JP6721444B2 - トイレットロール - Google Patents

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Description

この発明は、2プライのトイレットペーパーを巻き取ったトイレットロールに関するものである。
トイレットペーパーは、主に4ロール又は12ロール等を単位として包装されたものが市販されている。これらの包装体は嵩張るため、購入時に持ち運べる量は限られており、一度に購入できる量は自ずと限度がある。また、家庭や職場、公共施設などにおいても保管スペースが限られている。
このようなことから、トイレットペーパーのシート1枚当りの坪量を14g/m以下に低減し、巻長を長くした(長尺の)トイレットロールが開発されている(特許文献1、2)。
又、本願出願人は、トイレットペーパーの1枚当りの坪量を13g/mより高くして風合い、使用感を向上させながら、巻長を長くしたトイレットロールを開発した(特許文献3、4)。
特開2006-087703号公報 特開2013-208297号公報 特開2014-188342号公報 特開2014-233363号公報
ところで、一般にトイレットロールは、製品の長さで幅が数mのログを巻き取った後、ログソーにてログの軸方向に製品幅で輪切りに裁断し、1本のログから多数のトイレットロールを製造している。
一方、限られた巻直径で長尺のトイレットロールとするには固巻きにすればよいが、固く巻きすぎると、ログソーで裁断する際にコアが潰れてしまう。また、トイレットペーパーのシートに凹凸(エンボス)を設けない場合、シート間に空隙がないためにより固巻きになり、触感も劣る。もちろん、トイレットロールを柔巻きにするとログソーで裁断してもコアは潰れないが、巻直径が大きくなり、ペーパーホルダーに装着しにくくなる。
これに対し、製品幅でログを巻き取ればログソーの裁断が不要となり、コアが潰れる問題は解消するが、生産性が大幅に低下するのでこの方法は採用できない。
又、コアの直径を大きくすると、ログ製造時にシートの巻き始め(コアに巻き付けるところ)でシートのたるみが出にくくなるので、加工速度を高めて生産性を向上させることができるが、やはりコアが潰れやすくなる。
一方、コアを用いないトイレットロールとすると、コアが潰れることはなくなるが、シートの巻き始めの部分に用いる糊の量が不均一になりやすく、巻終わりまで使ったときに最後の部分(巻き始めの部分)が硬くてほぐれず、巻出しにくくなる。また、コアを小径にすると、トイレットホルダーに装着しにくくなる。
又、コアの質量を高くする(コアの坪量を高くする)と、コアが潰れにくくなるが、コアが固くなって、コアの生産性が低下したり、コストアップに繋がる。
以上のように、コアを有する長尺のトイレットロールを製造する際、コストや生産性を損なわずにコアを潰れにくくすることは困難であった。
従って本発明は、触感が良好であると共に、コストや生産性を損なわずにコアを潰れ難くした長尺のトイレットロールの提供を目的とする。
本発明者らは、トイレットロールを製造する際、コアを潰れ難くする因子として、ロールの巻密度が重要であることを見出した。つまり、巻密度が高過ぎると固巻き(体積当たりの質量が高い)になってコアが潰れ易くなる一方、巻密度が低いと、コアは潰れなくなるものの、巻直径が大きくなってトイレットペーパーホルダー等に収まりにくくなる。
又、コアの質量を規定することで、コアの生産性の低下やコストアップを抑制し、コアの外径を規定することで、コアの潰れを防止しつつトイレットロールの生産性を向上させた。
上記課題を解決するため、本発明のトイレットロールは、一方の面が凸部となり、対応する反対面が凹部となる凹凸を複数有する2プライのトイレットペーパーをロール状に巻き取ったトイレットロールであって、巻長が63〜105m、巻直径が100〜140mm、ロール幅114mm当たりのコアを含まないロール質量が200〜400g、ロール幅114mm当たりの前記コアの質量が3.0〜5.5g、前記コアの外径が25〜48mm、ロールの巻密度が0.13〜0.30g/cmであり、
前記コアを軸心が水平になるよう硬い台上に横に置き、前記コア外面の中央部に圧縮子(面積2.0cm )を、速度10mm/分の条件で上から押し込み、前記圧縮子が押す圧力が0.5gf/cm のときの押し込み深さをT0、圧力が250gf/cm のときの押し込み深さをTmとして、(Tm−T0)をコアの固さとしたとき、前記コアの固さが0.8〜4.0mm、かつ前記コアの見かけの坪量が230〜420g/m である。
前記凹凸の凹部の深さが0.01〜0.45mmであることが好ましい
(前記コアの固さ)/(前記ロールの巻密度)で表される比が2.8〜16.5mm/(g/cm)であることが好ましい。
前記トイレットペーパーのJIS P8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強さDMDTが2.5〜7.0N/25mmであることが好ましい。
前記トイレットペーパーのJIS P8113に基づく乾燥時の横方向の引張強さDCDTが0.7〜2.2N/25mmであることが好ましい。
前記凹凸がエンボスであることが好ましい。


この発明によれば、触感が良好であると共に、コストや生産性を損なわずにコアを潰れ難くした長尺のトイレットロールを得ることができる。
本発明の実施形態に係るトイレットロールの外観を示す斜視図である。 ロール表面及び裏面に設けられたエンボスを示す断面図である。 ロール巻取り加工機の一例を示す図である。 エンボス深さの測定方法を示す図である。 エンボス深さの測定方法を示す別の図である。 図5に続く図である。 マシンワインダーの一例を示す図である。 エンボスが流れ方向(MD方向)につながっている場合のエンボス深さの測定を示す図である。
