JP6723862B2 - 管を地中に設置する際の管の状態監視方法 - Google Patents
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Description
本発明は、推進作業の効率化が図れるとともに推進作業中において管の位置を連続して確認することが可能な、管を地中に設置する際の管の状態監視方法を提供する。
先頭管の後方に順次接続されるすべての後続管にそれぞれ管の傾斜角度を検出する傾斜検出手段を取付けたので、推進作業中において各管の位置を連続して確認することが可能となる。
地中に設置する予定の先頭管及び後続管の設計位置と、管の地山への入口から管の地中への推進量と傾斜検出手段で計測された傾斜角度の実測値とに基づいて算出される推進中の先頭管及び後続管の実測位置と、を同一の表示画面上に同時に表示するので、監視者は、設計位置に対する推進作業中の各管の実測位置のずれを視覚的に把握できるようになる。
管の地山への入口から管の地中への推進量をストローク計で測定したので、管の推進量を正確に計測できる。
地中に設置する予定の先頭管及び後続管が一定距離推進する毎の傾斜角度の設計値に基づく設計評価値を求めるとともに、推進作業中の先頭管及び後続管が一定距離推進する毎に傾斜検出手段から得られる先頭管及び後続管の傾斜角度の実測値に基づく実測評価値を求め、先頭管及び後続管の設計評価値と実測評価値との差を求めて表示画面上に表示するので、監視者は、設計値に対する推進作業中の各管の実測値のずれを数量的に把握できるようになる。
設計評価値が任意に決めた基準と設計値とで算出される管の設計高さであり、実測評価値が任意に決めた基準と管の傾斜角度の実測値とに基づいて算出される管の実測高さであることとしたので、地中に推進する管の高さを基準に管の推進状況を把握できるようになる。
管設置装置は、断面四角形の先頭管と、先頭管の一端開口よりも前側に位置されて先頭管の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体と、先頭管の内面に支持された支持体と、基端側が支持体に連結されるとともに回転掘削体を回転可能に支持する連結支柱部と、回転掘削体を先頭管の高さ方向で互いに対向する一方の一対の内面と直交する方向に揺動可能に駆動する揺動駆動手段と、推進力を支持体を介して先頭管及び回転掘削体に付与する推進装置と、を備えた構成であるので、推進装置による推進力を制御したり、揺動駆動手段を制御して掘削方向を制御することにより、推進中の各管の地中での実測位置と設計位置とずれを少なくすることが可能となり、各管を設計位置に近い位置に設置できて、精度の高い設置工事を実現できるようになる。
実施形態による、管を地中に設置する際の管の状態監視方法は、後述する管設置装置1を用いて管2を地中に設置する際、即ち、図1に示すように、回転掘削体10により地山10Aを掘削しながら回転掘削体10を推進装置5で後方から押圧することにより回転掘削体10の後続に順次継ぎ足された管2,2…を推進させて地中に設置して行く場合において、地中に設置されるすべての管2,2…に、水平面に対する管2の傾斜角度θを検出するための傾斜検出手段としての傾斜センサX2を取付け、各管2,2…の推進中に各傾斜センサX2,X2…で連続的に計測される実測値に基づいて推進中の各管2,2…の地中での状態を監視することによって、地中を推進中の各管2,2…の地中での実測位置と設計位置とのずれが拡大しないように各管2,2…の設置作業を行えるようにするものである。
傾斜センサX2は、各管2,2…に設けられた基準となる平面部に取付けられ、管2が地中に設置される際に当該平面部が傾いた場合に、水平面に対する当該平面部の交差角度、即ち、水平面に対する管2の進行方向角度となる管2の傾斜角度θを測定するセンサである。
傾斜センサX2は、例えば、上述した側壁2aが台形状の管2の各側壁2a,2aの上底同士を繋ぐ上板2u(図2参照)の内面である平面部に取付けられる。
当該傾斜センサX2としては、例えば、シリコンオイル中に半円形の2枚の左右の電極の半分が浸かった構成の傾斜センサを用いる。当該傾斜センサでは、センサが傾いた場合に左右の電極がシリコンオイルに浸かる面積が変化することを利用し、この面積の変化を静電容量の変化として取り出すことで、傾斜角度θを計測できるように構成されている。
当該ストローク計X3としては、例えば、ワイヤーの引き出し量で油圧シリンダ200Aのピストンの移動距離を計測するワイヤー式のストローク計を用いる。
例えば、エントランス301の手前に位置された管2をエントランス301を介して地中に侵入させてから管2の後端に次の管2を繋ぐまでの間は、当該エントランス301から地中に侵入させている管2の推進量をストローク計X3の計測範囲内で複数回計測して当該計測された移動量を累計(合計)することによって当該エントランス301から地中に侵入させた管2の推進量を求め、既に地中に設置された複数の管2の推進量の合計は、地中に設置された(管の数)×(1つの管の全長)で求める。即ち、この場合、発進案内台200Bから地中に押し込まれた管2,2…の推進量の合計は、既に地中に設置された(管2の数)×(1つの管2の全長)と、ストローク計X3で計測されたエントランス301から地中に侵入させている途中の管2の推進量とにより求める。このように、管2の地山への入口から管2の地中への推進量をストローク計X3で測定したので、管2の推進量を正確に計測できる。
尚、エントランス301の手前に位置された管2が押圧される毎に油圧シリンダ200Aのピストンの移動量を当該ストローク計X3の計測範囲内で計測し、当該計測された全ての管2,2…の移動量を累計(合計)することで、地中に推進させたエントランス301から先頭管2Aまでの管2の推進量の合計を求めるようにしてもよい。
図1に示すように、当該状態監視装置X4は、監視室X40に設置される。
また、各傾斜センサX2,X2…、及び、ストローク計X3で測定された測定値は、有線又は無線を介して状態監視装置X4(コンピュータ)に送信される。
この際、管2又は複数の各管2,2…の先端中心の変位量Z(垂直方向変位量)は、任意に設定した高さ基準Y0(図4参照)に対する実測高さに換算して管理する。尚、高さ基準Y0は、例えば、エントランス301の手前に設置される推進作業前の管2の後端縁における高さ方向の中心位置(管2の後端中心)に設定される。
また、傾斜センサX2は、例えば管2の上板2uの内面である平面部に取付けられているので、管2の上板2uの内面の位置を管2の先端中心に補正するための換算を行っている。即ち、傾斜センサX2が管2の先端中心に取付けられているものとみなして、推進前の管2…の先端中心の位置である変位基準Y01(図4参照)と高さ基準Y0との差を算出している。
