JP6722755B2 - ホウ素中性子捕捉療法のための中性子標的 - Google Patents

ホウ素中性子捕捉療法のための中性子標的 Download PDF

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Description

関連出願
本出願は2015年5月6日出願の米国仮特許出願第62/157,652号の出願日の利益を主張するものであり、該出願の内容はその全体が本明細書において参照として援用される。
開示の分野
本開示は、中性子源材料を使用して中性子を発生させる方法およびシステムに関する。
背景
中性子源は、治療、同位体製造、爆発性/核分裂性材料検出、貴金属鉱石のアッセイ、画像化などを含む多くの潜在的な用途を有する。特別な関心領域としては、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)があり、これは、ホウ素を患者の悪性腫瘍に選択的に集中させ、中性子ビームを、患者を通してホウ素含有腫瘍に狙いを定める癌治療技法である。ホウ素原子が中性子を捕捉すると、粒子が、それが存在する組織に深刻な損傷を引き起こすのに十分なエネルギーを持って生成される。効果は高度に局所的であり、その結果、本技法は、特異的標的細胞のみに影響を及ぼす高度に選択的な癌治療法として使用することができる。
現在、中性子が豊富な中性子研究炉では中性子源を用いた多くの取り組みが実行されている。しかし、安全性、核物質への対処、ならびに多くの研究炉の寿命末期および廃炉が近いことなどの多くの具体的な問題により、このアプローチは困難となっている。比較的低コストでコンパクトな代替案として加速器ベースの中性子源を使用することができる。例えば、小型で比較的安価な線形加速器を使用して、陽子などのイオンを加速させ、次にこれらイオンを中性子を発生させ得る標的に集束させることができる。しかし、この技術の第1の困難点は、従来の標的アーキテクチャでは陽子ビームによって標的に付与される高パワーに十分に対処することができず、結果として標的に実質的な損傷を与えるということである。
概要
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)などの用途のための中性子を生成する装置および方法について述べる。装置は、冷却液注入口および冷却液出口を持つ回転式固定具と、複数の中性子生成セグメントとを含み得る。複数の中性子生成セグメントの各中性子生成セグメントは回転式固定具に取り外し可能に連結され、また、内部に画定された冷却液チャネル回路を有する基板とその上に配置された固体の中性子源層とを含む。冷却液チャネル回路は冷却液注入口および冷却液出口と流体連通している。
いくつかの実施形態では、装置は冷却液注入口および冷却液出口を持つ回転式固定具と、複数の中性子生成セグメントとを含み得る。複数の中性子生成セグメントの各中性子生成セグメントは回転式固定具に取り外し可能に連結される。複数の中性子生成セグメントの各中性子生成セグメントは、内部に画定された冷却液チャネル回路であって冷却液注入口および冷却液出口と流体連通する冷却液チャネル回路を有する基板と、基板の表面に配置された、例えばリチウム、ベリリウム、または他の中性子発生材料を備えた固体中性子源層とを含み得る。各固体中性子源層は、回転式固定具の回転軸に実質的に垂直に配置され、固定角度(例えば、約90度または約0度)で配置され、もしくは回転式固定具の回転軸に対して実質的に平行に配置され得る主表面を有する。基板は、銅、アルミニウム、チタニウム、およびステンレススチールのうちの少なくとも1つを備え得る。
いくつかの実施形態では、回転式固定具は真空シールを含む。
いくつかの実施形態では、冷却液チャネル回路は、例えば、約0.5mmから約3mmの間の寸法(例えば、幅または直径)を持つマイクロチャネルを含む。マイクロチャネルは実質的に円形または方形の断面形状を有し得る。
いくつかの実施形態では、冷却液チャネル回路は、固体中性子源層の主表面に実質的に平行に向けられた複数の実質的に線形のチャネルを含む。複数のチャネルのうちのチャネルは複数の壁によって画定され、複数の壁の各壁は複数のチャネルのうちの2つの隣接するチャネルの間に配置され、複数の壁の各壁は、複数のチャネルの各チャネルの幅の約2倍の幅を有し得る。
いくつかの実施形態では、複数の中性子生成セグメントの各セグメントは、環形の一部、扇形、または切頂扇形のうちの1つの形状を有する。固体中性子源層の厚さは、約0.01mmから約3mmの間、または約0.09mmから約2mmの間であり得る。複数の中性子生成セグメントおよび回転式固定具は、合わせて、外径約1メートルの円盤またはドラムを画定し得る。複数の中性子生成セグメントは少なくとも3個、または少なくとも5個、もしくは合計16個の中性子生成セグメントを含む。
いくつかの実施形態では、方法は、回転式固定具に取り外し可能に連結された複数のセグメントであって、固体中性子源層を含む複数のセグメントのセグメントを回転させることを含む。複数のセグメントの冷却液チャネル回路を通って冷却液が流れ、円盤が回転すると陽子ビームが複数のセグメントの一連のセグメントの各々の表面に連続して(例えば、約10cmのビームスポットサイズで)接触するように、陽子ビームが固体中性子源材料に向けられ、これにより円盤から中性子が放出される。陽子ビームは、約1.88MeVから約3MeVの間のエネルギーおよび/または約10mAから約100mAの間の電流を有し得る。複数のセグメントは少なくとも約100RPM、例えば約1,000RPMの速度で回転させ得る。
図面の簡単な説明
本開示の具体的な実施形態を以下に記載し、また図1〜図18に示す。これらの実施形態は例示のためにのみ提示される。数多くの変形形態および他の実施形態が当業者の範囲内であり、本開示の範囲に属するものとみなされる。加えて、当業者であれば、具体的な条件および構成は例示的なものであり、実際の条件および構成は具体的なシステムに依存することは理解されよう。また当業者であれば、単なる通常の実験を使用して、図示した具体的な要素の等価物を認識および識別することは可能であろう。
本開示のいくつかの実施形態による、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)で使用するのに適した装置のブロック図である。 いくつかの実施形態による、円盤状回転可能構造体の平面図である。 図1Bの回転可能構造体の図1BのラインA−A’に対応する断面を示す図である。 いくつかの実施形態による、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の一部として使用中の図1Bの回転可能構造体の図である。 いくつかの実施形態による、ドラム状回転可能構造体の斜視図である。 図1Eの回転可能構造体の図1EのラインB−B’に対応する断面を示す図である。 いくつかの実施形態による、BNCTの一部として使用中の図1Eの回転可能構造体の図である。 本開示のいくつかの実施形態によるBNCT装置を示す。 本開示のいくつかの実施形態によるBNCT装置の分解図のレンダリングである。 本開示のいくつかの実施形態による、回転可能標的アセンブリの斜視図のレンダリングである。 図4Aの回転可能標的アセンブリの側面図のレンダリングである。 本開示のいくつかの実施形態によるペタルの図である。 本開示のいくつかの実施形態による、マイクロチャネルを示す、ペタルの斜視図のレンダリングである。 本開示のいくつかの実施形態による、ロボット式交換装置の図である。 本開示のいくつかの実施形態による、ペタル付属品の図である。 本開示のいくつかの実施態様による、ハブに取り付けられた図7Aのペタルの図である。 本開示のいくつかの実施形態による、マイクロチャネル配置のための平均リチウム表面温度を示す温度マップである。 図8Aのマイクロチャネル配置の圧力マップである。 図8Aのマイクロチャネル配置のためのマイクロチャネル速度のマップである。 図8Aのマイクロチャネル配置のための、注入口から出口までの温度変化を示す温度マップである。 本開示のいくつかの実施形態による、2注入口マイクロチャネル配置のレンダリングである。 本開示のいくつかの実施形態による、BNCTシステム使用中の時間に対する温度のプロットである。 本開示のいくつかの実施形態による、冷却液速度をマップ化する、回転可能標的アセンブリの側面図のレンダリングである。 圧力をマップ化する、図11Aの回転可能標的アセンブリの側面図のレンダリングである。 本明細書に記載するBNCTシステムで使用され得る回転可能円筒形構造体の概略図である。 本明細書に記載するBNCTシステムで使用され得る回転可能円筒形構造体の概略図である。 本開示のいくつかの実施形態による、液体中性子源の膜形成の様々な段階を示す。 本開示のいくつかの実施形態による、液体中性子源の膜形成の様々な段階を示す。 本開示のいくつかの実施形態による、液体中性子源の膜形成の様々な段階を示す。 本開示のいくつかの実施形態による、回転可能円盤状構造体の様々な実施形態を示す。 本開示のいくつかの実施形態による、回転可能円盤状構造体の様々な実施形態を示す。 本開示のいくつかの実施形態による、回転可能円盤状構造体の様々な実施形態を示す。 本開示のいくつかの実施形態による、回転可能円盤状構造体の様々な実施形態を示す。 本開示のいくつかの実施形態による、BNCTシステムの概略断面図である。
説明
本開示は、中性子を発生させる方法、装置およびシステムに関する。いくつかの実施形態では、システムは、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)のための固体リチウム中性子生成標的を含む。
BNCTは、治療中に患者にフルクトース−BPAなどのホウ素に富んだ溶液を注入する癌治療のための標的放射線療法である。ホウ素はその後、例えば腫瘍部位で、癌細胞によって選択的に吸収される。例えば、リチウム中性子源によって発生する中性子は核反応、10B+nth→[11B]→α+Li+2.31 MeV、によってホウ素と相互作用する。患者の腫瘍部位を、腫瘍部位近辺を熱中性子化する熱外中性子束で照射することによって、癌細胞はアルファ粒子およびリチウムイオンによって殺される。放出されたアルファ粒子およびリチウムイオンは、例えば約5〜9ミクロンと飛程が非常に短く、従ってサイズは癌細胞とほぼ同じである。
BNCT治療は、典型的には1eVから10keVの間の高い熱外中性子束を必要とする。臨床治療に必要な束は1×10n/cm/秒程度である。歴史的にBNCT治療は核研究炉施設で行われてきたが、加速器ベースの中性子源は病院環境での治療の広範囲にわたる実施にとって好適である。