以下に本発明の好ましい実施形態につき説明するが、これらは例示の目的で掲げたものでこれらにより本発明を限定するものではない。
図1に示すように、本発明の実施形態に係るトイレットロール10は、凹凸を複数有する2プライのトイレットペーパー10xをコア5の周りにロール状に巻き取ったトイレットロールであって、巻長(巻き取り長さ)が63〜105m、巻直径DRが100〜140mm、ロール幅114mm当たりのコア5を含まないロール質量が200〜400g、ロール幅114mm当たりのコア5の質量が3.0〜5.5g、コア5の外径が25〜48mmである。
なお、トイレットペーパー10xのロール外側の表面をロール表面(又はトイレットペーパーの表面)10aとし、ロール内側の表面をロール裏面(又はトイレットペーパーの裏面)10bとする。
トイレットロール10の巻長が63m未満であると、1ロール当りの巻長が短くなり、保管時の省スペースが図れない。ロールの巻長が105mを超えるものは、巻直径DRが大きくなり過ぎてトイレットペーパーホルダー等に収まり難くなる。
巻長は、好ましくは68〜95mm、より好ましくは73〜85mmである。
巻直径DRが100mm未満であると、巻長も63m未満に短くなる。巻直径DRが140mmを超えると、トイレットペーパーホルダー等に収まり難くなる。
巻直径DRは、好ましくは108〜135mm、より好ましくは115〜123mmである。
ロール幅Wが114mm当たりのコア(巻芯)5を含まないロール質量が200〜400gである。ここで、ロール幅Wが114mmと異なる場合は、Wを114mmに換算してロール質量を求める。例えば、ロール幅Wが105mmの場合、そのロール質量に係数(114/105)を乗じた質量を、Wが114mm当たりのロール質量とする。
上記ロール質量が200g未満であると、1ロール当りの巻長が短くなり、ロールの交換頻度が多くなる。ロール質量が400gを超えると、ロール径が大きくなってトイレットペーパーホルダーに収まり難くなる。
上記ロール質量は、好ましくは230〜350g、より好ましくは250〜330gである。
ロール幅Wが114mm当たりのコア5の質量が3.0〜5.5gである。ロール幅Wが114mmと異なる場合のコア5の質量の換算方法は上述の通りである。
上記コア5の質量が3.0g未満であると、コア5の坪量が小さく、トイレットロール(ログ)の製造時にコアが潰れ易くなる。コア5の質量が5.5gを超えると、コア5の坪量が高くなるので、コアが潰れにくくなるが、コアが固くなって、コアの生産性が低下したり、コストアップに繋がる。
上記コア5の質量は3.6〜5.0gであることが好ましく、4.1〜4.6gであることがより好ましい。
コア5の外径が25〜48mmである。コア5の外径が25mm未満であると、コアが潰れにくくなるが、トイレットロールをトイレットホルダーに装着しにくくなる。コア5の外径が48mmを超えると、トイレットロール(ログ)の製造時にコアが潰れ易くなる。
コア5の外径が35〜46mmであることが好ましく、37〜43mmであることがより好ましい。
ロールの巻密度が0.13〜0.30g/cm、好ましくは0.17〜0.28g/cm、更に好ましくは0.22〜0.26g/cmである。
ロールを固く巻きすぎる(巻密度が高過ぎる)と、固巻き(体積当たりの質量が高い)になってコアが潰れ易くなる。一方、ロールを弱く巻きすぎると、エンボスは潰れないが、巻直径が大きくなってペーパーホルダーへの装着が困難になったり、内巻の巻付け力が弱くなり過ぎ、ロールの内巻側が軸方向に飛び出して不良品が生じるおそれがある。このようなことから、ロールの巻き強さを表すための因子として、巻密度を規定した。
巻密度は、(コアを含まないロール質量)÷(ロール体積)で表される。ロール質量は、ロール幅Wが114mm当たりに換算したトイレットロール10の質量である。ロール体積は[{ロールの外径(巻直径DR)部分の断面積}−(コア外径部分の断面積)}]×ロール幅(114mmとする)で表される。例えば、ロール幅114mm当たりのロール質量が328g、巻直径118mm、コアの外径が39mmの場合、巻密度=328g÷[{3.14×(118mm÷2÷10)−3.14×(39mm÷2÷10)}×(114mm÷10)]=0.30g/cmとなる。
巻密度が0.13g/cm未満であると、巻直径DRが140mmを超えてしまい、トイレットペーパーホルダー等に収まり難くなると共に、内巻の巻付け力が弱くなり過ぎ、ロールの内巻側が軸方向に飛び出して(ロールの保形性が劣り)、不良品となるおそれがある。巻密度が0.30g/cmを超えると、固巻きになってコアが潰れ易くなる。また、シートの柔らかさが劣ったり、トイレットペーパーに設けたエンボスが潰れて、使用時に美粧性が低下するおそれがある。
<凹凸>
本発明のトイレットロール10(トイレットペーパー10x)は、凹凸を複数有する。この凹凸は、例えばエンボス加工により施すことができる。本発明ではシートが2plyであるためシングルエンボス又はダブルエンボスとなるが、シングルエンボスが好ましい。もちろん、公知のダブルハイトのエンボスロールを用いたり、シングルエンボスを複数回、施すことができる。
ダブルエンボス加工は、2プライのシートにそれぞれエンボス加工し、各シートのエンボスの凸面同士を対向させるように2プライに積層したものである。ダブルエンボスにすることで、紙厚や比容積を高くし易く、吸水性をより高くしやすい。また、ダブルエンボスにする際は、エッジエンボスや糊によって2プライにすることができるが、エッジエンボスはシートが柔らかく感じるため好ましい。
一方、シングルエンボスは、ダブルエンボスに比べて比容積を低くしやすく、長尺のトイレットロールに適する。
