[表面実装機の全体構造]
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る撮像装置が適用された表面実装機1の概略構成を示す平面図、図2は、表面実装機1のヘッドユニット4部分の概略構成を示す側面図である。表面実装機1は、各種の電子部品を基板Pに実装する装置である。図1及び図2において、XYZの方向表示が付されている。以下の説明において、X方向を左右方向(基板Pの移動方向)、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向という場合がある。
表面実装機1は、ベース部10と、このベース部10上に配置された基板搬送部2、部品供給部3及びヘッドユニット4と、ヘッドユニット4に搭載された一対の基板認識カメラ5及びスキャンユニット6(撮像装置)とを備えている。基板搬送部2は、電子部品32(図3参照)が実装される基板Pを搬送する。部品供給部3は、実装される電子部品32を供給する。ヘッドユニット4は、部品供給部3から電子部品32を取り出し、これを基板Pに実装する。
基板搬送部2は、ベース部10上において、基板Pを左右方向へ搬送する一対のコンベア21、22を有している。コンベア21、22は、基板Pを図1の右側から表面実装機1の機内に搬入し、所定の作業位置(図1に示す基板Pの位置)まで左方へ搬送して一旦停止させる。この作業位置において、電子部品32が基板Pに実装される。前記作業位置の下方領域には、実装作業中に基板Pをバックアップピンにより支持する基板支持装置(図示省略)が配置されている。実装作業後、コンベア21、22は基板Pを左方へ搬送し、表面実装機1の左側から機外へ搬出する。
部品供給部3は、基板搬送部2の前後方向両側に配置されている。各部品供給部3は、左右方向に配列された複数のテープフィーダ31を備えている。各テープフィーダ31は、集積回路(IC)、トランジスタ、抵抗、コンデンサ等の小片状の電子部品を所定間隔で収容、保持したテープが巻回されたリールを保持している。テープフィーダ31は、前記リールからテープを間欠的に繰り出し、フィーダ先端の部品供給位置に電子部品を供給する。
ヘッドユニット4は、ベース部10の上空にXY方向に移動可能に配置され、前記部品供給位置においてテープフィーダ31から電子部品を取り出し、前記作業位置において前記電子部品を基板Pの所定位置に実装する。ベース部10の上方には、X方向に延びる支持ビーム23が立設されている。ヘッドユニット4は、支持ビーム23に固定されたX軸固定レール24に移動可能に支持されている。また、支持ビーム23は、両端部がY方向に延びるY軸固定レール25に支持され、このY軸固定レール25に沿ってY方向に移動可能である。X軸固定レール24に対して、X軸サーボモータ26及びボールねじ軸27が配置され、Y軸固定レール25に対して、Y軸サーボモータ28及びボールねじ軸29が配置されている。ヘッドユニット4は、X軸サーボモータ26によるボールねじ軸27の回転駆動によってX方向に移動し、Y軸サーボモータ28によるボールねじ軸29の回転駆動によってY方向に移動する。
ヘッドユニット4には、部品を保持して搬送するための複数のヘッド41が搭載されている。本実施形態では、合計6本のヘッド41がX方向に一列に配置されている例を示している。各ヘッド41は、Z方向(上下方向)に延びる駆動シャフトと、該駆動シャフトの下端に取り付けられ電子部品を吸着する吸着ノズル42とを含む。吸着ノズル42は、前記駆動シャフトの内部通路及び切換弁(図略)等を介して負圧発生装置(図略)に接続されている。部品吸着時には、前記負圧発生装置から吸着ノズル42の先端に負圧吸引力が与えられ、これにより電子部品の吸着が可能とされている。なお、部品実装時には前記負圧吸引力は解消され、吸着ノズル42に吸着された電子部品がリリースされる。
各ヘッド41は、ヘッドユニット4に対して昇降及びノズル中心軸(R軸)回りの回転が可能とされている。ヘッド41の前記昇降及び回転のため、ヘッドユニット4は昇降駆動機構及び回転駆動機構を備える。前記昇降駆動機構は、電子部品の吸着若しくは実装を行う際の下降位置と、電子部品の搬送や撮像を行う際の上昇位置との間で、ヘッド41を昇降させる。前記回転駆動機構は、ヘッド41を必要に応じて回転させるための機構であり、部品実装時に電子部品をR軸方向に回転させて当該電子部品の姿勢を調整する。これらの駆動機構は、サーボモータと所定の動力伝達機構とで構成されている。
基板認識カメラ5は、ヘッドユニット4の左右両側に固定的に搭載され、コンベア21、22により表面実装機1の前記作業位置に搬入された基板Pの表面(上面)に付設されている各種マークを撮像する。図1では、前記マークの一例として、矩形の基板Pの対角線上に付設された一対のフィデューシャルマークFMを示している。フィデューシャルマークFMは、搬入された基板Pの前記作業位置の原点座標に対する位置ズレ量を検知するためのマークである。
位置ズレ検知作業では、基板認識カメラ5が一対のフィデューシャルマークFMを撮像可能なように、ヘッドユニット4がXY方向に駆動される。撮像により得られた画像データ上でフィデューシャルマークFMの位置が特定され、原点座標に対する位置ズレ量が求められる。この位置ズレ量は、部品実装時に参照され、位置ズレが生じないように電子部品が基板Pに実装される。
スキャンユニット6は、ヘッドユニット4に対してX方向(吸着ノズル42の配列方向)に移動可能に、当該ヘッドユニット4の下端付近に搭載され、吸着ノズル42に吸着された電子部品32(図3)を撮像する。スキャンユニット6は、吸着ノズル42による電子部品32の吸着状態を画像認識するためのユニットである。スキャンユニット6は、ヘッドユニット4が吸着ノズル42に吸着された電子部品32を前記部品供給位置から前記作業位置まで搬送している間に、所定の撮像動作を行う。
この撮像動作では、スキャンユニット6は、ヘッドユニット4に付設されたX方向に延びるボールねじ軸61に沿ってX方向に移動しながら、吸着ノズル42に吸着された電子部品32を下面側から撮像する。撮像により得られた画像データ上で、電子部品32の中心位置と吸着ノズル42の基準位置とのズレ量(X軸、Y軸方向の位置ズレ量)、及びR軸方向の回転ズレ量が検知される。これらズレ量が部品実装時に参照され、ヘッドユニット4の移動位置を位置ズレ量に応じて補正し、ヘッド41を回転ズレ量に応じて補正回転させることで、電子部品32が正確に基板Pの所定の実装位置に実装される。
