以下、本発明の一実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明に係るワイパブレードの斜視図を示している。
図1に示されるワイパブレード10は、自動車等の車両のフロントガラス(払拭面)11を払拭するワイパ装置を形成している。ワイパブレード10は、ホルダ20およびブレードラバー30を備えている。ホルダ20は、ブレードラバー30を保持し、二点鎖線(想像線)で示されたワイパアーム(アーム)12の先端部に設けられたU字状フック12aに回動自在に連結されている。
ここで、ワイパアーム12の基端部は、ワイパモータ(駆動源)により揺動されるピボット軸(図示せず)に固定されている。これにより、ワイパアーム12およびこれに連結されたワイパブレード10は、ワイパモータの駆動により揺動され、フロントガラス11に付着した雨水や埃等が払拭される。なお、ワイパモータとピボット軸との間には、ワイパモータの回転運動をピボット軸の揺動運動に変換するリンク機構(図示せず)が設けられている。また、ワイパアーム12の基端部は、揺動駆動されるワイパモータの出力軸に直接固定されることもある。
図2は図1のワイパブレードを矢印A方向から見た部分拡大図を、図3は図2のB−B線に沿う断面図を、図4は図3のC−C線に沿う断面図をそれぞれ示している。
図1ないし図4に示されるように、ホルダ20は、1つの連結部材40と、一対のホルダカバー60と、一対のキャップ70とを備えている。そして、連結部材40は、ブレードラバー30を保持するとともに、ワイパアーム12のU字状フック12aに回動自在に連結されている。また、一対のホルダカバー60は、ブレードラバー30の本体部31を覆うように設けられ、連結部材40の長手方向両側に配置されている。さらに、一対のキャップ70は、一対のホルダカバー60の長手方向に沿う連結部材40側とは反対側に設けられ、ブレードラバー30に固定されるとともに、ブレードラバー30の端部を覆い隠している。
図5は図1のワイパブレードを分解した斜視図を、図6(a)はブレードラバーの内周側部分,(b)はブレードラバーの中央部分,(c)はブレードラバーの外周側部分の部分拡大斜視図をそれぞれ示している。
図4ないし図6に示されるように、ブレードラバー30は、連結部材40に支持される本体部31と、フロントガラス11に接触されるリップ部32と、を備えており、本体部31とリップ部32との間にはネック部33が設けられている。ネック部33は、リップ部32よりも幅狭とされ、リップ部32よりも柔軟性を有している。よって、ブレードラバー30の往路側および復路側への移動によりリップ部32が傾動され、フロントガラス11に付着した雨水や埃等が綺麗に払拭される。
ブレードラバー30は、ホルダ20の長手方向に沿って延在され、その断面形状は、ブレードラバー30の長手方向に沿う略全域の部分で同じ形状とされる。具体的には、ブレードラバー30は、図6の(a)〜(c)で示される部分(内周側部分,中央部分,外周側部分)を除いて同じ形状となっている。
本体部31には、ブレードラバー30の長手方向に沿って延びる一対の溝部31a,31bが設けられている。これらの溝部31a,31bは、それぞれ本体部31の長手方向と交差する方向(払拭方向)に互いに対向されている。溝部31a,31bには、細長いステンレス鋼板よりなる一対のバーティブラ(板ばね)34a,34bがそれぞれ装着されている。
これらのバーティブラ34a,34bは、外力が負荷されていない自然状態のもとで、フロントガラス11の曲率よりも大きい所定の曲率で予め湾曲されている。そして、バーティブラ34a,34bの弾性力により、リップ部32の長手方向に沿う全域が、フロントガラス11に密着状態で接触される。これにより、ブレードラバー30の十分な払拭性能が確保される。
図7(a)は一対のバーティブラの内周側部分,(b)は一対のバーティブラの外周側部分の部分拡大図を示している。
ここで、バーティブラ34a,34bは、本体部31の長手方向に沿う略全域に設けられた溝部31a,31bに装着され、具体的には、図7に示されるような形状とされる。
バーティブラ34a,34bは、何れも略同様に形成されるが、図7(a)に示されるように、バーティブラ34a,34bの長手方向内周側に設けられる第1位置決め凹部34a1,34b1の位置のみが異なっている。つまり、復路側のバーティブラ34bの第1位置決め凹部34b1の方が、往路側のバーティブラ34aの第1位置決め凹部34a1よりも、バーティブラ34a,34bの長手方向内周側寄り(図中左側)に配置されている。これらの第1位置決め凹部34a1,34b1の開口側は、互いに向き合うようブレードラバー30の払拭方向内側、つまりブレードラバー30の長手方向と交差する方向に沿う中央側に向けられている。
そして、第1位置決め凹部34a1,34b1には、溝部31a,31bの長手方向内周側に設けられた第1バーティブラ位置決め部31a1,31b1(図6(a)および図17(b)参照)が、それぞれ入り込むようになっている。これにより、バーティブラ34a,34bの長手方向内周側が、ブレードラバー30に対して位置決めされ、バーティブラ34a,34bのブレードラバー30に対するがたつきが防止される。
ここで、第1位置決め凹部34a1,34b1を、バーティブラ34a,34bの長手方向にずらして設けることで、バーティブラ34a,34bの溝部31a,31bに対する誤組み付けを防止している。
図7(b)に示されるように、バーティブラ34a,34bの長手方向外周側(図中右側)には、第2位置決め凹部34a2,34b2が設けられている。これらの第2位置決め凹部34a2,34b2は、バーティブラ34a,34bの長手方向に沿う同じ位置にそれぞれ配置されている。そして、第2位置決め凹部34a2,34b2の開口側においても、互いに向き合うようブレードラバー30の払拭方向内側、つまりブレードラバー30の長手方向と交差する方向に沿う中央側に向けられている。
第2位置決め凹部34a2,34b2には、溝部31a,31bの長手方向外周側に設けられた第2バーティブラ位置決め部31a2,31b2(図6(c)および図17(c)参照)が、それぞれ入り込むようになっている。これにより、バーティブラ34a,34bの長手方向外周側が、ブレードラバー30に対して位置決めされ、バーティブラ34a,34bのブレードラバー30に対するがたつきが防止される。
また、図7(b)に示されるように、バーティブラ34a,34bの長手方向外周側には、剛性が弱められた剛性弱領域ARが設けられている。バーティブラ34a,34bの長手方向に沿う剛性弱領域ARの長さ寸法は、バーティブラ34a,34bの全体の長さ寸法の略1/5とされる。
ここで、ブレードラバー30の長手方向外周側は、フロントガラス11の比較的曲率が大きい部分を払拭する。そのため、ブレードラバー30の長手方向外周側を大きい曲率に合わせて柔軟に追従可能とすべく、剛性弱領域ARを設けている。これにより、ブレードラバー30の長手方向外周側の追従性を良好にしつつ、リップ部32がフロントガラス11に過度に強く押し付けられることが抑制される。
バーティブラ34a,34bの剛性弱領域ARには、第1切欠部35および第2切欠部36が設けられている。すなわち、バーティブラ34a,34bに第1切欠部35および第2切欠部36を設けることで、当該部分の剛性を弱めている。第1切欠部35は、バーティブラ34a,34bの長手方向外周側で、かつブレードラバー30の払拭方向内側、つまりブレードラバー30の長手方向と交差する方向に沿う中央側に設けられている。これに対し、第2切欠部36は、バーティブラ34a,34bの長手方向外周側で、かつブレードラバー30の払拭方向外側、つまりブレードラバー30の長手方向と交差する方向に沿う中央側とは反対側に設けられている。
このように、第1切欠部35よりも深さ寸法が小さい(浅い)第2切欠部36を、ブレードラバー30の払拭方向外側に設けることにより、ワイパブレード10の作動中における落雪等に起因した大荷重の負荷に対して、バーティブラ34a,34bが折れ曲がること等を効果的に抑制することができる。
第1切欠部35は、バーティブラ34a,34bの幅方向(板厚方向と交差する方向)に窪んだ6つの凹部35aを備えている。そして、6つの凹部35aのうちのバーティブラ34a,34bの長手方向内周側(図中左側)に配置された2つの凹部35aの深さ寸法はD1とされる。これに対し、6つの凹部35aのうちのバーティブラ34a,34bの長手方向外周側(図中右側)に配置された4つの凹部35aの深さ寸法はD2とされる(D2<D1)。
また、6つの凹部35aは、それぞれ凸部35bを挟むようにして、バーティブラ34a,34bの長手方向に並べられている。すなわち、バーティブラ34a,34bの剛性弱領域ARには、合計5つの凸部35bが設けられている。そして、これらの凸部35bの頂部は、バーティブラ34a,34bの幅方向に深さ寸法D3で窪んだ位置に配置されている(D3<D2)。
