JP6712968B2 - 蛍光体含有粒子およびそれを用いた発光装置、蛍光体含有シート - Google Patents

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以下の開示は、蛍光体含有粒子およびそれを用いた発光装置、蛍光体含有シートに関する。
半導体ナノ粒子蛍光体(量子ドットとも呼ばれる)は、量子サイズ効果によりサイズ可変な(size−tuneable)電子特性から、商業的関心が持たれている。サイズ可変な電子特性は、生体標識、太陽光発電、触媒作用、生体撮像、LED、一般的な空間照明、及び電子発光ディスプレイなどの様々な用途に利用できる。
しかしながら、半導体ナノ粒子蛍光体は水分・熱・紫外線に曝露されると発光特性が低下するという弱点を有している。また、半導体ナノ粒子蛍光体をシリコーン樹脂などの封止層に直接組み込むと、凝集が生じ光学特性を低下させる問題もある。
これらの問題を解決するため、たとえば特表2013−505347号公報(特許文献1)には、各1次粒子が、1次マトリックス材料から構成されており、半導体ナノ粒子の集団を含み、各1次粒子は、表面コーティング材料の層が個別に与えられており、1次粒子がマイクロビーズの形態で与えられており、表面コーティング材料がポリマー材料を含む、コーティングされた複数の1次粒子が開示されている。このようにコーティングされた複数の1次粒子を作製することで、周囲環境および1次粒子作製後の処理工程に対して反応性を小さくすることができる。
しかしながら特許文献1に開示された従来技術では、1次粒子をコーティングする方法として原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)が用いられているが、この方法では、100℃以上400℃以下というような高い反応温度を必要とする。このため、ビーズ表面保護コーティング時の熱により半導体ナノ粒子蛍光体の発光特性が低下してしまうという問題がある。
特表2013−505347号公報
以下の開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、高い発光効率を有し、かつ、化学安定性が向上された、半導体ナノ粒子蛍光体を用いた新規な蛍光体含有粒子を提供することである。
本発明の一態様の蛍光体含有粒子は、半導体ナノ粒子蛍光体が分散された、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂の粒状物であるコア部と、前記コア部の少なくとも一部を覆う、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂の層状物であるシェル部とを備えることを特徴とする。
本発明の一態様の蛍光体含有粒子において、前記シェル部は半導体ナノ粒子蛍光体を含まないことが好ましい。
本発明の一態様の蛍光体含有粒子において、前記シェル部は、前記コア部の全面を覆うことが好ましい。
本発明の一態様の蛍光体含有粒子において、前記コア部における前記樹脂と、前記シェル部における前記樹脂とが同一種類の樹脂であってもよいし、前記コア部における前記樹脂と、前記シェル部における前記樹脂とが互いに異なる種類の樹脂であってもよい。
本発明の一態様の蛍光体含有粒子において、コア部における前記樹脂およびシェル部における前記樹脂のうちの少なくともいずれかが、重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂であることが好ましい。またこの場合、前記コア部における前記樹脂および前記シェル部における前記樹脂が、共に、重合性官能基として(メタ)アクリル酸エステル基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂であることが好ましい。
本発明の一態様の蛍光体含有粒子において、前記シェル部における前記樹脂は、前記コア部における前記樹脂に含まれる架橋剤よりも多い混合比率で架橋剤を含むことが好ましい。この場合、前記シェル部における前記樹脂が含む架橋剤は前記樹脂全体に対し重量比で50%より多く、前記コア部における前記樹脂が含む架橋剤は前記樹脂全体に対し重量比で50%以下であることが好ましい。
本発明の一態様の蛍光体含有粒子の粒径は100nm以上30μm以下であることが好ましい。
本発明の一態様の蛍光体含有粒子において、前記シェル部の厚みは0.1μm以上5μm以下であることが好ましい。
本発明の一態様はまた、光源と、上述した本発明の一態様の蛍光体含有粒子が透光性を有する媒体中に分散された波長変換部とを備える発光装置についても提供する。
本発明の一態様の発光装置は、前記コア部において赤色の蛍光を発する半導体ナノ粒子蛍光体がイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂中に分散された蛍光体含有粒子と、前記コア部において緑色の蛍光を発する半導体ナノ粒子蛍光体がイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂中に分散された蛍光体含有粒子とを含むことが好ましい。
本発明の一態様はさらに、上述した本発明の一態様の蛍光体含有粒子が、シート状の透光性を有する媒体中に分散された蛍光体含有シートについても提供する。
