JP6720322B2 - タイヤバランス測定装置、タイヤバランス測定装置の評価方法、タイヤバランス測定装置の校正方法、タイヤバランス測定装置の校正プログラム - Google Patents

タイヤバランス測定装置、タイヤバランス測定装置の評価方法、タイヤバランス測定装置の校正方法、タイヤバランス測定装置の校正プログラム Download PDF

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Description

この発明は、タイヤバランス測定装置、タイヤバランス測定装置の評価方法、タイヤバランス測定装置の校正方法、タイヤバランス測定装置の校正プログラムに関する。
タイヤの製造工程においては、品質管理のため、製造したタイヤについて様々な検査を行う。このような検査の一つとして、タイヤを回転させたときの動的なバランス(以下、動バランスと称する)を測定している。
タイヤの動バランスを検査するタイヤバランス測定装置は、タイヤを挟み込む下リム及び上リムと、下リムと一体に設けられた主軸と、主軸を回転駆動させる回転駆動機構と、主軸に生じる偏心量を検出する偏心量検出センサと、を備える。タイヤバランス測定装置は、下リムと上リムとで挟み込んだタイヤに空気を充填した状態で、回転駆動機構により主軸を回転させる。主軸の回転により、下リムと上リムとに挟み込まれたタイヤが主軸と一体に回転する。タイヤバランス測定装置は、タイヤを回転させたときの主軸に生じる偏心量を検出することで、タイヤの動バランス(アンバランス量)を測定する。
このようなタイヤバランス測定装置において、測定精度を保障するため、下リム、上リム、及び主軸のバランスを校正する必要がある。特許文献1には、重量が既知の錘を用いたタイヤバランス測定装置の校正方法が開示されている。この方法においては、下リムのみに錘を装着した場合、上リムのみに錘を装着した場合、下リム及び上リムに錘を装着した場合、錘を非装着の場合、のそれぞれについて、下リム、上リム、及び主軸を回転させて主軸の偏心力を検出する。これら重量が既知の錘を装着して下リム、上リム、及び主軸を回転させたときの偏心力の測定結果から、タイヤバランス測定装置の校正を行っている。
特許第3429346号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているように、錘を用いてタイヤバランス測定装置の校正を行うには、タイヤの製造を中断して下リムや上リムに錘を着脱する必要があり、手間がかかる。したがって、定期的にタイヤバランス測定装置の校正を行うと、タイヤの製造工程における生産効率が低下してしまう。
この発明は、タイヤバランス測定装置の定期的な校正を容易に行い、タイヤの製造工程の生産効率の低下を抑え、品質管理をより高精度に行うことのできるタイヤバランス測定装置、タイヤバランス測定装置の評価方法、タイヤバランス測定装置の校正方法、タイヤバランス測定装置の校正プログラムを提供することを目的とする。
この発明に係る第一態様によれば、タイヤバランス測定装置は、回転駆動部と、偏心力計測部と、演算部と、評価部と、を備える。回転駆動部は、タイヤを挟み込み可能な一対のリムのうち少なくとも一方を支持する主軸を回転させる。偏心力計測部は、一対の前記リムの少なくとも一方を支持する主軸を回転させたときに前記主軸に発生する偏心力を計測する。演算部は、前記偏心力計測部で計測された前記偏心力に基づいて前記主軸の偏心量を演算する。評価部は、前記回転駆動部により予め定めた回転数で前記主軸を回転させたときに計測される前記偏心力に基づいて前記演算部で演算される前記偏心量と、前記回転数との相関に基づいて、前記主軸の偏心量を評価する。前記評価部は、互いに異なる複数の前記回転数で前記主軸を回転させ、それぞれの前記回転数で前記主軸を回転させたときに計測される複数の偏心力に基づいて、前記演算部で演算される偏心量と前記回転数との相関を求め、この相関に基づいて前記主軸の偏心量を評価する。
このような構成によれば、一対のリムでタイヤを挟み込んだ状態で、回転駆動部によって主軸とともにタイヤを回転させ、偏心力計測部で主軸の偏心力を計測すると、演算部によってタイヤのアンバランス量を得ることができる。