実測高さは、エントランス301の手前に位置された推進前の管2の先端中心の位置である変位基準Y01と高さ基準Y0との間の垂直距離(以下、固定量という)+管2又は複数の各管2,2…が一定距離(例えば数cm)推進する毎の管2又は複数の各管2,2…の先端中心の変位量Z(変位基準Y01を基準とした垂直方向変位量)で求まる。
変位量Zは、図4(b),(c),(d)の左から1番目の管2のような、エントランス301の手前に位置された推進前の管2が推進を始めて当該管2の全部が地中に推進するまでの当該管2の先端中心の変位量(以下、変位量Z1という)+図4(c),(d)の左から1番目の管2以外の管2のような、全部が地中に推進した後の管2又は複数の各管2,2…の先端中心の変位量(以下、変位量Z2という)で求まる。
変位量Z1は、管2が一定距離を推進する毎に得られるストローク計X3からの測定値を累計した累計距離をAsinθのAとし、管2が一定距離を推進する毎に得られる傾斜センサX2からの傾斜角度θをAsinθのθとして求められる変位量である。
即ち、実測位置算出手段は、エントランス301の手前に位置された管2が最初に一定距離dだけ推進した時の管2の先端中心の変位量Z1を、ストローク計X3から受信した測定値(一定距離)dと当該測定値dを受信した時に傾斜センサX2から受信した傾斜角度θとに基づいてdsinθで求め、次に管2が一定距離dだけ推進した時の管2の先端中心の変位量Z1を、ストローク計X3から受信した測定値(d×2)と当該測定値(d×2)を受信した時に傾斜センサX2から受信した傾斜角度θとに基づいて(d×2)sinθで求めるというように、変位量Z1を求めるに際して、AsinθのAを、管2が一定距離dを推進する毎にストローク計X3から得られる測定値d×n(nは一定距離dを推進した回数)により求め、管2が一定距離dを推進する毎に傾斜センサX2から得られる傾斜角度θをAsinθのθとして用いることにより算出する。
例えば、一定距離dが5cmであれば、管2が一定距離dを推進する毎の管2の先端中心の変位量Z1は、5sinθ、10sinθ、15sinθ…により求まる。
変位量Z2は、管2が一定距離を推進する毎に得られる傾斜センサX2からの傾斜角度θをAsinθのθとし、管2の全長をAsinθのAとして求められる変位量である。
例えば、図4(d)に示す各管2;2…の先端中心Y1の実測高さデータは、以下のように求める。
左から1番目の管2の先端中心Y1の実測高さは、固定量+左から1番目の管2の先端中心Y1の変位量Z1により求める。
左から2番目の管2の先端中心Y1の当該実測高さは、固定量+左から1番目の管2の先端中心Y1の変位量Z1+左から2番目の管2の先端中心Y1の変位量Z2により求める。
左から3番目の管2の先端中心Y1の当該実測高さは、固定量+左から1番目の管2の先端中心Y1の変位量Z1+左から2番目の管2の先端中心Y1の変位量Z2+左から3番目の管2の先端中心Y1の変位量Z2により求める。
左から4番目の管2の先端中心Y1の当該実測高さは、固定量+左から1番目の管2の先端中心Y1の変位量Z1+左から2番目の管2の先端中心Y1の変位量Z2+左から3番目の管2の先端中心Y1の変位量Z2+左から4番目の管2の先端中心Y1の変位量Z2により求める。
左から5番目の管2の先端中心Y1の当該実測高さは、固定量+左から1番目の管2の先端中心Y1の変位量Z1+左から2番目の管2の先端中心Y1の変位量Z2+左から3番目の管2の先端中心Y1の変位量Z2+左から4番目の管2の先端中心Y1の変位量Z2+左から5番目の管2の先端中心Y1の変位量Z2により求める。
つまり、左から2番目以降のすでに全部が地中に推進した後の管2の先端中心Y1の実測高さは、固定量+管2の全部がまだ地中に推進されていない管2の先端中心Y1の変位量Z1+管2の全部が地中に推進されている管2の先端中心の変位量Z1の累計値で求まる。
尚、例えば、図4に示すように、管2又は複数の各管2,2…が基準Y0よりも下方に推進する場合は、管2又は複数の各管2,2…の先端中心の実際の変位量が「+」の値で算出され、実測高さは、「+」の値となる。また、管2又は複数の各管2,2…が基準Y0よりも上方に推進する場合は、管2又は複数の各管2,2…の先端中心の実際の変位量が「−」の値で算出され、実測高さは、「−」の値となる。
そして、実測位置算出手段は、管2がエントランス301に設置された後、実際に一定距離(例えば数cm)推進する毎(エントランス301から管2を一定距離推進させたことをストローク計X3から受信する毎)に、例えば、図4に示すように、管2又は複数の各管2,2…の先端中心の実測高さに基づいて表示画面310上に管2又は複数の各管2,2…の先端中心Y1を表示するとともに、実線表示の管2のように表示画面310上に管2又は複数の各管2,2…の実測外形を表示する。
つまり、実測位置算出手段は、管2又は複数の各管2,2…が一定距離推進する毎に、表示画面310上に管2又は複数の各管2,2…の先端中心Y1を表示し、管2又は複数の各管2,2…の傾斜角度θの実測データに基づいて、当該先端中心Y1を通過する傾斜角度θ(水平線に対する傾斜角度θ)の傾斜線を描き、管2又は複数の各管2,2…の長さ方向に沿った外形線は、傾斜角度θの傾斜線と平行で管2の高さ寸法を隔てて対向する上下の傾斜線を管2の長さで規定することにより求め、管2又は複数の各管2,2…の高さ方向に沿った外形線は、上下の傾斜線の端部同士を連結することにより求める。
即ち、実測位置算出手段は、管2又は複数の各管2,2…が一定距離推進する毎に、管2又は複数の各管2,2…の実測外形を逐次更新しながら表示する。
この際、管2又は複数の各管2,2…の先端中心の設計上の変位量Z(垂直方向変位量)は、上述した高さ基準Y0に対する設計高さに換算して管理する。
設計高さは、上述した固定量+管2又は複数の各管2,2…が一定距離(例えば数cm)推進する毎の管2又は複数の各管2,2…の先端中心の設計上の変位量Z(上述した変位基準Y01を基準とした垂直方向変位量)で求まる。
即ち、管2又は複数の各管2,2…の先端中心の設計上の変位量Zは、上述した変位量Z1、変位量Z2と同様な求め方で求めることができる。つまり、傾斜角度θの実測データの代わりに傾斜角度θの設計データを用いて上述した算出方法により設計上の変位量Z1、変位量Z2を求めることができる。
尚、設計上の変位量Zは、管2又は複数の各管2,2…が一定距離推進する毎の管2又は複数の各管2,2…の先端中心の設計上の変位量の累計値により求めても良い。
