JP6721163B2 - サービスホールカバーおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
前記サービスホールを塞いだ際に前記インナーパネルに接する側になる発泡シートと、該発泡シートに接着した透明または半透明の硬質シートとからなる積層シートを材料とし、
前記発泡シートの側に前記サービスホールと嵌合する嵌合部が形成されており、
前記嵌合部の周縁には、当該嵌合部から外方へ延出するフランジ部が形成されており、
前記フランジ部は、前記発泡シートおよび前記硬質シートが接着した2層構造の部分と、前記発泡シートが除去された透明または半透明の硬質シートのみとなっている部分とを有しており、当該フランジ部において硬質シートのみとなっている部分に、自己粘着性のシール材が取り付けられていることを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、サービスホールカバーは、発泡シートに形成した嵌合部をサービスホールの開口縁部に嵌合させることで、該サービスホールを覆った状態でインナーパネルに取り付けることができ、取り付け作業性の向上を図り得る。また、フランジ部は、発泡シートおよび硬質シートが接着した2層構造の部分と、透明または半透明の硬質シートのみとなっている部分とを有し、フランジ部において硬質シートのみとなっている部分に、自己粘着性のシール材が取り付けられているので、前記サービスホールカバーをインナーパネルに取り付ける際に、該フランジ部を介して自己粘着性のシール材を透視し得るので作業性が更に向上する。
また、前記サービスホールの周縁部とフランジ部との間に自己粘着性のシール材が介在しているので、該サービスホールカバーとインナーパネルとの密封性を確保することができる。
この発明によれば、前記フランジ部の硬質シート部に設けた凹状の溝部に前記自己粘着性のシール材が安定的に収容され、該フランジ部とインナーパネルとの良好な接着が実現される。
この発明によれば、前記フランジ部の硬質シート部に設けた段差部に前記自己粘着性のシール材が安定的に収容され、該フランジ部とインナーパネルとの良好な接着が実現される。
透明または半透明の硬質シートおよび発泡シートを重ねた積層シートを加熱して、該積層シートを軟化させる工程と、
前記サービスホールの輪郭形状に対応する第1成形面が形成された第1型部と、この第1型部の第1成形面に対応する第2成形面を形成した第2型部との間に、前記軟化した積層シートをその発泡シートが前記第1型部に指向する状態で介在させる工程と、
前記第1型部および第2型部を開放して前記サービスホールカバーを脱型した後に、該サービスホールカバーの全周に亘っている前記フランジ部から前記発泡シートを除去することで、該フランジ部に透明または半透明の前記硬質シートのみとなっている部分を形成する工程と、
前記フランジ部において透明または半透明の前記硬質シートのみとなっている部分に、自己粘着性のシール材を取り付ける工程と、を有し、
前記第1型部と第2型部とを閉成した状態において、前記第1成形面における前記嵌合部に対応する第1キャビティ型面と前記第2成形面における前記嵌合部に対応する第1コア面との間隔を前記積層シートの厚みより小さく設定するとともに、前記第1成形面における前記フランジ部に対応する第2キャビティ型面で前記発泡シートを除去する部分に対応する部位と前記第2成形面における前記フランジに対応する第2コア面で前記発泡シートを除去する部分に対応する部位との間隔を前記積層シートの厚みより大きく設定し、
前記積層シートを狭圧する工程において、前記第1キャビティ型面と第1コア面とにより、前記硬質シートおよび発泡シートを接着するようにして前記嵌合部を形成すると共に、前記第2キャビティ型面と第2コア面とにより、前記発泡シートおよび硬質シートが部分的に接着しないようにして前記フランジ部を形成し、
前記フランジ部において、前記発泡シートと硬質シートが接着していない部分で当該発泡シートを除去することで、該フランジ部に、前記発泡シートおよび前記硬質シートが接着した2層構造の部分と、透明または半透明の前記硬質シートのみとなっている部分とを形成するようにしたことを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、請求項1の発明に係るサービスホールカバーを効率的に製造することができる。
