JP6724448B2 - 積層フィルム、積層体及び包装体 - Google Patents
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Description
1.少なくともエチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステル樹脂からなる基材フィルムに無機薄膜層を積層した積層フィルムにおいて、前記基材フィルムが下記要件(1)〜(2)を満たすことを特徴とする積層フィルム。
(1)基材フィルムは少なくとも1層のヒートシール層を有する、2つ以上の層から構成されており、基材フィルム面のどちらか一方の表層にヒートシール層を有する。
(2)ヒートシール層は全モノマー成分中、非晶質成分となり得る1種以上のモノマー成分の合計(非晶成分量)が12モル%以上30モル%以下であり、かつヒートシール層の非晶成分量から基材フィルムのそれ以外の層の非晶成分量を差し引いた非晶成分量の差が4モル%以上30モル%以下である。
2.無機薄膜層の主たる成分が酸化珪素及び酸化アルミニウムであることを特徴とする1.に記載の積層フィルム。
3.無機薄膜層の酸化アルミニウムの含有率が20質量%以上80質量%以下であることを特徴とする1.〜2.のいずれかに記載の積層フィルム。
4.無機薄膜層の膜厚が5nm以上100nm以下であることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の積層フィルム。
5.温度23℃、相対湿度65%RHの雰囲気下での酸素透過量が1.0ml/m2 24h MPa以上で100 ml/m2 24h MPa以下であることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載の積層フィルム。
6.前記1.〜5.のいずれかに記載の積層フィルムを少なくとも一部に用いたことを特徴とする包装袋。
7.前記1.〜5.のいずれかに記載の積層フィルムを少なくとも1層として有していることを特徴とする積層体。
8.前記7.に記載の積層体を少なくとも一部に用いたことを特徴とする包装袋。
(1)基材フィルムは少なくとも1層のヒートシール層を有する、2つ以上の層から構成されており、基材フィルム面のどちらか一方の表層にヒートシール層を有する。
(2)ヒートシール層は全モノマー成分中、非晶質成分となり得る1種以上のモノマー成分の合計(非晶成分量)が12モル%以上30モル%以下であり、かつヒートシール層の非晶成分量から基材フィルムのそれ以外の層の非晶成分量を差し引いた非晶成分量の差が4モル%以上30モル%以下である。
特に、基材フィルムにおいて前記のヒートシール性と低収縮性及び、ヒートシール性と良好な厚み精度はそれぞれ2律背反の特性であり、これらの特性を全て満足できるポリエステル系積層フィルムは従来にはなかった。以下、本発明のポリエステル系積層フィルムについて説明する。
本発明のポリエステル系積層フィルムは、少なくともエチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステル樹脂からなる基材フィルムと無機薄膜層を有する。基材フィルムは低収縮性とヒートシール性を両立させるためにフィルムの層数を2つ以上とし、表層のどちらか1つの層はヒートシール層としてなければならない。基材フィルム面のどちらか一方の表層にヒートシール層を有し、また他方に無機薄膜層を有する。
ヒートシール層とそれ以外の層に関する構成要件は後述する。
基材フィルムにおけるヒートシール層の層比率は、20%以上〜80%以下であることが好ましい。ヒートシール層の層比率が20%より少ない場合、フィルムのヒートシール強度が低下してしまうため好ましくない。ヒートシール層の層比率が80%よりも高くなると、フィルムのヒートシール性が向上するが、収縮率が15%よりも高くなってしまうため好ましくない。ヒートシール層の層比率は、30%以上〜70%以下がより好ましい。
また、ヒートシール層とそれ以外の層は、フィルム表面の接着性を良好にするためにコロナ処理、コーティング処理や火炎処理などを施した層を設けることも可能であり、本発明の要件を逸しない範囲で任意に設けることができる。
2.1.ポリエステル原料の種類
本発明に用いるポリエステルは、エチレンテレフタレートユニットを主たる構成成分とするものである。
また、本発明に用いるポリエステルにエチレンテレフタレートユニット以外の成分として、非晶成分となりうる1種以上のモノマー成分(以下、単に非晶成分と記載する)を含むことが好ましい。これは、非晶成分が存在することによってフィルムのヒートシール強度が向上するためである。各成分の含有量はヒートシール層とそれ以外の層で異なるため、後述する。非晶成分となりうるカルボン酸成分のモノマーとしては、例えばイソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。
また、非晶成分となりうるジオール成分のモノマーとしては、例えばネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジエチル1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、ヘキサンジオールを挙げることができる。
