JP6715584B2 - 採光フィルム - Google Patents

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Description

本発明は住宅等の窓に貼付する採光フィルムに関する。
近年、環境負荷低減の観点から、光の屈折、回折あるいは反射等の特性をもつ光学部材を窓に取り付けて、太陽光を効率的に屋内に取り入れることが検討され、その光学部材として採光板や採光フィルムが提案されている。
採光の方法としては、例えば、光線透過性板の表面に凹レンズの一部を使った同一非対称形レンズ素子によって、縦方向に鋸歯形の長い傾斜面を凹曲面となし、その鋸歯形の底面を水平でなく凹曲面の円弧内に向けて光の透過方向に向かって傾斜底面として交互に平行して形成配列してなる光線屈折型採光板(特許文献1)、さらに太陽の水平移動を考慮し、鉛直方向に平行配列された複数の凹状形状素子を片面に有する屈折採光フィルム(特許文献2)が提案されている。また、複数の単位プリズムを有する透光性の支持体を備え、各単位プリズムの一部の面に、光を反射可能な反射層が設けられた採光フィルム(特許文献3)等も提案されている。
これらの提案された、凹レンズの一部やプリズム、光学素子を利用した採光板は、樹脂表面に微細加工を施すため、高度な技術が必要であり、さらに表面の凹凸に対する汚れ防止等のために保護層を設ける必要もあり、工業生産、あるいはコスト面で非常に不利である。
より簡易的な方法として、表面をマット調に加工したり、拡散剤を塗布、または練り込んだ光拡散フィルムを窓に設置することも知られているが、拡散効果が高いが故に採光効率が低下してしまうという問題がある。また、光拡散フィルムの場合、拡散した光が直接目に入るため不快感を与える。
また、これらの採光フィルムは光を様々な方向に屈折させるため視認性がなく外部を見ることができない。視認性がない採光フィルムは窓全面に貼ると圧迫感があるため、オフィス等においては窓上部のみに貼られており、未装着部は太陽光を遮るためにブラインド等で遮光しなくてはならず、結果的に窓の視認性はなくなってしまう。
これらは微細加工が必要で高度な加工技術が要求され、かつ窓の視認性を得るため、微細加工を行わずに樹脂表面の反射を利用する方法が考案され、水平方向に延びる複数のスリットが形成される透明なプラスチック板(特許文献4)、透明層と反射層を備えるフィルムを積層し厚み方向に切断した光学フィルム(特許文献5)、透明層と除去材料層からなるフィルムを積層して厚み方向に切断し、除去層を除去し空気層に置換して空気層と透明層の境界面で光を反射させる光学フィルム(特許文献6)等が提案されている。
これらの光学フィルムは、ビルや家屋の窓に設置されて、屋外からの太陽光を反射あるいは屈折して、採光シートや板として利用される。
しかしながら、これらは微細加工が不要であるが、同一フィルムを大量に積層してカットし、表面の平滑性を得るために研磨を行うなど製造に非常に手間がかかるため、コスト面ではやはり不利である。また、採光の方法としてはフィルム表面の反射を利用しているが、全て反射によるものであり、入射角と同じ角度で反射するため、屋内へ採光できる角度が限定され、特に夏場は十分な採光が行えない。さらに、これを改善するため反射面を調節した採光板も提案されているが(特許文献4)、間隔、角度調整に手間が掛かり、現実的ではない。
クレイズフィルムを光制御フィルムとして利用する技術として、透明性の高分子樹脂フィルムに、当該フィルムの厚み方向に斜め方向の縞状クレイズ領域を均一に設けた光制御性フィルム(特許文献7)が提案されている。この光制御性フィルムは、クレイズ部分が光を散乱するため、光制御フィルムの表面に対して垂直及び低角度で入射する光を散乱し、光制御性フィルムに設けたクレイズの斜め方向の角度に沿って入射する光、つまりクレイズに平行に入射する光を透過させることを目的としている。従って、採光フィルムのように窓に設置すると屋内は朝日や西日のように低角度からの 光は直接室内に透過させることはできるが、その他の日中の光を室内に採光できず、かつこの光制御性フィルムはその厚さ方向に不透明であるため、室内にいる人が室外を、かつ室外にいる人が室内を見ることができない。そのため透明な通常の窓を対象として使用することはできない。
