JP5463049B2 - 合成樹脂管曲進埋設装置 - Google Patents

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Description

本発明は、硬質塩化ビニル管等の合成樹脂管を推進工法で地中に直接埋設するための合成樹脂管曲進埋設装置に関するものである。
従来、地中に下水道の管路や他の管路を埋設する工法として、先導する掘進機に後続させて埋設管を推進させる推進工法が知られている。この推進工法は、図17の推進工法を模式的に示す側面視の断面図のように、埋設すべき管路の予定埋設線上に発進立坑201と到達立坑202とを構築し、発進立坑201に設置した元押装置203によって管204に推進力を与え、この管204を介して掘進機205に推進力を伝達して推進させるものである。そして、掘進機205を到達立坑202まで推進させることにより、発進立坑201と到達立坑202との間に連続する管204を直接的に埋設して管路を形成している。
上記管路を構成する埋設管としては、200mm〜400mm程度の直径のコンクリート管や硬質塩化ビニル管等が一般的に採用されているが、例えば、直径が300mm程度の小径管の場合には、製作上の関係や耐食性等から硬質塩化ビニル管(この明細書及び特許請求の範囲では、単に「塩ビ管」ともいう)等の合成樹脂管が多く採用されている。
例えば、近年、合成樹脂管として多く採用されている塩ビ管を例に説明すると、この塩ビ管を埋設する場合には、塩ビ管によって伝達し得る推進力が小さいため、上記図17に示すように、塩ビ管204には掘進機205を推進するための推進力が直接伝達しないように、塩ビ管204の内部に掘進機205へ推進力を伝達するための金属製インナー管206を挿通し、このインナー管206を介して掘進機205に推進力を伝達するようにしている。この場合、塩ビ管204への推力伝達は、発進立坑201に設けられた元押装置203によって行われる。
一方、このような塩ビ管の推進工法では、所定長さの塩ビ管の推進が終了する毎に発進立坑に設けられた元押装置と埋設した塩ビ管との間に新たな塩ビ管が接続され、この塩ビ管の内部に新たなインナー管が配置されると共に、先導する掘進機に動力を伝える動力線や制御信号を伝送する信号線や、掘進機から地山との間に滑材を注入する滑材供給管等、各種線類や管類が配置されて接続される。また、泥水工法の掘進機を採用した場合には、上記線類や管類に加えて送泥管や排泥管等の管が配置されて接続される。
しかも、掘進機を常に正しい方向へ推進させるためには、掘進機の推進位置を測量して予定埋設線上を推進するように掘進機を制御しなければならない。この測量は、上記したような小径管の場合には、埋設管の内部空間を利用して発進立坑から掘進機の位置を正確に測量する必要がある。特に、曲進施工する場合には、掘進機の位置を正確に測量しなければ到達立坑の位置から大きくずれてしまうおそれもある。
なお、この種の先行技術として、推進支持体の外周に埋設管を嵌挿し、この埋設管を推進支持体の外周に設けた保持手段である膨張機構の膨張体を膨張させて保持固定し、元押装置によって推進支持体に推進力を与えて推進させることにより、埋設管に推進力を加えることなく推進するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。この先行技術では、推進支持体の軸方向端部に推進支持体同士を連結するヒンジ機構と伸縮機構とが装備され、この伸縮機構で推進支持体同士の軸方向を所定の角度に変向して曲進施工ができるようにしている。
また、他の先行技術として、上記先行技術の伸縮機構をネジ回転機構から伸縮シリンダ機構に変更すると共に、推進支持体の軸方向接続部をゴム等の弾力的に変形可能な材料からなる可撓部を挟んで配置したものもある(例えば、特許文献2参照)。
特開平3−267496号公報 特開平5−52090号公報
ところで、近年、下水道管等の塩ビ管(合成樹脂管)を埋設する環境としては、地上の制約や周辺の交通事情に与える影響を極力小さくすること、及び発進・到達立坑の築造コストを低減させるために、立坑を設ける間隔を広げたいという要望がある。そして、その対応策として、例えば、200m程度の長距離推進工法の開発が、業界の高いニーズとなっている。しかも、地上の制約等から発進立坑と到達立坑との間で曲進施工させて塩ビ管を埋設したいという要望もある。
しかしながら、上記した塩ビ管を200m近く埋設しようとした場合、細長い構造物であるインナー管によって200m先の掘進機に推進力を伝達することから生ずる座屈が塩ビ管に影響することへの対応や、長距離掘進に対応した測量のための内部空間を狭い掘進機の断面内に設けると共に、長距離の送排泥管等の管類、電気配線等の線類等、多くの構成を狭い塩ビ管の内部に設置することが難しくなる。
一方、塩ビ管の推進力は、上記図17に示すように、施工距離が増すことによって元押装置203で推力伝達される塩ビ管204と地山207との周面摩擦力208が大きく増加するので、その周面摩擦力の増加に耐えるような塩ビ管を製作することは非常に難しい。そのため、従来の塩ビ管等の合成樹脂管を埋設する推進工法の施工距離は、塩ビ管等の合成樹脂管の許容推進力によって限定されており、100m以下の短距離施工しか行われていないのが現状である。
しかも、推進工法では、掘進機の推進方向が管路の予定埋設線からズレることがあり、特に塩ビ管を曲線で埋設する場合には、常に掘進機の推進方向を予定埋設線に一致させるように制御する必要があるため、掘進位置の正確な測量ができるように構成しなければならない。
その上、塩ビ管の地中への埋設が完了すると、内部のインナー管は全て回収され、これに伴って電線類,管類も回収される。このとき、一般的にインナー管の内部に挿通された電線類や管類も一緒に発進立坑方向に回収されるので、インナー管は回収可能な機能・構造を有する必要があると共に、その大きな引き力に耐えうる必要があるが、200m以上の推進距離でインナー管を回収するのは非常に困難である。