また、エンボスパターン(エンボスの大きさ、深さ、個数、面積率)を適宜変更することができる。
以下、凹凸としてエンボスを例に説明する。
シングルエンボスは、図3に示すように、トイレットペーパー10xの一方の面からのみ、エンボスロール151のエンボス凸部を押し当てて形成される。
図2は、トイレットロール10(トイレットペーパー10x)に設けられたシングルエンボス2を示す断面図である。なお、図2の例では、トイレットペーパー10xは2プライからなり、図2の上部がロール表面10a側に対応する。トイレットペーパー10xのエンボスロール151を押し当てた面(図2の表面)に凹部2R、裏面に凸部2Pが現れるエンボス(シングルエンボス)2が形成される。
なお、図2(a)はエンボス深さが深い場合、図2(b)はエンボス深さが浅い場合である。
この場合、エンボス処理後のトイレットペーパー10xの紙厚t2(この紙厚は、トイレットペーパー10xの表面の非エンボス部と、裏面のエンボスの凸部2Pの間の距離を反映する)が同一であっても、原紙をカレンダー処理で紙厚t1まで薄くしたシートを、エンボス深さ(凹凸の凹部の深さに相当)Dが深くなるようにエンボスを付けた図2(a)の方が、シートが柔らかく風合いに優れる。これは、エンボスの凹凸が顕著な図2(a)の方が、原紙の紙厚に対する嵩が高くなり(密度が低くなり)、変形し易くなってシートの柔らかさが向上するためと考えられる。
又、図2(a)の場合、エンボス深さDを深くするには、その分だけシート1枚当りの紙厚t1を薄くして凹凸を顕著にする必要があることから、原紙のカレンダー処理を強く行うことに起因してシートの柔らかさが向上する。
もちろん、カレンダー処理を行わず、エンボス処理を行ってもよい。この場合、エンボス深さを確保できるよう、パルプ配合や叩解条件、クレープ率等により、エンボス処理前のシートの紙厚をコントロールすることができる。
一方、トイレットペーパー10xの表面にエンボスを設けずに平滑にすると、滑らか過ぎて表面がパリパリに感じ、シートの柔らかさが劣る。なお、トイレットペーパー10xのうち、温水洗浄便座の使用時等に水が付着し易いロール外側(ロール表面10a側)に、エンボスの凹部2Rを設けると、凹部2Rは凸部より触感が良いため、シートの柔らかさが向上する。
又、トイレットペーパー(シート)10xの柔らかさを確保する手段としては、表面に凹凸を付与するものであれば、エンボスに限らず、例えば、凹凸ファブリックを用いて抄紙時にウェブに凹凸を付けてもよい。又、この場合、凹凸の凹部の深さは、エンボス深さDに相当する範囲とすると良い。
又、凹凸の凹部の深さDは、マイクロスコープを用いて測定して求める。
マイクロスコープとしては、KEYENCE社製の製品名「ワンショット3D測定マクロスコープ VR−3100」を使用することができる。マイクロスコープの画像の観察・測定・画像解析ソフトウェアとしては、製品名「VR−H1A」を使用することができる。又、測定条件は、倍率12倍、視野面積24mm×18mmの条件で測定する。なお、測定倍率と視野面積は、求めるエンボスの大きさによって、適宜変更しても良い。
まず、図4に示すように、エンボスの周縁frの最長部aを求める。図5(a)は、マイクロスコープによるX−Y平面上の高さプロファイルを示し、トイレットペーパー表面の高さが濃淡で表されることがわかる。図5(a)の濃色部位が個々のエンボス2を示し、図5(a)から1つのエンボス2の最長部aを見分けることができる。この最長部aを横切る線分A−Bを引くと、図5(b)に示すようにエンボス2の高さ(測定断面曲線)プロファイルが得られる。ここで、X−Y平面画像の色の濃淡で、エンボスの凸部(非エンボス部)と凹部がわかるので、凸部と凹部が隣接している部分を横切るように線分A−Bを決めればよい。
ここで、図5(b)の高さプロファイルは、実際のトイレットペーパーの試料表面の凹凸を表す(測定)断面曲線Sであるが、ノイズ(トイレットペーパーの表面に繊維塊があったり、繊維がヒゲ状に伸びていたり、繊維のない部分に起因した急峻なピーク)をも含んでおり、凹凸の高低差の算出に当たっては、このようなノイズピークを除去する必要がある。
そこで、図6に示すように、高さプロファイルの断面曲線Sから「輪郭曲線」Wを計算し、この輪郭曲線Wのうち、上に凸となる2つの変曲点P1,P2と、変曲点P1,P2で挟まれる最小値を求め、深さの最小値Minとする。さらに、変曲点P1,P2の深さの値の平均値を深さの最大値Maxとする。
このようにして、凹凸の凹部の深さD=最大値Max−最小値Minとする。又、変曲点P1,P2のX−Y平面上の距離(長さ)を最長部aの長さと規定する。なお、「輪郭曲線」は、断面曲線からλc:800μm(但し、λcはJIS-B0601「3.1.1.2」に記載の「粗さ成分とうねり成分との境界を定義するフィルタ」)より短波長の表面粗さの成分を低域フィルタによって除去して得られる曲線である。なお、λcを、隣接するエンボス同士のP1の間隔(これを、エンボスピッチという)以上に設定すると、ピークをノイズと認識してしまう可能性があるので、λcをエンボスピッチ未満とする。例えば、エンボスピッチが800μm以下の場合、例えばλc:250μmに設定する。隣接するエンボス同士のP1の間隔は、図6の左又は右に繋がる次のエンボスについて同様にP1,P2を求め、隣接するエンボス同士でP1、P2、P1と並ぶときの2つのP1の間隔である。
同様にして、図5(a)において最長部aに垂直な方向での最長部bについても凹凸の凹部の深さDを測定し、最長部aとbの各凹凸の凹部の深さDのうち、大きい方の値を凹凸の凹部の深さDとして採用する。以上の測定を、トイレットペーパー10xの表面10aの任意の10個のエンボス2について行い、その平均値を最終的な凹凸の凹部の深さDとして採用する。