[スキャンユニット]
図3は、スキャンユニット6の構成を示す概略断面図である。スキャンユニット6の移動フレーム60は、電子部品32に下方側から照明光Lを照射する照明ユニット64(照明装置)と、照明光Lが照射された電子部品32の反射光Rが入射され当該電子部品32の画像を撮像する部品認識カメラ65(部品撮像装置)とを備えている。部品認識カメラ65の撮像光軸Qは、反射光Rに沿っている。
移動フレーム60は、上述のボールねじ軸61に沿ってX方向に移動する部材であり、ベースブロック62と対向部63とを含む。ベースブロック62は、ヘッドユニット4の後側面に沿う上方部分と、ヘッドユニット4の下面よりも下方に突出する下方部分を備え、前記上方部分に、ボールねじ軸61に螺合するナット部材621を具備している。ボールねじ軸61の正転又は逆転によって、移動フレーム60はX方向に移動する。部品認識カメラ65は、前記下方部分に配置されている。なお、ここではボールねじ軸61を用いた移動フレーム60の移動機構を例示しているが、他の移動機構、例えばリニアモータによる移動フレーム60の移動機構を採用することもできる。
対向部63は、ベースブロック62の下端から前方に水平に延び出し、ヘッドユニット4の下方に位置している。対向部63は、移動フレーム60において、照明ユニット64を保持し、吸着ノズル42の下方においてX方向(吸着ノズル42の配列方向)に移動する部分となる。対向部63には、上面側に開口した凹部である円筒状の凹部631と、凹部631の側壁面からY方向へ延びるトンネル部632とが形成されている。凹部631にはプリズム633が配置されている。トンネル部632は、凹部631と部品認識カメラ65の対物レンズ部との間に光路(撮像光軸Q)を形成するための空間である。電子部品32の反射光Rは、凹部631に入射すると共にプリズム633で反射され、トンネル部632に案内され、部品認識カメラ65へ入射する。
照明ユニット64は、平板状の照明ユニット基板71(基台)と、この照明ユニット基板71上に同心円状に配列された複数の単位光源73とを含む。単位光源73としては、例えば白色光を発する白色LEDが用いられる。照明ユニット基板71は、吸着ノズル42に吸着された電子部品32を通る垂線Vと直交する平面である上面71Uを有している。垂線Vは、Z方向に進退移動するヘッド41の移動軸と平行な線でもある。単位光源73は、照明ユニット基板71の上面に実装され、電子部品32を照射する照明光Lを発する。複数の単位光源73は、垂線Vと上面71Uとが交差する点aを配列中心として、環状に、且つ同心円状に配列されている。
部品認識カメラ65は、移動フレーム60の適所に組み付けられ、照明ユニット64による照明下において、吸着ノズル42に吸着された電子部品32の下面の画像を撮像する。部品認識カメラ65は、CCD撮像素子等からなる画素がライン配列されたラインセンサ651と、図略の集光レンズとを備えている。上述の反射光Rは、前記集光レンズを通してラインセンサ651の受光面に結像され、ライン画像が作られる。移動フレーム60のX方向への移動に伴い電子部品32がスキャンされ、ライン画像の合成により電子部品32の画像が生成される。
[スキャンユニットの具体例]
続いて、上述のスキャンユニット6の具体的構成の一例を示す。図4は、スキャンユニット6の具体例を示す斜視図である。図5は、ヘッドユニット4に搭載されたスキャンユニット6の斜視図、図6は、これを下方から見た斜視図である。スキャンユニット6の基本構成は、先に図3に基づき説明した構成と同じであり、移動フレーム60上に搭載された照明ユニット64及び部品認識カメラ65を含む。図4では、プリズム633に加えて、光路をさらに屈曲させる第2プリズム634が備えられている例を示している。
図6に示されているように、ヘッド41の配列体の背面側に支持ブロック44が配置され、この支持ブロック44の下面にX方向に延びるガイドレール45が備えられている。移動フレーム60は、ガイドレール45に対する係合部を有し、カメラ軸サーボモータ43(図15)の駆動によってX方向に移動する。
[照明ユニットの第1実施形態]
<単位光源の配列態様>
図7Aは、図4〜図6に示された、第1実施形態に係る照明ユニット64の平面図である。照明ユニット64は、照明ユニット基板71と照明部72(照明装置)とを備えている。照明ユニット基板71は、複数の単位光源73を実装可能なプリント基板であり、その実装面となる上面71Uを有している。上面71Uは、実質的に凹凸の存在しない平面であって、先に図3に基づき説明したように、吸着ノズル42に吸着された電子部品32を通る垂線V(図3)と直交する平面である。照明部72は、複数の単位光源73が同心円状に配列された、単位光源73の集積体からなる。
照明ユニット基板71は、Y方向に長い矩形の基板である。照明ユニット基板71のY方向中央よりもやや前方側には、X方向幅が部分的に拡張された膨出部711が備えられている。この膨出部711に、照明部72が配置されている。また、膨出部711の配置位置におけるX方向中央付近には、照明ユニット基板71をZ方向に貫通するスリット712が穿孔されている。スリット712はY方向に長い矩形の開口であり、ラインセンサ651の画素配列方向にマッチした開口である。部品32の撮像光軸Qは、スリット712を通過して部品認識カメラ65に至る。スリット712は、吸着ノズル42の鉛直下方に当たる位置に設けられている。吸着ノズル42に吸着された電子部品32からの反射光Rは、スリット712を通過して部品認識カメラ65へ導かれる。
図7Bは、図7Aに示す照明部72の拡大図である。照明部72は、複数の単位光源73の環状配列体が、径方向に10層に配置されてなる。径方向の最も外側には、複数の単位光源73(複数の単位光源の一部)が所定のピッチで環状に配列されてなる第1配列部74Aが配置されている。前記環状の配列中心は、膨出部711のX方向中心、つまりスリット712の中心である。すなわち、照明ユニット基板71は、前記配列中心の周囲に開口としてのスリット712を有している。前記配列中心は、撮像される電子部品32への照明光Lの照射時に、電子部品32を通る垂線Vが照明ユニット基板71の上面71Uと交差する点aとなる。本実施形態では、第1配列部74Aにおける単位光源73が、高密度配置に有利な六角形の環状(円環状に近似できる)に配列された例を示している。これに代えて、例えば単位光源73を円環状に配列しても良い。