そして、設計位置算出手段は、上述した実測位置算出手段による実測外形の表示方法と同様に、管2がエントランス301に設置された後、実際に一定距離(例えば数cm)推進する毎(エントランス301から管2を一定距離推進させたことをストローク計X3から受信する毎)に、例えば、図4に示すように、管2又は複数の各管2,2…の先端中心の設計高さに基づいて表示画面310上に管2又は複数の各管2,2…の先端中心Y2を表示するとともに、点線表示の管2のように表示画面310上に管2又は複数の各管2,2…の設計外形を表示する。
即ち、設計位置算出手段は、管2又は複数の管2,2…が一定距離推進する毎に、管2又は複数の各管2,2…の設計外形を逐次更新しながら表示する。
このように、推進作業中の管2又は複数の各管2,2…の実測外形と管2又は複数の各管2,2…の設計外形とを同一の表示画面310上に重ねて同時に表示することで、監視者は、推進作業中の管2又は複数の各管2,2…の設計位置に対する実測位置のずれを視覚的に把握できるようになる。
そして、表示手段は、図5(a)に示すように、評価値としての管2又は複数の各管2,2…の高さの設計値、実測値、設計値と実測値との差を表示画面310に表示するとともに、図5(b)に示すように、管2又は複数の各管2,2…の傾斜角度θの設計値、実測値、設計値と実測値との差を表示画面310に表示する(尚、図5の○○には実際には数値が表示される)。
このように、表示画面310上に、管2又は複数の各管2,2…の高さの設計値(設計高さ(設計評価値))と実測値(実測高さ(実測評価値))との差、及び、管2又は複数の各管2,2…の傾斜角度θの設計値と実測値との差が数値で表示されることで、監視者は、設計値に対する推進作業中の管2又は複数の各管2,2…の実測値のずれを数量的に把握できるようになる。
また、設計評価値を任意に決めた基準Y0と設計値とで算出される管の設計高さとし、実測評価値を任意に決めた基準Y0と管2又は複数の各管2,2……の傾斜角度の実測値とに基づいて算出される管の実測高さとしたので、地中に推進する管2又は複数の各管2,2…の高さを基準に管2又は複数の各管2,2…の推進状況を把握できるようになった。
尚、図示しないが、表示手段は、実際に推進中の管2又は複数の各管2,2…の各傾斜センサX2,X2…から所定時間間隔(例えば100ms毎)で送信されてくる傾斜角度θのデータ、及び、傾斜角度θのデータに基づいて実測位置算出手段により算出される管2又は複数の各管2,2…の先端中心の変位量Xを、表示画面310上に逐次表示する。これにより、推進中の管2又は複数の各管2,2…の状況をリアルタイムに詳細に監視できるようになる。
また、推進作業を中断することなく、管2又は複数の各管2,2…の推進作業を効率的に行え、工期を短くできる。
即ち、実施形態における、管を地中に設置する際の管の状態監視方法によれば、推進作業の効率化が図れるとともに推進作業中において管2又は複数の各管2,2…の位置を連続して確認することが可能となる。
即ち、後続管2B,2B…は先頭管2Aの後方に順次接続されるため、基本的には、後続管2B,2B…は先頭管2Aに従って推進するが、後続管2Bを構成する管体が、後述する余堀、管の剛性、地山抵抗などの影響で撓んで曲がり、先頭管2Aだけが設計ラインに従い、後続管2B,2B…が設計ラインからずれることがあった。特に推進距離が長くなると、管2B,2B…が撓んで変形してくる傾向があった。
つまり、管2,2…の軌跡傾向を見るだけなら、傾斜センサX2を先頭管2Aに取付けるだけでもよいが、実際には、後続管2B,2B…の位置が設計位置から大きくずれることがあり、そこで、実施形態1では、地中に設置するすべての管2に傾斜センサX2を取付けることにより、後続管2B,2B…の状況も詳細に監視できるようになり、精度の高い設置工事を実現できるようになった。
また、上記では、管2又は複数の各管2,2…の先端中心の変位量Zを、管2又は複数の各管2,2…が一定距離推進する毎に求めるようにしたが、変位量Zを、一定時間間隔毎に求めるようにしてもよい。つまり、一定時間間隔毎に得られる管2の推進量A(ストローク計X3から得られる測定値)と管2の傾斜角度θ(傾斜センサX2から得られる傾斜角度θ)とに基づいて、Asinθ=Zにより、変位量Zを算出するようにしてもよい。
また、評価値(実測評価値、設計評価値)として、高さデータを用いたが、傾斜角度に基づいて求められるその他のデータを用いてもよい。
尚、以下、図6における上側を管設置装置1の先頭あるいは前側、図6における下側を管設置装置1の後側、図6における左右側を管設置装置1の左右側、図6の紙面と直交する方向を管設置装置1の上下側と定義して説明する。即ち、図8の矢印で示すように、管設置装置1の前後、左右、上下を定義して説明する。
図6に示すように、管設置装置1は、管2と、掘削装置3とを備える。
掘削装置3は、掘削機械4と、推進装置5と、水供給排泥装置6と、止水装置7と、検出手段8(図9,図10参照)と、後述する油圧モータや油圧シリンダー等の駆動源を制御する制御装置9とを備える。
回転掘削体10は、先頭管2Aの地中への推進方向Fと交差する回転中心線Lを回転中心として回転するように構成されている。
回転掘削体10は、先頭管2Aの中心線2cを中心として左右方向及び上下方向に揺動可能に構成されている。
回転掘削体10の回転駆動手段11は、例えば、油圧モータ(以下、油圧モータ21と言う)と油圧モータ21の回転駆動源としての図外の油圧源とで構成される。この場合、油圧源と油圧モータ21とが圧油供給路及び油帰還路を有した耐圧ホース23で繋がれる。
例えば、油圧モータ21のケーシング24がモータマウント25に固定され、油圧源から耐圧ホース23を介して油圧モータ21に供給される圧油によって回転軸26が回転するように構成されている。また、回転掘削体10の回転体18の底板17の内面の円中心と回転軸26の回転中心とが一致するように、回転体18の底板17の内面と油圧モータ21により回転する回転軸26の先端に設けられた連結板28とがねじ等の連結具29により連結される。
即ち、2つの回転掘削体10,10が先頭管2Aの一端開口2tよりも前方に位置され、2つの回転掘削体10,10が2つの回転軸26,26に共通の1つの回転中心線Lを回転中心として回転するように構成される。このような2つの回転掘削体10,10を備えた構成は、ツインヘッダと呼ばれる。
支持体14は、前面44に連結支柱部15の基端側が連結された支持基板30と、当該支持基板30を支持するとともに、先頭管2Aの内面に設けられた管側支持部32に支持された筒状支持体31とを備える。
尚、管設置装置1の静止状態においては、回転掘削体10が回転掘削体支持部12を介して先頭管2Aに支持された状態であり、回転掘削体10を駆動させて掘削している状態においては、先頭管2Aが回転掘削体10に牽引される状態となる(回転掘削体10による牽引力が、回転掘削体支持部12、管側支持部32を介して先頭管2Aに伝達されることにより、先頭管2Aが牽引される)。本発明においては、これらの状態すべてを「支持」と定義する。