本発明によれば、半導体ナノ粒子蛍光体が分散された、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂の粒状物であるコア部と、前記コア部の少なくとも一部を覆う、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂の層状物であるシェル部とを備える。このような蛍光体含有粒子は、従来のALR法のような高い温度での加熱を経ることなく製造することができ、これにより、高い発光効率と、優れた化学安定性とを有し、取扱い性にも優れた蛍光体含有粒子を提供することができる。また、前記コア部は前記シェル部の存在により保護されるため、粒子を作製する際の半導体ナノ粒子蛍光体の凝集を防止でき、高い光学特性を維持することができ、粒子を作製後にも水分と酸素による半導体ナノ粒子蛍光体の劣化を減少させることができるという効果も奏される。また、このようにして得られた蛍光体含有粒子は、現在利用されている蛍光体と同程度の大きさに作製することによって、現在商業利用されている蛍光体と同じような形態で利用することができ、これを利用した発光装置、蛍光体含有シートなどを提供することができる。
本発明の蛍光体含有粒子において、上述のように前記シェル部による保護によって、前記コア部の半導体ナノ粒子蛍光体の劣化を減少させることができるが、前記シェル部にナノ粒子蛍光体を含む粒子(蛍光体含有粒子)とすることも可能である。この場合でも前記コア部の半導体ナノ粒子蛍光体の劣化を減少させることができる。ただし前記シェル部の半導体ナノ粒子蛍光体が劣化すると、励起光を吸収するにも関わらず発光強度が低下するため、蛍光体含有粒子としての発光効率を低下させる原因となりうる。つまり、前記シェル部にナノ粒子蛍光体を含まない粒子(蛍光体含有粒子)とすることで、本発明のさらなる効果を得ることができる。
本発明の好ましい一例の蛍光体含有粒子1およびそれを用いた本発明の好ましい一例の発光装置11を模式的に示す図である。 本発明の好ましい他の例の発光装置21を模式的に示す図である。 本発明の好ましい一例の蛍光体含有シート31を模式的に示す図である。
<蛍光体含有粒子>
図1は、本発明の一態様の好ましい一例の蛍光体含有粒子(マイクロビーズ)1を模式的に示す図である。本発明の一態様の蛍光体含有粒子1は、半導体ナノ粒子蛍光体3が分散された、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂4の粒状物であるコア部2と、前記コア部2の少なくとも一部を覆う、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂の層状物であるシェル部5とを備えることを特徴とする。
本発明の一態様に用いられる「イオン性液体」とは、常温(たとえば25℃)でも溶融状態の塩(常温溶融塩)であり、以下の一般式(I)
(I)
で示されるものが好ましい。
上記一般式(I)中、Xは、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスホニウムイオン、脂肪族四級アンモニウムイオン、ピロリジニウム、スルホニウムから選択されるカチオンである。これらの中でも、大気中での空気および水分に対する安定性に優れるという理由から、脂肪族四級アンモニウムイオンが特に好ましいカチオンとして挙げられる。
また上記一般式(I)中、Yは、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド酸イオン、過塩素酸イオン、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、カルボン酸イオン、ハロゲンイオンから選択されるアニオンである。これらの中でも、大気中での空気および水分に対する安定性に優れるという理由から、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド酸イオンが特に好ましいアニオンとして挙げられる。
本発明の一態様の蛍光体含有粒子1のコア部2およびシェル部5において用いられるイオン性液体は、少なくともそのいずれかが、重合性官能基を有するものであることが好ましい。このような重合性官能基を有するイオン性液体としては、たとえば、2−(メタクリロイロキシ)−エチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下、「MOE−200T」と略記)や、1−(3−アクリロイロキシ−プロピル)−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなどが挙げられる。重合性官能基を有しないイオン性液体としては、たとえば、N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−メチル−2−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下、「DEME−TFSI」と略記)などが挙げられる。重合性官能基を有するイオン性液体を用いることで、半導体ナノ粒子蛍光体の分散液として機能するイオン性液体を、重合性官能基によりそのまま重合させることができる。このように、半導体ナノ粒子蛍光体を分散させた状態で、重合性官能基を有するイオン性液体を重合し、重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂を形成することで、半導体ナノ粒子蛍光体を分散させた樹脂を固体化させる際に起こっていた凝集などを抑制することができる。また、上述のように、半導体ナノ粒子蛍光体を、重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂中に分散させるようにすることで、半導体ナノ粒子蛍光体が静電的に安定化し、半導体ナノ粒子蛍光体を強固に保護することができる。
上述のような重合性官能基を有するイオン性液体は、従来公知の適宜のイオン性液体に、従来公知の適宜の手法で重合性官能基を導入することによって得ることができるが、市販品を用いても勿論よい。