第1配列部74A(外側配列部)の径方向内側には、同様に単位光源73が六角形の環状に配列されてなる第2配列部74B(第1配列部74Aに対する内側配列部)が配置されている。さらに、第2配列部74Bの径方向内側には順次、単位光源73の六角形の環状配列群からなる第3配列部74C、第4配列部74D、第5配列部74E、第6配列部74F、第7配列部74G、第8配列部74H、第9配列部74I及び第10配列部74Jが配置されている。なお、最も径方向内側の第10配列部74Jについては、環状ではなく、スリット712を挟んで配置された一対の単位光源73のみで構成されている。照明部72は、このような第1〜第10配列部74A〜74J(内側配列部及び外側配列部)が、スリット712の周囲に配置された構造、つまり前記配列中心を中心とする同心円状に配列された配列構造を有している。
第1〜第9配列部74A〜74Iにおいては、六角形の環状に単位光源73が配列されていることから、これら単位光源73の配列群は、周方向に並ぶ6つの三角形のブロック、すなわち第1ブロック75A、第2ブロック75B、第3ブロック75C、第4ブロック75D、第5ブロック75E及び第6ブロック75Fに区分される。照明部72の移動方向となるX方向に並ぶ第2ブロック75B及び第5ブロック75Eにおける各配列部の単位光源73の配列個数は、それぞれ、第1、第2配列部74A、74B=6個、第3配列部74C=5個、第4、第5配列部74D、74E=4個、第6、第7配列部74F、74G=3個、第8、第9配列部74H、74I=2個、第10配列部74J=1個である。配列個数が同じ配列部では、内側の配列部の方が外側よりも単位光源73の配列ピッチが短く設定されている。なお、第4配列部74Dにおいては、第1、第6ブロック75A、75Fの境界部、及び第3、第4ブロック75C、75Dの境界部に各々跨るように、一の単位光源73が配置されている。
<各配列部が発する光量>
第1実施形態では、照明部72の単位光源73が同じ光量の照明光を発するのではなく、第1〜第10配列部74A〜74Jの単位で単位光源73の光量が異なるように制御される。すなわち、第1〜第10配列部74A〜74Jの単位光源73群から発せられた照明光が各々電子部品32に照射される到達光量が略同一となるように、各配列部74A〜74Jの単位光源73の光量が制御される。
上記光量制御について、簡素化した照明部72のモデルに基づいて説明する。図8は、第1実施形態の照明部72の、光軸に沿った模式的な断面図、図9は、照明部72の平面図である。ここでは、単位光源73の円環状配列体からなる第1配列部74a、第2配列部74b及び第3配列部74cが、この順で径方向外側から内側へ同心円状に配置されている例を簡略的に示している。この同心円の中心が、電子部品32の中心の直下を通過することになる。ここでは、第1配列部74aと第2、第3配列部74b、74cとの関係において、前者が外側配列部、後者が内側配列部となる。また、第2配列部74bは、第3配列部74cとの関係において外側配列部となる。
第1〜第3配列部74a〜74cの各単位光源73が、平面(照明ユニット基板71)上に配置されている。各単位光源73は、その光軸が照明ユニット基板71の鉛直方向に向かうように、照明ユニット基板71に実装されている。部品認識カメラ65のラインセンサ651が撮像するのは、電子部品32の下面の撮像ポイント32Aからの反射光Rのライン状光像である。この撮像ポイント32Aに対して、第1、第2、第3配列部74a、74b、74cから発せられる照明光L1、L2、L3が到達する。これら照明光L1、L2、L3は、各単位光源73の発する光線のうち、光軸に対して指向角θ1、θ2、θ3を持つ光線である。従って、第1〜第3配列部74a〜74cの各単位光源73のすべてが同じ光量で発光された場合、撮像ポイント32Aへ到達する到達光量は、照明光L1<L2<L3となる。
つまり、最も径方向外側の第1配列部74aが発する照明光L1は、L2、L3に比べて撮像ポイント32Aに対する光路長が長く、光軸に対する指向角θ1も大きくなる。径方向内側となる程、光路長が短くなり、指向角はθ1>θ2>θ3となる。よって、照明光L1の撮像ポイント32Aへの到達光量が最も小さくなる。このため、第1〜第3配列部74a〜74cの各単位光源73を同じ光量で発光させたのでは、異なる照明角から均一な照明光を電子部品32に照射することができない。従って、照明部72の光量分布に工夫を施す必要がある。
図10は、第1実施形態の照明部72の光量分布を示すグラフである。図10の光量分布A1は、比較例であって、照明部72の単位光源73のすべてを同じ光量で発光させた場合の光量分布である。このような光量分布A1であれば、上述の通り電子部品32の均一な照明は難しい。一方、光量分布A2は第1実施形態の照明部72の光量分布を示す。光量分布A2では、径方向外側の光量が突出して高く、これに比べて径方向内側の光量が小さくなっている。このような光量分布A2とすることで、撮像ポイント32Aへ到達する到達光量を、照明光L1≒L2≒L3とすることができる。つまり、第1〜第3配列部74a〜74cの単位光源73群から発せられた照明光L1〜L3が電子部品32に照射される到達光量を略同一とすることができる。
図11は、比較例に係る照明部を示す模式的な断面図である。従来、電子部品32に照射される到達光量を略同一とするために、図11に示すように半球状に凹湾曲した照明ユニット基板71Aが用いられている。このような照明ユニット基板71Aの使用により、単位光源73を電子部品32に対して放射状に配置することができ、光路長を略同じにすることができる。従って、すべての単位光源73を同じ光量で発光させても、前記到達光量を略同じにすることができる。
しかしながら、半球型の照明ユニット基板71Aを要するのでZ方向の配置スペースの確保が必要となり、照明ユニット64の小型化、ひいては表面実装機1の小型化を阻害する要因となる。これに対し、本実施形態の照明ユニット64によれば、平板からなる照明ユニット基板71に単位光源73が実装された構成であるので、照明ユニット64のZ方向のサイズを極小化することができる。