ただし、図8に示すように、エンボス2が流れ方向(MD方向)につながっている場合、最長部aが巻長と同じになってしまい、高低差が得られず、凹部の深さDを測定できない。そこで、エンボス2が繋がる方向(MD方向)に直交する幅W方向に、エンボス2を跨ぐように線分A−Bを引き、凹部の深さDを測定することができる。
同様に、エンボス2が幅W方向(CD方向)につながっている場合、流れ方向(MD方向)に、エンボス2を跨ぐように線分A−Bを引き、凹部の深さDを測定する。
なお、凹凸の凹部の深さDを測定する際、測定面は表面10a側とする。
また、凹凸の凹部の深さDを求める際、任意の10個のエンボス(凹凸)2を選定する際には、トイレットロール10の外巻の端部(トイレットペーパーを使用し始める位置)から、トイレットロール10の巻長の10%に当たる部分(例えば、巻長が75mの場合、端部から75m×10%=7.5mの部分)において、幅方向に沿って並ぶエンボス2の中から任意の10個を選ぶ。又、幅方向Wにエンボス2が10個未満しか存在しない場合は、そのエンボス2に隣接する外巻側又は内巻側のエンボス2の群の中から不足する個数のエンボスを選べばよい。なお、測定するエンボス2がミシン目に当たる場合は、ミシン目に隣接する外巻側のエンボス2の群を対象に測定する。
凹凸の凹部の深さDは好ましくは0.01〜0.45mmであり、より好ましくは0.04〜0.40mm、更に好ましくは0.08〜0.35mmである。
深さDが上記範囲より小さいと、凹凸の度合いが小さくなって嵩が低くなり(密度が高くなり)、シートの柔らかさを向上させることが困難な場合がある。深さDが上記範囲を超えると、凹凸が顕著になり過ぎて嵩が高くなり過ぎ(密度が低くなり過ぎ)、巻直径DRが大きくなり過ぎ、ペーパーホルダーにトイレットロール10を装着し難くなる場合がある。
コア5の固さが好ましくは0.8〜4.0mm、より好ましくは1.4〜3.3mm、更に好ましくは1.8〜2.9mmである。
コアの固さが0.8mm未満であると、コアの生産性が劣ることがある。これは、コアの坪量が高い等の理由で強度が高くなり過ぎ、コア用のシートを筒状に曲げるのが難しくなるからである。コアの固さが4.0mmを超えると、トイレットロールを製造した際、コアが潰れることがある。これは、コアの坪量が低い等の理由で強度が低くなり過ぎ、潰れやすくなるからである。
コア5の固さは、圧縮試験機(カトーテック株式会社製のハンディー圧縮試験機KES−G5)を用いて、次のように測定する。まず、コア5を軸心が水平になるよう硬い台上に横に置く。次に、コア5外面の中央部に上記KES−G5の圧縮子(面積2.0cm)を、速度10mm/分の条件で上から押し込む。圧縮子がロールを押す圧力が0.5gf/cmのときの押し込み深さをT0、圧力が250gf/cmのときの押し込み深さをTmとして、(Tm−T0)をコア5の固さとする。この値が大きいと、コアが潰れやすくなることを意味する。測定は5本のコアを用いて5回行い(1本のコアで1回ずつ測定する)、測定結果を平均する。
(上記コアの固さ)/(上記ロールの巻密度)で表される比が好ましくは2.8〜16.5mm/(g/cm)、より好ましくは5.5〜13.5mm/(g/cm)、更に好ましくは8.0〜11.5mm/(g/cm)である。
巻密度が上記の範囲内であって、かつ、比が2.8mm/(g/cm)未満であると、巻密度に対するコアの固さの値が低く、コアの強度が必要以上に高くなり、コアのコストアップになることがある。
巻密度が上記の範囲内であって、かつ、比が16.5mm/(g/cm)を超えると、巻密度に対するコアの固さの値が高く、コアが潰れやすくなることがある。
コア5の見かけの質量が好ましくは230〜420g/mであり、より好ましくは270〜370g/m、更に好ましくは290〜330g/mである。コア5の見かけの質量が230g/m未満であると、トイレットロールを製造した際、コアが潰れることがある。一方、コア5の見かけの質量が420g/mを超えると、コアの強度が必要以上に高くなり、コアのコストアップになったり、コアの生産性が劣ることがある。
コアの見かけの坪量は、(コアの質量)÷(コアの外表面積)であらわされる。コアの質量及び外表面積は、ロール幅114mm当たりに換算したコアの質量及び外表面積である。例えば、ロール幅114mm当たりのコアの質量が4.7g、コアの外径が39mmの場合、コアの見かけの坪量=4.7÷{(3.14×39mm/1000)×(114mm/1000)}=337g/mとなる。ここで、コアは通常、2枚のコア原紙を接着剤等で接着して作られており、2枚のコア原紙が一部重なって厚くなっている部分もあり、単純な1枚のシートを巻いたものとは異なることから、「見かけ」の坪量とした。
シート(トイレットペーパー)10xのJIS P8113に基づく乾燥時の縦方向(MD)の引張強さDMDT(Dry Machine Direction Tensile strength)が好ましくは2.5〜7.0N/25mm、より好ましくは3.0〜5.8N/25mm、更に好ましくは3.5〜4.5N/25mmである。
DMDTは、シート(トイレットペーパー)10xのMD方向(幅Wに垂直な長手方向)を長さ250mmの長手方向とした短冊状で、幅Wを25mmとする試験片を切り出して測定する。引張試験機のつかみ具とつかみ具の間隔を100mmとし、MD方向に引張速度300mm/minの条件で引っ張って測定する。この際、つかみ具とつかみ具の間隔100mmの部位にはミシン目を含まないようにする。
トイレットペーパー10xのJIS P8113に基づく乾燥時の横方向(CD)の引張強さDCDT(Dry Cross Direction Tensile strength)が好ましくは0.7〜2.2N/25mm、より好ましくは0.8〜1.8N/25mm、更に好ましくは1.0〜1.5N/25mmである。
