JP6716778B1 - 繊維強化プラスチック製巻芯 - Google Patents

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Abstract

【課題】長尺であっても曲げ剛性等の十分な機械的性質を有して安価な長尺のガラス繊維強化プラスチック製巻芯Aを提供する。【解決手段】フィルム、テープ、紙等の可撓性の長尺物が巻回される円筒状繊維強化プラスチック製巻芯Aであって、強化繊維はガラス繊維のみからなる。図に示すように、内側から、フープ巻層12、ヘリカル巻層13、フープ巻層14、マット巻層15からなる。ヘリカル巻層は、軸方向oに対して25度〜40度の範囲で繊維aが配向されている。この構成とすれば、配向角度θを小さくしても(軸心oに対して傾きを小さくしても)、その層厚を比較的に薄くできる。このため、十分な曲げ弾性率等の剛性を有した安価な長尺の繊維強化プラスチック製巻芯を得ることができる。【選択図】図2

Description

この発明は、フィルム、テープ、紙等の可撓性の長尺物(帯状物)が巻回される円筒状繊維強化プラスチック製巻芯に関するものである。
この種の円筒状繊維強化プラスチック製巻芯は、例えば、FW(フィラメントワィンディング)法によって製造され、そのFW法の一例として図6に示すものがある。この図に示すFW法は、サプライボビン1から供給された炭素繊維のトウa又はガラス繊維のロービングaを案内ローラ3に導き引き揃えて帯状繊維束2とし、その繊維束2を樹脂槽4に通過させて樹脂含浸したのち、ガイド5及びトラバーサ6を経て、芯金7に所要回数巻回し、その巻回層を加熱硬化させて製造する(同図(a)、特許文献1第2図参照)。
この巻回時、図6(b)に示すように、トラバーサ6を芯金7の軸方向o(矢印方向)に往復移動させることによって、樹脂含浸の繊維束2を軸方向oに対して所要角度θ傾けて綾送り(ワインデイング)して芯金7に巻回し、綾織りのようなワインデイング層A’を芯金7の外周に形成する。そのワインデイング層A’を加熱して硬化した後、芯金7を引き抜いて繊維強化プラスチック製巻芯Aを製造する。
特公平3−56896号公報
近年、例えば、テレビジョン用液晶ディスプレイの大型化に伴いそれに組み込まれる各種のフィルムの広幅化が進み、そのフィルムメーカーや偏光板メーカーにおいて、そのフィルムを巻回する巻芯(コア)の長尺化の需要が高まっている。例えば、芯金7の径:150mm前後、管厚:7mm前後、長さ:2000mm前後の需要がある。
この巻芯に要求される機械的性質は、軸方向の剛性(後記図5の試験で巻芯A’が下方に曲がらない強さ:曲がり難さ)及び円周方向の強度(同図4の試験で巻芯A’の周方向一部がへこまない強さ(円筒形状が変形しない強さ))などであり、その軸方向の剛性の高さは、フィルム等の長尺物の安定した巻回及び繰り出し作用につながる。また、その巻回及び繰り出し作用の安定は、巻芯の円筒度及び振れ(下記参照)も影響して、それらの精度が高いことが望まれる。円周方向の強度は、巻芯の円筒形状が変形しない強さであって円筒度にも影響するため、高いことが好ましい。
従来、そのような長尺の繊維強化プラスチック製巻芯は、炭素繊維がガラス繊維に比べて引張強度、引張弾性率、比強度、比弾性率等の機械的性質が優れているため、一般的に剛性が高く、円筒度、振れ等の精度が高くなり、巻芯としての性能が高いものとなる。
しかし、炭素繊維はガラス繊維に比べて高価であり、上記長尺巻芯のコストダウンが要求されている。
また、樹脂含浸の繊維束2の芯金7への巻回方法として、繊維束2を芯金7の軸方向(軸心)oに対し定められた傾斜角度θをもって巻回するヘリカル巻きと、円周方向に重ねず隣り合わせて巻き付けていくフープ巻きと、があり(図3参照)、フープ巻きは、軸方向に対して直角に近い角度で巻回することが多い。その前者のヘリカル巻きは、繊維束2の傾斜角度θが小さくなれば(繊維束2が軸方向oに沿うヘリカル巻層ほど)、繊維束2による軸方向の剛性は担保されるが、円周方向の強度は低下する。逆に、傾斜角度θが大きくなれば(フープ巻きのように90度近くになれば)、繊維束2による円周方向の強度は担保されるが、軸方向の剛性(曲がり難さ)は低下する。