支柱部33は、中空支柱部35と、中空支柱部35を補強する補強部と連結架台34に連結される連結板とを有した補強連結部36とを備える。
中空支柱部35は、主支柱部38と、主支柱部38の先端より左右に分かれて延長する2つの分岐支柱部39,39とを備える。この2つの分岐支柱部39,39は、主支柱部38の先端部より主支柱部38の延長方向と直交する一直線上において互いに離れる方向に延長する。即ち、中空支柱部35は、1つの主支柱部38と2つの分岐支柱部39,39とが組合されたT字状の中空空間を有した構成である。
よって、各耐圧ホース23,23を介して2つの回転掘削体10,10の油圧モータ21,21に圧油が供給されることで2つの回転軸26,26が回転し、2つの回転掘削体10,10が共通の1つの回転中心線Lを回転中心として回転するツインヘッダが構成される。
尚、中空支柱部35の後端開口には、例えば、各油圧モータ21,21に連結された中空支柱部35内の耐圧ホース23,23と油圧源に接続される外部の耐圧ホース23,23とを接続するための接続部23Aが設けられている。また、外部の耐圧ホース23,23は、管2が地中に推進するのに従って長さの長い耐圧ホース23を繋ぎ替えたり、あるいは、耐圧ホース23を順次継ぎ足していくようにすればよい。
連結架台34は、主支柱部38を貫通させる円筒体40と、円筒体40の後端周縁を囲んで円筒体40の中心線と直交する板面を有した後端板41と、円筒体40の前端周縁を囲んで円筒体40の中心線と直交する板面を有した前端板42とを有した構成である。
従って、連結架台34の円筒体40の中心線と支持基板30に形成された主支柱部貫通孔43の中心線とが一致するように連結架台34が配置されて、連結架台34の後端板41の後板面と支持基板30の主支柱部貫通孔周りの前面44とが面接触した状態で当該連結架台34の後端板41が支持基板30の前面44に連結される。
さらに、当該連結架台34の前方側から主支柱部38の後端側を連結架台34の円筒体40の内側に挿入して補強連結部36の連結板と連結架台34の前端板42とが面接触した状態で連結されたことによって、連結架台34の円筒体40の前側開口45が密閉される。
これにより、主支柱部38が支持基板30の前面44に対して直交する方向に延長するように設けられ、2つの油圧モータ21,21の回転軸26,26は、主支柱部38の先端部より主支柱部38の延長方向と直交する一直線上(即ち、分岐支柱部39,39の中心線線上)において互いに離れる方向に延長する。
以上のように、掘削機械4は、回転掘削体10が回転可能なように回転掘削体10が連結支柱部15を介して支持基板30の前面44に連結された構成となっている。
また、回転掘削体10は、回収可能状態(図7に示す回転掘削体10の状態)において管2内を通過できるように構成されている。
即ち、回転掘削体10が上述の回収可能状態になった時には、管2の上下の内面(管2の一方の一対の内面)と直交する線に沿った方向において最も上方に位置される最上の掘削ビット20の上端(管2の上の内面と同一平面に最も近い位置にある掘削ビット20の上端)と管2の上下の内面と直交する線に沿った方向において最も下方に位置される最下の掘削ビット20の下端(管2の下の内面と同一平面に最も近い位置にある掘削ビット20の下端)との間の長さ46S(回転掘削体の回収可能状態時における上下ビット間最大寸法)が、管2の上下の内面間の最短距離寸法よりも小さくなるように構成されている。
従って、回転掘削体10が先頭管2Aの一端開口2tの前方に位置された状態で回転駆動されることによって複数の掘削ビット20,20…が先頭管2Aの一端開口2tの前方位置の地山10Aを掘削するので、先頭管2Aの前方の地山10Aの上下を余掘、即ち、先頭管2Aの上下幅よりも大きい上下幅の掘削を行うことが可能となり、かつ、回転掘削体10を発進基地に回収する際においては、回転掘削体10を上述した回収可能状態になるように設定することによって、回転掘削体10を管2内に引き戻すことができて回転掘削体10を発進基地に回収することが可能となる。
即ち、回転掘削体10が上述した回収可能状態となったときに、ホールIC52と磁石51との間の距離が最小となってホールIC52が磁石51を検出できるように、例えばホールIC52を回転掘削体10を回転可能に支持する回転掘削体支持部12の支柱部33の外面に固定して、磁石51を回転体18の周面上に固定する。
このように構成された検出手段8を備えたことによって、回転掘削体10が回収可能状態となったときに、ホールIC52が磁石51を検出することで、回転掘削体10が回収可能状態となったことを光や音声等で地上に報知することが可能となり、作業者が、地上において回転掘削体10が回収可能状態となったことを知ることができる。即ち、作業者は、回転掘削体10を発進基地に回収する作業を行う前に回転掘削体10をゆっくりと回転させ、ホールIC52が磁石51を検出して回転掘削体10が回収可能状態となったことを図外の報知手段で確認したならば、回転掘削体10の回転を止めることで、回転掘削体10を管2内に入れることができるので、回転掘削体10を管2内経由で発進基地に回収することが可能となる。
即ち、検出手段8を備えたことによって、回転掘削体10が回収可能状態となったことが確実に検出されるので、回転掘削体10を発進基地に回収する際に回転掘削体10が回収可能状態になっているか否かを確認できるようになり、回転掘削体10を発進基地に回収するための回収作業を容易に行えるようになる。
図10に示すように、支持管63に形成された凹溝68は、円柱状突起66を先頭管2Aの後方側から受け入れる進入路69を有して当該進入路69の前端側が半円形の凹壁70(管側支持部32)となった凹部により形成されている。即ち、当該凹溝68は、円柱状突起66の円の直径とほぼ同じ径(円柱状突起66の円の直径よりも数mm程度大きい径)の路幅を有して円柱状突起66の上下方向の動きを拘束する進入路69を備え、当該進入路69の前端側が円柱状突起66の円周面と接触して円柱状突起66の前方への移動を規制する円柱状突起66の円の直径とほぼ同じ径(円柱状突起66の円の直径よりも数mm程度大きい径)の半円形の凹壁70により形成されている。また、当該円柱状突起66の円の中心は筒状支持体31の左右の外面65,65における上下間の中央に位置され、かつ、凹溝68における半円形の凹壁70の円の中心は支持管63の左右の内面における上下間の中央に位置される。