また、一対のリムにタイヤを挟み込まない状態で、回転駆動部によって一対のリムの少なくとも一方を支持する主軸を回転させ、偏心力計測部で主軸の偏心力を計測すると、演算部によって主軸自体の偏心量を得ることができる。例えば温度変化等をはじめとする何らかの原因で主軸自体の偏心量が変化した場合、偏心量の変化が生じる前後で、同一回転数で主軸を回転させれば、その変化を容易に把握することができる。したがって、評価部において、回転駆動部により予め定めた回転数で主軸を回転させたときに演算部で演算される偏心量と、前記回転数との相関に基づいて、主軸の偏心量を評価することで、主軸の偏心量に変化が生じたか否かを把握することができる。
このようにして、主軸に錘を装着することなく、主軸の偏心量の変化を把握することができる。したがって、主軸の偏心量のチェックを、容易かつ短時間で行うことができる。
さらに、主軸の回転数が大きくなると、主軸に生じる遠心力が大きくなり、主軸のアンバランスに起因して生じる偏心量も大きくなる。したがって、互いに異なる複数の回転数で主軸を回転させ、それぞれの回転数で偏心力を計測すれば、主軸の偏心量の変化を、より高精度に評価することが可能となる。
この発明に係る第二態様によれば、第一態様に係るタイヤバランス測定装置において、前記評価部による前記偏心量の評価結果に基づいて、前記演算部で演算に用いる演算式を補正する補正部を更に備えるようにしてもよい。
これにより、主軸の偏心量が変化していた場合に、補正部によって、演算部で演算に用いる演算式を補正することで、タイヤバランス測定装置の校正を行うことができる。
この発明に係る第態様によれば、タイヤバランス測定装置の評価方法は、タイヤバランス測定装置が、タイヤを挟み込む一対のリムと、一対の前記リムを回転させる回転駆動部と、を備える。このタイヤバランス測定装置は、偏心力計測部と、演算部と、を更に備える。偏心力計測部は、一対の前記リムの少なくとも一方を支持する主軸を回転させたときに前記主軸に発生する偏心力を計測する。演算部は、前記偏心力計測部で計測された前記偏心力に基づいて前記主軸の偏心量を演算する。タイヤバランス測定装置の評価方法は、前記タイヤが前記リムに装着されていない前記主軸を、前記回転駆動部により予め定めた複数の回転数で回転させたときに計測される複数の偏心力に基づいて前記演算部で演算される前記偏心量と、前記回転数との相関を求め、この相関に基づいて、前記主軸の偏心量を評価する。
このようなタイヤバランス測定装置の評価方法を用いることによって、タイヤバランス測定装置の主軸自体の偏心量の変化を、主軸に錘を装着することなく把握することができる。したがって、主軸の偏心量のチェックを、容易かつ短時間で行うことができる。
この発明に係る第態様によれば、タイヤバランス測定装置の校正方法は、タイヤバランス測定装置が、タイヤを挟み込む一対のリムと、一対の前記リムを回転させる回転駆動部と、を備える。このタイヤバランス測定装置は、偏心力計測部と、演算部と、を更に備える。偏心力計測部は、一対の前記リムの少なくとも一方を支持する主軸を回転させたときに前記主軸に発生する偏心力を計測する。演算部は、前記偏心力計測部で計測された前記偏心力に基づいて前記主軸の偏心量を演算する。このタイヤバランス測定装置の校正方法は、前記タイヤが前記リムに装着されていない前記主軸を、前記回転駆動部により予め定めた複数の回転数で回転させたときに計測される複数の偏心力に基づいて前記演算部で演算される前記偏心量と、前記回転数との相関を求め、この相関に基づいて、前記主軸の偏心量を評価する工程を含む。タイヤバランス測定装置の校正方法は、前記主軸の偏心量を評価する工程による前記偏心量の評価結果に基づいて、前記演算部で演算に用いる演算式を補正する工程を更に含む。
このようなタイヤバランス測定装置の校正方法を用いることによって、タイヤバランス測定装置の主軸の偏心量が変化していた場合に、補正部によって演算部で演算に用いる演算式を補正することで、タイヤバランス測定装置の校正を行うことができる。