このように、6つの凹部35aおよび5つの凸部35bを有する第1切欠部35は、図7に示されるように、バーティブラ34a,34bの短手方向に凹んで設けられている。また、一対のバーティブラ34a,34bは、ブレードラバー30の払拭方向両側にそれぞれ設けられ、これらのバーティブラ34a,34bの互いの対向側に、第1切欠部35がそれぞれ設けられている。
第2切欠部36は、バーティブラ34a,34bの短手方向に凹んだ1つの凹溝により構成されている。すなわち、第2切欠部36は、バーティブラ34a,34bの長手方向に真っ直ぐに延在され、直線状となっている。そして、第2切欠部36は、バーティブラ34a,34bの幅方向に深さ寸法D4で窪んで設けられている(D4≒D3)。
また、第2切欠部36の長手方向両側の端部のうち、バーティブラ34a,34bの長手方向内周側(図中左側)寄りの端部WPは、深さ寸法D1の凹部35aと深さ寸法D2の凹部35aとの間の凸部35bの部分に配置されている。すなわち、第2切欠部36の長手方向内周側の端部WPは、バーティブラ34a,34bの短手方向から凸部35bと対向されている。そして、一対の第2切欠部36は、バーティブラ34a,34bの互いの対向側とは反対側に、それぞれ設けられている。
なお、第2切欠部36は、バーティブラ34a,34bの長手方向外周側の剛性を弱めることに加えて、第1切欠部35を形成する際に生じるバーティブラ34a,34bの長手方向外周側の「反り」を矯正するために設けられたものである。これらの第1切欠部35および第2切欠部36の加工手順については、後で詳述する。このように、4つの凹部35aの深さ寸法をD2として浅くすることで(D2<D1)、第2切欠部36の形成によりバーティブラ34a,34bの剛性が弱くなり過ぎることを抑制している。
ここで、バーティブラ34a,34bの幅寸法は、約5mm程度の小さい寸法とされる。したがって、6つの凹部35aおよび5つの凸部35bからなる第1切欠部35と、1つの凹溝からなる第2切欠部36とは、高精度で細かい加工が可能なレーザ光線の照射(熱による溶融)によって形成される。
このように、第1切欠部35および第2切欠部36は、何れもバーティブラ34a,34bの外縁部分を、レーザ光線の照射により加熱溶融することで形成されている。したがって、図19の網掛け部分に示されるように、第1切欠部35および第2切欠部36は、表面が変色してざらざらになった加熱痕HTとなっている。なお、これらの第1切欠部35および第2切欠部36(加熱痕HT)は、ワイパブレード10を組み立てた状態で外部に露出されない(図1参照)。そのため、ワイパブレード10の見栄えが悪くなることは無い。なお、図7においては、加熱痕HTの図示を省略している。
図4および図6に示されるように、ブレードラバー30の溝部31a,31bは、ワイパアーム12側(図中上側)に配置されたアーム側壁部31cと、リップ部32側(図中下側)に配置されたリップ側壁部31dと、により形成されている。ここで、リップ側壁部31dは、バーティブラ34a,34bを支持している。そして、溝部31a,31bの内部には、当該溝部31a,31bを埋めるようにして、突起状に形成された第1バーティブラ位置決め部31a1,31b1および第2バーティブラ位置決め部31a2,31b2がそれぞれ設けられている。
また、ブレードラバー30の長手方向と交差する方向(払拭方向)に沿うアーム側壁部31cの幅寸法W1は、ブレードラバー30の払拭方向に沿うリップ側壁部31dの幅寸法W2よりも小さくなっている(W1<W2)。これにより、バーティブラ34a,34bの長手方向と交差する方向に沿うリップ部32側とは反対側が、溝部31a,31bから露出される(図4参照)。このバーティブラ34a,34bの露出された部分は、露出部34a3,34b3とされる。より詳しくは、バーティブラ34a,34bの長手方向と交差する方向に沿うリップ部32側とは反対側は、バーティブラ34a,34bの短手方向の略半分がアーム側壁部31cに覆われている。さらに、バーティブラ34a,34bの長手方向と交差する方向に沿うリップ部32側は、バーティブラ34a,34bの短手方向の略全域がリップ側壁部31dに覆われている。
そして、これらの露出部34a3,34b3には、ホルダ20の連結部材40に設けられた第1バーティブラ当接部46a,46bおよび第2バーティブラ当接部47a,47b(図8(b)参照)が当接するようになっている。
ブレードラバー30の長手方向に沿うリップ側壁部31dの両側、つまりリップ側壁部31dの端部には、当該リップ側壁部31dを切り欠いて形成された切欠部31d1がそれぞれ設けられている。これらの切欠部31d1は、ブレードラバー30の長手方向両側に装着されるキャップ70(図11参照)との干渉を避けるために設けられている。
また、切欠部31d1を設けることで、バーティブラ34a,34bの長手方向両側におけるリップ部32側の一部が、溝部31a,31bから露出される。これにより、図11(b)に示されるように、バーティブラ34a,34bの板厚方向が沿う両側にキャップ70に当接されて、ひいてはキャップ70のバーティブラ34a,34bに対するがたつきが効果的に抑えられる。
図4および図6に示されるように、本体部31の溝部31a,31bとリップ部32(ネック部33)との間には、一対の凹溝31eが設けられている。これらの凹溝31eは、溝部31a,31bと同様に、ブレードラバー30の長手方向に延在されるとともに、ブレードラバー30の払拭方向に互いに対向されている。そして、凹溝31eの内部には、ホルダ20の連結部材40に設けられた第1爪部44a,44bおよび第2爪部45a,45bが入り込むようになっている。ここで、凹溝31eは、本発明における凹部を構成している。
これにより、ホルダ20の連結部材40は、露出部34a3,34b3とリップ側壁部31dのリップ部32側とを把持する。よって、バーティブラ34a,34bを含むブレードラバー30の本体部31は、連結部材40に対して、がたつくこと無くかつ脱落すること無く装着される。つまり、本実施の形態のワイパブレード10では、ブレードラバー30は、連結部材40のみにより保持されている。
図6(a)に示されるように、一対の凹溝31eの長手方向内周側には、第1キャップ位置決め部31e1がそれぞれ設けられている(図示では一方側のみを示す)。また、図6(c)に示されるように、一対の凹溝31eの長手方向外周側には、第2キャップ位置決め部31e2がそれぞれ設けられている(図示では一方側のみを示す)。これらの第1,第2キャップ位置決め部31e1,31e2は、それぞれ切欠部31d1の配置部分に対応して設けられ、本体部31の払拭方向に窪んでいる。
そして、第1,第2キャップ位置決め部31e1,31e2の内部には、一対のキャップ70に設けられた係合爪72e(図11(a)および図17(a)参照)が入り込むようになっている。これにより、キャップ70のブレードラバー30に対する位置決めがなされて、かつキャップ70のブレードラバー30の長手方向両側からの脱落が防止される。
なお、一対の第1キャップ位置決め部31e1は、本体部31の長手方向に沿う同じ位置に配置され、一対の第2キャップ位置決め部31e2においても、本体部31の長手方向に沿う同じ位置に配置されている。また、第1,第2キャップ位置決め部31e1,31e2は、第1バーティブラ位置決め部31a1,31b1および第2バーティブラ位置決め部31a2,31b2よりも、ブレードラバー30の長手方向に沿う端部寄りに配置されている(図17参照)。
図6(b)に示されるように、一対の凹溝31eの長手方向に沿う略中央部分には、ブレードラバー30に対する連結部材40(図8参照)の位置決めを行う位置決め部31fが設けられている。この位置決め部31fは、連結部材40の第1爪部44a,44bが入り込んで係合される係合凹部31f1と、第1爪部44a,44bの係合凹部31f1への係合を誘導する傾斜壁部31f2とを備えている。つまり、連結部材40は、ブレードラバー30に対して、凹溝31eの長手方向に沿う傾斜壁部31f2がある側(図中右側)から装着されるようになっている。
また、位置決め部31fは、凹溝31eを埋めるようにして突起状に形成された移動規制突起31f3を備えている。この移動規制突起31f3は、凹溝31eの長手方向に沿う傾斜壁部31f2側とは反対側に配置され、第1爪部44a,44b(図8(b)参照)の係合凹部31f1からの脱落を防止して、連結部材40のブレードラバー30に対する長手方向への移動を規制する(位置決めをする)。ここで、位置決め部31fは、一対の凹溝31eのそれぞれに設けられ、これらの位置決め部31fは、本体部31の長手方向に沿う同じ位置に配置されている。