[好ましい光量制御態様]
本実施形態において単位光源73として好ましく用いられるのは、上述の通り白色発光のLEDである。このLEDとしては、砲弾型のモールド層を有するLEDを用いることもできるが、表面実装型のチップLEDを用いれば、照明ユニット基板71への高集積実装が可能で、放熱性に優れるため好ましい。表面実装型のチップLEDは、一般にパッケージ部材内に配置されたLEDが透明樹脂のモールド層によって封止された構造を有し、砲弾型LEDのように配光の指向性を持たず、ランバート配光を有する光源(ランバート光源)と近似的に扱うことができる。
ランバート光源を用いる場合に考慮すべきであるのがコサイン4乗則である。ランバート光源のように、光が放射状に放散される光源の場合、光軸(指向角θ=0°)に対して指向角θの方向に向かう光の光量(照度)は、cos4θに比例して光量が減少する(コサイン4乗則)。
図12(A)〜(C)は、光量の減少に関するコサイン4乗則を説明するための図である。図12(A)は、光量と距離との関係を示す図である。ここでは、光軸上の光線B1と、光軸に対して角度θの指向角を持つ光線B2とが、結像レンズ11を通して焦点距離fで結像面12に結像する光学モデルを扱う。一般に、光量は距離の2乗に反比例して減少する。すなわち、距離が遠くなるほど、同じ光束で照明する面積が増すので、単位面積当たりの光量は距離の2乗分の1に低下する。従って、ランバート光源の場合、角度θの指向角を持つ光線B2の光量は、cos2θに比例することになる。
図12(B)は、結像面12への斜入射による光量低下要因を示す図である。単位面積当たりに照射される光量は、結像面12への入射角によって変動する。光軸上の光線B1の場合、結像面12に作られるスポット13は円形である。しかし、光軸に対して角度θの指向角を持つ光線B2の場合、結像面12に作られるスポット14は楕円形となる。円形スポット13に比べて楕円スポット14は大面積となるため、単位面積当たりに照射される光量は楕円スポット14の方が少なくなる。つまり、cosθに比例する。
さらに、図12(C)は、結像レンズ11の幅と斜入射との関係を示す図である。図12(B)の矢印hで示すように、光線B1、B2に直交する断面でみると、双方の光量は同じである。しかしながら、結像レンズ11の幅は有限であるので、光軸に対して角度θの指向角を持つ光線B2は、結像レンズ11の幅の分しか通過することができない。このため、結像レンズ11が円形である場合、光線B1ではレンズ通過後の断面15が円形となるが、光線B2ではレンズ通過後の断面16が楕円形に細ってしまう。
以上、図12(A)〜(C)の要因を掛け合わせると、cos4θに比例して光量が減少することになる。図13は、配光曲線のモデルを示すグラフである。図13の配光曲線C1は、cosθに比例して光量が低下する配光曲線である。一方、配光曲線C2は、cos4θに比例して光量が低下する配光曲線であり、図12(A)〜(C)の斜入射の光線B2の光量低下特性をモデル化したものである。指向角が0°の光線の場合、配光曲線C1、C2間に光量低下度合いに相違はない。しかし、指向角=θを持つ光線の場合、配光曲線C2では、cos4θに比例して光量が減少する。このため、配光曲線C1との交差点D1と、配光曲線C2との交差点D2とは、大きく乖離したものとなる。
このような光量の減少を補うには、単位光源73の配置位置に応じて、cos4θに比例して光量を増加させれば良い。これにより、電子部品32を多様な指向角から均一に照明することができる。図8の例を用いれば、第1配列部74a(θ1)、第2配列部74b(θ2)、第3配列部74c(θ3)の単位光源73をそれぞれ、互いに異なる光量OP1(第2光量)、光量OP2(第1光量)、光量OP3で発光させるものとする。光量の大きさは、OP1>OP2>OP3とする。さらに、光量OP1を1/cos4θ1に基づいて設定し、光量OP2を1/cos4θ2に基づいて設定し、光量OPを1/cos4θ3に基づいて設定する。このように、cos4θ1〜θ3に比例して光量が低下する位置に配置された単位光源73の光量を、それぞれcos4θ1〜θ3の逆数に基づいて設定することで、照明光L1、L2、L3の電子部品32への到達光量を略同一にすることができる。
なお、照明光L1〜L3の到達光量が「略同一」としているのは、これらの到達光量を全く同一にするのは実質的に困難であることによる。また、これらの到達光量に僅かな相違があっても、吸着ノズル42に吸着された電子部品32を実質的にムラなく照明された状態とすることが可能である。例えば、一方の配列部(例えば第1配列部74a)による到達光量に対して他方の配列部(例えば第3配列部74c)による到達光量が±20%程度以内の範囲で相違している場合、好ましくは±10%程度以内の範囲で相違している場合であっても、本明細書でいう「略同一」の範疇である。
図14は、第1実施形態の照明部72の利点を説明するための図である。照明光L1、L2、L3の電子部品32への到達光量を略同一にすることで、電子部品32の下面を満遍なく照らすことができる。これにより、電子部品32の認識安定性及び正確性が向上する。とりわけ、図14に示す電子部品32にように、下面側に曲面部32Rを有する場合に効果がある。曲面部32Rは、電子部品32の下面に曲面下端部321、322を、側面に曲面上端部323、324を、それぞれ照明ユニット64の相対移動方向の両端に有する曲面である。
この場合、照明光L1の光量が少ないと、曲面部32Rのエッジの認識ができない場合がある。具体的には、曲面上端部323、324が、部品認識カメラ65の取得する画像上で認識し難くなる傾向が出る。この場合、電子部品32の幅を曲面下端部321、322間と認識してしまい、実際の電子部品32の幅よりも小さく誤認識する。これに対し、照明光L1の光量が照明光L1、L2と略同一であると、側面にある曲面上端部323、324のエッジが画像上で認識し易くなる。従って、電子部品32の幅を正確に認識させることができる。
[表面実装機の電気的構成]