これらのなかでも、イソフタル酸、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールのいずれか1種以上を用いることでフィルムの非晶性を高めてヒートシール強度を4N/15mm以上としやすくなる。ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールのいずれか1種以上を用いることがより好ましく、ネオペンチルグリコールを用いることが特に好ましい。
また、ポリエステルを構成するエチレングリコール以外のジオール成分としては、ジエチレングリコールや1,4−ブタンジオール等の長鎖ジオール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、ビスフェノールA等の芳香族系ジオール等を挙げることができる。ただし、ポリエステルには炭素数8個以上のジオール(例えば、オクタンジオール等)、または3価以上の多価アルコール(例えば、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ジグリセリンなど)を含有させないことが好ましい。
さらに、ポリエステルを構成する成分として、ε−カプロラクトンやテトラメチレングリコールなどを含むポリエステルエラストマーを含んでいてもよい。ポリエステルエラストマーは、フィルムの融点を下げる効果があるため、特にヒートシール層に好適に使用することができる。
本発明のポリエステル系フィルムの中に粒子を配合する方法として、例えば、ポリエステル系樹脂を製造する任意の段階において添加することができるが、エステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応開始前の段階でエチレングリコールなどに分散させたスラリーとして添加し、重縮合反応を進めるのが好ましい。また、ベント付き混練押出し機を用いてエチレングリコールや水、そのほかの溶媒に分散させた粒子のスラリーとポリエステル系樹脂原料とをブレンドする方法や、乾燥させた粒子とポリエステル系樹脂原料とを混練押出し機を用いてブレンドする方法なども挙げられる。
以下にヒートシール層に含まれる好ましい非晶成分について説明する。
本発明のヒートシール層に用いるポリエステルは、非晶成分量が12モル%以上であることが好ましく、13モル%以上がより好ましく、14モル%以上が特に好ましい。また、非晶成分量の上限は30モル%である。ここでの非晶成分量とは、非晶成分となりうるカルボン酸、もしくはジオールモノマー成分量の総和を指す。これは、エステル成分1ユニット(カルボン酸モノマーとジオールモノマーがエステル結合によってつながれた1単位)につき、酸成分またはジオール成分のいずれか片方が非晶成分となりうるモノマーであれば、そのエステルユニットは非晶質であるとみなせるためである。
ヒートシール層の非晶成分量が12モル%より低い場合、溶融樹脂をダイから押し出した後に例え急冷固化したとしても、後の延伸および熱固定工程で結晶化してしまうため、ヒートシール強度を4N/15mm以上とすることが困難となってしまうため好ましくない。
また、ヒートシール層の非晶成分量の合計が30モル%以上である場合、フィルムのヒートシール強度を高くすることができるものの、フィルムの厚み精度が極端に悪化するため、印刷性が悪くなってしまう。さらに、ヒートシール層の非晶成分量が30モル%以上であると、フィルムの耐熱性が低くなるため、ヒートシールするときにシール部の周囲がブロッキング(加熱用部材からの熱伝導によって、意図した範囲よりも広い範囲でシールされてしまう現象)してしまうため、適切なヒートシールが困難となる。
さらに、本発明のヒートシール層に含まれる非晶成分量は、ヒートシール層以外の層に含まれる非晶成分量よりも4モル%以上30モル%以下(ヒートシール層に含まれる非晶成分量からヒートシール層以外の層に含まれる非晶成分量を引いたときの差が4モル%から30モル%の範囲)であることが好ましい。非晶成分量の差が4モル%より少ない場合、各層の原料組成が単一に近づくので、フィルムのヒートシール強度と収縮率を両立することができなくなる。非晶成分量の差は4.5モル%以上であるとさらに好ましい。また、ヒートシール層に含まれる非晶成分量の上限は30モル%なので、非晶成分量の差の上限は30モル%である。
次に、本発明のポリエステル系フィルムをシーラントとして使用するために必要な特性を説明する。
3.1.ヒートシール強度
まず、本発明のポリエステル系積層フィルム同士を温度160℃、シールバー圧力2MPa、シール時間2秒でヒートシールした際のヒートシール強度が2N/15mm以上25N/15mm以下であることが好ましい。
ヒートシール強度が2N/15mm未満であると、シール部分が容易に剥離されるため、包装袋として用いることができない。ヒートシール強度は2.5N/15mm以上が好ましく、3N/15mm以上がより好ましい。ヒートシール強度は大きいことが好ましいが、現状得られる上限は25N/15mm程度である。
