1−4]ジアミン(18)の合成
Figure 0006725787
2−アミノ−4−ニトロフェノールを用いる代わりに、その異性体である2−アミノ−5−ニトロフェノールを使用するとともに、1,8−ジブロモオクタンを用いる代わりに1,12−ジブロモデカン(1.76mmol)を使用した以外は、実施例1−1と同様にしてBO基含有ジアミンを合成した。この生成物の分析結果を以下に示す。これらの分析結果より、得られた生成物が、式(18)で表されるBO基含有ジアミンであることが確認された。
FT−IR(KBr,cm-1):3327/3226(アミン,N−H伸縮振動)、2920/2851(脂肪族C−H伸縮振動)、1619(C=N伸縮振動)、1500(1,4−フェニレン)、1250(C−O−C伸縮振動).
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6,δ,ppm):7.98(d,4H(実測積分強度3.95H),J=8.9Hz,O−Phの3,3’,5,5’−プロトン)、7.36(d,2H(2.00H),J=8.4Hz,BO基の4,4’−プロトン)、7.08(d,4H(4.03H),J=8.9Hz,O−Phの2,2’,6,6’−プロトン)、6.79(sd,2H(2.01H),J=1.9Hz,BO基の7,7’−プロトン)、6.61(dd,2H(2.00H),J=8.5,2.0Hz,BO基の5,5’−プロトン)、5.38(s,4H(3.97H),アミン)、4.04(t,4H(4.02H),J=6.4Hz,CH 2 −O−Ph)、1.76−1.69(m,4H(4.03H),CH 2 −CH2−O−Ph)、1.42−1.28(m,16H(16.00H),O−CH2−CH2(CH 2 8 −CH2−CH2−O).
[3]熱硬化物の作製と熱伝導率評価
[実施例2−1]
合成例2で得られた式(15)で表される液晶性ビスエポキシド0.165g(0.38mmol)、実施例1−1で得られた式(12)で表されるBO基含有ジアミン0.108g(0.19mmol)およびテトラヒドロフラン(THF)2.9mLを容器中に入れて密栓し、これを氷浴中で冷やしながら10分間撹拌して分散液とした。
室温に戻した後、この分散液をガラス基板上に流延し、強制循環式乾燥器中30℃で30分乾燥し、さらに30℃で1時間真空乾燥してTHFを完全に除去して混合粉末を得た。これを真空中でゆっくり昇温していき、250℃で1時間保持して膜厚39μmの熱硬化物を得た。
上記混合粉末の一部を用いて、DSCによる液晶転移温度や熱硬化温度の測定および、偏光顕微鏡による光学異方性組織の観察・撮影を行った。
DSC測定を行ったところ、この混合試料は昇温過程において、168.2℃で融解の吸熱ピークを示した後、直ぐに硬化反応に伴う発熱反応が起こり、190.1℃に発熱ピークを示した。
偏光顕微鏡観察では、171.6〜186.0℃の温度範囲で液晶相が見られた。
一方、別途作製した硬化物の熱拡散率は1.96×10-72/sであり、比熱1.016J/(g・K)、密度1.292g/cm3より、熱伝導率λは0.257W/(m・K)であり、この熱硬化物は比較的良好な熱伝導率を有していた。また、この熱硬化物の5%重量減少温度は窒素雰囲気中で351℃であった。
[比較例2−1]
市販のポリイミドフィルム(宇部興産(株)製、ユーピレックスS、膜厚約25μm)の熱拡散率は7.10×10-82/sであった。比熱1.13J/(g・K)、密度1.47g/cm3の値を用いて、熱伝導率λを求めたところ、0.118W/(m・K)と低い値であった。
[比較例2−2]
合成例1で得られたビスエポキシドと汎用のジアミンとして4,4’−メチレンジアニリンを用いて、実施例2−1に記載した方法と同様にして混合粉末試料を作製し、200℃で1時間保持して熱硬化物を作製した。この熱硬化物の熱拡散率は1.21×10-72/sであり、比熱1.364J/(g・K)、密度1.268g/cm3であり、これより熱伝導率λは0.209W/(m・K)と求められた。
[4]熱硬化物の熱伝導率に対する電場印加の効果
[実施例3−1]
実施例2−1で用いたビスエポキシドとジアミンより、実施例2−1の方法と同様にして混合粉末の層をITO電極付ガラス基板上に形成した。これを250℃に設定したブロックヒーターに入れ、20秒保持して、混合粉末を溶融させた。これをITO電極で挟んでセルを作製し、ホットステージ内に挿入後、15.35kV/cmの直流電圧を印加しながら180℃まで昇温し、180℃で30分間保持して熱硬化させた。次に室温まで放冷後、電圧印加を解除し、さらに真空中250℃で1時間ポストキュアを行った。このITOセルをお湯に浸漬してITO付ガラス基板を剥離した。この熱硬化物の熱拡散率は3.13×10-72/s、比熱1.214J/(g・K)、密度1.285g/cm3であり、これより熱伝導率λは0.488W/(m・K)と求められた。このようにこの熱硬化物は良好な熱伝導率を有していた。

Claims (7)

  1. 式(1)で表されることを特徴とする芳香族ジアミン。
    Figure 0006725787
    (式中、R1〜R8は、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、mは2〜14の整数を表す。)
  2. 式(3)または(4)で表される請求項1記載の芳香族ジアミン。
    Figure 0006725787
    (式中、mは、互いに独立して、前記と同じ意味を表す。)
  3. 前記mが、6、8、10または12である請求項2記載の芳香族ジアミン。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の芳香族ジアミンと、式(2)で表される液晶性ビスエポキシドとの熱硬化物。
    Figure 0006725787
    (式中、X1は、2価の芳香族基を表す。)
  5. 前記X1が、式(5)で表される請求項4記載の熱硬化物。
    Figure 0006725787
    (式中、R9〜R20は、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
  6. 前記R9〜R20が、水素原子である請求項5記載の熱硬化物。
  7. 請求項4〜6のいずれか1項記載の熱硬化物からなる半導体素子のアンダーフィル材。
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