また、本発明の一態様の蛍光体含有粒子1におけるコア部2を作製するにあたり、半導体ナノ粒子蛍光体を分散させた状態で、重合性官能基を有するイオン性液体を重合させるための温度、時間などの条件は、用いる重合性官能基を有するイオン性液体の種類、量などに応じて好適な条件が適宜選択され、特に制限されるものではない。たとえば、重合性官能基を有するイオン性液体としてMOE−200Tを用いる場合には、たとえば60℃以上100℃以下の温度で1時間以上10時間以下という条件で好適に重合させることができる。またたとえば重合性官能基を有するイオン性液体として1−(3−アクリロイロキシ−プロピル)−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを用いる場合には、たとえば60℃以上150℃以下の温度で1時間以上10時間以下という条件で好適に重合させることができる。
なお、上記重合に触媒を用いる場合、用いる触媒に特に制限されるものではなく、従来公知のたとえばアゾビスイソブチロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオナート)などを用いることができる。中でも、重合が速く進むという理由からは、アゾビスイソブチロニトリルを触媒として用いることが好ましい。
なお、本発明の一態様に用いるイオン性液体は、必ずしも重合性官能基を有していなくともよく、一部、重合性官能基を有さないイオン性液体を含んでいても勿論よい。また、重合性官能基を有さないイオン性液体に、重合を促すジエチレングリコールジメタクリレート、1,1,1−トリメチルオルプロパントリアクリレートなどを添加して重合することで、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂を有するようにしてもよい。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、エポキシ、シリコーンおよび(メタ)アクリレートなどの樹脂成分を含み、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂を得るようにしてもよい。
本発明の一態様の蛍光体含有粒子1における半導体ナノ粒子蛍光体3は、可視光の散乱がない単一の蛍光体粒子であり、従来公知の適宜の半導体ナノ粒子蛍光体を特に制限なく用いることができる。半導体ナノ粒子蛍光体を用いることで、粒径制御と組成制御による発光波長の制御を精密に行なうことができるという利点がある。
半導体ナノ粒子蛍光体の原料としては、特に制限されるものではなく、半導体ナノ粒子蛍光体として従来より用いられるCdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、InN、InP、InAs、InSb、AlP、AlS、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、PbS、PbSe、Si、Ge、MgS、MgSe、MgTeから選ばれる少なくともいずれかであってよい。さらに、半導体ナノ粒子蛍光体は、当業者に知られている二成分コア型、三成分コア型、四成分コア型、コアシェル型またはコアマルチシェル型、ドープされた半導体ナノ粒子蛍光体または傾斜した半導体ナノ粒子蛍光体であってよい。図1には、1種類の半導体ナノ粒子蛍光体3を、複数、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂4中に分散させた場合を示している。
半導体ナノ粒子蛍光体は、その形状については特に制限されないが、球状、ロッド状、ワイヤ状など従来公知の適宜の形状の半導体ナノ粒子蛍光体を特に制限なく用いることができる。特に、形状制御による発光特性の制御の容易さという観点からは、球状の半導体ナノ粒子蛍光体を用いることが好ましい。
半導体ナノ粒子蛍光体の粒径は、原料および所望の発光波長に応じて適宜選択することができ、特に制限されないが、1nm以上20nm以下の範囲内であることが好ましく、2nm以上5nm以下の範囲内であることがより好ましい。半導体ナノ粒子蛍光体の粒径が1nm未満である場合には、体積に対する表面積の割合が増えることにより、表面欠陥が支配的となり効果が低下する傾向にあるためであり、また、半導体ナノ粒子蛍光体の粒径が20nmを超える場合には、分散状態が低下し、凝集・沈降が生じる傾向にあるためである。ここで、半導体ナノ粒子蛍光体の形状が球状である場合には、粒径は、たとえば粒度分布測定装置により測定された平均粒径もしくは電子顕微鏡により観察された粒子の大きさを指す。また半導体ナノ粒子蛍光体の形状がロッド状である場合には、粒径は、たとえば電子顕微鏡により測定された短軸および長軸の大きさを指す。さらに、半導体ナノ粒子蛍光体の形状がワイヤ状である場合には、粒径は、たとえば電子顕微鏡により測定された短軸および長軸の大きさを指す。
半導体ナノ粒子蛍光体の含有量(2種以上の半導体ナノ粒子蛍光体を用いる場合には総量)は、特に制限されないが、コア部2におけるイオン性液体100重量に対し0.001重量部以上50重量部以下の範囲内であることが好ましく、0.01重量部以上20重量部以下の範囲内であることがより好ましい。半導体ナノ粒子蛍光体の含有量が、コア部2におけるイオン性液体100重量部に対し0.001重量部未満である場合には、半導体ナノ粒子蛍光体からの発光が弱すぎる傾向にあるためであり、また、半導体ナノ粒子蛍光体の含有量が、コア部2におけるイオン性液体100重量部に対し50重量部を超える場合には、イオン性液体中で均一に分散することが困難となる傾向にあるためである。
イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂中に半導体ナノ粒子蛍光体を分散させたもの(ポリマーマトリックス)を粒子状とする方法は特に制限されないが、たとえば、ポリマーマトリックスを物理的に粉砕し、所望のサイズにすることで、好適に製造することができる。
本発明の一態様の蛍光体含有粒子1は、コア部2において、半導体ナノ粒子蛍光体の表面にイオン性液体を構成するイオンが配位することで、ナノ粒子を安定化し、これにより高い発光効率が付与される。また、半導体ナノ粒子蛍光体が、酸素、水分の透過率が低いイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂中に分散されていることで、粒子を作製する際の半導体ナノ粒子蛍光体の凝集を防止でき、高い光学特性を維持することができ、粒子を作製後にも水分と酸素による半導体ナノ粒子蛍光体の劣化を減少させることができる。これにより、半導体ナノ粒子蛍光体を励起発光させる際に光酸化が起きにくく、そのため優れた化学的安定性を有する。
本発明の一態様における樹脂4の粒状物(コア部2)の形状は、球状物(真球状物、扁球状物、長球状物)、六面体状物、四面体状物など特に制限されない。また、樹脂4の粒状物(コア部2)の粒径も特に制限されるものではないが、0.01μm以上100μm以下の範囲内であることが好ましい。また、白色LEDなどのLEDデバイスで用いる従来蛍光体と同様の大きさにすることで、従来蛍光体と同様の生産プロセスでLEDデバイスなどに搭載することができるという利点があることから、樹脂4の粒状物は、粒径0.1μm以上30μm以下の真球状であることが特に好ましい。また、樹脂4の粒状物が真球状であることで、コア部の形成後に形成するシェル部を形成しやすく、また、透光性を有する媒体中に分散する際に分散しやすいいう利点もある。なお、樹脂4の粒状物の粒径は、光学顕微鏡や走査型顕微鏡(SEM)により観察された粒状物の大きさ(長軸および短軸を有する場合には長軸の大きさ)、または、粒度分布測定装置により測定された値を指す。
本発明の一態様の蛍光体含有粒子1は、上述のような樹脂4の粒状物(コア部2)の少なくとも一部を覆う、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂の層状物であるシェル部5をさらに備える。本発明の一態様の蛍光体含有粒子1において、シェル部5は、従来の原子層堆積法によるコーティングのような100℃以上400℃以下もの高い反応温度への加熱処理を行うことなく樹脂の粒状物(コア部2)をコーティングすることが可能であり、コーティングの際の半導体ナノ粒子蛍光体の特性劣化を防ぎ、高い発光効率を有する蛍光体含有粒子を提供することができるという利点がある。また、シェル部5で樹脂4の粒状物(コア部2)の少なくとも一部を覆うことで、酸素・水分に起因する半導体ナノ粒子蛍光体の劣化を抑制することができ、化学安定性が向上された蛍光体含有粒子を得ることができる。より向上された化学安定性が得られる観点からは、シェル部5は、樹脂4の粒状物(コア部2)の表面の10%以上を覆うように形成されていることが好ましく、50%以上を覆うように形成されていることがより好ましく、樹脂の粒状物(コア部2)の全面を覆うように形成されていることが特に好ましい。
シェル部の厚みも特に制限されるものではないが、0.01μm以上10μm以下の範囲内であることが好ましい。また、コア部の酸素・水分に起因する半導体ナノ粒子蛍光体の劣化を抑制することができ、化学安定性が向上された蛍光体含有粒子を得ることができるという利点があることから、シェル部の厚みは、0.1μm以上5μm以下で、コア部表面の全面に均一な膜であることが特に好ましい。
なお、本発明の一態様の蛍光体含有粒子1において、コア部2の少なくとも一部を覆うようにシェル部5が形成されていることは、たとえば、任意の光源から蛍光体含有粒子1に光を入射させることで、半導体ナノ粒子蛍光体3が分散されたコア部2が蛍光を発し、半導体ナノ粒子蛍光体を含まないシェル部5については、蛍光体含有粒子の断面を蛍光顕微鏡やSEM−EDXなどで観察することで確認することができる。たとえば蛍光顕微鏡で観察した場合、シェル部5からは蛍光を検出できないし、SEM−EDXで観察した場合、シェル部5には蛍光体を形成する元素は検出されない。場合によってはこれらを組み合わせて確認することができる。
本発明の一態様の蛍光体含有粒子において、前記シェル部にナノ粒子蛍光体を含む粒子(蛍光体含有粒子)とすることも可能である。この場合でも前記コア部の半導体ナノ粒子蛍光体の劣化を減少させることができるという効果が奏される。ただし、前記シェル部の半導体ナノ粒子蛍光体が劣化すると、励起光を吸収するにも関わらず発光強度が低下するため、蛍光体含有粒子としての発光効率を低下させる原因となりうる。このような観点からは、本発明の一態様の蛍光体含有粒子においては、シェル部が半導体ナノ粒子蛍光体を含まないことが好ましい。
シェル部5に用いられるイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂は、コア部2に用いられるイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂と同一種類であってもよいし、互いに異なる種類であってもよい。
