[0005] 本発明の第1の態様によれば、メイン放射ビームを受け取るように、及び、メイン放射ビームを複数の分岐放射ビームに分割するように構成された、ビーム分割装置と、入力放射ビームを受け取るように、及び、修正済み放射ビームを出力するように配置された、放射改変デバイスとを備える、放射システムが提供され、放射改変デバイスは、受け取られた入力放射ビームと比較した場合、エタンデュが増加した出力修正済み放射ビームを提供するように構成され、放射改変デバイスは、放射改変デバイスによって受け取られる入力放射ビームがメイン放射ビームであるように配置され、放射改変デバイスは、修正済みメイン放射ビームをビーム分割装置に提供するように構成され、又は、放射改変デバイスは、放射改変デバイスによって受け取られる入力放射ビームがビーム分割装置から出力される分岐放射ビームであるように、配置される。
[0006] 放射改変デバイスは光ディフューザとしての役割を果たすことができ、入力放射ビームを拡散することができる。放射改変デバイスは、ビーム分割装置のアップストリーム又はダウンストリームに位置決めすることができる。すなわち放射改変デバイスは、メイン放射ビームをビーム分割装置に提供する前に放射ビームを改変することができるか、又は、放射改変デバイスは、ビーム分割装置で形成される分岐放射ビームを改変することができる。いくつかの実施形態は、2つ以上の放射改変デバイスを含むことができる。例えば、第1の放射改変デバイスは、放射ビームをビーム分割装置に提供する前に放射ビームを改変するように配置することができ、第2の放射改変デバイスは、ビーム分割装置で形成される分岐放射ビームを改変するように配置することができる。いくつかの実施形態は、各分岐放射ビームについて放射改変デバイスを含むことができる。
[0007] 放射改変デバイスは、放射改変デバイスから出力される修正済み放射ビームが、放射改変デバイスによって受け取られる入力放射ビームのエタンデュより少なくとも10倍大きいエタンデュを有するように、放射ビームのエタンデュを増加させるように構成可能である。
[0008] 放射改変デバイスは、放射改変デバイスから出力される修正済み放射ビームが、放射改変デバイスによって受け取られる入力放射ビームのエタンデュより少なくとも1×104倍大きいエタンデュを有するように、EUV放射ビームのエタンデュを増加させるように構成可能である。
[0009] ビーム分割装置は複数の反射ファセットを備えることができ、各反射ファセットは、メイン放射ビームの一部を受け取るように、及び、分岐放射ビームを形成するためにメイン放射ビームの一部を反射するように配置される。
[0010] 放射改変デバイスは、受け取られた入力放射ビームと比較した場合、出力修正済み放射ビームの強度プロファイルの空間的均一性を増加させるように構成可能である。
[0011] 放射システムは、遠視野面内に出力修正済み放射ビームのイメージを形成するように構成された1つ以上の集束光学系を更に備えることができる。
[0012] 放射改変デバイスは、放射改変デバイスによって受け取られる入力放射ビームがビーム分割装置から出力される分岐放射ビームであるように配置することができ、1つ以上の集束光学系は、リソグラフィ装置内部に位置する遠視野面内に出力修正済みメイン放射ビームのイメージを形成するように構成される。
[0013] 放射改変デバイスは、放射改変デバイスによって受け取られる入力放射ビームがメイン放射ビームであるように配置され、放射改変デバイスは、修正済みメイン放射ビームをビーム分割装置に提供するように構成され、1つ以上の集束光学系は、ビーム分割装置又はその近くに位置する遠視野面内に出力修正済みメイン放射ビームのイメージを形成するように構成される。
[0014] 放射改変デバイスは、入力放射ビームを受け取るように配置された第1の開口及び修正済み放射ビームを出力するように配置された第2の開口を有する、チューブを備えることができ、チューブは実質的に反射性の内部表面によって画定され、内部表面は、第1の開口を介してチューブに入る放射ビームを内部表面で複数回連続して反射し、それによって、修正済み放射ビームが第2の開口を介してチューブを出る前に放射ビームを修正するように、配置される。
[0015] 放射改変デバイスは、複数の反射ファセットから反射される複数のサブビームを形成するために、入力放射ビームの一部を受け取って反射するように各々が配置された、複数の反射ファセットを備えることができ、複数の反射ファセットは、出力修正済み放射ビームを形成するためにサブビームを誘導するように配置される。
[0016] 放射改変デバイスは、第1の粗反射表面を備える第1の拡散要素と、第2の粗反射表面を備える第2の拡散要素と、第1及び/又は第2の粗反射表面を移動させるために第1及び/又は第2の拡散要素を移動するように構成された1つ以上のアクチュエータとを備えることができ、第1の粗反射表面は、入力放射ビームを受け取るように、及び第2の粗反射表面上に入射させるために放射ビームを反射するように構成され、第2の粗反射表面は、出力修正済み放射ビームを形成するために、第1の粗反射表面から受け取った放射ビームを反射するように配置される。
[0017] 放射改変デバイスは、入力放射ビームを受け取って反射するように配置された連続的に起伏する反射表面を備えることができ、連続的に起伏する反射表面の形状は実質的周期パターンに従う。
[0018] 放射システムは、EUV放射を発するように構成された放射源を更に備えることができ、メイン放射ビームは、放射源によって発せられるEUV放射の少なくとも一部を備える。
[0019] 放射源は、少なくとも1つの自由電子レーザを備えることができる。
[0020] 放射システムは、メイン放射ビームをビーム分割装置に提供する前に、メイン放射ビームの断面を拡張するように構成されたビーム拡張光学系を、更に備えることができる。
[0021] 放射システムは、分岐放射ビームのうちの少なくとも1つをそれぞれのリソグラフィ装置に誘導するように構成された誘導光学系を、更に備えることができる。
[0021] 放射システムは、複数の放射改変デバイスを備えることができ、複数の放射改変デバイスの各々は、放射改変デバイスの各々によって受け取られる入力放射ビームがビーム分割装置から出力される分岐放射ビームのうちの1つであるように配置される。
[0022] 本発明の第2の態様によれば、EUV放射を発するように構成された放射源と、EUV放射ビームを受け取るように配置された第1の開口及びEUV放射ビームを出力するように配置された第2の開口を有する、チューブを備える放射改変デバイスと、を備える、放射システムが提供され、放射改変デバイスに入るEUV放射ビームは、放射源によって発せられるEUV放射の少なくとも一部を備え、チューブは実質的にEUV放射に対して反射性の内部表面によって画定され、内部表面は、第1の開口を介してチューブに入るEUV放射ビームを内部表面で複数回連続して反射し、それによって、EUV放射ビームが第2の開口を介してチューブを出る前にEUV放射ビームを修正するように、配置される。
[0023] 放射改変デバイスは、有利にはEUV放射ビームを改変する。放射改変デバイスから出力されるEUV放射ビームは、例えば、リソグラフィ装置に提供することができる。放射改変デバイスは、放射改変デバイスから出力される放射ビームがリソグラフィ装置に提供される時に有利な効果を与えるように、EUV放射ビームを修正することができる。代替として、放射改変デバイスから出力されるEUV放射ビームを、EUV放射ビームを複数の分岐放射ビームに分割するように構成されるビーム分割装置に提供することができる。
[0024] チューブは曲がりを含むことができる。
[0025] 曲がりは、有利には、EUV放射がチューブの内部表面に入射するかすめ角の範囲を増加させることができる。曲がりは、段付き曲がり、又はチューブがカーブするような連続曲がりとすることができる。
[0026] チューブ内の曲がりの曲がり角は、約5度未満であり得る。
[0027] 内部表面でEUV放射の反射中に吸収される放射の量は、EUV放射が内部表面に入射するかすめ角の増加と共に増加し得る。曲がり角を約5度未満に制約することで、有利には、EUV放射が内部表面に入射するかすめ角を制限することができ、したがって、内部表面でEUV放射の反射中に吸収される放射の量を制限することができる。
[0028] チューブの曲がりは、放射改変デバイスを介した直接の見通し線が存在しないように構成可能である。
[0029] チューブの内部表面の断面形状は多角形とすることができる。
[0030] チューブの内部表面の断面形状は矩形とすることができる。
[0031] チューブの内部表面の断面形状は正方形とすることができる。
[0032] チューブの内部表面の断面形状は六角形とすることができる。
[0033] チューブは、第1のセクションと、第1のセクションからEUV放射を受け取るように配置された第2のセクションとを備えることができ、第1及び第2のセクションは、チューブにガスが入るか又は出る時に通過することができる第1と第2のセクション間のギャップを形成するように配置される。
[0034]チューブに出入りするガスは、有利には、チューブの内部表面からゴミを取り除く働きをすることができる。
[0035] 第1及び第2のセクションは、第1の開口を介してチューブに入るEUV放射がギャップを介してチューブを出ないように配置することができる。
[0036] 放射がギャップを介してチューブを出るのを防止することで、ギャップを介したEUV放射ビームからの放射損失を防止することができる。
[0037] 放射システムは、ギャップを介してチューブ内にガスを注入するように構成されたガス供給を更に備えることができる。
[0038] ガス供給は、ギャップを介してチューブ内に水素を注入するように構成可能である。
[0039] 放射システムは、チューブが振動運動を受けるためにチューブを作動させるように動作可能なアクチュエータを、更に備えることができる。
[0040] チューブが振動運動を受けることは、有利には、放射改変デバイスから出力される放射に時間的スクランブリングを生じさせる。
[0041] アクチュエータは、チューブが約1kHzより大きい周波数を有する振動運動を受けるためにチューブを作動させるように動作可能であり得る。
[0042] 放射システムは、放射源から発せられるEUV放射を受け取るように、及び、放射源によって発せられるEUV放射の少なくとも一部から形成されるEUV放射ビームを、放射改変デバイスの第1の開口を介して放射改変デバイスに入るように誘導するように配置された、1つ以上の光学要素を更に備えることができる。
[0043] 1つ以上の光学要素は、放射改変デバイスに入るEUV放射ビームが非ゼロの発散度を有するように、EUV放射ビームの発散度を改変するように構成された、少なくとも1つの集束光学系を含むことができる。
[0044]EUV放射ビームが非ゼロの発散度を有する放射改変デバイスに入るようにEUV放射ビームの発散度を改変することで、EUV放射のうちの少なくともいくつかが放射改変デバイスの内部表面に入射し、内部表面で反射を受けることが保証される。EUV放射ビームは、EUV放射が内部表面に向かって発散するように、正の発散度を有する放射改変デバイスに入ることができる。代替として、EUV放射ビームは、放射ビームが放射改変デバイスの内側に位置する焦点に集束するように、負の発散度を有する放射改変デバイスに入ることができる。次いでEUV放射ビームは、EUV放射が内部表面に向かって発散するように、焦点の後に正の発散度を有することができる。
[0045] 放射改変デバイスは、第1と第2の開口間に長さLを有することができ、第2の開口は直径Dを有することができ、少なくとも1つの集束光学系は、EUV放射ビームが半発散度θを伴って放射改変デバイスに提供されるように、EUV放射ビームの発散度を改変するように構成可能である。放射改変デバイス及び少なくとも1つの集束光学系は、θL/Dが約10より大きいか又は等しいように構成可能である。
[0046] θL/Dが約10より大きいか又は等しいように、放射改変デバイス及び少なくとも1つの集束光学系を構成することで、有利には、EUV放射ビームの空間強度プロファイルの均一性が、リソグラフィ装置内で修正済みEUV放射ビームを使用するために望ましい量だけ増加することを保証することができる。
[0047] EUV放射ビームの半発散度は、約100ミリラジアン未満とすることができる。
[0048] EUV放射ビームの半発散度は、約10ミリラジアン未満とすることができる。
[0049] 少なくとも1つの集束光学系は、EUV放射ビームが正の発散度を伴って放射改変デバイスに提供されるように、EUV放射ビームを焦点に集束させるように構成可能である。
[0050] チューブは、チューブの断面中心に沿って延在し、第1及び第2の開口を介してチューブの内部及び外部へと延在する、光軸を画定することができる。少なくとも1つの集束光学系は、光軸上に存在しない焦点にEUV放射ビームを集束させるように構成可能である。
[0051] 光軸上に存在しない焦点にEUV放射ビームを集束させることは、有利には、EUV放射が内部表面に入射するかすめ角の範囲を増加させることができる。
[0052] 焦点から光軸が第1の開口を通過する光軸上の位置まで延在する線は、光軸と軸外角を形成することができる。軸外角は、EUV放射ビームの半発散度とほぼ同じか又は半発散度よりも大きいものとすることができる。
[0053] 放射改変デバイスは、放射改変デバイスの第2の開口を介して放射改変デバイスを出るEUV放射ビームが、放射改変デバイスの第1の開口に入るEUV放射ビームのエタンデュよりも大きいエタンデュを有するように、EUV放射ビームのエタンデュを増加させるように構成可能である。
[0054] 放射改変デバイスは、放射改変デバイスの第2の開口を介して放射改変デバイスを出るEUV放射ビームが、放射改変デバイスの第1の開口に入るEUV放射ビームのエタンデュよりも少なくとも10倍大きいエタンデュを有するように、EUV放射ビームのエタンデュを増加させるように構成可能である。
[0055] 放射改変デバイスは、放射改変デバイスの第2の開口を介して放射改変デバイスを出るEUV放射ビームが、放射改変デバイスの第1の開口に入るEUV放射ビームのエタンデュよりも少なくとも1×104倍大きいエタンデュを有するように、EUV放射ビームのエタンデュを増加させるように構成可能である。
[0056] 放射改変デバイスは、放射改変デバイスの第1の開口のダウンストリームに位置する第1の面から、放射改変デバイスの第2の開口のアップストリームに位置する第2の面へ、EUV放射ビームを形成する光線のマッピングを提供するように構成可能であり、マッピングは、第1の面と第2の面との間の光線の断面位置を実質的にスクランブルする働きをする。
[0057] 放射改変デバイスは、EUV放射ビームの空間コヒーレンスを減少させるように構成可能である。
[0058] EUV放射ビームの空間コヒーレンスを減少させることで、有利には、EUV放射ビーム内に干渉パターン(例えば、スペックルパターン)が形成されるのを防ぐことができる。
[0059] 少なくとも1つの集束光学系及び放射改変デバイスは、EUV放射ビームの異なる部分が異なるパス長を有する放射改変デバイスを介する光路に沿って伝搬するように構成可能であり、EUV放射ビームの異なる部分がそれに沿って伝搬する異なるパス長の範囲は、EUV放射ビームのコヒーレンス長よりも大きい。
[0060] 放射改変デバイスは、EUV放射ビームの強度プロファイルの空間均一性を増加させるように構成可能であるため、第2の開口を介して放射改変デバイスを出るEUV放射ビームは、放射改変デバイスの第1の開口から入るEUV放射ビームの空間強度プロファイルよりも均一な空間強度分布を有することになる。
[0061] 放射システムは、放射改変デバイスの第2の開口を出るEUV放射ビームを受け取るように、及びEUV放射ビームを複数の分岐放射ビームに分割するように構成された、ビーム分割装置を更に備えることができる。
[0062] ビーム分割装置は、放射改変デバイスの第2の開口を出るEUV放射ビームの断面の異なる部分を受け取るように、及び断面の異なる部分を異なる方向に反射するように配置された、複数の反射ファセットを備えることができる。
[0063] 放射システムは、放射改変デバイスの第2の開口からビーム分割装置上へと出る放射ビームを拡大するように構成された、少なくとも1つの集束光学系を更に備えることが可能であり、拡大は、ビーム分割装置に入射する放射ビームの発散度が、放射改変デバイスの第2の開口から出力される放射ビームの発散度よりも小さいものである。
[0064] 放射源は、EUV放射を発するように動作可能な少なくとも1つの自由電子レーザを備えることができる。
[0065] 放射源は、第1の自由電子レーザと、第2の自由電子レーザと、結合放射ビームを形成するために第1の自由電子レーザから発せられるEUV放射を第2の自由電子レーザから発せられるEUV放射と組み合わせるように構成されたビーム結合装置とを、備えることが可能であり、結合放射ビームは、第1の自由電子レーザから発せられる放射から形成される第1の部分、及び第2の自由電子レーザから発せられる放射から形成される第2の部分を含む、断面を有する。
[0066] 放射改変デバイスは、結合放射ビームを受け取るように、及び、スクランブルされた結合放射ビームを形成するために結合放射ビームを空間的にスクランブルするように構成可能であり、空間的スクランブリングとは、空間的にスクランブルされた結合放射ビームが、第1の自由電子レーザから発せられる放射と第2の自由電子レーザから発せられる放射との間のオーバーラップを含むものである。
[0067] 空間的スクランブリングは、第1及び第2の自由電子レーザのうちの1つ以上によって発せられる放射のパワーにおける変動が、放射改変デバイスを出るスクランブルされた結合放射ビームにおけるパワーの空間的分布に、実質的な変動を発生させないものであり得る。
[0068] 放射システムは、メイン放射ビームを受け取るように構成されたビーム分割装置を更に備えることが可能であり、メイン放射ビームは放射源から発せられるEUV放射の少なくとも一部を備え、ビーム分割装置は、メイン放射ビームの断面の異なる部分を受け取るように、及び、複数の分岐放射ビームを形成するために断面の異なる部分を異なる方向に反射するように配置された、複数の反射ファセットを備える。放射改変デバイスは、放射改変デバイスの第1の開口を介して分岐放射ビームのうちの1つを受け取るように配置可能である。
[0069] 反射ファセットは、メイン放射ビームの断面の異なるセクタを受け取るように、及び、メイン放射ビームを複数の分岐放射ビームに分割するために異なるセクタを異なる方向に反射するように、配置可能である。
[0070] 放射システムは、放射改変デバイスを出るEUV放射ビームを中間焦点に集束させるように構成された、少なくとも1つの集束光学系を更に備えることができる。
[0071] 少なくとも1つの集束光学系は、中間焦点のダウンストリームに配設された遠視野面上に、放射改変デバイスの第2の開口のイメージを形成するために、EUV放射ビームを集束させるように構成可能である。
[0072] 少なくとも1つの集束光学系は、イメージ面に放射改変デバイスの第2の開口のイメージを形成するように構成された第1の集束光学系と、遠視野面上にイメージ面のイメージを形成するように構成された第2の集束光学系とを、備えることができる。
[0073] 第1の集束光学系は、正の集束パワーを有することができる。
[0074] 第2の集束光学系は、正の集束パワーを有することができる。
[0075] 第1の集束光学系及び/又は第2の集束光学系は、第1の反射要素及び第2の反射要素を備えることができる。
[0076] 第1の集束光学系及び/又は第2の集束光学系は、Wolter望遠鏡を備えることができる。
[0077] Wolter望遠鏡は、III型のWolter望遠鏡を備えることができる。
[0078] 本発明の第3の態様によれば、EUV放射を発するように構成された放射源と、放射源によって発せられるEUV放射の少なくとも一部を備えるEUV放射ビームを受け取るように配置された放射改変デバイスとを備える、放射システムが提供され、放射改変デバイスは、複数の反射ファセットから反射される複数のサブビームを形成するために、各々がEUV放射ビームの一部を受け取って反射するように配置された複数の反射ファセットを備え、複数の反射ファセットは、修正済みEUV放射ビームを形成するためにサブビームを誘導するように配置され、放射改変デバイスは、修正済み放射ビームを少なくとも1つのリソグラフィ装置に提供するように構成される。
[0079] 放射改変デバイスは、有利にはEUV放射ビームを修正する。放射改変デバイスから出力されるEUV放射ビームは、例えばリソグラフィ装置に提供可能である。放射改変デバイスは、放射改変デバイスから出力される放射ビームがリソグラフィ装置に提供される時に有利な効果を与えるように、EUV放射ビームを修正することができる。代替として、放射改変デバイスから出力されるEUV放射ビームを、EUV放射ビームを複数の分岐放射ビームに分割するように構成されるビーム分割装置に提供することができる。
[0080] 放射改変によって形成される修正済みEUV放射ビームは、複数の点光源から発せられる放射と等価であり得る。遠視野ロケーションから見た時、修正済みEUV放射ビームは平面高エタンデュ光源から発せられる放射と等価であり得る。修正済みEUV放射ビームは、有利には、放射改変デバイスに入射するEUV放射ビームのエタンデュよりも高いエタンデュを有する。放射改変デバイスは、EUV放射ビームの空間強度プロファイルの均一性を増加させる働きもする。すなわち、遠視野ロケーションにおける修正済みEUV放射ビームの空間強度プロファイルは、放射改変デバイスに入射するEUV放射ビームの空間強度プロファイルよりも均一である。
[0081] 反射ファセットは、サブビームを集束させるように構成可能である。
[0082] 反射ファセットは、凹形反射表面を備えることができる。
[0083] 複数の反射ファセットは、サブビームを複数の焦点に集束させるように配置可能である。
[0084] 複数の焦点は、焦点面内に存在可能である。
[0085] 複数の反射ファセットは、全般的に平面内に存在可能であり、焦点面は、反射ファセットが全般的に存在する平面と実質的に平行であり得る。
[0086] 各サブビームは光軸を有することができ、焦点面はサブビームの光軸に対して実質的に垂直であり得る。
[0087] 焦点は、焦点面内に実質的に均等な間隔を置いて配置することができる。
[0088] 反射ファセットの各々は、放射改変デバイスの長さよりも長い焦点長を有することができる。
[0089] 反射ファセットの各々は、一般に矩形の断面を有することができる。
[0090] 反射ファセットの各々は、一般に六角形の断面を有することができる。
[0091] 反射ファセットは、ハニカム格子状に配置可能である。
[0092] 反射ファセットは、サブビームが遠視野面内で互いにオーバーラップするように、サブビームを誘導するように構成可能である。
[0093] 反射ファセットは、サブビームが遠視野面内の実質的に同じエリアを照明するようにサブビームを誘導するように構成可能である。
[0094] 反射ファセットは凹面形状を有することができる。
[0095] 反射ファセットは凸面形状を有することができる。
[0096] 放射改変デバイスは、16又はそれ以上の反射ファセットを備えることができる。
[0097] 放射改変デバイスは、64又はそれ以上の反射ファセットを備えることができる。
[0098] 放射システムは、EUV放射ビームを受け取るように、及びEUV放射ビームを複数の分岐放射ビームに分割するように構成された、ビーム分割装置を更に備えることができる。
[0099] ビーム分割装置は、放射源から発せられるEUV放射を複数の分岐放射ビームに分割するように構成可能であり、放射改変デバイスは、分岐放射ビームを受け取って修正するように構成可能である。
[00100] 放射改変デバイスは、放射源から発せられる放射を受け取って修正するように、並びに修正済みEUV放射ビームをビーム分割装置に提供するように、配置可能である。
[00101] 放射システムは、放射源からEUV放射ビームを受け取るように、放射ビームの断面を拡張するように、及び拡張された放射ビームを放射改変デバイスに提供するように構成された、ビーム拡張光学系を更に備えることができる。
[00102] 放射システムは誘導光学系を更に備えることが可能であり、誘導光学系は、ビーム分割装置から分岐放射ビームを受け取るように、及び分岐放射ビームをリソグラフィ装置に誘導するように構成される。
[00103] 本発明の第4の態様によれば、第1の粗反射表面を備える第1の拡散要素と、第2の粗反射表面を備える第2の拡散要素と、第1及び/又は第2の粗反射表面を移動させるために第1及び/又は第2の拡散要素を移動するように構成された1つ以上のアクチュエータとを備える、放射改変デバイスが提供され、第1の粗反射表面は、放射ビームを受け取るように、及び第2の粗反射表面上に入射させるために放射ビームを反射するように構成され、第2の粗反射表面は、修正済み放射ビームを形成するために、第1の粗反射表面から受け取った放射ビームを反射するように配置される。
[00104] 1つ以上のアクチュエータは、第1及び/又は第2の粗反射表面を回転させるために、第1及び/又は第2の拡散要素を回転するように構成可能である。
[00105] 1つ以上のアクチュエータは、第1及び/又は第2の粗反射表面を、毎秒約1メートル又はそれ以上の速度で移動させるように構成可能である。
[00106] 第2の粗反射表面は、第1の粗反射表面に対して実質的に垂直に配置することができる。
[00107] 第1及び/又は第2の粗反射表面は、約5度又はそれより小さいかすめ入射角で放射を受け取るように配置可能である。
[00108] 第1及び/又は第2の粗反射表面は、粗反射表面を平坦面から逸脱させる凹みを含むことができる。
[00109] 第1及び第2の粗反射表面と平坦面とが形成する最大角度は、約10ミリラジアンより小さいか又は等しいものとすることができる。
[00110] 第1及び/又は第2の粗反射表面は、各々、放射ビーム内に角度広がりを導入する働きをすることができる。
[00111] 本発明の第5の態様によれば、連続的に起伏する反射表面を備える放射改変デバイスが提供され、連続的に起伏する反射表面の形状は実質的周期パターンに従う。
[00112] 連続的に起伏する反射表面の形状は、2つの垂直方向の実質的周期パターンに従うことができる。
[00113] 周期的に起伏する反射表面の単位セルは、実質的凸面形状を有する第1の部分と、実質的凹面形状を有する第2の部分と、実質的サドル形状を有する第3の部分と、実質的サドル形状を有する第4の部分とを備えることができる。
[00114] 単位セルは、第1の方向の周期パターンの単一期間と、第1の方向に垂直な第2の方向の周期パターンの単一期間とを備えることができる。
[00115] 反射表面は、第1、第2、第3、及び第4の部分のうちの少なくとも1つにおいて、反射表面の湾曲がそれぞれの部分全体を通じて実質的に同じであるように形状化することができる。
[00116] 反射表面は、第1、第2、第3、及び第4の部分のうちの少なくとも1つにおいて、反射表面の湾曲がそれぞれの部分における異なる位置で異なるように形状化することができる。
[00117] 反射表面は、放射ビームを受け取るように、及び修正済み放射ビームを形成するために放射ビームを反射するように構成可能であり、反射表面は、修正済み放射ビームが遠視野面内に強度分布を有するように形状化され、強度分布は強度最大値を備え、強度分布は強度最大値からの半径方向距離の増加に伴って減少する。
[00118] 本発明の第6の態様によれば、EUV放射を発するように構成された放射源と、放射源から発せられるEUV放射の少なくとも一部を備える放射ビームを受け取るように構成された、第5又は第6の態様に従った放射改変デバイスとを備える、放射システムが提供される。
[00119] 本発明の第7の態様によれば、放射源と、第1の放射改変デバイスと、ビーム分割装置と、第2の放射改変デバイスとを備える、放射システムが提供され、放射源はEUV放射を発するように構成され、第1の放射改変デバイスは、メイン放射ビームを受け取るように、及び修正済み放射ビームを出力するように構成され、メイン放射ビームは放射源から発せられるEUV放射の少なくとも一部を備え、ビーム分割装置は、メイン放射ビームの断面の異なる部分を受け取るように、及び、複数の分岐放射ビームを形成するために断面の異なる部分を異なる方向に反射するように配置された、複数の反射ファセットを備え、第2の放射改変デバイスは、分岐放射ビームを受け取るように、及び修正済み分岐放射ビームを出力するように構成され、第1及び第2の放射改変デバイスは、各々、EUV放射を受け取るように配置された第1の開口と、EUV放射を出力するように配置された第2の開口とを有するチューブであって、チューブはEUV放射に対して実質的に反射性の内部表面によって画定され、内部表面は、第1の開口を介してチューブに入るEUV放射を内部表面で複数回連続して反射し、それによってEUV放射が第2の開口を介してチューブを出る前にEUV放射を修正する、チューブを備えるか、或いは、複数の反射ファセットから反射される複数のサブビームを形成するために、EUV放射の一部を受け取って反射するように各々が配置された複数の反射ファセットであって、修正済みEUV放射を形成するためにサブビームを誘導するように配置された、複数の反射ファセットを備えるか、或いは、第1の粗反射表面を備える第1の拡散要素と、第2の粗反射表面を備える第2の拡散要素と、第1及び/又は第2の粗反射表面を移動させるために第1及び/又は第2の拡散要素を移動するように構成された1つ以上のアクチュエータとを備え、第1の粗反射表面は、EUV放射ビームを受け取るように、及び第2の粗反射表面上に入射させるためにEUV放射ビームを反射するように構成され、第2の粗反射表面は、修正済み放射ビームを形成するために、第1の粗反射表面から受け取ったEUV放射ビームを反射するように配置される。
[00120] 第1及び/又は第2の放射改変デバイスは、他の態様のうちのいずれかに従った放射改変デバイスの特徴のうちのいずれかを含むことができる。
[00121] 本発明の第8の態様によれば、第1から第3の態様のうちのいずれか或いは第6又は第7の態様に従った放射システムと、放射改変デバイスを出るEUV放射ビームの少なくとも一部を受け取るように配置されたリソグラフィ装置とを備える、リソグラフィシステムが提供される。
[00122] リソグラフィ装置は、放射改変デバイスを出るEUV放射ビームの少なくとも一部を条件付けるように構成された照明システムを含むことができ、照明システムはファセットミラーを含む。放射システムは、放射改変デバイスから出力された放射ビームのイメージをファセットミラー上に形成するために、リソグラフィ装置に提供されるEUV放射ビームを集束させるように構成された、少なくとも1つの集束光学系を備えることができ、ファセットミラーは複数の反射ファセットを備える。
[00123] 本発明の第9の態様によれば、第1から第3の態様のうちのいずれか或いは第5又は第6の態様に従った放射システム内、又は、第8の態様に従ったリソグラフィシステム内での使用に好適な、放射改変デバイスが提供される。
[00124] 本発明の第10の態様によれば、メイン放射ビームを受け取るために好適なビーム分割装置が提供され、ビーム分割装置は複数の反射ファセットを備え、反射ファセットは、メイン放射ビームの断面の異なるセクタを受け取るように、及び、メイン放射ビームを複数の分岐放射ビームに分割するために異なるセクタを異なる方向に反射するように配置される。
[00125] ビーム分割装置は、結合分岐放射ビームを形成するために、メイン放射ビームの半径方向に対向するセクタに対応する分岐放射ビームを組み合わせるように構成された、1つ以上の光学要素を更に備えることができる。
[00126] ビーム分割装置は、メイン放射ビームを受け取るように、及び、放射の環状リングを形成するためにメイン放射ビームを拡張するように構成された、1つ以上の集束光学系を更に備えることが可能であり、反射ファセットは放射の環状リングの異なるセクタを受け取るように配置される。
[00127] 本発明の第11の態様によれば、メイン放射ビームを受け取るために好適なビーム分割装置が提供され、ビーム分割装置は反射ファセットの複数グループを備え、反射ファセットの各グループは、メイン放射ビームの異なる部分を受け取るように、及び、異なる反射された部分の組み合わせを備える分岐放射ビームを形成するために異なる受け取った部分を反射するように配置された、反射ファセットを備え、反射ファセットの複数グループは、それによって各々異なる分岐放射ビームを形成する。
[00128] ビーム分割装置は、実質的にビーム軸に沿って伝搬するメイン放射ビームを受け取るように構成可能であり、反射ファセットのグループを形成する反射ファセットは、ビーム軸に沿って実質的に同じロケーションに位置する。
[00129] 反射ファセットのグループは、ビーム軸に沿って実質的に同じロケーションに位置することができる。
[00130] 反射ファセットの異なるグループからの反射ファセットは、互いに隣接して配置することができる。
[00131] 隣接する反射ファセットは、互いに接触可能である。
[00132] ビーム分割装置は、実質的にビーム軸に沿って伝搬するメイン放射ビームを受け取るように構成可能であり、反射ファセットのグループを形成する複数の反射ファセットは、ビーム軸に対して実質的に垂直な方向に互いに分離される。
[00133] 反射ファセットのグループのうちの各反射ファセットは、実質的に同じ配向を有する反射表面を備えることができる。
[00134] 反射ファセットの複数のグループは、反射ファセットの第1のグループ及び反射ファセットの第2のグループを備えることが可能であり、反射ファセットの第2のグループの配置は、反射ファセットの第1のグループの回転と実質的に同じである。
[00135] 反射ファセットの各グループは、反射ファセットの別のグループを形成する反射ファセットの配置の回転と実質的に同じである反射ファセットの配置を備えることが可能である。
[00136] ビーム分割装置は、実質的にビーム軸に沿って伝搬するメイン放射ビームを受け取るように構成可能であり、回転は実質的にビーム軸周囲の回転である。
[00137] 本発明の第12の態様によれば、第7の態様に従ったビーム分割装置と、ビーム分割装置によって形成される分岐放射ビームを受け取るように構成された放射改変デバイスとを備える、光学システムが提供され、放射改変デバイスは、分岐放射ビームを受け取るように配置された第1の開口と、分岐放射ビームを出力するように配置された第2の開口とを有するチューブであって、チューブは実質的に反射性の内部表面によって画定され、内部表面は、第1の開口を介してチューブに入る分岐放射ビームを内部表面で複数回連続して反射し、それによって分岐放射ビームが第2の開口を介してチューブを出る前に分岐放射ビームを修正する、チューブを備えるか、或いは、複数の反射ファセットから反射される複数のサブビームを形成するために、分岐放射ビームの一部を受け取って反射するように各々が配置された複数の反射ファセットであって、修正済み分岐放射ビームを形成するためにサブビームを誘導するように配置された、複数の反射ファセットを備えるか、或いは、第1の粗反射表面を備える第1の拡散要素と、第2の粗反射表面を備える第2の拡散要素と、第1及び/又は第2の粗反射表面を移動させるために第1及び/又は第2の拡散要素を移動するように構成された1つ以上のアクチュエータと、を備え、第1の粗反射表面は、EUV放射ビームを受け取るように、及び第2の粗反射表面上に入射させるためにEUV放射ビームを反射するように構成され、第2の粗反射表面は、修正済み放射ビームを形成するために、第1の粗反射表面から受け取ったEUV放射ビームを反射するように配置される。
