以下、電子制御装置の幾つかの実施形態について図面を参照しながら説明する。以下に説明する各実施形態において、同一又は類似の動作を行う構成については、同一又は類似の符号を付して必要に応じて説明を省略する。なお、下記の実施形態において同一又は類似する構成には、符号の十の位と一の位とに同一数字を付して説明を行っている。
(第1実施形態)
図1は電子制御装置(以下ECUと略す)1の構成を機能ブロック図により示し、図2はこのECU1の具体的な電気的構成例をECU101として示している。
図1及び図2のECU1、101は、例えば自動車などの車両に搭載されたN(≧1)気筒の内燃機関の気筒内に燃料を直接的に噴射供給するN個のソレノイド式のインジェクタ2を駆動するエンジンECUであり、インジェクタ2を構成する噴射弁を開弁・閉弁するための電磁コイル(以下、コイルと略す)3の通電開始タイミング及び通電時間を制御する。噴射弁は常閉型の電磁弁であり、コイル3に電流が流されることで噴射弁は開弁する。噴射弁には燃料ポンプにより加圧された燃料が供給され開弁したときには加圧された燃料を内燃機関に供給する。これによりインジェクタ2は内燃機関に燃料を噴射し混合気を形成できる。本実施形態において、ECU1、101はN=1気筒とした例を示している。
図1に示すECU1は、制御部4、昇圧回路5、放電スイッチ6、定電流スイッチ7、気筒選択スイッチ8と共に、ダイオード9、10、電源フィルタ11、バッテリ電源通電用のダイオード12、接続部13、電源部14、コンデンサ15、及び、情報保持回路16を備える。このECU1には、バッテリ17が接続されている。バッテリ電圧VBATTは、その標準値が例えば12V程度であり、バッテリ17のバッテリ電圧VBATTをバッテリ入力端子1aに入力すると共に、メインリレー18を通じてメインの電源電圧VBを電源入力端子1bに入力するように構成されている。バッテリ電圧VBATTは、電源供給ラインL1に沿うと共にダイオード12のアノードカソード間を通じて電源部14の電源入力ノードNnに常時電源として与えられる。
図1の制御部4は、例えば図2に示すように制御IC104により構成される。この制御IC104は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成され、図示しないロジック回路又はCPU等の制御主体と各種メモリ(RAM、ROM等)を備えると共に、予め定められる閾値と電流検出抵抗の検出電流とを比較する比較部、など(何れも図示せず)を備える。制御IC104は、メモリに記憶されている制御プログラムを実行することにより、ハードウェア及びソフトウェアに基づいて各種制御を実行するように構成される。
図1の電源部14は、情報保持用電源部として構成されるもので、例えば図2に示すように電源IC114により構成される。例えば、この電源IC114には、イグニッションスイッチ等の電源スイッチ19が接続されており、この電源スイッチ信号IGSWのオン・オフを受付ける。電源スイッチ信号IGSWがオンになると、電源IC114はメインリレー18をオン制御し、バッテリ電圧VBATTをメインの電源電圧VBとして電源入力端子1bに入力させる。
電源IC114は、電源入力ノードNnに入力される電圧VNが所定電圧(例えば、数V)以上となると、所定電圧を定電圧出力する特性を備えており、情報保持回路16(後述のマイクロコンピュータ116に相当)が情報を保持するための電源電圧VOSを出力する。この電源電圧VOSはコンデンサ15に蓄積されることで定電圧化される。また、電源IC114は制御IC104の電源電圧も出力するが、この詳細説明は省略する。
図1の情報保持回路16は、図2に示すようにマイクロコンピュータ(以下、マイコンと略す)116により構成される。図2に示すように、このマイコン116は、例えばCPU20、スタンバイRAM(以下、SRAM)21、及び、EEPROM22を備える。CPU20は、RAM及びROM(図示せず)を内蔵しており、ROMに記憶されているプログラムを実行することで各種処理を実行する。マイコン116は、図示しない入力回路を通じて、アクセル開度、スロットル開度、クランク角度、水温、イグニッションスイッチ信号等の車両の運転状態を示す信号を各種センサ及び各種スイッチ等(図示せず)から必要に応じて入力し、これらの信号に応じて噴射指令信号を制御IC104に出力する。制御IC104は噴射指令信号を入力するとインジェクタ2の噴射弁から燃料を噴射制御する。またマイコン116は、制御IC104とシリアル通信可能に接続されており、制御IC104が噴射制御したときの実噴射量の学習値等の各種情報を、制御IC104に通信処理できる。
SRAM22は、例えば過去(例えば前回)の電源スイッチ19のオン時において例えばアイドル回転速度が目標回転速度に釣り合うために必要な実噴射量の学習値等を記憶する領域を備える。このSRAM22は、例えばバッテリ17の交換により電力供給が途絶えたときには記憶データを消失するメモリである。EEPROM21は、書き換え可能な不揮発性メモリであり、バッテリ17から電力供給が遮断されても記憶データを保持可能なメモリである。
また昇圧回路5は、メインの電源電圧VBの電源入力端子1bから当該電源電圧VBの供給ノードNB及び電源フィルタ11を介して接続されている。電源フィルタ11は、例えばチョークコイル23及びコンデンサ24を備えて構成され、昇圧回路5に生じるスイッチングノイズを遮断する。