シェル部5に用いられるイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂が、コア部2に用いられるイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂と同一種類である場合、たとえば共に、重合性官能基を有するイオン性液体としてMOE−200Tもしくは1−(3−アクリロイロキシ−プロピル)−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを用いる場合には、同一の材料であるためコア部に対してシェル部の形成が容易で、均一な層状物を形成することができるというような効果が奏される。
またシェル部5に用いられる重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂が、コア部2に用いられる重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂と互いに異なる種類である場合、たとえば、耐久性・耐候性の高い方の樹脂をシェル部の形成に用いることで、コア部を形成する樹脂において相対的に耐久性・耐候性が低くとも、高い耐久性・耐候性を有する蛍光体含有粒子を得ることができる。
また、本発明の一態様の蛍光体含有粒子1において、コア部における前記樹脂およびシェル部における前記樹脂のうちの少なくともいずれかが、重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂であることが好ましい。この場合、シェル部5に用いられる重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂が、コア部2に用いられる重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂と同一種類である場合、互いに異なる種類である場合のいずれにおいても、重合性官能基が共に(メタ)アクリル酸エステル基であることが、好ましい。(メタ)アクリル酸エステル基を有するイオン性液体の好適な例としては、上述した2−(メタクリロイロキシ)−エチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−(3−アクリロイルオキシ−プロピル)−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドがある。
本発明の一態様の蛍光体含有粒子1において、コア部2およびシェル部5に、重合性官能基を有するイオン性液体を用いることで、半導体ナノ粒子蛍光体の分散液として機能するイオン性液体を、重合性官能基によりそのまま重合させることができ、半導体ナノ粒子蛍光体を分散させた樹脂を固体化させる際に起こっていた凝集などを抑制することができる。中でも、コア部2およびシェル部5において、共に重合性官能基として(メタ)アクリル酸エステル基を用いることで、加熱や触媒反応によって重合することができるようになり、液体の状態からそのまま分散状態を維持して固体化することができる。これにより、半導体ナノ粒子蛍光体が静電的に安定化し、強固に保護することができ、空気、水分から半導体ナノ粒子蛍光体の表面を保護することができ、発光効率の高い蛍光体含有粒子を提供することができる。
また、本発明の一態様の蛍光体含有粒子1において、コア部2およびシェル部5に用いられる重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂は、架橋剤が配合されていてもよい。本発明の一態様の蛍光体含有粒子1において、コア部2およびシェル部5に用いられる重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂に架橋剤が配合されていることで、樹脂は架橋構造をとり、より強固な樹脂となる。架橋剤としては、従来公知の適宜の架橋剤を特に制限なく用いることができ、たとえば、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,1,1−トリメチルオルプロパントリアクリレートなどが例示される。
本発明の一態様の蛍光体含有粒子1は、前記シェル部における前記樹脂は、前記コア部における前記樹脂に含まれる架橋剤よりも多い混合比率で架橋剤を含むことが好ましい。半導体ナノ粒子蛍光体3を含むコア部2においては、イオン性液体により半導体ナノ粒子蛍光体3が静電的に安定化し、強固に保護することができるため、コア部2においては半導体ナノ粒子蛍光体3を安定化するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂の混合比率を高くしつつ、シェル部5においては、強度を維持する架橋剤の混合比率を高くすることで、発光効率が高く、空気、水分から保護された蛍光体含有粒子を簡便に得ることができる。具体的には、前記シェル部における前記樹脂が含む架橋剤は前記樹脂全体に対し重量比で50%より多く(より好ましくは50%より多く、75%以下)、前記コア部における前記樹脂が含む架橋剤は前記樹脂全体に対し重量比で50%以下(より好ましくは10%以上50%以下)であることが好適である。
本発明の一態様の蛍光体含有粒子1は、その粒径については特に制限されるものではないが、白色LEDなどのLEDデバイスで用いる従来蛍光体と同様の大きさにすれば従来蛍光体と同様の生産プロセスでLEDデバイスなどに搭載することができるという利点があることから、100nm以上30μm以下の範囲内であることが好ましく、1μm以上20μm以下の範囲内であることがより好ましい。蛍光体含有粒子1の粒径が100nm未満である場合には、粒径が小さいことにより凝集などが起こり透光性を有する媒体中に分散させることが困難になるという傾向にあり、また、蛍光体含有粒子1の粒径が30μmを超える場合には、従来蛍光体と同様のプロセスで透光性を有する媒体中に分散させることが困難になるという傾向にあるためである。なお、蛍光体含有粒子1の粒径は、光学顕微鏡や走査型顕微鏡(SEM)により観察された粒状物の大きさ(長軸および短軸を有する場合には長軸の大きさ)、または、粒度分布測定装置により測定された値を指す。