DCDTは、シート(トイレットペーパー)10xのCD方向(幅Wに平行な長手方向)を長さ114mm(シート幅)の長手方向とした短冊状で、幅Wを25mmとする試験片を切り出して測定する。引張試験機のつかみ具とつかみ具の間隔を100mmとし、CD方向に引張速度300mm/minの条件で引っ張って測定する。また、ロール幅(シート幅)が小さく、114mmを確保できない場合は、試験片の長さをロール幅としても良い。また、ロール幅(シート幅)が小さく、つかみ具とつかみ具の間隔100mmを確保できない場合は、この間隔を{(ロール幅)−(つかみ具でシートを保持する長さ×2)}mmとしても良い。
DMDT又はDCDTが上記値未満であると、やぶれ易くて実用に適さないことがある。DMDT又はDCDTが上記値より高いと硬くなり、シートの柔らかさが損なわれることがある。
なお、トイレットペーパーの抄紙の流れ方向を「縦方向」とし、流れ方向に直角な方向を「横方向」とする。
トイレットペーパー10xのシート1枚当りの坪量が好ましくは13.0〜19.0g/m、より好ましくは13.5〜17.0g/m、更に好ましくは14.1〜16.0g/mである。
又、シートの紙厚が好ましくは0.45〜1.20mm/10枚、より好ましくは0.55〜1.05mm/10枚、更に好ましくは0.65〜0.90mm/10枚である。
シートの坪量及び紙厚を上記範囲とすると、巻長、巻直径DRを上記範囲に調整し易くなるので好ましい。また、トイレットペーパー使用時の触感が良好になる。
シートの坪量及び紙厚を上記範囲に調整する方法としては、原紙ウェブのカレンダー条件(カレンダー処理後の紙厚及び比容積)及びエンボス条件を規定する。
トイレットペーパー10xのシート1枚当りの坪量が13.0g/m未満であるか、又は紙厚が0.45mm/10枚未満であると、強度が低下すると共に使用感(嵩高さ)も低下する場合がある。トイレットペーパー10xの1枚当りの坪量が19.0g/mを超えるか、又は紙厚が1.20mm/10枚を超えると、トイレットペーパーが厚くなり、ロールの巻直径DRが140mmを超え、トイレットペーパーホルダーに収まり難くなる場合がある。
トイレットペーパーの比容積が好ましくは3.0〜7.5cm/g、より好ましくは3.3〜6.7cm/g、さらに好ましくは3.6〜6.4cm/gである。
比容積が3.0cm/g未満であると、シートの柔らかさが乏しくなったり、バルク(嵩高さ)が低下して水分の吸収性に劣る場合がある。一方、比容積が7.5cm/gを超えると、シートのバルク(嵩高さ)は高くなるが、紙厚が高くなって巻直径が大きくなる場合がある。
図3はロール巻取り加工機150の一例を示す。原紙ロールは、カレンダー処理され、原反114(シートの紙厚t1)となる。この原反114は、ロール巻取り加工機150にセットされ、エンボスユニット(エンボスロール)151によってシングルエンボス処理された後、巻取り機構153によって上記の巻直径の幅広のトイレットペーパー原ロール10Wに巻き取られ、ログとなる。その後、この原ロール10Wをログソーにて所定幅(114mm等)に切り、トイレットロール10となる。
ロール巻取り加工機150は、大別するとサーフェイス方式とセンター方式の2種類がある。サーフェイス方式は巻取るロールを外側から別の複数の駆動ロールで支持しながら巻取る方法であり、巻取られたトイレットロール10は、巻直径のコントロールがし易く、生産速度がより高速となる。センター方式は巻取りロールの中心に通したシャフトの駆動により巻取る方法で、巻取られたトイレットロール10は、比較的柔らかな製品となり、デリケートなエンボスを施した製品に適している。本発明においては、いずれの方法でも巻き取ることができるが、好ましくはサーフェイス方式である。
なお、ロール巻取り加工機150に、図7のマシンワインダー100を組み込んだり、ロール巻取り加工機150にカレンダー101、102の両方(2スタック)または片方(1スタック)を組み込み、ロール巻取り加工機にてカレンダー処理、エンボス処理をこの順で行ってもよい。
凹凸の凹部の深さDは、エンボスロール151と対向するゴムロール(図3参照)のニップ幅を適宜調整して制御することができる。ニップ幅は、ロールの特性によっても異なるが、好ましくは20〜50mm、より好ましくは25〜45mm、さらに好ましくは30〜40mmである。ニップ幅が50mmを超えると、エンボスが強くなりすぎて表裏差が大きくなったり、紙厚が高くなってロールの巻直径DRが大きくなってしまう。一方、ニップ幅が20mm未満であると、エンボスが弱くなってシートの柔らかさが劣る場合がある。ニップ幅は、カーボン紙を用いて測定することができる。測定方法としては、まず、エンボスロールのニップを逃がし、カーボン紙と一般的なコピー用紙を重ねてセットする。次に、エンボスロールにニップをかける。その後、ニップを逃がし、カーボン紙とコピー用紙を取り外す。エンボスロールでニップがかかっていた部分のカーボン紙の色がコピー用紙に転写されるので、ニップ幅を測定することができる。
なお、エンボスロールの凹凸が深ければニップ幅を狭くし、エンボスロールの凹凸が浅ければニップ幅を広くすることで、凹凸の凹部の深さDを調整できる。
ロール巻取り加工機にて同時に、印刷、エンボス付与、ミシン目加工、テールシール、所定幅(114mm等)のカットを行うことができ、トイレットロール10を製造することができる。さらに、その後、フイルム包装加工してトイレットロールの包装体を製造することができる。