従来、この繊維束2のフープ巻きとヘリカル巻きを採用した円筒状繊維強化プラスチック製巻芯において、ヘリカル巻きにおける繊維束2の軸方向oに対する傾斜角度θは、45度以上を主要構成としており(特許文献1第9欄参照)、ヘリカル巻層による軸方向の剛性を十分に担保できていない。このとき、その軸方向の十分な剛性を得るために、勢い、ヘルカリ巻層の層数を多くすることとなるが、層数が多くなれば、巻芯が厚くなり、顧客の要求に応えられなくなる場合がある。また、ヘリカル巻きは角度θを軸方向に近づけるほど、繊維束は各繊維が重なって幅が狭くなるため、1層当たりの厚みが増す。
この発明は以上の実情の下、安価でかつ軸方向の剛性が高い長尺のガラス繊維強化プラスチック製巻芯を提供することを課題とする。
上記課題を達成するため、この発明は、フィルム、テープ、紙等の可撓性の長尺物が巻回される長尺の円筒状繊維強化プラスチック製巻芯であって、前記繊維の主要要素がガラス繊維であり、内面側の繊維強化プラスチックフープ巻層(以下、「内側フープ巻層」という。)と、外面側の繊維強化プラスチックフープ巻層(以下、「外面側フープ巻層」という。)と、その両層に挟まれている繊維強化プラスチックヘリカル巻層(以下、「ヘリカル巻層」という。)と、を有する繊維強化プラスチック製巻芯の構成を採用したのである。
上記ガラス繊維が主要要素とは、強化繊維がガラス繊維を50重量%以上含む意である。そのガラス繊維の含有量は、コスト等を考慮して適宜に設定すればよいが、コスト的には、例えば、ガラス繊維の含有率:90重量%以上、好ましくは95重量%以上、より好ましくは98重量%以上としたり、不可避的な成分を除いたガラス繊維のみ(100重量%)としたりする。他の繊維には、炭素繊維が考えられる。炭素繊維を多く含有すると、コストは高くなるが、剛性は向上する。
このように、繊維の主要要素がガラス繊維からなるため、安価なものとし得る。また、内外面側のフープ巻層の間にヘリカル巻層を介在し、そのヘリカル巻層の巻き角度(上記繊維束2の傾斜角度θ)を適宜に選択して軸方向の剛性及び円周方向の強度を担保すれば、所要の厚みで、所要の剛性及び強度を有する巻芯を得ることができる。すなわち、この発明にあっては、原則、フープ巻層は円周方向の強度に影響するほど使用せず、ヘリカル巻きの角度θで、円周方向の強度及び軸方向の剛性のバランスを調整する。
この発明におけるヘリカル巻は、繊維束2の傾斜角度θを90度から軸方向に傾けて、例えば、45度未満として巻回するものであり、図3において、その傾斜角度θが軸方向oに対して傾けば(同図(a)のようにθが大きくなれば)、巻芯の軸方向の剛性が低下する反面、円周方向の強度が増し、反対に、軸方向oに沿う方向に傾けば(同図(b)のようにθが小さくなれば)、巻芯の軸方向の剛性が増す反面、円周方向の強度が低下する。このため、ヘリカル巻層の繊維配向角度θ(以下、繊維配向角度θは、図3において、軸方向oに対する繊維束13’の傾斜角度θと同一)は、巻芯が所要の軸方向の剛性及び円周方向の強度となるように、試験などによって適宜に設定する。
ヘリカル巻層は、複数層からなって、その各層は、繊維配向方向が同一でも良いが、異なったものとすることができる。このとき、各層の全てが異なっている必要はなく、一の層のみが他の層と異なっている場合も含む。
フープ巻は、上記繊維束2を軸方向oに対する傾斜角度θ(以下、繊維配向角度θは、図3において、軸方向oに対する繊維束12’、14’の傾斜角度θと同一)を90度近くして芯金7に巻回するものであり、上記内側フープ巻層は巻芯の内面の平滑度を担保し、外面側フープ巻層は巻芯の表面の平滑度を担保するとともに、ヘリカル巻層の巻き締め作用を行う。これによって、層の締め付け強度が増し、繊維含有率が上がり機械的強度が向上する。
上記内外面側フープ巻層の両層間には、繊維強化プラスチックヘリカル巻層のみが挟まれている構成とすれば、層間剥離が生じにくく、ヘリカル巻層の間に、例えば、フープ巻層が存在する構成であると、外部応力(例えば、曲げ応力)が働くと、そのヘリカル巻層とフープ巻層の界面が破壊の起点になる恐れがある。