[00138] 本発明の第13の態様によれば、EUV放射ビームを修正する方法が提供され、方法は、放射源からEUV放射を発すること、放射源から発せられるEUV放射の少なくとも一部を備えるEUV放射ビームを形成すること、放射改変デバイスに入るようにEUV放射ビームを誘導することを備え、放射改変デバイスは、EUV放射ビームを受け取るように配置された第1の開口と、EUV放射ビームを出力するように配置された第2の開口とを有するチューブを備え、チューブはEUV放射に対して実質的に反射性の内部表面によって画定され、内部表面は、第1の開口を介してチューブに入るEUV放射ビームを内部表面で複数回連続して反射し、それによってEUV放射ビームが第2の開口を介してチューブを出る前にEUV放射ビームを修正する。
[00139] 本発明の第14の態様によれば、EUV放射ビームを修正する方法が提供され、方法は、放射源からEUV放射を発すること、放射源から発せられるEUV放射の少なくとも一部を備えるEUV放射ビームを形成すること、放射改変デバイス上に入射するようにEUV放射ビームを誘導することであって、放射改変デバイスは、複数の反射ファセットから反射される複数のサブビームを形成するために、EUV放射ビームの一部を受け取って反射するように各々が配置された複数の反射ファセットを備え、複数の反射ファセットは、修正済みEUV放射ビームを形成するためにサブビームを誘導するように配置される、誘導すること、及び、修正済みEUV放射ビームをリソグラフィ装置に提供することを含む。
[00140] 本発明の第15の態様によれば、放射ビームを修正する方法が提供され、方法は、第1の粗反射表面を備える第1の拡散要素で放射ビームを反射すること、第2の粗反射表面を備える第2の拡散要素で、第1の拡散要素で反射された放射ビームを反射すること、並びに、第1及び/又は第2の粗反射表面を移動させるために第1及び/又は第2の拡散要素を移動することを含む。
[00141] 本発明の第16の態様によれば、粗反射表面を形成する方法が提供され、方法は、基板の表面内に凹みを形成することであって、凹みは基板の表面と平坦面とを異ならせる、形成すること、及び、基板の表面上に反射コーティングを配設することを含む。
[00142] 基板の表面内に凹みを形成することは、基板の表面の吹き付け加工を含むことができる。
[00143] 方法は、基板の表面上に反射コーティングを配設する前に、基板の表面を電解研磨することを更に含むことができる。
[00144] 方法は、反射コーティングを電解研磨することを更に含むことができる。
[00145] 本発明の第17の態様によれば、粗反射表面を形成する方法が提供され、方法は、パターン付与された基板を形成すること、パターン付与された基板を使用して金属シートを変形させること、金属シートをマンドレルとして使用して基板の表面を変形させること、及び、反射コーティングを基板の変形された表面上に配設することを含む。
[00146] パターン付与された基板は、それ以外は実質的に平坦な表面の外に延在する複数の突起を備えることができる。
[00147] パターン付与された基板を使用して金属シートを変形させることは、液圧形成プロセスを実行することを含むことができる。
[00148] 金属シートをマンドレルとして使用して基板の表面を変形させることは、電鋳プロセスを実行することを含むことができる。
[00149] 基板は、金属から形成可能である。
[00150] 金属は、ニッケル、銅、及びアルミニウムのうちの少なくとも1つを含むことができる。
[00151] 反射コーティングは、ルテニウム及びモリブデンのうちの少なくとも1つを含むことができる。
[00152] 上記又は下記で記述される本発明の様々な態様及び特徴は、当業者であれば容易に明らかとなるように、本発明の様々な他の態様及び特徴と組み合わせることができる。
[00153] 次に本発明の実施形態を、添付の概略図を参照しながら単なる例として説明する。
[00154] 図1は、本発明の一実施形態に従ったリソグラフィシステムLSを示す。リソグラフィシステムLSは、放射源SO、ビームデリバリシステムBDS、及び複数のリソグラフィ装置LAa〜LAn(例えば、8つのリソグラフィ装置)を備える。放射源SOは、極端紫外(EUV)放射ビームB(メインビームと呼ぶことができる)を生成するように構成される。放射源SO及びビームデリバリシステムBDSは、共に放射システムを形成するものと見なし得、放射システムは、1つ以上のリソグラフィ装置LAa〜LAnに放射を提供するように構成される。
[00155] ビームデリバリシステムBDSはビーム分割光学系を備え、任意選択で、ビーム拡張光学系及び/又はビーム整形光学系も備えることができる。メイン放射ビームBは複数の放射ビームBa〜Bn(分岐ビームと呼ぶことができる)に分割され、各々がビームデリバリシステムBDSによってリソグラフィ装置LAa〜LAnのうちの異なる1つに誘導される。
[00156] 実施形態において、分岐放射ビームBa〜Bnは各々、それぞれのアテニュエータ(図1には示さず)を介して誘導される。各アテニュエータは、分岐放射ビームBa〜Bnがその対応するリソグラフィ装置LAa〜LAn内へと通過する前に、それぞれの分岐放射ビームBa〜Bnの強度を調整するように配置可能である。
[00157] 放射源SO、ビームデリバリシステムBDS、及びリソグラフィ装置LAa〜LAnは、すべて外部環境から隔離できるように構築及び配置することができる。EUV放射の吸収を低下させるために、放射源SO、ビームデリバリシステムBDS、及びリソグラフィ装置LAa〜LAnの少なくとも一部に真空を提供することができる。リソグラフィシステムLSの異なる部分は、異なる圧力で(すなわち、大気圧よりも低い異なる圧力に保持されて)真空を提供することができる。
[00158] 図2を参照すると、リソグラフィ装置LAaは、照明システムIL、パターニングデバイスMA(例えば、マスク)をサポートするように構成されたサポート構造MT、投影システムPS、及び基板Wをサポートするように構成された基板テーブルWTを備える。照明システムILは、パターニングデバイスMA上に入射する前にリソグラフィ装置LAaによって受け取られる分岐放射ビームBaを条件付けるように構成される。投影システムPSは、放射ビームBa’(ここでパターニングデバイスMAによってパターン付与される)を基板W上に投影するように構成される。基板Wは以前に形成されたパターンを含むことができる。この場合リソグラフィ装置は、パターン付与された放射ビームBa’と以前基板W上に形成されたパターンとを位置合わせする。
[00159] リソグラフィ装置LAaによって受け取られた分岐放射ビームBaは、ビームデリバリシステムBDSから照明システムILの閉鎖構造内の開口8を介して照明システムIL内へと通過する。任意選択で、分岐放射ビームBaは、開口8又はその近くに中間焦点を形成するように集束可能である。
[00160] 照明システムILは、視野ファセットミラー10及び瞳ファセットミラー11を含むことができる。視野ファセットミラー10及び瞳ファセットミラー11は、共に、放射ビームBaに所望の断面形状及び所望の角度分布を提供する。放射ビームBaは、照明システムILから通過し、サポート構造MTによって保持されるパターニングデバイスMA上に入射する。パターニングデバイスMAは反射し、パターン付与されたビームBa’を形成するために放射ビームにパターン付与する。照明システムILは、視野ファセットミラー10及び瞳ファセットミラー11に加えて、又はそれらの代わりに、他のミラー又はデバイスを含むことができる。照明システムILは、例えば独立して移動可能なミラーのアレイを含むことができる。独立して移動可能なミラーは、例えば直径1mm未満を測定することができる。独立して移動可能なミラーは、例えば微小電気機械システム(MEMS)デバイスとすることができる。
[00161] パターニングデバイスMAからの方向転換(例えば反射)に続いて、パターン付与された放射ビームBa’は投影システムPSに入る。投影システムPSは、基板テーブルWTによって保持される基板W上に放射ビームBa’を投影するように構成された、複数のミラー13、14を備える。投影システムPSは、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さいフィーチャを伴うイメージを形成する縮小係数を、放射ビームに適用することができる。例えば縮小係数4を適用することができる。投影システムPSは図2では2つのミラーを有するが、投影システムは任意数のミラー(例えば6つのミラー)を含むことができる。
[00162] リソグラフィ装置LAaは、放射ビームBaのその断面にパターンを付与するように、及び、パターン付与された放射ビームを基板のターゲット部分上に投影し、それによって基板のターゲット部分をパターン付与された放射に対して露光するように、動作可能である。リソグラフィ装置LAaは、例えばスキャンモードで使用可能であり、サポート構造MT及び基板テーブルWTは、放射ビームBa’に付与されたパターンが基板W上に投影される間(すなわち、動的露光)に、同期的にスキャンされる。サポート構造MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの縮小及びイメージ反転特性によって決定可能である。
[00163] 再度図1を参照すると、放射源SOは、リソグラフィ装置LAa〜LAnの各々に供給するのに十分な電力でEUV放射ビームBを生成するように構成される。前述のように、放射源SOは自由電子レーザを備えることができる。
[00164] 図3は、入射器21、線形加速器22、バンチ圧縮器23、アンジュレータ24、電子減速器26、及びビームダンプ100を備える、自由電子レーザFELの概略図である。
[00165] 入射器21は、バンチ化電子ビームEを生成するように配置され、電子源(例えば、熱電子陰極又は光電陰極)及び加速電場を備える。電子ビームE内の電子は、線形加速器22によって更に加速される。例において、線形加速器22は、共通軸に沿って軸方向に間隔を置いて配置された複数の無線周波キャビティと、電子の各バンチを加速するために電子のバンチが間を通過する時に共通軸に沿って電磁場を制御するように動作可能な1つ以上の無線周波電源とを、備えることができる。キャビティは、超電導無線周波キャビティとすることができる。有利なことに、これにより、比較的大きな電磁場に高いデューティサイクルで印加すること、ビームアパーチャが大きいため、ビームウェイク場による損失が少なくなること、及び、(キャビティウォールを介して消散されるのとは対照的に)ビームに伝送されるわずかな無線周波エネルギーが増加することが可能となる。代替として、キャビティは慣例的に電導性(すなわち、超電導ではない)であり得、例えば銅から形成され得る。例えばレーザウェイク場加速器、又は逆自由電子レーザ加速器などの、他のタイプの線形加速器が使用可能である。
[00166] 任意選択で、電子ビームEは、線形加速器22とアンジュレータ24との間に配設されたバンチ圧縮器23を通過する。バンチ圧縮器23は、電子ビームE内の既存の電子のバンチを空間的に圧縮するように構成される。1つのタイプのバンチ圧縮器23は、電子ビームEに対して直角に誘導される放射場を備える。電子ビームE内の電子は放射と相互作用し、近くの他の電子とバンチ化する。別のタイプのバンチ圧縮器23は磁気シケインを備え、電子がシケインを通過する際にたどる経路の長さはそのエネルギーに依存する。このタイプのバンチ圧縮器は、複数の共振キャビティによって線形加速器22内で加速された電子のバンチを圧縮するために使用可能である。
[00167] 次いで、電子ビームEはアンジュレータ24を通過する。一般に、アンジュレータ24は複数のモジュール(図示せず)を備える。各モジュールは、周期磁場を生成するように動作可能であり、入射器21及び線形加速器22によって生成される相対論的電子ビームEを案内するように配置された、周期磁気構造を備える。各アンジュレータモジュールによって生成される周期磁場によって、電子に中心軸の周囲の振動経路をたどらせることになる。結果として、各アンジュレータモジュール内で、電子は、一般にそのアンジュレータモジュールの中心軸の方向に電磁放射を放射する。
[00168] 電子がたどる経路は、電子が中心軸を周期的にトラバースする正弦曲線及び平面であり得る。代替として、経路は、電子が中心軸の周囲を回転するらせん状であり得る。振動経路のタイプは、自由電子レーザによって発せられる放射の偏光に影響を与える可能性がある。例えば、らせん状経路に沿って電子を伝搬させる自由電子レーザは、楕円偏光放射を発することができる。
[00169] 電子は、各アンジュレータモジュールを介して移動する際、放射の電場と相互作用し、放射とエネルギーを交換する。一般に、電子と放射との間で交換されるエネルギーの量が、条件が共振条件に近くない限り高速で振動させることになる。共振条件の下で、電子と放射との間の相互作用により、アンジュレータ内の放射の波長で変調されるマイクロバンチに電子をまとめてバンチ化させ、中心軸に沿った放射のコヒーレント放出が刺激される。共振条件は、以下の式によって得られる。
上式で、λemは放射の波長であり、λuは電子が伝搬する際に介するアンジュレータモジュールのアンジュレータ期間であり、γは電子のローレンツ因子であり、Kはアンジュレータパラメータである。Aはアンジュレータ24のジオメトリに依存し、円偏光放射を生成するらせんアンジュレータの場合はA=1であり、平面アンジュレータの場合はA=2であり、楕円偏光放射(円偏光でも線形偏光でもない)を生成するらせんアンジュレータの場合は1<A<2である。実際には、電子の各バンチはエネルギーの広がりを有することになるが、この広がりは(低エミッタンスの電子ビームEを生成することによって)できる限り最小限にすることができる。アンジュレータパラメータKは、典型的にはおよそ1であり、以下の式によって得られる。
上式で、q及びmはそれぞれ電荷及び電子質量であり、B0は周期磁場の振幅であり、cは光の速度である。
[00170] 共振波長λemは、各アンジュレータモジュールを介して移動する電子によって自発的に放射される第1の調和波長に等しい。自由電子レーザFELは、自己拡張自然放出(SASE)モードで動作可能である。SASEモードでの動作は、電子ビームEが各アンジュレータモジュールに入る前に、電子ビームEにおける電子バンチの低いエネルギーの広がりを必要とする可能性がある。代替として、自由電子レーザFELは、アンジュレータ24内での誘導放出によって増幅可能なシード放射源を備えることができる。自由電子レーザFELは、循環アンプ自由電子レーザ(RAFEL)として動作可能であり、自由電子レーザFELによって生成される放射の一部を使用して、放射の更なる発生がシードされる。
[00171] アンジュレータ24を介して移動する電子は、放射の振幅を増加させることが可能であり、すなわち自由電子レーザFELは非ゼロの利得を有することができる。最大利得は、共振条件に合致する時、又は条件が共振に近いがわずかに外れている時に、達成可能である。
[00172] アンジュレータ24に入る際に共振条件に合致する電子は、放射を発する(又は吸収する)際にエネルギーを失う(又は獲得する)ため、もはや共振条件は満たさないことになる。したがって、いくつかの実施形態において、アンジュレータ24はテーパー状とすることができる。すなわち、電子のバンチがアンジュレータ24を介して案内される際に、電子のバンチを共振又は共振近くに維持するために、周期磁場の振幅及び/又はアンジュレータ周期λuはアンジュレータ24の長さに沿って変動可能である。テーパリングは、周期磁場の振幅及び/又はアンジュレータ周期λuを各アンジュレータモジュール内部及び/又はモジュール間で変動させることによって、達成可能である。追加又は代替として、テーパリングは、(パラメータAを変動させることによって)アンジュレータ24のヘリシティを各アンジュレータモジュール内部及び/又はモジュール間で変動させることによって、達成可能である。
[00173] アンジュレータ24内で生成された放射は、放射ビームBFELとして出力される。
[00174] アンジュレータ24を離れた後、電子ビームEはダンプ100によって吸収される。ダンプ100は、電子ビームEを吸収するのに十分な量の材料を備えることができる。材料は、放射能の誘導について閾値エネルギーを有することができる。閾値エネルギーを下回るエネルギーを伴ってダンプ100に入る電子は、ガンマ線シャワーのみを生成することができるが、いずれの著しい高濃度放射能も誘導しない。材料は、電子衝撃による放射能誘導について高い閾値エネルギーを有することができる。例えばビームダンプは、17MeV周辺の閾値エネルギーを有するアルミニウム(Al)を含むことができる。電子ビームE内の電子のエネルギーは、ダンプ100に入る前に低下させることが望ましい可能性がある。これにより、ダンプ100から放射性廃棄物を除去及び処分する必要がなくなるか、又は少なくとも低減する。これは、放射性廃棄物の除去には自由電子レーザFELを定期的に停止する必要があり、放射性廃棄物の処分にはコストがかかり、環境に重大な影響を与える可能性があるため、有利である。
[00175] 電子ビームE内の電子のエネルギーは、アンジュレータ24とビームダンプ100との間に配設された減速器26を介して電子ビームEを誘導することによって、ダンプ100に入る前に低下させることができる。
[00176] 実施形態において、アンジュレータ24を出る電子ビームEは、入射器21によって生成される電子ビームに対して180度の位相差で、線形加速器22を介して電子を戻すことによって、減速可能である。したがって線形加速器内のRF場は、アンジュレータ24から出力される電子を減速させる働き、及び入射器21から出力される電子を加速させる働きをする。電子が線形加速器22内で減速する際、そのエネルギーの一部は線形加速器22内のRF場に伝達される。したがって、減速する電子からのエネルギーは線形加速器22によって回収され、入射器21から出力される電子ビームEを加速させるために使用可能である。こうした配置は、エネルギー回収型線形加速器(ERL)と呼ばれる。
[00177] リソグラフィシステムLSのいくつかの実施形態において、放射源SOは単一の自由電子レーザFELを備えることができる。こうした実施形態では、放射源SOから発せられるメインビームBは、自由電子レーザFELから発せられるレーザビームBFELとすることができる。他の実施形態において、リソグラフィシステムLSは複数の自由電子レーザを備えることができる。自由電子レーザから発せられる複数のレーザビームBFELを組み合わせて、複数の自由電子レーザFELから発せられる放射を備える単一のメインビームBを形成することができる。
[00178] 図4は、本発明の実施形態に従ったリソグラフィシステムLSの一部を示す概略図である。図4に示されるリソグラフィシステムLSの一部は、分岐放射ビームBaをリソグラフィ装置LAaに誘導するように構成された、複数の光学要素を備える。複数の光学要素は、第1のミラー103、第1の可変減衰ミラー105a、第2の可変減衰ミラー105b、第1の集束光学系107、放射改変デバイス101、第2の集束光学系109、及び第3の集束光学系111を含む。図4に示される複数の光学要素は、図1に概略的に示されたビームデリバリシステムBDSの一部を形成することができる。しかしながらビームデリバリシステムBDSは、図4に示されたよりも多くのコンポーネントを備えることができる。例えばビームデリバリシステムBDSは、ビーム分割光学系を更に備えることが可能であり、任意選択で、図4には示されていないビーム拡張光学系及び/又はビーム整形光学系も備えることが可能である。
[00179] 第1のミラー103は、分岐放射ビームBaを受け取り、分岐放射ビームBaを第1の減衰ミラー105a上に入射するように誘導し、その後第1の減衰ミラー105aは分岐放射ビームBaを第2の減衰ミラー105b上に入射するように誘導する。第1及び第2の減衰ミラー105a、105bの配向は、分岐放射ビームBaが第1及び第2の可変減衰ミラー105a、105b上に入射する入射角を変動させるように、調整可能である。可変減衰ミラー105a、105bの反射率は、可変減衰ミラー105a、105b上への分岐放射ビームBaの入射角の関数である。したがって、分岐放射ビームBaが可変減衰ミラー105a、105b上に入射する入射角を変動させることで、可変減衰ミラーで反射される分岐放射ビームBaの割合が変動する。したがって、可変減衰ミラーで反射される分岐放射ビームBaの割合を制御するために、可変減衰ミラー105a、105bの配向が制御され、それによって、リソグラフィ装置LAaに提供される分岐放射ビームBaの強度を制御する。可変減衰ミラーの配向は、1つ以上のアクチュエータ(図示せず)によって制御可能である。1つ以上のアクチュエータは、例えば、所望の強度を有する分岐放射ビームBaを提供するように動作可能なフィードバックシステムを形成するために、分岐放射ビームBaの強度の測定に応答して制御可能である。
[00180] 第2の可変減衰ミラー105bから反射された分岐放射ビームBaは、第1の集束光学系107上に入射する。第1の集束光学系107は、分岐放射ビームBaが放射改変デバイス101に入る前に、分岐放射ビームBaを焦点108に集束させるように構成される。分岐放射ビーム108が放射改変デバイス101に入る前に、分岐放射ビームBaを焦点108に集束させることで、結果として、放射改変デバイス101に入る際に正の発散度を有する分岐放射ビームBaが生じる。
[00181] 代替の実施形態において、焦点108は放射改変デバイス101の内部に位置決めすることができる。こうした実施形態において、分岐放射ビームBaは負の発散度を有する放射改変デバイスに入ることができる。しかしながら、分岐放射ビームBaが放射改変デバイス内で正の発散度を有するように、分岐放射ビームBaの発散度は焦点108の後で正になり得る。
[00182] 放射改変デバイス101は、分岐放射ビームBaの1つ以上の特性を修正するように構成され、以下でより詳細に説明される。放射改変デバイス101から出力される修正済み分岐放射ビームBaは、分岐放射ビームBaがリソグラフィ装置LAaに提供される前に、第2及び第3の集束光学系109及び111上に入射する。第2及び第3の集束光学系109及び111は、分岐放射ビームBaを中間焦点IFに集束させるように構成される。中間焦点IFは、リソグラフィ装置LAaの閉鎖構造内の開口8に位置する。図2を参照しながら上記で説明したように、リソグラフィ装置LAaは、照明システムIL、パターニングデバイスMA(例えば、マスク)をサポートするように構成されたサポート構造MT、投影システムPS、及び基板Wをサポートするように構成された基板テーブルWTを備える。
[00183] 上記で説明したように、分岐放射ビームBaは、放射源SOの一部を形成する自由電子レーザFELから発せられるEUV放射の少なくとも一部を備える。自由電子レーザFELから出力される放射ビームは、典型的にはコヒーレントな、比較的小さなエタンデュを有する高度にコリメートされた放射ビームである。いくつかの実施形態において、自由電子レーザFELから発せられる放射ビームのエタンデュは、放射ビームの回折が制限されていると見なされるように十分に小さいものとすることができる。
[00184] 光学システムにおける微小表面要素dSでの自由空間(すなわち、屈折率1の媒体)における放射ビームのエタンデュは、表面積dS、表面要素を横切る(又は表面要素によって発せられる)放射によって定められる立体角dΩ、及び表面要素の法線とそのポイントを横切る放射の方向との間の角度の余弦の、積によって与えられる。一般に、拡張表面Sでの放射ビームのエタンデュは、(或る角度範囲で表面上の各ポイントを光が横切ることができるという事実を説明するために)各表面要素を横切る(又は各表面要素によって発せられる)放射によって定められる立体角にわたって積分すること、及び、(すべてのこうした表面要素からの寄与を合計するために)表面にわたって積分することによって、与えられる。自由電子レーザFELによって生成されるように、高度にコリメートされた放射ビームを生成するように動作可能な光源について、光源のエタンデュは、光源の面積と光が発せられる立体角との積によって推定可能である。更に、こうした光源について、光が発せられる立体角は、(小角近似値を使用して)πθ2によって与えられ、ここでθは光源の半発散度である。したがって、こうした光源のエタンデュはG=πAθ2によって与えられ、ここでAは光源の面積である。自由電子レーザFELから発せられる放射ビームは、例えば約500μrad未満の発散度(いくつかの実施形態では、発散度は約100μrad未満であり得る)を有することが可能であり、アンジュレータ24を離れる時にそのビームウエストでは実質的に50μmから100μmの直径を有することが可能である。ビームウエスト直径が50μmであり、ビーム発散度が100μradである実施形態において、放射ビームのエタンデュは実質的に1.5×10−11mm2である。
[00185] いくつかの実施形態において、自由電子レーザFELは、ガウス様強度プロファイルを有する放射ビームを発することができる。ガウス強度プロファイルを有する放射ビームのエタンデュは、放射ビームの2乗の波長に実質的に等しい。いくつかの実施形態において、自由電子レーザFELは、およそ13.5nmの波長を有し、ガウス強度プロファイルを有する、EUV放射ビームを発することができる。こうした実施形態において、放射ビームのエタンデュは、およそ1.8×10−16m2である。実際には、自由電子レーザFELから発せられる放射ビームの強度プロファイルは、完全にガウス型ではない可能性がある。したがって、自由電子レーザFELから発せられる放射ビームのエタンデュは、実際には放射ビームの波長の2乗のおよそ2倍又は3倍の大きさであり得る。
[00186] 放射ビームのエタンデュは、光学システムを介して伝搬する際に減少することはできない。放射ビームのエタンデュは、自由空間内で光学システムを介して伝搬し、反射及び屈折を受ける際に、一定に維持することが可能である。しかしながら、放射ビームが、例えば散乱及び/又は回折によって放射を広げる光学システムを介して伝搬する際、そのエタンデュは増加することになる。光学システム内の光学要素(例えば、ミラー及びレンズ)の品質が向上するほど、エタンデュの増加は小さくなる。
[00187] 自由電子レーザFELからリソグラフィ装置LAaまでの分岐放射ビームBaの光路を形成する光学要素は、典型的には、エタンデュ内で比較的小さな増加のみを生じさせるような高品質のものである。分岐放射ビームBaが、分岐放射ビームBaのエタンデュを大幅に増加させない光学要素のみを通過する場合、中間焦点IFで集束される分岐放射ビームBaのエタンデュは比較的小さくなり、分岐放射ビームBaは中間焦点IFの小ポイントに集束されることになる。図2を参照しながら上記で述べたように、中間焦点IFで集束される分岐放射ビームBaは、リソグラフィ装置LAaの照明システムILに入り、視野ファセットミラー10及び瞳ファセットミラー11上に入射する。視野ファセットミラー10及び瞳ファセットミラー11は、各々、各々が分岐放射ビームBaの一部を反射する複数の反射ファセットを備える。視野ファセット及び瞳ファセットで反射される分岐放射ビームBaの部分は、サブビームと呼ぶことができる。
[00188] 視野ファセットミラー10を形成する視野ファセットは、視野ファセットによって受け取られるサブビームを、瞳ファセットミラー11を形成する瞳ファセット上に集束させることができる。瞳ファセットミラー11の瞳ファセット上に入射する各サブビームのスポットサイズは、分岐放射ビームBaのエタンデュにある程度依存する。小さいエタンデュを有する分岐放射ビームBaは、瞳ファセット上に入射する分岐放射ビームBaのサブビームのスポットサイズを比較的小さくすることができる。瞳ファセット上の比較的小さなスポットサイズは、比較的高い放射照度でサブビームを瞳ファセット上に入射させる。瞳ファセット上の高い放射照度は、瞳ファセットを損傷させる可能性がある。
[00189] したがって、瞳ファセット上の放射照度を減少させ、瞳ファセットを損傷させる確率を減少させるために、瞳ファセット上に入射するサブビームのスポットサイズを増加させることが望ましい場合がある。上記で説明したように、分岐放射ビームBaのエタンデュを増加させることによって、瞳ファセット上に入射するサブビームのスポットサイズを増加させることができる。以下で更に詳細に説明するように、放射改変デバイス101は、分岐放射ビームBaのエタンデュを増加させ、それによって瞳ファセット上のサブビームのスポットサイズを増加させるように構成可能である。
[00190] 前述のように、自由電子レーザFELから発せられる放射ビームは、典型的にはコヒーレント放射ビームである。例えば図4に示される複数の光学要素のうちの1つ以上で、空間的にコヒーレントな放射ビームが反射される場合、放射ビームの異なる部分間に小さな経路長差が導入され得、それによって、放射ビームの異なる部分間に位相差を導入することができる。放射ビームの異なる部分間の位相差は、放射ビームの異なる部分を互いに干渉させ、それによって干渉パターンを形成することができる。例えば、放射ビームの異なる部分間の干渉は、いわゆるスペックルパターンの出現につながる可能性がある。リソグラフィ装置において、スペックルパターンを呈する放射ビームは、不利なことに、基板Wの異なる部分を異なる放射ドーズ量に露光させる可能性がある。したがって、分岐放射ビームBaの異なる部分間の干渉から生じる任意の不利な影響を減少させるために、分岐放射ビームBaの空間コヒーレンスを減少させることが望ましい可能性がある。以下で更に詳細に説明するように、放射改変デバイス101は、分岐放射ビームBa内でのスペックルパターンの出現を防ぐために、分岐放射ビームBaの空間コヒーレンスを減少させるように構成可能である。
[00191] 図5は、放射改変デバイス101の実施形態を示す概略図である。放射改変デバイス101は、第1の開口121及び第2の開口122を有するチューブ125を備える。第1の開口121は分岐放射ビームBaを受け取るように配置され、第2の開口122は分岐放射ビームBaを出力するように配置される。チューブ125は放射改変デバイス101の内部表面によって画定される。内部表面123は、EUV放射に対して実質的に反射性であり、第1の開口121を介してチューブ125に入る分岐放射ビームBaを内部表面123で複数回連続して反射するように配置される。複数回の連続する反射は、分岐放射ビームBaが第2の開口122を介してチューブ125を出る前に分岐放射ビームBaを修正する働きをする。
[00192] 放射改変デバイス101を介する分岐放射ビームBaの経路は、図5では、放射改変デバイス101を介して伝搬するように示される一連の光線127で表されている。分岐放射ビームBaは放射改変デバイス101に入る前に焦点108に集束されるため、分岐放射ビームBaを形成する光線127は、分岐放射ビームBaが放射改変デバイス101に入る時に互いに分岐している。すなわち、分岐放射ビームBaは、放射改変デバイス101に入る際、正の発散度を有する。分岐放射ビームBaの正の発散度とは、分岐放射ビームBaの光線127が異なる位置で放射改変デバイスの内部表面123上に入射し、その後、異なる経路に沿って反射されることを意味する。したがって分岐放射ビームBaを形成する光線127は、光線127が放射改変デバイス101によって空間的にスクランブルされるように、放射改変デバイス101を介して実質的に異なる経路に沿って伝搬する。
[00193] 図5に示される実施形態において、チューブ125は曲がり124を含む。曲がり124は曲がり角αを有する。曲がり角αは、チューブ125の断面中心に沿って延在する軸133に対して測定される。曲がり角αは、曲がり124内で軸133が逸脱する角度である。図5に示される実施形態において、軸133が延在する方向はチューブ125の曲がり124で階段状に変化する。他の実施形態において、チューブ125は、チューブ125がカーブを含むように、軸133が延在する方向が曲がり内で連続的に遷移する、連続曲がりを含むことができる。放射改変デバイスのいくつかの実施形態は、複数の曲がりを含むことができる。放射改変デバイスの他の実施形態は、いかなる曲がりも含まない場合がある。
[00194] 前述のように、放射改変デバイス101は、分岐放射ビームBaの光線127を空間的にスクランブルさせる。放射改変デバイス101は、放射改変デバイス101の第1の開口121と放射改変デバイスの第2の開口122との間に分岐放射ビームを形成する光線127のマッピングを提供するものと見なすことができる。
[00195] 図6は、放射改変デバイス101の第1の開口121で分岐放射ビームBaを形成する光線127のサブセット127’の断面位置を示す概略図である。放射改変デバイスによって引き起こされる光線127の空間的スクランブリングを示すために、図6には光線のサブセット127’のみが示されている。光線のサブセット127’は、分岐放射ビームBaを形成する光線127の半分を表す。実際に、分岐放射ビームBaは、図6に図示される光線127によって示される面積のおよそ2倍にわたって延在可能である。放射改変デバイス101の第1の開口121での分岐放射ビームの断面の全範囲は、図6では破線円131aで示される。
[00196] 図7は、放射改変デバイス101の第2の開口122での、図6の光線のサブセット127’の断面位置を示す概略図である。放射改変デバイス101の第2の開口122での分岐放射ビームBaの断面の全範囲は、図7では破線円131bで示される。図7は、第1の開口121と第2の開口122との間の光線のマッピングを表している。図7から、第1の開口121で分岐放射ビームBaの半分を形成する光線のサブセット127’は、第2の開口122で分岐放射ビームBaの断面の全範囲にわたって再配分されることがわかる。すなわち、光線のサブセット127’の断面位置は、放射改変デバイス101によって空間的にスクランブルされる。
[00197] 図6及び図7で図示される第1の開口121と第2の開口122との間の光線127のマッピングは、単に、放射改変デバイスによって引き起こされ得る光線のマッピングの例として提示されている。図6及び図7に図示された例示的マッピングは、例えば、図5に図示された放射改変デバイス101の実施形態から生じるマッピングと、正確に対応していない可能性がある。放射改変デバイスの異なる実施形態の結果として、異なるマッピング及び異なる程度の空間的スクランブリングが生じる可能性がある。
[00198] 分岐放射ビームBaを形成する光線を空間的にスクランブルすることで、有利には、分岐放射ビームBaの空間的な強度プロファイルの空間的均一性が増加する。すなわち、放射改変デバイス101の第2の開口122を介して放射改変デバイス101を出る分岐放射ビームBaの空間強度プロファイルは、第1の開口121を介して放射改変デバイス101に入る分岐放射Baの空間強度プロファイルよりも均一である。