なお、このようなクレイズフィルムは例えば、図5に示すように、樹脂フィルムAを支持体Bを基点にして角θ方向に折り曲げることによってクレイズCが形成されることにより得られる。
特公平5−59402号公報 特開2006−317846号公報 特開2008−40025号公報 特開2000−268610号公報 特開2014−235380号公報 特開2014−235379号公報 特開2008−90068号公報
本発明は、住宅等の建築物の窓に入射する光を効率よく室内の天井や奥部分に導きつつ、外界の視認性があり、かつ生産性に優れ低コスト化が可能な採光フィルムを提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の手段で解決することができることを見出し、本発明をなすに到った。
1.フィルム面に垂直方向に周期的にクレイズが形成されてなり、平行光線透過率が15%以上、かつ全光線透過率が80%以上である樹脂フィルムからなる光透過性採光フィルム。
2.1に記載のフィルムを該光透過性採光フィルムの厚さ方向に少なくとも1回湾曲してなる光透過性採光フィルム。
3.1又は2に記載のフィルムの少なくとも2枚を、互いにクレイズが直交する状態に積層されてなることを特徴とする光透過性採光フィルム。
4.紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤の少なくとも一つを含有もしくはコーティングした1〜3のいずれかに記載の光透過性採光フィルム。
5.1〜4のいずれかに記載の層を含む光透過性採光フィルム。
6.片面に接着剤層を付与した1〜5のいずれかに記載の光透過性採光フィルム。
7.1〜5のいずれかに記載の複数の光透過性採光フィルムを、互いに上下方向に間隔をおいて平行かつ回転自在に取り付けられた羽根として配置した採光ブラインド。
フィルムの厚さ方向に概垂直にクレイズが形成されたフィルムは、クレイズ部分と非クレイズ部分の界面で太陽光等の光を反射する。さらに、一部クレイズに侵入した光はクレイズ内に存在するボイドにより拡散し、部屋の奥の部分まで天井面に明るく照り返すことができる。また、光透過性のフィルムにおいて、非クレイズ部分はフィルム表面にほぼ垂直に入射する光は透過するため、窓の外を見ることができる視認性を与える。
従って、クレイズ部分と非クレイズ部分の割合を制御することにより、太陽光を反射しつつ、外界の視認性も併せ持つ、光透過性採光フィルムを得ることができる。
このような光透過性採光フィルムである本発明によれば、窓に取り付けた際に太陽光線が入射する角度とほぼ同じ角度で太陽光を天井に反射させることができる。また、クレイズ自体の拡散効果により、反射光を一部拡散することにより部屋全体を明るくできると共に、光透過性採光フィルムはその厚さ方向に透明であるため、室内から室外を、かつ室外から室内を目視することができ、視認性に優れる。
光透過性採光フィルムによる作用を示す図 ブラインドに使用した図 反射光の強度及び拡散光の強度の測定原 部屋をモデル化した暗箱の図 クレイズの製造原理を示す図
本発明の光透過性採光フィルムは、クレイズが樹脂フィルムのフィルム面に概垂直な方向に設けられ、かつ樹脂フィルムの面に概縞状に周期的に繰り返して設けられてなるものである。
(クレイズが形成された樹脂フィルム)
クレイズとは破壊初期に見られるボイドとフィブリルで構成されたスポンジ様の構造であり、樹脂フィルムの表面あるいはその下に、その表面に対して垂直方向、つまりフィルムの深さ方向に形成される。その構造は微細であり、顕微鏡下では亀裂のように観察され、クレイズあるいはクレイズが発達した結果生じるクラックとの識別は容易ではない。また、破壊の前兆現象であることから、クラックとクレイズが共存することが多い。本発明では、樹脂の強度よりも、クレイズ、あるいはクラック部分とフィルム樹脂との境界での空気層との屈折率の差から生じる反射現象が重要と考えられることから、クレイズにはクラックも含めるものとする。