このように、係合凸部が円柱状突起66,66により形成されて、係合凹部が円柱状突起66を進入させる進入路69と円柱状突起66が合致する半円形の凹壁70とを有した凹溝68により形成されているので、円柱状突起66,66を凹溝68,68に係合させて筒状支持体31の回転支持部71を形成する作業が容易となるとともに、回転支持部71を備えたことで筒状支持体31をスムーズに回転させることができる構造となる。また、筒状支持体31を管側支持部32として機能する凹壁70に簡単かつ確実に支持させることが可能となる。
筒状支持体31の外周面の前端側は、前端に向けて縮径する縮径外面に形成された被支持面75となるように構成され、支持面72は、当該被支持面75が接触する面、即ち、前端に向けて縮径するように形成された縮径内面に形成されている。
また、支持面72がゴムにより形成され、かつ、支持面72を形成する縮径内面の前端側の外側は、前端が開口された空洞部76に形成されていて、支持面72を形成する縮径内面の前端側は外側(支持管63の内周面側)に変形しやすい構成となっており、回転掘削体10を上下方向に揺動させやすい構成となっている。尚、筒状支持体31を上下方向に揺動させる際、支持面72の上下の面がガイド面として機能する。
図10に示すように、筒状支持体31の左の円柱状突起66の端面と右の円柱状突起66の端面との間の距離である筒状支持体31の左右間の最大長さは、支持管63の左の凹溝68の底面と右の凹溝68の底面との間の距離である支持管63の内側の左右間の最大長さよりも若干短い長さに形成される。
また、筒状支持体31の左右の外面65,65間の長さは、支持管63の左右の基準内面80,80間の長さよりも短い長さに形成されて、支持管63の左の基準内面80と筒状支持体31の左の外面65との間、及び、支持管63の右の基準内面80と筒状支持体31の右の外面65との間には、隙間81Sが形成されるように構成されている(図10参照)。
また、筒状支持体31の上下の外面84,84間の長さは、支持管63の上下の基準内面80,80間の長さよりも短い長さに形成されて、筒状支持体31の上の外面84と支持管63の上の基準内面80との間、及び、筒状支持体31の下の外面84と支持管63の下の基準内面80との間には、隙間85が形成されるように構成されている(図7参照)。
従って、筒状支持体31が前側に移動できなくなった初期状態において、筒状支持体31と支持管63との接触部分は、筒状支持体31の円柱状突起66の円周面と凹溝68の凹壁70との接触部分、及び、筒状支持体31の外周面の前端側の被支持面75と支持管63の支持面72との接触部分だけであり、その他の部分は非接触状態に維持されるので、筒状支持体31が回転支持部71を回転中心として回転可能となっている。
支持管63の基準内面80は平面に形成される。
筒状支持体31の左右の内面82,82は、筒状支持体31の筒の中心線に沿って中心線から離れる方向に窪むように湾曲する湾曲凹面、又は、支持管63の左右の基準内面80,80と平行な平面に形成される。
支持基板30は、先頭管2Aの前後方向に沿った板厚を有し、左右の外面(端面)83,83は、支持基板30の中心線に沿って中心線から離れる方向に突出して湾曲する湾曲凸面、又は、支持管63の左右の基準内面80と平行な平面に形成される。
そして、回転掘削体10が、連結支持部15を介して支持基板30に連結されていることにより、支持基板30の左右の外面83,83が前後方向に揺動した場合、回転掘削体10が先頭管2Aの左右の内面と直交する方向、即ち、回転掘削体10が先頭管2Aの中心線2cを中心として左右方向に揺動可能なように構成されている。
例えば、主支柱部貫通孔43は支持基板30の中央部を貫通するように形成され、送排水管保持貫通孔90は、支持基板30の左右の位置をそれぞれ貫通するように2つ設けられる。送排水管91の先端側が送排水管保持貫通孔90に連結される。
即ち、回転掘削体10を回転可能に支持する連結支柱部15の基端側が支持基板30の前面44に連結され、左右揺動駆動手段150によって支持基板30を回転支持部88を回転中心として揺動させることにより、回転掘削体10が回転掘削体10の回転中心線Lと平行な先頭管2Aの上下の内面(先頭管2Aの互いに対向する一方の一対の内面)に沿った方向、即ち、先頭管2Aの左右方向に揺動可能に構成されている。
さらに、支持体14が回転掘削体10の回転中心線Lと平行な先頭管2Aの上下の内面と直交する方向、即ち、先頭管2Aの上下方向に揺動可能に構成され、上下揺動駆動手段100によって支持体14を回転支持部71を回転中心として揺動させることにより、回転掘削体10が回転掘削体10の回転中心線Lと平行な先頭管2Aの上下の内面(先頭管2Aの高さ方向で互いに対向する一方の一対の内面)と直交する方向、即ち、先頭管2Aの上下方向に揺動可能に構成されている。
上下揺動用アクチュエータ101は、例えば、油圧シリンダ(以下、油圧シリンダ101という)により構成される。
油圧シリンダ101は、支持基板30の後方における左端側及び右端側にそれぞれ1つずつ配置される。
前側架台103及び後側架台104は、支持基板30の後方における左端側及び右端側にそれぞれ1つずつ配置される。
前側架台103は、前端部が筒状支持体31の後端面106に接続されるとともに、後端部には油圧シリンダ101のシリンダ側端部108が固定される。
後側架台104には、油圧シリンダ101のピストンロッド側端部109が固定される。
前側架台103は、筒状支持体31の後端面106に連結される前側縦長部材110と、後側縦長部材111と、前側縦長部材110の上端部と後側縦長部材111の上端部とを繋ぐ上側横長部材112と、前側縦長部材110の下端部と後側縦長部材111の下端部とを繋ぐ下側横長部材113と、後側縦長部材111の上端側から後方に延長するように設けられた上側連結部材114と、後側縦長部材111の下端側から後方に延長するように設けられた下側連結部材115とを備える。
後側架台104は、上下方向に延長して前側架台102の上側連結部材114及び下側連結部材115と連結される前側縦長部116と、前側縦長部116の上端側より前方に延長するように形成された油圧シリンダ固定部117と、前側縦長部116の後側に連続して上下方向に延長するように設けられた後側縦長部118と、後側縦長部118の後端面における上下方向の中間部より後方に延長するように設けられた後側連結部119とを備える。当該後側連結部119の後端には、後続の推進力伝達棒状体202の前端に設けられた前側の連結用フランジ204と連結される後側の連結用フランジ120を備える。
そして、前側架台103の上側連結部材114の後端側に設けられたピン123が上側長孔121内を移動可能なように当該上側長孔121に連結されるとともに、前側架台103の下側連結部材115の後端側に設けられたピン124が下側長孔122内を移動可能なように当該下側長孔122に連結されている。