続いて、表面実装機1の制御構成について説明する。図15は、表面実装機1の電気的構成を示すブロック図である。表面実装機1は、当該表面実装機1の各部の動作を制御する制御部8を備える。制御部8は、所定のプログラムが実行されることで、上述のヘッドユニット4、基板認識カメラ5、スキャンユニット6などの動作を制御する。なお、図15のブロック図には、図1〜図3では記載が省かれた、移動フレーム60(照明ユニット64及び部品認識カメラ65)をX方向に移動させるカメラ軸サーボモータ43が記載されている。上述の通り、カメラ軸サーボモータ43に代えてリニアモータを採用しても良い。
制御部8は、カメラ制御部81、照明制御部82(光量制御部/点灯制御部)、画像処理部83、軸制御部84、主制御部85及び記憶部86を機能的に備えている。
カメラ制御部81は、基板認識カメラ5及びスキャンユニット6の部品認識カメラ65の撮像動作を制御する。例えばカメラ制御部81は、これらカメラ5、65のシャッタータイミング、シャッター速度(露光量)などを制御する。
照明制御部82は、照明ユニット64が備える照明部72(単位光源73)の発光動作を制御する。照明制御部82は、少なくとも第1〜第9配列部74A〜74I(図9の模式図ならば第1〜第3配列部74a〜74c)が各々備える単位光源73の群から発せられた照明光が、それぞれ電子部品32へ到達するときの到達光量が略同一となるように、各配列部74A〜74Iの単位光源73の発光量を制御する。例えば、第1配列部74A(外側配列部)と第5配列部74E(内側配列部)との関係では、第1配列部74Aの単位光源73の群から発せられた照明光(第2光量)が電子部品32を照射する到達光量と、第5配列部74Eの単位光源73の群から発せられた照明光(第1光量)が電子部品32を照射する到達光量とが略同一となるよう、照明制御部82は各単位光源73の発光量を制御する。つまり照明制御部82は、図10に示す光量分布A2が得られるように、単位光源73の発光量を制御する。単位光源73がランバート配光を有するLEDである場合、照明制御部82は、第1〜第9配列部74A〜74Iの各配置位置に応じて、1/cos4θの関係に基づいて単位光源73の発光量を制御する。
画像処理部83は、基板認識カメラ5及び部品認識カメラ65により取得された認識画像に対してエッジ検出処理、特徴量抽出を伴うパターン認識処理などの画像処理技術を適用して、当該認識画像から各種の情報を抽出する。具体的には、画像処理部83は、基板認識カメラ5が取得した認識画像に基づき、フィデューシャルマークFMの位置を特定する処理を行う。また、画像処理部83は、部品認識カメラ65が取得した認識画像に基づき、電子部品32の形状、位置などを特定する処理を行う。
軸制御部84は、X軸サーボモータ26及びY軸サーボモータ28を制御することによって、ヘッドユニット4のXY方向の移動動作を制御する。また、軸制御部84は、ヘッドユニット4が備える昇降駆動機構及び回転駆動機構(図略)を制御することによって、ヘッド41の昇降及び回転動作を制御する。さらに、軸制御部84は、カメラ軸サーボモータ43を制御することによって、スキャンユニット6(移動フレーム60)を、ヘッドユニット4の下面に沿ったX方向への移動を制御する。
主制御部85は、表面実装機1に対する各種の動作を統括的に制御する。例えば、スキャンユニット6にて吸着ノズル42に吸着された電子部品32の画像をスキャン撮像させる場合、軸制御部84、カメラ制御部81及び照明制御部82に制御信号を与え、スキャンユニット6をX方向へ移動させつつ、照明ユニット64から照明光を電子部品32に照射させると共に、部品認識カメラ65に当該電子部品32の画像を撮像させる。
記憶部86は、基板Pや電子部品32に関する各種の情報を記憶する。電子部品32に関する情報は、例えば、電子部品の種別や属性情報などである。電子部品としては、チップ抵抗などのチップ部品、BGA(Ball Grid Array)などのボール部品、QFP(Quad Flat Package)やSOP(Small Outline Package)などのリード付き部品などを例示することができる。前記リード付き部品の場合、記憶部86には、リードの本数や配列、リード先端の高さ位置などの情報などが記憶される。
[表面実装機の動作フロー]
図16は、表面実装機1における部品実装の基本動作を示すフローチャートである。まず、主制御部85の統括制御の下、軸制御部84が、X軸サーボモータ26及びY軸サーボモータ28を制御して、ヘッドユニット4を部品供給位置へ移動させる(ステップS1)。前記部品供給位置は、例えば部品供給部3のテープフィーダ31の先端部分である。次いで、ヘッドユニット4が備える昇降駆動機構によりヘッド41が下降されると共に、図略の負圧発生装置にて吸着ノズル42の先端に負圧吸引力が与えられ、電子部品32が吸着される(ステップS2)。
主制御部85は、他に吸着が予定されている電子部品32が存在するか否か、換言すると、ヘッドユニット4が備える全ての吸着ノズル42に電子部品32が吸着されたか否かを確認する(ステップS3)。他に吸着すべき電子部品32が存在する場合(ステップS3でYES)、ステップS1に戻る。一方、他に吸着すべき電子部品32が存在しない場合(ステップS3でNO)、軸制御部84が、ヘッドユニット4を基板P上の部品実装位置へ向けて移動を開始させる(ステップS4)。
このヘッドユニット4の移動の際に、各吸着ノズル42に吸着された電子部品32の各々の画像認識が実行される。軸制御部84は、カメラ軸サーボモータ43を制御して、スキャンユニット6をX方向に移動させる。移動開始後、吸着された部品32に応じて、照明制御部82が照明ユニット64の各単位光源73を点灯させる光量を決定する。各々の単位光源73の光量は、照明ユニット64全体として図10に示したような光量分布が得られるように決定される(ステップS5)。そして、照明制御部82が、ステップS5で決定した光量で単位光源73を点灯させると共に、カメラ制御部81が部品認識カメラ65を動作させて、前記照明光が照射された電子部品32の画像を取得させる(ステップS6)。取得された画像データは、記憶部86に一次的に格納されると共に、画像処理部83に与えられる。
