JP6725325B2 - ネオジム合金製造用の窒化ホウ素ノズルおよび当該ノズルを用いたネオジム合金の製造方法 - Google Patents

ネオジム合金製造用の窒化ホウ素ノズルおよび当該ノズルを用いたネオジム合金の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ネオジム合金を製造する装置において用いられる、製造が容易で長寿命な、溶融金属吐出用のノズルに関するものである。
電車・ハイブリッドカー・エレベーターの駆動には、永久磁石同期電動機が必要であり、磁束密度が高く、高い磁力を有する永久磁石を用いると効率が良くなるため、最も強力とされているネオジム合金磁性体(または一般に「ネオジム磁石」とも称する)が使用される。ネオジム磁石は他にもハードディスクドライブ、CDプレーヤー、携帯電話など小型機器での使用例も多く、今後更に適用範囲が拡大していく材料であると考えられている。
ネオジム磁石の主成分はネオジム、鉄、ホウ素であり、これらの原料溶融金属(金属溶湯)をノズルやスリット、或いはタンディッシュ等から急冷ディスクに供給することで、固体の合金が得られる。ネオジム磁石は、得られた合金を粉砕工程、成形工程、焼結工程、磁化工程で処理することで製造される。そのため、ネオジム磁石の製造工程には、溶融金属を供給するための部材を備えた製造装置が必要である。
ネオジムを含んだ溶融金属を急冷して得られる合金の効率的な製造にあたっては、冷却ディスクに一定量の原料溶融金属を長時間連続して供給することで可能となる。またネオジム磁石の製造では、その原料溶融金属を急冷することによって、強力な磁石となりうる組織を形成している。このため、ネオジムを含んだ合金を一定の品質を保ちつつ得るためには、一定量の原料溶融金属が、原料溶融金属を供給する部材から冷却ディスクへと供給されつづけることが重要である。原料溶融金属を供給する部材は、製品品質の維持のために、定期的に消耗品として交換されることになる。
原料溶融金属を供給する部材のうちの特にノズルやスリットでは、ネオジムを含んだ金属溶湯の吐出に長時間耐えうる材料であることが重要であり、耐食性、耐摩耗性に優れた材料として主に窒化ホウ素製の部材が使用されている。
ネオジム金属は酸素成分との反応性が高いので、ネオジム金属と酸素成分との反応から安定な酸化ネオジムを形成しやすい。その結果、従来技術では製造されるネオジム磁石にタンディッシュを構成する成分由来の金属不純物が混入してしまい、好ましくない。また、反応の進行でタンディッシュが浸食され、安全上の問題も発生する可能性がある。従来技術に係る特許文献1では、溶融シリカの含有量70重量%以上のセラミックスを用いてなるタンディッシュとBN含有量20重量%以上のセラミックス製注入部(ノズル)が開示されているが、このような従来技術に係るタンディッシュおよび注入部であっても、ネオジム金属とタンディッシュを構成する成分由来との反応によって酸化ネオジムが形成され、タンディッシュ由来の不純物がネオジム磁石に混入してしまう可能性が考えられる。
また均一な組成のネオジム磁石を得るためには、原料溶融金属を均一に冷却する必要があるが、そのように均一な冷却をするには、原料溶融金属の吐出流量を一定にする必要がある。このため、ノズルの吐出口の摩耗或いは閉塞を抑制することが重要である。吐出量が不安定になる原因として、前述のタンディッシュやノズルの摩耗のみならず、他に、金属溶湯とノズルを構成する成分との反応によって生じた反応生成物がノズルの部分的な詰まりを引き起こし、吐出速度の不安定さを招くと考えられる。従来技術に係る特許文献2では、吐出される合金溶湯の温度を設定して、ノズルの少なくとも合金溶湯の吐出路を構成する表面付近が非酸化物材料から構成されることなどを記載しているが、反応性にきわめて富むネオジム金属を含む合金溶湯を考慮したものとは言えず、ネオジム金属からの反応生成物によるノズルの詰まりを防止できないおそれが高い。