トイレットペーパーは木材パルプ100質量%から成っていてもよく、古紙パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプを含んでも良い。目標とする品質を得るためには、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)の含有率が好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜10質量%である。また、LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)の含有率が好ましくは30〜90質量%、より好ましくは40〜80質量%、さらに好ましくは50〜70質量%である。
また、ミルクカートン(牛乳パック)由来の古紙パルプの含有率が好ましくは0〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは20〜45質量%であり、クラフトパルプの含有率としては、好ましくは40〜100質量%、より好ましくは50〜90質量%、さらに好ましくは55〜80質量%である。
ミルクカートン(牛乳パック)由来の古紙パルプは、針葉樹パルプが主体であり、トイレットペーパーの強度を確保しやすいメリットがある一方、品質的バラツキが大きく、含有割合が高すぎると製品の品質に影響するので、上記の範囲の含有率にすることが好ましい。
上記LBKPの材種としてユーカリ属グランディス、及びユーカリグロビュラスに代表される、フトモモ科ユーカリ属から製造されるパルプが好ましい。
また、このNBKP、LBKP、ミルクカートン由来の古紙のパルプ100質量部に対して、新聞や雑誌古紙等由来の脱墨パルプを25質量部以下、配合することができる。なお、脱墨パルプを25質量部配合したときの、トイレットペーパー(シート)中の脱墨パルプの含有率は、25質量部/(100質量部+25質量部)×100=20質量%となる。脱墨パルプの含有率は0〜20質量%、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%以下、最も好ましくは0質量%である。脱墨パルプも古紙であるため、品質にばらつきが大きくなる。また、脱墨パルプは通常、蛍光染料を含んでおり、その含有率が20質量%を超えると蛍光染料を多く含むことになり、好ましくない。
なお、脱墨パルプが蛍光染料を含むと、トイレットペーパー(シート)のUV-in条件下での白色度の値と、UV-cut条件下での白色度の値の差Δが大きくなる。ここで、UV-inとは、CIE(国際照明委員会)が規定するC光源(紫外光を含む)をシート表面側に照射したときのISO 2470に準拠した白色度である。UV-cutとは、波長420nm以下の紫外光をカットするフィルタを介して、C光源をシート表面側に照射したときのISO 2470に準拠した白色度である。差Δ=(白色度UV-in)−(白色度UV-cut)である。
差Δは、好ましくは0.0〜2.5ポイント、より好ましくは0.0〜1.5ポイント、さらに好ましくは0.0〜1.0ポイント、最も好ましくは0.0〜0.5ポイントである。白色度は、ISO 2470に準拠して、株式会社村上色彩技術研究所社製 高速分光光度計CMS−35SPXを用いて測定できる。
なお、トイレットペーパーに適正な強度を確保するために、通常の手段で原料配合し、パルプ繊維の叩解処理にて強度調整を行うことができる。目標の品質を得るための叩解としては、市販のバージンパルプに対して、JIS-P8121で測定されるカナダ標準ろ水度で0〜200ml、より好ましくは0〜150ml、更に好ましくは10〜100ml濾水度を低減させる。
トイレットペーパーは、紙料にバージン系原料を使用する場合は一定範囲の繊維長及び繊維粗度を有する針葉樹クラフトパルプと広葉樹クラフトパルプを特定の範囲で配合して抄紙することができる。紙料への添加剤としては最終製品の要求品質に応じ、デボンダー柔軟剤を含めた柔軟剤、嵩高剤、染料、分散剤、乾燥紙力増強剤、濾水向上剤、ピッチコントロール剤、吸収性向上剤などを用いることができる。又、湿潤紙力増強剤は使用しないことが好ましい。
トイレットペーパーとして古紙原料を使用する場合も、上記バージン系の場合と同様の処理を行う。
トイレットペーパーの製造方法の詳細については後述する。
トイレットペーパーは、例えば以下のように、(1)抄紙及びクレーピング、(2)カレンダー処理、(3)エンボス処理及びロール巻取り加工、の順で製造することができる。このうち、(3)については既に説明したので省略する。
(1)抄紙及びクレーピング、
まず、公知の抄紙機のワイヤーパート上で上記紙料からウェブを抄紙し、プレスパートのフェルトへ移動させる。ワイヤーパートの方式としては、丸網式、長網(フォードリニアー)式、サクションブレスト式、短網式、ツインワイヤー式、クレセントフォーマー式などが挙げられる。
そして、ウェブに対し、サクションプレッシャーロール又はサクションなしのプレッシャーロール又はプレスロールなどで機械的に圧縮をしたり、あるいは熱風による通気乾燥などの脱水方法により脱水を続ける。また、サクションプレッシャーロール又はサクションなしのプレッシャーロールは、プレスパートからヤンキードライヤーにウェブを移動させる手段としても使用される。
ヤンキードライヤーに移動されたウェブは、ヤンキードライヤー及びヤンキードライヤーフードで乾燥された後、クレーピングドクターによりクレーピング処理され、リールパートで巻き取られる。
クレーピング(クレープと言われる波状の皺をつけること)は、紙を縦方向(抄紙機上のシート走行方向)に機械的に圧縮することである。そして、トイレットペーパーのウェブの製造の際、クレーピングドクターによりヤンキードライヤー上のウェブが剥がされ、リールパートで巻き取られるが、ヤンキードライヤーとリールパートの速度差(リールパートの速度≦ヤンキードライヤーの速度)によりクレーピングドクターにてクレープ(皺)が形成される。
