JP6719369B2 - 2’−フルオロ−5−メチル−4’−チオアラビノウリジンの製造方法及びその一部の工程を含む方法 - Google Patents
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Description
[1] クロロホルムを含む溶媒中において、下記式(1):
で示される化合物と、下記式(2):
で示される化合物とを反応させる工程を含む、下記式(3):
で示される化合物の製造方法。
[3] 上記式(1)で示される化合物と、上記式(2)で示される化合物との反応の反応温度が55〜80℃である、[1]に記載の方法。
[4] 上記式(1)で示される化合物と、上記式(2)で示される化合物との反応を、窒素雰囲気下で行う、[1]から[3]の何れか一に記載の方法。
で示される化合物をαグリコシル化体とβグリコシル化体との混合物として製造するグリコシル化反応工程:
上記のαグリコシル化体とβグリコシル化体との混合物を、メチルエチルケトンを含む溶媒中において再結晶化し、αグリコシル化体を除去する分離精製工程:及び、
上記のβグリコシル化体を脱保護する脱保護工程:
を含む2’−フルオロ−5−メチル−4’−チオアラビノウリジンの製造方法。
[7] 上記分離精製工程のメチルエチルケトンを含む溶媒の使用量が、上記のαグリコシル化体とβグリコシル化体との混合物の質量の20倍量以下である、[5]又は[6]に記載の方法。
[8] 上記分離精製工程において、上記のαグリコシル化体とβグリコシル化体との混合物を、メチルエチルケトンを含む溶媒中において60℃以上の温度で溶解した後、得られた溶液を冷却することによって、再結晶化を行う、[5]から[7]の何れか一に記載の方法。
で示される化合物であるαグリコシル化体とβグリコシル化体との混合物を、メチルエチルケトンを含む溶媒中において再結晶化する工程を含む、上記のαグリコシル化体とβグリコシル化体との混合物からαグリコシル化体を除去する方法。
[11] メチルエチルケトンを含む溶媒の使用量が、上記のαグリコシル化体とβグリコシル化体との混合物の質量の20倍量以下である、[9]又は[10]に記載の方法。
[12] 上記のαグリコシル化体とβグリコシル化体との混合物を、メチルエチルケトンを含む溶媒中において60℃以上の温度で溶解した後、得られた溶液を冷却することによって、再結晶化を行う、[9]から[11]の何れか一に記載の方法。
本発明において、特にことわらない限り、各用語は、次の意味を有する。
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。
C1-6アルキル基とは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル及びヘキシル基などの直鎖状又は分枝鎖状のC1-6アルキル基を意味する。
C2-6アルケニル基とは、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、1,3−ブタジエニル、ペンテニル及びヘキセニル基などの直鎖状又は分枝鎖状のC2-6アルケニル基を意味する。
C2-6アルキニル基とは、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル及びヘキシニル基などの直鎖状又は分枝鎖状のC2-6アルキニル基を意味する。
アリール基とは、フェニル又はナフチル基などを意味する。
アルC1-6アルキル基とは、ベンジル、ジフェニルメチル、トリチル、フェネチル及びナフチルメチル基などのアルC1-6アルキル基を意味する。
アリールオキシ基とは、フェノキシ又はナフチルオキシ基などを意味する。
C1-6アルコキシC1-6アルキル基とは、メトキシメチル及び1−エトキシエチル基などのC1-6アルキルオキシC1-6アルキル基を意味する。
アロイル基とは、ベンゾイル又はナフトイル基などを意味する。
複素環式カルボニル基とは、ニコチノイル、テノイル、ピロリジノカルボニル又はフロイル基などを意味する。
(α−置換)アミノアセチル基とは、アミノ酸(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、ヒドロキシリジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、プロリン及びヒドロキシプロリンなどのアミノ酸が挙げられる。)から誘導されるN末端が保護されていてもよい(α−置換)アミノアセチル基を意味する。
アシル基とは、ホルミル基、スクシニル基、グルタリル基、マレオイル基、フタロイル基、C2-6アルカノイル基、アロイル基、複素環式カルボニル基又は(α−置換)アミノアセチル基などを意味する。