また本発明のポリエステル系フィルムは、当該フィルムと結晶性のポリエステルからなる二軸延伸ポリエステル系フィルムとを160℃でヒートシールした際のヒートシール強度が2N/15mm以上20N/15mm以下であることが好ましい。このヒートシール強度が2N/15mm未満では、シール部分が容易に剥離されるので好ましくない。このヒートシール強度は2.5N/15mm以上が好ましく、3N/15mm以上がより好ましい。このヒートシール強度は大きいことが好ましいが、現状得られる上限は20N/15mm程度である。
また本発明のポリエステル系フィルムは、結晶性のポリエステルからなる無延伸ポリエステル系フィルムとの160℃でヒートシールした際のヒートシール強度が2N/15mm以上25N/15mm以下であることが好ましい。このヒートシール強度が2N/15mm未満では、容易に剥離されるので好ましくない。3.5N/15mm以上が好ましく、3N/15mm以上がより好ましい。このヒートシール強度は大きいことが好ましいが、現状得られる上限は25N/15mm程度である。
本発明のポリエステル系積層フィルムのヒートシール強度は相手材によって変化するが、本発明のポリエステル系積層フィルム同士のヒートシール強度と相関している。したがって、以下の説明で「ヒートシール強度」という語句を使うときは、特に指定しない限り、本発明のポリエステル系積層フィルム同士のヒートシール強度を指す。
本発明のポリエステル系積層フィルムは、80℃の温湯中で10秒間に亘って処理した場合における幅方向、長手方向の温湯熱収縮率がいずれも0%以上15%以下でなくてはならない。
収縮率が15%を超えると、フィルムをヒートシールしたときに収縮が大きくなり、シール後の平面性が悪化してしまう。温湯熱収縮率は14%以下であるとより好ましく、13%以下であるとさらに好ましい。一方、温湯熱収縮率がゼロを下回る場合、フィルムが伸びることを意味しており、収縮率が高い場合と同様にフィルムが元の形状を維持できにくくなるため好ましくない。
本発明のポリエステル系積層フィルムは、長手方向で測定長を10mとした場合の厚みムラが18%以下であることが好ましい。長手方向の厚みムラが18%を超える値であると、フィルムを印刷するときに印刷不良が発生しやすくなるので好ましくない。なお、長手方向の厚みムラは、16%以下であるとより好ましく、14%以下であると特に好ましい。また、長手方向の厚みムラは小さいほど好ましいが、この下限は製膜装置の性能から1%程度が限界であると考えている。
また、幅方向においては、測定長を1mとした場合の厚みムラが18%以下であることが好ましい。幅方向の厚みムラが18%を超える値であると、フィルムを印刷するときに印刷不良が発生しやすくなるので好ましくない。なお、幅方向の厚み斑は、16%以下であるとより好ましく、14%以下であると特に好ましい。なお、幅方向の厚みムラは0%に近いほど好ましいが、下限は製膜装置の性能と生産のしやすさから1%が妥当と考えている。
本発明のポリエステル系積層フィルムは、ヘイズが1%以上15%以下であることが好ましい。ヘイズが15%を超えるとフィルムの透明性が悪くなるため、袋等の包装材とした場合に中身の視認性が劣ることになる。ヘイズの上限は13%以下であるとより好ましく、11%以下であると特に好ましい。ヘイズは低くければ低いほど透明性が高くなって好ましいが、現状の技術水準では1%が下限であり、2%以上であっても実用上十分といえる。
本発明のポリエステル系積層フィルムの厚みは特に限定されないが、3μm以上200μm以下が好ましい。フィルムの厚みが3μmより薄いとヒートシール強度の不足や印刷等の加工が困難になるおそれがありあまり好ましくない。またフィルム厚みが200μmより厚くても構わないが、フィルムの使用重量が増えてケミカルコストが高くなるので好ましくない。フィルムの厚みは5μm以上160μm以下であるとより好ましく、7μm以上120μm以下であるとさらに好ましい。
本発明のポリエステル系積層フィルムのガスバリア性は温度23℃、相対湿度65%RHの雰囲気下での酸素透過量が、1.0 ml/m2 24h MPa以上で100 ml/m224h MPa以下が好ましい。ガスバリア性が100 ml/m224h MPaを超えると、食品、医薬品および工業製品などへの使用が困難になるおそれがありあまり好ましくない。また、ガスバリア性は低ければ低いほど良いが、現状の技術水準では本構成におけるバリア性は1.0 ml/m2 24h MPaが下限であり、1.0 ml/m2 24h MPaであっても実用上十分といえる。
4.1.溶融押し出し
本発明のポリエステル系基材フィルムは、上記2.「ポリエステル系基材フィルムの原料を構成するポリエステル原料」で記載したポリエステル原料を、ヒートシール層とそれ以外の層で別々の押出機により溶融押し出しして未延伸の積層フィルムを形成し、それを以下に示す所定の方法により一軸延伸または二軸延伸することによって得ることができる。二軸延伸により得られたフィルムがより好ましい。なお、ポリエステルは、前記したように、非晶質成分となり得るモノマーを適量含有するように、ジカルボン酸成分とジオール成分の種類と量を選定して重縮合させることで得ることができる。また、チップ状のポリエステルを2種以上混合してフィルムの原料として使用することもできる。