これらの熱可塑性高分子樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、環状オレフィン及びそのコポリマー(COC)、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、ポリ乳酸が例示でき、熱硬化性高分子樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル・エポキシ樹脂、ポリオール・イソシアネートウレタン系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂が例示できる。これらの樹脂を1種または2種以上を混合して使用することも可能である。
クレイズが形成された樹脂フィルムを構成する樹脂材料としては、特に制限がなく、結晶性あるいは非晶性の熱可塑性高分子樹脂フィルム、熱硬化性高分子樹脂フィルムが使用できる。
採光性を得るためにはクレイズが形成される樹脂フィルムは光透過性樹脂からなることが必要であり、クレイズ形成後の全光線透過率は80%以上、好ましくは85%以上である。
またクレイズが形成された樹脂フィルムの平行光線透過率は15%以上、好ましくは20%以上、さらに好ましくは40%以上である。
なお、本発明における全光線透過率とは、JIS K7361−1で規定されている試験片の平行入射光束に対する全透過光束の割合であり、平行光線透過率とは、試験片の平行入射光束に対して試験片を平行に透過した光束(全透過光束−試験片で拡散した光束)の割合である。これらは市販の濁度計(例えば日本電色工業株式会社製 NDH5000等)で容易に測定可能である。
前記結晶性熱可塑性高分子樹脂の場合、クレイズ形成の容易さの観点から、ガラス転移温度が−30℃以上、好ましくは−15℃以上の樹脂を使用することが望ましい。また、前記非晶性熱可塑性高分子樹脂の場合には、ガラス転移温度が作業温度以上、好ましくは100℃以上の樹脂を使用することが望ましい。組成物あるいは多層化して使用するときは、主な構成成分である熱可塑性樹脂のガラス転移温度が前記範囲内にあることが好ましい。これより低いガラス転移温度を示す樹脂の場合は、柔軟過ぎるためにクレイズの効率的な形成が難しくなるからである。
これらの樹脂フィルムは、溶融Tダイ押出成形法、インフレーション成形法等によって製造され、分子配向したものが好ましい。分子配向していないものであっても良いが、配向されていると、配向方向と略平行な方向にクレイズ領域が形成しやすい。配向度は、高分子樹脂フィルムの成形時の、樹脂温度、引き取り速度、冷却速度、樹脂の分子量、特に溶融Tダイ押出成形法ではドロー比を、インフレーション成形法ではブローアップ比等を変えることにより制御することができる。分子配向したフィルムは無延伸であっても良いが、一軸延伸されたものがクレイズ領域形成のためには好ましい。例えば、ポリプロピレン、ポリエステルを延伸する場合の延伸倍率は1〜3倍とすることが望ましい。延伸倍率が大きくなりすぎると配向方向に裂け易くなり、小さすぎると配向させた効果が得られにくくなるからである。また、二軸延伸であっても良いが、その場合には、一方向の配向をより大きくしたものとすることが望ましい。
クレイズが形成された樹脂フィルムの厚さは特に制限がなく、5〜1000μm、好ましくは10〜300μm、さらに好ましくは20〜100μmである。
また形成されたクレイズは、その幅が0.02μm〜30μm、好ましくは0.05〜20μm、さらに好ましくは0.1〜10μmである。これらの値はクレイズ形成後の樹脂フィルムに求める反射や拡散等の光学特性の程度によって任意に決定できる。また厚さ方向に貫通するクレイズを設けてもよい。
樹脂フィルムには、適宜充填剤等を含有させてもよい。充填剤としては、例えば、PMMA粒子やPS粒子等の高分子粒子の他、酸化チタン、炭酸カルシウムを挙げることができる。特に本発明では、ナノオーダーのフィブリルとボイドからなるクレイズを効率よく形成させるために、高分子樹脂に、これら添加剤を加えることが好ましい。添加剤は、含有する樹脂との相溶性、成形条件などによって異なるが、例えば樹脂がポリプロピレンであればPMMA粒子が好ましく添加される。
また、該充填剤の含有量としては、0.1〜20wt%、好ましくは1〜5wt%である。前記範囲未満であると、目的とするクレイズの形成に積極的に寄与しなくなり充填剤を使用した意味がなくなることとなり、前記範囲を超えて添加すれば、樹脂フィルムの強度が低下するおそれがあるからである。