加速器を使用して適切なレベルの中性子束を生成するために、いくつかの核反応が提案されている。最も有望な反応の1つは、Li(p,n)→Be反応である。この反応は中性子収率が高く、また穏当なエネルギーの中性子を生成し、両条件は多くの用途にとって望ましいものである。この反応によって生成された中性子束は、例えば、多数の高エネルギー中性子無しでも容易に熱外中性子に減速させることができるため、BNCTにとって望ましい。加速器ベースの中性子源によるこの反応を実現するためには、源材料(例えばリチウム)が入った標的を、陽子加速器によって発生させた陽子ビームに対して提示する。源材料から中性子が放出され、減速され、そしてビーム整形アセンブリによって望ましい治療用の中性子「ビーム」へと平行化される。陽子ビームサイズは、ビーム整形アセンブリの出口での中性子ビームと同程度かこれより小さいサイズとすることができる。例えば、陽子ビームサイズは約40mmから約150mmの間とすることができる。BNCTのためのリチウムP,N反応には2つの一般的なアプローチ、すなわち、陽子ビームエネルギーが約1.9MeVである「閾値付近」、および陽子ビームエネルギーが約2.5MeVである「閾値上」がある。「閾値付近」アプローチは、標的からの中性子エネルギー分布が治療のための熱外エネルギー分布に近く、従って減速が最小限でよいという利点がある。「閾値上」アプローチは、中性子のより高いエネルギー分布を生成し、このため減速はより大きくなり得るが、約2.3MeVでの反応断面の大きなピークを利用して、結果的に非常に高い中性子初期収率が得られる。
BNCTのためのリチウムベースの中性子発生は典型的には2つの主なアプローチ、すなわち、陽子ビームを通って流れる液体リチウムの膜を使用すること、および固形状のリチウムを使用すること、のうちの1つに従って行われる。いくつかの液体リチウムアプローチは、国際核融合材料照射施設(IFMIF)に対して行われる作業に基づくものであり、日本の東京工業大学およびイスラエルのSoreq NRCなどのグループが特にBNCTに対してこの形態に基礎を置いている。
加速器ベースの中性子発生アプローチには少なくとも3つの主な難点がある。第1に、リチウムは180°Cという比較的低い溶融温度および85W/mKという穏当な熱伝導率を有するため、固体リチウムの材料特性により、陽子ビームによって標的に付与される高パワー(および関連熱)に適合するのが困難である。陽子ビームのエネルギーが、これは標的内で熱として放散されるが、効率的に除去されないならば、標的は破壊され得る。第2に、P,N核反応から生成されるBeは放射性があり、0.5MeVで主にガンマを放出する。第3に、標的内(例えば、リチウム内またはリチウムより下の材料内)に堆積された水素が標的材料に損傷を与え、標的の寿命を制限し、また故障する前に標的の修理が必要となるかもしれない。
熱除去への提案アプローチとしては、背面から集中的に冷却される定置固体標的を使用すること、およびビームが液体源材料の流動ジェットにぶつかる液体標的を使用することがある。しかし、これら両アプローチは重大な欠点を持つ。
定置標的アプローチに関しては、上記のように、リチウムは比較的低い溶融温度および比較的低い熱伝導率を持っており、このため高熱陽子ビーム束を固体標的からその表面を過熱および溶融させることなく安全に除去または放散させることが難題となる。加えて、激しい陽子ビームへの曝露により直ちに標的材料の膨れおよび他の水素損傷が生じ、このため、頻繁な標的交換が必要とされ、対応する標的寿命は、BNCTなどの病院用途には実用的ではないかもしれない。固体標的に対して提案された冷却法としては、水ジェット衝突(例えば、マサチューセッツ工科大学および英国のバーミンガム大学のグループ)およびマイクロチャネル冷却(例えば、日本の国立がん研究センターのCICS(Cancer Intelligence Care Systems)およびベルギーのIon Beam Applications)がある。固体リチウム標的寿命を延ばすための提案アプローチとしては、(1)リチウム薄層(〜50から100ミクロン、このため陽子がリチウムの後ろに堆積される)を、リチウムと銅との間に位置するパラジウムまたは鉄などの薄い抗膨れ物質と共に使用すること、および(2)厚いリチウム(>250ミクロン、このため陽子がリチウム内に堆積される)を使用し寿命をリチウムが交換前に対処し得る程度まで制限することが含まれる。
液体標的アプローチの利点は、標的が比較的高いパワー密度に対処し、また交換を必要とせず非常に長期間動作することができることである。しかし、流動液体リチウムアプローチもまた、回路、ポンプおよび熱交換器を充填するために大量のリチウムを必要とし、これが、高コストおよび高反応性リチウムからの重大な安全性の問題の両方を招く。液体リチウムは腐食性であり、また水と混ざると爆発性となり得る。加えて、リチウムを液状に維持し、これをポンプでくみ上げ、これで熱交換し、また防火性を提供するには多大な機器が必要である。液体リチウム標的は病院での設置には不適切であると考えるものもいる。液体標的は加熱時間が遅いこと、および回路内の温度が低下し過ぎると流動しているリチウムが固化する可能性があり、リチウムの充填が不注意にも標的チャンバーへと逸れてしまうという問題が生じ得る。
本開示の実施形態は、直接冷却でモジュール方式の回転標的アーキテクチャアプローチを使用して、上述の中性子発生システムの問題を克服する。例えば、いくつかの実施形態では、円盤またはドラムなどの回転可能構造体は、中央ハブ(本明細書では「回転式固定具」とも呼ぶ)に取り付けられた複数のセグメント化された標的「ペタル」(本明細書では「セグメント」とも呼ぶ)を含み、各ペタルはそれ自体の固有のマイクロチャネルを介して直接冷却される。複数の標的ペタルが集合的に標的を構成すると言ってよい。各ペタルは、基板と基板の表面上に配置された固体中性子源層とを含み得る。例示されるシステムは平坦な回転可能構造体上に16個のペタルを含み、各ペタルは回転可能構造体の外周の22.5度を占め、回転可能構造体は約1メートルの外径(OD)を有し、また半連続的リチウム片が、0.84メートルの直径を中心とする半径方向に0.14メートルのペタル上に配置される。
本明細書で述べる設計はこれまでの設計に勝るいくつかの利点を提供する。第1は、これまでのマイクロチャネルベースの技法は、典型的には、標的の寸法をおよそ0.1メートル以下に制限していた。理由は、例えば、より大きな標的寸法では、マイクロチャネルにわたる圧力降下が大き過ぎて他のアプローチと比べて実用的でないためである。本明細書で説明する円盤およびドラム設計を使用すると、各々の寸法がおよそ0.1メートルの並列供給マイクロチャネル標的セグメントのセットが回転構造体上で連続して照射され、この結果、単一注入口/出口アプローチを使用した場合に実用的となる場合よりかなり大きなマイクロチャネル冷却領域が得られる。
第2に、回転構造体構成は、中性子源(例えば、リチウム)と冷却液との間の冷却領域を、入射面を傾け、そうすることでこれに特有の幾何学的非効率性を被る必要なく定置標的より少なくとも1桁(例えば、円盤またはドラムの直径により制約される)だけ増大させる。
第3に、標的の複数のペタルへのセグメント化は、ペタルが、標的全体ではなく個別に交換できるという点でシステムの修理を容易にする。回転移動は、ビーム整形アセンブリおよび埋め込み線量測定機器を妨げる必要なくロボット式ペタル交換に向いている。
第4に、測定値を標的のための設計データと比較することができ、強度が閾値を超えるか、またはビーム位置が中心から離れ過ぎる(すなわち、標的中心から所定距離を超える)と検知される場合は、システムを閉じるかインターロックさせることができる。
BNCTのためのセグメント化され直接冷却される回転標的
図1Aは、本開示のいくつかの実施形態による、BNCTでの使用に適した装置のブロック図である。図1に示すように、回転可能構造体102は複数の標的ペタルまたはセグメント104A〜104Dを含み、複数のセグメント104A〜104Dの各セグメントは、対応する中性子源層108A〜108Dに連結する対応する基板106A〜106Dを有する。中性子源層108A〜108Dは固体リチウムを含み得る。基板106A〜106Dのうちの1つまたはそれ以上は、関連基板および/または中性子源層を能動的に冷却するために(例えば、中性子源層108A〜108Dを固形状に維持するために)、マイクロチャネルなどの対応する冷却液チャネル(110A〜110D)を含む。セグメント104A〜104Dは随意的に、冷却流体を導くための注入口112Aおよび出口112Bを有する回転式固定具112に連結される。セグメント104A〜104Dは、ねじ、ボルト、急速着脱取付具、クランプなどのうちの1つまたはそれ以上を介して回転式固定具112に連結され得る。冷却流体は、水(例えば、脱イオン化水、これは油より高い熱容量および熱伝導率ならびに水道用水に比べて低い腐食活性を提供する)、グリコール、グリコール/水混合液、熱媒油(例えば、故障中の水/リチウム相互作用の可能性を避けるため)、「Galinstan」(市販の液体ガリウム/インジウム/錫混合物)、液体窒素、および/または他の冷却液のうちの1つまたはそれ以上を含み得る。回転式固定具112は、外部のスピンドルアセンブリおよび/または駆動モータに、回転式水シールおよび/または回転式真空シールなどのカップリングを介して連結するように構成され得る。セグメント104A〜104Dを回転式固定具112に接続するときは、冷却液チャネル110A〜110Dは回転式固定具112の注入口112Aおよび出口112Bと密封流体連通させるとよい。図1Aはまた陽子ビーム発生器113および陽子ビーム113Aを示す。
セグメント104A〜104Dの各セグメントは、環形の一部、パイ形状または扇形(円または楕円の2つの半径とその間の弧によって囲まれる平面図形として定義される)、切頂扇形(すなわち、扇形の一部)、正方形、および長方形のうちの1つの形状を有し得る。
中性子源層108A〜108Dは、リチウム、ベリリウム、または別の適切な中性子源を固形状で、また所望の中性子束を生成するのに十分な厚さ、例えばリチウムでは少なくとも約10μm、または少なくとも約90μm(例えば、約400μm)もしくは約10μmから約200μmの間、または約90μmから約150μmの間の厚さで含み得る。