画像処理部83により画像処理が実行され、電子部品32の形状が認識される。主制御部85は、得られた部品形状、吸着姿勢などに基づいて、吸着された電子部品32の部品中心位置を算出する(ステップS7)。さらに、主制御部85は、電子部品32が正規に吸着ノズル42へ吸着された場合の理論的な部品中心位置である基準位置と、ステップS7で算出された部品中心位置とを比較し、部品実装の際の補正値を導出する(ステップS8)。この補正値は、記憶部86に一次的に格納される。
その後、主制御部85は、他に取得された電子部品32の画像が存在するか否かを確認する。つまり、複数の吸着ノズル42に吸着された電子部品32の全てについて、補正値の算出を終えたか否かを判定する(ステップS9)。他の電子部品32の画像が存在する場合(ステップS9でYES)、ステップS6に戻って前記他の電子部品32について同じ処理が実行される。
一方、他に電子部品32の画像が存在しない場合(ステップS9でNO)、軸制御部84が、実装順位が1番に設定されている電子部品32の部品実装位置へ、ヘッドユニット4を移動させる(ステップS10)。そして、前記1番の電子部品32が基板Pの所定位置に実装される(ステップS11)。主制御部85は、他に実装が予定されている電子部品32が存在するか否かを判定する(ステップS12)。他に実装すべき電子部品32が吸着ノズル42に残存している場合(ステップS12でYES)、ステップS10に戻って部品実装を継続する。他に実装すべき電子部品32が存在しない場合(ステップS12でNO)、処理を終える。
[照明パターンについて]
照明ユニット64の照明部72は、電子部品32の種類、表面状態、端子やリードの態様に応じて予め定められた照明パターンで点灯させることができる。図17(A)、(B)は、照明部72の照明パターンの例を示す図である。図17(A)、(B)において、比較的暗色とされた部分が、点灯される部分であることを示す。
図17(A)は、「中心モード」による照明パターンの例である。この「中心モード」では、最外周に位置する環状配列部の単位光源73を除いて、全ての環状配列部の単位光源73が点灯される。図7Bに示された第1〜第10配列部74A〜74Jの例によれば、第2〜第10配列部74B〜74Jが点灯対象とされ、第1配列部74Aだけが非点灯とされる。
図17(B)は、「外輪モード」による照明パターンの例である。この「外輪モード」では、最外周に位置する環状配列部の単位光源73だけが点灯され、残りの環状配列部の単位光源73が消灯される。図7Bの例によれば、第1配列部74Aだけが点灯対象とされ、第2〜第10配列部74B〜74Jが非点灯とされる。これに代えて、第1、第2配列部74A、74Bを点灯対象としても良い。
この他、全ての環状配列部の単位光源73が点灯される「全灯モード」、図略の同軸照明部(ハーフミラー等を用い、部品認識カメラ65の撮像光軸上から電子部品32に照明光を照射る光源)だけが点灯される「同軸モード」などがある。この「同軸モード」と「外輪モード」との組合せモード、並びに、「同軸モード」と「中心モード」との組合せモードなども採用することができる。
図17(A)の「中心モード」は、リード部以外の部分が鏡面であるQFPやSOP等の部品認識に専ら使用される。図17(B)の「外輪モード」は、BGAなどのボール部品の認識に用いられる。これは、外周の環状配列部のみから照明光をボール部品に照射すると、当該ボール部品の外周のみが光輝してボール形状を認識し易いからである。上記「同軸モード」は、リード部が鏡面である部品の認識に、「同軸モード」と「中心モード」との組合せモードはチップ部品、QFP、SOP等の部品下面全体を認識する場合等に使用される。また、「全灯モード」若しくは「同軸モード」と「外輪モード」との組合せモードは、透明な部品(レンズ等)のエッジ認識、BGAなどのボール部品の方向判別が必要な場合に用いられる。
上記の「中心モード」、「全灯モード」及び「中心モード」と「同軸モード」との組合せモードにおいて、照明制御部82は、照明部72を図10に示す光量分布A2が得られるように、各配列部74A〜74Jの単位光源73の光量を制御する。なお、「外輪モード」においては、照明制御部82は、所定の光量で第1配列部74Aの単位光源73を発光させる。
[照明部の一部消灯制御]
本実施形態では、部品認識カメラ65がラインセンサ651を備え、吸着ノズル42に吸着された電子部品32の下方を、スキャンユニット6がスキャン方向(X方向)に相対移動することで、電子部品32の画像を取得する。このため、スキャンユニット6の移動の際、照明部72の単位光源73から発せられた照明光の一部が、電子部品32ではなく吸着ノズル42に反射してスリット712に入射することがある。このような反射光が入射すると、部品の画像を劣化させ、部品認識の精度を低下させることになる。かかる現象は、上記の「中心モード」で起こり得る。しかし、照明光が吸着ノズル42に反射してスリット712へ入射する光路を作り得る単位光源73を、「中心モード」の実行時に消灯させる一部消灯制御を行うことで、前記現象の発生を防止できる。このような一部消灯を行うか否かについても、図16のフローチャートにおけるステップS5において決定させることができる。
図18は、「中心モード」における、照明部72の一部消灯制御例を示す図である。図18には、スキャンユニット6のスキャン方向を矢印で示している。ここでは、スキャン方向に沿った単位光源73のブロックであって、スリット712よりも上流側の第5ブロック75E(図7B)の、領域Eに配置された単位光源73を消灯させる例を示す。領域Eは、「中心モード」において外周付近の照明部分となる領域であって、第5ブロック75Eの第2、第3配列部74B、74Cに属する単位光源73である。これに代えて、「中心モード」において最外側となる第2配列部74Bの単位光源73だけを消灯させるようにしても良い。
図19は、図18に示す一部消灯制御の利点を説明するための図である。ヘッドユニット4の吸着ノズル42は、その下端の吸着口の上方に斜面部421を有する場合がある。単位光源73はランバート配光を有する光源であるので、このような斜面部421にも照明光が照射される。斜面部421に照射された照明光は、照明ユニット基板71の側へ反射され得る。斜面部421に限らず、照明光を照明ユニット基板71の側へ反射させてしまう何らかの部分を具備している場合がある。