この発明に係る第態様によれば、タイヤバランス測定装置の校正プログラムは、タイヤバランス測定装置が、タイヤを挟み込む一対のリムと、一対の前記リムを回転させる回転駆動部と、を備える。このタイヤバランス測定装置は、偏心力計測部と、演算部と、を更に備える。偏心力計測部は、一対の前記リムの少なくとも一方を支持する主軸を回転させたときに前記主軸に発生する偏心力を計測する。演算部は、前記偏心力計測部で計測された前記偏心力に基づいて前記主軸の偏心量を演算する。タイヤバランス測定装置の校正プログラムは、前記タイヤが前記リムに装着されていない前記主軸を、前記回転駆動部により予め定めた複数の回転数で回転させたときに計測される複数の偏心力に基づいて前記演算部で演算される前記偏心量と、前記回転数との相関を求め、この相関に基づいて、前記主軸の偏心量を評価する処理を含む。タイヤバランス測定装置の校正プログラムは、前記主軸の偏心量を評価する処理による前記偏心量の評価結果に基づいて、前記演算部で演算に用いる演算式を補正する処理を更に含む。
このようなタイヤバランス測定装置の校正プログラムをタイヤバランス測定装置に導入することで、タイヤバランス測定装置の主軸の偏心量が変化していた場合に、補正部によって演算部で演算に用いる演算式を補正することで、タイヤバランス測定装置の校正を行うことができる。
上述したタイヤバランス測定装置、タイヤバランス測定装置の評価方法、タイヤバランス測定装置の校正方法、タイヤバランス測定装置の校正プログラムによれば、タイヤバランス測定装置の校正を容易に行い、タイヤの製造工程の生産効率の低下を抑え、品質管理をより高精度に行うことが可能となる。
この発明の実施形態におけるタイヤバランス測定装置の概略構成を示す立面図である。 この発明の実施形態におけるタイヤバランス測定装置の主軸の偏心力を検出するロードセルを示す平断面図である。 この発明の実施形態におけるタイヤバランス測定装置の制御部の構成を示すブロック図である。 この発明の実施形態のタイヤバランス測定装置におけるタイヤのアンバランス量の測定処理の流れを示すフローチャートである。 この発明の実施形態のタイヤバランス測定装置における主軸の偏心量の測定処理の流れを示すフローチャートである。 この発明の実施形態のタイヤバランス測定装置の運用方法の流れを示すフローチャートである。 この発明の実施形態におけるタイヤバランス測定装置を校正するために用いる、主軸の回転数と偏心量の変化との相関を示す図である。
図1は、この発明の実施形態におけるタイヤバランス測定装置の概略構成を示す立面図である。図2は、この発明の実施形態におけるタイヤバランス測定装置の主軸の偏心力を検出するロードセルを示す平断面図である。
図1に示すように、タイヤバランス測定装置1は、装置本体10と、制御部20と、を備えている。
装置本体10は、基台11と、主軸12と、下リム13と、上リム14と、シャフト15と、ロードセル(偏心力計測部)16L,16Hと、を備えている。
基台11は、床面上に設置されている。
主軸12は、上下方向に延び、基台11に、主軸支持部材19を介して支持されている。主軸支持部材19は、基台11に取付部材19hを介して取り付けられている。主軸支持部材19は、円筒状で、その内部に主軸12が回転自在に支持されている。
主軸12は、基台11内に設けられたモータ等の回転駆動部17によって、その中心軸回りに回転駆動される。主軸12の上端部12aは、基台11の上面11aから鉛直上方に突出している。
下リム13は、主軸12の上端部12aに一体に固定され、主軸12とともに回転する。下リム13には、タイヤTの内周部に下方から密着するリム接触面13fが形成されている。
上リム14は、下リム13の上方に間隔を空けて対向配置されている。上リム14には、タイヤTの内周部に上方から密着するリム接触面14fが形成されている。