中性子源層108A〜108Dは、熱接合を介してセグメント104A〜104Dの基板106A〜106Dに接着され得る。例えば、いくつかの実施形態では、基板106A〜106Dの1つまたはそれ以上は銅を含み、「厚い」リチウム金属中性子源層108A〜108D(例えば、400ミクロンの厚さを有し、ここで「厚い」とはリチウム内の陽子飛程、約300ミクロン、より大であることを意味する)は、圧力および温度法を介して1つまたはそれ以上の銅基板106A〜106Dに接合される。リチウムは反応性金属であるため、銅と共にアマルガムを形成し得る。適切に接合させると、銅とリチウムとの間に低い熱抵抗が形成される。中性子源層108A〜108Dがこのような厚さなので、リチウムの下に位置する銅に対して、陽子は使用中リチウム内に堆積される。場合によっては、線量1×1019イオン/cmまでは中性子収率に降下はなく、線量1×1020イオン/cm以上が可能であると予想され得る。線量〜1×1018イオン/cm近くで膨れの発生を示す銅およびアルミニウムなどの物質とは異なり、リチウムはより柔軟であり、理論に束縛されるものではないが、膨れを招く水素のマイクロバブルがリチウム内で通常の方法で形成することができず、従って水素は膨れ形成することなく逃れると考えられる。中性子源層108A〜108Dは照射中に変化し得るが、例えば、より脆弱になることおよび/または色の変化が生じ得るが、無傷を維持し且つ同じまたはほぼ同じ中性子収率を生成する限り、使用に適している。
もしくは、または上記に加えて、中性子源層108A〜108Dは、基板106A〜106D上へと例えば約100ミクロンの薄層で蒸着させることができる。このような設計においても同様に(上述の定置標的で行われたように)非常に薄い抗膨れ中間層を含めることができる。ベースペタルまたは基板は銅またはアルミニウム製であり得る。分配熱パワーは定置の場合よりはるかに低いため、ステンレススチール、チタニウム、およびモリブデンなどの材料でも可能である。
中性子源層108A〜108Dは、例えば、A.V.Brown(2000)Development of a High−Power Neutron Producing Lithium Target for Boron Neutron Capture Therapy(博士論文)に記載されるように英国のバーミンガム大学で開発された方法によって、対応する基板106A〜106Dに熱接合させ得る。システム100は、迅速なロボット式標的/ペタル交換用に構成し、熱的安全性のゆとりを大きく持たせ、そして放射線源を患者のアイソセンター周りを回転して移動させるためのガントリー設計または他の設計に含めることができる。
いくつかの実施形態では、冷却液チャネル110A〜110Dの製造は、対応する基板106A〜106Dの2つの半分の一方または両方の表面に、例えばミリングまたは溝穴切削工具を使用して、溝を加工することを含む。次に、溝が冷却液チャネルを画定するように2つの面を接合し得る。接合は、ろう付け、はんだ付け、および/または糊付けを含み得る。ろう付けでは、ろう付けプロセスにより銅が、たとえ硬いまたは半硬の状態であっても極軟条件に戻ってしまうため、銅は難題となり得る。加工硬化を行って銅を焼き戻す、例えば回転ダイセットを使用してろう付けした銅アセンブリを前後に曲げて焼き戻しを行い得る。アルミニウムなどの他の材料を、部品の変形を伴わない加熱急冷方法を使用して焼き戻すことができる。ろう付けまたははんだ付けの場合、冷却液チャネル110A〜110Dを検査して、ろうまたははんだ材料がチャネル内へと逃げていないことを確かめてもよい。チャンネル内に入ってしまうと、流量が減るかまたはチャネルを完全に閉塞することにもなる。もしくは、冷却液チャネル110A〜110Dは、例えばミリング、放電ミリング、「穴ポッピング」、またはドリリング(例えば、化学的ドリリング、銃ドリリングなど)によって貫通穴として加工され得る。貫通穴は閉塞の検査を容易に行うことができ、材料の焼き戻しを除去しない。次に冷却液チャネル110A〜110Dの各端部の蓋を各端部に溶接(例えば、電子ビーム溶接)して、供給、戻り、および転回流体経路を提供し得る。もしくはまたは電子ビーム溶接に加えて、蓋は、タングステン不活性ガス(TIG)溶接、はんだ付け、摩擦溶接、Oリング、または他の方法によって冷却液チャネル110A〜110Dに締め付けることができる。もしくはまたはこれに加えて、冷却液チャネル110A〜110Dは、菅(例えば、薄壁銅管)を板にろう付けすることによって形成され得る。
本開示によって様々に異なる冷却液チャネルの形状および製造アプローチが考えられる。例えば、冷却液チャネル110A〜110Dの断面形状は円形または方形で、寸法は約0.5mmから約1.5mmまでの範囲(すなわちマイクロチャネル)または3mmまでであり得る。
いくつかの実施形態では、冷却液チャネル110A〜110Dは、複数の壁によって画定され、複数の壁の各壁は2つの隣接する冷却液チャネル110A〜110D間に位置する。複数の壁の各壁は、隣接チャネルより広い倍数であり得る幅を有する。例えば、各壁は、冷却液チャネル110A〜110Dの隣接冷却液チャネルの幅の約2倍であり得る。
冷却液チャネル110A〜110Dの長さは互いに実質的に等しく、ビームサイズと同程度またはこれより長い、例えば120mmのビーム径に対して約140mmの長さであり得る。チャネルのサイズ(例えば、長さ)はビームサイズに基づいて選択/設計することができる。チャネルからチャネルまでのピッチもまた所望の用途に従って設計することができる。例えば、いくつかの実施形態では、「2:1ピッチ」が使用され、これは1mmのチャネルに続いて1mmの壁、さらに続いて別の1mmの壁等のことを言う。いくつかの実施形態では、ペタルチャネルは3:1ピッチを持ち、例えば1mmのチャネルがこれらに間に2mmの壁を持つ。3:1ピッチは、ペタルを十分に冷却する一方で冷却液の全流量を減らすことができ、一方2:1ピッチは、冷却がより効果的であり得る(が、冷却液全流量はより高い)。
図1Bは、いくつかの実施形態による、円盤状回転可能構造体の平面図である。図示するように、回転可能構造体102は、中央ハブ部「H」を、これに取り付けられこれから放射状に広がる複数のセグメント104と共に有する。セグメント104は各々、例えば回転可能構造体102の回転軸に実質的に垂直であり得る主表面を持つ対応する中性子源層を含む。回転軸は、ハブ「H」の中心を通過する軸として定義されてよく、実質的にこれに垂直である。図1Cは、図1Bの回転可能構造体の図1BのラインA−A’に対応する断面を示す図である。図1Cに示すように、中性子源層108は、埋め込み冷却液チャネル110を持つ基板106上に配置される。
図1Dは、いくつかの実施形態による、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の一部として使用中の図1Bの回転可能構造体の図である。図示するように、回転可能構造体102は回転軸回りに回転しており、陽子ビーム発生器113は、陽子ビーム113を回転可能構造体102に向けて、陽子ビーム113Aが回転可能構造体102の表面、例えばセグメント104の中性子源層に接触するように放出する。陽子ビーム113Aは(例えば所定の位置に)静止させても、または回転可能構造体102の所定の領域にわたってラスタリングしてもよく、ここで所定の領域は固定されても時間と共に変化してもよい。陽子ビーム113Aは回転可能構造体102の接触表面とある角度、例えば約90°を形成し得る。回転可能構造体102は回転しているため、回転可能構造体102のセグメント104は陽子ビーム113Aによって連続して接触され得る。陽子ビーム113Aとセグメント104の中性子源層との相互作用の結果、中性子ビーム113Bが発生し、(例えば、コリメータまたは他のビーム整形構造体を介して)患者Pの治療領域へと向けられる。
図1Eは、いくつかの実施形態による、ドラム状回転可能構造体の斜視図である。図示するように、回転可能構造体102は基部とこれに取り付けられこれから広がる複数のセグメント104とを有し、セグメントは基部に対して固定角(例えば、90°または少なくとも45°の角度)を形成する。セグメント104は、例えば、回転可能構造体102の回転軸に対して実質的に平行であり得る主表面を持つ中性子源層を含む。回転軸は、基部の中心を通り実質的にこれに垂直な軸として定義されてよい。図1Fは、図1Eの回転可能構造体のセグメント保持部の図1EのラインB−B’に対応する断面を示す図である。中性子源層108は、埋め込み冷却液チャネル110を持つ基板106上に配置される。
図1Gは、いくつかの実施形態による、BNCTの一部として使用中の図1Eの回転可能構造体の図である。図示するように、ドラム状回転可能構造体102は回転軸回りに回転しており、陽子ビーム発生器113が陽子ビーム113を回転可能構造体102に向けて、陽子ビーム113Aが回転可能構造体102の表面、例えば、セグメント104の中性子源層に接触するように放出する。陽子ビーム113Aは(例えば所定の位置に)静止させても、または回転可能構造体102の所定の領域にわたってラスタリングしてもよく、ここで所定の領域は固定されても時間と共に変化してもよい。陽子ビーム113Aは回転可能構造体102の接触表面とある角度、例えば約90°を形成し得る。回転可能構造体102は回転しているため、回転可能構造体102のセグメント104は陽子ビーム113Aによって連続して接触され得る。陽子ビーム113Aとセグメント104の中性子源層との相互作用の結果、中性子ビーム113Bが発生し、(例えば、コリメータまたは他のビーム整形構造体を介して)患者Pの治療領域へと向けられる。
図2は、チャンバーアクセスドア215を示す、いくつかの実施形態によるBNCT装置200を示す。図3は、いくつかの実施形態による、図2のBNCT装置200に類似したBNCT装置300の分解図のレンダリングである。図3に示すように、装置300は、フレーム321と、内部に画定される穴部327を持つチャンバー325と、チャンバーアクセスドア315とを含む。ハブ302Aを持つ標的円盤302は、チャンバー325内に適合するような寸法とされ、チャンバーに設置されると、背面カバー323によってチャンバーおよびフレーム321に締め付けられる。スピンドルアセンブリ317は標的円盤302のハブ302Aに機械的に連結し、回転モータ319で駆動されるとき、標的円盤302を回転させるように構成される。図3では円盤であるように示しまた記載しているが、バレル、ドラム、円柱など他の標的形状もまた考えられる。
図4Aは、いくつかの実施形態による、回転可能標的アセンブリの斜視図のレンダリングである。回転可能構造体102へのおよびここからの冷却液の移動は、特別な工学的難題である。本開示のいくつかの実施形態では、同軸の流体入出流を持つ磁性流体回転式空気−真空シールが使用され、次に「Deublin」シールなどのデュアルフロー回転式流体−空気シールが使用される。図4Aに示すように、回転可能標的アセンブリ402は、ハブ402Aと複数の取り外し可能な標的ペタル404とを含む。磁性流体回転式真空シール433の第1端部はハブ402Aに取り付けられ、磁性流体回転式真空シール433の第2端部は、水シール(例えば、Deublin回転式水シール)431を介して冷却液注入口435および冷却液出口437に連結される。図4Bは、図4Aの回転可能標的アセンブリの側面図のレンダリングである。