(蛍光体含有粒子の製造方法)
上述した本発明の一態様の蛍光体含有粒子は、たとえば、半導体ナノ粒子蛍光体が分散された、イオン性液体(好ましくは重合性官能基を有するイオン性液体)に由来する構成単位を含む樹脂の粒状物と、イオン性液体(好ましくは重合性官能基を有するイオン性液体。半導体ナノ粒子蛍光体を含有しないことが好ましい)とを混合し、分散重合させることで、半導体ナノ粒子蛍光体3が分散された、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂4の粒状物であるコア部2と、前記コア部2の少なくとも一部を覆う、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂の層状物であるシェル部5とを備え、前記シェル部5は半導体ナノ粒子蛍光体を含まない蛍光体含有粒子を好適に製造することができる。
シェル部5を構成する樹脂を形成するための分散重合は、たとえばシェル部5の形成に用いる重合性官能基を有するイオン性液体がMOE−200Tである場合には、たとえば60℃以上100℃以下で1時間以上10時間以下の条件で行うことができ、また、シェル部5の形成に用いる重合性官能基を有するイオン性液体が1−(3−アクリロイロキシ−プロピル)−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである場合には、たとえば60℃以上100℃以下で1時間以上10時間以下という条件で行うことができる。このように、従来の原子堆積法によるコーティングとは異なり、半導体ナノ粒子蛍光体が熱により特性劣化してしまうことなく、樹脂の粒状物(コア部)の表面に、シェル部5が形成された蛍光体含有粒子を好適に製造することができる。
<発光装置>
図1には、本発明の一態様の蛍光体含有粒子1を用いた好ましい一例の発光装置11を模式的に示す図である。本発明の一態様は、図1に示すように、光源12と、上述した本発明の一態様の蛍光体含有粒子1が透光性を有する媒体13中に分散された波長変換部とを備える発光装置(LEDパッケージ)11についても提供する。上述のように、本発明の一態様の蛍光体含有粒子は取扱い性(ハンドリング性)がよく、現在利用されている蛍光体と同程度の大きさに作製することによって、現在商業利用されている蛍光体と同じような形態で、現行のプロセスを変更することなく利用することができる。図1に示す発光装置11において、蛍光体含有粒子1以外の光源12、透光性を有する媒体13、リード線14、枠体15などは、従来公知の適宜のものを特に制限なく用いることができる。
本発明の一態様の発光装置11において、光源12としては、特に制限されず、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)などを用いることができる。
本発明の一態様の発光装置11において、光源12および蛍光体含有粒子1を封入するための透光性を有する媒体13としては、特に制限されず、エポキシ、シリコーンおよび(メタ)アクリレート、シリカガラス、シリカゲル、シロキサン、ゾルゲル、ヒドロゲル、アガロース、セルロース、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリビニル、ポリジアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリスチレン、ポリピロール、ポリイミド、ポリイミダゾール、ポリスルホン、ポリチオフェン、ポリホスフェート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミド、ポリペプチド、ポリサッカライドなどが挙げられる。これらを複数組み合わせて透光性を有する媒体として用いてもよい。
図2は、本発明の好ましい他の例の発光装置21を模式的に示す図である。なお、図2において、図1に示した例の発光装置11と同様の構成を有する部分については同一の参照符を付して説明を省略する。図2に示す例の発光装置21は、コア部において赤色の蛍光を発する半導体ナノ粒子蛍光体がイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂中に分散された蛍光体含有粒子22と、コア部において緑色の蛍光を発する半導体ナノ粒子蛍光体がイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂中に分散された蛍光体含有粒子23とを含む点で、図1に示した例の発光装置11と異なる。
上述したように、本発明の一態様の蛍光体含有粒子は、取扱い性(ハンドリング性)がよく、現在利用されている蛍光体と同程度の大きさに作製することによって、現在商業利用されている蛍光体と同じような形態で、現行のプロセスを変更することなく利用することができる。図2に示す例の発光装置21によれば、従来蛍光体と同様のプロセスで発光装置を製造し、さらに、異なる波長を有する半導体ナノ粒子蛍光体を含む蛍光体含有粒子を用いることで所望の発光色を示す発光装置を製造することができる。なお、図2に示す例の発光装置21のように、コア部において赤色の蛍光を発する半導体ナノ粒子蛍光体がイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂中に分散された蛍光体含有粒子22と、コア部において緑色の蛍光を発する半導体ナノ粒子蛍光体がイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂中に分散された蛍光体含有粒子23とを組み合わせて用いる場合には、色再現性の高い白色発光を呈する発光装置を得ることができることから、青色発光する発光ダイオード(LED)、青色発光するレーザダイオード(LD)などを好適に用いることができる。