原料樹脂を溶融押し出しするとき、各層のポリエステル原料をホッパードライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥するのが好ましい。そのように各層のポリエステル原料を乾燥させた後、押出機を利用して200〜300℃の温度で溶融して積層フィルムとして押し出す。押し出しはTダイ法、チューブラー法等、既存の任意の方法を採用することができる。
その後、押し出しで溶融された積層フィルムを急冷することにより、未延伸の積層フィルムを得ることができる。なお、溶融樹脂を急冷する方法としては、溶融樹脂を口金から回転ドラム上にキャストして急冷固化することにより実質的に未配向の樹脂シートを得る方法を好適に採用することができる。フィルムは、縦(長手)方向、横(幅)方向のいずれか、少なくとも一方向に延伸されていればよい。以下では、最初に縦延伸、次に横延伸を実施する縦延伸-横延伸による逐次二軸延伸法について説明するが、順番を逆にする横延伸−縦延伸であっても、主配向方向が変わるだけなので構わない。また同時二軸延伸法でも構わない。
縦方向の延伸は、無延伸フィルムを複数のロール群を連続的に配置した縦延伸機へと導入するとよい。縦延伸にあたっては、予熱ロールでフィルム温度が65℃〜90℃になるまで予備加熱することが好ましい。フィルム温度が65℃より低いと、縦方向に延伸する際に延伸しにくくなり、破断が生じやすくなるため好ましくない。また90℃より高いとロールにフィルムが粘着しやすくなり、ロールへのフィルムの巻き付きや連続生産によるロールの汚れやすくなるため好ましくない。
フィルム温度が65℃〜90℃になったら縦延伸を行う。縦延伸倍率は、1倍以上5倍以下とすると良い。1倍は縦延伸をしていないということなので、横一軸延伸フィルムを得るには縦の延伸倍率を1倍に、二軸延伸フィルムを得るには1.1倍以上の縦延伸となる。また縦延伸倍率の上限は何倍でも構わないが、あまりに高い縦延伸倍率だと横延伸しにくくなって破断が生じやすくなるので5倍以下であることが好ましい。
また、縦延伸後にフィルムを長手方向へ弛緩すること(長手方向へのリラックス)により、縦延伸で生じたフィルム長手方向の収縮率を低減することができる。さらに、長手方向へのリラックスにより、テンター内で起こるボーイング現象(歪み)を低減することができる。本発明のポリエステル系フィルムは非晶原料を使用しているため、縦延伸によって生じた長手方向への収縮性がボーイング歪みに対して支配的であると考えられる。後工程の横延伸や最終熱処理ではフィルム幅方向の両端が把持された状態で加熱されるため、フィルムの中央部だけが長手方向へ収縮するためである。長手方向へのリラックス率は0%以上70%以下(リラックス率0%はリラックスを行わないことを指す)であることが好ましい。長手方向へのリラックス率の上限は、使用する原料や縦延伸条件よって決まるため、これを超えてリラックスを実施することはできない。本発明のポリエステル系フィルムのおいては、長手方向へのリラックス率は70%が上限である。長手方向へのリラックスは、縦延伸後のフィルムを65℃〜100℃以下の温度で加熱し、ロールの速度差を調整することで実施できる。加熱手段はロール、近赤外線、遠赤外線、熱風ヒータ等のいずれも用いる事ができる。また、長手方向へのリラックスは縦延伸直後でなくとも、例えば横延伸(予熱ゾーン含む)や最終熱処理でも長手方向のクリップ間隔を狭めることで実施することができ(この場合はフィルム幅方向の両端も長手方向へリラックスされるため、ボーイング歪みは減少する)、任意のタイミングで実施できる。
長手方向へのリラックス(リラックスを行わない場合は縦延伸)の後は、一旦フィルムを冷却することが好ましく、表面温度が20〜40℃の冷却ロールで冷却することが好ましい。
縦延伸の後、テンター内でフィルムの幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で、65℃〜110℃で3.5〜5倍程度の延伸倍率で横延伸を行うことが好ましい。横方向の延伸を行う前には、予備加熱を行っておくことが好ましく、予備加熱はフィルム表面温度が75℃〜120℃になるまで行うとよい。
横延伸の後は、フィルムを積極的な加熱操作を実行しない中間ゾーンを通過させることが好ましい。テンターの横延伸ゾーンに対し、その次の最終熱処理ゾーンでは温度が高いため、中間ゾーンを設けないと最終熱処理ゾーンの熱(熱風そのものや輻射熱)が横延伸工程に流れ込んでしまう。この場合、横延伸ゾーンの温度が安定しないため、フィルムの厚み精度が悪化するだけでなく、ヒートシール強度や収縮率などの物性にもバラツキが生じてしまう。そこで、横延伸後のフィルムは中間ゾーンを通過させて所定の時間を経過させた後、最終熱処理を実施するのが好ましい。この中間ゾーンにおいては、フィルムを通過させていない状態で短冊状の紙片を垂らしたときに、その紙片がほぼ完全に鉛直方向に垂れ下がるように、フィルムの走行に伴う随伴流、横延伸ゾーンや最終熱処理ゾーンからの熱風を遮断することが重要である。中間ゾーンの通過時間は、1秒〜5秒程度で充分である。1秒より短いと、中間ゾーンの長さが不充分となって、熱の遮断効果が不足する。一方、中間ゾーンは長い方が好ましいが、あまりに長いと設備が大きくなってしまうので、5秒程度で充分である。