図5Aは、本開示のいくつかの実施形態による、図4Aのペタル404などのペタルの前面図である。ペタル504は、銅、アルミニウム、または他の材料(例えば、セラミック材料)を含み得る基板505と、上部にリチウムを配置することになるオプションとしての金属化表面508(例えば、銅、パラジウム膜)とを含み得る。金属化表面508は、めっき(例えば、電気化学めっき)、物理的な蒸着金属塗装によって形成され得る。図5Bは、いくつかの実施形態による、マイクロチャネルを示す、ペタルの背部斜視図のレンダリングである。ペタル504は、水注入口535、水出口537、および例えば約1mm×0.75mmの断面積を有する複数の冷却マイクロチャネル510とを含む。「水注入口」および「水出口」を含むように図5Bを参照して示しまた記載しているが、代わりに、またはこれに加えて、他のいかなるタイプの冷却流体を使用してもよい。また、長方形断面を有するように図5Bを参照して示しまた記載しているが、本明細書で述べるペタルのマイクロチャネルは、円形、正方形、多角形などいかなる他の断面形状も有し得る。
ロボット式ペタル交換
上記のように、加速器を使用して中性子束を発生させる有望な反応はLi(p,n)→Be反応である。しかし、リチウムP,N反応は放射性のBeを創るため、〜0.5MeVの光子が放出され、高い放射線場が存在する。よって、いくつかの実装例では、BNCTシステムは、消費/使用済みペタル/セグメントの交換を行うためのロボットを含み、これにより作業員への放射線被爆を(合理的に実現可能なほどに低いレベル「ALARA」)に、制限する。図6は、ロボット式標的修理用に構成されたシステムの例(すなわち、ロボット式交換装置)を示す。図6に示すように、標的の修理のために既に室内にあるかまたは(例えば、移動式ロボットカート654によって)室内に運ばれた、米国の会社FANUCおよびスイスの会社Staeubli製造のロボットなどの市販品の民生工業用ロボット650が、標的の前に位置している。ロボット制御の標的交換の間、作業員は部屋を離れ、保管室遮断扉を閉じる。この時点で、1つまたはそれ以上の引き込み式の標的シールド652が開き、真空ポートが現れ、これを通ってロボット650が標的ペタルに接近し得る。ロボットは、例えば回転可能構造体にインデックスを付けることによって、消費/使用済みペタルを1つずつ取り外し、これらを鉛張り箱(「ピッグ」とも呼ぶ)のような遮断箱656内に入れるかまたはこれへと運んで、作業員への放射線被爆を防ぐことができる。また、リチウムは湿った空気と反応するため、保存されたペタルは、アルゴンまたは鉱物油などの非反応性媒体内に保持して、Beが空気浮揚になるのを防ぎ得る。
交換(例えば、真新しいまたはリサイクルの)ペタルは、ロボット650によってまたは手動で、この時点でまたは後で設置され得る。リチウムは湿った空気と相互作用するので、室内環境は非常に乾燥した状態、好ましくは交換中に相対湿度を約1%〜2%に保つのがよく、ひとたびシステムに真空が戻ると部屋を加湿し得る。もしくは、負荷ロックを持つグローブボックスを、例えば、グローブボックス内にロボット650を入れて使用して、ペタルを取り外しおよび/または設置し得る。
幾つかの実施形態では、ロボット650は、トラック上の治療室に留まり、遮断箱656のみが室内外へ運ばれる。
幾つかの実施形態では、ロボット650は、標的ペタルの取り外しは行うが設置は行わない。
ペタル設計
ペタルは様々なやり方で回転式固定具(または「ハブ」)に取り付けることができる。1つの方法は、図3〜図5に示すように、ピンを位置決めすることによって拘束しボルトによって固定した面シールを利用する。他の実施形態では、加工された位置決め機能を部品に組み込んで、ボルトの代わりに、オーバーセンター締め具を使用して部品を拘束し得る。取り付けメカニズムは、かなりの遠心スピン力に耐えるように選択すべきである。さらに他の実施形態では、ペタルをハブに取り付ける方法を図7A〜図7Bに示す。いくつかの実施形態では、本方法は、面シールではなくピストンシールを使用して、ハブからペタル704への水をシールすることができる。加えて、シールを加工して、ある角度で挿入して固定フェンスセットの下に滑り込ませることができる。ひとたびロボットがペタルから離れると、ばねプランジャーがペタルを定位置に保持し得る。ひとたび回転すると、遠心力でペタルがフェンスに対してロックされる。この設計にはいくつかの利点がある。第1に、詰まりや摩耗を起こし得るねじ山形状がない。第2に、ピストンシールは実質的にハブ内で半径方向の流体供給と整列し、これにより流れに2つの90°の曲がりをなくし、システムにわたって圧力降下を低減させる。第3に、メカニズムは、考慮され得る他の締め具メカニズムと比べて高さが低く優雅である。
いくつかの実施形態では、マイクロチャネル配置は、マイクロチャネル810と水注入口837と水出口835とを有するペタル804に対して、図8A〜図8Dに示すように、2セットのマイクロチャネル配列を含む。本設計により、マイクロチャネルを対応するペタルの縁に非常に近く(すなわち、ペタル間のスペースにより近く)なるようにすることができる。他の実施形態では、ペタルにわたる圧力降下を減らすためにマイクロチャネル背後のより大きな戻り経路を使用する。しかし本設計はまたペタル全体をより厚くし、またマイクロチャネルでの所与の流体速度に対する使用全流量をより高くする。
ペタル性能
2セットのマイクロチャネル配列を持つマイクロチャネル配置に対するペタル冷却のシミュレーションを行った。シミュレーションパラメータは以下のように定義した。
・陽子ビーム:2.6MeV、30mA(78kW)、ガウスビーム近似、σ=20、±3σ=φ120mm(99.7%)、
・水流量:0.002m/秒全量(32ガロン/分、ペタル当たり2ガロン/分)、20℃注入口温度、
・標的円盤:中心線直径:φ840mm、回転速度:10Hz(600RPM)
・リチウム厚さ:400μm。
図8A〜図8Dはシミュレーションの結果を示す。例えば、図8Aはペタル804の熱マップであり、回転中の平均リチウム表面温度の分布を示す。最も高い平均リチウム表面温度は51℃であった。図8Bはペタル804に対する圧力マップであり、0.002m/秒(32ガロン/分)の水流量に対する圧力降下が2バール(29psi)であったことを示す。圧力降下は所望の流速およびマイクロチャネルの制約の関数である。流量が大きいかまたはチャネルが小さいほど、その流量を実現するのに必要な注入口から出口までの圧力が増大する。また、回転可能構造体が回転しているとき、円盤の周辺での実際の圧力は冷却液に加わる遠心力により増大する。しかし圧力差および対応する流速は同じである。
図8Cは、ペタル804に対するマイクロチャネル速度のマップであり、図8Dは、ペタル804に対する、注入口から出口までの冷却液温度変化を示す熱マップである。図8Dで明白な左から右への温度上昇は、図8Aに見られ得るように表面へと延び、ここで中央左縁は中央右縁より熱い。従来の設計に勝る改善点は、水流量の増加(より高い圧力)、回転速度の増大(30Hz、1800RPMまで)、およびビームプロファイルの平坦化(ガウス分布と比べて)を含む。
いくつかの実施形態では、中心線直径がφ84cmの中性子標的に30mAの2.6MeV陽子(1.9×1020イオン/秒)が突き当たる。σ=2cmの陽子ビーム分布を仮定すると、1.4×1014イオン/秒の中心線線量率は、100時間で5×1019イオン/cmの(ペタル上のビームの中心線で)ピークまたは最大堆積線量を生む。この線量は十分に固体リチウム上の陽子の受容可能線量限度内であるため、100時間を超える標的寿命が容易に実現される。
図8A〜8Dに示すペタル実施形態の改良版は、ペタル804の縁上の冷水の注入口を1つではなく2つ含み得るもので、各々の流れは、共通/中央戻り空洞に戻るような経路とし、これにより温水がペタルの縁から離れた経路とし、よって熱収支を向上させる。この構成を図9に概略的に示す。図9は、2つの注入口935A、935Bと出口937とを持つペタル904を示す。
ペタルの衝突の間、すなわち、陽子が固体リチウムに入るとき、陽子は減速し、熱および中性子などの他の粒子を、これらが固体リチウム内およそ250μmの深さで停止するまで、これらのエネルギー損失に見合う程度まで放出する。いくつかの実装形態では、加速源は、パワーが100kWまで(2.6MeVで40mA)の陽子ビームを生成する。このようなパワーを収容するためには、ビーム直径は、標的またはペタル表面で全幅(6σ)約110mmから120mmの大きさとなり、その結果、ビームで約1×10W/mの平均パワー密度、およびはるかに高い、例えば約6×10W/mの2Dガウス分布のピークとなる。これは、陽子ビームがリチウムに突き当たっているときリチウムが目にする束であり、「瞬時」熱束と呼んでもよい。回転可能構造体にわたって平均すると、ビーム中心線直径にビームの「高さ」を掛けると掃引面積が得られる。840mmのビーム中心線では、これは約8×10W/mの中心線上にピーク束を持つ約4×10W/mの平均束を生じる。
平均熱束は回転可能構造体をより大きくまたは小さくすることによって変化させることができる。回転可能構造体が小さくなると、平均で単位面積当たりに放散する熱が多くなり、一方回転可能構造体が大きくなると、単位面積当たりに放散する熱が少なくなる。回転速度もまた回転可能構造体設計の重要な態様である。回転可能構造体の回転が遅いほど、陽子ビームがペタルを通り過ぎるとき温度スパイクが大きくなる。可能構造体の回転が速いほど、温度スパイクは小さくなる。600RPMの回転速度に対しては、ガウスの中心線での温度スパイクはおよそ60℃であり、1,200RPMに対しては、およそ30℃である。注目すべきは、定置構成(走査または回復ビームを含まない)とは異なり、本明細書に述べる回転可能構造体への熱効果は過渡的成分を含むことである。すなわち、ビームがペタルを通り過ぎるとき、円盤が回転するにつれて温度は急上昇し次に減衰する。
図10は、陽子ビームがペタルを横切って通過するときの定常状態からの温度デルタ/ずれを示す。最高ラインは、リチウムの表面でのビームの中心線にある。見ての通り、所与のパラメータ(すなわち、全パワー78kW(2.6MeV、30mA)で、回転速度1,200rpmおよびビーム直径12cm+/−3σ)に対して、過渡的温度変動は、平均温度約10℃で、約35℃から40℃である。平均25℃から30℃までのこの過渡が、平均表面温度ピークに加わる。従って、固体リチウムに見られる最大表面温度は定常状態と過渡解との合計、すなわち51℃+30℃=81℃である。注目すべきは、これは回転速度、全パワー、およびビーム直径に強く依存することである。