昇圧回路5は、インジェクタ2のコイル3に高電圧を印加し噴射弁を開弁するために設けられるものであり、インダクタ25、昇圧スイッチ26、ダイオード27、及び、充電コンデンサ28を主とした昇圧型のDCDCコンバータにより構成され、さらに電流検出抵抗29、30を備える。
昇圧スイッチ26は、例えばNチャネル型のMOSトランジスタにより構成され、制御IC104からオン・オフ駆動される。電源電圧VBの供給ノードNBとグランドノードNSとの間には、インダクタ25、昇圧スイッチ26を構成するMOSトランジスタのドレインソース間、及び、電流検出抵抗29が直列接続されている。制御IC104には電流検出抵抗29の端子間電圧が入力されており、これにより制御IC104は、昇圧スイッチ26、インダクタ25に流れる電流を検出可能になっている。インダクタ25と昇圧スイッチ26との共通接続ノードには、ダイオード27のアノードが接続されている。ダイオード27のカソードは昇圧電圧VBOOSTを出力する昇圧電圧出力ノードN1とされており、この昇圧電圧出力ノードN1とグランドノードNSとの間には、充電コンデンサ28と電流検出抵抗30とが直列接続されている。
充電コンデンサ28は、例えばアルミ電解コンデンサにより構成され、インダクタ25からダイオード27を通じて供給される電力を充電する。電流検出抵抗30が充電コンデンサ28に直列接続されており、制御IC104にはこの電流検出抵抗30の端子間電圧が入力されている。これにより、制御IC104は充電コンデンサ28の充電電流を検出可能になっている。
この充電コンデンサ28の端子間電圧は、昇圧電圧出力ノードN1に出力される。この昇圧電圧出力ノードN1には放電スイッチ6が接続されている。この放電スイッチ6は、充電コンデンサ28とインジェクタ2のコイル3の上流側端子1cとの間に接続され、充電コンデンサ28からコイル3に当該充電コンデンサ28の蓄積電荷を放電切替可能に接続されている。
この放電スイッチ6は、例えばNチャネル型のMOSトランジスタにより構成されており、このMOSトランジスタのゲートは制御IC104に接続されており、そのドレインは昇圧回路5の昇圧電圧出力ノードN1に接続され、ソースはECU1の上流側端子1cに接続されている。
また、電源電圧VBの供給ノードNBと上流側端子1cとの間には、定電流スイッチ7とダイオード9とが直列接続されている。定電流スイッチ7は、例えばNチャネル型のMOSトランジスタを用いて構成される。定電流スイッチ7を構成するMOSトランジスタのゲートは制御IC104に接続され、ドレインは電源フィルタ11を通じて電源電圧VBの供給ノードNBに接続され、ソースはダイオード9のアノードカソード間を通じてECU1の上流側端子1cに接続されている。また、この上流側端子1cとグランドノードNSとの間には還流用のダイオード10が逆方向接続されている。
ECU1の上流側端子1cと下流側端子1dとの間には、駆動対象となるインジェクタ2のコイル3が外部に接続されている。下流側端子1dとグランドノードNSとの間には気筒選択スイッチ8が構成されている。気筒選択スイッチ8は例えばNチャネル型のMOSトランジスタにより構成されている。
気筒選択スイッチ8を構成するMOSトランジスタは、そのドレインが下流側端子1dに接続されており、そのソースが電流検出抵抗31に接続されている。気筒選択スイッチ8を構成するMOSトランジスタは、そのドレインが下流側端子1dに接続されており、そのソースが電流検出抵抗31に接続されている。
電流検出抵抗31は、気筒選択スイッチ8を構成するMOSトランジスタのドレインソース間に直列接続されている。この電流検出抵抗31の端子間電圧は制御IC104に入力され、制御IC104は、電流検出抵抗31の端子間電圧を検出することで、気筒選択スイッチ8、コイル3に流れる電流の情報を取得できる。
そして制御IC104は、昇圧スイッチ26、放電スイッチ6、定電流スイッチ7、及び、気筒選択スイッチ8をオン・オフ制御し、電流検出抵抗29〜31に流れる電流を当該電流検出抵抗29〜31の端子間電圧により検出し、この検出信号に応じて噴射制御処理を実行する。
また、図1に示すように接続部13が昇圧電圧出力ノードN1と電源部14の電源入力ノードNnとの間に接続されている。接続部13は、昇圧回路5の昇圧電圧出力ノードN1を電源供給ラインL1に並列接続することにより昇圧電圧VBOOSTに応じた電圧を電源IC114の電源入力ノードNnに入力させるように接続する。
本実施形態では、図1の接続部13は、例えば図2に示すようにダイオード113により構成され、この図2に示すように、ダイオード113は昇圧電圧出力ノードN1から電源IC114の電源入力ノードNnに向けて順方向に接続されており、当該昇圧電圧出力ノードN1から電源入力ノードNnに向けて一方向に通電可能になっている。
上記構成の動作を説明する。図3は、電源スイッチ19がオフからオンされ、その後オフされたときのタイミングチャートを示している。また、図4は、マイコン116から噴射指令信号が与えられたときに、制御IC104が噴射制御するときの放電スイッチ6及び定電流スイッチ7のオン・オフ状態、及び、インジェクタ2のコイル3に流れる電流変化を概略的に示している。
前述した図2の構成において、バッテリ17は、ECU101のバッテリ入力端子1aにバッテリ電圧VBATTを常時出力する。図3のバッテリ電圧VBATTの電圧VBA0参照。このバッテリ電圧VBATTはダイオード12を通じて電源IC114の電源入力ノードNnに入力される。