中間ゾーンの通過後は最終熱処理ゾーンにて、横延伸温度以上 180℃以下で熱処理を行うことが好ましい。熱処理温度は横延伸温度以上でなければ熱処理としての効果を発揮しない。この場合、フィルムの80℃温湯収縮率が15%よりも高くなってしまうため好ましくない。熱処理温度が高くなるほどフィルムの収縮率は低下するが、180℃よりも高くなるとフィルムのヘイズが15%よりも高くなって透明性を保てなくなってしまうため好ましくない。
最終熱処理の際、テンターのクリップ間距離を任意の倍率で縮めること(幅方向へのリラックス)によって幅方向の収縮率を低減させることができる。そのため、最終熱処理では、0%以上10%以下の範囲で幅方向へのリラックスを行うことが好ましい(リラックス率0%はリラックスを行わないことを指す)。幅方向へのリラックス率が高いほど幅方向の収縮率は下がるものの、リラックス率(横延伸直後のフィルムの幅方向への収縮率)の上限は使用する原料や幅方向への延伸条件、熱処理温度によって決まるため、これを超えてリラックスを実施することはできない。本発明のポリエステル系基材フィルムにおいては、幅方向へのリラックス率は10%が上限である。
また、最終熱処理ゾーンの通過時間は2秒以上20秒以下が好ましい。通過時間が2秒以下であると、フィルムの表面温度が設定温度に到達しないまま熱処理ゾーンを通過してしまうため、熱処理の意味をなさなくなる。通過時間は長ければ長いほど熱処理の効果が上がるため、2秒以上であることが好ましく、5秒以上であることがさらに好ましい。ただし、通過時間を長くしようとすると、設備が巨大化してしまうため、実用上は20秒以下であれば充分である。
後は、フィルム両端部を裁断除去しながら巻き取れば、ポリエステル系基材フィルムロールが得られる。
十分なガスバリア性を発現するためには、前記ポリエステル系基材フィルムロールに無機酸化物の薄膜を成膜することが必要である。本発明における無機薄膜層は特に限定されないが、透明性などより主たる成分が酸化珪素、及び/又は酸化アルミニウムからなる薄膜層が好ましい。さらに、可撓性の向上から酸化ケイ素、及び酸化アルミニウムを主たる成分とする薄膜層が好ましい。酸化珪素系とはSi、SiO、SiO2等を指す。主たる成分が酸化珪素、及び酸化アルミニウムからなる場合、無機薄膜中の酸化アルミニウムの含有量は好ましくは20質量%以上80質量%以下であり、更に好ましくは25質量%以上70質量%以下である。20質量%以下の場合は密度が下がり、ガスバリア性が低下する恐れがあり、また80質量%以上であると、無機薄膜の可撓性が低下し、膜の割れが発生しやすく、ガスバリア性が低下する恐れがある。また、本特性が失われない範囲で他成分が含まれてもよい。薄膜の膜厚としては、特に限定するものではないが、ガスバリア性や薄膜の可撓性の点からは、5〜100nmが好ましく、更に好ましくは7〜80nmである。5nmより薄いと十分なバリア性が発現しにくく、また100nmより厚くしても、それに相当するガスバリア性の向上効果はなく、可撓性や製造コストの点で却って不利となる。
本発明の目的を損なわない限り公知の製造方法が使える。例えば真空蒸着法、スパッター法、イオンブレーティングなどのPVD法(物理蒸着法)、あるいは、CVD法(化学蒸着法)などが挙げられる。特に生産の速度や安定性の面から真空蒸着法が好ましい。真空蒸着法においては、蒸着源材料としてA12O3 とSiO2 やA1とSiO2 の混合物等が用いられ、また、加熱方式としては、抵抗加熱、高周波誘導加熱、電子ビーム加熱等を用いることができる。また、反応性ガスとして、酸素、窒素、水蒸気等を導入したり、オゾン添加、イオンアシスト等の手段を用いた反応性蒸着を用いてもよい。また、基板にバイアス等を加えたり、基板温度を上昇、あるいは、冷却したり等、本発明の目的を損なわない限りにおいて、成膜条件を変更してもよい。
フィルムの評価方法は以下の通りである。なお、フィルムの面積が小さいなどの理由で長手方向と幅方向が直ちに特定できない場合は、仮に長手方向と幅方向を定めて測定すればよく、仮に定めた長手方向と幅方向が真の方向に対して90度違っているからといって、とくに問題を生ずることはない。
[ヒートシール強度]
JIS Z1707に準拠してヒートシール強度を測定した。具体的な手順を簡単に示す。ヒートシーラーにて、サンプルのコート処理やコロナ処理等を実施していないヒートシール面同士を接着した。シール条件は、上バー温度160℃、下バー温度100℃、圧力2kg/cm2、時間2秒とした。接着サンプルは、シール幅が15mmとなるように切り出した。剥離強度は、万能引張試験機「DSS−100」(島津製作所製)を用いて引張速度200mm/分で測定した。剥離強度は、15mmあたりの強度(N/15mm)で示す。
