JP6714118B1 - 回転電機のステータ - Google Patents
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Abstract
Description
一般的に、モータのステータには積層された鋼板よりなる積層コアが用いられており、積層された鋼板同士を固定するために、積層コアにはカシメが設けられる。
コアに面外変形が生じると、変形が生じた変形部において鎖交するはずの磁束が周囲のコアに流れ、変形部の周囲においてコアの磁束密度が高くなり、モータ効率の低下に繋がる。さらに、面外変形によりコアが塑性変形した場合には鉄損が悪化していた。
また、カシメはコアを塑性変形させて設けられるため、カシメ数が増大すると鉄損が悪化し、モータ効率の低下に繋がっていた。
本願の実施の形態1による回転電機のステータ100について、図1から図6を用いて説明する。また、積層コアの状態を示す説明図として図12を用いる。
図1(a)は実施の形態1によるステータ100を示す斜視図であり、図1(b)は図1(a)のステータ100の軸方向に沿った断面図である。これらの図に示すように、ステータ100は軸方向に筒状に延在するフレーム3の内径側にコイル4が巻線された積層コア1が嵌入された構成である。また、フレーム3は軸方向の一部の領域、例えば、上端側に、径方向外側に延出したフレーム高剛性部30を有している。フレーム3は軸方向に沿って、その断面形状が変化し、その断面形状の変化に伴って断面積が変化する場合がある。
図1に示した積層コア1は、多数の板状のコアが軸方向に積み重ねられた構成であり、周方向に分割された分割コアを組み合わせることによって、全体として軸を取り巻く円環状に構成されている。
そして、フレーム高剛性部30を設けることで上述のようなメリットが得られる反面、フレーム高剛性部30の内径側に位置する積層コア1には、他部よりも大きな応力が加えられる。
この場合、このステータ100においては、積層コア1の第一の領域x1と第二の領域x2とを比較した場合、第一の領域x1の方が第二の領域x2よりもコア一層あたりに設けられたカシメの個数の平均値が大きくなるように構成されている。
ここで、コア一層当たりのカシメ数の平均値とは、任意の領域に含まれるコアの総数で、各コアに設けられたカシメの個数を全コア分合算した数を割ることで求めることができる。
カシメは、必要枚数のコアが積層されたコアの積層体に対し部分的にプレスを施し、重なり合う層を部分的に嵌合させることで形成されるため、第一のコア部110または第二のコア部120を構成する第一のコア11または第二のコア12には各々同数のカシメが設けられる。
図3(b)に示すように、積層コア1の追加的な補強が必要ではない第二の領域x2に主として配置される第二のコア12には、例えば、ティース部1aに一つのカシメ2aが配設され、円環状のコアバックが周方向に分割されてなるコアバック部1bにはカシメは配設されていない。これに対し、図3(a)に示したように、フレーム高剛性部30が設けられたことによって積層コア1に追加的な補強が必要となる第一の領域x1に配置される第一のコア11には、ティース部1aに一つのカシメ2aが配設され、コアバック部1bには二つのカシメ2bが追加的に配設されている。
なお、図2のxaで示す範囲、すなわち、追加的に設けられたカシメ2bを第一の領域x1から外部に延在させた領域を設けることなく、上記の二つの境界部を軸方向に一致させた構成とすることも可能であることは言うまでもない。
これにより、フレーム3の軸方向に垂直な断面積を考慮することで、フレーム3が周方向に一様な形状ではない場合に、フレーム3の軸方向に垂直な断面積の平均値との比較により、積層コア1に追加的にカシメ2bを設けるための、軸方向の第一のコア11の配置領域を容易に決定することができる。
これにより、フレーム3の形状が周方向に一様である場合に、フレーム3の径方向の厚さを考慮することで、フレーム3の径方向の厚さの平均値との比較により、積層コア1に追加的にカシメ2bを設けるための、軸方向の第一のコア11の配置領域を容易に決定することができる。
なお、上述の例では、積層コア1の第一の領域x1に配置されるコアの全てが図3(a)の第一のコア11であり、追加的にカシメ2bが設けられることについて説明をしたが、これに限ることなく、コア間の締結強度を向上させることが可能であれば、第一のコア11は第一の領域x1の少なくとも一部に設けられていればよいことは言うまでもない。
次に、本願の実施の形態2について、図7および図8を用いて説明する。先述の実施の形態1の例では、フレーム3は周方向に同形状である場合について説明したが、この実施の形態2では、図7のステータ100の要部断面図に示すように、フレーム筒状部3aは単純な円筒形状ではなく、フレーム3には、軸方向のフレーム延出部3bが配設されない領域のうち、一部にフレーム筒状部3aを径方向に貫通するスリット31が設けられ、このスリット31が、フレーム3の軸方向の中間的な位置となるスリット形成領域31aに配置された場合について説明する。