トイレットペーパーに必要な品質、すなわち嵩(バルク感)、柔らかさ、吸水性、表面の滑らかさ、美観(クレープの形状)などは上記速度差で左右される。上記速度差等の条件にもよるが、クレーピング後のリール上のウェブの坪量は概略14〜21g/m2となり、クレーピング前のヤンキードライヤー上のウェブの坪量より重くなる。上記坪量は、好ましくは14〜19g/m2、より好ましくは15〜18g/m2ある。上記範囲を超えると、強度が高くなって紙がゴワゴワする場合があり、上記範囲未満であると、強度が弱くて破れやすくなる場合がある。
ここで、ヤンキードライヤーとリールのスピード差に基づくクレープ率は次式により定義される。
クレープ率(%)=100×(ヤンキードライヤー速度(m/分)−リール速度(m/分))÷リール速度(m/分)
品質や操業性の良し悪しはこのクレーピングの条件で大方決まり、クレーピング条件を最適とする操業条件が当業者にとって重要な事項となる。本発明においてトイレットペーパーを製造する際のクレープ率は好ましくは10〜50%、より好ましくは15〜40%、最も好ましくは20〜35%である。
(2)カレンダー処理
図7はマシンワインダー100の一例を示す。上述のようにクレープ後にリールパートで巻き取られたリール112がマシンワインダー100に2本セットされ、ヤンキー面が外側になるように2枚に重ね合わされてプライアップされ、原反ロール114となる。この際、プライアップ後に1スタック目のカレンダー機101、2スタック目のカレンダー機102の順で2段階でカレンダー処理される。もちろん、1スタック目のカレンダー機101と2スタック目のカレンダー機102のどちらか一方で1段階のみカレンダー処理しても良い。また、オンマシンカレンダーでカレンダー処理することも可能である。
エンボス処理前(カレンダー処理後)のトイレットペーパーの紙厚を好ましくは0.5〜1.4mm/10枚、より好ましくは0.6〜1.2mm/10枚、更に好ましくは0.6〜0.9mm/10枚とする。又、エンボス処理前(カレンダー処理後)の原反114におけるトイレットペーパーの比容積を好ましくは3.4〜6.5cm/g、より好ましくは3.7〜6.0cm/g、さらに好ましくは4.0〜5.5cm/gとする。
なお、エンボス処理前のトイレットペーパーの紙厚は、図7ではカレンダー処理後の原反114における紙厚であり、図2の紙厚t1に相当する。但し、後述するように、紙厚は測定荷重3.7kPaで測定した値であるため、図2の紙厚t1を正確に反映したものではない。
又、表1,2に示したエンボス処理後のトイレットペーパーの紙厚は図2の紙厚t2に相当するが、測定荷重3.7kPaで測定した値であるため、紙厚t2を正確に反映したものではない。
一方、凹凸の凹部の深さ(エンボス深さ)Dはエンボスを圧縮しない生成りの状態での値を測定している。従って、凹凸の凹部の深さDは紙厚t1、t2から計算される値(この値は、エンボスを測定荷重3.7kPaで圧縮した値である)よりは大幅に大きい。
各カレンダー機101、102は、それぞれ2本の金属ロールからなることが好ましいが、2本のロールのうち、1本を弾性ロールとし、ソフトカレンダー処理を行えるようにしてもよい。
カレンダーの線圧は、好ましくは3.0〜8.0kgf/cm、より好ましくは4.0〜7.0kgf/cmとすることが好ましい。線圧が上記範囲を超えると、嵩が小さくなり、柔らかさが劣ることがある。また、線厚が上記範囲未満であると、嵩が大きくなり、ロールの巻直径DRが大きくなる。また、線圧は、1スタック目より2スタック目を高くすることが好ましい。
カレンダー処理時、ドローを適宜調整することができる。プライアップ前のリール112からカレンダー処理後の原反114の間のドローは、100〜110%とすることが好ましい。
カレンダー処理後の原反114を、例えば図3のロール巻取り加工機150によってエンボス処理し、トイレットロール10を得る。なお、巻き固さ(及び巻密度)は、図3のロール巻取り加工機150において、巻取り機構153で幅広のトイレットペーパー原ロール10Wに巻き取る際、原ロール10Wを外周側から押圧してシートを順次巻くためのライダーロール154の押圧力を、所定範囲に設定することで調整できる。
本発明は上記した実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
パルプ組成の含有率が(質量%)NBKP10%、LBKP60%、ミルクカートン由来の古紙パルプ30%となるようにし、脱墨パルプは含有させず、図3、図7に示す装置により、表1〜表3に示すトイレットペーパー及びトイレットロールを製造した。
以下の評価を行った。
乾燥時の縦方向引張り強さDMDTと乾燥時の横方向引張り強さDCDT:JIS P8113に基づいて、トイレットペーパー(2プライの状態)につき、破断までの最大荷重を測定した。具体的な試験片及び測定方法は既に述べた通りである。
坪量:JIS P8124に基づいて測定し、シート1枚当たりとした。
紙厚:シックネスゲージ(尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定した。測定条件は、測定荷重3.7kPa、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取った。なお、カレンダー処理前及び後のウェブ、ロールについてはいずれも、シートを10枚重ねて測定を行った。又、測定を10回繰り返して測定結果を平均した。そして、得られた1回当りの平均値を枚数で割ってシート1枚当りの紙厚とした。
比容積:シート1枚当たりの厚さを1枚当たりの坪量で割り、単位gあたりの容積cm3で表した。
コアを含まないロールの質量及びコアの質量:電子天秤を用いて測定した。測定は、10個のロールを測定し、測定結果を平均した。