さらに、図6(a),(c)に示されるように、本体部31の長手方向両側、すなわちブレードラバー30の一対の端部には、キャップ70(図11参照)の装着を案内するテーパ部31gが設けられている。このテーパ部31gは、図示のように傾斜面からなり、本体部31の端部に向かうにつれて先細り形状とされる。これにより、キャップ70の装着がテーパ部31gに案内され、ひいてはキャップ70を本体部31の端部に容易に装着することができる。
ここで、図4に示されるように、ブレードラバー30の凹溝31eとネック部33との間には、フロントガラス11と対向された対向面31hが設けられている。この対向面31hは、リップ部32により払拭されて跳ね上がった雨水等を、フロントガラス11側に向けて折り返す機能を備えている。
また、対向面31hには、図18(a)に示されるように、識別マーク31kが設けられている。この識別マーク31kは、対向面31hから窪むようにして設けられ、キャップ70がブレードラバー30に対して正しく装着されているか否か(正しく位置決めされているか否か)を示す目印とされる。この識別マーク31kの利用の仕方については、後で詳述する。
図6に示されるように、凹溝31eの長手方向に沿う異なる位置に、第1バーティブラ位置決め部31a1,31b1,第2バーティブラ位置決め部31a2,31b2,第1,第2キャップ位置決め部31e1,31e2および位置決め部31f等が設けられている。したがって、ブレードラバー30は、突き合わされた複数の金型内(キャビティ内)に軟化したゴム材料を所定の射出圧で供給することで形成される。すなわち、ブレードラバー30は射出成形品とされる。
よって、金型の突き合わせ面に対応する部分には、図6の想像線(二点鎖線)に示されるようなパーティングラインPLが形成される。このパーティングラインPLは、金型の突き合わせ面から漏れ出たゴム材料の跡であり、より具体的には微少な出っ張りとされる。
図8(a)は連結部材の表側部分,(b)は連結部材の裏側部分の斜視図を、図9(a)はカバー部材の表側部分,(b)はカバー部材の裏側部分の斜視図を、図10は図2のD−D線に沿う断面図を、図11(a)はキャップを裏側から見た斜視図,(b)は図1のE−E線に沿う断面図をそれぞれ示している。
ホルダ20を形成する連結部材40は、図8に示されるような形状をなしている。連結部材40は、プラスチック等の樹脂材料を射出成形することで、ブレードラバー30の長手方向に延びる細長形状に形成されている。
連結部材40は中空に形成され、その内側には、クリップ部材41(図3参照)が収容される収容室42が形成されている。収容室42は、連結部材40の長手方向に延在された往路側壁42aおよび復路側壁42bと、連結部材40の短手方向に延在された内周側壁42cおよび外周側壁42dと、により形成されている。ここで、図8では、収容室42の構造を明確にするために、クリップ部材41の図示を省略している。
連結部材40の収容室42には、連結部材40の短手方向に横切るようにして、鋼材よりなる支持ピン43が設けられている。支持ピン43は、往路側壁42aおよび復路側壁42bの長手方向に沿う略中央部分に配置され、軸方向一側が往路側壁42aに固定され、軸方向他側が復路側壁42bに固定されている。なお、支持ピン43は、連結部材40を射出成形する際にインサート成形により固定される。
支持ピン43には、図3に示されるように、クリップ部材41が回動自在に装着される。したがって、支持ピン43を鋼材とすることで、クリップ部材41に固定されるワイパアーム12からの駆動力が、ワイパブレード10に効率良く伝達される。よって、ワイパブレード10の払拭性能が向上される。
図8(b)に示されるように、連結部材40のフロントガラス11側(裏側)には、一対の第1爪部44a,44bと、一対の第2爪部45a,45bと、が設けられている。第1爪部44a,44bは、連結部材40の長手方向に沿う内周側壁42c寄り(図中左側)に設けられ、第2爪部45a,45bは、連結部材40の長手方向に沿う外周側壁42d寄り(図中右側)に設けられている。そして、第1爪部44a,44bおよび第2爪部45a,45bは、それぞれブレードラバー30の払拭方向内側、つまりブレードラバー30の長手方向と交差する方向に沿う中央側に向けて突出されている。
これらの第1爪部44a,44bおよび第2爪部45a,45bは、それぞれブレードラバー30の凹溝31eに入り込んでいる(図4参照)。すなわち、第1爪部44a,44bおよび第2爪部45a,45bは、ブレードラバー30の本体部31をリップ部32側から支持するようになっている。ここで、内周側壁42c寄りに設けられた第1爪部44a,44bは、図4に示されるように、ブレードラバー30の位置決め部31fの係合凹部31f1に入り込んでいる。これにより、連結部材40は、ブレードラバー30の長手方向に沿う所定位置に、抜け止めされた状態で位置決めされる。
図8(b)に示されるように、連結部材40のフロントガラス11側(裏側)で、かつ第1爪部44a,44bおよび第2爪部45a,45bの近傍には、一対の第1バーティブラ当接部46a,46bおよび一対の第2バーティブラ当接部47a,47bが設けられている。そして、連結部材40の長手方向と交差する方向から、第1バーティブラ当接部46a,46bは第1爪部44a,44bに対向され、第2バーティブラ当接部47a,47bは第2爪部45a,45bに対向されている。
第1バーティブラ当接部46a,46bおよび第2バーティブラ当接部47a,47bは、ブレードラバー30の長手方向に延在されている。具体的には、第1バーティブラ当接部46a,46bおよび第2バーティブラ当接部47a,47bの長さ寸法は、第1爪部44a,44bおよび第2爪部45a,45bのブレードラバー30の長手方向に沿う長さ寸法よりも長くされている。
また、第1バーティブラ当接部46a,46bおよび第2バーティブラ当接部47a,47bの端部は、バーティブラ34a,34bを含む本体部31の連結部材40への装着を案内するよう傾斜されている。そして、第1バーティブラ当接部46a,46bおよび第2バーティブラ当接部47a,47bは、バーティブラ34a,34bの露出部34a3,34b3に、それぞれ当接されている。
ここで、第1バーティブラ当接部46a,46bおよび第2バーティブラ当接部47a,47bと、第1爪部44a,44bおよび第2爪部45a,45bとは、連結部材40の長手方向に沿う同じ位置に配置されている。これにより、一対のバーティブラ34a,34bを含むブレードラバー30の本体部31は、第1バーティブラ当接部46a,46bおよび第2バーティブラ当接部47a,47bと、第1爪部44a,44bおよび第2爪部45a,45bと、によって把持されて、がたつくこと無く支持される(図4参照)。
なお、第1バーティブラ当接部46a,46bおよび第2バーティブラ当接部47a,47bは、ブレードラバー30のゴムの部分(柔軟な部分)を介さずに、剛体であるバーティブラ34a,34bの露出部34a3,34b3に、直接当接され、ブレードラバー30の連結部材40に対する取り付け剛性が十分に高められている。その一方で、第1爪部44a,44bおよび第2爪部45a,45bは、ブレードラバー30のゴムの部分(リップ側壁部31d)を支持するので、剛体同士の接触に起因した異音の発生が効果的に抑えられる。
図8(b)に示されるように、連結部材40のフロントガラス11側(裏側)で、かつ第1爪部44a,44bおよび第2爪部45a,45bの近傍には、一対の第1支持部48a,48bおよび一対の第2支持部49a,49bが設けられている。第1支持部48a,48bは、第1バーティブラ当接部46a,46bの間に配置され、第2支持部49a,49bは、第2バーティブラ当接部47a,47bの間に配置されている。そして、これらの第1支持部48a,48bおよび第2支持部49a,49bは、本体部31のリップ部32側とは反対側にあるアーム側壁部31c(図4参照)を支持する。
ここで、ブレードラバー30の長手方向に沿う第1支持部48a,48bおよび第2支持部49a,49bの長さ寸法は、第1バーティブラ当接部46a,46bおよび第2バーティブラ当接部47a,47bの長さ寸法の略半分とされる。これにより、連結部材40(プラスチック製)とブレードラバー30(ゴム製)との接触部分が最小限とされ、がたつきの発生が抑制され、かつブレードラバー30の連結部材40に対する湾曲動作もスムーズに行われる。すなわち、両部材間における摩擦抵抗の増大を最小限として、ブレードラバー30の払拭性能が低下するのを防いでいる。