また特許文献3では、アルミナと酸化ホウ素との化合物或いは窒化アルミニウムを添加することで耐溶損性の優れたノズルになることや、酸化ジルコニウムを添加することで高温での耐摩耗性が向上することを見出してはいる。
しかしながらネオジム磁石の製造を行う場合には、特許文献3に記載の金属酸化物では、特許文献1に記載のものと同様、ネオジムとの反応性に富むために不純物としてのBやAlが生成物中に混入してしまい、安定的な製造が難しくなるという問題が発生する。より具体的には、窒化アルミニウムおよび窒化珪素は粒子の表面が大気中の酸素や水分によって容易に酸化されるため、表面が酸化された窒化アルミニウム或いは窒化珪素とネオジムが反応して不純物としてのAlやSiがネオジム磁石に混入してしまうという好ましくない特徴を従来技術は有する。
特開2002−336941号公報 特開2002−231547号公報 特開平03−264156号公報
上述した事情に鑑み、ネオジム合金の製造装置に於いて、窒化ホウ素ノズルの高密度化および高硬度化を図り、溶融金属による窒化ホウ素ノズルの摩耗を防ぐことができ、さらにノズル成分とネオジム金属との反応を抑制し、ノズルの閉塞を防ぐことができる新規な技術が希求されている。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の手段を採用する。
(1)
ネオジム合金製造用の、窒化ホウ素を含む焼結体から構成されるノズルであって、
窒化ホウ素を50.0wt%以上97.5wt%以下の割合で含み、
不可避的な不純物を除いてAl、Zr、Mg、Si、もしくはHfの酸化物または窒化物を含まないことを特徴とする、ネオジム合金製造用のノズル。
(2)
(1)に記載のノズルであって、含有するCaの重量比率が、CaOに換算した量で0.3wt%以上12.5wt%以下であり、かつ含有するYの重量比率が、Y23に換算した量で1.0wt%以上40.0wt%以下であることを特徴とするノズル。
(3)
(2)に記載のノズルであって、Y23に対するCaOの割合(Y23/CaOの値)がモル比にて0.2以上1.5以下であることを特徴とするノズル。
(4)
(1)から(3)のいずれか一項に記載のノズルであって、ネオジム元素を15wt%以上35wt%以下で含有するネオジム合金の製造に用いられることを特徴とするノズル。
(5)
(1)から(4)のいずれか一項に記載のノズルであって、ショア硬度が11Hs以上である、ノズル。
(6)
ネオジム合金の製造方法であって、
酸素含有量が1.5wt%以下である窒化ホウ素を含んだ原料を焼結し、窒化ホウ素を含む焼結体から構成されるノズルを作成するステップと、
溶融部にネオジムを含む材料を投入し加熱して溶湯とするステップと、
前記溶湯を、窒化ホウ素を含む焼結体から構成される前記ノズルを通して冷却部へ送るステップと、
前記冷却部において溶湯を凝固させ、ネオジム合金を得るステップと
を含み、
前記ノズルは、窒化ホウ素を50.0wt%以上97.5wt%以下の割合で含み、かつ、
前記ノズルは、不可避的な不純物を除いてAl、Zr、Mg、Si、もしくはHfの酸化物または窒化物を含まない
ことを特徴とする、製造方法。
(7)
前記原料が、前記原料全体の量を基準として、0.3wt%以上12.5wt%以下のCaOと、1.0wt%以上40.0wt%以下のY23を含む、(6)に記載の製造方法。
(8)
23に対するCaOの割合(Y23/CaOの値)がモル比にて0.2以上1.5以下であることを特徴とする、(7)に記載の製造方法。
(9)
前記ネオジム合金が、ネオジム元素を15wt%以上35wt%以下で含有することを特徴とする、(6)から(8)のいずれか一項に記載の製造方法。
(10)
前記ノズルのショア硬度が11Hs以上である、(6)から(9)のいずれか一項に記載の製造方法。