図3の期間T11に示すように、電源スイッチ19の電源スイッチ信号IGSWがオフのときには、電子制御装置101の制御IC104は昇圧回路5を昇圧動作させることはない。このため、昇圧電圧VBOOSTはバッテリ電圧VBA0よりも大幅に下回る。電源IC114は、バッテリ電圧VBA0に応じた電圧VNを電源入力ノードNnに入力する。この電圧VNは、バッテリ17の電圧VBA0−ダイオード12の順方向電圧VFとなる。電源IC114は、この電圧VNに応じて一定の電源電圧VOS0を生成し、マイコン116の電源電圧(例えば3.3V)VOSとして印加する。
マイコン116は、この電源電圧VOSを入力しているため、実噴射量の学習値などの情報をSRAM22に保持できる。なお、電源IC114は制御IC104の電源電圧(例えば5V)も生成して当該制御IC104に出力するが、この説明は省略する。このとき、バッテリ17から流れ込む電流IBATTは一定の電流量IBA0となる。
この後、期間T12に示すように、電源スイッチ19の信号IGSWがオフからオンになると、この電源スイッチ信号IGSWが電源IC114に与えられ、電源IC114はメインリレー18をオン制御する。メインリレー18がオンされると、ECU101には電源電圧VBが供給開始される。
電源電圧VBが供給されると、制御IC104は内燃機関に燃料を噴射するため、昇圧回路5に昇圧動作を行わせる。このとき、制御IC104は、比較的短い周期で昇圧スイッチ26をオン・オフする。昇圧スイッチ26のオン時には、インダクタ25はエネルギを蓄積し、昇圧スイッチ26のオフ時には、インダクタ25のエネルギが充電コンデンサ28に充電される。この動作が繰り返されることにより、昇圧電圧出力ノードN1の電圧が、バッテリ電圧VBATTを超える所定電圧(例えば60〜70[V])に達するように上昇する。このときの昇圧回路5の昇圧スイッチ26のスイッチング周期は、例えば後述の1回の噴射周期よりも大幅に短くなっている。
この後、図4に示すように、マイコン116が噴射指令信号を制御IC104に出力すると、制御IC104は、この噴射指令信号に合わせてインジェクタ2から燃料を噴射させる。具体的には、マイコン116が、図4のタイミングt2において噴射指令信号のアクティブレベル(例えば「H」)を出力すると、制御IC104は気筒選択スイッチ8をオン制御する。また制御IC104は、この気筒選択スイッチ8のオンタイミングと同時またはその直後に放電スイッチ6をオン制御する。気筒選択スイッチ8及び放電スイッチ6がオンされると、充電コンデンサ28の充電電圧がコイル3に放電され、図4のタイミングt2〜t3に示すように、コイル3の通電電流が上昇する。
制御IC104は、電流検出抵抗31の端子間電圧を検出し、このコイル3の電流の上昇を検出する。そして、制御IC104は、図4のタイミングt3において、電流検出抵抗31の端子間電圧を検出することでコイル3の通電電流がピーク電流閾値Ipに達したことを検知すると放電スイッチ6をオフし、その後、ピーク電流Ipよりも低い定電流範囲にコイル3の通電電流を調整するように定電流スイッチ7をオンオフ制御する。この定電流制御は、噴射指令信号がノンアクティブレベル(例えば「L」)となるまで繰り返される。1回の噴射制御処理は、このような流れを基本的な流れとして行われるが、エンジンを駆動するときには、このような噴射制御処理が繰り返し行われる。
この間、昇圧電圧VBOOSTは、放電スイッチ6がオンされたタイミングt2〜t3において瞬時的に低下するものの、制御IC104が継続して昇圧スイッチ26をオン・オフすることで昇圧電圧VBOOSTを一定の電圧VBO0まで復帰させている。このため、全体の流れを観察すれば、昇圧電圧VBOOSTは、図3に示されるように概ね一定の電圧VBO0(例えば、60[V]〜70[V])に保たれることになる。
図3の期間T12においては、昇圧電圧出力ノードN1の昇圧電圧VBOOSTがバッテリ電圧VBA0より高いため、電源IC114は昇圧電圧出力ノードN1に生じる昇圧電圧VBOOSTを用いて電源電圧VOSを生成しマイコン116に出力する。したがって、バッテリ17から電源IC114に流れ込む電流IBATTは概ね0となる。
この後、図3の期間T13に示されるように、エンジン停止のために運転者がイグニッションスイッチをオフすることで、電源スイッチ19がオンからオフされると、電源IC114は、この電源スイッチ信号IGSWの変化を受付けてメインリレー18をオフ制御する。メインリレー18がオフすると、ECU101には電源電圧VBが供給されなくなる。このとき制御IC104は制御動作を停止すると共に昇圧回路5の昇圧動作も停止させる。
昇圧回路5の昇圧電圧出力ノードN1は、ダイオード113を通じて電源IC114の電源入力ノードNnに接続されている。このため制御IC104が昇圧回路5の昇圧動作を停止させたとしても、昇圧回路5の昇圧電圧VBOOSTがバッテリ電圧VBATT(=VBA0)より高い間、電源IC114は昇圧電圧出力ノードN1の電圧を用いて電源電圧VOSを生成できる。
この期間T13においては、電源IC114が昇圧電圧出力ノードN1の電圧を用いて電源電圧VOSを生成するため、昇圧電圧出力ノードN1の昇圧電圧VBOOSTは徐々に低下するが、昇圧電圧VBOOSTがバッテリ電圧VBATT(=VBA0)に近い電圧に達するまで、バッテリ電圧VBATTを電源とした動作用電力、情報保持用電力を必要としなくなり、バッテリ17から流れ込む電流IBATTを低減、すなわち概ね0にできる。これにより暗電流を低減できる。