例えば、車両用ドア10のインナーパネル14は鋼板をプレス成形したものであって、図2に示すように、該インナーパネル14には複数(実施例では2つ)のサービスホール18が開設されている。前記サービスホール18は、前述したように前記アウターパネル12とインナーパネル14との空間15に電装品等を組み込むための作業用開口部であって、実施例に係るサービスホールカバー30は、前記インナーパネル14の右上部に開設されたサービスホール18(18A)を塞ぐものである。このサービスホール18(18A)は、横長の開口部として形成されており、その内縁を、上縁部18a、下縁部18bおよび左右の側縁部18c,18dと称する。そして、上縁部18aは略横方向に直線状に延在すると共に、右側縁部18dは縦方向に直線状に延在している。また、左側縁部18cは縦方向において湾曲して延在すると共に、下縁部18bは横方向において雲形に延在している。
また、図2および図5に示すように、前記インナーパネル14には、前記サービスホール18の開口縁部の周りを囲んで一段窪んだ形状になっている当受け部22が設けられている。この当受け部22は、図5に示すように、前記サービスホール18を塞いだ状態で前記サービスホールカバー30をインナーパネル14に取り付けた際に、該サービスホールカバー30の外周に沿設したフランジ部38(後述)を安定的に当接させると共に、係合爪部40(後述)を係合させるものである。
実施例のサービスホールカバー30は、殊に図4に示すように、硬質シート34と、該硬質シート34に重ね合わせた発泡シート32とからなる2層の積層シートとして構成されている。このサービスホールカバー30は、図6〜図8に示す各工程を経て製造されるもので、該工程で前記発泡シート32と硬質シート34とは熱接着される(後述)。そして、図5に示すように、前記サービスホール18を塞いだ状態でサービスホールカバー30をインナーパネル14に取り付けた際に、前記発泡シート32の面は前記インナーパネル14に接する側(後側)になり、前記硬質シート34は車内の側(前側)となる。なお、発泡シート32および硬質シート34が熱接着されたサービスホールカバー30は、立体形状に形成されており、前記サービスホール18を塞いで前記空間15へ突出する嵌合部36と、該嵌合部36の外周囲に沿設されたフランジ部38と、該フランジ部38の後側に設けられた係合爪部40とを備えている(何れも後述)。このサービスホールカバー30は、前記フランジ部38および係合爪部40をサービスホール18の開口縁部(当受け部22)に係合させることで、前記インナーパネル14に取り付けられて該サービスホール18を完全に閉塞する。
前記硬質シート34は、図1(b)、図3および図4に示すように、サービスホールカバー30における前記嵌合部36およびフランジ部38を構成している。この硬質シート34は、透明または半透明合成樹脂製のシート材であり、前記フランジ部38は、一部が発泡シート32が除去されていることで、前側から後側が透視可能となっている。実施例の硬質シート34は、ソリッドのポリエチレン(PE)を材質としている。従って、前記硬質シート34は形状保持性を有している。また、前記嵌合部36およびフランジ部38が立体形状に形成されることで外力に対して適度の剛性を有し、外力により撓み変形や曲げ変形が発現した場合でも、この外力が解除された際には弾性的に元の形状に復帰するようになっている。なお、前記硬質シート34の厚みは0.3〜1.5mmの範囲が好ましい。