(11)
(1)から(5)のいずれか一項に記載のノズルと、
前記ノズルを支持するための、窒化ホウ素を含む焼結体から構成される支持部材と
を含む、ネオジム合金製造装置。
(12)
前記支持部材が、10MPa以上の3点曲げ強さおよび3ppm/K以下の線熱膨張係数を有する、(11)に記載のネオジム合金製造装置。
(13)
前記支持部材が、前記ノズルと同じ窒化ホウ素を含む焼結体から構成される、(11)または(12)に記載のネオジム合金製造装置。
本発明の窒化ホウ素製のノズルは、ネオジムを含んだ金属溶湯に対する耐食性に優れるため、ネオジム合金の製造で用いた際に長い耐用寿命を有することができ、効率的かつ安定的なネオジム合金の製造を可能とする。
図1はネオジム合金粉末を製造する装置の構造を示す概略図である。
本発明の実施形態に係る溶融金属吐出用ノズルは、耐熱性および耐熱衝撃性を確保するために、窒化ホウ素(BN)を50.0wt%以上含む。窒化ホウ素は、代表的な難焼結性のセラミックスであるため、焼結助剤を添加しないと高密度の焼結体を得ることは困難である。窒化ホウ素が有する酸素量、すなわち酸化ホウ素を焼結助剤の代替として使用することも考えられるが、本発明の実施形態においては焼結体の原料となる窒化ホウ素は、不可避的に混入する酸化ホウ素を除き、酸化ホウ素を実質的に含有しないことが好ましい。なお「不可避的に混入する酸化ホウ素」の量は、窒化ホウ素の比表面積に応じて変化しうる(例えば、窒化ホウ素の粉末の粒径に応じて変化する)ものである。しかし例えば酸化ホウ素の量は、焼結体の原料として使用できる窒化ホウ素の粉末が平均粒径18μm程度の場合には、酸素含有量に換算して1.5wt%以下、好ましくは1.0wt%以下、より好ましくは0.5wt%以下、さらに好ましくは0.3wt%以下とすることができる。そしてこのように酸素含有量が非常に少ない場合には、焼結助剤として金属酸化物を用いることが望ましく、焼結助剤としての金属酸化物の添加量は、2.5wt%以上が好ましい。これに応じて、窒化ホウ素の上限は97.5wt%が好ましい。窒化ホウ素の比率が高すぎると、焼結体の硬度が不足しノズルとして不適となる問題がありえる。また窒化ホウ素の比率が低すぎると、焼結体の開気孔率が高くなりすぎノズルとしての耐用寿命に悪影響が出ることがありえる。また、上記したように、不可避的に混入する量のみしか実質的に含まれない含有量で酸素を有する窒化ホウ素を原料とする場合、その原料から得られる焼結体もまた酸化ホウ素を不可避的に混入する量のみしか実質的に含まないものとすることができる。
本発明の実施形態に係るノズルを構成する焼結体は、不可避的な不純物(すなわち、製造工程上の混入の阻止が現実的とは言えない不純物)を除き、Al、Zr、Mg、Si、もしくはHfの酸化物または窒化物を含まないことが望まれる。これは、そうした元素の酸化物や窒化物は、金属ネオジムに対する反応性が高いため、当該反応から生じる望ましからざる作用を充分に克服できない問題を有しうるためである。
窒化ホウ素含有量は、ホウ素と窒素含有量を測定して得られるが、本発明に於いては、後述するように、従来技術に係る窒化ホウ素焼結体では最も一般的に使用されるホウ酸やホウ酸系の助剤を使用しない。このために、焼結体を粉砕してホウ素含有量のみを測定し、BN組成を仮定して窒化ホウ素含有量を求めることもできる。
窒化ホウ素焼結体を構成する含有成分は、例えば蛍光X線分析装置(XRF)、エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)、原子吸光光度計(AAS)、プラズマ発光分光分析装置(ICP)などによって測定することができる。