上リム14は、下方に延びるシャフト15を一体に備えている。シャフト15の下端部15bは、主軸12に形成された挿入孔12hに挿入されるとともに、主軸12に対して上下方向に昇降可能に設けられている。上リム14上には、上リム14及びシャフト15を保持するための被保持部14pが設けられている。被保持部14pは、昇降装置(図示無し)のチャック部材18によって保持可能とされ、上リム14及びシャフト15は、昇降装置(図示無し)によって上下方向に昇降される。これによって、上リム14は、下リム13に対して接離可能とされている。
図1、図2に示すように、ロードセル16L,16Hは、基台11内で、主軸支持部材19の外周面19rに接触するよう設けられている。ロードセル16L,16Hは、主軸支持部材19を介して、主軸12に生じる偏心力(主軸12の中心軸に直交する径方向の力)を検出する。ロードセル16L,16Hは、基台11内で、上下方向に間隔を空けた2個所に配置されている。
図3は、この発明の実施形態におけるタイヤバランス測定装置の制御部の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、制御部20は、回転制御部21と、演算部22と、評価部23と、校正部(補正部)24と、記憶部25と、を備えている。
回転制御部21は、回転駆動部17の動作を制御し、主軸12の回転数を調整する。
演算部22は、ロードセル16L,16Hで検出された偏心力の信号に基づき、偏心量を演算する。この実施形態では、演算部22は、下リム13と上リム14との間に保持されたタイヤTのアンバランス量、主軸12の偏心量を算出することができる。
評価部23は、演算部22で算出されたアンバランス量、主軸12の偏心量に基づき、タイヤTのアンバランス量、主軸12の偏心量を評価する。
校正部24は、評価部23における主軸12の偏心量が、予め定められた基準から外れた場合に、後に詳述するようにして校正処理を行う。
記憶部25は、演算部22で算出したアンバランス量や偏心量、評価部23における評価結果等を記憶する。
(タイヤTのアンバランス量の測定処理)
図4は、この発明の実施形態のタイヤバランス測定装置におけるタイヤのアンバランス量の測定処理の流れを示すフローチャートである。
タイヤバランス測定装置1は、タイヤTを下リム13と上リム14との間に挟み込んだ状態で、タイヤTのアンバランス量を測定する。
これには、図4に示すように、まず、タイヤTをタイヤバランス測定装置1に装着する(ステップS101)。これには、上リム14を昇降装置によって上昇させて下リム13から離間させた状態で、タイヤTの下面側の内周縁部t1(図1参照)を下リム13上にセットする。次いで、昇降装置によって上リム14を下降させ、タイヤTの上面側の内周縁部t2(図1参照)上に密着させる。次に、下リム13に備えた空気充填機構(図示無し)によってタイヤTに空気を充填する。
このようにしてタイヤTを下リム13と上リム14との間に挟み込んで保持した後、回転制御部21で回転駆動部17を制御することにより、主軸12を、その中心軸回りに所定の回転数で回転させる(ステップS102)。すると、タイヤTは、主軸12、下リム13、シャフト15、上リム14と一体に回転する。
ロードセル16L,16Hは、タイヤTの回転中、主軸12に生じる偏心力を検出する(ステップS103)。各ロードセル16L,16Hで検出された偏心力の出力信号は、制御部20の演算部22に転送される。
演算部22は、ロードセル16L,16Hから転送された出力信号に基づき、タイヤTのアンバランス量を演算する(ステップS104)。
評価部23は、演算部22で演算されたタイヤTのアンバランス量が予め定めた基準範囲内にあるか否かを判定することもできる(ステップS105)。アンバランス量が基準範囲内であったタイヤTは、良品とし、アンバランス量が基準範囲外であったタイヤTは、不良品として判定することができる。
このようにしてアンバランス量の演算及び評価を終えたタイヤTは、空気を抜いた後、上リム14を上昇させて下リム13から離間させ、上リム14上から取り外す(ステップS106)。
(主軸の偏心量の測定処理)
図5は、この発明の実施形態のタイヤバランス測定装置における主軸の偏心量の測定処理の流れを示すフローチャートである。