なお、上記特許文献1では、埋設管の内面に押付けた膨張体の摩擦力によって埋設管を推進支持体に保持しているため、埋設管の内面状態によって摩擦力が変化して埋設管の保持力も大きく変化し、安定して埋設管を保持した推進施工ができないおそれがある。また、推進支持体同士の角度を変向させる伸縮機構がネジ式であるため、曲線・直線の繰り返しがある施工条件では、伸縮機構の煩雑な操作が必要になる。しかも、曲線・直線の繰り返し施工条件のように推進後に変向させる必要がある施工条件で使用することができない。その上、推進支持体の全ての連結部に伸縮機構を装備するため、多くの製造コストを要する。
また、上記特許文献2では、伸縮機構に伸縮シリンダ機構を採用しているので、曲線・直線の繰り返しがある施工条件でもそれぞれの伸縮シリンダストロークを調整すれば施工可能であるが、各伸縮シリンダ機構を駆動制御するための油圧・電気の各制御機器が増え、多大な設備費用を要する。しかも、推進支持体の軸方向接続部に挟んでいるゴム等の可撓部は強度が極端に低く、埋設管として経年使用することは困難である。その上、この特許文献1及び上記特許文献2には、曲進施工させる掘進機の位置を正確に測量できる手段が開示されていない。
そこで、本発明は、合成樹脂管を地中に直接埋設する推進工法で、安定した曲進施工が可能で長距離推進ができる合成樹脂管曲進埋設装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、元押装置で推進力を与える掘進機によって掘削する地中に埋設して推進方向に接続する所定長さの合成樹脂管と、該合成樹脂管の内部に配置して前記掘進機の推進方向に接続することにより該掘進機に推進力を伝達する所定長さのインナー管とを備え、前記インナー管は、軸方向に貫通する空間を有する管体で形成され、該インナー管の連結部は、インナー管を屈曲可能に連結する連結構造と、前記推進力を伝達する推力伝達面とを有する屈曲部と、前記合成樹脂管の推進力を該合成樹脂管の許容推進力の範囲となる間隔で前記インナー管によって支持する推力支持部とを具備していることを特徴とする。これにより、合成樹脂管の推進力を元押装置だけで伝えるのではなく、合成樹脂管が負荷できる許容推進力の範囲内となる間隔でインナー管によって合成樹脂管に推進力を伝えるので、インナー管の許容推進力まで施工距離を伸ばすことが可能となる。しかも、屈曲部の推力伝達面で推力を伝達しつつ、屈曲可能な連結構造により、掘進機の推進方向と地山から合成樹脂管が受ける力とによる合成樹脂管の追随方向が異なっても、インナー管の連結部が屈曲して掘進機に後続させる合成樹脂管を円滑に曲進させることができる。その上、インナー管の軸方向に貫通する空間により、この空間を測量エリアとして使用して掘進機の位置を正確に測量することができる。
また、前記インナー管は、測量装置が移動できる空間を有する矩形断面の中空管であってもよい。このようにすれば、測量装置を移動させるための空間をインナー管の中心部に確保することができると共に、インナー管の周囲の平面を種々の構成の取付ベースとして利用することができる。
さらに、前記推力支持部は、前記インナー管から径方向に突出した状態で前記合成樹脂管と係合し、径方向に格納した状態で前記合成樹脂管から離脱する係合部材と、該係合部材をインナー管から前記合成樹脂管の係合部に向けて突出又はインナー管に向けて格納させる推力支持突出・格納機構とを具備していてもよい。この明細書及び特許請求の範囲の書類中では、合成樹脂管の径方向の移動を突出/格納という。このようにすれば、合成樹脂管を埋設した後、係合部材を推力支持突出・格納機構で格納させて合成樹脂管との係合を解除すれば、インナー管と合成樹脂管との係合を断ち、インナー管を元押装置方向に回収する作業を迅速に行うことができる。
また、前記係合部材は、インナー管の上下位置に配置されていてもよい。このようにすれば、合成樹脂管の埋設時に左右方向へ曲進施工しても、インナー管の上下位置で推力伝達を安定して行いながら推進させることができる。
さらに、前記推力支持突出・格納機構は、前記掘進機の推進方向に接続するインナー管の元押装置方向から前記推力支持部の係合部材を格納させる格納操作部を有し、該格納操作部は、前記インナー管の屈曲時に該インナー管の屈曲に追従して屈曲する屈曲機構を具備していてもよい。このようにすれば、合成樹脂管を埋設した後、元押装置方向から格納操作部を操作することにより、曲進させたインナー管側に合成樹脂管と係合している係合部材を格納することができ、作業性良く係合部材と合成樹脂管との係合を断つことができる。
その上、前記格納操作部は、前記元押装置方向に引くプルロッドと、該プルロッドの引き動作によって前記係止部材をインナー管に向けて移動させる係合部材引下げ部とを具備していてもよい。このようにすれば、元押装置方向から係合部材の係合を解除する操作時に、プルロッドを引けば、係合部材引下げ部が係合部材を合成樹脂管からインナー管側に移動させて係合を解除することができ、操作性良く係合部材の解除作業を行うことができる。
さらに、前記インナー管は、前記合成樹脂管の外部に滑材を注入する滑材注入部を具備していてもよい。このようにすれば、合成樹脂管の長距離埋設時でも、所定間隔で合成樹脂管と地山との接触面積によって決まる周面摩擦力を抑えて、合成樹脂管の推進抵抗を抑えることができる。
その上、前記滑材注入部は、径方向に突出した状態で前記合成樹脂管と係合し、径方向に格納した状態で前記合成樹脂管から離脱する滑材注入管と、該滑材注入管を前記インナー管から前記合成樹脂管に向けて突出又はインナー管に向けて格納させる滑材注入突出・格納機構とを具備し、前記合成樹脂管は、前記滑材注入管の滑材注入位置に、該滑材注入管から合成樹脂管外部への滑材注入は可能で、該合成樹脂管外部からの逆流は防止する逆止機構を具備していてもよい。このようにすれば、合成樹脂管を埋設してインナー管を回収するときに滑材注入装置の滑材注入管をインナー管に向けて格納させれば、滑材注入装置を合成樹脂管から切り離すことが容易にでき、切り離した滑材注入管の位置から滑材や地下水が合成樹脂管内に入るのを逆止機構で防止することができる。