図11Aは、いくつかの実施形態による、冷却液速度をマップ化する、回転可能標的アセンブリの側面図のレンダリングであり、図11Bは、圧力をマップ化する、図11Aの回転可能標的アセンブリの側面図のレンダリングである。計算された流量を実現するために標的アセンブリにわたって必要とされる全圧力は、スピンドル/ハブデルタ圧力とペタルデルタ圧力の合計、すなわち2バール+1.3バール=3.3バール(48psi)である。図11Aはピーク水速度8m/秒ならびに注入口1135および出口1137を示す。図11Bはスピンドルにわたる1.3バールの圧力降下を示す。
本明細書で述べる標的設計の他の固体リチウムに勝る利点は、より大きな有効リチウム表面積により、定置標的で可能であるパワーより高いパワーを収容可能なことである。本明細書で定義されまた84cm中心線上で12cmのビーム直径を有する回転可能構造体に対する冷却領域の等価の円直径は、定置構成では63.5cmとなり、これは実用的なBNCT設計には大き過ぎる。また、セグメント化アーキテクチャは、製造面からと同様に修理の面からも好都合である。なぜなら、リチウムの付着はより小さい増分で(例えば、約10cm×約10cm)で行い得るからである。本明細書で述べる実施形態のより大きな有効リチウム表面積はまた、他の固体構成と比べて、寿命がずっと長い、例えば、表面積の割合に比例する量だけ長い。また、定置標的に比べると、ペタルはロボット方式でより容易にまたビーム整形アセンブリ(BSA)を妨げることなく交換することができる。
本開示の回転可能構造体は、照射中、例えば、回転可能構造体の背後のファラデーカップ、および回転可能構造体の周りの様々な地点の一連の穴またはスロットを使用して、真っ直ぐに進むビームの位置決めおよび強度測定が可能である。このような情報はビーム調整およびシステムの安全インターロックに有用である。また、液体リチウム標的と比べると、回転可能固体構造体は、定置標的と同じ安全性の利点を提供する。回転可能構造体のペタルはまた、ビーム整形アセンブリ(減速体)が定位置に留まることができるため、定置標的の場合よりロボットによってより容易に交換される。
追加の実施形態
Li(p,n)→Beに対する上述のシステムは、他の中性子生成材料との他の中性子生成反応に拡張させることができる。リチウムに、1.9MeVの陽子ビームを使用する「閾値近似」アプローチおよび2.5MeVの陽子ビームを使用する「閾値上」アプローチに加えて、BNCTに対して提案されている他の反応としては、4MeVの陽子ビームを使用するBe(p,n)、1.5MeVのデューテリウムビームを使用するBe(d,n)、および1.5MeVのデューテリウムビームを使用する13C(d,n)がある。これらの反応を利用するためには、ベリリウムの固体シートをリチウムの代わりにペタルに熱接合して、4MeVの陽子か1.5MeVの重陽子のいずれかと衝突させ得る。加えて、リチウムを黒鉛または炭素の薄シートと置き換えて、13C(d,n)反応を使用して中性子を生成し得る。
本開示のシステムは、上部に配置された中性子源材料を持つ、プラットホームまたはステージなどの回転可能構造体と、回転可能構造体が回転軸回りを回転するときその上の中性子源材料に陽子ビームを向けるように構成された陽子ビーム発生器とを含み、これにより中性子を発生させ得る。中性子源材料は、例えばリチウムなどいかなる中性子発生材料でもよく、例えば、源材料のタイプおよび形態ならびに回転可能構造体の設計に依存する技法によって回転可能構造体上のいかなる位置にも配備され得る。いくつかの実施形態では、回転可能構造体は、有向の陽子ビームに容易に晒され得る回転可能構造体の外部の外向きの表面上に配置された中性子源を備える。
回転可能構造体は回転軸回りに回転可能であり、また、例えば全体のシステム設計の要件に応じて、円盤形(円形を含む)、環形、または円筒形などの様々な異なる全体形状を有し得る。いくつかの実装形態では、回転可能構造体は、構造体に対して垂直でありまた構造体の中心にある回転軸を有し、対称である。回転可能構造体は、所望であれば、用途に応じて外部ハウジング内に収容してもよい。加えて、回転可能構造体は、例えば、中性子源材料の化学反応性、源材料をその所望の形態で含有するのに必要な条件、およびコストに応じて、様々な異なる材料を使用して形成されるとよい。例えば、回転可能構造体は、ステンレススチールまたはモリブデンを含んでもよい。
回転可能構造体は、実質的には平坦である基部を含むことができるが、所望により、例えば、固形状および/または液状の中性子源材料を含有するために、様々な追加の構成部品または特徴をさらに含み得る基部を含むことができる。基部はさらに、モータおよびアクセルなどの回転用手段を含んでもよい。いくつかの実施形態では、基部は、加熱流体または冷却液などの熱伝導剤を基部のおよび/または回転可能構造体の様々な部分または構成部品へ供給する様々な手段を備えた中央回転可能ハブを含み得る。チャネルもまた、これら流体を供給する支援をするために回転可能構造体の様々な構成部品と同様に基部に配備することができる。さらに、基部は、中性子源材料を標的位置に保持するように構成される少なくとも1つの中性子源材料含有部を含んでもよい。含有部の形状、サイズ、位置、および数は、例えば中性子源材料のタイプおよび形態、源材料を基部上に配備する方法、および/または回転可能構造体の設計に依存し得る。
いくつかの実施形態では、回転可能構造体は、基部であって、基部内の中央に位置する回転可能ハブを備えた基部を有する円盤状構造体である。基部はまた、中性子源材料を含有するようにおよび/またはこれを運ぶように構成された外向きの外表面を有する少なくとも1つの基部セグメントを含み得る。中性子源材料は、リチウムなどの固体中性子源材料の層を含み得る。ハブは、少なくとも1つの基部セグメントへと延びる少なくとも1つの冷却液ラインを含み得る。陽子ビーム発生器は陽子ビームを、基部セグメントによって含有されているかまたはこの上に運ばれた中性子源材料に向けるように構成される。いくつかの実施形態では、円盤状構造体は回転軸回りを回転可能であり、陽子ビームは回転軸に実質的に平行なビーム経路に沿って向かうことができる。
いくつかの実施形態では、回転可能構造体は、実質的に垂直の外壁(例えば、垂直外壁)に接続される基部(例えば、水平基部)を有する円筒形構造体である。外壁は、液体リチウムなどの液体中性子源材料の膜を含有するように構成される内向きの外表面を有する少なくとも1つの壁セグメントを含み得、また陽子ビーム発生器は、陽子ビームを壁セグメント上に含有される液体中性子源材料の膜に向けるように構成され得る。円筒形構造体は回転軸回りを回転可能であり、陽子ビームは、回転軸に実質的に垂直のビーム経路に沿って向かうことができる。
いくつかの実施形態では、中性子を発生させる方法はまた、本明細書で述べる回転可能構造体の実施形態のいずれも使用することができる。例えば、中性子源材料を備えた回転可能構造体を配備し得る。回転可能構造体は回転軸回りを回転し、また陽子ビーム発生器によって発生させる陽子ビームを、中性子源材料が回転するときそれに向かわせ、これにより中性子を発生させ得る。
いくつかの実施形態では、回転可能構造体は、基部および基部内の中央に位置する回転可能ハブを有する円盤状構造体を含み、基部は、中性子源材料の層を有する外向きの外面を持つ少なくとも1つの基部セグメントを含み得る。ハブは、少なくとも1つの基部セグメントへと延びる少なくとも1つの冷却液ラインを含み得る。円盤状構造体が回転軸回りを回転するとき、陽子ビーム発生器によって発生させる陽子ビームは、ビーム経路、例えば、回転軸に実質的に平行であるビーム経路に沿って、固体中性子源材料の層に向けられ、これにより、中性子が、陽子ビームと固体中性子源材料との間の相互作用により発生する。
いくつかの実施形態では、回転可能構造体は、実質的に垂直な外壁に接続される基部を有する円筒形構造体であり、外壁は、液体中性子源材料の膜を含有するように構成される内向きの外表面を有する少なくとも1つの壁セグメントを含み得る。固体中性子源材料は基部上に配備され、また液体中性子源材料は、固体中性子源材料を溶融させることによって形成され得る。円筒形構造体が回転軸回りに回転すると、液体中性子源材料は基部から壁セグメントの内向きの外表面に流れ、これにより、液体中性子源材料の膜を形成し得る。陽子ビーム発生器によって発生させる陽子ビームは、ビーム経路、例えば、回転軸に実質的に垂直のビーム経路に沿って、液体中性子源材料の層に向けられ、これにより、中性子が、陽子ビームと液体中性子源材料との間の相互作用により発生する。
以下の一般的な記述および以下の詳細な記述は単に例示および説明のためのものであることは理解されたい。当業者であれば、本開示の範囲から外れることなく本開示の諸プロセスに対して様々な改変および追加を行い得る。
いくつかの実施形態では、回転可能構造体は、固体であり得る中性子源材料を含む少なくとも1つの基部セグメントを有する基部を含む。基部は、例えば、陽子ビーム発生器の構成および位置に基づいて垂直にまたは水平に配置するとよい。回転可能構造体の全体の形状は様々であり、いくつかの実施形態では、環状、円形、または略円形である(すなわち、円形の盤に近い多角形を有する)基部を持つ円盤形状である。回転可能構造体は、基部に対して垂直でありまた基部の中心にある回転軸を有し、対称であり得る。基部は実質的に平坦であり得るか、または基部セグメントを備えた環状の段または角度のある領域を備え得る。基部セグメントもまた、実質的に平坦であり得る。
回転可能構造体の「基部セグメント」は、基部内または基部上のいかなる部分をも指し、例えば(1)中性子源材料を含有するように構成される外向きの外表面(すなわち、陽子ビーム発生器の方に面する)、および(2)リチウムなどの固体中性子源材料の層を含み得る。基部は、例えば突起セパレータによって分離される複数の基部セグメントに分けるか、または基部およびそのセグメントが1つの連続表面を形成し得る。いくつかの実施形態では、回転可能構造体は環状基部セグメントを備えた、もしくはパイ形状または部分パイ形状の基部セグメントを備えた円形基部を有する。このようにして、外表面は中性子源材料1つの連続層を備えても、または外向きの外表面に沿って様々な標的化セグメントまたはセクションに配置された層を含んでもよい。基部セグメントの外表面は、その主表面が、陽子ビーム発生器によって発生し中性子源材料に向けられる陽子ビームに対して垂直であるように配置され得る。しかし、セグメントは、陽子ビームに接触することになる固体源材料の表面積を増大させるために傾けても角度をつけてもよい。もしくは、ビーム自体を中性子源材料にある角度で突き当てるように向けて、これにより接触面積を増大させることができる。