暗電流を低減可能な時間t[s]は、充電コンデンサ28の容量をC[F]、SRAM22の情報保持用の電流をI、とすると、時間t=C・V/Iとなり、この間、暗電流を低減できる。実用的な値を用いて算出すると、バッテリ17を用いた暗電流を約数分〜数時間の間、節約できる。
その後の期間T14においては、昇圧電圧VBOOSTが低下するため電源IC114は当該昇圧電圧VBOOSTを用いて電源生成できない。このとき、バッテリ電圧VBATTによる電流IBATTがダイオード12を通じて電源IC114の電源入力ノードNnに流れ込む。このため、電源IC114の電源入力ノードNnの電圧は、概ねバッテリ17の電圧VBA0−ダイオード12の順方向電圧VFとなる。これにより、電源IC114は、バッテリ17の電圧VBA0を用いて電源電圧VOS0を生成できる。このとき、バッテリ17から流れ込む電流IBATTは一定電流IBA0となる。
期間T14において、昇圧電圧出力ノードN1の昇圧電圧VBOOSTは、他の回路(例えば、昇圧回路5内)で生じるリーク電流に応じてわずかに低下するものの、この低下度は期間T13における電圧低下度に比較して小さい。このため、昇圧電圧VBOOSTは、概ねバッテリ電圧VBATTの標準的な電圧VBA0に保持されるようになる。
この後、例えば運転者がイグニッションスイッチを操作することに応じて再度電源スイッチ19がオンされれば、昇圧電圧VBOOSTが再度大きくなるが、期間T12以降と同様の動作となるため、この説明は省略する。
<比較例>
特許文献1記載の技術によれば、電子制御装置の電源がオフされているときにおいても昇圧電圧は保持されるようになっている。このため、この昇圧電圧に基づくエネルギは、接続回路における自然放電、回路のリーク電流により消費されてしまうことになる。
<本実施形態の概念的なまとめ>
本実施形態のECU101によれば、接続部13は、昇圧回路5の昇圧電圧VBOOSTの昇圧電圧出力ノードN1をバッテリ電圧VBATTによる電源供給ラインL1に並列接続して当該昇圧電圧VBOOSTに応じた電圧を電源IC114の電源入力ノードNnに入力させている。これにより、比較例では自然放電又は回路のリーク電流により消費されていたエネルギを、マイコン116内のSRAM22のメモリ保持用のエネルギとして使用することができ、ECU101で消費される暗電流を低減できる。
また、昇圧回路5の昇圧電圧VBOOSTの昇圧電圧出力ノードN1と電源IC114の電源入力ノードNnとの間に順方向にダイオード12を備えている。これにより、昇圧回路5の昇圧電圧VBOOSTに基づく電流を電源IC114の電源入力ノードNnに入力させることができる。また、昇圧電圧VBOOSTに基づいて生成される電圧が低下したときには、バッテリ電圧VBATTによる電流IBATTを電源IC114の電源入力ノードNnに入力させることができる。
(第2実施形態)
図5及び図6は第2実施形態の追加説明図を示している。図5は図2に代わる電気的構成図を概略的に示している。この図5に示す電子制御装置201は、第1実施形態のダイオード113に代えて制御スイッチ213を設けており、また電源IC214の内部にスイッチ制御部232を設けている。スイッチ制御部232は、制御スイッチ213をオン・オフ制御可能になっている。制御スイッチ213はノーマリーオン特性を備えるスイッチであり、スイッチ制御部232が制御スイッチ213をオフ制御しないときには制御スイッチ213はオン状態に保持される。その他の構成は、前述実施形態と同様であるため説明を省略する。なお、本実施形態において、図1の接続部13に対応した構成は、図5における制御スイッチ213、及び、必要に応じてスイッチ制御部232により構成される。
図6は動作を概略的に示すタイミングチャートを示しており、期間T21〜T24は前述実施形態のT11〜T14に対応した期間を示している。バッテリ電圧VBATTは電圧VBA0に保持されているものとして説明を行う。
電源スイッチ19がオフされているときに制御スイッチ213はオンされている。図6の期間T21において、電源スイッチ19の電源スイッチ信号IGSWがオフのときには、電子制御装置201の昇圧回路5は動作していないため、昇圧電圧VBOOSTはバッテリ電圧VBA0よりも大幅に下回る。このため電源IC214は、バッテリ電圧VBA0に応じた電圧VNを入力すると、この電圧VNに応じて一定の電圧VOS0を生成し、マイコン116の電源電圧VOSとして出力する。マイコン116は、この電源電圧VOSを入力するため実噴射量の学習値などの情報をSRAM22に保持できる。
期間T22において、電源スイッチ19がオフからオンされると、この電源スイッチ信号IGSWが電源IC214に与えられる。電源IC214は、メインリレー18をオン制御すると共にスイッチ制御部232により制御スイッチ213をオフ制御する。
メインリレー18がオンされると、ECU201には電源電圧VBが供給される。電源電圧VBが供給されると、制御IC104は昇圧回路5に昇圧動作させる。そして、マイコン116が噴射指令信号を制御IC104に出力すると、制御IC104は、この噴射指令信号に合わせてインジェクタ2から燃料を噴射させる制御を行う。このインジェクタ2を駆動している期間中、昇圧回路5の昇圧電圧出力ノードN1の昇圧電圧VBOOSTは、図4に示したように電圧変動することになる。なお、図6の期間T22は図4の期間T12に対応した期間を示しており、インジェクタ2を駆動している期間を示している。
