JP6712491B2 - トイレットロール - Google Patents
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Description
このようなことから、トイレットペーパーのシート1枚当りの坪量を14g/m2以下に低減し、巻長を長くした(長尺の)トイレットロールが開発されている(特許文献1、2)。
又、本願出願人は、トイレットペーパーの1枚当りの坪量を13g/m2より高くして風合い、使用感を向上させながら、巻長を長くしたトイレットロールを開発した(特許文献3、4)。
一方、ミシン目を入れなかったり、ミシン目の強度を強くすると、使い始めでは所望の長さでシートをカットし易いが、使い終わりに近づいてロールが軽くなるとシートをカットし難くなる。シートの強度を高くした場合も、ミシン目の強度が高くなるので同様な傾向にあると共に、シートの柔らかさが劣る。
ところが、長尺のトイレットロールのシートにエンボスを付与すると、ミシン目の強度が弱くなり、ロールの使い始めから終わりまでカットし易い強度を確保することが困難になることが判明した。これは、エンボスを入れると繊維間結合が緩んだり切れたりする傾向にあるため、ミシン目の強度に影響するツナギ部の強度が弱くなるためと考えられる。そして、一般に紙は、最も弱い部分を起点に破断するので、エンボスが入ったツナギ部から破断すると想定される。
(前記ミシン目のDMDT)×1000/(前記ロール質量)で表される比が11〜45N/(114mm×g)であることが好ましい。
前記ミシン目を含まない前記トイレットペーパーのDMDTが11〜28N/114mmであることが好ましい。
前記ミシン目の、{ツナギ部の長さ/(ツナギ部の長さ+切込線の長さ)}×100で表されるボンド率が20〜80%であことが好ましい。
前記ミシン目のツナギ部の長さが0.3〜2.7mmであることが好ましい。
前記ミシン目の切込線の長さが0.4〜3.3mmであることが好ましい。
前記凹凸がエンボスであることが好ましい。
図1に示すように、本発明の実施形態に係るトイレットロール10は、凹凸を複数有すると共に、ミシン目10mを有する1プライのトイレットペーパー10xをロール状に巻き取ったトイレットロールであって、巻長(巻き取り長さ)が105〜210m、巻直径DRが100〜140mm、後述するロール質量が230〜490g、後述するミシン目の引張強さDMDTが3.9〜15.0N/114mmである。
なお、トイレットペーパー10xのロール外側の表面をロール表面(又はトイレットペーパーの表面)10aとし、ロール内側の表面をロール裏面(又はトイレットペーパーの裏面)10bとする。
巻長は、好ましくは130〜190mm、より好ましくは150〜170mmである。
巻直径DRは、好ましくは108〜135mm、より好ましくは115〜123mmである。
上記ロール質量が230g未満であると、1ロール当りの巻長が短くなり、保管時の省スペースが図れない。ロール質量が490gを超えるものは、巻直径DRが大きくなり過ぎてトイレットペーパーホルダー等に収まり難くなる。
上記ロール質量は、好ましくは260〜430g、より好ましくは300〜370gである。
DMDTは、図8に示すように、シート(トイレットペーパー)10xのMD方向(幅Wに垂直な長手方向)を長さL1=250mmの長手方向とした短冊状で、幅Wを自身の幅方向とする試験片S1を切り出して測定する。引張試験機のつかみ具とつかみ具の間隔を100mmとし、この間隔が100mmを確保できれば、試験片の長さL1=250mmより短くしても影響ない。試験片S1の長手方向のほぼ中央に1つのミシン目10mが入るようにする。そして、1つのミシン目10mを分断するように、ミシン目10mの前後にMD方向に引張速度300mm/minの条件で引っ張って測定する。
なお、一般にはDMDTは幅25mmで測定するが、この場合、ミシン目のツナギ部や切込線の個数や長さによって測定値が変動するため、ロール幅Wに近い幅で測定するか、上述のようにロール幅Wのシートを幅25mmになるように折り畳んで測定することが好ましい。