前記発泡シート32は、図1(a)、図3(b)および図4に示すように、サービスホールカバー30の嵌合部36の部分に設けられている。また、該サービスホールカバー30のフランジ部38には該発泡シート32が設けられていない部位を有する。この発泡シート32は、発泡成形された合成樹脂のシート材である。実施例の発泡シート32は、前記硬質シート34にポリエチレンを採用しているため、ポリエチレン(PE)を発泡成形した軟質のシート材を材質とし、所要の弾力性および柔軟性を備えている。前記発泡シート32は、独立気泡構造の発泡シートであって、通気性、吸水性および透湿性を有していない。従って、車両走行時に発生する各種騒音を吸収・遮蔽する機能や防水機能に優れている。そして、発泡シート32は厚み方向での圧縮変形が可能である。また、発泡シート32の厚みは2.0〜15.0mmの範囲が好ましい。
前記サービスホールカバー30の嵌合部36は、図1、図3および図4に示すように、前記硬質シート34および発泡シート32から形成されている。この嵌合部36は、サービスホールカバー30により前記インナーパネル14を塞ぐと、該サービスホール18の内部へ進入して前記空間15に臨む凸形状になっていて、底板部36aと、該底板部36aを囲んで環状に延在する側板部36bとからなる。前記底板部36aは、前記サービスホール18より若干小さい寸法に設定されると共に、該サービスホール18の開口輪郭に略合致した外形輪郭を有している。前記底板部36aは、外縁部分よりも中央部分が前方に位置するよう湾曲している。また、前記側板部36bは、底板部36aの外縁に連なって前方へ立ち上がっている。そして、前記側板部36bの前縁は、前記サービスホール18の開口輪郭形状と略同じ形状となっている。このように凸形状になっている嵌合部36は、図5に示すように、前記サービスホールカバー30をインナーパネル14に取り付ける際に、前記サービスホール18内に進入して、前記底板部36aが該インナーパネル14よりも後側(アウターパネル12の側)に位置する。
前記フランジ部38は、殊に図4に示すように、前記サービスホールカバー30の周縁に延設されている。すなわちフランジ部38は、前記嵌合部36の前縁から延出して斜め外方へ偏向する部分になっており、前記硬質シート34と前記発泡シート32とが圧着されている。そして、前記フランジ部38の一部からは、図5に示すように、全周に亘って前記発泡シート32が除去されている。その結果として、前記フランジ部38は、透明または半透明の硬質シート34のみの硬質シート部を、前記嵌合部36の全周または前記サービスホールカバー30の全周に亘り露出している。更に、図5に示すように、前記フランジ部38における前記硬質シート部の後面に、前記嵌合部36を囲むシール部として機能する自己粘着性のシール材(例えばブチルテープ)Hが設けられている。従って、前記フランジ部38は、前記サービスホールカバー30をインナーパネル14に取り付ける際に、前記当受け部22に対し前側から当接するため、該サービスホールカバー30が前記空間15内へ入り込むことを規制する。そして、前記サービスホールカバー30をインナーパネル14に取り付けた状態では、前記フランジ部38における前記硬質シート部が、前記自己粘着性のシール材Hを介して前記当受け部22に押し付けられるため、該フランジ部38は自己粘着性のシール材Hにより該当受け部22に接着される。このように、前記サービスホール18の周囲が前記自己粘着性のシール材Hにより封止されるので、前記サービスホールカバー30とインナーパネル14との密封性が確保される。すなわち、車両用ドア10の前記空間15内に浸入した雨水が前記サービスホール18からインナーパネル14の前側(車内)へ入り込むのが防止される。また、外部騒音が車内へ侵入するのも低減できる。
前記係合爪部40は、図1〜図5(殊に図4の拡大部)に示すように、前記嵌合部36を形成する側板部36bにおいて、前記発泡シート32に一体成形されたものである。この係合爪部40は、前記サービスホールカバー30の嵌合部36を前記サービスホール18に当てがって押し込んだ際に、該サービスホール18の開口周縁において前記インナーパネル14の後面に係合することで、該サービスホールカバー30が該インナーパネル14から前側へ離脱することを規制する。実施例のサービスホールカバー30には、前記係合爪部40が、前記嵌合部36の周方向へ断続的に複数(実施例では5個)形成されている。前記5つの係合爪部40の夫々は、前記サービスホール18の開口縁に沿って位置する前記当受け部22の後側に係合して、該当受け部22の前側に前記フランジ部38が密着した状態を維持する。また、各係合爪部40が前記当受け部22の後側に係合することで、車両走行中の振動や車両用ドア10を閉めた際の衝撃がサービスホールカバー30に伝達された場合でも、該サービスホールカバー30がインナーパネル14から離脱するのを防止し得る。