図6に制御スイッチ213のオン・オフ状態SSWを示すように、期間T22には、スイッチ制御部232が制御スイッチ213をオフ制御している。このため、昇圧電圧VBOOSTの電圧変動が、電源IC214の電源入力ノードNnへの供給電圧に影響することがなくなる。このため、バッテリ17の電圧VBATTに応じた電圧VNを電源IC214に供給できる。
期間T23において、電源スイッチ19がオンからオフされると、電源IC214が電源スイッチ信号IGSWの変化を受け付けメインリレー18をオフ制御すると共に制御スイッチ213をオン制御する。メインリレー18がオフされるときには、制御IC104は制御動作を停止すると共に昇圧回路5の昇圧動作も停止させる。制御IC104が昇圧回路5の昇圧動作を停止させると共に噴射制御も停止しているため、昇圧回路5の昇圧電圧VBOOSTは変動することなく安定的に出力される。
昇圧回路5の昇圧電圧出力ノードN1は制御スイッチ213を通じて電源IC214に接続されているため、制御IC104が昇圧回路5の昇圧動作を停止させたとしても、昇圧回路5の昇圧電圧VBOOSTがバッテリ電圧VBATT(=VBA0)より高い間、昇圧電圧VBOOSTが電源IC214の電源入力ノードNnに入力されるようになり、電源IC214は昇圧電圧VBOOSTを用いて電源電圧VOSを生成できる。
この期間T23においては、電源IC214が昇圧電圧VBOOSTを用いて電源電圧VOSを生成するため、昇圧電圧VBOOSTは初期電圧VBO0から徐々に低下するが、昇圧電圧VBOOSTがバッテリ電圧VBATT(=VBA0)に近い電圧に達するまで、バッテリ電圧VBATTを電源とした動作用電力、情報保持用電力を必要としなくなり、バッテリ17から流れ込む電流IBATTを低減、すなわち概ね0にできる。これにより、暗電流を低減できる。この後の期間T24における動作は、第1実施形態の期間T14における動作と同様であるため、その説明を省略する。
以上説明したように、本実施形態によれば、昇圧電圧VBOOSTの昇圧電圧出力ノードN1と電源IC214の電源入力ノードNnとの間を通断する制御スイッチ213を備え、インジェクタ2を駆動しているときには制御スイッチ213をオフし、インジェクタ2を駆動していないときには制御スイッチ213をオンするようにしている。
これにより、インジェクタ2を駆動しているときには昇圧回路5の昇圧電圧出力ノードN1から電源IC214への供給経路を断つことができ、昇圧回路5の昇圧電圧VBOOSTの変動の影響を受けることなく電源IC214は電源電圧VOSを生成できるようになり安定した電源電圧VOSをマイコン216に出力できる。
逆に、インジェクタ2を駆動していないときには昇圧回路5の昇圧電圧VBOOSTの昇圧電圧出力ノードN1から電圧変動の影響を受けていない昇圧電圧VBOOSTを電源IC214に供給できる。これにより、極力安定した電源電圧VOSを生成できると共に暗電流も低減できる。
(第3実施形態)
図7及び図8は、第3実施形態の追加説明図を示している。第3実施形態のECU301は、昇圧回路5の昇圧電圧VBOOSTを降圧して電源IC114の電源入力ノードNnに入力させる降圧回路333を備えるところに特徴を備えており、ECU301のその他の構成は第1実施形態のECU101の構成と同様であるため、その説明を省略する。なお、本実施形態においては、図1の接続部13に対応した構成は、図7に示すダイオード113及び降圧回路333により構成される。
降圧回路333は、昇圧回路5の昇圧電圧VBOOSTの昇圧電圧出力ノードN1と電源IC114の電源入力ノードNnとの間に構成されており、NPN形のバイポーラトランジスタ34、抵抗35、及び、ツェナーダイオード36を備える。昇圧電圧VBOOSTの昇圧電圧出力ノードN1とダイオード113のアノードとの間には、バイポーラトランジスタ34のコレクタエミッタ間が接続されており、コレクタベース間には抵抗35が接続されている。また、バイポーラトランジスタ34のベースとグランドとの間にはツェナーダイオード36が逆方向接続されている。降圧回路333は、ツェナーダイオード36のツェナー電圧Vzを調整することで昇圧電圧VBOOSTの降圧電圧Vdを調整できる。
通常、昇圧回路5の昇圧電圧VBOOSTは、数十V(例えば60[V]〜70[V])であり、電源IC114の出力電圧は、例えば数V(1.2[V]〜1.5[V]、3.3[V]等)である。このため、電源IC114の仕様上、電源入力ノードNnに入力する電源入力範囲の上限許容電圧が低い値となるときには、本実施形態のように降圧回路333を設けると良く、これにより、昇圧回路5の昇圧電圧VBOOSTの降圧電圧Vd−VF(例えば、16V(=Vd)−ダイオード113の順方向電圧Vf)を電源IC114の電源入力ノードNnに入力させることができる。これにより、電源IC114の電源入力ノードNnには、当該電源IC114の電源入力範囲の上限許容電圧を満たす電圧が入力されるようになる。
図8は動作をタイミングチャートで概略的に示しており、期間T31〜T34は前述実施形態のT11〜T14、T21〜T24に対応した期間を示している。バッテリ電圧VBATTは、標準電圧VBA0で一定に保持されているものとして説明を行う。
図8の期間T31において、電源スイッチ19の電源スイッチ信号IGSWがオフのときには、バッテリ電圧VBATTの標準電圧VBA0(例えば12V)−ダイオード12の順方向電圧Vfが電源入力ノードNnに電圧VNとして入力される。