なお、第1バーティブラ当接部46a,46bおよび第2バーティブラ当接部47a,47b(プラスチック製)と、露出部34a3,34b3(鋼材製)との摩擦抵抗は、プラスチック製の連結部材40とゴム製のブレードラバー30との摩擦抵抗に比して大幅に小さくなっている。よって、第1バーティブラ当接部46a,46bおよび第2バーティブラ当接部47a,47bの長さ寸法を長くしても問題は生じない。そこで、本実施の形態では、第1バーティブラ当接部46a,46bおよび第2バーティブラ当接部47a,47bの長さ寸法を長くして、連結部材40によるブレードラバー30の支持を安定化させている。
ここで、第1支持部48a,48bおよび第2支持部49a,49bの端部においても、第1バーティブラ当接部46a,46bおよび第2バーティブラ当接部47a,47bの端部と同様に、バーティブラ34a,34bを含む本体部31の連結部材40への装着を案内するよう傾斜されている。
また、第1支持部48a,48bおよび第2支持部49a,49bと、第1爪部44a,44bおよび第2爪部45a,45bとは、連結部材40(ブレードラバー30)の長手方向に沿う同じ位置に配置されている。これにより、ブレードラバー30の本体部31におけるアーム側壁部31cおよびリップ側壁部31dは、第1支持部48a,48bおよび第2支持部49a,49bと、第1爪部44a,44bおよび第2爪部45a,45bと、によって把持されて、がたつくこと無く支持される(図4参照)。
さらに、第1支持部48a,48bおよび第2支持部49a,49bには、それぞれ窪み部48c,49cが設けられている。より具体的には、窪み部48cは、連結部材40の短手方向に沿う第1支持部48a,48bの間に設けられ、窪み部49cは、連結部材40の短手方向に沿う第2支持部49a,49bの間に設けられている。これらの窪み部48c,49cは、連結部材40の短手方向に沿う中央部分に配置され、窪み部48c,49cには、アーム側壁部31cの幅方向に沿う中央部分が対向されている。
これにより、窪み部48c,49cは、本体部31のリップ部32側とは反対側に設けられたパーティングラインPL(図6参照)を収容するようになっている。言い換えれば、窪み部48c,49cは、微少な出っ張りよりなるパーティングラインPLの「逃げ」として機能する。したがって、パーティングラインPLが連結部材40に押し付けられることに起因するブレードラバー30の連結部材40に対する湾曲動作の不安定化(ばらつきの発生)が抑制される。
図8(a)に示されるように、連結部材40の長手方向内周側(図中左側)には、クリップ部材41(図3参照)の連結部材40に対する所定角度以上の回動を規制する回動規制部40aが設けられている。回動規制部40aは、収容室42の内部に露出するよう突出され、内周側壁42cに対して略直角とされる。また、回動規制部40aの裏側には、図8(b)に示されるように、第1バーティブラ当接部46a,46bと、第1支持部48a,48bと、窪み部48cとが設けられている。つまり、回動規制部40aは、第1支持部48a,48bの本体部31側とは反対側に設けられている。ここで、回動規制部40aは、第1バーティブラ当接部46a,46bと、第1支持部48a,48bと、窪み部48cとを、連結部材40の長手方向に沿う中央寄りの部分(支持ピン43寄りの部分)に配置する機能も備えている。
そして、回動規制部40aには、クリップ部材41の凸部41b(図3参照)が当接可能となっている。これにより、クリップ部材41の連結部材40に対する所定角度以上の回動が規制される。したがって、クリップ部材41がブレードラバー30に接触し、ブレードラバー30を強く押圧すること等が未然に防げる。よって、ブレードラバー30を保護することができ、その寿命を延ばすことができる。また、ワイパブレード10の清掃等でクリップ部材41を連結部材40より取り外したい場合には、押さえ部材41cをブレードラバー30に対して反対側に引っ張ることで、凸部41bと回動規制部40aとの当接部が支点となり容易にクリップ部材41を取り外すことができる。
ここで、連結部材40の長手方向両側は、支持ピン43を中心として略鏡像対称とされる。したがって、連結部材40の長手方向外周側(図中右側)には、回動規制部40aと同形状の橋渡し部40bが設けられている。そして、橋渡し部40bの裏側には、図8(b)に示されるように、第2バーティブラ当接部47a,47bと、第2支持部49a,49bと、窪み部49cとが設けられている。この橋渡し部40bにおいても、第2バーティブラ当接部47a,47bと、第2支持部49a,49bと、窪み部49cとを、連結部材40の長手方向に沿う中央寄りの部分(支持ピン43寄りの部分)に配置する機能を有する。なお、橋渡し部40bにも、クリップ部材41の先端部41d(図3参照)が当接可能であり、クリップ部材41の連結部材40に対する所定角度以上の回動を規制することができる。
このように、収容室42の内部に露出するよう突出される回動規制部40aおよび橋渡し部40bを設けることで、第1バーティブラ当接部46a,46b,第1支持部48a,48b,窪み部48cと、第2バーティブラ当接部47a,47b,第2支持部49a,49b,窪み部49cとを、それぞれ支持ピン43寄りの部分に配置している。これにより、ブレードラバー30の保護と、連結部材40の小型軽量化と、を実現している。
図8(b)に示されるように、連結部材40の往路側壁42aおよび復路側壁42bには、カバー部材50(図5および図9参照)がそれぞれ装着されるようになっている。具体的には、往路側壁42aおよび復路側壁42bのフロントガラス11側(裏側)には、カバー部材50を装着するための一対の位置決め穴42eと、一対の引っ掛け穴42fとがそれぞれ設けられている。なお、往路側壁42aおよび復路側壁42bに装着されるカバー部材50は、何れも同じものである。
一対の位置決め穴42eは、往路側壁42aおよび復路側壁42bの高さ方向に真っ直ぐに延び、その断面形状は略正方形形状となっている。そして、位置決め穴42eの深さ寸法はH1(図16(a)参照)に設定されている。これに対し、一対の引っ掛け穴42fは、往路側壁42aおよび復路側壁42bの高さ方向に延び、かつ往路側壁42aおよび復路側壁42bの板厚方向に延びている。つまり、引っ掛け穴42fの断面形状は略L字形状となっている。そして、引っ掛け穴42fの深さ寸法は、位置決め穴42eの深さ寸法H1よりも浅いH2(図16(b)参照)に設定されている(H2<H1)。
このように、位置決め穴42eはストレート形状に形成され、引っ掛け穴42fは略L字形状に形成されている。したがって、連結部材40は、上下方向に移動される上下金型(図示せず)に加えて、左右方向に移動されるスライド金型(図示せず)を用いて形成される。そして、一対の位置決め穴42eには、カバー部材50の一対の位置決め突起52(図9参照)がそれぞれ差し込まれ、一対の引っ掛け穴42fには、カバー部材50の一対の引っ掛け爪53(図9参照)がそれぞれ引っ掛けられるようになっている。
図8(b)に示されるように、連結部材40の長手方向両側には、ホルダカバー収容部40cがそれぞれ設けられている。これらのホルダカバー収容部40cは、連結部材40に設けられた支持ピン43を中心に、鏡像対称の形状に形成され、連結部材40の裏側から表側に向けて窪んでいる。そして、ホルダカバー収容部40cにはホルダカバー60の端部が収容され、ホルダカバー収容部40cはホルダカバー60の端部を覆い隠している(図12参照)。これにより、バーティブラ34a,34b等が外部に露出しないようにして、ワイパブレード10の見栄えを向上させている。
図9に示されるカバー部材50は、連結部材40の収容室42(図8参照)の内部とブレードラバー30側の外部との間で雨水等の流路が形成されるのを抑制するものである。カバー部材50は、図5および図16に示されるように、連結部材40のブレードラバー30側に、ブレードラバー30を中心に対向するよう2個装着される。図9に示されるように、カバー部材50は、略扁平の台形形状に形成されたカバー本体51を備え、当該カバー本体51の長手方向両側には、位置決め突起52および引っ掛け爪53が設けられている。すなわち、1つのカバー部材50には、合計4つの突起や爪が設けられている。なお、引っ掛け爪53の方が、位置決め突起52よりも、カバー本体51の長手方向端部に配置されている。また、カバー本体51は略扁平の台形形状に形成されているため、カバー部材50の短手方向の向きを目視や手触りで確認しやすく、カバー部材50の誤組付けを軽減できる。
位置決め突起52は、断面が略正方形形状に形成され、連結部材40の位置決め穴42e(図8(b)参照)に差し込まれるようになっている。そして、位置決め突起52のカバー本体51からの突出高さは、位置決め穴42eの深さ寸法H1よりも若干小さい寸法とされる(図16(a)参照)。よって、カバー本体51は、連結部材40の往路側壁42aおよび復路側壁42bに当接される。