アロイルオキシ基とは、ベンゾイルオキシ又はナフトイルオキシ基などを意味する。
アシルオキシ基とは、C2-6アルカノイルオキシ基又はアロイルオキシ基を意味する。
C1-6アルコキシカルボニル基とは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル及び1,1−ジメチルプロポキシカルボニル基などの直鎖状又は分枝鎖状のC1-6アルキルオキシカルボニル基を意味する。
アリールオキシカルボニル基とは、フェニルオキシカルボニル又はナフチルオキシカルボニル基などを意味する。
アルC1-6アルコキシカルボニル基とは、ベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル及びナフチルメチルオキシカルボニル基などのアルC1-6アルキルオキシカルボニル基を意味する。
C1-6アルコキシカルボニルオキシ基とは、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、イソプロポキシカルボニルオキシ、tert−ブトキシカルボニルオキシ及び1,1−ジメチルプロポキシカルボニルオキシ基などの直鎖状又は分枝鎖状のC1-6アルキルオキシカルボニルオキシ基を意味する。
ジ(C1-6アルキル)アミノ基とは、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジ(tert−ブチル)アミノ、ジペンチルアミノ、ジヘキシルアミノ、(エチル)(メチル)アミノ及び(メチル)(プロピル)アミノ基などの直鎖状又は分枝鎖状のジ(C1-6アルキル)アミノ基を意味する。
C1-6アルキルスルホニル基とは、メチルスルホニル、エチルスルホニル及びプロピルスルホニル基などのC1-6アルキルスルホニル基を意味する。
アリールスルホニル基とは、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル又はナフタレンスルホニル基などを意味する。
C1-6アルキルスルホニルオキシ基とは、メチルスルホニルオキシ、エチルスルホニルオキシ及びプロピルスルホニルオキシ基などのC1-6アルキルスルホニルオキシ基を意味する。
単環の含酸素複素環式基とは、テトラヒドロフラニル、フラニル、テトラヒドロピラニル又はピラニル基などを意味する。
単環の含硫黄複素環式基とは、チエニル基などを意味する。
単環の含窒素・酸素複素環式基とは、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル及びモルホリニル基などの環を形成する異項原子として窒素原子及び酸素原子のみを含む単環の含窒素・酸素複素環式基を意味する。
単環の含窒素・硫黄複素環式基とは、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、チオモルホリニル、1−オキシドチオモルホリニル及び1,1−ジオキシドチオモルホリニル基などの環を形成する異項原子として窒素原子及び硫黄原子のみを含む単環の含窒素・硫黄複素環式基を意味する。
単環の複素環式基とは、単環の含窒素複素環式基、単環の含酸素複素環式基、単環の含硫黄複素環式基、単環の含窒素・酸素複素環式基又は単環の含窒素・硫黄複素環式基などを意味する。
二環式の含酸素複素環式基とは、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロマニル、クロメニル、イソクロマニル、1,3−ベンゾジオキソリル、1,3−ベンゾジオキサニル及び1,4−ベンゾジオキサニル基などの環を形成する異項原子として酸素原子のみを含む二環式の含酸素複素環式基を意味する。
二環式の含窒素・酸素複素環式基とは、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾモルホリニル、ジヒドロピラノピリジル、ジヒドロジオキシノピリジル及びジヒドロピリドオキサジニル基などの環を形成する異項原子として窒素原子及び酸素原子のみを含む二環式の含窒素・酸素複素環式基を意味する。
二環式の複素環式基とは、二環式の含窒素複素環式基、二環式の含酸素複素環式基、二環式の含硫黄複素環式基、二環式の含窒素・酸素複素環式基又は二環式の含窒素・硫黄複素環式基などを意味する。
複素環式基とは、単環の複素環式基又は二環式の複素環式基を意味する。
ハロゲン化炭化水素類としては、塩化メチレン、クロロホルム又は1,2−ジクロロエタンなどが挙げられる。
アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール又は2−メチル−2−プロパノールなどが挙げられる。
エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル又は酢酸ブチルなどが挙げられる。
ケトン類としては、アセトン、2−ブタノン又は4−メチル−2−ペンタノンなどが挙げられる。
ニトリル類としては、アセトニトリルなどが挙げられる。
スルホキシド類としては、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
カルボン酸としては、酢酸などが挙げられる。
芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン又はキシレンなどが挙げられる。
尿素類としては、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。
水酸基の保護基としては、通常の水酸基の保護基として使用し得るすべての基を含み、たとえば、W.グリーン(W.Greene)ら、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)第4版、16〜366頁、2007年、ジョン・ウィリイ・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,INC.)に記載されている基が挙げられる。
具体例としては、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、アルC1-6アルキル基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、アシル基、C1-6アルコキシカルボニル基、アルC1-6アルコキシカルボニル基、C1-6アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基又はシリル基などが挙げられる。これらの基は、下記の置換基群Aから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよい。
R1又はR2が示す水酸基の保護基としては、置換基群Aから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいベンゾイル基がより一層好ましい。
R1又はR2が示す水酸基の保護基としては、ベンゾイル基、4−クロロベンゾイル基、2,4−ジクロロベンゾイル基、4−ニトロベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、4−(トリフルオロメチル)ベンゾイル基、4−フェニルベンゾイル基、3,5ジメチルベンゾイル基又は4−メチルベンゾイル基が特に好ましく、ベンゾイル基が最も好ましい。
R3又はR4が示す水酸基の保護基としては、トリメチルシリル基が特に好ましい。
[1]チオアラビノースと保護基を有するチミンとの反応を含む保護された2’−フルオロ−5−メチル−4’−チオアラビノウリジンの製造
本発明においては、クロロホルムを含む溶媒中において、下記式(1):
で示される化合物と、下記式(2):
で示される化合物とを反応させることによって、下記式(3):
で示される化合物を製造する。
式(3)で示される化合物をαグリコシル化体とβグリコシル化体との混合物として製造する工程をグリコシル化反応工程とも言う。
溶媒の使用量は、特に限定されないが、式(2)で示される化合物に対して、1.0〜50倍量(v/w)であればよく、1.0〜15倍量(v/w)が好ましい。
式(2)で示される化合物の使用量は、式(1)で示される化合物に対して、1〜10倍モル量であればよく、1〜5倍モル量が好ましく,1〜3倍モル量がより好ましい。
式(1)で示される化合物と式(2)で示される化合物との反応の反応時間は、10分間〜50時間であればよく、1時間〜24時間が好ましく、2時間〜24時間がより好ましい。
反応温度は、反応時間中で変化させてもよい。低温(例えば、45℃)で反応を開始し、徐々に昇温して所定の温度(例えば、70〜80℃の所定の温度)で維持して反応を完結させてもよい。
式(1)で示される化合物と式(2)で示される化合物との反応は、不活性気体(たとえば、窒素、アルゴン)雰囲気下で行うことが好ましく、窒素雰囲気下で行うことが特に好ましい。
上記[1]の方法において、式(3)で示される化合物は、αグリコシル化体とβグリコシル化体との混合物として得られる。本発明においては、上記混合物を、メチルエチルケトンを含む溶媒中において再結晶化する工程によって、上記混合物からαグリコシル化体を除去することができる。上記の通りαグリコシル化体とβグリコシル化体との混合物を、メチルエチルケトンを含む溶媒中において再結晶化し、αグリコシル化体を除去する工程のことを、分離精製工程とも言う。
