JP6721534B2 - ブームスプレーヤ - Google Patents

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Description

本発明は、ブームスプレーヤに関する。
従来、車体の前方側に取り付けられたリンクアームと、車体とリンクアームとの間に介装されリンクアームを昇降する昇降シリンダ(液圧シリンダ)と、一端がリンクアームに支持され他端が自由端として設けられ防除液を散布するブーム(センターブーム)と、を備えたブームスプレーヤが知られている(例えば、特許文献1参照)。
リンクアームは、上下方向に延び車体の左右両側部に固定された一対のベースリンクと、ブームの一端が支持され正面視が四角形状のフロントリンクと、一対のベースリンクとフロントリンクとの上部間に、両端部がそれぞれ回動可能に連結された一対の上部リンクと、一対のベースリンクとフロントリンクとの下部間に、両端部がそれぞれ回動可能に連結された一対の下部リンクと、を備えており、側面視平行四辺形状を成す4節リンク機構を左右方向に並設した構成となっている。そして、四角形状のフロントリンクの左右方向の両側に、一対のブームの一端がそれぞれ固定されることにより、車体の前部に対してリンクアームを介しブームが水平且つ左右方向に延びる構成となっている。
昇降シリンダは、作動油(作動流体)が封入されたシリンダチューブ(シリンダ)と、シリンダチューブに摺動自在に挿入されたピストンロッド(ピストン)と、を備えている。シリンダチューブの内部は、ピストンロッドによって下部側のピストン側室と上部側のロッド側室とに区画されており、シリンダチューブの基端部は、車体前部でベースリンクより下方位置に回動可能に連結され、ピストンロッドは、上部リンクに回動可能に連結されている。そして、ピストン側室に対して作動油が作動油給排装置から給排され、ピストンロッドが伸縮することにより、リンクアームが動作しブームが昇降するようになっている。
このブームスプレーヤにあっては、当該ブームスプレーヤが圃場等を走行する際に、圃場の凹凸により車体が上下振動し、車体が上下振動すると、当該振動が、昇降シリンダを介してリンクアーム及びブームへ伝達され、ブームが破損する虞がある。従って、このブームスプレーヤでは、ブームの振動を低減するためのブーム制震装置が設けられている。
このブーム制震装置は、作動油給排装置と昇降シリンダのピストン側室とを接続する作動油通路から分岐され接続されたアキュムレータを有するものであり、アキュムレータ内には、加圧された例えば窒素等のガスが封入され、バネ室が構成されている。
そして、このようなブーム制震装置によれば、ブームスプレーヤの走行に伴って車体が上下振動すると、昇降シリンダのピストンロッドがストロークし、それに伴ってアキュムレータのバネ作用によって昇降シリンダとアキュムレータとの間で作動油の行き来が発生し、これにより、昇降シリンダの振動がブームへ伝達され難くなり、ブームの振動を低減できるとされている。
特開2017−23041号公報
しかしながら、上記ブーム制震装置にあっては、ブームが下がりきった状態、すなわち、ピストンロッドが後退しきった状態では、ピストン側室には作動油がないため、緩衝機能が働かず、ブームや昇降シリンダを保護できないという問題があった。
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、ブームの位置に関係なく、ブームや当該ブームを昇降させるためのアクチュエータを保護できるブームスプレーヤを提供することを目的とする。
本発明によるブームスプレーヤ(100)は、機体(3)の前部に対しリンク機構(8,8)を介して連結され水平且つ左右方向に延びるブーム(10)と、固定子(60)及び固定子(60)に対して進退する移動子(61)が設けられたアクチュエータ(9)と、を備え、移動子(61)の進退によりリンク機構(8,8)を動作させブーム(10)が昇降するブームスプレーヤ(100)であって、移動子(61)の先端(61a)とブーム(10)とを緩衝装置(50)を介して連結し、緩衝装置(50)は、移動子(61)の先端(61a)に連結されたピストン(51)と、ピストン(51)を内部に収容すると共に、ブーム(10)の長手方向に沿う方向を軸心としてブーム(10)を回動可能に連結するシリンダ(54)と、シリンダ(54)内に収容されピストン(51)の移動を緩衝する緩衝部(56)と、を備え、先端(61a)と当該先端(61a)が進入するピストン(51)の連結部(52)とは、ピン(55)が貫通することによって連結されていることを特徴としている。