図8の期間T32においては、昇圧電圧VBOOSTの降圧電圧Vd(≒16V)−ダイオード113の順方向電圧VFが電源入力ノードNnに入力される。この電圧Vd−VFがバッテリ電圧VBATT(=VBA0)よりも高く調整されているときには、期間T33において、電源スイッチ19がオフされたときにも、電圧Vd−VFが継続して入力される。また例えば、昇圧電圧VBOOSTの降圧電圧Vdが意図的にバッテリ電圧VBATT(=VBA0)よりも高く調整されていれば、期間T33において、電源IC114は、昇圧電圧VBOOSTによる電力をバッテリ17の電力よりも優先的に用いて電源電圧VOSを生成できる。暗電流を低減可能な時間t[s]は、充電コンデンサ28の容量をC[F]、SRAM22の情報保持用の電流をI、降圧回路333の降圧効率をη[%]とすると、時間t=C・V/I×ηとなり、この間、暗電流を低減できる。その他の動作は、前述実施形態と同様であるため、説明を省略する。なお図7には、降圧回路333と電源IC114の電源入力ノードNnとの間に別途ダイオード113を介在させている形態を示しているが、ダイオード113は必要に応じて設ければ良い。
本実施形態の電子制御装置301は、昇圧回路5の昇圧電圧VBOOSTを降圧し電源IC114の電源入力ノードNnに入力させる降圧回路333を備えている。これにより、電源IC114の仕様上、電源入力ノードNnの上限許容電圧がたとえ低かったとしても適切な電圧を入力させることができる。
また、降圧回路333の降圧電圧Vdがバッテリ電圧VBATTよりも高く調整されているときには、電源IC114は昇圧電圧VBOOSTに基づく電力をバッテリ17の電力よりも優先的に使用して電源電圧VOSを生成できる。
(第4実施形態)
図9及び図10は第4実施形態の追加説明図を示している。図9のECU401に示すように、第1実施形態の図2の構成と第2実施形態の図4の構成とを組み合わせるように構成しても良く、例えば、昇圧回路5の昇圧電圧出力ノードN1と電源IC214の電源入力ノードNnとの間にダイオード113と制御スイッチ213と直列接続すると良い。その他の構成は、前述実施形態と同様であるため説明を省略する。なお、本実施形態においては、図1の接続部13に対応した構成は、図9におけるダイオード113及び制御スイッチ213により構成される。
図10は動作を概略的に示すタイミングチャートを示しており、期間T41〜T44は前述実施形態のT11〜T14、T21〜T24等に対応した期間を示している。
期間T41、T42の動作は、期間T21、T22と同様であるため説明を省略する。
図10の期間T43においては、電源IC214が昇圧電圧出力ノードN1の昇圧電圧VBOOSTを用いて電源電圧VOSを生成するため、昇圧電圧出力ノードN1の昇圧電圧VBOOSTは初期電圧VBO0−ダイオード113の順方向電圧VFから徐々に低下するが、昇圧電圧VBOOSTがバッテリ電圧VBATT(=VBA0)に達するまで、電圧VBOOST―VFが電源IC214の電源入力ノードNnに入力されるようになり、電源IC214はこの昇圧電圧VBOOSTに応じた電圧VBOOST−VFを用いて電源電圧VOSを生成できる。これにより、バッテリ17から流れ込む電流IBATTを低減、すなわち概ね0にでき、暗電流を低減できる。
また、期間T44において、昇圧電圧VBOOSTがバッテリ電圧VBATTを下回った後にはバッテリ電圧VBATTが電源IC214の電源入力ノードNnに入力されるようになり、電源IC214がこのバッテリ電圧VBATT(=VBA0)を用いて電源電圧VOSを生成する。これにより、マイコン116の内部のSRAM22の記憶情報を保持できる。
本実施形態においても、概ね前述実施形態と同様の作用効果を得られる。
(第5実施形態)
図11及び図12は第5実施形態の追加説明図を示している。図11のECU501に示すように、第2実施形態で説明した制御スイッチ213及びスイッチ制御部232と、第3実施形態で説明した降圧回路333と、を組み合わせるように構成しても良く、例えば昇圧回路5の昇圧電圧出力ノードN1と電源IC214の電源入力ノードNnとの間に制御スイッチ213と降圧回路333とを直列接続するように構成しても良い。その他の構成は、前述実施形態と同様であるため説明を省略する。なお本実施形態において、図1の接続部13に対応した構成は、降圧回路333、制御スイッチ213、及び、必要に応じてスイッチ制御部232により構成される。
図12はタイミングチャートを示しており、期間T51〜T54はそれぞれ前述実施形態のT11〜T14、T21〜T24、T31〜T34、T41〜T44に対応した期間を示している。
図12の期間T51においては、前述の期間T21と同様の動作となるため説明を省略する。このとき、電源IC214の電源入力ノードNnにはバッテリ電圧VBATT(=VBA0)−ダイオード12の順方向電圧VFが入力される。
図12の期間T52において、電源スイッチ19の電源スイッチ信号IGSWがオンになると、スイッチ制御部232は制御スイッチ213をオフ制御する。制御スイッチ213のオン・オフ状態SSW参照。これにより、電源IC214の電源入力ノードNnには、バッテリ電圧VBATT(=VBA0)−ダイオード12の順方向電圧VFが入力される。