ノズルの耐用寿命は、溶融金属を吐出することにともなう損傷の速さによって定まるのが一般的である。このため本発明の実施形態に係るノズルでは、ネオジムを含んだ金属溶湯に対する耐摩耗性を確保するため、以下のような特徴を有することが好ましい。すなわち溶融金属は、ノズルとの接触表面から連通細孔、すなわち開気孔を通って厚み方向に侵食するため、ノズルは緻密で開気孔の少ない材質からなることが好ましい。例えば窒化ホウ素焼結体中のCaO(カルシア)の量が0.3wt%以上12.5wt%以下、より好ましくは0.6wt%以上12.5wt%以下であり、かつY23(イットリア)の量が1.0wt%以上40.0wt%以下、より好ましくは1.9wt%以上38.0wt%以下となるようにすると、開気孔率の低い窒化ホウ素焼結体を得ることができる。本発明の実施形態に係るノズルは、開気孔率が好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下とすることができる。開気孔率が高すぎると、ネオジムを含んだ金属溶湯による耗が速すぎ、耐用寿命が短くなってしまう問題が発生しうる。なお、焼結体中の酸化カルシウムの量および酸化イットリウムの量はそれぞれ、焼結体中に含まれるカルシウム元素およびイットリウム元素の量から算出できる換算量である。本明細書中では、別段の断わりがないかぎりは、酸化カルシウムとは無水酸化カルシウムのことを指す。また、本明細書において値の範囲を示す記号チルダ「〜」は、特段の断わりがないかぎりは下限値と上限値を含む「…以上、…以下」の意味を有する。
好ましくは、焼結助剤としてのY23に対するCaOの割合(Y23/CaOの値)は、モル比にて0.1以上4.0以下、より好ましくは0.1以上2.0以下、さらに好ましくは0.2以上1.5以下とする。Y23がCaOに対して多すぎる(上記割合が大きすぎる)、またはY23がCaOに対して少なすぎる(上記割合が小さすぎる)と、焼結体をノズルとして使用したときに耐耗性が劣るおそれがある。なお、特定の理論に束縛されることを望むものではないが、Y23とCaOのモル比を例えば上記のように適切に設定することで、焼結後に適切な組成のイットリウムとカルシウムの化合物が得られ、焼結体に好ましい物性をもたらすと想定される。また、本発明の実施形態に係る焼結体の製造にあたっては、焼結温度は組成に応じて選択できるが、例えば1600℃以上2050℃以下の範囲の温度で焼結することができる。また本発明の実施形態に係る焼結体の製造にあたっては、窒素雰囲気などの不活性雰囲気下で行うことができる。
焼結体における開気孔率は、JIS R 1634:1998「ファインセラミックスの焼結体密度・開気孔率の測定方法」に準拠したアルキメデス法により算出することができる。また窒化ホウ素焼結体の寸法と質量から嵩密度を求めることができ、嵩密度と理論密度から全気孔率を算出することができる。焼結体における全気孔率は好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以上20%以下の範囲とすることができる。
また焼結体における閉気孔率は、前述の方法で算出した全気孔率と開気孔率の差から算出できる。
本発明の実施形態に係るノズルにおいては、ショア硬度が11Hs以上であることが好ましく、12Hs以上であることがさらに好ましい。ショア硬度が低すぎると、溶湯に対するノズルとしての耐耗性が低くなりすぎて耐用寿命が短くなってしまう欠点がありえる。ショア硬度の上限には特に制限は無いが、加工性を考慮すると例えば70Hs以下、好ましくは60Hs以下であってもよい。一般的に窒化ホウ素焼結体には気孔が存在するため、乾式加工が採用されており、ショア硬度が高すぎると、加工工具の耗が激しくなり生産性が低下する。
図1は、ネオジム合金粉末を製造する装置の構造を示す概略図である。溶融部(坩堝)2に投入されたネオジムを含む金属は、加熱部(ヒーター)3によって溶融され溶融金属(溶湯)1となる。加熱部(ヒーター)4で加熱されるノズル5を、溶融金属1が通り、冷却部(ディスクまたはロール)6に送られて凝固することで、ネオジム合金粉末が得られる。またこの図1に示した態様では、ノズル5を支持するための支持部材7も描いてある。