ロール幅Wが114mmと異なる場合は、Wを114mmに換算してDMDTを求める。例えば、ロール幅Wが105mmの場合、そのDMDTに係数(114/105)を乗じた質量を、Wが114mm当たりのDMDTとする。
上記ミシン目のDMDTが3.9N/114mm未満であると、特に使い始めにトイレットロールが重さで回転しにくい場合に、ミシン目の強度が弱くなって必要な長さのシートにカットする前に途中のミシン目で切れてしまう。上記ミシン目のDMDTが15.0N/114mmを超えると、ミシン目の強度が高過ぎて、使用が進んでロールが軽くなるとシートをカットし難くなる。
上記ミシン目のDMDTは、好ましくは5.5〜12.5N/114mm、より好ましくは7.0〜10.0N/114mmである。
本発明のトイレットロール10(トイレットペーパー10x)は、凹凸を複数有する。この凹凸は、例えばエンボス加工により施すことができる。本発明ではシートが1plyであるためシングルエンボスとなる。もちろん、公知のダブルハイトのエンボスロールを用いたり、シングルエンボスを複数回、施すことができる。また、エンボスパターン(エンボスの大きさ、深さ、個数、面積率)を適宜変更することができる。
以下、凹凸としてエンボスを例に説明する。
シングルエンボスは、図3に示すように、トイレットペーパー10xの一方の面からのみ、エンボスロール151のエンボス凸部を押し当てて形成される。
図2は、トイレットロール10(トイレットペーパー10x)に設けられたシングルエンボス2を示す断面図である。なお、図2の例では、トイレットペーパー10xは1プライからなり、図2の上部がロール表面10a側に対応する。トイレットペーパー10xのエンボスロール151を押し当てた面(図2の表面)に凹部2R、裏面に凸部2Pが現れるエンボス(シングルエンボス)2が形成される。
なお、図2(a)はエンボス深さが深い場合、図2(b)はエンボス深さが浅い場合である。
又、図2(a)の場合、エンボス深さDを深くするには、その分だけシート1枚当りの紙厚t1を薄くして凹凸を顕著にする必要があることから、原紙のカレンダー処理を強く行うことに起因してシートの柔らかさが向上する。
もちろん、カレンダー処理を行わず、エンボス処理を行ってもよい。この場合、エンボス深さを確保できるよう、パルプ配合や叩解条件、クレープ率等により、エンボス処理前のシートの紙厚をコントロールすることができる。
マイクロスコープとしては、KEYENCE社製の製品名「ワンショット3D測定マクロスコープ VR−3100」を使用することができる。マイクロスコープの画像の観察・測定・画像解析ソフトウェアとしては、製品名「VR−H1A」を使用することができる。又、測定条件は、倍率12倍、視野面積24mm×18mmの条件で測定する。なお、測定倍率と視野面積は、求めるエンボスの大きさによって、適宜変更しても良い。
そこで、図6に示すように、高さプロファイルの断面曲線Sから「輪郭曲線」Wを計算し、この輪郭曲線Wのうち、上に凸となる2つの変曲点P1,P2と、変曲点P1,P2で挟まれる最小値を求め、深さの最小値Minとする。さらに、変曲点P1,P2の深さの値の平均値を深さの最大値Maxとする。
ただし、図9に示すように、エンボス2が流れ方向(MD方向)につながっている場合、最長部aが巻長と同じになってしまい、高低差が得られず、凹部の深さDを測定できない。そこで、エンボス2が繋がる方向(MD方向)に直交する幅W方向に、エンボス2を跨ぐように線分A−Bを引き、凹部の深さDを測定することができる。
同様に、エンボス2が幅W方向(CD方向)につながっている場合、流れ方向(MD方向)に、エンボス2を跨ぐように線分A−Bを引き、凹部の深さDを測定する。
また、凹凸の凹部の深さDを求める際、任意の10個のエンボス(凹凸)2を選定する際には、トイレットロール10の外巻の端部(トイレットペーパーを使用し始める位置)から、トイレットロール10の巻長の10%に当たる部分(例えば、巻長が150mの場合、端部から150m×10%=15mの部分)において、幅方向に沿って並ぶエンボス2の中から任意の10個を選ぶ。又、幅方向Wにエンボス2が10個未満しか存在しない場合は、そのエンボス2に隣接する外巻側又は内巻側のエンボス2の群の中から不足する個数のエンボスを選べばよい。なお、測定するエンボス2がミシン目に当たる場合は、ミシン目に隣接する外巻側のエンボス2の群を対象に測定する。