[00199] 一般に、分岐放射ビームBaの強度は、分岐放射ビームBaを介する断面における異なる位置で変動する可能性がある。例えば、分岐放射ビームBaは、実質的にガウス様の空間強度プロファイルを有することができる。したがって、放射改変デバイス101の前の分岐放射ビームの空間強度プロファイルは、一般に不均一であると見なすことができる。前述のように、分岐放射ビームBaはリソグラフィ装置LAaに入り、照明システムIL内の視野ファセットミラー10及び瞳ファセットミラー11上に入射する。
[00200] 視野ファセットミラー10及び瞳ファセットミラー11は、共に、パターニングデバイスMA上に入射する前に分岐放射ビームBaを条件付ける働きをする。特に、視野ファセットミラー10及び瞳ファセットミラー11は、所望の角度及び空間強度プロファイルを有する放射ビームを提供するように構成可能である。これを達成するために、視野ファセットミラー10を形成する視野ファセット及び瞳ファセットミラー11を形成する瞳ファセットは、所望の角度及び空間強度プロファイルを有する放射ビームを形成するために、分岐放射ビームBaの強度プロファイルの異なる部分を異なる方向に誘導するように配向される。視野ファセット及び瞳ファセットの配向は、視野ファセットミラー10での既知の空間強度プロファイルを有する分岐放射ビームBaの受け取りに基づく。例えば、各ファセットは、そのファセット上に入射することになる既知の放射強度に従って配向可能である。
[00201] リソグラフィ装置LAaに提供される分岐放射ビームBaが、視野ファセットミラー10で不均一な空間強度プロファイルを有する場合(例えば、リソグラフィ装置LAaの前に放射改変デバイス101が提供されない場合)、視野ファセットミラー11の各視野ファセット上に入射する放射の強度は、分岐放射ビームBaの指示方向における変化に対する感受性が高い。例えば、分岐放射ビームBaの指示方向における変化が、結果として各視野ファセット上に入射する強度プロファイルの一部における変化を生じさせることになる。視野ファセットミラー10上に入射する分岐放射ビームBaが不均一な空間強度プロファイルを有する場合、各視野ファセット上に入射する強度プロファイルの一部における変化が、各視野ファセット上に入射する放射の強度における変化を生じさせることになる。各視野ファセット上に入射する放射の強度における変化が、パターニングデバイスMA上に入射する放射ビームの角度及び空間強度プロファイルにおける変化を生じさせることになる。特に、パターニングデバイスMA上に入射する放射ビームの角度及び空間強度プロファイルは、所望の角度及び空間強度プロファイルから逸脱する可能性がある。
[00202] 図4に示される実施形態において、リソグラフィ装置LAaに提供された分岐放射ビームBaは放射改変デバイス101を通過した。前述のように、分岐放射ビームBaを形成する光線127を空間的にスクランブルすることによって、放射改変デバイスは、分岐放射ビームBaの空間強度プロファイルの均一性を増加させる働きをする。したがって、リソグラフィ装置に提供され、視野ファセットミラー10上に入射する分岐放射ビームBaは、比較的均一な空間強度プロファイルを有することができる。
[00203] 視野ファセットミラー10上に入射する分岐放射ビームBaが比較的均一な空間強度プロファイルを有する実施形態において、視野ファセットミラー10の各々の視野ファセット上に入射する強度プロファイルの異なる部分は同様の強度を有する。したがって、分岐放射ビームBaの指示方向における変化(各視野ファセット上に入射する放射ビームの断面の一部に変化を生じさせる)は、結果として、各視野ファセット上に入射する放射の強度において小さな変化しか生じさせないことになる。したがって、パターニングデバイスMA上に入射する放射ビームの角度及び空間強度プロファイルは、視野ファセットミラー10上に入射する分岐放射ビームBaの空間強度プロファイルが比較的均一である実施形態において(空間強度プロファイルが比較的不均一である実施形態に比べて)、分岐放射ビームBaの指示方向に対する感受性はそれほど高くない。
[00204] リソグラフィ装置LAaに提供される分岐放射ビームBaの指示方向は、自由電子レーザFEL(放射源SOの一部を形成する)によって発せられる放射ビームの指示方向、並びに、分岐放射ビームBaがリソグラフィ装置LAaへのその光路上で反射される光学要素の位置及び配向の、関数である。自由電子レーザFELから発せられる放射ビームの指示方向、及び分岐放射ビームBaが反射される光学要素の配向の両方は、経時的に変動可能である。例えば、自由電子レーザFELによって発せられる放射ビームの指示方向は、電子ビームEがそれに沿ってアンジュレータ23内の周期磁場によって案内される、アンジュレータ23を介する周期経路に依存する。アンジュレータ23内の周期磁場は、(例えば、周期磁場を発生させる1つ以上の磁石の磁性における変化に起因して)経時的に変化する可能性があり、それによって、アンジュレータ23を介する電子ビームEの経路における変化、及び自由電子レーザFELによって発せられる放射ビームの指示方向における対応する変化が生じる。追加又は代替として、分岐放射ビームBaがリソグラフィ装置LAaへのその光路上で反射される光学要素の位置及び/又は配向は経時的に変動可能であり、それによって、分岐放射ビームBaのビーム指示における変化が生じる。したがって、リソグラフィ装置LAa内でパターニングデバイスMA上に入射する放射ビームの強度プロファイルの、分岐放射ビームBaの指示方向における変動に対する感受性を低減させることが望ましい。
[00205] 前述のように、分岐放射ビームBaの光路内に放射改変デバイス101を提供することが、有利には、視野ファセットミラー上に入射する分岐放射ビームBaの空間強度プロファイルの均一性を増加させる。したがって、放射改変デバイス101を提供することが、視野ファセットミラー10上に入射する分岐放射ビームBaの空間強度プロファイルの、分岐放射ビームBaの指示方向における変化に対する感受性を低減させる。したがって、パターニングデバイスMA上に入射する放射ビームの空間及び角度の強度プロファイルの感受性が、有利には低減される。
[00206] 分岐放射ビームBaの均一性を十分に向上させるために、量θL/Dが約10より大きいか又はこれに等しいように放射改変デバイスを構成することが望ましい可能性があり、Lは放射改変デバイスの長さ(すなわち、第1と第2の開口の間の長さ)であり、θは放射改変デバイスに入る分岐放射ビームBaの半発散度(単位ラジアン)であり、Dは放射改変デバイスの第2の開口の直径である。量θL/Dが約10より大きいか又はこれに等しいように放射改変デバイスを構成することは、分岐放射ビームBaの均一性において望ましい向上をもたらすために、分岐放射ビームBaを形成する光線127が、放射改変デバイスの内部表面で十分な数の反射を受けることを保証することができる。
[00207] 放射改変デバイスから出力される修正済み分岐放射ビームBaの空間強度プロファイルは、放射改変デバイスの第2の開口122では比較的均一であり得るが、放射改変の更にダウンストリームのいくつかのロケーションではそれほど均一でない可能性がある(ダウンストリーム方向は、分岐放射ビームBaの一般的な伝搬の方向に対応し、アップストリーム方向は、ダウンストリーム方向の逆に対応する)。視野ファセットミラー10上に入射する放射ビームの均一性を向上させるために、第2及び第3の集束光学系109、111は、視野ファセットミラー10で放射改変デバイス101の第2の開口122のイメージを形成するように構成可能である。視野ファセットミラー10でイメージを形成するために使用可能な集束機構の実施形態は、図12A及び図12Bを参照しながら、以下で更に説明する。
[00208] 前述のように、放射改変デバイス101の第1の開口121を介して放射改変デバイス101に入力される異なる光線127は、放射改変デバイス101を介した異なる経路に沿って伝搬する。放射改変デバイス101を介する異なる経路は異なる長さを有することができるため、経路長の差は放射改変デバイス101の第2の開口122から出力される異なる光線127間に導入される。前述のように、放射改変デバイスに入る分岐放射ビームBaは、コヒーレントな放射ビームとすることができる。分岐放射ビームBaの異なる光線127間に経路長の差を導入することで、分岐放射ビームBaの空間的コヒーレンスの減少を生じさせることができる。分岐放射ビームBaの空間的コヒーレンスの減少は、有利には、結果としてスペックルパターンなどの干渉パターンを形成させる分岐放射ビームBaの異なる部分間の干渉の可能性を減少させることが可能である。したがって有利なことに、放射改変デバイス101は、(放射改変デバイスが提供されないリソグラフィ装置に比べて)リソグラフィ装置LAa内でのスペックルパターン形成の可能性を減少させることができる。
[00209] 分岐放射ビームBaの異なる光線217がそれに沿って伝搬する異なる経路長の範囲が、分岐放射ビームBaのコヒーレンス長よりも大きい場合、分岐放射ビームBaの空間的コヒーレンスを、干渉パターン(例えば、スペックルパターン)の形成を防止する範囲まで減少させることができる。分岐放射ビームBa(EUV放射を備える)のコヒーレンス長は、約1μm程度とすることができる。分岐放射ビームBaの異なる光線127がそれに沿って伝搬する異なる経路長の範囲はおよそLθ2程度とすることができ、Lは放射改変デバイスの長さであり、θは放射改変デバイスに入る分岐放射ビームBaの半発散度(ラジアン単位)である。したがって、Lθ2が分岐放射ビームBaのコヒーレンス長よりもかなり大きいように、放射改変デバイス及び/又は分岐放射ビームBaの発散度を決定する、1つ以上の集束要素を構成することが望ましい可能性がある。
[00210] 分岐放射ビームの異なる光線127が放射改変デバイス101を介してそれに沿って伝搬する異なる経路は、追加として、分岐放射ビームBaの偏光状態をスクランブルする働きをすることができる。一般に、リソグラフィ装置内の基板Wを、優先的な偏光方向を有さない放射に露光することが望ましい。例えば、円偏光されるか又は偏光されない放射に、基板Wを露光することができる。しかしながら、線形又は楕円の偏光状態が優先的な偏光方向を有するため、線形偏光されるか又は楕円偏光される放射に基板Wを露光することは望ましくない可能性がある。
[00211] 自由電子レーザFELから発せられる放射ビームが、典型的には偏光放射ビームである。自由電子レーザFELから発せられる放射ビームは、放射ビームが発せられるアンジュレータ23の構成に応じて、線形、楕円形、又は円形に偏光可能である。例えば、らせん経路に沿って電子を伝搬させるアンジュレータを有する自由電子レーザFELは、円偏光放射を発することが可能であり、平面経路に沿って電子を伝搬させるアンジュレータを有する自由電子レーザFELは、線形偏光放射を発することができる。
[00212] 前述してきたように、自由電子レーザFELからリソグラフィ装置LAaまでの分岐放射ビームBaの光路は、様々な異なる光学要素での複数の反射を含むことができる。分岐放射ビームBaが受ける1つ以上の反射は、分岐放射ビームBaの偏光状態を改変することができる。例えば、分岐放射ビームBaの反射は、分岐放射ビームBaの垂直偏光コンポーネント間に位相遅延特性を生じさせることができる。円偏光放射ビーム又は線形偏光放射ビームへの位相遅延特性の導入は、典型的には、円又は線形偏光状態を楕円偏光状態に変換する。したがって、自由電子レーザFELから発せられる分岐放射ビームBaは、典型的には、リソグラフィ装置LAaへのその光路に沿って伝搬する際に、楕円偏光されることになる。放射改変デバイス101がない場合、分岐放射ビームBaが、優先的な偏光方向を有する楕円偏光状態でリソグラフィ装置LAaに不必要に提供される可能性がある。
[00213] 前述してきたように、放射改変デバイス101は異なる光線127に、放射改変デバイス101を通る異なる経路を通過させ、放射改変デバイス101内で異なるかすめ角で反射する。したがって、放射改変デバイス101から出力される光線127は、異なる偏光状態を有する。したがって全体として見ると、放射改変デバイス101から出力される修正済みの分岐放射ビームBaは優先的な偏光方向を有さない。有利なことに、この結果、リソグラフィ装置LAa内の基板Wを、優先的な偏光方向を有さない放射に露光することになる。
[00214] 放射改変デバイス101によって引き起こされる分岐放射ビームBaを形成する光線127の空間的スクランブリングに加えて、放射改変デバイス101は、分岐放射ビームBaのエタンデュを大幅に増加させる働きもする。すなわち、第2の開口122を介して放射改変デバイス101を出る分岐放射ビームBaのエタンデュは、第1の開口121を介して放射改変デバイス101に入る分岐放射ビームBaのエタンデュよりも大きい。
[00215] 放射改変デバイス101によって引き起こされる分岐放射ビームBaのエタンデュの増加を理解するために、以下で単純な放射改変デバイスの効果を説明する。図8Aは、斜視図で示された放射改変デバイス1011の実施形態を示す概略図である。図8Aには、図面全体にわたって一貫して使用されるデカルト座標系も示されている。放射改変デバイス1011は、分岐放射ビームBaを受け取るように配置された第1の開口1211と、放射改変デバイス1011による分岐放射ビームBaの修正後に放射ビームBaを出力するように配置された第2の開口1221とを有する、チューブ1251を備える。チューブ1251は、実質的にEUV放射に対して反射性の内部表面1231によって画定される。図8Aに示される例において、チューブ1251の内部表面1231の断面形状は正方形である。放射改変デバイス1011は、チューブ1251の断面中心を介して図8Aに示されるz方向に延在する、光軸1331を有する。例示及び説明をわかりやすくするために、図8Aに示される放射改変デバイス1011の実施形態は曲がりを含まない。しかしながら、放射改変デバイスの他の実施形態は、(例えば、図5に示されるように)曲がりを含むことができる。
[00216] 放射改変デバイス1011は、図8Aにおいて、焦点1081から延在する一連の光線127として表される分岐放射ビームBaを受け取る。分岐放射ビームBaは、1つ以上の集束光学系によって、(例えば、図4に示されたように)分岐放射ビームBaが放射改変デバイスに入る前に焦点1081に集束することができる。焦点1081は、第1の開口1211のアップストリーム及び光軸1331上に位置する。したがって図8Aに示される光線127は、放射改変デバイスに入る時1211に互いに分岐しており、各光線は光軸1331と角度を成している。図8Aには示されていないが、光線127は第1の開口1211を介してチューブ1251に入り、内部表面1231で複数回連続して反射を受ける。チューブ1251の内部表面1231の断面形状が矩形である図8Aに示された例において、各光線と光軸1331とが形成する角度は、光線がチューブ1251に沿って伝搬する際は一定に保たれ、内部表面1231で反射を受ける。
[00217] 次に、内部表面1231で光線127が複数回反射した結果を、放射改変デバイス1011がy−z面で示される図8Bを参照しながら説明する。放射改変デバイス1251の第2の開口1221から出力され、放射改変デバイス1011のダウンストリームに位置する平面1291上に入射する放射は、各々が放射改変デバイス1011の第2の開口1221全体を照明する複数の仮想ポイント放射源1351から発せられる放射と等価である。例を挙げると、図8Bには5つの仮想ポイント放射源1351が示されており、その各々が放射改変デバイス1011の第2の開口1221の全範囲を照明している。仮想ポイント放射源1351による第2の開口1221の照明は、図8Bでは、各仮想ポイント放射源1351から発出する放射の外側範囲を示す、一連の破線、点線、及び一点鎖線を用いて示されている。実際には、放射改変デバイス1011の第2の開口から出力され、放射改変デバイス1011のダウンストリームに位置する平面1291上に入射する放射は、5つよりも多くの仮想ポイント放射源1351から発せられる放射と等価であり得るが、図8Bでは、図示し易くするために仮想ポイント放射源1351が5つだけ示されている。
[00218] 図8Bから、異なるポイント放射源1351から発出する放射は、放射改変デバイス1011の第2の開口1221の見掛け放射源サイズの面積を有する放射改変デバイスのダウンストリームに(例えば、図8Bに示された平面1291内に)修正済み分岐放射ビームBaを形成するために、互いにオーバーラップすることがわかる。
[00219] 前述のように、放射ビームのエタンデュGはG=πAθ2によって推定することが可能であって、θは放射ビームの半発散度であり、Aは放射が発せられる光源の面積(又は同等に、放射ビームの見掛け放射源サイズ)である。第1の開口1211を介して放射改変デバイス1011に入る放射ビームは、所与の発散度で回折限界焦点1081から放射する。したがって、放射改変デバイス1011に入る分岐放射ビームBaの見掛け放射源サイズは、焦点1081のサイズと等価である。上記で説明したように、放射改変デバイス1011の第2の開口1221から出力される修正済み分岐放射ビームBaは、放射改変デバイス1221の第2の開口1221の面積に対応する見掛け放射源サイズAを有する。第2の開口1221の面積は回折限界焦点1081のサイズよりも著しく大きいため、放射改変デバイス1221は分岐放射ビームBaの見掛け放射源サイズを著しく増加させる。
[00220] 上記で説明したように、放射改変デバイス1011に入る各光線127と光軸1331とが形成する角度は、放射改変デバイス1011の内部表面1231での光線127の反射中、一定に保たれる。各光線127と光軸1331とが形成する角度の保持は、光線127が放射改変デバイス1011の第2の開口1221から出力される際の(光軸に対する)最大角度が、光線127が放射改変デバイス1011に入る際の最大角度と同じであることを意味する。したがって、第2の開口1221から出力される修正済み分岐放射ビームBaの発散度は、第1の開口1211を介して放射改変デバイス1011に入る分岐放射ビームBaの発散度と実質的に同じである。
[00221] したがって、分岐放射ビームBaに対する放射改変デバイス1211の効果は、分岐放射ビームBaの発散度にはほとんど又はまったく変化を及ぼさない一方で、分岐放射ビームBaの見掛け放射源サイズを増加させることである。分岐放射ビームBaのエタンデュが、分岐放射ビームBaの半発散度θの2乗と、分岐放射ビームBaの見掛け放射源サイズAとの積に実質的に比例するため、有利なことに、放射改変デバイス1221は分岐放射ビームBaのエタンデュに著しい増加を生じさせる。
[00222] いくつかの実施形態において、放射改変デバイス101を出る修正済み分岐放射ビームBaのエタンデュは、放射改変デバイス101に入る分岐放射ビームBaのエタンデュよりも少なくとも10倍以上大きい可能性がある。いくつかの実施形態において、放射改変デバイス101を出る修正済み分岐放射ビームBaのエタンデュは、放射改変デバイス101に入る分岐放射ビームBaのエタンデュよりも桁違いに大きい可能性がある。例えば、いくつかの実施形態において、放射改変デバイスを出る修正済み分岐放射ビームBaのエタンデュは、放射改変デバイス101に入る分岐放射ビームBaのエタンデュの少なくとも1×104、1×106、又は1×108倍とすることができる。いくつかの実施形態において、放射改変デバイス101は、放射改変デバイスから出力される分岐放射ビームBaのエタンデュが約1×10−8m2よりも大きいエタンデュを有するように、分岐放射ビームBaのエタンデュを増加させるように構成可能である。例えば、放射改変デバイス101は、放射改変デバイス101から出力される分岐放射ビームBaのエタンデュが、およそ3×10−8又は5×10−8m2であるように、分岐放射ビームBaのエタンデュを増加させるように構成可能である。
[00223] 放射改変デバイスから出力される修正済み分岐放射ビームBaのエタンデュは、修正済み放射ビームBaが例えば中間焦点IFで集束できる最小スポットサイズを抑制することができる。修正済み放射ビームBaが中間焦点IFで集束されるスポットサイズは、修正済み分岐放射ビームBaのエタンデュ、及び修正済み放射ビームBaを集束させる集束光学系の焦点長に依存する。いくつかの実施形態において、所望の発散度を有する修正済み分岐放射ビームBaをリソグラフィ装置に提供することが望ましい可能性がある。例えば、約0.2ラジアンの半発散度θを有する修正済み分岐放射ビームBaを、リソグラフィ装置に提供することが望ましい可能性がある。分岐放射ビームBaを中間焦点IFに集束させる集束光学系の焦点長は、(中間焦点IFを通過して)リソグラフィ装置LAaに入る分岐放射ビームBaの発散度が所望の発散度に近いように、構成可能である。修正済み分岐放射ビームBaが中間焦点IFに集束される時に、中間焦点IFでの修正済み分岐放射ビームBaのスポットサイズが中間焦点IFでの所望のスポットサイズよりも大きくないように、修正済み分岐放射ビームBaのエタンデュを制限することが望ましい可能性がある。
[00224] 分岐放射ビームBaのエタンデュにおける増加を、正方形の断面を有し、曲がりを含まない、放射改変デバイス1011の特定の実施形態を参照しながら上記で述べてきたが、図8Aに示された実施形態とは異なって構成された(例えば、異なる断面形状を有し、且つ/又は1つ以上の曲がりを含む)放射改変の他の実施形態も、図8A及び図8Bを参照しながら上記で説明した様式と同様に、分岐放射ビームBaのエタンデュにおける増加を生じさせることができる。
[00225] 図8Bを参照しながら前述したように、放射改変デバイス1011の第2の開口1221から出力される放射は、各々が放射改変デバイス1011の第2の開口1221全体を照明する複数の仮想ポイント放射源1351から発出する放射と等価である。図8Cは、放射改変デバイス1011のダウンストリームに存在し、z方向に対して垂直な平面1291から見た場合の、仮想ポイント放射源1351の概略図である。図8Cから、第2の開口1221から出力される放射は、放射改変デバイス1011周辺にx及びy方向に延在する、仮想ポイント放射源1351の正方形の均一グリッドから発出する放射と等価であることがわかる。
[00226] 前述のように、各仮想ポイント放射源1351は、放射改変デバイス1011の第2の開口1221全体を照明する。放射改変デバイス1011から出力される放射の形状及び範囲を実証するために、仮想ポイント放射源1351のコーナーを形成する4つの仮想ポイント放射源1351a、1351b、1351c、及び1351dから発出する放射は、図8Cでは線1371a、1371b、1371c、及び1371dで示される。平面1291内のコーナーの仮想ポイント放射源1351a、1351b、1351c、及び1351dの各々から発出する放射の断面範囲は、図8Cでは、破線ボックス1391a、1391b、1391c、及び1391dで示される。コーナーの仮想ポイント放射源1351a、1351b、1351c、及び1351dから発出する放射は、放射改変デバイス1011の第2の開口1221のダウンストリームの平面1291内に、修正済み分岐放射ビームBaの範囲のコーナーを形成する。平面1291内の修正済み分岐放射ビームBaの範囲は、図8Cでは破線ボックス1399で示される。図8Cから、平面1291内の修正済み分岐放射ビームBaは正方形の断面形状を有することがわかる。
[00227] 一般に、放射改変デバイスから出力される修正済み分岐放射ビームBaの断面形状は、放射改変デバイスの断面形状に対応する。他の実施形態において、放射改変デバイスは正方形以外の断面形状を有することができる。例えば、放射改変デバイスのいくつかの実施形態は、(例えば、図5に示されるように)楕円形又は円形の断面形状を有することができる。他の実施形態において、放射改変デバイスは、多角形の断面形状を有することができる。例えば、放射改変デバイスの断面形状は、三角形、四角形、五角形、六角形、又は別の多角形とすることができる。いくつかの実施形態において、放射改変デバイスの断面形状はその長さに沿って変形可能である。例えば、放射改変デバイスの断面積はその長さに沿って増加可能である。
[00228] 放射改変デバイスの断面形状は、仮想放射源ポイント1351の分布、及び放射改変デバイス1011から出力される修正済み分岐放射ビームBaの断面形状の、両方を決定する。したがって放射改変デバイスの断面形状は、所望の断面形状を有する修正済み分岐放射ビームBaを提供するために選択可能である。例えば、放射改変デバイスの断面形状は、修正済み分岐放射ビームBaが中間焦点IFを通過した後に入射する、視野ファセットミラー10の断面形状と合致するように選択可能である。
[00229] いくつかの実施形態において、修正済み分岐放射ビームBaが入射する視野ファセットミラー10は、一般に円形形状を有する。こうした実施形態において、修正済み分岐放射ビームBaの形状が視野ファセットミラー10の形状に対応するような、一般に円形の断面形状を有する放射改変デバイスを使用することができる。視野ファセットミラー10の断面形状に対応する断面形状を有する修正済み分岐放射ビームBaを提供することで、視野ファセット上に入射せず、したがって瞳ファセットミラー11に誘導されないため、分岐放射ビームBaから失われる、分岐放射ビームBaのいずれかの範囲を減少させる一方で、視野ファセットミラー10を形成する視野ファセットのすべてを、分岐放射ビームBaを用いて照明することができる。
[00230] しかしながら、いくつかの適用例では、多角形の断面形状を有する放射改変デバイスを使用することが望ましい可能性がある。多角形の断面形状を有する放射改変デバイスは、その角度及び空間強度プロファイルが、円形又は楕円形の断面形状を有する放射改変デバイスから出力される修正済み分岐放射ビームBaの角度及び空間強度プロファイルよりも均一である(同じ入力分岐放射ビームBaを想定する)、修正済み分岐放射ビームBaを出力することができる。したがって、均一な角度及び空間強度プロファイルを有する分岐放射ビームBaを提供することが望ましい実施形態では、多角形の断面形状を有する放射改変デバイスを使用することが望ましい可能性がある。こうした実施形態において、分岐放射ビームBaの断面形状と視野ファセットミラー10の断面形状との間の差に起因して分岐放射ビームBaから失われる放射を減少させるために、相対的に視野ファセットミラー10の断面形状に類似の多角形を使用することができる。例えば、視野ファセットミラー10が一般に円形の形状を有する実施形態において、六角形の断面を有する放射改変デバイスを使用することができる。六角形の断面を有する放射改変デバイスの使用によって、例えば、正方形の断面を有する放射改変デバイスの使用と比較した場合、分岐放射ビームBaの断面形状と視野ファセットミラー10の断面形状との間の差に起因して放射ビームBaから失われる放射の量を減少させることができる。
[00231] 他の実施形態において、視野ファセットミラー10は一般に円形形状以外の形状を有することができる。例えば、いくつかの実施形態において、視野ファセットミラー10は一般に矩形の形状を有することができる。こうした実施形態において、視野ファセットミラー10の断面形状に類似の断面形状を有する分岐放射ビームBaを提供するために、矩形の断面を有する放射改変デバイスを使用することができる。
[00232] 放射改変デバイスから出力される修正済み分岐放射ビームBaの断面形状に対する、放射改変デバイスの断面形状の影響に加えて、放射改変デバイスの形状及び寸法が、放射改変デバイスから出力される修正済み分岐放射ビームBaの他の特性に影響を与える可能性がある。例えば、放射改変デバイスの形状及び寸法は、放射改変デバイスによって引き起こされる分岐放射ビームBaを形成する光線127の空間的スクランブリングの度合いに影響を与える可能性がある。
[00233] 図5を参照しながら上記で述べたように、放射改変デバイスのいくつかの実施形態は、少なくとも1つの曲がりを含むことができる。放射改変デバイスに曲がりを含めることで、分岐放射ビームBaを形成する光線の角度の広がりを変化させることができる。光線が放射デバイス内の曲がりに沿って進む際、光線と放射改変デバイスの断面中心に沿って延在する光軸とが形成する角度が変化する可能性があるため、光線が放射改変デバイスに沿って伝搬する際、各光線と光軸とが形成する角度はもはや一定に保たれない。結果として、放射改変デバイスの第2の開口で光線と光軸とが形成する角度の範囲は、放射改変デバイス内に曲がりが存在することによって増加され得る。例えば、光線と光軸とが形成する最大角度は、放射改変デバイスにおける曲がりの曲がり角αに実質的に等しい量だけ増加され得る。光線と光軸とが形成する角度の範囲の増加が、放射改変デバイスから出力される修正済み分岐放射ビームBaの発散度を増加させることができ、したがって修正済み分岐放射ビームBaのエタンデュの更なる増加を生じさせることができる。
[00234] 光線と放射改変デバイスの光軸とが形成する角度の範囲の増加は、各光線が放射改変デバイスの内部表面上に入射するかすめ角の範囲の増加も生じさせる。各光線が放射改変デバイスの内部表面上に入射するかすめ角の範囲を増加させることで、光線が放射改変デバイスを介して伝搬する異なる経路の多様性を増加させることが可能であり、したがって、放射改変デバイスによって引き起こされる光線の空間的スクランブリングを増加させることが可能である。したがって、放射改変デバイスに1つ以上の曲がりを含めることで、放射改変デバイスによって引き起こされる分岐放射ビームBaの光線の空間的スクランブリングを増加させることができる。
[00235] 前述し、図に示してきた実施形態において、分岐放射ビームは、分岐放射ビームBaが放射改変デバイスに入る前に放射改変デバイスの光軸上に存在する焦点に集束される。例えば、図8Aに示される実施形態において、分岐放射ビームBaは、放射改変デバイス1011の光軸1331上に存在する焦点1081に集束される。しかしながらいくつかの実施形態において、分岐放射ビームBaは、放射改変デバイスの光軸上に存在しない焦点に集束されることが可能である。
[00236] 図9は、分岐放射ビームBaの焦点1081が放射改変デバイス1011の光軸1331上に存在しない放射改変デバイス1011に入る、分岐放射ビームBaを示す概略図である。放射改変デバイス1011の光軸1331は、チューブ1251の断面中心に沿って延在する。光軸1331は、第1及び第2の開口1211及び1221を介してチューブ1251の内部及び外部へと延在する。図9に示されるように、分岐放射ビームBaは、光軸1331上に存在しない焦点1081に集束される。焦点1081が光軸1331から離れている量は、軸外角βによって数値化可能である。軸外角βは、光軸1331と、焦点1081と光軸1331が第1の開口1211を通過する光軸1331上の位置1312との間に延在する線1311との間に、形成される角度である。いくつかの実施形態において、軸外角βは、放射改変デバイス1011に入る分岐放射ビームBaの半発散度θと実質的に同じであるか、又はこれよりも大きいものとすることができる。
[00237] 放射改変デバイスの光軸1331上に存在しない焦点に分岐放射ビームBaを(図9に示されるように)集束させることで、光線127と光軸とが形成する角度の範囲を増加させること、及び、光線が放射改変デバイスの内部表面上に入射するかすめ角の範囲を増加させることが可能である。したがって、放射改変デバイスの光軸上に存在しない焦点に分岐放射ビームを集束させることで、放射改変デバイスから出力される修正済み分岐放射ビームBaの発散度を増加させること、及び、放射改変デバイスによって引き起こされる光線の空間的スクランブリングを増加させることが可能である。特に、光軸上に存在しない、放射改変デバイスに入る分岐放射ビームBaの半発散度θと実質的に同じであるか又はこれよりも大きい軸外角βを有する焦点に、分岐放射ビームBaを集束させることで、結果として、放射改変デバイス1011内に望ましい量の空間的スクランブリングを生じさせることができる。
[00238] 追加又は代替として、光線と光軸とが形成する角度の範囲、及び光線が放射改変デバイスの内部表面上に入射するかすめ角の範囲は、放射改変デバイスの第1の開口に入る分岐放射ビームBaの発散度を増加させることによって、増加させることが可能である。例えば、放射改変デバイスに入る分岐放射ビームBaの発散度を増加させるために、分岐放射ビームBaが放射改変デバイスに入る前に分岐放射ビームBaを集束させるように構成された1つ以上の集束光学系(例えば、図4に示された第1の集束光学系107)の焦点長を、減少させることができる。
[00239] 上記では、分岐放射ビームBaの光線127が放射改変デバイスの内部表面上に入射するかすめ角の範囲を増加させることが可能な実施形態を説明してきた。しかしながら、放射改変デバイスの内部表面の反射性は、放射が内部表面上に入射するかすめ角の強い関数とすることができる。特に、放射改変デバイスの内部表面の反射性は、かすめ角の増加に伴って減少し得る。したがって、放射が放射改変デバイスの内部表面上に入射するかすめ角の増加は、放射改変デバイスの内部表面で反射される放射の量の減少につながり得、分岐放射ビームBaが放射改変デバイスに沿って伝搬する際に分岐放射ビームBaから失われる放射の量の増加につながり得る。
[00240] いくつかの実施形態において、放射改変デバイスの内部表面は、反射コーティングが配設される基板(例えば、シリコン基板)を備える。例えば、放射改変デバイスの内部表面を形成するために、ルテニウムコーティングの平滑なコーティングを基板上に配設することができる。ルテニウムコーティングからの反射時の吸収に起因して失われるEUV放射の量は、EUV放射がルテニウムコーティング上に入射するかすめ角に実質的に比例し得る。例えば、かすめ角のミリラジアン当たりのルテニウムコーティングからの反射時の吸収に起因して、EUV放射のおよそ0.06%が失われる可能性がある。
[00241] いくつかの実施形態において、ルテニウム以外のコーティングが使用可能である。例えば、モリブデンを含むコーティングが使用可能である。他の実施形態において、第1及び第2の材料が交互に重なった層を備える、多層コーティングが使用可能である。第1の材料は、例えばモリブデンとすることができる。第2の層は、例えばシリコンとすることができる。いくつかの実施形態において、第3の材料の1つ以上の層を第1及び第2の材料に点在させることができる。例えば、第3の材料の層を第1及び第2の材料の各層の間に位置決めすることができる。第3の材料は、例えばB4Cとすることができる。いくつかの実施形態において、第1の材料はMo2Cとし、第2の材料はシリコンとすることができる。多層コーティングを備える放射改変デバイスは、例えば、約200ミリラジアンより大きいかすめ入射角で、EUV放射を受け取って反射するのに好適であり得る。
[00242] いくつかの実施形態において、放射改変デバイスに入る際の分岐放射ビームBaの発散度、放射改変デバイスにおける曲がりの曲がり角α、及び/又は、分岐放射ビームBaの焦点が放射改変デバイスの光軸から離れて配置される範囲は、光線127が放射改変デバイスの内部表面上に入射する最大かすめ角を制限するために、制限することができる。内部表面での反射時に吸収される放射の量はかすめ角の増加と共に増加するため、最大かすめ角を制限することで、吸収に起因して分岐放射ビームBaから失われる放射の量を制限することができる。いくつかの実施形態において、放射改変デバイスにおける曲がりの曲がり角αは、およそ5度未満とすることができる。いくつかの実施形態において、放射改変デバイスにおける曲がりの曲がり角αは、約2度未満とすることができる。