ロールの巻直径DR、コア外径DI:ムラテックKDS株式会社製ダイヤメータールールを用いて測定した。測定は、10個のロールを測定し、測定結果を平均した。
ロールの巻密度、エンボス深さD、コアの固さは上述の方法で測定した。なお、ロールの巻密度は、ロールの巻直径DRの測定に用いた10個のロールを測定し、測定結果を平均した。
巻長:ミシン目とミシン目の間のシートについて、10シート分の長さを実測した。その後、ロールのシート数を実測した。10シート分の長さとシート数から比例計算で求めた。例えば、10シート分の長さが2.275m、シート数が330シートの場合、2.275m×(330/10)=75mとなる。
官能評価は、モニター20人によって行った。評価基準は5点満点で行った。評価基準が3点以上であれば良好である。
なお、坪量、引張強さ、厚さ(紙厚)、ロールの質量及びコアの質量、比容積、巻直径DR、コア外径DI、コアの固さ、巻密度、巻長、エンボス深さの測定は、JIS-P8111に規定する温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持後に行った。
得られた結果を表1〜表3に示す。
表1〜表3から明らかなように、トイレットロールの巻長、巻直径、コアを含まないロール質量、コアの質量、ロールの巻密度及びコアの外径が所定の範囲である各実施例の場合、触感が良好であると共に1ロール当りの巻長を長くし、かつコストや生産性を損なわずにコアを潰れ難くすることができた。
さらに、シートの強度(DMDT)を2.5〜7.0N/25mmとした各実施例の場合、シートの強度(DMDT)が2.5N/25mm未満の実施例22に比べ、シートの破れにくさが優れていた。但し、実施例22も実用上問題はない。
また、シートの強度(DMDT)を2.5〜7.0N/25mmとした各実施例の場合、シートの強度(DMDT)が7.0N/25mmを超えた実施例23に比べ、シートの柔らかさが優れていた。但し、実施例23も実用上問題はない。
一方、巻長を63m未満、巻直径を100mm未満、ロール質量を200g未満とした比較例1の場合、ロールの交換頻度が多くなった。
巻長が105mを超え、巻直径が140mmを超え、ロール質量が400gを超えた比較例2の場合、ロール径が大きくなってトイレットペーパーホルダーに収まり難くなった。
コアの外径が48mmを超えた比較例6、9の場合、コアが潰れ易くなった。但し、比較例6の場合、コアの見かけの坪量が大きくて強度が高く、比較例9よりコアが潰れにくかった。
コアの固さが0.8mm未満の比較例4の場合、コアの生産性が劣った。
コアの固さが4.0mmを超えた比較例3の場合、トイレットロールを製造した際、コアが潰れた。
なお、比較例4の場合、比が2.8mm/(g/cm)未満となり、コアの見かけの坪量が420g/mを超え、コアのコストがアップした。
コアの外径が25mm未満の比較例5の場合、ロールをトイレットホルダーに装着しにくくなった。
エンボスを設けなかったこと以外は、実施例18と同じ製造条件で製造した比較例7の場合、エンボスが無いために実施例18よりシートが固くなって柔らかさに劣った。又、巻密度が0.30g/cmを超え、コアが潰れた。
エンボス深さが0.45mmを超えた比較例8の場合、嵩高くなり過ぎて巻直径が140mmを超え、ロール径が大きくなってトイレットペーパーホルダーに収まり難くなった。なお、比較例8の場合、巻密度が0.13g/cm未満であった。
なお、比較例3、6の場合、比が16.5mm/(g/cm)を超え、コアが潰れやすくなった。
なお、市販品1〜2について同様に評価したところ、巻長が105m未満であり、ロールの交換頻度が多くなった。
2 エンボス(凹凸)
10 トイレットロール
10x トイレットペーパー
D エンボス深さ(凹部の深さ)

Claims (6)

  1. 一方の面が凸部となり、対応する反対面が凹部となる凹凸を複数有する2プライのトイレットペーパーをロール状に巻き取ったトイレットロールであって、
    巻長が63〜105m、巻直径が100〜140mm、ロール幅114mm当たりのコアを含まないロール質量が200〜400g、ロール幅114mm当たりのコアの質量が3.0〜5.5g、前記コアの外径が25〜48mm、
    ロールの巻密度が0.13〜0.30g/cmであり、
    前記コアを軸心が水平になるよう硬い台上に横に置き、前記コア外面の中央部に圧縮子(面積2.0cm )を、速度10mm/分の条件で上から押し込み、前記圧縮子が押す圧力が0.5gf/cm のときの押し込み深さをT0、圧力が250gf/cm のときの押し込み深さをTmとして、(Tm−T0)をコアの固さとしたとき、前記コアの固さが0.8〜4.0mm、
    かつ前記コアの見かけの坪量が230〜420g/m であるトイレットロール。
  2. 前記凹凸の凹部の深さが0.01〜0.45mmである請求項1記載のトイレットロール。
  3. (前記コアの固さ)/(前記ロールの巻密度)で表される比が2.8〜16.5mm/(g/cm )である請求項1又は2に記載のトイレットロール。
  4. 前記トイレットペーパーのJIS P8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強さDMDTが2.5〜7.0N/25mmである請求項1〜3のいずれか一項に記載のトイレットロール。
  5. 前記トイレットペーパーのJIS P8113に基づく乾燥時の横方向の引張強さDCDTが0.7〜2.2N/25mmである請求項1〜4のいずれか一項に記載のトイレットロール。
  6. 前記凹凸がエンボスである請求項1〜5のいずれか一項に記載のトイレットロール。
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