例えば、油圧シリンダ101のピストンロッド125が最大伸長位置と最大収縮位置との間の中間位置に設定された場合に、筒状支持体31が回転していない初期状態(筒状支持体31の基準外面81と支持管63の基準内面80とが平行となる状態)に設定されるように構成されているとする(図11(a)参照)。
そして、回転掘削体10を上方に揺動させたい場合は、図11(b)に示すように、ピストンロッド125を伸長させることによる反力によって、シリンダ126が固定されている前側架台103の下側連結部材115が下方に移動して各ピン123,124が下方に移動するように筒状支持体31が回転支持部71を回転中心として回転することで、筒状支持体31の前端下部の被支持面75がガイド面となる下側の支持面72上をスライドして前方に移動するとともに、筒状支持体31の前端上部の被支持面75がガイド面となる上側の支持面72上をスライドして後方に移動して、回転掘削体10が上方に移動する。
また、回転掘削体10を下方に揺動させたい場合は、図11(c)に示すように、ピストンロッド125を収縮させることによって、シリンダ126が固定されている前側架台103の下側連結部材115が上方に移動して各ピン123,124が上方に移動するように筒状支持体31が回転支持部71を回転中心として回転することで、筒状支持体31の前端上部の被支持面75がガイド面となる上側の支持面72上をスライドして前方に移動するとともに、筒状支持体31の前端下部の被支持面75がガイド面となる下側の支持面72上をスライドして後方に移動して、回転掘削体10が下方に移動する。
つまり、後側架台104が、後続管2Bの上下の内面(管の互いに対向する一方の一対の内面)と直交する方向に、回転掘削体10の揺動時の回転中心である回転支持部71を中心とする同一の円弧に沿って延長するように形成された複数の長孔である上側長孔121と下側長孔122とを備え、ピン123が上側長孔121内を移動するとともに、ピン124が下側長孔122内を移動するように構成されたので、回転掘削体10を回転支持部71を回転中心としてスムーズに揺動させることができる。
つまり、上下揺動駆動手段100は、回転掘削体支持部12を揺動させるための駆動源となる揺動用アクチュエータとしての油圧シリンダ101と、アクチュエータ設置部102とを備えており、当該アクチュエータ設置部102は、回転掘削体支持部12の後端(筒状支持体31の後端面106)に連結された前側架台103と、後端(後側連結部119の後側の連結用フランジ120)に後述する推進力伝達媒体としての推進力伝達棒状体202の前端(前側連結用フランジ204)が連結される後側架台104とを備えている。
そして、前側架台103は、連結部材としての上側連結部材114及び下側連結部材115と、上側連結部材114に設けられた軸部としてのピン123及び下側連結部材115に設けられた軸部としてのピン124とを備え、後側架台104は、先頭管2Aの上下の内面と直交する方向に延長する連結部としての前側縦長部116と、当該前側縦長部116の延長方向に延長するように形成された上側長孔121及び下側長孔122とを備え、前側架台103の上側連結部材114及び下側連結部材115に設けられたピン123及びピン124が後側架台104の前側縦長部116に形成された上側長孔121及び下側長孔122内を移動可能なように連結されている。
また、油圧シリンダ101は、シリンダ側端部108及びピストンロッド側端部109のうちの一方であるシリンダ側端部108が前側架台103の連結部材として下側連結部材115に回転可能に取付けられ、かつ、シリンダ側端部108及びピストンロッド側端部109のうちの他方であるピストンロッド側端部109が後側架台104の連結部としての油圧シリンダ固定部117に回転可能に取付けられている。
そして、後側架台104の上側長孔121及び下側長孔122が、筒状支持体31の上下揺動時における回転中心となる回転支持部71を中心とする円弧に沿って延長するように形成されている。
これにより、掘削機械4を上方に向けて推進させる場合に、突起131が後側架台104の後側縦長部118の後面130を支えるので、掘削機械4の下方への移動(落下)を防止できる。
尚、当該突起は、例えば後続管2Bの左右の内面に設けられた図外のねじ孔部に着脱自在となったボルト等により構成され、掘削機械4を先頭管2Aにセットする場合や掘削機械4を下方に向けて推進させる場合等においては、取り外すことができるように構成されている。即ち、当該突起は、掘削機械4を先頭管2Aにセットする場合においては邪魔になり、また、掘削機械4を下方に向けて推進させる場合においては不要となるため、取り外しておく。
また、先頭管2Aの中心線2cを基準として回転掘削体10を上方向又は下方向に揺動させることによって、先頭管2Aの推進方向を上下に調整することが可能となる。
また、先頭管2Aの前方の上側だけを重点的に掘削したい場合や、先頭管2Aの前方の下側だけを重点的に掘削したい場合にも対応できるようになる。
左右揺動用のアクチュエータ151は、例えば、油圧シリンダ(以下、油圧シリンダ151という)により構成される。
油圧シリンダ151は、2個設けられ、支持基板30の後方における左端側及び右端側にそれぞれ1つずつ配置される。
図9に示すように、左側の油圧シリンダ151は、ピストンロッド側端部152とアクチュエータ設置部としての支持基板30の後面153における左側の上下中央側とがヒンジのような可動自在な接続手段154により接続され、かつ、シリンダ側端部155とアクチュエータ設置部としての左側の前側架台103の後側縦長部材111の上下中央側とがヒンジのような可動自在な接続手段156により接続されている。
同様に、右側の油圧シリンダ151は、ピストンロッド側端部152とアクチュエータ設置部としての支持基板30の後面153における右側の上下中央側とがヒンジのような可動自在な接続手段154により接続され、かつ、シリンダ側端部155とアクチュエータ設置部としての右側の前側架台103の後側縦長部材111の上下中央側とがヒンジのような可動自在な接続手段156により接続されている。
即ち、油圧シリンダ151は、シリンダ側端部155が管2の左側又は右側に配置され、ピストンロッド側端部152が管2の中央側に配置されて、中心線が管2の左側又は右側から管2の中央側に延長するように、斜めに配置されていることにより、管2の中央側のスペースを広くでき、送排水管91や耐圧ホース23等の取り回しスペースを十分に確保できるようになる。
そして、図6において、左側の油圧シリンダ151のピストンロッド157を伸長させ、かつ、右側の油圧シリンダ151のピストンロッド157を縮退させた場合に、支持基板30の左端部が前側に移動し、支持基板30の右端部が後側に移動するので、回転掘削体10が右側に揺動する。