また、結晶性ポリエステルからなる二軸延伸ポリエステル系フィルムとのヒートシール強度測定で用いた二軸延伸ポリエステル系フィルムはE5100−12μm(東洋紡株式会社製)、結晶性ポリエステルからなる無延伸ポリエステル系フィルムとのヒートシール強度測定で用いた無延伸ポリエステル系フィルムはA−PET−30μm(東洋紡株式会社製)である。
フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、80±0.5℃の温水中に無荷重状態で10秒間浸漬して収縮させた後、25℃±0.5℃の水中に10秒間浸漬し、水中から出した。その後、フィルムの縦および横方向の寸法を測定し、下式1にしたがって各方向の収縮率を求めた。なお、測定は2回行い、その平均値を求めた。
収縮率={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%) 式1
JIS−K−7136に準拠し、ヘイズメータ(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて測定した。なお、測定は2回行い、その平均値を求めた。
フィルムを長手方向11m×幅方向40mmのロール状にサンプリングし、ミクロン測定器株式会社製の連続接触式厚み計を用いて測定速度5m/min.でフィルムの長手方向に沿って連続的に厚みを測定した(測定長さは10m)。測定時の最大厚みをTmax.、最小厚みをTmin.、平均厚みをTave.とし、下式2からフィルムの長手方向の厚みムラを算出した。
厚みムラ={(Tmax.−Tmin.)/Tave.}×100 (%) ・・式2
フィルムを長さ40mm×幅1.2mの幅広な帯状にサンプリングし、ミクロン測定器株式会社製の連続接触式厚み計を用いて、測定速度5m/min.でフィルム試料の幅方向に沿って連続的に厚みを測定した(測定長さは1m)。測定時の最大厚みをTmax.、最小厚みをTmin.、平均厚みをTave.とし、上式2からフィルムの長手方向の厚みムラを算出した。
酸素透過量はJIS K7126−2 A法に準じて、酸素透過量測定装置(OXTRAN 2/21 MOCOM社製)を用意、温度23度、湿度65%RHの雰囲気下で測定した。なお、酸素透過量の測定は、表層のヒートシール層側から無機薄膜層側に酸素が透過する方向で行った。
無機化合物の組成膜厚は蛍光X線分析装置((株)リガク製「ZSX100e」)を用いて、予め作成した検量線により膜厚組成を測定した。なお、励起X線管の条件として50kV、70mAとした。検量線は以下の手順で求めたものである。
酸化アルミニウムと酸化ケイ素からなる無機薄膜の場合を例に説明する。酸化アルミニウムと酸化ケイ素とからなる無機化合物薄膜を持つフィルムを数種類作成し、誘導結合プラズマ発光法(ICP法)で酸化アルミニウムと酸化ケイ素それぞれの付着量を求める。次いで、付着量を求めた各フィルムを蛍光X線分析装置((株)リガク製「ZSX100e」、励起X線管の条件:50kv、70mA)で分析することにより各サンプルの酸化アルミニウムと酸化ケイ素との蛍光X線強度を求める。蛍光X線強度とICPで求めた付着量の関係を求めて検量線を作成する。ICPで求めた付着量は基本的に重量であるのでこれを膜厚組成とするため以下のように変換した。
膜厚は、無機酸化薄膜の密度がバルク密度の8割であるとし、かつ 酸化アルミニウムと酸化ケイ素とが混合された状態であってもそれぞれ体積を保つとして算出した。
酸化アルミニウムの膜中の含有率wa(質量%)、酸化ケイ素の膜中の含有量ws(質量%)は、酸化アルミニウムの単位面積当たりの付着量をMa(g/cm2)、酸化ケイ素の単位面積当たりの付着量をMs(g/cm2)とすると、各々下記式(1)、(2)で求められる。
wa=100×[Ma/(Ma+Ms)] (1)
ws=100−wa (2)
すなわち、酸化アルミニウムの単位面積当たりの付着量をMa(g/cm2)、そのバルクの密度をρa(3.97g/cm3)とし、酸化ケイ素の単位面積当たりの付着量をMs(g/cm2)、そのバルクの密度をρs(2.65g/cm3)とすると、膜厚t(nm)は下記式(3)で求められる。
t=((Ma/(ρa×0.8)+Ms/(ρs×0.8))×107・・・式(3)
蛍光X線で測定した膜厚の値は、TEMで実際に計測した膜厚と近いものであった。
[合成例1]
撹拌機、温度計および部分環流式冷却器を備えたステンレススチール製オートクレーブに、ジカルボン酸成分としてジメチルテレフタレート(DMT)100モル%と、多価アルコール成分としてエチレングリコール(EG)100モル%とを、エチレングリコールがモル比でジメチルテレフタレートの2.2倍になるように仕込み、エステル交換触媒として酢酸亜鉛を0.05モル%(酸成分に対して)用いて、生成するメタノールを系外へ留去しながらエステル交換反応を行った。その後、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.225モル%(酸成分に対して)を添加し、280℃で26.7Paの減圧条件下、重縮合反応を行い、固有粘度0.75dl/gのポリエステル(A)を得た。このポリエステル(A)は、ポリエチレンテレフタレートである。ポリエステル(A)の組成を表1に示す。
[合成例2]