このような充填剤以外に添加可能な添加剤としては、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、安定剤、難燃剤、可塑剤、密着防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤などをそれぞれの目的に応じて添加することもできる。上記添加剤は樹脂フィルムにコーティングしても良い。
いずれにしても、これらの添加剤を添加しても、クレイズを形成した後のフィルムの面に垂直方向に入射する平行光線透過率が15%以上であることが必要である。平行光線透過率が15%未満であると、部屋の窓に貼付したときに室内から室外の様子を、室外から室内の様子を目視にて確認することが困難になる。
樹脂フィルムへのクレイズの形成方法は、従来から知られている方法及び装置を採用することができる。クレイズ領域の幅、クレイズ領域の間隔等を容易に調節することができる方法および装置を採用することが好ましい。先端部が鋭角なエッジとなった支持体を有するクレイジング処理部に、張力付与して緊張状態に保持された樹脂フィルムを、その分子配向方向とほぼ平行方向に該エッジに当接させ、該樹脂フィルムを局部的に折り曲げるようにして変形域を形成し、その折り曲げ変形域を、該樹脂フィルムに対して相対的に徐々に移動させることで、移動方向とほぼ直角の方向に連続的にクレイズ領域を縞状に形成することができる。
つまり、高分子樹脂フィルムが折り曲げられることによりフィルムの折り曲げ部の背部側表面に折り曲げ方向に対して垂直な方向に引っ張る応力がかかり、それによりその表面に折り曲げ方向にほぼ平行なひび状にクレイズが形成される。
高分子樹脂フィルムに対し折り曲げ変形域を相対的に移動させるには、(a)樹脂フィルムの変形の屈曲角度を維持しつつ支持体に対して樹脂フィルムを移動させるか、(b)樹脂フィルムの変形の屈曲角度を維持して支持体を樹脂フィルムに対して移動させることにより可能である。(a)によれば、樹脂フィルムの長さ方向にわたり必要とする任意の距離だけクレイジング処理を行うことが可能であり、容易に規則的かつ連続的なクレイズ領域を形成することができる。また、規則的なクレイズ領域形成には、比較的低い張力で複数回繰り返して処理することも有効である。なお、樹脂フィルムを引き伸ばすようにしてクレイズ領域を縞状に形成するようにしても良い。
クレイズ領域形成のための処理条件としては、用いる樹脂フィルムの材料等により異なるが、一般的には、破断応力の70〜100%、好ましくは90〜100%の張力をかける。張力が大きすぎると樹脂フィルムに亀裂が入り、少なすぎるとクレイズ領域が形成し難くなる。
支持体のエッジ角度は、90度以下が好ましく、50度以下がより好ましい。また、樹脂フィルムの折り曲げ角度は、140度以下が好ましく、120度以下がより好ましい。これらの諸条件は、所望のクレイズ領域の形成、樹脂フィルム材料等により適宜決定される。
このようにして得られたクレイズ形成樹脂フィルムをそのまま本発明の光透過性採光フィルムとして、直接窓の屋外側の面又は部屋側の面に貼付することができる。また複層ガラス内に挟んだり、2枚のガラスにより形成した空間内に面するガラス面に貼付したりする等、公知の窓材料の任意の面に設けることができる。
またガラス等の窓材料に対して、本発明の光透過性採光フィルムを、粘着剤や接着剤から形成した接着剤層により直接貼付したり、単に積層させたりしてもよい。
また本発明の光透過性採光フィルムの少なくとも一方の面に対して、樹脂フィルムを積層させることによりクレイズの保護や、光透過性採光フィルムの強度、耐光性や耐候性等を向上させることもできる。
このようにして得た光透過性採光フィルムにより、図1に示すような作用を発揮することができる。図1においてRは家の部屋を示しており、その部屋Rに設けた窓Wに対して、例えば日光が季節又は時刻を変えてa、b及びcの角度で入射する場合を示している。窓に本発明の光透過性採光フィルムを貼付しない場合には、それぞれの角度の日光は、A’、B’、及びC’で示す光となって部屋内に入ることになり、その日光により照らされる範囲は部屋の床に限られる。