回転可能構造体は、例えば、中性子源材料の化学反応性、固体源材料の層を生成するのに必要とされる条件、およびコストに依存して、様々な異なる材料を使用して形成され得る。例えば、回転可能構造体は、ステンレススチールまたはモリブデンを備えてもよい。基部セグメントは、銅、アルミニウム、またはモリブデンなどの1つまたはそれ以上の高伝導材料を含み得る。基部セグメントの外表面に固体源材料を直接堆積またはコーティングすることによって、該表面に源材料の固体層を配備することができる。もしくは、またはこれに加えて、予め形成された層を基部セグメントの外表面に直接配置または位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、外表面はまた1つまたはそれ以上の中性子源材料含有セクションを含み、非層形態(フレーク、断片、ペレットなど)の固体中性子源材料をこれらセクション内に配備して、溶融しそして冷却して、固体源材料の層を形成してもよい。固体源材料は基部セグメント表面に直接配備されてもよいが、例えば、層のセグメント表面への接合(およびこれに応じて熱接触)を向上させるために、1つまたはそれ以上の中間層を使用してもよい。この層はまた、源材料とセグメントとの間の化学的相互作用を避けるための物理的な障害を提供し得る。例えば、固体リチウム標的では、銅の介在層を使用して、リチウム標的のアルミニウム基部セグメントへの接合を向上させ、一方、リチウムによるアルミニウムのアマルガム化を防止し得る。中間層はまた標的における膨れの線量閾値を増大させるために使用してもよい。陽子の高影響に晒されると、ほとんどの材料は、水素ガスの蓄積および材料における粒子の飛程の端部での損傷により最終的には膨れる。源材料の厚さをその材料における陽子の飛程より小さくなるように選択すれば、陽子はより深い層では停止または「ブレーキ」がかかる。このより深い層を、鉄、タンタル、または他の当該分野で既知のものなどの抗膨れ材料により作製してもよい。この膨れ停止層は接合層またはバリア層を含んでもよく、またはいかなる接合層またはバリア層に追加してもよい。源材料の固体層の厚さは、例えば、標的化用途、陽子ビームのパワー、および層の曝露時間に応じて変動し得る。例えば、固体層は厚さ2mm以下、約0.1mmから約1mm、または約0.05mmから約0.5mmであり得る。
いくつかの実施形態では、基部は、基部内の中央に位置する回転可能ハブを、熱流体または冷却液などの熱伝導剤を基部の様々な部分に供給する様々な手段と共に含む。例えば、基部は、中央回転可能ハブユニットから、固体中性子源材料を含む、基部セグメントまで延びる少なくとも1つの冷却液ラインを含み得る。このようにして、冷却液を、陽子ビームが集束され固体中性子源材料の層と反応している一方で、冷却液が外表面と熱連通するのを可能にする内部に備えた通しチャネルなどの、基部の外向きの外表面を冷却するために供給することができる。
液体中性子源材料
いくつかの実施形態では、回転可能構造体は外壁に接続する基部を含み、外壁は中性子源材料を含む。回転可能構造体は、基部に対して垂直でありまた基部の中心にある回転軸を持ち、対称であり得る。構造体の全体的な形状は円筒形または実質的に円筒形で、実質的に垂直な外壁に接続する基部を備え得る。例えば回転可能構造体は、円形基部などの水平の基部であって、その外周に沿って垂直または実質的に垂直な壁に接続する基部であり得る。
回転可能構造体の外壁は、液体中性子源材料、例えばリチウムの膜などの中性子源材料を含有するように構成される内向きの外表面(すなわち、基部の中心方向に面する)を含み得る。膜を含有するために様々な異なる技法を使用し得るが、そのうちのいくつかを以下に述べる。加えて、外壁は垂直から外向きに(すなわち、基部の中心から離れる方向に)数度(1〜2度など)角度をつけるかまたは傾けてもよく、従って、例えば液体中性子源材料の膜の形成を支援するため、回転軸に対して正確に平行でなくてもよい。
いくつかの実施形態では、回転可能構造体の外壁は、1つの連続した内向きの外表面を有する連続した円形リングであるか、または複数の異なる壁セグメントへとセグメント化され、これにより内向きの外表面を、各々が標的量の液体中性子源材料の膜を含有するように構成された様々なセクションへと分離される。例えば、外壁は、各々が同様の形状およびサイズを有する複数の壁セグメントを含んでもよい。壁セグメントは湾曲形状を持ち、外壁の全体的に円形の断面形状の円弧セグメントを形成しても、または平坦としてこれにより外壁の全体的に円形のリング形状に近似させてもよい。外壁の内向きの外表面は、例えば、外壁の外表面に取り付けた突起セパレータを配備する、外壁内にギザギザのポケットまたは窪みを形成する、または外壁を離脱可能な壁セグメント片に物理的に分離および分割するなどを含む様々な方法を使用して、壁セグメントへとセグメント化することができる。
回転可能構造体の基部は好ましくは外壁と連続している。従って、基部および壁は1つのユニットとして形成されるか、もしくは、接続または接合された別々の構成部品であってもよい。基部は、環状、円形、または略円形(円形に近似する多角形状を有する)などの様々な異なる形状を有し得る。いくつかの実施形態では、基部は、概して平坦であり、基部内の中央に位置する回転可能ハブ、ならびに加熱流体または冷却液などの熱伝導剤を基部および/または外壁の様々な部分へと供給する様々な手段を備えている。例えば、基部は、中央ハブユニットから外壁の1つまたはそれ以上の壁セグメントへと延びる少なくとも1つの冷却液ラインを含み、これにより、冷却液が外表面と熱連通するのを可能にする内部に備えた通しチャネルなど、外壁の内向きの外表面を冷却するために冷却液を供給することができる。
いくつかの実施形態では、基部はさらに、トラフまたはウェルなどの少なくとも1つの中性子源材料含有部を含み、ここに、例えば基部が回転するときリチウムなどの固体中性子源材料が配置および保持される。トラフの容量は、内部に配置予定の中性子源材料の容量より大とし、よって源を溶解物として含有するのに十分なものとすることができる。すべての含有部の全容量は、所望の中性子ビームを生成するのに必要とされる源の全容量を保持するに十分であるように選択され得る。トラフは基部内または基部上のいかなる場所、例えば、基部と外壁との間の接合部に配置して、これによりトラフと外壁との間の流体連通を可能にし得る。1つの連続したトラフまたはウェルを使用し得るが、複数のトラフを配備することもでき、この場合、各トラフは突起セパレータまたは仕切りによって隣接トラフから分離させ得る。このようにして、トラフまたはウェル内で形成される液体中性子源材料は、基部に沿った特定の位置、例えば、基部と外壁との間の接合部の、個々の部分に含有させ得る。いくつかの実施形態では、基部が複数のトラフを含むとき、外壁もまた複数の対応する壁セグメントを含み、各トラフは1つまたはそれ以上の壁セグメントと流体連通する。従って、液体中性子源材料の個々の部分は、源材料の膜を含有するように構成される内表面を有する壁セグメントと流体連通することになる。
基部は1つまたはそれ以上のトラフを備え、基部はまた、中央ハブユニットからトラフの1つまたはそれ以上へと延び、これによりトラフ内に位置する固体中性子源材料を加熱および溶融させるために熱伝導流体を供給して、流体のトラフとの熱連通を可能にするためにトラフの近くまたはその下の基部に配備される通しチャネルなどの、少なくとも1つの供給ラインを含み得る。このようにして、中性子源材料は液状に変換させ得る。もしくは、システムは、固体中性子源材料を加熱するように配置および構成される1つまたはそれ以上の内部ヒータまたは加熱ランプなどの少なくとも1つの熱源を含み得る。このような加熱は、所望により液体中性子源材料を形成するために、例えば、構造体を回転させることによって、一度に1つのトラフに、または同時にすべてのトラフに与え得る。加えて、以下に述べるように発生させる、中性子源材料の膜に向ける陽子ビームは、ビームパワーを中性子源材料の溶融の開始を支援するために使用して、トラフへと向け直してもよい。
いくつかの実施形態では、回転可能構造体は、例えば、中性子源材料の化学反応性、液状の源材料を含有するのに必要とされる条件、およびコストに応じて、1つまたはそれ以上の様々な異なる材料を使用して形成される。例えば、回転可能構造体は、ステンレススチールまたはモリブデンを備えてもよい。驚くべきことに、本開示では、回転可能構造体材料を形成するために使用される材料を湿らせるという液体中性子源材料の能力は必要ではない。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、リチウムは比較的高い表面張力(200℃でおよそ400dynes/cm)および比較的低い密度(およそ0.5g/cm)を有し、これによりリチウムは平坦な表面上で厚い溜まりへと「丸くなる」または収縮する傾向が非常に高く、液体リチウムの薄い均一な層を作るのを困難にするということに注目する。この問題に取り組むために、本明細書で述べる回転可能構造体はリチウムによって既に湿らせた材料により形成され得る。しかし、このため交換またはシステムメンテナンスのために未使用または使用済みリチウムを除去することがより困難となる。本開示のいくつかの実施形態では、所望の動作温度(300℃より低いなど)でリチウムによってうまく湿らない材料を使用することができ、経済的および機能的両方の利点を提供する。
上記のように、いくつかの実施形態では、システムは陽子ビーム発生器を含み得る。例えば、陽子加速器を備えた陽子ビーム発生器を含むいかなる陽子ビーム源でも使用することができ、陽子ビーム源の選択は、例えば、陽子ビーム標的および/または得られる中性子ビームの所望の用途に依存し得る。臨床用BNCTでは、必要とされる中性子のエネルギー範囲は1eVから10keVの間である。〜2.5MeVの陽子ビームを使用する「閾値上」アプローチでは、生成される中性子の平均エネルギーは約600keVである。全エネルギー範囲は熱中性子と2.5MeVの中性子との間であるが、600keVでの断面に強いピークがある。従って、中性子は、材料および厚さの配列を通してフィルタリングすることによって熱外領域へと「モデレート」(すなわち、減速)させるべきである。例えば、リチウム標的(Li(p,n)Be)からの中性子生成では、反応は、少なくとも1.88MeVから約2.4〜2.7MeVのエネルギーを持つ陽子源を必要とする。陽子流30〜50mAおよび陽子エネルギー1.9〜2.7MeVで動作する陽子加速器などの、高流の陽子加速器が好適である。陽子ビーム発生器からの陽子ビームは(上述のように液体膜または固体層としての)中性子源材料に集束させ、これにより中性子を発生させ得る。