図8(a)、図8(b)、図8(c)は、図7の軸方向に垂直なB1−B1線、B2−B2線、B3−B3線に沿ったフレーム3の断面図であり、それぞれ、フレーム延出部3bが設けられた領域、スリット31が設けられたスリット形成領域31a、スリット31が設けられていない領域におけるフレーム3の断面構造を示している。
このとき、積層コア1の第二の領域x2に設けられたコア一層あたりのカシメの個数は軸方向に沿って変化し、積層コア1の軸方向の第二の領域x2のうち、スリット31の内径側に位置する積層コア1の第三の領域x3と、第二の領域x2の第三の領域x3以外の領域とでは、第三の領域x3の方が第二の領域x2の第三の領域x3以外の領域よりもカシメの個数の平均値が小さくなる。
また、第一のコア11aと11bでコア間の固定力に強弱をつけたい場合には、フレーム延出部3bの内径側に位置する第一のコア11aに、フレーム延出部3bの内径側に位置しない第一のコア11bよりも多くのカシメを設けることによって対応することが可能であることは言うまでもない。
さらに、フレーム3にスリット31が設けられた場合であっても、上述の実施の形態1において示したように、スリット31の軸方向の形成範囲に関わらず、第二の領域x2に含まれる第三の領域x3と第三の領域以外の領域の各コアのカシメ数を揃えて同数とすること、または、上記の同数に近いコア一層あたりのカシメの個数の平均値となるように調整することも可能である。
次に、本願の実施の形態3について説明する。この実施の形態3では、第一のコア11および第二のコア12の変形例について、図9および図10を用いて説明する。
上述したように、第一のコア11および第二のコア12は、巻線が施されるティース部1aと、周方向に円環をなすコアバック部1bに分けられ、カシメ2aおよび2bは全数がコアバック部1bに配設されている。
図9(a)は、一例となる第一のコア11の上面図であり、積層コア1の軸方向の全長に設けられるカシメ2aと、コア間締結力補強のために追加的に設けられたカシメ2bが各1個、一層の第一のコア11に設けられた状態を示しており、コアバック部1bの周方向の中央に、径方向に沿って内寄りにカシメ2aが、外寄りにカシメ2bが設けられている。図9(b)は、図9(a)の第一のコア11に組み合わせられて積層コア1を構成する第二のコア12の上面図であり、軸方向全長にわたって形成されるカシメ2aが設けられている。
追加的に設けられるカシメ2bが1個である場合、図9(a)のようにコア中央部にカシメ2aと2bを集中させて配置することでコア内でのバランスを取ることができる。
追加的に設けられるカシメ2bが2個である場合、図10(a)のようにコア中央部にカシメ2aを配置し、カシメ2aに対して対称的な2か所に、周方向が長手方向となるようにカシメ2bを配置することでコア内でのバランスを取ることができる。
なお、図9、図10に示した第一のコア11および第二のコア12へのカシメ2aおよび2bの配置と、設けられるカシメ2aおよび2bの個数は一例を示すものであることは言うまでもない。
また、それ以外の変形例として、環状に組み合わされる複数の分割コアのうちの一部のみに本願の追加カシメの構成を適用させることも可能である。例えば、フレーム3の構成が、フレーム筒状部3aの軸方向の一部に、径方向外側に延出するフレーム締結用の孔部(フレーム延出部3b)が周方向の一部のみ(例えば、周方向に120度間隔で3か所)に設けられるような場合には、周方向にフレーム高剛性部30が異なる形状に設けられた状態となり、積層コア1が受ける応力が周方向に沿って異なる。このような場合であっても、周方向のフレーム高剛性部30の内径側に追加的なカシメ2bを有する第一のコア11を選択的に配置し、周方向の他の領域には第二のコア12によって構成される分割コアを配設することによっても対応可能となる。
次に、本願の実施の形態4について、図11を用いて説明する。図11は、ステータ100の要部断面図であり、フレーム3のフレーム延出部3bが配設されない外周部外側に、フレーム3を冷却する冷媒の流路40を構成する配管部41(ジャケット)が設けられた状態を示している。図11の例では、配管部41は、断面がU字形状であり、フレーム延出部3bが設けられないフレーム3の軸方向のフレーム筒状部3a(第二の領域x2)の上端部と下端部に、U字の二つの端部が接合された構成を示している。
この配管部41を備えた構成である場合、フレーム筒状部3aの外側に配管部41が直接的に重なって二重筒となり、フレーム3と配管部41とが合わさって径方向への厚みがフレーム3だけの厚みよりも増した合成肉厚部41aが生じる。図11の径方向に伸びる矢印にて合成肉厚部41aの厚みを示す。流路40の介在によってフレーム3と隔てられた配管部41は、合成肉厚部41aを構成しない。
よって、積層コア1のうち、軸方向のフレーム延出部3bの内径に位置しない第二の領域x2の中で、合成肉厚部41aが生じる第四の領域x4においては、フレーム3から積層コア1が受ける応力が増し、積層コア1の第二の領域x2の中で軸方向に生じる応力がばらつく。
