JP6716778B1 - 繊維強化プラスチック製巻芯 - Google Patents
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Abstract
Description
この巻芯に要求される機械的性質は、軸方向の剛性(後記図5の試験で巻芯A’が下方に曲がらない強さ:曲がり難さ)及び円周方向の強度(同図4の試験で巻芯A’の周方向一部がへこまない強さ(円筒形状が変形しない強さ))などであり、その軸方向の剛性の高さは、フィルム等の長尺物の安定した巻回及び繰り出し作用につながる。また、その巻回及び繰り出し作用の安定は、巻芯の円筒度及び振れ(下記参照)も影響して、それらの精度が高いことが望まれる。円周方向の強度は、巻芯の円筒形状が変形しない強さであって円筒度にも影響するため、高いことが好ましい。
しかし、炭素繊維はガラス繊維に比べて高価であり、上記長尺巻芯のコストダウンが要求されている。
また、複数層にする際、各層の繊維の配向方向(巻き方向)θは同じ(誤差の範囲である±0.1〜0.5程度を含む)でも良いが、1度以上異ならせることで、巻芯の厚み調整を行うことができる。
25度未満であると、通常、巻芯の厚みが定められていることから、隙間無く埋め尽くして巻回するヘリカル巻の一層が厚くなるため、層数を減らさざるをえず、結果として円周方向の強度が低下するとともに、軸方向の剛性も低下する。円周方向の強度が低下すると、フィルムの巻き締まりによって破壊する可能性がある。
さらに、この発明においては、ヘリカル巻層によって、軸方向の剛性と円周方向の強度を担保しているため、25度未満であると、ふわふわの巻回層となり、厚さを規定されている場合、円周方向の強度を担保できなくなり、巻き締まり力が低下し、1層あたりの厚みが増し、また、ガラス含有率が下がる等の影響により、軸方向の剛性及び円周方向の強度を担保できない。40度を超えると、軸方向の剛性が低下し、一定の厚さにおいて、軸方向の剛性を担保できない。
以上から、ヘリカル巻層の巻回方向(繊維配向方向)は、巻芯(芯金)の軸方向oに対して好ましくは25度〜40度とする。
そのフープ巻やヘリカル巻を行う繊維束2(12’、13’、14’)は、上記図6で示した製造方法と同様に、サプライボビン1から供給されたガラス繊維のロービングaの所要本、例えば、10本を案内ローラ3に導き引き揃えて(並列にして)帯状繊維束12’、13’,14’とし、その繊維束12’、13’、14’を樹脂槽4に通過させて樹脂含浸したものである。繊維束2のロービングaの並列数は10本に限らず、20本等と任意である。
この実施形態においては、配向方向角度θは同じとし、外径:φ177.0±0.5mm、同内径:φ152.6±0.13mm、同全長:2800mm±1mm、円筒度:0.15mm以内、振れ0.15mm以内であるため、これを満たすためには軸方向が曲げ弾性率:20GPa以上必要であり、これを満たすヘリカル巻層13の繊維配向方向の角度θは、30〜35度である。
振れは、巻芯Aを軸心o周りに回転した時の両端から所要長さ、例えば、20mm中に入った点及び中央点の3か所における外面一周の変化度合(外径変位、径方向のずれ度合)であり、固定したダイヤルゲージ等の検査子を巻芯Aの外周面に当てて測定した。
図5において、例えば、試験片A’は支持台D間(支点間距離):1000mmで支え、その中央を押圧板Cで押圧し、撓みはダイヤルゲージGで計測し、その計測値とする。この試験によって軸方向の剛性を測定する。
なお、両図において、押圧力を「P」としている。
このレコード溝がなく、片削りがないことは、巻芯Aに撓みが生じていないことであり、フィルム等の長尺物を巻回する際、長尺物に皺(しわ)ができたり、巻芯自体の撓みを心配したりせずに済む。
但し、繊維角度(配向方向)θの臨界値は内径、肉厚、長さによって変わるため、それらは、上記皺等が生じないように、試験などによって適宜に設定する。
また、巻芯Aの内側(フープ巻層12の内側)にもマット巻層15を設けることもできる。この内側にマット巻層15を設けると、巻芯Aの内周面が平滑面となって、その内周面に傷がついたり、擦れ屑が出たりすることを抑制できる。この内側マット巻層は、上記細かい繊維にバインダー(樹脂)を吹き付けたものである。
さらに、ヘリカル巻層13にフープ巻層12又は14を介在することもできる。
このように、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
また、ガラス繊維に限らず、この発明の構成は炭素繊維が50重量%以上(100重量%も含む)や50重量%未満のガラス繊維が混在する繊維強化プラスチック製巻芯においても採用することができる。
さらに、巻芯Aの内側(フープ巻層12の内側)へのマット巻層は、この発明に係る巻芯A以外の巻芯、例えば、多くの炭素繊維を含んだ巻芯等にも設けることができる。
a ガラス繊維
b 含浸樹脂
O 軸方向(軸心)
12 内面側繊維強化プラスチックフープ巻層
12’ 内面側繊維強化プラスチックフープ巻層の帯状繊維束
13 繊維強化プラスチックヘリカル巻層
13’ 繊維強化プラスチックヘリカル巻層の帯状繊維束
14 外面側繊維強化プラスチックフープ巻層
14’ 外面側繊維強化プラスチックフープ巻層の帯状繊維束
15 繊維強化プラスチックマット巻層
Claims (6)
- フィルム、テープ、紙等の可撓性の長尺物が巻回される、長さ:1800〜3000mmの円筒状繊維強化プラスチック製巻芯(A)であって、前記繊維の主要要素がガラス繊維であり、
内面側の繊維強化プラスチックフープ巻層(12)と、外面側の繊維強化プラスチックフープ巻層(14)と、その両層(12、14)に挟まれている複数の繊維強化プラスチックヘリカル巻層(13)と、を有し、
上記繊維強化プラスチックヘリカル巻層(13)は、軸方向(o)に対する繊維の配向方向(θ)が25〜40度の範囲とされ、上記内外の繊維強化プラスチックフープ巻層(12、14)の両層間には、前記繊維強化プラスチックヘリカル巻層(13)のみが挟まれている繊維強化プラスチック製巻芯。 - 上記繊維はガラス繊維のみからなる請求項1に記載の繊維強化プラスチック製巻芯。
- 上記複数の繊維強化プラスチックヘリカル巻層(13)の各層(13a、13b、13c、13d)は、軸方向(o)に対する繊維の配向方向(θ)が異なっている請求項1又は2に記載の繊維強化プラスチック製巻芯。
- 内径:6インチ、8インチ又は11インチから選択され、肉厚:7.0〜12.2mmから選択され、前記長さ、前記内径、前記肉厚に対応して所定曲げ剛性を発現可能のように、上記繊維強化プラスチックヘリカル巻層(13)の軸方向(o)に対する繊維の配向方向(θ)を25〜40度の間で選択して設定していることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の繊維強化プラスチック製巻芯。
- 上記外面側の繊維強化プラスチックフープ巻層(14)の外側に繊維強化プラスチックマット巻層(15)を設けた請求項1乃至4のいずれか一つに記載の繊維強化プラスチック製巻芯。
- 円筒度及び振れがそれぞれ0.3mm以内である請求項1乃至5のいずれか一つに記載の繊維強化プラスチック製巻芯。
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JP2019225528A JP6716778B1 (ja) | 2019-12-13 | 2019-12-13 | 繊維強化プラスチック製巻芯 |
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