また図12の期間T53において、電源スイッチ19がオフされると、スイッチ制御部232が制御スイッチ213をオン制御する。これにより電源IC214の電源入力ノードNnには昇圧電圧VBOOSTの降圧電圧Vdが入力される。前述実施形態に示しているため詳細説明を省略するが、本実施形態においても第2及び第3実施形態に示した作用効果を併せ持つようになる。
(第6実施形態)
図13及び図14は第6実施形態の追加説明図を示している。図13のECU601に示すように、第2実施形態で説明した制御スイッチ213と、第3実施形態で説明した降圧回路333と、第1実施形態で説明したダイオード113と、を組み合わせるように構成しても良く、例えば、昇圧回路5の昇圧電圧出力ノードN1と電源IC214の電源入力ノードNnとの間に制御スイッチ213と降圧回路333とダイオード113とを直列接続するように構成しても良い。その他の構成は、前述実施形態と同様であるため説明を省略する。なお、本実施形態においては、図1の接続部13に対応した構成は、図13におけるダイオード113、制御スイッチ213、降圧回路333及び必要に応じてスイッチ制御部232により構成される。
図14はタイミングチャートを示しており、期間T61〜T64は、前述実施形態のT11〜T14、T21〜T24、T31〜T34、T41〜T44、T51〜T54に対応した期間を示している。
図14の期間T61においては、前述の期間T21と同様の動作となるため説明を省略する。このとき、電源IC214の電源入力ノードNnにはバッテリ電圧VBATT(=VBA0)−ダイオード12の順方向電圧VFが入力される。
図14の期間T62において、電源スイッチ19の電源スイッチ信号IGSWがオンになると、スイッチ制御部232は制御スイッチ213をオフ制御する。制御スイッチ213のオン・オフ状態SSW参照。これにより、電源IC214の電源入力ノードNnには、バッテリ電圧VBATT(=VBA0)−ダイオード12の順方向電圧VFが入力される。
また図14の期間T63において、電源スイッチ19がオフされると、スイッチ制御部232は制御スイッチ213をオン制御する。これにより、電源IC214の電源入力ノードNnには昇圧電圧VBOOSTの降圧電圧Vd−ダイオード113の順方向電圧VFが入力されるようになる。これにより、電源IC214は昇圧電圧VBOOSTを用いて電源電圧VOSを生成することができ、前述実施形態と同様の作用効果を奏する。
第1〜第3実施形態に示しているため詳細説明を省略するが、第1〜第3実施形態に示した作用効果を併せ持つようになる。
(第7実施形態)
図15及び図16は第7実施形態の追加説明図を示している。この第7実施形態のECU701は、マイコン116のSRAM22に電源電圧VOSを出力/停止する指令を外部から受け付けるように構成したところに特徴を備える。
本実施形態のECU701は、電源IC214に代わる電源IC314を備える。昇圧回路5の昇圧電圧VBOOSTの昇圧電圧出力ノードN1と電源IC314の電源入力ノードNnとの間に制御スイッチ213が接続されている。電源IC314は、情報保持用電源部と共に指令受付部としても機能するブロックであり、スイッチ制御部232を備え、スイッチ制御部232が制御スイッチ213をオン・オフ制御する。
第1実施形態に説明したように、マイコン116は、内蔵のRAM、ROMと共に、図2に示すEEPROM21、及び、SRAM22を備える。SRAM22は、例えば実噴射量の学習値等を記憶するメモリであり、一般に、バッテリ17の交換によりECU701へのバッテリ17による電力供給が遮断されたときには、SRAM22は記憶データを消失するように用いられることが通例である。
前述実施形態に示したように、バッテリ電圧VBATTと共に昇圧電圧VBOOSTも電源IC214の電源入力ノードNnに入力されていると、バッテリ17を交換したとしても、昇圧電圧VBOOSTが高く保持されている間、電源IC314は、マイコン116に情報保持用の電源電圧VOSを供給し続ける。このため、修理工場の作業者などがバッテリ17の交換を行うことでSRAM22の記憶データを消去可能と判断していると都合が悪い。このため、作業者がバッテリ17を交換することでSRAM22のメモリ記憶内容を消去したいという要望を叶えるためには、マイコン116への電源出力を停止するための指令部を外部に設けると良い。
そこで、本実施形態の構成では、図15に示すように、ECU701の外部に指令部として外部スイッチ37が接続されている。この外部スイッチ37は、SRAM22の記憶データを消去選択可能にするスイッチである。この外部スイッチ37は、電源IC314がマイコン116への電源電圧VOSの出力をオン・オフ(出力・停止)するために設けられている。電源IC314には、外部スイッチ37が接続されている。
電源IC314は、この外部スイッチ37によるオン・オフの信号を入力することで、電源電圧VOSの出力・停止の指令を受け付ける。外部スイッチ37がオンされているときに、電源IC314は昇圧電圧VBOOSTを高く入力していれば電源電圧VOSを出力する。また、外部スイッチ37がオフされているときには、電源IC314はたとえ昇圧電圧VBOOSTを高く入力していても電源電圧VOSの出力を停止する。これにより、電源IC314は、外部スイッチ37のオン・オフ状態に応じて、昇圧回路5の昇圧電圧VBOOSTに基づく電源電圧VOSの出力・停止を切り替えることができる。