また、複数層にする際、各層の繊維の配向方向(巻き方向)θは同じ(誤差の範囲である±0.1〜0.5程度を含む)でも良いが、1度以上異ならせることで、巻芯の厚み調整を行うことができる。
この構成において、上記外面側の繊維強化プラスチックフープ巻層の外側(上側)に繊維強化プラスチックマット巻層を設けた構成を採用することができる。この構成にすると、外側がフープ巻層の場合に比べて、巻芯の外周面を研磨した際、綺麗な研磨面を得ることができる。
なお、通常、巻芯は、円筒度及び振れがそれぞれ0.3mm以内、さらに0.15mm以内であることが好ましい。すなわち、フィルムの芯材としては、円筒度及び振れ値が低いほどフィルムのシワ等の不具合が抑制される。このため、長さ:1800〜2800mm、より長い3000mmの長尺(通常、巻芯において、1800mm以上を長尺という。)の円筒状繊維強化プラスチック製巻芯にあっては、内径:6インチ、8インチ又は11インチから選択され、肉厚:7.0〜12.2mmから選択され、前記長さ、前記内径、前記肉厚に対応して所定曲げ剛性を発現可能のように、ヘリカル巻層の繊維巻き角度を25〜40度の間で選択して設定している構成を採用することができる。
そのヘリカル巻層は、軸方向に対して25度〜40度の範囲で繊維(の長さ方向)が配向されているものとすれば、繊維の配向方向(長さ方向)が管軸方向(軸方向o)に近い構成となるため、曲げ剛性の高いものとなる。ここで、「軸方向に対して25度〜40度」とは、絶対値であり、「25度〜40度」は「−25度〜−40度」と同意である(以下同様)。
25度未満であると、通常、巻芯の厚みが定められていることから、隙間無く埋め尽くして巻回するヘリカル巻の一層が厚くなるため、層数を減らさざるをえず、結果として円周方向の強度が低下するとともに、軸方向の剛性も低下する。円周方向の強度が低下すると、フィルムの巻き締まりによって破壊する可能性がある。
また、例えば、長さ:2500mm、肉厚:9mm、内径:6インチの長尺の巻芯において、40度を超えると、軸方向の剛性を満たさず(十分な剛性が得られず)、巻芯自体の撓み、長尺物、特にフィルムの巻回時において、皺が生じる恐れがある。
さらに、この発明においては、ヘリカル巻層によって、軸方向の剛性と円周方向の強度を担保しているため、25度未満であると、ふわふわの巻回層となり、厚さを規定されている場合、円周方向の強度を担保できなくなり、巻き締まり力が低下し、1層あたりの厚みが増し、また、ガラス含有率が下がる等の影響により、軸方向の剛性及び円周方向の強度を担保できない。40度を超えると、軸方向の剛性が低下し、一定の厚さにおいて、軸方向の剛性を担保できない。
以上から、ヘリカル巻層の巻回方向(繊維配向方向)は、巻芯(芯金)の軸方向oに対して好ましくは25度〜40度とする。
この発明は、以上のように、繊維の主要要素がガラス繊維からなるため、安価なものとし得るとともに、内面側の繊維強化プラスチックフープ巻層と、外面側の繊維強化プラスチックフープ巻層と、その両層に挟まれている繊維強化プラスチックヘリカル巻層と、を有する繊維強化プラスチック製巻芯の構成を採用したので、十分な曲げ剛性を有するものとなって、その結果、高い精度の円筒度、振れの安価な長尺の繊維強化プラスチック製巻芯を得ることができる。
この発明に係る繊維強化プラスチック製巻芯の一実施形態を示し、(a)は一部省略切断正面図、(b)は右側面図 同実施形態の拡大切断側面図であり、(a)は一例、(b)は他例 同実施形態の繊維強化プラスチック製巻芯用繊維束の巻回説明図 繊維強化プラスチック製巻芯の圧縮試験説明図 同曲げ試験説明図 FW法による繊維強化プラスチック製巻芯の製造説明であり、(a)は概略図、(b)は芯金への繊維の巻回作用説明図
この発明に係る繊維強化プラスチック(FRP)製巻芯の一実施形態を図1〜図3に示し、この実施形態の繊維強化プラスチック製巻芯Aは、フィルム、テープ、紙等の可撓性の長尺物が巻回される長尺の円筒状繊維強化プラスチック製巻芯(芯材)として使用されるものであり、強化繊維はガラス繊維のみである。