タイヤバランス測定装置1は、タイヤTを装着しない状態で、主軸12の偏心量を測定することができる。主軸12の偏心量を測定するには、まず、上リム14を昇降装置によって下降させ、下リム13と対向した状態で組み合わせる。
次に、図5に示すように、回転制御部21で回転駆動部17を制御することにより、主軸12を、所定の第一回転数r1で中心軸回りに回転させる(ステップS201)。すると、主軸12が第一回転数r1で回転する。
ロードセル16L,16Hは、回転中の主軸12に生じる偏心力FL,FHを検出する(ステップS202)。各ロードセル16L,16Hで検出された偏心力FL,FHの出力信号は、制御部20の演算部22に転送される。
次に、回転制御部21で回転駆動部17を制御することにより、主軸12を、第一回転数r1とは異なる第二回転数r2で中心軸回りに回転させる(ステップS203)。すると、主軸12が第二回転数r2で回転する。
ロードセル16L,16Hは、回転中の主軸12に生じる偏心力FL,FHを検出する(ステップS204)。各ロードセル16L,16Hで検出された偏心力FL,FHの出力信号は、制御部20の演算部22に転送される。
演算部22は、ロードセル16L,16Hから転送された出力信号に基づき、主軸12の偏心量を演算する(ステップS205)。
ここで、ロードセル16L,16Hで検出した偏心力FL,FH、FL,FHに基づいて、演算部22でタイヤTのアンバランス量又は主軸12の偏心量を演算する方法については、何ら限定するものではなく、既知の演算手法を適宜用いることができる。
例えば、演算部22は、タイヤT又は主軸12を回転させたときにロードセル16L,16Hで検出される偏心力FL,FHから、アンバランス量(又は偏心量)Pを、下記の演算式(1)で求める。
Figure 0006720322
ここで、a,b,c,dは、係数である。
次に上記したようなタイヤバランス測定装置1の運用方法について説明する。
図6は、この発明の実施形態のタイヤバランス測定装置の運用方法の流れを示すフローチャートである。
図6に示すように、タイヤバランス測定装置1は、設置後、主軸12の偏心量の初期値を測定する(ステップS1)。これには、上記主軸12の偏心量の測定処理(ステップS201〜S205)を実行する。このとき、主軸12を第一回転数r1で回転させたときの偏心力FL,FHから算出される偏心量P1と、主軸12を第二回転数r2で回転させたときの偏心力FL,FHから算出される偏心量P2とを、初期値P1,P2として測定する。
ステップS1で測定した主軸12の偏心量の初期値P1,P2は、制御部20の記憶部25に記憶させる(ステップS2)。
この後、タイヤバランス測定装置1は、タイヤ製造工程(加硫工程)からタイヤバランス測定装置1に順次搬送されてくるタイヤTのアンバランス量の測定を行う(ステップS3)。これには、上記タイヤTのアンバランス量の測定処理(ステップS101〜S106)を実行する。
定期的にタイヤバランス測定装置1の校正を行うため、制御部20は、タイヤTのアンバランス量の測定工程を、予め定めた規定回数行った否かを判定する(ステップS4)。測定工程の実行回数が規定回数に到達しない場合、ステップS3のタイヤTのアンバランス量の測定工程を繰り返す。
測定工程の実行回数が規定回数に到達した場合、主軸12の偏心量の測定を行う(ステップS5)。ステップS5における主軸12の偏心量の測定を行うには、上記主軸12の偏心量の測定処理(ステップS201〜S205)を実行する。
このとき、主軸12を第一回転数r1で回転させたときの偏心力FL’,FH’から得られる偏心量の測定値P1’と、主軸12を第二回転数r2で回転させたときの偏心力FL’,FH’とから得られる偏心量の測定値P2’とを、記憶部25に記憶させる。
次いで、制御部20の評価部23は、ステップS5で測定した主軸12の偏心量の測定結果に基づき、主軸12の偏心量の測定値P1’,P2’を、ステップS2で記憶部25に記憶された主軸12の偏心量の初期値P1,P2と対比する(ステップS6)。
ここで、主軸12の偏心量を対比するには、具体的には、以下のようにする。
図7は、この発明の実施形態におけるタイヤバランス測定装置を校正するために用いる、主軸の回転数と偏心量の変化との相関を示す図である。