[00243] いくつかの実施形態において、曲がり角αは、分岐放射ビームBaが放射改変デバイスに入る際に、分岐放射ビームBaの半発散度θに実質的に等しいか又はこれよりも大きいものとすることができる。いくつかの実施形態において、曲がり角αは、放射改変デバイスを介して直接の見通し線が提供されないほど、十分に大きいものとすることができる。こうした実施形態では、放射が放射改変デバイスの内部表面で反射を受けることなく、放射改変デバイスを介してそれに沿って伝搬できる光路は存在しない。
[00244] 放射改変デバイスの実施形態は、およそ1mの長さ及びおよそ1mmの直径を有するチューブを備えることができる。チューブはおよそ10ミリラジアンの曲がり角を含むことができる。放射改変デバイスは、平滑なルテニウムコーティングを備える内部表面を含むことができる。こうした実施形態において、分岐放射ビームBaがおよそ10ミリラジアンの半発散度θで放射改変デバイスに入るように、放射改変デバイスの光軸上に位置決めされた焦点に分岐放射ビームBaが集束される場合、分岐放射ビームBaのおよそ5%が内部表面での吸収によって失われる可能性がある。
[00245] 放射改変デバイスの代替実施形態は、およそ1mの長さ及びおよそ4mmの直径を有するチューブを備えることができる。チューブはおよそ20ミリラジアンの曲がり角を含むことができる。放射改変デバイスは、平滑なルテニウムコーティングを備える内部表面を含むことができる。こうした実施形態において、分岐放射ビームBaは、軸外角βがおよそ20ミリラジアンであるように、放射改変デバイスの光軸上に位置決めされていない焦点に集束され得る。分岐放射ビームBaは、およそ20ミリラジアンの半発散度θで放射改変デバイスに入ることができる。こうした実施形態において、分岐放射ビームBaの発散度は、放射改変デバイスから出力される分岐放射ビームBaの半発散度がおよそ60ミリラジアンであるように、放射改変デバイスによって増加させることが可能である。放射改変デバイスは、放射改変デバイスから出力される分岐放射ビームBaのエタンデュが、放射改変デバイスに入力される分岐放射ビームBaのエタンデュよりも1×108倍程度大きいように、分岐放射ビームBaのエタンデュを増加させることができる。放射改変デバイスのこうした実施形態は、結果として、分岐放射ビームBaのパワーのおよそ15%を内部表面での吸収によって失わせることになる可能性がある。
[00246] 他の実施形態において、分岐放射ビームBaは、およそ20ミリラジアン以外の半発散度θで放射改変デバイスに入ることができる。いくつかの実施形態において、半発散度θは、例えば約10ミリラジアンより大きいものとすることができる。いくつかの実施形態において、半発散度θは、例えば約100ミリラジアン未満とすることができる。いくつかの実施形態において、放射改変デバイスは曲がりを含まず、放射改変デバイスを出る放射の発散度は放射改変デバイスに入る放射の発散度と実質的に同じとすることができる。
[00247] 内部表面での吸収によって失われる放射の量は、例えば、放射改変デバイスに入る際の分岐放射ビームBaの発散度を減少させること、放射改変デバイスにおける曲がりの曲がり角を減少させること、及び/又は、分岐放射ビームBaの各光線が内部表面で受ける反射の回数を減少させるように、放射改変デバイスの寸法を改変することによって、減少させることができる。しかしながら、前述のように、分岐放射ビームBaの発散度の増加、放射改変デバイスにおける曲がりの曲がり角αの増加、及び/又は、各光線が内部表面で受ける反射の回数の増加が、他の有利な効果をもたらす可能性がある。したがって、放射改変デバイスの内部表面での分岐放射ビームBaの吸収によって引き起こされる放射の損失を減少させながら、分岐放射ビームBaの有利な修正をもたらすように、放射改変デバイスの寸法、及び、放射改変デバイスへの分岐放射ビームBaの入力に先立つ分岐放射ビームBaの集束を選択することができる。
[00248] 上記の考察から、放射改変デバイスが、放射改変デバイスによって引き起こされる分岐放射ビームBaの修正に各々が影響を与える、様々な異なる形状及び寸法で構成可能であることを理解されよう。放射改変デバイスの形状及び寸法は、分岐放射ビームBaの望ましい修正を提供するように、特定の適用例に適合できることを理解されよう。
[00249] 前述のように、放射改変デバイスの内部表面での放射の吸収を介して分岐放射ビームBaから失われる放射の量を減少させることが望ましい。放射改変デバイスの内部表面が汚染された場合、分岐放射ビームBaからの放射の損失は増加する可能性がある。例えば、使用中、放射改変デバイスの内部表面上に粒子及び/又は分子が堆積する可能性がある。例えば、放射改変デバイスの内部表面上に炭素分子が堆積し、それが内部表面上での炭素層の成長につながる可能性がある。放射改変デバイスの内部表面上に堆積される汚染物が、分岐放射ビームBaからの放射を吸収及び/又は散乱させ、それによって分岐放射ビームBaから放射が失われることになる可能性がある。放射改変デバイスの内部表面の汚染物を減少させるために、内部表面を洗浄することが望ましい。
[00250] 図10は、放射改変デバイス1012の内部表面1232の洗浄を提供する、放射改変デバイス1012の実施形態を示す概略図である。放射改変デバイス1012は、第1のセクション1252a及び第2のセクション1252bを有するチューブ1252を備える。チューブの第1及び第2のセクション1252a、1252bは、EUV放射に対して実質的に反射性のチューブの内部表面1232を画定する。チューブの第1のセクション1252aは、分岐放射ビームBaを受け取るように配置された第1の開口1212を含む。チューブの第2のセクション1252bは、修正済み分岐放射ビームBaを出力するように構成された第2の開口を含む。チューブの第2のセクション1252bは、チューブの第1のセクション1252aから放射を受け取るように配置される。チューブの第1及び第2のセクション1252a、1252bは、それを介してガスをチューブ1252に入れるか又はチューブ1252から出すことが可能なギャップ1412を、第1と第2のセクション1252a、1252bの間に形成するように配置される。放射改変デバイス1012は、ギャップ1412を介してチューブ1252内にガス1452を注入するように構成されたガス供給1432を、更に備える。
[00251] ガス1452は、例えば水素を含むことができる。チューブ1252内に注入される水素ガスに、分岐放射ビームBaからEUV放射が照射され、結果として水素ラジカルが形成され得る。水素ラジカルは極めて反応性に富み、内部表面1232上に堆積され得る汚染物と接触した場合、水素ラジカルは汚染物と反応して気体化合物を発生させる可能性がある。水素ラジカルと汚染物との間の反応から形成される気体化合物は、例えば第1の開口1212又は第2の開口1222を介してチューブ1252から流出し、それによってチューブ1252から汚染物を除去することができる。したがってチューブ内への水素ガスの注入は、チューブ1252の内部表面1232を洗浄する働きをする。
[00252] チューブ1252の第1及び第2のセクション1252a、1252bは、第1の開口1212を介してチューブ1252に入る放射がギャップ1412を介してチューブ1252を出ないように、相互に配置される。図10に示されるように、一連の発散光線127を備える分岐放射ビームBaは、第1の開口1212を介してチューブ1252に入る。光線127は、光線127がチューブ1252の第1のセクション1252aを出て、第2のセクション1252bの内部表面1232上に入射し、ギャップ1412上には入射しないような方向に伝搬するように、内部表面1232で反射(図10には図示せず)を受ける。したがって第1及び第2のセクション1252a、1252bは、ギャップ1412を介して放射が失われないように相互に配置される。
[00253] 図10に示される実施形態において、チューブの第2のセクション1252bは、チューブ1252内に曲がりを形成するように、チューブの第1のセクション1252aに対して角度を成して配置される。しかしながら他の実施形態では、第1及び第2のセクションが曲がりを形成しないように、第2のセクション1252bはチューブの第1のセクション1252aと実質的に同じ方向に延在可能である。
[00254] 前述のように、放射改変デバイスは、分岐放射ビームBaを形成する光線127が放射改変デバイスによって空間的にスクランブルされるように構成可能である。いくつかの実施形態において、放射改変デバイスから出力される修正済み分岐放射ビームBaに対して時間的変動を更に導入することが望ましい可能性がある。
[00255] 図11は、放射改変デバイス1013から出力される修正済み分岐放射ビームBaに対して時間的変動を導入するように構成された、放射改変デバイス1013の実施形態を示す概略図である。放射改変デバイス1012は、分岐放射ビームBaを受け取るように配置された第1の開口と、修正済み分岐放射ビームBaを出力するように配置された第2の開口1223とを有する、チューブ1253を備える。チューブ1253は、EUV放射に対して実質的に反射性の内部表面1233によって画定される。放射改変デバイスは、チューブ12453が振動運動を受けるようにチューブ1253を作動させるように動作可能な、アクチュエータ1453を更に備える。例えばチューブ1253は、第1の位置(図11内に実線で示される)と第2の位置(図11内に破線で示される)との間を反復的に移動することができる。第1と第2の位置の間での移動は、例えば、ピボットポイント1473を中心にチューブ1253を旋回させることを含むことができる。いくつかの実施形態において、アクチュエータ1453は、チューブ1253が円形運動を受けるようにチューブ1253を作動させるように動作可能であり得る。例えばチューブ1253の第1の開口1213は、x−y面内での円形運動を受けることができる。
[00256] チューブ1253の移動は、分岐放射ビームBaの光線127が放射改変デバイス1253の第2の開口1223から出力される位置の変化を生じさせること、及び/又は、光線127が第2の開口1223から出力される際に伝搬する方向の変化を生じさせることが可能である。したがってチューブ1253の移動は、前述の光線127の空間的スクランブリングに加えて、光線127の時間的スクランブリングを生じさせる。したがって、視野ファセットミラー10上に入射する修正済み分岐放射ビームBaの角度及び空間強度プロファイルは、経時的に振動することができる。
[00257] リソグラフィ装置LAa内での基板Wの露光中に、基板Wの各ターゲット部分は所与の露光時間の間、放射に露光される。一般に、基板Wのターゲット部分を、露光時間枠中、所望の放射ドーズに対して露光させることが望ましい。したがってこれは、露光時間枠中に発生する放射の強度におけるいずれかの変動の特質ではなく、重要な露光時間枠中にターゲット部分が露光される放射の強度の不可欠部分である。基板Wの各ターゲット部分が実質的に同じ放射ドーズに露光されることを保証するために、チューブ1253の振動運動の時間枠が基板Wのターゲット部分の露光時間より短いことが望ましい。いくつかの実施形態において、基板Wのターゲット部分の露光時間はおよそ1msとすることができる。こうした実施形態において、振動運動の時間枠が露光時間よりも短いように、チューブ1253の振動運動の周波数は約1kHzよりも大きいものとすることができる。いくつかの実施形態において、振動運動の周波数は約5kHzとするか、又は約5kHzよりも大きいものとすることができる。
[00258] 放射改変デバイス1013から出力される光線127の時間的スクランブリングを導入することは、光線127の空間的スクランブリングを参照しながら上記で述べた理由と同じ理由で有利であり得る。いくつかの実施形態において、光線127の時間的スクランブリングを導入することで、放射改変デバイスの内部表面での吸収に起因する分岐放射ビームBaからの放射の損失を減少させるために、放射改変デバイスの寸法を調整することができる。
[00259] 放射改変デバイスによって引き起こされる光線127の空間的スクランブリングの度合いは、放射改変デバイスの内部表面で光線127が受ける反射の回数と共に増加する。光線127が受ける反射の回数はθL/Dに実質的に比例し得、θは分岐放射ビームBaが放射改変デバイスに入る際の半発散度であり、Lは放射改変デバイスの長さであり、Dは放射改変デバイスを形成するチューブの直径である。したがって、分岐放射ビームBaの発散度を増加させること、放射改変デバイスの長さLを増加させること、及び/又は、放射改変デバイスの直径を減少させることによって、空間的スクランブリングの度合いを増加させることができる。しかしながら、放射改変デバイスの内部表面での吸収に起因して分岐放射ビームBaから失われる放射の量は、θ2L/Dに実質的に比例し得る。したがって、光線127の空間的スクランブリングの度合いを増加させるために、放射改変デバイスの寸法及び/又は分岐放射ビームBaの発散度を改変することで、結果として、吸収に起因して分岐放射ビームBaから失われる放射の量が増加する。
[00260] 放射改変デバイス1013から出力される光線127の時間的スクランブリングを導入することによって、光線127のスクランブリングに関連付けられた有利な効果を依然として達成しながら、放射改変デバイス1013によって引き起こされる空間的スクランブリングの度合いを減少させることができる。したがって、光線127の時間的スクランブリングを導入することによって、放射改変デバイス1013の長さLを減少させること、分岐放射ビームBaの発散度を減少させること、及び/又は、チューブ1253の直径Dを増加させることが可能となり、それによって有利なことに、光線127のスクランブリングに関連付けられた有利な効果を依然として達成しながら、吸収に起因して分岐放射ビームBaから失われる放射の量を減少させることができる。
[00261] 光線127の時間的スクランブリングを導入するために、チューブ1253の振動運動について述べてきたが、いくつかの実施形態において、時間的スクランブリングを導入するために1つ以上の他の光学コンポーネントに振動運動を受けさせることができる。例えば、光線127に時間的スクランブリングを導入するために、第2の集束光学系109及び/又は第3の集束光学系111のうちの1つ以上に振動運動を受けさせるように、1つ以上のアクチュエータを構成することができる。
[00262] 上記で述べてきたように、いくつかの実施形態において、放射改変デバイスから出力される修正済み分岐放射ビームBaは、(例えば、図4に示された第2の集束光学系109及び第3の集束光学系111を用いて)リソグラフィ装置LAaの閉鎖構造内の開口8に位置付けられた中間焦点IFに集束される。図12A及び図12Bは、放射改変デバイスから出力される修正済み分岐放射ビームBaを、視野ファセットミラー10を照明するように中間焦点IFに集束させるために使用可能な、2つの代替集束機構を示す概略図である。
[00263] 図示及び説明を容易にするために、第2の集束光学系109及び第3の集束光学系111は、透過型集束光学系であるとして図12A及び図12Bに示されている。しかしながら実際には、当業者であれば理解されるように、図12A及び図12Bに示される集束機構は反射性集束光学系を使用して実装可能である。図12A及び図12Bに示される2つの集束光学系は、様々なコンポーネント間の距離が異なるという点で、互いに異なる。図12A及び図12Bの各々において、修正済み分岐放射ビームBaが出力される放射改変デバイスの第2の開口122と、第2の集束要素109との間の距離は、L1と標示される。第2の集束要素109と第3の集束要素111との間の距離はL2と標示され、第2の集束要素111と中間焦点IFとの間の距離はL3と標示される。第2の集束光学系109はゼロ未満の焦点長f2を有する。第3の集束光学系111はゼロより大きい焦点長f3を有する。放射改変デバイスの第2の開口122から、視野ファセットミラー10が存在する遠視野面までの修正済み分岐放射ビームBaの経路は、図12A及び図12Bでは、修正済み分岐放射ビームBaを形成する異なる光線127を表す実線及び点線127で示されている。
[00264] 図12Aに示される集束機構において、第2の集束光学系109及び第3の集束光学系111は、修正済み分岐放射ビームBaが出力される第2の開口122のイメージを、視野ファセットミラー10上に形成するように構成される。第2の開口122と第2の集束光学系109との間の距離L1が、光線127が互いに実質的にオーバーラップする前に、修正済み放射ビームBaが第2の集束光学系109に達するほど十分に短いことを保証することによって、第2の開口122のイメージが視野ファセットミラー10上に形成される。これは、第2の開口122と第2の集束光学系109との間の距離L1が、第2の開口での修正済み分岐放射ビームBaの発散度で割った第2の開口122の直径よりも大幅に小さい場合、達成可能である。図12Aに示される集束機構は、第2の開口122のイメージを視野ファセットミラー10上に形成するため、視野ファセットミラー10上に入射する放射の空間強度プロファイルは、第2の開口122での修正済み分岐放射ビームBaの空間強度プロファイルに依存する。
[00265] 図12Aに示される集束機構は、第2の開口122のイメージを視野ファセットミラー10上に形成するように構成されるものと上記で述べてきたが、実際には、第2の開口122の焦点の合ったイメージは中間焦点と視野ファセットミラー10との間に存在する平面内に形成可能である。したがって、視野ファセットミラー10上に形成されるイメージは焦点が合っていない可能性がある。しかしながら、視野ファセットミラー10上に形成されるイメージは焦点が合っていないにも関わらず、視野ファセットミラー10上に入射する放射の強度プロファイルは、依然として、第2の開口122での修正済み分岐放射ビームBaの空間強度プロファイルに主に依存し得る。
[00266] 図12Aに示される集束機構に対して、図12Bに示される集束機構では、第2の開口122と第2の集束光学系109との間の距離L1は、図12Aに示される集束機構における距離L1よりもかなり長い。したがって、修正済み分岐放射ビームBaが出力される第2の開口122のイメージは、もはや視野ファセットミラー10上に形成されず、代わりに中間焦点IF近くに形成される。第2の開口122のイメージが中間焦点IF近くに形成されるため、視野ファセットミラー10上に入射する放射は、第2の開口122での修正済み分岐放射ビームBaの角度強度プロファイルに依存する。
[00267] 典型的には、第2の開口122での分岐放射ビームBaの空間強度プロファイルは、第2の開口122での分岐放射ビームBaの角度強度プロファイルよりも均一である。したがって図12Aに示される集束機構は、有利には、結果として、図12Bに示される集束機構に起因して視野ファセットミラー10で形成される空間強度プロファイルよりも均一な空間強度プロファイルを、視野ファセットミラー10に生じさせる。
[00268] 前述のように、図12A及び図12Bに示される実施形態において、第2の集束光学系109は負の集束パワー(ゼロ未満の焦点長)を有し、第3の集束光学系111は正の集束パワー(ゼロより大きい焦点長)を有する。図12Cは、視野ファセットミラー10を照明するために放射改変デバイスから出力される修正済み分岐放射ビームBaを集束させるために使用可能な集束機構の更なる実施形態を示す概略図である。図12Cに示される集束機構は、第2の集束光学系109’及び第3の集束光学系111’を備え、どちらも正の集束パワー(ゼロより大きい焦点長)を有する。第2の集束光学系109’は、イメージ面110’で放射改変デバイスの第2の開口122の拡大イメージを形成するように構成される。第3の集束光学系111’は、イメージ面110’で形成されるイメージを視野ファセットミラー10上に集束させるように構成される。したがって図12Cに示される集束機構は、放射改変デバイスの第2の開口122のイメージを視野ファセットミラー10上に集束させる。
[00269] 前述のように、第2の開口122での分岐放射ビームBaの空間強度プロファイルは、典型的には、分岐放射ビームBaの角度強度プロファイルよりも均一である。したがって第2の開口122のイメージを視野ファセットミラー10上に形成することは、有利には、結果として比較的均一な視野ファセットミラー10での空間強度プロファイルを生じさせることができる。図12Cに示され、どちらも正の集束パワーを有する2つの集束光学系を含む集束配置は、有利には、視野ファセットミラー10で形成される第2の開口122のイメージを、視野ファセットミラー10で実質的に焦点合わせさせることができる。すなわち、図12Cの集束機構は、有利には、第2の開口122のイメージを、視野ファセットミラー10が存在する平面と実質的に一致する焦点面内に形成させることができる。これは、第2の開口122のイメージの焦点面が中間焦点IF又はその近く(図12B)に存在するか、或いは中間焦点IFと視野ファセットミラー10との間(図12A)に存在する、図12A及び図12Bの集束機構とは対照的である。前述のように、第2の開口122の焦点の合ったイメージを実質的に視野ファセットミラー10に形成することは、有利には、視野ファセットミラー上に入射する放射の空間的均一性を(焦点面が視野ファセットミラー10の前に存在するイメージを形成することに比べて)増加させることができる。したがって図12Cに示される集束機構は、いくつかの実施形態において、図12A及び図12Bに示される集束機構によって視野ファセットミラー10で提供される空間強度分布よりも均一な空間強度分布を、視野ファセットミラー10で提供することができる。
[00270] 図12Cに示されるように、第2の集束光学系109’及び第3の集束光学系111’は、すべての光線127が実質的に中間焦点IFを通過するように、分岐放射ビームBaの光線127を集束させるように構成される。図12Cに示される中間焦点IFは焦点と呼ばれるが、図12Cの実施形態では、光線127は単一の焦点に集束されず、分岐放射ビームBaは中間焦点IFで焦点が合っていない。したがって図12Cの実施形態において、中間焦点IFは焦点ではなく、単にすべての光線127が通過する領域を表す。光線127が通過する領域は、例えば、リソグラフィ装置LAの閉鎖構造内の開口8と一致する。
[00271] 「中間焦点」という用語は、本書全体を通じて、放射ビーム(例えば、分岐放射ビームBa)の光線127が通過するように誘導される領域を言い表すために使用される。いくつかの実施形態において、中間焦点IFは焦点とすることができる。他の実施形態では、中間焦点IFは非ゼロエリアを有する領域とすることができる。中間焦点IFは、中間焦点IFを通過する光線127がアパーチャ8も通過してリソグラフィ装置LAに入るような、リソグラフィ装置LAの閉鎖構造内の開口8と一致することができる。
[00272] 図12Cに示されるタイプの集束機構は、いくつかの異なる方法で実装可能である。例えば、第2及び第3の集束光学系109’及び111’の焦点長、並びに、第2の開口122、集束光学系109’、111’、中間焦点IF、及び視野ファセットミラー10の間の分離は、異なる実施形態において異なるように構成可能である。
[00273] 単なる例として提示された実施形態において、放射改変デバイス122の第2の開口122は、およそ4mmの直径を有し、図12Cに示されるタイプの集束機構を使用して視野ファセットミラー10上にイメージング可能である。こうした実施形態において、第2の開口122と第2の集束光学系109’との間の距離L1は、およそ109mmとすることができる。第2の集束光学系109’の焦点長f2は、およそ104mmとすることができる。第2の集束光学系109’と第3の集束光学系111’との間の距離L2は、およそ2.5mとすることができる。第3の集束光学系111’の焦点長f3は、およそ190mmとすることができる。第3の集束光学系111’と中間焦点IFとの間の距離L3は、およそ209mmとすることができる。中間焦点IFと視野ファセットミラー10との間の距離L4は、およそ1mとすることができる。
[00274] 説明しやすいように、図12cに示された集束機構の表現において、第2の集束光学系109’及び第3の集束光学系111’は、透過型集束光学系であるとして示されている。しかしながら、当業者であれば、図12Cに示された集束機構は反射型光学系を使用して実装可能であることを理解されよう。例えば、第2の集束光学系109’及び/又は第3の集束光学系111’はミラーとすることができる。いくつかの実施形態において、第2の集束光学系109’及び/又は第3の集束光学系111’はかすめ入射ミラーとして実装可能である。第2の集束光学系109’及び/又は第3の集束光学系111’は、実質的に楕円形状を有する反射表面を有することができる。いくつかの実施形態において、第2の集束光学系109’及び/又は第3の集束光学系111’は、実質的に楕円形ではない最適化された自由形状を有する反射表面を有することができる。
[00275]図12A〜図12Cに示される実施形態は、各々2つの集束光学系を備える。他の実施形態では、単一の集束機構のみを使用して好適な集束機構が実現可能である。図12A〜図12Cの実施形態において、放射改変デバイスの第2の開口122は、比較的大きな倍率でイメージ面上にイメージングすることができる。単一の集束光学系を使用してこうした拡大を達成するためには、単一の集束光学系を第2の開口122の直近に位置決めする必要がある。こうした実装は、かすめ入射角で放射を受け取る反射集束要素を使用する場合は非実用的であり得る。複数の集束光学系を使用することで、有利には、第2の開口122からより長い距離に集束光学系を位置付けることができる。これにより、かすめ入射反射型光学系を使用できるようになる。しかしながら、代替実施形態において、放射改変デバイスの第2の開口122がイメージ面上にイメージングされる倍率は、図12A〜図12Cに示されるよりも小さい倍率とすることができる。これによって、単一の集束光学系を使用して集束機構を実用的に実装することができる。
[00276] 図12Dは、第2の集束光学系109’及び/又は第3の集束光学系111’が、各々が実質的に楕円形の反射表面を有するかすめ入射ミラーとして実装される、図12Cの集束機構の実施形態を示す概略図である。分岐放射ビームBaが放射改変デバイスの第2の開口122から出力され、第2の反射集束光学系109’上に入射する。第2の反射集束光学系109’は第1の焦点1091及び第2の焦点1092を有する。第1の焦点1091は、実質的に放射改変デバイスの第2の開口122によって画定される平面内に存在する。第2の焦点1092は、第2の開口122のイメージが形成されるイメージ面110’内に存在する。
[00277] 第3の反射集束光学系111’は、第1の焦点1111及び第2の焦点1112を有する。第3の反射集束光学系111’の第1の焦点1111は、第2の集束光学系111’の第2の焦点1092と実質的に一致する。第3の反射集束光学系111’の第2の焦点1112は、実質的に視野ファセットミラー10によって画定される平面内に存在する。したがって第2の集束光学系111’は、イメージ面110’のイメージを視野ファセットミラー10に形成する。第2の集束光学系111’は、図12Dの実施形態ではすべての光線がそれを介して誘導される領域を備える中間焦点IFを介して、分岐放射ビームBaを誘導する働きもする。中間焦点IFは、例えば、リソグラフィ装置LAの閉鎖構造内の開口8と一致するものとすることができる。
[00278] 図12Dの実施形態の反射集束光学系109’、111’は、各々、実質的に楕円形状を有する反射表面を備える。楕円反射表面は、第1の焦点から第2の焦点へ放射をイメージングするように構成される。例えば、第2の集束光学系109’は、その第1の焦点1091からその第2の焦点1092へ放射をイメージングする。しかしながら図12Dの実施形態では、楕円反射表面は、点に対して面をイメージングするように配置される。例えば、第2の集束光学系109’は、第2の開口122によって画定された平面のイメージをイメージ面110’内に形成するように配置される。楕円反射表面を用いて平面のイメージを形成する結果として、イメージ面110’内に形成されるイメージは、例えばコマ収差及び/又は他のより高次の収差に起因してぼけることになる。同様に、視野ファセットミラー10で形成されるイメージもぼけることになる。
[00279] ぼけイメージを視野ファセットミラーで形成することは、いくつかの実施形態では受け入れ可能であり、いずれの実質的に不利な効果も引き起こさないことができる。しかしながら、他の実施形態では、収差(例えばコマ収差)は不利な効果を引き起こす可能性がある。例えば収差は、何らかの放射に中間焦点IFを通過させない場合があり、結果として中間焦点IFで分岐放射ビームBaからの放射が失われる可能性がある。追加又は代替として、収差は、視野ファセットミラー10での分岐放射ビームBaの断面形状を、視野ファセットミラー10とは異なる断面形状にする可能性がある。分岐放射ビームBaと視野ファセットミラー10との断面形状の不一致は、結果として、視野ファセットミラー112で分岐放射ビームBaからの放射が失われることになり得る。
[00280] 視野ファセットミラー10で形成されるイメージ内に存在する収差は、一般にWolter望遠鏡の形で構成される反射要素を使用することで、減少させることができる。Wolter望遠鏡は、イメージ面にソース面のイメージを形成するように構成されたかすめ入射ミラーの配置である。Wolter望遠鏡によってイメージングされるソース面は、Wolter望遠鏡から遠い距離(無限遠距離と見なすことができる)に位置付けることが可能であり、ソース面がイメージングされるイメージ面は、Wolter望遠鏡の比較的近くに位置付けることができる。代替として、Wolter望遠鏡によってイメージングされるソース面は、Wolter望遠鏡の比較的近くに位置付けることが可能であり、ソース面がイメージングされるイメージは、Wolter望遠鏡から遠い距離(無限遠距離と見なすことができる)に位置付けることが可能である。
[00281] 典型的には、「Wolter望遠鏡」という用語は、楕円形状を有する反射要素及び放物形状を有する反射要素を備える配置を言い表すために使用可能である。反射要素は、近隣の平面を無限遠の平面に、又は無限遠の平面を近隣の平面にイメージングするように、構成可能である。本明細書で説明するWolter望遠鏡は、大きな共役面(無限遠ではない)を近隣の平面にイメージングするように、又はその逆に構成されるという点で、従来のWolter望遠鏡とは異なる可能性がある。本明細書で説明するWolter望遠鏡は、例えば、楕円形状を有する第1の反射要素、及び放物形に近い楕円形状を有する第2の反射要素を備えることができる。
[00282] 図12Eは、放射改変デバイスの第2の開口122のイメージが、Wolter望遠鏡の形に配置された光学系を使用して視野ファセットミラー10上にイメージングされる、実施形態を示す概略図である。図12Eに示される実施形態において、第2及び第3の集束光学系109’及び111’は、各々、2つの反射要素を備えるWolter望遠鏡を備える。第2の集束光学系109’を形成するWolter望遠鏡は、第1の反射要素109a’及び第2の反射要素109b’を備える。第3の集束光学系111’を形成するWolter望遠鏡は、第3の反射要素111a’及び第4の反射要素111b’を備える。
[00283] 第1及び第2の反射要素109a’及び109b’は、共に、Wolter望遠鏡の比較的近くに位置付けられた平面を、Wolter望遠鏡から無限遠距離に位置付けられた平面上にイメージングするように構成された、Wolter望遠鏡を形成する。イメージ面110’は、第2の集束光学系109’を形成するWolter望遠鏡から無限遠距離にはない。したがって、第2の開口122はイメージ面110’上に完全にイメージングされないことになる。しかしながら、第2の開口122と第2の集束光学系109’との間の距離と、第2の集束光学系109’とイメージ面110’との間の距離との比率は、第2の開口122のイメージが比較的少ない収差でイメージ面110’に形成されるように、十分小さいものとすることができる。例えば、イメージ面110’に第2の開口122のイメージを形成するために(図12Eに示されるように)Wolter望遠鏡を使用することで、イメージを形成するために(図12Dに示されるように)楕円形ミラーを使用することに比べて、イメージ内に存在するいずれの収差(例えばコマ収差)も減少させることができる。
[00284] 第1及び第2の反射要素109a’及び109b’から形成されるWolter望遠鏡と同様に、第3及び第4の反射要素111a’及び111b’は、共に、Wolter望遠鏡の比較的近くに位置付けられた平面を、Wolter望遠鏡から無限遠距離に位置付けられた平面上にイメージングするように構成された、Wolter望遠鏡を形成する。イメージ面110’と第3の集束光学系111’との間の距離と、イメージ面111a’と視野ファセットミラー10との間の距離との比率は、イメージ面110’のイメージが比較的少ない収差で視野ファセットミラー10に形成されるように、十分小さいものとすることができる。例えば、イメージを形成するために(図12Eに示されるように)Wolter望遠鏡を使用する場合、イメージを形成するために(図12Dに示されるように)楕円形ミラーを使用することに比べて、視野ファセットミラーに形成されるイメージ内に存在する収差を減少させることができる。
[00285] 図12Eに示された実施形態に関連して前述したように、1つ以上のWolter望遠鏡の形で配置された光学系要素は、有利には、視野ファセットミラー10に形成される第2の開口122のイメージにおける収差を減少させることができる。図12Eに示される実施形態において、第2及び第3の集束光学系109’及び111’を形成するWolter望遠鏡は、どちらもIII型のWolter望遠鏡である。他の実施形態において、(回転対称の)I型及び/又はII型のWolter望遠鏡を使用して、視野ファセットミラー10に第2の開口122のイメージを形成することができる。
[00286] 上記で、分岐放射ビームBaがリソグラフィ装置LAaに提供される前に分岐放射ビームBaを受け取るように配置された放射改変デバイスとの関連において、放射改変デバイスの実施形態を説明してきた。しかしながら、放射改変デバイスの実施形態は、追加又は代替として、有利には他の目的で、及び前述した位置とは異なるリソグラフィシステム内での位置で、使用可能である。例えば、図1を参照しながら述べたように、リソグラフィシステムLSは、メイン放射ビームBを複数の分岐放射ビームBa〜Bnに分割するように構成されたビーム分割光学系を備える、ビームデリバリシステムBDSを含むことができる。以下で更に詳細に述べるように、放射改変デバイスは、追加又は代替として、有利には、メイン放射ビームBがビーム分割光学系に提供される前にメイン放射ビームBを修正するために使用可能である。