また、前記滑材注入突出・格納機構は、前記滑材注入管を前記合成樹脂管の所定位置に止める揺動レバーを有すると共に、前記掘進機の推進方向に接続するインナー管の元押装置方向から前記揺動レバーで滑材注入管を格納させる格納操作部を具備していてもよい。このようにすれば、合成樹脂管を埋設した後、元押装置方向から格納操作部を操作することによって揺動レバーで滑材注入管をインナー管側に格納して合成樹脂管との係合を断つことができるので、作業性良く容易に滑材注入管の係合を断つことができる。
本発明によれば、インナー管の内部空間を利用して曲線施工時でも掘進機の位置を正確に測量することができると共に、合成樹脂管が負荷する推進力を許容推進力の範囲に抑えて、インナー管の許容推進力の範囲で合成樹脂管を地中に直接埋設する推進工法による長距離の曲線推進を安定して行うことが可能となる。
本発明の一実施の形態に係る合成樹脂管曲進埋設装置の屈曲部を示す軸方向の断面図である。 図1の屈曲部における分解斜視図である。 図2に示す屈曲部を連結する時の状態を示す側面図である。 図1に示すIV−IV断面図である。 (a),(b) は、図4に示す送排泥管の接続部を示す断面図である。 図1に示すVI−VI断面図である。 (a) は、図1に示す屈曲部のインナー管屈曲状態を示す平面図であり、(b) は(a) に示すVII−VII断面図である。 図1に示す合成樹脂管曲進埋設装置による曲進状態を模式的に示す平面図である。 本発明に係る合成樹脂管曲進埋設装置の推力支持部を示す軸方向の断面図である。 図9に示すX−X断面図である。 図9に示す推力支持部の突出/格納状態を示す図面であり、(a) は突出状態の断面図、(b) は格納状態の断面図である。 本発明に係る合成樹脂管曲進埋設装置による推進工法を模式的に示す側面視の断面図である。 本発明に係る合成樹脂管曲進埋設装置の滑材注入部を示す軸方向の断面図である。 図13に示すXIV−XIV断面図である。 図13に示す滑材注入部における逆止機構の例を示す断面図である。 図13に示す滑材注入部の突出/格納状態を示す図面であり、(a) は突出状態の断面図、(b) は格納状態の断面図である。 従来の推進工法を模式的に示す側面視の断面図である。
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。以下の説明でも、合成樹脂管として塩ビ管を例にし、掘進機は泥水式を例にして、図の右方向を発進立坑方向とした例を説明する。また、この明細書及び特許請求の範囲の書類中では、掘進機が掘進する前方を前側、後方を後側ともいう。なお、特に前側の構成を指す場合は「A」、後側の構成を指す場合は「B」を付し、両方を含む場合はこれらを付さずに説明する。また、上述した図17に示す構成と同一の構成には、同一符号を付して説明する。
<屈曲部>
図1は、本発明の一実施の形態に係る合成樹脂管曲進埋設装置の屈曲部を示す軸方向の断面図であり、図2は、図1の屈曲部における分解斜視図、図3は、図2に示す屈曲部を連結する時の状態を示す側面図である。図4は、図1に示すIV−IV断面図であり、図5(a),(b) は、図4に示す送排泥管の接続部を示す断面図、図6は、図1に示すVI−VI断面図、図7(a) は、図1に示す屈曲部のインナー管屈曲状態を示す平面図であり、(b) は(a) に示すVII−VII断面図である。
図1に示すように、合成樹脂管曲進埋設装置1は、埋設する塩ビ管2を、中心部に配置した所定長さのインナー管10と共に推進させるようになっており、インナー管10の連結部分は屈曲可能な屈曲部11となっている。この屈曲部11には、前側のインナー管10Aと後側のインナー管10Bとの間に、所定長さの屈曲インナー管12が設けられ、この屈曲インナー管12の前端で屈曲するようになっている。この屈曲インナー管12の上下面の軸方向中心には、平面視が円形の屈曲凸部14が設けられており、この屈曲凸部14のインナー管10の軸方向と直交する中心線上が、前側のインナー管10Aと前端に屈曲インナー管12を連結した後側のインナー管10Bとの間の屈曲連結部13となっている。このような屈曲部11の構造は、後述する図2に基いて詳細に説明する。
上記屈曲部11の前方には、インナー管10から半径方向に突出するように支持ローラ15が設けられている。この支持ローラ15は、各インナー管10の屈曲部11の前方近傍に1箇所設けられており、塩ビ管2を介して地山に反力を受ける機能と、インナー管10を発進立坑方向に引き戻す時に接触抵抗を軽減させる車輪の機能とを兼ねている。
一方、上記インナー管10の外周に設けられた塩ビ管2は、上記屈曲連結部13の位置で接続されている。この塩ビ管2の接続部3には、その外周にカラー4が設けられ、このカラー4と塩ビ管2との間がシール材5によってシールされている。このシール材5により、地山207から塩ビ管2の接続部3へ地下水等が浸入するのを防いでいる。また、上記カラー4とシール材5とにより、塩ビ管2の屈曲に追随してカラー4が屈曲し、その状態でもシール材5によるシール性が保てるようになっている。
さらに、上記インナー管10の上下位置には、後述する推力支持部70のプッシャー72を塩ビ管2の内面と干渉しない位置まで径方向に格納する格納操作部のプルロッド55が備えられている。このプルロッド55は、上記インナー管10の上面の幅方向中央部と、下面の幅方向中央部とに設けられている。インナー管10の軸方向前部と後部とには、プルロッド55をインナー管10の軸方向に案内するロッドガイド部16が設けられており、上記プルロッド55の所定位置に設けられたガイドローラ59を軸方向に案内するようになっている。
図2に示すように、上記屈曲インナー管12の前端面には、前側のインナー管10の後端面に形成された後部曲面17と接する前部曲面18が形成されている。この前側のインナー管10Aの後部曲面17と両側壁の後端面19と、屈曲インナー管12の前部曲面18と両側壁の前端面20とが、インナー管10に作用させる推力伝達面となる。一方、屈曲インナー管12の後端面21は後側のインナー管10Bの前端面22と接するようになっており、これら後端面21及び前端面22も推力伝達面となっている。