照明ユニット基板71Aにおいて、スリット712に近い位置に存在する単位光源73Aと、スリット712から遠い位置に存在する単位光源73B(第2、第3配列部74B、74Cに属する単位光源73に相当)とが各々発する照明光LA、LBに注目する。単位光源73Aの照明光LAは、吸着ノズル42がスリット712の直上の撮像位置に到達したときに斜面部421へ照射され得る。しかし、照明光LAは、吸着ノズル42に対する指向角が小さいことから、斜面部421で反射されても、スリット712へ入射することはない。
これに対し、単位光源73Bの照明光LBは、吸着ノズル42がスリット712の直上の撮像位置に到達したときの、吸着ノズル42に対する指向角が大きくなる。このため、図19に示す通り、照明光LBが斜面部421で反射された反射光が、スリット712へ入射し易くなる。このような、反射光のスリット712への入射を阻止するには、単位光源73Bを点灯させなければ良い。従って、照明制御部82に、スキャン方向に沿ったブロックの第2、第3配列部74B、74Cに属する単位光源73を消灯させるようにすることで、吸着ノズル42からの反射光の入射による画像劣化を防止することができる。
[照明ユニットの第2実施形態]
図20は、第2実施形態に係る照明部72Aの模式的な平面図である。第1実施形態では、単位光源73の環状配列部の光量を制御することで、図10に示す光量分布A2を作る例を示した。第2実施形態では、光量の制御に代えて、単位光源73の配列密度によって光量分布A2を作る例を示す。
照明部72Aは、単位光源73の円環状配列体からなる第1配列部74a、第2配列部74b及び第3配列部74cが、この順で径方向外側から内側へ同心円状に配置されている。ここで、第2配列部74b(内側配列部)と第1配列部74a(外側配列部)とに着目する。第2配列部74bでは、4個の単位光源73が配列ピッチg1(第1配列ピッチ)の等ピッチで環状に配列されている。一方、第1配列部74aでは、12個の単位光源73が配列ピッチg2で環状に配列され(第2配列ピッチ)、その配列ピッチは第2配列部74bの配列ピッチg1よりも密である。
このような単位光源73の配列ピッチとすることで、照明部72Aの全ての単位光源73を同じ光量で発光させた場合でも、径方向外側に配置された第3配列部74cの単位光源73群から発せられた照明光が電子部品32を照射する到達光量と、径方向内側に配置された第2配列部74bの単位光源73群から発せられた照明光が電子部品32を照射する到達光量とを略同一にすることが可能となる。すなわち、図10に示す光量分布A2に近似した光量分布を作ることができる。
図21Aは、第2実施形態に係る照明ユニット64Aの具体例を示す平面図、図21Bは、照明ユニット64Aの照明部72Aの拡大図である。照明ユニット64Aは、照明ユニット基板71と照明部72A(照明装置)とを備えている。照明ユニット基板71は、先に図7Aに基づき説明したものと同じである。照明部72Aは、複数の単位光源73が同心円状に配列された、単位光源73の集積体からなる。単位光源73は、図20にて概略的に示した通り、径方向外側において密に、径方向内側において粗に配列されている。
図21Bにおいて、符号74A〜74Jは、図7Bに示された第1〜第10配列部74A〜74Jの位置に対応する配列位置を指し示している。径方向外側の第1、第2配列部74A、74Bについては、図7Bと同様に密な配列ピッチで単位光源73が環状に配列されている。これに対し、これらより径方向内側の第3〜第6配列部74C〜75Fについては、第1、第2配列部74A、74Bに比べて単位光源73の配列ピッチが粗とされている。さらに径方向内側の第7〜第10配列部74G〜75Jについては、全く単位光源73が配置されない配列部を含む態様とされている。すなわち、第7、第9配列部74G、74Iには単位光源73が配置されているが、第8、第10配列部74H、74Jについては、単位光源73が配置されていない。
[作用効果]
以上説明した第1、第2実施形態に係る表面実装機1(撮像装置)によれば、複数の単位光源73は、吸着ノズル42に吸着された電子部品32の垂線Vと直交する平面である照明ユニット基板71の上面71Uに配設されるので、照明ユニット64の薄型化を図ることができる。また、照明ユニット64の照明部72は、複数の単位光源73の配列群として、同心円状に配列された内側配列部及び外側配列部(図9の例ならば、第1〜第3配列部74a〜74c)を少なくとも含む。このため、吸着された電子部品32の全周から照明光L1、L2、L3を照射させることができる。さらに、内側配列部(第2配列部74b)の照明光L2の電子部品32への到達光量と、外側配列部(第1配列部74a)の照明光L1の電子部品32への到達光量とが略同一とすることができるので、電子部品32にムラのない均一な照明光を照射できる。従って、部品認識カメラ65で撮像された電子部品32の画像から、正確な部品形状の認識を行わせることができる。
第1実施形態によれば、第1〜第10配列部74A〜74Jに配置する単位光源73の光量調整により、各配列部74A〜74Jが発する照明光の電子部品32への到達光量を容易に調整することができる。また、第2実施形態によれば、第1〜第10配列部74A〜74Jに配置する単位光源73の配列密度、つまり単位光源73の配置個数により、各配列部74A〜74Jが発する照明光の電子部品32への到達光量を容易に調整することができる。
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
本発明の一局面に係る撮像装置は、部品を基板に実装する吸着ノズルに吸着された部品の撮像装置であって、前記部品に下方側から照明光を照射する照明装置と、前記照明光が照射された前記部品を撮像する部品撮像装置と、を備え、前記照明装置は、前記吸着ノズルに吸着された部品を通る垂線と直交する平面を有する基台と、前記平面に配置され前記照明光を発する複数の単位光源と、を含み、前記照明装置は、前記照明光の照射時に前記垂線が前記平面と交差する点を配列中心として、少なくとも前記複数の単位光源の一部が環状に配列された内側配列部と、該内側配列部の径方向外側に前記複数の単位光源の他の一部が環状に配列された外側配列部とが、前記平面上に同心円状に配列された配列構造を含み、前記内側配列部の単位光源群から発せられた照明光が前記部品に照射される到達光量と、前記外側配列部の単位光源群から発せられた照明光が前記部品に照射される到達光量とが略同一とされている。