図7に示すように、例えば、上述したステップS2において、主軸12を第一回転数r1で回転させたときの偏心量の初期値P1と主軸12を第二回転数r2で回転させたときの偏心量の初期値P2とから、主軸12の回転数rと偏心量Pとの相関を示す関係式P=k×rを定める。
また、上述したステップS5において、主軸12を第一回転数r1で回転させたときの偏心力FL’,FH’から得られる偏心量の測定値P1’と、主軸12を第二回転数r2で回転させたときの偏心力FL’,FH’から得られる偏心量の測定値P2’とから、主軸12の回転数rと偏心量P’との相関を示す関係式P’=k’×rを定める。
評価部23は、ステップS2で記憶された初期値P1,P2に基づく関係式Pと、ステップS5で測定された測定値P1’,P2’に基づく関係式P’とで、係数kと係数k’とを比較する(ステップS7)。係数kに対する係数k’の差(又は倍率)が予め定めた範囲内であれば、ステップS3に戻り、タイヤTのアンバランス量の測定を続ける。
ステップS7において、係数kに対する係数k’の差(又は倍率)が、予め定めた範囲外であった場合には、校正処理を行う(ステップS8)。
これには、ステップS5で測定された測定値P1’,P2’に基づく現状の係数k’を、ステップS2に記憶された初期値P1,P2に基づく係数kとなるように、補正係数k”を「k”=k/k’」により得る。
補正した補正係数k”(=k/k’)は、記憶部25に記憶する。この後、タイヤTのアンバランス量の測定を行う場合には、補正係数k”(=k/k’)を用いて上記演算式(1)を補正することにより、ロードセル16L,16Hで検出した偏心力FL,FHからタイヤTのアンバランス量Pを算出する。
上記したような一連の処理は、タイヤバランス測定装置1におけるタイヤTのアンバランス量の測定を終了するまで、繰り返し実行する(ステップS9)。
なお、ステップS1、S2における、主軸12の偏心量の初期値の測定及び記憶処理は、タイヤバランス測定装置1の設置時のみ実行し、その後、タイヤバランス測定装置1を起動してタイヤTのアンバランス量の測定を開始する際には、ステップS9で記憶された補正値を用いてもよい。もちろん、タイヤバランス測定装置1を起動するたびに、ステップS1、S2における、主軸12の偏心量の初期値の測定及び記憶処理を実行してもよい。
上述した実施形態のタイヤバランス測定装置1、タイヤバランス測定装置1の評価方法によれば、一対の下リム13及び上リム14にタイヤTを挟み込まない状態で、回転駆動部17によって主軸12を回転させ、ロードセル16L,16Hで主軸12の偏心力Fを計測すると、演算部22によって主軸12自体の偏心量を得ることができる。例えば温度変化等をはじめとする何らかの原因で主軸12自体の偏心量が変化した場合、偏心量の変化が生じる前後で、同一回転数で主軸12を回転させれば、その変化を容易に把握することができる。
したがって、評価部23において、回転駆動部17により予め定めた回転数r1,r2で主軸12を回転させたときにロードセル16L,16Hで計測される偏心力Fから演算される偏心量と、回転数r1,r2との相関に基づいて、主軸12の偏心量を評価することで、主軸12の偏心量に変化が生じたか否かを把握することができる。
このようにして、主軸12自体の偏心量の変化を、主軸12に錘を装着することなく把握することができる。したがって、主軸12の偏心量のチェックを、容易かつ短時間で行うことができる。
さらに、主軸12の偏心量が変化していた場合に、演算部22で演算に用いる演算式(1)を校正部24によって補正することで、タイヤバランス測定装置1の校正を行うことができる。
このようにして、タイヤTのアンバランス量の測定、評価を連続的に行っている途中であっても、短時間で主軸12の偏心量のチェック及び校正を行うことができる。その結果、タイヤバランス測定装置1の校正を容易に行い、タイヤTの製造工程の生産効率の低下を抑えることができる。また、主軸12の偏心量のチェックを、容易かつ短時間で行うことができるので、従来よりも高い頻度で主軸12の偏心量のチェックを行うことが可能となり、品質管理をより高精度に行うことが可能となる。