一方、前側のインナー管10Aの後端部には、上下面に屈曲連結凸部23が設けられ、この屈曲連結凸部23と上記屈曲インナー管12の上下面に設けられた屈曲凸部14とに被せて固定する屈曲連結金具24が設けられている。この屈曲連結金具24には、上記屈曲連結凸部23に嵌められる屈曲連結凹部25と、上記屈曲凸部14の直径d1よりも所定寸法分大径の直径d2で形成された屈曲凹部26とが設けられている。屈曲連結金具24は、屈曲凹部26を屈曲凸部14に被せ、屈曲連結凹部25をインナー管10の屈曲連結凸部23に嵌めてボルト27で固定することにより前側のインナー管10Aに固定される。この状態では、屈曲凹部26と屈曲凸部14との間に所定の隙間(d1<d2の隙間分)がある状態で、屈曲インナー管12の前部曲面18と前側のインナー管10Aの後部曲面17とは接して推力伝達できるようになっている。また、屈曲凸部14と屈曲凹部26との隙間によって、これらの間で上下方向に多少の屈曲が可能な状態となっている。このような構造の屈曲部11によって、インナー管10A,10Bが屈曲可能なように連結されている。
さらに、上記屈曲インナー管12の後端部の上面に上部連結凸部28が設けられ、下面には後方に突出するように管下部連結金具29が設けられると共に、この管下部連結金具29の上面には下部連結凹部30が設けられている。一方、後側のインナー管10Bの前端部の下面には下部連結凸部31が設けられ、上面には前方に突出するように管上部連結金具32が設けられると共に、この管上部連結金具32の下面には上部連結凹部33が設けられている。このような構造により、後側のインナー管10Bの下部連結凸部31を屈曲インナー管12の下部連結凹部30に嵌め、上部連結凹部33を上部連結凸部28に嵌めてボルト34で固定すれば、屈曲インナー管12と後側のインナー管10Bが連結できるようになっている。
このような構造で、屈曲インナー管12は前側のインナー管10Aの後端部に連結され、この屈曲インナー管12の前端面と前側のインナー管10Aの後端面との間に屈曲可能な屈曲連結部13が形成されている。
また、このような構造とすることにより、インナー管10の軸方向に大きな引抜き力を作用させたとしても、屈曲連結凸部23と屈曲連結凹部25及び屈曲凸部14と屈曲凹部26との係合部と、上部連結凸部28と上部連結凹部33及び下部連結凸部31と下部連結凹部30との係合部とによって大きな引抜き力を受けることが可能となり、大きな引抜き力でインナー管10の全体を発進立坑方向へ引抜くことができようになっている。
図3に示すように、上記嵌め込み式の接続によって、発進立坑201において前側のインナー管10Aに連結する後側の各インナー管10Bは、前側のインナー管10Aの後端に屈曲インナー管12が連結された状態で連結される。この作業は、塩ビ管2Bと共にインナー管10Bを上方から吊下げた状態で降ろし、上記下部連結凸部31を屈曲インナー管12の管下部連結金具29に設けられた下部連結凹部30に嵌め、インナー管10Bの上面設けられた管上部連結金具32の上部連結凹部33を屈曲インナー管12の上部連結凸部28に嵌め、管上部連結金具32を上部連結凸部28にボルト34で固定すれば、屈曲インナー管12の後端に次の後側のインナー管10Bを迅速、且つ容易に連結することができる。
図4に示すように、上記屈曲連結金具24の屈曲凹部26を屈曲凸部14に被せて連結した状態では、これら屈曲連結金具24と屈曲凸部14の中央部軸方向に設けられたロッド挿通穴35に後述する格納操作部たるプルロッド55の連結ロッド57が挿通されている。この連結ロッド57と挿通穴35との間には大きな隙間があり、連結ロッド57が水平方向に揺動しても当接しないようになっている。
このような構造とすることにより、掘進機205の推進方向を制御して曲進させたとしても、掘進機205が掘削した曲進断面に沿うようにインナー管10の屈曲部11が屈曲すると共に、連結ロッド57も屈曲凸部14に当接することなく連結部(後述するピン58)で屈曲し、塩ビ管2と一体的に掘進機205の曲進方向に追随することができる。しかも、屈曲凹部26と屈曲凸部14との間の隙間により、掘進機205が上下方向にずれて推進したとしても、この隙間の範囲で屈曲部11が上下方向にも多少曲り、掘進機205に後続させるインナー管10と塩ビ管2とを円滑に追随させることができる。
さらに、このインナー管10の側面には、上記送泥管41と排泥管42とを支持する送排泥管サポート37が設けられている(図1)。この送排泥管サポート37に、送泥管41と排泥管42の両端が支持されている。この送排泥管41,42の上方には、上向きの開放したL型断面の管支持金具38が設けられており、この管支持金具38の上部には送水管43a、排水管43b、伝送管44a、電力線44b、滑材管94b等が配置されている。
一方、図5(a) に示すように、上記送泥管41の接合部45は、前側の送泥管41Aの後端に大径管46を設けると共にシール材47を設け、後側の送泥管41Bの前端を大径管46に挿入した状態で上記シール材47が接するシール部48を有している。排泥管42の接合部45は、後側の排泥管42Bの前端に大径管46を設けると共にシール材47を設け、前側の排泥管42Aの後端を大径管46に挿入した状態で上記シール材47が接するシール部48を有している。これにより、図5(b) に示すように、送泥管41及び排泥管42が屈曲部11で屈曲可能となっており、上記屈曲可能なように連結されているインナー管10の屈曲に追随して同様に屈曲することができる。
図6に示すように、上記インナー管10の後部には、このインナー管10を塩ビ管2の内面で支持し、インナー管10の軸方向移動時には塩ビ管2の内面に沿って案内する上記支持ローラ15が設けられている。この例では、インナー管10の上下位置の左右角部にローラ支持台39が傾斜配置され、これらのローラ支持台39に斜めに対向配置された支持ローラ15が各箇所に4個設けられている。これらの支持ローラ15は、インナー管10の軸心に対して左右均等位置に設けられており、このように4個の支持ローラ15をインナー管10の各角部に設けることにより、塩ビ管2を曲進施工しても、その内面に沿ってインナー管10がスムーズに移動できるようにしている。この支持ローラ15と塩ビ管2の内面との間には、スムーズな移動ができる所定の隙間が設けられている。