この繊維強化プラスチック製巻芯Aは、図2に示すように、円筒状の内側から、内面側維強化プラスチックフープ巻層(以下、内側フープ巻層)12、繊維強化プラスチックヘリカル巻層(以下、ヘリカル巻層)13、外面側繊維強化プラスチックフープ巻層(以下、外側フープ巻層)14、繊維強化プラスチックマット巻層(以下、マット巻層)15からなり、両フープ巻層12、14の間はヘリカル巻層13のみである。
そのフープ巻やヘリカル巻を行う繊維束2(12’、13’、14’)は、上記図6で示した製造方法と同様に、サプライボビン1から供給されたガラス繊維のロービングaの所要本、例えば、10本を案内ローラ3に導き引き揃えて(並列にして)帯状繊維束12’、13’,14’とし、その繊維束12’、13’、14’を樹脂槽4に通過させて樹脂含浸したものである。繊維束2のロービングaの並列数は10本に限らず、20本等と任意である。
フープ巻層12、14は、図3(a)に示す、上記帯状の繊維束12’、14’を、隣り同士の縁を重ね合わせることなく一回巻回したもの(一層)であって、その繊維の方向(繊維の長さ方向(繊維配向方向θ)、帯方向)は、70°以上90°以下とする。
ヘリカル巻層13は、上記樹脂含浸した繊維束13’を、ガイド5及びトラバーサ6を経て、芯金7に、その軸中心oに対し所要角度(例えば、25〜40度)傾けて所要回数巻回したものである。
そのヘリカル巻きにおいて、樹脂含浸の繊維束13’の巻回は、巻回されたその繊維束13’の間の間隙がなくなるまで、芯金7の一側から他側、その他側から一側への往復巻回を繰り返したり、前記一側から他側への巻回を繰り返したり、他側から一側への巻回を繰り返したりして、その重畳層を一層とする(この一層が「ヘリカル巻き」)。この実施形態においては、その繰り返して巻回された繊維束13’の間の間隙がなくなるまでの重畳層(ヘリカル巻き)は8層となった。
このとき、その螺旋(ヘリカル)方向(帯状繊維束13’の長さ方向)と芯金7の中心軸oとのなす所要角度θ(図3(b)参照)がガラス繊維の配向方向(長さ方向)となる。さらに、「繊維束13’の幅」は、実測した繊維束幅を考慮して設定した。その材料幅は5〜100mmとすることができる。ヘリカル巻においても、ガラス繊維の束(ロービング)aの並列数は10本に限らず、5本、20本等と任意である。
ヘリカル巻層13の各層は、そのガラス繊維の配向方向(螺旋方向と中心軸oとのなす角度θ)は、同じ(誤差の範囲である±0.1〜0.5程度を含む)でも良いが、各層毎に変更することができる(図3(b)参照)。
この実施形態においては、配向方向角度θは同じとし、外径:φ177.0±0.5mm、同内径:φ152.6±0.13mm、同全長:2800mm±1mm、円筒度:0.15mm以内、振れ0.15mm以内であるため、これを満たすためには軸方向が曲げ弾性率:20GPa以上必要であり、これを満たすヘリカル巻層13の繊維配向方向の角度θは、30〜35度である。
また、ヘリカル巻層13の層数は任意である。その際、図2(a)に示すように、同一繊維配向方向で所要数層を巻回したり、同図(b)に示すように、ヘリカル巻層13を任意の層数、例えば、内外のヘリカル巻層13a、13dと、その内外のヘリカル巻層13a、13dの間に挟まれたヘリカル巻層13b、13cの4層等とし、その各ヘリカル巻層13a、13b、13c、13dの繊維配向方向(傾斜角度)θを異ならせたりすることができる。この外側へリカル巻層13a、13d、内側ヘリカル巻層13b、13cの数は、1層、3層等と任意である。このヘリカル巻層13a、13b、13c、13dの繊維配向角度θは25〜40度とすると、巻芯Aの軸方向oの剛性と円周方向の強度が適切になって所要の剛性・強度の巻芯Aを得ることができる。このとき、厚み調整のため、角度θを若干変更するこができる。
因みに、複数のヘリカル巻層は、外側に向かって繊維配向角度θを順次大きくすることもできるが、上記のように、繊維配向角度θの大きい層の間にそれより小さい角度θの層を挟んだり、角度θの大きい層と小さい層を交互に設けたりすることができる。その際、各層の角度θは軸方向の剛性と円周方向の強度を考慮して適宜に選択し得る。