また、図6において、右側の油圧シリンダ151のピストンロッド157を伸長させ、かつ、左側の油圧シリンダ151のピストンロッド157を縮退させた場合に、支持基板30の右端部が前側に移動し、支持基板30の左端部が後側に移動するので、回転掘削体10が左側に揺動する。
また、先頭管2Aの中心線2cを基準として回転掘削体10を左方向又は右方向に揺動させることによって、先頭管2Aの推進方向を左右に調整することが可能となる。
また、先頭管2Aの前方の右側だけを重点的に掘削したい場合や、先頭管2Aの前方の左側だけを重点的に掘削したい場合にも対応できるようになる。
そして、先頭管2A及び後続管2B,2B…が設定位置からずれていることが確認された場合に、例えば、上下揺動駆動手段100により、回転掘削体10の位置を上下方向に揺動させた後、あるいは、回転掘削体10の位置を上下方向に揺動させながら、作業を続行したり、推進装置5の油圧シリンダ200Aによる推進力を制御したりすることで、設計位置に対する先頭管2A及び後続管2B,2B…の実際位置のずれを修正できるようになる。
即ち、止水装置7を備えたことで、支持基板30が左右側に揺動して回転掘削体10が左右方向に揺動した場合、筒状止水部材160が伸縮して、支持基板30と筒状支持体31との間への水の侵入が阻止されるとともに、筒状支持体31が前後方向に揺動して回転掘削体10が上下方向に揺動した場合、筒状支持体31と支持管63との間への水の侵入が阻止されることで、支持基板30の前方側から支持基板30の後方側への水の移動が阻止される。
このように、筒状止水部材160として、筒状に形成されたゴム筒を用いることで、ゴム筒の伸縮により、筒状支持体31及び支持基板30の揺動動作がスムーズになるとともに止水性能にも優れた止水装置7を形成できる。
また、従来のように、支持基板30の外周面と筒状支持体31の内周面との間、先頭管2Aの内面と筒状支持体31の外周面との間に、止水ゴムなどを設ける必要がなくなり、支持基板30の外周面と筒状支持体31の内周面と摩擦抵抗が軽減されるため、筒状支持体31及び支持基板30の揺動動作がスムーズになる。
尚、筒状止水部材160は、回転掘削体10の揺動によって引っ張られてもちぎれない程度の弾性を有したゴムを用い、かつ、回転掘削体10の揺動によって縮んだ状態において筒状支持体31の内面82と支持基板30の外面83との間に噛み込まれないような弛み(余裕)を持たせた状態に取付ける。
例えば、筒の一端開口縁161側の径が筒の他端開口縁162側の径よりも大径に形成された筒状止水部材160を用いて、小径側である他端開口縁162側を支持基板30の前面44における外周縁側に沿って形成された環状固定部176に固定し、かつ、大径側である一端開口縁161側を環状固定部176よりも大径である支持管63の内周面側の環状固定部166に固定することによって、回転掘削体10の揺動によって引っ張られてもちぎれ難く、かつ、回転掘削体10の揺動によって縮んだ状態において筒状支持体31の内面82と支持基板30の外面83との間に噛み込まれない構成の止水部を構成することが可能となる。
即ち、筒状止水部材160の小径側である他端開口縁162側を支持体14に固定し、かつ、筒状止水部材160の大径側である一端開口縁161側を先頭管2Aの内周面に固定することによって、回転掘削体10の揺動によって引っ張られてもちぎれ難く、かつ、回転掘削体10の揺動によって縮んだ状態において弛みすぎない構成の止水部を構成することが可能となる。
即ち、推進駆動源による推進力を推進力伝達手段200を介して筒状支持体31に伝達するとともに回転掘削体10を回転させることにより、回転掘削体10が前方に推進し、かつ、筒状支持体31に伝達された推進力が推進力受け部を介して先頭管2Aに伝達されて先頭管2Aが前方に推進する。
推進力受け部としての管側支持部32は、筒状支持体31の左右の外面に設けられた円柱状突起66を受ける凹溝68の凹壁70により構成される。
推進力伝達構成部201は、例えば、上述したアクチュエータ設置部102により構成される。
推進力伝達棒状体202は、例えば、H形鋼の両端に連結用フランジ204,204を備えた構成である。
当該座屈防止部材203を備えていることにより、アクチュエータ設置部102の後端に連結されることで回転掘削体支持部12に連結された左右の推進力伝達棒状体202,202に推進駆動源としての油圧シリンダからの推進力が加わった場合において、座屈防止部材203、又は、後続管2Bの内面に接触した座屈防止部材203が、左右の推進力伝達棒状体202,202を座屈させようとする力に抵抗することによって、左右の推進力伝達棒状体202,202の座屈を防止できるようになり、油圧シリンダにより付与された推進力を推進力伝達構成部201(アクチュエータ設置部102)を介して回転掘削体10と先頭管2Aとに確実に伝達できるようになる。
即ち、一方の送排水管91と送水用のポンプとを繋いで送水用のポンプを駆動して一方の送排水管91に水を供給することで支持基板30の前方空間を加圧し、他方の送排水管91と排泥水用のポンプとを繋いで排泥水用のポンプを駆動して支持基板30の前方空間内の泥水を排泥タンクに排出する。
また、他方の送排水管91と送水用のポンプとを繋いで送水用のポンプを駆動して他方の送排水管91に水を供給することで支持基板30の前方空間を加圧し、一方の送排水管91と排泥水用のポンプとを繋いで排泥水用のポンプを駆動して支持基板30の前方空間内の泥水を排泥タンクに排出する。
即ち、一方の送排水管91を水供給管として使用したり排泥水管として使用し、また、他方の送排水管91を排泥水管として使用したり水供給管として使用する。つまり、2つの送排水管91,91を、適宜、水供給管として使用したり排泥水管として使用するというように切り替えて使用することにより、支持基板30の前方空間における泥水の偏在を防止して、支持基板30や筒状支持体31の揺動時の動き、及び、支持基板30や筒状支持体31の推進時の動きが阻害されないようにしている。
まず、掘削機械4を先頭管2Aにセットする。例えば、筒状支持体31と支持基板30と連結架台34とが組み付けられた組立体を先頭管2Aの後端開口から挿入して、筒状支持体31の左右の円柱状突起66,66を支持管63の左右の凹溝68,68内に挿入することにより、先頭管2Aにセットする。