一方、上記図1に示すように、この実施の形態では、インナー管10の前方下部に仮受け部50が設けられている。この仮受け部50は、塩ビ管2の内部に挿入されるインナー管10の重量を塩ビ管2の内面で一旦仮受けし、その後の連結作業(図3)が容易に行えるようにするものである。この仮受け部50は、インナー管10に設けられたブラケット51に左右方向に移動自在な状態で挿入された支持棒52を有しており、この支持棒52の両端部が塩ビ管2の内面に仮支持されるようになっている。この支持棒52は、後述する下側のプルロッド55を跨いで設けられており、インナー管10と塩ビ管2の軸心が一致する正規位置では塩ビ管2の内面と大きな隙間が空くようになっている。
このように、インナー管10の後部にのみ支持ローラ15を設け、前部は仮受け部50のみとすることにより、塩ビ管2を曲線施工した場合に、インナー管10の後部のみを塩ビ管2の略中央位置に規制し、前部はその曲線施工された塩ビ管2内で自由に移動できるようにしている。
一方、上記インナー管10は、矩形断面の中空管で形成されており、軸方向に貫通する空間40が形成されている(図4)。この空間40が掘進機205の位置を測量する測量エリアとして利用される。このようにインナー管10の中央部に測量エリアを設けることにより、曲進させる掘進機205で塩ビ管2を埋設する場合、掘進機205の推進方向を監視して、この掘進機205を常に正しい方向へ曲進させるように制御できる。例えば、空間40の下部の軸方向にレール60を設け、発進立坑からレール60に沿って測量装置を走行させ、この測量装置の座標をジャイロ測量等で計測して掘進機205の位置を正確に測量するようにできる。この測量装置としては、例えば、発進立坑から掘進機まで走行して戻る測量ロボット装置等が用いられる。
図7(a) に示すように、上記プルロッド55は、この実施の形態では、インナー管10の前部と後部とに設けられた上記ロッドガイド部16に案内される中間プルロッド56と、そのインナー管10Aの後端に連結されるインナー管10Bに設けられたロッドガイド部16によって軸方向に案内される中間プルロッド56との間を連結する連結ロッド57とを有している。この連結ロッド57は、上記図4で説明したように、屈曲連結金具24と屈曲凸部14との中央部に設けられた挿通穴35を通って前後の中間プルロッド56にピン58で連結されている。このピン58で連結された部分で、中間プルロッド56は屈曲可能となっている。中間プルロッド56は、図7(b) に示すように、この中間プルロッド56に設けられたガイドローラ59が上記ロッドガイド部16に沿って案内され、接触抵抗を低減させたスムーズな移動ができるようになっている。
図8は、図1に示す合成樹脂管曲進埋設装置による曲進状態を模式的に示す平面図であり、以上のような屈曲部11を備えた合成樹脂管曲進埋設装置1によれば、掘進機205の推進方向に連結される所定長さのインナー管10の各連結部に屈曲部11が備えられているので、掘進機205の曲線施工に追随するようにインナー管10及び塩ビ管2が屈曲して、塩ビ管2を掘進機205の曲進に沿って埋設することが可能となる。そして、このように曲進施工されるインナー管10には、以下に説明するような推力支持部70と滑材注入部90とが備えられている。
<推力支持部>
図9は、本発明に係る合成樹脂管曲進埋設装置の推力支持部を示す軸方向に断面図であり、図10は、図9に示すX−X断面図、図11は、図9に示す推力支持部の突出/格納状態を示す図面であり、(a) は突出状態の断面図、(b) は格納状態の断面図である。図12は、本発明に係る合成樹脂管曲進埋設装置による推進工法を模式的に示す側面視の断面図である。この実施の形態では、インナー管の上下位置に推力支持部が設けられている。
図9に示すように、合成樹脂管曲進埋設装置1に備えられた推力支持部70は、上記した推進方向に接続される所定長さの塩ビ管2が推力支持前方塩ビ管6aと推力支持後方塩ビ管6bとに分割され、このれらの塩ビ管6a,6bの間に設けられている。この推力支持部70には、推力支持後方塩ビ管6bの前端に係合凹部7が形成されており、インナー管10には、この係合凹部7に向けて径方向に突出する係合部材たるプッシャー72を突出/格納させる推力支持突出・格納機構たるプッシャー出入機構71が設けられている。
この実施の形態におけるプッシャー出入機構71は、インナー管10に設けられたブラケット73にピン74で揺動可能に支持された係合部材引下げ部たる揺動レバー75と、この揺動レバー75の後端部に設けられたプッシャー72と、揺動レバー75の前端部に設けられた案内ローラ76と、この案内ローラ76を案内するように下記の推力支持部プルロッド77の上面に形成された格納面78とを有している。
この推力支持部70が設けられる位置の推力支持部プルロッド77は、図示するプッシャー72の突出状態では、揺動レバー75のプッシャー側下面を支持してプッシャー72の先端部72aが塩ビ管6bの係合凹部7に係合した状態を保つプッシャー支持部79と、プッシャー72の先端部72aが突出した状態では上記案内ローラ76と所定の隙間を有する逃げ部80と、この逃げ部80のプルロッド上面に連なり、推力支持部プルロッド77の発進立坑方向への引き動作によって案内ローラ76を径方向外方へ案内して上記揺動レバー75の後端側を径方向内方へ格納する上記格納面78とを有している。図示する状態は、上記揺動レバー75のプッシャー側下面をプッシャー支持部79で支持することにより、上記後方塩ビ管6bに形成された係合凹部7にプッシャー72の先端部72aが挿入されて前方塩ビ管6aの後端面と前面が接するようにした推力支持状態である。
また、プッシャー72が係合する推力支持前方塩ビ管6aと推力支持後方塩ビ管6bとの接続部3には、その外周に上記カラー4とシール材5とが設けられ、地山207から塩ビ管6a,6bの内部へ地下水等が浸入しないようにシールされている。
図9,10に示すように、上記プッシャー72はインナー管10の上下部に設けられており、上記推力支持部プルロッド77はインナー管10の上下部に備えられ、上下共、構造及び動作は同一である。このような構造によれば、推力支持部プルロッド77を発進立坑方向に引くことにより、案内ローラ76が径方向外側に移動して揺動レバー75を介してプッシャー72の先端部72aを突出状態から径方向内側に格納するので、係合部材であるプッシャー72を塩ビ管6aから外すための構成の接触抵抗を低減させてスムーズな格納操作が行える。