合成例1と同様の手順でモノマーを変更したポリエステル(B)〜(E)を得た。各ポリエステルの組成を表1に示す。表1において、TPAはテレフタル酸、BDは1,4−ブタンジオール、NPGはネオペンチルグリコール、CHDMは1,4−シクロヘキサンジメタノール、DEGはジエチレングリコールである。なお、ポリエステル(E)の製造の際には、滑剤としてSiO2(富士シリシア社製サイリシア266)をポリエステルに対して7,000ppmの割合で添加した。各ポリエステルは、適宜チップ状にした。
[評価フィルム]
本特許の実施例で示すフィルム以外で使用したフィルムは市販の30μmのシーラント用無延伸ポリプロプレン系フィルムと、市販の30μmのシーラント用ポリアクリロニトリル系フィルムである。
ヒートシール層(A層)の原料としてポリエステルAとポリエステルBとポリエステルDとポリエステルEを質量比10:75:10:5で混合し、それ以外の層(B層)の原料としてポリエステルAとポリエステルBとポリエステルDとポリエステルEを質量比55:30:10:5で混合した。
A層及びB層の混合原料はそれぞれ別々の二軸スクリュー押出機に投入し、いずれも270℃で溶融させた。それぞれの溶融樹脂は、流路の途中でフィードブロックによって接合させてTダイより吐出し、表面温度30℃に設定したチルロール上で冷却することによって未延伸の積層フィルムを得た。積層フィルムの両表層はA層、中心層はB層(A層/A層/A層の2種3層構成)となるように溶融樹脂の流路を設定し、A層とB層の厚み比率が50:50となるように吐出量を調整した。
冷却固化して得た未延伸の積層フィルムを複数のロール群を連続的に配置した縦延伸機へ導き、予熱ロール上でフィルム温度が90℃になるまで予備加熱した後に4.1倍に延伸した。縦延伸直後のフィルムを熱風ヒータで95℃に設定された加熱炉へ通し、加熱炉の入口と出口のロール間の速度差を利用して、長手方向に20%リラックス処理を行った。その後、縦延伸したフィルムを、表面温度25℃に設定された冷却ロールによって強制的に冷却した。
リラックス処理後のフィルムを横延伸機(テンター)に導いて表面温度が95℃になるまで5秒間の予備加熱を行った後、幅方向(横方向)に4.0倍延伸した。横延伸後のフィルムはそのまま中間ゾーンに導き、1.0秒で通過させた。なお、テンターの中間ゾーンにおいては、フィルムを通過させていない状態で短冊状の紙片を垂らしたときに、その紙片がほぼ完全に鉛直方向に垂れ下がるように、最終熱処理ゾーンからの熱風と横延伸ゾーンからの熱風を遮断した。
その後、中間ゾーンを通過したフィルムを最終熱処理ゾーンに導き、115℃で5秒間熱処理した。このとき、熱処理を行うと同時にフィルム幅方向のクリップ間隔を狭めることにより、幅方向に3%リラックス処理を行った。最終熱処理ゾーンを通過後はフィルムを冷却し、両縁部を裁断除去して幅500mmでロール状に巻き取ることによって、厚さ30μmの二軸延伸フィルムを所定の長さにわたって連続的に製造した。
前記二軸延伸フィルム上に、蒸着源として3〜5mm程度の大きさの粒子状のAl2O3(純度99.5%)とSiO2(純度99.9%)を用いて、電子ビーム蒸着法で、酸化アルミニウム・酸化硅素系薄膜の形成を行った。蒸着材料は、混合せずに、ハース内をカーボン板で2つに仕切り、加熱源として一台の電子銃(以下EB銃と称する)を用い、Al2O3 とSiO2 のそれぞれを時分割で加熱した。その時のEB銃の加速電圧、エミッション電流、Al2O3 とSiO2 への加熱比、フィルム送り速度及び蒸着時の真空圧は表2に示した条件で10nm厚の膜を作った。チルロールの冷却温度は、−10℃で行った。
得られたフィルムの特性は上記の方法によって評価した。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
A層、B層の各原料は実施例1と同じポリエステル原料を用い、二軸延伸後のフィルム厚みが12μmとなるように吐出量を調整した以外は実施例1と同様の条件で未延伸の積層フィルムを得た。その後、実施例1と同様の条件でフィルムを製膜し、幅500mm、厚さ12μmの二軸延伸フィルムが得られた。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
A層、B層の各原料は実施例1と同じポリエステル原料を用い、二軸延伸後のフィルム厚みが60μmとなるように吐出量を調整した以外は実施例1と同様の条件で未延伸の積層フィルムを得た。その後、実施例1と同様の条件でフィルムを製膜し、幅500mm、厚さ60μmの二軸延伸フィルムが得られた。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
[実施例4]
酸化アルミニウム・酸化硅素系薄膜を50nm厚の膜を作った以外は実施例1と同様の条件でフィルムを製膜した。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
EB銃の酸化アルミニウム・酸化硅素への加熱比を変更し、50nm膜厚で蒸着させた以外は実施例1と同様の条件でフィルムを製膜した。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