しかしながら、窓に本発明の光透過性採光フィルムを貼付した場合、なお、このときには光透過性採光フィルムに形成されているクレイズが、窓の上下方向に垂直に向くように貼付される。そして、それぞれの角度の日光は、A、B、及びCで示す光となって部屋内に入ることになり、それらの光は部屋の天井を照射することになる。天井を照射した光は天井で反射してさらに部屋内を明るくしたり、部屋に机等が設置されている場合には、机上を明るくしたりすることもできる。このように天井を明るく照らすことによって、天井に設けた照明器具と同様にその反射光は部屋内を明るくすることができる。
本発明によるフィルムで採光性が得られる理由として、クレイズ部分と非クレイズ部分の界面での入射光の反射と、一部クレイズ内に入射した光の拡散によると考えられ、正反射が最も強い光となる。そして、地面に対して垂直方向に設けた窓に本発明の光透過性採光フィルムを貼付すると、光透過性採光フィルムに形成されているクレイズの一つ一つは地面に対して水平方向に形成された状態となる。また、該クレイズが形成された方向を変化させることができるように、例えば光透過性採光フィルムを貼付した窓のガラスごと、もしくは窓に貼付した光透過性採光フィルムのみを、窓の外に向けて膨出する等して湾曲させることもできる。その結果、例えば太陽光が光透過性採光フィルムを透過して部屋内に入射するとき、太陽光が通過する光透過性採光フィルムの位置によって、クレイズに対する太陽光の反射角が異なることになる。従って、光透過性採光フィルムを、該光透過性採光フィルムの厚さ方向に少なくとも1回湾曲させることにより、より広い角度で太陽光を反射させることが可能となって部屋内のより広い範囲に太陽光を反射させることができる。なお、ここで湾曲させる該光透過性採光フィルムの厚さ方向とは、例えば図5に示された樹脂フィルムAが曲げられている状態と同じ方向、もしくは逆の方向である。その結果、折り曲げられた該光透過性採光フィルム表面の各クレイズは湾曲されていない、言い換えれば、湾曲することにより想定される折り曲げ線は各クレイズの長さ方向と平行である状態である。
また、クレイズが直行する方向に少なくとも2枚のフィルムを重ねることにより、太陽の水平移動に対しても、部屋内の広い範囲に採光することが可能である。
上記のように本発明の光透過性採光フィルムを直接又は間接的に窓に貼付する場合の他に、図2に示すような、窓に設置して部屋内に入る日光を調整するための羽根を有する公知のブラインドの構造と同様のブラインドを設け、その羽根に代えて本発明の光透過性採光フィルム又は光透過性採光フィルムを担持する透明部材を採用して、互いに上下方向に間隔をおいて平行かつ回転自在に取り付けられた羽根として配置した採光ブラインドとすることができる。
このようにして得たブラインドは、光透過性採光フィルムの窓ガラスに対する角度が任意に可変であるため、季節、時間、天気、日光の照度等の任意の条件に応じて、その角度を変更することができる。ブラインドを閉めたときには、窓部材に光透過性採光フィルムを貼付した場合により近い効果を得ることができ、ブラインドを開けたときには、クレイズによる反射光を部屋内に導入する効果を低下させることができる。
その結果、部屋内に透過する日光、及びクレイズに反射して部屋の天井に導光される日光の照度を調整することによって、部屋内の明るさを調整することができる。
なお、このとき、ブラインドの羽根は平面を有する板状もしくは曲面を有する板状のいずれでもよいが、平面を有する板状のほうがよりクレイズを設けた効果を発揮できる。
次に、実施性及び比較例により本発明を更に詳述する。
表1のフィルムを実施例及び比較例として用いた。比較例1、2は、クレイズを効率よく形成させるためにPMMA粒子(10μm)を10wt%充填したPPフィルムであり、比較例3は、表面をマット加工した光拡散PET、比較例4はクレイズ加工を施していないPEフィルムである。濁度計(日本電色工業株式会社製「NDH5000」)を用いて測定した全光線透過率及び平行光線透過率を合わせて表1に示す。
(視認性)
光透過性採光フィルムの一方に10cm離して、ゴシック体10.5ptで「アイセロ」と印刷した紙を置き、光透過性採光フィルムの他方から光透過性採光フィルムを介して文字を読める場合は視認性ありとした。
表2に結果を示す。平行光線透過率が高いほど視認性が良好であったが、平行光線透過率の低い比較例1、2やクレイズ加工をしていない比較例3、4では視認性を得られなかった。
(反射光の強度及び拡散光の強度)