また、引っ掛け爪53は、断面が略L字形状に形成され、その先端部分には、爪本体53aが設けられている。この爪本体53aは、連結部材40の引っ掛け穴42f(図8(b)参照)に引っ掛けられるようになっている。そして、引っ掛け爪53のカバー本体51からの突出高さは、引っ掛け穴42fの深さ寸法H2よりも若干小さい寸法とされる(図16(b)参照)。また、爪本体53aが引っ掛け穴42fに引っ掛けられた状態で、カバー本体51は連結部材40の往路側壁42aおよび復路側壁42bに当接される。
このように、位置決め突起52および引っ掛け爪53は、カバー部材50の連結部材40に対する装着方向にそれぞれ延在され、かつ位置決め突起52の長さの方が、引っ掛け爪53の長さよりも長くなっている。また、一対のカバー部材50を連結部材40に装着した状態で、カバー本体51のブレードラバー30側、つまりカバー本体51の一部は、ブレードラバー30の凹溝31eに非接触の状態で入り込んでいる(図16参照)。すなわち、カバー本体51とブレードラバー30との間には、微小隙間Δtが形成されている。このようにカバー部材50は、ブレードラバー30に対して非接触の状態とされる。よって、カバー本体51はブレードラバー30を歪ませることが無く、十分な払拭性能が確保される。
そして、図16に示されるように、ブレードラバー30の払拭方向(図中左右方向)と交差する方向から連結部材40を見たときに、当該連結部材40とブレードラバー30(リップ側壁部31d)との間には隙間Sが形成されるが、カバー本体51は、フロントガラス11側からこの隙間Sを閉塞している。すなわち、図中上下方向に沿う隙間Sの延長上に、カバー本体51が配置され、ブレードラバー30とカバー本体51とでラビリンス構造が形成されている。これにより、収容室42の内部に入ってしまった雨水等がフロントガラス11側へ漏れ出すことを抑制することができる。
図1ないし図5に示されるように、連結部材40の収容室42の内部には、クリップ部材41が収容されている。クリップ部材41は、プラスチック等の樹脂材料により所定形状に形成され、支持ピン43に回動自在に装着されている。
クリップ部材41は、長手方向中央部が支持ピン43に装着されるクリップ本体41aを備え、当該クリップ本体41aには、ワイパアーム12のU字状フック12aが連結される。また、クリップ本体41aの長手方向内周側(図3中左側)には、連結部材40の回動規制部40aに当接可能な凸部41bが設けられている。さらに、クリップ本体41aの長手方向外周側(図3中右側)には、クリップ本体41aに連結されたU字状フック12aを押さえる押さえ部材41cが回動自在に設けられている。
このように、支持ピン43に回動自在に設けられるクリップ部材41は、クリップ本体41aと押さえ部材41cとから構成されている。そして、クリップ本体41aにU字状フック12aを連結するには、回動中心CEを中心として、押さえ部材41cをクリップ本体41aに対して回動させて起こす。その後、クリップ本体41aにU字状フック12aを連結するとともに、押さえ部材41cを元通り(図3の状態)となるように回動させてクリップ本体41aに対して倒す。これにより、クリップ本体41aと押さえ部材41cとの間にU字状フック12aが挟持されて、ワイパアーム12に対してワイパブレード10が連結される。
図1,図5および図10に示されるように、ワイパブレード10の長手方向に沿う連結部材40の両側には、ホルダカバー60が設けられている。これらのホルダカバー60は、何れも同じものであって、ゴム等よりなる弾性材料を押出成形することで長尺に形成されている。ホルダカバー60は、第1ホルダ本体61と、第2ホルダ本体62と、フィン部63とを備えている。
第1ホルダ本体61および第2ホルダ本体62は、何れも断面が略U字形状に形成され、その開口部分が互いに向き合わされている。そして、第1ホルダ本体61および第2ホルダ本体62は、第1ホルダ爪61a,62aおよび第2ホルダ爪61b,62bを有している。第1ホルダ本体61および第2ホルダ本体62は、ブレードラバー30の本体部31の側部を抱え込むようにして覆い、具体的には、第1ホルダ爪61a,62aは、ブレードラバー30の一対の凹溝31eにそれぞれ入り込んでいる。また、第2ホルダ爪61b,62bは、一対のバーティブラ34a,34bの露出部34a3,34b3に当接されている。
これにより、ホルダカバー60は、本体部31の連結部材40がある部分を除く他の部分を覆っている。なお、ホルダカバー60は、連結部材40のようにブレードラバー30を支持するものでは無く、本体部31のアーム側壁部31cと、バーティブラ34a,34bの露出部34a3,34b3とを覆い隠し、ワイパブレード10の見栄えを良くするものである。そして、ホルダカバー60は、ブレードラバー30の長手方向両側から、ブレードラバー30に対してスライドさせることで装着される。
ここで、フィン部63には、傾斜面63aと、当該傾斜面63aに連なる頂部63bとが設けられている。フィン部63は、車両の走行風を受けてブレードラバー30のフロントガラス11からの浮き上がりを抑制し、高速走行時等における払拭性能の低下を防止する。よって、往路側(図中右側)に向けて傾斜面63aが前傾となるようにし、復路側(図中左側)に頂部63bが配置されるようにする。
また、図10に示されるように、ホルダカバー60の払拭方向(図中左右方向)に沿う中央部には、凹所64が設けられている。凹所64は、第1,第2ホルダ本体61,62側(裏側)からフィン部63側(表側)に窪むようにして設けられ、当該凹所64の内部には、ブレードラバー30のアーム側壁部31cが収容されている。これにより、ホルダカバー60は、ブレードラバー30に対してがたつくこと無く装着される。
図1,図5および図11に示されるように、ワイパブレード10の長手方向に沿うホルダカバー60の連結部材40側とは反対側の端部には、それぞれキャップ70が装着されている。すなわち、一対のキャップ70は、ブレードラバー30の長手方向両側に設けられ、ホルダカバー60の端部と本体部31の端部とを覆っている。これらのキャップ70は、何れも略同様に形成されるが、それぞれ鏡像対称の形状とされる点のみが異なっている。以下、一方のキャップ70(ワイパブレード10の長手方向外周側のキャップ70)のみを図示して、その構造について詳細に説明する。
図11に示されるように、キャップ70は、溶融したプラスチック等の樹脂材料を射出成形することで形成され、内部が中空とされたキャップ本体71を備えている。キャップ本体71は、一対のバーティブラ34a,34bを含むブレードラバー30の長手方向両側と、ホルダカバー60の連結部材40側とは反対側の端部とを覆い隠して、ワイパブレード10の長手方向両側の見栄えを良くしている。また、キャップ70をブレードラバー30の長手方向両側に固定することで、ホルダカバー60のブレードラバー30からの脱落が防止される。
キャップ本体71の内側には、一対のバーティブラ34a,34bを含むブレードラバー30の長手方向端部が収容されるブレードラバー端収容部72が設けられている。ブレードラバー端収容部72には、図11(b)に示されるように、ブレードラバー30のパーティングラインPL(図6参照)が入り込む窪み部72aが設けられ、当該窪み部72aの近傍には、ブレードラバー30のアーム側壁部31cが収容される凹所72bが設けられている。
また、ブレードラバー30の払拭方向(図中左右方向)に沿う凹所72bの両側には、バーティブラ34a,34bの露出部34a3,34b3を支持する一対の支持面72cが設けられている。さらに、ブレードラバー端収容部72には、バーティブラ34a,34bの板厚方向に沿う露出部34a3,34b3側とは反対側の裏面34a4,34b4をそれぞれ支持する一対の支持凸部72dが設けられている。このように、キャップ70の一対の支持面72cおよび一対の支持凸部72dは、バーティブラ34a,34bを、その板厚方向からがたつくこと無く支持している。
また、一対の支持凸部72dの近傍には、ブレードラバー30の払拭方向に突出された一対の係合爪72eが設けられている。これらの係合爪72eは、ブレードラバー30の払拭方向に互いに対向されており、ブレードラバー30の長手方向両側に設けられた第1,第2キャップ位置決め部31e1,31e2(図6参照)にそれぞれ入り込む。
図11(a)に示されるように、一対の係合爪72eには、それぞれテーパ面72fが設けられている。これらのテーパ面72fは、キャップ70をブレードラバー30の端部に装着する際に、それぞれの係合爪72eの第1,第2キャップ位置決め部31e1,31e2への装着を案内する。これにより、キャップ70のブレードラバー30への装着が容易に行える。つまり、テーパ面72fは、キャップ70の開口側(図11(a)の左側)に向けて、テーパ面72f間が徐々に拡開するように傾斜されている。