前記自己粘着性のシール材Hは、未加硫のブチルゴムをベースとしたテープ状のシーリング剤である。この自己粘着性のシール材Hは、前記インナーパネル14に設けた前記当受け部22に対して、前記サービスホールカバー30におけるフランジ部38の硬質シート部を接着する。なお、前記自己粘着性のシール材Hは、柔軟性に富むと共に容易な変形が可能であり、前記サービスホール18の周縁部に位置する前記当受け部22とフランジ部38における硬質シート部の後面との隙間を適切に埋めて、前記サービスホールカバー30とインナーパネル14との間の密封性を確保することができる。
次に、前述したサービスホールカバー30を製造する成形装置50について説明する。実施例のサービスホールカバー30は、図6に示す成形装置50により成形される。この成形装置50は、第1成形型(第1型部)52と、図示省略した作動手段の作動により該第1成形型52に対して近接・離間移動して開閉するよう配設された第2成形型(第2型部)54とを備えている。この第2成形型54は、作動手段の作動に基づいて、第1成形型52に近接して閉成した成形位置(図6(b)、図7(a)参照)および該第1成形型52から離間して開放した開放位置(図6(a)、図8(a)参照)の間を開閉する。また、成形装置50は、サービスホールカバー30を構成する前記発泡シート32および硬質シート34を重ね合わせた状態で両シート32,34の端縁を把持するシート把持体56を備えている。すなわち、成形装置50は、前記シート把持体56により重ね合わせた積層状態に把持した平坦状の発泡シート32および平坦状の硬質シート34を、第1成形型52および第2成形型54で挟み込むことで、立体形状をなす前記サービスホールカバー30を成形する。
前記成形装置50の第1成形型52は、図6に示すように、第2成形型54に対向する部位(上部)に、上方へ向いた第1成形面58が設けられている。この第1成形面58は、凹凸状をなしており、前記シート把持体56に把持された発泡シート32の下側外面が押し付けられる。そして第1成形面58は、サービスホールカバー30の前記嵌合部36に対応する第1キャビティ型面58aが形成されていると共に、前記フランジ部38に対応する第2キャビティ型面58bが形成されている。そして、前記フランジ部38の硬質シート部(硬質シート34のみの部分)に対応する部位が、該発泡シート32を硬質シート34に押し付けずに離間させ得るように、後述の第2コア型面70bとの間隔を積層シートPの厚みより大きくしている。
前記成形装置50の第2成形型54には、図6に示すように、前記第1成形型52の第1成形面58に対向する外部輪郭を有する第2成形面70が設けられている。前記第2成形面70は、前記サービスホールカバー30の前面の形状を反転した凸状をなしており、前記シート把持体56に把持された硬質シート34の上側外面が押し付けられる。更に詳しくは、前記第2成形面70は、サービスホールカバー30の前記嵌合部36の前側に対応する第1コア型面70aと、該サービスホールカバー30の前記フランジ部38の前側に対応する第2コア型面70bとからなる。すなわち、図6(b)に示すように、前記第1成形型52と第2成形型54とを相対的に閉成すると、前記第1成形面58の第1キャビティ型面58aと前記第2成形面70の第1コア型面70aとが対向すると共に、該第1成形面58の第2キャビティ型面58bと該第2成形面70の第2コア型面70bとが対向するように構成されている。そして、前記第2成形面70の第1コア型面70aは、前記成形位置において、前記第1成形面58の第1キャビティ型面58aに対して、前記サービスホールカバー30(積層シートP)の厚みに基づいた間隔で対向する。具体的には、前記第1成形面58の第1キャビティ型面58aと第2成形面70の第1コア型面70aとの間隔は、積層シートPの厚み(発泡シート32の厚みと硬質シート34の厚みとを合わせた厚み)より僅かに小さく設定されている。また、前記第2成形面70の第2コア型面70bは、前記成形位置において、前記フランジ部38の硬質シート部(硬質シートのみの部分)に対応する部位が、前記第1成形面58の第2キャビティ型面58bに対して、前記サービスホールカバー30(積層シートP)の厚みよりも大きい間隔で対向するようになっている。