さらに、本開示の実施形態では、中性子生成中にビームを監視しその輪郭を描くことができる。回転可能構造体は、各々リチウムの膜または層を含有する多くの窪みが存在するように円周方向にセグメント化され得る。複数の穴が外壁の内側に例えば螺旋状パターンを形成するように各窪み対の間の基部セグメントまたは垂直外壁に単一の小さな穴を開けることができる。穴がビームの前を通過するとビームがこれにぶつかるように、回転している構造体の背後にファラデーカップを配置し得る。ファラデーカップから回収したデータを、回転構造体からの時間情報と組み合わせて、中性子生成を妨げずに、各回転でのビームの二次元輪郭を再構築するために使用することができる。この情報は所望のビーム輪郭、位置および強度が維持されていることを確認するのに有益であり得る。
いくつかの実施形態では、方法は、中央に位置する回転可能ハブを持つ基部を有する円盤状回転可能構造体を配備することを含み、基部は、リチウムなどの固体中性子源材料の層を含有するように構成される外向きの外表面を有する少なくとも1つの基部セグメントを備え、ハブは基部セグメントまで延びる少なくとも1つの冷却液ラインを備える。円盤状構造体が回転軸回りを回転すると、陽子ビーム発生器によって提供される陽子ビームが固体中性子源材料の層に向けられ、これにより中性子が発生する。陽子ビームは回転軸に対して実質的に平行であるビーム経路に沿って向かうことができる。
別の実施形態では、回転可能構造体は、実質的に垂直の外壁に接続される基部を有する円筒形構造体である。外壁は、リチウムなどの液体中性子源材料の膜を含有するように構成される内向きの外表面を有する少なくとも1つの壁セグメントを含み得る。固体中性子源材料を基部に、例えば基部と外壁との間の接合部に位置する1つまたはそれ以上のトラフまたはウェル内に配備して、トラフと外壁との間の流体連通を可能にすることができ、液体中性子源材料は固体中性子源材料を溶融させることによって形成され得る。円筒形構造体が回転軸回りを回転すると、液体中性子源材料が基部から壁セグメントの内向きの外表面へと流れ、これにより膜を形成する。陽子ビーム発生器によって提供される陽子ビームが液体中性子源材料の膜に向けられ、これにより中性子が発生する。例えば、陽子ビームは、回転軸に対して実質的に垂直である(例えば、回転軸と約80°から約100°、または約85°から約95°の角度を形成する)経路に沿って向かい得る。
固体中性子源材料の溶融は、例えば、回転速度および源の相対加熱率および溶融率に応じて、回転可能構造体の回転より前または回転と同時に行い得る。例えば、回転速度は約500RPMであり、少なくとも約150gsの遠心力を発生させ得る。液体膜の厚さは、例えば、標的化用途、陽子ビームのパワー、および膜の曝露時間に応じて変動し得る。液体膜は厚さ5mm以下(例えば、約1mmから約3mm)であり得る。膜の形成条件は、液体源材料および外壁の外表面の特性に依存し得る。所望の厚さを有する平坦で実質的に連続した膜を生成するためには、十分な遠心力を液体源に加えるべきである。例えば、リチウム源では、およそ200gsの遠心力に対応する、およそ600RPMの回転数を使用し得るが、これはリチウムによって湿らされていないセグメント材料の場合におよそ1.25mmのリチウム膜を生成するのに十分であると予想される。2mm厚などのより厚い膜を提供するのに十分な容量のリチウムを使用すれば、溜まりの性質が表面張力によって支配されることはなく、台上の窪み全体を覆うように広がることが確実となろう。
中性子発生システムの1つの実施形態の具体例を図12に示す。図示するように、システム1200は、外部ハウジング1261内に収容された回転軸Xを有する回転可能構造体1260を含む。回転可能構造体1260は全体的に円筒形状を有し、垂直な外壁1263に接続された水平の基部1262を含み、外壁は複数の壁セグメントにセグメント化される。これらについては図13により明瞭に示す。システム1200はさらに、必要に応じて、熱伝導流体のための冷却液ラインおよび/または供給ラインを含む基部1262内の中央に位置する回転可能ハブ1264を含む。モータ1265が構造体1260を回転させる。この具体例に示すように、陽子ビーム1266が、外壁1263の上縁の上方にある開口部1267を通って構造体1260に入り反対側へと通過し、液体中性子源膜が回転して通り過ぎるときこれに突き当たる。中性子が発生し開口1268を通って構造体1260から出ていく。従って、この円筒形構造体では、陽子ビームは、回転軸に対して実質的に垂直のビーム経路に沿って向けられ、外壁1263の高さ分だけ僅かに垂直からずれている。2〜3度の僅かな外向きの傾きを加えることは、膜形成を支援するために望ましく、ビーム経路を垂直により近くすることになる。
図13は、回転可能構造体1260に関してさらに詳細を示す。図示するように、構造体1260の水平の基部は、突起基部セパレータ1272によって複数のトラフ1270に分割される。加えて、構造体1260の外壁部は、突起壁セパレータ1276によって複数の壁セグメント1274へと分割される。図示するように、各トラフ1270は、基部と外壁との接合部で対応する壁セグメント1274に隣接して配置される。
リチウムなどの液状中性子源材料の膜の形成の具体例を図14A〜図14Cに示す。図14Aに示すように、管の形態(他の形態および形状も可能である)の固体リチウム1371を構造体1360のトラフ1370内に配置する。中央回転可能ハブ内の供給ラインに接続された水平の基部内のチャネルを通して、またはトラフ近くに位置する加熱ランプなどの内部ヒータによって、トラフに熱を与える。図14Bに示すように、加熱により固体リチウム1371が溶融して液体リチウム1373を生成する。トラフ1370は、液体リチウム1373の容量より大きい容量を持ち、従って液体中性子源材料はその中に含有される。溶融ステップと同時に、またはこれに続いて、構造体1360を十分な速度で回転させて、液体リチウム1373を上昇させ壁セグメント1374へと登らせ(矢印Aで示す)これにより液体リチウム膜1375を形成する(図14Cに示す)。壁セグメント1374は、所与の回転速度および条件に対して適切な容量、表面特性およびセパレータ高さを有し、膜1375を含有するように適切に構成される。
陽子ビームを通って回転するときリチウム膜標的に向けられる陽子ビームは、中性子源標的に必要とされる液体リチウムの容量を最小限とする一方でまた、固体中性子標的または時期尚早に固化する液体標的で予想される膨れの問題を避けるという利点を持って、所望の中性子流を生成することができる。加えて、液体源(すなわち、リチウム)は流れる必要はないため、意図しない固化が生じても重大な懸念はない。いくつかの実施形態では、リチウムは、2相システムとして動作して、その融点以下で維持することができる。ビームエネルギーの多くはリチウムの相変化によって吸収され、標的がビームを通って通過するときのいかなる温度スパイクも最小限にする。これはリチウムを沸騰させるというリスクを減らすことが予想され、膨れの問題を依然として排除する一方でより低い温度での動作が可能となる。さらに、標的が回転すると発生熱がより大きな領域に広がるため、定置標的を使用する方法と比べて熱除去が向上し、また一方で、ほとんどの用途で所望されるように、中性子源を小さな領域に維持する。水平の基部内の中央ハブユニットから外壁の1つまたはそれ以上の壁セグメントへと延びる冷却液ラインを通して冷却液を循環させ、これにより、内部に配備された通しチャネルなどの、外壁の内向きの外表面と熱連通するように冷却液を供給することによって、追加の熱除去を提供することができる。また、リチウムを溶融させるために使用する熱伝導流体もまた、通し接続チャネルなどの、内向きの外表面と熱連通して、液体膜の温度を維持するよう循環させてもよい。
本方法の追加の予想される利点としては、交換またはシステムメンテナンスのための中性子源材料の迅速なロボット式除去がある。例えばリチウム標的は水平の基部のトラフで固化することが可能となり得る。トラフをリチウムにとって適切な固着防止表面を有する材料を使用して作製すれば、リチウムペレットが形成され、これは直接除去され得るか、もしくは取り外し可能なトラフを使用することができる。これにより、メンテナンスまたはリチウム交換のための休止時間を最小限にし、またリチウムに含有される放射性ベリリウム反応生成物に関連するメンテナンス要員への放射線障害を著しく減らすことになる。本開示の利点を鑑みるとさらなる利点もまた可能である。
本開示の中性子発生システムの別の実施形態の具体例を図15Aに示す。図示するように、システム1500は、外部ハウジング1525内に収容されまた中性子反射体1526に囲まれた回転軸Xを有する回転可能構造体1510を含む。回転可能構造体1510は全体的に円盤形状を有し、固体リチウム層1535を載せた基部セグメント1520を備えた環状段付き領域を持つ垂直の基部1530を含む。基部1530はさらに、回転可能ハブ1560(図15Aには一部のみが見える)を含み、また回転中固体リチウム層1535を冷却するのに必要とされる熱伝導流体のための冷却液ラインおよび/または供給ラインを含む。回転可能構造体1510は軸X回りを回転し、固体リチウム層1535が回転して通り過ぎるとき陽子ビーム1590がこれに突き当たり、これにより中性子を発生させ、中性子は減速体1591およびコリメータ1592を通って出ていく。従って、この円盤状回転可能構造体では、陽子ビームは、回転軸に実質的に平行な経路に沿って向けられる。
本実施形態の追加の具体例を図15B〜図15Dに示す。図15Bに関して、システム1501は全体的に円盤形状を有する回転可能構造体1511を備えているものとして示され、構造体はさらに固体リチウム層1536を載せた基部セグメント1521を有する垂直の基部1531を含む。これについては、回転可能構造体1511の前面図である図15Cにより明瞭に示す。基部1531は回転可能ハブ1561を含み、ハブは、構造体1511がモーターアセンブリ1550によって回転軸Y回りを回転するとき、ハブ1561を基部セグメント1521に接続して冷却液を固体リチウム層1536に供給する複数の冷却液ライン1570および供給ライン1575を含む。ハブおよび関連するラインまたはチャネルについては、回転可能構造体1511の背面図である図15Dにより明瞭に示す。また、セグメント1522を、図15Cおよび図15Dに、リチウム層1536の背後に冷却液を供給するためのセグメント内のチャネルを示す切断図で示す。回転可能構造体1511は軸Y回りを回転し、固体リチウム層1536が回転して通り過ぎるとき陽子ビーム1590がこれに突き当たり、これにより中性子を発生させ、中性子は標的の裏面を通って出ていく。従って、この円盤状回転可能構造体では、陽子ビームは、回転軸に実質的に平行な経路に沿って向けられる。