このようなブームスプレーヤ(100)によれば、ブーム(10)を昇降させるためのアクチュエータ(9)の移動子(61)の先端(61a)とブーム(10)とが緩衝装置(50)を介して連結されているため、当該緩衝装置(50)によって、ブーム(10)の位置に関係なく、ブームスプレーヤ(100)の悪路走行時、急加速時、急減速時等においてアクチュエータ(9)からブーム(10)へ作用する衝撃を緩衝できると共に、立木等の障害物によりブーム(10)へ作用する外力も緩衝でき、ブーム(10)やアクチュエータ(9)、立木等の障害物を制約なく保護できる。
また、上記作用・効果を好適に奏する構成としては、具体的には、緩衝部(56)は、シリンダ(54)内でピストン(51)を付勢するスプリングである構成が挙げられる。
また、上記作用・効果を好適に奏する構成としては、具体的には、緩衝部(56)は、シリンダ(54)内に収容された流体である構成も挙げられる。
このように本発明によれば、ブームやアクチュエータ、立木等の障害物を制約なく保護できるブームスプレーヤを提供できる。
本発明の実施形態に係るブームスプレーヤを上方斜め前方から見た斜視図である。 図1中の要部を示す拡大図である。 図2中の緩衝装置を示す平面図である。 図2中の緩衝装置及びアクチュエータを示す一部破断平面図である。
以下、本発明に係るブームスプレーヤの好適な実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係るブームスプレーヤを上方斜め前方から見た斜視図、図2は、図1中の要部を示す拡大図、図3は、図2中の緩衝装置を示す平面図、図4は、図2中の緩衝装置及びアクチュエータを示す一部破断平面図である。
図1に示すように、乗用管理機としてのブームスプレーヤ100は自走式であり、車両1と、車両1から薬液を噴霧するためのブームノズル装置2と、を備えている。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」は、ブームスプレーヤ100を基準とした方向とする。
車両1は、前後方向に長い略矩形状の機体(フレーム)としての車体フレーム3を備える。車体フレーム3の前後方向に直交する左右方向の両側下方には、車体フレーム3を走行可能とする走行装置4が設けられている。また、車体フレーム3上の前部には運転席5が配置され、後部にはエンジンルーム6が配置されており、運転席5とエンジンルーム6との間には、薬液を貯留する薬液タンク7が配置される。
走行装置4は、走行ホイールとクローラ15と、を備える。走行ホイールは、車体フレーム3の後部でエンジンルーム6の下方且つ左右方向両側にそれぞれ配置されたスプロケットホイール(駆動輪:駆動ホイール)16、車体フレーム3の前部で運転席5の下方且つ左右方向両側にそれぞれ配置されたアイドラーホイール(遊動輪:誘導輪)17、地面側の複数のロードホイール(走行転輪)18を有する。これらのホイール16〜18は、車体フレーム3側に回転可能に支持され、ホイール16〜18にクローラ15が掛け回される。この走行装置4は、エンジンルーム6のエンジンの駆動により走行可能となっている。
車体フレーム3の前端部には、一対の4節リンク機構8,8が前方に延びるように設置されている。ブームノズル装置2は、4節リンク機構8,8を介して、車体フレーム3によって支持されている。この4節リンク機構8、8が、アクチュエータ9の伸縮動作により作動されることで、4節リンク機構8,8の前側リンク41,41に固定されたブームノズル装置2のセンターブーム10が昇降移動されるようになっている。これにより、ブームノズル装置2の上下方向の位置が調節される(詳しくは後述)。
ブームノズル装置2のセンターブーム10は、水平方向に延び車体フレーム3の左右方向に延びている。センターブーム10の左右両端部には、サイドブーム11,11がそれぞれ連結されている。サイドブーム11,11は、センターブーム10の両端部に位置する回動中心軸30を軸心として、センターブーム10に対して回動可能である。センターブーム10及び各サイドブーム11には、それぞれノズルパイプ12が取り付けられており、各ノズルパイプ12には、薬液噴霧用のノズル13が長手方向に沿って複数設けられている。