実施例の成形装置50には、前記シート把持体56で把持した平坦状の積層シートPの発泡シート32および硬質シート34を、所定の成形温度まで加熱する加熱手段(図示せず)を備えている。この加熱手段は、前記第1成形型52および第2成形型54によりサービスホールカバー30を成形する前に、発泡シート32を前記嵌合部36および係合爪部40の形状に変形可能な状態まで加熱して軟化させるものである。また、硬質シート34を、前記嵌合部36およびフランジ部38の形状に変形可能な状態まで加熱して軟化させる。但し、前記発泡シート32および硬質シート34は、軟化する状態までに温度制御されるに止まり、この段階では両シート32,34が熱接着されるものではない。
次に、図6〜図8を引用して、前記成形装置50による実施例のサービスホールカバー30の製造方法について説明する。なお、前記発泡シート32および硬質シート34は、予め所要寸法に裁断されている。
先ず、前記発泡シート32および硬質シート34を前記シート把持体56,56により重ね合わせた状態で把持する。このようにシート把持体56,56で把持した積層シートP(発泡シート32および硬質シート34)を、図示しないヒータ等の加熱手段により加熱して軟化させる。なお、シート把持体56で把持した積層シートPは、発泡シート32および硬質シート34を重ね合わせただけであり、両シート32,34は互いに接着してはいない。
次に、図6(a)に示すように、前記第2成形型54を、第1成形型52の上方へ開放して開放位置に待機させる。そして、前記シート把持体56,56を第1成形型52の上方へ移動させ、加熱により軟化状態にある前記積層シートP(発泡シート32および硬質シート34)を、発泡シート32を該第1成形型52に指向させると共に硬質シート34を第2成形型54に指向させた状態で、該第1成形型52の第1成形面58の上方に位置させる。
次に、前記第1成形型52に配設した前記第1吸気装置68および前記第2成形型54に配設した前記第2吸気装置78を夫々作動させた状態で、第2成形型54を開放位置から成形位置に向けて閉成させる。ここで、第2成形型54が成形位置まで閉成する直前の適宜タイミングにおいて、前記シート把持体56,56で把持された積層シートPの発泡シート32が、第1成形型52の第1成形面58に接触する。この際に、図7(a)および図7(b)に示すように、前記各第1吸引孔62から空気が真空吸引されていることで、発泡シート32は、第1成形面58における第1キャビティ型面58a、第2キャビティ型面58bおよび各係合爪用凹部60に真空吸引されて密着し、該第1キャビティ型面58a、第2キャビティ型面58bおよび各係合爪用凹部60の外面に沿った立体形状に真空成形される。
所定時間の経過後に、図8(a)に示すように、前記第2成形型54を前記第1成形型52から離間させて型開きし、シート把持体56,56を第1成形型52から離間させることで、成形された予備成形品Wを該第1成形型52から脱型する。なお、第1成形型52の各係合爪用凹部60により真空成形された各係合爪部40は、予備成形品Wの脱型方向において該第1成形型52の第1成形面58と重なっており、各係合爪部40の空洞42が容易に弾性変形することで、第1成形型52から予備成形品Wの離脱が許容される。
成形された予備成形品Wは、図8(b)に示すように後工程において、硬質シート34は、シート把持体56で把持されていた不要部分を、カッター等の切断手段によりトリミングする。また、発泡シート32は、前記フランジ部38における硬質シート34と接着されていない部分を切除する。これにより、前記サービスホール18(18A)の輪郭形状よりも一回り大きいサイズの外部輪郭をなすサービスホールカバー30が成形される。