これらの例はまた、中性子源標的として必要とされるリチウム量を最小限にするという利点を有する。冷却液は中央ハブから基部セグメントへと延びるラインまたはチャネルを通って循環するため、熱はこれにより固体標的が回転するときこれから除去され、過熱および膨れを最小限にし、また定置標的を使用する方法と比べてより薄い固体標的を使用することができる。標的が回転するとき発生した熱は大きな領域にわたって広がり、また一方で、ほとんどの用途で所望されるように、中性子源を小さな領域内に維持する。加えて、回転可能円盤状構造体は、発生した中性子ビームの標的の位置に応じて、垂直、水平、またはいかなる所望の角度に配置され得る。これにより本システムには相当な設計柔軟性が与えられる。さらに、基部セグメントは、交換またはシステムメンテナンスのための中性子源材料の迅速なロボット式除去のため、回転可能構造体から個別に取り外し可能であるとよい。例えば、図15Cおよび図15Dに示すように、セグメント化された固体リチウム標的は、別々であるが接着された基部セグメント上で使用し得る。セグメントの、例えば、冷却液および供給チャネルを備えた基部の部分からの分離により、迅速で容易な取り外しおよび交換が可能となり、メンテナンスまたは中性子源交換のための休止時間を最小限にし、またメンテナンス要員への放射線障害を著しく減らすことになる。本開示の利点を鑑みるとさらなる利点もまた可能である。
本開示のシステムおよび方法によって生成される中性子は様々な異なる用途で使用することができる。例えば、得られる中性子は、同位体生成、爆発性および/または核分裂性材料検出に、貴金属鉱石のアッセイに、または様々な画像化および医療技法において使用することができる。具体例としては、中性子は、癌の治療のためのホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の一部として含むことができる。
本BNTCシステムおよび方法の実施形態の概略を図16に、および部分的に図15Aに示す。例えば、図16を参照して、これは原寸に比例してはいないが、BNCTシステム1600は中性子発生システム1650と患者位置決めおよび治療システム1680とを含む。中性子発生システム1650は陽子ビーム発生器1610と中性子源標的1620とを含み、後者は回転可能構造体(図示せず)上に配備される。本開示の上述の回転可能構造体のいずれも使用し得る。陽子ビーム発生器1610は、例えば、配置される設備のサイズおよび設計に応じて、中性子源標的1620に対して様々な異なる位置に配置され得る。発生した陽子ビームを標的に向けるには様々な既知の偏向または集束磁石を使用し得る。
陽子ビーム発生器1610によって生成される陽子ビーム1690は、例えば様々なタイプの集束磁石を含んでもよいビーム輸送システム1615を通過し、中性子源標的1620と反応し、これにより中性子を発生させる。中性子は一般にそれらのエネルギーに依存して、すなわち、より高いエネルギーの中性子は標的から前方に移動し、より低いエネルギーの中性子は源に垂直にまたは源より後方に散乱して、源の周りの多数の方向に生成される。BNTC治療にとって所望のエネルギーおよび方向を有する中性子ビーム1670を発生させるためには、中性子発生システム1650はさらに、反射体1626、ビーム減速体1691、およびビームコリメータ1692を含む。当該分野で既知のいかなる中性子ビーム反射体、減速体、またはビームコリメータ/デリミタを使用することができ、各々が所望のエネルギー範囲を有する中性子を捕捉するために所望通りの標的周りに配置させ得る。例えば、反射体1626は、図16(および図15Aでは1526)に示すように、標的の側部および背部周りに配置し、高原子数材料(鉛、ビスマス、またはアルミナを含む)または炭素質材料(黒鉛を含む)などの、中性子に対して比較的非吸収性である当該分野で既知のいかなる材料でも備え得る。このようにして、低エネルギー後方散乱中性子がシステム内へと反射され、これにより周囲の構成部品および患者1699を保護または遮蔽する。前方向きの比較的高いエネルギー中性子は、それらのエネルギーを所望の熱外範囲へと下げるために、(この場合も中性子に対して比較的非吸収性材料を備えた)減速体1691によって捕捉され得る。このようにして、例えば、およそ500keVの初期エネルギーを有する中性子は、BNCT治療にとって所望の範囲である約1eVから約10keVの最終エネルギーへと下げることができる。適切な減速体は当該分野で既知であり、例えば、DO、MgF、LiF、AlF、Al、テフロン(登録商標)、およびこれらの混合物を含む。最後に、図示するように、所望の中性子ビームを生成し患者1699内の標的1698に集束させるために、ビームコリメータ1692を減速体1691の後に配置し得る。
図16に示すように、BNCTシステム1600はさらに、中性子ビームを患者に供給するための機器および制御装置を含む患者位置決めおよび治療システム1680を含む。例えば、標的1698作製するために、選定されたホウ素含有治療薬を所定の線量で患者1699へ供給するホウ素送達システムおよびプロトコルを使用する。制御システムは、予想される中性子ビーム経路と一致するように標的を正確に位置決めするために使用し、このような制御システムは当業者には既知であろう。追加の機器および構成部品もまた必要であれば使用することができ、これもまた当該分野では周知であろう。
本明細書では、用語「約」および「およそ」は概して記述した値のプラスマイナス10%を意味する。例えば、約250の値は225から275を、また約1,000は900から1,100を含むことになる。
本開示の好適な実施形態についての上記の記述は、例示および記述のために提供されたものである。包括的であること、または本発明を開示したそのままの形態に限定することは意図されない。改変および変形は、上記の教示を踏まえれば可能であるし、または本発明を実施することで獲得され得る。本明細書に提示した実施形態は、本発明の原理およびその実際の応用を説明して、当業者が本発明を様々な実施形態においておよび熟考された特定の使用に適合するような様々な改変と共に利用することを可能にするために、選定され記載された。本発明の範囲は、本明細書に添付した請求の範囲およびそれらの等価物によって規定されるよう意図される。

Claims (23)

  1. 冷却液注入口と冷却液出口とを含む回転式固定具と、
    複数の中性子生成セグメントとを備え、
    前記複数の中性子生成セグメントの各中性子生成セグメントは前記回転式固定具に取り外し可能に連結され、
    前記複数の中性子生成セグメントの各中性子生成セグメントは、
    内部に画定された冷却液チャネル回路を有する基板であって、前記冷却液チャネル回路は前記冷却液注入口および前記冷却液出口と流体連通する、基板と、
    前記基板の表面に配置される固体中性子源層と、を備えている、装置。
  2. 各固体中性子源層は、前記回転式固定具の回転軸に対して固定角度で配置される主表面を有する、請求項1に記載の装置。
  3. 前記固定角度は約90度である、請求項2に記載の装置。
  4. 前記固定角度は約0度である、請求項2に記載の装置。
  5. 前記固体中性子源層は、リチウムまたはベリリウムまたは炭素のうちの1つを備える、請求項1に記載の装置。
  6. 前記基板は、銅、アルミニウム、チタニウム、およびステンレススチールのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の装置。
  7. 前記回転式固定具は真空シールを含む、請求項1に記載の装置。
  8. 前記冷却液チャネル回路はマイクロチャネルを備える、請求項1に記載の装置。
  9. 前記マイクロチャネルは、約0.5mmから約3mmの間の寸法を有する、請求項8に記載の装置。
  10. 前記マイクロチャネルは、実質的に円形の断面形状を有する、請求項8に記載の装置。
  11. 前記マイクロチャネルは、実質的に方形の断面形状を有する、請求項8に記載の装置。
  12. 前記冷却液チャネル回路は、前記固体中性子源層の主表面に実質的に平行に向けられた複数の実質的に線形のチャネルを備える、請求項1に記載の装置。
  13. 前記複数のチャネルのうちのチャネルは複数の壁によって画定され、前記複数の壁の各壁は前記複数のチャネルのうちの2つの隣接するチャネル間に位置し、前記複数の壁の各壁は、前記複数のチャネルの各チャネルの幅の約2倍の幅を有する、請求項12に記載の装置。
  14. 前記固体中性子源層の厚さは、約0.01mmから約3mmの間である、請求項1に記載の装置。
  15. 前記固体中性子源層の厚さは、約0.09mmから約2mmの間である、請求項14に記載の装置。
  16. 前記複数の中性子生成セグメントおよび前記回転式固定具は、集合的に、約1メートルの外径を有する円盤を画定する、請求項1に記載の装置。
  17. 前記複数の中性子生成セグメントおよび前記回転式固定具は、集合的に、約1メートルの外径を有するドラムを画定する、請求項1に記載の装置。
  18. 前記複数の中性子生成セグメントは、少なくとも3個の中性子生成セグメントを備える、請求項1に記載の装置。
  19. 回転式固定具に取り外し可能に連結された複数のセグメントであって、前記複数のセグメントのセグメントは固体中性子源層を含む、複数のセグメントが、駆動モータによって、約100RPMから1800RPMの間の速度で回転することと、
    循環手段によって、冷却液を前記複数のセグメントの冷却液チャネル回路を通して流すことと、
    陽子ビームが、円盤が回転するとき前記複数のセグメントの一連のセグメントの各々の表面に連続して接触して、中性子が前記円盤から放出されるように、加速器によって、前記陽子ビームを前記固体中性子源材料に向けることと、を含む、機械が作動する方法。
  20. 前記陽子ビームは、約1.88MeVから約3MeVの間のエネルギーを有する、請求項19に記載の方法。
  21. 前記陽子ビームは、約10mAから約100mAの間の電流を有する、請求項19に記載の方法。
  22. 前記陽子ビームは、約10cmのビームスポットサイズで前記複数のセグメントの一連のセグメントの各々の表面に接触する、請求項19に記載の方法。
  23. 前記速度は約1,000RPMである、請求項19に記載の方法。
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