また、評価部23において、互いに異なる複数の回転数r1,r2で主軸12を回転させ、それぞれの回転数r1,r2で偏心力Fを計測すれば、主軸12の偏心量の変化を、より高精度に評価することが可能となる。
また、上述したようなタイヤバランス測定装置1の校正方法、タイヤバランス測定装置1の校正プログラムをタイヤバランス測定装置1に導入することで、主軸12自体の偏心量の変化を、主軸12に錘を装着することなく把握することができる。したがって、主軸12の偏心量のチェックを、容易かつ短時間で行うことができる。
さらに、主軸12の偏心量が変化していた場合に、演算部22で演算に用いる演算式(1)を校正部24によって補正することで、タイヤバランス測定装置1の校正を行うことができる。
(その他の実施形態)
この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲において、設計変更可能である。
例えば、上記実施形態では、主軸12の偏心量を測定するときに、上リム14を下降させて下リム13と対向させた状態で主軸12を回転させるようにしたが、これに限らない。例えば、主軸12と下リム13のみを一体に回転させ、主軸12の偏心量を測定してもよい。
また、上記実施形態では、タイヤTのアンバランス量の測定回数が規定回数に到達したときに、主軸12の偏心量を測定するようにしたが、主軸12を回転させてその偏心力Fを検出できるのであれば、いかなるタイミングで主軸12の偏心量のチェックを行うようにしてもよい。例えば、タイヤTのアンバランス量の測定期間が予め定めた規定期間に到達したときに、主軸12の偏心量を測定するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、下リム13側の主軸12の偏心力Fをロードセル16L,16Hで検出するようにしたが、主軸12を上リム14側に設け、上リム14側の主軸12で偏心力Fの測定を行ってもよい。
加えて、上記実施形態では、第一回転数r1と第二回転数r2とで、それぞれ偏心力Fの測定を行うことでタイヤバランス測定装置1の校正を行うようにしたが、3以上の互いに異なる回転数で偏心力Fの測定を行うようにしてもよい。
また、タイヤバランス測定装置1の校正を、演算部22においてアンバランス量の算出に用いる演算式(1)を補正するようにしたが、演算式や補正内容については何ら限定するものではない。
また、タイヤバランス測定装置1の設置後、主軸12の偏心量の初期値を測定するときには、上記主軸12の偏心量の測定処理(ステップS201〜S205)を実行したが、これに限らない。タイヤバランス測定装置1の設置後、主軸12の偏心量の初期値を測定するときには、タイヤTや錘を取り付けた状態で、主軸12の偏心量の初期値を測定してもよい。
また、タイヤバランス測定装置1の構造については、何ら限定するものではなく、他のいかなる構成を有していてもよい。例えば、タイヤバランス測定装置1は、下リム13と上リム14とが互いに上下に対向し、主軸12が上下方向に延びる縦型であるが、一対のリムが水平方向で対向する横型の構成であっても、本発明を同様に適用できる。
また、上記実施形態で示したタイヤバランス測定装置1の評価方法、校正方法は、タイヤバランス測定装置1の制御部20にコンピュータプログラムを導入することで実現される。したがって、本発明は、タイヤバランス測定装置1の校正プログラムとしても構成することができる。
予め定めた回転数で主軸を回転させたときに計測される偏心力と回転数との相関に基づいて、主軸の偏心量を評価することで、タイヤバランス測定装置の校正を容易に行い、タイヤの製造工程の生産効率の低下を抑え、品質管理をより高精度に行うことができる。
1 タイヤバランス測定装置
10 装置本体
11 基台
11a 上面
12 主軸
12a 上端部
12h 挿入孔
13 下リム
13f リム接触面
14 上リム
14f リム接触面
14p 被保持部
15 シャフト
15b 下端部
16H,16L ロードセル(偏心力計測部)
17 回転駆動部
18 チャック部材