図11(a),(b) に示すように、上記推力支持部70によれば、プッシャー72を突出させて前方塩ビ管6aと係合させた状態では(図11(a) )、塩ビ管6a,2によって負荷する推進抵抗をプッシャー72の位置でインナー管10によって支持することができる。そして、塩ビ管2,6a,6bの埋設後には、プルロッド55を発進立坑方向に引くことによって推力支持部プルロッド77も発進立坑方向に引かれ、プッシャー72の下部がプッシャー支持部79から逃げ部80に位置した状態となり、その状態から揺動レバー75の前端に設けられた案内ローラ76が推力支持部プルロッド77の上面に形成された格納面78に案内されて揺動レバー75の前端を塩ビ管6aに向けて揺動させるので、ピン74を中心に揺動する揺動レバー75の後端がプッシャー72をインナー管10側に強制的に格納する(図11(b) )。このような操作により、発進立坑からプッシャー72の先端部72aを塩ビ管6a(塩ビ管2)の内面と干渉しない位置まで格納することができ、塩ビ管6aとインナー管10との係合を断つことができる。
しかも、このように揺動レバー75の一端に設けた案内ローラ76を推力支持部プルロッド77に沿って移動させることによってプッシャー72を格納するので、プッシャー72の先端部72aを塩ビ管6a,6bから外すための構成の接触抵抗を低減させることができ、曲進施工した状態でも安定した操作ができる。
図9,図12に示すように、上記推力支持部70を備えさせた合成樹脂管曲進埋設装置1によれば、上記インナー管10から後方塩ビ管6bに設けられた係合凹部7に向けてプッシャー72を突出させて係合させることにより、このプッシャー72が設けられた位置よりも前方の塩ビ管6a(塩ビ管2)を推進させる推進力をこのプッシャー72を介してインナー管10で負荷し、後方に設置する塩ビ管6b(塩ビ管2)で前方の塩ビ管6a(塩ビ管2)の推進抵抗力を負荷しないようにできる。
つまり、塩ビ管2の推進に要する推進力を元押装置203だけで伝えるのではなく、複数の塩ビ管2を推進させるため推進力が塩ビ管2の許容推進力を超えない位置に、塩ビ管2の推進力をインナー管10で支持する推力支持部70を備えさせることにより、塩ビ管2の埋設時に、その推力支持部70から前方に位置する塩ビ管2,6aの推進力をインナー管10によって負荷し、ある長さ単位で塩ビ管2が負荷する推進力を限定して、塩ビ管2を許容推進力の範囲で使用して長距離の推進ができるようにしている。そして、これにより、塩ビ管2が低強度であることによって限定されていた施工距離を、高強度であるインナー管10の許容推進力による施工距離まで伸ばすことを可能としている。
また、この実施の形態では、インナー管10の上下位置に上記プッシャー72を設けて塩ビ管2の推進力をインナー管10の上下で負荷するようにしているので、曲進時も安定した推力負荷を保ちながら推進することができる。
<滑材注入部>
図13は、本発明に係る合成樹脂管曲進埋設装置の滑材注入部を示す軸方向の断面図であり、図14は、図13に示すXIV−XIV断面図、図15は、図13に示す滑材注入部における逆止機構の例を示す断面図である。図16は、図13に示す滑材注入部の突出/格納状態を示す図面であり、(a) は突出状態の断面図、(b) は格納状態の断面図である。上記合成樹脂管曲進埋設装置1は、長距離推進を可能にするために、推進方向の所定位置に滑材注入部90を備えている。
図13に示すように、合成樹脂管曲進埋設装置1に備えられた滑材注入部90は、上記した推進方向に接続される所定長さの塩ビ管2が滑材注入前方塩ビ管8aと滑材注入後方塩ビ管8bとに分割され、この滑材注入前方塩ビ管8aの後部から滑材を注入するようになっている。滑材注入前方塩ビ管8aと滑材注入後方塩ビ管8bとの連結部は、前方塩ビ管8aの後部には軸方向の2箇所にシール材5が設けられ、後方塩ビ管8bの前部には1箇所にシール材5が設けられ、これらのシール材5の外周に連なるようにカラー4が設けられている。
この滑材注入部90は、塩ビ管2(塩ビ管6a,6b,8a,8bを含む場合もある)の外面と地山との周面摩擦力を低減させる必要がある位置に設けられる。滑材注入部90には、前方塩ビ管8aの上記カラー4の外周側に設けられた滑材用カラー91によって後方にのみ開口する滑材注入用開口92が形成され、この滑材注入用開口92と連通するように前方塩ビ管8a及びカラー4を径方向に貫通する滑材注入口93が設けられている。この滑材注入口93には、塩ビ管8aの外部から内部へ地下水等が浸入するのを防止する逆止機構110が設けられている。
一方、インナー管10側には、上記滑材注入口93と係合して上記滑材注入用開口92に滑材を注入する滑材注入管94が設けられている。この実施の形態の滑材注入管94は、インナー管10に設けられた滑材注入突出・格納機構たる滑材注入管出入機構95によって径方向に突出/格納可能なように設けられている。
この実施の形態における滑材注入管出入機構95は、インナー管10に設けられたブラケット96にピン97で揺動可能に支持された滑材注入管引下げ部たる揺動レバー98と、この揺動レバー98の後端部にインナー管10の軸方向に移動可能な隙間を有する回動軸99で支持された上記滑材注入管94と、揺動レバー98の前端に設けられた案内ローラ100と、この案内ローラ100を案内するように下記滑材注入部プルロッド101の上面に形成された格納面102とを有している。
この滑材注入部90が設けられる位置の滑材注入部プルロッド101は、図示する滑材注入管94の突出状態では、この滑材注入管94の下面を支持して滑材注入管94の先端部94aが塩ビ管8aの滑材注入口93に係合した状態を保つ滑材注入管支持部103と、滑材注入管94の先端部94aが突出した状態では上記案内ローラ100と所定の隙間を有する逃げ部104と、この逃げ部104のプルロッド上面に連なり、滑材注入部プルロッド101の発進立坑方向への引き動作によって案内ローラ100を径方向外方へ案内して上記揺動レバー98の後端側を径方向内方へ格納する上記格納面102とを有している。図示する状態は、上記滑材注入管94の下面を滑材注入管支持部103で支持することにより、上記前方塩ビ管8aに形成された滑材注入口93に滑材注入管94の先端部94aが係合された滑材注入可能状態である。