このとき、積層コア1の第二の領域x2に設けられたコア一層あたりのカシメ2aおよび2bの個数は軸方向に沿って変化し、積層コア1の軸方向の第二の領域x2のうち、配管部41がフレーム筒状部3aの径方向外側に直接的に重なる領域の内径側に位置する積層コア1の第四の領域x4と、第二の領域x2の第四の領域x4以外の領域とでは、第四の領域x4の方が第二の領域x2の第四の領域x4以外の領域よりもコア一層あたりのカシメ2aおよび2bの個数の平均値が大きくなる。
積層コア1のうち、合成肉厚部41aにて固定がなされる少なくとも一部のコアを、よりカシメ数の多い第一のコア11とすることによって、保持筐体が2重円筒となり、フレーム3の剛性が部分的に上がったとしても、積層コア1の面外変形を抑えつつ、モータ効率低下を防ぐことができる。
さらに、上述したように、実施の形態1の図6、実施の形態2の図7、実施の形態4の図11において、積層コア1の軸方向両端部にてカシメ数を増大させる構成を示したが、この構成は、積層コア1の軸方向両端部に生じやすい面外変形を抑制する上で理にかなっていることは言うまでもない。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
Claims (8)
- 回転電機の軸に沿った軸方向に板状のコアが複数積層されてなり、積み重ねられた上記コア同士がカシメによって固定された積層コア、
上記積層コアが嵌入されたフレームを備え、
上記フレームは、上記積層コアの上記軸方向の全長にわたって延在し、上記積層コアの外周面部に接するフレーム筒状部と、上記フレーム筒状部の上記軸方向の一部の領域に設けられ、上記フレーム筒状部の外周部から径方向外側に延出したフレーム延出部とが一体に設けられた構成であり、
上記積層コアの上記コア一層あたりの上記カシメの個数は上記軸方向に沿って変化し、上記フレーム延出部の内径側に位置する上記積層コアの上記軸方向の第一の領域と、上記第一の領域以外の第二の領域とでは、上記第一の領域の方が上記第二の領域よりも上記カシメの個数の平均値が大きいことを特徴とする回転電機のステータ。 - 上記積層コアの上記軸方向の上記第一の領域に位置する全ての上記コアは、上記コア一層あたりの上記カシメの個数が同数、かつ、上記積層コアの全ての上記コアの中で最大であることを特徴とする請求項1記載の回転電機のステータ。
- 上記フレームの上記軸方向に垂直な断面積は、上記フレームの上記軸方向全長にわたる平均値よりも、上記フレーム延出部が形成された領域における値の方が大きいことを特徴とする請求項1または請求項2記載の回転電機のステータ。
- 上記フレームの径方向の厚さは、上記フレームの上記軸方向全長にわたる平均値よりも、上記フレーム延出部が形成された領域における値の方が大きいことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の回転電機のステータ。
- 上記フレームには、上記軸方向の上記フレーム延出部が配設されない領域のうち、一部に上記フレーム筒状部を径方向に貫通するスリットが設けられ、
上記積層コアの上記第二の領域に設けられた上記コア一層あたりの上記カシメの個数は上記軸方向に沿って変化し、上記積層コアの上記軸方向の上記第二の領域のうち、上記スリットの内径側に位置する上記積層コアの第三の領域と、上記第二の領域の上記第三の領域以外の領域とでは、上記第三の領域の方が上記第二の領域の上記第三の領域以外の領域よりも上記カシメの個数の平均値が小さいことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の回転電機のステータ。 - 上記フレームの上記フレーム延出部が配設されない外周部外側に設けられ、上記フレームを冷却する冷媒の流路を構成する配管部を備え、
上記積層コアの上記第二の領域に設けられた上記コア一層あたりの上記カシメの個数は上記軸方向に沿って変化し、上記積層コアの上記軸方向の上記第二の領域のうち、上記配管部が上記フレーム筒状部の径方向外側に直接的に重なる領域の内径側に位置する上記積層コアの第四の領域と、上記第二の領域の上記第四の領域以外の領域とでは、上記第四の領域の方が上記第二の領域の上記第四の領域以外の領域よりも上記カシメの個数の平均値が大きいことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の回転電機のステータ。 - 上記コアは、周方向に円環状をなすコアバック部と、巻線が施されたティース部とを有し、上記カシメは上記コアバック部に形成されたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の回転電機のステータ。
- 上記コアは周方向に分割された構成であることを特徴とする請求項7記載の回転電機のステータ。
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