前記成形装置50により成形された実施例のサービスホールカバー30は、前記サービスホール18(18A)が開設されたインナーパネル14への取り付け前に、前記フランジ部38の前記発泡シート32が切除されて硬質シート34のみとなった部位(硬質シート部)の後面(インナーパネル14の当受け部22に対向する面)に、前記嵌合部36を囲むように環状に自己粘着性のシール材Hを貼着する。ここで、前記フランジ部38の硬質シート部は、前述したように透明または半透明の硬質シート34だけで形成されているので、該フランジ部38の後面に貼着した前記自己粘着性のシール材Hを、該フランジ部38の前側から透視することができる。
本発明に係るサービスホールカバーは、実施例に例示の形態に限らず種々の変更が可能である。
(1)実施例では、車体における車両用ドア10のインナーパネル14に開設されたサービスホール18を例示したが、本願のサービスホールカバーが取り付けられるサービスホールは、車両用ドア10以外のインナーパネルに開設されたサービスホールも対象とされる。
(2)インナーパネル14に開設されるサービスホール18は、車両用ドア10の形状や大きさに応じて開口形状、開口寸法、開口位置が異なっている。このため、サービスホールカバー30は、塞ぐ対象のサービスホール18に合わせて外形形状および寸法が異なる。
(3)発泡シート32に設けられる係合爪部40の数は、実施例で例示した5個に限るものではなく、サービスホールカバー30の形状やサイズに応じて6個以上または4個以下であってもよい。
(4)発泡シート32に形成される係合爪部40の断面形状は、実施例で例示した形状に限らない。例えば、図9に示すように、前方にいくにつれて突出量が大きくなる(後方にいくにつれて突出量が小さくなる)鉤状であってもよい。このような鉤状の係合爪部40の場合には、サービスホールカバー30をインナーパネル14に取り付ける際に、サービスホール18の開口縁部に対して該係合爪部40が引っ掛かり難くなり、該係合爪部40をサービスホール18の開口縁部に対して掛止し易くすることができる。
(5)図10に示すように、前記フランジ部38における前記発泡シート32が除去された透明または半透明の前記硬質シート34の部分は、前記サービスホールカバー30が前記サービスホール18を塞いだ際に、前記インナーパネル14とは反対側に凹ませた溝部38aが前記サービスホールカバー30の全周に亘って設けられる構成にしてもよい。なお、図10に示す場合は、前記フランジ部38における前記発泡シート32を前記溝部38aの開口幅だけ除去するのがよい。
(6)図11に示すように、前記フランジ部38における前記発泡シート32が除去された透明または半透明の硬質シート34の部分は、前記サービスホールカバー30が前記サービスホール18を塞いだ際に、前記インナーパネル14とは反対側に離間する段差部38bが前記サービスホールカバー30の全周に亘って設けられる構成にしてもよい。
(7)硬質シート34におけるフランジ部38の形成予定部位の発泡シート32と対向する側に、該発泡シート32との接着を不能とする接着防止剤を塗布して、第1成形型52と第2成形型54との型閉め時に発泡シート32および硬質シート34が押し付けられても、該フランジ部38の形成予定部位に該発泡シート32が接着されないようにしてもよい。
(8)実施例では、1つの嵌合部36を設けたサービスホールカバー30により、1つのサービスホール18を塞ぐ構成を例示したが、2つ以上の嵌合部36を設けた1つのサービスホールカバー30により、2つ以上のサービスホール18を塞ぐように構成してもよい。
(9)実施例では、ポリエチレン(PE)製の発泡シートおよびポリエチレン(PE)製の硬質シートを使用したサービスホールカバー30を例示したが、これら発泡シートおよび硬質シートの材質はこれに限るものではなく、熱可塑性樹脂(好ましくはオレフィン系樹脂)であればよい。但し、発泡シートおよび硬質シートは、互いに熱接着(融着)が可能な樹脂の組み合わせとすることが好ましく、例えばポリプロピレン(PP)の発泡シートとポリプロピレン(PP)のソリッドの硬質シートとしてもよい。