αグリコシル化体とβグリコシル化体との混合物を、メチルエチルケトンを含む溶媒中において溶解させるため、上記混合物と溶媒の温度を上げることが好ましい。本発明においては、上記混合物を、好ましくは60℃以上100℃以下(より好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上)の温度で溶解した後、得られた溶液を冷却することによって、再結晶化を行うことが好ましい。溶液を冷却する際には、溶液を、好ましくは25℃以下の温度、例えば5〜10℃の温度まで冷却することができる。
上記の再結晶により得られる式(3)で示される化合物は、そのまま精製せずに次の反応に使用してもよいし、精製後に次の反応に使用してもよい。
上記の[2]において得られるβグリコシル化体は、式(3)で示される化合物であり、水酸基が保護されている化合物である。
本発明においては、上記のβグリコシル化体の脱保護を行うことにより、化合物Aを製造することができる。βグリコシル化体を脱保護する工程を、脱保護工程とも言う。
この反応に使用される溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、例えば、脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、エーテル類及び水が挙げられ、これらの溶媒は混合して使用してもよい。
好ましい溶媒としては、アルコール類及び水が挙げられ、アルコール類がより好ましい。
溶媒の使用量は、特に限定されないが、式(3)で示される化合物に対して、1.0〜50倍量(v/w)であればよく、1.0〜15倍量(v/w)が好ましい。
好ましい塩基としては、ジエチルアミン又はジメチルアミン等のアミン類が挙げられる。
塩基の使用量は、特に限定されないが、式(3)で表される化合物に対して、0.1〜50倍モルであればよく、1.0〜20倍モルがより好ましい。
反応時間は、5分間〜7日間であればよく、1〜24時間が好ましい。
上記の製造方法によって得られる化合物Aは、抽出、晶出などの通常の方法によって、単離精製することができる。
本発明による化合物Aの製造方法は、特に、工業的な大規模の合成に適している。
上記の方法によって得られる化合物には、互変異性体又は鏡像異性体が存在する場合があるが、本発明における化合物は、それらの何れでもよい。
また、本発明における化合物について、結晶多形、塩、水和物又は溶媒和物が存在する場合、本発明における化合物は、それらの何れでもよい。
TMS:トリメチルシリル
Ac:アセチル
Bz:ベンゾイル
MEK:メチルエチルケトン
Cat:触媒
Ca:約
AcOH:酢酸
AcOEt:酢酸エチル
MeOH:メタノール
Et2NH:ジエチルアミン
NMR:核磁気共鳴
CDCl3:重クロロホルム
DMSO:ジメチルスルホキシド
v/w:容量/重量
<化合物5及び化合物6の合成>
(1)高速液体クロマトグラフィー(HPLC)測定装置:LC−10(島津製作所)
カラム:ODS−100Z(4.6×150mm)(東ソー)
カラム温度:40℃
溶離液A:H2O/HCOOH=1000/1
溶離液B:アセトニトリル/HCOOH=1000/1
勾配条件:溶離液Bの濃度:0−0.01 分(60%),0.01−17.5分(60%→95%),17.5−22.5分(95%)
流速:1.0mL/分
波長:260nm
注入量:20μL
(2)超高速液体クロマトグラフィー 測定装置:ACQUITY UPLC (Waters)
カラム:BEH C18(2.1×30mm)(Waters)
カラム温度:40℃
溶離液A:H2O/HCOOH=1000/1
溶離液B:アセトニトリル/HCOOH=1000/1
勾配条件:溶離液Bの濃度:0−2 分(5%→95%),2−3分(95%)
流速:0.5mL/分
波長:254nm
注入量:1μL
(3)核磁気共鳴装置: AV400(BRUKER)
(1)HPLC解析装置:LC−10(島津製作所)
UV検出器:LC−10AMT/SPD−M10A
カラム:ODS−100Z(4.6×150 mm)(東ソー)
カラム温度:40 ℃
溶離液A:H2O/HCOOH=1000/1
溶離液B:アセトニトリル/HCOOH=1000/1
勾配条件:溶離液B濃度:0−0.01分(60%)→17.50分(95%)→22.5分(95%)
流速:1.0mL/分
波長:260nm
注入量:20μL
(2)核磁気共鳴装置: AV30(BRUKER)