本発明の実施形態においては、製造されるネオジム合金が、ネオジム(元素)を15wt%以上35wt%以下で含有することが好ましく、18wt%以上35wt%以下で含有することがさらに好ましく、20wt%以上35wt%以下で含有することがよりさらに好ましい。ネオジムの量が少なすぎると、得られる合金に期待する性能(例えば、ネオジム磁石としての磁力)が不十分になるおそれがある。
また本発明の実施形態においては、上述したノズルを支持するための支持部材(例えばノズル固定部品)を、上述したノズルと組み合わせて使用する態様も提供される。この支持部材は好ましくは、窒化ホウ素焼結体を含むように構成される。これは、ノズルと支持部材を同様の材料から構成することで、ノズル使用時に掛かる高温による熱膨張を受けても支持部材が破損しづらいという効果を奏することができるためである。例えば、ノズルと支持部材が同じ組成の窒化ホウ素焼結体から作成されていてもよいし、あるいは支持部材は下記の好ましい物性を有するような他の組成の窒化ホウ素焼結体から作成されていてもよい。
上記支持部材は、JIS R1601:2008に則って測定される3点曲げ強さが10MPa以上であることが好ましく、またJIS R1618:2002に則って測定される線熱膨張係数が3ppm/K以下であることが好ましい。このような3点曲げ強さと線熱膨張係数を有する窒化ホウ素焼結体製の支持部材は、窒化ホウ素焼結体製のノズルと好適に組み合わせて使用可能である。
本発明の或る実施形態においては、上述したノズルと支持部材とを含んだ、ネオジム合金製造装置を提供可能である。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明する。
粒度は、ヘキサメタリン酸ナトリウムの20wt%水溶液2mlを混ぜた純水200cc中に、測定サンプル60mgを投入し、超音波ホモジナイザー(日本精機製作所製、商品名「US−300」)で3分間分散させた後、マイクロトラック(日機装社製、商品名「MT3300EXII」)により測定した。マイクロトラックの循環器の溶媒には純水を使用し、測定サンプルが適正濃度になるまで調整した。
ショア硬度は、作製した窒化ホウ素焼結体から幅4mm×長さ40mm×厚さ3.0mmの試料に加工し、島津製作所社製のD型を用いてJIS Z 2246:2000に準じて測定した。
酸素量は、堀場製作所社製のO/N同時分析機(EMGA−620W/C)を用い測定した。
窒化ホウ素焼結体を構成する含有成分の分析は以下のように行った。すなわち、窒化ホウ素焼結体を窒化ケイ素乳鉢で粉砕し、Alリングにブリケット成型してから、蛍光X線(XRF)分析装置(リガク社製、PrimusII)を用いて測定した。XRFで検出された元素の量は、酸化物換算にて算出した。
(実施例1〜11、比較例1〜4に共通する製法)
窒化ホウ素粉末(デンカ株式会社製、酸素含有量1.0wt%、平均粒径20μm)と、CaO粉末(キシダ化学社製、平均粒径30μm)と、Y23粉末(阿南化成社製、平均粒径4.5μm)とを種々の割合で10Lの円柱状樹脂ポットにφ10mmの窒化ケイ素メディアと共に充填し、ボールミルで2時間混合し、表1に示す窒化ホウ素の混合粉末を得た。この混合粉末を一軸成型後、窒素雰囲気下、温度2000℃、加圧力12MPaでホットプレス焼結してセラミックス焼結体を作製した。この焼結体を加工し、外径60mm、内径30mm、高さ150mmの窒化ホウ素焼結体を得た。また、ホットプレス焼結して得られた窒化ホウ素焼結体の残部を窒化ケイ素乳鉢で粉砕し、XRFによる含有成分の測定を行った。その結果、表1記載の条件で焼結して得られた窒化ホウ素焼結体はB、Ca、Yの金属元素を表1に示す量と実質的に等しい量を有することを確認した。その他の金属元素は焼結体中に確認されなかった。これはすなわち、Al、Zr、Mg、Si、およびHfの酸化物および窒化物が、焼結体中に含まれていないことを裏づける結果である。