キャップ70の内側でかつ開口側には、ホルダカバー端収容部73が設けられている。ホルダカバー端収容部73とブレードラバー端収容部72との間には、ホルダカバー60の連結部材40側とは反対側の端部が突き当てられる突き当て面73aが設けられている。これにより、ホルダカバー端収容部73の内部に、ホルダカバー60の連結部材40側とは反対側の端部ががたつくことなく収容される。
次に、以上のように形成されたワイパブレード10の動作について、図面を用いて詳細に説明する。
図12はワイパブレードが真っ直ぐの状態を説明する断面図を、図13はワイパブレードの湾曲状態(その1)を説明する断面図を、図14はワイパブレードの湾曲状態(その2)を説明する断面図を、図15(a)は図4の支持部およびバーティブラ当接部周辺の部分拡大図,(b)は支持部の変形例を示す図15(a)に対応した断面図をそれぞれ示している。
図12に示されるワイパブレード10は、ブレードラバー30のリップ部32が、フロントガラス11の比較的平坦な部分に接触された状態を示している。したがって、一対のバーティブラ34a,34bを含むブレードラバー30は、略真っ直ぐになっている。ここで、ワイパアーム12の先端部分(U字状フック12aの部分)は、図示しないスプリングのばね力により、フロントガラス11に向けて押圧されている。よって、リップ部32の長手方向中央部分がフロントガラス11に密着され、かつバーティブラ34a,34bのばね力によりリップ部32の長手方向両側もフロントガラス11に密着される。したがって、リップ部32の長手方向全域において十分な払拭性能が得られる。
このとき、図12に示されるように、ワイパアーム12から伝達される押圧力F1は、連結部材40の第1バーティブラ当接部46a,46bおよび第2バーティブラ当接部47a,47bを介して、一対のバーティブラ34a,34bに伝達される。この押圧力F1の伝達経路には、ゴム製のブレードラバー30が存在しない。そのため、連結部材40に対するブレードラバー30の接続剛性が高められて、連結部材40の揺動運動に対してブレードラバー30は振れること無く追従することができる。したがって、ブレードラバー30の振れに起因する拭きムラの発生が効果的に抑えられて、十分な払拭性能が得られる。
また、ワイパアーム12の揺動運動時には、ワイパブレード10に比較的大きな遠心力F2が作用する。そのため、ブレードラバー30は連結部材40から抜けようとする。このとき、連結部材40の第1爪部44a,44bは、ブレードラバー30の傾斜壁部31f2では無く、移動規制突起31f3に押し付けられる。よって、連結部材40からブレードラバー30が抜けてしまうようなことは無い。
図13に示されるワイパブレード10は、ブレードラバー30のリップ部32が、フロントガラス11の曲率が大きい部分に接触された状態、あるいはワイパアーム12(ワイパブレード10)をロックバックさせた状態(起立させた状態)を示している。例えば、リップ部32がフロントガラス11の曲率が大きい部分に接触されると、一対のバーティブラ34a,34bを含むブレードラバー30は、フロントガラス11の曲率に合わせて湾曲される。具体的には、バーティブラ34a,34bが自然状態(元々の湾曲状態)に近付いて、これに追従してブレードラバー30も湾曲される。よって、リップ部32の長手方向全域がフロントガラス11に密着される。
このとき、ワイパアーム12から伝達される押圧力F1は、第1バーティブラ当接部46a,46bおよび第2バーティブラ当接部47a,47bから、一対のバーティブラ34a,34bに伝達されるが、両者間には摩擦抵抗を増大させるゴム製のブレードラバー30が存在しない。したがって、第1バーティブラ当接部46a,46bおよび第2バーティブラ当接部47a,47bと、一対のバーティブラ34a,34bとの滑りがスムーズとなり、ひいてはバーティブラ34a,34bは略抵抗無く自然状態に容易に近付くことができる。
すなわち、第1バーティブラ当接部46a,46bおよび第2バーティブラ当接部47a,47bは、一対のバーティブラ34a,34bの湾曲に応じて、それぞれの露出部34a3,34b3に対してスムーズに摺接するようになっている。これにより、バーティブラ34a,34bの剛性を高めてばね力を大きくすること無く、ブレードラバー30の湾曲をスムーズに行わせることができ、ひいてはワイパブレード10の小型軽量化やコスト低減が図れて、軽自動車等への適用も可能となる。
また、車両の洗車時等においてワイパアーム12をロックバックさせた場合や、ワイパブレード10の単品搬送時には、図13の矢印R1に示されるように、クリップ部材41が支持ピン43を中心に反時計周り方向に回動されることがある。そして、クリップ部材41が連結部材40に対して所定角度α°の分だけ回動されると、クリップ本体41aの凸部41bが、連結部材40の回動規制部40aに当接される。したがって、クリップ部材41の連結部材40に対する所定角度α°以上の回動が規制される。同様に、図14の矢印R2に示されるように、クリップ部材41が支持ピン43を中心に時計周り方向に回動されることがある。そして、クリップ部材41が連結部材40に対して所定角度β°の分だけ回動されると、クリップ本体41aの先端部41dが、連結部材40の橋渡し部40bに当接される。これにより、クリップ部材41やU字状フック12aのブレードラバー30への接触が阻止されて、クリップ部材41やU字状フック12aよりも柔軟なブレードラバー30の早期損傷が防止される。また、ロックバックを解除する際には、橋渡し部40bによりクリップ部材41のR2方向への回動を規制することで、ワイパブレード10のばたつきを抑制でき、ブレードラバー10が車体等に衝突し損傷することを防止できる。なお、揺動運動時にも、クリップ部材41がブレードラバー30を直接押圧することがないため、払拭に必要な回転角(所定角度α°およびβ°)を確保しつつ、リップ部32をフロントガラス11に対して過剰に押圧することを防止できる。
ここで、一対のバーティブラ34a,34bを含むブレードラバー30の湾曲時には、図15(a)に示されるように、第1バーティブラ当接部46a,46bが露出部34a3,34b3にそれぞれ摺接されることに加えて、第1支持部48a,48bがアーム側壁部31c(ゴム製)にそれぞれ摺接される。しかしながら、第1支持部48a,48b間には、窪み部48cが設けられているので、第1支持部48a,48bとアーム側壁部31cとの接触面積の増大は、最小限に抑えられている。したがって、連結部材40に対するブレードラバー30のスムーズな湾曲に悪影響を与えることは無い。
ただし、第1支持部48a,48bとアーム側壁部31cとの接触面積の増大をより抑えるために、図15(b)に示されるような[変形例]の構造を採用しても良い。具体的には、図15(a)の第1支持部48a,48bに換えて、第1支持突起Ta,Tbを設け、これらの第1支持突起Ta,Tb間に窪み部48cを設けた構造でも良い。これにより、第1支持突起Ta,Tbの第1バーティブラ当接部46a,46b側に、それぞれ窪み部Da,Dbが形成されて、第1支持突起Ta,Tbとアーム側壁部31cとの接触面積の増大をより抑えることができる。
次に、以上のように形成されたワイパブレード10の組み立て手順(製造方法)について、図面を用いて詳細に説明する。
図16(a)はカバー部材の位置決め突起を説明する断面図,(b)はカバー部材の引っ掛け爪を説明する断面図を、図17(a),(b),(c),(d)はバーティブラ位置決め部およびキャップ位置決め部を説明する部分拡大断面図を、図18(a)はブレードラバーに設けられる識別マークの部分拡大図,(b)は図17の変形例における識別マークの部分拡大図を、図19(a),(b)はバーティブラの加工手順を説明する説明図をそれぞれ示している。
[ブレードラバー組立工程]
まず、図5ないし図7に示されるように、往路側のバーティブラ34a,復路側のバーティブラ34bおよびブレードラバー30を準備する。次いで、図4および図6に示されるように、ブレードラバー30の本体部31における往路側の溝部31aにバーティブラ34aを装着し、ブレードラバー30の本体部31における復路側の溝部31bにバーティブラ34bを装着する。
このとき、図17(b)に示されるように、第1バーティブラ位置決め部31a1,31b1を、第1位置決め凹部34a1,34b1に、それぞれ入り込むようにする。これにより、図17(c)に示されるように、第2バーティブラ位置決め部31a2,31b2は、第2位置決め凹部34a2,34b2に、それぞれ入り込む。したがって、一対のバーティブラ34a,34bが本体部31の溝部31a,31bに正しく装着されて、ブレードラバー30に対するバーティブラ34a,34bの組み付けが完了する。
[連結部材組立工程]