深さDが上記範囲より小さいと、凹凸の度合いが小さくなって嵩が低くなり(密度が高くなり)、シートの柔らかさを向上させることが困難な場合がある。深さDが上記範囲を超えると、凹凸が顕著になり過ぎて嵩が高くなり過ぎ(密度が低くなり過ぎ)、巻直径DRが大きくなり過ぎ、ペーパーホルダーにトイレットロール10を装着し難くなる場合がある。また、ミシン目の強度が低くなり過ぎ、必要な長さのシートにカットする前に途中のミシン目で切れてしまうことがある。
図8に示すように、シート(トイレットペーパー)10xのミシン目10mが入らない部位で、試験片S1と同一寸法の試験片S3を切り出し、MD方向に引っ張って測定する。ミシン目を含まないトイレットペーパーのDMDTを上記範囲とすることで、上記ミシン目のDMDTも所定の範囲にすることができる。
ロール幅Wが114mmと異なる場合は、Wを114mmに換算してDMDTを求める。例えば、ロール幅Wが105mmの場合、そのDMDTに係数(114/105)を乗じた質量を、Wが114mm当たりのDMDTとする。
ミシン面のDMDTの値が同じであっても、ロールの質量が重ければ使い始めに切れ易くなるので、ロール質量当たりのミシン面のDMDTで表される上記比を規定した。
上記比が11N/(114mm×g)未満であると、ミシン目の強度が弱くなり、必要な長さのシートにカットする前に途中のミシン目で切れてしまうことがある。上記比が45N/(114mm×g)を超えると、ミシン目の強度が高過ぎてシートをカットし難くなる場合がある。
ここで、ミシン目10mの、{ツナギ部10m1の長さ/(ツナギ部10m1の長さ+切込線10m2の長さ)}×100)で表されるボンド率が好ましくは20〜80%であり、より好ましくは25〜65%、更に好ましくは35〜50%である。
ボンド率を上記範囲に管理することで、ミシン目10mの強度(DMDT)を上述の範囲に確実に管理できる。
ボンド率が20%未満であるとミシン目10mの強度が弱くなり、必要な長さのシートにカットする前に途中のミシン目で切れてしまう場合がある。一方、ボンド率が80%を超えると、ミシン目10mの強度が強くなり、ミシン目の強度が高過ぎてシートをカットし難くなる場合がある。
又、切込線10m2の長さが好ましくは0.4〜3.3mmであり、より好ましくは0.9〜2.8mm、更に好ましくは1.4〜2.3mmである。
ツナギ部10m1及び切込線10m2の長さを上記範囲に管理することで、ボンド率、ひいてはミシン目10mの強度(DMDT)を上述の範囲に確実に管理できる。
DCDTが上記値未満であると、やぶれ易くて実用に適さないことがある。DCDTが上記値より高いと硬くなり、シートの柔らかさが損なわれることがある。
なお、トイレットペーパーの抄紙の流れ方向を「縦方向」とし、流れ方向に直角な方向を「横方向」とする。
ロールを固く巻きすぎると、内巻のトイレットペーパーに過大な押圧が加わり、内巻のトイレットペーパーに設けたエンボスが潰れるおそれがある。一方、ロールを弱く巻きすぎると、エンボスは潰れないが、巻直径が大きくなってペーパーホルダーへの装着が困難になったり、内巻の巻付け力が弱くなり過ぎ、ロールの内巻側が軸方向に飛び出して不良品が生じるおそれがある。このようなことから、ロールの巻き強さを表すための因子として、巻密度を規定した。
巻密度は、(巻長×プライ数)÷(ロールの断面積)で表される。ロールの断面積は、{ロールの外径(巻直径DR)部分の断面積}−(コア外径部分の断面積)で表される。コア外径DI(図1参照)は、ロールの中心孔の直径である。なお、ロールの内側にコア(巻芯紙管)が装着されている場合は、コア外径がDIに相当する。
巻密度が1.0m/cm2未満であると、巻直径DRが140mmを超えてしまい、トイレットペーパーホルダー等に収まり難くなると共に、内巻の巻付け力が弱くなり過ぎ、ロールの内巻側が軸方向に飛び出して(ロールの保形性が劣り)、不良品となるおそれがある。巻密度が2.0m/cm2を超えると、シートの柔らかさが劣ったり、トイレットペーパーに設けたエンボスが潰れて、使用時に美粧性が低下するおそれがある。