[00287] 図13は、放射改変デバイス1014の実施形態のダウンストリームに配置された、ビーム分割装置2001を示す概略図である。放射改変デバイス1014は、メイン放射ビームBを受け取るように配置される。メイン放射ビームBは、例えば、少なくとも1つの自由電子レーザFELを備える放射源SOから出力され得る。メイン放射ビームBは、放射改変デバイス1014に提供される前に、第4の集束光学系2003及び第5の集束光学系2004上に入射する。説明しやすいように、図13において、第4の集束光学系2003及び第5の集束光学系2004は透過型光学系として示されているが、実際には、第4の集束光学系2003及び第5の集束光学系2004は、当業者であれば良く理解されるように反射型光学系として実装可能である。
[00288] 第4の集束光学系2003及び第5の集束光学系2004は、共に、メイン放射ビームBを拡張するように構成される。第4の集束光学系2003は、メイン放射ビームBの断面を拡張するためにメイン放射ビームB内に発散度を導入するように構成される。例えば第4の集束光学系2003は、メイン放射ビームBの断面が放射改変デバイス1014の第1の開口1214の断面とほぼ同様であるように、メイン放射ビームBの断面を拡張するように構成可能である。図13に示された例では、放射改変デバイス1014は、y方向よりもx方向により大きな範囲を有する矩形の断面を有する。したがって、第4の集束光学系2003は、放射改変デバイス1014の矩形断面にほぼ一致するようにメイン放射ビームBを拡張するために、x方向よりもy方向に大きな発散度を導入するように構成可能である。
[00289] 図13に示された例において、第5の集束光学系2004は、メイン放射ビームBが第1の開口1214を介して放射改変デバイス1014に入る前に、メイン放射ビームBの発散度を減少させるように構成される。第5の集束光学系2004は、例えば、放射改変デバイスの内部表面上に放射が入射する際のかすめ角を低減させるために、メイン放射ビームBの発散度を減少させるように構成可能である。放射改変デバイスの他の実施形態を参照しながら前述したように、放射改変デバイスの内部表面での吸収を介して放射ビームから失われる放射の量は、放射が内部表面上に入射する際のかすめ角の増加に伴って増加する。したがって、第5の集束光学系2004は、放射改変デバイス1014の内部表面での吸収に起因してメイン放射ビームBから失われる放射の量を低減させるために、メイン放射ビームBの発散度を減少させることができる。
[00290] 第4の集束光学系2003及び第5の集束光学系2004は、メイン放射ビームが放射改変デバイス1014に入る前にメイン放射ビームBを適合させるために使用可能な、集束光学系の単なる例として提示されている。他の実施形態において、図13に示されるよりも多いか又は少ない集束光学系が使用可能である。いくつかの実施形態において、集束光学系は、図13に示された構成とは異なって構成可能である。一般に、メイン放射ビームBが放射改変デバイス1014に入る時点で1つ以上の所望の特性を有するようにメイン放射ビームBを適合させるために、任意の1つ以上の集束光学系が使用可能である。例えば1つ以上の集束光学系は、メイン放射ビームBの断面サイズが放射改変デバイス1014の第1の開口1214の断面サイズにほぼ近いように、メイン放射ビームの断面を拡張させるように構成すること、及び、メイン放射ビームBが放射改変デバイス1014の内部表面で反射を受けるように、放射改変デバイスに入る時点でメイン放射ビームBを発散させるように構成することが可能である。
[00291] 分岐放射ビームBaを受け取るように配置された放射改変デバイスの他の実施形態を参照しながら前述したように、放射改変デバイス1014の第1の開口1214に入る放射は、放射改変デバイスの反射性内部表面で複数の反射を受ける。放射改変デバイス1014は、放射改変デバイス1014の第2の開口1224で修正済みのメイン放射ビームBを出力するように構成される。
[00292] 上記で提供された放射改変デバイスの他の実施形態の考察から理解されるように、放射改変デバイス1014は、メイン放射ビームBを形成する放射を空間的にスクランブルさせる。メイン放射ビームBを形成する光線の空間的スクランブリングは、メイン放射ビームBの強度プロファイルの均一性を増加させることが可能であるため、放射改変デバイス1014の第2の開口1224から出力される修正済みのメイン放射ビームBは、第1の開口1214を介して放射改変デバイス1014に入るメイン放射ビームの強度プロファイルよりも均一な強度プロファイルを有することになる。更に、放射改変デバイスの第2の開口1224から出力される修正済み放射ビームBは、放射改変デバイス1014の第2の開口1224の断面形状に対応する断面形状を有する。
[00293] 放射改変デバイスから出力される修正済みのメイン放射ビームBは、ビーム分割装置2001上に入射する。ビーム分割装置2001は、第1の反射ファセット2007a、第2の反射ファセット2007b、及び第3の反射ファセット2007cを備える。反射ファセット2007a〜2007cは、各々、放射改変デバイス1014の第2の開口1224から出力される修正済み放射ビームBの断面の異なる部分を受け取るように、及び異なる部分を異なる方向に反射するように、配置される。図13に示されるように、修正済み放射ビームBの異なる部分が異なる方向に反射することで、別々の分岐放射ビームBa、Bb、及びBcを生じさせる。分岐放射ビームBa、Bb、Bcは、各々、異なるリソグラフィ装置に誘導することができる。実質的に同様の特性を有する分岐放射ビームがリソグラフィ装置に提供されるように、メイン放射ビームBをほぼ等しい断面及びパワーを有する分岐放射ビームBa〜Bcに分割することが望ましい可能性がある。
[00294] 上記で説明したように、放射改変デバイス1014から出力される修正済みメイン放射ビームBの断面形状は、放射改変デバイス1014の第2の開口1224の断面形状と等価である。図13に示される実施形態において、放射改変デバイス1014には、(集束光学系2003、2004によって拡張された後に)ほぼ楕円形の断面を有するメイン放射ビームBが提供される。放射改変デバイス1014が矩形の断面を有するため、放射改変デバイス1014の矩形の第2の開口1224から出力される修正済みメイン放射ビームBも矩形の断面を有することになる。したがって、放射改変デバイス1224は、メイン放射ビームBの断面形状を、実質的に楕円形から実質的に矩形へと変換する働きをする。矩形の断面を有するメイン放射ビームBを実質的に同様の分岐放射ビームBa〜Bcに分割するタスクは、楕円形の断面を有するメイン放射ビームBを実質的に同様の分岐放射ビームBa〜Bcに分割するよりも、著しく容易であることを理解されよう。例えば、放射改変デバイス1014から出力される修正済みの矩形メイン放射ビームBは、修正済みメイン放射ビームBの経路内に、実質的に矩形形状の反射ファセット2007a〜2007cを提供することによって、単に複数の実質的に等しい分岐放射ビームBa〜Bcに分割することが可能である。
[00295] メイン放射ビームBを分岐放射ビームBa〜Bcに分割する前に、放射改変デバイスを用いてメイン放射ビームBを修正することによって、有利には、メイン放射ビームBを、各々が実質的に同じパワーを有する分岐放射ビームに分割させることも可能である。前述のように、放射改変デバイス1014は、放射改変デバイス1014から出力される修正済み放射ビームの空間的強度プロファイルが実質的に均一であり得るように、メイン放射ビームBの均一性を増加させる働きをする。放射改変デバイス1014から出力される修正済み放射ビームの空間的強度プロファイルが均一である場合、メイン放射ビームBを単にほぼ等しい断面を有する分岐放射ビームBa〜Bcに分割することによって、ほぼ等しいパワーを有する分岐放射ビームBa〜Bcを提供することができる。
[00296] 放射改変デバイス1014が、(図4に示された実施形態を参照しながら前述したように)メイン放射ビームBの空間的強度プロファイルの、メインビームの指示方向における変化に対する感受性を減少させることから、ビーム分割装置2001の前に放射改変デバイス1014を提供することは、更に有利である。したがって、分岐放射ビームBa〜Bcの各々のパワーの、メイン放射ビームBの指示方向における変化に対する感受性は、有利には、ビーム分割装置2001のアップストリームに放射改変デバイス1014を提供することによって減少する。
[00297] いくつかのリソグラフィシステムにおいて使用可能な代替のビーム分割装置は、メイン放射ビームBを、分岐放射ビームを形成する複数の回折次数に分割するように構成された、回折格子を備える。回折格子を備えるビーム分割装置によって形成される分岐放射ビームの各々のパワー及び位置は、メイン放射ビームBの指示方向における変化、及びメイン放射ビームBの波長における変化に対して、非常に感受性が高い可能性がある。自由電子レーザFELから発せられる放射ビームは、指示方向及び波長の両方における変動を経験する可能性があるため、回折格子を備えるビーム分割装置によって形成される分岐放射ビームは、パワー及び位置の両方における著しい変動を受ける可能性がある。それと比較して、本明細書で説明する放射改変デバイスから出力される放射を受け取る複数の反射ファセットを備えるビーム分割装置によって形成される分岐放射ビームは、有利には、メイン放射ビームBの波長及び指示方向の両方における変動に対して、相対的に感受性が低い。
[00298] 図13には、メイン放射ビームBを3つの分岐放射ビームBa〜Bcに分割する3つの反射ファセット2007a〜2007cを備えるビーム分割装置2001の特定の例が示されているが、この代わりに、3つよりも多いか又は少ない反射ファセット2007a〜2007cを備え得るビーム分割装置2001の他の配置を使用することもできる。例えば、図14A及び図14Bには、放射改変デバイス1014から出力される修正済みメイン放射ビームBを受け取るように配置可能な、ビーム分割装置の代替的な配置が示されている。
[00299] 図14Aは、3つの反射ファセット2007a、2007b、2007cを備えるビーム分割装置2001aの実施形態を示す概略図である。反射ファセット2007a、2007b、2007cは、各々、放射改変デバイス1014の第2の開口1224から出力される修正済みメイン放射ビームBの異なる部分を受け取るように、及び、メイン放射ビームBを別々の分岐放射ビームに分割するために異なる部分を異なる方向に反射するように、配置される。
[00300] 図14Bは、4つの反射ファセット2007a、2007b、2007c、及び2007dを備えるビーム分割装置2001bの実施形態を示す概略図である。反射ファセット2007a、2007b、2007c、及び2007dは、各々、放射改変デバイス1014の第2の開口1224から出力される修正済みメイン放射ビームBの異なる部分を受け取るように、及び、メイン放射ビームBを別々の分岐放射ビームに分割するために異なる部分を異なる方向に反射するように、配置される。
[00301] 修正済みメイン放射ビームをビーム分割装置2001に提供する前にメイン放射ビームBを修正することを参照しながら、放射改変デバイス1014の特定の実施形態を説明してきたが、代わりに、放射改変デバイスの他の実施形態を使用して、メイン放射ビームBを修正することができる。例えば、曲がりを含む放射改変デバイスを使用して、ビーム分割装置2001に修正済みメイン放射ビームを提供する前に、メイン放射ビームBを修正することができる。追加又は代替として、図13に示される放射改変デバイス1014の断面形状とは異なる断面形状を有する放射改変デバイスを使用することができる。例えば、正方形の断面を有する放射改変デバイスを使用することができる。一般に、放射改変デバイスの断面形状は、所望の断面を有する修正済みメイン放射ビームBを提供するように構成可能である。放射改変デバイスから出力される修正済みメイン放射ビームBの所望の断面は、修正済みメイン放射ビームBを受け取るように配置されるビーム分割装置2001を形成する反射ファセットの配置に依存することができる。
[00302] いくつかの実施形態において、修正済みメイン放射ビームBを相対的に多数の分岐放射ビームに分割するように構成されたビーム分割装置を提供することが望ましい可能性がある。例えば、10の異なるリソグラフィ装置に分岐放射ビームを提供するために、メイン放射ビームBをおよそ10の分岐放射ビームに分割するように構成されたビーム分割装置を提供することができる。
[00303] 分岐放射ビームBaを受け取るように構成された放射改変デバイスの他の実施形態を参照しながら前述したように、放射改変デバイスによって引き起こされる放射ビームのスクランブリングの度合いは、放射改変デバイスの内部表面で放射が受ける反射の回数に依存する。放射改変デバイスの内部表面で放射が受ける反射の回数は、θL/Dにほぼ比例し、θは放射ビームが放射改変デバイスに入る際の半発散度であり、Lは放射改変デバイスの長さであり、Dは放射改変デバイスを形成するチューブの直径である。所望の空間的スクランブリングの度合いを達成するために、メイン放射ビームBを受け取る放射改変デバイスは相対的に小さい直径を有することができる。
[00304] 放射改変デバイスの実施形態は、例えば、実質的に矩形の断面を有すること、並びに、y方向におよそ3mm及びx方向におよそ10mmの寸法を有する(x及びyの方向は、メイン放射ビームが伝搬するz方向に対して垂直である)、修正済みメイン放射ビームBが出力される第2の開口を有することが可能である。放射改変デバイスに入力されるメイン放射ビームBの発散度は、放射改変デバイスの第2の開口から出力される放射が、x方向におよそ3ミリラジアン及びy方向におよそ10ミリラジアンの半発散度を有するものとすることができる。
[00305] ビーム分割装置での吸収に起因してメイン放射ビームBから失われる放射の量を低減させるために、放射が反射ファセット上に入射し、相対的に小さいかすめ角で反射ファセットから反射されるように、ビーム分割装置の反射ファセットを配置することが望ましい。例えば、ビーム分割装置の反射ファセットは、放射がおよそ1度のかすめ角で反射ファセットに入射するように配置可能である。分岐放射ビームが反射されるかすめ角が相対的に小さいため、分岐放射ビーム間の角度分離も相対的に小さくなる。それらの間の角度分離が相対的に小さく、発散ビームである分岐放射ビームは、それらがビーム分割装置から離れて発散する際に相互にオーバーラップする可能性があり、したがって別々の分岐放射ビームとして扱うことができない。
[00306] 分岐放射ビームがビーム分割装置から離れて伝搬される際に相互にオーバーラップするのを防ぐために、放射改変デバイスから出力される修正済みメイン放射ビームBを、ビーム分割装置でのその発散度を低減させるような拡大係数でビーム分割装置上にイメージングすることができる。
[00307] 図15は、放射改変デバイス1014の第2の開口1224から出力される修正済みメイン放射ビームBがビーム分割装置2001上で集束される、配置を示す概略図である。放射改変デバイス1014から出力される修正済みメイン放射ビームBは、集束光学系2015上に入射する。
[00308] 集束光学系2015は、イメージ面2013内に対物面2011(内部に放射改変デバイスの第2の開口1224が存在する)のイメージを形成するように配置される。イメージ面2013内に形成されるイメージは、放射改変デバイス1014の第2の開口1224の拡大イメージである。すなわち、イメージ面2013内のメイン放射ビームBの断面サイズは、対物面2011内の(すなわち、放射改変デバイス1014の第2の開口1224での)メイン放射ビームBの断面サイズより大きい。対物面2011からイメージ面2013へのメイン放射ビームBの拡大は、イメージ面2013内のメイン放射ビームBの発散度が、(対物面2011とイメージ面2013との間でのメイン放射ビームBのエタンデュの変換に起因して)対物面2011内のメイン放射ビームBの発散度より少ないことを意味する。メイン放射ビームの発散度は、対物面2011がイメージ面2013で拡大される際の拡大係数によって低減される。したがって集束光学系2015は、放射改変デバイス2011の第2の開口でのメイン放射ビームの発散度と比較して、イメージ面2011内のメイン放射ビームBの発散度を減少させる働きをする。
[00309] 複数の反射ファセットを備えるビーム分割装置2001は、イメージ面2013を通過する拡大されたメイン放射ビームがビーム分割装置2001上に入射するように、イメージ面2013のダウンストリームに位置する。集束光学系2015はメイン放射ビームBの発散度を減少させる働きをするため、ビーム分割装置2001上に入射するメイン放射ビームBは、放射改変デバイスから出力されるメイン放射ビームBの発散度よりも小さい発散度を有する。メイン放射ビームBの発散度がビーム分割装置で低減されるということは、ビーム分割装置2001で形成される分岐放射ビームが低減された発散度を有することを意味する。分岐放射ビームの発散度がより小さいことで、分岐放射ビームがビーム分割装置2001から離れて発散していく際に相互にオーバーラップするのを防ぐことができる。したがって、対物面2011からイメージ面2013へのメイン放射ビームBの拡大を使用して、各分岐放射ビームを別々の放射ビームとして取り合うこと、及び別々のリソグラフィ装置に提供することが可能なように、ビーム分割装置2001で生成される分岐放射ビームが相互にオーバーラップするのを防ぐことができる。
[00310] 放射改変デバイスの第2の開口から出力される放射を、拡大係数を用いてビーム分割装置上にイメージングすることの追加の利点は、ビーム分割装置での放射ビームの断面サイズが、放射改変デバイスの第2の開口での放射ビームの断面サイズよりも大きいことである。ビーム分割装置上に入射する放射ビームの断面サイズを増加させることで、ビーム分割装置の各反射ファセットのサイズを増加させることができる。相対的に小さい寸法を有する反射ファセットは製造が困難な場合があるため、反射ファセットのサイズを増加させ得ることは、有利には反射ファセットを製造し易くする。
[00311] 説明しやすいように、集束光学系2015は図15では透過型集束光学系として示されている。しかしながら実際には、集束光学系2015は、当業者であれば良く理解されるように反射型光学要素として実装可能である。いくつかの実施形態において、対物面からイメージ面へのメイン放射ビームBの拡大は、複数の光学要素を使用して実行可能である。例えばいくつかの実施形態において、メイン放射ビームBは、Wolter望遠鏡におけるミラーの配置と同様に配置された2つのミラーを使用して、対物面からイメージ面へと拡大することができる。
[00312] 上記で述べてきたように、放射改変デバイス1014から出力されるメイン放射ビームBを受け取るビーム分割装置2001によって形成される分岐放射ビームは、正の発散度を有する。各分岐放射ビームは、それぞれのリソグラフィ装置に誘導される。いくつかの実施形態において、各分岐放射ビームがリソグラフィ装置に提供される前に相対的に長い光路に沿って伝搬するように、ビーム分割装置2001とリソグラフィ装置との間の距離は相対的に長いものとすることができる。例えば、ビーム分割装置とリソグラフィ装置との間の分岐放射ビームの光路長さは、数十メートルとすることができる。
[00313] ビーム分割装置2001とリソグラフィ装置LAaとの間で分岐放射ビームBaの断面が大きく増加するのを避けるために、ビーム分割装置2001のダウンストリーム位置で分岐放射ビームBaの発散を減少させることができる。例えば、ビーム分割装置2001から出力される分岐放射ビームBを、分岐放射ビームBaの発散度を減少させるように構成可能な1つ以上の集束光学系上に入射するように誘導することができる。例えば、分岐放射ビームBaがほぼコリメートされた放射ビームとなるように、1つ以上の集束光学系は分岐放射ビームBaを集束させることができる。メイン放射ビームBのエタンデュは放射改変デバイス1014によって増加されるため、分岐放射ビームBaを1つ以上の集束光学系によって完全にコリメートすることはできないが、1つ以上の集束光学系は分岐放射ビームBaをほぼコリメートされるように集束させることができる。
[00314] 例えば図4を参照しながら前述したように、リソグラフィ装置LAaに提供される前に、所望の発散度で放射改変デバイス101に入るように、分岐放射ビームBaを集束光学系107によって集束させることができる。放射改変デバイス101は、分岐放射ビームBaを修正し、修正済み分岐放射ビームBaはリソグラフィ装置LAaに提供される前に、(例えば、第2の集束光学系109及び第3の集束光学系111を用いて)中間焦点IFに集束される。
[00315] リソグラフィシステムLSのいくつかの実施形態において、ビーム分割装置に提供されるメイン放射ビームBは、複数の自由電子レーザFELから発せられる放射ビームの組み合わせを備えることができる。図16は、複数の自由電子レーザから発せられる放射が複数のメイン放射ビームを形成するために組み合わされた配置を示す概略図である。第1の自由電子レーザFEL1は第1の自由電子レーザビームBFEL1を発し、第2の自由電子レーザFEL2は第2の自由電子レーザビームBFEL2を発する。第1の自由電子レーザビームBFEL1の断面のおよそ半分を第2のミラー5005上に入射するように誘導するために、第1のミラー5003が第1の自由電子レーザビームBFEL1の光路の一部に配置される。第2の自由電子レーザビームBFEL2の断面のおよそ半分を第4のミラー5009上に入射するように誘導するために、第3のミラー5007が第2の自由電子レーザビームBFEL2の光路の一部に配置される。第2のミラー5005は、第3のミラー5007上に入射せず、第1のミラー5003上に入射する第1の自由電子レーザビームBFEL1の一部を、第3のミラー5007上に入射しない第2の自由電子レーザビームBFEL2の一部と組み合わせて、第1の結合放射ビームB21を形成するように配向される、第2の自由電子レーザビームBFEL2の一部に隣接して、位置付けられる。第4のミラー5009は、第1のミラー5003上に入射せず、第3のミラー5007上に入射する第2の自由電子レーザビームBFEL2の一部を、第1のミラー5003上に入射しない第1の自由電子レーザビームBFEL1の一部と組み合わせて、第2の結合放射ビームB12を形成するように配向される、第1の自由電子レーザビームBFEL1の一部に隣接して、位置付けられる。したがって、ミラー5003、5005、5007、5009は、第1の自由電子レーザFEL1から発せられるEUV放射を、第2の自由電子レーザFEL2から発せられる放射と組み合わせて、結合放射ビームを形成するように構成された、ビーム結合装置を形成する。
[00316] 第1の結合放射ビームB12及び第2の結合放射ビームB21は、各々、第1の自由電子レーザFEL1から発せられる放射と、第2の自由電子レーザFEL2から発せられる放射との組み合わせを備える。第1及び第2の結合放射ビームは、各々、結合放射ビームを分岐放射ビームに分割する第1及び第2のビーム分割装置5001、5002にそれぞれ提供される、メイン放射ビームとして使用することができる。分岐放射ビームは、複数のリソグラフィ装置に提供することができる。
[00317] 複数の自由電子レーザから発せられる放射の組み合わせからメイン放射ビームを形成することで、有利には、自由電子レーザのうちの1つが障害を発現させるか又は(例えば保守のために)遮断された場合、各リソグラフィ装置が、1つ以上の他の自由電子レーザから発せられる放射を引き続き受け取るように、冗長性が提供される。図16に示されるミラーの配置は、結果として、第1の結合自由電子レーザビームB21及び第2の結合自由電子レーザビームB12を生じさせ、これらの結合自由電子レーザビームは、各々、自由電子レーザFEL1、FEL2のうちの一方から発せられる放射から形成される第1の半分と、自由電子レーザFEL1、FEL2のうちの他方から発せられる放射から形成される第2の半分とを備える、断面を有する。自由電子FEL1、FEL2のうちの1つが放射を発するのを停止した場合、第1及び第2の結合自由電子レーザビームB21、B12の各々の断面は半分になる。第1及び第2の結合自由電子レーザビームB21、B12がビーム分割装置に直接(すなわち、放射改変デバイスを通過せずに)提供された場合、第1及び第2の結合自由電子レーザビームB21、B12の断面を半分にすることで、ビーム分割装置を形成する反射ファセットのうちのいくつかが放射を受け取らないようにすることができる。したがって、分岐放射ビームのうちのいくつかは形成されず、いくつかのリソグラフィ装置にはもはや放射が提供されない可能性がある。
[00318] 自由電子レーザFEL1、FEL2のうちの1つが放射の発出を停止することによる影響を低減させるために、第1及び第2の結合自由電子レーザビームB21、B12の各々は、第1及び第2の放射改変デバイス5011、5012のそれぞれに誘導される。第1及び第2の結合自由電子レーザビームB21、B12が、正の発散度を有するそれらのそれぞれの放射改変デバイス5011、5012に入ることを保証するために、集束光学系5013、5014は、第1及び第2の結合自由電子レーザビームB21、B12を受け取るように、並びに、正の発散度を有するようにビームを集束させるように、配置される。説明しやすいように、集束光学系5013、5014は図16において、透過型集束光学系として示されている。しかしながら実際には、集束光学系5013、5014は、当業者であれば良く理解されるように、反射型光学系として実装可能である。
[00319] 図17は、集束光学系5013から第2の結合自由電子レーザビームB12を受け取る放射改変デバイスの第1の開口での、放射改変デバイス5011を介する断面を示す概略図である。第2の結合自由電子レーザビームB12は、第1の自由電子レーザFEL1から発せられる放射から形成される第1の部分5021、及び、第2の自由電子レーザFEL2から発せられる放射から形成される第2の部分を備える。放射改変デバイスの他の実施形態を参照しながら前述したように、放射改変デバイス5011は、スクランブルされた結合放射ビームを形成するために、第2の結合自由電子レーザビームB21を空間的にスクランブルするように構成される。放射改変デバイス5011によって引き起こされる空間的スクランブリングは、空間的にスクランブルされた結合放射ビームが、第1の自由電子レーザFEL1から発せられる放射と、第2の自由電子レーザFEL2から発せられる放射との間のオーバーラップを含むものである。
[00320] 放射改変デバイス5011、5012から発せられる放射ビームは、放射ビームを分岐放射ビームBa〜Bfに分割するビーム分割装置5001、5002に提供される。放射改変デバイス5001、5012の各々から出力される放射ビームは、第1の自由電子レーザFEL1から発せられる放射と第2の自由電子レーザFEL2から発せられる放射とのスクランブルされた組み合わせを備えることから、自由電子レーザFEL1、FEL2のうちの1つが放射の発出を停止した場合、ビーム分割装置5001、5002に提供される放射ビームの断面は相対的に変更されないままであり得る。したがって、ビーム分割装置5001、5002を形成する反射ファセットの各々は放射の受け取りを続け、したがって分岐放射ビームBa〜Bhの各々はビーム分割装置5001、5002によって形成され続ける。放射改変デバイス5011、5012の各々から出力される放射ビームの各々のパワーは、自由電子レーザFEL1、FEL2のうちの1つが放射の発出を停止した場合、低減されることになるため、分岐放射ビームBa〜Bhの各々のパワーは低減されることになる。放射改変デバイス5011、5012の各々から出力される放射ビームの各々のパワーは、自由電子レーザFEL1、FEL2のうちの1つが放射の発出を停止した場合、低減されることになるが、放射改変デバイス5011、5012のうちの1つによって引き起こされる空間的スクランブリングは、放射改変デバイス5011、5012から出力される放射ビーム内のパワーの空間分布が相対的に変更されないままとなることを保証し得る。すなわち、第1及び第2の自由電子レーザFEL1、FEL2のうちの1つ以上によって発せられる放射のパワーにおける変動が、放射改変デバイス5011、5012から出力される放射の総パワーを変動させ得るが、放射改変デバイス5011、5012を出る放射ビーム内のパワーの空間分布には実質的な変動を生じさせないことができる。したがって、ビーム分割装置5001、5002から分岐放射ビームBa〜Bhを受け取るリソグラフィ装置は放射の受け取りを続け、したがって動作を続けることができる。いくつかの実施形態において、第1及び第2の結合自由電子レーザビームB21、B12を形成するように配置されたミラー5003、5005、5007、及び5009は、第1及び第2の自由電子レーザFEL1、FEL2の通常の動作中、第1及び第2の自由電子レーザビームBFEL1、BFEL2の光路の外へ移動させることができる。すなわち、第1及び第2の自由電子レーザFEL1、FEL2の両方が放射を発している場合、第1の自由電子レーザビームBFEL1を第1の放射改変デバイス5011及び第1のビーム分割装置5001に提供することが可能であり、第2の自由電子レーザビームBFEL2を第2の放射改変デバイス5012及び第2のビーム分割装置5002に提供することが可能である。自由電子レーザFEL1、FEL2のうちの1つが遮断されるか又は放射の発出を停止した場合、ミラー5003、5005、5007、及び5009は、図16に示されるように、第1及び第2の自由電子レーザビームBFEL1、BFEL2の光路内に移動させることができる。ミラー5003、5005、5007、及び5009を第1及び第2の自由電子レーザビームBFEL1、BFEL2の光路内に移動させることで、各放射改変デバイス5011、5012、及び従って各ビーム分割装置5001、5002が放射の受け取りを続けることが保証される。
[00321] 上記で述べてきたように、いくつかの実施形態(例えば、図13、図14A、図14B、図15、及び図16に示された実施形態)において、ビーム分割装置に修正済みメイン放射ビームBを提供するために、放射改変デバイスをビーム分割装置のアップストリームに位置決めすることができる。ビーム分割装置は、修正済みメイン放射ビームBを複数の分岐放射ビームに分割することが可能であり、各分岐放射ビームは別々のリソグラフィ装置に提供される。いくつかの実施形態において、分岐放射ビームがリソグラフィ装置に提供される前に、更なる放射改変デバイスが(例えば、図4に示されるように)各分岐放射ビームを修正するように配置及び構成される。したがってこうした実施形態において、各分岐放射ビームは、リソグラフィ装置に提供される前に2つの放射改変デバイスを通過することができる。
[00322] 他の実施形態において、分岐放射ビームは、リソグラフィ装置に提供される前に1つの放射改変デバイスのみを通過することができる。例えばいくつかの実施形態において、メイン放射ビームBは、ビーム分割装置上に入射する前に放射改変デバイスによって修正され得ず、放射改変デバイスは、各分岐放射ビームの経路内にのみ提供することができる。代替として、放射改変デバイスは、メイン放射ビームBがビーム分割装置上に入射する前にメイン放射ビームBを修正するように配置可能であるが、分岐放射ビームの経路内にはいかなる放射改変デバイスも提供されない可能性がある。しかしながら、分岐放射ビームの経路内に放射改変デバイスを提供することで、有利には、分岐放射ビームがリソグラフィ装置に提供される前に、分岐放射ビームの断面形状を修正することが可能となる。例えば、分岐放射ビームの断面形状が、分岐放射ビームが入射する視野ファセットミラーの形状とほぼ一致するように、分岐放射ビームの断面形状を放射改変デバイスによって修正することができる。
[00323] 分岐放射ビームがリソグラフィ装置に提供される前に分岐放射ビームの断面形状を修正するための放射改変デバイスの能力によって、ビーム分割装置の新しい構成を使用することが可能になる。例えば、放射改変デバイスを使用せずに、リソグラフィ装置に提供するのに好適な断面形状を有する分岐放射ビームを提供するように、ビーム分割装置を構成することができる。しかしながら、放射改変デバイスを使用して分岐放射ビームの断面形状が修正される実施形態において、ビーム分割装置は、任意の断面形状を有する分岐放射ビームを提供することができる。その後、分岐放射ビームの断面形状は、各リソグラフィ装置に所望の断面形状を有する分岐放射ビームを提供するように、放射改変デバイスによって修正することができる。
[00324] 図18は、メイン放射ビームBを複数の分岐放射ビームに分割するように構成された、ビーム分割装置の実施形態の第1の部分3001aを示す概略図であり、各分岐放射ビームは、メイン放射ビームBの断面のセクタから形成される。第1の部分3001aは、ダイヤモンド構造に配置された4つの反射ファセット3007a〜3007dを備える。反射ファセット3007a〜3007dは、メイン放射ビームBの断面の異なるセクタを受け取るように、及び、メイン放射ビームを複数の分岐放射ビームに分割するために異なるセクタを異なる方向に反射するように、構成される。
[00325] 図19は、ビーム分割装置の第1の部分3001a及びビーム分割装置の第2の部分3001bの配置を示す概略図であり、第1及び第2の部分はどちらも、メイン放射ビームBの経路内に配置される。メイン放射ビームBの断面は、ビーム分割装置のアップストリームに位置付けられた第1の面3011内に示されている。第1の面3011において、メイン放射ビームBは実質的に円形の断面を有する。ビーム分割装置の第1の部分3001aは、メイン放射ビームBの円形断面のおよそ半分が、ビーム分割装置の第1の部分3001aの反射ファセット3007a〜3007b上に入射するように配置される。したがって、ビーム分割装置の第1の部分は、メイン放射ビームBの断面の半分を、4つの別々の分岐放射ビームBa〜Bdに分割する。分岐放射ビームBa〜Bdは、図19では、ビーム分割装置の第1の部分3001aのダウンストリームに位置付けられた第2の面3013内に示される。第2の面3013内には、ビーム分割装置の第1の部分3001a上に入射しないメイン放射ビームBの残りの半分3017も示される。
[00326] ビーム分割装置の第2の部分3001bは、第2の面3013のダウンストリーム、及びビーム分割装置の第1の部分3001aのダウンストリームに位置付けられる。ビーム分割装置の第1の部分3001aと同様に、第2の部分3001bはダイヤモンド構造に配置された4つの反射ファセットを備える。ビーム分割装置の第2の部分3001bの反射ファセットは、ビーム分割装置の第1の部分3001aによって分岐放射ビームBa〜Bdに分割されなかったメイン放射ビームBの残りの半分3017を受け取るように配置される。ビーム分割装置の第2の部分3001bの反射ファセットは、メイン放射ビームBを4つの分岐放射ビームBe〜Bhに分割する。ビーム分割装置の第1の部分3001aによって形成される分岐放射ビームBa〜Bd、及び、ビーム分割装置の第2の部分3001bによって形成される分岐放射ビームBe〜Bhは、ビーム分割装置の第2の部分3001bのダウンストリームに位置付けられた第3の面3015内に示される。図19から、分岐放射ビームBa〜Bhはメイン放射ビームBの断面の異なるセグメントに対応することがわかる。