各サイドブーム11は、センターブーム10の両端部の裏面側に取り付けられたアクチュエータとしての電動油圧シリンダ19によりそれぞれ駆動され、薬液噴霧を行わないときには、図示のように折り畳まれて閉位置に位置し、車両1に対して側方位置に斜め後ろ上がりの状態で格納される。薬液噴霧を行うときには、電動油圧シリンダ19によりサイドブーム11,11が回動しセンターブーム10に対して直線状をなすように広げられ開位置に位置する。
ここで、前述した4節リンク機構8、アクチュエータ9、及び、これらとセンターブーム10との連結構造ついて具体的に説明する。
図1及び図2に示すように、一対の4節リンク機構8,8は同形状で、側面視平行四辺形状を呈し、車体フレーム3の前端部の左右端に対向するように並設される。4節リンク機構8は、車体フレーム3の前端部に固定され上部が後方へ傾くように配置された後側リンク40と、後側リンク40に対向するように前方位置で傾いて配置されセンターブーム10の裏面側に連結固定された前側リンク41と、後側リンク40の上部と前側リンク41の上部に、両端部がそれぞれ回動可能に連結された上部リンク42と、後側リンク40の下部と前側リンク41の下部に、両端部がそれぞれ回動可能に連結された下部リンク43と、を備えている。そして、一対の上部リンク42,42の延在方向略中央部同士は、補強用の上部ステー44により連結され、一対の下部リンク43,43の延在方向略中央部同士は、補強用の下部ステー45により連結されている。
アクチュエータ9は、図3及び図4に示すように、固定子60と、当該固定子60に対して進退(伸長/後退)する移動子61を有するものであり、ここでは、特に好ましいとして、電動油圧シリンダが採用されているが、他のものであっても良い。図4に示すように、アクチュエータ9の固定子60の後端部62には、下部ステー45(図2参照)に平行な回転軸64が貫通しており、後端部62及び回転軸64をピン63が貫通することによって後端部62及び回転軸64が一体化されている。回転軸64は、その両端が、下部ステー45に立設された軸受部(不図示)に回動可能に支持されており、従って、アクチュエータ9の後端部62は、回転軸64を支点として上下方向に回動可能(揺動可能)となっている。
図2に示すように、アクチュエータ9とセンターブーム10との間、具体的には、図4に示すように、アクチュエータ9の移動子61の先端61aとセンターブーム10との間には、緩衝装置50が介装されている。緩衝装置50は、移動子61の先端61aに連結されたピストン51と、ピストン51を収容するシリンダ54と、シリンダ54内に収容されピストン51の移動を緩衝する緩衝部56と、を備える。
ピストン51は、有底円筒状の連結部52と、連結部52の底部中央から延出し連結部52より小径のロッド部53と、を有する。有底円筒状の連結部52には、移動子61の円柱状の先端61aが進入し、連結部52及び移動子61の先端61aをピン55が貫通することによって連結部52及び移動子61の先端61aが一体化されている。また、連結部52に繋がるロッド部53の先端側には雄螺子70が形成されている。
シリンダ54は、円筒状に形成され上記ピストン51を概ね収容する。シリンダ54の蓋部58を被せた状態では、蓋部58に設けられた貫通孔59を通してロッド部53の先端側が、シリンダ54の蓋部58から外方へ突出している。
緩衝部56は、ここでは、ダンパスプリングと称されるコイルスプリングであり、このコイルスプリング56は、ピストン51のロッド部53を囲繞した状態で、ピストン51の連結部52の底部と蓋部58との間に挟まれ、蓋部58から外方へ突出しているロッド部53の雄螺子70にダブルナット57を螺合することによって、コイルスプリング56の付勢力の調整がなされている。
また、図2及び図3に示すように、センターブーム10において緩衝装置50の両側には、一対の3角平板状のブラケット46,46が立設されている。ブラケット46,46の上部同士は、連結バー47により連結されて補強され、連結バー47の下方で斜め前の位置に緩衝装置50が位置している。
ブラケット46の内側の面と緩衝装置50のシリンダ54の側部との間には、図2〜図4に示すように、支持部材48が配置される。支持部材48は、図4に示すように、円形平板状の基部48aの中央から内側に向かって軸部48bが突出する構成であり、基部48aには、雌螺子48cが2箇所形成されている。また、シリンダ54の側部には、上記軸部48bが進入する孔54aが開口されている。
そして、支持部材48の軸部48bが、シリンダ54の孔54aに進入し、ブラケット46に設けられた通孔をボルト49(図2及び図3参照)の雄螺子が通った状態で、ボルト49の雄螺子を支持部材48の雌螺子48cに螺合し締め込むことによって、ブラケット46に支持部材48が固定される。この状態で、支持部材48の軸部48bと緩衝装置50のシリンダ54とは、軸部48bを支点として互いに回動可能に連結されている。
