JP6713307B2 - 車両の衝撃緩和機構 - Google Patents
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Description
また、乗員室には、乗員が着座するシートとともに、シートベルト、エアバッグなどの乗員保護装置が用いられる(特許文献3)。衝突時にシートベルトはロックされ、エアバッグは展開され、これにより乗員が大きく前へ移動したり、乗員の上体が大きく前へ倒れたりすることを抑制できる。
これらの機構により、衝突時の乗員の安全性を高めている。
たとえば高い速度で車両が追突する場合、シートベルトなどが適切に作動したとしても、乗員には、上体を大きく前へ倒す力が作用する。前へ倒れる上体には、シートベルトが強く押し付けられることになる。
特に、本発明では、シートのたとえば背もたれといった一部を倒すのではなく、車両全体を倒している。その結果、シート全体を傾けてシート上の着座状態が衝突前の状態から変化しないようにできる。また、シートに着座した乗員とシートベルトまたはエアバッグとの相対位置も変化しないので、これらの装置による保護性能を損なうこともない。その結果、車両を傾けなかった場合と同等の性能を得ることができる。
また、本発明では、骨格部材とは別に、骨格部材の下側のスロープおよびリンク部材が設けられている。よって、衝突面から骨格部材までの衝撃の伝達経路について変更や制限が発生することなく、衝突の際の衝撃そのものを利用して、車体の骨格部材を衝撃入力側が反対側より上がるように傾けることができる。その結果、骨格部材および車体を、衝撃入力側が反対側より上がるように傾けることができる。
自動車1は、車両の一例である。
モノコック構造の車体2では、前室3において、乗員室4の前壁であるトーボード11から前へ向かって、一対のフロントサイドフレーム12が略水平に伸在する。前後方向に延在するフロントサイドフレーム12の前側の先端には、クラッシュボックス13が連結される。一対のクラッシュボックス13の前側の先端には、フロントバンパービーム14が取り付けられる。フロントバンパービーム14の前側には、車体2の前壁を構成するフロントバンパーフェイス15が配置される。フロントバンパーフェイス15は、フロントバンパービーム14に対して取り付けられても、フロントバンパービーム14と一体化して形成されてもよい。
また、後室5において、乗員室4の後壁から後へ向かって一対のリアサイドフレームが略水平に伸在する。リアサイドフレームの後端の先端には、リアクラッシュボックスが連結される。一対のリアクラッシュボックスの後側の先端には、リアバンパービームが取り付けられる。リアバンパービームの後側には、車体2の後壁を構成するリアバンパーフェイスが配置される。リアバンパーフェイスは、リアバンパービームに対して取り付けられても、リアバンパービームと一体化して形成されてもよい。
このような骨格構造を有する車体2では、たとえば車体2が他の車体100に追突する場合、フロントバンパーフェイス15が他の車体100と接触する。そして、追突の衝撃荷重の入力の程度に応じて、フロントバンパービーム14、一対のクラッシュボックス13、一対のフロントサイドフレーム12が、その順番で圧縮変形する。このように車体2の骨格部材が先端からの衝突荷重の入力により軸方向に沿って圧縮変形することにより、衝撃を吸収する。その結果、乗員室4に変形が及び難くなる。
これらの仕組みにより、車両は、乗員を保護する。
しかしながら、衝突時の乗員保護機能は、これで十分ということにはならない。
たとえば高い速度で車両が追突する場合、シートベルト22などが適切に作動したとしても、乗員には、上体を大きく前へ倒す力が作用する。前へ倒れる上体には、シートベルト22が強く押し付けられることになる。
このように自動車1といった車両では、衝突の際に乗員に作用する力を弱めて、乗員の保護レベルを更に改善することが求められている。
図2には、フロントサイドフレーム12、クラッシュボックス13、フロントバンパービーム14、フロントバンパーフェイス15、が図示されている。
フロントサイドフレーム12の前側の先端には、クラッシュボックス13が連結される。フロントサイドフレーム12とクラッシュボックス13とは、たとえばねじ止めにより連結されてよい。
クラッシュボックス13は、たとえば金属材料または樹脂材料からなる。クラッシュボックス13は、フロントサイドフレーム12より圧縮され易く形成されてよい。本実施形態のクラッシュボックス13は、フロントサイドフレーム12より上下に長くなるように、縦長の略立方体形状を有する。
クラッシュボックス13の先端には、フロントバンパービーム14が連結される。クラッシュボックス13とフロントバンパービーム14とは、たとえばねじ止めにより連結されてよい。
フロントバンパービーム14は、たとえば樹脂材料からなる。フロントバンパービーム14は、一対のクラッシュボックス13と連結される一対の取付部36と、車幅方向に延在して一対の取付部36が両端近傍に設けられるビーム本体37と、を有する。本実施形態において、取付部36は、クラッシュボックス13と同じ高さの略立方体形状を有する。
フロントバンパービーム14の前側には、フロントバンパーフェイス15が位置する。フロントバンパーフェイス15は、車体2の前壁を構成する板状の樹脂部品である。
図3および図4は、図2の車体2が他の車体100または構造体に追突する際の、車体変形の一例を示す説明図である。
以上の一連の動作により、図2の車体2では、フロントバンパービーム14、クラッシュボックス13、およびフロントサイドフレーム12の圧縮変形により、追突の衝撃(荷重)を吸収できる。その結果、乗員室4が変形し難くなる。
図5(A)は、衝突前の車体2がほぼ水平である通常状態である。
図5(B)は、衝突直後の車体2がほぼ水平である通常状態である。
図5(C)は、フロントサイドフレーム12が変形し始めた後の車体2が前上がりに傾いた傾斜状態である。