[00327] 図20Aは、メイン放射ビームBの伝搬方向に沿って見た際の、ビーム分割装置の第1の部分3001a及び第2の部分3001bを形成する反射ファセット3007a〜3007hを示す概略図である。反射ファセット3007a〜3007h上のメイン放射ビームBの位置は、図20A内で破線円を用いて示される。図20Aに示される例において、メインビームBの中心は、反射ファセット3007a〜3007hの交点3019と位置合わせされる。したがって反射ファセット3007a〜3007hは、メインビームBを、メイン放射ビームBの断面の等しいサイズのセクタに対応する分岐放射ビームBa〜Bhに分割する。
[00328] メイン放射ビームBの断面強度プロファイルは、均一ではないが、例えば回転対称である可能性がある。例えば、メイン放射ビームBの断面強度プロファイルは、2次元ガウス分布とすることができる。メイン放射ビームBの断面強度プロファイルが回転対称であり、メインビームBの中心が反射ファセット3007a〜3007hの交点3019と位置合わせされている場合、メイン放射ビームBの断面のセクタに対応する各分岐放射ビームBa〜Bhは、ほぼ同じパワーを有することになる。
[00329] 図20Bは、反射ファセット3007a〜3007hと、メイン放射Bの中心が反射ファセット3007a〜3007hの交点3019と位置合わせされていない場合のメイン放射ビームBとを示す、概略図である。図28Bから、メインビームBの中心が反射ファセット3007a〜3007hの交点3019と位置合わせされていない場合、各ファセットはメイン放射ビームBの異なるサイズの部分を受け取ることがわかる。したがって、分岐放射ビームBa〜Bhはメイン放射ビームBの異なるサイズの部分に対応するため、異なるパワーを有する可能性がある。したがって、こうした配置では、分岐放射ビームBa〜Bhのパワーは、反射ファセット3007a〜3007hに関するメイン放射ビームBの位置合わせにおける変動につながることになるメイン放射ビームBの指示方向における変動に対して感受性が高い。
[00330] メイン放射ビームBの指示方向における変動に対する分岐放射ビームBa〜Bhのパワーの感受性を低減させるために、半径方向に対向する反射ファセットから反射される放射を組み合わせることによって、分岐放射ビームを形成することができる。例えば、反射ファセット3007aから反射される放射を反射ファセット3007eから反射される放射と組み合わせて第1の分岐放射ビームB1を形成することが可能であり、反射ファセット3007bから反射される放射を反射ファセット3007fから反射される放射と組み合わせて第2の分岐放射ビームB2を形成することが可能であり、反射ファセット3007cから反射される放射を反射ファセット3007gから反射される放射と組み合わせて第3の分岐放射ビームB3を形成することが可能であり、反射ファセット3007dから反射される放射を反射ファセット3007hから反射される放射と組み合わせて第4の分岐放射ビームB4を形成することが可能である。したがって、反射ファセットの各々から反射される放射の、それらのそれぞれの分岐放射ビームに対する寄与は、メイン放射ビームBの指示方向に応じて変動するが、第1、第2、第3、及び第4の分岐放射ビームの各々のパワーは、有利には、メイン放射ビームBの指示方向における変化に対して、相対的に感受性が低くなる。
[00331] 図21は、単一の分岐放射ビームB1を形成するように異なる反射ファセットから反射される放射を組み合わせるために使用可能な、ミラーの配置を示す概略図である。図21に示される例において、メイン放射ビームBの部分B’は第1の反射ファセット3007aから反射され、メイン放射ビームBの第2の部分B”は第2の反射ファセット3007eから反射される。第1の反射ファセット3007a及び第2の反射ファセット3007eは、メイン放射ビームBの断面の半径方向に対向するセクタを受け取って反射するように配置可能である。第1のミラー3021が、第1の部分B’を反射し、第2のミラー3025上に入射するように配置される。第3のミラー3023が第2の部分B”を反射するように配置されるため、第2のミラー3025から反射される第1の部分B’及び第3のミラー3023から反射される第2の部分B”が、第1の分岐放射ビームB1を形成するために、実質的に同じ方向に、及び相互に隣接して伝搬することになる。ミラーの更なる同様の配置を使用して、更なる分岐放射ビームを形成するために、他の反射ファセットから反射されるメイン放射ビームBの他の部分を組み合わせることが可能であることを理解されよう。
[00332] 図18及び図19に示されるビーム分割装置の実施形態において、ビーム分割装置の第1の部分3001aの反射ファセットの各々は単一の交点3019で交差する。同様に、ビーム分割装置の第2の部分3001bの反射ファセットも、単一の交点で交差する。したがって、各反射ファセットは交点に鋭利な先端を有することになり、これは製造が困難であり得る。
[00333] 図22Aは、鋭利な先端を有さない反射ファセットからビーム分割装置を形成することを可能にする、ビーム分割装置の代替配置を示す概略図である。メイン放射ビームBは、第1の円錐レンズ3031及び第2の円錐レンズ3032上に入射する。第1の円錐レンズ3031及び第2の円錐レンズ3032は、放射の環状リングBrを形成するためにメイン放射ビームBを誘導するように構成される。放射ビームの環状リングBrは、好都合なことに、鋭利な先端を備えていない反射ファセットによって分岐放射ビームに分割することができる。例えば、図22Aに示される反射ファセット3007a及び3007eは、放射の環状リングBrをそれぞれ分岐放射ビームBa及びBeに分割する。説明しやすいように、円錐レンズ3031、3032は図22Aでは透過型集束光学系として示されている。しかしながら実際には、当業者であれば良く理解されるように、円錐レンズ3031、3032は反射型光学系として実装可能である。
[00334] 図22Bは、放射の環状リングBrの伝搬方向に沿って見た場合、放射の環状リングBrを複数の分岐放射ビームに分割するように配置された、反射ファセット3007a〜3007hを示す概略図である。図22Bから、放射の環状リングBrは、鋭利な先端を備えていない反射ファセット3007a〜3007hを伴う分岐放射ビームに分割可能であることが明白である。
[00335] メイン放射ビームBを放射の環状リングBrに拡張するために円錐レンズを使用することにより、ビーム分割装置の代替配置を更に有利に使用できるようになる。図23は、放射の環状リングBrを複数の分岐放射ビームBa〜Bhに分割するように構成された、ビーム分割装置4001の代替実施形態を示す概略図である。ビーム分割装置4001のアップストリームに位置付けられた第1の面内に示される放射の環状リングBrは、例えば、1つ以上の円錐レンズ(例えば、図22Aに示された第1及び第2の円錐レンズ)によって、メイン放射ビームBから形成することができる。ビーム分割装置4001は、複数の反射ファセットを形成する外部表面を備える全体的に円錐の形状を有する。図23では、反射ファセットのうちの1つのみが4007aと標示されている。反射ファセットは各々、複数の分岐放射ビームBa〜Bhを形成するために、放射の環状リングBrのセクタを反射するように構成される。分岐放射ビームBa〜Bhは、図23においてビーム分割装置4001のダウンストリームに位置付けられた第2の面4011内に示される。
[00336] 図23に示された分岐放射ビームBa〜Bhのうちの1つ以上を相互に組み合わせて、結合分岐放射ビームを形成することができる。例えば、図21に示されたミラーと同様のミラーの配置を使用して、半径方向に対向する反射ファセットから反射される放射を組み合わせ、メイン放射ビームBの指示方向における変化に対するそのパワーの感受性が相対的に低い、分岐放射ビームを形成することができる。
[00337] 図23に示されるビーム分割装置400の実施形態を、放射の環状リングBrを分岐放射ビームに分割することに関して説明してきたが、図23のビーム分割装置4001は、第1にメイン放射ビームBを放射の環状リングBrに拡張することなく、メイン放射ビームBを分岐放射ビームBa〜Bhに分割するのに好適なように適合可能であることを理解されよう。例えば、図23に示されるビーム分割装置を形成する反射ファセットの各々は、反射ファセットが或る点で交差するように、図23における第1の面4009に向かって拡張可能である。こうしたビーム分割装置は、第1にメイン放射ビームBを放射の環状リングBrに拡張することなく、メイン放射ビームBを分岐放射ビームBa〜Bhに分割するのに好適であり得る。
[00338] 上記では、ビーム分割装置のいくつかの実施形態を、メイン放射ビームBが複数の分岐放射ビームに分割され、各分岐放射ビームはメイン放射ビームBの断面の1つ以上のセクタに対応する、図18〜図23を参照しながら説明してきた。こうしたビーム分割装置によって形成される分岐放射ビームは、分岐放射ビームがその上に入射するように誘導される、視野ファセットミラー10の断面形状に合致し得ない断面形状を有することを理解されよう。したがって、各分岐放射ビームは、分岐放射ビームの断面形状が、その上に分岐放射ビームが入射する視野ファセットミラーの断面形状にほぼ対応するように、分岐放射ビームの断面形状を修正することが可能な、1つ以上の放射改変デバイスによって修正可能である。
[00339] 上記では、ビーム分割装置のいくつかの実施形態を、メイン放射ビームBが複数の分岐放射ビームに分割され、各分岐放射ビームはメイン放射ビームBの断面の1つ以上のセクタに対応する、図18〜図23を参照しながら説明してきた。「セクタ」という用語は、どちらも単一の点から延在する2本の放射線によって境界が定められた、メイン放射ビームの断面の一部を意味するものと意図されている。例えば放射ビームの断面のセクタは、例えば、図20Aに示されるような円形の断面のセクタに対応し得る。代替として、放射ビームの断面のセクタは、図22Bに示されるような放射の環状リングのセクタに対応し得る。
[00340] 図18〜図23に示されたビーム分割装置の実施形態を、放射改変デバイスを通過していないメイン放射ビームBを参照しながら説明してきたが、いくつかの実施形態において、ビーム分割装置が放射改変デバイスを通過した修正済みメイン放射ビームBを受け取るように、図18〜図23に示されるビーム分割装置のアップストリームに放射改変デバイスを位置付けることができる。
[00341] 上記では、放射改変デバイスが反射性内部表面を有するチューブを備える、放射改変デバイスの様々な実施形態を説明してきた。他の実施形態において、放射改変デバイスは、複数の反射ファセットを備えることができる。図24は、複数の反射ファセット6103a〜6103dを備える放射改変デバイス6101を示す概略図である。放射改変デバイス6101は放射ビーム620を受け取る。放射ビーム620は、例えば、ビーム分割装置から受け取った分岐放射ビームBaとすることができる。代替として、放射ビーム620は、自由電子レーザFELから発せられるメイン放射ビームBとすることができる。
[00342] 反射ファセット6103a〜6103dの各々は、放射ビーム620の一部を受け取り、受け取った部分を、複数のサブビーム620a〜620dを形成するように反射する。例えば、第1の反射ファセット6103aは、第1のサブビーム620aを形成するために放射ビーム620の一部を反射する。反射ファセット6103a〜6103dの各々は凹状の反射面を備え、サブビームをそれぞれの焦点621a〜621dに集束させるように構成される。焦点621a〜621dは各々、焦点面6210内に存在する。いくつかの実施形態において、焦点621a〜621dは、焦点面6210内で実質的に相互に均等に間隔を置いて配置することができる。図24に示される実施形態において、焦点面6210は、反射ファセット6103a〜6103dが全般的に存在する平面6310とほぼ平行である。図24に示されるように、反射ファセット6103a〜6103dは各々、湾曲した反射表面を備える。したがってファセット6103a〜6103dの反射表面は、厳密には平面6310内に存在しない。平面6310は単に、反射ファセット6103a〜6103dが全般的に存在する平面を表している。
[00343] 他の実施形態を参照しながら前述したように、放射改変デバイス上に入射する放射ビーム620は、相対的に低いエタンデュを有することができる。放射改変デバイス6101の反射ファセット6103a〜6103dは、修正済み放射ビームを形成するために遠視野ロケーションでサブビーム620a〜620dがオーバーラップするように、サブビーム620a〜620dを集束及び誘導するように構成される。遠視野ロケーションで見た場合、複数の焦点621a〜621dは平面的な高エタンデュ光源として動作する。したがって、修正済み放射ビームは、放射改変デバイス6101上に入射する放射ビーム620よりも著しく大きなエタンデュを有する。修正済み放射ビームは、追加として、放射改変デバイス6101上に入射する放射ビーム620の空間的強度プロファイルよりも著しく均一な、遠視野内の空間的強度プロファイルを有することができる。反射ファセット6103a〜6103dは、例えば、実質的に均一な空間的強度プロファイルを有する修正済み放射ビームを提供するために、放射改変デバイス6101上に入射する放射ビーム620の空間的強度プロファイルの異なる部分を、遠視野面内の異なるロケーションに誘導するように構成可能である。
[00344] 図24に示される実施形態において、4つの反射ファセット6103a〜6103dが示されている。いくつかの実施形態では、放射改変デバイス6101は4つより多くの反射ファセットを備えることができる。図25は、16の反射ファセット6103a〜6103pを備える放射改変デバイス6101を示す概略図である。図25に示される16の反射ファセット6103a〜6103pは、放射改変デバイス6103の反射ファセットのすべてを備えること、又は、放射改変デバイス6103の一部を備えることができる。例えば放射改変デバイス6103は、図25に示される16の反射ファセット6103a〜6103pより多くを備えることができる。実施形態において、放射改変デバイス6103は、例えばおよそ44の反射ファセットを備えることができる。
[00345] 反射ファセット6103a〜6103pは、放射改変デバイス6101によって形成される修正済み放射ビームに1つ以上の所望の特性を持たせるように構成可能である。例えば、反射ファセット6103a〜6103pは、放射改変デバイス6101上に入射する放射ビーム620と比較した場合、修正済み放射ビームのエタンデュに所望の増加を引き起こすように構成可能である。
[00346] 実施形態において、放射改変デバイス6101上に入射する放射ビーム620は、およそ30mmのビーム直径を有することができる。放射ビーム620は、(図24に標示されるような)およそ8.5°のかすめ角6311で放射改変デバイス上に入射することができる。放射改変デバイス6101は、44のサブビームを形成するために44の反射ファセットを備えることができる。放射改変デバイス上に入射する各サブビームは、放射ビーム620の断面の一部と等価であり得る。放射改変デバイス6101でサブビームを形成する放射ビーム620の断面の各部分は、放射ビーム620の伝搬方向に対して垂直にある平面内に、実質的に正方形の断面形状を有することができる。各サブビームの正方形の断面は、およそ4mm×4mmの寸法を有することができる。サブビームは、反射ファセットによって複数の焦点に集束される。サブビームは、その焦点のダウンストリームにある各サブビームの半発散度がおよそ7ミリラジアンであるように、集束させることができる。反射ファセットの焦点長は、およそ285mmとすることができる。放射改変デバイス6101の(図24に標示されるような)長さ6312は、およそ200mmとすることができる。反射ファセットの焦点長は、焦点面の長さ(すなわち、焦点面6210の長さ)よりも長いことが望ましい可能性がある。焦点面の長さは、放射改変デバイスの長さ6312にほぼ等しい。
[00347] サブビームは、修正済み放射ビームを形成するために、遠視野ロケーションで相互にオーバーラップする。前述の実施形態において、修正済み放射ビームは、(各サブビームの半発散度に対応する)およそ7ミリラジアンの半発散度と、(放射改変デバイス上に入射する放射ビーム620の直径に対応する)およそ30mmの直径を有する見掛け放射源サイズとを有する。修正済み放射ビームのエタンデュは、見掛け放射源サイズの直径と修正済み放射ビームの半発散度との積の2乗程度である。前述のように、放射改変デバイス6101によって形成される修正済み放射ビームは、放射改変デバイス6101上に入射する放射ビーム620よりも著しく高いエタンデュを有する。
[00348] 放射改変デバイスによって遠視野ロケーションで形成される修正済み放射ビームの断面形状は、少なくとも部分的に、反射ファセットの断面形状に依存する。例えば、図25に示される反射ファセット6103a〜6103pは、各々、およそ矩形の断面を有する。反射ファセット6103a〜6103pによって遠視野ロケーションで形成される修正済み放射ビームは、およそ正方形の断面形状を有することができる。いくつかの実施形態において、反射ファセット6103a〜6103pによって形成される修正済み放射ビームは、およそ矩形の断面形状を有することができる。
[00349] 修正済み放射ビームを受け取る光学要素の形状とほぼ一致する断面形状を有する修正済み放射ビームを形成することが、望ましい可能性がある。例えばいくつかの実施形態において、修正済み放射ビームは、リソグラフィ装置に提供可能であり、リソグラフィ装置内の視野ファセットミラー上に入射することが可能である。こうした実施形態において、修正済み放射ビームと視野ファセットミラーとの断面形状の間の不一致の結果として、視野ファセットミラーで修正済み放射ビームから放射が失われることになり得る。したがって、視野ファセットミラーの断面形状にほぼ一致する断面形状を有する修正済み放射ビームを提供することが望ましい可能性がある。
[00350] いくつかの実施形態において、放射改変デバイスを形成する反射ファセットは、所望の断面形状を有する修正済み放射ビームを形成するように構成された断面形状を有することができる。図26は、複数の反射ファセット6103’a〜6103’mを備える放射改変デバイス6101’の実施形態を示す概略図である。反射ファセット6103’a〜6103’mは各々、六角形の断面を有し、ハニカム格子の形に配置される。反射ファセット6103’a〜6103’mは、遠視野ロケーションでほぼ六角形の断面形状を有する修正済み放射ビームを形成するように構成可能である。図26に示されるハニカム格子は、各々が伸張された六角形状を有する複数の反射ファセット6103’a〜6103’mを備えるため、単一ファセット6103’a〜6103’m上に入射する放射ビームの一部の断面形状はほぼ正六角形となる。
[00351] いくつかの実施形態において、放射改変デバイス6101’によって形成される修正済み放射ビームは、ほぼ円形の断面形状を有する視野ファセットミラー上に入射することができる。放射改変デバイス6101’によって形成される修正済み放射ビームの六角形断面は、視野ファセットミラーで修正済み放射ビームからいずれかの放射が失われることを低減させるために、視野ファセットミラーの円形形状にほぼ一致させることができる。
[00352] 図24に示される放射改変デバイス6101の実施形態において、反射ファセット6103a〜6103dは、反射ファセット6103a〜6103dが全般的に存在する平面6310とほぼ平行な焦点面6210内にある焦点621a〜621dに、サブビーム620a〜620dを集束させるように配置される。他の実施形態において、焦点面6210は、反射ファセット6103a〜6103dが全般的に存在する平面6310と平行でない可能性がある。
[00353] 図27は、放射改変デバイス7101の実施形態を示す概略図である。放射改変デバイス7101は、全般的に平面7310内に存在する反射ファセット7103a〜7103cを備える。放射ビーム720は、放射改変デバイス7101上に入射し、反射ファセット7103a〜7103cによって複数のサブビーム720a〜720c内に集束される。サブビーム720a〜720cは、各々が焦点面7210内にある複数の焦点721a〜721cに集束される。図27の実施形態において、反射ファセット7103a〜7103cは、反射要素7103a〜7103cが全般的に存在する平面7310と焦点面7210とが平行でないように配置される。
[00354] サブビーム720a〜720cの各々は、中心光軸723a〜723cを有する。図27の実施形態において、反射ファセット7103a〜7103cは、焦点面7210がサブビーム720a〜720cの光軸723a〜723cに対して実質的に垂直であるように配置される。
[00355] 焦点面7210が、反射ファセット7103a〜7103cが全般的に存在する平面7310と平行でない(例えば、図27に示されるような)実施形態において、反射ファセットのサイズ及び/又は形状は、異なる反射ファセットについて異なるものとすることができる。図28は、上から見た、放射改変デバイス7101’の実施形態を示す概略図である。放射改変デバイス7101’は、焦点面内に存在する焦点に複数のサブビームを集束させるように配置された複数の反射ファセット7103’を備え、焦点面は(例えば、図27に示されるように)サブビームの光軸に対して実質的に垂直である。図28に見られるように、反射ファセット7103’は異なるサイズ及び形状を有する。
[00356] 異なるサイズを有する異なる反射ファセットは、結果として、相互に異なるサブビーム720a〜720cを形成する放射ビーム720の異なる部分の断面サイズを生じさせる。したがって、異なるサブビームは異なるパワーを有することができる。例えば、相対的に大きな断面を有する反射ファセットは、相対的に小さな断面を有する反射ファセットよりも多くの放射を受け取り、サブビーム内に集束させることができる。したがって、相対的に大きな断面を有する反射ファセットから反射されるサブビームは、相対的に小さな断面を有する反射ファセットから反射されるサブビームよりも高いパワーを有することができる。更に反射ファセットのサイズ及び/又は形状が異なる結果として、焦点721a〜721cが(図27からわかるように)不均一な間隔を置いて配置されることになる。
[00357] 図29は、複数の反射ファセット6153a〜6153pを備える放射改変デバイス6151の代替実施形態を示す概略図である。放射ビーム6120が放射改変デバイス6151の少なくとも一部6155を照明するように、放射改変デバイス6151は、放射ビーム6120を受け取るように配置される。各反射ファセット6153a〜6153pは、複数のサブビーム(図29には図示せず)を形成するように、放射ビーム6120の一部を受け取り、反射する。図29に示される実施形態において、反射ファセット6153a〜6153pは実質的に平坦であるため、いずれの集束パワーも有さないことになる。他の実施形態において、反射ファセット6153a〜6153pは凹形状を有すること、及び正の集束パワーを有することができる。代替として、反射ファセット6153a〜6153pは凸形状を有すること、及び負の集束パワーを有することができる。
[00358] 反射ファセット6153a〜6153pは、遠視野面内に修正済み放射ビームを形成するために、反射ファセット6153a〜6153pで形成されるサブビームが遠視野面内で相互にオーバーラップするように構成される。反射ファセットは、例えば、サブビームの少なくともいくつかが遠視野面内の実質的に同じエリアを照明するように構成可能である。すなわち、サブビームの少なくともいくつかは、遠視野面内で相互に完全にオーバーラップすることができる。いくつかの実施形態において、反射ファセットの各々で形成されるサブビームのすべてが遠視野面内で相互に完全にオーバーラップする訳ではない。一般に、反射ファセットは、各反射ファセットが放射によって完全に照明される場合、各サブビームは、遠視野面内で少なくとも1つの他のサブビームと少なくとも部分的にオーバーラップすることになるように配置される。
[00359] 実施形態において、放射改変デバイス6151は、修正済み放射ビームをリソグラフィ装置に供給することができる。こうした実施形態では、反射ファセット6153a〜6153pで形成されるサブビームは、例えば、リソグラフィ装置の視野ファセットミラーが位置する平面内で相互にオーバーラップすることができる。こうした実施形態において、1つ以上の集束光学系を、放射改変デバイスとリソグラフィ装置との間に位置決めすることができる。例えば、集束光学系を、修正済み放射ビームがリソグラフィ装置に提供される前に中間焦点に収束するように配置可能である。
[00360] 代替実施形態において、放射改変デバイス6151で形成される修正済み放射ビームを、ビーム分割装置(例えば、図13、図14A、図14B、図18、図19、図21、図22A、又は図23など)に提供することができる。こうした実施形態において、反射ファセット6153a〜6153pで形成されるサブビームは、ビーム分割装置に近い平面内で相互にオーバーラップすることができる。
[00361] 前述のように、反射ファセット6153a〜6153pは、遠視野面の領域が2つ以上のオーバーラップするサブビームで照明されるように構成される。したがって、遠視野面内の特定のロケーション上に入射する放射の強度は、反射ファセット6153a〜6153pのうちの2つ以上から反射される放射の強度に依存する。したがって、遠視野面内の断面強度プロファイルの、反射ファセット6153a〜6153pでの断面強度プロファイルへの依存度は低減される。このように、放射改変デバイス6151は、修正済み放射ビームの断面強度プロファイルの均一性を増加させる働きをする。いくつかの実施形態において、すべての反射ファセット6153a〜6153pが完全に照明される場合、反射ファセット6153a〜6153pは、遠視野面内で実質的に完全に相互にオーバーラップするサブビームを形成することができる。こうした実施形態において、遠視野面内の強度プロファイルは実質的に均一であり得、反射ファセット6153a〜6153p上に入射する放射ビーム6120の強度プロファイルにそれほど依存しないでよい。
[00362] 前述のように、遠視野面内でオーバーラップするサブビームから修正済み放射ビームを形成することによって、修正済み放射ビームの指示方向及び/又は強度プロファイルは、放射改変デバイス6151上に入射する放射ビーム6120の指示方向における変化に対して相対的に感受性が低いものとすることができる。上記で説明したように、いくつかの実施形態において、反射ファセット6153a〜6153pは、すべての反射ファセットが完全に照明される場合、反射ファセット6153a〜6153pが遠視野面内で実質的に完全に相互にオーバーラップするサブビームを形成するように、構成することができる。例えば図29に示されるように、実際には、放射ビーム6120は反射ファセット6153a〜6153pのすべてを完全に照明し得ない。こうした実施形態において、放射ビーム6120の指示方向における変化は、いくつかの反射ファセット6153a〜6153pの上により多くの放射を入射させ、他の反射ファセット6153a〜6153pの上には少ない放射を入射させることができる。反射ファセットで形成されるサブビームが遠視野面内でオーバーラップする実施形態において、異なる反射ファセットへの放射のシフトが、遠視野面内の修正済み放射ビームの指示方向及び/又は強度プロファイルにおいてわずかな変化を生じさせるか、又はまったく変化を生じさせない可能性がある。したがって、放射改変デバイス6151は、有利には、遠視野面内での修正済み放射ビームの指示方向及び/又は強度プロファイルの、放射改変デバイス6151上に入射する放射ビーム6120の指示方向への依存度を低減させる。
[00363] 図29に示される実施形態において、放射改変デバイス6151は、合計16の反射ファセット6153a〜6153pを備える。他の実施形態において、図29に示されるタイプの放射改変デバイス6151は、16よりも多いか又は少ない反射ファセットを備えることができる。例えばいくつかの実施形態において、放射改変デバイスは、合計64の反射ファセットが提供されるように、(図29に示されるような4行及び4列とは対照的に)8行及び8列の反射ファセットを備えることができる。放射改変デバイスの他の実施形態において、反射ファセットの行数は反射ファセットの列数と異なるものとすることができる。
[00364] そこから放射改変デバイスが形成される反射ファセットの数を増加させることで、有利には、遠視野面内での修正済み放射ビームの強度プロファイルの均一性を増加させることができる。前述のように、遠視野面内でオーバーラップするサブビームを形成するように反射ファセットを配置することで、遠視野面内の強度プロファイルの、異なる反射ファセット上に入射する放射の強度間の任意の差への依存度を低減させる。しかしながら、遠視野内の強度プロファイルは、単一の反射ファセット上に入射する放射の強度プロファイルにおける任意の不均一性に対して依然として感受性が高い可能性がある。例えば、単一の反射ファセット上に入射する放射の強度が空間的不均一性を含む場合、これらの空間的不均一性は遠視野面内の強度プロファイルにも存在し得る。
[00365] そこから放射改変デバイスが形成される反射ファセットの数を増加させることで、通常は、結果として、各反射ファセットのサイズを減少させることになる。反射ファセットのサイズを減少させることで、単一の反射ファセット上に入射する放射ビーム6120の一部の断面を減少させることになる。単一の反射ファセット上に入射する放射ビーム6120の一部の断面を減少させることが、典型的には、単一の反射ファセット上に入射する放射の強度プロファイル内に存在する任意の空間的不均一性のサイズの減少につながることになる。したがって、遠視野面内の強度プロファイル内に存在する任意の空間的不均一性のサイズを低減させることができる。
[00366] そこから放射改変デバイスが形成される反射ファセットの数を増加させることで、追加又は代替として、遠視野面内の放射の、放射改変デバイス6151上に入射する放射ビーム6120の指示方向への依存性を、低減させることができる。
[00367] しかしながら、そこから放射改変デバイスが形成される反射ファセットの数を増加させることで、放射改変デバイスの製造に関わる複雑さ及び/又は費用を増加させる可能性がある。製造のコスト及び複雑さと放射改変デバイスの性能との間のバランスを見つけるように、そこから放射改変デバイスが形成される反射ファセットの数、及び反射ファセットのサイズを選択することができる。
[00368] 反射ファセット6153a〜6153pの断面形状及び反射ファセットの集束パワーは、少なくとも部分的に、遠視野面内の修正済み放射ビームの断面のサイズ及び形状を決定することができる。遠視野面内の修正済み放射ビームの断面が、遠視野面内か又はその近くに位置する1つ以上の光学要素とほぼ一致するように、反射ファセット6153a〜6153pの断面形状を選択することができる。例えば、(1つ以上の集束光学系の後に位置付けることが可能な)遠視野面内の修正済み放射ビームの断面は、リソグラフィ装置の一部を形成する視野ファセットミラーの断面とほぼ一致することができる。代替として、遠視野面内の修正済み放射ビームの断面は、修正済み放射ビームが入射するビーム分割装置の断面とほぼ一致することができる。
[00369] 図29に示される実施形態において、反射ファセット6153a〜6153pは各々、ほぼ矩形の断面形状を有する。図29に示されるように、放射ビーム6120は、反射ファセットが放射ビーム6120のほぼ正方形状の断面部分を受け取るように、かすめ入射角で放射改変デバイス6151上に入射することができる。他の実施形態において、反射ファセットが図29に示される形状とは異なる断面形状を有すること、及び/又は、反射ファセットが図29に示される配置とは異なって配置されることが、可能である。
[00370] 図29に示される放射改変デバイス6151は、図24〜図28に示される放射改変デバイスとは異なる。特に、図24〜図28に示される放射改変デバイスは、各々、焦点面内に存在する複数の焦点に複数のサブビームを誘導及び集束させるように構成された、複数の反射ファセットを備える。図24を参照しながら上記で説明したように、遠視野面内で見た場合、複数の焦点は平面的な高エタンデュ光源として動作する。図29に示される実施形態において、複数の反射ファセットは、焦点面内に存在する複数の焦点にサブビームを集束させるように構成されていないが、代わりに、遠視野面内で相互にオーバーラップするサブビームを形成するように配置される。どちらの形の放射改変デバイスも、放射改変デバイス上に入射する放射ビームのエタンデュよりも大きなエタンデュを有する修正済み放射ビームを提供する働きをする。どちらの形の放射改変デバイスも、リソグラフィ装置及び/又はビーム分割装置に提供するのに好適な、遠視野面内の修正済み放射ビームを提供することができる。
[00371] 図29に示されたタイプの放射改変デバイスは、放射改変デバイスの相対的に近くに位置する遠視野面内のリソグラフィ装置及び/又はビーム分割装置に提供するのに好適な、修正済み放射ビームを提供することができる。図24〜図28に示されるタイプの放射改変デバイスは、放射改変デバイスから相対的に遠くに位置する遠視野面内のリソグラフィ装置及び/又はビーム分割装置に提供するのに好適な、修正済み放射ビームを提供することができる。いずれかの形の放射改変デバイスを、1つ以上の集束光学系と共に使用することができる。例えば、放射改変デバイスによって提供される修正済み放射ビームを、1つ以上の集束光学系によって遠視野面上に集束させることができる。
[00372] 図30は、図29に示されるタイプの放射改変デバイスを含む、リソグラフィシステムLSの一部を示す概略図である。リソグラフィシステムLSは、放射ビームBを提供する放射源SOを含む。放射源SOは、例えば1つ以上の自由電子レーザFELを含むことができる。放射ビームBは最初にビーム拡張光学系7001上に入射する。ビーム拡張光学系7001は放射ビームBを拡張し、その後この放射ビームBは放射改変デバイス7100上に入射する。放射改変デバイス7100は、ビーム分割装置7005上に入射する修正済み放射ビーム7003を提供する。ビーム分割装置7005は、修正済み放射ビーム7003を複数の分岐放射ビームBa〜Bcに分割する。図30に示される例において、ビーム分割装置7005は、修正済み放射ビーム7003を3つの分岐放射ビームBa〜Bcに分割する。いくつかの実施形態において、ビーム分割装置7005は、修正済み放射ビーム7003を3つよりも多いか又は少ない分岐放射ビームBa〜Bcに分割することができる。
[00373] 第1の分岐放射ビームBaが、誘導光学系7006上に入射する。誘導光学系7006は、第1の分岐放射ビームBaを第1の集束光学系7007a及び第2の集束光学系7007bに提供する。第1及び第2の集束光学系7007a、7007bは共に、修正済み放射ビームを中間焦点IFに集束させる。中間焦点IFは、実質的に、リソグラフィ装置LAaの閉鎖構造内の開口に位置する。修正済み放射ビームは、閉鎖構造内の開口を通過し、リソグラフィ装置LAaを形成する光学コンポーネント(図示せず)上に入射する。例えば修正済み放射ビームは、最初に、リソグラフィ装置LAaの一部を形成する視野ファセットミラー(図示せず)上に入射することができる。
[00374] 第2及び第3の分岐放射ビームBb及びBcも、それぞれ誘導光学系(図示せず)及び集束光学系(図示せず)を介して、それぞれリソグラフィ装置(図示せず)に提供することができる。説明しやすいように、第2及び第3の分岐放射ビームBb及びBcは図30から省略されている。