マット巻層15は、細かい繊維にバインダー(樹脂)を吹き付けたペーパー状のものであり、その一枚、又は数枚を芯金7の軸心(軸方向)oに対して巻き付け角度を適宜に設定して巻回する(巻き付け角度は90°も含む)。この実施形態では、マット巻層の巻き付け角度は80〜90°の複数巻きとした。
この実施形態の繊維強化プラスチック製巻芯Aは、以上のようにして、芯金7の外周面に、内側から、内面側フープ巻層12、ヘリカル巻層13、外面側フープ巻層14、マット巻層15を巻回し、その巻回層を加熱硬化させた後、芯金7を取り除いて形成したものであって、下記表1に示す寸法規格のものとした。含浸樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂としたが、他の樹脂を適宜に採用することができる。
Figure 0006716778
この表1において、円筒度は、巻芯Aの両端から所要長さにおける真っ直ぐ度合であり、ダイヤルゲージ等の検査子を軸方向に走らせて測定した。
振れは、巻芯Aを軸心o周りに回転した時の両端から所要長さ、例えば、20mm中に入った点及び中央点の3か所における外面一周の変化度合(外径変位、径方向のずれ度合)であり、固定したダイヤルゲージ等の検査子を巻芯Aの外周面に当てて測定した。
また、繊維強化プラスチック製巻芯Aは、例えば、下記表2に示す、曲げ応力及び曲げ弾性率を満たすことが好ましい。
Figure 0006716778
その曲げ応力及び曲げ弾性率は、図4に示す円周方向試験(環片圧壊試験)及び図5に示す軸方向試験(3点曲げ試験)によって計測することができる。図4において、例えば、試験片A’は長さ:100mmとし、その試験片A’を上下の押圧板C、Cで、載荷速度:50mm/minで押圧した値とする。この試験によって円周方向の曲げ応力を測定する。
図5において、例えば、試験片A’は支持台D間(支点間距離):1000mmで支え、その中央を押圧板Cで押圧し、撓みはダイヤルゲージGで計測し、その計測値とする。この試験によって軸方向の剛性を測定する。
なお、両図において、押圧力を「P」としている。
この実施形態においては、外径:φ177.0±0.5mm、同内径:φ152.6±0.13mm、同全長:2800mm±1mm、振れ:0.15mm以内、円筒度:0.15mm以内であるため、軸方向が曲げ弾性率:20GPa以上必要であり、これを満たす、ヘリカル巻層の繊維配向方向の角度θは、30〜35度である。このように設定したこの実施形態のFRP製巻芯Aは、上記表2の曲げ応力及び曲げ弾性率を満たすものであった。
また、FRP製巻芯Aをフィルム等の巻芯とする場合、その外周面を研削して所要の粗さにする必要がある。このため、製作し終わったFRP製巻芯Aを、CNC(数値制御)旋盤によって外周面(マット巻層15)の研削を行ったところ(図1参照)、外観に異常はなく、基準の外径:φ177.0±0.5mm、同内径:φ152.6±0.13mm、同全長:2800mm±1mm、同振れ:0.15mm以内、同円筒度:0.15mm以内、同表面粗さ:Ra0.5μm以下、円周方向の曲げ応力:250MPa以上、軸方向の曲げ弾性率:20GPa以上であった。
これらから、この実施形態のFRP製巻芯Aは、曲げ弾性率(剛性)及び円周方向の強度が十分に満足できるものであることが理解できる。また、フープ巻層14を旋盤加工した際、レコード表面のように飛び飛びの溝(レコード溝)が形成されたり、片削り(円筒体表面の片側のみが削られる現象)が生じたりするが、この実施形態のFRP製巻芯Aにおいては、軸方向の剛性が高く、円周方向の強度(円筒度)が高く、振れも少ないため、そのレコード溝の形成もなく、片削りも生じなかった。
このレコード溝がなく、片削りがないことは、巻芯Aに撓みが生じていないことであり、フィルム等の長尺物を巻回する際、長尺物に皺(しわ)ができたり、巻芯自体の撓みを心配したりせずに済む。
但し、繊維角度(配向方向)θの臨界値は内径、肉厚、長さによって変わるため、それらは、上記皺等が生じないように、試験などによって適宜に設定する。