(10)発泡シートとしては、比重が0.015〜0.1、圧縮応力が35KPa〜90KPa(JIS K6767 圧縮歪25%)のものが好ましく、また硬質シートは、比重が0.9〜0.97、曲げ弾性率が780MPa(JIS K7171)以上のものが好ましい。
(11)成形装置50の第1成形型52および第2成形型54は、上下方向に近接、離間して開閉するものに限らず、第1成形型52および第2成形型54が横方向または斜め方向に近接、離間して開閉するものであってもよい。
32 発泡シート,34 硬質シート,36 嵌合部,38 フランジ部,38a 溝部,
38b 段差部,40 係合爪部,52 第1成形型(第1型部),
54 第2成形型(第2型部),58 第1成形面,70 第2成形面,
H 自己粘着性のシール材(接着部),P 積層シート
Claims (2)
- 車両のインナーパネルに開設したサービスホールを塞ぐサービスホールカバーにおいて、
前記サービスホールを塞いだ際に前記インナーパネルに接する側になる発泡シートと、該発泡シートに接着した透明または半透明の硬質シートとからなる積層シートを材料とし、
前記発泡シートの側に前記サービスホールと嵌合する嵌合部が形成されており、
前記嵌合部の周縁には、当該嵌合部から外方へ延出するフランジ部が形成されており、
前記フランジ部は、前記発泡シートおよび前記硬質シートが接着した2層構造の部分と、前記発泡シートが除去された透明または半透明の硬質シートのみとなっている部分とを有しており、当該フランジ部において硬質シートのみとなっている部分に、自己粘着性のシール材が取り付けられている
ことを特徴とするサービスホールカバー。 - 車両のインナーパネルに開設したサービスホールを塞ぐサービスホールカバーの製造方法において、
透明または半透明の硬質シートおよび発泡シートを重ねた積層シートを加熱して、該積層シートを軟化させる工程と、
前記サービスホールの輪郭形状に対応する第1成形面が形成された第1型部と、この第1型部の第1成形面に対応する第2成形面を形成した第2型部との間に、前記軟化した積層シートをその発泡シートが前記第1型部に指向する状態で介在させる工程と、
前記第1型部と第2型部とを閉成して、前記積層シートを狭圧することで、該積層シートに前記サービスホールの輪郭形状に沿った嵌合部と該嵌合部から外方へ延出するフランジ部とを備えた前記サービスホールカバーを形成する工程と、
前記第1型部および第2型部を開放して前記サービスホールカバーを脱型した後に、該サービスホールカバーの全周に亘っている前記フランジ部から前記発泡シートを除去することで、該フランジ部に透明または半透明の前記硬質シートのみとなっている部分を形成する工程と、
前記フランジ部において透明または半透明の前記硬質シートのみとなっている部分に、自己粘着性のシール材を取り付ける工程と、を有し、
前記第1型部と第2型部とを閉成した状態において、前記第1成形面における前記嵌合部に対応する第1キャビティ型面と前記第2成形面における前記嵌合部に対応する第1コア面との間隔を前記積層シートの厚みより小さく設定するとともに、前記第1成形面における前記フランジ部に対応する第2キャビティ型面で前記発泡シートを除去する部分に対応する部位と前記第2成形面における前記フランジに対応する第2コア面で前記発泡シートを除去する部分に対応する部位との間隔を前記積層シートの厚みより大きく設定し、
前記積層シートを狭圧する工程において、前記第1キャビティ型面と第1コア面とにより、前記硬質シートおよび発泡シートを接着するようにして前記嵌合部を形成すると共に、前記第2キャビティ型面と第2コア面とにより、前記発泡シートおよび硬質シートが部分的に接着しないようにして前記フランジ部を形成し、
前記フランジ部において、前記発泡シートと硬質シートが接着していない部分で当該発泡シートを除去することで、該フランジ部に、前記発泡シートおよび前記硬質シートが接着した2層構造の部分と、透明または半透明の前記硬質シートのみとなっている部分とを形成するようにした
ことを特徴とするサービスホールカバーの製造方法。
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