5Lフラスコ中、メカニカルスターラーで撹拌しながら化合物1(国際公開WO2014/027658号公報の実施例22に記載)(350.0g、0.8365mol)をCH2Cl2(1400mL)に溶解させ、10℃以下に冷却した。この溶液に対し、30%HBr in AcOH(451.2g、1.673mol)を滴下漏斗から1時間以上かけて添加した後、15〜25℃で1時間反応を行った。1H NMRによる反応終点確認後、反応液を10℃以下に冷却し、水道水(2800mL)を加えた。反応液を5分間以上撹拌した後、5L分液ロートに移液、静置し、有機層(下層)を元の5Lフラスコに抜き取った。5L分液ロートに残った水層(上層)にCH2Cl2(700mL)を加えて再抽出を行い、有機層(下層)を抜き取って先の有機層と合わせた。この有機層に対してNaHCO3(123.0g、1.464mol)と水道水(2800mL)から調製した炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、5分間以上撹拌した後、5L分液ロートに移液、静置した後、有機層(下層)を元の5Lフラスコに抜き取った。この有機層に対し水道水(2800mL)を加え、5分間以上撹拌した後、5L分液ロートに移液、静置した。有機層(下層)を風袋重量1625.6gの3Lフラスコに抜き取り、この有機層を内温38℃以下を維持しながら液重量が704.4gになるまで減圧濃縮した。この濃縮液にCHCl3(1050mL)を加えた後、内温38℃以下を維持しながら液重量が905.4gになるまで再度減圧濃縮した。この濃縮液にCHCl3を適量加えることで、化合物2の淡黄褐色溶液(1040.8g)を得た(化合物2のα/β=82/18、1H NMR)。この化合物2の溶液はそのまま化合物5の合成に用いた。
メカニカルスターラーと水冷コンデンサーを備えた3Lフラスコ中で、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS;486.0g、3.011mol)、チミン(化合物3)(Aldrich社)(189.9g、1.506mol)、トルエン(700mL)及び(NH4)2SO4(5.53g、41.8mmol)の懸濁液を窒素気流(140±70mL/分)下、外温120℃で透明溶液になるまで加熱撹拌した。透明溶液になってから更に0.5時間反応を行い、フラスコ内の残存物重量が420g以下になるまで減圧濃縮を行った後、室温に冷却することで、393.4g(収率96.6%)の化合物4(淡黄褐色油状物)を得た。
合成例2で合成した化合物4に対し、合成例1で合成した化合物2の溶液を添加し、更に化合物2の溶液が入っていたフラスコをCHCl3(70mL)で洗浄し、この洗浄液を添加した。この溶液を窒素気流(140±70mL/分)下、63℃で22時間反応を行った。なお、化合物2の合成では、CH2Cl2を用いることからそのような溶媒が僅かに入ることもあるが、63℃で加熱することでCH2Cl2は揮発することから、本発明のグリコシル化反応はCHCl3溶媒中で進行していると言える。反応終点の確認後、この反応液を冷却し、CH2Cl2(1750mL)を加え、内温15℃に冷却した。
(化合物2の面積値)/[(化合物2の面積値)+(化合物5の面積値)]≦2.0%(HPLC)
を満たすことを確認することで行った。
上記した化合物5の合成を全部で5バッチ行い、1636gの化合物5を得た(収率80.8%)。
冷却管を備えた5Lフラスコ中、メカニカルスターラーで撹拌しながら実施例A1で合成された化合物5(460g、0.949mol)に対し2−ブタノン(MEK(メチルエチルケトン)とも言う;4600mL、10v/w)を加え、80〜82℃で加熱還流して結晶を完全に溶解させた。この溶液を64℃まで冷却し、化合物6の種結晶(0.46g、0.1質量%)を加え、内温56〜64℃で20分間以上撹拌した。この晶析溶液を1時間以上かけて内温10℃まで徐冷却し、内温5〜10℃で更に1時間以上撹拌した。析出した結晶を150mmヌッチェを用いて濾取し、10℃以下に冷却したAcOEt(960ml)で結晶を洗浄することで、化合物6の湿結晶325.9gを得た。この湿結晶を4時間以上真空乾燥(50℃、≦20mmHg)(101325パスカル=760mmHg)することにより、化合物6を無色結晶(276.9g)として得た(収率60.2%)。本結晶中の化合物6のHPLC面積%(波長λ=260nm)は99.4%であった。
1H NMR (CDCl3) δ: 8.30 (br, 1H), 8.14-8.01 (m, 4H), 7.74-7.70 (m, 1H), 7.67-7.57 (m, 2H), 7.53-7.44 (m, 4H), 6.79 (dd, J1 = 24.6 Hz, J2 = 3.6 Hz, 1H), 5.91-5.84 (m, 1H), 5.29 (ddd,5.92 (1H, ddd, J1 = 49.5 Hz, J2 = 3.6 Hz, J3 = 2.1 Hz), 4.79-4.63 (m, 2H), 4.02 (dd, J1 = 7.5 Hz, J2 = 7.5 Hz, 1H), 1.96 (s, 3H).