図14に示すように、上記滑材注入管94はインナー管10の上部にのみ設けられており、上記滑材注入部プルロッド101はインナー管10の上部にのみ備えられている。
このような構造によれば、滑材注入部プルロッド101を発進立坑方向に引くことにより、案内ローラ100が径方向外側に移動して揺動レバー98を介して滑材注入管94の先端部94aを突出状態から径方向内側に格納するので、滑材注入管94を塩ビ管8aから外すための構成の接触抵抗を低減させてスムーズな格納操作が行える。
図15に示すように、上記滑材注入管94の先端部94aから地下水等の浸入を防ぐ逆止機構110は、滑材注入管94の先端部94aを係合させる滑材注入口93に設けられている。この逆止機構110は、上記滑材注入管94の先端が当接するシールケース111を塩ビ管8aに接着して固定し、そのシールケース111と滑材注入管94との間にシール材112を設けてシールしている。このシールケース111の略中央部に、滑材注入管94の径方向に貫通する注入穴113を設け、その外側に注入穴113の外側を塞ぐ円形のシールパッキン114が設けられている。このシールパッキン114は、周囲がシールケース111に固定され、上記注入穴113から横方向にずれた位置に開口部115が設けられている。このようなシールパッキン114によれば、滑材注入管94側から滑材を注入する時には注入圧で外向きに変形して注入穴113から開口部115を介して滑材が塩ビ管8a,8bの外部に注入されるのを許容し、外側からの地下水等の浸入はシールパッキン114が注入穴113に密着して防ぐ。
また、このシールパッキン114の外側に設けられた上記滑材用カラー91は、地山からの土圧等が滑材注入管94に直接作用しないようにすると共に、この滑材用カラー91とカラー4との間から塩ビ管8a,8bと地山207との間に滑材を供給する滑材注入用開口92を形成している。この逆止機構110は一例であり、使用条件等に応じて好ましい構造の逆止機構を設ければよい。
図16(a),(b) に示すように、上記滑材注入部90によれば、滑材注入管94を塩ビ管8aと係合させた状態では(図16(a) )、この滑材注入管94から塩ビ管8a,8bと地山207との間に滑材を供給して負荷する推進抵抗を低減させることができる。そして、塩ビ管8a,8bの埋設後には、滑材注入部プルロッド101を発進立坑方向に引くことによって、滑材注入管94の下面は滑材注入管支持部103から逃げ部104の位置となり、その状態から揺動レバー98の前端に設けられた案内ローラ100が滑材注入部プルロッド101の上面に形成された格納面102に案内されて揺動レバー98の前端を外径方向に揺動させるので、ピン97を中心に揺動する揺動レバー98の後端で滑材注入管94をインナー管10側に強制的に格納することができる(図16(b) )。このような操作により、発進立坑から滑材注入管94を塩ビ管8a(塩ビ管2、塩ビ管6a,6b)の内面と干渉しない位置まで格納することができ、塩ビ管8aとインナー管10との係合を断つことができる。
このように、滑材注入管94を塩ビ管8aに向けて格納させる滑材注入管出入機構95を、上述した推力支持突出・格納機構と同様に、格納操作部たる滑材注入部プルロッド101の発進立坑側への引き操作によって案内ローラ100が格納面102に沿って移動することによって揺動レバー98が滑材注入管94を径方向に格納する機構を採用しているので、滑材注入管94を塩ビ管8aの内面と干渉しない位置まで格納させる操作を接触抵抗が小さい安定した操作で行うことができ、曲進施工を含む長距離推進を行った場合でも、安定した格納操作が行える。
また、滑材注入管94を塩ビ管8aの内面と干渉しない位置まで径方向に格納することにより、インナー管10と共に滑材注入部90を発進立坑方向に回収することができる。
さらに、滑材注入管94を塩ビ管8aから径方向に格納した際、この滑材注入管94と塩ビ管8aの外部との間に設けられた逆止機構110は塩ビ管8aに残され、塩ビ管8aの外部から内部に地下水等が浸入するのを防止することができる。
上記した滑材注入部90を備えさせる位置としては、例えば、塩ビ管2(塩ビ管6a,6b,8a,8bを含んでもよい)を100m程度推進させた位置で滑材注入部90が備えられたインナー管10と塩ビ管8a,8bとを設置する。このように滑材注入部90を備えさせることにより、100m以上の長距離施工においても、塩ビ管8a,8bに備えられた滑材注入部90から滑材を注入して塩ビ管2(6a,6b,8a,8b)と地山207との間の推進抵抗を軽減して長距離推進を行うことができる。
以上のような合成樹脂管曲進埋設装置1によれば、上述した図8に示すように、曲進施工させた掘進機205にインナー管10と塩ビ管2と追随させて、曲進させた塩ビ管2を埋設することができる。また、上述した図12に示すように、塩ビ管2の周面摩擦力が塩ビ管2の耐力範囲となる所定間隔で設けたプッシャー72(図9)を具備した推力支持部70によって、推進時には塩ビ管6aの端面を直接押すため、プッシャー72の受圧面積分の確実な推進抵抗をインナー管10で負荷することができる。このプッシャー72を具備した推力支持部70を設ける位置も、プッシャー72の受圧面積分×塩ビ管許容圧縮応力、から容易に決定することができる。そのため、塩ビ管2(6a,6b,8a,8b)の何本ごとにプッシャー72が必要かの施工管理が容易に行える。
さらに、上述した図4,10,14に示すように、インナー管10の中央部の空間40を、配管・配線を配置しない空間として測量エリアとできるので、測量装置(図示略)を走行させて、掘進機205の曲進施工や全方向変化に対して正確に計測することが可能となる。しかも、インナー管10の中心部に測量エリアを確保することにより、このインナー管10の全周任意の箇所に各種装置・配管・配線を設置することができる。