フィルムの巻芯には、例えば、内径:6インチ、8インチ、11インチ等があり、その場合、肉厚:7.0〜12.2mm等とされるが、その内径及び肉厚の巻芯に、この実施形態の巻芯Aは十分に対応できた。
なお、強化繊維は、ガラス繊維のみの巻芯に限らず、上記のように、ガラス繊維が主要要素となっておれば、炭素繊維等の他の強化繊維を含有させても、この発明の作用効果を得ることができることは勿論である。
また、巻芯Aの内側(フープ巻層12の内側)にもマット巻層15を設けることもできる。この内側にマット巻層15を設けると、巻芯Aの内周面が平滑面となって、その内周面に傷がついたり、擦れ屑が出たりすることを抑制できる。この内側マット巻層は、上記細かい繊維にバインダー(樹脂)を吹き付けたものである。
さらに、ヘリカル巻層13にフープ巻層12又は14を介在することもできる。
このように、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
因みに、この発明に係る巻芯は、フィルム等の送りローラとしてのガイドローラ等にも使用し得る。
また、ガラス繊維に限らず、この発明の構成は炭素繊維が50重量%以上(100重量%も含む)や50重量%未満のガラス繊維が混在する繊維強化プラスチック製巻芯においても採用することができる。
さらに、巻芯Aの内側(フープ巻層12の内側)へのマット巻層は、この発明に係る巻芯A以外の巻芯、例えば、多くの炭素繊維を含んだ巻芯等にも設けることができる。
A、A’ 繊維強化プラスチック(FRP)製巻芯
a ガラス繊維
b 含浸樹脂
O 軸方向(軸心)
12 内面側繊維強化プラスチックフープ巻層
12’ 内面側繊維強化プラスチックフープ巻層の帯状繊維束
13 繊維強化プラスチックヘリカル巻層
13’ 繊維強化プラスチックヘリカル巻層の帯状繊維束
14 外面側繊維強化プラスチックフープ巻層
14’ 外面側繊維強化プラスチックフープ巻層の帯状繊維束
15 繊維強化プラスチックマット巻層

Claims (6)

  1. フィルム、テープ、紙等の可撓性の長尺物が巻回される、長さ:1800〜3000mmの円筒状繊維強化プラスチック製巻芯(A)であって、前記繊維の主要要素がガラス繊維であり、
    内面側の繊維強化プラスチックフープ巻層(12)と、外面側の繊維強化プラスチックフープ巻層(14)と、その両層(12、14)に挟まれている複数の繊維強化プラスチックヘリカル巻層(13)と、を有し、
    上記繊維強化プラスチックヘリカル巻層(13)は、軸方向(o)に対する繊維の配向方向(θ)が25〜40度の範囲とされ、上記内外の繊維強化プラスチックフープ巻層(12、14)の両層間には、前記繊維強化プラスチックヘリカル巻層(13)のみが挟まれている繊維強化プラスチック製巻芯。
  2. 上記繊維はガラス繊維のみからなる請求項1に記載の繊維強化プラスチック製巻芯。
  3. 上記複数の繊維強化プラスチックヘリカル巻層(13)の各層(13a、13b、13c、13d)は、軸方向(o)に対する繊維の配向方向(θ)が異なっている請求項1又は2に記載の繊維強化プラスチック製巻芯。
  4. 径:6インチ、8インチ又は11インチから選択され、肉厚:7.0〜12.2mmから選択され、前記長さ、前記内径、前記肉厚に対応して所定曲げ剛性を発現可能のように、上記繊維強化プラスチックヘリカル巻層(13)の軸方向(o)に対する繊維の配向方向(θ)を25〜40度の間で選択して設定していることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一つに記載の繊維強化プラスチック製巻芯。
  5. 上記外面側の繊維強化プラスチックフープ巻層(14)の外側に繊維強化プラスチックマット巻層(15)を設けた請求項1乃至のいずれか一つに記載の繊維強化プラスチック製巻芯。
  6. 円筒度及び振れがそれぞれ0.3mm以内である請求項1乃至のいずれか一つに記載の繊維強化プラスチック製巻芯。
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