上記した化合物6の合成を合計3バッチ行い、808gの化合物6を得た(収率59.0%)。
メカニカルスターラーと冷却管を備えた3Lフラスコ中、化合物6(350g、0.722mol)、MeOH(2100mL)、Et2NH(528g、7.22mol)を混合し懸濁液とし、窒素気流下で5時間以上加熱還流させた。反応終点の確認後、均一となった反応液を28℃まで冷却し、125mmヌッチェにて除塵濾過を行った。
反応終点の確認は、
(化合物Aの面積値)/[(化合物Aの面積値)+(反応中間体の面積値)+(化合物6の面積値)]≧99.0%(HPLC)
を満たすことを確認することで行った。
1H NMR (DMSO-d6) δ: 11.41 (br, 1H), 8.09 (s, 1H), 6.24 (dd, J1 = 8.7 Hz, J2 = 5.7 Hz, 1H), 5.92 (d, J = 4.2 Hz, 1H), 5.44 (t, J = 4.8 Hz, 1H), 5.00 (ddd, J1 = 50.1 Hz, J2 = 6.9 Hz, J3 = 6.9 Hz, 1H), 4.30-4.18 (m, 1H), 3.76-3.66 (m, 2H), 3.17 (dd, J1 = 10.8 Hz, J2 = 5.4 Hz, 1H), 1.79 (s, 3H).
上記した化合物Aの合成を合計2バッチ行い、化合物Aを無色結晶として合計359.9g得た(収率90.2%)。
実施例A1において化合物2と化合物4との反応の反応時間を22時間から15時間に変更したこと以外は、実施例A1と同様にして、化合物5を合成した。
化合物5の収率は、48%であった。β体及びα体のHPLC面積比(260nm)は74:26であった。
実施例A1において化合物2と化合物4との反応の反応温度を63℃から55℃に変更し,反応時間を48時間に変更したこと以外は、実施例A1と同様にして、化合物5を合成した。
化合物5の収率は、100%であった。β体及びα体のHPLC面積比(254nm)は74:26であった。
実施例A1において化合物2と化合物4との反応の反応温度を63℃から75℃に変更したこと以外は、実施例A1と同様にして、化合物5を合成した。
化合物5の収率は、97%であった。β体及びα体のHPLC面積比(254 nm) は62:38であった。
実施例A1において化合物2と化合物4との反応の反応温度を63℃から85℃に変更し、反応時間を14時間に変更したこと以外は、実施例A1と同様にして、化合物5を合成した。
化合物5の収率は、97%であった。β体及びα体のHPLC面積比(254nm)は65:35であった。
実施例A1における化合物2と化合物4との反応において、反応条件を次のように変更したこと以外は、実施例A1と同様にして、化合物5を合成した。即ち、実施例A6においては、反応温度を段階的に昇温(50℃で3時間、60℃で3時間、70℃で4時間、75℃で6時間、80℃で5時間)して反応させた。反応終点をHPLCで確認し、実施例A1と同様の方法で後処理を行って化合物5を単離したところ、β体及びα体のHPLC面積比(260nm)は7:3であった。
実施例A1における化合物2と化合物4との反応において、反応条件を次のように変更したこと以外は、実施例A1と同様にして、化合物5を合成した。即ち、実施例A7においては、45℃から70℃まで徐々に昇温して14時間反応させた後、70〜75℃で更に8時間反応させた。反応終点をHPLCで確認し,実施例A1と同様の方法で後処理を行って化合物5を単離したところ,β体及びα体のHPLC面積比(260nm)は7:3であった。
実施例A1において化合物2と化合物4との反応の溶媒をCHCl3からトルエンに変更し、反応温度を85℃、反応時間を14時間に変更したこと以外は、実施例A1と同様にして、化合物5を合成した。
化合物5の収率は、27%であった。β体及びα体のHPLC面積比(260nm)は48:52であった。
実施例A1において化合物2と化合物4との反応の溶媒をCHCl3からトルエンに変更し、反応温度を100℃、反応時間を8時間に変更したこと以外は、実施例A1と同様にして、化合物5を合成した。
化合物5の収率は定量的であったが,β体及びα体のHPLC面積比(260nm)は33:67であった。
実施例A1において化合物2と化合物4との反応の溶媒をCHCl3から1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)に変更し、反応温度を75℃、反応時間を9時間に変更したこと以外は、実施例A1と同様にして、化合物5を合成した。