酸化アルミニウム・酸化硅素系薄膜を4nm厚の膜を作った以外は実施例1と同様の条件でフィルムを製膜した。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
市販の厚み30μmのシーラント用無延伸ポリプロピレン系フィルムを用いて上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
市販の厚み30μmのシーラント用ポリアクリロニトリル系フィルムを用いて上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
[比較例3]
B層の原料として融点が218℃のポリエチレンイソフタレートとポリエチレンテレフタレートの共重合体、A層の原料として平均粒子径が1.5μmのシリカ粒子を1000ppm含有する融点が265℃のポリエチレンテレフタレートをおのおの285℃の温度で別々の押出機により溶融しこの溶融体を複合アダプターで合流させた後にTダイより押し出し、30℃の冷却ドラムで急冷してB/A/B構成の3層の未延伸積層フィルムを得た。前記未延伸積層フィルムをまず金属ロールを用い95℃に予熱し、さらに表面温度750℃の赤外線ヒーターを3本使用して加熱し、縦方向に115℃で1.5倍延伸し、更にロールで冷却し95℃のフィルム温度した後、縦方向に3倍延伸した。次いでテンターにおいてフィルムを110℃に予熱し、横方向に110℃
から150℃に昇温しながら4.0倍に延伸し、続いて223℃に昇温しながら1.1倍延伸し、223℃で幅方向を定長に保ちで熱処理を行った後、223℃から150℃に降温しながら幅方向に3%の弛緩処理を行い、30μmのフィルムを得た。このフィルムのB/A/B各層の厚み比率はそれぞれ4/92/4の比率であった。前記フィルムに実施例1と同様の無機薄膜を成膜した。評価結果を表3に示す。
[比較例4]
酸化アルミニウム・酸化硅素系薄膜の形成を実施しない以外は実施例1と同様の条件でフィルムを製膜した。評価結果を表3に示す。
表3より、実施例1から9までのフィルムはいずれもヒートシール強度、収縮率、ヘイズ、厚みムラ、吸着性、ガスバリア性に優れており、良好な評価結果が得られた。
一方、比較例1と2は他の二軸延伸ポリエステル系フィルムだけでなく、他の無延伸ポリエステル系フィルムをヒートシールしても密着せず、強度測定が不可能であった。また、バリア性も十分ではなかった。比較例3では、ガスバリア性は良好であったが、得られたフィルム同士をヒートシールしても密着せず、強度測定が不可能であった。さらに、比較例4ではバリア性が十分でなく、本発明の要件を満足しなかった。
Claims (8)
- 少なくともエチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステル樹脂からなる基材フィルムに無機薄膜層を積層した積層フィルムにおいて、前記基材フィルムが下記要件(1)〜(2)を満たすことを特徴とする積層フィルム。
(1)基材フィルムは少なくとも1層のヒートシール層を有する、2つ以上の層から構成されており、基材フィルム面のどちらか一方の表層にヒートシール層を有する。
(2)ヒートシール層は全モノマー成分中、非晶質成分となり得る1種以上のモノマー成分の合計(非晶成分量)が12モル%以上30モル%以下であり、基材フィルムのヒートシール層以外の層は非晶質成分となり得る1種以上のモノマー成分を含有し、前記両層に含有される非晶質成分となり得る1種以上のモノマー成分はネオペンチルグリコールであり、かつヒートシール層の非晶成分量から基材フィルムのそれ以外の層の非晶成分量を差し引いた非晶成分量の差が4モル%以上である。 - 無機薄膜層の主たる成分が酸化珪素及び酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
- 無機薄膜層の酸化アルミニウムの含有率が20質量%以上80質量%以下であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の積層フィルム。
- 無機薄膜層の膜厚が5nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
- 温度23℃、相対湿度65%RHの雰囲気下での酸素透過量が1.0 ml/m2 24h MPa以上
で100 ml/m2 24h MPa以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積
層フィルム。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルムを少なくとも一部に用いたことを特徴とする包装袋。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルムを少なくとも1層として有していることを特徴とする積層体。
- 請求項7に記載の積層体を少なくとも一部に用いたことを特徴とする包装袋。
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