この撮像装置によれば、複数の単位光源は、吸着ノズルに吸着された部品(吸着部品)の垂線と直交する平面に配設されるので、照明装置の薄型化を図ることができる。また、前記照明装置は、複数の単位光源の配列群として、同心円状に配列された内側配列部及び外側配列部を少なくとも含む。このため、吸着部品の全周から照明光を照射させることができる。さらに、前記内側配列部の照明光の吸着部品への到達光量と、前記外側配列部の照明光の吸着部品への到達光量とが略同一であるので、吸着部品にムラのない均一な照明光を照射できる。従って、部品撮像装置で撮像された吸着部品の画像から、正確な部品形状の認識を行わせることができる。
なお、前記内側配列部が吸着部品を照射する到達光量と前記外側配列部が吸着部品を照射する到達光量とが「略同一」と規定しているのは、両者の到達光量を全く同一にするのは実質的に困難であることによる。また、両者の到達光量に僅かな相違があっても、前記吸着部品を実質的にムラなく照明された状態とすることが可能である。例えば、一方の配列部による到達光量に対して他方の配列部による到達光量が±20%程度以内の範囲で相違している場合、好ましくは±10%程度以内の範囲で相違している場合であっても、本発明の課題は達成し得るため、これは「略同一」の範疇である。
上記の撮像装置において、前記複数の単位光源の光量を制御する光量制御部をさらに備え、前記光量制御部は、前記内側配列部の各単位光源を所定の第1光量で発光させ、前記外側配列部の各単位光源を前記第1光量よりも大きい第2光量で発光させることが望ましい。
この撮像装置によれば、前記内側配列部及び前記外側配列部が各々備える単位光源の光量調整により、各配列部の前記到達光量を容易に調整することができる。また、前記第1光量及び前記第2光量に依存すれば、各単位光源の指向性を考慮する必要が無くなるので、照明光に特定の指向性を具備させるためのレンズ等の光学部品を不要とすることができる。
この場合、前記単位光源がランバート配光を有する光源であって、前記内側配列部の単位光源の前記部品に対する指向角をθ1、前記外側配列部の単位光源の前記部品への指向角をθ2とするとき、前記光量制御部は、前記第1光量を1/cos4θ1に基づいて設定し、前記第2光量を1/cos4θ2に基づいて設定することが望ましい。
単位光源がランバート配光を有する光源である場合、当該光源の光軸に対する傾き角(指向角)がθであるとすると、光量はcos4θに比例して低下する(コサイン4乗則)。従って、内側および外側配列部の各単位光源の指向角θ1、θ2に応じて、cos4θ1、cos4θ2の逆数に基づいて設定することで、前記第1光量の照明光の到達光量と前記第2光量の照明光の到達光量とを略同一にすることができる。
上記の撮像装置において、前記内側配列部において前記単位光源は、所定の第1配列密度で環状に配列され、前記外側配列部において前記単位光源は、前記第1配列密度よりも密な第2配列密度で環状に配列されていることが望ましい。
この撮像装置によれば、前記内側配列部及び前記外側配列部に配置する単位光源の配列密度、つまり単位光源の配置個数により、各配列部の前記到達光量を容易に調整することができる。また、単位光源の配置個数に依存すれば、各単位光源の指向性を考慮する必要が無くなるので、照明光に特定の指向性を具備させるためのレンズ等の光学部品を不要とすることができる。
上記の撮像装置において、前記基台は、前記配列中心の周囲に開口を備え、前記部品の撮像光軸は前記開口を通過して前記部品撮像装置へ至り、前記内側配列部及び前記外側配列部は、前記開口の周囲に配置されていることが望ましい。
この撮像装置によれば、前記開口と前記部品とを位置合わせさせ、内側及び外側配列部から前記部品に照射された照明光の反射光を、前記開口を通して前記部品撮像装置に導くことができる。従って、撮像のための光路をコンパクトに設定することができる。
この場合、前記複数の単位光源の点灯及び消灯を制御する点灯制御部をさらに備え、前記部品撮像装置はラインセンサを備え、前記吸着ノズルに吸着された部品の下方を所定のスキャン方向に移動することで前記部品の画像を取得するものであって、前記点灯制御部は、前記部品撮像装置の移動の間において、前記複数の単位光源のうち、照明光が吸着ノズルに反射して前記開口へ入射する光路を作り得る単位光源を消灯させる制御を行うことが望ましい。
この撮像装置によれば、吸着ノズルに照射された照明光が前記開口を通して部品撮像装置に入射すること、つまり、部品からの反射光以外の反射光が部品撮像装置へ入射することを防止できる。従って、ラインセンサを備えた部品撮像装置のスキャニングにて前記部品の画像を取得する場合において、明瞭な前記部品の画像を取得することができる。
上記の撮像装置において、前記単位光源がLED(発光ダイオード)からなることが望ましい。LEDであれば、光量の調整は駆動電流の制御によって容易に実行できる。また、基台として回路基板を用い、LEDを当該回路基板上に所期のピッチで配列することも容易である。
本発明の他の局面に係る表面実装機は、部品を基板に実装する吸着ノズルを備えたヘッドユニットと、上記の撮像装置とを備える。この表面実装機によれば、撮像装置が取得する部品の画像に基づいて当該部品を正確に認識し、精度の高い部品実装を実行させることができる。
[符号の説明]
1 表面実装機
32 電子部品32(部品)
4 ヘッドユニット
42 吸着ノズル
6 スキャンユニット(撮像装置)
60 移動フレーム
64 照明ユニット(照明装置)
65 部品認識カメラ(部品撮像装置)
651 ラインセンサ
71 照明ユニット基板(基台)
71U 上面(平面)
712 スリット(開口)
72 照明部(照明装置)
73 単位光源
74A〜74J 第1〜第10配列部(内側配列部、外側配列部)
74a〜74c 第1〜第3配列部(内側配列部、外側配列部)
8 制御部
81 カメラ制御部
82 照明制御部(光量制御部/点灯制御部)
L、L1、L2、L3 照明光
OP1 光量(第2光量)
OP2 光量(第1光量)
P 基板
Q 撮像光軸
V 垂線 X スキャン方向
a 点(垂線が平面と交差する点)
g1、g2 配列ピッチ(第1、第2配列ピッチ)