[00375] 説明しやすいように、ビーム拡張光学系7001及び放射改変デバイス7100は、図30では、透過型光学コンポーネントから形成されるものとして示されている。しかしながら実際には、ビーム拡張光学系7001及び放射改変デバイス7100は反射型光学系から形成可能である。
[00376] 図31は、ビーム拡張光学系7001の一例を示す概略図である。図31に示される例において、ビーム拡張光学系7001は、第1の反射要素7001a及び第2の反射要素7001bを備える。第1の反射要素7001aは、放射ビームBを受け取って反射する凸状反射表面を備える。第2の反射表面は、放射ビームBを受け取って反射する凹状反射表面を備える。第1及び第2の反射要素7001a、7001bは共に、放射ビームBの断面を拡張する働きをする。放射ビームBの断面は、例えば、放射ビームBが放射改変デバイス7100の大部分を照明するように拡張することができる。
[00377] 他の実施形態において、ビーム拡張光学系は、放射ビームBの断面を拡張する働きをする任意の光学コンポーネント又は光学コンポーネントの組み合わせを備えることができる。いくつかの実施形態において、ビーム拡張光学系は3つ以上の光学コンポーネントを備えることができる。例えばビーム拡張光学系は、4つ以上の反射要素を備えることができる。反射要素は、例えば、形状が押出放物形に適合する反射表面を含むことができる。
[00378] 放射改変デバイス7100は、各々が拡張された放射ビームBの一部を受け取る、複数の反射ファセットを備える。各反射ファセットは、サブビームを形成するために、拡張された放射ビームBの受け取った部分を反射する。反射ファセットは、サブビームが遠視野面内で相互にオーバーラップするように構成される。遠視野面は、ビーム分割装置7005又はその近くに存在する。放射改変デバイス7100は、例えば、図29を参照しながら上記で説明した形とすることができる。
[00379] ビーム分割装置7005は、放射改変デバイス7100によって形成される修正済み放射ビームの一部を受け取るように各々が配置された、複数の反射ファセットを備えることができる。反射ファセットは、分岐放射ビームBa〜Bcを形成するために、修正済み放射ビームのそれぞれの部分を異なる方向に反射するように配置可能である。ビーム分割装置7005は、図13、図14A、図14B、図18、図19、図21、図22A、又は図23のいずれかに示された形とするか、或いは任意の他の形を取ることができる。
[00380] 誘導光学系7006は、第1の分岐放射ビームBaをビーム分割装置7005から受け取り、分岐放射ビームBaを集束光学系7007a、7007bに誘導する。図32は、誘導光学系7006の実施形態を形成する光学要素を示す概略表現である。図32に示される実施形態において、誘導光学系は4つの光学要素7006a〜7006dから形成される。各光学要素は、分岐放射ビームBaのイメージを形成する。図32に示される表現において、光学要素は透過型光学系として示される。透過型光学系は、y及びzの方向に延在するスケール上に示される。y方向の寸法はミリメートル単位で与えられ、z方向の寸法はメートル単位で与えられる。各光学要素7006a〜7006dは、それ独自の焦点長fを有する。図32では、各光学要素7006a〜7006dの各々の焦点長fが標示されている。
[00381] 図32に示される光学要素7006a〜7006dは、図32では透過型光学系として示されているが、実際には、各光学要素7006a〜7006dは1つ以上の反射要素から形成可能である。例えば、各光学要素7006a〜7006dは複数のかすめ入射ミラーを備えることができる。いくつかの実施形態において、光学要素の1つ以上は連続するWolter望遠鏡を備えることができる。
[00382] 図32に示される例において、分岐放射ビームは、およそ4ミリラジアンの半発散度θを有する。分岐放射ビームは、はじめはおよそ10mmのビーム直径を有することができる。光学要素7006a〜7006dは、分岐放射ビームBaの直径がおよそ40mmを超えないように構成される。
[00383] 図32に示されるような引き回し光学系を使用して所与の距離にわたって放射ビームを引き回すことは、放射ビームのエタンデュが低減される場合、簡略化することができる。図30に示される実施形態において、分岐放射ビームのエタンデュは、複数の反射ファセットを備える放射改変デバイス7100によって増加される。他の実施形態において、分岐放射ビームのエタンデュは、(例えば、図13で示されるように)反射性内部表面を有するチューブを備える放射改変デバイスによって増加され得る。反射性内部表面を有するチューブを備える放射改変デバイスは、典型的には、複数の反射ファセットを備える等価の放射改変デバイスよりも大いに放射ビームのエタンデュを増加させることができる。したがって、(図30に示されるように)放射ビームをビーム分割装置に提供する前に複数の反射ファセットを備える放射改変デバイスを使用することで、分岐放射ビームBaをリソグラフィ装置に誘導するために使用される誘導光学系7006を(反射性内部表面を有するチューブを備える放射改変デバイスを使用することと比較した場合)簡略化することができる。
[00384] 以前に説明したように、修正済み放射ビームのエタンデュは、修正済み放射ビームの見掛け放射源サイズの直径と半発散度との積の2乗程度である。図32に示された例において、誘導光学系に提供される分岐放射ビームの見掛け放射源サイズの直径は、およそ10mmとすることが可能であり、半発散度はおよそ4ミリラジアンとすることが可能である。したがって見掛け放射源サイズの直径と半発散度との積は、およそ40mmミリラジアンである。放射改変デバイスが反射性内部表面を有するチューブを備える代替実施形態において、分岐放射ビームの見掛け放射源サイズの等価の直径は、およそ5mmとすることが可能であり、等価の半発散度はおよそ20ミリラジアンとすることが可能である。したがって、見掛け放射源サイズの直径と半発散度との積はおよそ100mmミリラジアンである。したがって、複数の反射ファセットを備える放射改変デバイスがビーム分割装置の前に使用される場合、分岐放射ビームのエタンデュは(反射性内部表面を有するチューブを備える放射改変デバイスと比較した場合)著しく小さいものとすることができる。上記で説明したように、これによって、分岐放射ビームBaをリソグラフィ装置に誘導する誘導光学系の設計を簡略化することができる。
[00385] 図33は、ビーム分割装置7005の一部を示す概略図である。前述のように、ビーム分割装置7005は、例えば図13、図14A、図14B、図18、図19、図21、図22A、又は図23のいずれかに示された形とするか、或いは任意の他の形を取ることができる。図33は、ビーム分割装置7005の一部を形成する単一の反射ファセット7005aを示す。反射ファセット7005aは高さHを有する。反射ファセット7005aは、図33のページ内へと延在する幅W(図33には図示せず)も有する。修正済み放射ビームが、伝搬方向の角度レンジ2θを有する反射ファセット7005a上に入射する。すなわち、伝搬方向の角度レンジは、修正済み放射ビームの半発散度θの2倍である。修正済み放射ビームが反射ファセット7005a上に入射する際の平均かすめ入射角は、図33ではφと標示されている。
[00386] 図30を参照しながら上記で説明したように、ビーム分割装置は、放射改変デバイス7100で形成されるサブビームが相互にオーバーラップする遠視野面又はその近くに位置決めされる。特に、ビーム分割装置の反射ファセットの表面全体にとって、サブビームがオーバーラップする遠視野面に近いことが望ましい可能性がある。以下の不等式を満たす場合、ビーム分割装置全体が遠視野面に近いものと見なすことができる。
上式で、D0は放射改変デバイス7100上に入射する放射ビームの直径であり、Nはビーム分割装置の反射ファセットの数、したがって形成されることになる分岐放射ビームの数である。
[00387] 修正済み放射ビームを形成する放射の実質的にすべての光線が、ビーム分割装置を形成する反射ファセットのうちの1つに入射することが更に望ましい可能性がある。これは、以下の不等式を満たす場合に達成可能である。
上式で、Lは、放射改変デバイス7100とビーム分割装置7005との間の距離である。
[00388] 分岐放射ビームが角度広がり2θよりも大きい角度だけ離されるように、ビーム分割装置のファセットが十分に大きいことが更に望ましい可能性がある。これは、以下の不等式を満たす場合に達成可能である。
[00389] 実施形態において、前述の変数はおよそ、L=4m、D0=20mm、W=100mm、H=10mm、N=10、φ=50ミリラジアン、の値を取ることができる。こうした実施形態において、数式(3)〜(5)で与えられる不等式はすべて満たされる。
[00390] 図34は、第1の拡散要素8003a及び第2の拡散要素8003bを備える放射改変デバイス8001の代替実施形態を示す概略図である。第1の拡散要素8003aは第1の粗反射表面8005aを備え、第2の拡散要素8003bは第2の粗反射表面8005bを備える。図34に示される実施形態において、第1及び第2の拡散要素8003a、8003bはどちらも、粗反射表面8005a、8005bを含むディスク様構造を備える。
[00391] 放射ビーム8020は第1の粗反射表面8005aに入射し、第2の粗反射表面8005b上に入射するように第1の粗反射表面8005aから反射される。放射ビームは、修正済み放射ビーム8007を出力するように、第2の粗反射表面8005bから反射される。
[00392] 図35は、第1の粗反射表面8005aの一部を示す概略図である。粗反射表面8005aは、参照のために図35に示された平坦面8010から反射表面8005aを逸脱させる凹み8009を含む。図35には、放射ビーム8020の一部を表し、粗反射表面8005aに入射する、放射光線8012も示されている。放射ビーム8020及び光線8012は、粗反射表面8005aが逸脱する平坦面8010に対するかすめ入射角φで、粗反射表面8005aに入射する。
[00393] 平坦面8010からの粗表面8005aの逸脱に起因して、異なる放射光線8012は、粗反射表面8005aに対する異なるかすめ入射角で、反射表面8005aに入射することになる。したがって異なる放射光線8012は、粗反射表面から異なる方向に反射することになる。したがって粗反射表面8005aは、放射ビーム8012を形成する放射光線8012が伝搬される角度レンジを増加させる働きをする。すなわち、粗反射表面8005aは、放射ビーム8012に対して角度広がりを導入する。
[00394] 放射ビーム8020に導入される角度広がりのほとんどは、粗反射表面8005aでの入射面に対してほぼ平行な方向である。第2の拡散要素8003bの第2の粗反射表面8005bは、図35に示される第1の粗反射表面8005aと同様であり得る。したがって第2の粗反射表面8005bも、放射ビーム8020内に角度広がりを導入することができる。第2の粗反射表面8005bは、第1の粗反射表面8005aに対してほぼ垂直なように配置可能である。したがって第2の粗反射表面8005bでの入射面は、第1の粗反射表面8005aでの入射面に対してほぼ垂直とすることができる。したがって第2の粗反射表面8005bで導入される角度広がりは、一般には、第2の粗表面8005bで導入される角度広がりの一般的方向に対してほぼ垂直な方向とすることができる。したがって放射改変デバイス8001から出力される修正済み放射ビーム8007は、すべての方向の角度広がりを含むことができる。これは図34では、異なる方向のレンジ内で伝搬する放射光線8012によって示される。
[00395] 放射改変デバイス8001によって導入される放射の角度広がりは、第1の拡散要素8003a上に入射する放射ビーム8200と比較した場合、修正済み放射ビームのエタンデュを増加させる働きをする。粗反射表面8005aの不均等な性質に起因して、放射ビーム8001の所与の光線が修正済み放射ビーム8007の一部として放射改変デバイス8001から出力される方向は、確率分布によって記述することができる。確率分布は連続関数であり得るため、放射改変デバイス8001から出力される修正済み放射ビーム8007の角度強度プロファイルも連続関数となる。遠視野面内の空間的強度プロファイルが連続関数であるように、修正済み放射ビーム8007の角度強度プロファイルを遠視野面上にイメージングすることが望ましい可能性がある。
[00396] 拡散要素8003a、8003b上に入射する放射ビーム8020は、ほぼコヒーレントな放射ビームとすることができる。上記で説明したように、コヒーレントな放射ビーム8020を形成する異なる放射光線8012は、異なる方向に反射され得る。これが、異なる光線8020間で発生する干渉につながる可能性がある。異なる光線8020間での干渉は、修正済み放射ビーム8012内で発生するスペックルパターンにつながる可能性がある。修正済み放射ビーム8012におけるスペックルの発生を低減させるか又は除去することが望ましい可能性がある。これは、第1及び/又は第2の拡散要素8003a、8003bを回転させることによって達成可能である。拡散要素8003a、8003bの回転は、図34において矢印で示される。拡散要素8003a、8003bは、例えば拡散要素8003a、8003bの中心軸の周りを回転させることができる。
[00397] 拡散要素8003a、8003bの回転が、有利には、修正済み放射ビーム8012におけるスペックルの発生を低減させることができる。例えば、拡散要素8003a、8003bの回転は、干渉効果の結果として修正済み放射ビーム8012内で局所的な強度変動が発生する頻度を増加させることができる。例えば、拡散要素8003a、8003bの回転は、局所的な強度変動がおよそ10kHzよりも大きい周波数でのみ発生することを保証することができる。およそ10kHzよりも大きい周波数で発生する局所的な強度変動は、リソグラフィ露光プロセスにおいて修正済み放射ビームのすべて又は一部が使用される場合、重大な問題を発生させることがない可能性がある。したがって、およそ10kHzよりも大きい周波数で発生する局所的な強度変動は許容され得る。
[00398] 所与の周波数より上でのみ局所的な強度変動を発生させることを保証するために、粗反射表面8005a、8005bが移動するのに必要な速度は、粗反射表面8005a、8005b上でのラフネスフィーチャのサイズに依存し得る(例えば、凹み8009の直径d)。実施形態において、粗反射表面8005a、8005b上でのラフネスフィーチャは、約0.1mmの近似サイズを有することができる。こうした実施形態において、拡散要素8003a、8003bの回転速度は、粗反射表面8005a、8005bが毎秒約1メートルよりも速い速度で移動するのに十分大きいものとすることができる。これにより、干渉効果に起因した局所的な強度変動が約10kHzよりも上の周波数で発生することを保証し得る。
[00399] 拡散要素8003a、8003bは、例えば、1つ以上のアクチュエータ(図34には図示せず)によって回転させることができる。拡散要素8003a、8003bの回転を上記で説明してきたが、他の実施形態において、拡散要素8003a、8003bは回転以外の形で移動される可能性がある。例えば拡散要素8003a、8003bは、粗反射表面8003a、8003bをほぼ同じ平面内にとどまらせる方向に周期的な線形運動を受ける可能性がある。一般に、拡散要素8003a、8003bは、粗反射表面8005a、8005bが、修正済み放射ビーム8007におけるスペックル効果を減少させるのに十分な大きさの速度で進行することを保証する、任意の形の運動を受けさせられる可能性がある。
[00400] 図35を再度参照すると、粗反射表面8005a内の凹み8009は近似直径dを有する。粗反射表面8005aが平坦面8010と成す最大角度が図35に示されており、εと標示されている。放射ビーム8020を形成する放射光線8012が粗反射表面8005aから複数回反射されることがないことが望ましい。放射光線8012が1回のみ反射されることを保証するために、最大角度εの大きさはかすめ入射角φの約3分の1未満であることが望ましい。すなわち、不等式|ε|<φ/3を満たすことが望ましい。いくつかの実施形態において、最大角度εはこれよりも小さいことが望ましい可能性がある。例えば、不等式|ε|<φ/3を満たすことが望ましい可能性がある。これは、平坦面8010からの反射に対してアップワード又はダウンワードに偏向される光線8012間の非対称性を低減させる働きをすることができる。
[00401] 実施形態において、修正済み放射ビーム8007内におよそ20ミリラジアンの角度広がりを生成することが望ましい可能性がある。これは、例えばおよそ10ミリラジアンの最大角度εを用いて達成可能である。いくつかの実施形態において、修正済み放射ビーム8007が、およそ10ミリラジアンの最大角度εを用いて達成されるよりも小さなエタンデュを有することが望ましい可能性がある。こうした実施形態において、最大角度εは10ミリラジアン未満とすることができる。例えば、最大角度εはおよそ1ミリラジアンとすることができる。
[00402] 実施形態において、かすめ入射角φはおよそ70ミリラジアン、最大角度εはおよそ10ミリラジアン、凹み8009の直径はおよそ0.1mmとすることができる。凹み8009は、およそ250nmの深さ及びおよそ5mmに等しい湾曲の放射を有することができる。凹みが球体の一部を用いて近似できる場合、凹みの深さはおよそdε/4に等しくなり、凹みの湾曲の半径はおよそd/(2ε)に等しくなる。
[00403] いくつかの実施形態において、かすめ入射角φは約5°未満とすることができる。いくつかの実施形態において、かすめ入射角φは約2°未満とすることができる。いくつかの実施形態において、かすめ入射角φは約1°未満とすることができる。かすめ入射角(例えば、約5°以下のかすめ入射角)で放射を受け取る粗反射表面を使用することにより、有利には、粗反射表面に関する表面のラフネス要件が緩和される。例えば、粗反射表面が、公称入射に近い入射角で放射を受け取るはずである場合、所与の効率で粗反射表面から放射を反射するために、表面は所与の閾値未満の表面ラフネスパラメータを有する必要があり得る。かすめ入射角で放射を受け取る同等の表面の場合、同等の表面ラフネスパラメータ閾値を緩和することができる。例えば、かすめ入射角での反射について、同等の表面ラフネスパラメータ閾値は概して大きいものとすることができる。したがって、かすめ入射角で放射を受け取るように構成された好適な粗反射表面を製造することは、公称入射に近い入射角で放射を受け取るための同様の表面を製造することよりも、単純であり得る。
[00404] 上記で説明した最大角度εに対する制約は、凹み8009の直径dよりも小さいサイズを有し得る、表面内の小さな逸脱についても、なお当てはまることが望ましい可能性がある。例えば最大角度εに対する制約は、放射ビーム8020の波長に等しいか又はこれよりも大きい深さを有するいかなる逸脱についても、なお当てはまることが望ましい可能性がある。反射表面は、最大角度εよりも大きな角度を形成する小規模な(例えばナノメータ規模の)ラフネスフィーチャを含むことができる。
[00405] 一般に、すべての反射表面は、何らかの規模のラフネスフィーチャを含む。例えばすべての反射表面は、反射される放射の波長に等しいか又はこれより小さい、小規模なラフネスフィーチャを含む。本明細書で「粗反射表面」に言及する場合は、反射されており、角度広がりを放射ビームに導入する、放射の波長よりも大きなラフネスフィーチャを有する反射表面を意味するものと意図される。
[00406] 一般に、最大角度εは、粗反射表面によって導入されることになる所望の角度広がりの半分未満であることが望ましい。これよりも急な勾配を有する任意のラフネスフィーチャ(例えば、例えば、ナノメータ規模などの小規模なラフネスフィーチャ)は、約5〜10ナノメートル未満の高さを有することが望ましい。
[00407] 図35に示されるような凹み8009などの、直径dを有するラフネスフィーチャは、λ/(εφ)程度の回折角度につながることになり、ここでλは反射される放射の波長である。粗反射表面によって導入される所望の角度広がりと比較した場合、回折角度は小さいことが望ましい。そのために、不等式d>λ/(εφ)を満たすことができる。一般に、本明細書で粗反射表面に言及することは、寸法がλ/(εφ)よりも大きいラフネスフィーチャを有する反射表面を意味するものと解釈され得る。反射される放射の波長λがおよそ13nmである実施形態において、最大角度εはおよそ0.01ラジアンであり、かすめ入射角φはおよそ0.07ラジアンであるため、ラフネスフィーチャサイズdは約20ミクロンよりも大きくて良い。
[00408] 一般に、粗反射表面は、約10ミクロンよりも大きい寸法を有するラフネスフィーチャを含むことができる。いくつかの実施形態において、ラフネスフィーチャは、約20ミクロンよりも大きい、約30ミクロンより大きい、又は約50ミクロンより大きいものとすることができる。例えばいくつかの実施形態において、ラフネスフィーチャは100ミクロン程度とすることができる。
[00409] 粗反射表面8005a、8005bは、例えば、反射コーティングが付加される基板を粗くすることによって形成可能である。図36は、第1の拡散要素8003aの実施形態を介する断面を示す概略図である。第1の拡散要素8003aは、基板8017及び反射コーティング8019を備える。基板8017は、平坦面に対して凹みを含むように粗くされた、上面8017aを含む。反射コーティング8019は基板8017上に配設される。上面8017a内の凹みによって、反射コーティング8019も凹みを含むことになる。その結果、粗反射表面8005aが提供される。
[00410] 例えば上面8017aの吹き付け加工によって、基板8017の上面8017a内に凹みが形成され得る。基板8017は、例えば、金属性であり得るため、粒子の吹き付けによる衝撃で塑性的に変形することになる。例えば基板は、ニッケル、銅、及び/又はアルミニウムを含むことができる。凹みを形成する他の方法も使用可能である。例えば上面8017aは、ガラス又はスチールのビーズなどの滑らかな物体で衝撃を与えることができる。いくつかの実施形態では、タンブリングを使用して上面8017aに凹みを形成することができる。
[00411] 上面8017aの吹き付け又はタンブリングによって、上面8017aを所望のマクロ的粗さにすることができる。しかしながら上面8017aは、放射(例えば、EUV放射)を効率的に反射するために、ナノメートル長規模で十分に平滑でない可能性がある。したがって、放射(例えば、EUV放射)を効率的に反射するように、ナノメートル長規模で所望の平滑さを有する反射表面8005aを提供するために、基板上に反射コーティング8019が配設される。反射コーティング8019は、例えばルテニウムから形成可能である。他の実施形態では、反射コーティング8019は、例えばモリブデンから形成可能である。
[00412] いくつかの実施形態において、粗反射表面8005aの小規模な平滑さを増加させるために、追加のプロセスを実行することができる。例えば、粗反射表面8005aを平滑にするために、電解研磨プロセスを実行することができる。基板及び反射コーティングを形成するために使用される材料に応じて、反射コーティング8019上ではなく、基板8017上で電解研磨プロセスを実行する方が容易な場合がある。いくつかの実施形態において、したがって基板8017の上面8017aには、基板上に反射層8019を配設する前に電解研磨プロセスを施すことができる。
[00413] 代替実施形態において、所望の表面特徴を有するマンドレルを初めに形成することができる。マンドレルは、例えばマンドレルの表面を吹き付け加工した後、表面を電解研磨することによって形成することができる。マンドレルは、基板(例えば、ニッケル基板)の上面を成形するために、電鋳プロセスで使用することができる。次いで、粗反射表面8005aを形成するために、基板の上面上に反射コーティングを配設することができる。
[00414] 図37A〜図37Eは、拡散要素を形成するための代替方法のステップを示す概略図である。図37Aは、パターン付与された基板8050及び金属シート8053を示す。パターン付与された基板8050は、それ以外は平坦な基板の表面から外側に延在する突起8051を含む。代替として、突起は、基板8050上にコーティング材料を堆積させることによっても形成可能である。例えばコーティング材料は、インクジェットプリンタを使用して基板上に堆積可能である。突起8051は、規則的なパターンで配置することができる。代替として突起8051は、基板8050の表面全体にランダムに分散可能である。各突起8051の形状及び/又はサイズは、ほぼ同じとすることができる。代替として、突起8051の形状及び/又はサイズは、異なる突起8051について異なるものとすることもできる。
[00415] 図37Bは、金属シート8053を変形させるために使用しているパターン付与された基板8050を示す。例えば、金属シート8053は、液圧成形プロセスを使用して、パターン付与された基板8050及び金属シート8053を共にプレスすることによって変形させることができる。
[00416] 変形された金属シート8053は、基板8055の表面を成形するためのマンドレルとして使用可能である。図37Cは、変形された金属シート8053を使用して成形される上面8057を備える基板8055を示す。基板8055の上面8057は、例えば電鋳プロセスを使用して成形可能である。
[00417] 図37Dは、変形された金属シート8053から分離された後の、成形済み基板8055を示す。基板の上面8057は凹み8059を含む。図37Eに示されるように、その後、粗反射表面8063を形成するために、基板8055の上面8057に反射コーティング8061が追加される。反射コーティング8061は、例えばルテニウムから形成することができる。代替として、反射コーティング8061はモリブデンから形成することができる。
[00418] 上記で、拡散要素の一部を形成することができる粗反射表面を形成するための様々な方法を説明してきたが、他の実施形態では、任意の好適な方法を使用して粗反射表面を形成することができる。
[00419] 図34に示されるタイプの放射改変デバイス8001は、リソグラフィシステムの一部として使用可能である。例えば、図34に示されるタイプの放射改変デバイス8001を使用して、ビーム分割装置に放射ビームが提供される前に放射ビームを修正することができる。追加又は代替として、放射改変デバイス8001を使用して、リソグラフィ装置に分岐放射ビームが提供される前に分岐放射ビームを修正することもできる。
[00420] 前述のように、放射改変デバイス8001は、連続する角度強度プロファイルを有する修正済み放射ビーム8007を形成することができる。修正済み放射ビームが受け取られる平面の近く又はその平面にある遠視野面上に、角度強度プロファイルをイメージングすることが望ましい可能性がある。例えば、ビーム分割装置が連続する空間的強度プロファイルを有する放射ビームを受け取るために、ビーム分割装置が位置しているロケーション又はその近くの平面上に、角度強度プロファイルをイメージングすることが望ましい可能性がある。追加又は代替として、光学要素が連続する空間的強度プロファイルを有する放射ビームを受け取るために、リソグラフィ装置の光学要素(例えば、視野ファセットミラー)が位置しているロケーション又はその近くの平面上に、角度強度プロファイルをイメージングすることが望ましい可能性がある。
[00421] 図38Aは、放射改変デバイス8001から出力される修正済み放射ビーム8007の角度強度プロファイルを、ほぼ遠視野面8034上にイメージングするために使用可能な、集束機構を示す概略表現である。修正済み放射ビーム8007は、集束光学系8031によって受け取られる。集束光学系8031は、中間焦点IFを通過させるために修正済み放射ビームを集束させる。中間焦点IFは、例えばリソグラフィ装置の閉鎖構造内の開口又はその近くに位置することが可能である。集束光学系8031は、修正済み放射ビームを遠視野面8034上にイメージングする働きもする。遠視野面8034は、例えばリソグラフィ装置の視野ファセットミラーが位置する平面とすることができる。
[00422] 図38Aに示される集束機構は、透過型光学系の形として表されているが、実際には、集束機構は反射光学系を使用して実装可能である。放射改変デバイス8001は、例えば、図34に示された形とすることができる。集束光学系8031は、例えば複数の反射シェルから形成されるWolter望遠鏡を備えることができる。
[00423] 図38Aに示される実施形態において、遠視野面8034上に入射する放射の直径は、放射改変デバイス8001によって受け取られる放射ビーム8020のビーム直径に弱く依存することができる。遠視野面8034上に入射する放射の直径の、放射改変デバイス8001によって受け取られる放射ビーム8020の直径に対する感受性は、例えば、1つ以上の更なる光学要素を導入することによって低減させることができる。
[00424] 図38Bは、放射改変デバイス8001から出力される修正済み放射ビーム8007の角度強度プロファイルを、ほぼ遠視野面8034上にイメージングするために使用可能な集束機構の、代替実施形態を示す概略表現である。図38Bに示される集束機構は、修正済み放射ビーム8007を集束光学系8031上に集束させる第2の集束光学系8033を含む点を除いて、図38Aに示される集束機構と同様である。第2の集束光学系8033は、遠視野面8032上に入射する放射の直径の、放射改変デバイス8001によって受け取られる放射ビーム8020の直径に対する感受性を、低減させる働きをすることができる。
[00425] 代替実施形態において、遠視野面8034上に入射する放射の直径の、放射改変デバイス8001によって受け取られる放射ビーム8020の直径に対する感受性は、放射改変デバイス8001と遠視野面8034との間の距離を(例えば、図38Aに示される距離と比較した場合に)延長することによって、低減させることができる。こうした実施形態において、集束光学系8031のサイズを(例えば、図38Aに示される集束光学系8031のサイズと比較した場合に)増加させることができる。
[00426] 図38Bに示される集束機構は、透過型光学系の形として表されているが、実際には、集束機構は反射光学系を使用して実装可能である。放射改変デバイス8001は、例えば、図34に示された形とすることができる。集束光学系8031は、例えば複数の反射シェルから形成されるWolter望遠鏡を備えることができる。
[00427] 図39は、本発明の実施形態に従った放射改変デバイス9001の代替実施形態を示す概略図である。放射改変デバイス9001は、連続的に起伏する反射表面9003を備える。放射改変デバイス9002は放射ビームによって照明される。放射ビーム9002は、図39では放射ビームの主光線9002によって表される。図39で使用される座標システムにおいて、主光線9002は実質的にx軸に平行である。放射ビームは、かすめ入射角φで放射改変デバイス9001上に入射する。表面9003の起伏性に起因して、放射ビームの異なる断面部分が異なるかすめ入射角で表面9003上に入射することになる。更に放射ビームは、何らかの発散度を有することが可能であり、その結果、異なるかすめ入射角で表面9003上に入射する放射ビームを形成する異なる光線を生じさせる。図39に示されるかすめ入射角φは、放射ビームの光線と表面9003とが成す、平均かすめ入射角を示すことが意図されている。
[00428] 連続的に起伏する反射表面9003の形状は、図39に示されるx及びyの両方の方向で実質的に周期的なパターンに従う。連続的に起伏する反射表面9003は、複数の反射部分9005を備えるものと見なすことができる。しかしながら、図39に示されるような連続的に起伏する反射表面の反射部分9005は、例えば、図25に示される反射ファセット6103a〜6103p又は図26に示される反射ファセット6103’a〜6103’mとは異なる。
[00429] 図25に示される反射ファセット6103a〜6103p及び図26に示される反射ファセット6103’a〜6103’mは、不連続を含む反射表面を形成する。実際にファセットは、例えば別々に製造され相互に隣接して配置される、別々の要素から形成することができる。ファセットの境界は、ファセットの組み合わせによって提供される反射表面内の不連続を形成する鋭利な縁部によって画定される。これに対して、図5に示される反射部分9005の組み合わせによって提供される反射表面9003は、いかなる実質的な不連続も含まない。したがって、反射表面9003は、隣接する反射部分9005の間にいかなる鋭利な境界も含まない。
[00430] 図39に示される放射改変デバイスは、前述の放射改変デバイスの他の実施形態と同様に放射ビームを修正することができる。例えば放射改変デバイス9001は、放射ビームのエタンデュを増加させる働きをすることができる。追加又は代替として、放射改変デバイス9001は、放射ビームの強度プロファイルの均一性を増加させる働きをすることができる。放射改変デバイス9001は、特に、複数の反射ファセットを備える放射改変デバイスと同様に放射ビームを修正することができる。
[00431] 図39に示される表現において、隣接する反射部分間の境界は表面上の変曲点を接合する。すなわち、z方向の反射表面9003の範囲がx及びyの位置の連続数学関数によって記述される場合、x及びy方向の連続関数の変曲点は、隣接部分9005間の境界を画定する。各部分9005はx方向に長さを有し、この長さは実質的にx方向の周期パターンの単一期間の半分である。各部分9005はy方向に長さを有し、この長さは実質的にy方向の周期パターンの単一期間の半分である。
[00432] 図39に示される反射部分9005は、3つの異なるクラスの反射部分に分けることができる。第1のクラスの反射部分9005aは、凸状部分9005aと呼ぶことができる。凸状部分9005aは、x及びyの両方の方向に正の湾曲を有する。すなわち、2次導関数は、表面9003をx及びyの関数として記述する連続関数のx及びyに関して、凸状部分9005a全体を通じて正のままである。第2のクラスの反射部分の9005bは、サドル部分9005bと呼ぶことができる。サドル部分9005bは、x及びy方向のうちの一方で正の湾曲を有し、x及びy方向のうちの他方で負の湾曲を有する。第3のクラスの部分9005cは、凹状部分9005cと呼ぶことができる。凹状部分9005cはx及びyの両方の方向で負の湾曲を有する。
[00433] 部分9005は、各部分9005が実質的に正方形の放射ビームの断面部分を受け取るように構成可能である。放射ビームは実質的にx軸と平行に伝搬し、相対的に小さなかすめ入射角φで放射改変デバイス9001上に入射することから、部分9005のx方向の範囲は、部分のy方向の範囲よりも大きい。他の実施形態において、各部分9005上に入射する放射ビームの断面部分は、正方形以外の形状を有することができる。例えば、断面形状は実質的に矩形とすることができる。