化合物5の収率は、35%であった。β体及びα体のHPLC面積比(260nm)は57:43であった。
実施例A1において化合物2と化合物4との反応の溶媒をジクロロメタンに変更し、反応温度を42℃に変更したこと以外は、実施例A1と同様にして、化合物5の合成を試みたが、反応は進行しなかった。
冷却管を備えたフラスコ中、磁気スターラーで撹拌しながら化合物5(2.00g,4.13mmol、β体:α体=74:26)に対しアセトン(20mL、10v/w)を加え、55℃で加熱還流したが、化合物5は完全には溶解しなかった。
冷却管を備えたフラスコ中、磁気スターラーで撹拌しながら化合物5(2.00g,4.13mmol、β体:α体=74:26)に対しアセトン(30mL、15v/w)を加え、55℃で加熱還流したが、化合物5は完全には溶解しなかった。
冷却管を備えたフラスコ中、磁気スターラーで撹拌しながら化合物5(2.00g、4.13mmol、β体:α体=74:26)に対し多量のアセトン(40mL、20v/w)を加え、55℃で加熱還流し、化合物5を完全に溶解させた。この溶液を氷浴上で冷却し,30分間熟成させた後に、得られた結晶を濾過して乾燥させることで,化合物6を無色結晶として0.88g得た(収率41%)。本結晶中の化合物6のHPLC面積%(波長λ=260nm)は99.6%であった。
冷却管を備えたフラスコ中、磁気スターラーで撹拌しながら化合物5(500mg、1.03mmol、β体:α体=74:26)に対しアセトニトリル(5.0mL、10v/w)を加え、82℃で加熱還流したが、化合物5は完全には溶解しなかった。
冷却管を備えたフラスコ中、磁気スターラーで撹拌しながら化合物5(500mg、1.03mmol、β体:α体=74:26)に対しアセトニトリル(5.5mL、11v/w)を加え、82℃で加熱還流し、化合物5を完全に溶解させた。この溶液を室温まで冷却し,一晩熟成させた後に析出した固体を濾過して乾燥させることで,化合物6を無色結晶として370mg得た。β体及びα体のHPLC面積比(254nm)は74:26であった。この場合、β体の純度を高めることができなかった。
冷却管を備えたフラスコ中、磁気スターラーで撹拌しながら化合物5(500mg、1.03mmol、β体:α体=74:26)に対し酢酸エチル(5.0mL、10v/w)を加え、77℃で加熱還流したが、化合物5は完全には溶解しなかった。
冷却管を備えたフラスコ中、磁気スターラーで撹拌しながら化合物5(500mg、1.03mmol、β体:α体=74:26)に対し酢酸エチル(9.5mL、19v/w)を加え、77℃で加熱還流し、化合物5を完全に溶解させた。この溶液を室温まで冷却し,一晩熟成させた後に析出した固体を濾過して乾燥させることで,化合物6を無色結晶として260mg得た(収率52%)。β体及びα体のHPLC面積比(254nm)は100:0であった。
Claims (8)
- クロロホルムを含む溶媒中において、下記式(1):
で示される化合物と、下記式(2):
で示される化合物とを反応させる工程を含む、下記式(3):
で示される化合物の製造方法(但し、R1、R2、R3及びR4が示す水酸基の保護基は、置換基群Aから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいC1−6アルキル基、置換基群Aから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいアルC1−6アルキル基、置換基群Aから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいアシル基、置換基群Aから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいC1−6アルコキシカルボニル基、置換基群Aから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいアルC1−6アルコキシカルボニル基、置換基群Aから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいシリル基、置換基群Aから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいシンナモイル基、テトラヒドロフラニル基又はテトラヒドロピラニル基である。