又、シートの紙厚が好ましくは0.40〜1.10mm/10枚、より好ましくは0.50〜0.90mm/10枚、更に好ましくは0.60〜0.80mm/10枚である。
シートの坪量及び紙厚を上記範囲とすると、巻長、巻直径DRを上記範囲に調整し易くなるので好ましい。また、トイレットペーパー使用時の触感が良好になる。
シートの坪量及び紙厚を上記範囲に調整する方法としては、原紙ウェブのカレンダー条件(カレンダー処理後の紙厚及び比容積)及びエンボス条件を規定する。
比容積が2.8cm3/g未満であると、シートの柔らかさが乏しくなったり、バルク(嵩高さ)が低下して水分の吸収性に劣る場合がある。一方、比容積が6.5cm3/gを超えると、シートのバルク(嵩高さ)は高くなるが、紙厚が高くなって巻直径が大きくなる場合がある。
ロール巻取り加工機150は、大別するとサーフェイス方式とセンター方式の2種類がある。サーフェイス方式は巻取るロールを外側から別の複数の駆動ロールで支持しながら巻取る方法であり、巻取られたトイレットロール10は、巻き径のコントロールがし易く、生産速度がより高速となる。センター方式は巻取りロールの中心に通したシャフトの駆動により巻取る方法で、巻取られたトイレットロール10は、比較的柔らかな製品となり、デリケートなエンボスを施した製品に適している。本発明においては、いずれの方法でも巻き取ることができるが、好ましくはサーフェイス方式である。
なお、ロール巻取り加工機150にマシンワインダー100を組み込んだり、ロール巻取り加工機150にカレンダー101、102の両方(2スタック)または片方(1スタック)を組み込み、ロール巻取り加工機にてカレンダー処理、エンボス処理をこの順で行ってもよい。
なお、エンボスロールの凹凸が深ければニップ幅を狭くし、エンボスロールの凹凸が浅ければニップ幅を広くすることで、凹凸の凹部の深さDを調整できる。
また、ミルクカートン(牛乳パック)由来の古紙パルプの含有率が好ましくは0〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは20〜45質量%であり、クラフトパルプの含有率としては、好ましくは40〜100質量%、より好ましくは50〜90質量%、さらに好ましくは55〜80質量%である。
ミルクカートン(牛乳パック)由来の古紙パルプは、針葉樹パルプが主体であり、トイレットペーパーの強度を確保しやすいメリットがある一方、品質的バラツキが大きく、含有割合が高すぎると製品の品質に影響するので、上記の範囲の含有率にすることが好ましい。
上記LBKPの材種としてユーカリ属グランディス、及びユーカリグロビュラスに代表される、フトモモ科ユーカリ属から製造されるパルプが好ましい。
差Δは、好ましくは0.0〜2.5ポイント、より好ましくは0.0〜1.5ポイント、さらに好ましくは0.0〜1.0ポイント、最も好ましくは0.0〜0.5ポイントである。白色度は、ISO 2470に準拠して、株式会社村上色彩技術研究所社製 高速分光光度計CMS−35SPXを用いて測定できる。
トイレットペーパーとして古紙原料を使用する場合も、上記バージン系の場合と同様の処理を行う。
トイレットペーパーの製造方法の詳細については後述する。
まず、公知の抄紙機のワイヤーパート上で上記紙料からウェブを抄紙し、プレスパートのフェルトへ移動させる。ワイヤーパートの方式としては、丸網式、長網(フォードリニアー)式、サクションブレスト式、短網式、ツインワイヤー式、クレセントフォーマー式などが挙げられる。
そして、ウェブに対し、サクションプレッシャーロール又はサクションなしのプレッシャーロール又はプレスロールなどで機械的に圧縮をしたり、あるいは熱風による通気乾燥などの脱水方法により脱水を続ける。また、サクションプレッシャーロール又はサクションなしのプレッシャーロールは、プレスパートからヤンキードライヤーにウェブを移動させる手段としても使用される。
クレーピング(クレープと言われる波状の皺をつけること)は、紙を縦方向(抄紙機上のシート走行方向)に機械的に圧縮することである。そして、トイレットペーパーのウェブの製造の際、クレーピングドクターによりヤンキードライヤー上のウェブが剥がされ、リールパートで巻き取られるが、ヤンキードライヤーとリールパートの速度差(リールパートの速度≦ヤンキードライヤーの速度)によりクレーピングドクターにてクレープ(皺)が形成される。