次に、図5,図8および図9に示されるように、連結部材40,クリップ部材41および一対のカバー部材50を準備する。そして、クリップ部材41のクリップ本体41aを、連結部材40の支持ピン43に回動自在となるように装着する。このとき、図3に示されるように、クリップ部材41の凸部41bと、連結部材40の回動規制部40aと、が互いに対向するように装着する。
次いで、図16に示されるように、一対のカバー部材50を、連結部材40の往路側壁42aおよび復路側壁42bに装着する。このとき、連結部材40の裏側(図16中下側)に、位置決め突起52および引っ掛け爪53の先端側を臨ませる。その後、カバー部材50を連結部材40に接近させていくと、最初に突出高さの高い位置決め突起52が位置決め穴42eに入り込む。次いで、突出高さの低い引っ掛け爪53が引っ掛け穴42fに入り込む。
このとき、位置決め突起52の位置決め穴42eへの装着動作が、引っ掛け爪53の引っ掛け穴42fへの引っ掛け動作の案内となり、位置決め突起52の位置決め穴42eへの装着を進めていくことで、図16(b)に示されるように、爪本体53aが引っ掛け穴42fに引っ掛けられる。これにより、一対のカバー部材50が、がたつくこと無く往路側壁42aおよび復路側壁42bに固定されて、連結部材40の組み立てが完了する。
[ブレードラバー装着工程]
次に、ブレードラバー組立工程を経て、一対のバーティブラ34a,34bが装着されたブレードラバー30を準備する。また、連結部材組立工程を経て、クリップ部材41および一対のカバー部材50が装着された連結部材40を準備する。そして、ブレードラバー30の長手方向外周側を、連結部材40の長手方向内周側に臨ませる。
その後、図4および図8(b)に示されるように、連結部材40の第1爪部44a,44bおよび第2爪部45a,45bを、それぞれ本体部31の凹溝31eに装着する。これにより、ワイパアーム12(図3参照)に連結される連結部材40が、ブレードラバー30の長手方向から本体部31に装着されていく。このとき、第1バーティブラ当接部46a,46bおよび第2バーティブラ当接部47a,47bは、露出部34a3,34b3にそれぞれ当接され、第1爪部44a,44bおよび第2爪部45a,45bは、ブレードラバー30の本体部31をリップ部32側からそれぞれ支持する。
そして、第1バーティブラ当接部46a,46bおよび第2バーティブラ当接部47a,47bを露出部34a3,34b3に当接させ、第1爪部44a,44bおよび第2爪部45a,45bにより本体部31のリップ部32側を支持させることで、ブレードラバー30およびカバー部材50は、図16に示される状態となる。すなわち、本体部31の一対の凹溝31eに、一対のカバー部材50のカバー本体51が、それぞれ引っ掛かること無くスムーズにかつ自動的に入り込む。これにより、凹溝31eの内部にカバー本体51が非接触の状態で設けられ、凹溝31eとカバー本体51との間に微少隙間Δtが形成される。
次いで、第1爪部44a,44bおよび第2爪部45a,45bを、凹溝31e内でスライドさせ、ブレードラバー30の長手方向に沿う略中央部分に連結部材40を移動させる。その後さらに、第1爪部44a,44bを、傾斜壁部31f2を介して係合凹部31f1(図6(b)参照)に移動させる。これにより、第1爪部44a,44bが係合凹部31f1にそれぞれ係合されて、連結部材40のブレードラバー30の軸方向への移動が規制される。これにより、ブレードラバー30の連結部材40への装着が完了する。
[ホルダカバー装着工程]
次に、図5および図10に示されるように、一対のホルダカバー60を準備する。また、ブレードラバー装着工程を経て、ブレードラバー30が装着された連結部材40を準備する。そして、ブレードラバー30の長手方向両側から、本体部31にホルダカバー60をそれぞれ装着していく。このとき、ホルダカバー60の第1ホルダ爪61a,62aを、本体部31の凹溝31eに装着するようにし、かつホルダカバー60の凹所64に、ブレードラバー30のアーム側壁部31cが収容されるようにする。
その後、ホルダカバー60の本体部31への装着をさらに進めて、一対のホルダカバー60の端部を、連結部材40のホルダカバー収容部40cにそれぞれ収容する。これにより、ブレードラバー30の長手方向に沿う連結部材40の両側に、本体部31を覆うようにしてホルダカバー60が装着され、ホルダカバー60のブレードラバー30への装着が完了する。
[キャップ装着工程]
次に、図5および図11に示されるように、一対のキャップ70を準備する。また、ホルダカバー装着工程を経て、ホルダカバー60が装着されたブレードラバー30(連結部材40)を準備する。そして、ブレードラバー30の長手方向両側に、キャップ70をそれぞれ装着する。具体的には、図11(b)および図17(a)に示されるように、一対の係合爪72eを、第1,第2キャップ位置決め部31e1,31e2にそれぞれ入り込むようにする。
このとき、係合爪72eに設けられたテーパ面72fにより、係合爪72eは、第1,第2キャップ位置決め部31e1,31e2の内部に入り易くなっている。これにより、一対のバーティブラ34a,34bを含むブレードラバー30の端部が、ブレードラバー端収容部72に収容され、ホルダカバー60の端部が、ホルダカバー端収容部73に収容される。なお、図11(b)に示されるように、キャップ70の支持面72cと支持凸部72dとが、バーティブラ34a,34bの板厚方向両側を直接支持するので、ブレードラバー30に対するキャップ70のがたつきが効果的に抑えられる。
ここで、ブレードラバー30はゴム製であるため、作業者の手触り(感触)では、係合爪72eが第1,第2キャップ位置決め部31e1,31e2に対して正しく係合されたか否かを判断するのが難しい。さらに、係合爪72eが第1,第2キャップ位置決め部31e1,31e2に対して正しく係合されたか否かを判断するのに外部から目視するのも難しい。そこで、図18(a)に示されるように、キャップ70のブレードラバー端収容部72とホルダカバー端収容部73との間に設けられた境界壁部BWが、本体部31の対向面31hに設けられた識別マーク31kの部分にある場合に、図17(a)に示されるように、キャップ70がブレードラバー30に対して正しく装着されている状態となるようにしている。ここで、正しく装着されている状態とは、係合爪72eが第1,第2キャップ位置決め部31e1,31e2に対して係合された状態のことである。すなわち、キャップ70のブレードラバー30に対する正しい装着状態を、外部から目視で容易に判断可能となっている。
このように、キャップ70の境界壁部BWを、対向面31hの識別マーク31kの部分に配置されるようにすることで、キャップ70のブレードラバー30への装着が完了する。これにより、ワイパブレード10が完成し、ホルダカバー60のブレードラバー30からの脱落が防止されるとともに、ホルダカバー60の端部および本体部31の端部がキャップ70で覆われて、ワイパブレード10の見栄えも向上される。
また、図17に示されるように、本体部31の端部の位置を基準位置P0とした場合に、当該基準位置P0側から、第1,第2キャップ位置決め部31e1,31e2の位置P1、第1バーティブラ位置決め部31b1,第2バーティブラ位置決め部31a2,31b2の位置P2、第1バーティブラ位置決め部31a1の位置P3が、この順で並べられている。すなわち、本実施の形態に係るワイパブレード10では、キャップ70をブレードラバー30の端部に装着する際に、キャップ70に設けられた一対の係合爪72eの位置は、位置P2,P3がある部分を越えない。よって、ブレードラバー30の交換時等において、キャップ70をブレードラバー30から容易に着脱することができる。また、キャップ70を着脱する際に、第1バーティブラ位置決め部31a1,31b1および第2バーティブラ位置決め部31a2,31b2が、引っ張られたり押し縮められたり変形されることが抑制される。
ただし、図17(d)や図18(b)の[変形例]に示されるような形状のキャップCAを用いることもできる。このキャップCAは、図11に示されるキャップ70よりも長尺とされ、第1,第2キャップ位置決め部31e1,31e2の位置が、基準位置P0に対して、第1バーティブラ位置決め部31a1の位置P3よりも離れた位置P4となっている点が異なっている。すなわち、図17(d)および図18(b)に示された[変形例]では、第1バーティブラ位置決め部31a1,31b1および第2バーティブラ位置決め部31a2,31b2の方が、第1,第2キャップ位置決め部31e1,31e2よりも、ブレードラバー30の端部よりに設けられている。
また、第1,第2キャップ位置決め部31e1,31e2を位置P4に設けたことに伴い、対向面31hに設けられる識別マーク31kの位置も異ならせている。具体的には、図18に示されるように、キャップ70では本体部31の端部から境界壁部BWまでの距離(挿入深さ)がL1であったのに対し、キャップCAでは本体部31の端部から境界壁部BWまでの距離がL2(L2>L1)となっている。