なお、図2に示した発光装置21において、コア部において赤色の蛍光を発する半導体ナノ粒子蛍光体がイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂中に分散された蛍光体含有粒子22と、コア部において緑色の蛍光を発する半導体ナノ粒子蛍光体がイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂中に分散された蛍光体含有粒子23との混合比率は特に制限されないが、重量比で、蛍光体含有粒子22を100とした場合に蛍光体含有粒子23が10以上1000以下の範囲内であることが好ましく、20以上500以下の範囲内であることがより好ましい。蛍光体含有粒子22を100とした場合に蛍光体含有粒子23が10未満である場合には、赤色と緑色の発光強度の差により白色から大きくずれ、赤色に偏った発光色になる傾向にあるためであり、また、蛍光体含有粒子22を100とした場合に蛍光体含有粒子23が1000を超える場合には、赤色と緑色の発光強度の差により白色から大きくずれ、緑色に偏った発光色になるという傾向にあるためである。
なお、本発明の一態様の発光装置は図1、図2に示した例に制限されるものでは勿論なく、たとえば、3種類以上の半導体ナノ粒子蛍光体を用いてもよい。
<蛍光体含有シート>
図3は、本発明の好ましい例の蛍光体含有シート31を模式的に示す図である。本発明の一態様は、図3に示すように、本発明の一態様の蛍光体含有粒子1が、シート状の透光性を有する媒体32中に分散された蛍光体含有シート31についても提供する。上述したように、本発明の一態様の蛍光体含有粒子は、取扱い性(ハンドリング性)がよく、現在利用されている蛍光体と同程度の大きさに作製することによって、現在商業利用されている蛍光体と同じような形態で、現行のプロセスを変更することなく利用することができる。したがって、図3に示す蛍光体含有シート31のように、従来の蛍光体の場合と同様の製造プロセスで蛍光体含有シートを製造することができる。このような本発明の一態様の蛍光体含有シートは、従来と同様に、液晶バックライト、白色LEDデバイスなどの用途に好適に用いることができる。
さらに、本発明の一態様の蛍光体含有粒子を用いた蛍光体含有シートによれば、以下の(1)、(2)の理由により、蛍光体含有粒子を分散する媒体の材料の制約が緩和され、媒体の材料の選択の自由度が向上するという利点がある。
(1)半導体ナノ粒子蛍光体が剥き出しの状態で樹脂化する従来と比較して、蛍光体含有粒子に含まれ保護された状態で樹脂化すればよいので、製造時の半導体ナノ粒子蛍光体の劣化を気にしなくてよい。
(2)剥き出しの状態の半導体ナノ粒子蛍光体を媒体が含む従来と比較して、蛍光体含有粒子に保護された状態で使用されるので、使用による半導体ナノ粒子蛍光体の劣化を気にしなくてよい。
また、上述のように使用による半導体ナノ粒子蛍光体の劣化を気にしなくてよいので、シートを保護するための部分が不要であり、省スペース化が可能であるという利点もある。すなわち、剥き出しの状態の半導体ナノ粒子蛍光体の劣化要因である水分、酸素を阻止するために従来必須であった保護のための部分をなくすことで、シートを薄くすることができる。より具体的には、エッジ部分を設ける必要がなく(あるいは少なく)なるため、面方向に関して省スペース化が可能となるとともに、保護のための保護層を設ける必要がなく(あるいは少なく)なるため、厚み方向に関して省スペース化が可能となる。
本発明の一態様の蛍光体含有シートに用いられる透光性を有する媒体32としては、本発明の一態様の発光装置において上述した透光性を有する媒体13と同様のものを好適に用いることができる。また、本発明の一態様の蛍光体含有粒子を分散させた、透光性を有する媒体をシート状に形成する方法としては、従来の蛍光体含有シートを製造するのと同様に、たとえばまず、蛍光体シート形成用の塗布液として蛍光体含有粒子を樹脂に分散した溶液(以下、「シート製造用蛍光体含有粒子分散シリコーン樹脂」とする)を作製する。シート製造用蛍光体含有粒子分散シリコーン樹脂は蛍光体含有粒子と樹脂を混合することにより得られる。付加反応型シリコーン樹脂を用いる場合は、ケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する化合物と、ケイ素原子に結合した水素原子を有する化合物を混合すると、室温でも硬化反応が始まることがあるので、さらにアセチレン化合物などのヒドロシリル化反応遅延剤をシート製造用蛍光体含有粒子分散シリコーン樹脂に配合して、ポットライフを延長することも可能である。また、添加材として塗布膜安定化のための分散剤やレベリング剤、シート表面の改質剤としてシランカップリング剤などの接着補助剤などをシート製造用蛍光体含有粒子分散シリコーン樹脂に混合することも可能である。また、蛍光体沈降抑制剤としてアルミナ微粒子、シリカ微粒子、シリコーン微粒子などをシート製造用蛍光体含有粒子分散シリコーン樹脂に混合することも可能である。
流動性を適切にするために必要であれば、溶媒を加えて溶液とすることもできる。溶媒は流動状態の樹脂の粘度を調整できるものであれば、特に限定されない。たとえば、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ヘキサン、テルピネオールなどが挙げられる。