(実施例1)
表1の実施例1記載の原料は、上記ホットプレス条件にて処理し、ノズルの形状になるよう加工した。得られた窒化ホウ素ノズルの開気孔率は0.7%、ショア硬度は14Hsであった。
1350℃に加熱した21.5wt%Nd−76.5wt%Fe−1.0wt%B−1.0wt%Dyの配合比のNd混合物を金属溶湯として用いた。この金属溶湯を、窒素ガス雰囲気下にて、1300℃まで予備過熱を行った実施例1のノズルに通して、15時間連続しての鋳造を行った。実施例1のノズルを使用した場合、鋳造中にノズルの詰まりは確認されなかった。使用したノズル部の摩耗状態を確認するため、冷えて固まった鋳造物ごとノズルを切断し、使用後のノズルの先端部の厚みを測定した。その結果、ノズル径の摩耗が使用前を基準として23%であることがわかった。
(実施例2〜11)
表1の実施例2〜11記載の原料は、実施例1と同様の処理を行い、ノズル形状に加工した。これらのノズルを、実施例1の記載と同様連続鋳造を行い、冷却後にそのノズルを切断し、ノズルの厚みを確認した。
実施例2〜実施例9のノズルは開気孔率0.2〜1.0%、ショア硬度15〜24Hsであり、ノズル径の摩耗は6〜27%であった。また、実施例10のノズルは開気孔率1.5%、ショア硬度18Hs、ノズル径の摩耗は46%であった。実施例11のノズルは開気孔率2.5%、ショア硬度18Hs、ノズル径の摩耗は52%であった。このことから、実施例2〜実施例9は、実施例10および実施例11に比べて、ノズルの摩耗をさらに抑制でき、より一層優れたノズルであることがわかった。また、いずれの実施例においてもノズルに割れ(欠損)は無く、ノズルとしての性能に大きな問題はないことがわかった。
(比較例1〜4)
表1の比較例1〜4記載の原料を、実施例1と同様の処理を行い、ノズル形状に加工した。比較例1〜4は、開気孔率が7.3〜23.0%と実施例1〜11に比べて高くなった。さらに比較例1および比較例3はショア硬度が10Hsと低くなった。
これらの比較例に係るノズルを、実施例1と同様の鋳造処理に掛けた。比較例1は8.5時間、比較例3は6時間の連続鋳造後に鋳造物の吐出量を制御できなくなり、安定した鋳造を維持することができなかった。ノズルの状態を確認するため、連続鋳造を止め、徐冷した後、固化した鋳造物の観察を行った。その結果、ノズルは、ノズルの吐出口から垂直方向に向かって18mmの部分までが欠損していた。さらにノズルを切断し、ノズル先端部のノズル径の摩耗が90%〜97%であることを確認した。ノズルに割れ(欠損)が生じると正常な使用ができないため、ノズルとしての性能には大きな問題があることになる。
また比較例2は11時間、比較例4は9.5時間の連続鋳造後に鋳造物の吐出量を制御できなくなり、安定した鋳造を維持することができなかった。ノズルの状態を確認するため、連続鋳造を止め、徐冷した後、固化した鋳造物の観察を行った。その結果、ノズルの吐出口から垂直方向に向かって48mmの部分までが折れて欠損していた。さらにノズルを切断し、ノズル先端部のノズル径の摩耗が38%〜48%であることを確認した。原因として比較例2および比較例4は、ノズルの硬度が25Hsと高く、摩耗の具合は小さかったが、開気孔率が大きいため、ノズル側面部から金属溶湯の染み出しが発生し、欠損したものと考えられる。比較例1および比較例3は、ショア硬度が10Hsであり、ノズルの摩耗が顕著に進行し、その結果、ノズルの欠損が発生したと考えられる。また比較例2および比較例4が他の比較例に比べて早期に吐出量を制御できなくなったことから、ネオジム合金の鋳造では、ショア硬度が開気孔率に比べて重要であることが示唆される。しかしながら、いずれの比較例でも実施例に比べて劣った性能であったことから、ショア硬度と開気孔率の適切な範囲の組み合わせが、ネオジム合金の鋳造において重要であることも理解される。