その結果、車体2に対して固定されているシート21、およびシート21に着座している乗員も前上がりに傾く。このように追突中に乗員室4およびシート21の全体が前上がりに傾くことにより、シート21に着座している乗員の上体には後へ倒れようとする力が作用する。また、実際に乗員の上体には後へ倒れる。それゆえ、本実施形態では、衝突中に、シート21に着座した乗員に対して、衝突入力側の反対側へ若干倒す力を作用させることができる。そして、衝突の際にシート21に着座した乗員が衝突入力側の反対側へ若干倒れることにより、乗員を衝突入力側へ倒そうとする力の一部を相殺できる。たとえば高い速度で車両が追突して乗員の上体に対して大きく前へ倒す力が作用したとしても、その一部を相殺して、前へ倒れる上体がシートベルト22に対して強く押し付けられ難くなる。その結果、乗員の保護レベルを高めることができる。
特に、本実施形態では、シート21のたとえば背もたれといった一部を倒すのではなく、車両全体を倒している。その結果、シート21全体を傾けてシート21上の着座状態が衝突前の状態から変化しないようにできる。また、シート21に着座した乗員とシートベルト22またはエアバッグ23との相対位置も変化しないので、これらの装置による保護性能を損なうこともない。その結果、車両を傾けなかった場合と同等の性能を得ることができる。
また、本実施形態では、フロントサイドフレーム12とは別に、フロントサイドフレーム12の下側に、スロープ部61およびリンク部材62が設けられている。よって、衝突面からフロントサイドフレーム12までの衝撃の伝達経路について変更や制限が発生することがない。
以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
リンク部材62は、スロープ部61が押し込まれることによりフロントサイドフレーム12を押し上げることができればよく、スロープ部61とフロントサイドフレーム12との間に設けられていなくてもよい。リンク部材62は、力を伝達する複数のリンク部材62で構成されてもよい。また、スロープ部61は、衝突の際の車体変形により相対的に押し込まれるものであればよく、フロントバンパーフェイス15に設けられていなくてもよい。スロープ部61は、たとえばフロントサイドフレーム12の下側に位置するサブフレームに設けられてもよい。
2…車体
11…トーボード
12…フロントサイドフレーム(骨格部材)
13…クラッシュボックス
14…フロントバンパービーム
15…フロントバンパーフェイス
21…シート
22…シートベルト
23…エアバッグ
41…接触面
61…スロープ部(スロープ)
62…リンク部材
63…滑車
100…他の車体
Claims (2)
- 乗員が着座するシートが設けられる車体と、
前記車体に設けられ、先端からの衝突入力により軸方向に沿って圧縮変形される前記車体の骨格部材と、
前記車体に設けられて衝突の際に押し込まれる部材において、前記骨格部材より下側の位置に設けられるスロープと、
衝突の際に前記部材とともに前記スロープが押し込まれることにより移動するリンク部材と、
前記骨格部材よりも衝突入力側にあり、衝突入力の際に前記骨格部材よりも先に圧潰するクラッシュボックスと、
を有し、
衝突の際に前記クラッシュボックスが圧潰することにより前記スロープが前記骨格部材に対して移動し、前記リンク部材が移動することにより前記骨格部材の衝撃入力側が反対側より上がるように傾けられる、
車両の衝撃緩和機構。 - 前記スロープは、前記部材が押し込まれることにより前記骨格部材の軸方向に沿って移動し、
前記リンク部材は、前記スロープと前記骨格部材との間において上下方向に延在し、前記スロープが前記骨格部材の軸方向に沿って移動することにより上へ移動して前記骨格部材の先端側を押し上げる、
請求項1記載の車両の衝撃緩和機構。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016056933A JP6713307B2 (ja) | 2016-03-22 | 2016-03-22 | 車両の衝撃緩和機構 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016056933A JP6713307B2 (ja) | 2016-03-22 | 2016-03-22 | 車両の衝撃緩和機構 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017171001A JP2017171001A (ja) | 2017-09-28 |
JP6713307B2 true JP6713307B2 (ja) | 2020-06-24 |
Family
ID=59972768
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016056933A Active JP6713307B2 (ja) | 2016-03-22 | 2016-03-22 | 車両の衝撃緩和機構 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6713307B2 (ja) |
-
2016
- 2016-03-22 JP JP2016056933A patent/JP6713307B2/ja active Active
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Publication number | Publication date |
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JP2017171001A (ja) | 2017-09-28 |
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