[00434] 前述のように、図39に示される反射部分9005は、単一の反射表面9003から形成することができる。こうした表面は、例えば、図25に示される反射部分6103a〜6103p及び図26に示される反射部分6103’a〜6103’mなどの、別々の要素から形成される複数の反射部分よりも容易に製造することができる。相互に別々に製造された後、互いに隣接して位置決めされる反射部分は、部分間の境界で放射が失われないように位置決めすることが困難な場合がある。例えば、隣接部分間にギャップが存在する可能性があり、これがギャップでの放射の損失につながる可能性がある。図39に示される連続的に起伏する反射表面9003は、隣接部分間にいずれのギャップもなしに製造することができるため、部分間の境界でいかなる放射も失われることがない。
[00435] 図40は、本発明の実施形態に従った、放射改変デバイス9001の一部を形成することが可能な連続的に起伏する表面9003の単位セルを示す概略図である。単位セル9007は、起伏表面9003のx方向の単一期間Px及び起伏表面9003のy方向の単一期間Pyを備える。単位セル907は、凸状部分9005a、凹状部分9005c、及び2つのサドル部分9005bを備える。
[00436] 部分Py/Pxのアスペクト比は、各部分9005が入射放射ビームのほぼ正方形の断面部分を受け取るように、選択することができる。例えばアスペクト比は、sin(φ)≒φにほぼ等しいものとすることができ、上式でφは放射が反射表面9003上に入射する際の平均かすめ入射角である。
[00437] 表面9003のz方向の範囲(表面の高さと呼ぶことができる)は、x及びyの連続数学関数として表すことができる。関数は、以下のように表すことが可能である。
上式で、f(x)は期間Pxを有するxの周期関数であり、g(y)は期間Pyを有するyの周期関数である。
[00438] 図40に示される表現において、x軸及びy軸の起点(すなわち、x=0及びy=0)は、部分9005(この場合、凸状部分9005a)の幾何学的中心(x軸及びy軸上)に対応するように選択される。x軸及びy軸の起点が部分の中心に対応する場合、反射表面は以下の対称関係を満たすことができる。
[00439] いくつかの実施形態において、表面9003は、各部分9005内で、z(x,y)がx及びyの両方の2次関数であるように画定することができる。すなわち、表面9003の湾曲は、各部分9005内でx及びyの両方の方向に実質的に一定とすることができる。こうした実施形態において、各部分は放射で照明された場合、遠視野ロケーションのほぼ矩形の部分を照明するように入射放射を反射する。部分が実質的に均一の空間的強度プロファイルを有する放射で照明された場合、部分9005から反射された放射によって照明される遠視野ロケーションのほぼ矩形の部分も、実質的に均一の空間的強度プロファイルを有することになる。例えば、放射改変デバイス9001上に入射する放射ビームの強度プロファイルにおける任意の空間的変動に比べて、部分9005のサイズが小さい場合、部分9005は、実質的に均一な空間的強度プロファイルを有する放射で照明することができる。
[00440] 他の実施形態において、表面9003は、部分内の異なる位置で表面9003の湾曲が異なるように画定することができる。表面9003から反射される放射の断面形状及び空間的強度プロファイルは、例えば、部分9005内の表面9003の湾曲を制御することによって制御可能である。
[00441] 各部分9005が、幅及び高さaの実質的に正方形状を有する放射ビームの断面の一部を受け取るように配置される、いくつかの実施形態において、等式(6)における式f(x)及びg(x)は、以下の等式によって得られる。
上式で、Zは、等式(11)及び(12)における括弧内の項の無次元関数であり、φは放射ビームが表面9003上に入射する際の平均かすめ入射角であり、σmは反射表面9003によって放射が偏向される際の最大角である。角度φ及びラジアン単位である。等式(11)及び(12)における括弧内の項は無次元であり、単一部分9005の範囲にわたって−1から1の間で変動する。
[00442] 図41AはXの関数としての関数Zの実施形態を示す概略表現であり、Xは等式(11)における括弧内の項である。図41Aには、xの関数として等式(11)によって得られる結果関数f(x)も示されている。図41Bは、図41Aに示される関数の1次導関数を示す概略表現である。関数Zの同様の形を使用して、等式(12)におけるg(y)を定義することができる。
[00443] 図41A及び図41Bに示される関数Zの形は、単なる例示的実施形態である。図41A及び図41Bに示される例において、反射表面9003から反射される放射は、およそガウス角度強度プロファイルを有することになる。示された例では、ガウス分布はおよそ±2.5の標準偏差でカットオフされる。他の実施形態では、他のカットオフポイントを選択することができる。
[00444] 他の実施形態において、反射表面9003の形状は、他の形の角度強度プロファイルを生成するように定義することができる。例えば、遠視野ロケーションにおける所望の強度プロファイル及び形状を選択することが可能であり、所望の強度プロファイル及び形状を達成する反射表面9003の適切な形状を決定及び製造することが可能である。一般に、より広い角度分布を選択することで、特にy方向での表面9003上のより小さな湾曲につながることになり、結果として相対的に大きな値のg(y)の2次導関数が生じる可能性がある。一般に、反射表面でのEUV放射の損失の低減につながることになるため、相対的に小さな値のかすめ入射角φを使用することが望ましい可能性がある。しかしながら、最大角度偏向σmはかすめ入射角φよりも小さい。したがって、所望の最大角度偏向σmを達成するために十分大きなかすめ入射角φを選択することができる。
[00445] 図42は、図39〜図41を参照しながら上記で説明したタイプの放射改変デバイス9001を示す概略図である。かすめ入射角φで放射改変デバイス9001上に入射する、放射ビームの主光線9002が示されている。図42では見えないが、放射改変デバイス9001は、図41A及び図41Bを参照しながら上記で説明した形の連続的に起伏する反射表面9003を有する。結果として生じる遠視野面9009内の反射した放射ビームの形状も、図42に示されている。
[00446] 図42は、図42に示される遠視野面9009における正規化された角度強度分布を示す概略表現である。図43に示される等高線は、0から1の間で0.1刻みの正規化された強度値を示す。最高強度値は表現の中心にあり、中心からの距離が増加するほど強度は減少する。図43に示された例において、かすめ入射角φはおよそ70ミリラジアン(mrad)となるように選択され、最大角度偏向σmはおよそ45ミリラジアンとなるように選択された。したがって示された例では、比φ/σmはおよそ0.64である。他の実施形態において、比φ/σmは0.64より大きいか又は小さいように選択可能である。
[00447] 図43に示される角度強度プロファイルは、連続的に起伏する反射表面9003を備える放射改変デバイス9001によって形成可能な、角度強度プロファイルの単なる例である。いくつかの実施形態において、高度がプロファイルの中心で最大であり、中心からの半径方向距離が増加するにつれて減少する、図43に示されるタイプの角度強度プロファイルを形成することが望ましい可能性がある。しかしながら他の実施形態では、異なるタイプの角度強度プロファイルを形成することが望ましい可能性がある。表面9003から反射される放射によって形成される角度強度プロファイルを変更するために、反射表面9003の形状(例えば、表面9003の湾曲)を変更することができる。所望の角度強度プロファイルは、放射改変デバイス9001によって修正される放射ビームを受け取るように配置された、リソグラフィ装置LAの構成に依存し得る。
[00448] 図43に示される実施形態において、リソグラフィ装置LAによって角度強度プロファイルの全範囲が使用されない場合がある。例えばリソグラフィ装置は、ディスク型強度プロファイルを受け取るように配置可能である。ディスク型強度プロファイルは、単に強度プロファイルのコーナーを廃棄することによって(例えば、強度プロファイルのコーナーの伝搬をブロックすることによって)達成可能であることを理解されよう。
[00449] 放射改変デバイスの他の実施形態を参照しながら上記で説明したように、結果として生じる角度強度プロファイルが、放射改変デバイス上に入射する放射ビームの位置及び/又は直径における変化に対して相対的に感受性が低いように、放射改変デバイス9001を構成することが望ましい可能性がある。一般に、放射改変デバイス9001を形成する部分9005のサイズを減少させることで、放射改変デバイス9001上に入射する放射ビームの位置及び/又は直径における変化に対する、反射される強度プロファイルの感受性が一般に低下することになる。
[00450] 前述のように、リソグラフィ装置は、放射改変デバイス9001によって提供される角度強度プロファイルのディスク形状部分をキャプチャ及び使用するように構成可能である。リソグラフィ装置によってキャプチャされる放射のパワーは、放射改変デバイス9001上に入射する放射ビームの位置及び/又は直径における変動と共に変動可能である。更に、リソグラフィ装置LAによってキャプチャされる強度分布の重心は変動可能である。一般に、反射部分9005のサイズを減少させ、したがって放射改変デバイス9001を形成する反射部分9005の数を増加させることによって、強度分布のキャプチャされるパワー及び/又は重心の位置における変動を減少させることができる。部分9005の数及び部分9005のサイズは、キャプチャされるパワー及び/又は重心位置の所望レベルの安定性を提供するために選択可能である。
[00451] いくつかの実施形態において、放射改変デバイス9001上に入射する放射ビームは、ほぼガウス分布に従う強度プロファイルを有することができる。放射ビームの直径は、ガウス分布の4つの標準偏差の直径であると見なすことができる。こうした直径はD4σと示すことができる。D4σとy方向の部分期間Pyとの比は、M=D4σ/Pyと示すことができる。いくつかの実施形態において、出力強度分布の重心の位置におけるシフトを、リソグラフィ装置によってキャプチャされるディスクの半径の約10%未満とすることが望ましい可能性がある。いくつかの実施形態において、これは例えば、Mが約1.3より大きい場合に達成可能である。重心におけるシフトは、Mが約2より大きい場合、ディスクの半径の約1%未満とすることができる。重心におけるシフトは、Mが約7より大きい場合、ディスクの半径の約0.1%未満とすることができる。上記の関係は、いくつかの実施形態において、部分9005のサイズを選択ために使用することができる。上記の関係は、数学的に完全な表面に適用可能である。製造公差の対象となる実表面の場合、所望の結果を達成するためにMの値を増加させることができる。
[00452] 放射改変デバイスの他の実施形態を参照しながら上記で説明したように、放射改変デバイス9001から出力される修正済み放射ビームは1つ以上の集束光学系によってイメージングすることができる。図44Aは、放射改変デバイス9001から出力される修正済み放射ビームを、ほぼ遠視野面9034上にイメージングするために使用可能な、集束機構を示す概略表現である。図44Aに示される表現は、図12、図32、及び図38に示される近軸表面と同様の近軸表現である。
[00453] 放射改変デバイス9001は、修正済み放射ビーム9011を出力する。修正済み放射ビーム9011は集束光学系9013によって受け取られる。集束光学系9013は、中間焦点IFを通過するように修正済み放射ビームを集束させる。中間焦点IFは、例えば、リソグラフィ装置の閉鎖構造内の開口又はその近くに位置することができる。集束光学系9013は、修正済み放射ビーム9011を遠視野面9034上にイメージングする働きもする。遠視野面9034は、例えばリソグラフィ装置の視野ファセットミラーが位置する平面とすることができる。
[00454] 図44Aに示される集束機構は透過型光学系の形として表されているが、実際には、集束機構は反射光学系を使用して実装可能である。放射改変デバイス9001は、例えば図39に示される形とすることができる。集束光学系9013は、例えば複数の反射シェルから形成されるWolter望遠鏡を備えることができる。代替として、集束光学系9013はほぼ楕円形状を有する反射表面を備えることができる。代替として、集束光学系9013は複数の反射要素を備えることができる。例えば、集束光学系9013は2つの反射要素から形成されるWolter望遠鏡を備えることができる。
[00455] 図44Aに示される実施形態において、遠視野面9034上に入射する放射の直径は、放射改変デバイス9001によって受け取られる放射ビームのビーム直径に弱く依存することができる。遠視野面9034上に入射する放射の直径の、放射改変デバイス9001によって受け取られる放射ビーム8020の直径に対する感受性は、例えば、1つ以上の更なる光学要素を導入することによって低減させることができる。
[00456] 図44Aの実施形態において、放射改変デバイス9001上に入射する放射ビームの位置におけるシフトは、遠視野面9034上に入射する放射の位置におけるシフトにつながる可能性がある。
[00457] 図44Bは、放射改変デバイス9001から出力される修正済み放射ビーム9011の角度強度プロファイルを、ほぼ遠視野面9034上にイメージングするために使用可能な、集束機構の代替実施形態を示す概略表現である。図44Bに示される集束機構は、第1の集束光学系9013a及び第2の集束光学系9013bを含む。第1の集束光学系9013aは、修正済み放射ビーム9011の角度強度プロファイルをイメージ面9015上に集束させるように配置される。第2の集束光学系9013bは、中間焦点IFを介してイメージ面9015を遠視野面9034上に集束させるように配置される。イメージ面9015は遠視野面9034上にイメージングされることから、集束機構は、放射改変デバイス9001から出力される修正済み放射ビーム9011の角度プロファイルを遠視野面9034上にイメージングする働きをする。中間焦点IFは、例えば、リソグラフィ装置の閉鎖構造内の開口又はその近くに位置することができる。遠視野面9034は、例えばリソグラフィ装置の視野ファセットミラーが位置する平面とすることができる。
[00458] 図44Bに示される実施形態において、イメージ面9015は、第1の集束光学系9013aと第2の集束光学系9013bとの間に位置する。代替実施形態において、イメージ面9015は仮想イメージ面とすることができ、例えば、第2の集束光学系9015と遠視野面9034との間に位置することができる。図44Bに示される表現において、イメージ面9015内の放射は、第1の集束光学系9013a上に入射する放射とおおよそ同じ直径を有する。しかしながら他の実施形態において、イメージ面9015内の放射の直径は、第1の集束光学系9013a上に入射する放射の直径よりも小さいか又は大きいものとすることができる。
[00459] 図38Bに示される集束機構は、透過型光学系の形として表されているが、実際には、集束機構は反射光学系を使用して実装可能である。第1及び/又は第2の集束光学系9013a、9013bは、例えば、複数の反射シェルから形成されるWolter望遠鏡を備えることができる。代替として、第1及び/又は第2の集束光学系9013a、9013bは、ほぼ楕円形状を有する反射表面を備えることができる。代替として、第1及び/又は第2の集束光学系9013a、9013bは、複数の反射要素を備えることができる。例えば、第1及び/又は第2の集束光学系9013a、9013bは、2つの反射要素から形成されるWolter望遠鏡を備えることができる。
[00460] 図44A及び図44Bに示される集束機構は、本明細書で説明する放射改変デバイスの他の実施形態のうちのいずれかと関連して使用することができる。更に、本明細書で説明する集束機構の他の実施形態のうちのいずれかは、図39〜図43を参照しながら説明するタイプの放射改変デバイスと関連して使用することができる。
[00461] 本書全体にわたって、修正済み放射ビームが中間焦点IFを介して遠視野面上にイメージングされる実施形態を説明してきた。中間焦点IFは、リソグラフィ装置LAの閉鎖構造内の開口8又はその近くに位置することができる。しかしながら、いくつかの実施形態において、分岐放射ビームは中間焦点IFを介して集束されない可能性がある。図45は、閉鎖構造内に相対的に大きな開口8を含む、リソグラフィ装置LAa’の代替実施形態を示す概略図である。図45に示されるリソグラフィ装置LAa’は、図2に示されるリソグラフィ装置LAaと同様である。図2及び図45における同様の特徴には、同様の参照番号が与えられており、対応する特徴は図45を参照しながら再度詳細に説明しない。
[00462] 図45に示されるリソグラフィ装置LAa’は、図2に示される対応する開口8よりも大きな、分岐放射ビームBaを受け入れるための開口8を含む。したがって、図45の実施形態において、分岐放射ビームBaがリソグラフィ装置LAa’内を通過できるようにするために、分岐放射ビームBaを中間焦点IFに集束させる必要がない。したがって修正済み放射ビームのイメージングに使用される集束機構は、中間焦点IFを介して修正済み分岐放射ビームBaを集束させる必要がない。
[00463] 中間焦点IFを介して集束されていない分岐放射ビームBaを受け入れるように構成されたリソグラフィ装置LAa’は、中間焦点IFを介して集束されていない分岐放射ビームBaを受け入れるように構成されたリソグラフィ装置の視野ファセットミラー10(例えば、図2のリソグラフィ装置の視野ファセットミラー10)と比較した場合、修正された視野ファセットミラー10’を含むことができる。例えば、修正済み視野ファセットミラー10’は、図2のリソグラフィ装置LAaの視野ファセットミラー10と比較した場合、異なる焦点長を有する反射ファセットを含むことができる。追加又は代替として、反射ファセットの配向は修正済み視野ファセットミラー10’内では異なるものとすることができる。
[00464] 例えば図13〜図29を参照しながら上記で説明したように、放射システムは、メイン放射ビームを複数の分岐放射ビームに分割するように構成されたビーム分割装置を備えることができる。図46は、本発明の実施形態に従った、ビーム分割装置9050を示す概略図である。ビーム分割装置は、メイン放射ビームを受け取り、メイン放射ビームを複数の分岐放射ビームに分割するように構成される。ビーム分割装置は、ビーム軸9051に沿ってメイン放射ビームを受け取るように構成可能である。ビーム軸は図46のページ内へと延在する。ビーム分割装置は、複数の反射ファセット9053を備える。ビーム分割装置9050上に入射する放射ビームは、複数の反射ファセット9053を照明し、例えば、図46に示される反射ファセット9053のうちの実質的にすべてを照明することができる。
[00465] 反射ファセット9053は、反射ファセット9053の複数のグループ9055を形成する。例えば、反射ファセット9053の第1のグループ9055aが、斜線で満たされたブロックで図46に示される。反射ファセット9053の第2のグループ9005bが、クロスハッチングで満たされたブロックで図46に示される。反射ファセット9053の第3のグループ9005cが、白色の背景上に黒色のドットで満たされたブロックで図46に示される。反射ファセット9053の第4のグループ9005dが、黒色の背景上に白色のドットで満たされたブロックで図46に示される。ビーム分割装置9050を形成する他の反射ファセット9053は、更なる反射ファセットのグループを形成する。しかしながら説明しやすいように、更なる反射ファセットのグループは図46では特に示していない。
[00466] 反射ファセット9055の各グループは、放射ビームの異なる部分を受け取るように配置された複数の反射ファセット9053を備える。反射ファセット9053の単一のグループ9055を形成する反射ファセット9053は、異なる反射された部分の組み合わせを備える分岐放射ビームを形成するために、グループ9055内の異なるファセット9053によって受け取った異なる部分を反射するように配置される。すなわち、反射ファセットの各グループ9055は、そのグループ9055を形成するファセット9053から反射された放射から単一の分岐放射ビームを形成する。例えば、反射ファセットの第1のグループ9055aは、第1の分岐放射ビーム(図46には図示せず)を形成するために、放射ビームの部分を反射する。分岐放射ビームは、ファセットの第1のグループ9055aを構成するファセット9053から反射された放射ビームの部分の組み合わせを備える。
[00467] ファセットのグループ9055を形成する反射ファセット9053は、すべて、実質的に同じ配向を有することができる。したがって、ファセットのグループ9055を形成するファセットから反射された放射は、単一の分岐放射ビームを形成するように、実質的に同じ方向に伝搬する。ファセットの異なるグループ9055が異なる分岐放射ビームを形成するために異なる方向に放射を反射するように、ファセットの異なるグループ9055を異なって配向することができる。
[00468] 図46に見られるように、反射ファセットのグループ9055を形成する異なる反射ファセット9053は、放射ビームの断面内の異なる位置に位置する。すなわち、ファセットのグループ9055を形成する複数の反射ファセット9053は、ビーム軸9051に対して実質的に垂直な方向で相互に分離される。したがって、反射ファセットのグループを形成する反射ファセットからの反射から形成される分岐放射ビームは、ビーム分割装置9050上に入射する放射ビームの断面の異なる部分を含むことになる。
[00469] ビーム分割装置9050によって形成される各分岐放射ビームが、実質的に同じパワーを有することが望ましい可能性がある。例えば、各分岐放射ビームは異なるリソグラフィ装置に供給することが可能であり、各リソグラフィ装置に実質的に同じパワーの放射を提供することが望ましい可能性がある。反射ファセット9053を反射ファセットのグループに分けることは、反射ファセットの各グループ上に入射する放射の合計パワーが実質的に同じになるように選択することができる。したがって、結果として生じる各分岐放射ビームは、実質的に同じパワーを有することができる。
[00470] ビーム分割装置9050上に入射する放射ビームは、ビーム軸9051の周りで回転対称な断面強度プロファイルを有することができる。例えば、放射ビームの断面強度プロファイルは、2次元ガウスによって近似することができる。すなわち、放射ビームの断面中心(ビーム軸9051と一致することができる)は、放射の最高強度を有することができる。放射の強度は、断面中心からの半径方向の距離が増加するにつれて減少し得る。半径方向距離の増加に伴う強度の減少は、実質的にガウス分布に従う。
[00471] 図46に示されるように、(ビーム軸9051に対して垂直な、ページの平面における)ファセットの第2のグループ9055bを形成する反射ファセット9053の配置は、反射ファセットの第1のグループ9055aを形成する反射ファセット9053の配置の(ビーム軸9051の周りでの)回転と実質的に同じである。したがって、反射ファセットの第2のグループ9055bによって反射され、第2の分岐放射ビームを形成する、放射ビームの断面部分は、反射ファセットの第1のグループ9055aによって反射され、第1の分岐放射ビームを形成する、放射ビームの断面部分の(ビーム軸9051の周りでの)回転である。ビーム分割装置9050上に入射する放射ビームの断面強度プロファイルが(ビーム軸9051の周りで)実質的に回転対称である場合、ファセットの第1のグループ9055a上に入射する放射の合計パワーは、ファセットの第2のグループ9055b上に入射する放射の合計パワーと実質的に同じとなる。したがって、第1の分岐放射ビームのパワーは、第2の分岐放射ビームのパワーと実質的に同じとなる。
[00472] 図46の実施形態において、反射ファセットの各グループ9055は、反射ファセットの別のグループ9055を形成する反射ファセット9053の配置の回転と実質的に同じである、反射ファセット9053の配置を備える。更に、反射ファセットの各グループ9055は、反射ファセットのあらゆる他のグループ9055を形成する反射ファセット9053の配置の異なる回転と実質的に同じである、反射ファセット9053の配置を備える。回転は、ビーム軸9041の周りでの回転である。ビーム分割装置9050上に入射する放射ビームの断面強度プロファイルが、(ビーム軸9051の周りで)実質的に回転対称である場合、ファセットの各グループ上に入射する放射の合計パワーは実質的に同じとなる。したがって、各分岐放射ビームのパワーは実質的に同じとなる。
[00473] 本明細書における、反射ファセットのグループ9055を形成する反射ファセット9053の配置への言及は、放射ビームの経路内での反射ファセットの位置決めを指すものと意図される。例えば、反射ファセットのグループ9055を形成する反射ファセット9053の配置は、放射ビームの断面内での反射ファセットの位置決めを指すことができる。ファセットの配置が別のファセットの配置の回転と実質的に同じであることへの言及は、単にファセットの位置決めを指すものであり、ファセットの配向ではないものと意図される。すなわち、ファセットの第1のグループの回転により、結果として、ファセットの第1のグループの回転が放射をファセットの第2のグループへと異なる方向に反射させることができるように、ファセットの第2のグループへの異なる配向を有するファセットを生じさせることができる。しかしながら、ファセットの第1のグループの回転が、結果としてファセットの第2のグループと実質的に同じ位置にファセットを生じさせる場合、ファセットの第2のグループの配置は、依然として、ファセットの第1のグループの配置の回転と実質的に同じであるものと見なされ得る。
[00474] 反射ファセットのグループ9055を形成するファセット9053は、ビーム軸9051に沿って実質的に同じロケーションに位置することができる。更に、反射ファセットの異なるグループ9055は、ビーム軸9051に沿って実質的に同じロケーションに位置することができる。本明細書における、ファセットがビーム軸9051に沿って実質的に同じロケーションに位置することへの言及は、各ファセット9053が同じ平面内にあることを意味するものとは意図されず、単にビーム軸9051に沿ったファセット間には大きな分離がないことを意味する。
[00475] 図46に見られるように、反射ファセットの異なるグループ9055からの反射ファセット9053のいくつかは、相互に隣接して位置する。反射ファセットの異なるグループ9055からの反射ファセット9053のいくつかは、相互に接触していることが可能である。例えば、ビーム分割装置9050を形成するファセット9053は、単一の装置を形成することができる。これはビーム分割装置の製造に役立ち得、放射ビームに対して反射ファセット9053を位置合わせ及び配向する際に役立ち得る。例えば、反射ファセット9053の位置合わせ及び配向は、全体としてビーム分割装置の位置合わせ及び配向を制御することによって制御可能である。
[00476] いくつかの実施形態において、ビーム分割装置を形成するファセット9053の相対的な位置決め及び配向を固定することができる。他の実施形態において、ビーム分割装置9050を形成するファセット9053の相対的な配向は調整可能であり得る。例えば、ビーム分割装置は、1つ以上のファセット9053の配向を改変するように動作可能な1つ以上のアクチュエータを備えることができる。
[00477] 図46に示される実施形態において、反射ファセットの各グループ9055は、6つの異なるファセットから形成される。ビーム分割装置9050は反射ファセットの8つの異なるグループ9055を備えるため、結果として8つの異なる分岐放射ビームを生じさせることになる。他の実施形態において、ビーム分割装置は8つよりも多いか又は少ない反射ファセットのグループから形成可能である。反射ファセットの各グループは、6つより多いか又は少ない異なるファセットを備えることができる。
[00478] 図46に示される反射ファセットの異なるグループを形成する反射ファセットの配置は、可能な配置の単なる例である。前述のようなファセットのグループを形成するファセットの他の配置を代わりに使用することが可能であり、結果として、図46の実施形態に関連して、前述の有利な効果と同じか又は同様の効果を生じさせることができる。
[00479] 図47A〜図47Cは、ビーム分割装置9050の代替実施形態を示す概略図である。各ビーム分割装置9050は、反射ファセットのグループ9055に編成された複数の反射ファセット9053を備える。反射ファセットのグループ9055は、図46を参照しながら上記で説明した特性と同じ特性を有するが、ビーム分割装置9050の周りに異なるように分散される。図47A〜図47Cに示される表現において、ファセットの同じグループ9055に属するファセット9053には、同じ陰影が提供される。説明しやすいように、図47A〜図47Cでは反射ファセットの異なるグループすべてが標示されている訳ではない。
[00480] 図48は、前述のように複数の反射ファセットのグループ9053を備えるビーム分割装置9050を形成することが可能な反射ファセット9053の、更なる7つの可能なレイアウトを示す概略図である。図48に示される実施形態では、ファセットのグループ9055へのファセット9053の配置は示されていない。しかしながら、図48に示される実施形態のいずれかを形成するファセット9053は、図48を参照しながら上記で説明したように、ファセットのグループを形成するように配置可能であることを理解されよう。
[00481] 図46〜図48を参照しながら上記で説明した形のビーム分割装置9050は、本明細書で説明する放射改変デバイスと共に使用することができる。例えば、ビーム分割装置9050によって提供される分岐放射ビームのうちの1つ以上を、放射改変デバイスを用いて修正することができる。追加又は代替として、メイン放射ビームは、メイン放射ビームがビーム分割装置9050上に入射する前に、放射改変デバイスを用いて修正することができる。
[00482] 複数の反射ファセットを備える放射改変デバイスの様々な実施形態を、上記で説明してきた。複数の反射ファセットを備える放射改変デバイスは、(図1〜図23を参照しながら説明したように)第1及び第2の開口を有するチューブを備える放射改変デバイスと同様に使用することができる。例えば、複数の反射ファセットを備える放射改変デバイスは、分岐放射ビームBaがリソグラフィ装置LAに提供される前に、分岐放射ビームBaを受け取って修正するように配置可能である。追加又は代替として、複数の反射ファセットを備える放射改変デバイスは、ビーム放射ビームBがビーム分割装置に提供される前に、放射源SOからメイン放射ビームBを受け取るように配置可能である。
[00483] 複数の反射ファセットを備える放射改変デバイスは、いくつかの適用例において、反射性内部表面を有するチューブを備える放射改変デバイスと比較した場合、1つ以上の利点を提供することができる。例えば、複数の反射ファセットを備える放射改変デバイスは、チューブを備える放射改変デバイスよりも占有空間が少ないことが可能である。これは特に、放射改変デバイスによって占有される総空間を大幅に低減させることができるため、複数の分岐放射ビームの各々を修正するために放射改変デバイスが提供される、リソグラフィシステムの配置を簡略化することができる。
[00484] 追加又は代替として、複数の反射ファセットを備える放射改変デバイスは、反射性内部表面を有するチューブを備える放射改変デバイスよりも、製造及び/又は洗浄が容易及び/又は安価であり得る。例えば、放射改変デバイスを形成する反射ファセットの総表面積は、放射改変デバイスを形成する反射性内部表面の総表面積よりも小さいものとすることができる。したがって、反射性内部表面を有するチューブを備える放射改変デバイスよりも、製造及び/又は洗浄が容易及び/又は安価であり得る。
[00485] 放射改変デバイスを形成する反射ファセットは、例えば、別々に製造した後、単一の要素に組み合わせることができる。反射ファセットは、反射材料を基板上に電鋳することによって製造可能である。例えば、反射ファセットは、ニッケルを基板上に電鋳することによって製造可能である。
[00486] 放射源SOの実施形態は、自由電子レーザFELを備えるものとして説明及び図示してきたが、放射源SOは自由電子レーザFEL以外の放射源を含むことができる。
[00487] 自由電子レーザFELを備える放射源は、任意数の自由電子レーザFELを備え得ることを理解されたい。例えば放射源は、2つ以上の自由電子レーザFELを備えることができる。例えば2つの自由電子レーザは、複数のリソグラフィ装置にEUV放射を提供するように配置可能である。これによっていくらかの冗長性が可能となる。これにより、一方の自由電子レーザが修理中であるか又は保守作業を受けている場合、他方の自由電子レーザを使用することができる。
[00488] リソグラフィシステムLSは、任意数のリソグラフィ装置を備えることができる。リソグラフィシステムLSを形成するリソグラフィ装置の数は、例えば、放射源SOから出力される放射の量、及びビームデリバリシステムBDS内で失われる放射の量に依存し得る。リソグラフィシステムLSを形成するリソグラフィ装置の数は、追加又は代替として、リソグラフィシステムLSのレイアウト、及び/又は複数のリソグラフィシステムLSのレイアウトに依存し得る。
[00489] リソグラフィシステムLSの実施形態は、1つ以上のマスク検査装置MIA及び/又は1つ以上の空中検査測定装置(AIMS)を含むこともできる。いくつかの実施形態において、リソグラフィシステムLSは、いくらかの冗長性を可能とするために複数のマスク検査装置を備えることができる。これにより、1つのマスク検査装置が修理中であるか又は保守作業を受けている場合、別のマスク検査装置を使用することができる。したがって、1つのマスク検査装置が常時使用可能である。マスク検査装置は、リソグラフィ装置よりも低パワーの放射ビームを使用することができる。更に、本明細書で説明するタイプの自由電子レーザFELを使用して生成される放射は、リソグラフィ又はリソグラフィ関係適用例以外の適用例に使用可能であることを理解されよう。
[00490] 前述のようなアンジュレータを備える自由電子レーザは、リソグラフィを含むが限定されない多数の用途に、放射源として使用可能であることを更に理解されよう。
[00491] 「EUV放射」という用語は、4〜20nmの範囲内、例えば13〜14nmの範囲内の波長を有する、電磁放射を包含するものと見なすことができる。EUV放射は10nm未満、例えば、6.7nm又は6.8nmなどの4〜10nmの範囲内の波長を有することができる。
[00492] 本明細書で説明してきたリソグラフィ装置は、ICの製造の際に使用可能である。代替として、本明細書で説明するリソグラフィ装置は他の適用例を有することができる。可能な他の適用例は、集積光学システムの製造、磁気ドメインメモリに関するガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどを含む。
[00493] 異なる実施形態は相互に組み合わせ可能である。実施形態の特徴を他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。
[00494] 以上、本発明の特定の実施形態を説明してきたが、本発明は説明した以外の方法で実施可能であることを理解されよう。上記の説明は例示的なものであり、限定的でないことが意図される。したがって当業者であれば、説明した本発明が、以下に記載の特許請求の範囲を逸脱することなく修正可能であることが明らかとなろう。