これらの成分を所定の組成になるよう調合した後、ホモジナイザー、自公転型攪拌機、3本ローラー、ボールミル、遊星式ボールミル、ビーズミルなどの撹拌・混練機で均質に混合分散することで、シート製造用蛍光体含有粒子分散シリコーン樹脂が得られる。混合分散後、もしくは混合分散の過程で、真空もしくは減圧条件下で脱泡することも好ましく行われる。
次に、シート製造用蛍光体含有粒子分散シリコーン樹脂を基材上に塗布し、乾燥させる。塗布は、リバースロールコーター、ブレードコーター、スリットダイコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、キスコーター、ナチュラルロールコーター、エアーナイフコーター、ロールブレードコーター、バリバーロールブレードコーター、トゥーストリームコーター、ロッドコーター、ワイヤーバーコーター、アプリケーター、ディップコーター、カーテンコーター、スピンコーター、ナイフコーターなどにより行うことができる。また、本発明の一態様の蛍光体含有シートはスクリーン印刷やグラビア印刷、平版印刷などの印刷法を用いても作製することもできる。印刷法を用いる場合には、特にスクリーン印刷が好ましく用いられる。
シートの乾燥は熱風乾燥機や赤外線乾燥機などの一般的な加熱装置を用いて行うことができる。シートの加熱硬化には、熱風乾燥機や赤外線乾燥機などの一般的な加熱装置が用いられる。この場合、加熱硬化条件は、通常、40℃以上250℃以下で1分間以上5時間以下、好ましくは100℃以上200℃以下で2分間以上3時間以下である。
なお、図3には、図1に示した第1の実施態様の蛍光体含有粒子1を用いた場合を示したが、これに制限されるものではなく、2種類以上の半導体ナノ粒子蛍光体を含んでいても勿論よい。
1 蛍光体含有粒子、2 コア部、3 半導体ナノ粒子蛍光体、4 樹脂、5 シェル部、11 発光装置、12 光源、13 媒体、14 リード線、15 枠体、21 発光装置、22 蛍光体含有粒子、23 蛍光体含有粒子、31 蛍光体含有シート、32 媒体。

Claims (13)

  1. 半導体ナノ粒子蛍光体が分散された、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂の粒状物であるコア部と、
    前記コア部の少なくとも一部を覆う、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂の層状物であるシェル部とを備え、
    前記シェル部は半導体ナノ粒子蛍光体を含まない、蛍光体含有粒子。
  2. 半導体ナノ粒子蛍光体が分散された、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂の粒状物であるコア部と、
    前記コア部の少なくとも一部を覆う、イオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂の層状物であるシェル部とを備え、
    前記コア部における前記樹脂と、前記シェル部における前記樹脂とが互いに異なる種類の樹脂である、蛍光体含有粒子。
  3. 前記シェル部は、前記コア部の全面を覆う、請求項1または2に記載の蛍光体含有粒子。
  4. 前記コア部における前記樹脂と、前記シェル部における前記樹脂とが同一種類の樹脂である、請求項1に記載の蛍光体含有粒子。
  5. 前記コア部における前記樹脂および前記シェル部における前記樹脂のうちの少なくともいずれかが、重合性官能基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂である、請求項1または2に記載の蛍光体含有粒子。
  6. 前記コア部における前記樹脂および前記シェル部における前記樹脂が、共に、重合性官能基として(メタ)アクリル酸エステル基を有するイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂である、請求項5に記載の蛍光体含有粒子。
  7. 前記シェル部における前記樹脂は、前記コア部における前記樹脂に含まれる架橋剤よりも多い混合比率で架橋剤を含む、請求項5または6に記載の蛍光体含有粒子。
  8. 前記シェル部における前記樹脂が含む架橋剤は前記樹脂全体に対し重量比で50%より多く、前記コア部における前記樹脂が含む架橋剤は前記樹脂全体に対し重量比で50%以下である、請求項7に記載の蛍光体含有粒子。
  9. 粒径が100nm以上30μm以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の蛍光体含有粒子。
  10. 前記シェル部の厚みが0.1μm以上5μm以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の蛍光体含有粒子。
  11. 光源と、請求項1〜10のいずれか1項に記載の蛍光体含有粒子が透光性を有する媒体中に分散された波長変換部とを備える、発光装置。
  12. 前記コア部において赤色の蛍光を発する半導体ナノ粒子蛍光体がイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂中に分散された蛍光体含有粒子と、前記コア部において緑色の蛍光を発する半導体ナノ粒子蛍光体がイオン性液体に由来する構成単位を含む樹脂中に分散された蛍光体含有粒子とを含む、請求項11に記載の発光装置。
  13. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の蛍光体含有粒子が、シート状の透光性を有する媒体中に分散された、蛍光体含有シート。
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