置換基群A:ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、置換基群Bから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいカルバモイル基、置換基群Bから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいスルファモイル基、置換基群Bから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいC1−6アルキル基、置換基群Bから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいC2−6アルケニル基、置換基群Bから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいC2−6アルキニル基、置換基群Bから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいC3−8シクロアルキル基、置換基群Bから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいアリール基、置換基群Bから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいC1−6アルコキシ基、置換基群Bから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいアリールオキシ基、置換基群Bから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいアシル基、置換基群Bから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいC1−6アシルオキシ基、置換基群Bから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいC1−6アルコキシカルボニル基、置換基群Bから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基群Bから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいC1−6アルコキシカルボニルオキシ基、置換基群Bから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいC1−6アルキルアミノ基、置換基群Bから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいジ(C1−6アルキル)アミノ基、置換基群Bから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいC1−6アルキルチオ基、置換基群Bから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいC1−6アルキルスルホニル基、置換基群Bから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいC1−6アルキルスルホニルオキシ基、置換基群Bから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよいC1−18シリル基、置換基群Bから選ばれる一つ以上の基で置換されてもよい複素環式基、オキソ基;
置換基群B:ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、C1−6アルキル基、アリール基、C1−6アルコキシ基、複素環式基、オキソ基)。 - 前記式(1)で示される化合物と、前記式(2)で示される化合物との反応の反応温度が40〜100℃である、請求項1に記載の方法。
- 前記式(1)で示される化合物と、前記式(2)で示される化合物との反応の反応温度が55〜80℃である、請求項1に記載の方法。
- 前記式(1)で示される化合物と、前記式(2)で示される化合物との反応を、窒素雰囲気下で行う、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
- 前記分離精製工程のメチルエチルケトンを含む溶媒の使用量が、前記のαグリコシル化体とβグリコシル化体との混合物の質量の40倍量以下である、請求項5に記載の方法。
- 前記分離精製工程のメチルエチルケトンを含む溶媒の使用量が、前記のαグリコシル化体とβグリコシル化体との混合物の質量の20倍量以下である、請求項5又は6に記載の方法。
- 前記分離精製工程において、前記のαグリコシル化体とβグリコシル化体との混合物を、メチルエチルケトンを含む溶媒中において60℃以上の温度で溶解した後、得られた溶液を冷却することによって、再結晶化を行う、請求項5から7の何れか一項に記載の方法。
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