尚、支持基板30の左右の湾曲凸面が筒状支持体31の左右の湾曲凹面と摺動するように構成される場合、筒状支持体31は、例えば別々の左側板と右側板と上板と下板とが溶接等で連結されて構成される。即ち、支持基板30の上下の円形状突起86,86を筒状支持体31の上板と下板とに形成された円孔87,87内に挿入した状態で、筒状支持体31の左側板の湾曲凹面を支持基板30の左の湾曲凸面に当てた状態で筒状支持体31の左側板の上端と上板とを溶接等で連結するとともに筒状支持体31の左側板の下端と下板とを溶接等で連結する。同様に、筒状支持体31の右側板の湾曲凹面を支持基板30の右の湾曲凸面に当てた状態で筒状支持体31の右側板の上端と上板とを溶接等で連結するとともに筒状支持体31の右側板の下端と下板とを溶接等で連結する。以上により、筒状支持体31の内側に支持基板30が組み付けられた組立体が形成される。
以上により、先頭管2Aの発進準備が完了する。
また、アクチュエータ設置部102の後端に位置する左右の連結用フランジ120,120が後続管2Bの後端開口よりも後方に突出している間に、当該左右の連結用フランジにそれぞれ推進力伝達棒状体202を連結する。そして、各推進力伝達棒状体202の後端に位置する左右の連結用フランジ204,204を各油圧シリンダ200A,200Aで押圧することで先頭管2A及び後続管2Bをさらに進行させる。そして、後続管2Bが完全に地中に進行する前に発進基地内において後続管2Bの後端にさらに後続の後続管2Bを接続する。
尚、回転掘削体10が図外の到達基地に到達した場合には、当該到達基地内において筒状止水部材160を切断した後に掘削機械4等を発進基地に引き戻して回収する。また、回転掘削体10が図外の到達基地に到達しない状態で掘削機械4等を地中から発進基地に引き戻して回収する場合には、掘削機械4等を引き戻す際に筒状止水部材160を引っ張ることで破断させて(引きちぎって)回収する。
即ち、図12に示した左側縦長部206が左の推進力伝達棒状体202に連結されるとともに、右側縦長部207が左の推進力伝達棒状体202に連結され、かつ、当該左側縦長部206と右側縦長部207とを連結する左右連結棒状体、あるいは、当該左右の推進力伝達棒状体202,202同士を連結する左右連結棒状体を有した座屈防止部材を備えた構成としてもよい。
当該座屈防止部材を備えた場合でも、推進駆動源からの推進力が左右の推進力伝達棒状体202,202に加わった場合において推進力伝達棒状体202の座屈を防止できるようになり、推進駆動源により付与された推進力を回転掘削体10と先頭管2Aとに確実に伝達できるようになる。
即ち、図12に示した左の干渉低減部材210を、左の推進力伝達棒状体202より後続管2Bの左内面側に向けて突出するように左の推進力伝達棒状体202、又は、左側縦長部206に設けるとともに、図12に示した右の干渉低減部材210を、右の推進力伝達棒状体202より後続管2Bの右内面側に向けて突出するように右の推進力伝達棒状体202、又は、右側縦長部207に設けた構成としてもよい。
当該干渉低減部材を備えた場合でも、推進力伝達棒状体202を発進基地に回収する回収時の摩擦抵抗を軽減できるようになり、推進力伝達棒状体202を発進基地に戻す回収作業を容易に行えるようになる。
また、推進力伝達棒状体202の剛性を向上させることができれば、座屈防止部材203の形状、材質等は特に限定されない。
また、推進力伝達媒体は、棒状体でなくともよい。
また、支持基板30を上下方向に揺動させる構成とし、筒状支持体31を左右方向に揺動させる構成の管設置装置としてもよい。
10 回転掘削体、10A 地山、14 支持体、15 連結支柱部、
100 上下揺動駆動手段(揺動駆動手段)、310 表示画面、L 回転中心線、
X2 傾斜センサ(傾斜検出手段)、X3 ストローク計。
Claims (7)
- 回転掘削体により地山を掘削しながら回転掘削体を推進装置で後方から押圧することにより、回転掘削体の後続に管が順次継ぎ足されて形成されて中心線が前後の管の連結部で曲がる折曲管を推進させて地中に設置する管設置装置を用いて、管を地中に設置する際の管の状態監視方法であって、
回転掘削体に接続される折曲管の先頭管に直接に管の傾斜角度を検出するための傾斜検出手段を取付けるとともに、先頭管の後方に溶接により順次接続される後続管のうちの1つ以上の後続管に直接に管の傾斜角度を検出するための傾斜検出手段を取付け、
折曲管の推進中において各傾斜検出手段で連続的に計測される実測値に基づいて推進中の管の地中での状態を監視することを特徴とする管を地中に設置する際の管の状態監視方法。 - 先頭管の後方に順次接続されるすべての後続管にそれぞれ管の傾斜角度を検出する傾斜検出手段を取付けたことを特徴とする請求項1に記載の管を地中に設置する際の管の状態監視方法。
- 地中に設置する予定の先頭管及び後続管の設計位置と、管の地山への入口から管の地中への推進量と傾斜検出手段で計測された傾斜角度の実測値とに基づいて算出される推進中の先頭管及び後続管の実測位置と、を同一の表示画面上に同時に表示することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の管を地中に設置する際の管の状態監視方法。
- 管の地山への入口から管の地中への推進量をストローク計で測定したことを特徴とする請求項3に記載の管を地中に設置する際の管の状態監視方法。
- 地中に設置する予定の先頭管及び後続管が一定距離推進する毎の傾斜角度の設計値に基づく設計評価値を求めるとともに、推進作業中の先頭管及び後続管が一定距離推進する毎に傾斜検出手段から得られる先頭管及び後続管の傾斜角度の実測値に基づく実測評価値を求め、
先頭管及び後続管の設計評価値と実測評価値との差を求めて表示画面上に表示することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の管を地中に設置する際の管の状態監視方法。 - 設計評価値が任意に決めた基準と設計値とで算出される管の設計高さであり、実測評価値が任意に決めた基準と管の傾斜角度の実測値とに基づいて算出される管の実測高さであることを特徴とする請求項5に記載の管を地中に設置する際の管の状態監視方法。
- 管設置装置は、断面四角形の先頭管と、先頭管の一端開口よりも前側に位置されて先頭管の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体と、先頭管の内面に支持された支持体と、基端側が支持体に連結されるとともに回転掘削体を回転可能に支持する連結支柱部と、回転掘削体を先頭管の高さ方向で互いに対向する一方の一対の内面と直交する方向に揺動可能に駆動する揺動駆動手段と、推進力を支持体を介して先頭管及び回転掘削体に付与する推進装置と、を備えた構成であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の管を地中に設置する際の管の状態監視方法。
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