トイレットペーパーに必要な品質、すなわち嵩(バルク感)、柔らかさ、吸水性、表面の滑らかさ、美観(クレープの形状)などは上記速度差で左右される。上記速度差等の条件にもよるが、クレーピング後のリール上のウェブの坪量は概略16〜24g/m2となり、クレーピング前のヤンキードライヤー上のウェブの坪量より重くなる。上記坪量は、好ましくは18〜23g/m2、より好ましくは19〜22g/m2ある。上記範囲を超えると、強度が高くなって紙がゴワゴワする場合があり、上記範囲未満であると、強度が弱くて破れやすくなる場合がある。
クレープ率(%)=100×(ヤンキードライヤー速度(m/分)−リール速度(m/分))÷リール速度(m/分)
品質や操業性の良し悪しはこのクレーピングの条件で大方決まり、クレーピング条件を最適とする操業条件が当業者にとって重要な事項となる。本発明においてトイレットペーパーを製造する際のクレープ率は好ましくは10〜50%、より好ましくは15〜40%、最も好ましくは20〜35%である。
図7はマシンワインダー100の一例を示す。上述のようにクレープ後にリールパートで巻き取られたリール1がマシンワインダー100にセットされ、1スタック目のカレンダー機101でカレンダー処理される。但し、必要に応じて、1スタック目のカレンダー機101と2スタック目のカレンダー機102の順で2段階カレンダー処理しても良い。また、オンマシンカレンダーでカレンダー処理することも可能である。
エンボス処理前(カレンダー処理後)のトイレットペーパーの紙厚を好ましくは0.5〜1.5mm/10枚、より好ましくは0.6〜1.3mm/10枚、更に好ましくは0.7〜1.1mm/10枚とする。又、エンボス処理前(カレンダー処理後)の原反ロール4におけるトイレットペーパーの比容積を好ましくは3.2〜6.3cm3/g、より好ましくは3.5〜5.8cm3/g、さらに好ましくは3.8〜5.3cm3/gとする。
又、表1,2に示したエンボス処理後のトイレットペーパーの紙厚は図2の紙厚t2に相当するが、測定荷重3.7kPaで測定した値であるため、紙厚t2を正確に反映したものではない。
一方、凹凸の凹部の深さ(エンボス深さ)Dはエンボスを圧縮しない生成りの状態での値を測定している。従って、凹凸の凹部の深さDは紙厚t1、t2から計算される値(この値は、エンボスを測定荷重3.7kPaで圧縮した値である)よりは大幅に大きい。
カレンダーの線圧は、好ましくは2.5〜7.5kgf/cm、より好ましくは3.0〜7.0kgf/cmとすることが好ましい。線圧が上記範囲を超えると、嵩が小さくなり、柔らかさが劣ることがある。また、線厚が上記範囲未満であると、嵩が大きくなり、ロールの巻直径DRが大きくなる。また、線圧は、1スタック目より2スタック目を高くすることが好ましい。
カレンダー処理時、ドローを適宜調整することができる。プライアップ前のリール1からカレンダー処理後の原反4の間のドローは、100〜110%とすることが好ましい。
ミシン目及びそれ以外の部位の、乾燥時の縦方向引張り強さDMDTと乾燥時の横方向引張り強さDCDT:JIS P8113に基づいて、トイレットペーパー(1枚)につき、破断までの最大荷重を測定した。具体的な試験片及び測定方法は既に述べた通りである。
坪量:JIS P8124に基づいて測定し、シート1枚当たりとした。
紙厚:シックネスゲージ(尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定した。測定条件は、測定荷重3.7kPa、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取った。なお、カレンダー処理前及び後のウェブ、ロールについてはいずれも、シートを10枚重ねて測定を行った。又、測定を10回繰り返して測定結果を平均した。そして、得られた1回当りの平均値を枚数で割ってシート1枚当りの紙厚とした。
ロールの質量及びコアの質量:電子天秤を用いて測定した。測定は、10個のロールを測定し、測定結果を平均した。