Figure 0006725325
1 溶融金属(溶湯)
2 溶融部(坩堝)
3 加熱部(ヒーター)
4 加熱部(ヒーター)
5 ノズル
6 冷却部(ディスク、ロール)
7 支持部材

Claims (12)

  1. ネオジム合金製造用の、窒化ホウ素を含む焼結体から構成されるノズルであって、
    窒化ホウ素を50.0wt%以上97.5wt%以下の割合で含み、
    さらにCaを含み、
    不可避的な不純物を除いてAl、Zr、Mg、Si、もしくはHfの酸化物または窒化物を含まないことを特徴とする、ネオジム合金製造用のノズル。
  2. 請求項1に記載のノズルであって、含有するCaの重量比率が、CaOに換算した量で0.3wt%以上12.5wt%以下であり、かつ含有するYの重量比率が、Y23に換算した量で1.0wt%以上40.0wt%以下であることを特徴とするノズル。
  3. 請求項2に記載のノズルであって、Y23に対するCaOの割合(Y23/CaOの値)がモル比にて0.2以上1.5以下であることを特徴とするノズル。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載のノズルであって、ネオジム元素を15wt%以上35wt%以下で含有するネオジム合金の製造に用いられることを特徴とするノズル。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載のノズルであって、ショア硬度が11Hs以上である、ノズル。
  6. ネオジム合金の製造方法であって、
    酸素含有量が1.5wt%以下である窒化ホウ素を含んだ原料を焼結し、窒化ホウ素を含む焼結体から構成されるノズルを作成するステップと、
    溶融部にネオジムを含む材料を投入し加熱して溶湯とするステップと、
    前記溶湯を、窒化ホウ素を含む焼結体から構成される前記ノズルを通して冷却部へ送るステップと、
    前記冷却部において溶湯を凝固させ、ネオジム合金を得るステップと
    を含み、
    前記ノズルは、窒化ホウ素を50.0wt%以上97.5wt%以下の割合で含み、かつ、Caを含み、かつ、
    前記ノズルは、不可避的な不純物を除いてAl、Zr、Mg、Si、もしくはHfの酸化物または窒化物を含まない
    ことを特徴とする、製造方法。
  7. 前記原料が、前記原料全体の量を基準として、0.3wt%以上12.5wt%以下のCaOと、1.0wt%以上40.0wt%以下のY23を含む、請求項6に記載の製造方法。
  8. 23に対するCaOの割合(Y23/CaOの値)がモル比にて0.2以上1.5以下であることを特徴とする、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記ネオジム合金が、ネオジム元素を15wt%以上35wt%以下で含有することを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 前記ノズルのショア硬度が11Hs以上である、請求項6から9のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 請求項1から5のいずれか一項に記載のノズルと、
    前記ノズルを支持するための、窒化ホウ素を含む焼結体から構成され、10MPa以上の3点曲げ強さおよび3ppm/K以下の線熱膨張係数を有する支持部材と
    を含む、
    ネオジム合金製造装置。
  12. 前記支持部材が、前記ノズルと同じ窒化ホウ素を含む焼結体から構成される、請求項11に記載のネオジム合金製造装置。
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