このようなブームスプレーヤ100では、アクチュエータ9が駆動されて移動子61が進退すると、移動子61の進退に応じて、センターブーム10が支持部材48の軸部48bを支点として回動しながら、4節リンク機構8,8が所定に動作し、これにより、センターブーム10の昇降が行われる。
このようなブームスプレーヤ100にあっては、サイドブーム11がセンターブーム10と左右方向に並び当該センターブーム10に対して直線状をなすように広げられた作業時であっても、また、図1に示すように、サイドブーム11がセンターブーム10に対して約90°回動し折り畳まれ格納された非作業時であっても、センターブーム10を昇降させるためのアクチュエータ9の移動子61の先端61aとセンターブーム10とが緩衝装置50を介して連結されているため、当該緩衝装置50(特に緩衝部となるコイルスプリング56)によって、センターブーム10の位置(上下位置)に関係なく、ブームスプレーヤ100の悪路走行時、急加速時、急減速時等においてアクチュエータ9からセンターブーム10へ作用する衝撃を緩衝できると共に、立木等の障害物によりセンターブーム10へ作用する外力も緩衝でき、センターブーム10やアクチュエータ9、立木等の障害物を制約なく保護できる。
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、特に好ましいとして、シリンダ54内に、ピストン51の移動を緩衝する緩衝部としてスプリング56を採用しているが、他の弾性部材等であっても良い。また、このような弾性部材に代えた緩衝部として、シリンダ内にピストンの移動を緩衝する液体や気体等の流体を封入するようにしても、上記実施形態と同様な作用・効果を奏する。また、ピストンと共に作動液体をシリンダ内に封入し、当該シリンダ内とアキュムレータとを接続する構成としても、上記実施形態と同様な作用・効果を奏し、移動子が後退しセンターブームが下がりきった状態でもシリンダ内には作動液体があるため、上記緩衝機能が働くことになる。
また、上記実施形態においては、走行装置4を、スプロケットホイール16、アイドラーホイール17等の走行ホイールにクローラ15を掛け回すタイプとしているが、走行ホイールを前後輪として走行するタイプに対しても適用可能である。
また、本発明は、例えばトラクタ等に搭載されるタイプのブームスプレーヤに対しても適用可能である。
3…車体フレーム(機体)、8…4節リンク機構(リンク機構)、9…アクチュエータ、10…センターブーム(ブーム)、48…支持部材、50…緩衝装置、51…ピストン、54…シリンダ、56…スプリング(緩衝部)、60…固定子、61…移動子、61a…先端、100…ブームスプレーヤ。

Claims (3)

  1. 機体(3)の前部に対しリンク機構(8,8)を介して連結され水平且つ左右方向に延びるブーム(10)と、固定子(60)及び前記固定子(60)に対して進退する移動子(61)が設けられたアクチュエータ(9)と、を備え、前記移動子(61)の進退により前記リンク機構(8,8)を動作させ前記ブーム(10)が昇降するブームスプレーヤ(100)であって、
    前記移動子(61)の先端(61a)と前記ブーム(10)とを緩衝装置(50)を介して連結し
    前記緩衝装置(50)は、
    前記移動子(61)の前記先端(61a)に連結されたピストン(51)と、
    前記ピストン(51)を内部に収容すると共に、前記ブーム(10)の長手方向に沿う方向を軸心として前記ブーム(10)を回動可能に連結するシリンダ(54)と、
    前記シリンダ(54)内に収容され前記ピストン(51)の移動を緩衝する緩衝部(56)と、を備え、
    前記先端(61a)と当該先端(61a)が進入するピストン(51)の連結部(52)とは、ピン(55)が貫通することによって連結されていることを特徴とするブームスプレーヤ(100)。
  2. 前記緩衝部(56)は、前記シリンダ(54)内で前記ピストン(51)を付勢するスプリングであることを特徴とする請求項記載のブームスプレーヤ(100)。
  3. 前記緩衝部(56)は、前記シリンダ(54)内に収容された流体であることを特徴とする請求項記載のブームスプレーヤ(100)。
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