また、上述した図6に示すように、インナー管10は、上下位置の角部に設けられた支持ローラ15によって、インナー管10を上下・左右方向で塩ビ管2(6a,6b,8a,8b)(合成樹脂管)に支持することができるので、曲進施工時もこれらの支持点によってインナー管10を全方向に対して安定して支持することができる。
そして、上述した図11に示すように、塩ビ管2(6a,6b,8a,8b)の埋設が完了した後、インナー管10は上記したようにプルロッド55を発進方向に引くことにより、プッシャー72及び滑材注入管94を塩ビ管2(6a,6b,8a,8b)と干渉しないインナー管側へ容易に格納することができるので、インナー管10を発進立坑方向に回収する作業を安定して行うことができる。しかも、プッシャー72は、ガイドローラ59によってスムーズに引くことができるので、曲進施工後も安定した操作ができる。
その上、インナー管10の支持点となる支持ローラ15は、インナー管10の回収時には、塩ビ管2(6a,6b,8a,8b)から発進立坑方向に引き戻される時の抵抗を軽減させると共に後部のみでインナー管10を径方向に支持し、前部を自由端としているので、曲進施工したインナー管10の回収作業を容易に行うことができる。
なお、上記実施の形態における推力支持部70と滑材注入部90とを配置する所定間隔は、塩ビ管2を埋設する地質や環境に応じて決定されるものであり、一定間隔で設けられると限られたものではない。
また、上記実施の形態では泥水式の掘進機205を例に説明したが、この掘進機205も地質等に応じて決定すればよく、上記実施の形態に限定されるものではない。
さらに、上述した実施の形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。
本発明に係る合成樹脂管曲進埋設装置は、下水道管等で直径が300mm程度以上の合成樹脂管を曲率半径約50m〜60m程度の曲進施工で長距離に埋設したい場合に利用できる。
1 合成樹脂管曲進埋設装置
2 塩ビ管
3 接続部
6a 塩ビ管
6b 塩ビ管
7 係合凹部
8a 塩ビ管
8b 塩ビ管
10 インナー管
11 屈曲部
12 屈曲インナー管
13 屈曲連結部
14 屈曲凸部
15 支持ローラ
16 ロッドガイド部
17 後端曲面(推力伝達面)
18 前端曲面(推力伝達面)
19 後端面(推力伝達面)
20 前端面(推力伝達面)
21 後端面(推力伝達面)
22 前端面(推力伝達面)
23 屈曲連結凸部
24 屈曲連結金具
25 屈曲連結凹部
26 屈曲凹部
35 挿通穴
40 空間
41 送泥管
42 排泥管
48 シール部
55 プルロッド(格納操作部)
56 中間プルロッド
57 連結ロッド
58 ピン
59 ガイドローラ
60 レール
70 推力支持部
71 プッシャー出入機構(推力支持突出・格納機構)
72 プッシャー(係合部材)
75 揺動レバー(係合部材引下げ部)
76 案内ローラ
77 推力支持部プルロッド
78 格納面
79 プッシャー支持部
80 逃げ部
90 滑材注入部
94 滑材注入管
95 滑材注入管出入機構(滑材注入突出・格納機構)
98 揺動レバー(滑材注入管引下げ部)
100 案内ローラ
101 滑材注入部プルロッド
102 格納面
103 滑材注入管支持部
104 逃げ部
110 逆止機構

Claims (7)

  1. 元押装置で推進力を与える掘進機によって掘削する地中に埋設して推進方向に接続する所定長さの合成樹脂管と、該合成樹脂管の内部に配置して前記掘進機の推進方向に接続することにより該掘進機に推進力を伝達する所定長さのインナー管とを備え、
    前記インナー管は、軸方向に貫通する空間を有する管体で形成され、前記合成樹脂管の推進力を該合成樹脂管の許容推進力の範囲となる間隔で前記インナー管によって支持する推力支持部を備え、
    該インナー管の連結部は、屈曲可能な屈曲部と、該屈曲部においてインナー管を屈曲可能に連結する連結構造とを備え
    前記推力支持部は、前記インナー管から径方向に突出した状態で前記合成樹脂管と係合し、径方向に格納した状態で前記合成樹脂管から離脱する係合部材と、該係合部材をインナー管から前記合成樹脂管の係合部に向けて突出又はインナー管に向けて格納させる推力支持突出・格納機構とを備え、
    前記推力支持突出・格納機構は、前記掘進機の推進方向に接続するインナー管の元押装置方向から前記推力支持部の係合部材を格納させる格納操作部を有し、該格納操作部は、前記インナー管の屈曲時に該インナー管の屈曲に追従して屈曲する屈曲機構を備えることを特徴とする合成樹脂管曲進埋設装置。
  2. 前記インナー管は、測量装置が移動できる空間を有する矩形断面の中空管である請求項1に記載の合成樹脂管曲進埋設装置。
  3. 前記係合部材は、インナー管の上下位置に配置されている請求項1または2に記載の合成樹脂管曲進埋設装置。
  4. 前記格納操作部は、前記元押装置方向に引くプルロッドと、該プルロッドの引き動作によって前記係止部材をインナー管に向けて移動させる係合部材引下げ部とを具備している請求項1〜3のいずれか1項に記載の合成樹脂管曲進埋設装置。
  5. 前記インナー管は、前記合成樹脂管の外部に滑材を注入する滑材注入部を具備している請求項1〜のいずれか1項に記載の合成樹脂管曲進埋設装置。
  6. 前記滑材注入部は、径方向に突出した状態で前記合成樹脂管と係合し、径方向に格納した状態で前記合成樹脂管から離脱する滑材注入管と、該滑材注入管を前記インナー管から前記合成樹脂管に向けて突出又はインナー管に向けて格納させる滑材注入突出・格納機構とを具備し、
    前記合成樹脂管は、前記滑材注入管の滑材注入位置に、該滑材注入管から合成樹脂管外部への滑材注入は可能で、該合成樹脂管外部からの逆流は防止する逆止機構を具備している請求項に記載の合成樹脂管曲進埋設装置。
  7. 前記滑材注入突出・格納機構は、前記滑材注入管を前記合成樹脂管の所定位置に止める揺動レバーを有すると共に、前記掘進機の推進方向に接続するインナー管の元押装置方向から前記揺動レバーで滑材注入管を格納させる格納操作部を具備している請求項に記載の合成樹脂管曲進埋設装置。
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