ロールの巻直径DR、コア外径DI:ムラテックKDS株式会社製ダイヤメータールールを用いて測定した。測定は、10個のロールを測定し、測定結果を平均した。
ロールの巻密度、エンボス深さDは上述の方法で測定した。なお、ロールの巻密度は、ロールの巻直径DRの測定に用いた10個のロールを測定し、測定結果を平均した。
なお、坪量、引張強さ、厚さ(紙厚)、ロールの質量及びコアの質量、比容積、巻直径DR、コア外径DI、巻密度、エンボス深さの測定は、JIS-P8111に規定する温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持後に行った。
巻長が210mを超え、巻直径が140mmを超え、ロール質量が490gを超えた比較例2の場合、ロール径が大きくなってトイレットペーパーホルダーに収まり難くなった。
なお、比較例3は、ミシン目を含まないトイレットペーパーのDMDTが11N/114mm未満であり、トイレットペーパー自体の強度が低いためにミシン目の強度が低下し、シート自体も破れやすくなった。
一方、比較例5,7は、ミシン目を含まないトイレットペーパーのDMDTが11N/114mm以上であり、トイレットペーパー自体の強度は確保したものの、ミシン目のボンド率が20%であるためにミシン目の強度が低下した。
比較例9は、ミシン目を含まないトイレットペーパーのDMDTが11N/114mm以上であり、トイレットペーパー自体の強度は確保したものの、エンボス深さが0.40mmを超えためにミシン目の強度が低下した。
なお、比較例4は、ミシン目を含まないトイレットペーパーのDMDTが28N/114mmを超え、トイレットペーパー自体の強度が高過ぎるためにミシン目の強度が高くなり過ぎた。又、シート自体も固くなって柔らかさに劣った。
一方、比較例6,8は、ミシン目を含まないトイレットペーパーのDMDTが適切で、トイレットペーパー自体の強度は適切な範囲であるものの、ミシン目のボンド率が80%を超えたためにミシン目の強度が高くなり過ぎた。
市販品3はミシン目が無く、シートが固すぎてロールの使い終わりでミシン目がカットし難くなったと共に、シートの柔らかさも劣った。市販品3のシートの強度(DMDT)を測定したところ、28N/114mmを超えていた。
10 トイレットロール
10m ミシン目
10m1 ミシン目のツナギ部
10m2 ミシン目の切込線
10x トイレットペーパー
D エンボス深さ(凹部の深さ)
Claims (8)
- 一方の面が凸部となり、対応する反対面が凹部となる凹凸を複数有すると共に、幅方向に沿ってミシン目を有する1プライのトイレットペーパーをロール状に巻き取ったトイレットロールであって、
巻長が105〜210m、巻直径が100〜140mm、ロール幅114mm当たりのコアを含むロール質量が230〜490g、ロール幅114mm当たりの前記ミシン目のJIS P8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強さDMDTが7.0〜10.0N/114mmであるトイレットロール。 - 前記凹凸の凹部の深さが0.02〜0.40mmである請求項1記載のトイレットロール。
- (前記ミシン目のDMDT)×1000/(前記ロール質量)で表される比が11〜45N/(114mm×g)である請求項1又は2に記載のトイレットロール。
- 前記ミシン目を含まない前記トイレットペーパーのDMDTが11〜28N/114mmである請求項1〜3のいずれか一項に記載のトイレットロール。
- 前記ミシン目の、{ツナギ部の長さ/(ツナギ部の長さ+切込線の長さ)}×100で表されるボンド率が20〜80%である請求項1〜4のいずれか一項に記載のトイレットロール。
- 前記ミシン目のツナギ部の長さが0.3〜2.7mmである請求項1〜5のいずれか一項に記載のトイレットロール。
- 前記ミシン目の切込線の長さが0.4〜3.3mmである請求項1〜6のいずれか一項に記載のトイレットロール。
- 前記凹凸がエンボスである請求項1〜7のいずれか一項に記載のトイレットロール。
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