19 主軸支持部材
19h 取付部材
19r 外周面
20 制御部
21 回転制御部
22 演算部
23 評価部
24 校正部(補正部)
25 記憶部
FL、FL’ 偏心力
T タイヤ
t1、t2 内周縁部

Claims (5)

  1. タイヤを挟み込み可能な一対のリムのうち少なくとも一方を支持する主軸を回転させる回転駆動部と、
    前記主軸を回転させたときに前記主軸に発生する偏心力を計測する偏心力計測部と、
    前記偏心力計測部で計測された前記偏心力に基づいて前記主軸の偏心量を演算する演算部と、
    前記タイヤが前記リムに装着されていない前記主軸を、前記回転駆動部により予め定めた回転数で回転させたときに計測される前記偏心力に基づいて前記演算部で演算される前記偏心量と、前記回転数との相関に基づいて、前記主軸の偏心量を評価する評価部と、
    を備え
    前記評価部は、互いに異なる複数の前記回転数で前記主軸を回転させ、それぞれの前記回転数で前記主軸を回転させたときに計測される複数の偏心力に基づいて、前記演算部で演算される偏心量と前記回転数との相関を求め、この相関に基づいて前記主軸の偏心量を評価するタイヤバランス測定装置。
  2. 前記評価部による前記偏心量の評価結果に基づいて、前記演算部で演算に用いる演算式を補正する補正部を備える請求項1に記載のタイヤバランス測定装置。
  3. タイヤを挟み込む一対のリムと、
    一対の前記リムを回転させる回転駆動部と、
    一対の前記リムの少なくとも一方を支持する主軸を回転させたときに前記主軸に発生する偏心力を計測する偏心力計測部と、
    前記偏心力計測部で計測された前記偏心力に基づいて前記主軸の偏心量を演算する演算部と、を備えるタイヤバランス測定装置の評価方法であって、
    前記タイヤが前記リムに装着されていない前記主軸を、前記回転駆動部により予め定めた複数の回転数で回転させたときに計測される複数の偏心力に基づいて前記演算部で演算される前記偏心量と、前記回転数との相関を求め、この相関に基づいて、前記主軸の偏心量を評価するタイヤバランス測定装置の評価方法。
  4. タイヤを挟み込む一対のリムと、
    一対の前記リムを回転させる回転駆動部と、
    一対の前記リムの少なくとも一方を支持する主軸を回転させたときに前記主軸に発生する偏心力を計測する偏心力計測部と、
    前記偏心力計測部で計測された前記偏心力に基づいて前記主軸の偏心量を演算する演算部と、を備えるタイヤバランス測定装置の校正方法であって、
    前記タイヤが前記リムに装着されていない前記主軸を、前記回転駆動部により予め定めた複数の回転数で回転させたときに計測される複数の偏心力に基づいて、前記演算部で演算される前記偏心量と、前記回転数との相関を求め、この相関に基づいて、前記主軸の偏心量を評価する工程と、
    前記主軸の偏心量を評価する工程による前記偏心量の評価結果に基づいて、前記演算部で演算に用いる演算式を補正する工程と、
    を備えるタイヤバランス測定装置の校正方法。
  5. タイヤを挟み込む一対のリムと、
    一対の前記リムを回転させる回転駆動部と、
    一対の前記リムの少なくとも一方を支持する主軸を回転させたときに前記主軸に発生する偏心力を計測する偏心力計測部と、
    前記偏心力計測部で計測された前記偏心力に基づいて前記主軸の偏心量を演算する演算部と、を備えるタイヤバランス測定装置の校正プログラムであって、
    前記タイヤが前記リムに装着されていない前記主軸を、前記回転駆動部により予め定めた複数の回転数で回転させたときに計測される複数の偏心力に基づいて前記演算部で演算される前記偏心量と、前記回転数との相関を求め、この相関に基づいて、前記主軸の偏心量を評価する処理と、
    前記主軸の偏心量を評価する処理による前記偏心量の評価結果に基づいて、前記演算部で演算に用いる演算式を補正する処理と、
    を備えるタイヤバランス測定装置の校正プログラム。
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