図16には、外部スイッチ37の状態をESWとして示している。図16の期間T71に示すように、電源スイッチ19の電源スイッチ信号IGSWがオフされている間、例えば外部スイッチ37がオンされていたとしても、電源電圧VBが入力されていないため、昇圧電圧VBOOSTは出力されない。しかし、バッテリ電圧VBATT(=VBA0)がECU701に入力されているため、電源IC314は、このバッテリ電圧VBATT(=VBA0)をダイオード12を通じて入力し電源電圧VOSを生成しマイコン116に情報保持用電圧として供給する。
図16の期間T72に示すように、電源スイッチ19の電源スイッチ信号IGSWがオンされると、スイッチ制御部232は外部スイッチ37をオフ制御する。このため、昇圧電圧VBOOSTは電圧VBO0まで出力されるものの、電源IC314はバッテリ電圧VBATT(=VBA0)を用いて電源電圧VOSを生成出力する。これによりSRAM22は情報を保持できる。マイコン116が電力消費するため、昇圧電圧VBOOSTは徐々に低下する。
図16の期間T73に示すように、電源スイッチ19の電源スイッチ信号IGSWがオフされると、スイッチ制御部232は制御スイッチ213をオン制御する。このため電源IC314は昇圧電圧VBOOSTを用いて電源電圧VOSを生成出力する。これによりSRAM22は情報を保持できる。
期間T74に示すように、バッテリ17が取り外され端子1aがオープン状態になると、端子1aの入力電圧(図16にはVBATTと記載)は0Vに低下するものの、昇圧電圧VBOOSTが高く保持されている。この期間T74中の昇圧電圧VBOOSTは例えばバッテリ電圧VBATT(=VBA0)より高く保持されている。このため、電源IC314は、昇圧電圧VBOOSTを用いて電源電圧VOSを生成出力する。これによりSRAM22は情報を保持する。マイコン116が電力消費するため、昇圧電圧VBOOSTは徐々に低下する。
期間T75に示すように、バッテリ17が取り外された状態で外部スイッチ37がオフされる。外部スイッチ37の状態ESW参照。すると、電源IC314は、この外部スイッチ37のオフ状態を検知し電源電圧VOSの出力を停止する。このため、マイコン116には電源電圧VOSが入力されることはない。このときSRAM22の記憶情報は消去される。このとき、マイコン116は電力消費しないため、昇圧電圧VBOOSTは一定電圧に保持される。
期間T76に示すように、再度外部スイッチ37がオンされると、電源IC314は昇圧電圧VBOOSTを用いて電源電圧VOSを生成しマイコン116に出力する。このとき、マイコン116が電力消費するため、昇圧電圧VBOOSTは徐々に低下する。
期間T77に示すように、外部スイッチ37がオンされたまま再度バッテリ17が接続されたとしても、電源IC314は昇圧電圧VBOOSTがバッテリ電圧VBATTよりも高い間、昇圧電圧VBOOSTを用いて電源電圧VOSを生成出力する。同様に、マイコン116が電力消費するため、昇圧電圧VBOOSTは徐々に低下する。
期間T78に示すように、昇圧電圧VBOOSTが消費されると、電源IC314はバッテリ電圧VBATT(=VBA0)を用いて電源電圧VOSを生成出力する。
本実施形態によれば、電源IC314が、マイコン116に出力される電源電圧VOSを出力・停止する指令を例えば外部スイッチ37から受け付けるようにしている。このため、マイコン116が情報保持するための電源電圧VOSを意図的に停止させることができる。このため、例えば作業者がバッテリ17を交換するときに外部スイッチ37を操作(例えばオフ)することでSRAM22の記憶内容を消去でき、利便性を高めることができる。
(他の実施形態)
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができ、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。例えば以下に示す変形又は拡張が可能である。
各種のスイッチ(放電スイッチ6、定電流スイッチ7、気筒選択スイッチ8、昇圧スイッチ26)は、MOSトランジスタを用いて説明を行ったが、これはバイポーラトランジスタなど他種類のトランジスタや他の制御スイッチを用いても良い。
制御部4として制御IC104を用いて説明を行ったが、各種の制御用装置を用いることができる。この制御部4が提供する手段および/または機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェアおよびそれを実行するコンピュータ、ソフトウェア、ハードウェア、あるいはそれらの組み合わせにより提供できる。前述実施形態では、説明の簡略化のため、N=1気筒分のインジェクタ2を表記して説明を行ったが、N=2気筒、4気筒、6気筒などの他気筒の場合においても同様の作用効果を奏する。
前述した複数の実施形態を組み合わせて構成しても良い。また、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、本発明の一つの態様として前述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。前述実施形態の一部を、課題を解決できる限りにおいて省略した態様も実施形態と見做すことが可能である。また、特許請求の範囲に記載した文言によって特定される発明の本質を逸脱しない限度において、考え得るあらゆる態様も実施形態と見做すことが可能である。
本開示は、前述した実施形態に準拠して記述したが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範畴や思想範囲に入るものである。