本発明の光透過性採光フィルムは、フィルム表面に概垂直形成されたクレイズを、フィルム表面に概縞状に繰り返し形成されたクレイズフィルムであり、この光透過性採光フィルムを窓に貼ることにより、その窓から入射した太陽光をクレイズ部分で部屋の天井面に正反射すると同時に、一部の光をクレイズ内で若干拡散させることで天井面全体を照らして間接的に屋内を明るくする、すなわち窓に貼った採光フィルムにより窓に入射する太陽光がクレイズ部分で反射し、天井面全体を照らし、日光が直接目に入ることを防ぎながら効率よく採光する。
本件では採光フィルムに対して入射光と線対称に反射する光を正反射光とし、線対称にならない反射光を拡散反射光と区別する。
採光性を評価するため、光透過性採光フィルムによる反射光の強度及び拡散光の強度を測定した。その測定原理を図3に示す。
図3に示すように、サンプル取付部に対して入射角60度の光源を配し、同様に反射角60度に受光部を配す光学系からなるグロスメーター(日本電色工業株式会社製「VG7000」)を使用し、光透過性採光フィルムをサンプル取付部に対して垂直90度に設置する。光透過性採光フィルムに対して入射角60°の光源と線対称の位置に受光部を配し、光透過性フィルムを介した正反射光の強度を測定した。
さらに、光透過性採光フィルムを垂直より10度傾けて入射光を70度として採光フィルムに対して入射光と線対称から20度ずれた50度の拡散反射光を、同様に光透過性採光フィルムを20度傾けて80度の入射光に対する40度の拡散反射光を、同じく50度入射光に対する70度の拡散反射光を、40度入射光に対する80度の拡散反射光を測定した。
フィルム内で光を反射する場合には正反射の数値が大きくなり、拡散フィルムあるいは透過する場合には正反射の数値は非常に低くなる。
実施例及び比較例の正反射光及び正反射光と拡散反射光の合計(以降「照り返し」と表記)を表3に示す。正反射光が10%以上となるものを採光性○、以下となるものを×とした。
表3の結果によれば、クレイズフィルムでは全光線透過率が低い場合は採光性が低下する。一方、クレイズ加工していないフィルムでは、全光線透過率が高くても採光性が低く、採光フィルムとして使用できない。
(天井での照度)
部屋をモデル化した暗箱において、図4に示すようにして、光源(日本ピー・アイ株式会社製「PICL−NEX」)からの天井への反射光の照度を、照度計(日置電機株式会社製「LUX HiTESTER 3421」)で測定した。なおブランクは、どのフィルムも使用しなかった例である。
尚、測定では最も採光効率が悪くなると考えられる夏場の太陽高度(東京:77°)で行った。表4の結果によると表3で正反射光数値の高いものほど暗箱の天井照度が高いという結果になった。

Claims (7)

  1. フィルム面に垂直方向にクレイズが形成されてなり、かつ該クレイズはフィルム面に周期的に形成されており、平行光線透過率が15%以上、かつ全光線透過率が80%以上で、入射角60度の入射光に対する正反射光が10%以上であるクレイズ形成樹脂フィルムからなる光透過性採光フィルム。
  2. 請求項1に記載のクレイズ形成樹脂フィルムを該光透過性採光フィルムの厚さ方向に少なくとも1回湾曲してなる光透過性採光フィルム。
  3. 請求項1又は2に記載のクレイズ形成樹脂フィルムの少なくとも2枚を、互いにクレイズが直交する状態に積層されてなることを特徴とする光透過性採光フィルム。
  4. 上記クレイズ形成樹脂フィルムに紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤の少なくとも一つを含有もしくはコーティングした請求項1〜3のいずれかに記載の光透過性採光フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のクレイズ形成樹脂フィルムを含む光透過性採光フィルム。
  6. 片面に接着剤層を付与した請求項1〜5のいずれかに記載の光透過性採光フィルム。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の複数の光透過性採光フィルムを、互いに上下方向に間隔をおいて平行かつ回転自在に取り付けられた羽板として配置した採光ブラインド。
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