このような[変形例]では、キャップCAを装着する際に、一対の係合爪72eの位置は位置P2,P3がある部分を越える。そのため、キャップCAのブレードラバー30に対する装着強度を高めて、キャップCAのブレードラバー30からの脱落をより確実に抑えることができる。なお、キャップCAの着脱の途中段階では、第1,第2キャップ位置決め部31e1,31e2に対する係合爪72eの係合は解除されている。よって、係合爪72eの位置が位置P2,P3を通過する際に、ブレードラバー30の長手方向には、それほど大きな引っ張り力が作用しない。
ここで、本実施の形態に係る一対のバーティブラ34a,34b(図7参照)は、その幅寸法が約5mm程度の細長いステンレス鋼板により形成されている。したがって、図7に示される第1切欠部35および第2切欠部36からなる剛性弱領域ARは、パンチおよびダイを用いたパンチング加工では、安定した製品の供給が困難である。具体的には、パンチが小型であるためパンチが早期に損傷してしまい、製品毎の寸法誤差が大きくなるばかりか、パンチのライフサイクルが短くなって製造コストの上昇を招いてしまう。
そこで、本実施の形態に係る一対のバーティブラ34a,34bにおいては、第1切欠部35および第2切欠部36からなる剛性弱領域ARを、図19に示されるようなレーザ照射装置LSを用いて、レーザ光線の照射による加熱溶融により形成している。具体的には、レーザ照射装置LSのレーザ照射部LBから照射されるレーザ光線(600W〜900W)の熱により、バーティブラ34a,34bの外縁部分を溶かし、これにより第1切欠部35および第2切欠部36を形成している。
以下、復路側のバーティブラ34bを代表して、レーザ照射装置LSによる剛性弱領域ARの成形手順(加工手順)について説明する。
[第1切欠部の成形工程]
まず、図19(a)に示されるように、剛性弱領域ARを備えないバーティブラ34b(ワーク)を準備し、当該バーティブラ34bを基台(図示せず)の上の所定位置に配置する。そして、基台に対してレーザ照射装置LSのレーザ照射部LBを移動させて、レーザ照射部LBを、バーティブラ34bの長手方向中央寄りの部分にセットする。
次いで、図19(a)の二点鎖線矢印に示されるように、レーザ照射部LBからレーザ光線をバーティブラ34bの外縁部分に向けて照射しつつ、レーザ照射部LBを所定速度で移動させる。これにより、バーティブラ34bの外縁部分の一部が加熱溶融により切り欠かれて、6つの凹部35aおよび5つの凸部35bよりなる第1切欠部35(レーザ照射による切欠部)が連続的に形成される。ここで、凸部35bの頂部は、バーティブラ34a,34bの幅方向に深さ寸法D3で窪んだ位置に配置されているので、レーザ照射装置LSをON/OFFさせずにレーザ照射部LBを移動させるだけで済み、第1切欠部35を素早く形成することができる。さらに、深さ寸法D3=0とした場合に比べてレーザ照射部LBの移動距離が短縮され、レーザ照射に必要な電力などのエネルギーを低減できる。また、仮に深さ寸法D3=0とした場合には、レーザ照射装置LSにより与えられる熱量が凹部35aと凸部35bとで異なるため、バーティブラ34a,34bの矯正に必要な熱応力の設定が複雑化する。
第1切欠部35の成形後には、加熱された第1切欠部35が冷却されて硬化され、そのときのステンレス鋼板の収縮力により、バーティブラ34bの長手方向外周側(図中右側)が、破線に示される状態から実線矢印M1の方向(第1切欠部35側)に反り返る。そこで、第1切欠部35の成形に引き続き、バーティブラ34bの第1切欠部35がある側とは反対側の外縁部分に、第2切欠部36を形成する。
[第2切欠部の成形工程]
上述した第1切欠部35の成形工程に引き続き、レーザ照射部LBを移動させて、第2切欠部36(レーザ照射による加熱加工部)を形成する。具体的には、まず、レーザ照射部LBを、バーティブラ34bの第1切欠部35がある側とは反対側の外縁部分で、かつ第1切欠部35を形成する長手方向内周側から2番目の凸部35bに対応する部分にセットする。
次いで、図19(b)の二点鎖線矢印に示されるように、レーザ照射部LBからレーザ光線をバーティブラ34bの外縁部分に照射しつつ、レーザ照射部LBを所定速度で移動させる。これにより、バーティブラ34bの外縁部分の一部が加熱溶融により切り欠かれて、バーティブラ34bの長手方向に真っ直ぐに延在された凹溝よりなる第2切欠部36が形成される。
そして、第2切欠部36の成形後には、加熱された第2切欠部36が冷却されて硬化され、そのときのステンレス鋼板の収縮力により、バーティブラ34bの長手方向外周側(図中右側)が、破線に示される状態から破線矢印M2の方向(第2切欠部36側)に矯正される。これにより、図7に示されるように、バーティブラ34bの反りが精度良く真っ直ぐに矯正されて、バーティブラ34bに対する剛性弱領域ARの成形が完了する。
なお、バーティブラ34bに剛性弱領域ARを成形する際に、バーティブラ34bの仕様によっては、第1切欠部35のみを設けて、第2切欠部36を省略することもできる。ただし、この場合においても、図19(a)に示されるように、バーティブラ34bは反り返るため、上述の矯正処理は必要である。第2切欠部36を形成せずに矯正処理を行うには、レーザ照射部LBから照射されるレーザ光線を、バーティブラ34bの外縁部分に近付けるようにすれば良い。すなわち、レーザ光線の熱でバーティブラ34bの外縁部分を、加熱溶融して切り欠くのでは無く加熱溶融のみに止めて、レーザ照射による加熱加工部を形成するようにしても良い。さらには、十分に真っ直ぐに矯正できるのであれば、加熱溶融させずに加熱する(炙る)だけでも良い。
なお、このような矯正処理をした場合にも、バーティブラ34bの外観上、加熱痕HT(変色してざらざらになった部分等)が残るが、当該加熱痕HTは、ワイパブレード10の機能上、何ら問題を生じず、かつ外部に露出されることも無い。したがって、加熱痕HTを研磨して消す等の処理をせずにそのままとし、製造コストの上昇を避けるようにする。ただし、加熱痕HTを研磨して消すようにしても構わない。
以上詳述したように、本実施の形態に係るワイパブレード10によれば、連結部材40によってブレードラバー30が支持され、カバー部材50は、連結部材40に差し込まれる位置決め突起52および連結部材40に引っ掛けられる引っ掛け爪53を有し、ブレードラバー30に対して非接触の状態とされる。
これにより、ブレードラバー30を連結部材40のみで支持させることができる。よって、カバー部材50の位置精度がブレードラバー30の歪みに影響を与えずに済み、ひいてはワイパブレード10の払拭性能を向上させることができ、かつ製品毎に払拭性能がばらつくことを抑制できる。
また、カバー部材50を、連結部材40に対して位置決め突起52と引っ掛け爪53とで固定できるので、従前の係止爪ほどの数を必要とせず、カバー部材50の構造を簡素化することができる。よって、ワイパブレード10の組み立て作業性を向上させることができ、かつワイパブレード10の小型軽量化を図ることができる。
さらに、本実施の形態に係るワイパブレード10によれば、位置決め突起52および引っ掛け爪53は、それぞれカバー部材50の連結部材40に対する装着方向に延在され、位置決め突起52の長さの方が、引っ掛け爪53の長さよりも長くなっている。よって、カバー部材50を連結部材40に固定する際に、最初に長さの長い位置決め突起52を位置決め穴42eに入り込ませ、次いで、長さの短い引っ掛け爪53を引っ掛け穴42fに入り込ませることができる。よって、カバー部材50を連結部材40に容易に固定することができる。
また、本実施の形態に係るワイパブレード10によれば、本体部31の溝部31a,31bとリップ部32との間に、ブレードラバー30の長手方向に延在された一対の凹溝31eが設けられ、これらの凹溝31eにカバー本体51の一部が非接触の状態で入り込んでいる。よって、カバー本体51はブレードラバー30を歪ませることが無いので、ワイパブレード10の払拭性能を低下させることが無い。
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態においては、ワイパブレード10を、自動車等の車両のフロントガラス11を払拭するワイパ装置に適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、ワイパブレード10を、自動車等の車両のリヤ側に搭載されるリヤワイパ装置や、船舶,航空機,鉄道車両等に搭載されるワイパ装置にも適用することができる。
その他、上記実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上記実施の形態に限定されない。